Shipper ナイルインターナショナル

Shipper
ナ
イ
ル
イ
ン
タ
ー
ナ
シ
ョ
ナ
ル
エ国
ジ際
プ海
ト上
か貨
ら物
の量
農は
産年
物4
輸0
入0
で∼
ト5
ッ0
プ0
シT
ェE
アU
リポート
主にエジプトから日本向けに生鮮、加工食品や食材などの輸入を手がけ
るナイルインターナショナルの国際コンテナ貨物量は年間400∼500TEU
に達する。エジプトからの農産物輸入では業界トップのシェアを誇る。エマ
ド・サイド社長は、
「ビジネスのさらなる拡大を考えており、今年は10∼
20%、輸入量が拡大する見通し」と語る。事業拡大に合わせ、出荷地であ
るエジプト側で4棟目の工場建設、および国内拠点の拡張計画を進行中だ。
従来は大手食品メーカーなどに食材を供給するビジネスが中心だったが、
最近では、フルーツジュースを自社ブランドで製造し、量販店などに販売
するビジネスも拡大しており、エジプトからの国際海上コンテナ貨物の輸
入は今後も右肩上がりの成長が期待される。
側に3つの加工工場(乾燥、冷凍、フライ)
、
静岡県・富士宮市に輸入した食品・食材の
加工、再加工を手がけ
る施設を持つ。取引先
は、主要な国内の食品
メーカー、飲料メーカー、
外食産業、量販店など。
「あなたが思い浮かべ
るメーカーさんのほとん
どとお付き合いがある
エマド社長
と思いますよ」
とエマド社長は笑う。
農業国エジプト
「エジプトというと、砂漠をイメージするの
産物はとうもろこし、じゃがいも、さとうきび、
タマネギ、
トマト、モロヘイヤ、ストロベリー、
オレンジなど。
ではないでしょうか」
。流ちょうな日本語で
ナイルインターナショナルが扱うこれら農産
食の安全確保に注力
従来は、メーカー、外食産業の要望に応
じた形で食材を納めるビジネスが中心だっ
語るエマド社長は、ナイル川流域に広がる
物はエジプト国内の契約農園で栽培され、
たが、最近は自社のプライベートブランドで
肥沃な大地を持つエジプトが実は農業国で
エジプト側の同社施設に納入される。そこ
ミートソースやジュースを製造、量販店に出
ある、という事実を強調する。
で加工された農産物がコンテナ船で日本へ
荷するビジネスも順調だ。
国土の90%が砂漠で、夏に少雨、冬は温
と輸入されている。
貨物搬出入作業のもよう
さらなるビジネスの拡大に向け、現在、エ
料、および製品の保管、出庫のほか、最新
って、今後も同社の輸入貨物は清水港揚げ
が中心になる見通しだ。
暖という砂漠気候に属する同国だが、ギリ
エマド氏が同社を立ち上げたのは1994年
ジプトに4棟目となる新工場を建設する計
鋭の機械により乾燥野菜の検品を行ってい
シャの歴史家ヘロドトスの言葉「エジプトは
11月。取扱品目は食品原料、加工食品に大
画が進行中だ。また、富士宮の国内施設も
る。品質の管理は特に、①安心、安全②品
ナイルのたまもの」にもあるように、ナイル川
別される。前者は乾燥オニオン、その他乾燥
増設を予定する。
「ナイルの原
質の維持③衛生管理―という
年間の輸入量は5000㌧、20フィート型コンテ
周辺では農業が盛んだ。エジプトにおける
野菜、冷凍野菜、同果物(ストロベリー)
、
ト
会社設立当初から、同社が最も力を入れ
則」に基づき実施。06年にはより一層の品質
ナ換算で400∼500本程度とされる。ビジネ
農業は①ナイル川河口部に広がる肥沃なデ
マト食材など。後者はジュースをはじめとす
ているのが「食の安全」への取り組み。エマ
管理体制の強化に向け、同施設内に品質管
スの拡大を追い風に今年は前年比で10∼
ルタ地帯を利用する方式②砂漠を緑化して
る飲料、各種ソースが中心。
ド社長は「日本では農産物にも機械部品の
理室を設置したほか、微生物管理システム
20%の荷動き増を予想する。
一部のような厳格が基準が求められ、海外
を導入した。
いく灌漑農業―の2つに大別される。主な農
主な施設としては、出荷地であるエジプト
の基準をそのまま持ち込むことがほぼ不可
と説明する。
能」
輸入量は10∼20%増
して、エマド社長は「スピードと安全の確保
的な施設が2004年に静岡県の富士宮市に
向けの輸送ルートがほとんど。積み地はエ
を基本とし、あとはわれわれのニーズに柔
設立した加工、商品管理機能を持つ「ナイ
ジプトのポートサイドで、日本側は清水、東
軟に応えてくれる会社」
と語る。また国内メ
ル・デルタ静岡」である。
京、博多、名古屋、神戸など多岐にわたる
ーカーの急な発注に対応するため、便数の
が、加工工場のある富士宮市に近い清水港
多い会社、スペース供給力のある会社が望
揚げが大部分を占める。
ましい、としている。
CARGO MAY 2008
一方で、同氏は「船の入港が遅れるなど、
ているのが食品安全の問題。特に基準の厳
ハプニング発生時の情報発信は速やかにお
しい日本では100%以上の仕事が求められ
と強調する。キャリアへの要望
願いしたい」
る」
と強調。エジプトから直接、商品を納入
としてはこのほか、出荷地のエジプト側、受
するケースは、顧客側で100%の安全チェッ
け側の日本におけるコミュニケーションの強
クを可能な場合のみで、
「基本的にはまず、
化を挙げる。
「出荷サイドと受け入れサイドで
富士宮工場で100%の状態に仕上げ、そこ
という。
言っていることが違う場合がある」
から顧客に商品を納入している」
という。従
32
が現在のメーンキャリア。船社起用の基準と
同社の国際海上貨物は、エジプト発日本
エマド社長は「わが社が最も注意を払っ
取引先には大手食品メーカーが名を連ねる
エジプトからの輸入は海上コンテナ輸送
サービスを利用。川崎汽船とマースクライン
日本における食品安全の確保。その象徴
同施設は、エジプトから輸入した食品原
東京本社入口
貨物はリーファーとドライの比率が半々。
(西 拓也)
富士宮の施設
CARGO MAY 2008
33