2011 年 2 月 25 日 野村アセットマネジメント株式会社 【ご参考資料】 中東情勢の混乱などによる世界の金融市場の変動について 足元の金融市場では、主要株式指数の下落、主要通貨に対する円の上昇が生じました。 2 月 24 日、日本株式市場の代表的な株価指数である TOPIX(東証株価指数)が前週末(2 月 18 日)比▲4.0%、米 国株式市場の代表的な株価指数である S&P500 株価指数が同▲2.7%、ドイツ株式市場の代表的な株価指数である DAX 指数が同▲4.0%、ブラジル株式市場の代表的な株価指数であるボベスパ指数が同▲1.6%となるなど、世界の 主要株価指数が下落しました。 また、2 月 24 日、対円で米ドルが前週末比▲1.6%、ユーロが同▲0.8%、豪ドルが同▲2.1%、ニュージーランドド ルが同▲3.4%、トルコリラが同▲3.1%となるなど、前週末比で見て主要通貨に対して円が上昇しました。 このような主要株価指数の下落や円買いが進んだことの契機の一つとして、インフレ率や失業率の高まりなどを背 景とした中東情勢の混乱が考えられます。 2011年2月18日~2月24日 2011年1月31日~2月24日 主要な株価指数における変化率 3.2% 2.7% 1.4% 1.6% 0.7% 1.0% 0.6% 0.4% -0.7% -1.6% -2.7% -4.0% -2.7% -4.0% -3.4% -3.2% -3.3% 韓国総合 インド・ SENSEX30 ブラジル・ ボベスパ 主要な通貨の対円における変化率 -3.1% -5.8% 中国・ 上海総合 -6.7% ギリシャ・ アテネ総合 英 FT100 独 DAX 米 NASDAQ 総合 米 S&P500 TOPIX 6% 4% 2% 0% -2% -4% -6% -8% 2011年2月18日~2月24日 2011年1月31日~2月24日 4% 円安 1.9% 2% 0.6% 1.0% 0.6% 0.2% 0.2% 0% -0.2% -2% -1.6% -0.1% -0.8% -2.3% -2.1% -4% -0.4% -2.5% -2.4% -0.0% -1.7% -1.6% -1.0% -3.0% 韓国・ウォン 中国・ 人民元 ブラジル・ レアル メキシコ・ ペソ 南アフリカ・ ランド ポーランド・ ズロチ ハンガリー・ フォリント ※ -2.1% -0.2% 円高 トルコ・リラ ※ NZドルとはニュージーランド・ドルを指します。 (注)NY時間17時の値で比較 N Zド ル 豪ドル 英ポンド ユーロ 米ドル -6% -3.4% -3.5% -3.1% -0.7% (出所)Bloomberg データより野村アセットマネジメント作成 当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したご参考資料です。投資勧誘を目的とした資料ではあり ません。当資料は市場全般の推奨や証券市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基 づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に示された意見等は、当資料作成日現在の当社の見解で あり、事前の連絡なしに変更される事があります。なお、当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。投資に 関する決定は、お客様ご自身でご判断なさるようお願いいたします。投資信託のお申込みにあたっては、販売会社よりお渡しします投資信託説明書 (交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。 1/3 【ご参考資料】 【足元の経済環境】 欧州債務問題の動向などの懸念材料は引き続き残っているものの、足元で米国やドイツなどの先進国において、 堅調な経済指標が多く公表されてきました。そして、堅調な経済成長を示してきた新興国のみならず、先進国におけ る緩やかな経済成長も維持されるとの見方が広がったことなどにより、2011 年に入ってからも主要株価指数の上昇基 調は持続しました。 ただし、世界経済の回復が続く中でも、米国においては雇用環境の改善ペースの鈍さやインフレ率が低水準にとど まっていること、ユーロ圏においてはギリシャ、アイルランドなどのユーロ圏周辺国における欧州債務問題が燻ぶり続 けていること、日本においてはデフレが持続していることなどによって、中央銀行が金融引き締め策を実行するには 至りませんでした。 このように、世界経済回復期における先進国の金融緩和策の維持が過剰流動性を生じさせていること、景気回復に よる需要の高まりが価格に反映されていることなどによって、商品相場は2010年央以降、上昇基調となっています。商 品相場の上昇は、先進国と比較して相対的にインフレ率が高い国が多い新興国にとって、更なるインフレ高進を招き、 国民の生活不安を高める一因となってきました。 【中東情勢の混乱】 食料品価格の上昇や高い失業率に対して国民の不満が高まっていたチュニジアで、2010 年 12 月以降、デモや暴 動が発生し、政権打倒の動きとなっていきました。2011 年 1 月 14 日には政権を担ってきたベンアリ氏がサウジアラビ アへ逃れ、約 23 年にわたる長期政権が打破されました。 このチュニジアにおける政権打倒の動きが飛び火する形で、エジプトで 1 月25 日に数万人規模の反政府デモが発 生しました。やはりエジプトの反政府運動も高い失業率やインフレ、貧富の格差の拡大に対する国民の不満が原動力 となっており、2 月 11 日のムバラク氏の大統領辞任表明をもって、約 30 年にわたって政治を担ってきた長期政権は崩 壊しました。 そして現在、チュニジアとエジプト双方と国境を接するリビアにおいても、最高指導者カダフィ大佐の長期支配への 抗議デモが活発化しています。2 月 21 日にはリビア軍がデモ隊などを無差別攻撃したとの報道もあり、このような武力 弾圧に対して各国駐在のリビア大使などが抗議し辞任を表明するなど、カダフィ大佐の退陣を求める声が高まりました。 しかし、22 日に国営テレビで演説したカダフィ大佐は退陣を拒否した上で、政権への抗議行動に対して一段と強硬な 姿勢で臨むことを示唆するなど、政情の混乱が続いています。 中東における政情混乱はバーレーンなどにも波及する兆しもあるようです。バーレーンの隣国であるサウジアラビ アにおいては雇用・物価対策などの施策を発表するなど、混乱波及阻止に向けた動きも生じてきています。 【原油価格の上昇】 原油市況の動向を示す代表的な指標である WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート) は、2009 年 2 月頃を底 に緩やかに上昇を始め、2009 年後半から 2010 年 11 月頃まで概ね 1 バレル=70~80 米ドル台前半で推移していま した。その後は世界経済回復への楽観的な見方が広がったことなどに伴ない、1 バレル=80 米ドル台後半まで上昇し、 2010 年末頃には 1 バレル=90 米ドル台にまで上昇しました。 原油産出国の多い中東情勢の緊迫化は、原油供給が滞るという懸念を高め、商品市場において原油価格の上昇を 当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したご参考資料です。投資勧誘を目的とした資料ではあり ません。当資料は市場全般の推奨や証券市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基 づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に示された意見等は、当資料作成日現在の当社の見解で あり、事前の連絡なしに変更される事があります。なお、当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。投資に 関する決定は、お客様ご自身でご判断なさるようお願いいたします。投資信託のお申込みにあたっては、販売会社よりお渡しします投資信託説明書 (交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。 2/3 【ご参考資料】 もたらしました。特に原油輸出国でもあるリビア情勢の深刻化を受けて、2 月 21 日の米国の祝日による休場が明けた 2 月 22 日のニューヨーク原油先物市場において、WTI は前週末比+8.5%の大幅上昇となりました。翌 23 日にも WTI は上昇し、一時は 2008 年 9 月末以来の 1 バレル=100 米ドル台に達しました。 リビアの油田において、労働者によるストライキが発生したり、外国資本の石油会社などが駐在員の避難措置をとっ たりしていると報じられており、原油の供給減少懸念が高まっているようです。 中東の政治的な混乱がリビア以外の産油国にも拡大した場合、原油供給能力が低下することを背景として、原油価 格の上昇が更に加速するとの見方も金融市場において生じている模様です。 商品先物市場の推移 (米ドル/バレル) 110 100 (1967年=100) 375 期間:2008年12月31日~2011年2月24日(日次) 350 WTI(左軸) CRB指数(右軸)(※) 90 325 80 300 70 275 60 250 50 225 40 200 30 08/12 09/2 09/4 09/6 09/8 09/10 09/12 10/2 10/4 10/6 10/8 10/10 175 10/12 (年/月) (※)正式にはロイター・ジェフリーズ CRB指数と呼ばれ、19品目の商品先物価格から算出される、総合的な国際商品市況を表す指数です。 (出所)Bloomberg データより野村アセットマネジメント作成 【金融市場の反応】 中東における政情不安の高まりは、投資家のリスク許容度を低下させました。このため、安全資産とされる円が買わ れる展開となり、主要通貨に対して概ね上昇しました。世界の主要株式指数の下落に見られるように株式が売られ、安 全資産とされる日本や米国などの国債が選好されているようです。 今後については、中東の情勢混乱がサウジアラビアなど世界有数の石油輸出国に波及しなければ、投資家のリスク 回避的な姿勢が弱まり、また原油価格の上昇も落ち着いていくとの見方もあるようです。 一方で、原油価格の上昇は、①家計、②企業、③先進国の金融政策による経路から、マクロ経済に影響を与えるこ とも想定されます。①について、原油価格上昇に伴なってガソリンなどの石油関連商品の値上がりが大きければ、家 計の実質的な購買力が低下し、個人消費が減速する可能性が考えられます。②について、企業においては、原油価 格上昇は生産コストの増大に繋がり、企業収益が圧迫されることで、設備投資の重石となってくるかもしれません。③ について、先進国の金融緩和が世界的なインフレ加速を促す一因であるという見方が広がれば、このような政策に対 して新興国などから非難が高まることなどによって、先進国の金融緩和が維持されにくくなる可能性もあります。これら は、原油価格上昇が経済成長を減速させるという見方に繋がっており、株式が売られた一因とも考えられます。 このような金融市場環境の持続については、上述した中東情勢の混乱が終息に向かうかどうかが大きな影響を与え ると思われますので、引き続き中東情勢の動向や世界的な物価動向に注視してまいります。 以 上 当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したご参考資料です。投資勧誘を目的とした資料ではあり ません。当資料は市場全般の推奨や証券市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基 づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に示された意見等は、当資料作成日現在の当社の見解で あり、事前の連絡なしに変更される事があります。なお、当資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆ないし保証するものではありません。投資に 関する決定は、お客様ご自身でご判断なさるようお願いいたします。投資信託のお申込みにあたっては、販売会社よりお渡しします投資信託説明書 (交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。 3/3
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