ＩＯＭスマトラ沖地震及び津波被災者支援ニュース 2005 年 2 月 28 日国際移住機関（ＩＯＭ）東京事務所 No. 6 国際移住機関（ IO M）はスマトラ沖地震及び津波の被災者支援として、インドネシアとスリランカ両政府の要請に応えて、災害の直後から迅速に支援活動を展開しています。日本国政府などの資金提供を受け、援助物資の輸送・配布、医療支援、仮設住居の提供、被災者の登録、トラフィッキング（人身売買）対策の分野で活動しています。特に被災により心身両面に大きな痛手を負った子どもたちを始めとする、社会的弱者への支援を重視しています。医薬品の寄贈自衛隊機による患者移送 2 月 22 日及び 23 日に、ザイナル・アビディン病院（インドネシア・バンダアチェ）と同病院で活動する NG O、 AM DA（本部：岡山県）に対し、皮膚病用の軟膏や医薬品など 94 3kg を寄贈しました。これは、日本から民間機と自衛隊機のリレー輸送で届けられたものです。またその前にも、自衛隊の協力で、同じく日本からの支援物資である蚊帳 3,5 00 張とビニールシート 2 40 枚をムラボーで活動する日本の NG O、ピースウィンズ・ジャパンに届けました。 ↑インドネシア・バンダアチェｻﾞｲﾅﾙ･ｱﾋﾞﾃﾞｨﾝ病院への援助物資の贈呈右は IO M 職員の茅和伊（かやかつい） ©I OM 2 月 23 日、 IOM の医療スタッフの付き添いで、 70 歳の男性を自衛隊のヘリコプターでムラボーまで送り届けました。男性は津波に流されて腕を流木で打って大怪我をし、バンダアチェに移送され、インドネシア警察とオーストラリアの医療チームによる治療を受けていたものです。 ↑インドネシア IO M 医療スタッフとともにムラボーに到着した男性患者自衛隊のヘリコプターの協力 ©I OM 1 IOM はインドネシアのスマトラ島北部（アチェ州）において、援助物資の輸送・配布、医療支援、仮設住居建設、トラフィッキング（人身売買）対策を引き続き実施しています。 I OM インドネシア・バンダアチェ事務所日本人職員からの報告茅和伊（かやかつい）国連人口計画（ U NF PA ）によると、アチェ州の被災者のうち妊婦は 1 5,0 0 0 人で、薬や衛生用品、ひどい場合では石けんさえも使えずに出産するケースが少なくありません。困難なキャンプでの生活で妊婦が感じているストレスも見逃せない問題です。このような状況を受け、IO M は現在、妊娠中や幼い子どもを抱える女性を支援するプロジェクトの実施を検討しています。私は IO M の医療チームと一緒にバンダアチェの病院や近郊の被災者キャンプを訪問し、妊娠中の被災者や助産婦に実際に会って話を聞きました。一人の妊婦さんの話を紹介します。ラディアさん（ 36 歳・妊娠 7 カ月）主人と三人の子どもたちは、幸いにも津波を生き延び無事でした。しかし、私たちの家は完全に破壊されました。助産婦は、7 カ月にしては赤ちゃんが小さいので、超音波診断のために病院に行った方がいいと言っています。キャンプでたんぱく質やビタミンなど、十分な栄養を摂るのは困難です。食欲があまりなく、子どもの一人も栄養失調のためにずっと熱があります。津波のことをしょっちゅう思い出してしまい、悪夢に悩まされてよく眠れません。水の音や助けを求める人の声が未だにキャンプで避難生活をおくるラディアさん母子 ©I OM 聞こえます。以前一度受けたカウンセリングが非常に助けになりました。これからもカウンセリングを受けたいと思います。自分でもこれまでの妊娠とは違うと感じます。背中、腹部、首の後ろに強い痛みを感じ、朝目覚めるときには倦怠感やめまいがあります。病院に行かなければと思っているのですが、主人が仕事で忙しいので子どもたちの面倒を一人でみなければいけないし、もう充分苦しんだので、赤ちゃんに何か悪いことが発見されたら悲しみが増えるだけです。私たちは後日、超音波診断ができる病院を探し出し、ラディアさん連れて行きました。幸い胎児に異常はなかったのですが、栄養不足であることは間違いありません。アチェ州の州都バンダアチェだけでも 1 0 6 ものキャンプがあります。ラディアさんのように、適切な診療を受けられずに苦しんでいる女性がいったいアチェにはどれほどいることでしょう。 2 IOM はスリランカにおいて、東部や南部を中心に被災者支援を行っています。仮設住居の建設、援助物資の輸送や配布、トラフィッキング（人身売買）対策を中心に活動を続けています。トラフィッキング対策スリランカは、強制労働や性的搾取のためにレバノンや湾岸諸国に送られる女性被害者の多い国です。国内でも、性的搾取のために多くの女性や子どもがトラフィッキングの犠牲になっています。 IOM は、日本政府からの資金により、大きく分けて 3 つの活動を通じて、各地の被災者キャンプにおけるトラフィッキング（人身売買）対策を実施しています。・ポスターによるキャンペーンシンハラ語で 2 ,0 00 部、タミル語で 3,0 00 部のポスターとパンフレットを用意しました。「遠く離れた地域や海外でいい仕事を紹介する」とか、「子どもをいい暮らしができるところに連れて行ってやる」といった誘いには充分注意するようにポスターで呼びかけています。情報ホットラインの番号も知らせて、電話での相談も受け付けています。警察の子どもと女性の担当部署にもポスターの配布について協力を受けています。・経済的支援特に片親の世帯に対する生計手段の回復を支援しています。親子で一緒に暮らすことや子どもが学校に通うことを可能にします。・心のケア現地の N GO と協力し、地域での心のケアに関わる人たちへのトレーングを実施中です。スリランカ IO M は生計手段の回復として、漁師に対して網などの道具を提供することを計画している © D a v i d La ng / I OM 200 5 . I O M とは？当ニュースレターに関するお問い合わせは： IOM In te rn a tion al Org an iza tion for Mig ra tion 国際移住機関東京事務所国際移住機関（ IO M）は、国際的な人の移動（移住）の問題を専門に扱う国際機関です。「正規のルートを通して、人としての権利と尊厳を保証する形で行われる人の移動は、移民と社会の双方に利益をもたらす」という基本理念に基づき、移民個人への直接支援から関係国への技術支援、移住問題に関する地域協力の促進にいたるまで、幅広い活動を続けています。 IO M の本部はスイスのジュネーブに置かれており、世界各地に約 20 0 のフィールドオフィスがあります。加盟国は 20 04 年末現在で 10 9 カ国。日本は 1 99 3 年に加盟しました。代表中山暁雄（東京事務所長）〒105 -00 01 東京都港区虎ノ門 1- 1-1 2 虎ノ門ビル 8 階 Tel: + 81 (0 )3 35 95 248 7 Fa x: + 81 (0 )3 35 95 24 97 E-ma il: io mt oky o @io m.i nt Int ern et: ht tp:/ /ww w.i om .int /t su na mi / ↑スマトラ沖地震・津波被災者支援活動ページ “ Ja p an e se Re lie f O pe r at io n ” の “ AC T V IT Y U P D AT E” にこのニュースレターのバックナンバーが掲載されています 3