ディスクロージャー優良企業選定報告書

リサーチ・アナリストによる
ディスクロージャー優良企業選定
(平成 12 年)
社団法人 日本証券アナリスト協会
ディスクロージャー研究会
ディスクロージャー研究会委員
座
長
松島 憲之
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
座長代理
伊藤 敏憲
UBS ウォーバーグ証券
岡本 弘
新光証券
川又
武
明治生命保険
許斐
潤
野村證券
小柳志乃夫
日本興業銀行
斉藤
健
大和総研
豊永 聡
岡三証券
湯原 晧爾
日興アセットマネジメント
(五十音順)
ディスクロージャー研究会業種別専門部会長
建
設
増田 悦佐
HSBC 証券
化
学
銀林 俊彦
モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券
品
田中
洋
興銀証券
鉄
鋼
長井
亨
モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券
機
械
中澤 文彦
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
電気・精密機器
井場 浩之
興銀証券
自
車
松島 憲之
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
社
加藤 友康
野村證券
業
松岡 真宏
UBS ウォーバーグ証券
行
山田 能伸
メリルリンチ証券
医
薬
動
商
小
銀
売
目
次
ディスクロージャー優良企業(平成 12 年) ……………………………………… 3頁
ディスクロージャーの改善が著しい企業(平成 12 年) ………………………… 4
概
括 …………………………………………………………… 5
各業種別専門部会の報告 …………………………………………………………… 8
建
設 …………………………………………………………… 8
化
学
…………………………………………………………… 14
品
…………………………………………………………… 20
鉄
鋼
…………………………………………………………… 26
機
械
…………………………………………………………… 32
医
薬
電気・精密機器 …………………………………………………………… 39
自
動
商
小
銀
附
売
車
…………………………………………………………… 46
社
…………………………………………………………… 52
業
…………………………………………………………… 58
行
…………………………………………………………… 64
録 …………………………………………………………… 71
リサーチ・アナリストによるディスクロージャー優良企業選定制度 …………
−2−
71
ディスクロージャー優良企業( 平 成 1 2 年)
本年度新規評価
建
設
日本コムシス
( 対 象 企 業
化
学
旭 化 成 工 業
( 4
年 連 続)
品
藤沢薬品工業
( 2
年 連 続)
鉄
鋼
川
崎
製
鉄
( 3
年 連 続)
機
械
豊
田
工
機
( 昨年度 2 位)
電 気 ・ 精 密 機 器
日 立 製 作 所
( 昨年度 4 位)
自
本田技研工業
( 昨年度 2 位)
商 社 ( 総 合 商 社 )
三
事
( 6
年 連 続)
小売業(百貨店・スーパー)
ユ
ー
( 3
年 連 続)
銀
富
行
( 2
年 連 続)
医
薬
動
車
行
菱
商
ニ
士
−3−
銀
)
ディスクロージャーの改善が著しい企業 ( 平 成 1 2 年)
建
設
前 田 建 設 工 業
機
械
ク
車
富
自
動
ボ
士
重
タ
工
業
い す ゞ 自 動 車
小売業(百貨店・スーパー)
伊
阪
銀
行
勢
急
百
丹
貨
店
第 一 勧 業 銀 行
−4−
概
括
ディスクロージャー研究会
座長
松
島
憲
之
「リサーチ・アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」は本年で第 6 回目を迎えた
が、その概要は次のとおりである。
1.評価対象
(1)東証 1 部上場株式時価総額を基準とし、建設(11 社)
、化学(12 社)
、医薬品(14
社)
、鉄鋼(12 社)
、機械(14 社)
、電気・精密機器(20 社)
、自動車(10 社)
、
商社(総合商社、全 9 社)
、小売業(百貨店・スーパー11 社)および銀行(19 行)
の 10 業種合計 132 社について評価を行った。
(2)また、評価範囲は、原則として、平成 11 事業年度に関する企業情報(平成 12 年
7 月のスコアシート記入までに開示された情報を含む)のディスクロージャー状
況とした。
−5−
2.評価方法および手続き
評価に当たっては、まず当研究会が策定した「ディスクロージャー評価基準例(ス
コアシート)
」[附録の別紙(2)]をベースとして、10 業種の各専門 部会がそれぞれ
当該業種の特性に応じて手直しを加えた「業種別ディスクロージャー評価基準(スコ
アシート)
」を作成した。これらの評価基準は、業種ごとに項目、配点等において若
干の差異はあるが、何れも決算短信、有価証券報告書による制度的開示よりも、アナ
リストへの説明会、インタビュー等、企業の自発的、積極的な開示活動の評価に重点
を置いていることが特徴である。
この業種別評価基準(スコアシート)に基づき、リサーチ・アナリスト経験年数 3
年以上でかつ現在当該業種担当概ね 2 年以上の者の中から、評価対象企業に精通した
延 358 名のアナリストが企業評価を行った。この評価結果を更に、経験豊富なアナリ
ストで構成する各業種別専門部会(10 業種計 68 名の委員)において慎重に分析し、
各部会としての報告書の取りまとめを行った。
当研究会は、この報告書をもとに各業種の優良企業および改善の著しい企業の選定
を行った。
3.評価結果
評価結果は、各業種別専門部会の報告に示すとおりであり、業種別の平均点は、建
設 71 点(昨年度 70 点、以下カッコ内は昨年度)
、化学 74 点(65 点)
、医薬品 81 点
(78 点)
、鉄鋼 62 点(64 点)
、機械 68 点(70 点)
、電気・精密機器 71 点(66 点)
、
自動車 58 点(57 点)
、商社(総合商社)66 点(47 点)
、小売業(百貨店・スーパー)
69 点(62 点)
、銀行 66 点(64 点)であった。なお、業種間の平均点の違いは、評価
−6−
項目の内容、数および配点に業種間の相違があることも反映している。
また、業種別に平均点を昨年度と比較すると、今年度は、アナリストのディスクロ
ージャーに対する要求水準の高まりを反映させて、連結決算をより重視した評価への
変更などスコアシートの個別評価項目の修正と配点の見直しを行い、企業にとってよ
り厳しいスコアシートになったにもかかわらず、10 業種中 8 業種において昨年度平
均点を上回る結果となった。なお、鉄鋼および機械については平均点が昨年度より若
干低下したが、これは両業種ともに、昨年度平均得点率が高かった個別評価項目の削
除、昨年度に比べ相当高いレベルのディスクロージャーを求めた個別評価項目の追
加・変更があったほか、鉄鋼については昨年度の単独決算中心の評価から本年度の
連・単両決算のバランスをとった評価への変更、機械については昨年度の連・単両決
算のバランスをとった評価から本年度の連結決算中心の評価への変更をしたことな
どがその要因と考えられる。
また、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価対象企業各社の
ディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や説明資料の充実をは
じめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われていると評価されている。
以上総合すると、企業のディスクロージャーは着実に向上しているといえよう。当
研究会としては、調査の精度を一層高めるために引き続き投資家および企業等からの
意見を参考にして、評価項目の見直し、改善を検討することとしたい。
最後に、本年の作業には、各専門部会委員およびスコアシート記入者として多数の経験豊
富なアナリストが参加されたが、いずれも多忙を極める中で企業ディスクロージャーの改善、
充実を求める真摯な姿勢で精力的な作業に当たって頂いたことに対し、ここに深甚なる感謝
の意を表したい。
−7−
業種別専門部会報告
建
設
大成建設、大林組、清水建設、鹿島建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、
戸田建設、五洋建設、きんでん、日本コムシス (計 11 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
日本コムシス
選考理由
同社は、社長が出席した決算説明会において配布資料、質疑応答を含め
てバランスの良いプレゼンテーションを効率的に行った。また、同社はそ
の経営戦略を投資家に具体的に説明するなど経営陣の IR 姿勢において極
めて高い評価(得点率 85%)を受けているほか、IR 部門に十分な情報が
集積されており、そこへのアクセスも極めて容易である。これら同社の努
力と姿勢はディスクロージャーのさらなる進展のために他の企業の模範と
なると認められるので、同社を本年の当業界における優良企業として推薦
する。
2.ディスクロージャーの改善が著しい企業および選考理由
改善企業
前田建設工業
選考理由
同社は、社長が出席した決算説明会の説明資料の大幅な改善など説明会、
インタビューおよび説明資料等において高く評価されたほか、短信におい
ても極めて高く評価され、昨年度に続きディスクロージャーの著しい改善
(前年比改善ポイント 11.5 点、3 順位アップ)を図った。
3.評価方法等
今回は評価対象企業の一部入れ替え(フジタ、熊谷組の評価を休止し、きんでん、日
本コムシスを評価対象に追加)を実施したが、企業数は前年度同様、計 11 社のディス
クロージャー状況を評価した。建設ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.決算短信」(以下「短信」と省略)を 12 点、「2.説明会、インタビューおよび説
明資料等」(以下「説明会等」と省略、本年度からキャッシュフローの見通しを評価対
象に追加するとともに、従来の 3 択または 2 択の評価方法から点数記入によるより緻密
な評価を行う方法に変更した項目を 1 項目新設)を 66 点、「3.タイムリー・ディスク
ロージャー」(以下「タイムリー・ディスクロージャー」と省略)を 5 点、「4.企業の
自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」と省略)を 17点、合計 100 点とした。評
価実施(スコアシート記入)アナリストは 26 社 27 名である。
−8−
4.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は次のとおりである(ディスクロージヤー評価
比較総括表は 12 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 69.6 点より 1.1 点改善し 70.7 点と上昇した。この
点については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることなどを考
慮する必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価
対象企業各社のディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施
や説明資料の充実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われ
ていると評価されている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点 2 点を増加した短信では、平均得
点率(評価対象企業各社の平均点/配点)が昨年度を下回ったため評価平均点
が 1.4 点の増加に止まった。平均得点率が低下した要因としては、昨年度に平
均得点率が高かった評価項目について本年度により高いディスクロージャー
を求める内容に修正したものがあったことなどが挙げられる。また説明会等で
は評価平均点が 0.7 点減少したが、この要因は配点 2 点を減少したためであり、
平均得点率は上昇している。次にタイムリー・ディスクロージャーでも評価平
均点が 2.4 点減少したが、この要因は配点 3 点を減少したためであり、平均得
点率は上昇している。自主的公表情報では評価平均点が 2.8 点増加したが、こ
れは配点 3 点の増加および平均得点率の上昇によるものである。
次に、本年度に新規に評価対象となったきんでん、日本コムシスを除く 9 社
について評価対象企業別に見ると、総合評価点が対前年度比増加した企業は 5
社(鹿島建設、前田建設工業、五洋建設、清水建設、大成建設)であり、残り
の 4 社は昨年度より減少した。総合評価点が減少した要因としては、短信、説
明会等および自主的公表情報において評価項目の修正や、昨年度に平均得点率
が高かった評価項目を削除してこれに替えてよりレベルが高いディスクロー
ジャーを求めた評価項目を追加したことなどが挙げられる。
以上総合すると、上位評価対象企業のディスクロージャーの現状はかなり評
価できる。しかし、中・下位評価対象企業においては、未だ改善の余地が残さ
れているものと見られる。
また、評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 82.1 点、最低
得点 60.9 点(1.3 倍)から本年度の最高得点 80.3 点、最低得点 55.1 点(1.5
倍)へと、格差が拡大した。
個別企業の総合評価点では、本年度新規評価対象企業にもかかわらず健闘し
−9−
た日本コムシスが第 1 位(分野別では、短信 2 社同得点1位、タイムリー・デ
ィスクロージャー2 社同得点 1 位、自主的公表情報 1 位、説明会等 6 位)とな
り、第 2 位は、大林組(説明会等 1 位、自主的公表情報 2 位、短信 2 社同得点
5 位、タイムリー・ディスクロージャー2 社同得点 7 位)、第 3 位は、鹿島建設
(説明会等 2 社同得点 3 位、自主的公表情報 3 位、短信 4 位、タイムリー・デ
ィスクロージャー6 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは次の 2 社である。前田建設工業(改善
ポイント 11.5 点、3 順位アップの第 4 位)は前記 2.に記載のとおりである。
清水建設(改善ポイント 12.3 点、5 順位アップの第 6 位)は、中長期経営方針・
ビジネスモデル再構築の説明、説明資料の充実、IR 部門以外セクションへの
インタビューの容易さなどが高く評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、社長の決算説明会またはアナリストミーテ
ィングへの出席、フリー・キャッシュフローの見通しの開示、現場見学会等の
技術情報開示の充実、電子媒体による情報開示の積極性などであるが、下位評
価企業については、その他の項目を含めて満遍なく開示レベルを引き上げてい
くことが望まれる。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示格
差がかなり小さいので評価対象から除外し、短信とそれに同時配布される開示
資料のみを評価対象とした。この分野では、2 社同得点トップ(得点率(以下
省略)95%)の前田建設工業と日本コムシスをはじめとして、きんでん(93%)、
鹿島建設(84%)、大林組(83%)、清水建設(83%)、戸田建設(82%)の各
社が短信の補足資料の充実等にかなり力を注いでいることが窺える。しかしな
がら、部門別受注見通しの記載(平均得点率 54%、無得点企業 2 社)につい
ては、中・下位評価企業の開示改善が望まれる。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、トップの大林組(76%)は、主要連結会社・関連会社の個別
B/S・P/L の詳細な開示などが高く評価された。第 2 位の前田建設工業(75%)
は、前記 2.に記載した事項のほかに連結対象企業の財務指標の開示などが評価
された。2 社同得点第 3 位の鹿島建設(74%)は、IR 部門への情報集積・ア
クセスの容易さ、経営陣の IR 姿勢、決算説明会における説明会資料・中期経
営戦略のビジュアルな説明などが評価された。同じく同得点第 3 位の西松建設
(74%)は、重要な評価項目である部門別粗利益率の実績開示で満点と評価さ
れたほか、その今期見通し、経営陣の経営方針・経営戦略の説明などでも高く
−10−
評価された。第 5 位の五洋建設は、決算の実績・見通しなど説明会およびイン
タビュー等における開示(83%)で高く評価された。
なお、今後さらに改善が望まれる点は、(1)に記載した事項のほかに IR 部門
以外セクションへのインタビュー等の容易さなどであるが、下位評価企業はそ
の他の項目も含めて開示改善を期待したい。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、東証へのファイリング事項およびアナリストが重要と判断する
事項の遅滞ない開示を評価するものである。2 社同得点トップ(92%)の奥村
組および日本コムシスをはじめ、タイムリーな業績予想修正ミーティングを開
催した五洋建設(88%)、前田建設工業(86%)、大林組(80%)は、タイム
リー・ディスクロージャーにかなり留意していることが窺える。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、得点率トップの日本コムシス(91%)と大林組(88%)、鹿
島建設(85%)の上位 3 社は、期中の受注額開示等の 4 項目で高く評価され、
自主的公表情報の開示にかなり留意していることが窺える。しかしながら、現
場見学会等の技術情報開示の充実(平均得点率 31%、無得点企業 1 社)につ
いては、評価対象企業全社の開示改善が望まれるほか、ファクトブックの作成
(同上 45%、無得点企業 6 社)、電子媒体による情報開示の積極性(同上 49%、
企業の開示格差 3.3 倍)については、中・下位評価企業の開示改善が望まれる。
5.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(27 名)の回答を集計した結果、高砂熱学工業(3 名、11%)、積
水ハウス(3 名、11%)、日揮(2 名、7%)、その他(4 社、各 1 名)が挙げられた。
以
−11−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(建設)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 1 2 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 6 6 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 5 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 7 点)
評価点
順位
前年順位
1
日本コムシス
80.3
11.4
1
48.9
6
4.6
1
15.4
1
未実施
2
大林組
78.9
10.0
5
50.0
1
4.0
7
14.9
2
1
3
鹿島建設
77.8
10.1
4
49.1
3
4.2
6
14.4
3
3
4
前田建設工業
77.7
11.4
1
49.5
2
4.3
4
12.5
5
7
5
五洋建設
73.5
8.3
9
49.0
5
4.4
3
11.8
7
5
6
清水建設
73.2
10.0
5
46.5
7
4.3
4
12.4
6
11
7
西松建設
71.3
8.0
11
49.1
3
3.9
9
10.3
9
2
8
大成建設
67.1
8.1
10
41.6
9
3.9
9
13.5
4
10
8
戸田建設
67.1
9.8
7
43.4
8
4.0
7
9.9
10
6
10
奥村組
56.2
8.4
8
32.3
11
4.6
1
10.9
8
9
11
きんでん
55.1
11.2
3
37.1
10
3.9
9
2.9
11
未実施
評価対象企業評価平均点
70.7
9.7
45.1
−12−
4.2
11.7
建設専門部会委員
部
会
長
増田
悦佐
部会長代理
橋本
隆
大堀
龍介
HSBC 証券
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
沖野登史彦
UBS ウォーバーグ証券
小林
中央三井信託銀行
俊二
斉藤 健
大和総研
高木
モルガン・スタンレー・ディーン・
敦
ウィッター証券
評価実施アナリスト(27 名)
穴井 宏和
伊藤 昌哉
大谷 洋司
ゴールドマン・サックス証券
クレディ・スイス・ファースト・
ボストン証券
大堀 龍介
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
沖野
木村
木本
古島
小林
斉藤
塩入
謝名
住安
UBS ウォーバーグ証券
登史彦
和広
均
次郎
俊二
健
正敏
憲一郎
英治
髙木
敦
対馬
土塚
飛田
錦織
野澤
橋本
久津
増田
水谷
村端
安田
吉澤
哲也
浩一
光利
正明
秀宏
隆
明
悦佐
敏也
誠
栄
英俊
富士投信投資顧問
ニッセイアセットマネジメント
三井海上アセットマネジメント
大和総研
中央三井信託銀行
大和総研
ドイチェ証券
明治生命保険
さくらフレンド調査センター
渡邉 庄太
−13−
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
日興アセットマネジメント
日本生命保険
コメルツ投信投資顧問
シュローダー投信投資顧問
コメルツ証券
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
岡三証券
HSBC 証券
国際証券
パートナーズ投信
東京三菱投信投資顧問
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
大和証券投資信託委託
化
学
旭化成工業、昭和電工、住友化学工業、三菱化学、東ソー、信越化学工業、
三井化学、住友ベークライト、積水化学工業、宇部興産、花王、
大日本インキ化学工業 (計 12 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
旭化成工業
選考理由
同社は、決算説明会のほかに投資家が注目している事業に関する説明会
(2 月アクリロニトリル事業、4 月ネットビジネス事業)を積極的に開催す
るとともに、恒例化した社長ミーティングの内容を充実させるなどディス
クロージャーに対する取り組みを一層進展させた。また、経営者の IR 姿
勢および連結決算についての説明会・インタビュー等における開示におい
ても高く評価された。これら同社の努力と姿勢はディスクロージャーのさ
らなる進展のため他の企業の模範となると認められるので、同社を本年の
当業界の優良企業として推薦する。
2.評価方法等
今回から評価対象企業として新たに花王を追加し、計 12 社のディスクロージャー状
況を評価した。化学ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、「1.決算短信」
(以下「短信」と省略)を 10 点、「2.説明会、インタビューおよび説明資料等」(以下
「説明会等」と省略)を 60 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイム
リー・ディスクロージャー」と省略)を 10 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自
主的公表情報」と省略)を 20 点、合計 100 点満点とした(本年度は点数記入による評
価を行う項目を 5 項目(昨年は 1 項目)に増加する一方、3 択または 2 択の評価項目を
12 項目(昨年は 22 項目)に縮小したほか、昨年度に比べ経営トップの IR に対する姿
勢を重要視した。)。評価実施(スコアシート記入)アナリストは 40 社、45 名である。
3.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 18 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 64.7 点より 9.2 点改善し 73.9 点と上昇した。評価
平均点を評価の 4 分野で見ると、短信 1.0 点、説明会等 4.3 点、タイムリー・
ディスクロージャー0.8 点、自主的公表情報 3.1 点と 4 分野総てにおいてそれ
ぞれ増加し昨年度の評価平均点を上回っている。
−14−
次に、本年度に新規に評価対象となった花王を除く 11 社について評価対象
企業別に見ると、総合評価点が前年度比上昇した企業は 10 社であり、残りの 1
社が昨年度より低下した。
また、評価対象企業の開示格差を標準偏差で見ると、昨年度の 13.7%より本
年度は 10.0%へと低下し、中・下位評価企業のディスクロージャーの開示改善
を反映して格差が縮小した。
以上総合すると、評価対象企業のディスクロージャーの水準は着実に改善し
ているものと言えよう。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、旭化成工業(分野別では、説明会等
1 位、タイムリー・ディスクロージャー2 社同得点 1 位、自主的公表情報 2 位、
短信 4 社同得点 4 位)、第 2 位は、本年度新規評価対象企業にもかかわらず健
闘した花王(説明会等 2 位、自主的公表情報 3 位、短信 4 社同得点 4 位、タイ
ムリー・ディスクロージャー4 位)、第 3 位は、住友ベークライト(説明会等 3
位、短信 4 社同得点 4 位、タイムリー・ディスクロージャー5 位、自主的公表
情報 6 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは以下の 5 社である。大日本インキ化学
工業(改善ポイント 10.6 点、1 順位アップの第 5 位)は、説明会資料の充実、
コーツ社買収時の説明会の開催などが評価された。東ソー(改善ポイント 14.1
点、1 順位アップ)は、タイムリーな工場見学会の実施や決算説明会資料の改
善などが評価された。宇部興産(改善ポイント 18.7 点、2 順位アップ)は、社
長の決算説明会への初参加、東京における IR 担当部署の設置などが評価され
た。また、昭和電工(改善ポイント 13.7 点)は、社長による中期経営計画説
明会の開催などディスクロージャーに対する姿勢の改善が評価されており、積
水化学工業(改善ポイント 26.3 点)は、東京での決算説明会の開催と自主的
公表情報の改善が評価された。
今後改善が望まれる点は、「経営トップ等が投資家やアナリストの意見を市
場の声として積極的に聴く姿勢が見られるか。」および電子媒体による情報提
供の積極化などである。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間格差がか
なり小さいため評価対象から除外し、短信とそれに同時配布される開示資料の
みを評価対象とした。この分野では、評価対象企業の平均得点率(評価対象企
業各社の平均点/配点)は昨年度より 10%ポイント改善されており、満点と
評価された三菱化学、宇部興産、大日本インキ化学工業の 3 社と 4 社同得点(得
−15−
点率(以下省略)88%)の 4 位となった旭化成工業、三井化学、住友ベークラ
イト、花王および東ソー(85%)、昭和電工(84%)の上位 9 社は、短信の補
足資料の充実等にかなり力を注いでいることが窺える。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野のトップ旭化成工業(87%)は、前記 1.に記載した事項のほかに評
価項目 9 項目中 5 項目でトップを占めた。第 2 位の花王(84%)は、社長が決
算説明会に初めて出席するなど経営者のディスクロージャー姿勢の改善で高
い評価を受けたほか、化粧品事業(ソフィーナ)を家庭用製品事業から独立し
て表示するなどのセグメント情報の開示改善も評価された。第 3 位の住友ベー
クライト(82%)は、社長出席の経営戦略および主力製品事業説明会の開催な
ど経営者のディスクロージャー姿勢の改善、主要子会社の業績情報開示などで
高い評価を受けた。第 4 位の大日本インキ化学工業は、前記(1)に記載した事項
のほかに社長による中期経営戦略説明会の開催などが高く評価された。第 5 位
の三菱化学は、社長による中期経営計画説明会、事業部門別説明会の開催など
が高く評価された。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、リスク情報を含むアナリストが重要と判断する情報等の遅滞な
い開示と適切な対応などを評価するものである。2 社同得点のトップ(87%)
となった旭化成工業、三菱化学および住友化学工業(86%)、花王(84%)、住
友ベークライト(83%)、東ソー(81%)の上位 6 社は、タイムリー・ディス
クロージャーにかなり留意していることが窺える。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、得点率トップの住友化学工業(87%)は、英文の短信・アニ
ュアルレポートで満点評価を受けた。第 2 位の旭化成工業は、電子媒体による
迅速な情報提供、工場見学会や主要事業説明会の開催などで最も高い評価を受
けた。第 3 位の花王は、中間決算の内容の本決算並充実が高く評価された。
しかしながら、下位評価企業については、工場見学会や主要事業に関する説
明会の開催(平均得点率 65%、企業の開示格差 2.6 倍)、電子媒体による情報
提供(同上 51%、同上 4.3 倍)、英文の短信・アニュアルレポートの作成とそ
の内容の充実(同上 68%、同上 2.0 倍)について開示格差が大きいので、改善
を期待したい。
−16−
4.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(45 名)の回答を集計した結果、ダイセル化学工業(3 名、7%)、
日本ゼオン(3 名、7%)、JSR (2 名、4%)、電気化学工業(2 名、4%)、その他 4 社
(各 1 名)が挙げられた。
以
−17−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(化学)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 1 0 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 6 0 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 1 0 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 2 0 点)
評価点
順位
前年順位
1
旭化成工業
85.2
8.8
4
51.9
1
8.7
1
15.8
2
1
2
花王
82.9
8.8
4
50.2
2
8.4
4
15.5
3
未実施
3
住友ベークライト
79.5
8.8
4
49.2
3
8.3
5
13.2
6
2
4
三菱化学
79.3
10.0
1
46.7
5
8.7
1
13.9
5
4
5
大日本インキ化学工業
77.4
10.0
1
48.7
4
7.5
9
11.2
10
6
6
東ソー
77.1
8.5
8
45.6
6
8.1
6
14.9
4
7
7
宇部興産
73.8
10.0
1
45.3
7
7.7
7
10.8
11
9
8
三井化学
73.2
8.8
4
44.9
8
7.4
10
12.1
8
5
9
昭和電工
72.3
8.4
9
44.6
9
7.7
7
11.6
9
8
9
住友化学工業
72.3
7.1
10
39.3
11
8.6
3
17.3
1
3
11
積水化学工業
67.9
6.2
11
41.6
10
7.1
11
13.0
7
11
12
信越化学工業
46.3
5.8
12
26.0
12
3.9
12
10.6
12
10
評価対象企業評価平均点
73.9
8.4
44.5
−18−
7.7
13.3
化学専門部会委員
部
会
長
銀林
俊彦
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウィッター証券
部会長代理
金井
孝男
J.P.モルガン証券
石原
耕一
UBS ウォーバーグ証券
澤田
信明
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
澤砥
正美
エービーエヌ・アムロ証券
藤本
雄一
ドイチェ証券
評価実施アナリスト(45 名)
赤羽
高
浅川 裕之
東
石原
岩田
岩田
生沼
大江
大矢
小澤
加藤
金井
銀林
正知
耕一
卓仁
俊幸
康生
祥雄
芳明
周二
佳史
孝男
俊彦
黒澤
真
小島 直人
斉藤
潔
斉藤 功一郎
佐々木 桂子
佐藤 和佳子
澤田 信明
澤砥 正美
渋谷 宗男
東京証券
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
野村アセット・マネジメント投信
UBS ウォーバーグ証券
富国生命投資顧問
立花証券
志村 裕久
ラザード・ジャパン・アセット・
マネージメント
鈴木 直人
高尾 雄大
田嶋 由利子
田村 円香
茶之木 淳
東京三菱投信投資顧問
寺尾 秀司
新名 高志
西村 俊一
三井海上アセットマネジメント
野口
百嶋
福本
藤本
藤森
堀井
堀内
前田
松川
松丸
茂木
横尾
吉田
渡辺
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
朝日ライフアセットマネジメント
大和証券投資信託委託
勧角証券
メリルリンチ証券
中央三井信託銀行
J.P.モルガン証券
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
コメルツ証券
パートナーズ投信
コスモ証券
大和総研
UBS ウォーバーグ証券
住友信託銀行
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
エービーエヌ・アムロ証券
岡三証券
−19−
英彦
徹
一政
雄一
裕司
浩之
一明
真季
正子
修
高幸
尚昭
篤
亮一
新光証券
住友信託銀行
シュローダー投信投資顧問
ABN・AMRO アセット・
マネジメント投信
住友ライフ・インベストメント
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
ニッセイ基礎研究所
明光ナショナル証券
ドイチェ証券
ゴールドマン・サックス証券
住友信託銀行
さくら投信投資顧問
大和住銀投信投資顧問
つばさ証券総合研究所
国際証券
日興アセットマネジメント
興銀証券
新光証券
つばさ証券総合研究所
医 薬 品
三共、武田薬品工業、山之内製薬、第一製薬、塩野義製薬、田辺製薬、
ウェルファイド、藤沢薬品工業、萬有製薬、中外製薬、エーザイ、小野薬品工業、
大正製薬、参天製薬 (計 14 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
藤沢薬品工業
優良企業
選考理由
同社は、業界初の投資家向け本格的な研究開発ミーティングを実施した
説明会・インタビュー等、および有価証券報告書に匹敵する充実した決算
短信をはじめとしてタイムリー・ディスクロージャー、企業の自主的公表
情報の全評価 4 分野において93%以上の得点率を上げて第一位を占めた。
また同社は、主要連結子会社の収益動向とそのセグメント情報の詳細な説
明やプレスリリースの電子メールによる即日配信などでも高い評価を受け
ており、これら同社の努力と姿勢はディスクロージャーのさらなる進展の
ために他の企業の模範となると認められるので、同社を本年の当業界にお
ける優良企業として推薦する。
2.評価方法等
医薬品ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、「1.決算短信」(以下「短
信」と省略)を 10 点、「2.説明会・インタビューおよび説明資料等」
(以下「説明会等」
と省略、本年から従来の 3 択または 2 択の評価方法から点数記入によるより緻密な評価
を行う方法に変更した項目を 2 項目新設)を 61 点、「3.タイムリー・ディスクロージ
ャー」(以下「タイムリー・ディスクロージャー」と省略)を 14 点、「4.企業の自主的
公表情報」(以下「自主的公表情報」と省略)を 15 点、合計 100 点満点とした。評価実
施(スコアシート記入)アナリストは 39 社、40 名である。
3.評価結果
(1)
総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 24 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 78.1 点より 2.5 点改善し 80.6 点と上昇した。この
点については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることなどを考
慮する必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、対象
企業各社のディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や説
−20−
明資料の充実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われてい
ると評価されている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点の変更がなかった短信では、平均
得点率(評価対象企業各社の平均点/配点)が上昇したため評価平均点が 0.5
点増加した。また説明会等では評価平均点が 1.5 点減少したが、この要因は配
点 3 点を減少したためであり、平均得点率は上昇している。次に配点の変更が
なかったタイムリー・ディスクロージャーでは、平均得点率が上昇したため評
価平均点が 0.6 点増加した。また自主的公表情報でも評価平均点が 2.9 点増加
したが、この要因も配点 3 点の増加および平均得点率の上昇によるものである。
次に、評価対象企業別に見ると、総合評価点が対前年度比増加した企業は 9
社(藤沢薬品工業、エーザイ、中外製薬、参天製薬、大正製薬、萬有製薬、三
共、塩野義製薬、小野薬品工業)であり、残りの 5 社は昨年度より減少した。
総合評価点が減少した要因としては、説明会等および自主的公表情報において
昨年度に平均得点率が高かった評価項目の削除や本年度に昨年度よりレベル
が高い評価項目の追加をしたことなどが挙げられる。
以上総合すると、評価対象企業のディスクロージャーは着実に改善している
ものといえよう。
また、評価対象企業の開示格差は、相対的に中・下位評価対象企業の改善ポ
イントが高かったことから、昨年度の最高得点 93.5 点、最低得点 56.4 点(1.7
倍)から本年度の最高得点 94.0 点、最低得点 63.1 点(1.5 倍)へとやや縮小
した。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、藤沢薬品工業(分野別では、評価 4
分野総てで 1 位)、2 社同得点の第 2 位は、第一製薬(短信 2 社同得点 2 位、
説明会等 2 位、タイムリー・ディスクロージャー2 位、自主的公表情報 8 位)
と、武田薬品工業(タイムリー・ディスクロージャー2 社同得点 2 位、説明会
等 3 位、自主的公表情報 4 位、短信 2 社同得点 6 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは以下の 2 社である。参天製薬(改善ポ
イント 10.7 点、4 順位アップの 7 位)は、決算説明会において社長が経営方針
の積極的説明を実施するとともに、毎月 IR 担当者上京によるアナリストの取
材対応を開始し、自主的公表情報を大幅に改善したことなどが評価された。三
共(改善ポイント 11.5 点、1 順位アップの 12 位)は、決算短信補足資料の電
子媒体による配信、緊急ミーティングの開催、連・単決算同時発表の実現、自
主的公表情報の大幅な改善などが評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、主要連結会社および関連会社の個別業績動
向の説明、電子媒体による積極的な情報提供、工場見学や研究所見学などの積
−21−
極的実施などであるが、下位評価企業については、その他の項目を含めて満遍
なく開示レベルを引き上げていくことを期待したい。
(2)
決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示格
差がかなり小さいので引き続き評価対象から除外し、短信とそれに同時配布さ
れる開示資料のみを評価対象とした。この分野では、トップの藤沢薬品工業(得
点率(以下省略)100%)をはじめとして、第一製薬(97%)、田辺製薬(97%)、
エーザイ(96%)、中外製薬(95%)、武田薬品工業(94%)、山之内製薬(94%)、
参天製薬(92%)、三共(91%)の上位 9 社は、短信の補足資料の充実等にか
なり力を注いでいることが窺える。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野のトップ、藤沢薬品工業(93%)は、前記 1.に記載した事項のほか
に評価項目 18 項目中 IR 部門の情報集積とアクセスの容易さなど 16 項目にお
いて得点率 90%以上の極めて高い評価を受けた。第 2 位の第一製薬(91%)
は、抗癌剤開発についての研究所の R&D ミーティングの開催や決算説明会に
おける社長の経営ビジョン説明などが高く評価された。第 3 位の武田薬品工業
(90%)は、決算説明会における社長の経営方針の説明等が極めて高く評価さ
れたほか、説明会における会長のゲノム創薬に関する投資家にわかり易い説明
なども高く評価された。第 4 位のエーザイは、定期的な社長ミーティングの開
催、米国子会社 Eisai Inc の業績の一部開示などが評価された。第 5 位の中外
製薬は、投資家が注目しているテーマ別の IR ミーティング(8 月血液スクリ
ーニング事業、2 月ゲノム創薬、3 月米国子会社ジェンプローブの説明会、4
月社長による経営ビジョンミーティング)を積極的に開催したことなどが高く
評価された。第 6 位の山之内製薬は、新社長のプレゼンテーション実施、およ
び今後まだ多少工夫の余地があるものの当業界初のテレフォンカンファレン
スによる決算説明会を実施したことなどがかなり評価された。また、ウェルフ
ァイドは、向精神薬に関するミーティングの開催、子会社新工場の見学会、連
結子会社ごとの情報開示の改善などが評価されており、大正製薬は社長の説明
会開催、発毛剤リアップの安全性等に関する説明会の開催などが評価された。
なお、重要度の高い 2 項目(決算説明会・アナリストミーティングで経営ト
ップなど経営全般について語れる人の経営方針等の十分な説明および IR 部門
の十分な情報集積とそこへのアクセスの容易さ)については、依然企業間格差
がかなり大きいので下位評価企業の改善が望まれる。
−22−
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、アナリストが重要と判断する事項の遅滞ない開示や新薬開発お
よび審査状況にかかわる主要事項のすみやかな情報開示努力などを評価する
ものである。得点率トップとなった藤沢薬品工業(94%)をはじめとして、抗
癌剤について緊急アナリストミーティングを開催した第一製薬(90%)、武田
薬品工業(90%)、山之内製薬(88%)、医薬品安全性情報でタイムリーな説明
会を開催した大正製薬(86%)、エーザイ(81%)の上位 6 社は、タイムリー・
ディスクロージャーにかなり留意していることが窺えるが、下位評価企業の得
点率はかなり低いので改善を期待したい。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、得点率トップの藤沢薬品工業(94%)をはじめとして、山之
内製薬(91%)、中外製薬(89%)、武田薬品工業(88%)、エーザイ(87%)、
参天製薬(86%)、ウェルファイド(85%)、第一製薬(84%)、三共(81%)
の上位 9 社は、各評価項目にわたっておおむね高い評価を受けた。なお、ファ
クトブックや統計補足情報等の内容充実(平均得点率 64%、企業間の開示格
差 2.4 倍)と電子媒体による情報提供の積極性(同上 64%、同上 3.6 倍)につ
いては、評価対象企業の開示格差がかなり大きいので下位評価企業の改善が望
まれる。
4.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(40 名)の回答を集計した結果、テルモ(5 名、13%)、久光製薬
(4 名、10%)、富山化学工業(2 名、5%)、その他(4 社、各 1 名)が挙げられた。
以
−23−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(医薬品)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 1 0 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 6 1 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 1 4 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 5 点)
評価点
順位
前年順位
1
藤沢薬品工業
94.0
10.0
1
56.8
1
13.1
1
14.1
1
1
2
第一製薬
90.3
9.7
2
55.4
2
12.6
2
12.6
8
2
2
武田薬品工業
90.3
9.4
6
55.1
3
12.6
2
13.2
4
3
4
エーザイ
86.3
9.6
4
52.2
4
11.4
6
13.1
5
5
5
中外製薬
84.2
9.5
5
50.2
5
11.1
7
13.4
3
7
6
山之内製薬
83.9
9.4
6
48.5
6
12.3
4
13.7
2
4
7
参天製薬
80.3
9.2
8
47.8
8
10.4
8
12.9
6
11
8
ウェルファイド
80.0
9.0
10
48.1
7
10.2
9
12.7
7
6
9
大正製薬
79.9
8.8
11
47.4
9
12.0
5
11.7
10
9
10
田辺製薬
75.8
9.7
2
46.2
10
9.9
11
10.0
12
8
11
萬有製薬
75.1
8.3
13
46.2
10
9.9
11
10.7
11
10
12
三共
74.1
9.1
9
42.8
13
10.0
10
12.2
9
13
13
塩野義製薬
70.2
8.7
12
43.8
12
9.0
13
8.7
13
12
14
小野薬品工業
63.1
8.3
13
38.0
14
8.1
14
8.7
13
14
評価対象企業評価平均点
80.6
9.2
48.5
−24−
10.9
12.0
医薬品専門部会委員
部 会 長
田中
洋
興銀証券
部会長代理
中沢
安弘
東京三菱証券
漆原
良一
野村證券
椙田 和久
三和証券
三島
茂
シティトラスト信託銀行
三好
昌武
メリルリンチ証券
山本
義彦
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
評価実施アナリスト(40 名)
赤羽
有上
稲垣
岩田
岩田
漆原
江口
高
宏
善之
卓仁
俊幸
良一
洋康
東京証券
岡三証券
野村アセット・マネジメント投信
富国生命投資顧問
立花証券
野村證券
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
加藤 佳史
川又
武
北川 哲雄
中央三井信託銀行
北村 友和
久保山 浩之
高祖 進治
小島 直人
酒井 文義
志村 裕久
BNP パリバ証券
椙田 和久
関口 博之
高口 伸一
田中
洋
三和証券
明治生命保険
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
第一勧業富士信託銀行
谷浦
田村
丹下
中沢
福本
藤田
舛添
松枝
松尾
松川
三島
三田
健之
円香
佳子
安弘
一政
潤
憲司
誠
十作
正子
茂
万世
ソシエテジェネラル証券
ラザード・ジャパン・アセット・
マネージメント
さくら証券
住友信託銀行
シュローダー投信投資顧問
大和住銀投信投資顧問
東京三菱証券
明光ナショナル証券
新光証券
ゴールドマン・サックス証券
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
水戸証券経済研究所
つばさ証券総合研究所
シティトラスト信託銀行
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
水口 忠雄
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
宮内
三好
矢倉
矢作
山口
山本
依田
大和総研
日興アセットマネジメント
パートナーズ投信
東洋信託銀行
興銀証券
−25−
久美
昌武
要
健司
秀丸
義彦
俊英
メリルリンチ証券
住友ライフ・インベストメント
ニッセイアセットマネジメント
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
ING ベアリング証券
鉄
鋼
新日本製鐡、川崎製鉄、日本鋼管、住友金属工業、神戸製鋼所、日新製鋼、
東京製鐡、淀川製鋼所、丸一鋼管、大同特殊鋼、愛知製鋼、日立金属 (計 12 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
川崎製鉄
選考理由
同社は、決算説明会における社長の業界の中期展望を含む中長期経営戦
略の説明、質疑への適切な応答などが評価された。また、IR 部門の対応、
説明資料の充実などが高く評価され、説明会等に関する評価項目 27 項目中
18 項目でトップを占めた。これら同社の努力と姿勢は、ディスクロージャ
ーのさらなる進展のために他の企業の模範になると認められるので、同社
を本年の当業界における優良企業として推薦する。
2.評価方法等
今回から評価対象企業として、新たに淀川製鋼所と大同特殊鋼の 2 社を追加し、計 12
社のディスクロージャー状況を評価した。鉄鋼ディスクロージャー評価基準(スコアシ
ート)は、「1.決算短信」(以下「短信」と省略)を 4 点、「2.説明会、インタビュー
および説明資料等」(以下「説明会等」と省略、本年度から従来の 3 択または 2 択の評
価方法から点数記入によるより緻密な評価を行う方法に変更した項目を 1 項目新設)を
74 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイムリー・ディスクロージャ
ー」と省略)を 9 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」と省略)
を 13 点、合計 100 点満点とした。評価実施(スコアシート記入)アナリストは 19 社、
19 名である。
3.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 30 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 64.4 点より 2.1 点低下し 62.3 点となった。この点
については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることを考慮する
必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、対象
企業各社のディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や中
期経営計画説明会の開催をはじめとして、多くの項目で開示改善が行われてい
ると評価されている。
−26−
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点 1 点を減少した短信では、平均得
点率(評価対象企業各社の平均点/配点)も低下して評価平均点が 1.6 点減少
した。平均得点率が低下した要因としては、昨年度に平均得点率が高かった評
価項目を削除して平均得点率が低かった評価項目のみを残したことなどが挙
げられる。また配点 8 点を増加した説明会等では、平均得点率が低下したため
評価平均点が 2.9 点の増加に止まった。平均得点率が低下した要因としては、
昨年度に平均得点率が高かった評価項目を大幅に削除して本年度により高い
ディスクロージャーを求める項目を追加したことなどが挙げられる。次に配点
の変更がなかったタイムリー・ディスクロージャーでは、平均得点率が上昇し
たため評価平均点が 0.4 点増加した。また、配点 7 点を減少した自主的公表情
報では、平均得点率も低下して評価平均点が 3.8 点減少した。平均得点率が低
下した要因としては、昨年度に平均得点率が高かった評価項目を削除したこと
などが挙げられる。
また、評価対象企業の開示格差を標準偏差で見ると、昨年度の 8.7%より本
年度は 15.5%へ上昇し格差は拡大している。
なお、本年度において得点率が特に低かったのは単独決算についての評価項
目である。これは連結決算への移行が進む中で、時系列データの継続的開示を
求めるアナリストの希望と企業側の対応にギャップがあったためである。また、
この点についての対応の差が企業間の開示格差の拡大の大きな要因となって
いる。
以上を総合すると、上位評価対象企業のディスクロージャーの現状はかなり
評価できる。しかし、中・下位評価対象企業においては、未だ改善の余地がか
なり残されているものと見られる。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、川崎製鉄(分野別では、説明会等 1
位、自主的公表情報 1 位、タイムリー・ディスクロージャー2 位、短信 6 社同
得点 2 位)、第 2 位は、日立金属(タイムリー・ディスクロージャー1 位、説
明会等 2 位、自主的公表情報 2 社同得点 2 位、短信 6 社同得点 2 位)、第 3 位
は、神戸製鋼所(短信 6 社同得点 2 位、説明会等 3 位、タイムリー・ディスク
ロージャー5 位、自主的公表情報 9 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは、以下の 2 社である。日新製鋼(改善
ポイント 13.5 点、5 順位アップ)は、初めての社長のミーティングを実施した
ほか、単独・連結決算情報の詳細開示など説明資料による開示で高く評価され
た。愛知製鋼(改善ポイント 6.6 点、3 順位アップ)は、短信で唯一社満点評
価のほか、アナリストに有用な単独の利益増減要因の説明、説明会およびイン
タビュー等における開示などで高い評価(得点率(以下省略)88%)を受けた。
−27−
今後特に改善が望まれる点は、連結決算中心へ移行後開示の後退が見られる
時系列情報の詳細記載などであるが、下位評価企業については、その他の項目
も含めて満遍なく開示レベルを引き上げていくことが望まれる。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示格
差がかなり小さいので評価対象から除外し、短信とそれに同時配布される開示
資料における単独決算の部門別営業利益の実績および連結対象会社・関連会
社・グループ関係会社の資本関係の説明の 2 項目を評価対象とした。愛知製鋼
は、2 項目ともに満点と評価された。しかしながら、その他の企業については
1 項目のみの得点ないし無得点であり、今後の開示改善を期待したい。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野のトップ、川崎製鉄(88%)は、前記 1.に記載した事項のほか、次
期の事業環境に関する詳細な説明などにより説明会およびインタビュー等で
高い評価(9 項目合計 90%)を受けた。第 2 位の日立金属は、事業部別説明会
の実施や効果的な IR 活動の展開により経営陣の IR 姿勢で極めて高い評価(4
項目合計 95%)を受けた。第 3 位の神戸製鋼所は、説明資料開示、説明会お
よびインタビューにおける開示、社長がプレゼンテーションを行った中期経営
計画説明会などが評価された。第 4 位の日新製鋼は、主要連結・関連会社の個
別情報開示など説明会およびインタビュー等で評価された。第 5 位の大同特殊
鋼は、東京での決算説明会において社長が中期経営戦略を説明したことや積極
的に工場見学会を実施したことが評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、平均得点率の低かった連結決算の設備投資
計画の内訳の開示などである。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、リスク情報やその他アナリストが重要と判断する事項の遅滞な
い開示と適切な対応などを評価するものである。トップの日立金属(96%)は、
磁気ヘッド事業撤退時に遅滞なく社長による説明会を実施したことが高く評
価されたほか、川崎製鉄(87%)、日本鋼管(86%)、住友金属工業(86%)、
神戸製鋼所(83%)もタイムリー・ディスクロージャーにかなり留意している
ことが窺える。
(5) 企業の自主的公表情報
トップの川崎製鉄(85%)は唯一社海外での IR 活動で満点評価を受けたの
−28−
をはじめ、1 項目を除き、この分野の各評価項目で満点評価となった。同得点
2 位(62%)の日本鋼管、日立金属がこれに続いている。この分野は、自主的
なディスクロージャーの公平性(平均得点率 95%)、経営計画等に関連した記
者発表資料の送付(同 74%)を除き、平均得点率が低く企業間格差も大きい。
4.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(19 名)の回答を集計した結果、大和工業(1 名)が挙げられた。
以
−29−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(鉄鋼)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 4 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 7 4 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 9 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 3 点)
評価点
順位
前年順位
1
川崎製鉄
86.1
2.0
2
65.3
1
7.8
2
11.0
1
1
2
日立金属
78.4
2.0
2
59.8
2
8.6
1
8.0
2
3
3
神戸製鋼所
71.4
2.0
2
55.9
3
7.5
5
6.0
9
4
4
日新製鋼
67.1
2.0
2
51.2
4
6.5
11
7.4
6
9
5
愛知製鋼
66.3
4.0
1
48.0
8
6.9
8
7.4
6
8
6
大同特殊鋼
66.0
2.0
2
50.1
5
7.0
7
6.9
8
未実施
7
日本鋼管
65.1
0
8
49.4
7
7.7
3
8.0
2
2
7
住友金属工業
65.1
0
8
49.7
6
7.7
3
7.7
4
6
9
東京製鐵
59.9
2.0
2
45.4
9
6.7
10
5.8
10
7
10
新日本製鐵
54.3
0
8
39.7
10
7.1
6
7.5
5
10
11
丸一鋼管
35.6
0
8
25.9
12
6.8
9
2.9
11
5
12
淀川製鋼所
32.8
0
8
26.0
11
5.1
12
1.7
12
未実施
評価対象企業評価平均点
62.3
1.3
47.2
−30−
7.1
6.7
鉄鋼専門部会委員
部
会
長
長井
亨
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウィッター証券
部会長代理
山口
敦
小枝
善則
齋野 洋子
ジャーディン・フレミング証券
新光証券
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
田中敬一郎
三和アセットマネジメント
村田
大和総研
崇
山本 喜之
ドレスナー・クラインオート ベンソン証券
評価実施アナリスト(19 名)
浅野
磯﨑
小枝
小西
五老
齋野
昭朗
輝雄
善則
俊生
晴信
洋子
さくらフレンド調査センター
寺島
日興ソロモン・スミス・バーニー証券 長井
正
亨
新光証券
シュローダー投信投資顧問
日本生命保険
篠原 廉和
三菱信託銀行
髙濱 晃造
田中 敬一郎 三和アセットマネジメント
三井海上アセットマネジメント
土屋
道
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
西村 俊一
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
長谷川 稔
向畑 康志
村田
崇
柳澤 祐介
山口
敦
山本 喜之
住友ライフ・インベストメント
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
明治生命保険
−31−
住友信託銀行
大和総研
東京海上アセットマネジメント投信
ジャーディン・フレミング証券
ドレスナー・クラインオート
ベンソン証券
機
械
アマダ、豊田工機、SMC 、小松製作所、クボタ、小森コーポレーション、
荏原製作所、ダイキン工業、栗田工業、日本精工、NTN 、ミネベア、ファナック、
三菱重工業
(計 14 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
豊田工機
選考理由
同社は、社長が決算説明会においてパソコンの動画ソフト等を使用して
その経営方針・戦略をビジュアルかつ十分に説明したことが極めて高く評
価された。また、同社は、IR 部門に十分な情報を集積するとともに、そこ
へのアクセスも極めて容易になっているほか、セグメントごとの利益増減
要因の明確・十分な説明、主要連結会社・持分法適用関連会社の個別業績
情報の説明、主要連結会社・関連会社の期中の状況説明などでも高く評価
された。これら同社の努力と姿勢はディスクロージャーのさらなる進展の
ために他の企業の模範となると認められるので、同社を本年の当業界にお
ける優良企業として推薦する。
2.ディスクロージャーの改善が著しい企業および選考理由
改善企業
クボタ
選考理由
同社は、連結・単独両決算関係説明資料の開示で極めて高く評価された。
また同社は、IR 部門を専任化してそこへのアクセスを大きく改善したほか、
新製品展示会の実施など、昨年度に続きディスクロージャーの著しい改善
(前年比改善ポイント 13.7 点、4 順位アップ)を図った。
3.評価方法等
今回から評価対象企業として、新たに三菱重工業を追加し、計 14 社のディスクロー
ジャー状況を評価した。機械ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.決
算短信」(以下「短信」と省略)を 6 点、
「2.説明会、インタビューおよび説明資料等」
(以下「説明会等」と省略、本年度からキャッシュフロー計算書の変動要因の十分な説
明を評価対象に追加)を 73 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイム
リー・ディスクロージャー」と省略)を 7 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自
主的公表情報」と省略)を 14 点、合計 100 点満点とした。評価実施(スコアシート記
入)アナリストは 35 社、35 名である。
−32−
4.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 37 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 70.2 点より 2.2 点低下し 68.0 点となった。この点
については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることを考慮する
必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価対象企業各社の
ディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や説明資料の充
実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われていると評価さ
れている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、短信では評価平均点が 2.4 点減少した
が、この要因は配点 4 点を減少したためであり、平均得点率(評価対象企業各
社の平均点/配点)は上昇している。また配点 1 点を減少した説明会等では、
平均得点率も低下して評価平均点が 2.5 点減少した。平均得点率が低下した要
因としては、昨年度に平均得点率が高かった評価項目を大幅に削除して本年度
にレベルのより高いディスクロージャーを求める評価項目を追加したことな
どが挙げられる。次にタイムリー・ディスクロージャーでは、配点 1 点の増加
と平均得点率の上昇により評価平均点が 0.7 点上昇した。配点 4 点を増加した
自主的公表情報では、平均得点率が低下したため評価平均点が 2.0 点の増加に
止まった。平均得点率が低下した要因としては、本年度に昨年度よりレベルが
高いディスクロージャーを求める評価項目を追加したことなどが挙げられる。
次に、本年度に新規に評価対象となった三菱重工業を除く 13 社について評
価対象企業別に見ると、総合評価点が対前年度比増加した企業は 2 社(クボタ、
N T N )であり、残りの 11 社は昨年度より減少した。総合評価点が減少した要
因としては、短信、説明会等および自主的公表情報において昨年度に平均得点
率が高かった評価項目の削除や本年度に昨年度よりレベルが高い評価項目の
追加をしたことなどが挙げられる。
以上総合すると、上位評価対象企業のディスクロージャーの現状はかなり評
価できる。しかし、中・下位評価対象企業については、未だ改善の余地が残さ
れているものと見られる。
また、評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 93.8 点、最低
得点 24.4 点(3.8 倍)から本年度の最高得点 90.7 点、最低得点 30.9 点(2.9
倍)へと、格差が縮小した。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、豊田工機(分野別では、短信 8 社同
−33−
得点 1 位、説明会等 1 位、タイムリー・ディスクロージャー1 位、自主的公表
情報 4 位)、第 2 位は、小松製作所(短信 8 社同得点 1 位、自主的公表情報 1
位、説明会等 2 位、タイムリー・ディスクロージャー2 位)、第 3 位は、ダイキ
ン工業(短信 8 社同得点 1 位、タイムリー・ディスクロージャー3 位、自主的
公表情報 3 位、説明会等 4 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは以下の 2 社である。クボタ(改善ポイ
ント 13.7 点、4 順位アップの第 5 位)は前記 2.記載のとおりである。N T N(改
善ポイント 30.7 点、2 順位アップの 11 位)は、本年から決算説明会の開催に
踏み切ってその早期開催を実現するとともに、連結決算を中心に説明資料の開
示を大幅に改善したことなどが評価された。
今後特に改善が望まれる点は、主要連結会社・関連会社の情報開示、セグメ
ントごとの利益増減要因の明確かつ十分な説明、記者発表資料等重要情報の自
発的発信などであるが、中・下位評価企業については、その他の項目を含めて
満遍なく開示レベルを引き上げていくことを期待したい。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示格
差がかなり小さいので引き続き評価対象から除外し、短信とそれに同時配布さ
れる開示資料のみを評価対象とした。
この分野では、3 評価項目総てが満点と評価された豊田工機、S M C 、小松製
作所、クボタ、荏原製作所、ダイキン工業、ミネベア、三菱重工業の 8 社は、
短信の補足資料の充実等にかなり力を注いでいることが窺える。
しかしながら、事業別セグメント情報における利益記載(平均得点率 64%、
無得点企業 5 社)については、下位評価企業の開示改善が強く望まれる。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、トップの豊田工機(得点率(以下省略)92%)は、前記 1.
に記載した事項のほかに、会社予想の前提条件の十分な説明、新製品の発表会
を含む工場見学会の実施などで極めて高く評価され、評価項目 27 項目中 22 項
目でトップを占めた。第 2 位の小松製作所(89%)は、決算説明会の早期開催・
質疑応答を含む内容の充実、経営トップ等による中期経営計画・戦略の十分な
説明、投資家が注目している事業の説明会および工場見学会の実施、連・単両
決算の説明資料充実、IR 部門へのアクセスの容易さ、セグメントごとの利益
増減要因・主要連結会社および関連会社の情報開示などで極めて高く評価され
た。第 3 位の日本精工(81%)は、IR 室兼任者の増員による IR 部門へのアク
セスの容易さ、説明資料の改善等による決算説明会の充実、経営トップ等によ
−34−
る経営戦略の十分な説明、会社予想の前提条件・セグメントごとの利益増減要
因・主要連結会社および関連会社の個別業績情報の説明などが高く評価された。
第 4 位のダイキン工業(81%)は、決算説明会の早期開催の実現、説明資料お
よび説明会の内容充実、IR 部門への情報集積、IR 担当者へのアクセスの容易
さ、会社予想の前提条件・B/S およびキャッシュフロー計算書の変動要因・
セグメントごとの利益増減要因の説明などが高く評価された。第 5 位のクボタ
(76%)は、前記 2.に記載した事項のほかに決算説明会における社長の中期経
営計画の説明が評価された。第 6 位のミネベア(74%)は、アナリストミーテ
ィングにおける社長による中期経営計画・戦略の説明、連結決算説明資料の充
実、技術説明会の開催などが評価された。第 7 位のアマダ(72%)は、連結決
算説明資料の充実、決算説明会の早期開催の実現、製品展示場見学会の実施な
どが評価された。第 8 位の小森コーポレーション(71%)は、単独決算説明資
料の充実、決算説明会の内容充実などが評価された。
今後特に改善が望まれる点は、前記(1)に記載した事項のほか会社主催の工場
見学会等(製品展示会・技術説明会を含む)の実施(平均得点率 57%、無得
点企業 6 社)などであり、未実施企業の実施を期待したい。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、アナリストが重要と判断する事項の開示、決算発表日・業績修
正発表当日の会社側の対応などを評価するものである。トップの豊田工機
(93%)は、タイムリーな業績予想修正に関するプレスリリース資料の送付な
どが評価された。第 2 位の小松製作所(90%)は、ウシオ電機とのジョイント
ベンチャーに関する説明会をタイムリーに開催したことなどが評価された。ま
た、ダイキン工業(86%)は、松下電器産業との空調事業提携発表に関する説明
会、業績予想見通しに関する説明会の開催などが評価され、日本精工(83%)
は、構造改革の進捗状況説明会の開催などが評価された。このほか、荏原製作
所(77%)、小森コーポレーション(76%)、クボタ(73%)、ミネベア(73%)
もまずまずと評価された。
しかし、下位評価企業については、業績変動やリスク情報の遅滞ない開示な
どの重要性が高まっている昨今、タイムリー・ディスクロージャーの開示改善
が望まれる。
(5)
企業の自主的公表情報
この分野では、得点率トップの小松製作所(96%)が評価 4 項目総てにお
いて極めて高く評価された。また、第 2 位の日本精工(83%)もかなり高く
評価されたほか、ダイキン工業(77%)、豊田工機(76%)、クボタ(71%)
−35−
もまずまずと評価された。しかしながら、記者発表資料等重要情報の自主的
発信(平均得点率 47%、企業の開示格差 10.0 倍)、英文決算説明資料の作成
(同上 57%、無得点企業 6 社)、ファクトブックや統計補足情報等の内容充実
(同上 63%、企業の開示格差 9.3 倍)、アニュアルレポートの内容充実(同上
63%、同上 2.6 倍)の評価 4 項目総てにおいて評価対象企業の開示格差がか
なり大きいので、中・下位評価企業の開示改善を期待したい。
5.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(35 名)の回答を集計した結果、T H K (6 名、17%)、牧野フライ
ス製作所(3 名、9%)、ミスミ(2 名、6%)、ユニオンツール(2 名、6%)、その他(5
社、各 1 名)が挙げられた。
以
−36−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(機械)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 6 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 7 3 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 7 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 4 点)
評価点
順位
前年順位
1
豊田工機
90.7
6.0
1
67.5
1
6.5
1
10.7
4
2
2
小松製作所
90.4
6.0
1
64.7
2
6.3
2
13.4
1
1
3
ダイキン工業
81.7
6.0
1
58.9
4
6.0
3
10.8
3
3
4
日本精工
80.7
4.0
9
59.3
3
5.8
4
11.6
2
5
5
クボタ
76.3
6.0
1
55.3
5
5.1
7
9.9
5
9
6
ミネベア
74.5
6.0
1
53.7
6
5.1
7
9.7
6
4
7
小森コーポレーション
69.6
4.0
9
52.0
8
5.3
6
8.3
7
5
8
荏原製作所
69.4
6.0
1
50.3
9
5.4
5
7.7
8
7
9
アマダ
66.3
4.0
9
52.7
7
4.3
10
5.3
12
8
10
三菱重工業
59.6
6.0
1
42.3
10
4.4
9
6.9
9
未実施
11
NTN
55.1
4.0
9
40.7
11
3.7
12
6.7
10
13
12
栗田工業
53.6
4.0
9
39.7
13
4.1
11
5.8
11
10
13
SMC
53.3
6.0
1
40.5
12
3.0
13
3.8
13
11
14
ファナック
30.9
4.0
9
22.5
14
2.2
14
2.2
14
12
評価対象企業評価平均点
68.0
5.1
50.0
−37−
4.8
8.1
機械専門部会委員
部
会
長
中澤
文彦
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
部会長代理
斎藤
克史
野村證券
上野
武昭
ウエストエルビー証券
星野
英彦
ジャーディン・フレミング証券
丸山
賢
水野
英之
ING ベアリング証券
望月
誠幸
コメルツ証券
UBS ウォーバーグ証券
評価実施アナリスト(35 名)
岩崎 由美
上野 武昭
沖中 一好
加治 大器
川原
稔
木島
努
木谷
亨
城戸 譲治
栗生
博
グレーム・
マクドナルド
小西 俊生
小宮 泰一
小山
誠
斎藤 克史
境田 邦夫
坂井 ゆかり
下平
尚
菅原 ポーラ
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
大門 宏光
為我井 純一
ウェストエルビー証券
出村 康孝
興銀第一ライフ・アセットマネジメント 飛田 光利
大和総研
中澤 文彦
モルガン・スタンレー・ディーン・ 平井 克典
ウイッター証券
平山 一樹
ソシエテジェネラル証券
福田 修司
明光ナショナル証券
第一勧業富士信託銀行
大和住銀投信投資顧問
HSBC 証券
シュローダー投信投資顧問
野村證券
クレディ・リヨネ証券
東京三菱投信投資顧問
三井海上アセットマネジメント
住友信託銀行
ドイチェ証券
コメルツ投信投資顧問
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
東京海上アセットマネジメント投信
立花証券
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
星野
清
星野 英彦
丸山
賢
水野 英之
水口 忠雄
スカダー・インベストメンツ投信
村上 宏俊
望月 誠幸
諸田 利春
リチャード・
ロバーツ
国際証券
ニッセイアセットマネジメント
あさひ東京投信
野村アセット・マネジメント投信
ゴールドマン・サックス証券
−38−
ジャーディン・フレミング証券
UBS ウォーバーグ証券
ING ベアリング証券
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
コメルツ証券
東京三菱証券
クレディ・スイス・ファースト・
ボストン証券
電気 ・精密機器
日立製作所、東芝、三菱電機、日本電気、富士通、松下電器産業、シャープ、
ソニー、TDK 、三洋電機、松下通信工業、アドバンテスト、ローム、京セラ、
村田製作所、松下電工、ホーヤ、キヤノン、リコー、東京エレクトロン (計 20 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
日立製作所
選考理由
同社は、従来の IR 姿勢をさらに積極化させ、社長による中期経営計画
説明会、投資家が注目している各事業部の説明会、各研究所の見学会など
を実施して極めて高い評価を受けた。また、同社は、IR 部門を専任化して
そこに十分な情報を集積するとともに、担当者との有益なディスカッショ
ンおよび IR 担当者以外のセクションを含めたコンタクトの容易さにおい
ても高く評価された。これら同社の努力と姿勢はディスクロージャーのさ
らなる進展のため他の企業の模範になると認められるので、同社を本年の
当業界の優良企業として推薦する。
2.評価方法等
今回から評価対象企業として、新たにホーヤを追加し、計 20 社のディスクロージャ
ー状況を評価した。電気・精密機器ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.決算短信および有価証券報告書」(以下「短信・有報」と省略)を 10 点、「2.説
明会、インタビューおよび説明資料等」(以下「説明会等」と省略)を 71 点、「3.タイ
ムリー・ディスクロージャー」(以下「タイムリー・ディスクロージャー」と省略)を
10 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」と省略)を 9 点、合計 100
点満点とした。評価実施(スコアシート記入)アナリストは 55 社、92 名である。
3.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 43 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 66.1 点より 4.6 点改善し 70.7 点と上昇した。評価
平均点を評価の 4 分野で見ると短信・有報 1.5 点(短信 1.0 点、有報 0.5 点)、
説明会等 1.7 点、タイムリー・ディスクロージャー0.9 点、自主的公表情報 0.5
点と 4 分野総てにおいてそれぞれ増加し昨年度の評価平均点を上回っている。
次に、本年度に新規に評価対象となったホーヤを除く 19 社について評価対
象企業別に見ると、総合評価点が前年度比増加した企業は 16 社であり、残り
−39−
の 3 社は昨年度より減少した。
評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価対象企業各社の
ディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や説明資料の充
実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われていると評価さ
れている。
なお、評価対象企業のうち総合評価点が減少した企業の要因としては、説明
会等および自主的公表情報において昨年度に平均得点率が高かった評価項目
を削除してこれに替えてよりレベルが高いディスクロージャーを求めた評価
項目を追加したことなどが挙げられる。
以上総合すると、上・中位評価対象企業のディスクロージャーの現状はかな
り評価できる。しかし、下位評価対象企業においては、未だ改善の余地が残さ
れているものと見られる。
また、評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 75.4 点、最低
得点 56.5 点(1.3 倍)から本年度の最高得点 80.9 点、最低得点 54.2 点(1.5
倍)へと、格差がやや拡大した。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、日立製作所(分野別では、短信・有
報 8 社同得点 1 位、説明会等 1 位、タイムリー・ディスクロージャー2 社同得
点 1 位、自主的公表情報 8 位)、第 2 位は、ソニー(自主的公表情報 1 位、説
明会等 2 位、タイムリー・ディスクロージャー3 位、短信・有報 4 社同得点 10
位)、第 3 位は、本年度新規評価対象企業となったホーヤ(短信・有報 8 社同
得点 1 位、説明会等 3 位、タイムリー・ディスクロージャー2 社同得点 9 位、
自主的公表情報 9 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは、以下の 8 社である。日立製作所(改
善ポイント 10.1 点、3 順位アップの第 1 位)は、1.に記載のとおりである。東
芝(改善ポイント 7.0 点、第 5 位)は、社長による中期経営計画説明会の開催、
決算説明会の早期化などが高く評価された。シャープ(改善ポイント 6.9 点、
1 順位アップの第 7 位)は、説明資料の開示改善などが高く評価された。京セ
ラ(改善ポイント 8.0 点、2 順位アップの第 8 位)は、アナリストミーティン
グにおける社長の経営方針・戦略の十分な説明、テレフォンカンファレンスに
よる決算説明会の実施、主要連結会社等の経営動向の説明などの開示改善が高
く評価された。松下電工(改善ポイント 7.5 点、1 順位アップの 11 位)は、決
算説明会における経営方針の十分な説明、損益のセグメント情報の十分な説明、
IR 担当者へのインタビュー等の容易さなどが高く評価された。三菱電機(改
善ポイント 13.5 点、7 順位アップの 12 位)は、社長による中期経営計画説明
会および事業部別の技術説明会の開催、IR 担当者の専任化などが評価された。
−40−
アドバンテスト(改善ポイント 6.1 点、1 順位アップ)は、決算説明会の早期
化などが評価された。キヤノン(改善ポイント 7.6 点、3 順位アップ)は、テ
ーマ別事業説明会の開催、工場見学の実施、IR 推進室の創設などが評価され
た。
今後特に改善が望まれる点は、経営トップなど経営全般について語れる人へ
のインタビュー等の容易さ、決算発表と説明会を同日に、かつ決算日以降 1 ヶ
月以内に実施、業績動向について四半期ごとに定量的な情報開示などであるが、
下位評価企業については、その他の項目も含めて満遍なく開示レベルを引き上
げていくことが望まれる。
(2) 決算短信、有価証券報告書等
この分野では、8 社同得点トップ(得点率(以下省略)、97%)の日立製作
所、三菱電機、富士通、松下電器産業、シャープ、T D K 、ホーヤ、リコーをは
じめとして、キヤノン(94%)、東芝(90%)、ソニー(90%)、三洋電機(90%)、
京セラ(90%)の上位 13 社が極めて高く評価され、短信の補足資料の充実等
にかなり注力していることが窺える。また、個別評価項目別に見ると、有報の
部門別海外売上高の実績が全く開示されていないので、この開示改善が望まれ
る。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、トップの日立製作所(78%)は、1.に記載した事項のほかに
評価項目 26 項目中 10 項目でトップを占めた。第 2 位のソニー(75%)は、
社長による経営方針・戦略等説明会の開催、ホームページにおける決算説明会
の映像・音声による伝達、IR 部門の情報集積・IR 担当者と有益なディスカッ
ション、業績動向についての四半期ごとの定量的な情報開示などで極めて高く
評価された。第 3 位のホーヤ(75%)は、業績動向についての四半期ごとの定
量的な情報開示、月次売上高の開示などで高く評価された。第 4 位の東京エレ
クトロン(74%)は、決算説明会における説明および質疑応答の充実、ホーム
ページにおける決算説明会の映像・音声による伝達などで高く評価された。第
5 位の東芝(73%)は、前記(1)に記載した事項のほかに損益のセグメント情報
開示などが評価された。第 6 位の富士通(73%)は、決算説明会における説明
および質疑応答の充実、半導体の品目別損益等セグメント情報の開示改善など
が評価された。第 7 位の京セラ(72%)は、前記(1)に記載した事項のほかに
決算説明会における説明および質疑応答の充実が評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、前記(1)に記載した事項のほかに会社主催の
アナリストのニーズに即した工場見学会・技術説明会等の実施(平均得点率
−41−
56%、企業の開示格差 5.6 倍)などであり、下位評価企業は特に開示改善を期
待したい。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、東証へのファイリング事項およびアナリストが重要と判断す
る事項の遅滞ない開示・タイムリーな説明会の開催等を評価するものである。
2 社同得点トップ(90%)の日立製作所および日本電気は、業績予想修正を含
む緊急アナリストミーティングを開催し、ソニー(89%)もまた重要事項発
表時にアナリストミーティングを開催した。このほか京セラ(84%)、松下電
工(84%)、東京エレクトロン(81%)、松下電器産業(79%)、シャープ(79%)
のディスクロージャーもかなり高い評価となった。しかしながら下位評価企
業については、業績変動やリスク情報の遅滞ない開示の重要性が高まってい
る昨今、タイムリー・ディスクロージャーの開示改善が望まれる。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、トップのソニー(92%)がディスクロージャーをグローバル
に行っていることなどで極めて高い評価を受けたほか、富士通(87%)、東芝
(84%)、東京エレクトロン(81%)、シャープ(79%)、日本電気(78%)、
松下電器産業(78%)なども高い評価を受けた。しかしながら、アニュアルレ
ポートを英語・日本語で作成(平均得点率 45%、無得点企業 11 社)、重要な
記者発表資料の E-mail・ファクシミリ等での送付(同上 59%、企業の開示格
差 10.0 倍)については、中・下位評価企業の開示改善が強く望まれる。
4.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(92 名)の回答を集計した結果、パイオニア(3 名、3%)、日東電
工(2 名、2%)、その他(5 社、各 1 名)が挙げられた。
以
−42−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(電気・精密機器)
1. 決 算 短 信 お よ び 有 価 証 券 報 告 書 に お け る 開 示
( 配 点 1 0 点)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点) ① 決 算 短 信
評価対象企業
1
(配点7 )
②有価証券
報告書
評価点
順位
評価点
順位
評価点
2. 説 明 会 、 イ
ンタビュー
および説明
資料等にお
ける開示
( 配 点 7 1 点)
計
(配点3 )
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・
ディスクロ
ー ジ ャ ー( 東
証へのファ
イリングを
含む)
( 配 点 1 0 点)
評 価 点 順位
(単位:点.%)
4. 企 業 が 自 主
的に公表し
ている情報
前年順位
( 配 点 9 点)
評価点
順位
日立製作所
80.9
7.0
1
2.7
1
9.7
1
55.3
1
9.0
1
6.9
8
4
6.3
10
2.7
1
9.0
10
53.4
2
8.9
3
8.3
1
1
3
ソニー
ホーヤ
79.6
76.9
7.0
1
2.7
1
9.7
1
52.9
3
7.6
9
6.7
9
未実施
4
5
富士通
東芝
76.6
76.0
7.0
6.3
1
10
2.7
2.7
1
1
9.7
9.0
1
10
51.5
52.0
6
5
7.6
7.4
9
12
7.8
7.6
2
3
2
5
6
7
東京エレクトロン
75.5
75.4
5.6
7.0
15
1
2.1
2.7
16
1
7.7
9.7
16
1
52.4
50.7
4
8
8.1
7.9
6
7
7.3
7.1
4
5
7
8
74.5
6.3
10
2.7
1
9.0
10
50.9
7
8.4
4
6.2
11
10
2
8
シャープ
京セラ
9
10
松下電器産業
日本電気
74.3
73.4
7.0
4.9
1
18
2.7
1.8
1
20
9.7
6.7
1
20
49.7
50.7
10
8
7.9
9.0
7
1
7.0
7.0
6
6
3
5
11
12
松下電工
71.5
70.0
6.3
7.0
10
1
2.1
2.7
16
1
8.4
9.7
14
1
49.3
47.3
11
13
8.4
7.1
4
14
5.4
5.9
16
14
12
19
68.9
5.6
15
2.7
1
8.3
15
47.9
12
6.7
15
6.0
13
14
13
三菱電機
アドバンテスト
14
15
TDK
キヤノン
67.2
66.8
7.0
7.0
1
1
2.7
2.4
1
15
9.7
9.4
1
9
43.5
44.4
18
17
7.5
7.2
11
13
6.5
5.8
10
15
11
18
16
17
三洋電機
65.3
64.9
6.3
7.0
10
1
2.7
2.7
1
1
9.0
9.7
10
1
45.0
44.9
15
16
6.6
5.9
16
19
4.7
4.4
17
19
15
9
63.7
4.9
18
2.7
1
7.6
18
46.6
14
6.1
18
3.4
20
13
15
18
2.1
2.1
16
16
7.7
7.0
16
19
39.4
36.8
19
20
6.6
5.9
16
19
6.2
4.5
11
18
16
17
18
リコー
松下通信工業
19
20
ローム
村田製作所
59.9
54.2
5.6
4.9
評価対象企業評価平均点
70.7
6.3
2.5
8.8
−43−
48.2
7.5
6.2
電気・精密機器専門部会委員
部
会
長
井場
浩之
興銀証券
部会長代理
引頭
麻実
大和総研
石野
雅彦
東京三菱証券
栗山
史
澤嶋
裕希
東京三菱投信投資顧問
高野
公英
日興アセットマネジメント
山本
高稔
モルガン・スタンレー・ディーン・
メリルリンチ証券
ウィッター証券
評価実施アナリスト(92 名)
相澤
相場
新目
石野
和泉
板谷
稲葉
井場
引頭
上村
牛尾
浦
大森
大山
岡部
隠樹
一彦
繁
一也
雅彦
美治
雅之
章代
浩之
麻実
孝広
貴
昌平
栄作
聡
和男
紀子
奥山 佳哉
小野 雅弘
鴨下
健
喜多 弘樹
久保田 一正
久保田 真史
熊谷
智
熊田 一範
栗山
史
越田
優
シティトラスト信託銀行
小嶋
小菅
住友信託銀行
後藤
東京三菱証券
木場
UBS ウォーバーグ証券
小林
国際証券
斉藤
住友信託銀行
佐々
興銀証券
佐藤
大和総研
佐藤
三井海上アセットマネジメント
佐藤
丸三証券
佐藤
シュローダー投信投資顧問
澤嶋
J.P.モルガン証券
塩澤
エービーエヌ・アムロ証券
嶋田
富国生命保険
進
モルガン・スタンレー・ディーン・
末岡
ウイッター証券
杉山
ティ・アンド・ディ太陽大同
瀬戸
投資顧問
副島
UBS ウォーバーグ証券
高木
興銀第一ライフ・アセットマネジメント 高田
明光ナショナル証券
高野
岡三証券
高橋
ING ベアリング証券
田上
シティトラスト信託銀行
内匠
さくらフレンド調査センター
田嶋
メリルリンチ証券
田畑
ドイチェ証券
土屋
野村アセット・マネジメント投信
−44−
正人
一郎
文秀
浩志
守伸
潔
敏貴
明
文昭
幸広
譲
裕希
大
幸彦
均
久志
裕
浩
久敬
衛
裕史
公英
亮平
一樹
功
由利子
憲一
直樹
住友信託銀行
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
メリルリンチ証券
朝日ライフアセットマネジメント
ニッセイアセットマネジメント
コスモ証券
大和証券投資信託委託
東京海上アセットマネジメント投信
ドイチェ証券
立花証券
ウェストエルビー証券
東京三菱投信投資顧問
野村アセット・マネジメント投信
クレディ・リヨネ証券
メリルリンチ証券
エスジー山一アセットマネジメント
三和証券
日興アセットマネジメント
シティトラスト信託銀行
ソシエテジェネラル証券
ジャーディン・フレミング証券
日興アセットマネジメント
UBS ウォーバーグ証券
ニッセイアセットマネジメント
明治ドレスナー・アセットマネジメント
住友信託銀行
つばさ証券総合研究所
興銀証券
露無 松景
鶴尾 充伸
鶴田
裕
寺島
正
中出 邦彦
竝川 伸一
錦織 正明
乗石
宏
橋本 嘉寛
長谷川 義人
日笠 洋一郎
日暮 善一
平井 明子
平井 克典
平山 一樹
福田 修司
福本
藤沼
藤野
藤本
一政
美保
雅美
浩一
パートナーズ投信
野村證券
三井海上アセットマネジメント
明治生命保険
星野 正智
堀井 浩之
堀江
伸
水口 忠雄
日興アセットマネジメント
宮川 和也
村上 貴信
村田 朋博
日興アセットマネジメント
室谷
茂木
森山
山崎
山本
山本
カザノブ証券
ニッセイアセットマネジメント
中央三井信託銀行
シュローダー投信投資顧問
大和住銀投信投資顧問
メリルリンチ証券
エース証券
丸三証券
ドイチェ証券
シュローダー投信投資顧問
東京海上アセットマネジメント投信
立花証券
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
吉行
高幸
久史
総一
和也
高稔
横山 征至
明光ナショナル証券
吉田 幸浩
第一勧業アセットマネジメント
米澤 昌之
日興ソロモン・スミス・バーニー証券 リチャード
岡三証券
ケイ
若林 秀樹
−45−
住友信託銀行
ゴールドマン・サックス証券
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
第一勧業富士信託銀行
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
日興アセットマネジメント
クレディ・リヨネ証券
富国生命投資顧問
富士証券
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
第一生命保険
つばさ証券総合研究所
BNP パリバ証券
メリルリンチ証券
J.P.モルガン証券
自 動 車
日産自動車、いすゞ自動車、トヨタ自動車、日野自動車、マツダ、ダイハツ工業、
本田技研工業、スズキ、富士重工業、ヤマハ発動機 (計 10 社)
【49 頁(注)参照】
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
本田技研工業
選考理由
同社は、社長による中期経営計画説明会を開催したほか、経営トップ等
との交流会を兼ねた研究所における先端技術のプレゼンテーションや燃料
電池試作車試乗会などを積極的に実施した。また同社は、IR 部門への情報
集積と IR 担当者との有益なディスカッションの実施、四半期決算説明会
の開催、決算参考資料・短信・有報・アニュアルレポート・補足データ・
トピックス等の E-mail による迅速な送信など、総合的なディスクロージ
ャーの充実が高く評価された。これら同社の努力と姿勢はディスクロージ
ャーのさらなる進展のために他の企業の模範になると認められるので、同
社を本年の当業界における優良企業として推薦する。
2.ディスクロージャーの改善が著しい企業および選考理由
改善企業
富士重工業
選考理由
同社は、IR 部門を専任化して情報提供を積極化するとともに、社長によ
る中期経営計画説明会の開催および研究所見学会の実施、主要連結子会社
の個別業績動向の開示などディスクロージャーの著しい改善(前年比改善
ポイント 8.7 点、1 順位アップの第 3 位)を図った。
改善企業
いすゞ自動車
選考理由
同社は、経営トップの IR 姿勢の積極化、技術説明会を含む工場見学会
の開催、説明資料の充実(得点率 80%)などディスクロージャーの著しい
改善(前年比改善ポイント 10.2 点、2 順位アップの第 4 位)を図った。
3.評価方法等
今回から評価対象企業として新たにヤマハ発動機を追加し、計 10 社のディスクロー
ジャー状況を評価した。自動車ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.
決算短信および有価証券報告書」(以下「短信・有報」と省略)を 2 点、「2.説明会、
インタビューおよび説明資料等」(以下「説明会等」と省略、本年度から従来の 3 択ま
たは 2 択の評価方法から点数記入によるより緻密な評価を行う方法に変更した項目を 1
項目新設)を 79 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイムリー・ディ
−46−
スクロージャー」と省略)を 8 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自主的公表情
報」と省略)を 11 点、合計 100 点満点とした。評価実施(スコアシート記入)アナリ
ストは 34 社、34 名である。
4.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 50 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 57.2 点より 0.6 点改善し 57.8 点と上昇した。この
点については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることなどを考
慮する必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、対象
企業各社のディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施や説
明資料の充実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われてい
ると評価されている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点の変更がなかった短信・有報が
0.2 点、配点 2 点を増加した説明会等が 2.6 点とそれぞれ増加した。また、短
信・有報と同様に配点の変更がなかったタイムリー・ディスクロージャーは、
前年度と同得点であった。しかし、配点 2 点を減少した自主的公表情報では、
平均得点率(評価対象企業各社の平均点/配点)も低下して評価平均点が 2.2
点減少した。平均得点率低下の要因としては、昨年度に平均得点率が高かった
評価項目を削除し、これに替えてより高いレベルのディスクロージャーを求め
た評価項目を追加したことなどが挙げられる。
本年度から新規に評価対象となったヤマハ発動機を除く 9 社について評価対
象企業別に見ると、総合評価点が対前年度比増加した企業は 5 社(富士重工業、
いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業、日野自動車)であり、残りの 4 社は昨
年度より減少した。総合評価点が減少した要因としては、短信・有報では、開
示内容が単体から連結中心に変更されたこと、説明会等では、昨年度に平均得
点率が高かった評価項目を削除してこれに替えてよりレベルが高いディスク
ロージャーを求めた評価項目を追加したことや、連結中心に評価ウエイトをシ
フトさせたこと、および自主的公表情報においても前記のとおり評価項目の変
更があったことなどが挙げられる。
以上総合すると、上位評価対象企業のディスクロージャーの現状は評価でき
る。しかし、中・下位評価対象企業においては、未だ改善の余地が残されてい
るものと見られる。
評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 73.6 点、最低得点 39.6
−47−
点(1.9 倍)から、本年度の最高得点 69.8 点、最低得点 39.3 点(1.8 倍)へと
僅かに格差が縮小した。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、本田技研工業(タイムリー・ディス
クロージャー2 社同得点 1 位、自主的公表情報 1 位、短信・有報 2 社同得点 2
位、説明会等 4 位)、第 2 位は、本年度新規評価対象企業のヤマハ発動機(説
明会等 1 位、タイムリー・ディスクロージャー3 位、短信・有報 5 位、自主的
公表情報 5 位)、第 3 位は、富士重工業(タイムリー・ディスクロージャー2 社
同得点 1 位、説明会等 2 位、自主的公表情報 4 位、短信・有報 9 位)となった。
改善度合が特に大きかったのは、以下の 5 社である。富士重工業(改善ポイ
ント 8.7 点、1 順位アップの第 3 位)といすゞ自動車(改善ポイント 10.2 点、
2 順位アップの第 4 位)は、2.に記載のとおりである。スズキ(改善ポイント
7.4 点、2 順位アップの第 6 位)は、連結決算の事業別セグメント情報の開示
改善などが評価された。ダイハツ工業(改善ポイント 8.7 点、2 順位アップの
7 位)は、工場見学の内容充実、IR 担当者の情報提供姿勢などが評価された。
日野自動車(改善ポイント 7.8 点、1 順位アップの 9 位)は、IR 担当者の明確
化などが評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、経営トップ等とのミーティングはアナリス
トが企業を理解するのに十分な内容か、主要連結会社・関連会社の個別業績動
向の説明、アナリストの分析に役立つ財務諸表(金融子会社の区分など)の説
明、四半期ごとの業績動向説明会の開催などの項目であるが、中・下位評価対
象企業については、その他の項目を含めて満遍なく開示レベルを引き上げてい
くことが望まれる。
(2) 決算短信および有価証券報告書
この分野では、連結決算の事業別セグメント情報の開示を改善したスズキ
(得点率(以下省略)、80%)の得点率が上昇した。また、決算短信同時配布
資料の改善が目立った日野自動車(75%)、本田技研工業(75%)、いすゞ自動
車(70%)も評価されている。しかし、その他の企業では、決算短信同時配布
資料を中心に今後さらに開示改善を期待したい。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
トップのヤマハ発動機(73%)は、事業部説明会、社長による中期経営計画
説明会などの開催、東京での IR 対応の開始、事業別セグメント情報、売上高
の地域別・部門別マトリックス等の説明資料による開示などが高く評価された。
第 2 位の富士重工業は、2.に記載した事項のほかに経営トップ等の IR 姿勢の
−48−
改善などが高く評価された。第 3 位のいすゞ自動車は、2.に記載した事項のほ
かに戦略事業(エンジン)に関するデータの開示などが評価された。第 4 位の
本田技研工業は 1.に記載した事項のほかに、半期ベースの連結収益予想の開示
などが高く評価された。また第 5 位のトヨタ自動車は、事業会社・金融会社の
セグメント別財務情報の開示などが高く評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、連結関連情報開示の充実および単独関連情
報の継続開示、輸出関連情報の開示の充実、金融子会社を区分した財務諸表の
説明などである。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、リスク情報を含むアナリストが重要と判断する情報等の遅滞な
い開示と適切な対応などを評価するものである。2 社同得点トップ(78%)の
本田技研工業と富士重工業のほか、ヤマハ発動機(75%)がまずまずの評価と
なった。
しかし、中・下位評価対象企業については、業績変動やリスク情報の遅滞な
い開示などの重要性が高まっている昨今、タイムリー・ディスクロージャーの
開示改善がさらに望まれる。
(5) 企業の自主的公表情報
トップとなった本田技研工業(77%)は、唯一社四半期業績動向説明会を開
催し、E-mail における有用情報提供も最も積極的に行っている。しかしなが
ら、四半期業績動向説明会の開催(平均得点率 10%、上記のとおり開示は 1
社のみ)、E-mail 利用の有用情報提供(同上 50%、企業の開示格差 4.3 倍)、
ホームページ利用の有用情報提供(同上 53%、同上 1.4 倍)、アニュアルレポ
ートの内容充実(同上 59%、同上 1.7 倍)、ファクトブックや統計補足情報等
の内容充実(同上 60%、同上 1.9 倍)の各項目について、中・下位評価対象企
業の開示改善が強く望まれる。
5.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(34 名)の回答を集計した結果、豊田自動織機製作所(6 名、18%)、
ショーワ(2 名、6%)、デンソー(2 名、6%)、その他 2 社(各 1 名)が挙げられた。
( 注 ) 今年度評価対象企業には、当初三菱自動車工業が含まれていたが、同社のリコール問題はデ
ィスクロージャー評価の基本に係わるものであることから、評価対象企業から除外することと
した。同社からも評価対象企業を辞退したい旨の自発的申し出があった。
以
−49−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(自動車)
1. 決 算 短 信 お よ び 有 価 証 券 報 告 書 に お け る 開 示
( 配 点 2 点)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点) ① 決 算 短 信
評価対象企業
2. 説 明 会 、 イ
ンタビュー
および説明
資料等にお
ける開示
( 配 点 7 9 点)
( 配 点0 . 6 点)
②有価証券
報告書
計
評価点
順位
評価点
順位
評価点
順位
評価点
順位
( 配 点1 . 4 点)
3. タ イ ム リ ー ・
ディスクロ
ー ジ ャ ー( 東
証へのファ
イリングを
含む)
( 配 点 8 点)
評 価 点 順位
(単位:点.%)
4. 企 業 が 自 主
的に公表し
ている情報
前年順位
( 配 点 1 1 点)
評価点
順位
1
本田技研工業
69.8
0.6
1
0.9
2
1.5
2
53.6
4
6.2
1
8.5
1
2
2
ヤマハ発動機
69.3
0.6
1
0.7
5
1.3
5
57.3
1
6.0
3
4.7
5
未実施
3
富士重工業
66.6
0.3
9
0.7
5
1.0
9
54.6
2
6.2
1
4.8
4
4
4
いすゞ自動車
65.1
0.5
5
0.9
2
1.4
4
54.4
3
5.0
6
4.3
6
6
5
トヨタ自動車
58.6
0.5
5
0.7
5
1.2
6
46.7
5
5.3
5
5.4
2
3
6
スズキ
55.9
0.6
1
1.0
1
1.6
1
46.0
6
4.7
8
3.6
9
8
7
ダイハツ工業
53.2
0.5
5
0.6
9
1.1
7
43.1
7
5.4
4
3.6
9
9
8
マツダ
51.8
0.4
8
0.7
5
1.1
7
42.7
8
4.3
10
3.7
7
5
9
日野自動車
47.4
0.6
1
0.9
2
1.5
2
37.3
9
4.9
7
3.7
7
10
10
日産自動車
39.3
0.1
10
0.4
10
0.5
10
29.3
10
4.6
9
4.9
3
7
評価対象企業評価平均点
57.8
0.5
0.8
1.3
注)前年順位は本年度評価対象企業以外の 1 社を含んだ順位である。
−50−
46.5
5.3
4.7
自動車専門部会委員
部
会
長
松島
憲之
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
部会長代理
広川
孝一
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
遠藤
功治
クレディ スイス ファースト ボストン証券
杉浦
誠司
野村證券
中西 孝樹
メリルリンチ証券
柳池
信昭
勧角証券
吉田
廣行
中央三井信託銀行
評価実施アナリスト(34 名)
伊藤 隆司
入沢
健
岩元 泰晶
遠藤 功治
シティトラスト信託銀行
小笠原 雅人
加藤 摩周
北山 信次
栗生
博
クリストファー・
J・リクター
大和総研
栗田
塩原
島岡
島田
下平
杉浦
住安
高垣
髙濱
大和証券投資信託委託
敦史
邦彦
宏
秀明
尚
誠司
英治
直貴
晃造
丸三証券
コスモ証券
クレディ・スイス・ファースト・
ボストン証券
田中
田中
飛田
中西
中村
平形
彰
健司
光利
孝樹
理之
紀明
ニッセイアセットマネジメント
新光証券
ゴールドマン・サックス証券
三井海上アセットマネジメント
野村證券
さくらフレンド調査センター
日本生命保険
コメルツ投信投資顧問
メリルリンチ証券
さくら証券
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
松島 憲之
水口 忠雄
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
村岡 義信
持丸 強志
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
柳澤
柳池
吉田
脇屋
渡辺
東京海上アセットマネジメント投信
住友信託銀行
水戸証券経済研究所
岡三証券
広川 孝一
大和住銀投信投資顧問
HSBC 証券
ソシエテジェネラル証券
三菱信託銀行
−51−
祐介
信昭
廣行
元
嘉郎
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
ドレスナー・クラインオート
ベンソン証券
勧角証券
中央三井信託銀行
立花証券
興銀証券
商
社
伊藤忠商事、丸紅、トーメン、ニチメン、兼松、三井物産、住友商事、三菱商事、
日商岩井 (計 9 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
三菱商事
選考理由
同社は、新しい機能別事業部体制でスタートさせた金融および情報関連
事業について事業部別説明会を開催し、その戦略・方向性についての明解
な説明を行った。また、説明資料においても財務運用に関する情報、セグ
メント情報の開示を含めて関連する 19 項目中 16 項目でトップを占めるな
ど、ディスクロージャーにおいてさらに充実を図った。これら、同社の努
力と姿勢は、ディスクロージャーのさらなる進展のために他の企業の模範
になると認められるので、同社を本年の当業界における優良企業として推
薦する。
2.評価方法等
商社ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.決算短信」(以下「短信」
と省略)を 6 点、「2.説明会、インタビューおよび説明資料等」(以下「説明会等」と
省略)を 78 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイムリー・ディスク
ロージャー」と省略)を 6 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」
と省略)を 10 点、合計 100 点満点とした。評価実施(スコアシート記入)アナリストは
15 社、15 名である。
3.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 56 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 46.9 点より 19.2 点改善し 66.1 点と大幅に上昇し
た。
評価対象企業別に見ると、全社が昨年度の評価点を上回っており改善ポイン
トも最大 27.5 点から最低 15.9 点と大幅になった。評価実施アナリストの意見
(コメント)も IR 部門の強化を含む経営トップのディスクロージャー姿勢の
改善、説明会資料の充実等これを裏付けるものが多い。
総平均点が上昇した要因を評価の 4 分野で見ると、配点 2 点を減少した短信
では、平均得点率(評価対象企業各社の平均点/配点)が大幅に上昇したため
−52−
評価平均点が 3.0 点上昇した。また説明会等では、配点 4 点の増加と平均得点
率の上昇により評価平均点が 16.0 点増加した。次に配点の変更がなかったタ
イムリー・ディスクロージャーでは、平均得点率の上昇により評価平均点が 0.4
点増加した。また自主的公表情報では評価平均点が 0.2 点減少したが、これは
配点 2 点の減少によるものであり平均得点率は上昇している。
また、評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 62.7 点、最低
得点 34.3 点(1.8 倍)から本年度の最高得点 81.6 点、最低得点 51.7 点(1.6
倍)へと縮小した。
以上総合すると、評価対象企業のディスクロージャーの水準は、昨年度に比
べ大幅に改善した。
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、三菱商事(分野別では、短信 3 社同
得点 1 位、説明会等 1 位、自主的公表情報 1 位、タイムリー・ディスクロージ
ャー3 位)、第 2 位は、住友商事(説明会等 2 位、タイムリー・ディスクロージ
ャー2 位、自主的公表情報 2 位、短信 6 社同得点 4 位)、第 3 位は丸紅(短信 3
社同得点 1 位、説明会等 4 位、タイムリー・ディスクロージャー4 位、自主的
公表情報 4 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは、以下の 2 社である。住友商事(改善
ポイント 22.1 点、1 順位アップ)は、社長のアナリストミーティングにおける
新事業分野の戦略についての詳細な説明、およびこれに関連して開催された情
報関連事業説明会において、ジュピター・テレコム社の社長同席のもとに今後
の住友商事のコアビジネスへの補足説明を行ったことなどが高く評価された。
日商岩井(同 27.5 点、2 順位アップ)は、決算説明会における社長の経営方針・
戦略の説明、E-mail 等による情報の迅速な送付とそのフォローアップ、IR 体
制の改善などが高く評価された。
今後改善が望まれる点は、説明資料における財務運用額・財務運用損益の記
載(平均得点率 22%、無得点企業 6 社)および連結対象会社数の増減等の収
益への影響の記載(平均得点率 22%、無得点企業 5 社)等である。なお、兼
松を除き下位評価企業については、業績の好・不調を問わず主要子会社・関連
会社・グループ関係企業の損益変動の記載の得点率が低いので、その開示改善
が望まれる。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示格
差がかなり小さいので引き続き評価対象から除外し、短信とそれに同時配布さ
れる開示資料のみを評価対象とした。この分野では、2 つの評価項目で満点と
−53−
評価された丸紅、兼松、三菱商事の 3 社が短信の補足資料の充実にかなり力を
注いでいることが窺える。しかしながら、中・下位評価対象企業については、
改善が進んでいるもののさらに充実を期待したい。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、トップの三菱商事(得点率(以下省略)82%)は、前記 1.
に記載した事項のほか金融事業戦略の説明開示など説明会およびインタビュ
ー等においても高く評価された。第 2 位の住友商事(75%)は、前記(2)に記
載した事項のほか不動産の含み損益の詳細な開示などが評価された。第 3 位
のニチメン(73%)は、説明資料の充実、経営トップのディスクロージャー
への取り組み姿勢などで高く評価された。第 4 位の丸紅(71%)は、セグメ
ント情報の詳細な開示など説明資料の充実、業績への寄与度が大きい連結対
象会社情報の説明などが高く評価された。第 5 位の伊藤忠商事は、経営トッ
プのディスクロージャーへの取り組み姿勢、地域別・商品別セグメント情報
の詳細な記載などが評価された。
今後改善が望まれる点は、前記(1)に記載した事項のほか各事業部のトップ
や部門全般を語れる人へのインタビューの容易さ(平均得点率 50%、企業の
開示格差 2.0 倍)と不動産の含み損益の開示(同上 55%、同上 2.0 倍)など
であるが、下位評価企業については、その他の項目も含めて満遍なく開示レ
ベルを引き上げていくことが望まれる。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野では、東証へのファイリング事項およびアナリストが重要と判断す
る事項の遅滞ない開示と適切な対応を評価するものである。トップの三井物産
(87%)は、報道内容に対する質問への迅速な対応で高く評価されたほか、住
友商事(82%)、三菱商事(80%)もタイムリー・ディスクロージャーにかなり
留意していることが窺える。しかしながら、業績動向などの遅滞ない開示の重
要性が高まっている昨今、中・下位評価対象企業については、重要事項発生時
における緊急アナリストミーティングの開催などによる開示改善を期待した
い。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、トップの三菱商事(69%)とこれに僅差で続く住友商事(68%)、
伊藤忠商事(66%)は、海外での IR 活動を含む 3 項目で満点評価を受けたほ
かアニュアルレポートの内容の充実で高い評価を受けた。
しかしながら、評価対象企業全社の得点率が極めて低い業績動向についての
−54−
四半期ごとの定量的な情報開示(平均得点率 4%、無得点企業 4 社)および下
位評価対象企業の得点率が極めて低い決算以外の説明会・見学会の実施につい
て、今後の開示改善が望まれる。
以
−55−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(商社―総合商社―)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 6 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 7 8 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 6 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 0 点)
評価点
順位
前年順位
1
三菱商事
81.6
6.0
1
63.9
1
4.8
3
6.9
1
1
2
住友商事
74.2
4.0
4
58.5
2
4.9
2
6.8
2
3
3
丸紅
72.5
6.0
1
56.0
4
4.5
4
6.0
4
2
4
伊藤忠商事
66.9
4.0
4
52.3
5
4.0
6
6.6
3
4
5
ニチメン
65.6
4.0
4
56.6
3
3.0
7
2.0
9
5
6
三井物産
62.0
4.0
4
47.0
7
5.2
1
5.8
5
6
7
日商岩井
61.8
4.0
4
48.5
6
4.3
5
5.0
6
9
8
トーメン
58.7
4.0
4
46.7
8
3.0
7
5.0
6
7
9
兼松
51.7
6.0
1
40.7
9
2.0
9
3.0
8
8
評価対象企業評価平均点
66.1
4.7
52.2
−56−
4.0
5.2
商社専門部会委員
部
会
長
加藤
友康
野村證券
部会長代理
副島
智一
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウィッター証券
東
正知
野村アセットマネジメント投信
太田
理恵
HSBC 証券
村上
貴史
ドイチェ証券
吉田憲一郎
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
評価実施アナリスト(15 名)
東
石橋
太田
大堀
正知
康正
理恵
龍介
長ヶ部 輝継
金森 淳一
醒井 周太
重松 揮響
野村アセット・マネジメント投信
副島 智一
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
田嶋 由利子
寺尾 秀司
飛田 光利
永島
博
住友信託銀行
村上 貴史
吉田 憲一郎
ドイチェ証券
新光証券
HSBC 証券
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
農中投信投資顧問
ソシエテジェネラル証券
ニッセイアセットマネジメント
中央三井信託銀行
−57−
三井海上アセットマネジメント
コメルツ投信投資顧問
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
日興ソロモン・スミス・バーニー証券
小売業
三越、髙島屋、伊勢丹、阪急百貨店、丸井、ダイエー、イトーヨーカ堂、ジャスコ、
西友、マイカル、ユニー
(計 11 社)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
ユニー
選考理由
同社は、決算発表日の翌日の開催が定着した決算説明会において社長が
経営方針・中期経営計画の積極的な説明・質疑に対する的確な対応を行っ
てその内容を益々充実させ、3 年連続で第 1 位を占めた。また同社は、主
要連結対象会社関連情報の説明資料の改善を図るとともに、IR 部門に十分
な情報を集積し IR 担当者との有益なディスカッションを可能にしている。
これら同社の努力と姿勢は、ディスクロージャーのさらなる進展のために
他の企業の模範になると認められるので、同社を本年の当業界における優
良企業として推薦する。
2.ディスクロージャーの改善が著しい企業および選考理由
改善企業
選考理由
伊勢丹
同社は、社長出席の決算説明会において初めて中期経営計画・戦略を発表
し、その経営理念・経営方針をアナリストに十分に伝えるなど説明会の充
実を図ったほか、主な連結対象会社への投融資・保証債務および連結決算
の設備投資額・減価償却費の実績・計画等の説明資料記載などディスクロ
ージャーの著しい改善(前年比改善ポイント 18.6 点、6 順位アップの第 3
位)を図った。
改善企業
選考理由
阪急百貨店
同社は、社長の中期経営計画説明会における経営方針・戦略の説明、業績
下方修正時のタイムリーなアナリストミーティングの開催などが高く評価
されたほか、IR 担当者へのインタビューに対する適切な対応なども評価さ
れており、ディスクロージャーの著しい改善(前年比改善ポイント 14.9 点、
5 順位アップの第 5 位)を図った
3.評価方法等
小売業(百貨店・スーパー)ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.
決算短信」(以下「短信」と省略)を 6 点、「2.説明会、インタビューおよび説明資料
等」(以下「説明会等」と省略)を 67 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以
下「タイムリー・ディスクロージャー」と省略、本年度から決算および中間決算の発表
−58−
日におけるテレフォンコンファレンスの実施を評価項目に追加)を 12 点、「4.企業の
自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」と省略)を 15 点、合計 100 点満点とした。
評価実施(スコアシート記入)アナリストは 33 社、33 名である。
4.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 62 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 61.6 点より 7.2 点改善し 68.8 点と上昇した。この
点については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることなどを考
慮する必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価
対象企業各社のディスクロージャーは、社長のアナリストミーティングの実施
や説明資料の充実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われ
ていると評価されている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点 2 点を減少した短信では、平均得
点率(評価対象企業各社の平均点/配点)が大幅に上昇したため評価平均点が
3 点増加した。配点の変更がなかった説明会等では、平均得点率の上昇により
評価平均点は 4.6 点増加した。配点 2 点を増加したタイムリー・ディスクロー
ジャーでは、平均得点率が昨年度を下回ったため評価平均点が 0.1 点減少した。
平均得点率が低下した要因としては、本年度に昨年度よりレベルが高いディス
クロージャーを求める評価項目を追加したことなどが挙げられる。配点の変更
がなかった自主的公表情報では、平均得点率が低下したため評価平均点が 0.3
点減少した。平均得点率が低下した要因としては、本年度に評価項目の修正を
行ったことなどが挙げられる。
次に、評価対象企業別に見ると、総合評価点が対前年度比増加した企業は 10
社であり、残りの 1 社は昨年度より減少した。
また、これらの動きを業界別に見ると、スーパー6 社の評価平均点は昨年度
より 3.2 点の増加に止まって 67.9 点となったのに対し、百貨店 5 社の評価平
均点は 12.1 点増加し 70 点となり、はじめて評価平均点でスーパーを上回った。
以上総合すると、百貨店を中心に上位評価対象企業のディスクロージャーの
現状はかなり評価できる。しかし、中・下位評価対象企業については未だ改善
の余地が残されているものと見られる。
また、評価対象企業の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 86.9 点、最低
得点 45.7 点(1.9 倍)から本年度の最高得点 84.5 点、最低得点 68.8 点(1.4
倍)へと格差が縮小した。
−59−
個別企業の総合評価点では、第 1 位は、ユニー(分野別では、短信 3 社同得
点 1 位、説明会等 1 位、タイムリー・ディスクロージャー1 位、自主的公表情
報 7 位)、第 2 位は、髙島屋(短信 3 社同得点 1 位、説明会等 3 位、タイムリ
ー・ディスクロージャー9 位、自主的公表情報 10 位)、第 3 位は、伊勢丹(説
明会等 2 位、短信 8 社同得点 4 位、タイムリー・ディスクロージャー4 位、自
主的公表情報 9 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは、次の 5 社である。伊勢丹(改善ポイ
ント 18.6 点、6 順位アップの第 3 位)は、前記 2.に記載した事項のほかに、
過去の単体決算説明のデータが連結中心に変わっても時系列で開示したこと
が評価された。三越(改善ポイント 10.9 点、1 順位アップの第 4 位)は、短
信で満点評価のほか、月次売上状況・次期見通しの説明資料記載、部門別の
月次売上高の詳細開示などが評価された。阪急百貨店(改善ポイント 14.9 点、
5 順位アップの第 5 位)は、前記 2.に記載のとおりである。また、ダイエー(改
善ポイント 8.8 点)は、IR 担当者へのインタビューの容易さなどが評価され、
丸井(改善ポイント 15.1 点)は、説明会、インタビュー等における開示の改
善が評価された。
今後特に改善が望まれる点は、主な連結対象会社の保有土地・有価証券の含
み損益および主な連結対象会社の総資産額・純資産額の説明資料記載、自主
的公表情報における決算説明会以外の経営者出席によるアナリストミーティ
ングの開催などであるが、中・下位評価対象企業については、その他の項目
を含めて満遍なく開示レベルを引き上げていくことを期待したい。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、企業間の開示
格差がかなり小さいので引き続き評価対象から除外し、短信とそれに同時配
布される開示資料のみを評価対象とした。
この分野では、満点と評価された、三越、髙島屋、ユニーの 3 社は、短信
の補足資料の充実にかなり力を注いでいることが窺われる。その他の各社は
昨年度に比べて改善しているものの、なお一層の開示改善が望まれる。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、評価対象企業全社が評価平均点を対前年比増加させた。トッ
プのユニー(得点率(以下省略)91%)は、前記 1.に記載した事項のほか、評
価項目 21 項目中 19 項目でトップ(内 15 項目で満点)を占めた。第 2 位の伊
勢丹(80%)は、前記 2.に記載した事項のほかにアナリスト受入れ姿勢が高く
評価された。第 3 位の髙島屋(79%)は、主な連結対象会社への投融資額・保
証債務の記載など説明資料の改善が評価された。第 4 位の三越(76%)は、(1)
−60−
に記載した事項のほかに説明資料の開示改善などが評価された。第 5 位の阪急
百貨店(66%)は、前記 2.に記載した事項のほかに連結決算関連情報の開示な
ど説明資料の改善が評価された。
今後改善が望まれる点は、(1)に記載した事項のほかに、主な連結対象会社へ
の投融資額・保証債務の説明資料記載などであるが、中・下位評価対象企業は
その他の項目を含めて開示改善が望まれる。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、アナリストが重要と判断する事項の遅滞ない開示、重要事項発
生時の緊急アナリストミーティングの開催、決算・中間決算の発表日のテレフ
ォンコンファレンスの実施などを評価するものである。得点率トップのユニー
(70%)は、重要事項の開示の迅速さと IR 担当者の適切な対応が高く評価さ
れた。
しかしながら、その他の評価対象企業の得点率は未だ 68%以下に止まって
おり、決算・中間決算の発表日のテレフォンコンファレンスの実施については
全社無得点となった。業績変動やリスク情報の遅滞ない開示などの重要性が高
まっている昨今、タイムリー・ディスクロージャーの開示改善をさらに期待し
たい。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、得点率トップのジャスコ(89%)は、決算説明会以外の経営
者出席によるアナリストミーティングの開催など関連 7 項目中 6 項目で 1 位と
評価された。第 2 位の阪急百貨店(86%)は、FAX によるアナリストへの有
用情報の迅速な送信が高く評価された。第 3 位のダイエー(85%)は、部門別
情報の詳細開示などで高く評価された。このほか、西友(83%)、イトーヨー
カ堂(80%)も高い評価を受けた。しかしながら、期中の値下げロス・在庫状
況など利益変動に影響を及ぼす要因の情報(平均得点率 44%、企業の開示格
差 2.0 倍)については、中・下位評価対象企業の開示改善が望まれる。
5.その他
当該業種の評価対象外企業でディスクロージャーが良いと考えられる企業について
スコアシート記入者(33 名)の回答を集計した結果、しまむら(5 名、15%)、良品計
画(5 名、15%)、サンクスアンドアソシエイツ(2 名、6%)、セブンーイレブン・ジャ
パン(2 名、6%)、その他(5 社、各 1 名)が挙げられた。
以
−61−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(小売業―百貨店・スーパー―)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 6 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 6 7 点)
評価対象企業
評価点
順位
評価点
順位
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 1 2 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 1 5 点)
評価点
順位
前年順位
1
ユニー
84.5
6.0
1
61.1
1
8.4
1
9.0
7
1
2
髙島屋
73.6
6.0
1
53.1
3
6.5
9
8.0
10
2
3
伊勢丹
73.5
4.0
4
53.6
2
7.2
4
8.7
9
9
4
三越
73.1
6.0
1
51.1
4
7.1
5
8.9
8
5
5
阪急百貨店
69.4
4.0
4
44.3
5
8.2
2
12.9
2
10
6
ジャスコ
66.7
4.0
4
42.2
7
7.1
5
13.4
1
3
7
イトーヨーカ堂
66.1
4.0
4
43.2
6
6.9
8
12.0
5
4
8
ダイエー
64.8
4.0
4
41.0
9
7.0
7
12.8
3
8
9
西友
63.8
4.0
4
40.9
10
6.4
10
12.5
4
6
10
マイカル
61.7
4.0
4
40.9
10
5.0
11
11.8
6
7
11
丸井
60.8
4.0
4
42.0
8
7.7
3
7.1
11
11
評価対象企業評価平均点
68.8
4.5
46.7
−62−
7.0
10.6
小売業専門部会委員
長
松岡
真宏
UBS ウォーバーグ証券
部会長代理
塚澤
健二
ジャーディン・フレミング証券
斉藤
太
部
会
大和総研
佐々木泰行
クレディ スイス ファースト ボストン証券
清水
モルガン・スタンレー・ディーン・
倫典
ウィッター証券
正田
雅史
野村證券
諸江
幸 示右
ゴールドマン・サックス証券
評価実施アナリスト(33 名)
石井 宏和
一鍬田 優一
庵原 浩樹
今田 ありさ
内田 陽祐
大矢 彩未
岡谷
貴
片井 陽子
日興ソロモン・スミス・バーニー証券 正田 雅史
住友ライフ・インベストメント
高橋 俊雄
野村證券
岡三証券
武久 圭子
J.P.モルガン・インベストメント・
マネジメント・インク
塚澤
辻本
飛田
朝永
永島
ジャーディン・フレミング証券
金森 淳一
金子 絵里
栗島 理恵
小島 宙太
権藤 貴志
斉藤
太
佐々木 泰行
ソシエテジェネラル証券
清水 倫典
東京三菱投信投資顧問
野村アセット・マネジメント投信
エービーエヌ・アムロ証券
新光証券
ABN・AMRO アセット・
マネジメント投信
カザノブ証券
水戸証券経済研究所
ニッセイアセットマネジメント
農中投信投資顧問
大和総研
クレディ・スイス・ファースト・
ボストン証券
モルガン・スタンレー・ディーン・
ウイッター証券
−63−
健二
臣哉
光利
久見雄
博
永田 和子
仲西 恭子
バインダー・
敏子
橋本 真樹子
春木 由香
平松 謙一
松岡 真宏
諸江 幸 示右
山本 幸典
興銀証券
東京海上アセットマネジメント投信
コメルツ投信投資顧問
東京三菱証券
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
東京証券
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
HSBC 証券
住友信託銀行
日興アセットマネジメント
シュローダー投信投資顧問
UBS ウォーバーグ証券
ゴールドマン・サックス証券
第一勧業富士信託銀行
銀
行
日本興業銀行、第一勧業銀行、さくら銀行、東京三菱銀行、富士銀行、住友銀行、
大和銀行、三和銀行、東海銀行、あさひ銀行、三菱信託銀行、住友信託銀行、
東洋信託銀行、中央三井信託銀行、横浜銀行、常陽銀行、七十七銀行、静岡銀行、
八十二銀行、 (計 19 行)
1.ディスクロージャー優良企業および選考理由
優良企業
富士銀行
選考理由
同行は、経営トップがみずほファイナンシャルグループへの統合に関す
る情報を含め同行の経営方針等を積極的に説明するなど常に率先垂範して
IR 活動を行った。また、同行は IR 部門が充実しており、そこへの情報集
積および IR 担当者との有益なディスカッション、IR 担当以外セクション
へのインタビューの容易さなども極めて高く評価された。これら同行の努
力と姿勢は、ディスクロージャーのさらなる進展のために他の銀行の模範
になると認められるので、同行を本年の当業界における優良企業として推
薦する。
2.ディスクロージャーの改善が著しい企業および選考理由
改善企業
第一勧業銀行
選考理由
同行は、IR 部門を充実、強化して情報の集積を図り、担当者との有益な
ディスカッションを可能にするとともに、次期事業計画・中長期経営方針
等の資料説明、みずほファイナンシャルグループの収益計画の詳細を含む
説明会資料の充実、不良債権の新規発生動向の説明など、ディスクロージ
ャーの著しい改善(改善ポイント 16.8 点、11 順位アップの第 4 位)を図
った。
3.評価方法等
今回から評価対象銀行として、新たに中央三井信託銀行、横浜銀行の 2 行を追加し、
計 19 行のディスクロージャー状況を評価した。
銀行ディスクロージャー評価基準(スコアシート)は、
「1.決算短信」(以下「短信」
と省略)を 6 点、「2.説明会、インタビューおよび説明資料等」(以下「説明会等」と
省略)を 58 点、「3.タイムリー・ディスクロージャー」(以下「タイムリー・ディスク
ロージャー」と省略)を 15 点、「4.企業の自主的公表情報」(以下「自主的公表情報」
と省略)を 21 点、合計 100 点満点とした(本年度から従来の 3 択または 2 択の評価方
−64−
法から点数記入によるより緻密な評価を行う方法に変更した項目を 13 項目新設)。評価
実施(スコアシート記入)アナリストは 17 社、18 名である。
4.評価結果
(1) 総括
平成 12 年の評価結果の概要は、次のとおりである(ディスクロージャー評
価比較総括表は 69 頁参照)。
総平均点では、昨年度の 63.6 点より 2.5 点改善し 66.1 点と上昇した。この
点については、評価 4 分野の配点や個別評価項目を変更していることなどを考
慮する必要があり、総平均点の数字を単純に比較することは適当ではない。
しかしながら、評価実施アナリストの意見(コメント)を総合すると、評価
対象銀行各行のディスクロージャーは、頭取のアナリストミーティングの実施
や説明資料の充実をはじめとして、全体として多くの項目で開示改善が行われ
ていると評価されている。
評価平均点を評価の 4 分野で見ると、配点の変更がなかった短信では、平均
得点率が低下したため評価平均点が 0.3 点減少した。平均得点率が低下した要
因としては、昨年度に平均得点率(評価対象銀行各行の平均点/配点)が高か
った評価項目を削除して、これに替えてよりレベルが高いディスクロージャー
を求める評価項目を追加したことなどが挙げられる。また、説明会等では評価
平均点が 2.3 点減少したが、この要因は配点 6 点を減少したためであり、平均
得点率は上昇している。次にタイムリー・ディスクロージャーでは評価平均点
が 2.1 点増加したが、これは配点 3 点の増加および平均得点率の上昇によるも
のである。また自主的公表情報でも評価平均点が 3 点増加したが、この要因も
配点 3 点の増加および平均得点率の上昇によるものである。
次に、本年度に新規に評価対象となった中央三井信託銀行、横浜銀行を除く
17 行について評価対象銀行別に見ると、総合評価点が対前年度比減少した銀
行は 6 行であるが、この要因としては、短信、説明会等で昨年度に平均得点率
が高かった評価項目の削除または修正を行って、本年度よりレベルが高いディ
スクロージャーを求めた評価項目への変更または追加をしたことなどが挙げ
られる。
以上総合すると、上位評価対象銀行のディスクロージャーの現状はかなり評
価できる。しかし、中・下位評価対象銀行においては、未だ改善の余地が残さ
れているものと見られる。
また、評価対象銀行の開示格差を見ると、昨年度の最高得点 78.2 点、最低
得点 48.8 点(1.6 倍)から本年度の最高得点 78.3 点、最低得点 57.3 点(1.4
倍)へと、格差が縮小した。
−65−
個別銀行の総合評価点では、第 1 位は、富士銀行(分野別では、短信 2 行同
得点 1 位、説明会等 1 位、タイムリー・ディスクロージャー1 位、自主的公表
情報 1 位)、第 2 位は、住友信託銀行(短信 2 行同得点 1 位、説明会等 2 位、
タイムリー・ディスクロージャー3 行同得点 2 位、自主的公表情報 2 行同得点
6 位)、第 3 位は、静岡銀行(タイムリー・ディスクロージャー3 行同得点 2 位、
自主的公表情報 2 位、短信 3 行同得点 3 位、説明会等 5 位)となった。
なお、改善度合が特に大きかったのは以下の 6 行である。住友信託銀行(改
善ポイント 6.1 点、3 順位アップの第 2 位)は、IR 姿勢、タイムリー・ディス
クロージャーの改善などで高く評価された。静岡銀行(改善ポイント 9.9 点、
9 順位アップの第 3 位)は、決算説明会における次期事業計画・中期経営方針
等のプレゼンテーションに優れていたほか、詳細な決算解説資料など決算短信
同時配布資料の充実などが評価された。第一勧業銀行(改善ポイント 16.8 点、
11 順位アップの第 4 位)は前記 2.記載のとおりである。東海銀行(改善ポイ
ント 7.1 点、6 順位アップの第 7 位)は、決算発表後の説明会の開催・取材等
への迅速な対応、インターネット・E-mail による有用な情報提供などで高く
評価された。常陽銀行(改善ポイント 7.6 点)は、次期事業計画・中長期経営
方針の十分な説明、自己査定結果の積極的説明などで高く評価された。七十七
銀行(改善ポイント 10.0 点)は、決算発表後の説明会の開催・取材等への迅
速な対応などが高く評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、連結子会社・関連会社の情報開示、不良債
権の新規発生動向の十分な説明、自己査定結果の積極的説明などであるが、
中・下位評価銀行については、その他の項目も含めて満遍なく開示レベルを引
き上げていくことが望まれる。
(2) 決算短信
有価証券報告書における開示は法定開示事項が中心であり、銀行間の開示格
差がかなり小さいので引き続き評価対象から除外し、短信とそれに同時配布さ
れる開示資料のみを評価対象とした。
この分野では、2 行同得点トップ(得点率(以下省略)85%)となった富士
銀行、住友信託銀行をはじめとして、横浜銀行(83%)、常陽銀行(83%)、静
岡銀行(83%)、中央三井信託銀行(82%)の上位 6 行は、短信の補足資料の
充実等にかなり力を注いでいることが窺える。
(3) 説明会、インタビューおよび説明資料等
この分野では、トップの富士銀行(74%)は、前記 1.に記載した事項のほか、
−66−
自己査定結果の積極的な説明などで高い評価を受けた。第 2 位の住友信託銀行
(72%)は、(1)に記載した事項のほかに信託勘定の説明資料開示などが評価
された。第 3 位の大和銀行は、IR 姿勢および不良債権の新規発生動向説明の
改善などが評価された。第 4 位の第一勧業銀行は、2.に記載した事項のほかに
決算発表後の説明会の開催・取材等への迅速な対応、自動審査モデルに関する
説明会の開催などが評価された。第 5 位の静岡銀行は、(1)に記載した事項のほ
かに自己査定結果についての積極的な説明などが高く評価された。第 6 位の東
洋信託銀行は、不良債権の新規発生動向の十分な説明が高く評価された。第 7
位の三和銀行は、IR 担当以外のセクションへのインタビューの容易さなどが
評価された。
今後さらに改善が望まれる点は、(1)に記載した事項のほかに経営トップなど
経営全般について語れる人へのインタビューの容易さなどであるが、中・下位
評価銀行については、その他の項目を含めて満遍なく開示レベルを引き上げて
いくことを期待したい。
(4) タイムリー・ディスクロージャー
この分野は、東証へのファイリング事項およびアナリストが重要と判断する
事項の遅滞ない開示と適切な対応を評価するものである。トップの富士銀行
(83%)は、アナリストが重要と判断する事項の質問に対する適切な対応など
で高く評価された。第一勧業銀行(77%)、住友信託銀行(77%)、静岡銀行
(77%)、大和銀行(77%)、あさひ銀行(75%)、三和銀行(75%)、日本興
業銀行(73%)、東海銀行(71%)、さくら銀行(70%)もまずまずの評価と
なった。しかし、下位評価銀行については、業績変動やリスク情報の遅滞ない
開示などの重要性が高まっている昨今、タイムリー・ディスクロージャーの開
示改善が望まれる。
(5) 企業の自主的公表情報
この分野では、トップの富士銀行(83%)は、重要な記者発表資料の迅速
な送付、インターネット・E-mail による有用情報の提供、アナリストミーテ
ィング等決算説明会以外の IR 活動の積極的実施、アニュアルレポート・ディ
スクロージャー誌の内容充実の 4 項目で高く評価された。静岡銀行(78%)、
第一勧業銀行(74%)、東海銀行(74%)、あさひ銀行(72%)、三和銀行(72%)、
住友信託銀行(72%)、さくら銀行(70%)もまずますの評価となった。
今後特に改善が望まれる点は、インターネットや E-mail による有用な情報
提供(平均得点率 61%、銀行の開示格差 2.4 倍)、ファクトブックや統計補足
情報等の内容充実(同上 59%、同上 2.2 倍)などであるが、中・下位評価銀
−67−
行はその他の項目を含めて改善を期待したい。
5.その他
評価対象外銀行でディスクロージャーが良いと考えられる銀行についてスコアシー
ト記入者(18 名)の回答を集計した結果、安田信託銀行(2 名、11%)が挙げられた。
以
−68−
上
平成 1 2 年 ディスクロージャー評価比較総括表(銀行)
(単位:点.%)
順位
評価項目 総合評価
(1 0 0 点)
1. 決 算 短 信 に お け
る開示
( 配 点 6 点)
2. 説 明 会 、 イ ン タ
ビ ュ ー お よ び
説 明 資 料 等 に
おける開示
( 配 点 5 8 点)
評価対象企業
3. タ イ ム リ ー ・ デ
ィスクロージャ
ー(東証へのフ
ァイリングを含
む)
( 配 点 1 5 点)
評価点
順位
4. 企 業 が 自 主 的 に
公 表 し て い る
情報
( 配 点 2 1 点)
前年順位
評価点
順位
評価点
順位
評価点
順位
1
富士銀行
78.3
5.1
1
43.2
1
12.5
1
17.5
1
1
2
3
住友信託銀行
静岡銀行
73.3
71.4
5.1
5.0
1
3
41.5
38.4
2
5
11.6
11.6
2
2
15.1
16.4
6
2
5
12
4
5
第一勧業銀行
70.5
69.9
4.7
4.6
7
8
38.7
39.4
4
3
11.6
11.5
2
5
15.5
14.4
3
10
15
5
68.1
67.1
4.6
4.6
8
8
37.2
37.1
7
8
11.2
10.9
7
8
15.1
14.5
6
9
3
2
67.1
66.9
4.6
4.4
8
14
36.4
36.0
11
14
10.6
11.3
9
6
15.5
15.2
3
5
13
4
66.0
65.8
4.6
4.4
8
14
38.3
36.1
6
13
10.4
10.5
11
10
12.7
14.8
13
8
7
10
6
7
7
9
10
11
大和銀行
三和銀行
日本興業銀行
東海銀行
あさひ銀行
東洋信託銀行
11
さくら銀行
住友銀行
65.8
4.5
13
37.1
8
10.3
13
13.9
12
11
13
14
三菱信託銀行
横浜銀行
64.7
63.9
4.3
5.0
16
3
36.0
36.2
14
12
10.4
10.0
11
14
14.0
12.7
11
13
9
未実施
15
16
常陽銀行
中央三井信託銀行
62.6
59.9
5.0
4.9
3
6
36.9
33.8
10
17
10.0
9.6
14
17
10.7
11.6
18
16
14
未実施
17
18
七十七銀行
八十二銀行
58.8
58.0
4.0
4.3
18
16
34.0
33.7
16
18
9.8
9.3
16
18
11.0
10.7
17
18
17
15
19
東京三菱銀行
57.3
66.1
3.7
4.6
19
32.1
37.0
19
9.1
10.6
19
12.4
13.9
15
8
評価対象企業評価平均点
−69−
銀行専門部会委員
部
会
長
山田
能伸
部会長代理
高井
晃
秋場
節子
メリルリンチ証券
大和総研
ドイチェ証券
大久保清和
野村證券
大塚
誠二
ジャーディン・フレミング証券
笹島
勝人
UBS ウォーバーグ証券
西村英一郎
野村アセット・マネジメント投信
評価実施アナリスト(18 名)
秋場 節子
荒井 重晴
ドイチェ証券
井口 譲二
幾代 雄四郎
岩田 俊幸
大久保 清和
大塚 誠二
笹島 勝人
高井
晃
ニッセイアセットマネジメント
ティ・アンド・ディ太陽大同
投資顧問
コメルツ証券
立花証券
野村證券
ジャーディン・フレミング証券
対馬 哲也
デービッド・
アトキンソン
西村 英一郎
林
寛也
溝渕
明
山田 能伸
吉澤 英俊
日興アセットマネジメント
和田
健
渡辺 祐貴
中央三井信託銀行
UBS ウォーバーグ証券
大和総研
−70−
ゴールドマン・サックス証券
野村アセット・マネジメント投信
新光証券
野村證券
メリルリンチ証券
モルガン・スタンレー・アセット・
マネジメント投信
住友ライフ・インベストメント
(附録)リサーチ・アナリストによるディスクロージャー優良企業選定制度
(社)日本証券アナリスト協会
ディスクロージャー研究会
Ⅰ.選考方法等
1.業種別専門部会の設置
ディスクロージャー研究会(以下「当研究会」という。)の傘下組織として業種別に専門部会を設
置する。専門部会の委員はリサーチ・アナリストとしての経験年数 3 年以上、かつ、当該業種の経
験年数おおむね 2 年以上の者で、原則として担当業種の主要企業に対する年間 1 社平均接触回数 4
回以上の者(ただし、説明会出席と IR 担当者訪問の合計が 2 回未満の者および IR 担当者訪問が 0
回の者を除く。以下同じ。)の中から 7 名程度を選考のうえ、アナリスト協会から委嘱を行う。
2.「ディスクロージャー評価基準(スコアシート)」の作成
各業種別専門部会は、当研究会が定めた「ディスクロージャー評価基準例(スコアシート)」(別
紙(2))をベースに、これに当該産業の特性に応じて手直しを加えた「ディスクロージャー評価基
準(スコアシート)」をそれぞれ作成する。
3.対象企業の中から優良企業を選び出す方法
(1) 調査選考対象企業数の基準の設定
各業種別専門部会は、当該業種の企業評価実施アナリスト数および事務局等の能力的あ
るいは物理的な限界があること、ならびに的確かつ信頼性の高い調査を実施することが必
須であること、等を考慮して各業種別に評価対象企業数の基準(最大限度を 20 社とする)
を設定する。
(2)
調査選考対象候補企業の抽出と事前判断テストの実施および調査選考対象企業の選定
各業種別専門部会は、担当業種について東証市場第一部上場企業の株式時価総額( / 現
在)等を基準に上記(1)の範囲内で抽出した候補企業に事前判断テスト(別紙(1))を実施
し、本調査に適合した企業を調査選考対象企業とする。
なお、各業種の評価対象企業数が上記(1)の基準限度に達している場合等で、株式時価総
額順位の変動等の結果、評価対象企業に新たに追加することが望ましい企業が生じた場合
は、各業種別専門部会は、前回の評価対象企業中、株式時価総額順位低下企業または評価
下位企業等を除外し入れ替える方法等により、その基準の遵守に努めるものとする。
(3)
リサーチ・アナリストの選定およびスコアシートの送付
アナリスト協会は、予め当協会の法人会員である調査研究所(下記列挙証券会社以外の
全社)、投信委託会社(全社)、信託銀行(全行)、長期信用銀行(全行)、生・損保(全社)、
証券会社(エース、岡三、勧角、興銀、国際、コスモ、さくら、三和、新光、立花、東京、
東京三菱、東洋、野村、富士、丸三、明光ナショナルおよび外資系の全社)および投資顧
問会社(全社)の各社に対して、各業種別のリサーチ・アナリストの氏名、リサーチ・ア
ナリストとしての経験年数、担当業種の評価対象企業に対する年間 1 社平均接触回数(説
明会出席、IR 担当者訪問、電話照会等を含む)等についての照会調査を行う。各業種別専
門部会は、同調査に基づいて、リサーチ・アナリストとしての経験年数 3 年以上、かつ、
当該業種の経験年数おおむね 2 年以上の者で、当該業種の評価対象企業に対する年間 1 社
―71―
平均接触回数 4 回以上の者を選定してスコアシートを送付し、評価の記入を依頼する。
(4)
スコアシートへの評価記入等
依頼を受けた各アナリストは、送付されたスコアシートのうち、直近 1 年間で 4 回以上
接触している企業のスコアシートだけに評価を記入し、アナリスト協会に直接返送する。
(但し、その際、スコアシートを送付された各アナリストは、評価対象企業に比べて当該
業種でディスクロージャーがより優れている企業が他にあると考える場合は、その企業名
とその理由を別紙に記入して返送する。)
(5)
優良企業等の選考等
各業種別専門部会は、返送されたスコアシートの集計、分析、評価等を行って優良企業
および改善の著しい企業をそれぞれ選考し、評価選考概要とともに当研究会に報告する。
(6)
優良企業等の決定
当研究会は、各業種別専門部会の報告内容を審査し、優良企業および改善の著しい企業
を業種別に決定する。
Ⅱ.平成 12 年度における本調査の実施要項
1.調査選考対象業種
東証市場第一部上場株式時価総額等からみて重要な業種のうち、建設、化学、医薬品、鉄鋼、機
械、電気・精密機器、自動車、商社(総合商社)、小売業(百貨店・スーパー)および銀行の 10 業
種を対象とする。
2.実施についての協力要請
平成 12 年 2 月中旬に、アナリスト協会長から評価対象企業に対して「リサーチ・アナリストによ
るディスクロージャー優良企業選定(第 6 回)についてのお知らせとお願い」等を送付して、平成
11 年度決算等に関するディスクロージャーの向上について協力要請をするとともに、本調査の実施
について理解を求める。
3.本調査の実施時期
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
スコアシートの発送
スコアシートの回収
スコアシートの集計
各専門部会による回答結果の分析、
評価、選考および選考概要のとりまとめ
当研究会における最終決定
…… 平成 12 年 6 月中旬
…… 平成 12 年 7 月中旬
…… 平成 12 年 7 月下旬∼8 月上旬
…… 平成 12 年 8 月中旬∼9 月上旬
…… 平成 12 年 9 月中旬
―72―
別紙(1)
専門部会委員による事前判断テスト
イエスの場合は
内にチェックする
(1)
この会社は過去 1 年の間に重要事実の発表が遅れたり、故意に隠したり、
もしくは発表前に情報が漏れたりしたことがありますか。
(2)
この会社は過去 1 年の間に正当な理由がなく、説明会への出席や個別訪
問取材を拒否したことがありますか。
(3)
この会社の経営者の言動や経営方針、会計処理などに非常に誤解を受け
易い点がありますか。
(4)
この会社は同業他社に比べ明らかに情報開示が悪いという具体的な理
由があり、複数のアナリストがその理由を認めることができますか。
以上の質問のうち一つでも業種別専門部会委員の 2 人以上がイエスの場合で、特に他の委員の反対意
見のない時は、その会社は評価対象から除くものとする。
―73―
別紙(2)
ディスクロージャー評価基準例(スコアシート)
評価対象企業名
評価者 会社名
上記企業に対する直近 1 年間の接触回数
所属部・課
① 説 明 会 出 席② I R 担 当 者 訪 問 ③ そ の 他 合
回
回
回
氏名
計
TEL(
回
)
―
合計 4 回未満の者、①と②の小計が 2 回未満の者および
②が0回の者は、このスコアシートを記入しないで下さい。
1.決算短信および有価証券報告書における開示(全体の 2∼15%の配点 )(本項目は各専門部会委員のみが記載する )
項
①②のそれぞれについていずれか 1 つにチェックをし
て下さい。
目
①( ×
各質問項目のうち当該会社に該当しない
YES
項目はその回答を省いて下さい。
%)
一部
決 算 短 信 ②(×
NO
開示等
(×1) (×0.5) (×0)
(1)
決算短信および有価証券報告書におけるディス
クロージャーは前年に比べて改善しています
か。(
点)
(2)
「当期の業績の概況」および「配当政策( 株主還元
政策)」は十分に説明されていますか。(
点)
(3)
設備投資および減価償却費の実績が記載されて
いますか。(
点)
(4)
部門別の売上高が国内・輸出別に記載されてい
ますか。(
点)
(5)
事業別ならびに仕向け先別の受注実績および受
注見通しが記載されていますか。(
点)
(6)
営業外損益では、受取利息、受取配当金、支払
利息および有価証券売却損益が記載されていま
すか。(
点)
(7)
連結対象子会社・関連会社の収益状況が説明さ
れていますか。(
点)
(8)
連結対象子会社・関連会社、グループ関係企業の
資本関係、投融資および保証が説明されていま
すか。(
点)
(9)
連結決算の事業種類別および所在地別セグメン
ト情報は具体的に開示されていますか。
(
点)
(10)
連結ベースの設備投資および減価償却費の実績
が記載されていますか。(
点)
YES
(×1)
%)有価証券報告書
一部
開示等
(×0.5) (×0)
(注) 決算短信には、東証の要請による添付資料等(決算短信と同時配付資料に限る)を含む。
―74―
NO
2.説明会、インタビューおよび説明資料等における開示(全体の 55∼80%の配点)
項
いずれか 1 つにチェック
をして下さい。
目
各質問項目のうち当該会社に該当しない
YES
項目はその回答を省いて下さい。
NO
開示等
(×1) (×0.5) (×0)
(1)
説明会、インタビューおよび説明資料等におけるディスクロージャーは前
年に比べて改善していますか。(
点)
(2)
決算発表後の説明会の開催もしくは取材等への対応は迅速に行われていま
すか。(
点)
(3)
決算説明会を実施していますか。(
(4)
連結決算説明会を実施していますか、あるいは決算説明会で連結決算につ
いて説明していますか。(
点)
(5)
決算説明会およびアナリストミーティングで経営トップなど経営全般につ
いて語れる人が経営方針等を十分に説明していますか。(
点)
(6)
経営トップなど経営全般について語れる人へのインタビューは容易です
か。(
点)
(7)
IR 部門に十分な情報が集積されており、IR 担当者と有益なディスカッシ
ョンができますか。(
点)
(8)
IR 部門以外のセクションへのインタビュー等は容易ですか。(
(9)
アナリストが参加できる工場見学・商品発表会等を実施していますか。
(
点)
点)
(10) 連結の半期あるいは四半期決算を報告していますか。(
点)
点)
(11) 説明資料による開示(本項目は各専門部会委員のみが記載する )
A 決算説明会で決算短信以外の説明資料を配布していますか。(
点)
B
設備投資の実績の内訳および計画は記載されていますか。(
C
減価償却費の実績および見通しは記載されていますか。(
D
投融資の実績および主な内容は記載されていますか。(
E
保証債務の内容は十分に記載されていますか。(
F
研究開発費の実績および計画は記載されていますか。(
G
期末の従業員数および出向者数の実績ならびに計画は記載されていま
すか。(
点)
H
人件費の実績ならびに計画は記載されていますか。(
点)
点)
点)
点)
点)
点)
I
販売費および一般管理費の主要項目(販売費、物流費、事業税など)の実
績は記載されていますか。(
点)
J
営業外損益の主要項目(有価証券売却損益、有価証券評価損、為替差損
益、社債発行費、ロイヤリティなど )の実績は記載されていますか。
(
点)
K
特別損益の内訳およびその発生理由は記載されていますか。(
L
部門別売上高の実績および計画が記載されていますか。(
点)
点)
M
部門別輸出高の実績および計画が記載されていますか。(
点)
N
地域別売上高の実績および計画が記載されていますか。(
点)
―75―
一部
項
いずれか 1 つにチェック
をして下さい。
目
各質問項目のうち当該会社に該当しない
YES
項目はその回答を省いて下さい。
NO
開示等
(×1) (×0.5) (×0)
O
主要商品の売上高、販売数量および単価が記載されていますか。
(
点)
P
事業別ならびに仕向け先別の受注実績および受注見通しが記載されて
いますか。(
点)
Q
海外調達額の実績および計画は記載されていますか。(
R
輸出入取引における通貨別取引高、決済レート、為替変動に伴う損益
への影響額、為替予約状況等は記載されていますか。(
点)
S
連結決算の事業の種類別・所在地別セグメント情報は十分説明されて
いますか。(
点)
T
連結ベースの設備投資の実績および計画は説明されていますか。
(
点)
U
連結ベースの減価償却費の実績および見通しは説明されていますか。
(
点)
V
連結ベースの期末従業員数ならびに出向者数の実績および計画は記載
されていますか。(
点)
点)
(12) 説明会およびインタビュー等における開示
A 説明会およびインタビュー等において上記(11)の各項目について十分
に説明されていますか。(
点)
B
B/S の主要項目の増減理由は十分に説明されていますか。(
C
利益増減要因は明確かつ十分に説明されていますか。(
D
法人税等の算出根拠は説明されていますか。(
E
セグメント情報について十分な説明が行われていますか。(
F
受注残の内容について十分な説明が行われていますか。(
G
次期の事業計画および中長期の経営方針が十分に説明されています
か。(
点)
H
研究開発内容などに関する技術的質問に十分に対応してくれますか。
(
点)
I
主な連結子会社・関連会社の損益、財務などの状況が十分に説明されて
いますか。(
点)
J
連結子会社・関連会社、グループ関係企業の資本関係、投融資および保
証が十分に説明されていますか。(
点)
―76―
一部
点)
点)
点)
点)
点)
3.タイムリー・ディスクロージャー(東証へのファイリングを含む)(全体の 5∼15%の配点)
いずれか 1 つにチェック
項
目
をして下さい。
各質問項目のうち当該会社に該当しない
YES
一部
NO
(×1)
(×0)
開示等
項目はその回答を省いて下さい。
(×0.5)
(1) アナリストが重要と判断する事項( 業績変動、新製品・新技術、合併・提携、
年金の資産内容、リース会計、偶発債務、デリバティブ取引、オフバラン
ス取引など)の開示は遅滞なく、十分に行われていますか。 (
点)
(2)
アナリストが重要と判断する事項に関しての質問に迅速に対応してくれま
すか。(
点)
(3)
アナリストが重要と判断する事項の開示内容および質問への対応は十分で
すか。(
点)
4.企業が自主的に公表している情報(全体の 5∼25%の配点)
項
いずれか 1 つにチェック
をして下さい。
YES
一部
NO
(×1) 開示等 (×0)
(×0.5)
目
各質問項目のうち当該会社に該当しない
項目はその回答を省いて下さい。
(1)
ディスクロージャーは公平に行われていますか。 (
(2)
ファクトブックや統計補足情報等の内容は充実していますか。 (
(3)
アニュアルレポートの内容は充実していますか。 (
(4)
英文の決算説明資料を作成していますか。 (
(5)
期中(月次、四半期、累計など)の売上高、受注等の実績は迅速、かつ詳細
に公表されていますか。(
点)
(6)
重要な記者発表資料を送ってくれますか。 (
(7)
決算発表は遅滞なく行われていますか。(
(8)
要求すれば決算短信および補足資料を決算発表当日にファクシミリ等で送
ってくれますか。(
点)
(9)
要求すれば補足資料等を決算発表当日にファクシミリ等で送ってくれます
か。(
点)
点)
点)
点)
点)
点)
点)
(10) インターネットを利用した情報提供は行われていますか。 (
点)
5.その他当該会社のディスクロージャーについての変化点(本年度から○○○を開示、○○説明会を実施等)、そ
の他お気付きの点があれば自由にご記入下さい。
―77―