Campus News 2008 No.38

2008
No.38
3
Yokohama National University
特集「卒業号」
Yokohama National University
写真:常盤台キャンパス全景
2008年
No.38
CONTENTS
目次
特集『卒業号』
2
卒業生・修了生に贈る言葉
Campus News
学
長
飯田
嘉宏
理
事(副 学 長)
來生
新
理
事(副 学 長)
鈴木
理
事(副 学 長)
渡辺
理
事
長島
昭
教育人間科学部長
福田
幸男
経済学部長
秋山
太郎
経営学部長
茂垣
広志
国際社会科学研究科長
溝口
周二
工学研究院長
國分
泰雄
環境情報研究院長
有馬
眞
01
横浜港、みなとみらい21地区やベイブリッジを望む
7
退職雑感
教育人間科学部
田鎖大志郎/堀
経営学部
吉川
邦雄
国際社会科学研究科
國府田桂一
慎介
工学研究院
亀本
喬司/黒川
淳一/小林
白鳥
正樹/坪井
孝夫
井上
義行/上杉
晴一/小川
環境情報研究院
雅宏
武男
卒業生・修了生からのメッセージ
重敬
輝繁
9
受賞関係
11
お知らせ
13
Message
卒業生・修了生に贈る言葉
『新たな学びの始まり』
横浜国立大学長
飯田
嘉宏
と思います。例えば以前は量的な拡大だけ求めていた人々が現
在は質的な充実を求めていること、均一性が求められたのに多
様性に価値が移ってきたこと、組織の個人であったのが個人の
組織になりつつあることなどですが、その他にも大きく変化し
た例は枚挙に暇がありません。課題の広範さ複雑さは、例えば
エネルギー問題ひとつを考えてみても、多様な考え方を複合さ
せ調和させなければ説明責任も果たせません。グローバル社会
の到来も変化のひとつです。また我が国は、制度にしても技術
にしても欧米のそれらを目標にして発展しましたが、欧米に追
いついたので目標を失い失速したのが現在です。目標があった
が故に、独自に目標を設定する自覚と能力が不足しておりまし
た。これからは自ら目標を探り、独自のやり方や技術等を創っ
ていかなければなりません。
従って、これから社会に門出する皆さんに、新しい学びの姿
勢で自らを鍛えて上記の変化や問題に対応できるようになって
ほしいのです。企業内等でも、従来は比較的狭い範囲の中で業
務の改善や発展を考えていればよかった訳ですが、最近は厳し
い環境下で業務の範囲が大きく拡大すると共に課題が非常に複
雑になっております。これからどうするかの目標設定やイノベ
ーション、つまり革新的な制度や技術が求められております。
広くかつ新しい知識や考え方を自ら学び、そこから創造する姿
勢が不可欠になっているのです。
そこで、皆さんに是非求めたいことは、社会のあり方や人々
の価値観が基本的に変わりつつあることを十分に理解した上で
卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。
変化の先を予測する姿勢を持つこと、多様な考え方や価値観を
小学校から数えて、16年から20数年の勉学時代を修められ
受け入れる知性的で柔軟な思考を持つこと。また、所属する企
た今、永かった学生生活を振返って感慨深いところと思います。
業や担当する業務はもとより日常生活の課題にいたるまで、自
そうした皆さん方は、大学卒業・修了は実は新たな「学びの始
分が行うべき目標を自ら考えて提示できる人になってもらいた
まり」であると言われて驚かれると思いますが、この言葉をも
い、少なくともそれを目指してもらいたいことであります。
って私からのお祝いと激励とさせていただきます。
そしてそのために必要なことは、業務内容に係わる課題に加
大学の卒業や修了は永い勉学時代の締めくくりとされ、その
えて、人間とは何か、社会とは何か、自分と社会や自然との関
後はそれまで学んだ知識や考え方を基に経験を積みながら社会
係は何かなど、広範な学びを意識的に続けることです。身近な
で活躍していくものと考えられておりました。しかし、最近の
問題の学びは勿論として、広く教養を深めて下さい。そしてそ
状況は次第に相違しております。卒業・修了後でも、学校時代
のために大切なことが、学問を大学で学んだことです。本来の
とは相違する新たな姿勢で自ら学ぶ必要性が高まっており、そ
学問とは、いくら複雑で多様な問題でも、きちんと体系的に纏
れによって各自がより社会的成長を図ることが期待され奨励さ
めて理解し易くして実践に繋げるものであり、皆さんは我が国
れるようになりつつあります。
大でしっかりとそれを学んでいます。素養は十分であります。
この事実は、社会の在り方や人々の価値観が以前とは大きく
実際の所これまでの時代でも、大学卒業後にわたって広範な
変化してきたことや、社会や企業が直面する課題がはるかに広
課題を自ら学び続ける意識を持つ人のみが社会や企業等のリー
範で複雑になってきたこと、それにも拘らず企業内教育の余裕
ダーに育ったといえます。そして、現在はその学びの必要性が
がなくなってきたことなどによっており、我が国固有の原因も
飛躍的に高まっています。多くの優れた先人が述べているよう
背景にあります。
に、一生は学びの連続であります。皆さんのご健闘を期待して
社会の在り方や価値観等の変化は皆さんも大体お判りのこと
おります。
02
Campus News
Message
卒業生・修了生に贈る言葉
卒業生・修了生に贈る言葉 ―
KiplingのIf
理事(総務担当)
・副学長
Rudyard KiplingにIfという詩があります。彼はThe Ballad of East
and Westの、Oh, East is East, and West is West, and never the twain
shall meetのフレーズでも有名ですが、Ifでは、すべての父親が息子に
伝えたいと思う人生のポイントを見事に表現しています。大英帝国の
文化的シンボルともいうべき人で、毀誉褒貶の激しかったKiplingです
が、この詩は、最後の難しいところを何人かのネイティヴの友人に教
えてもらったり、ウエブ・サーフィンで勉強をしながら、拙い訳を試
みました。http://www.kipling.org.uk/でこの原詩は検索できます。また
原詩は最後に「息子よ」と呼びかけて終わるのですが、そこは、男女
共同参画社会のいま風に読み変えました。皆さんに贈ります。皆さん
の今後の糧となれば幸いです。
IF
「もしもおまえが、まわりの皆が進むべき道を見失い、/それをおま
えのせいだと非難する時に、/冷静でい続けることができるなら、/も
しもおまえが、すべての人がおまえを疑う時に、おまえ自身を信じ、/
しかしまた、皆の疑いにも思いを致すことができるなら/
もしもおま
う
えが、待つことができ、なお倦むことなしに待つことができるなら、/
あるいは嘘をつかれても、それに関わることなく、/あるいは憎まれて
も、憎しみに身をゆだねず、/しかもなお、自らをあまりにも好ましく
さか
見せず、賢しらぶって話さないことができるのであれば、
もしもおまえが、夢を抱き、なお夢を自らの支配者とせずにいられる
なら、/もしもおまえが、考えることができ、なお考えることそれ自体
を目的とせずにいられるなら、/もしもおまえが、大勝利と大惨事にと
あやま
もに遭遇し、/そしてなお、その二つの人を過たせるものを同じように
取り扱えるなら、/もしもおまえが、おまえの語った真実が、悪辣な人
達によってねじ曲げられて伝えられ、/愚かな人々を欺くために用いら
れるのを、ただ聞くことに耐えられるなら、/あるいはおまえが、おま
來生
新
えの人生を捧げたものが、壊れ
てしまったのをじっと見て、/
なおその上に這いつくばって、
すり減ってしまった道具で、破
壊されたものを作り直すことが
できるなら、
もしもおまえが、おまえのす
べての勝利を一山にして、/そ
れを一度のコインのトスに賭け
/ 賭けに敗れても、再び立ち上
がることができ/そしてなおそ
の出発の時に、おまえが失った
ものについて/一言も後悔の念を漏らすことがないならば、/もしも
おまえが、おまえの心臓と神経と筋肉を、それらが滅び去ったはるか
後に、/なお奮い立たせておまえの役に立たせることができるな
ら、/そしてその結果、自らの肉体に「踏みとどまれ」という意思以
外には/おまえの中に何も存在しなくなった時にでも、/なお踏みと
どまることができるなら、
もしもおまえが民衆と語らって、なおおまえの徳性を保つことがで
きるなら、/あるいは、もしもおまえが王侯貴族とともに歩いて
も、/なお庶民の感覚を失わずにいることができるなら、/もしも、
敵もお前の愛する友人も、おまえを傷つけることができないなら、/
もしもおまえが、すべての人を大切に思い、同時に、誰かを特別に扱
うという思いを抱かないならば、/もしもおまえが、人生の長い道の
りの中で苦難の時を迎えても、いつもと変わらず平然と走りぬくこと
ができるなら、/おまえが手にするものは、この全地球、地球の中に
あるすべてのもの、/そして、それ以上のもの、その時にこそ、おま
えは本当の「人間」となるだろう、わが子よ!」
これからも 人間性の豊かさ を育んでください
理事(教育担当)
・副学長
皆さん、2008年春にご卒業・ご修了おめでとうございます。心より
お祝い申し上げます。
横浜国立大学に入学してからの数年間の学生時代は、新しい知見の探求
や考え方・技術の習得、自由で楽しい青春の思い出作りと社会に巣立って
いく通過点として有意義であった喜びがある方も多いことでしょう。講義
や実験実習、卒業研究、ゼミナール、図書、インターネットなどメディア
を通して得られたものと同様に、アルバイトやサークル活動、ボランティ
ア、多くの友人との出会いが印象に残っているのかもしれません。また、
卒業式・修了式に参加することで、皆さんを今日まで支えてこられた御家
族や指導受けてきた教職員からの祝福も伝わっていることでしょう。
求人倍率が好転していることで、希望していた会社等への就職がか
なった方も多いと思います。しかし、時代とともに職業意識が変化し
ており、会社等に就職された先輩諸君の3割以上が入社3年間に退
職・転職をしています(労働白書)
。価値観が大きく変化し、伝統・歴史
とイノベーションが複雑に交錯している2008年春に学部を卒業あるい
は大学院を修了される皆さんは、人生の通過点であった学生時代が何
であったと考え、どんな 夢 を抱いて新たなステージへ旅立とうと
されていますか。大学院に進学される方は、学部時代を振り返り、大
学院で学び、研究する意味を考えてみてください。
これからの人生において自らが描いた 夢 を着実に実現し、また
新たな 夢 に挑戦し続けるためには、人間力あるいはキャリア・ア
ンカー(人がキャリアを形成する際の根源となるもの)を持つことがと
ても重要です。高校時代には大学進学が夢であり、大学時代には就職
が夢であった方も少なくないのかもしれません。しかし、日本・東洋の
伝統を継承しながらも、年功序列や終身雇用を必ずしも前提としない
社会へと大きく変わろうとしているのが、日本です。そして、ヒト、
モノ、カネそして情報のグローバル化が進むなかで、皆さんが実り多
いこれからの人生を送るためには、 夢 を描き、その 夢 を現実の
ものとする粘り強い努力が求められるのです。
Campus News
03
鈴木
邦雄
人間力について説明します。
人間力とは、社会を構成すると
ともに、自立した一人の人間と
して力強く生きていくための総
合的な力のことであり、3要素か
らなりたっています。3要素と
は、①「基礎学力」
「専門的な知
識・ノウハウ」を持ち、自らそ
れを積極的に高めていく力。ま
た、それらの上に応用力として
構築される「論理的思考力」
「創
造力」などの知的能力的要素。
②「コミュニケーションスキル」
「リーダシップ」
「公共心」
「規範意識」
や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高めあう力」などの社会・
対人関係的要素。③これらの要素を十分に発揮するための「意欲」
「忍耐
力」や「自分らしい生き方や成功を追及する力」などの自己制御的要素
です。知識だけでもダメ、愛想だけでもダメ、好奇心・情熱だけでもダ
メ、3つの要素を併せ持つことが人間として必要なのです。
「学生」から
「社会人」となられる皆さん方に認識していただきたいのです。
学びの場であった常盤台キャンパスは、日本で2番目に大きい都
市・横浜にありながら、緑豊かな環境に包まれております。学びの場
としてのすばらしさは、先生方の教えに加えて、この環境と無縁では
ありません。40年程前までは、歴史のあるゴルフ場として使われてお
り、広々とした芝生と限られた樹木しかありませんでした。その後40
年程のキャンパスの歩みの中で緑を育み、今日に至っております。そ
の優れた環境の中で学べたことに意味を考えてみてください。
祝福される新しい門出となるこの時期に、夢を大いに語りあってくだ
さい。そして、これからは、健康に十分に留意し、自己の実現に向けて
前向きに突き進んでいただき、活躍されることを期待しております。
Message
知の旅人
理事(研究担当)
・副学長
渡辺
慎介
大学卒業、そして大学院修了、おめでとうございます。私たちが誇りとする
たな環境に立たされ続けていたこと
緑豊かな常盤台キャンパスを後にして、多くの人が社会に巣立つこのときに、
になります。つまり、毎日、知の冒
新しい生活に幸多かれと祈ります。
険、知の旅をしていたのです。学生
社会人として船出をする卒業生・修了生にとって、今日の日は、当然のこと
が生き生きとしている、活発な活動
ながら、環境の急激な変化をもたす大きな転回点です。学生から社会人への旅
で精彩を放つのは、脳の中で古い知
立ち、これは人生の中でも最も重要な転回にほかならないからです。身が引き
が新たな知によって日々更新されて
しまる緊張の中にいる人も少なくないでしょう。大学院に進学する人にとって
いるからにほかなりません。そして
も、やはり環境の変化は避けられません。長い人生の中には、幾たびか環境が
もっとも大切なことは、大学生活の
変わることや、環境を変えさせられてしまうことがあります。否が応でもその
中で、自分の力で知を獲得する方法、
変化を受け入れる、それが人を成長させるのではないかと思います。
知の冒険術を身に着けたことです。
環境を意図的に変えるゲームがあります。旅です。日常の生活から離れ、こ
卒業、修了という旅立ちの準備が
れまでに経験のない新しい環境に身を投げ込むのが旅だからです。旅の好きな
整いました。これまでに経験のない
人には、生き生きとして活発な人が少なくありません。あるいは、活発だから
環境は脳を活性化させます。その環境で思い切り能力を発揮してください。し
旅に出るのかもしれません。鶏が先か卵が先かのように、因果関係は明らかで
かし、その環境もしばらくすれば日常的なありふれた場に感じられてしまうの
はありませんが、生き生きとした活発さと旅という行為には関連がありそうな
は避けられません。それでも心配はご無用。身体は慣れっこになってしまった
気がします。旅先での楽しい思い出や失敗談など、話題に事欠かないから、旅
環境に納まり続けることになっても、その一部である脳の中だけは知の更新に
での出来事を楽しく話す、それで生き生きとしているように感じられるのかも
よっていつも新しい環境に作り直すことができます。知の冒険術はすでに大学
しれませんが、どうもそれだけではないように思えます。旅に出て未知の環境
で体得しているのです。いつまでも知の旅人を楽しみ続けてください。
に入るという行為が頭脳を活性化させるから生き生きとしているのではないか、
ところで、皆さんがこれから旅立とうとする社会はどんな状態にあるのでし
そう思えてならないのです。何でも見てやろうとする意欲はさらに脳に活力を
ょうか。就職には学生に有利な状況が続いていますが、我が国の経済状態は必
与えるでしょう。
ずしも順調ではありません。国家財政は破綻寸前ですし、株価の下落と原油高
大学の講義は、知の冒険であり、また旅と同じ役割を果たします。たとえば、
によって企業も青息吐息の状態です。談合によって入札停止となった大企業も
小学校で習う掛け算の九九を、小学校では二分以内に諳んじ、中学生では一分
少なからぬ数になりますし、偽装事件で苦しい状況に追い込まれた企業も数多
以内に、高校では…、大学では…、これが算数・数学だとしたら何も面白いこ
く存在します。このような状況は、経済状態の善し悪しはともかく、社会で働
とはありません。学年に応じて新しい考え方が取り入れられ、しだいに数学の
く人には企業の社会的責任を否が応でも自覚しなければならないことを示唆し
概念が形成されてくるから、学ぶ楽しさを味わうことができるのです。これは
ています。社会的責任を等閑に付して一つの企業が「金太りになる」状況は長
数学だけに限ったことではありません。新しい知識、これまでにない概念、最
続きしなくなり、社会性を十分に意識した結果として、太り過ぎることのない
新の技法をつねに学び、そしてこれを意欲的に吸収する、それを具体的な問題
「スマートな体型」の企業が長生きするのではないでしょうか。本学の卒業生に
や現実の課題に適用する訓練を積む、その積み重ねと繰り返しが大学の勉学で
も「スマートな体型」の知の旅人を期待しています。
あったはずです。大学という同じ環境にずっといながら、実は知的には日々新
仲間をどうやって増やせばよいか ― マータイさんの植樹
理事(国際担当) 長島
昭
キャンパスの一角、教文ホールの前にまだ小さい木を数十本植えた一角があり
事の進展は早くて、時間も切迫して
ます。一昨年のことなので覚えている人も居ると思いますが、ノーベル平和賞を
いる。木が切られようとしていると
受賞したワンガリ・マータイさんが横浜国大キャンパスを訪れて、その際に学生
きに、可否を議論している時間は無
諸君や教職員、近隣の人など大勢で植樹したところです。ケニアの国会議員でも
い。木はいったん切られれば元には
あったマータイさんは、陽気で明るく、声の大きい、おおらかな女性でした。マ
戻せない。だからまず最初に声をあ
ータイさんはアフリカの貧困脱却、活性化、そして繁栄へ向かう重要な決め手の
げる。それで他の人が気がつくきっ
ひとつは、緑化環境の復活だということで、長年にわたり植林活動を推進してき
かけを作ると同時に、自分の考えの
た人です。
方向は示すことが出来るのです。
さて国大キャンパスでの植樹のあとのことです。マータイさんに小学生から質
卒業して社会へ出ると、自分の仕
問がありました。
「環境は大切だとぼくも思います。仲間を増やすにはどうすれば
事に直結したことだけに偏りがち
よいですか?」素直な質問でした。マータイさんは即答。
「木を見る、そして自然
で、しかも机上で計画し、コンピュ
に触れることです。木が切られるときには声をあげなさい」といいました。
ーターでシミュレートし、あるいは
短いマータイさんの言葉には2つのポイントがあるように思います。第1が、
会議を重ねるだけに追い回されるということだけに埋没する人が居ます。 木に
木をきっかけとして実物の自然に自分の手で触れる、実践的な活動です。理想を
触れる
追求するアイデアを唱えたり、立派な理論を作るのも大切ですが、まず現物に触
い。現場経験を大切にし、そして気がついたことに対してすぐに積極的な発言
れる、ともかく自分の目で見る、そしてその実感を積み重ねていくことの重要性
をして、仲間あるいは賛同者を増やしていくことが大切です。
を強調しています。実践から物事はスタートするということでしょう。
第2のポイントですが、自分の考えに賛同者をどうやって増やして行くのか、
ことのできる人は幸せです。しかし待っていても木は近づいてはこな
もうひとつ。若いときでないと、この積極性は発揮できない。人のネットワ
ークの必要性に気づいたときには、年齢的にもう遅すぎることもある。皆さん
私たちも悩むところではないでしょうか。もちろん一方では、わが信ずるとこ
の若さでさえ、残された時間は案外少ないのです。個人のレベルを離れても人
ろにただ一人でも進む気概、これも大切な考え方でしょう。しかし、社会を変
のネットは重要です。最近の日本国は、重要な情報のやりとりで国際的にはカ
えていこうと考えるときに、ひとりよがりでは出来ないし、改革には賛同者が
ヤの外、すなわち置き去りにされているといわれます。情報の大きな流れのそ
必要です。自分の考えを支持して、一緒にやろうと言ってくれる人が現れるの
ばに居ながら、透明なレインコートに包まれて見ているだけ、しぶきもかから
は嬉しいことです。その賛同者、支持者を得るのが実際にやってみると大変難
ない。国際的な影響力や存在感は低下しています。それを跳ね返すには、他国
しい。
との信頼ネットを拡大して、発信することが有力な手段です。
そして自分が触れた木が切られるときには、まず声をあげる。これは仲間を
得る極意なのでしょう。何か気になることに気づいて、まだそのことの可否も
仲間を作りましょう。マータイさんの一言には、その極意の一端が示されて
いると思うのですが。
自分には明確ではない、どう対応するかその方法も分からない。しかし、出来
04
Campus News
Message
卒業生・修了生に贈る言葉
生涯にわたる学び
を大切にしよう
教育人間科学部長 福田 幸男
皆さん、卒業、修了おめでとうございます。
学部卒の皆さんは、国立大学の法人化初年度
の入学生であり、横浜文化体育館の壇上から
皆さんを迎えた4年前のことを印象深く覚え
ています。私にとっても学部長としての初年
度であり、この間を振り返ると、
「光陰矢のご
とし」の感があります。
時間の受け止め(時間知覚)について、
「物理的時間(一般的な時間)
」と「心理
的時間」の区分があります。同じ物理的な時間であっても、心理的には「充実し
た生活」は短く、
「冗長な生活」は長く感じられると言われています。皆さんの4
年間は、多分前者であったと推察しています。心理的に短く感じられても、想い
出(記憶)は豊かです。やがて大学生活を振り返る時には、大学時代の想い出が
次々に浮かんでくるはずです。
さて、これから皆さんの活躍の場となる社会は、大学とは異なります。常に変
化し、発展を遂げる社会では、
「十年一昔」という言葉はもはや死語となりつつあ
ります。大学・大学院で習得した専門知識やスキルは程なく更新を余儀なくされ
ます。卒業、修了は、
「学び終える」ことではなく、
「学び続ける」ことへの決意
を促す機会となります。
「日々研鑽」を肝に銘じて下さい。これまでの学びを基礎
学び続けること
経済学部長
秋山
太郎
卒業生・修了生の皆さん、おめでとうござ
います。心からお喜び申し上げます。
皆さんが、これからは本学で学んだこと、
さらに在学中に培った友人との関係をも生か
しながら、職場や進学先で活躍していただく
ことを期待しています。
さて、今後の日本の社会はどうなるのでし
ょうか。これからの日本は少子・高齢化が進み、人口が減少してゆきます。いま
まで経験したことがない状況に日本の経済社会は突入してゆくことになります。
皆さんは、このようなかってない変化を余儀なくされている今後の経済社会を生
きてゆくことになる訳です。そこで、このような社会を生きてゆくためのヒント
をお伝えます。
それは、学び続けることの重要性です。このように大きな変化が予想される今
後の経済社会を生きてゆくためには、社会に出てからも絶えず学んでいくことが
重要になります。絶えず学ぶことをしなければ、仕事上のスキルも見につかず、
ネットワークを
広げよう
経営学部長
茂垣
広志
ご卒業おめでとうございます。心からお祝
い申し上げます。
学部4年間、短かったという感想を持って
おられる方が多いのではないでしょうか。学
業にクラブやサークル活動、あるいはアルバ
イトなど、大学の4年間は自分の意思で選択
し、多様な経験を積まれたと思います。また、その過程でさまざまな人に出会い、
友人ができ、お互いに影響しあい、大いに刺激し合ったことでしょう。社会に出
てからは経験できないことも多く体験されたかもしれません。学生時代に築いた
人間関係、人的ネットワークというものは長く続くものです。そこには互いの信
頼をベースとした関係があるからでしょう。
卒業後の進路は企業に就職する人、官庁に勤める人、あるいはさらに進学する
人など多様でしょうが、社会に出てからも自分の持つ人的ネットワークは、ビジ
ネス上のみならず自分の視野を広めるためにも重要です。ネットワークはなぜ形
成できるのか、それは一人ではできないことを多数の人たちの協力のもとで達成
できるからです。また、自分では気づかないものを教えてくれるからでもありま
す。人間は過去の経験の積み重ねでいつの間にか目の前のことを「当たり前のこ
と」と認識してしまうことが多くなります。これは企業でも同じで、「この製品
(たとえばテレビ)とはこういうものだ」という既成概念にとらわれ、新たな発想
Campus News
05
に、新しい課題に積極的、継続的にチャレンジする強い意志を持って、生涯にわ
たって学び続けることが皆さんの成長を支える鍵となります。皆さんにはそれが
できると信じています。
加えて、社会人となる皆さんには、 人と人との関わり をこれまでにも増して
大切に考えて欲しいと願っています。社会は、年齢、性別、のみならず、障害の
有無や言葉や文化、さらに国籍等を異にする人々から成り立っています。その一
人一人の差異を受け入れ、理解し、共に生きるための配慮や工夫が求められます。
これは、国際化の中での国同士の関係にも該当します。学部の卒業生の同期生が、
昨年10月、イランで誘拐される事件が起きました。みなさんにはこの事件を真摯
に受けとめてもらいたいと願っています。これまで大学という比較的同質な世界
の中で過ごしてきた皆さんが、向き合う課題の一つです。
「共生」という新しい鍵
を握って立ち向かって下さい。
幸い皆さんには若さという武器があります。失敗しても取り返せる時間があり
ます。その特権を最大限発揮して、果敢に難問に挑戦してみて下さい。
課題ばかり投げかけた感がありますが、もし壁にぶつかったり、往生した時に
は、遠慮なく母校をお訪ね下さい。大学は皆さんをいつでも迎えます。教職員は
もちろんのこと、先輩・後輩も皆さんの力となります。皆さんにとって青春時代
を過ごした大学・大学院は、知や心の拠り所となるはずです。最大限に活用して
下さい。また、大学のホームカミングデーにも参加し、大学の現状を知って下さ
い。残ったわれわれは、皆さんにとって誇りとなる母校であり続ける努力を続け
て行きたいと考えています。卒業生の皆さんのご協力は大学にとって最大にして
最強の力となります。
最後になりましたが、くれぐれも健康に留意され社会人として大きく成長され
ることを願ってお祝いの言葉とします。
また折角身についたスキルも短い期間で陳腐化してしまうことはよく強調されて
います。学ぶことは、大学卒業をもって終わりではなく、社会に出てからも続け
る必要があるということになります。言い換えると、これから社会に出て学ぶ期
間の方が、大学までの学校で勉強していた期間よりも長くなるということです。
アメリカのヘンリー・ハーキンスという人が、「学ぶには年を取りすぎている人
は、おそらく常にそうだったのだろう。」という言葉を残しています。この言葉
の通り、いくつになっても学ぶ姿勢を忘れてはならないということです。
仕事上の知識や技能は重要であり、それは直接に仕事に役に立ち、収入を増や
してくれます。それと同時に、より広い見識や長期的な視野に基づく判断が、大
きく変化する社会では必要とされます。直接的な仕事に役に立つ知識・技能に加
えて、卒業生・修了生の皆さんには、狭い意味での職業的な知識・技能に加えて、
より広い見識や長期的な視野をも 身に付けることを目的として、学び続ける姿
勢を保って頂くことを期待しています。
皆さんのうち何人かは、社会に出て仕事をしながら学ぶという経験を重ねるう
ちに、もう一度大学で学び、あるいは研究したいという希望を持つかもしれませ
ん。そのときには、是非横浜国大の大学院を考えて下さい。本学には、修士課程、
博士前期課程、さらには専門職学位課程である法科大学院が設置され、皆さんの
様々な大学院教育のニーズに対応する用意が出来ています。大学院で皆さんと再
会できれば、それに過ぎる喜びはありません。
皆さんの今後の人生での健闘をお祈りします。
での製品やサービスの開発がなかなかできないということが散見されます。
私事で恐縮ですが、今年までの2年間、土曜日に有職者対象のビジネススクー
ル(通称YBS)で演習と講義を担当してきました。そこには様々な業界、企業から
来ておられ、熱心な議論が展開されています。おかげさまで、彼らの満足度はか
なり高いと評価されておりますが、ゼミでの議論の中で、端々に出てくる言葉は、
「うちの会社ではそのような発想はなかった」とか「業界が違うと考え方もそんな
に違うのか」というものです。そこには新たな「気づき」があり、それが彼らに
とって大きな刺激となっているようです。私も大いに刺激を受け、新たな視点で
の研究の必要性にも気づかされました。自分の考えと違うといって拒絶するので
はなく、多様性があるからこそいろいろ学ぶことができるのです。交渉力を磨く
にはディベートも重要ですが、新しい「気づき」には対話こそが重要でしょう。
また、このような話を聞いたことがあります。
「運のいい人は多様なネットワー
クを持っている人である」と。宝くじなどは別として、仕事上で「あの人はつい
ているな」と言われる人は、異種多様なネットワークを持っていて、そこから重
要な情報を手に入れることができ、そのようなネットワークの差が業績の違いに
現れてくると。少し利害が絡んだ話になってしまいましたが、ネットワークの基
底にあるのは人と人との信頼関係です。信頼関係がなければ重要な情報も入って
きませんし、またその情報を信頼することもできません。大学時代に築いた友人
も貴重なネットワークとなり続けるでしょう。また、社会に出てからも新たな人
との出会いにより多様なネットワークを築いくことと思います。そのためには自
分を磨き、相手にも信頼される人間になることが必要でしょう。ぜひネットワー
クを広げられる人になってください。
最後に、皆様のこれからの社会でのご活躍を祈念し、お祝いの言葉とさせてい
ただきます。
Message
日々新たにされて
国際社会科学研究科長
溝口 周二
皆様の卒業および修了に心からお祝いを申
し上げます。また皆さんを慈しみ、育んでこ
られたご家族をはじめ支えて頂いた方々にも
お慶びを申し上げます。
光陰矢の如しと言われるように、入学して
から卒業や修了までの時間経過の早さにもひ
としお感慨深いものがあると思います。大学院から社会に巣立ってゆく時がきた
ことを実感していることと思います。国際社会科学研究科における皆さんそれぞ
れの研究生活の軌跡を振り返ると、満足した大学生活を送ってきたのか、やり残
した悔いはないのか、空しさは感じなかったか等々の様々な感慨が脳裏をよぎる
ことでしょう。
皆さんの知恵が深まれば悩みも増し、知識が増せば痛みも深まるため、これか
らの人生は常に試練の連続とも言えるでしょう。試練を労苦とせずに、知恵の源
として精神の糧とするためには希望が必要です。希望なき試練は単なる労苦です
が、希望を持つことにより試練から人間は知恵を授かることができます。それで
は人は物事に対して何を試練と認識し、何時これに備えることができるのでしょ
始めの始まり
―皆さんこれからです―
工学研究院長
國分
泰雄
工学部を卒業される皆さん,あるいは大学
院工学府を修了される皆さん、おめでとうご
ざいます。標題は変なタイトルだと思われる
方が多いと思いますし、歴史小説が好きな方
ならば塩野七生のローマ人の物語に似たよう
なタイトル(終わりの始まり)があったなと
連想されるかも知れません。そうです、標題は、卒業とは「勉学期間の終わり」
ではなく、「身につけた能力の活用始め、実社会での活躍始め、社会人としての
成長始め、などの始まり」と言う意味です。
皆さんは入学されてから今日までに多くの知識と能力を身につけて、さらには
人間として大きく成長されたことと思います。人生の長い年月に比べればわずか
数年間ですが、若い皆さんは全ての面で成長期にありますので、その数年の成長
は非常に大きく、これからも大いに伸びる可能性を秘めていますし、この成長期
皆様の健闘を
祈ります
環境情報研究院長
有馬 眞
うか?「時と機会は誰にも臨むが、人間はその時を知らない」という言葉もあり、
時に適い、機会を捉える感性を磨くことが大事になるでしょう。これから始まる
新しい人生の門出に、餞として「日々新たにされて、真の知識に達する」という
言葉を贈ります。
皆さんは大学院で学問の基礎から応用まで幅広い知識を身につけ、能力や理解
力を研ぎ澄まして新しい門出に備えていると思います。一方、周囲では自然、技
術、政治、経済等の環境条件がめまぐるしく変化しており、昨日の「自分」では
今日の変化に対応できない虞もあります。これを回避するために、古い「自分」
に属する知識や経験を脱ぎ捨て、時代に適合した知識を日々獲得して、明日の
「自分」を形成する必要があります。こうした知識に対する絶え間ない創造的破
壊作業によって、皆さんは常に新しい知識を身につけ、真の知識に到達するプロ
セスをたどることができるようになります。
知識とは学問や理論から帰納的に導かれる「知」と経験や認識から演繹される
「識」が統合化された概念と考えられます。後天的に獲得された知識を吟味し、
取捨選択して咀嚼するプロセスが自己の中で日常化すれば、これは知恵を伴う真
の知識となって皆さんを昨日の「自分」とは異なる存在に変化させてくれると思
います。このような知の探求の出発点を卒業や修了に定め、目標を高く真の知識
を求めて日々新たに精進して下さい。
万物は流転し、常に変化します。志を持って、自己の実現を図るために努力す
れば路は自ずから開けます。今後の皆さんの大いなる活躍と豊かな人生を心から
願ってやみません。
そして横浜国立大学はいつも皆さんに開かれています。
はまだしばらく続きます。そして人生のフェーズにおいては、幼少期から続いた
学びの環境から仕事と社会生活という新たなフェーズに移り、責任ある立場で次
の世代にこの人間社会を引き継いで行く大きな仕事が始まります。
社会への船出は海図のない航海のような不安もあるでしょうが、これからの人
生は全て皆さんが自ら道標を刻んで切り拓くしかありません。その道筋では、こ
れまでに誰も遭遇したことのない課題に直面するでしょうし、むしろ自ら課題を
見つけるところから始まります。皆さんはきっと、これまで培ったさまざまな知
識や能力をフルに発揮して、さらに考え抜いて自ら解決するでしょう。考え抜い
て課題を解決して何かを学んだら、それは次の世代に伝えるサイクル、つまりは
次の世代の育成も忘れないで下さい。この人間社会は皆さんが1世代で作ったも
のではなく、先人の知恵と努力の上に築かれてきたものです。次は皆さんが将来
の世代に何かを残して人間社会を持続発展されるために努力する番です。
次の世代を育成することは、全てを教える事と同じではありません。皆さん
が考え抜いて得た結果を教えるのではなく、その思考過程を次の世代にも身に
つけさせる事です。教えられないことを自ら悟らせること、それがコンピュー
タと人間の違いでしょう。ある高名な脳科学者は、「コンピュータは結果を最適
化するようプログラムされるが、人間は過程を最適化する事に悦びを感じる」
と述べています。皆さんが人生を切り拓く過程を愉しみながら活躍されること
を祈ります。
いま、新しいパラダイムを基軸とした社会の持続的発展を実現するための挑
戦が始まっています。人、資源、情報、資本が国境を越えて移動・流通する今
日、有限である資源やエネルギーを無視し、右肩あがりの成長を求めてきた従
来の人間圏のありかたからの転換、すなわち新しいパラダイムを基軸とした持
続的社会の実現が求められています。Graedal and Klee(2002)は人類が持続
させようとしている5つの基本的事柄として、地球上の生命体、完新世(過去
1万年間)スタイルの気候(熱収支バランス、海洋循環など)、森林や海洋など
の生態系機能、エネルギー・食料・鉱物資源などのストック、そして政治的・
経済的システムの安定性を挙げております。人類の福祉と社会の持続的発展の
大学院修了・大学卒業の皆様おめ
ためには、人間圏の急激な増大を抑制し、二酸化炭素排出規制など人間圏と他
でとうございます。緑に溢れる常盤
の地球サブシステムとのフローを制御することが重要であり、さらに人間圏内
台キャンパスで学び培った知識と経
部における不均衡な資源分配や情報・技術伝達の調整が重要であると思います。
験、そして知恵をもって新しい道を
また、困難な問題を解決・改善するための人類の選択肢を拡大する科学技術の
進まれる皆様にエールを贈るとともに、皆様の活躍をおおいに期待しております。
発展も重要です。
1972年、ローマクラブは「成長の限界:人類の危機」レポートを発表し、数
皆様の前途には、地球温暖化による気候変動、情報化・グロバリゼーショ
十年後には人類は成長の限界を迎えるとの警鐘を鳴らしました。幸いにも多く
ン・技術イノベーションによる社会の急速な変化などと複雑に関係した、環境
の予想は現実のものとはなりませんでしたが、人口増加、資源枯渇、工業化、
破壊、食料・人口問題、エネルギー・資源問題等々、複雑で解決が困難な問題
食料不足、経済の停滞、環境悪化などが相互に影響しあいながらどのように進
が横たわっています。皆様がこれら多くの問題に正面から向き合い、大学院・
行するかをシステム科学的に取り扱ったこのモデルは、画期的なものと高く評
大学で学び培った知識と経験そして知恵をもって、解決・改善に果敢にチャレ
価されます。惑星地球(地球システム)は、海洋圏、大気圏、固体圏、生物圏、
ンジしてくださることをおおいに期待します。輝かしい将来にむけた皆様の健
人間圏などのサブシステムから成り立っています。人間圏から他のサブシステ
闘を祈ります。
ムへのフローに起因する地球温暖化が科学者の間で問題視されていましたが、
その立証は困難でした。しかし、昨年発表されたIPCC (Intergovernmental
写真説明:マダガスカル南部調査のおり花崗岩ドームを背景に、市來孝志君
Panel on Climate Change,2007)レポートは、科学的データに基づき、地球温
(横浜国立大学院生)、マリナ・ラナイボソン君(アンタナナリボ大学学生)と
暖化が温室効果ガスによるものである高い確実性を報告し、人類の将来と環境
ともに(2007年8月)
の悪影響を考慮した早急な対策が必要であると提言しています。
06
Campus News
Miscellaneous Thoughts
退職雑感
い。多分私もそうであった。彼らとの葛藤の《場》を与えられ
変化と不変を求めて
教育人間科学部 教授
たことに深く感謝したい。合唱曲その他の作品もそういった
田鎖大志郎
《場》をバネにして作り得たと思う。そのことも含めて。
今、様々な音楽が溢れている。その中でこそシンプルなもの
勤め始めた頃は学生紛争の余韻の残る時代。思想の偏りを懸
(音階等)に込められた価値を見出したい。そして作曲(時間の
念しつつも思考し行動しようとした学生達、又、多様化と流動
意匠)を要約すれば、変化と統一ということになろうか。
(或い
化の中にあって先を急ぎ、或いは方向性が定まらず悩み漂って
は変化と不変を盛るということに)。この相反するものに対す
いる学生達。彼らはその時々の問題意識を背負いながら、芸術
る問いかけは
永遠!
2008
領域の果てしない奥行きを相手に精一杯振舞って来たに違いな
法人化大学の中で定年を迎えて
春(感謝と期待の中で)
練が続く中で退場するのは申し訳ない気がしています。在任中、環
境汚染に関する問題に取り組んで来ましたが、真の/実質的な社会
堀 雅宏
貢献あるいはどれだけの学生の役に立てたかに思い致すとき、内心
国大のスタッフに加えていただいてから、はや40年の歳月が流れ
たと思うのは、いつも若い学生諸君とふれあう機会を持てたことで
てしまいました。この間、お付き合いいただいた皆様にお世話にな
す。大学は 教育と研究 であり、また、即効性が求められていま
りました。厚く御礼申し上げます。大学紛争の中で産学癒着が指弾
すが、看過されている側面を掘り起こし、自由な立場からの現状批
された時代にスタートし、国立大学の法人化5年目を迎え、産学連
判と近未来の指針を示すことも大学の社会貢献だと思います。続く
携が推奨される時代に定年を迎えることになりましたが、大学の試
21世紀における国大の発展を祈念しています。
教育人間科学部 教授
私にとって、ゼミ生こそ心の宝です。
には忸怩たるものがあります。しかし、今、自分が大学人でよかっ
語による著書が4冊あります。1990年代は、バランス・スコアカードを中心に研
究して参りました。著書は、日本語による著書が6冊、訳本が5冊あります。
こうした研究を34年間続けて来られたのは、一重にゼミ生にあります。私にと
経営学部 教授 吉川 武男
って、ゼミ生こそ、心の宝です。
〈最前列右から6番目〉
私は、アメリカから引き揚げ者のように帰国し、幸運にも1974年4月1日に横
浜国立大学経営学部に就職しました。最初は、南太田のキャンパスで半年過ごし、
その後現在のキャンパスに移りました。
最初の10年間は、コンピューター会計や原価管理の研究をして参りました。当
時は、良い物を安く作れば売れた時代で、原価管理が重要でした。VE関係の著
書は、英語による著書が2冊(これは、イタリア語版、スペイン語版、中国語版
もあります)
、日本語による著書は1冊あります。1980年代後半から1990年代は、
ABC/ABMを中心に研究して参りました。著書は、英語による著書が1冊、日本
私にとって横浜国大での楽しかった思い出といえば、ゼミの学生たち(学部学
ゼミハイキングの思い出
国際社会科学研究科 教授
生と大学院生の両方)とハイキングに出かけたことでしょうか。私が指導する大
國府田 桂一
学院生は留学生が多かったこともあり、彼らには専門の勉強をするだけでなく、
せっかく日本にきているのだから、日本の文化・歴史・自然についても学んでほ
平成2年4月1日、経済学部教授として着任以来、経済学部、大学院国際社会
しいという考えもあって毎年春夏の2回日帰りのハイキングに出かけました。鎌
科学研究科で18年間の教員生活を送りました。私の場合、昭和37年4月から昭和
倉の建長寺から瑞泉寺への天園コース、源氏山から裏大仏へ抜けるコース、三浦
41年3月までの4年間を経済学部
半島の大楠山、仙元山から長者ケ埼、三浦富士、荒崎海岸、森戸川渓谷、東京の
学生としての生活も送りましたの
高尾山等々。大学院生たちとは2泊3日で志賀高原まで足を延ばし、春スキーを
で、横浜国立大学には計22年間お
楽しんだこともありますし、私の好きな尾瀬にも一同を連れて行ったこともあり
世話になったことになります。こ
ます。尾瀬の美しさには皆さんたいへん感激したようで、このときの楽しさにつ
の大学を去るにあたり、学生時代
いて今でもかならず書いてくる(帰国した)
留学生もいます。私も若いとはいえな
の懐かしい思い出もたくさんあり
い年齢になりましたので、体力のあるうちにもう一度尾瀬に行きたい(今度は家
ますが、教員時代の思い出を1つ
内と一緒に)というのが現在の私のささやかな願いです。
写真は平成16年秋、高尾山へゼミでハイキングに行ったときの写真です。
だけ書いておきます。
前列右から2番目
水準の低下など、
「改革」に求められる課題の多くが「負の軽減」
エピローグ
であって「理想の実現」でないところが悲しい。しかし、若者
亀本 喬司
たちには未来があり、どのような状況にあれ、大学は彼らに特
この3月には、我が研究室から修士3名、学士3名の卒業生
代にも大学という知のオアシスに解き放たれ、優れた研究者と
を送り出す。私にとって最後の卒業生であり、学業はもとより、
出会い、触発され、次の時代の知の創造に向かって門出してゆ
たくましい人間力と優しい人情がしっかりと育まれたようでも
く。34年間にわたる私の研究室の美学は、そこにあった。
工学研究院 教授
段の夢と希望を与えられなければならない。若者は、いつの時
研究者として常に新しい時代の風を受け、多くの若者の新
あり、いずれの学生も頼もしく輝いている。
一方、大学の改革が世界のあちこちで取り組まれているが、
たな門出を見送ることができた。感謝の念と共に、いささか
初等教育から高等教育までの根幹が揺れ動く我が国においては、
の達成感と安堵感を覚えつつ、ここに我が研究室のカーテン
経営難、研究レベルの低下、教育管理の「学校化」、学生の学力
を下ろす。
新しい人生への出発に当たって
工学研究院 教授
黒川 淳一
父子2代、70年近くに亘り流体工学講座で教鞭をとらせてい
07
幸せなことでした。
これからは、余生ではなく、今までとは異なった新しい世界
で第2の人生をスタートさせることに、胸を躍らせております。
人類の持続的発展の達成という未曾有の課題に挑戦し、しか
ただきました。大学紛争のさ中に仕事半ばで逝った父に対して、
もそれに打ち勝っていかねばならない命運を背負った若い方々
私は定年まで仕事を全うすることが出来、教育・研究に全力投
のご活躍を期待しつつも、私も第2の人生を通して、少しでも
入してきたという満足感はあります。
協力させていただこうと思っております。
大学教員にとって、教育は義務、研究は趣味、趣味を兼ねた
Campus News
職業を通して次世代を担う若者を育ててこられたのは、大変に
Miscellaneous Thoughts
また横浜国立大学工学部建築学科は、当時全国を見ても数
横浜都市づくり研究・教育
少ない都市計画専門講座を持っており、他の大学の研究者が
小林 重敬
都市計画と建築計画などを兼任することが一般的な中で、恵
35年余りにわたって、横浜、横浜国大の地で都市づくり研
進学してくる学生も大変優秀な学生が多く、何冊かの単行本
究・教育を進めてこられたことは大変幸せなことと考えてお
を研究室の大学院生の協力のもとに刊行できました。最後の
ります。横浜市は国大に教職の場を持った頃から一貫して、
年度に横浜建築都市スクール(YGSA)を立ち上げられたこと
全国でも注目を集める都市づくりを進めてきており、様々な
も、記憶に残ることと考えます。しばらく特任教授として主
研究の元となる情報を得ること、および実践にかかわること
にYGSAにかかわりますが、横浜国立大学の建築都市分野が全
が出来ました。
国的にも際立った存在であり続けることを確信しております。
工学研究院 教授
まれた研究・教育環境であったと思います。また建築学科に
アカデミックな香り
工学研究院 教授
白鳥 正樹
(横浜国立大学附属図書館長)
ずっと以前に定年退官されて引き続き私学で教鞭をとって
居られた先生が、たまに大学に来られて、
「(私学と比べると)
横浜(国大)はアカデミックな香りがする」と言っておられた
まで大学の中にあって、大学がもっと良くなって欲しいとの
気持ちから、足らないことばかりが目について厳しい批判を
繰り返して参りました。しかし、退職の時が近づいて来るに
したがって、大学の良い面が少しずつ見えるようになって来
ました。首都圏の大都市横浜の地にありながら、これだけ恵
まれた緑の多い静寂な環境、すなおで明るい学生達、個々の
先生方の教育と研究の自由が保障された環境、等々です。
法人化されて以降なかなか厳しい状況ですが、どうか今後
ことを想い出します。この先生も現役のときは横浜はいかに
共末長く
駄目な大学か、と厳しい批判をして居られました。私もこれ
しいと願っています。
アカデミックな香り
のする大学であり続けて欲
学生紛争、1次、2次のオイルショックと、私にとっては最近
退職雑感
の話であるバブル期と、今の大学の若い方々にとっては遠い昔
坪井 孝夫
の時代を経てきた。工学部に博士課程が出来てやっと一人前に
40年程前になる。弘明寺キャンパスに通った頃は門を通ると
った。大学も建学の時代から半世紀が経つ。世界で有数の大学
薄茶けたレンガのコの字型の建物、いくつかの新築の建物、木
になろうと思っていたし、そろそろ落ち着いたキャンパスの雰
造の建物、図書館は建物ではなく、確か図書室であったように
囲気が出来ると思っていたが、相変わらず、大学らしからぬ空
思う。
「蛸足大学」と言って各キャンパスはバラバラに存在し、
気が流れているように見えるのは残念だ。今後、レベルの高い
将来統合して、一つのキャンパスをつくる、そうしたら、色々
大学に変わり行くことを期待しつつ、その姿をじっくりと観察
な建物を建設しますと文部省から言われている時代であった。
させていただきたいと思う。
工学研究院 教授
なったと安堵し、今や修士の修了生が大多数を占める時代とな
海洋への発展を願って
環境情報研究院 教授
井上 義行
私は昭和42年本学大学院造船工学専攻を修了し、造船会社に
洋構造物論」を担当しました。昭和54年に船舶海洋工学科と
改称された年に助教授として採用され、通算36年母校にお世
話になりました。この間、多くの恩師や同僚に助けられ、若
さ溢れる優秀な学生に恵まれ教師冥利に尽きる時を過ごしま
した。
就職しました。当時の造船業界は日本の外貨獲得の先陣を走っ
日本も新たな海洋法条約を批准し、本年度にはようやく海洋
ていましたが、海洋への発展はますます重要になってくるとの
基本法も施行され、政府は海洋基本計画を策定しつつあります。
ことで、会社で海洋開発に関わる研究開発を行っていました。
また、本学にも統合的海洋教育・研究センターが設置されまし
また、本学の造船工学科も造船に限らず海洋開発のための教
た。このような節目に定年を迎えたことに感謝しつつ、今後も
育もすることになり、昭和47年に非常勤講師に招かれ、
「海
しばらくは海洋への発展に貢献できればと思っています。
私が初めに所属したのは、物質工学科に新設された生物工
人生三分の計
学大講座で、研究室は化学棟の各階に分散していましたが、
環境情報研究院 教授
上杉 晴一
5年後に現在の生物・電子情報棟の4階にまとまることがで
きました。その後、生物工学大講座は消滅し、化学生命工学
私が阪大薬学部から横国大工学部に赴任したのは、1991年
大講座、環境情報研究院と所属が変わりました。本年度から
11月ですので、もう17年近く経ってしまいました。私は、北
物質工学科は3コース制となり、バイオコースの立ち上げに
海道は札幌で生まれ育ち、24歳の時に大阪に移り、23年間過
も参画しました。
ごした後、半分Uターンして横浜へ来ましたので、人生三分
この間、終始一貫、核酸を中心とした分野で、多くの職
の計を遂行中と思っています。緑が多く広々とした本学のキ
員・大学院生・学部生の皆さんに支えられて、教育および研
ャンパスは、全国でも有数の教育研究環境と思います。
究ができたことを感謝しております。
安全工学科を担当して
環境情報研究院 教授
小川 輝繁
成長されたと思います。彼らの多くは社会で非常に活躍して
おり、大学は知識だけを教育するのではなく、より高い人格
形成に向けた思考を鍛える場であることを痛感しています。
安全工学科は、国立大学では本学だけにしか設置されませ
昭和42年4月に本学工学部に安全工学科が設置されまし
んでしたので、安全工学は本学の特徴の一つとなっています。
た。私は設置の翌年の昭和43年4月に助手として採用され、
安全工学は新しい学問であったため、学科設立からしばらく
京都から赴任してきました。当時は大学紛争の最も激しい時
は一般に理解されておらず、学生が就職試験で「安全工学と
期であり、当時弘明寺にありました工学部も11月から学生に
は何か」とよく質問されたと聞いております。現在では、安
封鎖され、講師以上の教官はキャッパスに入ることが出来な
心・安全が重要なキーワードとなっておりますので、本学の
くなりました。当時の学生は授業を受ける時間が非常に少な
特徴として安全工学を大いに発展させて頂くことを期待して
い状況に置かれましたが、紛争に真面目に向き合って議論し、
おります。
このほかにも次の先生方が定年退職されます。
経営学部
山下正毅 教授
工学研究院
岡村共由 講師/尾崎忠義 特別研究院教員
環境情報研究院
関根和喜 教授
08
Campus News
Message
卒業生・修了生からのメッセージ
松田
優季
荒川
真帆
経済学部国際経済学科
教育人間科学部
マルチメディア文化課程
大学4年間、それは私が描いたキャ
「自由=大学=お前次第」。決めたこ
ンパスの絵そのものでした。
とは全部自分に跳ね返ってくる―。それ
留学生ボランティア『105』。ダンス
はちょっと、怖くもあります。雪国・新
サークル『RUDE』。フリージャーナリ
潟を飛び出し、4年間ひたすら突っ走っ
スト土井敏邦さんのお手伝い。そのメ
てきました。マスコミでのインターンシ
ンバーで立ち上げた、専門家を招いて
の講演会開催をする団体『POTTS』
。海外旅行11ヶ国、など。
ップ、徹夜した映画制作、一途だった恋
愛、友だちと駆けぬけた横浜の街。笑って泣いて、悩んで考
少しでも興味があることは何でもやってみました。「やらないで後
え。・・・両親はじめ、周囲には感謝の気持ちでいっぱいです。春か
悔するより、やって後悔した方がいい」、いつもそう思って挑戦して
ら、私はもっと「自由」な場所に飛び出します。作家・工藤直子さん
きました。1つ1つの経験が色となり筆のタッチとなり、出来上がっ
の詩を胸に。「題:『けっしん』
た「大学4年間の絵」に私は大満足です。そしてこれからも素敵な経
いきる!/それがぼくの けっしんです / でも ときどき / むねの や
験を積んで、絵を描き続けたいと思います。皆さんも躊躇せずにいろ
わらかいところが / なきたくなるのね / ・・・・・/ なんでかなあ」
んなことに挑戦し、素敵な絵を描いてください。
福島
かぶとてつお /
つよく
おおしく
(工藤直子・「のはらうた」より)
。
徹也
青木
経営学部経営学科
大祐
工学部物質工学科
バランス感覚とゆとりが、いい具合
4年間はあっという間だったとい
に交じり合った感じの大学生活4年間
う思いが強く、月日の重みを実感で
でした。人生のうち、緩急の
きません。着続けた白衣もだいぶ黒
緩
に
あたる時期だったかもしれません。勉
くなってしまいました。海外留学、
強(ゼミ)・サークル・バイトをほど
中国への研修旅行、国大化学会の参
よくやりながら、 やりたい事をやれる
加、国際ボランティア等。好きな事
自由を満喫しました。おかげで心身ともに充電が出来、社会人として
に時間とお金と情熱を注げる生活はかけがえのないものでした。がむ
羽ばたくエネルギーが蓄積できたと思います。皆さんも、ガッツリ貪
しゃらに行動する事しか出来なかったけど、
「自分が納得できる」生活
欲に生きつつ、しっかりと休息をとるところはとり、大学生活をエン
を送れました。僕と関わり成長させてくれた、年齢、国籍を越えた全
ジョイしてください。
ての人に対する感謝の気持ちが絶えません。
「ありがとうございました。
」
須藤
駿介
工学部第二部
山
物質工学科
寛子
教育学研究科
芸術系教育専攻
今思うと大学生活はあっという間に
大学院に進学することは、悩み、多く
終わってしまいました。研究室に配属
の人に相談して出した結果でした。入学
されてからのこの一年は特に密度の濃
当初は迷ったり焦ったりしましたが、学
いものになりました。勉強,バイト,
部生の時にばらばらだった知識や経験を
サークル活動に加え,卒業研究を中心
自分なりにまとめることができました。
に先生方,研究室の方々に助けられな
わたしのたくさんのわがままを聞いてく
がら,一つのことに集中した年でした。これからは大学院に進学し,
ださった指導教官の大泉義一先生を始めとする先生方、そして協力し
研究を続けていく予定です。大学生活は色々なことに挑戦できる良い
て下さった研究対象児やゼミ生、友人のおかげで、とても充実し、且
機会です。その中から何か一つのことを見つけ,続けていくのもいい
つ、今後につながるものを得られた2年間を幸運に思っています。
と思います。
大学生活の中でシュパヌンクをたくさん感じ、糧となる様々な出会
いや経験を積まれることを願っております。
森竹
慎治
工学府博士課程前期
物理情報工学専攻
大学時代の思い出として特に印象に残っているのは研究室に配属されていた3年間です。それまでのように受
身で講義をただ聞くのではなく、自分で研究を進めて行き、文献などを調べ自分なりの結論を導き出して行くと
いう初めての経験でした。また、国内外の学会での発表、論文執筆など色々な経験ができました。このようなチ
ャンスを与えていただいた指導教官、そしてそれをサポートしてくれた共同研究者の皆様に感謝しています。
Campus News
09
Message
谷口
健太郎
伊藤
豊
工学府 博士課程後期
物理情報工学専攻
国際社会科学研究科
博士課程前期 経営学専攻
8年間の
キャンパスライフを振り返って
返ってみると、ここでの経験は研究者の
卒業を迎え、2年間の院生生活を振り
大学院修了にあたって学生生活を振
道を選んだ私に最良の一歩を踏ませてく
り返ってみると、8年間という在学期
れたように思う。ゼネラリストよりスペ
間が意外と短かったように感じる。学
シャリスト、心地よい響きに誘われて飛
部時代の3年間はアルバイトに明け暮
び込んだ世界で、環境やエネルギーの問
れる一方、飛び級進学も経験した。大学院での研究生活は、研究者と
題に触れたくて今の研究室に所属させていただいた。遠くの地点から
しての自分の人生プランを決める充実した5年間だった。多くの人が
優しく、時に厳しく道を照らしてくれた先生方と、共に歩んでくれた
口にすることだが、まさに「楽しいキャンパスライフはあっという間」
仲間のおかげで、研究に向き合う姿勢、事実と誠実に向き合う姿勢、
だ。後輩諸氏にも後悔しない大学生活を送ってほしい。
自分と向き合う姿勢を学ぶことができた。後輩の皆さんには即断、即
行、即完了の気持ちで日々充実した時間を過ごされるよう願う。
Stay Hungry. Stay Foolish.
TUAN KHAI VU(ブー・トウン・カイ)
田野
国際社会科学研究科博士課程
後期 グローバル経済専攻
国際社会科学研究科
法曹実務専攻
横国大に初めて来たのはある暑い夏
の日だった。何本もの電車に乗り換え
た後、和田町駅から坂道を歩き、沢山
の汗をかいた。中々不便だなと思った。
しかし、毎日通っているうちに大学が
愛しい場所になった。和田坂も一生懸
命登っていた。友達に「頑張れば卒業する頃には学力と体力の両方が
付くんだね」と冗談を言った。だが、これは冗談ではなかった。体力、
特に足はかなり鍛えられたし、学力はそれ以上の進歩があると実感し
ている。一番大きいのは専攻である経済学を学ぶことを通じて、それ
までの自分がいかに無知であったかが認識でき、社会のことや人間の
行動に対する一つの見方を得たように思う。これからは世の中に出て
自分を試す番だ。
原田
賢太郎
多摩から横浜に来て,三年。他大学の
学部を卒業して,ここに来た私にとって,
この場所は,目標に向かって進む新たな
スタートラインだった。ロースクールで
は,友人達も目標は同じ。まさに最適の
環境。ありきたりだが,大学は「学び」
の場,そして,「自由」がある。その自由のなかで,バランスをとる。
それが「自由の規律」
。この場所で,情熱に溢れた先生方から法を学べ
たこと,素晴らしい友人たちと出会えたこと,この場所が与えてくれ
た全ての現実と可能性に感謝したいと思う。
大輔
酒井
国際社会科学研究科
博士課程前期 経済学専攻
英行
環境情報学府 博士課程前期
環境システム学専攻
積み上がる書籍と論文、それをめく
だれもやったことのないことを自分の
る手が黒くなる。うつらうつらと舟を
頭で考えていけるようになりたい,と思
こぎ、ぐらぐらとゆれ雪崩ならぬ紙崩
って大学院に進み,学部4年から3年間
れを起こしたそれらに埋もれ、その後
ひとつのテーマに取り組みました。新し
の整理に躍起となる。大学院での特徴
い発見に胸が高鳴ったり,また思うよう
的なシーンがこれだ。
にすすめられずに,うんうん唸りながら
大学院で学んだ経済の知識は現実において何の役にも立たないであ
考え込んだりと研究中心の日々を過ごしてきました。ひとつの事に時
ろう。しかしそれで良いでないか。「面白い」と感じ、そして真摯に
間をかけ,集中して取り組むことができるのは学生時代の特権だと思
学んだものに外部からのプラグマチックな評価など意味はない。学ん
います。在学生の皆さんにはこの環境を活かし, ぜひこれは という
でみて「面白い」から学問をするのであり、それをし続けるのである。
ものを見つけて貧欲に挑戦していってほしいです。
他にとって滑稽な上のシーンは、私の大切な現実=立脚点である。
川名
祥史
環境情報学府
博士課程後期
環境生命学専攻
学生時代は、自分のやりたいことを自由に出来ます。研究活動、就職活動、社会貢献活動など興味のあること
は人それぞれだと思いますが、卒業した後に自分が学生時代にやったことを、自信を持って話せるようになって
いることが大事だと思います。私は博士研究を中心に、先端研究を社会に還元するためのアウトリーチ活動に取
り組んできました。この活動を通して新しい視点から研究の面白さを実感し、今後の仕事にも活かせる経験が出
来ました。
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Campus News
Prize Winner
教育人間科学部4年
受賞関係
本間
南さん
全日本ボブスレー・スケルトン選手権大会 準優勝!
教育人間科学部学校教育課程4年の本間 南さ
んが、平成20年1月6日(日)に長野県の飯綱高
原にある長野市ボブスレー・リュージュパーク
(スパイラル)で開催された全日本ボブスレー・
スケルトン選手権大会において、ボブスレー女
子二人乗りの部で2位に入賞しました。本間南
さんは、小学校より陸上競技の短距離を始め、 ▲教育人間科学部4年 本間 南さん
学部長に準優勝の報告▲
小・中・高等学校ともに全国大会に出場してきました。その瞬発力を期待され、ボブスレーの競技を始めました。本格的に
競技に専念したこの冬、見事に準優勝という成績を収めました。現在、次の冬季オリンピック
バンクーバー大会に向けて
力戦奮闘中です。今後の活躍が期待されます。
▲左から 銀メダル・賞状・楯
工学部4年 杉浦洋平さんと池谷夏菜子さん
住宅設計コンペで優秀賞を受賞
平成19年に開催された「第3回ダイワハウス住宅設計コンペ」
(主催:大和ハウス工業,後援:新建築社)において,工学
部建設学科建築学コース4年の杉浦洋平さん・池谷夏菜子さんの共同作品「tansu」が優秀賞(A)を受賞しました。
この設計コンペは「住宅のリストラクチャリング」が課題で,応募作品603点から,9月12日(水)に第1次審査会が行わ
れ,1次審査通過9点が選出されました。その後10月19日(金)に開かれた公開2次審査会において,通過者がプレゼンテー
ションを行った後,公開審査により各賞が決定しました。優秀賞(A)は最優秀賞に次ぐ高位に当たります。
「tansu」は,
「たん
すから物を引っ張り出すように,生活そのものを引っ張り出してしまう住宅」を提案しました。審査員から「生活のさまざま
なシーンが細かなところまで考えられている」
「街中にあんな住宅があったら散歩が楽しいだろう」などのコメントがありま
した。
(
『新建築』2008年1月号参照)選外佳作にも,大学院工学府社会空間システム学専攻2年石井宏明さん,工学部建設
学科3年矢野雄司さん,大学院工学府社会空間システム学専攻1年田中裕一さん・同2年谷口晋平さんが選ばれています。
工学部4年
受賞作「tansu」の模型写真▲
原田雄次さんと西村匡弘さん
TEPCOインターカレッジデザイン選手権で佳作入賞
1月26日(土)工学部建設学科建築学コース4年原田雄次さんと同コース4年西村匡弘さんが
TEPCOインターカレッジデザイン選手権において佳作入賞しました。
今回の入賞作は「非家族と暮らす家」
というコンテストテーマに対して,既存分譲住宅地に立つ戸
建て住宅の壁を取り外し個室群とパブリック(その他)に解体し,家族という関係を問い直しながら
新たな住宅地の風景を生み出そうとする意欲的な提案でした。課題に対する発想も手法も申し分なか
ったのですが,その結果得られる新しい関係性やコミュニティのあり方,そこで暮らすことのリアリ
入賞した模型▲
ティなどにもう一歩踏み込んで積極的に表現されていればなお良かったのではないかと思います。
そこには常日頃感じる横国生全体に通じる弱さが垣間見られた気がしました。考え方を示すところで満足せず,抽象と具象を結ぶ力強いストーリーを組み立て,最
後の最後まで想像しつつ恐れることなく全てを引き受けて全体像を描き出す勇気を今後期待したいと思っています。
工学府博士課程前期2年
今豊紀さん
光物性研究会奨励賞を受賞!
12月14日(金)〜15日(土)に大阪市立大学で開催された第18回光物性研究会において、大学院工学府博士課程前期2年
の今豊紀さん(指導教員:武田淳教授、片山郁文特任助教)が「強相関有機ラジカル結晶の2光子吸収による光誘起相転移」
に関する発表を行い、光物性研究会奨励賞を受賞しました。この賞は、伝統ある光物性研究会において今年度から初めて
制定されたもので、将来の光物性研究をになう優秀な大学院生の研究発表に対して授与されるものです。今回の受賞は、
非線形光学過程により巨大光応答を持つ相転移を世界で初めて実現させた研究内容と発表の両方が高く評価されたもので、
約100件の発表の中から組織委員の投票により選出された5件の中の1つに選ばれました。
環境情報学府博士課程前期1年 山口泰優さん
ベストプレゼンテーション賞を受賞
平成20年1月23〜25日に日本視覚学会2008年冬季大会が工学院大学(東京都新宿区)で開催され、大学院環境情報学府情報
メディア環境学専攻博士課程前期1年の山口泰優さん
(指導教員は岡嶋克典准教授)
が「ベストプレゼンテーション賞(学会賞)
」
を受賞しました。
発表題目は「視聴覚統合による呈示時間の長さ知覚への影響」で、ヒューマンインタフェース機器設計において重要な要素で
ある視覚情報と聴覚情報の相互作用に関する新しい現象を発見し、その効果を実験的に示したことが高く評価されました。
工学府博士課程前期1年
稲葉
彩さん
「10th Pacific Polymer Conferenceで
Young Scientist Poster Award を受賞!」
平成19年12月4〜7日に神戸国際会議場で開催された「10th Pacific Polymer Conference」のポスターセッションで、工学研究院機能発現
工学専攻博士課程前期1年の 稲葉
彩さん(指導教員:渡邉正義教授)がYoung Scientist Poster Award を受賞しました。これは、400件に
及ぶポスター発表のなかから30歳以下の研究者の発表が受賞候補となり、専門の審査員の投票により選出された約20件の中に選ばれた結果
の受賞です。
Campus News
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Prize Winner
工学府博士課程前期1年
佐藤あすみさん
地盤工学研究発表会で「優秀論文発表者賞」を受賞!
平成19年7月4〜7日に開催された(社)地盤工学会主催の第42回地盤工学研究発表会で、工学府博士課程前期1年(社会空間システム
学専攻建設システム工学コース)の佐藤あすみさん(指導教員:谷和夫教授・早野公敏准教授)が、「優秀論文発表者賞」を受賞しました。
演題名は「横ずれ断層変位に伴う岩盤表面の破壊形態に関する模型実験と2005年パキスタン地震で出現した地表地震断層との比較」で
す。この研究では、横ずれ断層を被覆する表層岩盤が断層の変位によってどのように破壊するかを調べるため、実験室において模型実験
を行うだけでなく、地震により発生した地表地震断層を海外で現地調査した結果とも比較しています。活断層の調査技術の高度化に資す
る優れた研究成果であると評価されました。
環境情報学府博士課程前期1年
工学部4年 高山圭介さん
小田将史さんと
「優秀研究発表者賞」を受賞
平成19年12月7日に第32回照明学会東京支部大会が品川区立総合区民会館(きゅりあん)で開催され、
大学院環境情報学府情報メディア環境学専攻博士課程前期1年の小田将史さんと工学部生産工学科4年の
高山圭介さん(共に指導教員は岡嶋克典准教授)が「優秀研究発表者賞」を受賞しました。小田さんの発
表題目は「演色性の可視化と演色評価数との関係」で、光源設計に重要な指標である演色性を可視化し、
高齢者にも対応した演色性の提案が高く評価されました。また、高山さんの発表題目は「分光視感度の簡
易測定システム」で、従来の方法に比べて簡易に個人の分光視感度を測定する手法が高く評価されました。
環境情報学府博士課程後期2年
安田圭吾さん
「ポスター賞」を受賞
平成19年10月24日(水)から26日(金)の3日間、神奈川県産業技術センター(海老名市下今泉)において「平成19年度
神奈川県ものづくり交流会」が開催され、大学院環境情報学府環境生命学専攻安田圭吾さん
(指導教員:谷生重晴
教授)
が「ポスター賞」を受賞しました。
研究発表の標題は「発酵によるデンプンからの水素生産」で、ポスターが分かりやすく見やすい優れた内容が評価され
受賞につながりました。
その表彰式が12月14日(金)本学事務局4階の渡辺副学長室で行われ、神奈川県産業技術センター松村技術支援推進部
長から安田圭吾さんへ賞状が渡されました。
▲谷生重晴教授と安田圭吾さん
工学府修了生
藤井 淳さん
「学術奨励賞及び技術奨励賞」を受賞
工学府博士課程修了生
野崎謙悟さん
第31回丹羽保次郎記念論文賞を受賞!
大学院工学府修了生の藤井淳さん(指導
平成19年9月に工学府物理情報工学専攻電気電
教員:藤本博志准教授)が2007年度計測自
子ネットワークコース(馬場研究室)の博士課程後
動制御学会学術奨励賞技術奨励賞を受賞
期を短縮修了した野崎謙悟博士(現在、日本学術
し,平成20年2月21日(木)に表彰されま
振興会ポスドク研究員)が、第31回丹羽保次郎記
した。受賞対象となった研究発表は平成
念論文賞を受賞しました。これは電気通信技術に
19年3月(博士課程前期2年在学時)の計
足跡を残した東京電機大学初代学長の丹羽氏の業
測自動制御学会第7回制御部門大会で発表
績を記念して1977年に創設された賞で、毎年、全
した「走行抵抗を考慮した車体速検出不要
国の電子情報関連の博士課程の学生かその修了生
の電気自動車のスリップ率推定とその制
2名に贈られます。野崎君は、世界で最も小さく
御」です。この賞は,本会が関与する科学
高性能なレーザの開発に関する論文での受賞とな
技術および産業の分野において,学問技術
りました。
の発展に貢献するところが大きいと認めら
このたび平成19年12月21日、東京電機大学に
れる学問的あるいは技術的業績をあげたものを評価するものであり,本分
て開かれた授賞式において、同大学学長より賞状、ならびにメダルと記念品が贈
野の発展に貢献する研究として高く評価されました。
られ、表彰されました。
環境情報学府修了生
櫻井敬三さん
日本創造学会で
「論文賞及び研究大会発表賞」を受賞
平成19年10月27日(土),静岡県教育会館で開催された日本創造学会第29
回研究発表大会において,大学院環境情報学府博士課程後期修了生の櫻井敬
三さんが同学会論文賞及び研究大会発表を受賞しました。
この論文は,学位論文の一部をまとめ直したもので、新製品の開発前段階
で有用なアイデア創出に関係して、本研究が提案する研究技術者の創造性評価基準による評価が高い研究技術者ほど特許出願が多いことを、技術の特性にも考慮して
明らかにするため、研究技術者の創造性資質因子の評価分析テストと特許出願との関係性を実証分析したものです。
先行研究では誰も試みたことがなかった研究技術者の創造性資質因子と特許出願との関係性を実証分析データにより明らかにしている点で、独創性に富み優れた研
究内容が評価され受賞しました。
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Campus News
Information
お知らせ
平成20年度学生定期健康診断のお知らせ
保健管理センター
一般の学生(科目等履修生・聴講生を除く)を対象とした定期健康診断は、年1回(春季)です。
秋季は、新たに10月に入学した学生のみを対象とした健康診断となりますので、それ以外の学生は、必ず今回受診してください。
記
1.内容 問診票記入、身長・体重・腹囲測定、視力検査(簡易視力計)、聴力検査(会話法)、血圧・脈拍数測定(自動血圧計)、尿検査(試験紙法)、胸部X線間接
撮影、内科診察(頭頚部の視診・触診)
2.日程
対
象
期
日
学部新入生
(昼間部)
4月2日(水)
4月3日(木)
4月7日(月)
全
4月8日(火)
4月9日(水)
全
学
学
生
生
受付時間及び受診者区分
集合 8:50
集合 12:50
教育人間科学部 男子
教育人間科学部 女子
経済学部
経営学部
工学部 生産・建設
工学部 物質・電子情報・知能物理
12:00〜15:00
16:00〜18:00
男
子
女
子
男
子
男
子
9:30〜12:00
13:30〜16:30
男
子
女
子
男
子
男
子
女
子
男
子
男
子
女
子
女
子
男
子
男
子
男
子
女
子
男
子
4月10日(木)
4月11日(金)
4月14日(月)
4月15日(火)
4月16日(水)
4月17日(木)
4月18日(金)
受付場所
大
学
会
館
4
階
ホ
ー
ル
⑥平成20年5月9日(金)までは、前年度の健康診断結果を用いて健康診断証明書
を発行します。ただし健康診断実施日には発行できませんので、ご注意ください。
⑦やむを得ず本学実施の健康診断を受診できない場合は、自己負担で外部医療機関
で受け、健康診断証明書(写し)を、所属学部等学務担当係に提出してください
(外部医療機関で受けると1万円程度の費用がかかります)
。
⑧全員に結果を通知しますので、5月中旬以降、所属学部等の学務担当係に取りに
行ってください。
3.注意事項
①受診するには学生証が必要です。新入生は健康診断受診の際に配付しますので、
入学許可書を持参してください。ただし、工学部物質、電子情報、知能物理の各
学科の新入生は、新入生学部オリエンテーション時に学生証を配付します。
②女子は、無地(プリントや刺繍のない)のTシャツを着用してください。
③妊娠の可能性のある学生は胸部X線撮影は行いませんので、検査日に申し出てく
ださい。
④本年度の健康診断証明書は、今回の定期健康診断を受けないと発行できませんの
で、注意してください。
⑤平成20年度の健康診断証明書は、5月19日(月)から発行します。ただし、二次
健診、精密検査が必要な場合は、それらが終了してからの発行となります。
4.お願い
健康診断実施日には、保健管理センターでの診療はできませんので、外部の医療
機関をご利用ください。
胸部X線検査について
※受診票・問診票は、健康診断及びその集計以外の目的では利用されません。
※今回受診される健康診断に関する医療情報等のすべての情報は、第三者へ
の漏えいのないよう厳重に管理いたします。
※ご本人以外に、本学保健管理センタースタッフ及び本学の健診に係わる学
外の医療機関がこの情報を共有しておりますことをご了承ください。
※学校保健法施行規則の改定に伴い、平成17年4月1日から、大学生の胸部X線検査の必須施行時期が全学年か
ら第1学年のみに変更になりました。しかし、感染症の早期発見及び拡大防止、並びに胸部X線検査結果が健
康診断証明書の必須項目であることより、本学では、今後も胸部X線検査を全員を対象として実施いたします。
※どうしても胸部X線検査を希望されない方は、申し出てください。ただし、胸部X線検査を受けないと健康診
断証明書は発行できません。
麻疹(はしか)の予防接種勧奨について
保健管理センター所長 田中悦子
今、日本国中で、麻疹(はしか)が流行しています。昨年春〜夏にかけての流行は記憶に新しいところですが、2008年2月6日現在、全国の麻疹発生数は1,164人にのぼ
り、このうち神奈川県は436人と2位以下を大きく引き離し全国第1位です。発生年齢では、大学生は青少年期に次いで多発しています。本学でも、今冬、昨年12月と今
年1月に1人ずつ感染者が出ましたが、幸いその後の感染拡大はありませんでした。
2008年4月1日より5年間に限り、麻疹・風疹の定期予防接種対象が現在の第1期(1歳児)
、第2期(小学1年生の前年)に加え、第3期(中学1年生)
、第4期(高校3
年生)に拡大されます。しかし大半の大学生は、はしかに罹ったことがない人が増えていることに加え、子供の頃予防接種を受けていないか1回しか受けたことがあり
ません。しかも、岡山大学で行った1,721人を対象とした調査によると、麻疹免疫を持たない人の割合は未罹患・未接種>未罹患・接種>罹患の順であるが、はしかに罹
った人の9%が免疫を持たないこと
がわかりました。
医
本学周辺
在校生の皆さん、教職員の皆さん、
特に未だはしかに罹ったことのない
療
機
関
電話番号
予約
横浜市立市民病院
045-331-1961
横浜船員保険病院
045-331-1251
シオンクリニック
料金(円)
麻疹のみ
麻疹・風疹混合
抗体検査
必要
×
8,900
約3,000
必要
5,500
5,050
6,400
045-332-6978
必要
7,000
7,000
3,540
人や予防接種を0〜1回しか受けて
和田町駅周辺
前田医院
045-331-2493
必要
6,000
約6,000
6,500
いない人は、春〜夏の流行ピーク時
星川駅周辺
小泉内科胃腸科
045-331-3325
必要
×
6,000
約8,000
吉田クリニック
045-341-2231
必要
×
8,000
5,000
045-290-8188
必要
×
8,000
4,000
045-321-3171
必要
5,000
9,000
5,000
期が到来する前に、是非、予防接種
を受けましょう。接種場所ですが、
本学には医学部がなく、当センター
でも諸事情により抗体検査・ワクチン
接種ができません。右表に、大学近
隣の、はしかの予防接種が可能な医
療機関を紹介しますので、ご利用く
ださい。
Campus News
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三ツ沢中町・下町 にしかわ医院
まつうら小児科・内科
備
考
午前のみ
受付17時まで
*他の医療機関は、横浜市ホームページ(健康福祉局、予防接種)
(http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/yobousessyu/yobousessyu.html) 参照。ただし、成人の予防接種を行っているかど
うかを、必ず確認してください。
また、昨年に引き続き、はしかと診断された場合は、速やかに、下記に連絡してください。
●保健管理センター事務室
045-339-3153
[email protected]
●総務部 人事・労務課 職員・共済係 045-339-3026
[email protected]
●学務部 学生支援課 学生支援係
[email protected]
045-339-3134
Information
情報基盤センターより
ご卒業・修了された方へ
ご卒業/修了に伴い、次のようにユーザIDと@ynuメールアドレスが削除されますのでお知らせ致します。
削除実施:平成20年5月1日(木) 午前9時
<ご注意> ・本学の大学院に進学される方も削除対象となります。新しい学籍番号でお使いください。
・必要なデータ(ファイルやメール)は、USBメモリ等に各自で保存/移動して下さい。
・削除後は、宛先不在(迷子)メールになりますので、知人等にメールアドレスの変更を通知することを推奨します。
・ご利用できなくなる関連サービス
Webメール(@ynu Mail)/情報基盤センター管理PCとプリンタ/教育用UNIXシステム(unixedu)など
※詳しくは本センターWebサイトをご参照ください。 http://www.ipc.ynu.ac.jp/
ご卒業・修了された方へ
卒業生登録のお願い
卒業・修了おめでとうございます。
横浜国立大学では卒業生との連携を図ることを目的として、卒業生・修了生の方々
にデータ登録をお願いしています。本趣旨をご理解の上、賛同していただける場合は、
ご登録よろしくお願いします。
○登録開始日:平成20年3月26日
(水) ※卒業式の日以降いつでも登録できます。
○登録方法: パソコンまたは携帯電話から
卒業生登録ウェブサイト https://www.jmk.ynu.ac.jp/toroku/
(登録前に、
「卒業生登録について」を必ずお読み下さい)
また、広報・渉外室では、写真のページ( 本学HP → 広報・公開・メディア → 広報・渉外室 → 写真 )に
みなさんが撮った写真の投稿を募集しています。
ご不明な点は、
総務部広報・渉外室(TEL:045-339-3027
E-Mail:[email protected])にお問い合せください。
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Campus News
題
書
構
字:「Campus News」青山 浩之 + 渡辺 邦夫
:教育人間科学部 国語・日本語教育講座書道担当 青山 浩之
成:
同
美術教育講座デザイン担当
渡辺 邦夫
表紙作品:「印度犀」
豊田 宏輔(教育人間科学部 学校教育課程 美術教育講座4年)
木彫・楠 120cm×70cm×高さ120cm
卒業研究「木彫による動物の表現」
指導教員:教育人間科学部美術教育講座彫刻担当
藤森
民雄
Campus News 2008 No.38
編
集/横浜国立大学 広報委員会
発
行/平 成 2 0 年 3 月
発行