IOM スマトラ沖地震及び津波被災者支援ニュース 2005 年 4 月 28 日 国 際移住機関(IOM)東京事務所 No. 14 国際 移 住機 関 (I OM ) はス マ トラ 沖 地震 及 び津 波 の被 災 者支 援 とし て 、イ ン ドネ シア とス リラ ンカ 両政 府の 要請 に応 えて 、災 害の 直後 から 迅速 に支 援活 動を 展開 して いま す。 日本 国政 府 など の資 金 提供 を 受け 、 援助物資 の輸送 ・配布 、 仮設 住居の提 供 、 被 災者の登録 、 人身取 引(トラフィッキ ング)対策 、 医療支援 の分 野で活 動し てい ま す。 特に 被災 によ り心 身両 面に 大き な痛 手を 負っ た子 ども たち を始 めと する 、社 会的 弱 者への支 援を重 視して います 。 他のドナ ー国 の追加 支援を 受けて 、3 月 28 日に 新た にスマ トラ島 西岸沖 で発 生した 大地震に も対応 してい ます。 IOM は 4 月 20 日 、トラ ック 5 台を 提供し、イ ンドネシ アで活動 する日 本の NG O 、ピ ー ス ウ ィ ンズ ・ ジ ャパ ン(PWJ )が使 用する 援助 物資 4 0 ㌧ を輸送 しま した。 マッ トレ ス、衣 類、調理器 具、ラン プやジェ ネレー タ ーな ど で 、PW J が バ ン ダア チ ェ近 郊ロ ー ン郡 の村 7 カ 所で 配 布す るも の です 。PW J が ジャ パ ン ・プ ラ ット フォームの 支援を受 けて配布 する物 資も輸送 しまし た。 イ ンド ネ シ ア PW J の 援助物 資を運 ぶ I O M 輸送 部隊 → ©IO M 20 05 IOM はイン ドネ シア のス マトラ 島北 部( アチ ェ州 )にお いて 、援 助物 資の輸 送・ 配布 、 医療 支援 、心 のケ ア、 仮設 住居 建設 、人 身取 引( トラ フィ ッキ ング )対 策を 引き 続き 実 施してい ます。 また、 包括的 な被害 状況調 査も実 施し ていま す。 仮設住居の引き渡し 4 月 26 日、バ ンダア チェ近 郊のテ ィンカ ム村 におい て、 IOM は 完成し た最初 の 9 軒 の仮設住 居を被 災者に 引き渡 しまし た。引 き渡し 式には 120 名の参 加があ り、 IOM の イ ンドネシ ア事務 所代表 から入 居者に 住居の 鍵が手 渡さ れまし た。テ ィンカ ム村では 10 7 1 世 帯が 親 戚 や友 人 に 身 を寄 せ て 避難 生 活 を 送っ て いま す が 、 村の リ ー ダ ーが 屋 外 で テン ト 生活 を 送っ て い る 9世 帯 を 優 先し て 仮 設 住居 に 入居 させまし た。 入居者の 一人で あるイ ラ・マ アラフさ ん (2 6 歳 女 性 )は 、 新し い 住 居を 初 めて 見 て涙 を浮か べな がら こう 言い まし た。 「テ ント 暮ら しは子 ども にと って とて も厳 しい もの です 。地 面で寝 てい て子 ども が病 気に なら ない か、 いつ も心配 して いま した 。新 しい 生活 を始 める チャ ンスを 下さ って あり がと う。 」村 のリ ーダ ーの 一人の ウマ ル・ ダニ さん (男 性) もま た涙 を浮 イ ンド ネ シ ア かべな がら、 「I OM と一 緒に やって きてよ かっ ティ ンカ ム 村で 完成し た仮 設住居 ©I OM 2 005 た。こ れか らも 村の 仲間 たち のた めに 、残 りの 住居の 建設 を頑 張り たい 」と 話し てく れま した。 IOM は インド ネシア 政府と の合意 のもと 、日本 政府の 支援に より、 最大 1 1,0 00 軒 の 仮設住居を 50 万 人もの 人々 が避難 生活を 送るア チェで 建設す る予 定です 。I OM の代 表 は引 き渡 し式 にお いて 、残 りの 仮設 住居 の建 設が でき るだ け早 く進 むよ うに 努め ると 述 べました 。 IOM が建 設して いる 仮設住 居の材 料はイ ンドネ シア製 で、 広さは 3 6 平方 ㍍、 水道や 電気 の設 備も あり ます。 3 年 程度 の使用 が可 能な 耐久 性が あり ますが 、簡 単に 分 解や再度 の組み 立てが できる 仕組み です。 生計手段の回復支援 IOM は人 身 取引 対 策の 一環 と して 、 バン ダア チェ 近 郊 のラ ン カン 村 にお い て 、特 に 被害 に遭 う危 険 性 の高 い 女性 被 災者 に 対 して 生 計手 段の 回復 の た めの 職 業訓 練 を開 始 し まし た 。あ ひる の 飼 育 に つ い て の ト レ ー ニ ン グ が 始 ま り 、 37 名の 女 性が 、 小 屋の 作 り方 や えさ の やり 方 など 、 飼育 の 基 本を 学 んで い ます 。 近 郊の 成 功し てい る農 家 に 見学 に も行 き まし た 。 他に も 、縫 製や イ ンド ネ シ ア・ ランカ ン 村 あ ひ るの 飼 育ト レー ニ ング パンの作 り方の 教室も 開催す る予定 です。 デ ヴィ ・ヤ ンティ さん (1 9歳) 。も うすぐ 生 まれ る 子ど も ため に生計 を助け たい と 参 加 ©I OM 2 005 I OM はス リラ ンカ にお いて、 東部 と南 部を 中心 に被災 者支 援を 行っ ていま す。 仮設 住 居の 提供 、援 助物 資の 輸送 や配 布、 人身 取引 (ト ラフ ィッ キン グ) 対策 を中 心に 活動 し ています 。 移動眼科クリニック IOM はスリ ラン カ政 府と 眼科 大学と 協力 し、 南部 のハ ンバン トゥ タ県 で移 動眼科 クリ ニック を開始 しま した 。専門 家や 技術者 が被 災者キ ャン プや 学校を 巡回 し、最 大 6, 50 0 人を診察 します 。眼鏡 の提供 が 4, 70 0 人、 白内障 など の手術 を実施 するの が 2 00 人 と 予想して います 。また 、1 30 人 の専門 家に対 する眼 科のト レーニ ング も実施 します 。 被災 者は ただ でさ え苦 しい 生活 を送 って いる 中で 、目 に障 害が あれ ば、 ます ます 毎日 の暮 らし が厳 しく なり ます 。子 ども であ れば 教育 が受 けら れな くな るか もし れま せん し、 大人 あれ ば働 けな くな るか もし れま せん 。視 力の 回復 は単 なる 医療 サー ビス の提 供で は なく 、人 々を 元の 暮ら しに 戻す ため に不 可欠 なこ とな ので す。 眼鏡 をな くす だけ でも 人 の行動は 狭まり ます。 2 このパイ ロット プロジ ェクト は、最 大 7 7, 00 0 人に 眼科診 療を提 供し、 30 0 人 の専門 家に トレ ーニ ング を実 施す ると いう スリ ラン カ政 府の 計画 に先 立っ て実 施し てい るも の です。 I OM スリ ラ ンカ 事 務所 日本 人 職員 か らの 報 告 仮設住居 プロジ ェクト 担当 4 月 13 日よりコロンボ事務所に赴任 し、仮設住居の建設にたずさわって いま す。事務所からカルタラ(コロンボの南約 25km)周辺の現場へ、ほぼ毎日通ってい ます。現場に向かう途中のモラトワ海岸沿 いは、瓦礫や倒壊した家々が数キロ続いて おり、津波の被害の大きさを感じます。被 災地に立つと 10 年前の阪神·淡路大震災の ことを思い出さずにはいられません。当時 の私は大阪で建築を専攻する学生で した が、大規模な自然災害を前に、安全な居住 環境について改めて考えさせられました。 スリ ランカ ↑ → 瓦礫の 続 くモ ラト ワ海岸 大野拓也 撮影 ©IO M 20 05 カルタラ周辺の被災者の多くは、寺院の境内、学 校の運動場、市民グランドなどに設置されたテント 村で暮らしています。炎天下の中、テント内は非常 に暑く、住民はテントとテントの間にシートを張る などして日陰をつくり、日中を過ごしています。ま もなく雨季に入るため、一刻も早い仮設住居の完成 が望まれます(仮設住居の詳細については、当ニュ ースレターNo.10を参照してください)。 現在、およそ 25,000 平方㍍の市民グランドに 建設する 250 戸の仮設住居の配置図を準備してい ます。トイレやシャワーを担当する UNICEF 職員 らと連携し、すでに現地のテントで暮らす人々の声 を聞きながら進めています。 I O M とは ? 大野 拓 也 (お おの た くや) スリ ランカ → モラ トワの 仮設住 居 建設現場で 大野拓也 撮影 ©IO M 20 05 ↓ 当ニ ュー ス レ タ ー に関する お問 い合 わせは: IOM In te rn a tion al Org an iza tion for Mig ra tion 国際移住機関 東京事務所 国際移住 機関( IO M)は 、世界 的な人 の移動 (移住) の問題 を専門 に扱う 国際機 関です 。 「正規の ルート を通し て、人 として の権利 と尊 厳を保証 する形 で行わ れる人 の移動 は、移 民と 社会の双 方に利 益をも たらす 」とい う基本 理念 に基づき 、移民 個人へ の直接 支援か ら関係 国へ の技術支 援、移 住問題 に関す る地域 協力の 促進 にいたる まで、 幅広い 活動を 続けて います 。 IO M の本 部はス イスの ジュネ ーブに 置かれ て おり、世 界各地 に約 20 0 のフ ィール ドオフ ィス がありま す。加 盟国 は 20 04 年末現 在で 10 9 カ 国。日本 は 1 99 3 年に 加盟し ました 。 代表 中山暁 雄(東 京事務 所長) 〒105 -00 01 東京都港 区虎 ノ門 1- 1-1 2 虎 ノ門ビ ル 8 階 Tel: + 81 (0 )3 35 95 248 7 Fa x: + 81 (0 )3 35 95 24 97 E-ma il: io mt oky o @io m.i nt Int ern et: ht tp:/ /ww w.i om .int /t su na mi / ↑ス マ トラ 沖地 震・津 波被災 者支援 活動 ペ ージ 3 “ Ja p an e se Re lie f O pe r at io n ” の “ AC T V IT Y U P D AT E” に この ニ ュ ー ス レタ ー の バッ ク ナ ン バー が 掲載 され てい ま す
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