4 - 公立はこだて未来大学

公立はこだて未来大学 2014 年度 システム情報科学実習
グループ報告書
Future University-Hakodate 2014 System Information Science Practice
Group Report
プロジェクト名
FabLab 函館:市民参加型モノづくり拠点の創出
Project Name
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
グループ名
グループ D(Craft)
Group Name
Group D(Craft)
プロジェクト番号/Project No.
21-D
プロジェクトリーダ/Project Leader
恒川拓哉
1011245
Takuya Tunekawa
グループリーダ/Group Leader
1012220
鈴木里沙
Risai Suzuki
グループメンバ/Group Member
1011245
恒川拓哉
1012033
堂林まどか
1012223
寺倉祐衣
Takuya Tunekawa
Madoka Dobayashi
Yui Terakura
指導教員
塚田浩二,美馬のゆり,迎山和司,木塚あゆみ,沖真帆
Advisor
Koji Tsukada Noyuri Mima Kazushi Mukaeyama Ayumi Kiduka Maho Oki
提出日
2015 年 1 月 14 日
Date of Submission
Jan 14, 2015
概要
我々のプロジェクトでは市民参加型モノづくり工房である「FabLab」を函館に創出すること
を目標として活動する.これにより,3D プリンター等のデジタル工作機器を用いて独自のモ
ノづくりを行える「ファブ」の魅力を市民が手軽に体験でき,既存の FabLab ネットワーク
と連携した新たなコミュニティを構築できると考える.「FabLab Hakodate」の創出に向け
て,我々は「技術習得」「技術共有」「対外展示」「試験運用」に取り組む.技術習得としては,
デジタル工作機器の制御やデータ作成等のファブ技術を 4 つのグループ (3D,2D,E-Fab,
Craft) に分かれて習得する.さらに,グループ間で連携した作品制作を通して,実践的技術の
向上を目指す.技術共有としては,機器利用のための「マニュアル」や作品製作のための「イ
ンストラクション」を Web サービス上で公開すると共に,ワークショップ等を開催してその
活用に努める.対外展示としては,夏季休暇中に本学のオープンキャンパスやはこだて国際科
学祭での短期出展を行い,FabLab の魅力を市民に体験してもらうと共に,今後の運営形態や
ワークショップ体験等のフィードバックを得る.最後に試験運用としては,秋学期に学内外に
FabLab Hakodate βを設立し,定期的なワークショップ開催を行うと共に,中長期的な運営
体制の構築を目指す.
キーワード
パーソナル・ファブリケーション,ファブ,FabLab,デジタル工作機器
(文責: 恒川拓哉)
-i-
Abstract
Our project aims to launch FabLab - a digital fabrication facility for citizens - in
Hakodate. We believe that the FabLab helps citizens experience new manufacturing
technologies using digital machine tools ( Fab technologies) and form a new community by cooperating with the existing FabLab network. Toward launching FabLab
Hakodate , we set 4 challenges: skill-acquiring , skill-sharing , public exhibition
and trial operation . As skill-acquiring , we were divided into 4 groups (3D, 2D,
E-Fab and Craft) to acquire the usage of digital machine tools effectively. In addition,
we aimed to improve these skills by creating original works while collaborating with
other groups. As skill-sharing , we plan to publish manuals of digital machine tools
and instructions of our original works on the web services. We also plan to organize
workshops using these manuals and instructions. As public exhibition , we plan to
exhibit our activities at public events, such as Open Campus and Hakodate International Scientific Festival in August. Our aim is to support citizens to feel the attraction
of FabLab . We also try to obtain feedbacks on the future management of FabLab
Hakodate and adequate contents of the workshops. Finally, as trial operation , we
will launch FabLab Hakodate β in autumn and organize workshops regularly. We
will try to establish operation teams and systems toward the long-term management.
Keyword
Personal Fabrication, Fab, FabLab, Digital machine tools
(文責: 恒川拓哉)
- ii -
目次
第1章
本プロジェクトについて
1
1.1
本プロジェクトの背景 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1
1.2
本プロジェクトの目的 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1
1.3
本プロジェクトの課題設定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1
第2章
本グループの概要
3
2.1
本グループの背景
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
2.2
本グループの課題の設定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
課題解決のプロセス
5
技術習得の課題解決のプロセス . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5
各メンバーの動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5
データ共有の課題解決のプロセス . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
9
各メンバーの動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
9
対外展示の課題解決のプロセス . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
11
各メンバーの動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
12
第3章
3.1
3.1.1
3.2
3.2.1
3.3
3.3.1
3.4
β運営の課題解決のプロセス
3.4.1
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
16
各メンバーの動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
16
第4章
結果
19
第5章
活動のまとめと展望
20
- iii -
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
第1章
1.1
本プロジェクトについて
本プロジェクトの背景
デジタル工作機械の低価格化が進むと共に,これらの機材で出力可能なデータを世界規模で共有
するサービスが次々と登場し,一般ユーザ自身が気軽にモノづくりに携わるパーソナルでソーシャ
ルなファブリケーション時代の到来が期待されている.特に,標準的なデジタル工作機器を備え,
一般ユーザが手軽に利用できる市民開放型工房「FabLab」は,その中核を担う施設として注目さ
れており,2014 年現在,世界 50 ヶ国/ 200 ヶ所以上で開設されている.FabLab ネットワークは
デジタル工作機器を駆使したモノづくりの先端コミュニティであると共に,地域性を活かした制作
活動が行われており,情報共有/地域貢献の意味からも参加する意義は大きい.一方,未来大の工
房にもこうしたデジタル工作機器が多数導入されており,FabLab として運用できる潜在的な可能
性があるが,こうした機材を総合的に活用できる人材は非常に少なかった.本プロジェクトでは,
こうした「ファブ時代のモノづくり技術」を総合的に身に着けると共に,ドキュメント製作やワー
クショップ等を通して人に「伝える」経験を重ねることで,技術を深く理解して伝達できる「Fab
Master」となることを目指す.さらに,オープンキャンパスや科学祭での短期出展を経て,秋学期
には学内外で FabLab(or FabCafe) を創立し,中長期的な運用を目指す.
(文責: 鈴木里沙)
1.2
本プロジェクトの目的
私達のプロジェクトの最終的な目的はデジタル工作機器を駆使して「(ほぼ) あらゆるものを作る
ことができる」市民開放型工房「FabLab」を函館に設立し運営していくことである.
(文責: 寺倉祐衣)
1.3
本プロジェクトの課題設定
FabLab を創出するための条件として以下の 5 つが FabLab 憲章(http://fablabjapan.org/fabcharter/)によって定めらている.
1. 世界のファブラボ標準機材を最低限揃えていること
2. ウェブ環境を活用して,ものづくり知識やデザイン等の共有をしていること
3. 少なくとも週 1 日は,無料で市民に一般公開されていること
4. ファブラボ憲章を印刷して掲示していること
5. 世界の FabLab と連携して活動すること
初年度の今年は 1,2,3,4 についての解決を目標にした.
1 つ目は,未来大学工房を使用する事で条件を満たせると考えた.そこで,工房内にあるデジタル
工作機器の使用方法を学ぶ必要があると考えた.2 つ目は現在様々なインターネット上に展開され
Group Report of 2014 SISP
-1-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
ている Fab データ共有サービスを利用することによって達成できると考えた.3 つ目は,一般市民
に FabLab を使用してもらう為に,FabLab を知ってもらう必要があると考えた.4 つ目は,実際
に FabLab 憲章を掲示した上で FabLab を運営することで解決できると考えた.
以上を踏まえて以下の 4 つの課題を設定した.
1. デジタル工作機器/データ作成の基礎技術の習得
2. web 上での作品制作の手順/データの共有
3. 対外展示を通じた市民への FabLab の魅力の伝達
4. 試験運用とする「FabLabHakodate β」の運営
(文責: 堂林まどか)
Group Report of 2014 SISP
-2-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
第2章
2.1
本グループの概要
本グループの背景
当グループは Craft 班として活動するグループである.Craft 班は他の班とは少し立場が違い
CNC ミシンとレジンを使用して主に製作物の装飾を中心におこなう.また,他の班に比べ布など
柔らかい素材を加工することも特徴の一つである.CNC ミシンとは,一般的なミシンの機能のほ
かに PC で作成したイラストをそのまま布に刺繍できる機能を持つミシンである.従来イラスト刺
繍は手で縫うことが多く時間がかかる上に思い通りの仕上がりにならないことがあるが,CNC ミ
シンを使用することにより思い通りのイラスト刺繍が短時間で出来るようになる.この機能を活
用することで今までは再現が困難で手間がかかるような複雑なイラストを刺繍することや大量の
ワッペンを短時間で作成することが可能になる.レジンとは樹脂のことを指し,様々な素材の表面
をコーティングする際に使用する.また,生花や食品といったものを加工することも可能である.
前期は,CNC ミシンとレジンを使用したモノづくりを通し技術力を向上させ,使用することで蓄
積される知識や経験の共有を通して伝達技術力の向上を目的とした.後期は Web 上でのドキュメ
ンテーション共有と対外展示を通じた伝達技術力の向上と,FabLab Hakodate βの試験運用を通
じた運用ノウハウを学ぶことを目的とした.
(文責: 鈴木里沙)
2.2
本グループの課題の設定
前期はプロジェクト全体で設定された課題のうち,主に「デジタル工作機器/データ作成の基礎
技術の習得」と「作品製作を通した実践経験/技術の向上」に取り組んだ.CNC ミシンではミシ
ンと専用ソフトの使い方や特徴をつかむこと,レジンは塗ることに慣れが必要であるため,平面
や凹凸のあるものの表面,食品・生花のレジン加工の技術習得を課題に設定した.また,「ワーク
ショップ/ Web 上でのドキュメント共有を通じた伝達情報の向上」の一貫でワークショップ内容
の決定,プロトタイプ制作,ワークショップ体験中に使用するマニュアルを作成することも課題と
した.さらに,作業と同時に中間発表に向けてのパネルやスライド作成を行った.
後期は「ワークショップ/ Web 上でのドキュメント共有を通じた伝達情報の向上」と「FabLab
Hakodate βの試験運用」に取り組んだ.オープンキャンパス,はこだて国際科学祭,未来祭と
いった対外展示でのワークショップ内容の決定,プロトタイプ制作,ワークショップ体験に使用す
るマニュアルの作成を課題に設定した.対外展示を通じ,伝達技術の向上をワークショップ参加者
からのフィードバックを得ながら取り組んだ.また,今まで制作した作品の制作方法をマニュアル
化し,Fab データ共有サービスへの投稿を通じた伝達技術の向上を課題とした.さらに,FabLab
Hakodate βの試験運用も行った.
Group Report of 2014 SISP
-3-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
課題
習得技術
関連する講義
CNC ミシンでの刺繍作品への挑
CNC ミシン使用方法
情報デザイン
UV レジン・UV 照射器使用方法
情報デザイン
情報伝達スキル
情報マネージメント論,情報デザ
戦
UV レジンでの樹脂加工作品への
挑戦
Instructables へのマニュアル投稿
イン
対外展示でのワークショップ企画
イベント企画スキル
情報マネージメント論,情報デザ
イン
試験運用
運用ノウハウ
表 2.1
情報マネージメント論
本グループの課題
以上が課題設定の概要である.
(文責: 鈴木里沙)
Group Report of 2014 SISP
-4-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
第3章
3.1
課題解決のプロセス
技術習得の課題解決のプロセス
まず,デジタル工作機器/データ作成の基礎技術の習得として CNC ミシンについての基礎知識
を習得した.CNC ミシン専用の制御ソフトをインストールし,画像データを CNC ミシンに出力
させる環境を整え,画像データを作成し出力する練習をした.レジンは,レーザーカッターで切り
出したアクリル板や大学敷地内で採取した花や葉などの生もの,ビスケットといった食品をコー
ティング加工し,技術を習得した.
(文責: 鈴木里沙)
3.1.1
各メンバーの動き
3.1.1.1 鈴木里沙
デジタル工作機器やデータ作成の基礎技術習得として,作品制作を通じて CNC ミシンと UV レ
ジンの技術を習得した.
CNC ミシンは使用手順が複雑であり,最初は何度もエラーを起こしてしまっていたが,説明書
を何度も読みながら作業することで,使う際の注意点を学んだ.技術習得のための作品制作とし
て,はこだて未来大学のロゴの刺繍ワッペンを制作した.刺繍をする際にはフープに布を挟む必要
があるので大きめに裁断された状態の布が望ましい.よってワッペンを制作する際にはフェルトを
フープに挟み,刺繍後にワッペンの大きさに裁断した.また,刺繍以外の事例としてプロジェクト
メンバーが着用するためのエプロンも制作した.
UV レジンは約10〜15分 UV ライトをあてることで硬化する樹脂である.樹脂で表面を加
工すると素材を長期間保存することが出来る.樹脂で様々な素材の加工に挑戦したが,ライトの熱
や樹脂との化学反応によって変形,変色してしまものもあった.また,UV レジンには粘り気の違
うタイプもあり表面に厚く樹脂を乗せる場合には粘り気の強いものを使用すると良い.また,技術
習得のための作品制作として,レーザーカッターで切り出したアクリル板に UV レジンをのせたブ
ローチを制作した.UV レジンは透明度が高いのでアクリル板など透明な素材との相性が良いとわ
かった.また,ブローチの金具もレジンで接着することができ,接着剤としても使用できることが
わかった.さらに,ブローチの他になまものを永久保存するということに興味があったので,食べ
物と生花の加工も行った.食べ物はライトの熱で溶け変形してしまうものや,水分を多く含んでお
り加工後樹脂の中で腐敗してしまうものを避け,ビスケットを選んだ.生花の加工では,UV レジ
ンで加工すると花びらが変色してしまうことと,UV レジンの重さに耐えられずに変形してしまう
という問題があった.そこで,花びらの変形を防ぐため,スプレーのりで形状を固定してからレジ
ン加工を行った.しかし,レジン加工のすきまから空気に触れ酸化してしまい,UV レジンとの化
学反応で花びらの色が薄くなってしまう問題は解決できなかった.そこで,花びらを一つづつ加工
することにした.さらに乾燥剤で花びらの水分をとばしてからレジン加工を行った.乾燥剤はシリ
カゲルを用い,シリカゲルと花びらを容器にいれ密閉した状態で1週間乾燥させた.乾燥後の花び
らはレジンとの化学反応で変色することなく加工することができた.
Group Report of 2014 SISP
-5-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
図 3.1
レジン加工したブローチ
(文責: 鈴木里沙)
3.1.1.2 恒川拓哉
はじめに,CNC ミシンの操作方法の確認とアクリル板にレジンを塗る練習を行った.私はスタ
ンダートなミシンの使用にも慣れていないため他の班員の指示を受けることで使用前の設定方法を
習得した.CNC ミシンは通常のミシンの機能に加えデータを送信することでデータ通りに刺繍を
行う機能を搭載している.この刺繍機能の使用方法を確認するために自分の名前のデータを製作し
出力を行ったが失敗してしまった.この後レジンを使用した作品制作の担当になり CNC ミシンに
携わる機会に恵まれず残念ながら原因は解明されていない.レジンは紫外線に反応し硬化する UV
レジンを使用した.UV レジンは一般的なレジンとは異なり主剤と硬化剤を混ぜ合わせる必要がな
く,時間経過による硬化がないため扱いが容易である.その後各班に与えられた課題として,習得
中の技術を利用した未来大学のロゴ作品の製作に着手した.私はレジンを利用した作品を制作する
ためにレーザーカッターを利用するための講習を受講し,認定を受けた上でレーザーカッターを利
用することで透明なアクリル板を未来大学のロゴの形に切り出した.切り出したアクリルにマスキ
ングテーブを貼りつけその上からレジン加工を施すことで作品を完成させた.
また,Craft 班としての技術習得とは別に 2D 班が学んでいたレーザーカッターとカッティングマ
シン,E-Fab 班が学んでいたはんだ付けの技術について学んだ.レーザーカッターについては,講
習にの使用を重ねて理解を深めることで指導教員の管理外の状況でも使用できる許可を得た.カッ
ティングマシンについては,カッティングマシン簡易マニュアルを参照した上で実際にカッティン
グシートを加工することで使用技術を習得した.はんだ付けについては,E-Fab のメンバーの指導
のもと実際に基板に発光ダイオードなどの電子部品をはんだ付けすることで技術を習得した.
図 3.2
CNC ミシンを用いたワッペンの制作
(文責: 恒川拓哉)
Group Report of 2014 SISP
-6-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
3.1.1.3 堂林まどか
Craft 班として CNC ミシンの技術を習得するために,実際に CNC ミシンを使用し技術を磨
いていった.最初は問題も多く苦労をしたがエラー文や説明書を参考にし,何度も使用することで
徐々に CNC ミシンを使う際の注意点やノウハウに気づいた.たとえば
1. CNC ミシンの使用には必ずパソコンの刺繍ソフトを開いてからミシンの電源をつける
2. CNC ミシンはパソコンで作ったデータを素早くそのまま布に刺繍できるが,その元データ
の拡張子は「.jpg」でなければならない
3. フェルトや生成りなど多くの布に刺繍を施すことができるが,布地が厚すぎると刺繍用の針
が折れてしまうためデニムなどの厚い生地には向かない
このように CNC ミシンは一見手軽そうな電子工作機器に見えるが使ってみると非常に難しい機器
であることが分かった.何度も練習を重ね,上記のようなポイントを理解しつつ CNC ミシンの使
い方を模索していき,最終的には未来大のロゴを用いたワッペンの製作に成功した.また 9 月頃に
布を固定するフープの大小を認識しないという故障があったため修理に出した.故障が直ってから
は作業がよりスムーズになり,Fab のロゴのワッペンの製作も行った.
レジンではまずレジンには多種多様な種類があることを知った.レジンというのは大きく分ける
とエポキシ樹脂と UV 樹脂の 2 種類がある.エポキシ樹脂というのは塗ったあとに数日乾かすこ
とで樹脂が硬化する.利点としては時間をかけて樹脂を固めるので中の気泡を樹脂の重みで潰すこ
とができるため,仕上がりが綺麗という点である.一方,UV レジンは樹脂を塗ったあと紫外線を
当てることで硬化する.こちらは太陽光の UV でも固めることができるが,UV ライトを使用す
るとわずか 10 分程度で固めることができるという利点がある.今回は両方のレジンを購入したが
UV レジンをメインに製作を行った.レジンの使用時で最初に行うのは切り出したアクリル板にレ
ジンを乗せる作業であるがレジン気泡が残ってしまうなどの問題が発生した.しかし,調べてみる
と気泡は爪楊枝で潰すことによって綺麗に取り除くことができることがわかった.次にクッキーや
マシュマロなどのお菓子をレジンで固める作業を行った.食品というのはアクリル板よりも形が複
雑でレジンが塗った時にレジンが垂れてこぼれてしまうなどの問題が発生した.この問題は練習を
重ねてレジンを少しずつ塗っていくことで綺麗に加工することができるということを発見した.ま
た,チョコクッキーのオレオをレジンで固めたときは熱で溶けてしまう,花を固めたときは化学反
応で色が変わってしまうなどレジンを綺麗に塗れる生ものには限りがあることを発見した.
夏ごろからは Craft 班の枠を飛び越え,2D 班のレーザーカッターの技術も習得した.その後す
ぐにワークショップで用いたインタラクティブコースターというコップを載せると光るコースター
の外装製作にも関わった.そこではレーザーカッターのカットと彫刻の使い方や特性を学んだ.具
体的には光るインタラクティブコースターの製作の際に,外装のアクリルにすりガラスのような彫
刻を行うことで LED の光を拡散して光らせることができると学んだ.Craft と 2D の技術の融合
として,レーザーカッターで切り出したアクリル板にマニキュアを塗ったり,マスキングテープを
貼ったりし,その上をレジンで固め艶と厚みを出したイヤリングなどのアクセサリーの製作も行っ
た.そのような活動を続けていくことで,工房よりレーザーカッターを工房職員が居ないときでも
使用できる証であるFABの刻印をレーザーカッター修了証にもらった.
(文責: 堂林まどか)
3.1.1.4 寺倉祐衣
UV レジンを用いて生花の加工を行った.様々な生花を加工したところ,レジン液を塗ると丸
Group Report of 2014 SISP
-7-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
図 3.3 FAB ワッペン
まってしまい綺麗な形にならないもの,レジンと化学反応をおこし変色するものなどもあり,花と
レジンに相性があることがを知った.また,花びらの重なりの多い桜の花と葉を加工したところ葉
は腐食しなかったが花は 3 日後から腐食した.このことから花は花びらの重なった部分にも丁寧に
レジンを塗ることが必要であり,長期間保存をしたい場合できるだけ重なりの少ない花や葉を選ぶ
ことが大切であることがわかった.布のレジン加工も試したところ布の柔らかさは失うが,UV レ
ジンでは加工した形状を保つことが判明した.また,布にレジンを塗りこむ場合は筆で塗るとムラ
なく綺麗にできることも判明した.そこで葉・花・リボンをレジンで加工し,それらの接着部分に
レジンを塗り込んだところ接着が可能なことが判明した.しかしレジンで接着した場合簡単にはが
すことできず,無理にはがすとレジン以外の花などの部分も破損する可能性があるので位置を固
定してから接着をおこなう必要があることがわかった.また,カッティングマシンを使用して紙つ
けまつげを作成した.Adobe の Illustrator を使用してデータの作成を行った.データは目尻に向
かってシルエットを大きくしていくとつけまつげのイラストが見やすくなった.カッティングマシ
ンでは直径1ミリ程度の細かな円のカッティングも可能だがカッティングマシンの台紙の粘着力が
弱い場合周りのシルエットが繊細だと画用紙がよれてしまい失敗してしまうしかし,逆に台紙の粘
着力が強すぎても画用紙を台紙から剥がす際に細かい部分がちぎれてしまう.よって新しい台紙や
古く粘着力の弱い台紙の際は模様の少ないシルエットの印刷をし,失敗の少なくなるよう工夫し
た.また細かい柄を入れる場合は周りの線を少し太めにする,線を細くする際は柄は大きくするな
どの工夫が必要であることが分かった.また紙つけまつげは画用紙であるため,細めのペンなどに
巻きつけてカールさせる必要があるが,カールするだけでは通常のつけまつげに比べて紙の方が重
いので柄が見えなくなってしまう.そこで通常のつけまつげとは裏の面に接着剤をつけ,まぶたに
垂直になるように紙つけまつげをつけることでまつげが下がること防止することができた.
図 3.4
紙つけまつげ
(文責: 寺倉祐衣)
Group Report of 2014 SISP
-8-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
3.2
データ共有の課題解決のプロセス
第 1 章でも説明されている通り,FabLab ではデータを世界と共有することが重要である.そこ
でインターネットでのファブデータ共有サービスを利用した.技術習得として様々な作品を制作し
てきたが,それをマニュアル化し,インターネットを介して共有することで FabLab のウェブ環境
を利用したものづくり知識やデザイン等の共有ができているという条件を満たすことができると考
えた.インターネットでの Fab 技術の共有サイトには以下のようなものがある.
サイト名
サービス開始
説明
URL
Instructables
2005 年
6 ヶ国語でサービス展開.10 万以
http://www.instructables.com/ja/
上の作品の制作マニュアルを共有
2014 年
gitFAB
Mozilla によって サー ビス展 開. http://gitfab.org/
モノづくりの知識やその背後にあ
る部分までを共有
Thingiverse
2008 年
3D データなどのデータを共有す
http://www.thingiverse.com/
ることを中心とした共有サイト
Shapeways
2007 年
3D データの公開から出力した物
http://www.shapeways.com/
の注文もできる共有サイト
表 3.1 インターネットでの Fab 技術共有サイト
この中でも Instructables を中心に作品の公開,共有を行った.
それらは http://www.instructables.com/id/FabLabHakodate/ にて公開されている.各メ
ンバーは自分が制作した作品について,各作品がどのようなデジタル工作機器を利用したかを必ず
明記するようにした.さらにどのような材料を利用したかについても型番も載せて公開することに
した.加えて細かな説明が必要であったり,サイト内では説明が難しいような部分に関しては別途
設計図や解説書の pdf ファイルを用意して公開するようにした.完成したマニュアルに関しては一
度プロジェクトメンバーで確認をしあい,説明に関して足りない部分はないか,使用した画像は適
切か等の話し合いを行い,その後教員の方がチェックをした後公開した.我々は Instructables で
は全 13 作品を公開し,世界中から 2000 以上のビュー,30 のフェイバリット,27 のコメントのレ
スポンスを獲得した.特に公開した作品のいくつかは Instructables の運営スタッフからの反応が
あり,スタッフのお気に入りの作品に選ばれた.さらにはこういった活動が認められ無償で私達の
アカウントをプレミアムアカウントにもしていただくなどサービスからも活動が認められている.
(文責: 寺倉祐衣)
3.2.1
各メンバーの動き
3.2.1.1 鈴木里沙
Instructables や gitFab といった Fab データ共有サイトに作品の作り方やワークショップの手順
を公開することで世界に向けて情報を発信した.より閲覧者に伝わりやすくなるよう,制作したマ
ニュアルはプロジェクトメンバー内でピアレビューし改善していった.
例えば,対外展示で行った食品用レーザーカッターを用いたクッキーへの彫刻体験をマニュアル
Group Report of 2014 SISP
-9-
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
化し Instructables に投稿した.ワークショップのマニュアルなので体験者と運営者の手順を書か
なければならなかったので,書き分けに苦労した.また,閲覧者が同じワークショップを企画でき
るよう,体験に使用した注意書きの紙などはダウンロード出来るよう pdf データも公開した.さら
に,食品を扱うワークショップなため,保健所などへの申請が必要なことも強調した.
(文責: 鈴木里沙)
3.2.1.2 恒川拓哉
FabLab の思想では作成した作品のデータの共有は非常に重要なもので,現在ではインターネッ
トを介して様々な Fab データ共有サービスが展開されている.私は実際に Thingiverse という 3D
データの共有サービスを用いてアニマルクラフトのデータを入手して,実際に同じ作品を制作を
し,2つのオリジナルデータは素材として段ボールを選択していたが,私はこれを改変し 2.5mm
の MDF を用いて制作を行った.このようにインターネットを介した Fab データの共有によって
遠隔地でも必要な機材と素材さえあれば全く同じものやアレンジを加えた作品の制作が可能であ
る.そこで私達は前述した通り,Intructables という Fab データ共有サービスを用いることで作品
の制作過程を説明したマニュアルを世界中に共有をした.共有したマニュアルが個人の活動ではな
く一つのプロジェクトであることを強調するために私はマニュアルの体裁の統一の管理を行った.
さらに,プロジェクトメンバー全員でピアレビューを行うことで,制作したマニュアルのブラッ
シュアップを行った.
(文責: 恒川拓哉)
3.2.1.3 堂林まどか
主に Instrutables という作り方の共有サービスサイトを使用し,FabLab で作った作品の作り
方のマニュアル共有を行った.具体的には,前出したワークショップで参加者に製作を行っても
らったインタラクティブコースター(コップを載せると光るコースター)のデータのシェアを行っ
た.その際には,閲覧者に分かりやすいマニュアルを作るように心がけた.例えば,使用する機材
説明の部分では,機材の写真と名前を対応付けるために,機材の写真に名前のキャプションをつけ
た.材料紹介では,ただ材料名を書くのではなく,アクリル板や MDF の厚さや LED の種類など
を明記した.また,材料と名前の対応付けを行うために,材料の名前を書いた紙と材料を一緒に写
真で撮影し投稿するという工夫を行った.配布するデータでも,利用者が使用しやすいようにデー
タの作り直しを行った.レーザーカッターを使用した切り出しのステップでは,出力の数値を明記
することで普段レーザーカッターを使い慣れない人でもスムーズに切り出しを行えるよう配慮し
た.説明が難しく複雑になる組み立ての部分では,ワークショップで実際に使用した,組み立てマ
ニュアルを配布用に改善したものを載せた.これは PDF ファイルにまとめられており,図を中心
に説明されている.このマニュアルを実際のワークショップで用いたところ,小さい子でも製作
できたことから,Instrutables からダウンロードした使用者にも十分な説明効果があると考えられ
る.このような数々な工夫を凝らし,製作されたマニュアルは一度プロジェクトメンバー全員でブ
ラッシュアップし,さらにわかりやすいマニュアルになるよう改良した.例えば,トップ写真を実
際の利用例に変更したり,前述したインタラクティブコースターの機材と名前の対応付けのキャプ
ションなどがブラッシュアップの成果である.結果投稿したマニュアルは 699 ビューと7のお気
に入り登録を貰い,2 人の閲覧者からコメントもあった.さらにこのマニュアルは運営のお気に入
りにも登録され,12 月 18 日現在 Instructables のトップページにも表示されている.
(文責: 堂林まどか)
Group Report of 2014 SISP
- 10 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
3.2.1.4 寺倉祐衣
テクノ手芸コースターと紙つけまつげの作り方をFabデータ共有サービス Instructables にて
共有した.テクノ手芸コースターとは導電糸という電気を通す糸を使用し,フェルト素材のコース
ターに電池とLEDを組み込み,コップを置くと光るコースターのことである.テクノ手芸コース
ターはほぼ手作業であるため,作り方の手順をメインに画像で伝えることに重点を置いてマニュ
アルを製作した.タイトル画面には概要と使用した他の作品のリンクを載せた.次に材料を画像
付きで掲載し,回路など写真では説明のできない部分は Adobe の Illustrator を使用し,日本語
がわからない人でもわかるように図だけでやり方が分かる工夫を施した.また,綺麗な写真のほ
うが魅力的に見え,より自分の作品を作ってもらえると考え,写真の影を消す・写真の明るさの
トーンを上げるなどの工夫もおこなった.紙つけまつげとはカッティングマシンを用い,黒の画用
紙でつくるイラストをもちいた仮装用のつけまつげのことである.紙つけまつげは主に Adobe の
Illustrator によるデータ作成とカッティングマシンの使用上の注意に重点を置いてマニュアルの作
成を行った.タイトル画面に概要を,次のステップで使用機材と材料を説明するところまではテク
ノ手芸コースター同様の手順で説明をした.次の手順では,データの作り方を Illustrator 上で作成
する場合と手書きのデータを Illustrator に取り込んで製作する場合の2つの手順に分けて説明を
した.その次のステップでカッティングマシンの使い方のコツを紹介した.テクノ手芸コースター
では図を使用しての説明を用いたが,紙つけまつげの説明でのメインはデータの作成であるため,
Illustrator 使用中の画像をスクリーンショットで撮影し,実際に作成したデータを Instructables
に掲載することで日本語以外でも理解をしやすくなるように工夫をした.どちらも外国人の方から
のコメントをいただくことができたので画像やデータを使用した説明の書き方は日本語を使う人以
外にも有効であると言える.
(文責: 寺倉祐衣)
3.3
対外展示の課題解決のプロセス
FabLab を創出した際に多くの方に利用してもらうため,Fab 文化を函館に広める目的で対外展
示を行った.
対外展示として,オープンキャンパス・はこだて国際科学祭・未来祭・ハロウィンイベント以上4
つのイベントで参加や企画を行った.対外展示内容として,自分たちが製作した作品の展示とワー
クショップの2つを並行した.作品展示では Fab 技術の可能性を感じてもらうこと,ワークショッ
プでは気軽に Fab を体験してもらうことを目的とした.
8 月3日に行われた FabLab として初の対外展示であるオープンキャンパスでは作品展示と並行
してレーザーカッターを用いてクッキー彫刻体験を行った.8月 24 日のはこだて国際科学祭では
2種類の光るコースターの製作体験を時間制で交互に,クッキー彫刻体験を常設で行った.10 月
11,12 日の未来祭ではフェイスペイント体験,オリジナルケース名前入れ体験,クッキー彫刻体
験の3つをローテーション,常設として3 D プリンタ胸像製作体験,以上4つのワークショップ
をおこなった.上記3つのイベントへの参加経験を活かし,10 月 31 日に自主企画として FabLab
Hakodate β運営開始の宣伝を目的にハロウィンイベントを未来大学構内にて行った.昼の部では
未来大生を対象にプチ仮装体験としてフェイスペイントと紙つけまつげの体験,夜の部では一般の
方の参加も可能にするため,事務と連携を行い食堂前にてカッティングマシンを用いてラテアート
体験を行った.
Group Report of 2014 SISP
- 11 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
(文責: 堂林まどか)
3.3.1
各メンバーの動き
3.3.1.1 鈴木里沙
対外展示では主にワークショップの企画と展示会場の空間デザインの2つを行った.
初の対外展示となった未来大学のオープンキャンパスでは,食品用のレーザーカッターを用いた
クッキーへの彫刻体験を企画し,クッキーの加工デザインやレーザーカッターの使用方法説明パ
ネルを作成した.参加者にメニュー表から好きなデザインを選んでもらい,レーザーカッターへの
データ送信からパワー設定などの PC 操作を行ってもらった.なるべく待ち時間を作らず多くの人
に体験してもらえるよう,クッキーやレーザーの位置を固定し調節する手間を省くなどの工夫を
行った.
はこだて国際科学祭では,クッキー彫刻体験の他にコップをのせると光るコースターを作る体験
を企画した.Craft 班独特の柔らかい素材を使用したり,E-Fab 班と協力することで LED や電池
を組み込んだコースターを制作することができた.プロトタイプ制作では,コルク素材を用いた外
装を提案した.最終案はアクリル板と木の板を用いたインタラクティブ・コースターとフェルトを
用いたテクノ手芸コースターになったのでコースターの制作には携わらなかったが,ワークショッ
プ内で使用する作り方マニュアルのブラッシュアップに参加した.食品用レーザーカッターを用い
たクッキー彫刻体験も企画し直し,メニュー表からデザインを選ぶ他に自分で描いた絵をクッキー
に彫刻する体験も行った.オープンキャンパスでは PC 操作まで体験してもらったが,PC 操作
に個人差があり難しさを感じている参加者もいたので科学祭ではプロジェクトメンバーで行った.
PC 操作を省いた分,参加者には Fab の可能性を知ってもらえるようレーザーカッターについての
説明などを行った.また,科学祭は五稜郭タワーアトリウムのステージ上で行ったため,展示会場
の下見に行きテーブル等の配置を想定し,一度に体験出来る人数を検討した.当日はデジタル工作
機器について知ってもらってからワークショップに参加してもらえるよう,作品展示をステージ
の手前で行いワークショップをステージ上で行った.また PR も担当し,Facebook ページをオー
プンし,Facebook ページの URL を載せたビラも制作した.科学祭当日はワークショップ参加者
の写真を撮影し,Facebook ページへの掲載許可を得た後ビラを渡し Facebook ページへの誘導を
行った.
未来大学の学校祭,未来祭でも食品用のレーザーカッターを用いたクッキーへの彫刻体験を行っ
た.未来祭では科学祭と同様にメニュー表からデザインを選んでもらう体験と自分で描いた絵を
クッキーに彫刻する体験を行った.また,レーザーカッターの可能性を知るためクッキー以外の食
材への加工も試みた.具体的には,海苔をレーザーで切り抜いた柄つきの海苔巻きとおにぎり・マ
カロンの表面にレーザーで彫刻したデコマカロン・えびせんの上への絵画の模様彫刻を行った.さ
らに参加者にもレーザーカッターの可能性をより具体的に知ってもらうため,これらの作品をレー
ザーカッターの近くに展示した.未来祭ではクッキー彫刻体験の他にもたくさんワークショップを
行ったので,作品の展示方法として,ワークショップで用いているデジタル工作機器を近くに配置
することを提案した.
未来祭から FabLab Hakodate βを試験運用し始めたがあまり利用者が現れなかったので,ハロ
ウィンにワークショップを行うことを提案した.初の自主企画となったハロウィンイベントでは,
ものづくりやデジタル工作機器に興味のある人たちよりもイベントや楽しいことが好きな人にも
のづくりに興味を持ってもらうことを目的とした.よって,HALLOWEEN PARTY by FabLab
Group Report of 2014 SISP
- 12 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
Hakodate という予約せず参加できるものと予約制のワークショップを企画した.また,PR 担当
として Facebook と Twitter で宣伝活動を行ったほか,ポスターをデザインし学内に貼り出しても
らった.
(文責: 鈴木里沙)
3.3.1.2 恒川拓哉
前述した通り,FabLab を創出した際に多くの方に利用してもらうため,Fab 文化を函館に広め
る目的で対外展示を行った.対外展示ではプロジェクトのメンバーが制作した作品の展示と気軽に
Fab を体験することができるワークショップを行った.私はプロジェクトメンバーへの作業分担と
マスメディアへの対応を行った.まず初めにプロジェクトメンバーへの作業分担についてはワーク
ショップ班と作品展示班にプロジェクト内で班分けを行うことで2つの作業を同時並行で行った.
最初に行われたオープンキャンパスではプロジェクトメンバーの作業進捗とスケジュールを管理し
きれなかったが,回数をこなすごとに管理方法を習得することができた.さらに,北海道新聞 (平
成 26 年月日掲載) に私たちの活動を取り上げてもらうことで,Fab 文化を広める活動も行った.
(文責: 恒川拓哉)
3.3.1.3 堂林まどか
FabLab の認知度向上とメンバーの作り方の伝達技術向上のために 4 度の対外展示を行い,その
企画運営を行った.オープンキャンパス,科学祭,未来祭,ハロウィンワークショップの合計 4 つ
対外展示に企画段階から参加した.
オープンキャンパスは,はじめての対外展示であるということで失敗や後悔が多く残った.例え
ば企画の段階では前述した光るコースターである,インタラクティブコースターのワークショップ
を行う予定だったが話し合いや構想が長く,また夏休み中を準備期間に当てたことでメンバー同士
で集まることができず,スケジュールに無理が生じてしまい,材料の準備が間に合わず開催するこ
とができなかった.他にも食品用レーザーカッターでクッキーに彫刻を行うというワークショップ
にも加わったが,当日まで食品用レーザーカッターの使い方やパソコン操作をしっかりとプロジェ
クトメンバー内で共有できておらず,当日その場で覚える形になってしまった.また他のメンバー
も共有ができておらず,一部のメンバーだけでワークショップを行うという状況にもなっていた.
また対外展示は FabLab への認知度を高めるために,立ち寄ってくれた来場者に FabLab について
説明する必要があったが作業に囚われてしまい,十分な説明を怠ってしまった.しかし良かった点
として,企画の段階でオープンキャンパスでの対外展示を行う意義をメンバー同士でしっかりと話
合うことができ,その後の対外展示でも企画段階で「なんのために行うのか」の意義を決める流れ
ができていた.
科学祭は五稜郭タワーアトリウムでの開催で,はじめての外部での対外展示となった.科学祭で
はオープンキャンパスではスケジュール調整が上手くいかず開催することができなかったインタラ
クティブコースターのワークショップの準備運営を主な仕事として行った.準備段階ではまず,プ
ロトタイプを何個も製作することでデザインの改善と決定を行った.その中では光を通すと LED
の光が綺麗に拡散するという発見もあった.デザインが固まったあとは,レーザーカッターを使用
しインタラクティブコースターの外装の切り出しを主に行った.その他に,当日使うマニュアルの
製作を手伝ったり,内部の基板のはんだ付けにも協力した.インタラクティブコースターから離れ
たところでは当日プロジェクトメンバーが着用する揃いのエプロン製作も行った.科学祭当日は展
示作品の解説や,インタラクティブコースターを来場者に作ってもらうワークショップの来場者の
Group Report of 2014 SISP
- 13 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
手助けをおこなった.2 回目のワークショップであったため,前回の反省を生かしワークショップ
の担当を決め前回よりも多くの人がワークショップに協力してくれたが,インタラクティブコース
ター以外にもクッキー彫刻体験やテクノ手芸コースターど多くのワークショップが開催されていた
ため運営が複雑化し,仕事が多くなってしまったため適切な休憩が取れず働き詰めになってしまっ
ていた.
未来祭は学内で行われる 2 回目のワークショップとなった.内容としては今まで行い続けてき
たクッキー彫刻のワークショップ以外にも,フェイスペイント体験,オリジナルケース名前入れ,
3D プリンタ胸像体験の 4 つの内容を行った.準備段階では,その中でも初めての試みであるフェ
イスペイントをメインに行った.まず,メンバー内で何度もプロトタイプ製作し特性の確認を行っ
た.その中で,印刷したフェイスペイントシートに透明なフィルムを貼る工程で気泡が入らないテ
クニックの習得や,肌にはり水でぬらしたティッシュで転写するときにシールの端に入念に水をし
みこませる必要があるなど,多くのノウハウを習得した.またフェイスペイントのシールのデザイ
ンにも携わり,どのような年代の方も使えるデザイン製作に励んだ.またハロウィンが近かったた
め,お化けやジャックオーランタンのシールも製作した.未来祭当日はシフトの都合上準備してい
たフェイスペイントではなく,クッキー彫刻のワークショップに携わった.未来祭では今までの反
省を生かし,事前にシフトを組みプロジェクトメンバーが交代で休憩が取れるように配慮した.ま
たそれぞれのワークショップの手順も共有することで,当日はスムーズに作業を行うことができ
た.
最後に行われたハロウィンイベントは FabLab Hakodate βの宣伝のために行われたワーク
ショップであった.そのハロウィンイベントでは何をやるかの話し合いに参加し,ハロウィンにち
なみにコスプレの紙つけまつげとフェイスペントの体験,ラテアートのワークショップに決まっ
た.その準備にはあまり携わらず,イベント宣伝用のポスター製作を行った.当初はハロウィンに
ちなみお化けの形をしたポスター案を考え,実際製作を行ったが,壁に貼ることを考えたときに,
見栄えがよくなくふさわしくないとされ,直前につくり直すという出来事もあった.最終的にポス
ターは昼休みに開催される紙付けまつげとフェイスペントを行う「Cosplay Fab」と,夜に行われ
るラテアートの「Latte art Fab」という,時間帯の違う 2 つのイベントを2枚の同じフォーマット
のポスターで表現することに決定した.ハロウィンイベント当日は Cosplay Fab と Latte art Fab
両方の運営に参加した.昼の Cosplay Fab では通りすがりの人に声をかけたところ立ち寄ってく
れ,紙つけまつげやフェイスペイントを体験してくれ,多くの人に FabLab Hakodate βについて
宣伝することができた.夜の Latte art Fab は参加者にラテアートの型を作ってもらった.そこで
は主に参加者へのイラストレーターの使い方を教えたり,型を使ってココアパウダーを使う際のコ
ツを伝授したりした.また最後には参加者が自主的に自分の作品を Twitter や Facebook で共有し
ている姿がみられ,こちらの FabLabHakodate βの宣伝として十分な効果があったと考えられる.
(文責: 堂林まどか)
3.3.1.4 寺倉祐衣
オープンキャンパスでは,当日のクッキー彫刻スタッフとして活動した.レーザーカッターを利
用者に操作してもらったのだが,パソコン用語である「ドラッグアンドドロップ」などを知らない
人に説明することにとても苦労をした.また,マニュアルを用意していたが結局口頭で指示を出し
ていたため効率が悪くなってしまい,人を待たせているという焦りから FabLab についての説明を
十分にできなかった.
科学祭では,ワークショップで Fab を身近に感じてもらうためにワークショップ班のメンバーで
Group Report of 2014 SISP
- 14 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
話し合い,普段使用するコースターを作成する体験をしてもらうことにした.コルク・木・アクリ
ル・布の 4 つの素材でプロトタイプを作成した.素材の検討をおこなったところ量産しやすく,比
較的自由にものづくりをできるという点で「フェルト素材」と「アクリル板と木材のミックス」の
2 つを採用した.私はフェルト素材の光るコースターの製作を担当した.まず LED がついていて
も違和感がないようにするためにコースターの素材について調査した.その結果フェルトボールの
コースターが最適だと考えたが手作りのものが多く個数を用意するには時間と費用がかかること
が分かった.このように,ワークショップには不向きであったためラッピング用のデコレーション
ボールで代用することにした.つぎにコースターのデザインについて考えた.函館市民に親しみが
あり見栄えも良いということで五稜郭をモチーフにすることにした.しかし五稜郭の形を手で再現
することは難しく,子供も参加する可能性のあるワークショップで針を使用することは危険である
ため作り方を検討した.その結果,3D 班に五稜郭の型を作成してもらい,そこに押し寿司のよう
にデコレーションボールをつめスプレーのりで薄い布と定着させる方法をとった.次に実際に光ら
せるために内部の簡単な回路を組んだ.回路は導電糸を縫い付けた布が電池に触れると光るという
簡単な回路であるが,プラスとマイナスの導電糸がふれあうと光らなくなる.二つの問題に対して
試行錯誤し重ねたフェルトに電池を入れる余裕を残し縫い付けることにした.また,ワークショッ
プで作った物を持ち帰ったあとも長く使えるようにすべて接着した後も作品がバラバラにならない
程度の隙間をつくり電池の入れ替えをできるよう工夫した.LED の足と導電糸の接続方法にも工
夫を施した.最初は LED の足に導電糸を巻き付ける方法をとったが糸がほどけやすいという問題
があった.そこで導電糸をフェルトに縫い付けそこに LED を差し込む方法にかえたところ問題を
解決することができた.当日はテクノ手芸コースターのスタッフとして動いたが,時間通りにワー
クショップを終わらすことができず,タイムテーブルに時間の余裕を多めにとることが重要である
こと,また,スプレーのりが上手く接着できずに失敗してしまった人もいたことから,スペアをつ
くっておくことの大切さを学んだ.また,展示の説明も行った.大人はメガネケースなど実用的な
ものに,子供は光る手袋などのインタラクティブなものに興味を示すことが多かったので,見にき
た年齢層にあわせて作品を紹介した.
未来祭では,FabLab スペースのイベントに参加した人に歩く広告塔になってもらうという目的で
フェイスペイントの提案・企画を行った.フェイスペイントにはアクリル絵の具を肌に塗る方法と
転写シールを用いてインクジェットプリンタでイラストを印刷しそれを肌に貼る方法の 2 つがあ
る.それぞれのメリット・デメリットを検討し,転写シール方式が適していると判断した.次にデ
ザインを決定した.未来祭のマークや FabLab のマークの他にも未来祭に来る年齢層を想定し,子
供向けのイラストも用意した.パソコンや爪に貼るなど,肌に貼る以外の使い方も実験することが
できたので,肌に貼ることに抵抗がある主に 20 代以上の女性にも楽しんでもらうことができた.
ハロウィンイベントでは,FabLab 創出の宣伝とものづくりに興味のない層の認知度向上を目的に
プチ仮装として紙つけまつげとフェイスペイントをすることになり,私は紙つけまつげのデザイン
作成とカッティングマシンを用いた切り出しを担当した.データの作成では外枠を一筆書きのデザ
インにすることを学んだ.そこでアイラインのベースを作成し,その上にきのこやコウモリのシル
エットをのせてからパスファインダーの形状モードの合体を選択し,くり抜くところ以外が一筆書
きになるようにした.試行の結果,カッティングマシンでは細かく切れる限界として約1ミリ幅ま
でのカッティングが可能であることが判明した.また細かいパターンのカッティングには直径 5 セ
ンチくらいの大きさのものでも 10 分単位での時間がかかることもわかった.ハロウィンイベント
では,FabLab が開かれていることを知らない人も多く,学内での宣伝不足を感じた.また,デザ
インコースに興味のある 1 年生も参加していて,Illustrator の使用に不安を感じているという話を
Group Report of 2014 SISP
- 15 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
した.1 年生をターゲットにコース選択を視野に入れたワークショップの開催に可能性を感じるこ
とができた.社会連携センターの方も FabLab の看板に興味を示しており,FabLab を使用した作
品例をもっと紹介していくことで利用者向上を目指していきたい.
(文責: 寺倉祐衣)
3.4
β運営の課題解決のプロセス
当プロジェクトの現状では大学の工房の設備を利用しているため,その利用規則上,工房を一
般の人々が利用できず,FabLab Hakodate を発足させることが困難である.しかし,将来的に
FabLabHakodate の円滑な運営を実現するために,運営体制の構築や利用者への宣伝活動は必須
である.そこで我々は対象を学生・教職員に限定し,FabLab を「FabLabHakodate β」として試
験的に運用することによって,FabLabHakodate の発足に備えている.FabLabHakodate βは 10
月半ばから毎週水/金曜日の放課後 (18:00〜20:00) に 3 階工房にて学内関係者限定で運営を行っ
た.大学が定めた工房の利用規約に準じた利用手続きは煩雑であり,利用者の負担になるため,本
プロジェクトで独自に SNS・メールを利用した事前予約制度を制定することによって手続きの簡略
化を行った.運営は当プロジェクトのメンバーが行い,利用者へ材料の提供,機材の説明やデータ
作成のサポートを行っている.機材の利用は無料だが,FabLab の精神に基づきユーザー製作物の
データは原則として運営側が保管し,適宜 Web 上でシェアする方針とした.宣伝活動は Twitter,
Facebook などの SNS を利用し,活動内容や作品紹介,イベント告知などの発信を行っている.な
お、イベントとして 10 / 31 には Halloween をテーマとしたワークショップを開催した.昼休み
にはモノづくりの関心が薄い人を対象に、FabLab でできることを知ってもらうため,自作のタ
トゥーシールと紙つけまつげの仮装グッズを配布した.放課後は FabLab を体験してもらうため,
Adobe Illustrator とペーパーカッターを使ったラテアートのワークショップを行った.FabLab
Hakodate βはプロジェクト終了後も 1 / 31 まで通常運用,不定期のワークショップ開催を続け
ていく予定である.
(文責: 恒川拓哉)
3.4.1
各メンバーの動き
3.4.1.1 鈴木里沙
未来祭後から毎週水曜日と金曜日の18:00〜20:00に FabLab Hakodate βを運営して
いる.当番制なので月に2回 Fab マスターとして FabLab 利用者に CNC ミシンと UV レジン,
レーザーカッターの技術伝達を行っている.技術伝達の具体的な例として,11 月 10 日のオープン
ラボに向け研究室の看板を作るために FabLab を利用された未来大学修士課程2年の鈴木さんを
あげる.鈴木さんはレーザーカッターを使用したことがなく,一人で使用することに不安があった
ため FabLab を利用された.Illustrator でのデータ作成は本人が設計図を考えていたのでそのま
ま作業してもらい,わからないことがあれば声をかけてもらうように伝えた.データ作成時には,
レーザーカッターが切断と彫刻をどう区別しているのか聞かれたのでデータの線の太さであること
を伝えた.レーザーカッターを使用する際にはレーザーカッター修了証が必要である.鈴木さんは
修了証を持っていなかったが,オープンラボまで時間に余裕がなかったためレーザーカッター修了
証を発行する講習会は行わなかった.そこで鈴木さんの代わりに私がレーザーカッターを操作し,
Group Report of 2014 SISP
- 16 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
その場に立ち会ってもらった.鈴木さんがレーザーカッターを触ることは出来なかったが,操作に
ついて口頭で説明しながら加工の様子を見学してもらった.
(文責: 鈴木里沙)
3.4.1.2 恒川拓哉
私は FabLab を実際に運営するにあたり,まずはじめに運営を行う場所の決定を行った.FabLab
を運営するには世界の FabLab 標準機材を最低限備えている必要がある.この世界の FabLab 標
準機材を公立はこだて未来大学内の工房が備えているため,公立はこだて未来大学の工房内での
運営を行いたいと考え事務や教員との連携を開始した.はじめに,公立はこだて未来大学の事務
に工房の設備を利用して FabLab としての活動する申請を行った.工房は大学が所有している施
設であるものの,設置している機材の性質上利用者の安全性が確保出来ないと言う理由のため
公立はこだて未来大学の教職員・学生以外の方が利用することが出来ないことが判明した.そこ
で,FabLab Hakodate を実際に運営するために公立はこだて未来大学の教職員・学生のみを対
象に FabLab Hakodate βとして工房の設備を利用して試験的に運営することを決定した.次に
FabLab Hakodate βの運営形態の決定を行った.FabLab Hakodate βの利用者は公立はこだて
未来大学の教職員・学生と決定しているため,全ての方が利用することができる放課後の 18:00〜
20:00 の時間での運営を水曜日と金曜日の週に2回行うことを決定した.FabLab Hakodate βの
運営時には工房内に設置されている各デジタル工作機器の使用方法を習得した班員がそれぞれ最低
一人はいるようにシフトを決めた.FabLab Hakodate βでは工房に設置されているレーザーカッ
ター,3D プリンタ,CNC ミリングマシン,CNC ミシンの使用方法のレクチャーとモノ作りのア
ドバイスを行う.私が担当した4組の FabLab の利用者は全員がレーザーカッターを利用した作品
制作を行った.4組の利用者全員がレーザーカッター講習を受講していなかったためレーザーカッ
ターの使用は私が全て行った.
(文責: 恒川拓哉)
3.4.1.3 堂林まどか
FabLabHakodate βの運営では隔週水曜日の 18:00〜20:00 の時間帯に担当として運営を行って
いた.自身が Craft 班であっため,メインとなる技術伝達分野は CNC ミシンと UV 照射機であっ
た.他にもレーザーカッターの技術も習得し,技術習得でも述べたが工房の職員が居なくてもレー
ザーカッターを使用することができる刻印も持っていたため,レーザーカッターの技術伝達も行っ
た.以前から FabLabHakodate βにてレーザーカッターをプロジェクト学習のために利用してく
れていた方がいたが,レーザーカッターの修了書を持っていなかった.そのためデータを持ち込
み,FabLabHakodate βのメンバーにカットしてもらうという利用形態をとっていた.しかし,利
用が多かったため,その方にレーザーカッター講習を進め,工房職員の下レーザーカッター講習を
行い修了証を作ってもらった.このように FabLab Hakodate βの運営の中では,レーザーカッ
ターの利用者の増加の手助けを行った.
(文責: 堂林まどか)
3.4.1.4 寺倉祐衣
私は FabLab Hakodate βで主に広報とデータの作成の指導を行った.まず広報では毎週金曜日
に Facebook,毎週水・金曜日には twitter にて FabLab Hakodate βを利用した人の作品の紹介,
プロジェクト活動としての活動報告,イベント準備の状況などを更新した.またイベントの告知や
Group Report of 2014 SISP
- 17 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
イベント当日の状況などは不定期にリアルタイムで発信をおこなった.イベントを開催した際には
参加者の写真を参加者の許可のもと,SNS サイトにアップロードしつつ,参加者にも関心を促す
ことで閲覧数向上とイベントのリピーターを獲得することができた.Facebook では写真がある記
事と写真がない記事ではいいね数,リーチ数ともに写真がある記事の方が多いことが分かった.ま
た,イベントに関する記事は比較的リーチ数が多くなっているので,イベント告知の効果はあると
考える.データ作成の指導は,デザインコース以外の場合,レーザーカッターで使用するデータ作
成で必要不可欠である Adobe Illustrator を使用したことがない利用者が多いためデータ作成の支
援を行った.Illustrator を使用したことのある利用者には,基本的にはデータ作成に口を出さず,
必要な便利機能の紹介や説明をしたり,困っている時に声をかけた.Illustrator を使用したことが
ない利用者には,最初はどのようにすればいいのか説明しながら手をださずに利用者にやってもら
うことにしていたが,2時間という短い時間の中でデータの作成から出力を全部してもらうことが
難しかった.そこで,初回ではどのようなものを作りたいかを絵で書いてもらい,その注文にそっ
てスタッフである私が難しい作業を口頭で説明しながら行うことで Illustrator を理解してもらい,
時間内に満足のいくものを仕上げてもらうことにした.Illustrator でのデータ作成を通して学んだ
こととして,口頭での説明では限界があるので,スタッフである自分が実演することで時間短縮と
ともに利用者の Illustrator に対する理解度を工場させることができた.逆に,自分で知らなかっ
た機能を利用者に教えてもらい,自分の Illustrator に対する知識を向上させることもできた.
(文責: 寺倉祐衣)
Group Report of 2014 SISP
- 18 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
第4章
結果
プロジェクトの目的である「FabLab を函館に設立する」に従い,前述のようにグループ内で課
題を設定し,以下のような結果が得られた.
1. CNC ミシンと専用ソフトの特性と仕様に関する知識
2. CNC ミシンでイラスト刺繍をする技術の習得
3. レジン加工の技術の習得
4. マニュアル制作技術の習得
5. ワークショップと展示会場デザインの企画技術の習得
6. FabLab Hakodate βの運用ノウハウ
課題の 1 つである技術習得については基礎知識を得ることは出来たが,CNC ミシンや UV レジン
の可能性を完全に引き出せたとは言えない.来年度に引き継ぎし,他グループとの連携した作品制
作など可能性を広げてもらいたい.マニュアル制作ではドキュメンテーション化した後互いにピ
ア・レビューを行うなどマニュアル制作の手順についても学ぶことが出来た.ワークショップの企
画については企画運営の知識や書類作成・目的設定などのノウハウを蓄積することが出来た.ま
た,会場での展示物とワークショップの配置など対外展示全体の空間デザインについても学んだ.
(文責: 鈴木里沙)
Group Report of 2014 SISP
- 19 -
Group Number 21-D
FabLab Hakodate: Launching a digital fabrication facility for citizens
第 5 章 活動のまとめと展望
前期は,CNC ミシンやレジンの基礎技術習得,作品制作とそれに伴う技術の向上,さらに対外
展示でのワークショップ企画,およびワークショップ準備に伴う伝達技術の習得を課題とし活動し
た.その結果,CNC ミシンと専用ソフトの特性と仕様に関する知識,CNC ミシンでイラスト刺繍
をする技術の習得,レジン加工の技術の習得,ワークショップの企画スキルを習得することが出来
た.後期は,今まで制作した作品の制作方法をマニュアル化し,Fab データ共有サービスへの投稿
を通じた伝達技術の向上を課題とした.さらに,FabLab Hakodate βの試験運用も行った.
今後の活動の展望として,FabLab を実際に運用するための必要条件となる FabLab 憲章を全
て満たす活動をしなければならない.これは今現在5つある必要条件のうち2つ満たされておら
ず,1つ目に「少なくとも週に1回は,無料で市民に一般開放されていること」,2つ目に「世界
の FabLab と連携して活動すること」である.1つ目の「少なくとも週に1回は,無料で市民に
一般開放されていること」について,現在の活動形態では未来大学の教職員,学生以外の方が工房
(FabLab Hakodate β)の設備を利用することができていない.これは大学関係者以外が工房を利
用するためのルールが定まっていないことが理由で,今後教員や事務と連携をとることにより市民
の方の利用を可能にするルールを定め,解決しようと考えている.2つ目の「世界の FabLab と連
携して活動すること」について,現在は他の FabLab との交流が少なく,連携しているとは言えな
い.これは,世界 FabLab 会議などの世界の FabLab が集まるような場所に参加することや作品を
たくさん作り,積極的に Web でシェアすることで解決しようと考えている.このように FabLab
を試験的ではなく実際に創出するには,来年度再来年度もやらなければならないことがたくさんあ
る.また Fab 文化を函館に根付かせるためには来年度以降と中・長期的に FabLab を運用できる
よう引き継ぎ等に配慮したい.
(文責: 寺倉祐衣)
Group Report of 2014 SISP
- 20 -
Group Number 21-D