普及項目 漁業種類等 対象魚種 対象海域 担い手育成 食育活動 小学校児童 えりも以東太平洋 担い手育成(食育講座)指導 北海道十勝地区水産技術普及指導所(担当者:稲福 伸也) 【背景・目的】 十勝支庁管内では食育基本法施行以前から水産関係の食育に関係する取組は多く、漁業後継 者の減少や魚食離れがいわれる中で少しでも地元の基幹産業である水産業への理解と関心、食 の重要性と安心・安全等について知識を深めてもらいたいとの思いから、水産調理実習や地引 網体験等が実施されている。指導所では、これらに支援、協力を行っているほか、平成 18 年か ら新たに実施された十勝支庁の十勝食育総合推進事業と漁業士会事業の合同事業である食育講 座(対象:幕別町立札内北小学校)に参画し、担い手の育成や水産物の消費拡大、食育推進等 の一助となるよう普及活動を行った。 【成果・普及の内容・特徴】 「都市部の小学生を対象にサケの生態学習、食育に関する講演を行い、調理実習を実施する ことで、食育の推進と地元食材に対する理解を深める」ことを趣旨とし、5回に及ぶ打ち合わ せを実施した(写真1)。食育講座は、「サケを獲る話」、「サケの栄養に関する話」、「サ ケ鍋調理実習」の3本立てで行い、講義では、できるだけ児童に道具を触らせるようにし、調 理実習では児童が作ることを基本に行った(表1、写真2∼5)。事業終了後に今後の展開の 基礎資料とするため、アンケート調査を実施し、感想等を取りまとめた。 【成果の活用】 (1)打ち合わせでは、事業初年度にあらゆるケースを考慮・検討して実施すること、「体験 型」で「児童との会話と触れあいながら」を共通認識とし、綿密な打ち合わせを行った結果、 それぞれが役割等を明確に理解し、開催に向けた準備が滞りなく行われた。 (2)食育講座における「サケを獲る話」では、普段触ることのない網に触れたり、漁業者と 直に話をしたことで魚への興味や漁業への関心を深めることができた。「サケの栄養に関する 話」では、サケを含めた水産物に限らず食の大切さに関心を深めることができた。「調理実習」 では、講師陣の指導のもと、楽しく作業が進められ、試食においても講師との会話からいろい ろなことを学び、調理することの楽しさ、地元食材のおいしさを実感し、地産地消等の関心を 深めることができた。 (3)アンケート調査からは、この事業における児童からの評価を得ることができた。事業全 体としては好評であったが、幾つかの課題も明らかとなった。これら、アンケート結果と講 師陣による反省点の洗い出しをおこない、より良い形での開催を模索していく。 【その他】 本事業に関わらず水産学習等を実施する際には、事業規模が大きくなるほど多くの機関が関係 して大変な準備が必要とされる。また、近年は学校の総合学習の時間で実施してもらいたいと の要望も多く、時間が短いため内容も制限されてしまう。そういった状況で実施するにあたっ て、相手に対して何を伝えたいのか目的を明確にし、内容も十分吟味したうえで最善の準備を 整えることが必要である。また、このような担い手育成の取組においては、効果や成果が見え にくいものではあるが、常に「よりよいものを」と心がけ、継続性を持って実施していくこと が大切であると考えられる。 表1 タイムスケジュールおよび詳細 表1 タイムスケジュールおよび詳細 時間 9:00∼9:05 挨拶、紹介 内容 9:05∼9:10 スケジュール説明、注意事 指導所 9:15∼9:45 (30分) サケを獲る話 定置網の規模・起こし方等 9:50∼10:00 (10分) サケの栄養の話 栄養士 秋サケの優位性(天然であ る)栄養価、食事の大切さ 10:10∼11:40 (90分) サケ鍋料理実習 *基本的に生徒にやらせる よう、切り方・包丁の使い 方・注意点をそのつど細かく 説明し、明確な指示をする。 怪我に細心の注意を払うこ と。また、いろいろな話をし ながら説明する。(開催趣 旨) 1.昆布でだしをとる。 2.サケを鍋用に下ろす。 3.野菜等を鍋用に切る。 4.だし汁に大根・にんじん・ ジャガイモ等を投入 11:40∼11:50 5.サケを投入 予備時間 6.児童 が味付けする。 7.後片付け、試食準備 担当者 備考 進行:支庁水産課 関係者8:00集合 挨拶:産業振興部長 打ち合わせ、確認、準備 管内漁業士会会長 漁業士 班編成 1班 女性部、漁業士 2班 女性部、漁業士 3班 女性部、漁業士 4班 女性部、漁業士 5班 女性部、指導所 6班 女性部、指導所 終了挨拶 13:00∼ 関係者後片付け 講演用機材、資材 調理道具等 パソコン持参 プロジェクター使用 6班に分かれて実施(1 班13∼14人) 1班あたりサケ1尾使用 1班につき2∼3名の関 係者 女性部はジャガイモ等を 講義時間からある程度 調理可能な状態にして おく。なお児童がサケを 下ろしているときは目を はなさない。 各班 11:50∼12:55 試食 質問等 給食片付け 12:55∼13:00 手網・身網・ロープ・玉等 サケ定置網漁業ビデオ 関係者は児童に混じっ て食事。 写真1 打ち合わせの様子 写真2 定置網の手網 写真3 サケの雌雄判別について 写真4 サケをおろす 写真5 試食
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