顔認識技術を使った化粧シミュレータの研究 A Study of The Make-up Simulator Using Face-Recognition Technique 1DS04168E 梅根綾花 UMENE AYAKA 1.はじめに 更に、3 ケ所各々の色変化においては化粧前の色から段階 一般的に、実際に化粧をするのは時間も手間もかかるの を経て、目標色に変化する様に設定をしている。 で、コンピューター上で仮想的に化粧をして、その結果を 簡単に見ることができるツールとして化粧シミュレータ が有効である。最近では、実際に多くの化粧品会社が、イ 4.顔画像表示以外のレイアウト設計 まず、化粧後の目標色についてだが、既存の化粧シミュ ンターネット上や店頭でこの種のソフトを提供している レータは実際に化粧品として販売されている商品の色を が[1] [2]、着色後の画像に不自然さがあり、使用法もや 使用しているため、同系色も多く、微妙な色変化になって や分かりにくい等の問題点があった。 そこで、本研究では、 おり、 実際に使用して非常に分かりにくい印象を受けたた より本来の化粧に近い色変化を実現できる化粧シミュレ め、それを考慮し変 ータを検討する。 化が分かりやすい色 を選んで使用した。 2.化粧前後の色変化の調査と定式化 次に、顔画像の表 約 10 人分の画像サンプルを用意し、化粧前後の顔の色 示についてだが、仮 (RGB)の違いを評価した。次に、既存のシミュレータに対 想的な化粧前後の変 して、 仮想的な化粧前後の顔画像の色変化を同様に評価し 化の違いが分かるよ た。この結果、両者の色変化は各々以下の式で表されるこ うに、化粧前後の顔 とが分かった。 写真を並べて表示出 但し、式(1)は実化粧・式(2)は既存シミュレータの色変 図2 化粧シミュレータレイアウト 来るようにした(図2)。 化を示している。また、RGB0:化粧前の色、RGB1:化粧 後、RGBm:化粧後の目標色、(X,Y):顔の中の位置座標、 RGB0*:代表点の肌の色である。 RGB1(X,Y)=ΔRGB+RGB0(X,Y) 5.化粧シミュレータを使った実験 約10人の被験者を集め、 実際に化粧シミュレータを使 (1) * 0 ΔRGB=RGBm-RGB 用してもらった。色に関しては、色の種類が豊富であり、 変化がはっきりとしている。また、既存のシミュレータで RGB1(X,Y)=αRGBm+(1-α)RGB0(X,Y) (2) 感じた化粧後の顔画像の不自然さが改善されたという評 即ち、実化粧は色変化が一定差(ΔRGB)であるのに対し、 価を得た。しかし、化粧の濃度に段階を付けて変化させる 既存のシミュレータではαブレンド形式であり、 これが不 ことはできるが、 その段階を選択できる様に改良したら良 自然さの大きな原因と考えられる。 いという評価も得た。次に、レイアウトに関しては、既存 のシミュレータに比べて主要な色が配置してあり、色の違 3.シミュレータ顔画像表示部の設計 まず、本研究のシミュレータ設計において、顔認識・顔 部品の位置を抽出する部分については、既存の技術[3]を いがはっきりしている。また、化粧前後の顔が表示されて いるため、 変化の度合いを比べるのに適したレイアウトに なっているという評価が得られた。 使用した。更に、研究用に顔部品の位置情報をもとに、適 当な位置(代表点)を自分の選択した色(RGBm)に変化させ、 6.まとめ 表示させる箇所を新たに開発した。 色を変化させる箇所として選んだのは、肌(ファンデー 化粧前後の色変化を実測し、 その結果を定式化すること により、 より実化粧に近い顔画像を作成できる化粧シミュ ション)・目の上(アイシャドウ)・唇(口紅)の 3 ケ所であ レータを制作出来た。 また、 化粧パレットのレイアウトも、 る。肌・唇の色変化に関しては、式(1)に基づいて変化さ 工夫して設計した結果、ユーザビリティが向上した。 せた。目の上の色変化に関しては、実化粧に出来る限り近 い表現にするために、図1 の様に目頭と目尻に角度 参考文献 [1] http://www.visee.jp/ (KOSE) を付けて色を変化させた。 [2] http://www.dhc.co.jp/webmake/index.html (DHC) また、目の上まぶたから 図1 アイシャドウの着色方法 離れるにつれて、グラデーションを付けながら変化させた。 [3] 田中甲太郎 H19 年度 九州大学芸術工学部芸術情 報設計学科 卒業研究
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