【遭難通信・緊急通信・安全通信】 目次 1 - 1. 遭難通信 1-1-1 通則 (R.R3086.3087) 1-1-2 遭難信号 (R.R3089 、 3090) 1-1-3 遭難呼出し 1-1-4 遭難通報 1-1-5 (R.R3092) (R.R.3094-3097) 手続 ( RR3115-3123) 1-1-6 遭難通信の受信証 (RR3125-3133) 1-1-7 受信証の形式 1-1-8 遭難通信(指揮、沈黙の要請、解除、その他) 1-1-9 遭難通信の終了(RR3150 - 3156) 1-1-10 2-1 . 遭難していない局による遭難通報の伝送 緊急通信 2-1-1 緊急信号 2-1-2 緊急通信の順位 2-1-3 使用周波数等 2-1-4 緊急信号を認めた局の措置 3-1 安全通信 3-1-1 安全信号 3-1-2 使用周波数等 3-1-3 安全通信を認めた局の措置 遭難、緊急又は安全の場合の送信は、無線電話では、次のとおりおこなわなけれな らない。(2935) ① ゆっくり、かつ、区切って行わなければならない。 各語は、筆記を容易にするため、明確に発音する。(2937) 1 - 1. 遭難通信 遭難通信とは、船舶、航空機または他の移動体が重大かつ急迫の危険に陥り、即時 の救助を求める場合の、遭難呼出しに始まり、遭難通信終了の伝送に終わる、遭難移 動体の救助に関するいっさいの移動業務の通信をいう。 1-1-1 通則 (R.R3086.3087) ① 遭難呼出しは、他のすべての伝送に対して絶対的優先順位を有する。すべての局 は、これを受信したときは、遭難通信に混信を生じさせる虞がある、いかなる伝 送をも直ちに中止して、遭難呼出しの発射に使用された周波数で引き続き聴取し なければならない。 この呼出しは、特定の局にあててはならず、受信証は、遭難呼出しに続く遭難通 報の送信前に与えてはならない。 ② 遭難呼出し及び遭難通報は、移動局又は船舶地球局を有する船舶・航空機又は他 の移動体の指揮者又は責任者の命令によってのみ発する。 1-1-2 (R.R3089 、 3090) 遭難信号 ① 無線電話の遭難信号は、フランス語の「m'aider」のように発音する MAY-DAYの語とする。 ② 遭難信号は、船舶、航空機又は他の移動体が重大かつ急迫の危険に陥り、即時の 救助を求めていることを示す。 1-1-3 ① 遭難呼出し (R.R3092) 無線電話による遭難呼出しは、次のものから成る。 一 遭難信号 MAYDAY 3回 一 THIS IS(こちらは)の語 (又は言語上の困難かおる場合には、DELTA ECHO のように発音する D E の語) 一 遭難移動局の呼出符号又は他の識別表示 3回 1-1-4 ① 遭難通報 無線電話の遭難通報は、次のものから成る。 一 一 一 一 一 ② (R.R.3094-3097) 遭難信号 MAYDAY 遭難移動局の名称又は他の識別表示 その位置に関する事項 遭難の種類及び求める救助の種類 その他救助を容易にするための事項 通則として、船舶は、その位置を、緯度及び経度(グリニッジ)で表示する。 その表示には、度及び分の数字とNORTH又はSOUTHの語の一及び E A S T 又は W E S T の語の一とを使用する。 実行可能な場合には、著名な地理上の地点からの真方位及び海里で示す距離を表 示することができる。 遭難通信の形式 呼出し 遭難通報 1-1-5 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ MAYDAY"," (3回) THIS IS 識別表示(一般に船名を用いる) (3回) MAYDAY 識別表示(船名:FUKAE MARU) 位置 遭難の種類及び求める救助の種類 救助を容易にするための具体的内容(医師、排水ポンプ等) 手続 ( RR3115-3123) a 無線電話(国際VHFには適用除外) 無線電話の遭難手続は、次のものから成る。 一 警急信号(出来る限り) 。これに次のものが続く。 一 遭難呼出し 一 遭難通報 b 遭難呼出し及びこれに続く遭難通報は、応答を受けるまで、特に無線電話の沈黙時 間中(毎時OO分及び30分から各3分間) 、間隔を置いて反復する。 c この反復は、できる限り、警急信号を前置する。 1-1-6 遭難通信の受信証 (RR3125-3133) ① 移動業務の局は、自局の付近にいることが疑いのない移動局からの遭難通報を 受信したときは、直ちに受信証を与えなければならない。 ② 船舶局は、1又は2以上の海岸局と確実に通信連絡をとることができる区域では、海岸局 が受信証を与えることができるように、その受信証をしばらく遅らせるものとする。 ③ 移動業務の局は、自局の付近にいないことが疑いのない移動局からの遭難通報を受信 したときは、遭難移動局に一層近い局が、混信を受ける事なく受信証を与えることが できるように、遭難通報の受信証を与える前に短時間の間隔をおかなければならない。 ④ 遠く離れていることが疑いのない移動局からの遭難通報を受信した海上移動業務の局 は、第 3160 号に定める場合を除き、遭難通信の受信証を与えることを要しない。 参考:3160 号:救助を行うことはできないが、遭難通報を受信し、これに受信証が与えられ ていないとき。 1-1-7 受信証の形式 ① 無線電話の遭難受信証は、次の形式で与えなければならない。 一 一 一 一 一 一 遭難信号 MAY DAY 遭難通報を送信する局の識別表示 THIS IS の語 受信証を与える局の識別表示 R E C E I V E D (受信しました)の語 遭難信号 MAYDAY 3回 3回 ②各移動局は、遭難通報の受信証を与えるときは、船舶、航空機又は移動体の指揮 者又は責任者の命令によって、できる限り速やかに、次の事項をその示された順 序で伝送しなければならない。 一 その名称 一 遭難移動局に向かって進行する速度およびこれに到着するまでに要するお よその時間 一 なお、遭難船舶の位置が疑わしい場合には、船舶局は、可能なときは、遭 難船舶の真方位をも、略語 Q T E を前置して伝送するものとする。 一 位置 例:略語 QTE =こちらからそちらの真方位は、 ・・・度でした。 ・・・時現在で。 1-1-8 ① 遭難通信(指揮、沈黙の要請、解除、その他) 遭難通信は、遭難移動局が求める即時の救助に関するすべての通報からなる。 (RR3134) ② 遭難通信の指揮は、遭難移動局又は1-1−9の規定の適用によって遭難通報を 送信した局が行う。もっとも、これらの局は、他の局に遭難通信の指揮を委任する ことが出来る。 (RR3136) ③ 遭難局又は遭難通信を指揮する局は、圏内にある移動業務のすべての局又は遭難 通信を妨害するいずれの局にも沈黙を命ずることができる。 遭難局又は遭難通信を指揮する局は、その指示を、場合に応じて「各局あて」(CQ) 又は単に1局あてに発する場合は次のものを使用する ( 。 RR3137) 無線電話では、フランス語の「Silence, m'aider」のように発音する SEELONCE ④ MAYDAY の信号 遭難船舶又は他の移動体の付近にある移動業務の局も、必要と認めるときは、沈 黙を命ずることができる。このため次のものを使用する。 無線電話では、フランス語の「silence」のように発音する SEELONCE の語 次に DISTRESS の語 自局の呼出符号 ⑤ 無線電話では、S E E L 0 N C E MAYDAYの信号は、遭難移動局及び遭難 通信を指揮する局のため保留する。 ⑥ 遭難通信を知った移動業務の局で自ら遭難局を救助出来ないものは、救助が行わ れていることが明らかになるまで、この通信を追随しなければならない。 1-1-9 遭難通信の終了(RR3150 - 3156) ① 遭難通信が終了したときは、この通信を指揮していた局は、その遭難通信に使用 していた周波数で、「各局あて」(CQ)によって、制限付で業務を再開することが出 来ることを示す通報を伝送する。 無線電話では、次のものから成る。 一 遭難信号 MAYDAY 一 「Hello all stations (各局あて) 」又は CQ (CHARLLE QUEBEC のように発音する。 ) の呼出し 3回 一 THIS IS(こちらは)の語(又は言語上の困難がある場合には、DELTA ECHO のように発音するDEの語) 一 通報を送信する局の呼出符号又は識別表示 一 通報の受付時刻 一 遭難移動局の名称及び呼出符号 一 フランス語の「silence fini」のように発音する SEELOZNCE FEENEE の語 ② 遭難通信に使用している周波数において完全な沈黙が必要でなくなったときは、 この通信を指揮している局は、その周波数で 「各局あて」(CQ)によって、制限付 きで業務を再開することができることを示す通報を伝送する。 無線電話では、上記の通報は、次のものから成る。 一 一 一 一 一 一 一 1-1-10 ① 遭難信号 MAYDAY 「Hello all stat i ons (各局あて)又 C Q 3回 THIS IS(こちらは)の語 通報を送信する局の呼出符号又は他の識別表示 通報の受付時刻 遭難移動局の名称及び呼出符号 フランス詰の「prudence」のように発音する PRUDONCE の語 遭難していない局による遭難通報の伝送 移動局又は陸上局は、ある移動局が遭難していることを認めたときは、次のいず れかの場合においては、遭難通報を伝送しなければならない。 a)遭難局が自ら遭難通報を伝送することができないとき。 b)遭難していない船舶、航空機若しくは他の移動体の指揮者、 責任者又は陸上局の責任者が更に救助を必要と認めたとき。 c)救助を行うことはできないが、遭難通報を受信し、これに受信証が与えら れていないとき。 ② 上記の遭難通報の伝送には、常に次ぎに掲げる呼出しを前置する。 この呼出しは、出来る限り無線電話の緊急信号を前置する。 ③ この呼出しは、無線電話では、次のものから成る。 一 一 一 フランス語の「m'aider relais」のように発音する MAYDAY RELAY の信号 3回 THIS IS(こちらは)の語 送信局の呼出符号又は他の識別表示 3回 2-1 . 緊急通信 緊急通信とは、船舶又は航空機が重大且つ急迫の危険に陥るおそれがある場合、そ の他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置して行う無線通信をいう。 緊急通信の行われる例として、次のものがあげられる。 ① 船舶の座礁、火災、機関故障、その他の事故において重大かつ急迫の危険に 陥るおそれがあるので救助を求めるとき。 ② 行方不明の船舶の捜索を付近航行中の船舶に依頼するとき。 ③ 海中に転落した乗組員の捜索を依頼するとき。 ④ 事故による重傷者または急病人の手当について医療援助を求めるとき。 2-1-1 緊急信号 a.緊急信号は、呼出局が船舶、航空機若しくは他の移動体の安全又は人の安全に 関して緊急通報を伝送しようとすることを示す。 b.緊急信号は、移動局又は海上移動衛星業務の移動地球局を有する船舶、航空機 又は他の移動体の指揮者又は責任者の許可に基づいてのみ送信する。 c.無線電話では、緊急信号は、フランス語の「panne」のように発音する PAN の 語の集合“PAN PAN PAN”:3回の PAN 反復から成る。この信号は、呼出 しの前に伝送する。 2-1-2 緊急通信の順位 緊急信号は、遭難通信を除くほか、他のすべての通信に対して優先順位 を有する。 この信号を受信したすべての局は、緊急信号に続く通報の伝送を妨害 しないように注意しなければならない。 2-1-3 使用周波数等 a 緊急信号及びこれに続く通報は、国際遭難周波数(500kHz、 2182kHz、又は 156.8 MHz )の1若しくは2以上又は遭難の場合に使用することができる他の いずれかの周波数で送信する。 b.緊急信号に続く通報は、通則として普通語で伝送しなければならない。 c.海上移動業務においでは、緊急通報は、すべての局又は特定の局にあてるこ とができる。 2-1-4 緊急信号を認めた局の措置 a.緊急信号を受信した移動局は、少なくとも3分間聴取を継続し緊急通報を聞 かなかったときは、この時間の終わりに、できるかぎり、緊急信号の受信につ いて陸上局に通知するものとする。その後は、通常の業務を再開することがで きる。 b.もっとも、緊急信号及びこれに続く呼出しの伝送に使用する周波数以外の周 波数で通信中の陸上局および移動局は、緊急通報が「各局あて」( CQ)でない 限り、その通常の業務を中止することなく継続することが出来る。 3-1 安全通信 安全通信とは、船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信 号を前置して行う無線通信をいう。たとえば、船舶の航行上の危険な遺棄物、流氷等 の存在を知らせる航行警報、台風の来襲、その他気象の急変を知らせる暴風警報など は安全通信によって行われる。 3-1-1 安全信号 a.安全信号は、局が重要な航行警報又は重要な気象警報を伝送しようとすることを示す。 b.無線電話では、安全信号は、明瞭にフランス語のように発音する SECURITE の 語の3回の反復から成る。この信号は、呼出しの前に伝送する。 3-1-2 使用周波数等 a . 安 全 信 号 及 び 安 全 呼 出 し は 、 国 際 遭 難 周 波 数 ( 500KHZ、 2182KHZ、 お よ び 156.8MHZ)の1若しくは2以上又は遭難の場合に使用することができる他のいず れかの周波数で送信する。 b.安全呼出しに続く安全通報は、通信周波数で送信するものとする。このため、そ の旨の適当な予告を呼出しの終わりに行わなければならない。 c.安全信号は、海上移動業務で使用するときは、一定の時刻に伝送する通報を除く ほか、最近の沈黙時間の終わり近くに伝送しなければならない。 通報は、沈黙時間の直後に伝送する。 d.次のような海上の航行の安全に重大な関係のある場合は、安全信号及びこれに続 く通報は、出来る限り速やかに伝送し、かつ、次の沈黙時間の終わりに反復しな ければならない。 ① 海 上移動業務にあてる気象警報 ② 移動局から発する通報で、サイクロンの存在に関する情報を含むもの ③ 危険な氷塊、危険な難破物その他の航海に対する急迫した危険の存在に 関する情報を含む通報 3-1-3 安全通信を認めた局の措置 安全信号を受信したすべての局は、安全通報が自局に関係がないことを確かめる まで、その通報を聴取しなければならない。
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