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PEACE・Orange Balloon Project
周年記念フォーラム
「広めよう、緩和ケア」
~成果と展望、次のステージへ~
P R O G R A M
2012年
3 月17 日(土) 国連大学(UN House)ウ・タント国際会議場
■第1部
公開シンポジウム
13:30 〜 17:00 < 参加無料 > 12:30 受付開始
■第2部
交流&ワーキングレセプション
17:30 〜 19:30 < 参加費 5,000 円 >
平成 23 年度厚生労働省委託事業「がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業」
●主催:特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
●共催:一般社団法人 日本サイコオンコロジー学会/日本がん看護学会
一般社団法人 日本緩和医療薬学会/日本死の臨床研究会/特定非営利活動法人 日本ホスピス・在宅ケア研究会/特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会
●後援:一般社団法人 日本癌治療学会/特定非営利活動法人 日本臨床腫瘍学会/公益社団法人 日本放射線腫瘍学会
Since 1996
8870 members (2011April)
Message
ごあいさつ
PEACE・Orange Balloon Project 5 周年記念フォーラムにお集まりになられた方々に、
主催者を代表してご挨拶申し上げます。Orange Balloon Project は平成 19 年度から、
PEACE プロジェクトは平成 20 年度から、特定非営利活動法人日本緩和医療学会に厚生
労働省から「がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業」として委託されまし
た。
Orange Balloon Project(OBP)は、この間、緩和ケアに関連した6つの学会や団体
にご協力をいただいています。日本がん看護学会、日本サイコオンコロジー学会、日本
緩和医療薬学会、日本ホスピス緩和ケア協会、日本死の臨床研究会、日本ホスピス・在
宅ケア研究会と協力してこの事業を進めてきました。また、PEACE プロジェクトでは
日本サイコオンコロジー学会、国立がん研究センターと協力して、がん医療に携わるす
べての医師を対象とした緩和ケアの基本教育プログラム「症状の評価とマネジメントに
関する緩和ケア継続教育プログラム」(PEACE:Palliative care Emphasis program on
symptom management and Assessment for Continuous medical Education)を作成
して、全国のがん診療連携拠点病院をはじめとした緩和ケア研修会を実施する医療機関
等に提供してきました。
今後、がん医療において緩和ケアが、がんと診断された時から適切に行われるように
なるためには、緩和ケアを専門的に提供する医師だけでは十分ではありません。広くが
ん診療に従事する医師が緩和ケアの基本的な知識・技術・態度を身につけて、がんに対
する治療と平行して緩和ケアを提供できる体制が求められます。また、国民が『いつでも、
どこでも質の高い緩和ケアを』受けられるためには、国民一人ひとりが緩和ケアの正し
い理解と知識を持って、緩和ケアを希望できる環境を整える必要があります。
緩和ケア研修会の修了者は平成 24 年 1 月で 3 万人を越えました。一方 OBP の調査(平
成 22 年)では、緩和ケアの認知度は「(緩和ケアという)言葉と内容ともに知っている」
は 19.9% にとどまっています。
これからの時代を見据えて、わが国に広く緩和ケアを普及させるために、がん診療に
携わる医師のための基本教育プログラム(PEACE)と国民への緩和ケアの啓発・普及活
動 (OBP) を車の両輪として推進することを目指します。
日本緩和医療学会理事長 恒藤 暁
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Contents
目 次
■プログラム ................................................................................................................ 5
■講演者一覧 ................................................................................................................ 6
■講演概要 .................................................................................................................... 10
● PEACE の活動
基調講演
「緩和ケア教育のグランドデザイン、PEACE の位置付け」 ......... 10
木澤 義之(Yoshiyuki Kizawa)
筑波大学医学医療系 臨床医学域/ PEACE プロジェクトリーダー
活動報告
「緩和ケア研修会の成果、その評価」 ................................................... 11
山本 亮(Ryo Yamamoto)
JA 長野厚生連佐久総合病院 総合診療科 緩和ケアチーム
「精神腫瘍学担当の立場から - 成果と課題」 ..................................12
上村 恵一(Keiichi Uemura)
市立札幌病院 精神科
● Orange Balloon Project の活動 基調講演
「緩和ケアの国民的普及と Orange Balloon プロジェクト」 ....... 13
内布 敦子(Atsuko Uchinuno)
兵庫県立大学 看護学部 治療看護学/ Orange Balloon Project リーダー
活動報告
「Orange Balloon プロジェクト:5年間の普及啓発活動の成果・評価」 ........... 14
川崎 優子(Yuko Kawasaki)
兵庫県立大学 看護学部
「ホスピス緩和ケア週間の広がり」 ......................................................... 16
松島 たつ子(Tatsuko Matsushima)
ピースハウスホスピス教育研究所/日本ホスピス緩和ケア協会 事務局
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Program
プログラム
2007 年に立ちあがった PEACE と Orange Balloon Project は、今年で 5 年目を迎えました。
本フォーラムでは、これら緩和ケア普及事業の次なるステージに向け、
これまでの成果をふりかえり、これからの展望を広く共有することを目的としています。
第1部 公開シンポジウム 13:30 〜 17:00
オープニング
緩和ケア研修等事業推進委員会委員長
志真 泰夫
開会挨拶
日本緩和医療学会 理事長
恒藤 暁
厚生労働省 がん対策推進室室長
鷲見 学
● PEACE の活動
木澤 義之
基調講演『緩和ケア教育のグランドデザイン、PEACE の位置付け』
PEACE プロジェクト リーダー 活動報告『緩和ケア研修会の成果、その評価』
佐久総合病院 総合診療科 緩和ケアチーム
山本 亮
市立札幌病院 精神科
上村 恵一
基調講演『緩和ケアの国民的普及と Orange Balloon Project』
Orange Balloon Project リーダー
内布 敦子
活動報告『普及啓発活動の成果、その評価』
兵庫県立大学 看護学部
川崎 優子
『ホスピス緩和ケア週間の広がり』
日本ホスピス緩和ケア協会事務局
松島 たつ子
『精神腫瘍学担当の立場から、成果と課題』
● Orange Balloon Project の活動
● パネルディスカッション
テーマ:広めよう緩和ケア 成果と展望、次のステージへ
〜緩和ケアが普及した社会を創るために〜
< パネリスト >
厚生労働省 がん対策推進室
鷲見 学
< コーディネーター >
木澤 義之
周南いのちを考える会
前川 育
内布 敦子
大阪府健康医療部保健医療室健康づくり課 がん対策グループ
森元 一徳
読売新聞 社会保障部
本田 麻由美
PEACE: 旭川医科大学病院 緩和ケア診療部
阿部 泰之
千葉県がんセンター 精神腫瘍科
秋月 伸哉
OBP: 兵庫県立大学 看護学部
川崎 優子
第2部 交流&ワーキングレセプション 17:30 〜 19:30
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Speakers
講演者一覧
鷲見 学(Manabu Sumi)
厚生労働省 健康局 総務課 がん対策推進室室長
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1996 年名古屋大学医学部卒業後、東京災害医療センター研修医、東京医療センター研修医を経て、
1997 年厚生労働省入省。保険局医療課、環境省環境安全課勤務。2003 年、ハーバード大学留学(MPH
取得)。帰国後、厚生労働省食品安全部基準審査課、障害保健福祉部精神・障害保健課、大臣官房
国際課を経て(この間名古屋大学大学院にて医学博士取得)、2008 年から世界保健機関(WHO)
総務局勤務、渉外担当医官。2011 年帰国後、現職。
恒藤 暁(Satoru Tsuneto)
大阪大学大学院 医学系研究科 緩和医療学寄附講座/日本緩和医療学会理事長
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1985 年筑波大学医学専門学群卒業後、1993 年、近代ホスピス誕生の英国セント・クリストファー
ホスピスにて研修、帰国後 1995 年より淀川キリスト教病院ホスピス長。2001 年大阪大学大学院
人間科学研究科臨床死生学助教授を経て、2006 年より医学系研究科 緩和医療学寄附講座 教授。
日本緩和医療学会理事長、日本ホスピス緩和ケア協会理事、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
理事。
志真 泰夫(Yasuo Shima)
筑波メディカルセンター病院/緩和ケア研修等事業推進委員会委員長
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1980 年東京医科大学医学部卒業後、千葉大学医学部神経内科入局。1992 年国立がんセンター東
病院緩和ケア病棟医長。2004 年筑波メディカルセンター病院緩和医療科部長を経て、2009 年より
副院長。日本緩和医療学会理事 緩和ケア研修等事業推進委員会委員長。日本ホスピス緩和ケア協会
理事長。厚生労働省がん対策推進協議会緩和ケア専門員会委員。一貫して、「いつでも、どこでも
質の高い緩和ケアを受けられる社会の実現」を目指して活動中。
木澤 義之(Yoshiyuki Kizawa)
筑波大学医学医療系 臨床医学域/ PEACE プロジェクト リーダー
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1991 年筑波大学医学専門学群卒業後、医療法人財団河北総合病院入職。1994 年筑波大学総合医コー
スレジデント、1997 年筑波メディカルセンター病院総合診療科、2000 年同診療科長。2003 年筑
波大学臨床医学系講師を経て 2004 年より臨床医学域講師。専門は緩和医療、総合診療、プライマリ・
ケア。総合診療医としての経験から、緩和ケアを普及させることの重要性に気づき、この間一貫し
て PEACE プログラムの企画・開発に携わる。PEACE プロジェクトリーダー。日本緩和医療学会常
任理事 教育研修委員会委員長。
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Speakers
講演者一覧
山本 亮(Ryo Yamamoto)
JA 長野厚生連佐久総合病院 総合診療科 緩和ケアチーム
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1996 年筑波大学医学専門学群卒業後、佐久総合病院研修医を経て、佐久総合病院総合診療科。
2005 年聖隷三方原病院緩和ケア科で緩和ケア研修を行った後、2006 年佐久総合病院総合診療科・
緩和ケアチーム、2010 年より同科部長。北海道の診療所で働きたいと医師を目指して総合診療の
道に進み、訪問診療を行っているなかから緩和ケアの勉強を始める。現在は総合診療科を中心に、
緩和ケアチーム、在宅訪問診療、研修医教育などに携わる。日本緩和医療学会教育研修委員会委員、
緩和ケア研修部会 (PEACE) 委員。
上村 恵一(Keiichi Uemura)
市立札幌病院 精神科
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2001 年旭川医科大学医学部卒業後、国立札幌病院北海道がんセンターを経て、2003 年市立札幌病
院精神神経科医師、2011 年より同科副医長。2006 年より KKR 札幌医療センター緩和ケア病棟非
常勤医師兼務。PEACE 指導者研修会サブリーダーとして精神科医の精神腫瘍学教育に携わると同
時に、北海道内のがん治療医、緩和ケア医と協同し緩和ケア教育の普及に携わる。日本赤十字北海
道看護大学非常勤講師。日本サイコオンコロジー学会理事、日本総合病院精神医学会がん対策委員。
日本緩和医療学会緩和ケア研修部会 (PEACE) 委員。
内布 敦子(Atsuko Uchinuno)
兵庫県立大学 看護学部 治療看護学/ Orange Balloon Project リーダー
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1976 年熊本大学医学部附属看護学校卒業後、保健師助産師学校を経て虎ノ門病院に 9 年間勤務。
その後、千葉大学大学院看護学研究科修士課程に進み、東京女子医大看護短期大学講師を経て、ミ
ネソタ大学で Research scholar として学ぶ。帰国後 1993 年の兵庫県立看護大学(現兵庫県立大学
看護学部)開設当初から教育に携わり、現在教授。同大学で Dr. Larson と共にがん看護専門看護
師を育てる修士課程を立ち上げ、この間、大阪大学で人間学博士号取得。がん看護の領域で、教育、
研究に携わる。日本緩和医療学会理事、緩和ケア研修等事業推進委員会副委員長、緩和ケア普及啓
発部会長。2007 年より Orange Balloon Project リーダー。
川崎 優子(Yuko Kawasaki)
兵庫県立大学 看護学部
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1994 年より国立名古屋病院消化器外科病棟に 7 年間勤務。その後、兵庫県立看護大学大学院修士
課程修了後、2003 年より同大学(現:兵庫県立大学看護学部)助手・助教を経て 2009 年より講
師。がん看護領域の教育・研究に携わり現在に至る。研究領域は、がん看護領域のコンサルテー
ション技術・相談技術の開発。日本緩和医療学会緩和ケア研修事業推進委員会委員、2007 年より
OrangeBalloon Project 担当。
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Speakers
講演者一覧
松島 たつ子(Tatsuko Matsushima)
ピースハウスホスピス教育研究所/日本ホスピス緩和ケア協会 事務局
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東洋英和女学院大学人間科学研究科修了。(財)ライフ・プランニング・センター、ホライズン心理・
教育センター勤務の後、1991 年、オーストラリアを中心にホスピスケアについて海外研修。帰国
後、わが国初の独立型ホスピス、ピースハウス病院の設立準備に参与し、同病院看護部長、ホスピ
ス教育研究所部長を経て、2000 年より所長。2002 年、ピースハウス病院が全国ホスピス緩和ケア
病棟連絡協議会(現:日本ホスピス緩和ケア協会)の事務局を引き受けることとなり、事務局長就
任、現在に至る。
前川 育(Iku Maekawa)
NPO 法人 周南いのちを考える会
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1981 年、6 歳だった長男を急逝骨髄性白血病で亡くし、自身も 1996 年と 1999 年に胃がん、2001
年甲状腺がんを経験する。この 3 度のがん体験から、どこでも誰でもホスピスケアが受けられる社
会を目指して、2001 年に周南いのちを考える会を設立し、代表を務める。2008 年、念願の緩和ケ
ア病棟が徳山中央病院に開設された。同年、山口県在宅緩和ケア対策推進連絡協議会委員。2009
年より、健康やまぐち 21・がん対策分科会委員、厚生労働省がん対策推進協議会委員。
森元 一徳(Kazunori Morimoto)
大阪府 健康医療部 保健医療室 健康づくり課 がん対策グループ
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1979 年大阪府豊中保健所に勤務。財団法人千里保健医療センター(大阪府立千里看護学院)、大阪
府の衛生部医療対策課、福祉部福祉総務課、教育委員会同和教育企画室、教育委員会教育振興室、
教育委員会人権教育企画課を経て、2010 年より健康医療部保健医療室健康づくり課がん対策グルー
プ課長補佐。2011 年 4 月に施行された大阪府のがん対策推進条例の企画・推進を担当している。
緩和ケアを含む日本一のがん対策を目指しており、患者目線で具体策を思い切って打ち出した点が
関心を呼び、全国の自治体から好事例として評価されている。
本田 麻由美(Mayumi Honda)
読売新聞 東京本社 社会保障部 記者
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大阪府出身。1991 年お茶の水女子大卒業。同年、読売新聞社入社。2000 年より社会保障部で医療・
介護問題を中心に取材を担当。2002 年 5 月に自身の乳がんが見つかり、03 年 4 月から闘病体験に
よる医療コラム「患者の視点 記者の視点」(のちに「がんと私」に改題)を同紙朝刊で約5年に
わたり連載。欧州 NPO の「Cancer Enlightenment 2004 Special Award」、ファイザー医学記事賞
を受賞。著書に「34 歳でがんはないよね?」。厚生労働省がん対策推進協議会委員、独立行政法人
評価委員会高度専門医療研究部会委員なども務めている。
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Speakers
講演者一覧
阿部 泰之(Yasushi Abe)
旭川医科大学病院 緩和ケア診療部
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1999 年旭川医科大学医学部卒業後、旭川医科大学整形外科学講座入局。国立札幌病院(現北海道
がんセンター)腫瘍整形外科、和歌山県立医科大学集学的治療・緩和ケア部、旭川医科大学病院緩
和ケアチーム専任医師、旭川医科大学精神医学講座助教を経て、2010 年より同病院緩和ケア診療
部副部長。緩和医療専門医として現在に至る。身体も精神も統合した形での緩和ケア・全人的医療
を創っていくため、様々な分野の融合、最近では哲学も取り入れて臨床、研究、教育に携わる。日
本緩和医療学会緩和ケア研修部会 (PEACE) 委員。
秋月 伸哉(Akizuki Nobuya)
千葉県がんセンター 精神腫瘍科
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1997 年広島大学医学部卒業後、広島大学医学部付属病院精神科研修医、国立呉病院精神科研修医、
国立がんセンター東病院レジデント、国立がんセンター中央病院がん専門修練医を経て、2004 年
国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部緩和ケア研究室長。2005 年国立がんセンター東病
院臨床開発センター精神腫瘍学開発部心理社会科学室長、2009 年より千葉県がんセンター精神腫
瘍科部長。精神腫瘍学を専門とし、がん患者の精神症状スクリーニング(つらさと支障の寒暖)開
発、がん患者のうつ病薬物療法アルゴリズム開発、地域緩和ケア連携モデル事業に携わる。日本緩
和医療学会緩和ケア研修部会 (PEACE) 委員。
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Abstracts
講演概要
● PEACE の活動 基調講演
「緩和ケア教育のグランドデザイン、PEACE の位置付け」
木澤 義之(Yoshiyuki Kizawa)
筑波大学医学医療系 臨床医学域/ PEACE プロジェクトリーダー
緩和ケアは大きくわけて3つに分けることができる。
また以下のことを大切な視点としてプログラムの作成
それは、すべての医療従事者が提供するべき緩和ケアア
を行った。
プローチ、そして、がんをはじめとする、生命の危機に
1)医学的な状況を正確にアセスメントすること
直面する患者を診療する機会の多い医療従事者が実践す
2)常に患者さんのつらさを尋ねること
ることが望ましい基本的緩和ケア、最後に緩和ケアを専
3)患者さん・ご家族の今まで生きてきた人生を知り、
門として提供する医療従事者が提供する専門的緩和ケア
今一番大切にしていることを聞くこと
である。
4)患者さん・家族の医療に対する希望を知ること
5)根拠に基づいた標準的な治療を推奨すること
また、緩和ケア教育はその教育の時期から大きく卒前
と卒後に分かれる。厚生労働科学研究班であるがん医療
また、プログラムの普及方法も全てのがん診療に携わ
の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の教育
る医師に、できるだけ短期間にこのプログラムを受講し
に関する研究班(研究代表者:木澤義之)と日本緩和医
てもらうために、このプログラムを使った研修会を学会
療 学 会、 日 本 サ イ コ オ ン コ ロ ジ ー 学 会 が 協 力 し て 作 成
だけが開くのではなく、学会はまず、指導者研修会を行
された Palliative care Enhanced program on symptom
い、 そ こ で 生 ま れ た 指 導 者 に 研 修 会 を 開 催 し て も ら う
management and Assessment for Continuous medical
Train the trainer 方式をとることとした。他人が作成し
Education (PEACE: 症 状 の 評 価 と マ ネ ジ メ ン ト を 中 心
たプログラムを教えるという困難を乗り越えるために、
とした緩和ケアのための継続教育プログラム ) は、卒後
研修会の構造化と内容の標準化が必要となり、内容のブ
の基本的緩和ケアを短期間に修得することを目的として
ラッシュアップやファシリテーターマニュアルの充実化
作成されたプログラムである。
を図り、指導者研修会をできる限り多く開催して教育方
法の充実を行った。
PEACE の学習到達目標は明確で、『すべての卒後 3 年
本講演では PEACE プロジェクトがどのようなコンセプ
目の医師が最低限身に付けていてほしい緩和ケアを習得
トで、どう運営されてきたかを概説する。
する』ことである。そのため、内容は症状のアセスメント、
がん疼痛のマネジメント、コミュニケーション、気持ち
のつらさ(不安と抑うつ)、嘔気・嘔吐、呼吸困難、治療・
療養の場の選択と地域連携に絞り、内容の難かしさも吟
味して選択した。
10
Abstracts
講演概要
● PEACE の活動 活動報告
「緩和ケア研修会の成果、その評価」
山本 亮(Ryo Yamamoto)
JA 長野厚生連佐久総合病院 総合診療科 緩和ケアチーム
2008 年から「緩和ケアの基本教育に関する指導者研修
を用いて 83 の予備項目を作成したうえで、信頼性・妥
会」(以下、指導者研修会)は計 22 回開催され、指導者
当性を検証するための調査を実施した。調査は自記式質
研修会修了者は 2,065 名にのぼっている。
問紙によって 15 施設 735 名の医師と、日本ホスピス緩
指導者研修会修了者を中心に、がん診療拠点病院を中
和ケア協会に属する緩和ケア病棟の責任者 66 名を対象
心に全国各地で「がん診療に携わる医師のための緩和ケ
と し て 行 っ た。 本 調 査 2 週 間 後 に 3 施 設 124 名 を 対 象
ア研修会」(以下、緩和ケア研修会)が開催され、緩和ケ
に再調査を行った。分析は、項目反応理論、級内相関係
ア研修会開催数は 2011 年 12 月末時点で 1,592 回、受講
数、Cronbach’s α 係 数 の 算 出 に よ り 行 っ た。 こ れ に よ
生も 29,736 名 と なり、がん診療に携わる医師が 系 統 的
り、PEACE の各モジュールに対応した 9 つ(緩和ケア概
な緩和ケア教育を受ける機会となっている。しかし緩和
論、 が ん 疼 痛、 オ ピ オ イ ド を 開 始 す る と き、 呼 吸 困 難、
ケアについての系統的な教育を受けることで、本来の目
嘔気・嘔吐、気持ちのつらさ、せん妄、コミュニケーショ
的である緩和ケアの質が向上したのかどうかについては
ン、 地 域 連 携 ) の ド メ イ ン 33 項 目 を 選 定 し、 緩 和 ケ ア
明らかにされてはいない。
研修会において緩和ケアの知識を測定するための尺度
「PEACE-Q33」が完成した。
教育の効果を測定することは難しい。なぜなら、教育
を受けることで、学習者の行動変容が起こり、真のエン
(2) 緩和ケア研修会の教育効果の測定
ドポイントである、患者に適切な緩和ケアを提供できる
この尺度と、先に開発された緩和ケアに関する医療者
ようになったかどうかを測定することが難しいからであ
の態度・困難感の評価尺度を用いて、緩和ケア研修会の
る。
教育効果の測定を試みた。
そこで、まず指導者研修会を受講した医師を対象に、
対象は全国 15 の緩和ケア研修会の参加者 304 名とし
緩和ケア研修会を開催することで、地元の地域にどのよ
た。緩和ケア研修会受講前後と緩和ケア研修会終了後 2 ヶ
うな変化が起こったと感じているかについての調査を
月が経過した時点でのこれらの尺度を測定し、その変化
行った。その結果、緩和ケア研修会受講生の緩和ケアの
について検討を行った。
知識・技術の獲得といった直接的な成果だけでなく、「連
緩 和 ケ ア 研 修 会 前 後 の 比 較 で は、 全 て の ド メ イ ン で
携の強化」や「緩和ケアの認知度の向上」、「地域の緩和
受 講 前 と 比 較 し て 知 識 の 向 上 が 認 め ら れ た( い ず れ も
ケアリソースの把握」といった間接的な成果が得られて
p<0.01)。
いると感じていることが明らかとなった。
緩和ケア研修会受講後 2 ヶ月後の緩和ケアの知識、緩
次に、緩和ケア研修会を受講することによって、緩和
和ケアに関する態度・困難感についての調査は現在解析
ケアについての知識が得られ、緩和ケアに関する態度が
中であり、近日中に結果が報告できる予定である。
向上したり困難感が減少したりするかどうかを測定する
ことで、緩和ケア研修会の教育効果の評価を行うことと
教育は必ずしも即効性があるものではないため、緩和
した。結果は現在解析中であるが、これまでの経過と結
ケア研修会の成果は今のところ大きくはないかもしれな
果の一部を報告する。
い。しかし、5 年間の取り組みの中で、緩和ケアの知識
(1) 評価尺度の開発
が少しずつ向上し、地域での連携の強化や緩和ケアの認
最 初 に、PEACE で 行 わ れ て い る 緩 和 ケ ア 研 修 会 に お
知度の向上が図られてきていることからは、今後徐々に
いて緩和ケアの知識を測定するための尺度の作成を試
教育の効果が表れてくるのではないかと期待される。
み た。PEACE の 教 材 作 成 に 関 わ っ た 者 が デ ル フ ァ イ 法
11
Abstracts
講演概要
● PEACE の活動 活動報告
「精神腫瘍学担当の立場から
- 成果と課題」
上村 恵一(Keiichi Uemura)
市立札幌病院 精神科
平成 20 年 9 月から開始された精神腫瘍学の指導者研
を得た。地域の緩和ケア研修会への協力回数はほぼ半数
修会は、すべて緩和ケア指導者研修会と同時に開催され
の精神科医が 2 ~ 5 回であったものの、6 回以上の強負
計 13 回開催し修了者数は 626 名(緩和 1,439 名)となっ
荷の精神科医が 22% に及ぶなどの個人差が見られた。研
た ( 平成 24 年 2 月末現在 )。精神腫瘍学の基本教育に関
修会の講師としての困難感についての質問では、精神症
する修了者となった精神科医は、緩和ケア研修会におい
状 の 講 義 で 50% の 精 神 科 医 は 何 ら か の 困 難 を 感 じ て お
て「精神症状講義」、「コミュニケーションワークショッ
り、コミュニケーションのセッションおいては 70% が何
プ・講義」を担当するため指導者研修会では主に講義部
らの困難を感じており、たった一度の指導者研修会のみ
分に関するインタラクティブティーチングスキルと、コ
で慣れないワークショップの実践に対応する限界を示す
ミュニケーションのロールプレイの進め方についての指
結果となっている。
導を行っている。修了者は精神腫瘍学の指導者メーリン
また、がん診療連携拠点病院における精神腫瘍医の充
グリストを通じてセッションの疑問を議論、研修会での
足率を知るため PEACE プロジェクト「 精神腫瘍学の基
精神腫瘍学の講師が不足している場合は応援態勢をとれ
本教育に関する指導者 」を精神腫瘍医であると考え、全
るようなシステムとしている。
国 388 のがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)にお
「心のケア」と「コミュニケーション」は緩和ケアの
ける精神腫瘍医の充足状況を調査した。精神腫瘍医が不
肝であり、参加者からの関心も高い。精神科医のコミュ
在の拠点病院は未だに 34% に上り特に、北海道・東北・
ニケーションスキルが、がん治療医の医療コミュニケー
四国で精神腫瘍医が不足している偏在ぶりが明らかに
ションモデルとなるなどの副次的効果も生まれている。
なった。
また研修会運営における緩和ケア医と精神腫瘍医の連携
現状の精神腫瘍学教育の問題点として地域における偏
は、がん診療連携拠点病院でのチーム医療の促進要因と
在が上げられたが、これは正に総合病院精神科全体の問
なっているだけではなく、地域のがん治療医、緩和ケア
題であり、精神科医師の総合病院離れは加速している状
医、精神科医の顔の見える関係作りを担う。やや話しに
況と酷似している。緩和ケアに関わる精神科医師を増や
くかった精神科医との交流を持つことで、その後のコン
していくには、精神科初期教育や卒前教育における精神
サルテーションの増加を経験する精神科医が多いと聴い
腫瘍学導入が必要であり、他診療科や他職種と連携して
ている。
協働できる医療の魅力を提供することが求められる。
北海道内の調査ではあるが、事後アンケートの結果か
また精神腫瘍学指導者の増加は、必ずしも良好なコン
ら、精神腫瘍関連セッションに対しての参加者の興味は
サルテーションに結び着いていない。指導者研修会は、
概して高い。このことは参加した医療従事者に対して精
ティーチングスキル研修会の要素が強いためチーム医療
神腫瘍学への興味、あるいは精神症状の存在への気づき
における精神腫瘍医の特性についての指導にまでは及ば
を促す結果となり、日常診療におけるコミュニケーショ
ず、精神科医が緩和ケアに関する知識が少ないことも稀
ンへの配慮を促すことに繋がると推測される。さらに、
ではなく、精神科医介入における質の向上が要求される。
緩和ケア研修会修了者を対象とした NextStep 研修会と
これには新臨床研修制度経験精神科医師をこの分野へ勧
して精神腫瘍学研修会(せん妄の事例検討、心理学的包
誘し、がん診療経験があり、緩和ケアにも馴染みやすい
括的アセスメント)を開催しているが、毎回定員を超え
精神科医を養成することが必要である。
る応募を頂いており、結果がん治療に携わる医療者の精
さらにアンケートからは精神科医師自身が死に向かう
神・心理学的アセスメント能力は格段に向上してきてい
こ と に 不 安 で あ り、 悲 嘆 の ケ ア へ の 自 信 が 持 て な い と
る。
いった意見が見られた。精神疾患を有さないがん患者さ
精神腫瘍学の指導者の地域での活動については、その
んへの関わりを経験することで、死生学、倫理学など精
状況と問題点を調査する目的で 2011 年 11 月にインター
神医学以外への興味関心をもってもらい度量の広い精神
ネットによるアンケートを施行し 125 名 (28%) から回答
科医師を養成することを続けたい。
12
Abstracts
講演概要
● Orange Balloon Project の活動 基調講演
「緩和ケアの国民的普及と Orange Balloon プロジェクト」
内布 敦子(Atsuko Uchinuno)
兵庫県立大学 看護学部 治療看護学/ Orange Balloon Project リーダー
2007 年 度 か ら 日 本 緩 和 医 療 学 会 は、 厚 生 労 働 省 か ら
ケアも受けましょう」と言っても聞こえないのは当然か
の委託を受けて、国民が緩和ケアを正しく理解し適切に
もしれない。心のケアや症状を緩和する必要性について、
医療を受けることができるよう、緩和ケアの普及活動を
一般の人々が理解するには何か工夫が必要なのではない
行ってきた。ポスター、チラシ、講演会、メディアを使っ
か。
た活動は今年3月で実質 5 年を終了する。緩和ケアに関
こ れ ま で の 普 及 活 動 の な か で、 幾 つ か の 調 査も行い、
連している6つの学会や団体にもそれぞれ活動を通して
患者、一般市民の緩和ケアのへの反応についてもわかっ
普及活動を行った。しかしながら、一般市民の認識を変
てきたことがある。そのことについては、この後に川崎
えることは非常に困難であり、依然として認知度は、
「(緩
氏から報告してもらう。私たち自身が展示場で一般の人
和ケアの)言葉と内容ともに知っている」が 19.9% にと
の反応に直接触れて感じたこともある。また、がん治療
どまっている。日本医療政策機構による類似の調査でも
を専門とする学会で、参加者の反応をみて、緩和ケアの
「『緩和ケア』の意味を十分知っていた」と回答した人は
本質を理解していないのは医療者自身ではないかと思わ
22.7% にとどまっており、低い認知率と言わざるを得な
される場面にも遭遇した。緩和ケアへの偏見、誤解、無
い。
関心には根深いものがあると感じている。
普及を阻んでいるものは何だろうか。治療への強い期
それでも、緩和ケアに関する正確な情報が伝わると人々
待、緩和ケアは治療をあきらめてからするものという誤
は肯定的な反応も示している、医療者から説明されると
解、医療用麻薬を使用することへの強い不安感、死を連
受け入れやすく信頼も得やすい、しかし健康な人は関心
想させるような話題を避けるといった患者側の要因が考
をしめさない、といったことがわかっている。ありがた
えられる。一方、医療者に症状緩和の知識が不足してい
いことに、患者さん達はまだ私たちを信頼してくれてい
ること、患者に緩和ケアについて提案することへの抵抗
る。
感、緩和ケアの情報提供不足といった医療サイドの問題
この普及活動の初期に一般市民を対象にした展示会で
も当然あるだろう。
ブースを出したとき、隣接した病院から一人のがん患者
緩和ケアの内容を説明するのはむずかしい。「診断さ
さんが点滴をつけたまま家族に付き添われて、訪れてく
れたそのときから緩和ケアを」と言われても、いったい
ださったときのことは忘れられない。「“ 緩和ケア ” って
何をしてもらえるのか?「心のケア」といわれても、多
わざわざ言わないと痛みは取ってもらえないのでしょう
くの患者は心のケアが自分に必要であるとは認識してい
か?病院であれば、普通に症状をとってくれるのではな
ない。気持ちの落ち込みはあっても、それが治療の対象
いのですか?いままでの医療を受けるだけではダメなの
になるとは思っていない。その点、手術や化学療法はわ
で し ょ う か?」・・・、 ま っ た く そ の 通 り。 率 直 な 疑 問
か り や す い。「 腫 瘍 は 手 術 で 切 除 さ れ ま し た 」「 抗 が ん
である。本来は普通に受けることのできる医療をできな
剤で腫瘍がこんなに小さくなりました」といった効果は
くしてしまったのは、病気にしか焦点を当ててこなかっ
見えやすい。そして何よりも病気そのものを取り除くと
た医療者自身なのではないのか・・。普及活動は次の段
いう患者の最大の目的に合致しているので受け入れやす
階にはいる。私たちは何をすべきだろうか。5年間の委
い。人々は、症状を緩和して楽になることではなく、我
託事業を引き受けて感じたこと、それは、この普及活動
慢して治療をし続けることに高い価値をおいている場合
には、一般的に用いられるマーケティングの手法や広報
もある。さらに痛みなどがない段階では、緩和ケアは自
戦略が通用しないということだ。もっと根本的な何かを
分にはあまり関係はないもの、今後もできれば必要でな
変える必要がある。「患者や一般市民の理解を得ること」
いものであってほしいというのが、一般市民の正直な感
の前に「医療者が変わること」がもしかしたら一番必要
想ではないかと思われる。治療に一生懸命になっている
なことではないだろうか。
患者に対して「治療も続けていいから痛みを取って心の
13
Abstracts
講演概要
● Orange Balloon Project の活動 活動報告
「Orange Balloon プロジェクト:5年間の普及啓発活動の成果・評価」
川崎 優子(Yuko Kawasaki)
兵庫県立大学 看護学部
2007 年 4 月 厚 生 労 働 省 は 一 般 市 民 に 対 し て「 緩 和 ケ
こと、②対象となる市民の年齢、がん治療経験の有無、
アは死を待つだけのあきらめの医療」などといった誤っ
緩和ケアに対するイメージなどに多様性があることで
た考え方を改め、「緩和ケア」について正しい知識を持つ
あった。そのため、国民の認識度調査やターゲットを焦
ことを目的とした普及啓発事業の実施計画を立案。NPO
点化するためにマーケティング調査を行った。結果、国
法人日本緩和医療学会は、本事業の委託を受け緩和ケア
民が「緩和ケア」を正しく認識するルートには医療者の
研修等事業推進委員会の下部組織として緩和ケア普及啓
介在が不可欠であり、緩和ケアに関心を持つことへの影
発部会(部会長:内布敦子)を設置、「Orange Balloon
響要因としては、身近にがん体験者がいることや自らが
Project」として5年間緩和ケア普及啓発活動を実施した。
がんの好発年齢になっていることであった。この結果を
本事業は、日本ホスピス緩和ケア協会、日本死の臨床研
もとに、緩和ケアを普及するためのターゲットおよび戦
究会、日本ホスピス・在宅ケア研究会、日本がん看護学
略を修正し活動を展開した。5年間の事業概要の詳細に
会 、日本緩和医療薬学会(2008 より)、日本サイコオン
ついては表1に示すとおりである。
コ ロ ジ ー 学 会(2009 よ り ) な ど の 緩 和 ケ ア 関 連 団 体 と
本講演では、緩和ケア普及啓発の活動概要とその成果
連携し活動を行ってきた。
について概説する。
本事業の目的は、一般市民にがん治療の初期段階から
尚、2008 年度、2010 年度に行った「一般市民を対象
の早期の「緩和ケア」に関する正しい知識を普及するこ
とした緩和ケアの認識度調査」の報告書については、
とであった。しかし、活動を開始して最初の壁は、①一
http://www.kanwacare.net/houkoku/index.html
般市民にとってわかりやすい「緩和ケア」の定義がない
にて公開している。
14
Abstracts
講演概要
表1:オレンジバルーンプロジェクト活動内容 (2007 年度~ 2011 年度 )
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Ü Abstracts
講演概要
● Orange Balloon Project の活動 活動報告
「ホスピス緩和ケア週間の広がり」
松島 たつ子(Tatsuko Matsushima)
ピースハウスホスピス教育研究所/日本ホスピス緩和ケア協会 事務局
2005 年 2 月、 韓 国・ ソ ウ ル に お い て、 ホ ス ピ ス 緩 和
とその前後の期間に、さまざまな催物が企画されました。
ケアグローバルサミットが開催され、アジア・オセアニ
ホスピス緩和ケアに関する一般向け講演会、がんの疼痛
ア・ヨーロッパ・アフリカ、南北アメリカなど、世界各
治療になどに関する専門家向け研究会、病院玄関ロビー
地で緩和ケアの普及に取り組んでいる 14 団体が集合し
やチャペルでのコンサート、緩和ケアの歴史や活動を紹
ました。会議では、各国の現状報告や今後の課題に関す
介する展示、緩和ケア病棟見学会、相談窓口の設置、演
る意見交換とともに、がんやエイズに苦しむひとたちへ
劇や落語、ミニバザーなど、年毎に新たな企画が工夫さ
の緩和ケアの継続した支援体制作りを各国に呼びかける
れています。
宣言書が採択されました。
この宣言書に、10 月第一土曜日(後に第二土曜日に変
企画担当者からの報告書には、一般の方から、「わかり
更 ) を “ 世 界 ホ ス ピ ス 緩 和 ケ ア デ ー(World Hospice &
や す か っ た。 緩 和 ケ ア の こ と を 知 る よ い 機 会 となった。
Palliative Care Day)” とし、世界中でホスピス緩和ケア
緩和ケアを身近に感じた」などの感想をいただき、緩和
の普及啓発活動に取り組むことが盛り込まれました。
ケア普及啓発活動の意義、継続的な取り組みの必要性を
再確認したことなどが述べられています。また、当初は
本サミットに参加した日本ホスピス緩和ケア協会で
各施設が単独で開催していましたが、地域の緩和ケア関
は、2006 年度より、「世界ホスピス緩和ケアデー」を最
係者が協働で開催する企画もふえ、緩和ケア週間が地域
終日とした一週間を「ホスピス緩和ケア週間」とし、全
の緩和ケアネットワーク作りにも役立っている場合があ
国の会員施設に呼びかけ、ポスターの掲示及びセミナー
るようです。
や緩和ケア病棟見学会の実施など、さまざまな企画に取
り組んできました。
各地の催物は、当協会でとりまとめ、日本の取り組み
2008 年 度、 当 協 会 は、 日 本 死 の 臨 床 研 究 会、 日 本 ホ
として世界ホスピス緩和ケアデーの事務局に報告すると
スピス・在宅ケア研究会、日本がん看護学会とともに、
共に、オレンジバルーンプロジェクトおよび協会のウェ
緩和ケア普及啓発事業 “ オレンジバルーンプロジェクト
ブサイト上に掲載しています。なお、各年度の企画数と
(Orange Balloon Project : OBP)” に参加することとな
催物への参加者数(展示会場来場者は含まず)は、以下
の通りです。
り、「ホスピス緩和ケア週間」は OBP の活動の一つとな
2006 年度:27 企画(1,720 人)
りました。
2007 年度:36 企画(6,780 人)
その結果、本企画への呼びかけは、協会会員のみなら
2008 年度:80 企画(8,449 人)
ず、 会 員 以 外 の 全 国 の が ん 診 療 連 携 拠 点 病 院 緩 和 ケ ア
2009 年度:78 企画(11,065 人)
チーム、また、緩和医療学会会員に向けても発信するこ
2010 年度:93 企画(13,845 人)
ととなり、緩和ケア週間を通してのさまざまな啓発活動
2011 年度:92 企画(16,609 名)
が全国に広がっていきました。
「緩和ケア週間」のポスターとチラシを、その年の “ 世
界ホスピス緩和ケアデー ” のメインテーマに合わせて作
成し、全国に配布しました。日本各地で、緩和ケア週間
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