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Chaucer の天文学・占星術用語

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Chaucer の天文学・占星術用語
酒
見
紀
成
チョーサーが天文学を相当勉強していたことは,彼の作品を読んだ者なら誰でも気づく
ことだが,彼の A Treatise on the Astrolabe(c. 1393)を読めば,その高度な専門性に驚
かされる。J. D. North(1988)は The Equatorie of the Planetis もチョーサーの作だと言
うが,もしそうであれば(私にはかなり説得力があるように思われる),詩人の天文学の知
識は大学の学者のそれに匹敵しただろう。彼は「粉屋の話」で天文学に凝っている大学生
ニコラスを登場させており,彼ならオックスフォードで中世の四学(quadrivium)を,す
なわち算術・音楽・幾何・天文学を習ったであろうが、詩人は写本を集めて独学したもの
と思われる、それも絶えず。彼の宇宙に関する知識は,J. D. North によれば,The House of
Fame を書いた 1380 年代の初め頃――チョーサーは 40 歳を過ぎて学び始めたらしい――
からだんだん深化している。当時は Martianus Capella の『文献学とメルクリウスの結婚
について』には親しんでいたが,まだ Macrobius を詳しく読んでおらず,彼は『スキーピ
オーの夢』の著者ではなく,単なる注釈者だと、真の著者はキケローだと知ったのは The
(しかし,The Nun's Priest's Tale 3123-24 では再
Parliament Fowls を書いた頃だという。
び混同している。)そして彼の努力は十数年後に例の『アストロラーベ論』となって結実す
る。
これはチョーサーが 10 歳になる息子 Lewis のために書いたもので――フランスの大学者
アベラールはエロイーズとの愛の子にアストロラーベという名を付けている――,当初の
予定では五部から成るはずであったが,内容がかなり高度であるため,ルイスが興味を無
くしたのか、天文学の年表に関する第三部,惑星の位置と運行に関する第四部と,占星術
の理論に関する第五部は書かれずじまいである。書かれた第一部は天体観測儀の構造につ
いて,第二部はその操作法についての解説であり,チョーサーは伝統に従って,
「専らお前
の教育のために英語に翻訳した」と序文で言っているが,当時広く天文学の入門書として
使われた John of Sacrobosco の De sphera よりずっといいと North は言う。詩人が訳した
のは Massahalla の作とされる Compositio et operatio astrolabii であるが,この本にない
操作法もかなり含まれている〈Part 2 の 4, 19, 22-23, 26, 32 など)。しかも,書かれなかっ
た第三部以降の材料も持っていたらしい。Nicholas of Lynn の年表や第四部の材料となる
べき Theorica planetarum の写本,第五部のための Alkabucius の Introductorium ad
scienciam astrologie judicialis(法的占星術入門)などである。パースの女房が口にするく
らいだから,Almagest も持っていたかもしれない。それどころか,チョーサーは第四部を
書いていたと North は主張する。D. J. Price が発見した The Equatorie of the Planetis が
1
それで,エクアトーリウムの作り方と使い方について書かれている。North がそう考える
のは,詩人が持っていたであろう Campanus of Novara の Theorica にもエクアトーリウム
のことが説明されていたからである。この道具を使えば,惑星の位置が数分で調べられる。
が,著作者の問題については今は立ち入らない。詩人の「アストロラーベ論」を理解する
ことが先だからである。
この作品も「エクアトーリウム」も散文自体は平易であるが,その内容を理解するのは
私のような文科系の人間には難しい。North の Chaucer's Universe(1988)の解説を読ん
でもまだ分からない箇所がたくさんある。そこで本稿では,まず当時の天文学・占星術の
専門用語のグロッサリーを準備することにした。理解のために North の本に出てくる現代
の専門用語も含めた。解説の部分は(小田稔・野田春彦・上村洸・山口嘉夫編)
『理化学英
和辞典』(研究社)から多数引用させていただいた。見出しは最初に現代英語の,次に中世
英語の語形を挙げたが,これは逆の方がよかったかもしれない。中世英語だけを挙げると
きは一字インデントさせた。
Alfonsine table
アルフォンソ十世の天文用年表(カスティリア王が 1272 年頃トレド
市の子午線を基本として作らせた)
alidade
cf. Tables Tolletanes
アストロラーベの裏面にある回転する定規で,これに付いている照準
板で天体を観測する。reule 'rule' とも呼ばれる
Almageste
プトレマイオスの天文学書(「粉屋の話」に出てくる大学生ニコラス
も『アルマゲスト』
(天文学大全)を持っていた)
almenak
天体暦(一日あるいは数日おきに惑星の位置を書いた早見表〉
almycanteras(pl.) 等高度線(地平線と平行する天球の同心円。いいアストロラーベで
は 1°ごとに描かれるが,ルイスのは 2°間隔だったので 45 本)
almury
Alnath
レーテの山羊座の頭の近くにあるポインター [Arab]
(1)アルナス星(古くは白羊宮の頭,つまり春分点の近くにあった
星を指すことがあったが,今日のおひつじ座のα星)
(2)月の最初の宿(「郷士の話」の 1. 1281 に出てくる)
angle
(占星)第 1・第 4・第 7・第 10 の宮で,ホロスコープの四つの基本
方位で始まる。これに続く第 2・第 5・第 8・第 11 の宮は 'succident',
第 3・第 6・第 9・第 12 の宮は 'cadent' という
angular speed
角速度(単位時間あたりの方向の変化量)
angular separation
離角(太陽と惑星・月との間の角距離。月の太陽からの一日の離角
は 12.190749°)
anomalistic month
近点月(近地点を基準とした場合の月の公転周期:27.5546 日)
anomaly
近点離角,近点角
apse-line
楕円軌道の長軸線(= a line of apsides)
2
argument
Arin
引数(軌道上の天体の位置を表わす角度。周転円の半径で決まる)
エクアトーリウムの中心点(地球を表わすが,Equa の著者のように,
地球の中心,従って宇宙の中心を指すと考える者もいた)
armillary sphere
ascendent
アーミラリ天球儀
(占星)東出点,上昇点(誕生時など特定の時に,東の地平線にかか
る黄道上の位置。東出点にある黄道十二宮の星座。太陽が白羊宮に
入るときに重要な出来事が起こるとされた。パースの女房が生まれ
た時は金星の住居である金牛宮が東出点にあり,火星がその中にあ
った)
aspect
星相,アスペクト(地球から見たときの,太陽に村する惑星や月の
位置関係。合(conjunction),衝(opposition)のほかに,2 つの天
体の経度が 120°離れているときは三分(さんぶん)
,60°離れてい
るときは六分(ろくぶん),90°離れているときは四分(しぶん)と
いう。衝と四分は凶の,三分と六分は吉の星相とされる)
astrolabie
アストロラーベ,天体観測儀 (太陽と恒星の位置を調べる道具で,
チョーサーの頃の標準的なアストロラーベは直径が 6 インチ〔約 15
センチ〕だった)
astronomical day
天文日(平均太陽日のことで,恒星日より約 4 分長い。太陽が子午
線を通過した時刻を 0 時とする。1925 年以降は常用日を用いる)
atazir
誕生時の星位を支配する惑星が投射する光線〔力〕の方向 (黄道上
の弧が人の寿命を表わすと考えられた。
「法律家の話」1. 305 に出て
くる)
aux (pl. auges)
axtree, extre
遠地点(apogee)(ここから平均運動を測る) cf. perigee
(アストロラーベなどの)旋回軸、心棒 (この語は Astr には現われ
るが,Equa では 'renspyndle' が使われる)
azimuth
方位角(ルイスのアストロラーベは 24 の方位角を持っており,現代
のコンパスの 4 / 8 / 16 / 32 個と一致しない)
Caput and Cauda Draconis
canonical hours
竜座の頭と尾(月の軌道が黄道と交差する 2 点)
聖務日課の定時課,すなわち Matins(朝課),Prime(一時課),Terce
(三時課),Sext〈六時課),None(九時課),Vespers(晩課),Compline
(終課)
celestial equator
天の赤道(チョーサーは 'equinoxial' と呼ぶ方を好む)
celestial longitude
黄経(春分点から東向きに測る) cf. celestial latitude 黄緯
chilyndre
携帯用の日時計 (「旅人の日時計」とも呼ばれるが,ある一つの緯
度にだけ有効.「船長の話」に出てくるジョン師も持っていた)
civil day
常用日(起点を真夜中にとった 1 日で,恒星日より約 4 分長い)
3
clymat
地球を緯度で区分したもの (プトレマイオスは人間が住める世界を
七つに区分していた)
clokke
機械仕掛けの時計はチョーサーの時代には既に存在していたが,た
いていが記念碑大で,教会や公共建造物以外では稀だった.鐘を鳴
らして時を知らせるものが多く,文字盤(アストロラーベに他なら
なかった)をもつ時計は稀。一日に 15 分以上狂った。家庭用の小型
のものは未だ登場せず。
collect yeeris
長期年表(20 年周期)
cf. expans yeeris
conclusioun
アストロラーベの操作法(「粉屋の話」に出てくる大学生ニコラスも
自分のアストロラーベを持っており,その操作法を知っていた)
concentric
同心の
cf. eccentric 偏心の(中心を異にする)
configuration
星位
conjunction
合(ホロスコープにおいて 2 つの天体が 0°離れていること,つまり
同じ方向にあること)
coordinate
crepuscule
datum line
day artificiall
cf. opposition 衝
座標(黄道座標と赤道座標がある)
天文薄明
cf. twilight
基準線〔面,点〕
天文学上の日の出から日没までの時間,すなわち日周弧(‘twilight’
を含まない)
day naturall
正午から正午までの一昼夜で,24 の均等時からなる(2.7)
day vulgar
夜明けから薄明の終わりまで,つまり日周弧 + 'twilight'
declination
赤緯(赤道座標における緯度。北を正,南を負にとった天の赤道か
らの角距離で表わす)
deferent
cf. right ascension
従円(プトレマイオスの天動説で,天体や周転円の中心がその周上
を動くとされた,地球を中心とする円)
descendent
下降点(黄道上で東出点と正反対の点)
diurnal arc
日周弧(天体が行うみかけの日周運動の軌跡のうち地平線より上の
部分。つまり,日の出から日没までに空が回転する時間。これを 15°
で割ると,均等時が得られる)
direct motion
順行(天体がみかけ上,天球上を西から東へ,すなわち太陽と同じ
向きに動くこと)
eccentricity
cf. retrograde motion
離心率(この値が大きいほど細長い楕円になる。地球の離心率は約
0.0168 であるが,火星のそれは大きく 0.2056)
eclipse
ecliptik
(太陽・月の)食 〔次の ecliptic と同様,ギリシア語起源〕
黄道(太陽の 1 年間の天球上での軌道。太陽はこの大円上を 1 日に
約 1°ずつ東向きに進むが,これは地球の公転運動による太陽のみか
4
け上の運動にほかならない。ルイスのアストロラーベでは,黄道は
2°の間隔で日盛りが付いていた)
eighthe spere
第八天球(恒星の集う天球層で,プトレマイオスの理論では第八天
球の運行は一定であると考えられた。トロイルスの魂は第八天球層
へ上昇した――もっとも,W. W. Skeat は土星の第七天球層だとして
いる)
elongation
embelif
epicycle, epicicle
離角(太陽と月・惑星との間の角距離〉
斜めに(占星術では,斜めに昇る星座は直角に昇る星座に従う)
周転円(プトレマイオスの天動説で,惑星の軌道を構成する円の
1 つ。その円自身も他の従円にそって地球のまわりを回っている)
equant centre
プトレマイオスの惑星の運行モデルで,惑星の周転円の中心をのせ
た線が長軸線と交わるところ
equation of the center
中心差(月と同じ周期で黄道上を一定の角速度で進むような仮想
月を考える。このとき実際の月の視黄経から仮想月の黄経を引いた
値を中心差という。楕円運動する惑星一般に対して用いられる。太
陽の中心差の最大値を Almagest は 2°23′としている)
equation of time
均時差(真太陽時から平均太陽時を引いたもので,真太陽時の変動
を表わす。赤道と黄道が傾いていることと,地球の公転軌道が真円
からずれているためにみかけの太陽速度が季節によって変化するこ
とに由来する)
equatorie
エクアトーリウム(月と惑星の位置を計算するための一種の「計算
尺」。Equa の記述では,直径は 6 フィート〔約 183cm〕もある。ち
なみに,伊能忠敬が使った象限儀の長さは三尺八寸〔約 115cm〕で,
子午線儀の一方の柱の高さは七尺〔約 212cm〕,もう一方は三尺五寸
であった)
equinoctial point
分点,昼夜平分点〈天球上で黄道が赤道と交わる点。つまり,太陽
が天球上で赤道を横切る場所・時)
equinox
exaltacioun
春[秋]分,分点
(占星)最高星位〈惑星が人の運命に最高の影響力を発揮する黄道上
の位置。チョーサーは "dignitees of planetes" ともいう。10 世紀の
アラブの天文学者 Alkabucius によれば,月と太陽以外の惑星は二つ
の住居をもち,それらは経度 120°と 300°を結ぶ線で左右対称をなし,
どの惑星も最高星位と最低星位は常に 180° 離れた位置になる〉
最高星位
最低星位
住
月
金牛宮
天蝎首
巨蟹宮
太陽
白羊宮
天秤宮
獅子言
5
居
expans yeeris
face
水星
処女宮
双魚宮
処女宮・親子宮
金星
双魚宮
処女宮
天秤宮・金牛宮
火星
磨羯宮
巨蟹宮
天蝎宮・白羊宮
木星
巨蟹富
磨羯宮
人馬言・及魚宮
士星
天秤宮
白羊宮
磨羯宮・宝瓶宮
短期年表(1 年周期)
(占星)黄道十二宮のそれぞれの宮をさらに 10°ずつ 3 つに分割した
もので,特定の惑星に割り当てられている
Fortuna Major
cf. terme
土占いの図形の一つ(プレイアデス星団の 6 つの星の配置に似てい
ることから,TC 3, 1420 でも昂を指すのかもしれない)
gnomon
golden number
(日時計の)指針;晷針(古代人が太陽の南中高度測定などに用いた)
黄金数(西暦年数に l を加えて 19 で割った残りの数。復活祭日を定
めるのに用いる。中世教会暦に金文字で記されていたことから)
Good Friday
聖金曜日,受難日(復活祭の前の金曜日で,キリストのはりつけを
記念する教会の祭日)
horoscopo
星占い,
(誕生時の)天体位置観測,天宮図
hors
馬の形をした小さな留め金(ラベルやレーテを本体に固定する)
house
(占星)家,宮(ある地点で,地平線と子午線,さらに子午線から 30°
離れた 2 つの大円によって天球を 12 分した球面月形の一つ。その区
分は時と緯度によるので,「惑星の」宮と区別して「現世の」宮と呼
ばれることがある)
kalender
天文用年表(太陽の高度,月の相・惑星の位置などの予報値を記し
たもの。Astr の序文にはフランシスコ会修道士 John Somer とカル
メル会修道士 Nicholas of Lynn の年表への言及があり,どうやら
チョーサーはそれらを持っていたらしい)
label
アストロラーベの第二の定規(レーテの上に重ねられている)
latitude
ある場所の緯度を求めるには北極の高度を調べる方法と,太陽の子
午線上の高度から太陽の赤緯を引く方法がある(2. 22-25)
leap year
うるう年
Libra
天秤宮(=「罪のはかり」という伝統的なイメージがあり,キリスト
の処刑とも結びつけられた。教区司祭が話を始めたのは天秤宮が昇
っていた日の午後 4 時であった)
limb, lymbe
(四分儀なピの)目盛りぶち,分度圏(この語は Equa には現われる
が,Astr では 'bordure' が使われる。また,両作品は 'egge' をもこ
の意味で使っている)
mansioun
(占星)月の宿(しゅく)(27.5 日で黄道を一周する月が星の間に占
6
める場所。27 か 28 の宿があり,一つの宿の広さは約 12°51′)
mene mote
平均位置(mean motus)
cf. mean sun 平均太陽(天球の赤道を
平均した角速度で動く仮想太陽),mean time 平均時
mediation
星の座標の一つ(ある星が子午線まで来たとき,その星の春分点か
ら子午線までの黄道上の経度)
meridian line
子午線(天球上の北極・南極と観測者の天頂・天底を通る大円。ア
ストロラーベのプレートでは垂直の線)
meridie
mid-heaven
正午(meridian noon, midday)
(占星)中天(特定の場所・時刻に子午線が黄道と交叉する点)
midnyght-lyne
アストロラーベの子午線の下半分
mile wey
星の高度で 5°(人が 20 分で歩く距離が 1 マイルだから)
nadyr
天底(天頂の対蹠点)[Arab]
new moon
ninthe sphere
nocturnal arc
cf. zenih[Arab]
新月,朔(太陽と月の経度が同じである時に起こる)
cf. Primum Mobile
第九天球
夜周弧(天体が行うみかけの日周運動の軌跡のうち地平線より下の
部分)
noumbres of augrym
算数を教える時に使われる数字,つまりアラビア数字
(augrym は 9 世紀の優れた天文学者 al-Khwārizmī の名前に由来す
る。augrym stone はそろ盤の玉のこと)
obliquity of the ecliptic
黄道傾斜(赤道面と黄道面のなす角度で,アストロラーベに組
み込まれている。プトレマイオスでは 23°51′20″,トレドの伝統では
23°33′30″)
orisounte, orizonte
地平線(観察者の地平線は天球上では子午線と同様に動かない大円
であり,アストロラーベではプレートに描かれた)
opposition
衝 (ホロスコープにおいて 2 つの天体が 180°離れていること,つ
まり反対方向にあること)
perigee
近地点(地球にもっとも近い点) cf. aux
precession
歳差運動
prime
9 a. m.
Primum Mobile
第一動因(宇宙におけるすべての運動の第一原周で,それ自体は不
cf. Alnath
cf. undern/undren
動。第九天球のこと)
quadrature
〈天・占星)矩,四分(地球から見て,月または外惑星が太陽から
90°離れて見える場合の位置関係)
radix
根(ある現象の始まりのことで,その時・場所が計算の起点となる。
一年間だけ有効。root とも呼ばれる) cf. root date
rete,riet~reet
レーテ(格子模様のある円盤で,星の地図が措かれている。チョーサ
7
ーがレーテをセットしたのは,時計を合わせるためと,正しい東出
点を求めるために時刻を知る必要があったからである)
retrograd
逆行の(この語は Astr で使われ,Equa では 'bakward' が 3 回使わ
れている)
retrograde motion
逆行運動(公転が地球より遅い外惑星が衝の付近で,みかけ上天球
上を恒星に対して東から西へ,すなわち太陽とは逆の向きに動く現
象。チョーサーは月が「周転円上で他の惑星と逆に動く」
(2. 35)こ
とを知っていた)
right ascension
赤経(春分点を原点として東回りに測定し,日周運動との対応から
時間〔= 15°〕を単位とする)
root date
sense
sexagesimal
基準日(= radix date)
(数)向き
60 分数,60 進法 (例えば,1394 年 4 月 17 日は 10 進法表記では
508899.25 日,60 進法では 2, 21, 21, 39; 15 となり,これは 2×60
+21×602+21×603+39 日と 4 分の 1 日のこと)
sidereal day
恒星日(春分点が子午線を通過して再び子午線に戻ってくるまでの
長さ。23 時 56 分 4.091 秒平均太陽時)
sidereal month
恒星月(平均値は 27.3217 平均太陽日)
sidereal year
恒星年(365.2564 日)
sign of the zodiac
宮(きゅう),星座(黄道帯を 30°ごと 12 個に分けた一つで,太陽
はそこに一か月間とどまる。それぞれの宮には近くにある星座の名
前が付けられている――Aries 白羊・おひつじ,Taurus 金牛・おう
し,Gemini 双子・ふたご,Cancer 巨蟹・かに,Leo 獅子・しし,
Virgo 処女・おとめ,Libra 天秤・てんびん,Scorpio 天鳩・さそり,
Sagittarius 人馬・いて,Capricorn 磨掲・やぎ,Aquarius 宝瓶・み
ずがめ,Pisces 双魚・うお。また,惑星が住み・支配する場所と考
えられたので,「惑星の」宮とも呼ばれる)
skale
アストロラーベの裏面の縁にある暦の目盛りで,内側から月の名前,
日,宮,宮の度数の順で記されている
solsticium
至(し)
(太陽が赤道から北または南に最も離れた時)
;至点
sterres fixe
恒星(日周運動を行い,常に同一の円を天球上に措く・恒星群が星
座をつくる)
spere solide
(1)星や星座や円が描かれた天球
(2)アーミラリ天球儀
synodical month
朔望月(朔または望が繰り返す周期の平均値:約 29.5306 日)
Tables Tolletanes
トレドの天文用年表(これは初期の資料で,アルフォンソ十世が作
らせた新しい年表と区別される。「郷土の話」でオルレアンの学僧が
8
使ったのはこの古い年表だと North は言う)
terme
(占星)十二宮のそれぞれを 5 つに分けたものだが,間隔はまちまち
で,それぞれ特定の惑星に結び付けられている〈桝井先生は「目盛
り」と訳しておられる)
tropic of Cancer
北回帰線(天球の北半球で,最も北になる太陽赤緯(23.45°)の等
緯度線)
,夏至線(tropik of somer)
tropic of Capricorn
南回帰線(天球の南半球で,最も南になる太陽赤緯(-23.45°)の
等緯度線で,アストロラーベの性質上この線より南の天は表わせな
い〉,冬至線(tropic of wynter)
tropical year
太陽年,回帰年(太陽が黄道を春分点から春分点まで 1 周する時間。
普通にいう 1 年のことで,natural year とも言う.365.2422 日)
cf. sidereal year
twilight
天文薄明のこと(太陽が地平線下 12°から 18°の間にある時間帯。
日出前および日没後,太陽が地平線下にあっても,光が地球の上層
大気に散乱される結果,しばらくは空が薄明るい。太陽が地平線下
18°くらいになったときを薄明の限界として,これを 6°ごとに 3
段階に分け,明るいほうから順に常用薄明(civil twilight),航海薄
明(nautical twi1ight),天文薄明(astronomical twilight)という)
Umbra Recta
地面にできる垂直の星針の影
Umbra Versa
壁にできる水平の星針の影(チョーサーは 1.12 では名前を取り違え
ているが,彼が書いたのかどうか異論のある 2.41 では正しく使われ
ている)
unequal hours
undern, undren
vernal point
季節によって異なる不均等時(= seasonal hours)
午前半ば(9~10 a.m.)
春分点(おひつじ座の初点のことで,太陽が天の赤道を南側から北
側へ横切る点。歳差のため毎年約 50″ずつ西方に動いており,現在
はうお座にある)
visage
cf. autumnal point/ equinox
エクアトーリウムの「顔」,つまりメイン・プレート(本体の丸い板
で,この上に周転円のプレートが載っている)
Zenith, cenyth
天頂(観測者の頭上に垂直に延ばした直線が天球と交わる点)
zodiac
黄道帯,獣帯(黄道の両側にそれぞれ 8°30’の幅で広がっている天
球の球面帯)
最後に,これは言わば覚え書きであり,網羅的なものではないことをお断りしておきた
い。また,門外漢ゆえに勘違いをしているかもしれない。ご教示をお願いしたい。
『独創と冒険―英語英文学論集―』(英宝社, 2001)所収
9
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