平成 28 年度 事業計画

一般財団法人成田国際空港振興協会
平成 28 年度 事業計画
平成 27 年暦年における成田空港の運用状況は、アジア路線を中心とした国際線や国
内線 LCC の新規就航・増便等により、航空機発着回数は国際線・国内線ともに過去最高
を更新(計 232,182 回)
、航空旅客数も過去最高を更新しました(3,732 万人)。また、
昨年日本を訪れた外国人旅客数は、訪日ビザの緩和や円安等の影響、消費税免税制度拡
充等の後押しもあり、1,973 万人とこちらも過去最高を記録し、政府は、訪日 2,000 万
人の早期実現、またその先の 3,000 万人を目指すとする「観光立国実現に向けたアクシ
ョン・プログラム 2015」を決定し、様々なインバウンド(外国人旅行者誘致)政策を
推進しているところです。
しかし、こうした好調なニュースの裏では、中東・ヨーロッパの情勢不安、中国経済
の失速など、不安要素も垣間見える 1 年となりました。また、アジア各地では大規模な
空港機能拡張が着々と進められ、さらには、国内他空港の旅客数増加も顕著なことなど、
今後、空港間競争の更なる激化が確実視されています。
当協会の平成 27 年度の決算の見通しは、第 2PTB で展開する手荷物一時預かり事業に
ついて、当初は第 3PTB オープンによるマイナスの影響を懸念しましたが、バゲージラ
ッピングサービスが今年度も好調に推移したことや、地下コンコースへのコインロッカ
ー新設が奏功したことで、前期比及び予算比で増収とすることができました。また、環
境業務では、他空港における騒音等調査の受託が好調だったことなどで、前期比及び予
算比で増収となり、協会全体でも当初予算を上回る最終利益を見込める状況にあります。
公益事業については、これら受託・収益事業によって利益の確保が見込めたことから、
来年度の日本文化紹介体験イベントの通年化に向けた準備を実施するなど、当初予算を
上回る公益目的支出を計上できる見込みです。
このような状況の中、平成 28 年度の当協会は、協会に求められている役割を理解し
た上で、NAA が推し進める成田空港の競争力強化、またそのための空港機能強化の具体
化に向けた準備に、様々な面で寄与できるよう各事業を実施してまいります。
公益事業(実施事業等会計)では、「空港利用者の便益増進事業」として実施してい
る日本文化紹介体験事業について、第 1・第 2PTB に専用会場を設け、着物の着付け・
浮世絵版画摺り等のイベントを通年実施いたします。あわせて、訪日旅客に日本の魅力
を発信するための日本文化の常設展示を新たに実施することといたします。また、2 年
目となるトランジット旅客対象の観光案内プログラム「トランジットツアー」について
は、より多くの方にツアーを体験していただけるよう、ホームページ等を利用した周知
活動もあわせて実施することといたします。また、「空港従事者の資質向上等事業」で
は、保育ルームたんぽぽについて NAA が拡張の検討を進めており、協会といたしまして
も拡張に向けた準備を進めてまいります。これらの公益事業は NAA からの寄付金を主な
財源として実施しておりますが、費用対効果に留意しながら、更なる充実を図ってまい
ります。
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受託事業、収益事業(その他会計)では、旅客案内業務において、従来のご案内に加
え、障害をお持ちの方等へのサービス向上を図るため、介助及び手話の対応を実施する
こととします。また、今月より試行運用を開始したご高齢の方・お身体の不自由な方等
を対象にした移動用電動カートを用いたサービスについて、引き続き実施することとい
たします。これらは成田空港の CS に直結する業務であることを念頭におき、質の高い
サービスの提供に努めてまいります。
環境業務においては、航空機騒音実態調査等の従来からの業務を着実に実施していく
とともに、発着回数拡大のための成田空港の更なる機能強化の具体化に向けた環境影響
調査について、これまで培ったノウハウを十分に活かし、積極的に関与できるよう体制
の整備を進めてまいります。
手荷物一時預かり事業では、今年度導入したバゲージラッピングマシンを最大限活用
することで好調を維持できるよう努めるとともに、更なる増収策として、第 2PTB 地下
コンコースへのコインロッカー増設を早期に実施いたします。
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1.空港利用者の便益増進に関する事業
(1)日本文化紹介体験事業
① 制限エリアにおける日本文化紹介体験イベント
第 1・第 2 旅客ターミナルビルにおいて、日本文化の紹介・体験コーナーを実施
することとします。着物の着付け・甲冑の着装・浮世絵の版画摺り・茶道・書道な
ど出発までの時間を有意義に過ごしていただける企画を実施します。また、より多
くのお客様に参加いただけるよう、4 月 1 日より日本文化紹介・体験コーナーを両
ターミナルビルにおいて常設とし、体験イベントを通年で提供します。
なお、平成 27 年度の開催回数は 145 回でした。
② 日本文化の展示(新規)
第 1・第 2 旅客ターミナルビル到着導線において、日本文化の展示コーナーを新
たに実施することとします。空港周辺自治体や保存会、県内文化施設などに保存し
てある武具・祭事用具・伝統工芸品などを展示し、日本や地域の文化を発信してい
きます。
③ トランジットツアー
成田トランジットプログラム連絡会と協力し、トランジット旅客を対象に、従来
のコースに 3 コース(※)を追加した以下のプログラム(トランジットツアー)を
実施することとします。また、より多くの方にツアーを体験していただけるよう、
新コースを掲載したパンフレットの制作やホームページによる周知も実施します。
[ボランティア同行型ツアー]
・成田市「成田山新勝寺と成田山参道で日本文化体験」
・芝山町「航空科学の歴史発見と航空機操縦体験」
・多古町「日本人のふるさとの原風景“里山体験”」
・栄町
「房総のむら・ドラムの里“コスプレ体験”(仮)」※
[セルフツアー]
・イオンモール成田「イオンモール成田でショッピング&わくわくの「WA」体験」
・酒々井プレミアム・アウトレット「ショッピングバスツアー」
・神崎町「日本の伝統食文化「発酵」を見る、知る、味わう」※
・イオンタウン成田富里「おもてなしショッピング(仮)」※
(2)見学者ガイドブック発行事業
空港見学者向けパンフレット「なりナビ」を制作・配布することとします(作成予
定部数 9 万部)
。
なお、事業費の一助とするため、紙面の一部において広告掲載を実施します。
2.空港と空港関係地域社会との調和促進に関する事業
(1)スポーツ大会開催事業
小学生を対象とした野球大会、サッカー大会、中学生を対象としたバレーボール大
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会及び成人を対象としたグラウンド・ゴルフ大会を開催することとします。
野球大会については、昨年度に続き茨城県南 5 市町村(牛久市、龍ヶ崎市、阿見町、
利根町、美浦村)を加えて実施します。
(2)英語教育支援事業
空港周辺市町の小学校等において、外国人講師による国際交流会等を実施すること
とします。
(3)英語スピーチコンテスト開催事業
空港周辺市町の中学生の交流と英語力向上を目的とした英語スピーチコンテスト
を開催することとします。
(4)芸術鑑賞会開催事業
空港周辺市町の小学生を対象に優れた芸術に触れる機会を提供し、児童の健全な育
成に貢献することとします。
(5)空港見学会開催事業
社会福祉施設等の方々を対象とした空港見学会を実施することとします。
(6)職場体験受入事業
空港周辺市町の小学生から高校生までを受け入れ、当協会が実施する旅客案内業務
を体験させることで、社会経験の場を提供することとします。
(7)地域貢献事業
空港周辺及び茨城県南地域を対象とした地域貢献事業(伝統文化・芸能の保存や後
継者育成及び地域文化活動などへの財政的支援)を実施することとします。
(8)AIRPORT MARKET「空市-soraichi-」開催事業
空港周辺地域の各団体による物産販売・観光PRを第 2 旅客ターミナルビル中央広
場で開催します。野菜・特産物の販売やイベントを実施し、成田空港を身近に感じて
もらう場を提供することとします。
(9)書道・絵画展作品集の制作及び配布
NAA の主催する成田空港周辺児童・絵画展優秀作品を掲載した作品集を制作し、空
港周辺市町の小学校等へ配布することとします。
3.空港に係る広報活動に関する事業
(1)エアポートニュース発行事業
成田空港の運用状況及び空港に関する諸情報を内容とした「NARITA AIRPORT
NEWS」を毎月発行することとします。
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(2)空港検定事業
成田空港の認知度と魅力の向上、航空事業の啓蒙に寄与するため、
「空の日」・「空
の旬間」記念事業の一環として「成田空港力検定」を実施することとします。
4.空港に係る調査研究に関する事業
航空機騒音及び空港周辺における大気質・水質等の環境に関連する調査研究を実施
することとします。また、それらの成果を関係学会等で公表し、広く環境対策の向上
に貢献します。
5.空港従事者の資質向上等に関する事業
(1)講演会開催事業
空港従事者及び空港周辺市町等を対象に、著名人を招き講演会を実施することとし
ます。
(2)空港従事者交流事業
空港従事者の相互交流や技術向上を図るため、テニス大会を実施することとします。
(3)語学教室開催事業
空港従事者を対象に語学力向上を目的とした英会話教室及び中国語会話教室を実
施することとします。
(4)書籍収集事業
協会の事業に役立てる他、将来、空港関係者等が閲覧できるように、空港・航空関
係の書籍の収集をすることとします。
(5)保育ルーム運営事業
空港内において「NAA 保育ルームたんぽぽ」を運営することとします。なお、今後、
受給可能な公的給付について、認可保育所への移行の可能性も含めて NAA と検討を進
めます。また、NAA では定員増のための施設拡張を予定しております。リニューアル
オープンは、平成 30 年 4 月の予定です。
6.委託を受けて空港の管理業務の一部を行う事業
(1)環境業務
① 騒音監視システム運用業務
NAA が発注する航空機騒音監視システム(地上騒音監視を含む)の運用及び保守
点検業務を実施することとします。
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② 航空機騒音等に関する調査解析業務
NAA 及び空港周辺市町等が発注する空港周辺の航空機騒音実態調査、航空機に関
する各種調査並びに解析業務を実施することとします。
③ 大気質常時監視システム運用業務
NAA が発注する大気質常時監視システムの運用及び保守点検業務を実施すること
とします。
④ 空港周辺の大気質に関する調査解析業務
NAA が発注する空港周辺の大気質に関する調査及び解析業務を実施することとし
ます。
⑤ 水質・地下水位自動観測システム運用業務
NAA が発注する水質・地下水位自動観測システムの運用及び保守点検業務を実施
することとします。
⑥ 空港周辺の水質に関する調査解析業務
NAA が発注する空港周辺の水質に関する調査及び解析業務を実施することとしま
す。
(2)旅客案内業務
NAA が発注する第 1 旅客ターミナルビル南棟における旅客案内業務について、障害
をお持ちの方等へのサービス向上を図るため、介助・手話による対応を新たに加え、
実施することとします。また、同じく第 1 旅客ターミナルビル到着コンコースにて、
電動カートによる移動サービスの試行運用業務を実施することとします。
(3)旅客サービス施設運営業務
NAA が発注する第 1・第 2 旅客ターミナルビルリフレッシュルーム及び第 1 旅客タ
ーミナルビルシャワールームの旅客サービス施設受付等業務を実施することとしま
す。
(4)その他の業務
① 「成田空港公式ガイド」の編集
NAA が発注する成田空港フロアガイドの編集業務を実施することとします。
② 「成田空港ハンドブック」の発行
成田空港の諸情報を内容とした「成田空港ハンドブック」(NAA 監修)を発行す
ることとします。
③ 談話室の運営
空港従事者の親睦と交流を目的とした談話室を運営することとします。
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④「国際ニュース」の制作
NAA が発注する「国際ニュース」の翻訳、編集業務を実施することとします。
⑤ 書道・絵画展作品整理作業
NAA が発注する成田空港周辺児童書道・絵画展の応募作品の集計、
整理や展示場、
表彰式会場の設営作業を実施することとします。
⑥ 案内ボランティア事務局業務
NAA が発注する案内ボランティア管理業務を実施することとします。
⑦ CS 推進に係る業務
NAA が発注する CS セミナーの運営等、CS 推進に係る業務を実施することとしま
す。また協会職員が講師を務める中国語セミナー及び手話セミナーを実施すること
とします。
⑧ 空港業務資料の整備
NAA が発注する成田空港の建設、運営に係る業務資料の分類、整理作業を実施す
ることとします。
7.その他本協会の目的を達成するために必要な事業
(1)手荷物一時預かり事業
第 2 旅客ターミナルビルにおいて、航空旅客の手荷物等の一時預かり、機内預入
荷物のバゲージラッピング、スーツケースの開錠、コインロッカーの管理を行う手
荷物一時預かり所の運営を実施することとします。また、更なる増収策として、同
ターミナルビル地下コンコースへのコインロッカーの増設を行います。
(2)宝くじ販売事業
第 2 旅客ターミナルビルにおいて、航空旅客及び空港従事者を対象とした宝くじ
とスポーツ振興くじの販売を実施することとします。