ロクサーナ・コンスタンティネスク 「セビリアの理髪師」のチャーミングなヒロイン、ロジーナを歌うのは ルーマニア出身のメゾ・ソプラノ歌手ロクサーナ・コンスタンティネスク。 コロラトゥーラのテクニックと深い響き、そして可憐な舞台姿で人気の、若手の注目株だ。 ウィーン国立歌劇場の専属歌手として活躍し、 小澤征爾にも認められた才能が、得意のロジーナ役で オペラパレスの舞台に花を咲かせる。 ウィーン国立歌劇場と契約後すぐに マエストロ小澤と共演して 〝ダブルの幸せ〟 いたそうですね。歌手になろうと思ったきっかけ ﹁フィガロの結婚﹂のケルビーノ役です。二〇〇七 二 〇 〇 七 年 ウ ィ ー ン 国 立 歌 劇 場 で小 澤 征 爾 指 揮 トを切 りました。オペラのメジャー デ ビューは、 ン国立歌劇場の専属歌手という夢のようなスター ジュリエット﹂ ﹁ファウスト﹂ 、マスネ﹁ウェルテ 役です。フランス作品も好きでグノー﹁ロメオと ろん﹁セビリアの理髪師﹂のロジーナも大好きな レントラ﹂ ﹁アルジェのイタリア女﹂ 、そしてもち ﹁チェネ ノなどですね。それとロッシーニです。 コンスタンティネスクさんは五歳から歌って は? 年にウィーン国立歌劇場との契約後、すぐにマエ ル﹂のシャルロット役などを歌います。 │ 歳 のときからル ー マ ニ ア 放 送 児 童 合 唱 団 で歌 っ ストロ小澤と共演できて〝 ダブルの幸せ〟でした。 ︶ ■ええ、私は五 ていました。十八歳まで在籍していたのですが、 その後、オペラ歌手として素晴らしい舞台で多く る感情、そしてオーケストラも素晴らしい。モー 作曲家としては、やはりモーツァルトですね。 彼のオペラの中にはすべてがあります。歌に込め コンスタンティネスク︵以下 十三歳で合唱団のソリストとなり、その頃から歌 のアンサンブルメンバーになれたことにとても感謝 ル﹂のシャルロットはとても女性的な音楽の流れ ツァルトの役はすべて好きです。あと﹁ウェルテ 小澤征爾氏と共演して印象的だったことは? が大好きです。 ﹁カルメン﹂を将来歌ってみたいと にもかも素晴らしくて、また、とても優しくして たいと思います。今後は﹁カプレーティ家とモン 思っていますが、その時が来るのを忍耐強く待ち テッキ家﹂ ﹁ばらの騎士﹂なども歌いたいので、一 歩一歩ゆっくり積み上げていきたいと思います。 今までで一番思い出深い舞台は? いろいろありますね。ロジーナ役を初めて歌 ーツァルトの多くの役を歌っています。例えばド ったのはケルン歌劇場でしたが、急な代役として ■ 勝して、その後ウィーン国立歌劇場のオーディショ ラベッラ、デスピーナ、ツェルリーナ、ケルビー めて、まだあまり上手ではありませんが楽しいで │ ンを受けるチャンスがあり、最初の契約がウィー いろいろなところで歌い、もちろんウィーン国立 す。自転車に乗ったり散歩したり。仕事以外のこ 私はリリックなメゾ・ソプラノですので、モ 出演したんです。この役を勉強はしていましたが、 歌劇場でも何度も歌いました。 〝急な代役〟はウィ ■ かで一番大切にしたい作曲家は? │ いただきました。 ﹁心からの感謝﹂につきます。 レパートリーは広いようですが、ご自身のな ■ 私にとっては夢のような共演でしたので、な しています。 の経験を積むことができて、ウィーン国立歌劇場 音楽大学では声楽とピアノを主に専攻しました。 初めは少し打楽器も専攻しましたが、最終的には 第一専攻が声楽、第二専攻がピアノです。その後 ミュンヘンではオペラとオラトリオのマスターク プロの歌手としての活動の最初が、ウィーン国 ラスも受けました。 │ 立歌劇場のアンサンブルメンバーだったのですね。 国際音楽コンクールに優 実際に舞台で歌ったことはなかったので、とても ーン時代に何回も経験しましたが、いいチャンス │ ■ 今回で二度目です。四年前にマエストロ小澤 日本へいらっしゃるのは初めてですか。 とを楽しむ、それが一番です。 C りたいことはやり遂げる女性です。若いリンドー ルトロの前ではとても純真無垢ですが、自分のや ジーナは可愛いだけでなく、聡明な女性です。バ トのオペラのようにすべてがあるといえます。ロ かったので、今度は少しゆっくり東京を散策した 代建築にも興味があります。前回の東京滞在は短 と、古いお寺や神社もゆっくり見たいですし、現 も楽しかったので、またぜひ行きたいです。それ とても有名なオペラ・ブッファですから、お ■ な作品ですか。 客様もそれなりのイメージを持っていらっしゃる いと思っています。 ロの愛を受け入れたいと思い、それをやり遂げる 最後に観客の皆様へメッセージをお願いし ます。 │ ﹁ ■ セ ビ リ ア の理 髪 師 ﹂は、観 終 わっ たあと微 ますか。 また、今回の歌手陣から必ずやこのオペラの新し 笑みを浮かべてお帰りになれる楽しい作品ですし、 フィガロ役のダリボール・イェニスとは、ウ ■ 今回の出演者の中で、共演経験のある人はい される、難しいですがやりがいのある役です。 作品だと思いますので、若い歌手がこのオペラを ロジーナという役の魅力はど C のスタイルがある中で、自分なりの新しい解釈を 見出し、それを舞台で再現するのはチャレンジだ │ こにあるとお考えですか。 ロジーナはまず、高度なコロ ■ ラトゥーラのテクニックが音楽的 な見せ場だと思います。しかも正 ィーン国立歌劇場で何度も一緒に歌っています。 い魅力を感じていただけると思います。何度観て りがとうございました! とお贈りできると思います。 ︵日本語で︶どうもあ ていただきたいです。皆様の心に届く公演をきっ そういう作品ですから。ぜひ多くの皆様に観に来 も歌手の違いによって新鮮な発見や驚きがある、 忙しい毎日を送っていらっしゃると思います そのほかの方々は初めてなのでとても楽しみです。 │ が、気分転換になさることはありますか。 映画を観に行ったり、ジャズのライブを聴き ■ あまり自由に歌うのは危険があり ますね。スポーツも好きで、気分転換だけでなく を聴くのも好きで、それを聴くとリラックスでき ントですから、リリックで美しい 身体のコンディションを整えるためにもエアロビ に行ったりします。オペラ以外のジャンルの音楽 フレーズも大切です。そういう意 クスなどをしています。二年ほど前にスキーも始 ます。しかしロッシーニはベルカ 確なテクニックでなくてはならず、 C C C と思って毎回歌っています。 11/28(水)∼ 12/9(日) │ のです。それには歌唱力だけでなく演技力も要求 行き、お酒を飲んでたくさん歌いましたが、とて ︵笑︶ 。前回に同僚の歌手たちと一緒にカラオケに た。今からとても楽しみにしているのはカラオケ とのア ジ ア・ コ ン サ ー ト・ ツ ア ー で来 日 しまし C 歌うことはひとつの大きな挑戦です。すでに伝統 ご自身にとって﹁セビリアの理髪師﹂はどん ロジーナは、歌唱力だけでなく演技力も要求される 難しいけれどもやりがいのある役です ドキドキしましたが、幸い大成功となりました。 ミュンヘンの │ 楽器にも興味があって習っていましたが、結局、 Roxana Constantinescu 手への兆しが見えてきたと思います。ピアノと打 ルーマニア・ブカレスト生まれ。ジョルジュ・エネスコ・アカ デミーでピアノと打楽器を、その後ブカレスト国立音楽大学 で声楽を学ぶ。2003 年に奨学金を得てウィーン音楽大学で 学ぶ。06 年ミュンヘンのARD 国際音楽コンクールに優勝。 2007/2008シーズンよりウィーン国立歌劇場の専属歌手と なり、2009/2010シーズンまで活動。その後はケルン歌劇 場、ロサンゼルス・オペラ、ミネソタ・オペラ、ダラス・オペラ、 アン・デア・ウィーン劇場、トゥールーズ・キャピトル劇場、 ブカレスト国立歌劇場などに出演。新国立劇場初登場。 をつかむことができたのは幸いでした。 ■ C C C あの舞台は忘れられません。その後、ロジーナは A R D C 味ではこの作品にも、モーツァル 3 C │ セビリアの理髪師
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