定員外職員パンフレット

定員外職員の権利
-労働条件の現状と改善をめざして-
2010 年 1 月版
全運輸労働組合待遇改善委員会
はじめに
定員外職員(非常勤職員)は、国家公務員に対する相次ぐ定員削減などによる要
員不足への対応として、正規職員4人に1人の割合にまで拡大しています。その職
務内容は、事務補助を主としていますが、職場によっては事務管理の中心的な役割
を成している定員外職員もおり、今や行政サービスを提供していく上ではなくては
ならない存在となっています。
その一方で、労働条件については改善されるどころか、依然として不安定雇用や
無権利状態のままとなっており、処遇改善を求めてとりくむ必要があります。
09 年 8 月の人事院勧告では、休暇及び健康診断に関して、忌引き休暇、病気休
暇の対象となる職員の範囲を拡大し、一般定期健康診断の対象とすると報告されま
した。また、日々雇用職員の任用・勤務形態について、本年度内を目処にその性格
に応じた適切な任期と再任ルールを検討することが明示されています。
私たちの継続的なとりくみにより、人事院勧告で定員外職員の処遇の改善につな
がる報告がされたことは一定評価できるものです。引き続き労働条件の改善を求め、
とりくみを継続することが重要となっています。
また、定員外職員の処遇の改善を勝ち取るためには、まず、労働条件や制度を知
ることからはじめる必要があります。制度を理解し、適正に処遇されているかどう
かを確認し、自らの労働実態を理解したうえで改善にむけてとりくんでいくことが
重要です。
この「定員外職員パンフ」を学習会や日常のとりくみに活用し、処遇改善のとり
くみを前進させるために活用してください。
注)本パンフでは、定員外職員を非常勤職員や非典型労働者と表現している場合がありま
すが、全運輸では内部での議論にとどまる場合には「非」という言葉を使用せず「定員
外職員」と統一しています。また、正規職員を定員内職員や常勤職員とも表現していま
す。いずれの表現も、当局文書や国公労連の文書から表記を引用している場合に使用し
ているものであり、同義です。
目
次
Ⅰ.定員外職員の労働条件と問題点
Ⅱ.待遇改善&結集強化にむけて
pg. 1
I.定員外職員の労働条件と問題点
Q1
定員外職員とはどういう位置づけですか?また労働条件等はど
のように定められているのですか?
A.定員外職員は、
「常時勤務することを要しない職員」とされ、非常勤職員や賃金職員な
ど様々な名称で呼ばれていますが、国家公務員法にはそうした語句はありません。また、
「総定員法」では、「恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員の定員」を定
めており、いわゆる定員の枠外に置かれている職員のことを指します。
国家公務員法では、付則第 13 条で、一般職の国家公務員については「職務と責任」
の特殊性に基づいて、法律または人事院規則で別の規定を設けることができるとしてい
ます。
この条文を根拠に、例えば「非常勤職員等の任用に関する特例」
(人事院規則8-14)
が設けられ、非常勤職員については「競争試験又は選考」のいずれにもよらないで採用
することを認めています。給与については「給与法第 22 条」に、勤務時間・休暇につ
いては「勤務時間法第 23 条」を受けた「非常勤職員の勤務時間及び休暇」
(人事院規
則 15-15)で規定されています。
さらに、こうした人事院規則にもとづき国土交通省に働く非常勤職員の勤務条件につ
いては通達「国土交通省における非常勤職員の勤務条件等に関する取扱いについて」に
規定されています。
しかし、身分はあくまでも「国家公務員」です。ですから政治結社、ストライキ等の
自由もなく、服務規程も定員内と全く同等です。これらに違反した場合の懲戒処分も定
員内と同様です。罰則を伴った義務の規定はありながら、待遇に関しては何の法的保護
も受けられない厳しい労働条件となっています。
Q2
全運輸の職場には、何人くらい定員外職員がいるのですか?
A.全運輸が組織する本省をはじめ、地方運輸局、地方航空局、研究機関や航空大学校の
職場には 900 名を超える定員外職員が採用されています。そのほとんどが事務補助と
しての採用であり、相次ぐ常勤職員の定員削減等により定員外職員数は増加傾向にあり
ます。
地方運輸局等の職場では、内部管理業務に関する事務補助に加え、運輸支局において
は年度末などの繁忙期等における自動車登録業務等の補助としても採用されています
が、その多くが数ヶ月の短期雇用となっています。
また、地方航空局等の職場では、ほとんどが内部管理業務の補助で、地方航空局の発
足が第1次定員削減計画策定当時の 1967 年と遅く、この間事務管理要員の確保が十
分でないことから、定員外職員が常勤化されてきた実態があります。さらに、2003 年
度からは内部管理業務に関わって、これまで各官署に配置し
てきた事務管理要員を近隣官署へ集約する体制見直しが行わ
れ、航空路監視レーダー事務所や空港出張所など、職員数が
20 名程度の職場では、一部の残される内部管理業務について
は、所属長と定員外職員で対応することとなり、定員外職員
が業務体制に組み込まれ、不可欠な存在になっています。
pg. 2
Q3
定員外職員には、Ⅰ種・Ⅱ種とか、甲種・乙種があると聞いてい
ますが、どのような違いがあるのですか?
A.旧運輸省時代には通達で非常勤職員を以下のような種類で規定していました。大きく
分ければフルタイムで働く人とパ-トタイムで働く人のことで、フルタイムで働く人は
任期によってⅠ・Ⅱ・Ⅲ種と分けています。そして、パ-トタイムで働く人は勤務する
日数・時間数によって甲・乙・丙種と分けています。
種
類
Ⅰ種非常勤職員
Ⅱ種
〃
Ⅲ種
〃
甲種非常勤職員
乙種
〃
丙種
〃
勤
務
時
間
勤
務
条
件
6カ月以上 12 カ月未満
フルタイム
1カ月以上 6カ月未満
(週 38時間 45 分) 1カ月未満
フルタイムの3/4
以内
委員・顧問等
常勤と同様(月~金)
日を決めて勤務
国土交通省が発足した際に、旧建設省などの定員外職員の労働条件などの違いを統一
するためにあらたに通達「国土交通省における非常勤職員の勤務条件等に関する取扱い
について」が出され、Ⅰ種、甲種といった種別はなく、また旧運輸省通達は廃止するこ
ととなっています。しかし、付則の第5条に旧運輸省通達のⅠ種、Ⅱ種等の区別により
採用する場合は、旧通達の例によるとなっており、実態としてそのような区別がなされ
ています。
この旧運輸省通達では、例えば6ヶ月以上の雇用の場合はⅠ種となっていますが、予
算不足などから、ほとんどの官署でⅡ種格付けであり、さらに運輸部門ではパ-トタイ
ムの乙種・丙種の定員外職員が多くなっています。
Q4
採用時に、3年の雇用期限を通告されましたが、3年以上は働け
ないのでしょうか?
A.国土交通省としての非常勤職員の雇用期間については、定員外職員の職務内容如何に
かかわりなく、1961 年に閣議決定された「定員外職員の常勤化の防止について」をも
とに、「3 年を上限とする」という基本的な考え方が統一され、2001 年 4 月 1 日以
降に新規に採用される非常勤職員から「任用期間3年」を告知されるなど、厳密な運用
を行ってきています。また、通達「国土交通省における非常勤職員の勤務条件等に関す
る取扱いについて」では、任期は1日とし、原則日々更新で、任用予定期間は会計年度
内(4/1~3/31 の間)としており、
「3年雇い止め」が徹底されています。
「特段の事
情」により雇用延長が必要な場合は官房に上申できるとしているものの、その対象は技
能職員などに限定されており、事務補助についてはあてはまらないとしています。
非常勤職員の契約更新等に際しては、
「解雇権濫用法理」
(客観的に合理的な理由を欠
き、社会通念上相当として是認することができない労働者の解雇は、解雇権の濫用とし
て無効であるという労働法学上の考え方。2003 年の労働基準法改正により立法化。解
雇するにはそれなりの理由と根拠が必要ですよ、ということ)を適用することで継続雇
用を守り、契約更新回数制限など合理性や納得性のない画一的、一方的な制限の撤廃、
また、合理性と納得性のあるルール作りをすすめる必要があります。
pg. 3
Q5
給与はどのように決められるのですか?
A.定員外職員の給与については、給与法第 22 条2項で「常勤を要しない職員について
は、各庁の長は、常勤職員の給与と均衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給する」と
なっています。
国土交通省の定員外職員の給与については、通達「国土交通省における非常勤職員の
勤務条件等に関する取扱いについて」及び通達「国土交通省本省の内部部局等における
非常勤職員の勤務条件等の取扱いについて」で規定されています。
具体的には、通達の別表事務補助職員基本賃金日額表により学歴および経験年数と勤
務地によって日額を定めています。
最低の日額(6,080 円)で、一月 22 日勤務で計算すると 13 万 3,760 円(20 日計
算で 12 万 1,600 円)となります。全労連では、いかなる労働者も 16 万円以上、日額
7,500 円以上の賃金を保証すべきとの要求をかかげていることから、全運輸において
も日額 7,500 円以上の最低賃金を保証し、低く抑えられている賃金の底上げを図り日
額表を改善することを要求します。
さらに、定員外職員については、業務経験により昇任・昇格する制度はありません。
単純に雇用されたときの学歴、経験年数、勤務地のみの 12 段階の事務補助職員基本賃
金日額表で定められているだけです。業務経験が賃金にも反映されるよう定員内職員と
同様に昇給・昇格制度の確立が必要です。
また、航空官署(本省航空局を除く)で働く定員外職員の給与は国土交通省の通達に
基づき別途航空局において策定されている「航空官署における非常勤職員の勤務条件等
に関する取扱いについて」で規定されています。航空局の規定では、予算の制約から換
算後の経験年数が3年を1段とする5段階で定められています。
事務補助職員基本賃金日額表
※ 換算後の経験年数
中学卒
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
高校卒
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
(H21.6.1 国官人第 409 号による)
1級地
成田国際空港
の区域
4級地
17%
7,110
7,280
7,450
7,930
8,130
8,320
8,540
8,850
9,200
9,400
9,610
10,170
10,370
14%
6,930
7,090
7,260
7,730
7,920
8,110
8,320
8,620
8,960
9,160
9,370
9,910
10,100
10%
6,690
6,840
7,010
7,460
7,650
7,830
8,020
8,320
8,650
8,840
9,040
9,560
9,750
地域手当を支
給する地域等
以外の地域等
6,080
6,220
6,370
6,780
6,950
7,120
7,300
7,570
7,860
8,040
8,220
8,700
8,860
※ 換算後の経験年数とは、4 月 1 日現在での基準学歴や職歴などの経歴を、加算した年数に
なります。また、1 級地や4級地などは、給与法にある「地域手当」の支給対象地域の級地
(1 級地~6級地)を示しており、4 級地には千葉市、広島市などがあります。右はじの額
が基本となり、4 級地であれば 10%加算、1 級地であれば 17%加算となります(H21 年
pg. 4
度)。
たとえば、上表で、高校卒後職歴なしで 1 級地に採用された場合は、日額 7,930 円とな
り、大学卒後職歴なしで 4 級地に採用された場合は、日額 8,320 円となります。
航空官署における事務補助職員基本賃金日額表
※ 換算後の経験年数
中学卒
0~2
3~5
6~8
9~11
12~14
高校卒
0~2
3~5
6~8
9~11
1級地
成田国際空港
の区域
4級地
17%
7,120
7,940
8,540
9,290
10,380
14%
6,940
7,730
8,320
9,050
10,110
10%
6,690
7,460
8,030
8,730
9,760
地域手当を支
給する地域等
以外の地域等
6,080
6,780
7,300
7,940
8,870
Q6 給与以外に手当等は支給されるのですか?
A.通達「国土交通省における非常勤職員の勤務条件等に関する取扱いについて」では、
定員外職員に雇用期間、勤務条件等を考慮して必要と認める以下の手当を支給するとし
ています。
1.超過勤務手当
4.宿日直手当
7.通勤手当
2.休日給
5.特殊勤務手当
8.期末勤勉手当
3.夜勤手当
6.役付手当
定員内職員に支給されている住宅手当、扶養手当などは非適用となっています。賃金
の基本的原則である生活給を考えると、定員外職員についても諸手当は定員内職員と同
等にすべきです。さらに通勤手当は、1ヶ月の通勤定期券の料金から、休暇取得日数を
日割りで差し引いた金額しか支給されません。
pg. 5
Q7
期末・勤勉手当の計算方法はどのようになっていますか?
A.期末・勤勉手当については、通達「国土交通省本省の内部部局等における非常勤職員
の勤務条件等の取扱いについて」で以下のとおり規定されています。
各基準日における在職期間によって手当割合が変わってきます(賃金日額の 20 倍に
相当する額を俸給月額相当 × 各基準日における支給割合 × 在職期間による割合)。
基準日
6月1日
12 月 1 日
支給日
6 月 30 日
12 月 10 日
支給割合
1.375
1.525
在職期間
基準日 6 月 1 日 基準日 12 月 1 日
6ヶ月
5ヶ月以上6ヶ月未満
3か月以上5ヶ月未満
3か月未満
割合
1
0.8
0.6
0.3
Q8.退職金は支給されるのですか?
A.現行の退職手当法では、日々雇用職員の退職手当の支給要件は、①「職員」と同様の
勤務時間により勤務すること、②勤務した日が 18 日以上ある月が引き続き6月を超え
ること、③引き続き6月を超えてさらに①の勤務時間により勤務していること、となっ
ています。そして、3点が該当して初めて支給されるのですが、支給額は、ア)6月以
上 12 月以下の勤続年数は、0.3 ヶ月分、イ)1年を超える勤続年数の場合は、0.6 ヶ
月分、となっています。しかし、イ)については、昭和 36 年の閣議決定「定員外職員
の常勤化の防止について」によって会計年度内(1年未満)で任用され
る前提のため、支給されることはあり得ないという考えになっています。
あくまでも定員内職員と同等の支給、1年であれば 0.6 月、3年勤続
であれば 1.8 月分が、さらに勤務年数に合わせた退職手当が支給され
るべきです。
pg. 6
Q9
休暇制度はどのようになっていますか?
A.定員外職員の休暇については、人事院規則 15-15 により以下のとおり規定されてお
り、有給休暇と無給休暇があります。
○年次休暇(有給)
○人事院規則 15-15(非常勤職員の勤務時間及び休暇)の運用について(要約)
1-(1) 週の勤務日が5日以上とされている者、並びに週4日以下で 30 時間
以上の者、及び1年度間の勤務日が 217 日以上とされている者が、雇用の日か
ら6月間継続勤務し、全勤務日の8割以上出勤した場合、継続勤務が6月を越え
ることとなった(以下、6か月経過という)日から1年間において 10 日
年次休暇 1年目
6カ月後~1年6か月の間に 10 日
以後は
1年6か月後~2年6か月の間に 11 日
2年6か月後~3年6か月の間に 12 日
3年6か月後~4年6か月の間に 14 日
4年6か月後~5年6か月の間に 16 日
5年6か月後~6年6か月の間に 18 日
6年6か月後からは
20 日
尚、20 日を限度として、次の1年間に繰り越しすることができる。
「継続勤務」とは原則として同一官署において、その雇用形態が社会通念
上中断されていないと認められる場合の勤務。
「全勤務日」とは勤務を要する日のすべて、「出勤した」日数の算定には休
暇は出勤したものと見なす。
○ 週4日(30 時間以下)、並びに、1年度間の勤務日が 216 日以下の者も、
年次有給休暇がある。
○年次休暇以外の休暇
○ 年次休暇以外の休暇
6 月以上の任期若しくは任用予定期間が定められている職員又は6月以
上継続勤務している職員
単位は1日・1時間・1分
有給休暇:1.選挙権その他公民権の行使の場合、
2.証人等として官公署への出頭
3.地震等災害時の退勤途上時の身体の危険回避
4.忌引
無給休暇:1.出産前6週間(多胎の場合は 14 週間)
2.出産後8週間
3.生後1年以内の保育時間(1日2回それぞれ 30 分以内)
4.生理休暇
5.公務災害による休暇
6.病気休暇( 4/1~翌年の 3/31 間に最大10日間)
7.近親族以外への骨髄移植のドナー休暇
8.子の看護休暇(2005 年度新設)
pg. 7
また、定員内職員にある夏期休暇、介護休暇については制度化されていません。さらに、
制度化されている年次休暇等についても、日数などについて定員内職員より低く抑えられ
ています。加えて、年次休暇など一部の休暇を除き無給となっており、有給休暇も定員内
職員より少ないことから、休暇取得すれば即生活に影響を与えることになりますので、常
勤化している定員外職員にあっては定員内職員と同等にすべきです。
○
病気休暇(無給)
6 月以上の任期若しくは任用予定期間が定められている職員又は6月以上継続勤務
している職員(週以外の期間によって勤務日が定められている職員で1年間の勤務日
が47日以下であるものを除く。)が対象で、病気休暇(私傷病)の日数は、一の年度
(4月1日から翌年の3月31日までの間)に1週間の勤務日の日数等に応じて、日
数欄に掲げる日数となります。
1週間の勤
務日の日数
1年間の勤
務日の日数
5日以上
4日
3日
2日
1日
217 日以上
169 日から
216 日まで
121 日から
168 日まで
73 日から
120 日まで
48 日から
72 日まで
10日
7日
5日
3日
1日
※1
※2
日数
※1.1週間の勤務日が4日以下とされている職員で1週間の勤務時間が29時間以上で
あるものを含みます。
※2.週以外の期間によって勤務日が定められている職員は、「1年間の勤務日の日数」に
基づいて日数が付与されます。
Q10 定員外職員にも、定員内職員と同様に共済制度が適用されるの
でしょうか?
A.定員外職員については、共済制度の適用がありません。このため医療保険については
国民健康保険となり、付加給付も受けられません。また、職場の医務室は利用可能とし
ていますが、共済組合のサービスは受けられません。本来、定員内職員と同様の社会保
障を受けられるような対策をとるべきですが、当面、共済組合の短期組合員となれるよ
うな改善を行う必要があります。
Q11
セクハラをうけています。どうすればいいでしょうか?
A.セクシャルハラスメント(セクハラ)防止は雇用者側にその責任があります。民間で
働く仲間は雇用機会均等法で、国の機関で働く場合は人事院規則がその根拠となってい
ます。このことは民主的な女性団体や広範囲な労働組合からの長年の働きかけで実現し
てきたものです。
しかし、残念なことに、まだまだ職場ではセクハラの事例が後を絶ちません。
とりわけ、定員外職員の弱い立場につけ込んで、上司や同僚からのセクハラ被害を受
けている状況が、全運輸女性協議会が行ったセクハラ・パワハラアンケートで、同じ職
場で働く女性の仲間から報告されています。
pg. 8
セクハラは重大な人権侵害であり、職場環境改善にはセクハラ撲滅が必要です。
もし、セクハラにあったなら、決して一人で悩まず、また、泣き寝入りなどせず、労
働組合をはじめ様々なひとに相談することが必要です。なぜなら、あなた一人が泣き寝
入りをして済む問題ではなく、セクハラ加害者は、あなたと同じ被害者をまた生み出し
てしまうからです。
私たちの職場においても、労働組合に相談する、職場のセクハラカウンセラーや相談
員に相談するなど、身近な仲間に相談することができます。もし、仮に職場の人に相談
しづらいということであれば、人事院の苦情相談窓口を検討することも可能です。苦情
相談の方法は、電話、面談、手紙、電子メールの4種類があります。
(人事院苦情相談 http://www.jinji.go.jp/counseling/f-coun.htm)
あわせて、パワーハラスメント(パワハラ)については、職場
などにおいて、上位的な地位、権力を用いる嫌がらせのことです
が、まだ法的な規制はありません。定員外職員の仲間の多くが、
女性であり、パワハラには性的嫌がらせの要素が多分に含まれる
ため、パワハラ防止のとりくみも必要になっています。働く仲間
で結集し、パワハラ防止についても、職場からなくしていくとと
もに、法制化などを訴えていくことも重要です。
Ⅱ.待遇改善&結集強化にむけて
<待遇改善にむけて>
1.これまでの経過
要員不足の中で、本来正職員が行うべき業務が次第に定員外職員へシフトされています。
霞ヶ関で働く職員4人に1人が定員外職員という実態からは、今や定員外職員の存在がな
くては国家行政が行えない状況になっていると言えます。
さらに定員外職員においても、契約になかった超過勤務をせまられる実態があり、超過
勤務を行っても短時間であることから超過勤務手当が支払われず、サービス残業を強いら
れている状況が生じています。
一方、定員外職員の労働条件については、正規職員と同等な業務をおこなっているにも
関わらず、業務に見合った賃金改定がおこなわれないことや、雇用後6ヶ月を経過しない
と有給休暇が取得できないためにその間の休暇は無給とされるなど、厳しい条件となって
います。
また、定員外職員は「公平・公正、中立性、専門性」が求められる公務職場での業務を
行っており、公務で知り得た情報の開示が制限される守秘義務規定が適用され、厳しい制
約を受けるにも関わらず、事務補助業務という理由で有期雇用任用とされています。さら
に、期間が満了すれば継続雇用を行わないとする「3年雇い止め」問題についても、公務
の特殊性が全く無視された状況となっています。
質の高い行政サービスを提供していくうえでも、業務の継続性、専門性が求められるな
か、3年経てばまた1からやり直しを迫られる定員外職員の雇用のあり方は、行政を形骸
化させてしまう懸念があり、また、定員外職員からみれば働きがいのある職場にはほど遠
い状況となっています。
待遇改善にむけての具体的な要求としては、手当では通勤手当の「日割り支給」の改善
や「期末・勤勉手当」の支給を、また休暇の改善では、有給休暇の「日数増」と「雇用後
半年間の有給休暇付与」を求めています。
pg. 9
2.待遇改善の具体化にむけて
(1)定員外職員の待遇に関する課題
定員外職員の処遇改善をすすめ、労働組合への結集をはかるためには、「同じ職場に働
く労働者仲間」の意識を各職場単位で醸成し、常勤・非常勤を問わず、自らの労働条件は
自らの手で勝ち取るという労働者の権利意識を高める学習・教育活動をすすめることが重
要です。とりわけ、ILO 条約などの国際労働基準を学ぶことによって、いかに日本の法制
が不備であるかを理解し、その法整備を求めていく必要があります。
また、定員外職員の処遇改善の具体化にあたっては、日額賃金引き上げ、3年雇い止め
問題解決、休暇や諸手当改善などの重点課題に対して、2つの視点でとりくむことが重要
です。まず、第1の視点は抜本的な改善策のすすめ方で、定員外職員制度を法的にどう位
置づけさせるべきか、という点です。現行の制度では、定員管理は総定員法の枠外、勤務
条件は国家公務員法でも不十分という、言わば、無権利状態に加えて、雇用不安定という、
制度の狭間におかれています。
労働組合としても、公務サービスの維持向上をはかるうえで、定員外職員の処遇改善政
策の理論を国公産別のなかでしっかり構築していく必要があります。
第2の視点は、低い労働条件におかれている状況を速やかに改善させることです。労働
条件については、長年のとりくみで少しずつではありますが、休暇・退職手当など改善さ
せてきています。しかし、まだまだ不十分であり、特に予算の制約から、実態的にI種非
常勤職員として採用すべきところをⅡ種以下に押さえ込み、制度があるにもかかわらず適
用されないという不合理な状況が多くなっています。
定員外職員の処遇改善をすすめるためには、使用者に予算獲得の責任を果たさせ、全て
の定員外職員をⅠ種採用とさせることが求められますが、加えて、パート労働者とフルタ
イム労働者の均等待遇を求めた ILO175 号条約(パート労働条約、日本未批准)をはじめ
とした国際労働基準に則した制度改正を行わせることが重要となっています。
(2)不安定雇用の解消をめざして
雇用問題については、「3 年上限」という 50 年近くも前の、古き閣議決定を根拠とし
た制度運用を行っていることが大きな問題です。法律事項でもない一遍の通達で労働者の
生活を脅かし、公務の安定を阻害している状況は容認できるものではありません。
そうした「3年雇い止め」など、不安定雇用の解消をめざしては、雇用期間満了を迎え
る都度、所属長交渉を配置するなど使用者責任を追及し、雇用延長や再就職先の確保を求
めるとりくみを強めることが重要です。交渉のすすめ方としては、当局の「任用期間」を
盾にとった回答に押さえ込まれることなく、定員外の現行任用は実質的な「雇用」に他な
らないことを当局に認識させたうえで、①継続雇用をしない理由を明らかにさせる、②解
雇を回避するための努力がつくされた否か、③継続しないとした場合において今後の業務
運営に支障が生じることを確認させる、等を基本に行いましょう。
なお、継続雇用をしない理由として、閣議決定事項という理由を許さず、合理的な「解
雇理由」を追及する必要があります。当局が合理的理由を示すことができなかった場合は、
当局責任で、年度末及び業務繁忙期などでの満期や、非集約官署などで所属長の異動時期
と満期が重なる場合などを「特段の事情」と認めさせ、雇用延長を行なうよう本省官房あ
てに上申協議を行わせることが重要です。
(3)労働条件改善をめざして
日額賃金引き上げ、休暇、手当などの待遇改善問題については、国家公務員法上の制度
矛盾の解消や予算の獲得など、全ての定員外職員が同等の取扱いが受けられるよう、当局
交渉で使用者責任を追及していく必要があります。
また、国土交通省に働く非常勤職員の勤務条件については、人事院規則を基に通達「国
土交通省における非常勤職員の勤務条件等に関する取扱いについて」に規定されており、
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他省庁とは若干異なる場合もあります。したがって、国土交通省当局だけで解決しない課
題については、国公労連へ結集し、総務省、人事院交渉などで課題解決をはかっていくこ
とが重要です。
<結集強化にむけて>
1.労働組合に結集しよう(不満を声に出し、要求を伝えよう)
労働者としては誰もが働きやすい職場環境の中で働きたいと願っています。しかし、ど
んなに働きやすい職場環境であっても、自らが働いていく中で不平・不満は必然的にわき
出てくるものです。定員外職員も決して例外ではありません。
労働者が不平・不満を持っても、
「誰かがやってくれる」という期待感やお任せ意識から、
組合に結集することや不平・不満を伝えていくことを敬遠する場合もあります。しかし、
労働者それぞれがバラバラに不平・不満の声をあげたとしても、使用者に伝わるものでは
ありませんし、耳を傾けてくれようともしません。小さな声であっても、たくさんの人か
ら集約し要求としてとりまとめていくことで、はじめて心のこもった声に変わっていきま
す。こうした要求のとりまとめを行い、交渉などで使用者に対し要求の実現をせまり、労
働者としての権利を守らせる運動をおこなっているのが労働組合です。
労働組合に結集することは、
「自らの労働条件を改善させよう」、
「働きやすい職場環境の
もとで働けるようにしよう」
、という権利を主張し、実現させていくために必要です。労働
組合の基本である「自らの要求は自らがとりくむ」を合い言葉に労働組合へ結集しましょ
う。
また、定員外職員組合員として同じ環境で働く仲間を増やしていくことも求められてい
ます。そのため労働組合に結集していない仲間への呼びかけや、労働組合の大切さ・入っ
て良かったことを広く伝えていく運動にとりくむことが重要です。
さらに、各地域で行われる非典型労働者交流集会などへ積極的に参加し、同じ環境で働
く他の職種、職場の人たちとの交流を深めましょう。
2.結集できる環境づくりにむけて(支部・分会のとりくみ)
定員外職員を労働組合に結集する上で、3 年上限という制度の壁が大きな障害になって
いますし、結集できた場合でも、組合員の雇用をどこまで守れるのかという大きな問題が
生じています。
そうしたことも踏まえて、公務職場での劣悪な労働条件や低賃金労働者をなくす運動と
しての定員外職員の結集強化のとりくみをすすめることが重要です。
定員外職員の結集を強めるとりくみをすすめるにあたっては、常勤・非常勤を問わず「同
じ職場に働く労働者仲間」であるという意識や、自らの労働条件改善は自らの手で勝ちと
るという労働者の権利意識を高めることが重要です。このことは、未加入者を多く抱えて
いる職場にあっては、同時にとりくみを強めることは言うまでもありません。定員外職員
だけに労働組合への結集を呼びかけても、それは心に響く呼びかけにはなりません。
この「定員外職員パンフ」や定員外勧誘チラシを活用し、労働運動の理念や労働組合の
役割などをテーマとした学習会の開催や、機関紙等を活用し定員外職員のおかれている労
働条件の劣悪さを伝えるなどの学習教宣活動を強めることが必要です。
また、女性協と連携し、組合への結集を強めるとりくみをよりいっそうすすめていくこ
とも重要です。女性協や青年組織との合同学習会や交流会を開催することで、定員外職員
との連帯を深め、同じ労働者であることを認識させていきましょう。
支部・分会としては、定員外職員からの不平・不満を真摯に受け止められる役員体制を
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構築し、要求確立にむけたアンケートの実施や意見交換会の開催など、要求のすいあげを
工夫していくことが重要です。当局交渉の配置にあたっては、定員外職員を同席させ「自
らの要求は自らがとりくむ」ことを実践する場を設けるなど、目に見える運動を展開して
いきましょう。
こうしたサポート機関としての頼れる労働組合組織の確立が求められています。
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=メモ=
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