特集1 揺籃期のインド物流

特 集 1 揺籃期のインド物流
フォワーダー編
困難の中で付加価値向上に挑む
多くの物流サービスプロバイダーにとって、インドでの物流サービス展開には多く
33 %増、輸入件数は 5.4 %減だった。イン
スプロバイダーで、国内主要都市 9 カ所を
ドでの取扱品目は、事務機器関連、ハイ
中心に輸出入やフォワーディング、トラック
テク関連、携帯電話基地関連などがメー
輸送、SCM 事業などを展開している。同
ン。日系企業とは自動車メーカーが進出
社と戦略的パートナーシップを結び、ケイ
してきたここ数年、取り引きが増加してき
ヒンが日系企業の窓口となって顧客を呼
たという。
び込んでいく。このため、昨年 5 月末には
日本とインド間の取扱品目は輸出入とも
ムンバイに駐在員事務所を開設しており、
の困難が付きまとう。最低限のインフラ整備も心もとないうえ、悪天候や渋滞、不透
機械関連が中心だ。取扱実績をみると、
情報収集やマーケットリサーチを進めてい
明な国内制度など事業展開を阻む要因には事欠かない。そうした中でインド展開を
輸出航空貨物取扱量は 07 年度(07 年4∼
る。
インド法人のスタッフ
進める各社の取り組み方針は、自前整備や現地企業との提携、あるいは買収とまさ
に多様だ。今まさに大きく変化しつつある物流企業のインド展開状況を追った。
(井上昭憲、小堺祐樹、神子真人)
近鉄エクスプレス
08 年3月)が 43.4 %増、08 年度上半期(08
ケイヒンの浅脇誠取締役海外営業部長
ストップで物流ソリューションを提供してい
で強度がある木箱に再梱包し、輸送した。
年4∼9月)が前年同期比 34.2 %増。輸入
は「フォワーディング事業だけであれば、あ
く考えを示した。また、インド展開の基本
今後も、例えば、タイを含めた東南アジア
航空貨物取扱件数は 07 年度が 13.4 %増、
る意味簡単にできる。インドはインフラ整
方針として「事業の収益性やリスクを考慮
諸国連合(ASEAN)
とインドの FTA など
08 年度上半期が 0.7 %減。輸出の場合、シ
備が遅れており、そこに切り込んでいける
し、優れたパートナーと組んで収益をあげ
の活用メリットなども含め、現地、インド国
ンガポール、香港経由などが多い。また、
かどうかが重要」と指摘する。Arshiya
られればそれで良いのでないか」と語り、
内の物流事情を徹底して調査し、荷主の
08 年 度 上 半 期 の 海 上 貨 物 は が 2 倍 、
International は物流関連インフラの投資
必ずしも自前でアセットを持つことなどに
ンドでの販売代理店の事業体制、販売代
ニーズにあった改善案を提案していく方針
LCL が 0.7 %減。
を進めており、ナバシェバ港から約 20km
は拘らないことも明らかにした。
理店の顧客の地域分布などまでを徹底的
だ。
に調査し、倉庫を構える最適拠点、在庫
インドでの沿革、概要をみると、同社は
量、現地での利用トラック会社などを含め
1997 年、バンガロールに進出した。現在、
た、サプライチェーンの改善案を作成し
インド 法 人 の「 KINTETSU WORLD
近鉄エクスプレスはインドで、フォワーディ
た。市場動向により倉庫での在庫量が大
EXPRESS(INDIA)PVT.LTD.」は 10 都
ング、サード・パーティ・ロジスティクス
(3PL)
きく変化するため、例えば、バッファ的に
市(デリー、ムンバイ、プーネ、コルカタ、ハ
を含めた、荷主のサプライチェーン全体の
シンガポールの近鉄エクスプレスの倉庫を
イデラバード、バンガロール、チェンナイ、
ケイヒンは、インドで現地代理店 BDP
最適化に注力し、事業を展開している。
活用することなどまでを盛り込んだ。
コインバトール、コーチン、アーメダバード)
(India)Pvt.Ltd.とその合弁相手である
サプライチェーン最適化に注力
3PL、3 国間ビジネスが中心
笹倉駐在員
ケイヒン
インドの有力物流会社と戦略的提携
倉庫・鉄道貨物展開を視野
の地点に FTWZ(自由貿易倉庫地域)制
インド発着の貨物では主に自動車関連
度を利用した倉庫・CFS を稼働させる予
貨物を中心に取り扱っており、物量は増加
定だ。FTWZ は、インド政府が輸出入産
傾向にある。日本だけでなく、フィリピン/
業の育成や外資誘致を目的に定めた SEZ
インド間や欧州/インド間など 3 国間トレ
の一環で、最低 100 エーカーから申請が可
ードの引き合いも活発という。
能。直接税や間接税でも優遇措置が受け
られる。Arshiya は 200 エーカー(約 80 万
㎡)
を申請している。
また、Arshiya は貨物鉄道オペレーター
TAS エクスプレス
特徴は、中国、東南アジア、欧州などとの
他には、中国から製品を調達し、ムンバ
で 13 拠点を持つ。賃借倉庫は 2 つ。倉庫
Arshiya Internationalとの連携を通じ、
3 国間ビジネスが多く、韓国、欧米など外
イからコルカタまで転送する場合、梱包方
面積は 1193 ㎡。従業員数は 148 人。昨年
フォワーディング事業に加えて鉄道輸送や
のライセンスも取得済み。今年前半には貨
資系企業との取り引きが多い点だ。
法の変更を提案した事例がある。インフラ
10 月には日本人駐在員を1 人増員し、2 人
倉庫・CFS 運営などインフラ事業も合わせ
車を取得し、サービスを開始する予定と
サプライチェーン改善に向けた最新の事
が未整備のインド国内の輸送で、一番の
とした。
た物流ソリューションの提供を目指してい
いう。浅脇取締役は「既に商社など一部
TAS エクスプレスは 06 年 10 月、現地総
例では今年 7 月から開始した日系事務機
問題はダメージだ。そのため、プラスチッ
インド法人全体の 07 年度(07 年1∼ 12
る。Arshiya International はムンバイ証
荷主が利用する意向を示している」と語
合物流企業との合弁で、現地法人 TAS
器メーカーの案件がある。同メーカーのイ
クのカートンで到着した貨物を、ムンバイ
月)の輸出航空貨物の取扱量は 06 年度比
券取引所にも上場する有力な物流サービ
り、インフラ・ソフトの両面を合わせてワン
EXPRESS INDIA をバンガロールに設
こんぽう
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CARGO JANUARY 2009
緊急部品輸送で、取扱量拡大
インド事業、基盤確立目指す
CARGO JANUARY 2009
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特 集 1 揺籃期のインド物流
立。主に、バンガロールに進出する日系
送体制を築いていきたいという。輸出で
はインドで事業を展開する国際フォワーダ
LCL は 07 年並み。取扱品目は自動車関
大手自動車メーカー関連の緊急部品や補
は、現地法人を構える南アフリカ共和国向
ーの中で屈指のネットワークおよびサービ
連、設備関連が中心だ。インド到着後は鉄
修部品に加え、同メーカーへのサプライヤ
けに自動車部品の構成品の取り扱いが多
ス提供能力を持つ。DHL は 07 年、DHL
道輸送、
トラック輸送などでインランドデポ、
ー案件も一部取り扱っている。インド法人
く、主に海上輸送を利用。バンガロールに
ダンザスなど複数社が提供してきた事業お
顧客などに配送する。鉄道は国営会社
のスタッフは 4 人(うち日本人 1 人)で、国
は、輸出貨物の梱包・保管用に合弁相手
よび機能を新会社「DHLリーミュエールロ
内の倉庫や配送車両などは、合弁相手の
の約 300 ㎡の倉庫を利用している。
ジスティクス」に統合。
「DHL」ブランドの
「CONCOR」を利用する。
設備を利用している。合弁先企業は、イン
インドでは、道路などインフラの未整備
下、フォワーディング、コントラクトロジスティ
ド全土にネットワークを持つ大手で、EDI
や通関体制の複雑さから、国内輸送のリ
クスなどの総合的サービスを提供する体
化された通関システムを利用するなど、充
ードタイムを読むことが難しい。貨物のト
制とした。
実した設備を持つ。
ラッキングも満足にできないことがほとん
フォワーディング事業での拠点数は主要
TAS エクスプレスは、インド法人設立以
どで、特に緊急貨物や高価な貨物の輸送
空港、港などのゲートウェイ施設を含め 30
前の 02 年頃から、現地代理店(インド法人
ではリスクが伴う。村田専務は「当社で
カ所。担当する従業員数は 1300 人。航
の合弁相手)
を通じてインド発着貨物のフ
は、合弁先の協力で通関時などゲートご
空、海上貨物取扱量とも市場シェアはトッ
ォワーディング業務に携わってきた。04 年
との通過情報をキャッチし、人海戦術によ
プという。中でも、通関から現地配送まで
頃には、案件の多くを受託する日系自動
る貨物トラッキングを提供している」とし、
自社一貫輸送できることが最大の強みだ。
の場合も、地方拠点から成田に集約し、シ
ディングジャパンは 08 年 9 月からシンガポー
た。99 年には現地物流大手 ABCと合弁
車メーカー大手が、インドでの生産車種を
日系顧客から好評を得ているという。リー
航空輸送で日本発のサービスを見てい
ンガポールで ULD に組み付けている。
「ス
ル向けのダイレクト混載を開始。シンガポ
でカルカッタにインド日新(NISSIN ABC
拡大。タイやインドネシアなどアジア地域か
ドタイムの問題だけでなく、輸入上屋など
こう。主要仕向地はムンバイ、デリー、マ
ペースは常にタイトだが、われわれは多く
ールからインド、インドネシアをはじめマレ
LOGISTICS PRIVATE LTD.)を設立。
らの部品供給体制も整備したことで、取扱
では蔵置が長引くことで保管料がかさむ
ドラス、バンガロール。品目はハイテク関
のスペースをブロックしているためサービ
ーシアやタイの地方港にもつなげることが
同時に、ハルディア港近郊に進出した化学
量の増加が見込まれる状況となった。こ
ため、貨物の情報を正確に把握すること
連がメーン。緊急貨物は直行便、それ以
スを提供できる」
(同)
という。到着後はラ
可能となった。同サービスの開始につい
品メーカーの構内作業、輸出貨物の取り
れに伴い、より高品質なサービスの提供を
がコスト管理にもつながるという。
外は香港、シンガポールの経由便を利用
ンプサイドに面した新上屋に搬入し、ブレ
ては、
「ターゲットのメーンはインド」
(同)
と
扱いを開始した。その後、05 年にデリー
今後は、日系自動車メーカー大手の新
する。
「インド向けは、最終目的地近辺の
ークダウンした後、迅速に配送する。
いう。
近郊のグレーターノイダ工業団地に倉庫を
インド発着貨物の取り扱いは輸入の割
工場建設計画もあり、自動車部品の緊急
空港への直行便を利用することに注力し
空港の問題については、
「バンガロール
現在、LCL のインド向けサービスは毎
設置して、日系二輪メーカーの完成車輸送
合が高く、月間平均で 100 件弱。このうち
輸送に強みを持つ TAS エクスプレスにと
ている。長時間のトラック転送などを避け
の新空港も含め、各空港のほとんどがオー
週、東京・横浜発が香港経由で各 1 便、シ
を開始。07 年にムンバイ、08 年 7 月にグル
ほとんどが航空輸送で、仕出し地は日本、
っては、さらなる取扱量の拡大が期待され
ることができ、リードタイム短縮とダメージ
バーキャパシティの状態。どのように自社ハ
ンガポール経由が 1 便。他にも香港経由で
ガオンに営業事務所を設置し、スタッフは
目指すべく、現地法人を設立した。
日新
国内物流で自社オペレーション
輸出入含む 3PL サービス狙う
日新は、日系物流企業としてはいち早く
ナバシェバ港でのコンテナ取り扱い光景
95 年にインドに進出。既存顧客の進出に
あわせ、デリーに駐在員事務所を設置し
インドネシア、タイとなっている。インド国内
る。村田専務は「現状、当社が扱う物量は
削減につながる」
(DHL グローバルフォワ
ンドリングで対応するか。われわれは自社
名古屋、関西、博多発で週 1 便ある。到着
インド全土で 278 人(うち日本人 6 人)
。イ
の仕向地は、7 ∼ 8 割がバンガロール向け
多いとは言えないが、今後はインド事業の
ーディングジャパン)
という。
の通関ライセンスを各地で持っていること
港はナバシェバ港が多い。
「インド向けはタ
ンド日新の資本金は 2000 万ルピーで、日
で、ほかにニューデリー、ムンバイ向けが
本格化が見込まれる。インド市場はトータ
特に近年はシンガポールなどから、中小
など、他者に比べて強みを持つ」
(同)
。
ーゲットのひとつ。需要が伸びてくれば、い
新が 51 %、ABC が 49 %を出資している。
ある。インド事業は輸出入業務が中心で、
ルのマーケットが大きく、ポテンシャルも高
都市向けの路便も増えているため、例え
海上輸送では LCL サービスを拡充して
ずれはダイレクト便を開始したい。09 年の
日新は、国際フォワーディングや通関、
現地法人はトラックなど国内配送機能を持
い。自動車産業がさらに大きな地位を占
ば、コルカタ、ハイデラバード、アーメダバ
いる。従来、インド向けは香港経由だけだ
テーマでもある」
(同)
。08 年の取扱貨物量
引越しなど、インドで幅広く物流事業を展
たないが、現地陸送業
めていくことも確かで、将来に向けた準備
ード、コチン、トリバンドリアム向けなどの
った。その中で、DHL グローバルフォワー
はFCL が07 年実績に比べ10 %強の伸び。
開するが、特長的なのは国内物流業務で
者を手配することで国
段階と捉えている」と説明する。今後も、
直行便を利用し、到着空港で自社通関す
内の顧客工場などへの
サービスの向上を図ることで顧客の信頼
るサービスも提供できるようになった。
ドアデリバリーを提供
を獲得しながら、事務所や倉庫の設置・
07 年 5 月には、バンガロール新国際空
している。TAS エクス
移転などインフラ整備を検討し、事業基盤
港内でフォワーダーとして初の保税上屋を
プレスの村田一延専務
の強化を進めるという。
開設した。インドの主要空港には上屋を持
は「国内配送について
つが、ランプサイドに面したものはバンガロ
村田専務
ールが唯一。保税面積は 1255 ㎡。
は、一部自社でカバー
出来ていない部分もある。今後は、可能
な限り多くの案件を自社コントロールで手
がけていくことが課題になる」と語る。国
内配送は、バンガロール周辺だけでも通
関や道路事情などから配送が難しい地域
も多いが、顧客の理解を得ながら一貫輸
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DHL グローバル
フォワーディング
バンガロール空港内に新保税上屋
海上混載サービス、星港経由開始
DHL グローバルフォワーディング(DGF)
インド向け輸出航空貨物の中で、ハイテ
ク関連がメーンのバンガロール向けはター
ゲットでもある。
DGFは同月から、シンガポール発バンガ
ロール向けで自社ユニット・ロード・ディバ
イス
(ULD)の取り扱いを開始した。輸出
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特 集 1 揺籃期のインド物流
倉庫や車両を保有し、自社オペレーショ
動車部品、家電製品などを取り扱う。今後
管・配送業務へのニーズはさらに伸びるこ
明らかにした。昨年から今年にかけて、デ
で拡大する。ムンバイ、バンガロール、
ンを確立している点だ。グレーターノイダ
は、輸出入貨物をさらに取り込むため、国
とが予想されるため、にしてつでは 3PL 案
リーやムンバイなど主要都市近郊で集中的
チェンナイでは既存施設を拡張した。ま
工業団地の 1.8 万㎡の倉庫では、二輪完
内物流で培った独自のノウハウを強みに、
件の取り込みをさらに強化する考えだ。
に倉庫を立ち上げ、フォワーディングから
た、デリー南西部のニムラナ工業団地に
成車のインド全土への出荷・配送に加え、
顧客工場での構内作業なども含めた包括
現在は、09 年初頭の開業を目指してチ
通関、国内物流までワンストップで請け負
は倉庫用地を確保。ニムラナ工業団地は
倉庫内での在庫管理や品質管理も行って
的なサービスを提供していく方針だ。09 年
ェンナイ支店の設立準備を進めている。
うことで日系顧客のインド物流を支援して
主に日系企業の誘致を目的として建設さ
いる。GPS 装置を搭載した自社車両 55 台
には、チェンナイで支店の開設を予定して
NNR インド開業後の急速な事業拡大を受
いく。
れ、複数の日系メーカー進出が決定して
に加え、協力会社の 300 台の車両を利用
おり、日系企業などの進出が加速する南
けて、同時期に増資も予定。NNR インド
取り扱い物量ではアジア域内、欧州か
して完成車の国内配送を行っている。ム
部での対応も強化する。
の現在の資本金は 4300 万ルピー(約 86 万
らの輸入が多いが、売上高ベースでは自
㌦相当)だが、にしてつの全額出資で 3225
動車・機械関連中心の航空輸出が 45 %
倉庫施設の充実を背景に、アジア域内
万ルピー(約 65 万㌦相当)
を追加する。増
を占める。ロジスティクス事業のシェアは
から輸入した貨物や国内生産の貨物を自
きく伸びており、日本以外に米国や中国発
資後の資本金は 7525 万ルピー(約 150 万
相対的に小さいが、林副社長は「航空輸
社倉庫で一時保管し、仕向地別にクロス
の貨物も多い」とし、アジア域内も含めた
㌦相当)
となり、出資比率は現在のにして
出が対前年比 40 %程度で伸びる一方、
ドックした上で JIT(ジャスト・イン・タイ
3 国間輸送の取り扱いをさらに強化する考
つ 65 %、ロビンソンズ 35 %から、にしてつ
ロジスティクス事業は 3 倍となった。日系
ム)で納入するサービスを年初からスター
え。海上貨物の取り扱いも徐々に増えて
の 80 %出資となる。営業企画部では「法
企業からの物流サービスへのニーズが急
トした。チェンナイを皮切りにこのほどデ
おり、主にナバシェバ港利用で通関、国内
人設立から 1 年半が経過し、直近では単
速に高まっている」と指摘。今後は保管、
リーを追加、近日中にムンバイでも同様
配送業務も提供している。
月で黒字が出るようになった。3 年目に入
配送などロジスティクス事業の拡大を見込
のサービスを展開する。輸出では、インド
る来夏以降は年間で黒字達成を目指す」
む。
国内のベンダーから、日本への評価サン
ンバイでは、中近東・アフリカ向けで輸出
NNR インド・デリーの本社事務所
業務を取り扱うなど、3PL サービスとして
包括的に手掛けている。
インド国内での保管・配送業務は、独特
な税制のために細かい規制が多く、運営
が極めて難しい。例えば、貨物の保管で
西日本鉄道
デリー近郊で 3PL サービス
投資拡大にらみ、09 年に増資を予定
は倉庫スペースを顧客ごとに設ける必要
西日本鉄道(にしてつ)は、現地航空フ
があり、他の顧客の貨物とは相積みできな
ォワーダーのロビンソンズ・エアサービス
い。また、国内配送では多くの州で入境時
(ロビンソンズ)との合弁で NNR Global
国内の保管・配送業務では、デリー近郊
に税金を徴収されるため、インド日新では
Logistics India Private Limited( NNR
のロビンソンズの倉庫(約 600 ㎡)を活用
とし、必要に応じて新拠点や倉庫などへ
州ごとにストックポイントを置いて地方デ
インド)をデリーに設立。07 年 4 月から正
し、インド市場向け光学機器の 3PL 業務
の投資も検討していくという。
ポとして活用している。営業推進部インド
式に開業し、バンガロール、ムンバイにも
を受託している。光学機器は主に航空輸
室の高橋課長は「こうした事情から、ミル
支店を設置している。インド発着の航空・
送で日本などから輸入し、デリー倉庫で
クランや JIT 納入といった高度なロジステ
海上フォワーディングに加え、合弁相手を
の保管業務や、現地陸送業者を起用した
ィクスの提供は現状ではほぼ不可能。さら
通じたインド国内の保管・配送業務などを
国内全土への配送業務を手掛けている。
に、倉庫内作業などには多くのスタッフが
提供している。
また、デリーではにしてつ中国法人との連
携で、中国発貨物の案件を受託しており、
いる。稼働は今年後半となる見込みだ。
倉庫拡大と合わせ車両も増やす方針。
このため、現在インド全体で計 6000 ㎡
プルや試作品輸出、トライアル輸送の受注
の倉庫面積を 07 年後半までに 3 万㎡にま
が増えている。買収した Jayem 社はイン
日本通運
主要都市近郊で倉庫を大幅拡大
物流サービスをワンストップで提供
必要になるが、インド国内では労働賃金の
インド発着の航空貨物取扱量は、輸出
上昇圧力が高まっており、今後は労務管理
入とも順調に伸びているが、輸出貨物の
デリー近郊の自動車メーカーや自動車部
日本通運は 07 年 4 月、航空・海運業務
も大きな課題になるだろう」と語る。
全体量は少ない。にしてつ営業企画部で
品メーカー向けに保管・配送業務もおこな
代理店として起用していた「Jayem Impex
ムンバイ、グルガオン支店で取り扱う輸
は「インド自体が完全に輸入国で、輸出貨
っている。さらに、デリー以外の拠点でも
Private Limited」の株式 51 %を取得し、
出入業務では、輸入貨物の取り扱いが大
物が増えるにはまだ時間がかかる。一方
機械部品の保管・配送業務などを開始す
現地法人としてインド日本通運(Nippon
半を占め、タイや日本からの設備機械、自
で、国内市場向けの輸入貨物は物量も大
る。輸入貨物の増加に伴って国内の保
Express <India> Private Limited)
を設
立した。従業員数は約 400 人、10 都市 10
拠点を有し、日系物流会社としては最大
規模になる。
林和彦副社長は「日
系企業の進出加速で
高品質の物流サービス
への需要が高まってい
る。全土をカバーする
自社拠点網と充実した
日本人スタッフを生か
林副社長
し、日本と同水準の物
流サービスをインドで展開する」
と語り、ロ
ジスティクス事業拡大に力を入れる方針を
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CARGO JANUARY 2009
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特 集 1 揺籃期のインド物流
ド有数の通関業者で、フォワーディングか
ールの自社倉庫に集約し、仕向地ごとに
インド国内で自動車部品物流サービス
めの物流フローの提案や、現地のリスクを
けてきた。現在は、インド事業の本格化に
ら通関、国内配送を一気通貫で提供で
FCL に仕立てて日通 B/L で輸送するもの
の提供を目指す VTC は、このほどチェン
踏まえた物流サービスを実現していきた
向けて、現地法人 Hankyu Interanational
きるのが強み。林副社長によると「仮に
で、特にデリー地区の荷主による利用が
ナイに独資で現地法人を設立した。開業
い」という。
Transport India Pvt., Ltd の開業を準備
大手荷主のグローバルビッドでフォワー
拡大している。
後は日系自動車部品メーカーなどを対象
VWT は、現地代理店を通じてインド発
ダーとして起用されないケースでも、通
に提携パートナーを通じた国内配送・保管
着の航空貨物で取り扱いがある。07 年度
インド法人は、デリーに本社事務所を置
関や国内配送は引き続き受注できる案件
業務を提供する予定。チェンナイでは日系
の航空貨物取扱高は、日本発インド向け
き、阪急エクスプレスのシンガポール法人
自動車メーカー大手が 10 年に生産工場の
で約 1000 ㌧。タイ、シンガポール、台湾、
が 40 %、阪急エクスプレスが 30 %、現地
稼働を予定しており、今後はこれに付随し
中国などからの輸出もあり、電子・機械部
物 流 大 手 の Tulsidas Khimji Pvt. Ltd
て自動車部品の輸送ニーズが活発化する
品や自動車部品などを主に取り扱う。イ
(TKPL)が 30 %を出資して設立する。チ
ことが予想される。バンテックはタイ、中国
ンド国内の仕向地は、ムンバイが半分強を
ェンナイ駐在員事務所は支店とする予定
に自動車部品メーカーの顧客を多く抱え
占めて最も多く、次いでバンガロール、カ
で、スタッフはデリー、チェンナイに各 4 人
るため、これら顧客企業の進出やインドへ
ルカッタ、デリーの順。インド発日本向けは
の部品輸送も期待できる。
500 ㌧で、デリー発のアパレル関連製品の
が多い。近年は新規の通関ライセンス取
得が困難で、ワンストップの物流サービス
を提供できるのが強みになっている」と
いう。
実績については、昨年 10 月に入って
バンテック・グループ・
ホールディングス
現法設立で、オートロジ展開
インド事業をアジア展開の一角に
中で、09 年 2 月の開業を予定している。
(うち日本人各 1 人)
を配置する。
日本発航空貨物件数のみ対前月比ベース
バンテック・グループ・ホールディングス
で若干減少となったが、他の仕出地から
(VGH)
は、中期経営計画の中で、
「グロー
は増えており、他地域と比べて世界的な
バル SCM サービス企業」への成長を掲
景気減速の影響は小さいという。
げ、グループ売上高に占める海外事業の
任予定)は「当面はチ
VWT の取扱貨物は航空輸送が中心だ
動車メーカー大手の国内配送業務を担当
混載輸送を提供しており、最終仕向地まで
割合を5 割へ高めることを目標としている。
ェンナイを中心とした
が、今後は海上貨物の物量を伸ばしてい
するなど国内輸送に強みを持つ。インド国
阪急エクスプレスのオペレーションによる
て、輸入海上貨物が増加する見通し。07
09 年 4 月には VGH が自動車部品物流を
事業展開を予定してい
く方針だ。顧客企業の進出や海上シフト
内に 11 箇所の拠点と計 1700 ㎡の倉庫ス
一貫輸送が可能だ。インド向け海上貨物
年末に開始した高品質・定時性重視の
主力とするバンテック
(VTC)
と国際物流業
る。提携パートナーは
の動きから、主に機械部品や設備関連機
ペースを構え、ムンバイ、デリー、チェンナ
はナバシェバ港利用が中心で、通関、国内
「シンガポール集約混載サービス」が好評
務が主力のバンテックワールドトランスポー
インド全土に拠点を持
器などの拡大を目指す。インド向けでは、
イ、アメダバードには一時保管用スペース
配送業務も提供している。
だ。アジア各国からの混載貨物をシンガポ
ト
(VWT)
を吸収合併することを発表して
っており、このネットワ
シンガポール経由で混載サービスを提供
を確保。スタッフは 240 人を抱える。業務
今後のインド事業について小島取締役
おり、今後は海外でも両社の連携をさらに
ークを活用して幅広い
中で、取り扱い件数の大半は混載貨物が
には各支店の日本人駐在員が立ち会うこ
執行役員は「近年は中国やベトナムで拠点
強めた事業展開を図る。アジア展開として
輸送サービスを提供し
占める。インド国内の仕向地はデリーが最
とで、阪急エクスプレスのノウハウを生か
を拡大してきたが、インドはこれらの国に
は、中国、タイに加え、インドを含めたネッ
ていく」と説明。当面は提携パートナーの
も多く、ナバシェバ港から鉄道を利用して
した高品質なオペレーションを目指す。
も勝るポテンシャルの高い市場と見てお
トワークの構築を進める方針で、日本発着
既存ネットワークを活用した事業展開が中
内陸輸送している。
貨物だけでなく、これら 3カ国間の輸出入
心となるが、今後の受託案件次第では倉
貨物の取り扱いも増加させる。タイ、中国
今後はメーカーの工場立ち上げに伴っ
バンテック・インド法人の石丸誠社長(就
石丸社長
取り扱いが多い。
国内の保管・配送業務は合弁相手の
TKPL に委託する。TKPL は、インド系自
インド向け航空貨物取扱量は、月間 100
り、今後さらに力を入れていく。当社は、
今後も現地代理店を通じてインド発着
∼ 150 ㌧で、日本発よりもタイ、マレーシア
自動車部品関連の顧客を多く抱えるが、
庫やトラックなどを自社で持つことも検討
貨物の増加を図るが、バンテックグループ
からの自動車部品や中古機械の取扱量が
日本や海外での経験を生かし、インドでも
では、すでにグループ現地法人を構えて
する。石丸社長は「インドはインフラの未
の海外事業強化の一環として、中長期的
多い。インド国内の仕向地は全体の半分
自動車産業をメーンターゲットに据えて案
VTCとVWT の連携による自動車部品の
整備や複雑な通関事情などから物流が難
には駐在員事務所や現地法人の設置も検
がデリー向けで、次いでチェンナイやムン
件を獲得していきたい」という。
輸出入や国内物流業務を提供中だが、今
しいと言われる。この難しさを考慮した上
討する。自動車部品物流の活発化が見込
バイ向けを多く取り扱う。阪急エクスプレ
後はインドでも同様の事業展開を進める。
で、顧客が求める物流品質を確保するた
まれるチェンナイでは、現地法人を活用し
スの小島直樹・取締役
つつ、デリーやムンバイなど主要都市を中
執行役員企画統括本部
心にネットワークの強化を進める考えだ。
長は「日系メーカーな
三菱倉庫
現地企業への出資・合弁設立を検討
国内物流事業強化、ICD 事業も視野
どは、インド事業をシン
ガポール拠点で管轄し
阪急エクスプレス
09 年2月に現地法人開業を予定
自動車部品など案件獲得目指す
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CARGO JANUARY 2009
阪急エクスプレスのチェンナイ駐在員事務所が入るビル
三菱倉庫はインドでの物流事業強化に
ているケースが多い。
今後は日系顧客の進出
も加速すると見られる
小島取締役執行役員
向けて、陸運や倉庫業で強みを持つ現地
企業への出資や合弁会社設立を検討して
が、インド向け貨物はシンガポールのハブ
いる。現在は案件または地域ごとに代理
阪急エクスプレスは、日系顧客の工場立
にストックし、その都度出荷する手法をと
店4社を併用しており、この中からパート
ち上げに伴って、07 年 3 月からシンガポー
る企業も増えるだろう」
とし、シンガポール
ナーを選定する方針だ。輸出入フォワー
ル法人傘下でチェンナイに駐在員事務所
法人でもインド案件をフォローアップしてい
ディングだけではなく、国内でより高品質
を設置。現地代理店を通じて、主に中古
く方針。海上貨物では、シンガポールでの
な物流サービスへの需要が高まっている
機械の航空・海上フォワーディングを手掛
再混載で日本はじめ各国からインドへの
と判断し、現地有力企業と協力して保管
CARGO JANUARY 2009
37
特 集 1 揺籃期のインド物流
環境の整備をはじめ、在庫管理、流通加
インフラの整備が進むことを見込んで、鉄
度、将来的な構想が明確になると見てい
電子機器関連貨物を増やす」との方針を
ア・オセアニア5と、東南アジア各国/イン
工、JIT の輸配送サービスなどを強化して
道/トラック輸送の結節点となるICD 運営
る。
明らかにした。特に南アジア地域/インド
ド間の物量拡大を背景に同地域のシェア
いく。また、鉄道インフラの整備を見込ん
事業も視野に入れている。
調達物流のスキームは今後、ほかの企
間の自動車、電子機器関連貨物を増やし
が最大となる見通し。
業にも展開していく戦略だ。同グループ
ていく。輸送途上管理の徹底による顧客
宮崎社長は「来年のマーケットは対前年
で、鉄道/トラック輸送の結節点となる
インド発着のフォワーディング事業では、
ICD(インランド・コンテナ・デポ)事業につ
海上貨物は自動車関連の設備や部材、金
は、構内作業と調達物流を軸とし、フォワ
への迅速な情報提供を武器に、カスタマ
比で大幅に広がる見通しだが、当社とし
いても検討する。
型が中心で、航空貨物は同じく自動車部
ーディングを含めた一貫輸送サービスを提
ーサポートなどサービスの優位性を生か
ては取扱量を2 倍に増やす」
と意欲的な目
三菱倉庫は 70 年代よりインフラ関連資
品、通信機器などを主に取り扱う。日本/
供していく。
して顧客の取り込みを進めていく。
標を掲げる。インド郵船航空サービスでは
機材、自動車部品工場の設備輸送に案件
インド間に加えて中国発の通信設備輸送
ベースで取り組んできた。96 年には、他の
の引き合いが増えており、インド発着の三
日本側企業とパートナーを組んで、スノー
国間輸送への取り組みも進めていく。藤倉
マン・フローズン・フード社に出資し、食品
マネジャーは「拠点間のビジネスのパイプ
物流基盤が未整備なインドで冷凍・冷蔵食
ラインを増やし、そのパイプラインを長く、
07 年度のインド向け航空混載貨物取扱量
品の保管、配送サービスを展開。昨年 10
太くすることで拡大を図っていく」としてい
では業界 3 位(2115 ㌧、06 年度比 2.5 倍)
。
月にはニューデリーに駐在員事務所を開
る。
ただ、顧客の減産計画もあり、07 年 9 月の
設している。
現在は海上、航空、設備輸送、国内物
ヤマトグループ
流など案件・地域ごとに現地代理店4 社を
併用する体制となっている。この中から倉
自動車関連の構内作業を展開
倉庫開設で在庫圧縮など提案
庫・運輸業などで全国輸送網を有する企
業を選定し、出資または合弁会社を設立
してインド国内での物流事業の強化を進
ヤマトグループは、インドで日系自動車
める。インドには日系を含む外資企業の進
メーカーの構内作業を軸とした一貫輸送
出が進む一方、物流体制は未整備の部分
サービスを提供している。
現在は倉庫をバンガロール(約 223 ㎡)
とデリー(約 3250 ㎡)の 2 カ所に置いてお
おり、インボイス単位で貨物の動静を逐一
り、バンガロールは電子部品と自動車部
コンピュータにインプット。顧客に対し、遅
品、デリーでは自動車・機械部品の取扱い
滞なく精確な貨物情報を常に提供できる
が主体だ。宮崎社長によると
「東南アジア
体制を整えている。宮崎社長は「インドに
諸国とインド間で自動車・家電関連の物量
進出した日系企業にとって、輸送途上の貨
郵船航空サービスは 2007 年 4 月、シン
が増えており、タイ/インド間では日系企
物ステータスが把握しづらいことは悩みの
取扱量が約 300 ㌧に対し 08 年9月は約
ガポール法人の 100 %独資法人としてイン
業による航空輸送量が 1 日 2 ∼ 3 ㌧に達す
種。他社にないカスタマーサポートの充実
110 ㌧と減少している。
ド郵船航空サービス
(Yusen Air & Sea
る」という。タイでは自動車関連、シンガポ
を通じ、顧客獲得を進めたい」
としている。
インドの工場をラインオフした後は、貿
Service < India > Pvt. Ltd.)を発足させ
ールは電子部品、マレーシアでは家電関
国内のロジスティクス事業では、デリー
易条件にもよるが、空港から日本、または、
た。ニューデリー本社に加え、ムンバイ、
連が中心だ。
インド国内のインランドデポまでの輸送も
チェンナイ、バンガロー
昨年4 ∼10 月のインド発着航空・海上貨
手掛ける。試作車を梱包し、日本の港ま
ルに支店、ハイデラバ
物取扱件数は、いずれも前年同期比ベー
工場ラインに合わせてオーダー 1 件単位で
で輸送する案件も一部で取り扱う。
ード、プネー、コルカタ
スで数倍と好調な伸びとなった。航空貨
貨物をスケジュール化して送り込む輸入ギ
現在、新たに調達物流の改革に向けた
に営業所を置く。同社
物では自動車、機械、工具、ケミカル関連、
ャランティーサービスなどが好評だ。宮崎
提案を行っている。その骨子は、工場近
の宮崎遍太社長は「今
海上ではこのほかに繊維関連貨物が多
社長は「チェンナイにも日系自動車メーカ
辺に同グループが倉庫を開設し、在庫費
年は取扱量を 2 倍に増
い。地域別の取扱いシェアは、昨年は日
ーの進出が進む見通しで、同地域での倉
本5、欧米2、南アジア・オセアニア3という
庫設置も視野に入れている」と語った。
ヤマトグループの現地スタッフ
郵船航空サービス
顧客への貨物動静連絡を充実
チェンナイへの倉庫設置を検討
が多く、進出企業からは高品質な保管、配
インド進出の沿革をみると、ヤマトホー
送など物流サービスへの需要が高まって
ルディングスが、インド北部ハリヤナ州グ
用を従来に比べ約 20 %削減するものだ。
やし、特に南アジア地
いる。現地企業との提携強化や、三菱倉
ルガオン市に全額出資の現地法人「ヤマ
工場内の敷地の有効活用にもつながる。
域/インド間の自動車、
庫の自社スタッフ派遣によるノウハウ移転
トロジスティクスインド」を設立し、08 年 4
顧客は、日本も含め世界各地の工場で
を通じてこうした需要に対応する。日本国
月から営業を開始した。もともと、特定顧
は基本的に工場敷地内に倉庫を構え、生
内で強みを持つ医薬品の保管・配送のノ
客の構内作業を扱うため 07 年 6 月に駐在
産部材の供給を行う戦略だ。ただ、インド
ウハウをベースに、インドでも国内の医薬
員事務所を開設していた。特定顧客には
では国内のインフラが整備されていないこ
品物流や輸出物流を積極的に取り組んで
日本、欧州を含め長年にわたり梱包作業
ともあり、指定時間、場合によっては指定
行く考え。国際輸送事業部中国・アジアチ
などを提供してきたが、今回、インドで本
日に部材が届かない場合もあるという。対
ームの藤倉正夫マネジャーは「インドは国
格的にサービスを提供するめどが立った
応策では、バッファ的に余剰在庫を構える
土が広く、日本とは商
ため、現地法人化に至った。従業員は 7
ことも想定されるものの、メーカー自身で
慣習、事業環境も異な
人。
の管理は難しい。そこでベンダーと特定顧
構内作業は生産工程を除き、一括で請
ずは有力企業との提携
け負っている。同グループの湖南工業(本
で サ ービス展 開 を 図
社=静岡県浜松市)が、梱包、荷合わせ、
る。現時点では倉庫、
コンテナへの積み付けなど行う。顧客は
に貨物などがきちんと届かないという悩み
生産部材を日本から主に航空輸送で調達
を持っている。今回は倉庫から工場のラ
有にはこだわらない」
している。同グループは航空輸送の場合、
インへの投入までを管理する提案を行っ
との方針を示した。また、物流サービス展
成田からデリーまでの直行便を主に利用
ているが、反応は非常に良い」
(ヤマトロ
開のうえではトラック輸送のみならず、鉄道
しており、海上輸送はスポット対応だ。
ジスティクス)
という。09 年初めにはある程
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藤倉マネジャー
CARGO JANUARY 2009
宮崎社長
とバンガロールに確保した倉庫を基点に
ミルクラン業務や JIT 輸送を展開。特に、
構図だが、今年は日本3、欧米2、南アジ
客をつなぐ中間的な倉庫を開設すること
る部分が多いため、ま
車輌などのアセット保
インド国内での輸送途上管理を徹底して
で、各社の負担を減らす狙いがある。
「インドでは各お客様ともに、指定時間
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