Untitled - M

Oxygen 49
Axiom 49
Axiom Pro 49
目次
第1章:
第6章:
PAシステムの基本とコンポーネント
シグナル・プロセッシング
·
·
·
·
·
·
·
·
第2章:
適切なマイクの選択と使用
·
·
·
·
マイクの種類
マイクの配置と使用
サウンドの最適化
ケーブルとコネクター
第3章:
バランス/アンバランス・ライン コネクター
·
·
インピーダンス: 心配無用!
ケーブル
第4章:
スピーカー、ミキサー、およびモニターのセット
アップ
·
·
·
·
·
·
シェルビングEQの用途
パラメトリックEQの用途
グラフィックEQの用途
リバーブ
リミッター
コンプレッサー
その他のエフェクト
第7章:
楽器の増幅
·
·
·
·
音源用のマイクの配置
電子楽器
エレキ・ギターとベースの「ダイレクト」セットアップ
シンガー/ソングライター・セットアップ
第8章:
スピーカーの配置
サウンドチェック
スピーカーと壁
·
·
·
ミキサーの配置
出演者とプレゼンターの配置
モニターの配置
システムの「リングアウト」
ルーム・レゾナンスの調整
サウンド・レベルの確認
トーンのセットアップ
第9章:
トラブルシューティング
第5章:
·
·
·
·
ミキサー(Mixer)
·
·
·
·
·
·
·
イコライザーの種類
入力および出力
チャンネル・ストリップ
ミキサー・バス
「位相外」問題の対処
フィードバックの処理
歪みを最小限に
ハムとバズの軽減
マスター・セクション
第10章:
モノラル vs ステレオ
用語集
「ゲイン-ステージング」の重要性
ミキサーとコンピューターの出会い
製作スタッフ
チーフ・エディター
エディター
広報
美術
Craig Anderton
John Krogh
連絡先
およびレイアウト
Theo Jemison
Michael Parker
Laurie Blondin
Patrick Wong
Joshua Merrill
626-610-2434
写真
Craig Anderton
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3
第1章:
PAシステムの基本と
コンポーネント
「PA」は「パブリック・アドレス(Public Address)」の
略で、ここでのキーワードはこの「パブリック」にありま
す。 バンド、プレゼンター、競売人、講師といった音源を、
図1: キーボードプレイヤ
ーはブームマイクにて、スタ
ンドをキーボードの向こう
大勢の人々、すなわちパブリックにはっきりと伝わるよう
側に置き、その後ろの歌手は
に、増幅することが大事です。
ストレート・ マイク・スタ
ンドを使っています。
一般的なPAシステムのコンポーネントは次のとおりです:
ラウドスピーカー: ラウドスピーカーは電気エネルギー
を音響エネルギー、つまり耳で聞くことのできる移動す
る空気へと変換します。 巨大な家庭用Hi-Fiスピーカーと
いった風体のラウドスピーカーに加え、PAにはサブウー
ファーが含まれることがあります。サブウーファーは、重
低音を再現するために最適化されており、高めのオーデ
ィオ周波数と比べて、異なるスピーカー構造とさらなる
パワーが備わっています。スピーカーはキャビネットに収
められます。キャビネットの多くは、スピーカースタン
ドに取り付けられるようになっていたり、運搬やセット
ミキサー: ミキサーは、
マイクや楽器などの複数のシグ
アップが容易にできるようにハンドルがついていたりし
ナル・ソースを1つの出力へと統合し、それをパワー・
ます。
アンプへと送ります。ただし、ミキサーを必要としない
パワー・アンプ: パワー・アンプは受信したオーディ
ピーカーにはマイクと楽器の入力端子が備わっていま
状況もあります。 M-Audio GSR10およびGSR12ス
オ・シグナルのパワーを高め、スピーカーを駆動するこ
す。したがって、シンプルなセットアップの場合は、
とができます。 アンプのパワーはワット数で測られます。 マイクまたは楽器を直接GSRに入力することが可能な
ワット数が高ければ高いほど、システムで実現可能なサウ ため、それ以外の接続は不要になります。
ンド・レベルは大きくなります。もちろん、スピーカーに
もそのパワーを処理できるような能力が必要になります。
ケーブル: アンプとスピーカーを1つのキャビネットに
M-Audio® GSRシリーズのような先端をゆくコンパク
収めれば、これらをケーブルで接続する必要性はなくな
トなシステムでは、アンプはスピーカーと同じキャビネ
りますが、それでも尚、ミキサーをアンプに、入力信号
ットに収納されています。 その結果、3つの構成要素、す
をミキサーに接続するケーブルが必要です。 オーディオ
なわちスピーカー、アンプ、そしてキャビネットは最適
ファン向けの高価なケーブルを購入する必要はありませ
化され、効率的に作動します。 さらに、このようなシス
んが、信頼性を確保したいのなら、品質の高いケーブル
テムは多くの要素がすでに内蔵されているため、可搬性
が欠かせません。また、バックアップとして常に予備を
に優れています(配線の問題も軽減されます)。
用意しておくことも重要です。
4
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
マイクロフォン: スピーカーとは逆に、音響エネルギー
も、ある時点ではマイクを置きます。マイク・スタンドに
(ボーカルや楽器のサウンドなど)をミキサーやパワー・
は主に次の2つのタイプがあります: ストレートとブー
アンプに入力できる電気エネルギーに変換します。マイ
ムです(図1)。 ブーム・スタンドを使えば、スタンドが
クの品質は全体的なサウンドの質に直接関連します。し
演奏の邪魔になるといったような場合に、スタンドをマ
かし幸運なことに、マイクの価格は年々下落しているの
イクから遠ざけることができます。
で、高品質のマイクに多額を費やす必要はもはやありま
せん。 ラジオ周波数として音を送信するワイヤレス・マ
シグナル・プロセッサー: これらのデバイスは、マイク
イクを使用することもできます。ワイヤレス・マイクは、 や楽器から送られてくるオーディオ・シグナルを変換し
レシーバーがシグナルを受信すると、オーディオに変換
て、トーンや品質を高めるほか、機器またはオーディオ
し、ミキサーに送信します。ワイヤレス・マイクを使うと
ソースの欠陥を補います。 たとえば、講師の声が細い場
ステージがすっきりとするので、ステージ一杯に動いて
合は、シグナル・プロセッサーはそれをより豊かに、より
パフォーマンスをする人に理想的です。
深くすることができます。
マイク・スタンド: ワイヤレス・マイクを使用してい
会場とオーディエンス: これらがPAシステムの一部と
ない場合は、マイクを置いておくための場所が必要にな
は考えられないかもしれませんが、後で見ていくように、
ります。 マイクを持ちながら司会進行するプレゼンター
全体的なサウンドに大きく影響します。
PAシステム・コンポーネント
マイクロフォン
シグナル・プロセッサー
デスクトップ
マイク・スタンド
ミキサー
ケーブル
スピーカー
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第2章:
適切なマイクの選択と使用
スタジオやステージでは、マイクはオーディオ工程の
一番最初に位置します。 この章では、ライブにはどんな
マイクが最適かを検証します。次にそのマイクから最
高のサウンドを得る方法について説明します。
マイクの種類
どんなマイクでも、重要なのは耐久性と指向性(他のサ
ウンドを拾わずに、特定の音源のみを拾うことができる
能力)の2つです。
PAシステム用によく使用されるマイクには2種類あり
図2: 左 側 の マ イ ク はM-
ます(図2)。
AudioのSoundCheckで、
手頃なダイナミック・マイク
です。 右側のマイクはNova
ダイナミック・マイクは、物理的に頑丈で、高い音圧のサウ
で、これもM-Audioのコン
ンド・レベルを処理できるので、PAシステムにおいてもっ
デンサー・マイクです。
とも普及しているマイクです。このマイクは手で持ったとき
に発生するノイズを抑えるため、スタンドを使わないような
場合に好まれます(ボーカリストなど)。その反面、サウン
ドは他のテクノロジーほどには洗練されません。ただし、ラ
イブではこうした弱点は無視できるほどのものです。
コンデンサー・マイクは、優れた周波数レスポンスと 過渡
(レベルの急激な変化)応答力があるため、レコーディン
第三のマイクロフォン・テクノロジーは、リボン・マイ
クですが、頑丈とはいえないため、ライブで使用される
ことはめったにありません。
マイクの配置と使用
グでよく用いられます。 ダイナミック・マイクほど耐久性
どのマイクを使用するにしても、サウンドを最適に拾う
はありませんし、内部バッテリー、または少なくとも安価
ように配置することが重要です。そのためにも、若干マ
とはいえないミキサーから供給されるファントム電源が必
イクの基礎を学ぶ必要があります。
要です(ミキサーについては第4章を参照)。 ただし、ラ
イブ用設計のコンデンサー・マイクは次第に頑丈になって
マイクの指向性
おり、適切な手入れをすれば、ツアーにも耐えることがで
きます。手で持ったときに発生するノイズに敏感なので、
通
常はマイク・スタンドに取り付けて使用します。
ライブでは、ほかのサウンドと区別した特定のサウンドを
拾うべきです(つまり、ボーカルのマイクで同じステージ
上の楽器のサウンドを拾うべきではありません)。 カメラ
一般的なコンデンサー・マイクには2種類あります。小
で喩えるなら、自分の目で見えるものだけを対象にするカ
型ダイアグラム・マイクはより敏感で、トランジェン
メラもあれば、広角レンズ付きカメラやパノラマカメラな
トの再現に優れています。 大型ダイアグラム・マイク
どもある、といったように、それぞれのマイクには、それ
はどちらかというと温かなサウンドを生むため、スタ
ぞれの指向性があります。指向性パターンについては 図3
ジオでのボーカル・レコーディングに多用される傾向
を参照してください。
があります。
6
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
カーディオイド・マイク(無指向性)は、マイク正面の
サウンドだけを拾います。 ですから、このマイクは、ボー
カリストまたは楽器の演奏者に向けて使います。 ポピュ
ラーなM-Audioマイクには、SoundCheck(耐久性に
優 れ た 無 指 向 性 ダ イ ナ ミ ッ ク ・ マ イ ク ) 、 Nova ®
(ラージ・ダイアフラム・コンデンサー・マイク)、お
よびPulsar II(スタジオ向けのスモール・ダイヤフラム・
マイク。ライブにも適します)があります。
周波数(Hz)
ハイパーカーディオイド型(スーパーカーディオイド型と
もいいます)マイクは、さらに狭指向性になります。 音量
の大きいバンドの前で立って歌うボーカリストに最適です。
全指向性マイクは、すべての方向からサウンドを拾います。
このタイプは、何人も発言するものの、各人用のマイクは
なく、音量も特に大きい必要はない会議などで便利です。
8の字指向性を持つのは、どちらかといえばリボンマイ
周波数(Hz)
クに多いですが、お気づきのようにライブではめったに
使用されません。しかし、一部のコンデンサー・マイクで
もこのレスポンスを得ることができます。
マイク配置における問題
近接効果はダイナミック・カーディオイド・マイクに顕
著です。マイクに近づけば近づくほど、ベース・レスポ
ンスが高くなります。 マイク・テクニックに優れた歌手
は、これを利用しています: やわらかく、ささやくよう
なパートでは、マイクを口に近づけ、ベースを強調し、
温かみのあるサウンドを生み出します。 アコースティッ
ク・ギターもこの近接効果を利用すれば、ベースをより
響かせることができます。 さまざまなイベントにおいて、
自分の得意とするところを強調したり、また得意でない
ところを補うことができます。
周波数(Hz)
図3: 上段のパターンはカーディオイド・タイプのレスポンス
です。背面からのサウンドを拾っていない点に注目してください。
中段のパターンは全指向性タイプのレスポンスです。すべての方向
からサウンドを拾っています。 下段のパターンは8の字タイプのレ
スポンスです。マイクの前後からのサウンドを拾うため、そのよう
に呼ばれています。
逆二乗の法則は、マイクから遠のくと、サウンドレベル
が劇的に低下する事象のことです。マイクを
「飲み込ん」
だ
つと、幾分甘さが増し、ワイルドな雰囲気が薄れたサウ
り遠ざけたりしながらも、声量を変えることができない
ンドになります。
ボーカリストには問題です。
これら3点を理解すると、特定の音源に対してどのように
マイク角度は、トーンに影響します。 概して、音源にマイ
マイクを使うべきかが見えてきます。 たとえば、ソフトな
クを近づけると、サウンドは明るくなります(ただし、
音源にはマイクを近づけます。ただし、近接効果を補う
注意が必要;「入力口」は、一部のマイクでは上部だけ
ために、ベース・レスポンスを軽減する必要があること
で、一部のマイクでは側面だけになります。お使いのマ
もあります(シグナル・プロセッシングについては第6章
イクのマニュアルを参照のこと)。マイクをある角度で持
と、本章の最後の「サウンドの最適化」の章を参照)。
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7
図4: ポップ・フィルターは風によるノイズと破裂音がマイク
に侵入するのを防ぎ、マイクにマイナスの影響を与えかねない
息の湿り気もブロックします。
フィードバックの軽減
フィードバックはスピーカーからのシグナルがマイクに
入り、再び増幅されるときに発生します。 フィードバッ
クを抑えるには、スピーカーの配置、ミキサー・コント
ロールの設定、マイクなど、 数種の要素が絡んできます。
マイク自体でフィードバックを軽減する方法としては、
指向性マイクを使用し、スピーカーにそれを向けない、
そして近接効果を回避する、という2つが考えられます。
詳細は、第9章「トラブルシューティング」を参照して
ください。
「細い」サウンドの処理
管楽器などの音量のある音源に対しては、マイクを少し
離します。こうすることによって、奏者が多少動いたと
しても、大きな音量の変化は生じません。 ギターアンプ
などにマイクを使用する場合は、さまざまな配置が考え
られます。スピーカーキャビネット内でスピーカーの真
ん中に置くことが標準となってはいますが、配置を換え
ると、トーンも変えることができます。
サウンドの最適化
ここまでで、マイクの選択と設定について説明してきま
した。ここからはサウンドを最適化するための方法をい
くつか紹介します。
マイクのスイッチ
マイクにはサウンドを調整する次のようなスイッチが付
いていることがあります:
· オン/オフ(ミュート)スイッチ: これは、たとえばマ
イクを手渡す場合や、鼻をすすったり咳をしたりする
ためにマイクを束の間オフにする場合に便利です。
· ロー・カット・フィルター: 低周波コンテンツを削
減します。 ボーカリストまたは講師の「b」や「p」の
発音がポップ音の原因となっている、または近接効
果が問題となるような場面において、フィルターをオ
ンにしましょう。
· パッド・スイッチ: これはマイクの感度を下げます。
たとえば、大音量のギター・アンプはその音量ゆえ
に、ミキサーのマイク入力に負荷がかかることがあ
ります。 パッド・スイッチをオンにすると、歪みが最
小限に抑えられます。
8
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
ピアノのような楽器にマイク2本を使用するとき、それ
ぞれのマイクが異なる音波の部分を拾うと位相の問題が
生じる場合があります。 これは、か細く、自然でないサウ
ンドの原因になります。 ミキサーに各チャンネル用の位
相スイッチが付いていれば、ペアになっているマイクの
片方について、これをオンにしてみてください。これで問
題が解決することもあります。解決しない場合は、この問
題の詳しい解決方法を記している第9章を参照してくだ
さい。
風や呼吸のノイズの軽減
「b」や「p」などの発音が生む空気の流れは、不快な
ポップ音を生む場合があります。 また、風も同じような
問題を起こします。これらを軽減するには、マイクをすっ
ぽりと包む、薄いスポンジ状のカバーを使います。また
は、クリップ式のナイロン製メッシュ・スクリーン・フ
ィルターをボーカリストとマイクの間に置きます(図4)。
マイクの寿命の延長
マイクは正しく取り扱わないと、壊れないにしても、品
質が衰えていきます。 マイクは常に保護ケースに入れて
保管してください。
ケーブルとコネクター
ケーブルは、さまざまなPAの構成要素をつなぎ、シグ
ナルが行き来できる道を整えます。 次章では、ケーブル
の選び方と、ケーブルから最高のパフォーマンスを引き
出す方法について説明します。
第3章:
バランス/アンバランスラインと
コネクター
アンバランス・ライン用のケーブルには2つのコンダクター
しています(図8)。XLRジャック(図9)はバランス・ライ
が付いています。一方バランス・ラインには3つのコンダ
ンです。3つのプラグピン用の穴が3つあることがわかります。
クターが付いています(このタイプを通常のステレオ・
ケーブルと間違えないでください。ステレオ・ケーブル
比較的新しいタイプのジャックであるコンビネーション・
にも3つのコンダクターが付いています。バランス・ライ
ジャック(図10)は、XLRと1/4”フォン・ジャックを
ンはモノ・シグナルを伝送するためのものです)。バラン
コンビにしているため、この名前が付いています。いずれ
ス・ラインは、回路がバランス・ラインの長所を活かすよ
のタイプのプラグも接続できます(ただし、もちろん、同
う設計されている入出力端子に接続されている限り、蛍光
時に両方のプラグは接続できません)。コンビネーション・
灯やハム、モバイル・トランスミッター(例:タクシー、
ジャックで1/4”フォン接続した場合は、バランスまたは
CBラジオ)からのラジオ周波数などの干渉をはねつけます。 アンバランス・ラインの両方が使用できます。
干渉は大抵、シグナルと同程度に強力なので、このテクノ
ロジーは低レベル・シグナルの場合に重宝します。
もう1つのアンバランス・コネクター、フォノ・コネク
ター(図11)は、民生機器に最も一般的に使われるコネ
アンバランス・ラインはより一般的で、ギターコードや
クターです。 しかし、ポータブルCDプレーヤーなどのた
ほとんどのHi-Fiケーブルがそれにあたります。 アンバラ
めに、1つまたは2つの入力用RCAフォノ・ジャックを
ンス・ケーブルは干渉をはねつけません。しかし通常、
搭載するPAミキサーも一部あります(フォノ・コネクター
高価ではなく、強力なシグナル・レベルのアプリケーショ
は、S/PDIFデジタル・シグナル用にも使用されます)。
ンにも十分対応します。
ここからは、機器のタイプ別に、それぞれに適したライ
これら2種類のラインは、それぞれ異なるコネクターを使
ンとコネクターを見ていきます。
用できます。図5はアンバランスの1/4”フォン・プラグ
です。それぞれのラインに1つずつ、2つのセクションがあ
マイクロフォン: PAアプリケーション用のマイクはほ
ります。 「Tip」(チップ)と「Sleeve」(スリーブ)のセ
ぼすべて、バランス・ラインとXLRコネクターを使用
クションがあるため、TS型プラグとも呼ばれます。
します。
図6はバランスの1/4” フォン・プラグです。 これらは次
シンセサイザーなどの電子楽器: これらのデバイスの
の3つのセクションがあるため、TRS(Tip-Ring-Sleeve) 多くは、バランスまたはアンバランス・ラインで機能す
コネクターとも呼ばれます: 「Tip」と「Sleeve」(標準
るバランス・ライン出力を装備しています。 ケーブルの
のアンバランスのフォン・コネクターと同じ)の間に3番
長さが非常に長い、または干渉するオーディオソースが
目のセクション「Ring」(リング)があります。
あるという状況でない限りは、アンバランス・ラインの
ほうが無難です。
図7はバランス接続用に使用されるXLRプラグを示します。3
つのピンは3つのコンダクターに接続されます。1/4”フォ
ターンテーブル型プリアンプ、ポータブルCDプレーヤー
ン・ジャックは、バランス、アンバランスのどちらのライン
など: これらの民生機器は通常、RCAフォノ接続とアン
用に設計されたのか見た目では判断できません。しかし、ほ
バランス・ラインを使用します。ケーブルが非常に短いた
とんどの機器メーカーは、ジャックにどちらのタイプかを記
め、アンバランス・ラインでもまったく問題ありません。
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9
図6: バランス(TRS)1/4”フォン・プラグです。 3つのセクション
が、黒の絶縁バンドで区切られています。 これらは左と右チャンネルへ
独立したシグナルを伝送するときにも使用されるため、「ステレオ・プ
ラグ」とも呼ばれています。
図5: アンバランス1/4”フォン・プラグです。 チップ、黒
の絶縁バンド、グラウンドに注目してください。 ジャックの
基部がへこんでいるので、グリップが簡単で、ジャックに挿
入するときに便利です。
図7: バランス接続
用のXLRプラグです。
ポータブルMP3プレーヤー: これらのデバイスは、
ミキサー入力: マイク入力にはXLRジャックのバランス・
1/4”フォン・タイプに似た、やや小型なステレオ・ミ
ラインが使えます。 このライン入力は通常、1/4”ジャック
ニジャックとプラグ・コネクターを使用します(図12)。 を介してバランスまたはアンバランス・ラインを受けられ
ほとんどのプロ用オーディオ機器はこのタイプのコネク
ます。しかし、一部のハイエンド機器はバランス型ライン
ターをサポートしていません。したがって、それを使用
レベル・シグナルにはXLRジャックを使用します。
したい場合は、アダプターを用いて、ステレオ・ミニジ
ャック出力を、終端が1/4”フォンまたはフォノ・プラ
グである2つのアンバランス・ラインに変換します。
パワード・スピーカー: M-Audio GSRシリーズのパワー
ド・スピーカーといったモデルは、最先端のミキサーから
のラインレベル・シグナルを受信することができ、また、
エレキギターおよびベース: ほとんどがアンバランス・
コンビネーション・ジャックを装備しています。したがっ
ラインを使用します。
て、ミキサーのコネクターがなんであれ、接続できます。
図8: M-Audio DMP3プリアンプに
は、左方に出力ジャックがついていま
す。しかし、見ためだけでは、それが
バランスかアンバランスか区別がつき
ません。 そのような理由から、「バラン
ス」と明記されています。
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11
図9: XLRジャックは左方の大型の丸いコネクターで
す。 また、左下の赤いLEDは、マイクのファントム電源
が有効であることを示します。
図10: コンビネーション・ジャックが左方にあります。XLRと1/4”フォン・プ
ラグの両方が使用できます。
インピーダンス: 心配無用!
最先端のPAシステムにおいては、インピーダンス(非
常に簡単に言うと、入出力時にオーディオ・シグナルが
遭遇する「抵抗」です。測定単位はオーム)は、いくつ
かの基本的なガイドラインに従いさえすれば、さして気
ギターをPAシステムに直接接続するのなら、リアンプを使
用して、インピーダンスを適合させ、レベルを上げるとい
いでしょう。 ただし、ギターがマルチ・エフェクト・プ
ロセッサーやペダルボード、さまざまなエフェクトを使用
する場合は、ほとんど確実に、ラインレベルのミキサー入
に留める必要はありません。
力に十分なレベルとなります。
マイクロフォン: ほとんどすべてのPAマイクには低イン
パワード・スピーカー: M-Audio GSRシリーズのよう
ピーダンス出力端子がついており、低レベルのシグナルを
生成します。 低インピーダンスのマイク出力端子は低イン
ピーダンスのミキサー・マイク入力端子(第4章)に接続
します。これらの端子は低レベルで、低インピーダンスな
シグナルを送受信するよう設計されています。
シンセサイザー、ターンテーブル・プリアンプ、ポータ
ブル・ミュージック・プレーヤーなど: これらには必ず
低インピーダンス入力端子が付いており、高レベル(ラ
インレベル)のシグナルを生成します。出力端子をライン
レベル・シグナルを処理するミキサーの入力端子に接続
なモデルはインピーダンスに対して、それほど敏感では
ないので、ミキサー出力端子をスピーカーの入力端子に
接続するだけで問題なく機能します。アンプを内蔵してい
ない旧式のスピーカーの場合でも、インピーダンスに関
するルールは非常にシンプルです。スピーカーのインピー
ダンスを、パワード・ミキサーまたはパワーアンプのイ
ンピーダンス出力に合わせます。 たとえば、アンプに4お
よび8オームの出力端子があり、スピーカーのインピー
ダンスが8オームとされるのであれば、8オームの出力端
子に接続します。
すれば、インピーダンスは考慮する必要はありません。
ケーブル
エレキギターおよびベース: これらは特別なケースです。
な
ます。
ケーブルの手入れと取り扱いに関するヒントを紹介し
ぜなら、マイク入力にしては出力インピーダンスが高すぎ
る一方、シグナル・レベルがマイク入力には高すぎ、かつ
ラインレベル入力には低すぎるからです。一部のミキサーに
は特殊なギター入力端子が付いています。それらがなく、
12
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
·
多様な機器を接続するために必要なケーブルを特定
します。 短いケーブルも兼ねるから、という理由で長
いケーブルを購入するのはやめましょう。長いケー
図11: M-Audio Fast Track Proオーディオ・インターフェースにはバランス型TRS 1/4”フォン・ジャック出力端子が装備されていますが、TRS出
力端子の左側に4つのRCAフォノ出力コネクターがあることにも注目してください。 右上の図はRCAフォノ・プラグです。
ブルと短いケーブルを両方用意し、その都度適切な
長さのケーブルを使用するべきです。
·
·
接続に問題が生じます。プラグに何らかの接触面用ク
バックアップ用の予備のケーブルを用意しましょう。
リーナー(Radio Shackなどの店舗で販売。よりプロ
ケーブルは一般的に安定しているものですが、故障も
向けの製品はCaig’s DeoxITなどで販売)
をプラグに噴
生じえます(しかも最も大事なときに限って故障する
射し、数十回差し込んだり引き抜いたりします。 これ
傾向があります)。
·
·
マイクにはバランス・ラインを使用しましょう。
20~25フィートの比較的短いケーブルの場合、ア
·
ンバランス・ラインがキーボードなどの楽器からの
出力、そしてギターやベース・アンプなどからの直
接出力に適しています。 しかし、機器がこれらの楽器
に適応しているのなら、バランス・ラインを使用し
ても問題ありません。
·
プラグやジャックの金属は年月が経つにつれ酸化し、
·
で、酸化物が取り除かれ、接触が改善されます。
PAシステムの電源を入れる前にすべてのケーブルを
接続しましょう。 電源がオンになっているときにケー
ブルを接続または外す必要がある場合は、一旦アンプ
やパワード・スピーカーの電源を切り、すべての接続
が完了してから電源を入れなおしてください。
XLR 1/4”アダプターのようなアダプターを常備してお
きましょう。 予期しないことが起きるかもしれません。
ケーブルを抜くときは、必ずプラグ部分を掴んで抜
きましょう。決してワイヤーを引っ張ってはいけま
せん。
·
ケーブルを無理に曲げる、ケーブルを踏む、ケーブル
の上で重いものを転がす、送電線や熱い場所で使用
する、といったことはやめましょう。
·
周りに人がいるような環境でケーブルを使う場合は、
ガ
ムテープなどで床に固定しましょう。 誰かが転ばない
ように気をつけてください。
·
ケーブルをまとめられるようにケーブル・タイ(事
務用品店などで販売)を携帯しましょう。 ただし、混
線する可能性があるので、強いシグナルを伝送する
ケーブル(スピーカー接続など)と低レベル・シグ
ナルを伝送するケーブル(マイクなど)を一緒に束
図12: このステレオミニプラグは
ねるのは避けるべきです。
まさに小型バージョンの1/4”ステ
レオまたはバランス・プラグです。
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13
第4章:
スピーカー、ミキサー、および
モニターのセットアップ
スピーカー、ミキサー、マイク、そしてパフォーマーの
位置は、オーディエンスの体験、そしてPAシステムそ
のものの効果に大きな影響を及ぼします。この章ではこれ
らの要素の最適な配置を検証します。まずは機器の電源
スピーカー
スピーカー
ステージ
を入れる適切な順番について考えてみましょう。
最も重要なポイントは、アンプ(またはパワード・スピー
カー・システム)の電源は、すべての接続が完了した後
に入れることです。 システムの電源がオンになっている
ときにデバイスのプラグを差したり外したりすると、ス
オーディエンス
ピーカーや耳に障る大きなポップ音が発生します。 同様
に、ミキサーのマスターボリュームコントロール(また
はパワード・スピーカーのレベルコントロール)がゼロ、
すなわち完全にオフになっている状態で、システムの電
源を入れてください。 すべて問題ないことが確認できて
はじめて、ゲインを上げましょう。
スピーカーの配置
3/4のポイント
スピーカーの配置における基礎の基礎は、パフォーマーま
たはプレゼンターが使用するマイクの前方(オーディエン
スから見えるところ)にスピーカーを置くこと、そしてマ
イクとスピーカーをできるだけ離すことです。こうするこ
図13: 小さな会場の場合は、スピーカーを若干、オーディエンス
のほうに向けると、カバレッジが改善します。スピーカーが1つだ
けのときでも、それなりの効果があります。
とで、フィードバックを防ぎ最大のゲインが得られます。
ただし、例外があります。マイクがパフォーマンスの主要
部分を担っていないDJのセットアップです。この場合は、
GSR10およびGSR12スピーカーなら、2台のスピー
カーを縦に積み上げることができます。その場合、1台
スピーカーをDJと横並び、または若干後ろに置くことがで
のスピーカーの上面を同じ型のスピーカーの下面に固定
きます。ワイヤレス・マイクで何かを話すときは、スピー
するインターロックシステムを使用します。高さが増す
カーの後ろに下がって話しましょう。
と、カバレッジが劇的に改善されます。 ひっくり返るこ
スピーカーをスピーカー用三脚に設置するのであれば、
いること、オーディエンスとパフォーマーの邪魔になら
オーディエンスよりも高い位置で、動いたり回転したり
ない場所に設置されていることを確認してください。
とがないように、積み上げられたスピーカーが安定して
しないようにしっかり固定します。 誰かがスピーカーの
前を歩く場合は、スピーカーはその人物よりも高い位置
になければいけません。会場によっては、スピーカーを
2台のスピーカーのカバレッジを最高にするためには、ス
テージの左右で、若干中央に向けて配置します。オーディ
高い位置に設置するだけで、カバレッジが改善されます。 エンスの中央に線を1本引いたところをイメージしてく
ださい。その線上で、会場の奥、4分の3ほどのところ
14
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
ステージ
でスピーカーから引かれた直線が交差するように配置し
ます(図13)。ラウドスピーカーから出る高周波は、
非常にワイドな指向特性である一方、低周波は室内の物
スピーカー
体にあたり屈曲します。 すべてのオーディエンスからス
ピーカーが見える場合、高周波の音が聞こえるはずです。
これは同時に、サブウーファー(GSR18など)を高く
掲げる必要はないということを意味します。実際、サブ
ウーファーはフロアまたはステージ上にあったほうが、
よりよいサウンドになります(サブウーファーは重いの
で、それは幸運なことです)。 さらに、GSR18の上に
GSR10やGSR12を設置する場合は特殊なポールでマ
ウンティングもできます。これにより、最適化された高
周波/低周波スピーカーのペアが出来上がります。
B
スピーカーと壁
オーディエンスが聞いているのは、スピーカーからの音だけ
ではありません。壁や外の物体に反射した音も聞いています。
A
これら2つの音源に重大な時間差がある場合、音楽は明瞭さ
が低下し、プレゼンターの声は聞き取りにくくなります。
音は1フィート/ミリ秒(1秒の1000分の1)で伝わりま
図14: 人物「A」は、さまざまな要因により、スピーカーに近い人
物「B」よりも質の高い音が聞こえます。
す。 30ミリ秒以下の遅れは一般的に不快と受け取られま
せんが、それ以上の遅れはエコー効果の原因になります。 からの反射音が聞こえます。これは、後ろの壁が堅く、
スピーカーと反射面(もっとも音量の大きな反射を生み
音エネルギーを多く反射するとき、問題となります。
ます)の距離は10メートル以下が理想的です。 もちろん、 スピーカーをオーディエンスの中央から後ろに向ける理
これはいつも可能なわけではありませんが、この数値に
由はここにあります。つまり、直接音が反射音よりも大
近いほど、よい結果が得られます。 さらに、反射パスが長
きく聞こえるようにして、エコー効果を最小化するのです。
いほど、サウンドが弱まる点にも注意してください。反射
面まで10メートル以上あるときでも、音がかなりの距離
ミキサーの配置
を移動しなければならない場合は(特に室内に人間、衣
コンサートで、プロのミキサーは、オーディエンスに聞
類、ドレープなど吸収性の物質がある場合は)、あまり
こえているサウンドを聞くために、通常ホールの中央に
影響はありません。
陣取ります。 これが実用的でない状況もあります。長い
ケーブル(「スネーク」)により、ミキサーをステージ
また、問題なのは、横の壁で反射する音ではなく、むし
のマイクと、さらにはスピーカーと接続するからです。
ろスピーカーの後ろまたは前の壁に反射する音になりま
す。 図14を参照してください。ホール後方の「A」には
小さな会場(例:コンベンションセンターの会議室)向け
スピーカーから直接の音と、さらに後ろの壁に反射した
の一般的なアプローチとしては、ミキサーをスピーカーの
音が聞こえます。 これら2つの音源の距離は10メートル
ひとつと近いところに配置することが考えられます。
未満なので、この人物には、合理的な音質となります。
ミキシング担当者にはスピーカーから直接出るサウンド
横の壁に反射して聞こえる角度のついた音は、距離の点
が聞こえます。室内反射を考慮しないことになるので、
では直接聞こえる音とは異なりませんが、後ろからの反
スピーカーから直接出るサウンドが聞こえる人物には、
射音は、大分弱くなります。 一方、「B」はスピーカーか
正確なバランスの音になります(または少なくとも、
らの音、横壁から長く伸びる反射音、そして部屋の後ろ
ミキサーが聞いているサウンドになります)。
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15
ミキシング担当者が美的理由(演劇など)により姿を見
インイヤー・リファレンス・イヤフォンは、一般的にその
せるわけにはいかない状況、またはステージ前面にミキ
最適なソリューションとして考えられています。 このイヤ
シング用の余地がない場合は、ミキサーをカーテンの裏
フォンを使わない場合は、出演者の前にウェッジ(楔形)モ
側など、ステージの脇に置くという選択肢もあります。
ニターを置き、45度に傾けます(図15)。 ハイパーカーデ
ミキサーはヘッドフォンに頼らざるを得なくなるので、
サ
ィオイド・マイクを使うと、スピーカーからの音のピック
ウンドチェック中、ヘッドフォンで聞こえるサウンドが
アップが最小限に抑えられる上に、スピーカーは近距離で
オーディエンスが聞いているサウンドであることを確認
出演者のほうを直接向いているので、音量を上げる必要も
する必要があります。
パフォーマーとプレゼンターの配置
上述のように、マイクはフィードバックを最小限にするた
めにはスピーカーの後ろに置かなければなりません。 パフ
ォーマーがマイク・スタンドを使用するのであれば、一定
ありません。GSR10とGSR12スピーカーはどちらも、横
に置かれたとき、このウェッジ型のモニター・スピーカー
として機能できます。 とくにGSR10は小型であまり目立
たないため、この用途に理想的といえます。
トーンの設定
の位置に固定することができます。 ワイヤレス・マイクに
特定の会場に合わせて全体的なトーンを調整すると、音
は、少々問題となることがあります。「ファンを熱狂させ
質が劇的に改善されます。よくあるソリューションは、イ
たい」リードシンガーやステージの上を歩き回りながら人
コライザー(ミキサー内蔵型、またはミキサーとアンプ
々に説く話し手の場合は、特にそうです。 このような人た
間のシングルパスに追加)を使用することですが、M-
ちには事前にスピーカーの前を動かないように伝えておく
Audio GSR10とGSR12スピーカーは、
用途や会場に合わ
必要があります。さらに、ミキシング担当者は彼らの動き
せてスピーカーを最適化する4つの「チューニング」モー
を追い、フィードバックの発生につながるように思える動
ドを提供しています。ノーマル・モードは、標準リスニン
きをとった場合は、ゲインを低下させなければなりません。 グ・モードで、レスポンスはフラットです。Hi-Fiは、スクー
ハイパーカーディオイド・マイクはこのような状況におい
ル・ダンスというような場面での音楽、またはバックグ
て便利です。ただし、その場合、マイクを持つ人は、ス
ラウンド・ミュージックを流すときなどに最適です。 DJ
ピーカーから出る音よりも大きなレベルになるように、
モードは、低音を響かせ、よりサウンドをはっきりとさ
マイクを近づけて話したり歌ったりする必要があります。 せます。比較的音量が低くても、「DJサウンド」になり
モニターの配置
ます。
パフォーマーはスピーカーの後ろに立っているので、自
ボイス・モードは、
GSR10 と GSR12 にマイクを直接接
分たちの音が正確に聞こえません。 プレゼンターなどに
続すると最適化されます。会議、役員ミーティング、セ
とっては、それはあまり問題になりません。しかし、歌
ミナーといった場面で、ミキサーを使用せずに、音楽で
手の場合は、自分の声が聞こえないとピッチを維持でき
はなく声(ボイス)増幅したいときに便利です。
ないため、非常に重要になります。
図15: GSR10とGSR12を横にすると、
フロア・モニターとして使用できます。
16
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
第5章:
ミキサー
ミキサーはPAの交通整理係です。シグナルはさまざまな
入力
ソースから入ってきて、スピーカーに送信される出力セ
ットへとルーティングされます。圧倒されるような外観の
ミキサーですが、構成する複数のチャンネルは同質のも
のですから、ひとつのチャンネルを学べば、他のチャンネ
出力
ゲイン
マスター
ステレオ
バス
その他の
コントロール
ルについても学んだも同然です。
パンポット
入力および出力
主なミキサーの仕様は、入力と出力の数です。 たとえば、
8-in 2-outのミキサーは8種類のシグナル・ソースから
受信し、それらのシグナルを束ね合わせ、 2 つの出力
チャンネル・フェーダー
(「バス」ともいいます)へと変えます。 これら2つの出
力は、ステレオ(右と左)チャンネルを提供できます。
マスター
フェーダー
図16: シグナルは入力端子からミキサー・チャンネルを通じ
てチャンネル・フェーダーへ、そしてパンポットへ流れます。
入力シグナルパスを上から下への縦のフロー、そしてバ
ス(出力シグナルパス)を左から右への横のフローとし
この時点で、シグナルはマスター・ステレオ・バスに移動し、
マスター・フェーダーを通って出力部に送られます。
て、捉えることができます(図16)。 ミキサーは通常4か
ら数十の入力端子を装備しています。
チャンネル・ストリップ
各ミキサー・チャンネルには専用のチャンネル・ストリッ
ができます。スペースを節約するため、インサート・ジャッ
クは通常TRS(Tip-Ring-Sleeve)タイプであり、シグ
ナル・プロセッサーへ入出力するために特別なブレイク
アウト・ケーブルが必要です。
プ(「入力モジュール」ともいいます)があり、出力へ送
信する前にシグナルを処理またはルーティングします。基
プリアンプ: 低レベルのシグナル(例:マイク出力)の増
本のチャンネル・ストリップ(図17)には次の一部また
幅を目的とするプリアンプは、ゲイン・コントロールで
はすべての要素が含まれます:
設定されたゲインにします。チャンネル・ストリップもラ
入力ジャック: これは低インピーダンスXLRマイク入
またはより適切なゲインレンジをカバーします。プリアン
イン入力を提供する場合、ゲイン・コントロールを迂回、
力、および強力なシグナル用のラインレベル入力に使
プを使うと外部シグナルはすべて、フェーダー(後述)
用することができ、いずれのタイプにもセレクター・
でミックスされる前にほぼ同じレベルになります。
スイッチが付いています。ステレオ・シグナル入力や
あまり一般的でないオプションも付いています。16-in
ファンタム電源スイッチ: このスイッチがオンになる
ミキサーには8系統XLRマイク入力、および8系統ライ
と、+48VをXLRマイク入力に送り、コンデンサー・マ
ンレベル1/4”入力が装備されているといった具合に、 イクに給電します。
ミキサーにはしばしば異なるタイプの入力が混在して
います。
ロー・カット・フィルター: ミキサーに内蔵されてい
インサート・ジャック: これにより、
特定のイコライザー
ポップ・ノイズなどを最小限に抑えます。同様に、ハイ・
ない場合もありますが、低周波の鳴りを軽減やマイクの
やコンプレッサー(第6章を参照)などの外部機器をミキ
カット・フィルターは高周波を軽減し、ヒス・ノイズを抑
サーのチャンネルのシグナルパスにパッチングすること
えます。
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17
図17: これがM-Audio NRV10ミキサー/
ミュート・スイッチ: チャンネルのミュートは、フェー
インターフェースの通常のチャンネル・スト
ダーを下げ切ることと同じです。 チャンネルが不必要に
リップです。 上から、XLRマイク入力、バラ
ンスまたはアンバランスライン用1/4”ライ
ン入力(XLR inの代わりに使用できます)、
ミックスされることがないようにするには、ミュート・
スイッチを使用します。
TRSインサート・ジャック、ゲイン・コント
ロールの特性を選択した入力にあわせるため
のマイク/ライン・スイッチ、プリアンプ・コ
ントロール、高/中/低周波用EQコントロー
ル x 3、Aux Sendコントロール x 2(モニ
ターoutに1つ、オンボード・デジタル・エ
パンポット: ステレオ・ミキサーであれば、これにより、
入力シグナルを、ステレオ・フィールド内のどこにでも
設定できるようになります。
フェクトに1つ)、パン・コントロール、レ
フェーダー: これは、
他のチャンネルと相関的にチャンネ
ベル・フェーダー。チャンネル・ストリップの
ルのレベルを設定します。 リニア・スライダー(図18)、
下の[Mute]スイッチで選択され、チャン
ネルがミュートになったことを示すための黄
色のライトに並んで、レベル・フェーダーの
またはロータリー・コントロールのいずれかになります。
右上に赤色のクリッピング・インジケーター
ミキサー・バス
があります。
基本的なミキサーには2つの出力バスが付いています。ハイ
エンドなモデルには複数のバス(「センド」 または 「Aux」
ク リ ッ ピ ン グ ・イ ン ジ ケ ー タ ー :
と呼ばれます)が付いています。センドまたはAuxレベル・
このインジケーターは通常LEDで
コントロールを使用すると、これらバスのミックスを個々
す。シグナルがプリアンプに有効な
に設定できます。 これらはチャンネル・ストリップのシグ
ダ イ ナ ミ ッ ク ・レ ン ジ を 超 過 す る
ナルの一部を「狙い撃ち」し、フェーダーと同様の仕組み
と点灯します。すなわち、プリアン
でレベルを制御し、バスに送ります(図19)。
プのゲインを下げる必要がありま
す。一部の入力部にもシグナルが確
ミックスされたバス出力は、個別のミックスを歌手のため
認されると点灯する「アクティブ」 にセットアップする際によく使われます。 なぜなら、もし
LED が付いています(シグナルが 歌手がメイン・スピーカーから出る自分の声を聞こうとす
ミ キ サ ー ・チ ャ ン ネ ル に 届 い て い
ると、その音はおそらくマイクに入ってしまい、フィード
ることを示します)。 これらの状態
バックが起こりやすいからです。 一方で、フィードバック
がひとつの LED で 示されることも
を抑えるためにスピーカーの後ろにマイクを設定すると、
あります。この場合は、緑色になる
歌手は自分の声を聞けず、ピッチを保つことが難しくな
とアクティブであることを、赤色に
ります。 前述のとおり、この問題の解決策のひとつとし
なるとオーバーロードであること
て、リファレンス・イヤフォンの使用があげられます。
を示します。
ここで、Aux バスを使えば、歌手のためにボーカルやメ
ロディ・ラインの音量を上げ、ドラムなどの音量は下げ
イコライザー: トーン・コントロー
ルの一種です。第6章を参照してく
た、特別なミックスをセットアップすることができます。
このAuxバスは、リファレンス・イヤフォンを駆動する、
ださい。
別個のヘッドフォン・アンプに出力されます。 こうする
センド・コントロール: ミキサー・
ずに、自分の声を聞くことができるのです。
ことにより、歌手はモニターのシグナルをマイクに入れ
バスに関する章を参照してください。
またバスは、複数の個別チャンネルのマスター・ボリュー
ソロ・スイッチ: チャンネルをソロ
ム・コントロールとしても使えます。たとえば、複数のマイ
にすると、他の入力モジュールがす
クを使って教会のコーラスをミキシングしているとします。
べてミュートになります。これは、他
そのようなときは、各マイクから各バスへシグナルを送信
のチャンネルに気を取られず、特定のチャンネルで何が
発生しているかを正確につかみたいときに便利です。
し、マイクのチャンネル・フェーダーを下げます。そして、
バス出力をミキサー入力またはセンド(Aux)リターン入
力に戻し(図20)、メイン出力で再びミックスします。
18
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
図18: リニア・フェーダーは非常に調整が簡単です。特に、一度に複数を移動できるので、大変便利です。 これらの8つのリ
ニア・フェーダーは、Pro Tools録音用ソフトウェアに使用するAvid 003インターフェースの一部です。
各マイクのバランスを取るには、センド・コントロールを
与えます。 たとえば、歌手がリファレンス・イヤフォン
使用します。コーラス全体の音量を上げるまたは下げたい
を通して音を聞いている場合は、バス・マスター・コン
のであれば、各センド・コントロールを個別に調整するよ
トロールはリファレンス・イヤフォンに向かうレベルを
りも、ミキサー入力レベルまたはセンド・リターン・コン
調整します。
トロールを使用するとよいでしょう。
バス・リターン・コントロール: 前述のコーラスのよう
センド・コントロールには通常、プリチャンネル・フェー
な例では、それ専用のリターン入力が装備されているの
ダー・シグナル(フェーダー設定に関係なくレベルが一定
で、バス・リターンのためにミキサー入力を使う必要は
になります)またはポストチャンネル・フェーダーを選択
ありません。これらはライン・レベルであり、典型的なチ
するプレ/ポスト・スイッチが付いており、フェーダーを
ャンネル・ストリップのオプションすべてが使えるわけ
下げると、センドも下がります。
ではないですが、レベル・コントロールは可能です。また、
場合によっては予備の入力端子にもなります。
各ミキサーにはシグナルをバスに送信する独自の方法が
あります。 スペースが限られており、バスがたくさんあ
出力メーター: ほとんどのミキサーには出力メーター
る場合、チャンネルには、センド・コントロールと、セ
が少なくとも1つは付いています。ハイエンドなミキサー
ンド・コントロールを特定のバスにルーティングするス
の場合は、個々のチャンネルにメーターが付いていること
イッチが付いていることもあります。
もあります。 通常のメーターは10以上のLEDで構成され、
色によってレベルを区別します(正常は緑色、オーバー
マスター・セクション
ロードに近くなると黄色、オーバーロードは赤色)。
ミキサーのマスター・セクションには、次のようなグロー
シグナルが赤色のレベルに到達すると、歪みが発生する
バルなコントロールが含まれています:
可能性があります。
マスター出力コントロール: これを使ってミキサーの
ヘッドフォン出力: ほとんどのミキサーには、メイン出
全体的な出力レベルを変更します。
力から独立したレベルコントロールが付いたヘッドフォ
センド・バス・マスター出力コントロール: すべての
スには何も聞こえないように出力を下げ、ヘッドフォン
ン・ジャックが装備されています。つまり、オーディエン
ミキサーに装備されているわけではないですが、これら
でさまざまなチャンネルを聞き、すべてが順調なことを
はコントロールしているバスの全体的なレベルに影響を
確認できます。
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モノラル vs ステレオ
ほとんどのライブでは、全員が同じサウンドを聞けるモ
ノが好まれます。 ステレオにすると、「スウィートスポッ
ト」にいるのは一部のオーディエンスだけで、他は左か
右のチャンネルが主に聞こえるようになります。
ステレオ・
ミキサーを使ってモノをミックスするには、すべてのパ
ンポットを中央に設定します。
「ゲイン・ステージング」の 重要性
レベルを適切に設定するプロセスは重要です。レベルが高
すぎると歪みが生じ、低すぎるヒス・ノイズの原因になり
ます。 ミキサー内でレベルを調整する場所は主に3つあり
ます。ここではそれらの設定方法について説明します。
·
プリアンプ・ゲイン: これを歪みが発生しない範囲で
最大レベルに設定します(すなわち、クリップ・イン
ジケーターが点灯する寸前まで)。クリップ・インジ
ケーターが時折、点滅する程度なら、許容範囲内です。
点灯してしまった場合は、ゲインを下げてさい。
·
マスター出力: dBで測定されます。0dBは、マスター
図19: 濃い青の線は、チャンネル・ストリップを通るシグナルを示します。
薄い青の線は、シグナルがどのようにチャンネル・ストリップ・オーディオ
から、ミキサーのモニター・バスへと送られる出力を制御するノブへと渡る
かを示しています。 黄色の線は、2番目のセンドを示します。 ミキサーの内
部効果(リバーブなど)を適用される様子です。
出力にゲインが加えられておらず、シグナルも減衰し
ていないことを示しています。マイナスの値は減衰で
あり、プラスの値はゲインを示します。ミキシングを
開始したら、これを-3dB前後に設定します。ミキサー
には通常、ミキサーから送信される際の全体的なレベ
ルを示す出力メーターが装備されています。
·
チャンネル・フェーダー: これらを、
-3dB が出力メー
ターのピークになるように設定します。会場が満席に
なり、レベルを少し上げる必要が出てきたら、そう
してください。マスター出力を0、もしくはそれより
若干高めにします。0 よりもかなり高くする必要があ
る場合は、GSRシリーズのスピーカー・レベル・コ
ントロールを調整してください。
ミキサーとコンピューターの出会い
M-Audio NRV10といった一部のミキサーにはコンピュー
ター・インターフェースが搭載されています。これを利
用すれば、オーディオをコンピューターやスピーカーに
送信できます。コンピューターにレコーディング・ソフ
トウェアがインストールされているのなら、ライブ・コ
ンサートや会議、イベントなどを録音することができま
す。コンピューターベースのレコーディングは、本書の
対象範囲外ですが、最適なミキサーを選択するには、ラ
イブ・パフォーマンスをレコーディングする可能性も考
慮することが重要です。
図20: たとえば、コーラスなどで数本のマイクが使われる場合など、複
数のチャンネルからのシグナルは、Aux Sendバス1に送られます。その
出力をミキサー入力に戻すと(この場合は、Line In 7/8チャンネル)、マ
イクのバランスは変えず、Line In 7/8フェーダーにて、全マイクのレベ
ルを一括変更できます。
20
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
第6章:
シグナル・プロセッシング
シグナル・プロセッサーを利用して、それぞれのチャン
ネルと全体的な出力で、PAシステムのサウンドを改善
·
帯域幅:「Q」または「レゾナンス」とも呼ばれます。こ
れはブースト/カットの影響を受ける範囲を指定します。
する方法がいくつかあります。 PAのシグナルソースの
長所を引き出す「スパイス」のようなものと考えてくだ
準パラメトリックEQ
さい。 ただし、効果的に利用するためには、それらがど
のように機能するのかを理解する必要があります。
イコライザーの種類
イコライザー(EQ)は全体的な音質を操るトーン・コン
これは標準のパラメトリックEQのようですが、帯域幅
が固定されているという点が異なります。
グラフィックEQ
トロールです。細い声を太くしたり、よどんだ音をクリア
にしたりできます。イコライザーを使えば、PAの音響的
特性を特定の会場に合わせることもできます。
3から数十におよぶスライダーにて、特定の固定された周
波数域でのブーストまたはカットを決定します(図23)。
スライダーの物理的な位置から大まかな周波数特性を表示
イコライザーは通常、ミキサー・チャンネル・ストリッ
するのでこのような名前がつきました。 グラフィック・イ
プに装備されています。 しかし、シンプルなものから複
コライザーはミキサーのチャンネル・ストリップにはほと
雑なものまで、その種類は多岐に渡ります。 以下に概要
んど含まれません。しかし、その代わりにミキサーのマス
を記します。
ター・コントロールにて、全体的な出力を決定します。
シェルビングEQ
マルチステージEQ
これは一般的なHi-Fiシステムにおけるバスやトレブル・
高品位なミキサーは複数のEQ段階を組み合わせること
コントロールのようなものです。 周波数特性で「棚(シェ
がよくあります。 たとえば、ハイエンドなミキサーには
ルフ)」のような形状になるため、このような名前がつき
4ステージのEQが装備されています。これは、バス・
ました(図21)。 トレブル(「高域」)シェルビング・イ
シェルビングEQ、トレブル・シェルビングEQ、 および
コライザーは高周波をブーストまたはカットし、バス
2つのパラメトリック・ステージが組み合わされたもの
(「低域」)シェルビング・イコライザーは低周波をブー
です。 これにより、柔軟なEQが可能になります。 比較
ストまたはカットします。 低価格のミキサーでもトレブル
的低コストのミキサーのチャンネル・ストリップにも、
とバスのシェルビングEQは装備されているのが普通です。 ハイおよびロー・シェルビング、パラメトリックまたは
準パラメトリック・ステージの3ステージのイコライザー
パラメトリックEQ
が用意されていることがあります。
このレスポンスはシェルビング・イコライザーと異なり、特
シェルビングEQの用途
定の周波数域だけを増幅または減衰させます。(図22)。
シェルビングEQは広範にわたって一般的な変更を行う
パラメトリックEQには3つのコントロールが付いています。 場合に最適です。 ただし、マイクを使っている状況では、
·
ブースト/カット: 「ゲイン」とも呼ばれます。このコ
ントロールでピーク(ブースト)の量、またはノッチ
(カット)の深さを決めます。
·
周波数: ブーストまたはカットする周波数域を設定
します。
バスやトレブルを使いすぎるとフィードバックが発生す
る可能性が高くなるため、注意する必要があります。
·
オーディエンス補填: 人間や衣類は、特に高周波を吸
収します。 それゆえ、会場がいっぱいになると、全体
的なサウンドは幾分鈍くなります。 出力側で高周波を
少々ブーストするといいでしょう。
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21
Elevate your guitar tone.
パラメトリックEQの用途
パラメトリックEQは正確さが求められる状況において
最適なEQです。
·
ハムの軽減: チャンネルにAC電源関連のハムが発生
した場合は、周波数を60Hz(ヨーロッパでは50Hz)
に調整してみてください。 狭い(鋭い)帯域幅にて、ゲ
インをカットすると、ハムが軽減されます。
·
フィードバックの軽減: これは簡単なことではあり
ませんが、パラメトリックEQはフィードバックの軽
減に役に立つことがあります。 詳細は、第9章の「ト
ラブルシューティグ」を参照してください。
·
「ぶつかる」サウンドを隔離: たとえば、シンガーソ
ングライターは歌いながらギターを弾きます。ギター
の周波数の範囲の一部はボーカルと重なるため、
ボーカルの音と競合します。 ボーカルと重なっている
図21: シェルビング・フィルター反応。 高周波ブースト、低周
ギター・チャンネルを大幅にカットすると、ボーカ
波カットがあります。 「シェルフ(棚)」という名前は、反応が
ル用のスペースが増します。カットする正確な周波
上下した後レベルが直線的に安定することから付けられました。
数は歌手によって異なります。目安としてはバリト
ンは100Hz以下、ソプラノは約1,200Hzです(どち
·
DJ用: DJのオーディエンスは、
会議や生演奏のコン
らのケースも倍音)。 したがって、500Hzあたりから
サートよりもベースが効いたサウンドを期待してい
ギターをカッティングすることを検討し、歌手の要
ます。 ベースをブーストすると、オーディエンスをさ
望に応じて調整するとよいでしょう。
らに喜ばすことができるでしょう。
·
プレゼンターの声に威厳: 会議や講義では通常、
音量
はさほど必要ではありません。したがって、たとえ
ばコンサートと比較した場合、それほどバスやトレ
グラフィックEQの用途
·
えることができます。厚いドレープのカーテン、カー
ブルが要りません。どのマイクにもポップ音を最小限
ペット、木製の椅子などがあるスペースは、金属製
に抑えるためのウィンド・フィルターが付いており
の椅子が並べられたコンクリートの部屋よりも、音
(第2章を参照)、ローパス・フィルターが有効にな
を吸収します。周波数が高いと特にそうです。 逆に言
っていると仮定すると、プレゼンターのミキサーの
えば、コンクリートの部屋ではトーンアップして聞
チャンネル・ストリップで若干ベースをブーストす
こえます。 一部の周波数を上げ、他の周波数を下げる
ると、太く響く音になり、威厳が増します。
·
レゾナンスもあります。 お気に入りのCDなど、よく
プレゼンターの声をよりクリアに: 後列にいくほど、
知っている素材を使えば、より正確なサウンドを出
プレゼンターの声が不明瞭に聞こえる場合は、トレ
すように、グラフィック・イコライザーのフェーダー
ブルをブーストすると、ある程度聞き取りやすくな
を調節できます。 サウンドは居場所によって変化し
ります。
·
ます。したがって、特定のスウィート・スポットに
不鮮明なサウンドの修正: PAのサウンドが不鮮明な
対してサウンドを最適化するのではなく、むしろ平
場合は、バスを出力側で低くしてみてください。
·
耳障りな音、または不快な音の修正: 出力側でトレブ
ルを低くすると、不快感の少ない温かみのある音質
になります。
部屋の「チューニング」: 部屋はフィルターとして捉
均して適切な設定を試みましょう。
·
一般的な音質の変化: グラフィック・イコライザー
を使って、シェルビング・イコライザーと同じよう
な効果を与えることもできます。
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23
リバーブ
PAミキサーの中には、コンサートホールや大きな部屋に
いるような効果をシミュレートするリバーブを搭載してい
るものがあります。 リバーブでサウンドを印象的に響かせ
ることができる一方で、ほとんどのプロは、これをオフに
します。PAは室内に設置されていることが多く、リバー
ブを追加することにより、鮮明度が低下するからです。
ディレイやエコー、コーラスなどのエフェクトについても
同様です。 過ぎたるは及ばざるがごとし、なのです。
リミッター
リミッターは電気回路の1つで、モーターの律速機のよ
うに作動します。リミッターをかけるとサウンドは一
定のレベル以上にはなりません。ミキサーのリミッター
(装備されていれば)は通常出力側にあります(一部
のハイエンドミキサーでは個々のチャンネルにリミッ
図22: パラメトリック・フィルター反応。パラメトリック・フィル
ターがついています)。
ターは周波数特性にピークまたはノッチをつくります。
リミッターにはリミッティングしていることを示すイン
「特殊効果」のあるエフェクトが含まれることがありま
ジケーターが用意され、シグナル・レベル(ダイナミッ
クレンジも)が制限されていることを示します。 このイ
ンジケーターは頻繁に点灯させたくないものです。リミッ
ターは「安全バルブ」的要素が強いのです。 このインジ
ケーターが何度も点灯するのなら、全体的な出力レベル
を低下させたほうがいいでしょう。インジケーターがチャ
ンネル・ストリップ側で何度も点灯する場合は、チャン
す。会議や集会場などでこれらを使用することは考えにく
いものの、それらの特別なエフェクトを芸術的に駆使し
て、DJは新しい種類のサウンドを作り出し、劇団はまる
で別次元にいるようなサウンドを作り出しています。
フランジング(「ヒュー」というサウンド)、トレモロ
(単一の高さの音が小刻みに揺れて聞こえるよう断続的
かつ規則的に音量を上げ下げ)、ディレイ(「エコー」
ネル・ゲインの量が問題である可能性が高いです。
ともいいます)、個別の楽器のサウンドをアンサンブル
コンプレッサー
れていることがあります。
のように響かせるコーラスといったエフェクトも装備さ
コンプレッサーもダイナミクスを低下させますが、リミッ
ターとは異なり、より一定したレベルを維持するために
ピークを軽減し、低レベルのシグナルを増幅します。
最も重要なコントロールはスレッショルドと レシオで
す。 スレッショルドが低いと低レベルのシグナルがより
増幅され、レシオが高いと高レベルのピークを抑えます。
コンプレッサーは、ノイズレベルがあまり高くない会議
などでは役立ちますが、アンサンブルで低レベル・シグ
ナルを増幅すると、フィードバックの可能性が高くなり
ます。 ほとんどの用途において、コンプレッションはオ
フにしたままでいいでしょう。
その他のエフェクト
前述のエフェクトはPAシステムにはよく搭載されてい
るもので、サウンドの最適化を主な目的としています。
しかし、ミキサーの中には(M-Audio NRV10など)、
24
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
図23: グラフィックEQという名前は、スライダーが周波数特性の「
グラフ」を描くことから付けられました。
第7章:
楽器の増幅
ボイスの増幅と比較すると、楽器をPAシステムで入出
ハーモニー・ボーカル: リード・シンガーの場合と比
力するプロセスは、複雑になります。 楽器の増幅には主
べると、マイクはバック・シンガーから離して置く傾向
に2つのオプションがあります:
があります。二人以上の歌手で1本のマイクを共有して
いる場合は、特にそうです。 微妙な角度設定次第で、リー
·
·
マイクで音を捕り、それをミキサーに送信する。
ド・ボーカルをバック・ボーカルから際立たせることも
エレキギター、シンセサイザー、電子ドラム、ドラム
できます。
マシンなどの電子的音源のシグナルを、パッチコー
ドを通してPAシステムに直接パッチする。
まずはマイキングです。マイクの章で説明したとおり、
マ
イクのタイプと配置は音質に大きな影響を与えます。 さ
まざまなマイキングの状況に最適なマイクのタイプと配
置を考えてみましょう。
音源用のマイクの配置
ボーカル: 優れたマイク・テクニックにはいくつかあ
りますが(離して持つ、近づけて持つ、左右に動かしな
がら歌う、マイクの上で歌う、マイクに向かって歌う、
または特定のパートを強調またはぼかすためこれらの組
管楽器: 高い音圧レベルにうまく対応するためにはダ
イナミック・マイクを、楽器から約30cmほど後ろに
置いてマイキングします。 サックスに対しては、マイク
は一般的にベルの10センチほど上に設置し、サックス
の方を向かせます。
ピアノ: 蓋を開け、2本のコンデンサー・マイクを使用
します。高音律の弦に1本、中低音律/低音律の弦に1本
ずつ向けます。 どちらも、ハンマーが弦を打つ音を拾わ
ないように、ハンマーからは十分離れていることを確認
してください。
み合わせ)、人の声は十人十色なので、どんな声にもそ
ドラム: ドラムのマイキングには、すべてのドラムをカ
れぞれ異なるテクニックが必要です。 多くのボイスには、 バーするようにマイクを林立させたり、最低限のマイク
コンデンサー・マイクが最適です。ダイナミック・マイ を使ったりといくつかのアプローチがあります。 少ない
クのほうが適していることもあります。 また、ボーカル
をマイキングする際、フィードバックを避けるコツにつ
いては、「セットアップ」の章を参照してください。
アコースティック・ギター: 多くのアコースティック・
ギターにはミキサーに直接出力するピックアップとオン
ボード・プリアンプが備わっているため、マイクを使う
必要がないことがあります。そうでない場合は、コンデン
サー・タイプのマイクをサウンド・ホールとブリッジの
間に向けるのが一般的によしとされています。サウンド・
ホールに直接向けると、低音が響きすぎる傾向があり、
ブリッジに直接向けると音が細くなる傾向があります。
方が効果があることもしばしばであり、多くの人は3~
4本のマイクでうまくドラムをマイキングします。 キッ
クにはダイナミック・マイクを(ヘッドからわずかに外
すか、ドラム内に配置)、スネアとハイハットの間には
コンデンサー・マイクを、ドラマーの肩の上にオーバー
ヘッド・コンデンサー・マイクを(タムに向けて、シン
バルとは別の方向へ向けます)、および1~2本の室内
マイクを配置します。 ただし、最適な配置は、ドラムセッ
トや、ドラムサウンドのなかでミックスする際に際立た
せたい音、ドラマーの個人的なセットアップなどにより
異なります。
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ギターとベース・アンプ: 今では多くのアンプに、ミキ
良い例がAvid® Eleven® Rackです。 この製品にはさ
サーとPAシステムに送信するために特別に設計された
まざまなアンプ、エフェクト、およびマイクモデルが
電子出力部が装備されています。 できれば、シンプルに
収められており、ポータブルなボックスひとつで完全
これを有効活用してください。 そうでなければ、シング
なギターサウンドを生み出すことができます(ライブ・
ル・スピーカー・キャビネットを使い、ダイナミック・
パフォーマンス用のほかに、Eleven RackはPro Tools LE®
マイクをスピーカーの中心にグリルクロスから10セン
レコーディング・ソフトウェアのコンピューター・イ
チほど離して据えるか、マイクをもう少しスピーカーの
ンターフェースとしても機能します)。 セットアップは
端の方に移動してタイトなサウンドを捕らえるといいで
簡単。ギターをEleven Rackの入力端子に接続し、出力
しょう。 キャビネットに複数のスピーカーが搭載されて
端子をPAシステムに接続するだけです。
いる場合は、1台だけマイキングしてください。マイキン
グする場合は、小型の低出力アンプでも、他のマイクへ
もうひとつのオプションは、アンプのモデリングとエフェ
のリークすることなく、スタックされたアンプと同じく
クト・ソフトウェア(Avid Elevenなど)をラップトップ・
らい大きなサウンドとなることを忘れないでください。
電子楽器
コンピューター、またはパワフルなネットブックにロー
ドすることです。 この場合は、物理的なオーディオ入出
力のために、コンピューターのUSBポート、FireWire
このカテゴリーにはシンセサイザー、電子ドラム、ステー
ポ ー ト 、 ま た は カ ー ド ス ロ ッ ト ( PCMCIA ま た は
ジピアノ、ドラムマシンなどの楽器が含まれます。 これ
ExpressCardなど)に接続するオーディオ・インター
らの楽器は通常、ラインレベルのアンバランス・シグナ
フェースが必要になります。 Eleven Rackのように、入
ルを生成し、適切なミキサーチャンネル入力端子に直接
力端子にギターを接続すると、出力はメインのPAミキ
接続できます。 オンボード・シグナル・プロセッサーが
サーに送信されます。また、オーディオ・インターフェー
搭載されていることが多いので、PAミキサーに送信さ
スには、ギターに対応する特別に設計された入力端子が
れる前にそれぞれのサウンドを出すことができ、レベル
なければなりません。
以外の調整は必要ありません。
ベースのセットアップも同様です。
大規模なステージ・セットアップのプレイヤーは(それ
ぞれに独自の出力セットを備えた複数のキーボードを使
シンガー/ソングライター・セットアップ
うキーボード・プレイヤーなど)、サブミキサーを使用
GSR10およびGSR12のようなパワード・スピーカー
することもあります。 サブミキサーは概念としては標準
には、マイクまたはラインレベル入力ができます。こう
のミキサーと同じですが、マイクアンプや拡張EQなど
したスピーカーを2台所有することにより、シンプルで
を使うことなく、複数のラインレベル入力をミックスし
ポータブルなシンガー/ソングライター・セットアップが
ます。 プレイヤーがサブミキサーを使って楽器のバラン
可能です。 マイクはスピーカーのマイク入力端子に接続
スを調整し終えたら、そのマスター・ステレオ出力はメ
し、電子ピアノ、シンセサイザーからの出力、またはア
インのPAミキサーに送信されます。
コースティック・ギターのプリアンプ出力は、もう一方
のスピーカーのラインレベル入力端子に接続します。 こ
エレキギターとベースの
「ダイレクト」セットアップ
のセットアップを利用すると、ミキサーの必要性がなく、
大型のアンプとシグナル・プロセッサー多数を運搬する
注意: これはGSRトーン・オプションが全体的なサウ
のは非常に面倒なため、多くのギタリストがコンパクト
ンドに大きな違いをもたらすことが可能な状況での話で
なデジタル・プロセッサーに頼っています。 そうしたデ
す。オプションをすべて試してみてください。
ジタル・プロセッサーはエフェクト、アンプ、さらにこ
れらのアンプの特定のマイキングのサウンドをエミュレー
トします。
26
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
それぞれが独立してレベルを調整することができます。
第8章:
サウンドチェック
これですべてセットアップされました。この章では、シ
ステムが思いどおりに機能し、思いどおりのサウンドを
生み出すかをテストする方法を紹介します。
システムの「リングアウト」
システムを利用するパフォーマーまたはプレゼンターと
サウンドをチェックするのが最も理想的です。しかし、
こ
れは常に可能なわけではなく、数時間前、他の人々がま
だ会場に来ていないときに、セットアップしなくてはい
けないこともあります。
図24: GSRシリーズ・スピーカーにはスルー・ジャックが装備さ
れています。これはGSRスピーカーから別のGSRスピーカーの入
力部に入力シグナルを転送できるジャックです。
多くのサウンド・エンジニアは、CDプレーヤーといっ
たポータブル・プレーヤーと、お気に入りのCDなど自
サブウーファーのベースが場所によって弱く聞こえる
分が良く知っている音楽を持ち込み、セットアップ後に
場合は、サブウーファーの背面を壁に向けるか、隅に
システムにてそれを再生し、システムの性能を大まかに
置きます。サブウーファーの後ろから出る音は壁に反射
把握します。 これにて、数点の音響的な質がチェックで
し、メインのベース・シグナルを強化します。 また、あ
きます。
まり一般的なテクニックではありませんが、サブウー
ファーの正面をコーナーに向けて、ベース・サウンド
カバレッジ: 音楽を再生中、
会場内を歩いて回りましょう。 を拡散させるサウンド・エンジニアもいます。こうする
どこでも同じサウンドであることが、理想的ですが、そ
と、ベースの量が増し、壁に振動することで、追加の
のようなことはまれです。 均一のカバレッジのためには、 ベースが得られます。
スピーカーの角度や高さを幾分変える必要があります。
トーン: 前述のとおり、トーンは会場内の人の数により
M-Audio GSRシリーズ・スピーカーを使えば、最大3
劇的に変わります。 したがって、PAを「リングアウト」
台のスピーカー・キャビネットを連結することが可能
(サウンドの確認のプロセスを意味する専門用語)する
です(図24)。 これにより、スピーカー配置の選択肢
際には、後から調整可能なように、会場の特徴を分析す
が広がります。たとえば、あるスピーカーの上にもう一
る必要があります。 たとえば、会場内に堅い表面がある場
台のスピーカーを乗せたり、またはそれらを並べて配
合は、PAはサウンドの確認中少し明るく聞こえがちです。
置したりすることでカバレッジが改善ができます。音
しかし、その会場が人でいっぱいになると、高周波の一
響は会場によって異なるので、さまざま試して、最適
部が吸収されてしまいます。オプションひとつで、会場に
な配置を見つけましょう。
適したサウンドが設定できることもあります。GSRシリー
配置は高周波に特に大きな影響を及ぼします。 会場を歩
(Normal、Hi-Fi、DJ、およびVoice)を試してみると
ズのスピーカーでさまざまなトーン・オプション
き回り、どこからでもスピーカーが直線的に見えること
よいでしょう (図26を参照)。 室内にカーテン、ビロー
を確認してください(図25)。 複数のスピーカーを幾分
ド張りの椅子、満員の会場など表面の柔らかな物体がた
内側または外側に向けると、大部分においてカバレッジ
くさんある場合、Hi-Fi設定のほうがNormal設定よりも
が改善されることがあります。
バランスのとれたサウンドになります。
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再定義、再創造、そして普通じゃないことを
「全く驚異的だ!」
キング・ブリット
(DJ/プロデューサー | FiveSix Media)
周りの DJ 達と同じ様に、いつも同じトラックをプレイし、いつも同じ古い機材を使う。それがクールと言え
るでしょうか?人と違うパフォーマンスをするには…
DJシステム
Torq® DJ システムはアーティスティックなスタイルを志す DJ 向けにデザインされています。単なるミック
スはしない ̶ 音楽を再定義、再創作、そして再生させる。 Torq に搭載されたエフェクトを駆使して自分だ
けのオリジナル・サウンドをオンザフライでクリエイトし、トラックのマッシュアップもリミックスも思いのまま。
平凡なスタイルから脱却しオリジナル・スタイルへ。自分だけのユニークなサウンドとスタイルでフロアーを
オーガナイズする。 Torq で普通じゃないことを。
Torq ソフトウェアのユニークな機能をチェックする:
t シンク・ロック機能とテンポ・アンカーを使用して異なるテンポのトラックをビー
トマッチング
t キーを 1 度押すだけでエフェクトとプリファレンスのスナップショットを即座にリ
コール及びトリガー可能
t サードパーティーの VST エフェクトを使用して、自分だけのサウンドをクリエイト
t MIDI クロックと ReWire で外部機器 / レコーディング・アプリケーションとシンク
Torq DJ システムがどのように創造性へ革命を起こすかを学ぶには、www.torq-dj.com を参照してください。
© 2011 Avid Technology, Inc. All rights reserved. Avid、Torq、M-Audio、Avid のロゴは、米国内またはその他の国における Avid Technology, Inc. の商標及び登録商標です。
その他の商標は各社に属します。製品の機能、仕様、動作環境、販売状況は、予告なく変更されることがあります。
室内反響の調整
「シグナル・プロセッシング」の章で説明したとおり、
一部のミキサーには出力部にグラフィック・イコライザー
が付いています。 この機能を使用すると、会場の「チュー
ニング」が簡単になります。ただし、適切な調節には若
干の経験が必要です。
自分が良く知っているCDを使って、周波数スペクトル
に通常と異なる点がないかを分析します。たとえば、アッ
パーミドルレンジが不快に聞こえる場合は、この部分の
スペクトルを強調するレゾナンスがあると考えられます。
グラフィックEQを3-5kHzの範囲で下げながら音を聴き、
これで全体的なレスポンスがスムーズになるかを試しま
す。 反対に、柔らかな表面の物体が多くあり、ミドルレン
ジが減衰して聞こえる場合は、プレゼンターの声が不鮮
明に聞こえます。この例では、少々アッパーミドルレンジ
をブーストすると、この問題は解決する場合があります。
サウンド・レベルの確認
特定の会場に対してサウンド・レベルの規制を設けて
いる地域もあります。条例に違反していないかを確認す
るには、サウンド・レベル・メーターを使用します。
デバイスには、生成されたレベルを表示する目盛り付
きのマイクとメーターが付いています。サウンド・レベ
ル・メーターはRadio Shackなどの電器店で購入でき
ます。また、サウンド・レベルを計測できるiPhoneや
iPod Touchのアプリケーションもあります。
図25: ウーファーの上にスピーカーをポールマウンティングする
と、高周波カバレッジが改善されることがあります。
ベテランのエンジニアは実験がカギだと言いますが、ま
さにそのとおりです。 しかし、気をつけてください。 あ
るトーンを別のトーンに切り替えると、サウンドがよく
なった気がすることがあります。これは、必ずしも、サ
ウンドが改善されたのではなく、新鮮に聞こえた、とい
うだけのことがあります。変更を加える場合は、しばらく
をそれを試してみて、また元に戻す、ということを数回
繰り返し、「一番良かったもの」を選択するとよいでしょ
図26: GSRシリーズのトーン・ダイヤルで、
スピーカーの反応をさ
まざまな環境に合わせることができます。
う。そして、必要であれば、さらに別のオプションを試
し、新しい音と、前回の比較でもっとも良かったものを
比べてみてください。
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29
第9章:
トラブルシューティング
PAの基礎を学べば、そのプロセスが比較的易しいこと
素が原因になりうるからです。 以下はフィードバックが
がわかると思います。 問題に直面するときもありますが、 発生する可能性を低くするヒントを紹介します。
以下のヒントでほとんどの問題は解決されるでしょう。
指向性マイクを使うこと。全方向性マイクは絶対に使用
「位相外」の問題を解決する
しないこと。マイクはラウド・スピーカーから離し、音
位相の問題は通常、2本のマイクを1個の音源に使用し
源に向けて配置します。
(例:ピアノのマイキング)、それぞれのマイクが異な
る音波を拾うときに発生します。たとえば、1本のマイク
メイン・スピーカーの後ろにマイクを置くこと。 こうす
がその山を拾い、もう1本のマイクが谷を拾うとき、多
ると、スピーカーからの音がマイクに入る可能性は軽減
少の音が消されてしまうことがあります(図27を参照。 されます(図28)。 この方法の弱点は、ボーカリストま
簡略化しています)。 各マイクの音には問題がありませ
たは講師がスピーカーから出る音が聞きづらくなること
んが、それらを組み合わせたとき、音がぼんやりしたり、 です。このため、PAセットアップでは、モニター・スピー
か細くなったりすることがあります。 ジェット機が頭上
カーまたはリファレンス・イヤフォンが用いられます
を飛ぶときに体験する音の変化は、位相の変化によるも
(第4章を参照)。
ので、異なる反射音を聞いているから起こります。
マイクを「飲み込」まないこと。 マイクを非常に口に近
ミキサーには大抵、マイク・プリアンプの位相を反転さ
づけて持つことは、何センチか口から離した場合よりも、
せる位相スイッチが装備されています。 位相スイッチを
フィードバックの発生する率を高めます。 これは、近接
2本のマイクのうち1本でオンにして、2本を同時に使っ
効果がベースを増加させることが原因です。ベースが増
たとき、大きく「ファット」な音が出るのであれば、位
加すると、低周波でフィードバックが促進されます。
相を反転させたままにします。 位相スイッチがない場合
は、マイクを10センチほど近づけるか離すかすると、
この問題が軽減されることがよくあります。 2つのマイ
ク・シグナルがミックスされたときに、
可能な限り優れた音を引き出せれば成
功です。
フィードバックの処理
フィードバックは、スピーカーからの
シグナルがマイクに入り増幅され、再
びスピーカーから出力され、それがマ
サウンド
ソース
ピーク(山)
ディップ(谷)
マイク2
マイク1
イクに入りさらに増幅され、という
「フィードバック・ループ」に陥いる、
面倒なハウリングです。第2章で説明し
ミキサー
たとおり、フィードバックに「特効薬」
はありません。なぜなら、マイクの配
置、スピーカーの配置、ミキサーのコ
ントロール設定、イコライゼーション、
あるいはマイクの持ち方、と多くの要
30
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
図27: 音波が音源から発せられています。これらの音源を拾うように2本の
マイクを配置します。 しかし、1本のマイクはシグナルの谷を拾い、もう1本
のマイクはシグナルの山を拾っています。これは、組み合わされたシグナル
が相殺されてしまう原因になります。
パフォーマー1
パフォーマー2
マイク
パフォーマー 3
マイク
メイン・スピーカー1
メイン・スピーカー2
モニター・スピーカー モニター・スピーカー
図28: ステージのセットアップを上から見た図です。 メイン・スピーカーは
オーディエンスの方に向けられ、出演者とマイクはメイン・スピーカーの後ろ
にあります。 追加のモニター・スピーカーは、パフォーマンスを確認できるよ
うにパフォーマーの方を向いています。
EQを調整すること。フィードバックが始まったら、特定
さらに、歪みは音源そのもので発生する場合もあります。
の周波数に集中します。各チャンネルをソロにして、どの
たとえば、故障気味のマイク(マイクを何度か落とした
チャンネルがフィードバックを引き起こしているのかを
場合など)は歪んだ音を出すことがあります。故意であれ
見極めます。 EQをスティープ・ノッチに設定します。そ
無意識であれ、歪みは、アンプのような装置でも発生し
してフィードバックが最小になる周波数が見つかるまで、 ます。
周波数コントロールを動かします。 この作業は該当する
チャンネルを通るサウンドの質に影響する可能性もあり
ハムとバズの軽減
ますが、フィードバックが軽減されるとあれば、実行す
ハムとバズの発生源としては2つ考えられます。
る価値があるでしょう。 別のチャンネルで別のフィード
バック周波数を見つければ、それを軽減し、フィードバッ
まずひとつ目は、点灯している調光器または蛍光灯で、
クが発生する前にレベルを上げます。 フィードバックが
これらは干渉の原因となります。マイクのプリアンプ、ケー
すべてのチャンネルで発生するような場合は、ミキサー
ブル、ギターのピックアップのほか、敏感または高ゲイ
出力側でEQを調整する必要があります。グラフィックEQ
ンの回路はこの干渉をすぐに拾います。 この干渉が起き
では、パラメトリックEQほどには微調整できませんが、
ているかのテストは簡単です。 ライトを消し、問題がな
運がよければ、フィードバック周波数とグラフィックEQ
くなるかどうかを確認するだけです。 調光器が問題の場
のフィルター周波数が一致することもあります。
合は、調光器を上げ下げすれば、通常この問題は解決し
歪みを最小限に
ます。 問題を引き起こす可能性が最も低いのは、調光器
を使わない白熱電球です。
歪みはシステム内の複数の場所で発生する可能性があり
ます(第5章の「ゲイン・ステージング」のセクション
電気製品には干渉を生成するものもあります。 問題の原
を参照)。 まず、歪みの発生を知らせるクリッピング・
因がライトでなかった場合は、同じ回路上にある電気製
インジケーターが点灯しているかどうかを確認します。
品の電源を抜いてバズが軽減されるかどうかを確認しま
インジケーターがプリアンプと関係している場合は、プリ
す。多くのケースでは、ライン・フィルターをPAセット
アンプのゲインを下げます。 インジケーターがシステム全
アップに組み込むと、こうした種類のバズやハムに対す
体に関係している場合は(例:電源アンプ側のクリッピン
る優れた絶縁体となります。 ただし、どのフィルターも
グ・インジケーターが点灯)、マスター・ボリューム、ま
PAシステムを処理するために必要な電力に合わせる必
たはマスターに出力するすべてのフェーダーを下げる必要
要があります。家庭用エンターテインメント・システム
があります。 大音響のシステムではないことを前提にして
向けのフィルターなどは、適しません。
いますが、ソフトな音のほうが歪んだ音よりも適切です。
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そして2つめは、グラウンド・ループです。グラウンド・
少々費用がかさみますが、ほぼ常に有効なのは、グラウ
ループとはデバイスが使用できるグラウンド・パスが複
ンド・ループが発生する設備を、アイソレーション・ト
数あるという意味です。図29では、一方のパスはデバイ
ランスを通じてオーディオをパッチし、分離する方法で
スAからACグラウンドを通ってグラウンドにしていま
す。 これを実行するとグラウンド接続が妨害されますが、
す。しかし、もう一方のパスはAからシールド線とデバ
シグナルは伝送されます。
イスBのACグラウンドを通ってグラウンドしています。
各グラウド・ケーブルには若干の抵抗(電気的な摩擦)
もうひとつ、さらに費用がかさみますが、AC電源アイ
があるため、2本のグラウンド・ラインには電位差が発
ソレーション・トランスを使って使用する設備に給電す
生します。これは、少量の電流がグラウンドを介して流
るという方法もあります。 これには副産物的な利点もあ
れる原因となります。 このシグナルはホット・コンダク
ります。ACラインからのノイズがなくなる、スパイクや
ターに誘導される可能性があります。 ループもまた、ハ
トランジェントが軽減される、分離したACラインに匹
ムやラジオ周波数のアンテナのような役目を果たしてい
敵するパフォーマンスが得られる、などです。
ます。 さらに、回路上の多くのコンポーネントがグラウ
ンドに接しています。 このグラウンドが「汚れている」と、 多数のマイクロプロセッサー搭載の装置や理想的とはい
回路がノイズを拾う可能性があります。グラウンド・ルー
えないAC電源を持っている場合は、アイソレーション・
プは、マイクのプリアンプのような高ゲイン回路におい
トランスを追加することにより、さまざまなAC関連の
て、数ミリボルトのノイズが大幅に増幅されるため、大
問題が解決できる上、グラウンド・ループを回避するこ
きな問題を引き起こします。
とができます。 単純なグラウンド・ループであれば、特
定のオーディオ・ラインにオーディオ・アイソレーショ
考 え ら れ る 解 決 方 法 の ひ と つ は 、3ワ イ ヤ コ ー ド を
ン・トランスにパッチングするだけで、解決できます。
3-to-2アダプターに接続してACグラウンドを「持ち上
げる」することです。 しかし、これはグラウンドされた
ハムとバズの問題は、手ごわい問題に思えるかもしれま
シャーシにより提供された安全保護策を無効にするので、 せん。 しかし幸いにも、ほとんどの場合、小規模なセッ
まったく勧められません。 絶対にやめましょう。
トアップの場合は特に、これらの問題を心配する必要は
ありません。
それより適切な解決方法は、すべての装
置を同一のグラウンドされたACソースに
接続することです。すべてのグランド・
リードを単一のグラウンド・ポイント
(たとえば、ACアウトレットを短いコー
デバイスA
シールド線
デバイスB
パス1
ドを通じてフィードするバリア・ストリッ
プ)に取り付けます。 しかし、ACソース
がオーバーロードされていないこと、接
続されている装置に対して定格されてい
ることを確認してください。
パス2
AC電源へ
図29: デバイスが2つのパスを使ってグラウンドされると、
グラウンド・ループが発生
します。 それが問題になるかどうかは、AC電源の「汚れ」などといった複数の要因や、
デバイスのゲインに左右されます。
32
ライブサウンド・サバイバル・ガイド
第10章:
用語集
アンプ(Amplifier)
入力チャンネル(Input Channel)
入力部にて微弱な電気シグナルを受信し、ラウドスピー
ミキサーの入力専用にあてがわれた部分。 通常、入力と
カーを駆動するまでにそれを強化し、出力部に送信する
ボリューム制御のためのフェーダーで構成されますが、
デバイス。 アンプは独立したデバイスとしても使用でき
イコライザー、エフェクト、メーター、クリッピング・
ます。利便性からスピーカー・キャビネットやミキサー
インジケーターなどの、ミキシングプロセスを強化する
に内蔵されていることがよくあります。
機能も装備されていることがあります。
Auxセンド(Auxiliary Send)
ジャック(Jack)
「センド・バス」を参照してください。
デバイス間でシグナルを送受信するケーブル用のコネク
ター。「メス」のジャックが「オス」のプラグからのシ
ケーブル(Cable)
グナルを受信します。
両端がコネクターとなっているワイヤー。設備の相互接
続器として設計されています。
レベル(Level)
音量または音の大きさを示す用語のひとつ。たとえば、
ミ
クリッピング(Clipping)
キサー・チャンネルのレベル・コントロールを上げると、
入力シグナルがシステムが処理できるヘッドルーム(ダ
そのチャンネルに送信されるシグナルの量が増えます。
イナミック・レンジ)を超過すると発生する現象で、波
形が再現できずにゆがみます。
ライン・レベル(Line Level)
電子楽器、CDプレーヤー、MP3プレーヤーなどから送
クリッピング・インジケーター(Clipping Indicator) られる、比較的強いシグナル・レベル。
シグナルが最大のヘッドルームを超過したことを示す
光で、通常ミキサー・チャンネルとアンプ出力部にあ
マイク・レベル(Mic Level)
ります。クリッピング・インジケーターが点灯した場合
比較的弱いシグナル・レベル。特にマイクロフォンから
は、システム(または、個別のミキサー・チャンネル、 送られるシグナル。
またはクリッピングがパワーアンプで発生した場合は
マスターレベル)のレベルを下げる必要があります。
マイクロフォン(Microphone)
音響エネルギーを電気エネルギーに買える変換器。
歪み(Distortion)
何らかの理由で(例:電力処理容量が不適切)、波形を
マスター・ボリューム(Master Volume)
適切に再現できないときに発生。
全チャンネルを合計した、全体的なレベルを調整するミ
キサー上のコントロール機能。
イコライザー(Equalizer)
特定の周波数でシグナル・レベルを変化させるデバイス。 ミキサー(Mixer)
たとえば、より高い周波数をソフトにして甲高い音を防
複数のシグナル・ソースをひとつに束ね(通常はマイク
止、または低周波数のレベルを上げてベースを強調する
ロフォンと楽器の出力部)、そのシグナルをアンプに送
などを行います。
信するデバイス。 このデバイスは、各シグナル・ソース
の相対的レベルを調整し、適切なオーディオ・バランス
フェーダー(Fader)
にするためのコントロールを装備しています。 ミキサー
ボリューム・コントロール。通常はロータリー型ではな
の仕様は搭載するチャンネル数によって分かれます。た
くリニア型。
とば、4チャンネル・ミキサーには、4つのソースを入
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33
力できます。16チャンネル・ミキサーには16のソース
パワード・ミキサー(Powered Mixer)
を入力できます。
パワー・アンプ内蔵のミキサー。アンプを内蔵していな
いスピーカー・キャビネットを駆動することができます。
モニター・スピーカー(Monitor Speakers)
パフォーマーが自分のパフォーマンスを確認できるよう
パワード・スピーカー(Powered Speaker)
に、パフォーマーの前に設置されたスピーカー。オーディ
アンプ内蔵のスピーカー・キャビネット/システム。これ
エンスに聞こえるようには設計されていません。メイン・
により、アンプとスピーカーのマッチングが不要になり
スピーカーよりも小型であることが多いです。 一般的な
ます。
モニター・スピーカーはウェッジ(くさび)型です。フ
ロアに置かれ、パフォーマーに向け、上向きにサウンド
近接効果(Proximity Effect)
を発生させるためにこのように呼ばれます。
一般的にダイナミック・カーディオイド・マイクに関連
パンポット(Panpot)
ベース・レスポンスが上がります。
した現象。ボーカリストがマイクに近づけば近づくほど、
ステレオ・セットアップにおける、チャンネル単位のミ
キサー・コントロール。シグナルが左側、右側、中央、
リターン(Return)
またはステレオ・フィールド全体のどこで聞こえるよう
Auxまたはセンド・バスのシグナル・プロセッサーから
にするかを決定します。PAセットアップがモノラルの場
の出力を受信するミキサー入力。
合は、パンポットは中央に固定されます。
センド・バス(Send Bus)
ファンタム電源(Phantom Power)
異なるチャンネルからのさまざまな量のシグナルを束ね
コンデンサー・マイクのほとんどは、正常に機能するに
る、ミキサーとは別のサブミックス。これは主に2つの目
は、相応の電力が必要です。 ファンタム電源は、マイク
的において使用されます。 ひとつは、オーディエンスが
内部またはマイクに接続されている装置の電源を利用す
聴くメインミックスとは異なる、パフォーマー用のミッ
るのではなく、マイクのケーブル伝いに送電します(通
クス(ヘッドフォンまたはモニター・スピーカーのいず
常は+48ボルト)。 ダイナミック・マイクはファンタム
れか)を作るときです(例:ボーカリストのために他の
電源を必要としません。しかし、たまたまファンタム電
楽器は抑え、ボーカルを強調させたミックス)。 もうひ
源が有効になっていたとしても、それにより損害を受け
とつは、シグナル・プロセッサーにシグナルを送り、さ
ることはめったにありません。
まざまなシグナル・プロセッシングをチャンネルに追加
するときです。 たとえば、空間の広がりをもたらすため、
フォン・コネクター(Phone Connector)
大量のボーカルのシグナルと、少々のギターのシグナル
バランスまたはアンバランス・ライン用のコネクターの
をリバーブに送信する傍ら、ドラムのシグナルは送信し
一種。多くのセミプロおよびプロ用のオーディオ機器に
たくない、といったような場合です。 送信されるシグナ
用いられています。 プラグのバレル、またはジャックの
ルの量を決定するノブは「センド・コントロール」また
ホールが直径1/4”であるため、1/4” フォン・コネク
は「Auxセンド・コントロール」と呼ばれています。
ターとも呼ばれます。
XLRコネクター(XLR Connector)
フォノ・コネクター(Phono Connector)
バランス・ラインに使用される3ピン・コネクター。プ
アンバランス・ライン用のコネクターの一種。多くの一
ロ用のオーディオ機器に用いられる。
般向けのHi-Fi機器に用いられています。RCAコネクター
とも呼ばれます。
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ライブサウンド・サバイバル・ガイド
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