平成クラブ視察研修報告 特定非営利活動法人「アートチャレンジ滝川」 及び街なか地域文化交流広場事業について、 (1) 視察日 平成19年9月27日(木) (2) 視察市 北海道滝川市 (3) 市勢の概要 滝川市は人口 44,900 人で北海道のほぼ中央部、石狩川と空知川の合流点の 平野部に広がっている。冬は降雪量と極寒の両方で知られている。 交通は、北海道の大動脈である道央自動車道と国道 12 号が貫いている。また、 JR 函館本線が通り、根室本線の分岐点でもある商業都市(交通の要所)である。 芸術公園都市の実現を目指して「理想の田舎をつくる運動」を展開中である。 (4) 調査事項及び内容について アートチャレンジ滝川について ① 事業実施にあたっての経緯について 滝川市は交通の要衝地として拓かれ、後背地に産炭地域や稲作地域を有す る地域に中核都市として発展してきた。しかし、相次ぐ炭鉱の閉山や農業経 営の衰退など、地域に活力が失われ、過疎化傾向に拍車がかかっている現況 にある。 中核都市の商業地として発展してきた滝川市の中心市街地も、相次ぐ郊外 型大型店や新業態店に進出もあり、商業力が低下し中心市街地の活力は大き く停滞し空洞化が深刻な地域問題となっている。 駅近在の「太郎吉蔵」を拠点とするアートチャレンジ滝川は、緑化オープ ンスペース形成やオープンカフェ等の事業などの中心市街地活性化事業をに なっている。 ② 活動の目的と内容 アートチャレンジ滝川は 2002 年 9 月に設立した五十嵐デザインアート 塾を基盤として、豊かな自然や歴史文化をデザインやアートの力により顕在 化し、多くの人に訪れていただけるような魅力あるまちの実現を目的として 活動している。 2003 年 11 月に特定非営利活動法人を取得し、遊休施設であった滝川駅近在 の石蔵を改修に取り組み、2005 年に「太郎吉蔵」として NPO 活動の拠点施 設を完成させた。 塾から NPO へと連なる具体的な活動は、2003 年 3 月に行った紙袋ランタ ーンフェスティバルに始まり、これまで世界で活躍する方を講師に招いてのレ クチャー開催、アートイベント等を行ってきている。レクチャーは多くの示唆 と討論を提供することが目的であり、アートイベントは商店街との協働により 多くの市民や子ども達の参加を得ている。 また、滝川の美しい自然や遊休資産を生かす学生を対象とした教育プログラ ムも 2004 年より行っている。 地域に対する提案活動としては、中心市街地を緑溢れる現代美術が展開する 芸術公園都市構想や、悠久の自然を留める水郷風致公園を市民の手で再生する 「滝川公園再生計画」を提案するとともに、アートディレクター制の導入など の提案を行っている。 ③ 活動の特徴 アートチャレンジ滝川の活動の特色は、歴史と文化を読み解きながらアー トやデザインにより魅力溢れる再生空間を地域の共有財産として創り上げて いくことと、NPO の地域活動に全国から参加する企画応援団を組織化し運 営していく体制にある。 平成19 年度国土交通省の「地域づくり活動に関わるネットワーク形成調 査」のモデル地域にも選ばれている。 ※ 歴史的建造物の再生利用・・・太郎吉蔵(たろきちくら)事業 滝川市の歴史的建造物の一つである滝川駅近在の石蔵を改修整備し、音 楽・演劇・アートの展示等様々な文化活動の拠点として活動するとともに、 地域に開かれた施設として地元商店街や文化団体などのイベントスペース として活用する。 ③ 今後の課題について 「太郎吉蔵」を NPO アートチャレンジ滝川の活動拠点として芸術イベントの 開催、五十嵐アート塾の会場、さらには地元をはじめ、希望の方々に貸しホール として使用され、この蔵を魅力的なプログラムが展開される空間として活用し、 滝川の新しい魅力を作ることで、外から「人が集める滝川」のすることが活動の 目的である。 アーティスト五十嵐威暢とそのネットワークによる各分野の第一線で活躍する 方を講師陣に迎え、まちづくりにおけるデザインやアートの意義、力、その方法 や技術を学び、まちの未来を考える場を継続的に持ち、その記録をまとめて報告 書としながら、さらなる提言に結びつけていくことを目的として魅力ある都市再 生への事業企画に結びつけていきたい。 街なか地域文化交流広場事業のついて ① 事業内容について 中心市街地活性化施設である駅再開発ビル内「たきかわホール」の運営を担う NPO たきかわホールと地元滝川商店街振興組合が、生活弱者である高齢者や就 学以前の母子を対象とするサービス事業と、「たきかわホール」や駅近在の「太 郎吉蔵」(歴史的建造物である石蔵を改修利用するアートスペース)と連携する 地域の歴史と文化を再生する拠点づくりを担う事業を実施している。滝川駅前再 開発ビルは公共交通のターミナル機能が結束する地点に立地しており、高齢者や 母子の方の利用に最適であり、不特定多数の方を呼び込むことが可能である。 また、NPO たきかわホールと連携して商店街振興組合が単なる販促ではない文 化交流事業を手がけることにより、賑わいを取りもどし、新たなる商店街づくり への展開を図っている。施設内容としては、貸館・練習スタジオ、ギャラリーに 手作りショップや気軽に滞留できる施設を併せたスペースを設けている。 ② 事業推進体制について 実施体制は NPO たきかわホールで、運営委員会を NPO たきかわと駅前商店街 振興組合、滝川市文化団体連絡協議会、㈱アニム滝川(TMO)、滝川市で組織し ている。また、施設利用される各団体の代表による街なか地域文化交流広場利用 促進協議会を設置し、施設活用を推進するとともに集客のためのイベントを実施 している。 ③ 今後の課題について 本事業は NPO たきかわホールと駅前商店街振興組合が連携し、多くの市民が 活動するコミュニティ施設の拠点づくりを目指している。施設の利用については、 多くの文化団体に参加いただく利用促進協議会が機能し、貸しスタジオの利用な どを中心に順調に伸ばしてきている。また、施設 PR と集客のためのイベントに ついても定着し、多くの市民が集まってくるきっかけとなっている。 ころらの事業には商店街振興組合の方も参加して実施されてきているが、コミ ュニティ施設来訪者に対する地元商店の働きかけがさらに充実し、商店街の振興、 中心市街地活性化の向かうことが期待されている。商店街が自ら「人にやさしい 商店街」として発信し、ホスピタリティの核として位置づけてきている結果とし て、多様な業種で前年比売り上げアップなどの具体的な成果が出始めており、商 店街全体への波及効果として拡大していくため今後さらなる取り組みが求めら れるところである。 (5)調査結果の所見 滝川駅近くにある「太郎吉蔵」は1926年に五十嵐太郎吉が五十嵐酒造点の醸造米 倉庫として建設したもので、商業地として繁栄していた往時の歴史を伝える貴重な建築 物である。美瑛軟石と推定される木骨石造り約170平方メートルの建物は、豊かな自 然や歴史文化をアートやデザインの力で顕在化し、魅力的なまちづくりを行う目的で設 立した NPO アーチチャレンジ滝川の活動拠点として、この蔵を活用し、滝川のあた新 しい魅力をつくることで、外から人が集まる滝川にしている。 本市においては、今年度中に市民活動推進センターが開設予定であり、市民活動の拠 点として人材の育成を行い、市民との協働のまちづくりが一層推進され、定着すること を望むものである。 商店街の集客力の低下については、モータリゼーションの進展を背景とした商店街離 れ(大規模店を中心としたワンストップショッピングへの傾注傾向)にあり、いかに大 型店舗との差別化を図っていくかにある。中心市街地では、こうした大規模店と同じ土 俵で勝負するのではなく多機能なまちづくり・コミュニティの拠点としての界隈性・賑 わいづくりに重点を置き、多様なニーズ・多世代に対応できるソフトを充実させていく ことを目的とし、ターゲットについては、芸術・文化団体を一つの柱としながら、子育 て世代、高齢者世代など、様々なコミュニティの広がりによって賑わいを回復したい。 商店街のコンセプトは、子育て支援ストリート事業などと連携をしながら、 「人にやさし い商店街」をテーマとしてホスピタリティを高め商店主を戦力的にコミュニティの中心 に位置付けていきたいとのことである。 本市においても中心市街地の活性化は、重要な課題であり、地元商店街の賑わいを取 り戻し、さらに芸術文化の向上と高齢者と子育て世代との融合を兼ね備えたコミュニケ ーションスペースの実現は、大変参考になるものであり、今後これらを参考に具体的な 取り組みを望むものであります。 以上
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