42章 イーサーの磔刑と復活(記載:2013年10月22日) - So-net

SF小説 「不思議な枕」第4部:ナザレのイーサー
著者:角茂谷
42章
繁
(かくもだに・しげる)
イーサーの磔刑と復活
前章(41章)では、アレクサンドリアにあるキレネ館のシモン先生(クリスト
ス教会の総裁)は、私(著者の角茂谷繁、夢の世界ではナザレのイーサー)にユダ
王国に帰国して、極秘任務を実行するように命じた。私はマグダナのメリーと5名
の元少年奴隷を連れて、アレクサンドリアからユダ王国に帰った。本章では、私が
ユダ王国で実行した極秘任務の成果を報告する。
私はユダ王国に帰ると直ぐに、死海沿岸にあるクムラン修道院を訪問した。シモ
ン先生は、この修道院の院長にジョン先輩を、副院長に私を任命されていた。シモ
ン先生はジョン先輩に、私の極秘任務を陰で支援するように指示されていた。そこ
で、私はジョン先輩から7名の修道僧を借りた。私は、この7名の修道僧と、アレ
クサンドリアから連れ帰った5名の元少年奴隷とで、12名の弟子集団を作った。
新約聖書では、これら12名の弟子集団を、12使徒と呼んでいる。
図 42.1
イーサー(ヘブライ語では、
イエス)時代のユダ王国の地
図(紀元 6~70 年頃)。
ガリラヤ湖
カナ(現在、ここにカナの
婚礼教会が建っています。)
ヨルダン川
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私と12使徒との教団がユダ王国で布教した様子は、新約聖書に書かれている。
ただし、聖書の著者たちは私の教義をよく理解していないので、間違いや潤色が多
い。例えば、カナの婚礼。ここで、私は民衆に始めての奇跡を見せた。宴席のブド
ウ酒が足りなくなったので、私は水をブドウ酒変えて見せたのである。カナの人々
は「これは、神の奇跡だ!」と仰天した。しかし、この程度の手品はエジプトの魔
術学では初歩の初歩であった。
図 42.2
カナの婚礼:本当は、新郎がイーサーで、新婦がメリーであった。
実は、カナの婚礼は、私(イーサー)とマグダナのメリーとの結婚式であったが、
新約聖書はなぜかこの事実を伏せている。なお、私達夫婦には、ハネムーン・ベイ
ビイーとして女の子が授かった。又、新約聖書では、山上の垂訓が有名である。
「この説教は、私(イーサー)が創作した有難い教えである」かのように、新約聖
書では書かれている。しかし、この説教はエジプトのイシス信仰の古い経典に由来
する。私はエジプトの教えを単に借用しただけであった。同様に、新約聖書には、
私のたとえ話が多数記載されている。これらは総て、私がエジプトやバビロニアで
学んだ話であった。
新約聖書に記載されているように、ジョン先輩は「ガリラヤとペレアの領主であ
ったヘロデ・アンティパスの結婚は姦通罪である」と非難した。そのため、ヘロ
デ・アンティパスは激怒してジョン先輩を逮捕し、遂に殺してしまった。クムラン
修道院の院長であったジョン先輩が殺されたので、後任の院長にはシモン・マグス
が任命された。彼は、アレクサンドリアにあるキレネ館のシモン先生の長男であっ
た。シモン・マグスはジョン先輩に代わって、私の極秘任務をよく支援してくれた。
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しかし、新約聖書には、彼は悪人として記載されている。これは、聖書の著者たち
がシモン・マグスの真の役割を知らなかったからである。
兎も角、新約聖書に記載されているように、私はロマ帝国のユダ州総督のピラト
から磔刑の判決を受けた。判決は金曜日の真夜中で、その日の朝には処刑が始まっ
た。私は総督ピラトの官邸(図 42.3 のI地点)からゴルゴタの丘(図 42.3 の XXIV 地点)まで、重い十字架を運ばされることになった。現在、この道筋は、「ヴ
ィア・ドロローサ」(悲しみの道)と呼ばれている。
図 42.3 左:「ヴィア・ドロローサ」(Via Doloross)の道順。この道は、私(イー
サー)が総督ピラトの官邸(I)からゴルゴタの丘(X-XIV)まで、十字架を担い
で歩いた、約1kmに及ぶ「悲しみの道」 のことである。右:Vの地点で、シモン
先生が私に替わって十字架を担って下さった。
私は筋トレを十分に行っていたので、十字架を運ぶことなどは平気の平左であっ
た。しかし、私は体力が無い演技を仰々しく行い、よろよろと十字架を運んだ。図
42.3 の IV 地点で、私は体力が尽きてもうこれ以上十字架を運べないふりをして、
道路に倒れ込んだ。すると、V地点からシモン先生が現れて、私を護送するロマ軍
隊長に次のように言った。
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シモン「隊長様!私は北アフリカのキレネからエルサレム巡礼に来ております、ユ
ダ人のシモンと申します。この死刑囚は、体力が尽きてこれ以上十字架を運べそう
にもありません。あなた方、護送隊の皆様は早く任務を終えて、従軍慰安所に行き
たいでしょう。ここに金貨が十枚あります。これで、十分に遊んで下さい。私に十
字架を運ばせてください。」
隊長「そうか。我らもこ奴がぐずぐずと十字架を運ぶので困っておった。お前が代
わって運んでくれれば有難い。金貨はわしが5枚もらって、5名の兵士には1枚ず
つ分配しよう。」
以上の経緯で、図 42.3 の右図のように、シモン先生が私に替わって十字架を運ん
で下さった。これは、前章(41章)で書いたように、シモン先生と私との約束で
あった。なお、シモン先生が隊長に渡した金貨は、エジプトの錬金術により銅貨に
金をメッキした贋物であった。しばらくは、シモン先生が十字架を運ばれて、私は
そばをついて歩いた。その間、先生は今後の軍資金にと、金貨が一杯詰まった袋を
私に下さった。この金貨は本物であった。
図 42.3 の VII 地点で、建物の3階から多量の金貨とパンが降ってきた。勿論、こ
れらの金貨は贋物であった。これは、クムラン修道院のシモン・マグス院長の仕業
であった。沿道にいた大勢の見物人は、先を争ってこれらの金貨やパンを奪い会っ
て、狭い道は大混乱になった。この時、私はシモン先生に促されて、そっと大勢の
見物人の中に紛れ込んだ。しばらくして、一人の兵士が、私の姿が消えたことに気
付いた。
兵士「隊長!死刑囚がいません。姿が消えました。」
隊長「何!それは、本当か?」
兵士「隊長!死刑囚を取り逃がすと、我々護送隊の全員は、責任を取らされて死刑
になります。」
隊長「そんな事はわかっておる!死刑囚が逃げたのなら、十字架を運んでいる奴を
代わりに処刑すればよい。我々の任務は、磔刑に架ける奴を一人運べばよいのだ。
誰だってかまわない。」
兵士達「隊長。それは名案です。我々は口裏を合わせて、死刑囚に逃げられたこと
は無かったことにしましょう。」
隊長「そのようにするから、皆も何事も無かったように、任務を続行せよ。」
兵士達「アイ、アイ、サーです。隊長!」
私の身代わりとなられたシモン先生はゴルゴタの丘(図 42.3 の X-XIV 地点)ま
で十字架を運ばされ、二人の盗賊と共に磔刑にされた。私は大勢の見物人に混ざっ
て、三人の処刑の様子を見ていた。私の母親のマルヤムと妻のメリーも処刑の様子
を食い入るように見ていた。それに反して、私の11名の弟子たちはどこかに逃げ
て行ってしまい見物人の中には居なかった。(なお、私を売った弟子のユダは密か
にクムラン修道院に逃げていた。)
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私は「神の御子が処刑されるので、きっと神は天変地異を起こして御子を助けに
来るだろう」と思っていた。しかし、天変地異は何も起こらなかった。ただ、太陽
が雲から出たり入ったりしていただけであった。十字架に架けられた二人の盗賊は、
「痛い、痛い。助けてくれ。」と泣き喚いていた。それに比べて、十字架上のシモ
ン先生は涼しい顔をされて何もおっしゃらず、微笑さえ浮かばせておられた。
午後3時になり、シモン先生の顔が急に苦痛に歪んだ。私は「神Aがシモン先生
から離れたのだ」と思った。シモン先生は「父よ。わが霊を御手にゆだねます」と
叫ばれて、息を引き取られた。まだ十字架で生きていた二人の盗賊は、ロマ兵に膝
を砕かれて絶命した。
ロマ帝国では、死刑囚の死体を墓に葬ることは禁止されている。そこで通常の通
り、三人の遺体は死者の谷に放り込まれた。死者の谷の遺体は、野獣や猛禽の食べ
るがままに放置される。新約聖書では、イーサー様のご遺体は篤志家に引き取られ
て墓に葬られたと記載されている。これは、「イーサー様のご遺体が野獣や猛禽に
食べられてしまった」との不都合な真実を隠蔽するためであった。
私(イーサー)は金曜日の昼間にゴルゴタの丘で行われた三人の磔刑を見て、ク
ムラン修道院に帰った。そこで、シモン・マグス院長と弟子のユダに会って、我々
の極秘任務の成功を祝って、マリファナ・パーティを開いた。日曜日の朝、妻のメ
リーがクムラン修道院にやって来たので、私は妻に声をかけた。
私「おはよう。メリーさん。」
メリー「おはようございます。あなたは誰あれ、誰でしょね?」
私「知らざあ、言って聞かせやしょう。何を隠そう、おまえのダーリンだよ。」
メリー「ダーリン?ダーリン?ダーリンは金曜日に磔で殺されちゃったの。シク、
シク。」
私「泣くな、小鳩よ!私は常々言っていたじゃないか。私は死して三日後に甦る
と。」
メリー「ダーリン!ダーリン!本当にダーリンなの?足を見せて。」
私「ハニー!何を疑うのか?ほれ、ほれ、見てごらん。ちゃんと、足はあるよ。幽
霊ではないのだ。」
メリー「本当だ!ダーリンは生きていたのね。嬉しいわ!Hしよう!」
私「ハニー!残念だが、復活した体は神聖だから、Hは出来ないのだ。それにして
も、11名の弟子たちはどこに隠れているのだ?ハニーは知っているかい?」
メリー「はい。知っています。私と一緒に、ニコモデさんの家に隠れていまし
た。」
私「じゃ、今から一緒にそこへ行こう。」
(本文は、7ページに続く。)
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図 42.4
マグダナのメリーに出現した復活のイーサー。
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私と妻のメリーは、ニコモデの家に行った。11名の弟子たちは、家の地下室に
隠れていた。妻のメリーは先に部屋に入って、弟子たちに言った。
メリー「みなさん!良きお知らせよ。ダーリンが甦ったのよ。」
弟子A「私はボスと、復活の手品を度々演じました。しかし、本当の復活は信じら
れません。ボスは十字架上で確かに亡くなられたのです。そこから、復活の手品を
演じることは絶対に無理です。」
私「皆に平安あれ!どっこい、おれは死から復活したのだ。」
弟子B「あなたは、本当にボスですか?十字架から復活されたのなら、手足に釘の
跡があるはずです。私は釘の跡を確認するまで、ボスの復活を信じられません。」
私「見ずに信じる者こそ、幸いである。汝はおれの言うことが信じられないのか?
それなら、別室に来い。汝だけにおれの傷跡をとくと見せてやる。どうだ。汝は信
じるのか、信じないのか?」
弟子B「ボス。申し訳ありませんでした。私が間違っておりました。私は心からボ
スのおっしゃることを信じます。」
私「それで、よいのだ。おれは常々汝らに言っていたじゃないか。おれは死して三
日後に甦ると。おれの教えを忘れたか?汝らは、おれの教えを疑ってはならない。
信じて、実行するのだ。さすれば、弾圧で死刑になっても、おれのように必ず復活
して神の国に行けるのだ。おれは、これから神の国に昇天して、自由で永遠の魂を
得るのだ。汝らも、自信を持って布教活動に精励せよ!」
弟子C「ボス。新しいボスは、誰にされますか?不肖、私では如何でしょうか?」
私「アホタレ!お前のような未熟者がボスになれるか。新しいボスには、おれの義
弟のヤコブを任命する。ヤコブの指揮の下、他の11名は布教活動に精励せよ!」
11名の弟子たち「はい。ボスのおっしゃることは、よく分かりました。私共は、
これまでの無知・無力を反省し、勇敢な戦士に変身して、布教活動に精励しま
す。」
私「それで、よいのだ。汝らに、神の祝福と平安あれ。」
私は、11名の弟子たちに布教活動の後を託して、妻とクムラン修道院に帰った。
そこで、妻のメリーと弟子のユダに次のように言った。
私「11名の弟子たちはぼんくらだから、彼らには難しい神学を教える必要はない。
汝ら二人は彼らより、霊的に極めて優秀である。従って、汝らのみにクリストス教
の奥義を伝授する。汝らは、二千年後まで奥義を伝えるように。二千年後に、おれ
は再臨して、無からこの世界が誕生した経緯をお教えるであろう。」
メリー「ダーリン!私の使命はよく分かりました。私はどうすればよいのでしょう
か?」
私「ハニー!ユダ王国は、間もなくロマ帝国に滅ぼされる。ここにいては、危ない。
汝は母と娘を連れて、南仏のプロバンスに行きなさい。そこで、我らの血統と奥義
を伝承して欲しい。」
メリー「ダーリン!よく、分かりました。そのように、いたします。」
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ユダ「私めを、奥義継承者にお選びいただき、恐悦至極に存じまする。私めは、い
かにすれば、よろしゅうございますでしょうか?」
私「汝は、クリストス教の奥義を伝える福音書を書け。ユダの福音書だ。今後は、
クリストス教の異端共が跋扈するであろう。従って、汝の福音書を守れ。エジプト
の砂漠にある洞窟に、汝の福音書を瓶に入れて隠しておくがよい。」
ユダ「承知つかまつりました。」
私「ここに、シモン先生からいただいた大量の金貨がある。これを二人で分けて、
これからの活動資金にしなさい。」
二人「有難うございます。」
以上のようにして、私(イーサー)はクリストス教の奥義を妻のメリーと弟子の
ユダに伝授した。その夜、私は妻のメリーとクムラン修道院の祈祷室で一緒に眠っ
た。私達夫婦はHをせず、ただ手を握りあって眠った。私は、不思議な枕で眠った。
この枕は、大友猿若君が大麻山の猿田彦神社・奥院で見つけた枕とそっくりであっ
た。
クムラン修道院にあった不思議な枕は、ベンゾフェノン先生がエジプトのあるフ
ァラオの墓で見つけたものであった。この枕は、ベンゾフェノン先生からキレネ館
のシモン先生に受け継がれ、彼の長男のシモン・マグス院長がクムラン修道院に持
ってきたのであった。(なお、キレネ館のシモン先生が私の身代わりになって十字
架上で亡くなったので、シモン・マグス院長がクリストス教会の総裁に就任し、義
弟のヤコブが副総裁に就任していた。)
私が入眠すると、夢の中に神Aと神Bが出現した。
神A「角茂谷君!長い間、ご苦労さん。」
神B「わてらのテンゴに付き合ってくれはって、ありがとさん。」
私「これで、妻の静香の所に帰れますか?」
神A「もちろん!」
神B「わてらのテンゴはまだまだ続くさかい、角茂谷君も付き合ってくれへん
か?」
私「私はこれで十分です。お相手には他の人を探して下さい。あなた方のテンゴも
いつかは終わりますよ。それから、あなた方はどうされますか?」
神A「この宇宙全体には、何千億もの惑星の上に知的生命がおるさかい、順番に訪
問して行って、違ったテンゴをしてみまひょう。」
私「あなた方(神様)は永遠の命をお持ちなので、この宇宙における総ての知的生
命を訪問することは、いつかは終了しますよ。その時はどうされます?」
神B「この宇宙でのテンゴが済んだら、次の宇宙に移りまひょう。」
神A「存在可能な宇宙の数は10500通りもあるさかい、退屈しのぎには、こと欠
きまへん。」
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私「それでも、いつかは終わりの時が来ると思いますが。」
神B「その時は、その時や。今は、終わりまでにはまだまだ、時間はおまっさ。」
神A「兎も角、角茂谷君とはこれでお別れや。送別会をしまひょ。」
図 42.5
ビール祭り(Oktoberfest)の写真。
飲め、兄弟たち(Trink, trink, Brüderlein, trink)の動画は次のサイトにあります。
➀ http://www.youtube.com/watch?v=A0ghiVR48vA ➁ http://youtu.be/AVIelwwnyu8
Trink, trink, Brüderlein, trink(飲め、兄弟たち)の歌詞
Das Trinken, das soll man nicht lassen,
酒を飲むのを やめちゃいけない
Das Trinken regiert doch die Welt,
飲酒こそが 世界を統べている
Man soll auch den Menschen nicht hassen, いつも皆に酒をふるまう奴を
Der stehts eine Lage bestellt.
うとんじちゃあいけない
Ob Bier oder Wein, ob Champagner,
ビール、ワイン、シャンパンだろうと
Nur laßt uns beim Trinken nicht prahlen,
酒を飲むとき 自慢はよしとこう
Es trank den Champagner schon mancher,
シャンパンを飲んじまったあと
Und konnt ihn nachher nicht bezahlen.
支払いが出来なくなった奴が沢山いるから
Trink, trink, Brüderlein trink,
飲め 飲め 兄弟たち 飲め
Laß doch die Sorgen zu Haus!
心配ごとは 家に置いておけ
Meide den Kummer und meide den Schmerz, 悩みや苦しみは やめにしよう
Dann ist das Leben ein Scherz!
だって人生は戯れだから
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以上のような経緯で、私達はビールを飲んだり、歌を歌ったりして盛り上がった。
そのうち、私は眠くなってしまった。ふと目が覚めると、私は皺くちゃの手を握っ
て蒲団の中にいた。私は「確かに、メリーの柔らかい手を握りながら眠ったのに」
と思って、手の主の顔を見るとそれは妻の静香の母親だった。
私「義母さん。ここは、どこですか?」
手の主「あんた。ここは、病院よ。私は静香よ。母じゃないのよ。」
私「おまえは、静香か。いつの間にか年を取ったなあ。」
静香「あんた。やっと、意識が戻ったのね。あんたは、この十年間は意識不明の植
物状態だったのよ。」
私「そうだったのか。わしは、平成15年5月3日に鳴門市の妙見山にあった夢屋
で昼食を食べた。それから、大道を歩いて斎田の角まで帰って来た。そこへ、片岡
熊子が走ってきた。それからの意識はない。今は、いつで?」
静香「今は、平成25年5月3日じょ。あんたは、熊子にお腹を包丁で刺されてな、
今まで気を失っていたんじょ。この十年間は、私がずっと看病してたんじょ。」
私「そうだったのか。有難う。長い間、おまえには苦労をかけたなあ。わしに、意
識が戻ったのは、お前のお陰じゃ。ほなけんど、今日になって、どないして気がつ
いたんだろか?」
静香「あんたに、なかなか意識が戻らんので、お医者さんからは生命維持装置を外
そうと、何回も言われたんじょ。ほなけんど、私はあんたが時々笑っているように
見えたんで、生命維持装置を外さなんだんじょ。昨夜は、家にあった不思議な枕を
試しに使ってみたんじょ。そしたら、あんたの意識が戻ったわけ。不思議な枕は、
やっぱり不思議ね。」
私「わしは、長い長い不思議な夢を見ていた。」
静香「それで、あんたは時々笑っていたのね。きっと、あんたは夢の中で、美しい
方々と沢山Hをしていたのでしょう?」
私「ム、ム、ム、そんな事はなかったわけではないけんど……。ほなけんど、わし
は静香に会いたいと、夢の中でもいつも思っておった。Hしよう。」
静香「バカ。あんたに、意識が戻ったけん、直ぐにお医者さんを呼ばなきゃ。お楽
しみは後で……。」
以上のような経緯で、私(著者の角茂谷繁)はやっと元の世界に戻ることが出来
た。めでたし。めでたし。
(42章は、2013年10月21日に執筆完了。)
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