通し番号 4587 分類番号 23-B5-34-04 (成果情報名)竹酢液による定置付着物臭気の抑臭効果 [要約]陸揚げされた定置網から発生する臭気の抑制対策として竹酢液の利用について検討し た。魚網が野積され、嫌気状態となった定置網付着物からは、臭気組成としてアンモニアと 硫化水素の発生が認められ、好気状態で竹酢液を噴霧することで、アンモニアの揮散量は減 少した。また、臭気発生源となる試験材料と同量の竹酢液を噴霧すると、アンモニアの揮散 量を一定に抑制する効果が認められた。硫化水素については、竹酢液の噴霧の有無に関わら ず、その揮散量は経時的に減少した。 (実施機関・部所名)神奈川県水産技術センター・相模湾試験場 連絡先 0465-23-8531 [背景・ねらい] 平塚市では、陸揚げされた定置網付着物から発生する異臭により、住民等から苦情が寄せられ る状況がある。その対策については、平塚市漁協で定置網環境対策ガイドラインを定め、臭気低 減に努めているところである。 一方、平塚市の荒廃農地の竹林対策として、竹炭の生産が行われており、その副産物として竹 酢液が生産されている。竹酢液は、消毒や生ごみの消臭効果があると言われており、比較的容易 に入手できることから、定置網の臭気対策としての利用について検討した。 [成果の内容・特徴] 1 陸揚げされた魚網が野積され、嫌気状態となった定置網付着物から発生する臭気成分の組成 は、アンモニアと硫化水素であった。 2 定置網付着物から出た腐敗液(10g)を試験材料とし、好気状態で、これに竹酢液を噴霧するこ とで、アンモニアの揮散量は減少した。また、試験材料と同量の竹酢液の噴霧を行ったところ、 揮散量を一定に抑制する効果が認められた(図-1) 。 硫化水素については、竹酢液の噴霧の有無に関わらず、その揮散量は、経時的に減少した(図 -2) 。これは、酸素に触れたことで、嫌気分解が抑制されたことが要因と考えられた。 [成果の活用面・留意点] 1 定置網漁業の網掃除現場において、人体に有害なアンモニアと硫化水素が発生していること がわかり、労働作業の安全面からの指導が必要である。 2 竹酢液の消臭効果を期待するには、臭気発生源となる腐敗液等と同量程度の竹酢液が必要に なり、これを噴霧するには従前の作業に加えて、新たな労力が必要になる。 3 硫化水素を発生させないためには、定置網を岸壁等に陸揚げする場合には、間隙を設 けるなど、酸素が供給される状態に配置することが望ましい。 [具体的データ] 140 120 濃度(ppm) 100 80 無処理0g 60 噴霧量 2g 40 噴霧量 5g 20 噴霧量 10g 0 0 25 50 75 経過時間(分) 100 125 図-1 アンモニア揮散量の経時変化 160 140 濃度(ppm) 120 100 無処理0g 80 噴霧量 2g 60 噴霧量 5g 40 噴霧量 10g 20 0 0 25 図-2 [資料名] [研究課題名] 50 75 経過時間(分) 100 125 硫化水素揮散量の経時変化 平成 22 年度神奈川県水産技術センター業務概要 竹酢液による定置付着物臭気の抑臭効果試験 [研究期間] 平成 23 年度 [研究者担当名] 渡邉芳明
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