2007年度 音楽博物館 活動報告

2007年度 音楽博物館 活動報告
2007年度の主要な活動としては、特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」(会期:2007年10
月1日~11月30日)の開催が挙げられる。これは伊丹アイフォニックホールが所蔵する、中国・敦
煌研究院の調査研究によって復元された楽器60点を借用して実施したものである。「正倉院宝
物」にも含まれる、シルクロードを経由して我が国にもたらされた楽器などとの関連も多く、文
化や楽器の伝播について考える機会を提供することができたのではないかと考えている。
一方、来館者サービスの面では2007年4月より毎週土曜日の開館を開始した。これまで、勤務
や就学のために来館できなかった方たちにも、可能性を広げることができた。また特別展終了後、
撤収のための閉館期間を利用して展示ケース配置を大幅に変更したことで、広々とした明るい空
間が生まれ、ガイドツアーもよりスムーズに行える順路が確保された。
次年度は、特にガイドツアーの充実を図る予定を立てており、そのための環境整備としても有効
であった。
2007年度の活動の詳細は以下の通りである。
Ⅰ研究・教育普及活動
(1)企画事業
ミュージアム・コンサート、ミュージアム・セミナー、ワークショップ等を開催した。
会場はいずれも本館展示室。
①ワークショップシリーズ「ガムラン研修会」
日程:2007年9月11日(火)・2007年9月12日(水)
2日間セット
指導:小林江美(バリ・ガムラン奏者)
②第24回ミュージアム・セミナー
「よみがえる古代中国の音」~古楽の復元はどこまで可能か~(特別展関連企画)
日時:2007年11月10日(土)14:00
お話:明木茂夫(中京大学国際教養学部教授)
演奏:箜篌 杤尾麗
琴 山寺美紀子
338
③ワークショップシリーズ「古典ピアノを弾いてみよう」
(本学在学生及び科目等履修生対象)
日程:2008年2月7日(木)・2月21日(木)
2日間セット
指導:本岡浩子(本学教授、音楽博物館長)
④第63回ミュージアム・コンサート
「クラリネットの魅力」~その歴史と今~
日時:2008年3月15日(土) 14:00
お話とクラリネット演奏:本田耕一(本学教授)
演奏:古典クラリネット 三戸久史
モダン・ピアノ 關口康祐
古典ピアノ 本岡浩子
大阪音楽大学クラリネットアンサンブル
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⑤第25回ミュージアム・セミナー
「民俗舞踊と民俗楽器の宝庫 トルコから」
日時:2008年3月22日(土) 14:00
お話:西岡信雄(本学教授)
細川直子(エッセイスト、在イスタンブール)
演奏:トゥルコアーズ民俗舞踊アンサンブル
(2)特別事業
特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」シルクロードのオアシスに残る文化交流の証し
会期:2007年10月1日(月)~11月30日(金)
会場:本館展示室
中国・敦煌研究院による復元楽器、約60点を展示(所蔵:伊丹アイフォニックホール) 。
関連企画として、ミュージアムセミナー「よみがえる古代中国の音」を開催した(企画
事業②参照)。また、特別展図録・展示楽器シールを作成し販売した。会期中の来館者
は810名。
340
(3)学内協同企画事業
①台湾・国立台南大学 来館
台湾総領事館からの依頼を受け、国立台南大学の大学院生と本学学生との交流事業の
一環として、本館見学があった。
日時:2007年4月19日(木) 9:00~10:30
会場:本館展示室
案内:塩津洋子(本学准教授)
②弦楽器のレクチャーコンサート及び見学
Singapore Anglo Junior Collegeの学生30名が来館。展示室にて弦楽器のレクチャーコン
サートが行われた。コンサート後、松田講師による弦アンサンブルの指導があった。
日時:2007年6月13日(水) 14:00~16:30
会場:本館展示室
演奏:Vn 松田淳一(本学講師)
Pf 田中巳穂
341
主催:大阪音楽大学・関西シンガポール協会
③本学付属音楽院オープンイベント「音楽博物館ガイドツアー」
日時:2007年10月20日(土)15:15~16:45
会場:本館展示室
講師:藤田隆(本学教授)
主催:大阪音楽大学付属音楽院
④サントゥール発表会
2007年度授業の締めくくりとして、サントゥールの発表会が行われた。
日時:2008年1月24日(木)17:00
会場:本館展示室
(4)学外提携事業
①平成19年度けやきの森市民大学秋期講座
「音楽の宝石箱
大阪音楽大学公開講座
~様々な輝きとの出あい~」大阪音楽大学音楽博物館見学
日時:2007年11月2日(金)14:00
会場:本館展示室
主催:大阪音楽大学・高槻市生涯学習センター
案内:塩津洋子(本学准教授)
②はびきの市民大学平成19年度後期講座
「音楽への旅…“歌”の魅力を探る№2」 本館特別展見学
日時:2007年11月21日(水)15:30~16:30
講師:塩津洋子(本学准教授)
会場:本館展示室
主催:羽曳野市教育委員会
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③大阪府高等学校音楽教員委員会研修会「ガムラン体験」
日時:2007年12月7日(金) 14:00~17:00
会場:本館展示室
講師:小林江美(ガムラン奏者)
対象:大阪府内高等学校音楽教諭及び講師
主催:大阪府高等学校音楽教育研究会
(5)研究活動
・関西洋楽受容史研究
①「明治期の“歌”データベース」
本館所蔵の明治期発行の資料中に掲載されている唱歌・軍歌等、いわゆる“歌”のデー
タベースを作成している。当時、夥しい数の“歌”が世に出されたが、作曲・作詞者名
の記載等の基本情報が不充分であったり、同曲に複数の歌詞・タイトルが付けられてい
るといった、錯綜した情況にある。これらを整理し、曲名・作詞者・作曲者・歌い出し
・出典資料名などから検索可能なデータベースとする。作業が完了した現物資料所蔵分
4,000件を本誌に掲載した。さらに今後は、現物資料を所蔵していない複写資料につい
て作業を進めたいと考えている。
②「クラシック演奏会での選曲傾向」
当研究領域では、明治・大正期を扱うことが多いが、現在の洋楽界の動向についても研
究を進めたいと考え、2006年度よりクラシック演奏会での選曲傾向についての研究作業
を開始した。20年間隔での選曲の変化を見極めようとするもので、2004年と1984年にク
ラシック演奏会で演奏されたすべての曲のデータを集積して分析を開始している。現段
階での「中間報告」を本誌に掲載した。
・楽器に関する研究
「弓が与える影響とその過程における考察」
本館が所蔵するサントリー弦楽器コレクション中には、22本の弓が含まれている。特に、
名工トゥルト製作のものは“弓のストラディヴァーリ”などといわれ、大変高い評価が与
えられている。木の棒に馬の尻尾の毛を張っただけの単純な構造のものであるが、音を創
り出し音楽的なニュアンスの大部分を担当する重要な役目を担っている。
それは“神秘”とも言えるような世界である。この“弓”という道具について、考察を進
め、その成果を本誌に掲載した。
(6)学外団体への協力
①兵庫県立芸術文化センター
情報コーナー「ポッケ」〔展示用〕
会
期:2007年6月12日(火)~7月1日(日)
会
場:兵庫県立芸術文化センター2階 情報コーナー「ポッケ」
主
催:兵庫県立芸術文化センター
貸出資料:ナイ(2点)
ロンダドール
筏方パンパイプ
シーク
カッコウ笛
ソウ
カラス笛
サンポーニャ
ウグイス笛
千鳥笛
ニワトリ笛
343
ホトトギス笛
水小鳥笛
小鳥笛
モズ笛
トンビ笛
計17点
②日本テレマン協会第176回定期演奏会
延原武春オラトリオシリーズⅠ「四季」〔演奏用〕
日
時:2007年6月22日(金)19:30
会
場:いずみホール
主
催:日本テレマン協会
貸出資料:テナー・サックバット
マウスピース(2点)
③観峯館
企画展示「欧米展Ⅰ
バス・サックバット
計4点
魅惑のミュージックボックス」〔展示用〕
会
期:2007年7月21日(土)~11月30日(金)
主
催:観峯館
貸出資料:リュート
④浜松市楽器博物館
ヴィウエラ
計2点
企画展「素材で楽しむ楽器たち」〔展示用〕
会
期:2007年8月1日(水)~9月2日(日)
主
催:浜松市楽器博物館・(財)浜松市文化振興財団
貸出資料:磬
石笛(2点)
ジャルタラン
計4点
⑤日本テレマン協会第178回定期演奏会
延原武春オラトリオシリーズⅡ「天地創造」〔演奏用〕
日
時:2007年10月22日(月)19:30
会
場:いずみホール
主
催:日本テレマン協会
貸出資料:テナー・サックバット
マウスピース(2点)
バス・サックバット
計4点
⑥京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ・コンサートシリーズ
「第3回
弾く」〔呈示用〕
日
時:2007年10月13日(土)
会
場:京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
主
催:京都市・京都の秋 音楽祭実行委員会
京都コンサートホール(財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
貸出資料:一弦琴
サウンガウ
琵琶用スタンド
月琴
トンコリ
三味線用スタンド
計6点
⑦アルカイックホール開館25周年記念「美術で奏でるシンフォニー」〔展示用〕
会
期:2007年11月3日(土)~11月25日(日)
会
場:尼崎総合文化センター 美術ホール5F・4F
主
催:(財)尼崎市総合文化センター
貸出資料:リュート・マンドーラ
ペダルハープ
ヴァイオリンァイオリン(3点)
アトリエのトゥルト(版画)
ヴィオリーノ・ピッコロ(2点)
ドイツ人舞踏教師(版画)
ヨーゼフ・ヨアヒム(写真)
ストロー・ヴァイオリン
ステッキ・ヴァイオリン
ハーディング・.フェレー
計15点
キット(2点)
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⑧オルガンと一緒に「LICクリスマスファミリーコンサート」 〔演奏用〕
日
時:2007年12月8日(土) 15:00
会
場:LICはびきのホールM
主
催:羽曳野市
貸出資料:エスティ製リードオルガン 1点
⑨ワンコインコンサート「サクソフォン・ヒストリー」〔演奏用〕
日
時:2008年1月4日(金) 11:30
会
場:兵庫県立芸術文化センター大ホール
主
催:兵庫県・兵庫県立芸術文化センター平成19年度文化庁芸術拠点形成事業
貸出資料:サクソフォン 2点
⑩文部科学省
スタンド 2点
女子高校理系進路選択支援事業「音楽と科学」〔呈示用〕
日
時:2008年3月
会
場:大阪大学
主
催:文部科学省
貸出資料:ディッリ・カヴァル
チャルメラ
計2点
(7)学内協力
①「第30回邦楽演奏会」〔演奏用〕
日
時:2007年12月1日(土) 17:00
会
場:ザ・カレッジ・オペラハウス
主
催:大阪音楽大学
貸出資料:平丸太鼓
テークのバチ
計2点
②本学付属音楽院オープンイベント
「地球の音楽誌 神の祭り・人の祭りVol.5 華麗な喧騒 カトマンズの音風景」〔展示用〕
日
時:2007年11月17日(土)
会
場:大阪音楽大学B館401教室
主
催:大阪音楽大学付属音楽院
貸出資料:ナルシンガ
ンガ
バチ
サランギ(2点)
計5点
(8)授業・研修会等への対応
本館を使用して行なわれた授業で、展示楽器資料の解説や試奏、文献・視聴覚資料検索に
ついて助言を行った。また、学校関係グループ等に対し、館内ガイドツアーを行った。
2007年4月~2008年3月
本学授業 30件
グループ見学 42件
(9)情報提供
学内外の研究者、学生よりのレファレンスには随時対応し、新聞、放送、情報誌などのマ
スメディアに対しても情報提供を行った。取材・情報提供および文献調査等の依頼は53
件あった。
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(10)インターンシップ生の受け入れ
①学生への教育の一環としてインターンシップ(就業体験)を実施した。学生は館スタッフ
指導のもと2週間、資料整理・楽器メンテナンス・PCデータ入力・事務作業等の博物
館業務全般を体験した。
2007年9月3日(月)~2007年9月13日(木)
本学学生 1名
②中学生の地域体験学習(職場体験)を受け入れた。生徒は館スタッフ指導のもと、展示ケ
ース清掃・資料整理等を行った。
2007年6月6日(水) 八尾市立大正中学校
生徒1名
2007年11月12日(月)~2007年11月16日(金) 伊丹市立松崎中学校
生徒2名
2007年11月14日(水) 豊中市立第十中学校 生徒3名
③学芸員実習生を受け入れた。実習生は館スタッフの指導のもと1週間、資料整理・楽器
メンテナンス・PCデータ入力・特別展準備作業・事務作業等の博物館業務全般を体験
した。
2007年9月10日(月)~2007年9月15日(土) 静岡大学
学生2名
Ⅱ資料収集・管理活動
文献資料・視聴覚資料
(1)資料の収集管理
過年度に引き続き、音楽博物館の研究領域に対応した新資料分類により、次の通り文献・
視聴覚資料の整理を行った。
①新規受入資料整理
CALISデータ作成、レファレンス室及びK406~K409資料室に配架。2007年度受入資料
のうち登録資料数は下記のとおりである。
購入:
図書
59点
視聴覚
20点
寄贈:
図書
17点
視聴覚
12点
②永井文庫のCALISデータ化と配架
校史資料として管理していた永井文庫(故永井幸次初代学長蔵書)を、音楽博物館図書資
料に組み入れ、書誌データをCALISで管理することにした。この作業よりPCでの永井
文庫の検索が可能になった(作業継続中)。尚、資料は従来のK406資料室からK409資料
室に移動、配架も音楽博物館ファイル資料の整理方式に組み入れた。
③旧蔵資料整理
K408資料室に配置している逐次刊行物のデータ入力及び図書配架ラベル貼付作業を行
う。カセットテープのデータ作成、配架(作業継続中)。CDデータ修正、配架(地域・国
別分類)及び新ラベル貼付作業は継続中。データ内容が一覧できる検索用アプリケーシ
ョン「香澄」を利用して入力データを確認し、修正、入力表記の統一等を行っている。
④ファイル資料整理
逐次刊行物連載記事・論文・冊子等、書籍以外の関係資料を収集、データ入力後ファイ
リングしてK409資料室に保存。K409資料室棚整理を行った。
346
(2)展示・公開
①1970年代まで展示されていた校史写真パネルを2007年3月分まで追加作成、博物館廊下
側壁面に掲出した。今回の作業に伴いキャプションも新しく作成した。今後も年度ごと
に追加していく予定である。そのほかに関西洋楽史のパネルを掲出した。
②永井幸次初代学長コーナーに、自筆原稿・作曲ノート・辞令等、14点を追加展示した。
(3)館内催事資料作成・保存
ミュージアム・コンサート/セミナー等催事のチラシ、ポスター、入場券、プログラム及
び開館カレンダーを作成、学内外への広報を行う。作成資料は催事参加者集計とともに催
事資料として保存。
(4)館関係資料収集・保存
書籍・雑誌・メディア等に掲載された、館の紹介・収蔵品・催事案内などの記事を収集、
館関係資料として保存。
立体資料(楽器資料及び楽器以外の立体資料)
(1)資料の収集・整理
①新規資料の収集
購入
ガムラン(インドネシア・バリ島
ほか
ゴン・クビャール編成)1式(計27点)
6点
受贈
箏(二世菊岡太助 製作)
1点
アメリカン・オルガン(石原製)
ほか
1点
3点
②写真撮影、資料ファイルの作成
新規資料1点ずつの写真撮影、資料カードを作成した。2006年4月以降は、CALISへの
立体資料公開に伴い資料カードの情報をデータベース入力、CALIS機で検索可能な状態
にある。楽器ごとに関係資料ファイルを作成。
③既存資料の整理
新規ガムラン購入に伴い、旧蔵のガムラン(ゴン・クビャール編成)2組のうち、老朽化
した1組を破棄、演奏可能な1組を静岡大学教育学部へ寄贈した。その他、破損および老
朽化した楽器資料8点を破棄。
(2)保存・保全
①古典ピアノのシェイクダウン(≒弾きこなし)を実施し、状態を記録している。学外技術
者(調律師)よりメンテナンス及び保全についての助言を受けている。
②旧資料番号札を新規番号札へ付け替え作業を行う(継続中)。
③学外技術者の協力を得て、前年に引き続き、アメリカン・オルガンの修復を行った。詳
347
細は報告書を作成。
④楽器保存環境を保つため、現空調状態を常時計測、展示ケース内に防虫剤および調湿材
を入れた。
(3)展示・公開
①特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」 会期2007年10月1日~11月30日
敦煌研究院調査復元による莫高窟壁画からの復元楽器約60点(伊丹アイフォニックホー
ル所蔵)を、展示室内に特設会場を設けて公開展示した。詳細は別項。
②展示替え
特別展終了後、展示替えを行った。全体を大きく4つに区分し、それぞれの地域性が明
確になるようにした。また照明付き展示ケースを壁面に配置することにより、明るく広
々とした空間が生まれた。展示方法を再考し、資料数を増加して展示の充実をはかった。
現在、展示資料数は約930点である。
③前年度から引き続き、展示資料キャプションの整備を行う。展示されている全ての資料
について、表記内容の再精査を行い、コメントを加えた新しい形式のものへ差し替え作
業を行った(完了)。
④エントランス左横ショーケースにインドネシアのゴレ人形をディスプレイ。館外フロア
にショーケース4台を設置した。ショーケースの照明効果により博物館事務室外観が明
るい雰囲気になった。
⑤昨年度に引き続き、楽器演奏写真のパネルを作成、該当楽器資料と共に掲出した。また、
人形など楽器以外の立体物も展示に取り入れ、それぞれの民族色が出るようにした。今
後も継続して充実を計る予定である。
⑥展示室内モニターにて、ミュージアム・セミナー/コンサートの記録映像の常時上映
を開始した。
(4)調査研究
①昨年より継続で、CALISデータの修正、整理、情報の追加、添付写真の差し替え等を行
った。(継続中)
②楽器資料についての調査情報、関連の文献等の収集を行い、情報の蓄積を図った。
関西洋楽史資料・校史資料
(1)現在の洋楽活動資料の収集・整理
現在の洋楽活動を示す記録資料として演奏会のチラシ、チケット、プログラム、また各演
奏会場や音楽関係諸機関発行の逐次刊行物、新聞・雑誌記事などを恒常的に収集している。
入手方法は、①関西2府4県の音楽関係諸機関による催物情報の郵送やインターネット等の
活用、②主要日刊紙や音楽雑誌などの購読、③月1回、京阪神各市内のプレイガイドや音
楽事務所など関係機関への出張である。
最近の傾向としてインターネットの普及に加え、平成の大合併といわれる数多くの市町村
合併や、それに伴う指定管理者制度の導入で民間に運営委託をする公立ホールも現れ、従
来の逐次刊行物の発行からホームページへの掲載のみに切り替えるところが増加してい
348
ることがあげられる。これにより、情報収集も以前よりインターネットの活用に頼るとこ
ろが多くなってきている。ただし、ネット上の情報は手軽に入手できる反面、個人情報の
保護という点から貸館の催物情報は載せず、自主事業に限定して掲載している会場も少な
くないので、その点では詳細な情報の入手が多少困難になっている。
主要日刊紙の記事については“関西”、“洋楽”という領域にとどまらず、邦楽や民族音
楽、軽音楽なども含めた、現在の日本における音楽文化活動を示す資料という幅広い観点
から収集を行い、ひと月ごとにファイリングしたものをレファレンスルームで閲覧できる
ようにしている。
本年度新規収蔵資料は約12,000点。
(2)明治期新聞資料整理
過去に収集して未整理だった明治期の新聞資料を整理し、既存のデータファイルへ補完
作業を行った。新規収蔵資料は約2,000点。明治期の新聞資料に関しては地方版の調査が
若干残っているものがあるので、今後時期を見て追調査を行いたいと考えている。
(3)現代クラシック音楽演奏の選曲傾向調査
(1)により蓄積してきた洋楽活動資料から前年度より引き続き行っていた、1994年と2004
年の演奏曲目データの入力作業を完了した。これをもとに集計・分析の上、20年の歳月を
経て選曲傾向にどのような変化が見られるのか、比較を試みる。その中間報告を本誌に掲
載した。
(4)校史資料の収集と整理
既存資料のデータベース化は前年度に大部分完了していたが、今年度はその補足作業と、
新規収集資料のデータ入力および配架作業を行った。また学内外からの照会にも随時対
応を行っている。懸案事項である録音・録画テープのデジタル化については、方法等を
検討の上、実施したい。
現在の総データ数は33,690件。本年度新規収蔵資料は約700点。
その他
(1)広報
①ホームページに「博物館だより」ページを増設。館内イベントの模様、楽器の紹介等、
博物館の活動がうかがえる内容を写真入りで紹介、不定期更新している。過年度に引き
続き「関西音楽新聞」に音楽博物館の記事を連載した。ケーブルテレビ、逐次刊行物等
の取材も積極的に応じ、館情報を外部へ公開している。
②催事案内DMを諸関係団体および個人に対し、年2回送付。また、来年度の学校等の団
体見学誘致にむけて、博物館リーフレットとガイドツアー付グループ見学の案内を、関
西方面へ修学旅行実施を計画している高等学校1256校に送付した。
③K号館1階エレベーター前に掲示板(2点)を設置、博物館情報を提供できるようにした。
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(2)ミュージアム・グッズ
特別展開催中、特別展目録および展示品シール(3種)を製作、販売した。手頃な価格で概
ね好評、来館者の多数が購入した。また当館所蔵楽器シール(2種)を製作、販売。今後も
様々なデザインのミュージアム・グッズの作成を進めていく予定である。
(3)ガムラン研究会への協力
学生自治会主催のガムラン研究会発足に伴い、練習場所・楽器を提供し、その活動に協力
している。2008年1月11日(金)、展示室にてミニコンサートを開催した。
音楽博物館2007年度入館者数(2007年4月1日~2008年3月31日)
開館日:238日
学内
学外
学内・学外
学生
教職員
授業参加者
個人
グループ見学
催事参加者
494人
132人
30回
675人 42件 740人
6回 454人
521人
合
計
3016人
※2007年9月1日~30日・12月1日~15日は特別展「敦煌・莫高窟壁画からの復元楽器展」の準備等のため臨時
閉館。
音楽博物館2007年度スタッフ
館長:本岡浩子(教授)
研究員:塩津洋子(准教授)
総務担当:米澤琴子
文献資料・視聴覚資料担当:小西潤子(研究技術員)
土橋祐貴子
川添衣利
多田桃子
保科晃子
立体資料・展示室担当:藤本るか(研究技術員 9月30日まで)
相川梨江子
多田未希子
増成春奈
松田淳一(研究技術員 11月1日より)
山田麗子
関西洋楽史・校史資料担当:藤本葉子(研究技術員)
瀬戸口文乃
本誌執筆者(五十音順)
明木茂夫(中京大学国際教養学部教授:中国文学、中国音楽)
小西潤子(本館研究技術員)
塩津洋子(本学准教授:洋楽受容史)
松田淳一(本学講師:管弦打 本館研究技術員)
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