2016/11/07

2016 年 11 月 7 日
田中精密工業(7218)
担当 近藤 浩之
レーティング:
NEUTRAL
NEUTRAL(2016/5/23)→
固定費削減で増益。受注回復が鍵を握る。
売上高
(百万円)
連 13/3
47,179
連 14/3
51,648
連 15/3
48,012
連 16/3
40,655
連 17/3(予)
39,000
第 2 四半期累計期間
連 15/4-9
21,910
連 16/4-9
18,761
株価(2016/11/4)
発行済み株式数(16/9 末)
自己株式数(16/9 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(16/3 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(16/9 実績)
PBR
CFPS(16/3 実績)
PCFR
EV/EBITDA(16/3 実績)
伸び率
(%)
29.7
9.5
-7.0
-15.3
-4.1
営業利益
(百万円)
1,874
1,732
1,042
1,672
1,600
伸び率
(%)
174.5
-7.6
-39.8
60.4
-4.3
経常利益
(百万円)
1,635
1,549
842
1,489
1,500
伸び率
(%)
158.9
-5.3
-45.6
76.8
0.7
純利益
(百万円)
-11
212
-3,522
681
600
伸び率
(%)
-12.0
EPS
(円)
-1.23
21.75
-360.88
69.85
61.47
1 株配
(円)
14.00
16.00
12.00
11.00
8.00
-4.3
-14.4
699
1,061
722
9,763
2
7,049
19,751
4.6
1.1
11.7
1,418.18
0.5
660.3
1.1
3.8
921.7
51.8
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
573
957
67.1
-87
263
-
-8.99
27.01
6.00
4.00
株価チャート(週足)
出所:田中精密工業、ブルームバーグ、今村証券
ホンダ及びその関係会社向けの販売が全売上高の 83.5%(2016 年 3 月
期)を占める。四輪車、二輪車、汎用のエンジン部品、ミッション部品、
シャーシ部品などを取り扱う。主力製品は四輪車に搭載するエンジン向け
の「ロッカーアーム ASSY」
(エンジンのバルブ開閉タイミングとバルブの
リフト量をエンジンの回転域に合わせて切り換えるための部品)である
(資料1、出所:同社ホームページ)。
(資料1)
ロッカーアーム ASSY
2017 年 3 月期第 2 四半期は 2 桁の減収ながら、営業・経常利益は 5-6
割の増益、純利益は黒字に転じた(資料2、出所:同社決算短信)。減収額の 7 割強(約 22 億
円)が円高の影響だ。海外子会社の円貨換算での売上高が目減りした。円高の影響を除いた売上
高では、海外拠点 4 カ国のうち、米国、タイ、インドの 3 カ国が減少した。米国はモデルチェン
ジ、タイは輸出向け製品の減少が響き、インドは現地企業との競争激化で採算割れの状態が続い
たことから前期途中に事業活動を停止した。
一方で増益となった主因は、固定費の削減である。減価償却費や労務費などの減少が、日銀の
マイナス金利政策に伴う退職給付費用の増加、円高による目減り、減収などの悪影響を上回った。
地域別では、米国で稼ぎ、その他の拠点はほぼ損益トントンという構図になっている。米国は、
上述した固定費の減少に加えて、新規車種向けのロッカーアーム販売の本格化で利益率が高まっ
た。
会社計画との比較では、売上高は 12 億 38 百万円(6.2%)届かなかったが、営業利益は 1 億
61 百万円(17.9%)上回った。ただ、通期の業績見通しは変えていない(資料3、出所:同社
決算短信)。その理由を、同社は為替、受注などの動向を見極めるためとした。円相場は前提レ
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1
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ート(1 米ドル=112 円、1 タイ・バーツ=3.30 円)から大幅に円高に振れており、マイナスに
働く(資料4、出所:ブルームバーグ)。しかし、第 2 四半期同様、固定費削減、合理化が効く。
また、下期の国内の受注が当初計画を上回る見込みのようだ。2 期連続での営業増益が期待でき
よう。
(資料2) 業績の推移(半期)
(資料3) 業績の推移(通期)
(資料4) 米・ドル、タイ・バーツ チャート(週足)
田中精密工業(7218)
2
2016 年 11 月 7 日
近年、同社の受注は減少基調にある(資料5、出所:同社有価証券報告書)。ホンダの自動車
生産台数(資料6、出所:ホンダ四輪車生産実績)は堅調ながら、事業環境が変化したことが大
きい。まず、自動車販売が伸び続けている中国に生産拠点がない。さらに、ガソリンエンジン車
において、環境規制の強化に対応すべくエンジンを小型化し、ターボチャージャー(過給器:外
部から取り込む空気を圧縮してエンジンに送り込み、燃焼効率を上げる装置)で補う流れが加速
した。同社は大型エンジン向け部品を多く供給していたため、受注減少を余儀なくされた。
同社は、海外事業の拡大や、ホンダ以外への拡販、エンジン部品以外の受注拡大に取り組んで
いる。ホンダ以外への拡販、エンジン部品以外の受注拡大の成果として、前期にドライブシャフ
ト部品を 2 社から受注し、今期はトランスミッション部品を 3 社から受注した。国内外の自動車
メーカーへの受注活動、自動車メーカーのモジュール単位での調達推進に対応した部品の開発な
ども進め、営業・生産・開発・購買・管理を横断したプロジェクトチームを編成して対応を加速
させる。
(資料5) 受注高の推移
(資料6) ホンダ四輪車生産台数の推移
収益体質の改善、新たな受注獲得という好材料がみられ始めたのは好印象だ。しかし、新規受
注よりも主力製品の受注減少の方が大きいと思われ、受注減少に歯止めがかかるのを待ちたい。
投資判断はNEUTRALを継続する(資料7、出所:各社決算短信、有価証券報告書)。
(資料7) ホンダ系列部品メーカーとの業績・投資指標の比較
7218
JQ
5970
東1
5989
東2
7220
東1
7296
東1
7313
東1
(注)
予想
株価
売上高
営業利益
経常利益
純利益
EPS
伸び率
伸び率 利益率
伸び率 利益率
伸び率 利益率
PER
(16/11/4) (百万円)
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(%)
(%) (%)
(%) (%)
(%) (%)
(倍)
48,012 -7.0
1,042 -39.8
2.2
842 -45.6
1.8 -3,522
- -7.3 -360.88
田中精密工業
722 40,655 -15.3
1,672 60.4
4.1
1,489 76.8
3.7
681
1.7 69.85
(①24.3%、②83.5%)
39,000 -4.1
1,600 -4.3
4.1
1,500
0.7
3.8
600 -12.0
1.5 61.47
11.7
193,769
6.7
9,643 -31.7
5.0
8,983 -35.2
4.6
4,652 -42.0
2.4 106.01
ジーテクト
2,104 220,731 13.9 12,826 33.0
5.8 11,382 26.7
5.2
7,559 62.5
3.4 172.93
(①29.7%、②概ね7割)
206,500 -6.4 13,000
1.4
6.3 12,300
8.1
6.0
8,400 11.1
4.1 192.55
10.9
182,939
207
0.1
-746
- -0.4 -1,116
- -0.6 -39.31
エイチワン
889 200,224
9.4
6,067
3.0
4,377
2.2
2,383
1.2 83.96
(①21.3%、②約90%)
178,000 -11.1
4,500 -25.8
2.5
3,700 -15.5
2.1
2,600
9.1
1.5 91.58
9.7
158,209
6.3 11,588 35.3
7.3 11,875 23.4
7.5
6,379 -6.6
4.0 204.51
武蔵精密工業
2,446 164,397
3.9 13,398 15.6
8.1 11,449 -3.6
7.0
6,809
6.7
4.1 218.29
(①26.2%、②70.4%)
175,000
6.4 11,000 -17.9
6.3
8,300 -27.5
4.7
5,300 -22.2
3.0 169.90
14.4
154,395
6.2
8,746 -39.7
5.7 12,104 -28.3
7.8
7,230 -44.0
4.7 144.07
エフ・シー・シー
1,878 167,429
8.4
9,736 11.3
5.8
8,118 -32.9
4.8
6,162 -14.8
3.7 122.79
(①20.7%、②約50%)
150,000 -10.4 10,000
2.7
6.7
8,000 -1.5
5.3
5,500 -10.8
3.7 109.59
17.1
422,317
- 36,047
8.5 40,268
9.5 22,585
5.3 332.15
テイ・エス テック
2,672 458,732
8.6 39,279
9.0
8.6 40,766
1.2
8.9 23,528
4.2
5.1 346.01
(①22.6%、②92.3%)
405,000 -11.7 33,000 -16.0
8.1 33,000 -19.1
8.1 18,300 -22.2
4.5 269.13
9.9
ホンダの出資比率が20%台、かつ、ホンダグループへの販売額が連結売上高の50%を超える主な企業の一覧。
銘柄欄…①発行済株式総数に対するホンダの所有株式数割合(2016年3月期末時点)、②連結売上高に占めるホンダグループ向けの販売額(2016年3月期)。
業績欄…上段:2015年3月期実績、中段:2016年3月期実績、下段:2017年3月期見通し。
エイチワン、エフ・シー・シー、テイ・エス テック、…国際会計基準(IFRS)に基づき作成。売上収益を売上高、税引前当期純利益を経常利益として作成。
田中精密工業(7218)
3
BPS
(円)
1,576.25
1,493.62
2,385.72
2,357.82
1,932.15
1,755.15
2,309.05
2,142.11
2,195.52
2,132.18
2,825.32
2,898.04
-
PBR
(倍)
0.5
0.9
0.5
1.1
0.9
0.9
予想配当
配当金
利回り
(円)
(%)
12.00
11.00
8.00
1.1
24.00
32.00
36.00
1.7
22.00
22.00
22.00
2.5
48.00
50.00
52.00
2.1
40.00
40.00
40.00
2.1
60.00
66.00
70.00
2.6
2016 年 11 月 7 日
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に
とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成
しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま
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4
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小 松 支 店:0761-23-1525
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株式 、債券、 投資信託 の手数料 等および リスクに ついて
■
国内株式等の売買取引には、約定金額に対して最大 1.1799%(税込)(1.1799%に相当す
る金額が 2,565 円未満の場合は 2,565 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。
■
国内株式等を募集等によりご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとなりま
す。
■
国内株式等は、株価など売買価格の変動により損失が生じるおそれがあります。
■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の外国金融商品市場等における委託取引
にあたっては、売買金額(約定金額に外国金融商品市場における手数料と税金等を購
入の場合には加え、売却の場合は差し引いた額)に対し、最大 0.9720%(税込)の国
内取次手数料をいただきます。外国金融商品市場での取引にかかる手数料、税金等は
国(市場)により異なります。
■
外国株式の国内店頭取引にあたっては、取引価格に取引の実行に必要なコストが含ま
れているため、別途手数料は必要ありません。
■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の売買、配当金等の受取り等にあたり、
円貨と外貨を交換する際は、外国為替市場の動向をふまえて今村証券が決定した為替
レートを用います。
■
債券を募集・売出し等によってご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとな
ります。
■
債券は、市場の金利水準の変動等により債券の価格が変動しますので、損失が生じる
おそれがあります。さらに外国債券は、為替相場の変動等により元本損失を生じる場
合があります。また、倒産等、発行会社の財務状態の悪化により元本損失を生じる場
合があります。
■
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元
本が保証されていないため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等
により投資 1 単位当りの価値が変動します。したがって、お客さまのご投資された金
額を下回ることもあります。
■
投資信託にご投資いただくお客様には、銘柄毎に設定された販売手数料および信託報
酬等の諸経費等をご負担いただきます。
■
株式、債券および投資信託のリスクにつきましては、上場有価証券等書面、契約締結
前交付書面やお客様向け資料をよくお読みください。
金融商品取引業者 北陸財務局長(金商)第3号
日本証券業協会加入
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