第9回 土手研究室ゼミ 第9章 条件構造

第9回 土手研究室ゼミ
第9章 条件構造
2003 6.18
問1 次の文のうち条件構造をもつものについて逆、裏、対偶を作れ
(1)約束を忘れていないならば、彼は時間通りに来る。
(2)確かに太郎は泣き虫だが、芯の強いところもある。
(3)免許を持っていない者は車を運転することができない。
(4)すべての鳥が空を飛べるわけではない。
(5)花子が家にいるならば、太郎か次郎も家にいる。
A→B
逆
B→A
裏
対偶
裏
Aではない→Bではない
逆
Bではない→Aではない
(1)約束を忘れていないならば、彼は時間通りに来る。
逆:彼が時間通りに来るなら、約束を忘れていない。
裏:約束を忘れているなら、彼は時間通りに来ない。
対偶:彼が時間通りに来ないのなら、約束を忘れている。
(2)確かに太郎は泣き虫だが、芯の強いところもある。
この文章は条件と帰結の構造をもっていない
(3)免許を持っていない者は車を運転することができない。
逆:車を運転することができないなら、免許を持っていない。
裏:免許を持っている者は車を運転できる。
対偶:車を運転できるなら、免許を持っている。
(4)すべての鳥が空を飛べるわけではない。
この文章は条件と帰結の構造をもっていない
(5)花子が家にいるならば、太郎か次郎も家にいる。
逆:太郎か次郎が家にいるなら、花子は家にいる。
裏:花子が家にいないなら、太郎も次郎も家にいない。
対偶:太郎も次郎も家にいないなら、花子は家にいない。
問2 (1)①彼女は野菜しか食べない
③菜食主義者は野菜しか食べない
②彼女は菜食主義者だ(結論)
③を逆にすれば「彼女は菜食主義者だ」といえる
③逆:野菜しか食べないのは菜食主義者だ
①彼女→野菜しか食べない
③野菜しか食べない→菜食主義者
②彼女 →菜食主義者
③裏、①対偶にすれば②対偶もいえる
③裏:菜食主義者でない人は、野菜以外を食べる
①対:野菜以外を食べるのは、彼女ではない
②対:菜食主義者ではない人は、彼女ではない
③裏:菜食主義者でない→野菜以外を食べる
①対:野菜以外を食べる→彼女ではない
②対:菜食主義者ではない →彼女ではない
(2)①カフェインには眠気をとる作用がある
②ウーロン茶にはカフェインは含まれない
③ウーロン茶を飲んでも眠気はとれない(結論)
①を裏にすれば③がいえる
①裏:カフェインがない→眠気はとれない
②ウーロン茶→カフェインがない ①カフェインがない→眠気はとれない ③ウーロン茶 →眠気はとれない (3)①自惚れの強い人は他人を愛さないものだ ②他人を愛する人だけが、他人から愛されるものだ
③他人から愛される人というのは、うぬぼれの強い人ではない
②の逆と①を対偶にすれば③がいえる
②逆:他人から愛される→他人を愛する人
①対:他人を愛する→自惚れの強い人ではない
②逆:他人から愛される→他人を愛する人
①対:他人を愛する人→自惚れの強い人ではない
③他人から愛される →自惚れの強い人ではない
②を逆にして③を待遇すればよい
②逆:他人を愛さない→他人から愛されない
③対:自惚れが強い人→他人から愛されない
①自惚れが強い人→他人を愛さない
②逆:他人を愛さない→他人から愛されない
③対:自惚れが強い人 →他人から愛されない
(4)①正しい前提から正しい演繹によって導出されたならば結論は正しい
②この導出は正しい演繹ではない
③結論も誤っている
(5)①認識がア・プリオリでないならば、それは経験的判断である
②認識がア・プリオリであるならば、それは確実である
③経験的判断は確実ではない(結論)
①の逆と②の裏より③がいえる
①逆:経験的判断は認識がア・プリオリでない
②裏:認識がア・プリオリでないならば、それは確実でない
①逆: 経験的判断→認識がア・プリオリでない
②裏:認識がア・プリオリでない→確実でない
③:経験的判断 →確実でない
②を逆、①を裏にすれば③の対偶をいえる
②逆:確実であれば、認識はア・プリオリである
①裏:認識がア・プリオリであるならば、それは経験的判断でない
③対偶:確実は、経験的判断でない
②逆:確実である→認識はア・プリオリである
①裏:認識がア・プリオリである→経験的判断でない
③対偶:確実である →経験的判断でない
問3
次の①∼③が言えているとする。
知覚に基礎をもつもののみが認識可能である・・・①
認識不可能なものは想像することも不可能である・・・②
想像不可能なものは、認識することも不可能である・・・③
以上の前提から次が正しく演繹できるかどうか調べよ。
(a)知覚に基礎をもたないものは想像することも不可能で
ある
(b)知覚に基礎をもつものは想像することも可能である
「①知覚に基礎をもつもののみが認識可能である」は、
条件「知覚に基礎をもつもの」だけが結論「認識可能であ
る」を導く形の条件構造である。 これは、only ifの条件
構造と書かれており、①を以下のように書き換えることが
できる。
①「知覚に基礎をもたないもの→
認識可能ではない(=認識不可能である)」
次に・・・
「②認識不可能なものは想像することも不可能である」
これを「A→B」の形で表すと、
②「認識不可能なもの→想像することも不可能である」
と、できる。 ここで先に書き換えた①と②を繋ぐことができる。
①「知覚に基礎をもたないもの→
認識可能ではない(認識不可能なもの)」
②「認識不可能なもの→想像することも不可能である」
これらを繋ぐと、
「知覚に基礎をもたないもの→
想像することも不可能である」
となり、これは
「(a)知覚に基礎をもたないものは想像することも不可能
である」と、同じである。
よって(a)は、正しく演繹できると言える。
次に、(b)を考える。
「(b)知覚に基礎をもつものは想像することも可能である」
は、「A→B」の形で表すと、
(b)「知覚に基礎をもつもの→想像することも可能」となる。
また①は、以前と同様に、
①「知覚に基礎をもたないもの→
認識可能ではない(=認識不可能である)」
と捉えるため、「知覚に基礎をもつもの」から、繋げること
はできない。
また、①②③のほかに、
①の対偶
「認識可能なもの→知覚に基礎をもつ」
②の対偶
「想像可能なもの→認識可能なものである」
③の対偶
「認識可能なもの→想像可能なものである」
などを、単独もしくは複数繋いで用いても、「知覚に基
礎をもつもの」から繋がるものはなく、(b)のような条件
構造を作ることはできない。
よって、(b)は、正しく演繹できないと言える。
問4
①∼③それぞれの対偶は以下のようになる
①´:争いを好む→嫉妬深い
②´:争いを好まない→派閥を作らない
③´:統率力がある→派閥を作る
①´:争いを好む→嫉妬深い
②´:争いを好まない→派閥を作らない
③´:統率力がある→派閥を作る
① :嫉妬深くない→争いを好まない
② :派閥を作る→争いを好む
③ :派閥を作らない→統率力ない
以上の6文より正しく演繹できるか調べる
(a)争いを好む人は統率力がある
解)
上の文は、「争いを好む→統率力がある」と
書き換えることができる。
「争いを好む」からはじまる文は①´のみ。
①´:争いを好む→嫉妬深い→×
よって正しく演繹できない
(b)統率力のある人は嫉妬深い
解)
上の文は、「統率力がある→嫉妬深い」と書
き換えることできる。
6つの文を見ると、 ③´→② →①´ より、
「統率力がある→派閥を作る→争いを好む
→嫉妬深い」となる。
よって、演繹できる
問5.次の①、②が言えているとする。
講義がない日には、太郎はドイツ語学校に行く・・・①
講義がある日には、花子は講義に出て、さらにドイツ語学
校にいく。・・・②
①の対偶
太郎がドイツ語学校に行かない日には、講義
がある。
②の対偶
花子が講義にでない、またはドイツ語学校に
行かない日は、講義がない。
(a)花子がドイツ語学校に行かない日には、太郎はド
イツ語学校にいく。
①と②の対偶をつなげると、
「花子がドイツ語学校に行かない→太郎は
ドイツ語学校にいく」
(a)は正しく演繹される
(b)花子と太郎がともにドイツ語学校に行く日はない。
①の対偶と②、①と②の対偶をつなげると、
「太郎がドイツ語学校に行かない→花子は行く」
「花子がドイツ語学校に行かない→太郎は行く」
(b)は正しく演繹される。
問6 次の①、②、③が言えているとする。
①信頼される人は思いやりがあり、かつ、洞察力
のすぐれた人である
②洞察力のすぐれた人や冷静な人は判断を誤ることはない
③信頼される人物だけが尊敬される
以上の前提から次が正しく演繹できるかどうか調べよ。
(a)尊敬される人は冷静である。
(b)判断を誤る人は尊敬されない。
①信頼される人は思いやりがあり、かつ、洞察力の
すぐれた人である
条件構造
信頼される人(信頼○)
思いやりがある(思い○)
信頼される人(信頼○)
洞察力のすぐれた人(洞察力○)
対偶
思いやりがない(思い×)
信頼されない人(信頼×)
洞察力のない人
(洞察力×)
信頼されない人(信頼×)
②洞察力のすぐれた人や冷静な人は判断を誤ることはない
条件構造
洞察力のすぐれた人
(洞察力○)
判断を誤らない(判断○)
冷静な人(冷静○)
判断を誤らない(判断○)
対偶
判断を誤る(判断×)
判断を誤る(判断×)
洞察力のない人
(洞察力×)
冷静ではない人(冷静×)
③信頼される人物だけが尊敬される
Only if 関係
裏
信頼されない人(信頼×)
尊敬されない(尊敬×)
対偶
尊敬される(尊敬○)
信頼される人(信頼○)
(a)尊敬される人は冷静である。
条件構造
尊敬される(尊敬○)
冷静な人(冷静○)
(b)判断を誤る人は尊敬されない。
条件構造
判断を誤る(判断×)
尊敬されない(尊敬×)
条件構造
①
信頼○
②
信頼○
洞察力○
思い○
信頼×
尊敬○
信頼○
判断○
判断×
冷静×
尊敬○
信頼○
判断×
洞察力×
冷静×
冷静○
思い○
②条
洞察力○
判断○
(b) 判断×
②対
信頼×
洞察力×
尊敬×
①条
信頼×
判断×
(a) 尊敬○
③対
思い×
洞察力×
洞察力○
判断○
冷静○
③
対偶
①対
演繹されない
尊敬×
信頼×
③条
尊敬×
演繹される