地域食品ブランド表示基準

地域食品ブランド表示基準
1.名
称
小豆島オリーブオイル(しょうどしまおりーぶおいる)
(1)名称の由来
オリーブは、イワシ・マグロ等の加工用油の国内自給促進のため、明治41年に搾油
を目的として小豆島、鹿児島、三重に導入されたが、結果的に根付いたのは小豆島だけ
であった。
その後温暖少雨な気候を利用し、栽培が行われ、緑果の塩蔵やオリーブオイル採取用
として、また、近年では葉を使用したお茶として加工・利用され、現在に至っている。
現在では、小豆郡内で約50haの栽培が行われ、オリーブオイルの製造量は年間9,
420㎏、年商約9,260万円となっており、島内での産業として重要な位置づけと
なっている。
2.産 地
(1)範 囲
香川県小豆郡内
(2)範囲の設定根拠
小豆島は、香川県の最北端に位置し、面積は153平方キロ、人口は約3万4千人の
海と山の美しい自然に恵まれた島である。島内には小豆島町・土庄町の2町があり、同
一経済圏として活動している。基幹産業は観光と醤油、佃煮、素麺、オリーブ等の食品
工業である。
また、オリーブは小豆島の西部に位置し、小豆郡土庄町に属する豊島にも栽培・収穫
されていることから、小豆郡内を産地の範囲とする。
更に、小豆郡内で採油した製品のみとし、加えて精製等の加工や精製油の混合をして
いないエキストラバージンオイル及びバージンオイルを該当製品とする。
3.歴史的伝統性
小豆島で根付いたオリーブは明治43年には7㎏の果実が収穫され、翌年度から搾油
が始まった。
その後、宮内庁への御用達や産業博覧会での入賞など、広くオリーブが知られるよう
になり、昭和39年のピーク時には、約130haの栽培面積を誇り、年間約460tの
生産量があったが、輸入自由化によって外国産の安価な製品に押され、減少の一途をた
どることとなった。
しかし、旧内海町では平成10年度からオリーブ助成制度を実施し、栽培者の負担軽
減のための補助や講習会を行っていた。
さらに、平成15年には、「小豆島・内海町オリーブ振興特区」の認定を受け、当初
は3社、後に1社の計4社が特区法人としてオリーブ栽培に参入し、栽培面積、生産量
は、現在も増加傾向にある。
オリーブを利用した製品は、オイルだけでなく、果実を塩蔵にした「グリーンオリー
ブ、ライプオリーブ」やオリーブオイルを使用した化粧品、また葉を加工したオリーブ
茶などさまざまな方法で活用されているが、近年、農薬や化学肥料を使用しない原料を
使った製品のニーズが増加してきており、オリーブの害虫である「オリーブアナアキゾ
ウムシ」対策や搾油粕の処理・再利用について検討する必要性がでてきた。
このため小豆島では「小豆島食料産業クラスター協議会」を立ち上げ、県や香川大学
の協力により問題処理について検討中である。
4.食品の独自性
(1)食品特性
イタリア、スペイン、ギリシャ料理に使われるオリーブオイルは、果実から非加熱で
搾油できる唯一の植物油である。その主成分は脂肪酸の中でもっとも酸化しにくいオレ
イン酸と、リノレン酸。さらに活性酸素の害を抑えるビタミン類やポリフェノール、ア
ミノ酸なども豊富に含んでいる。明治末期からの歴史と伝統に裏づけされ、栽培に適し
た気候風土に恵まれた、瀬戸内海に浮かぶ小豆島の、集約された地域ですべて生産・加
工されている。
(2)原材料の特徴
小豆島特産のオリーブオイルは佃煮・醤油・素麺と共に、当地の気候風土に根ざした
名産品である。今回申請する小豆島オリーブオイルについては、小豆島と豊島を合わせ
た小豆郡内で栽培・収穫されたオリーブの果実のみを絞って搾油したものである。
オイルの搾油については機械化されているが、洗浄時に収穫した果実と枝葉との選別
を行っており、不純物の混じる割合が低い製品である。
(3)原材料の使用理由
小豆島におけるオリーブの栽培は、明治41年の試植から続いて行われている。
今回申請する「小豆島オリーブオイル」については、小豆郡内「小豆島と豊島」で栽
培・収穫されたオリーブ果実を搾った製品に限り、他の添加物や島外産のオリーブオイ
ルを加えた製品は対象としない。
(4)製法の特徴
工
程
内
容
収穫
①
枝や葉、病果や傷果が混入しないよう注意しながら、熟した果実を収穫する。
洗浄
②
収穫した果実を水洗いするが、その際に異物があれば取り除く。
破砕
③
果実を破砕機でペースト状に破砕する。
固・液の
分離 ④
油・水の
分離 ⑤
④、⑤については遠心分離
機の機種により一工程で
遠心分離機により、④の液体をオイルと果汁液に オイル、果汁液、固体に分
離する場合もある。
分離する。
ろ過
⑥
微小な異物を除去するため、ろ過を行う。
充填
⑦
ろ過したオイルを容器に充填する。
出荷
⑧
充填した製品を出荷する。
遠心分離機により固体と液体に分離する。
(5)品質・衛生管理基準
工
程
内
容
原料検査
原料の確認、洗浄、異物除去等をおこなう。
検
酸化度の確認及び果実生産量とオイル製造量の比較、確認
査
5.生産量
項
目
生産量
16年
(単位:キログラム)
18年
17年
6,290
8,140
9,420
(出典:小豆島オリーブ協会)
6.生産団体・製造企業等
団体・企業名
構成員数
住
所
㈲井上誠耕園
香川県小豆郡小豆島町池田2352番地
㈱オリーブ園
香川県小豆郡小豆島町西村甲2171番地
小豆島オリーブ公園
香川県小豆郡小豆島町西村甲1941番地1
タケサン㈱
香川県小豆郡小豆島町安田甲103番地1
東洋オリーブ㈱
香川県小豆郡小豆島町池田984番地5
ヤマサン醤油㈱
香川県小豆郡小豆島町馬木甲142番地
㈱ヤマヒサ
香川県小豆郡小豆島町安田甲243番地
小豆島ヘルシーランド㈱
香川県小豆郡土庄町甲2721番地1
小豆島オリーブ㈱
香川県小豆郡土庄町甲1360番地95
㈱協栄岡野
香川県小豆郡土庄町馬越甲1102番地
7.業界取りまとめ団体
団体名(代表者役職名
氏名)
特定非営利法人
小豆島オリーブ協会
(会長 植松 勝太郎)
住
所
香川県小豆郡小豆島町苗羽甲1356-4
8.識別マークの貼付と管理
小豆郡内にて、歴史と伝統に基づいて栽培されたオリーブの果実を原料とし、小豆島
で搾油されたオイルを 100%使用した製品についてのみ識別マークを添付できるものと
し、対象商品については特定非営利法人小豆島オリーブ協会で認定するとともに、適切
な使用がなされるよう管理する。
9.第三者認証
・業界全体として、地元の「香川県発酵食品研究所」の指導により品質・衛生管理等に
関する講習会を通して、日常の適正な管理に努め、認定製品を製造している参加企業
については、「香川県発酵食品研究所」による第三者認証を受けるようにしてゆく。
10.参考(社会的評価)
① 品質維持向上・社会的評価向上に関する活動
小豆島オリーブ協会では、表示に関する公正競争規約を制定することにより、
一般消費者の適正な商品選択を図るとともに、不当な顧客の誘引を防止し、公正
な競争を確保している。
② 安定的実需者
各社が各々開拓した小売店・飲食問屋及び商社を通じてスーパー・百貨店・外
食産業、島内土産物販売店等で販売し、幅広い実需者がある。また、近年は通信
販売・ネット販売等でも実績を上げている。
③ 取引価格の水準
小豆島産オリーブオイルとして消費者に認知されており、価格については安定
している。
④ 品評会における受賞歴等
㈱ヤマヒサでは、LAカントリーフェアにおけるオリーブオイルズ・オブ・ザ
・ワールドのエクストラバージンオイル・コンペティションで2004年に銅
賞を、2005年に銀賞を受賞した。
11.添付書類
①原材料の使用理由(由来)
②生産地所在図
③製造工程写真
④小豆島オリーブ協会の定款
⑤総会資料
原材料の使用理由(由来)
主
原
料
使
用
理
由
(
由
来
)
明治41年に農商務省がイワシ、マグロ等の油漬加工に必要なオリー
ブ油の国内自給を図るため、アメリカから輸入した苗木を香川、三重、
鹿児島の三県に試作し、そのうち小豆島に植栽されたオリーブのみが栽
培に成功した。
これが、小豆島におけるオリーブ栽培のはじまりであり、明治43年
には7㎏の果実が収穫され、翌年頃から搾油が始まったとされている。
昭和36年には栽培面積が過去最高の130ha となったものの、昭和
40年頃には農産物の輸入自由化や気象災害などにより減退の一途をた
どっていた。
小豆島産
そこで、旧内海町では「小豆島・内海町オリーブ振興特区」としての
オリーブの
認定を受け、一般企業がオリーブの栽培に参加することによってオリー
果実
ブの増産を図っているところである。
また、香川県では昭和29年にオリーブの花を県花として、昭和41
年にオリーブの樹を県木に指定している。
オリーブオイルは、11月頃黒紫色に色づいた果実を収穫し、洗浄・
粉砕・圧搾・分離・ろ過・充填の過程を経て出荷している。
参考文献:香川県発行「香川のオリーブ」
小豆島観光協会発行「感動さわやか小豆島」