色も色いろ 第4話 赤い部屋・青い部屋 ~金沢学院短期大学 山岸研究室を訪ねて~ 年末に色彩学会東海支部で山岸先生の講演会があった。久しぶりにお会いした素敵な先生の笑 顔に過日、先生の研究室を訪ねた時のことが甦る。いつも変らぬ素敵な笑顔で迎えられ、色彩談 義に花咲かせたのは想像に難くないでしょう。最後に教室に造られた赤い部屋、青い部屋を見学 いや体験させて頂いた。 まずは赤い部屋、2畳ばかりの部屋の壁も床も天井も赤一色、照明も赤いフィルター越しとい う部屋。中に入って扉を閉めると動悸がドックンドックンと聞こえてくるようで、気分が悪くて すぐ飛び出した。「5分以上入らないように」の注意書きは不必要。とても5分も落ち着いて入っ ていられない。とび出してしばらくは周りに青緑の輝きが見えたのは言うまでもない。 もう一つの青い部屋はやはり青一色の部屋。こちらは、何とか入って居られる。短時間では顕 著な気分の変化は感じられない。赤い部屋が強烈過ぎた所為かもしれない。 ゲーテは色彩論 教示篇第6編 色彩の感覚的・精神的作用の中でこんな風に述べている。「黄 赤色一色に塗られた面をじっと凝視していると、眼を実際にえぐられたような感じがしてくる。 この色彩によってわれわれの心は信じられないほど搔き乱されてしまうし、かなり暗いところに 視線を移しても動揺した心はおさまらない。」 「もっとも純粋な青ともなると、いわば魅了してやまない無の世界といった感をあたえる。青は 魅惑と沈静という相矛盾する相貌を見せる。」「純粋な青の壁紙を一面に貼られた部屋はいくらか 広く見えるが、しかし同時に空虚で寒々としたものに感じられる。」と。 今では、こうした感情効果がどうして起きるのかが生理学的に検証されてきている。赤い色を 見ると脳内のアドレナリン=興奮ホルモンが増加し、青い色を見ると逆に安心・集中力を増すホ ルモン=セラトニンやアセチルコリンが分泌されるそうだ。 では何故というと、諸説あるようだが、私はなにより「食」に由来しているのではと思っている。
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