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日 本 語 版
Monday, May 3, 2010
The official newspaper of Digestive Disease Week® 2010
Postgraduate course では
‘新領域 ’
の可能性が論じられた
AGA
1日
(土)午後のAG A I n st it ut e S pr i ng
が顕著である」
と語った。
また、
「 現時点では、実際に NOTES
Post-graduate Courseでは、結 腸・直 腸 がん
Dr. Rexは、スクリーニングががんの早期発見に
を採用することの妥当性は高い」
と述
(CRC)スクリーニングの将来とNatural Orifice
有効であることを示したいくつかの研究データを提
べる一方で、
「デバイス開発が大きな課
Translumenal Endoscopic Surgery
(NOTES®)
示し、右側に比べて左側における検出率が高いこ
題であり、
それが NOTES の有益性と
の進歩に関する最新のトピックスが論じられた。
とを指摘した。生物学的な違いだけでなく、不適
理想的な発展を規定している」
と問題
“ New Frontiers In Digestive Diseases”と
切な前処置、盲腸および扁平かつ陥凹した病変の
点も指摘した。
題するセッションの最初の演者であるDouglas
見落とし、右結腸の鋸歯状病変などが診断を難し
K. Rex, MD, a professor of medicine and
くするという。
Dr. Rattnerは「製品開発における
“Catch 22 ”
はいずれ解消するだろう」
と
the director of endoscopy in the division of
「大腸内視鏡検査は今後もスクリーニングの主
したうえで、
「デバイスの多くは優れてお
gastroenterology and hepatology at Indiana
役となりうるか」
という問いに対してDr. Rexは「そ
り精巧だが、開発には何百万ドルもかか
University Medical Center, Indianapolis は、
うあり続けるためには、適切な大腸前処置、盲腸病
るため、商品化に向けて医療機器メー
CRCスクリーニングの将来は不確実だと語り、最
変の精査が不可欠であり、鋸歯状病変、陥凹病変
カーはデバイスの承認を得るだけでなく、
近の論点を総括した。
の同定を特に注意深く行う必要がある」
と述べた。
投資に見合った利益を回収する方策を
“CRC Screening: The Next Decade”
と題す
また、David W. Rattner, MD, chief of
検討する必要がある」
と述べ、
さらに
「不
る演題の中で Dr. Rexは、
「 CRCスクリーニングに
gastrointestinal and general surgery at the
幸なことに、
これらの製品は現時点では市場がな
なり、現在の標準的な手技に比べて費用も高額と
効果的な大腸内視鏡検査は従来どおりCRC予
Digestive Healthcare Center at Massachusetts
いにもかかわらず開発が続けられている。しかも、
なる」
と述べた。
防の基本であり、診断を目的とした大腸内視鏡検
General Hospital, Boston は“ Is It Time to
医療機器メーカーは規制当局がリスクを指摘しな
Dr. Rattnerは、
「現時点では、本当に価値ある
査の地位が脅かされるわけではないが、
その有効
Learn NOTES?”
と題する講演を行い、
「 NOTES
いので、
それに気づいていない」
と語った。
ものを守る必要がある。われわれはこの開発を失
性に関して課題を整理する必要がある」
と述べた。
は切開の必要がなく、痛みが少なく、従来の腹
Dr. Rattnerは、
「 現時点ではNOTESの適応
敗に終わらせたくないし、規制当局に中止を勧告
Dr. Rexは「特にCRCのスクリーニングはいまだ
腔鏡手術に関連した瘢痕も生じないだけでなく、
は、胆嚢摘出術や虫垂切除術のような単純な手術
されたくない」
と語り、
「私の助言によって興味がわ
不十分であり、
がんの予防領域では適切な対策が
患者の回復も早く、非常に有望な技術である」
と
に限定され、通常は経皮的な補助手技を必要とし、 き、安心できるかもしれないが、導入を急いではな
講じられず、特に右側がんに関しては対策の遅れ
語った。
従来の腹腔鏡手術に比べて長時間を要することに
SSAT
AGA Institute Spring Postgraduate Courseで講演するDouglas
K. Rex, MD
らない」
と述べて講演を締めくくった。
最先端の治療や革新に触れたGERDに関するセッション
2日(日)のSSAT Postgraduate Course の
スを提示した。
内臓感受性に焦点を当てた治療が器質性胸や
は、
“ Management of Barrett ’
s Esophagus
early morning sessionでは、GERDに関する最
Dr. Pandolfino, an assistant professor
けや過感受性において有効とみられている」と
and Other Complications of GERD”と題し
新の内科的および外科的治療オプションに焦点
in the division of gastroenterology at
語った。
た講演を行った。
を置き、専門家が口火を切った。
Northwestern University’
s Feinberg School
Dr. Pellegrini, a professor and the chairman
「高周波アブレーションは光線療法と同等の
“Optimal Medical
Multimodal Management of Reflux には、 of Medicine, Chicago, ILは、
of the department of surgery at the University
効果があり、多くの症例では光線療法よりよいと
Management of GERD”
と題した講演で、新し
of Washington, Seattle は“ Surgical Therapy
みられることがデータから示されている」とDr.
MD; Stuart J. Spechler, MD; and Blair A.
い有望な治療がいくつか開発中であるが、プロト
of GERD: Why? Who? How? ”を講演した。
Spechlerは述べ 、
「 しかし、バレット食道の粘膜
Jobe, MDの4 名の演者が登場し、GERD治療
ンポンプ阻害薬(PPIs)が依然として逆流症治
「ここではなぜこの手術をすべきかではなく、
なぜ
腫瘍患者に対しては、食道切除を除外すべきで
に関するGI 手術および GI 医学の手技、技術、
療の主力であると述べた。
すべきでないかのほうがよい質問であろう」
「
、最初
ないことも指摘しておく」
と語った。
転帰における革新を裏付ける具体的なエビデン
「FDAが承認した用量の2 倍まで PPIを増量
の良好な結果が永遠に続くであろうと考えて、過剰
Dr. Jobe, an associate professor of surgery
しても純粋なベネフィットはわずかである」とDr.
な期待を持ちすぎたのが現実である。そのようなこ
at the Heart, Lung and Esophageal Surgery
Pandolfinoは述べ 、
「 さらに、PPIノンレスポン
とは起こらなかった」
とDr. Pellegriniは述べた。
Institute at the University of Pittsburgh, PA
ダーを定義することが極めて重要であることにも
また、
「 PPIsに反応しない患者に常に注意する
は、
“ New Minimally Invasive Approaches to
John E. Pandolfino, MD; Carlos A. Pellegrini,
Carlos A. Pellegrini, MDの発表
注意しなければならない。これによりマネジメント
必要がある。こうした患者は、課題が多すぎるた
GERD and Esophageal Mucosal Disease”
を
のアプローチが規定されるためである」と述べた。
め適切に診断できず、結局のところ逆流症ではな
講演した。
「このため、近い将来、有効な消化管運動機能
いことがある」
と語った。
「現在、内視鏡的逆流防止術は黎明期を迎えて
改善薬は登場しえない。いくつかの症例では、メ
Dr. Spechler, chief of gastroenterology at
いる。しかし最終的には、標準として高グレード
トクロプラミドの慎重投与が可能であり、PPIを
the Dallas VA Medical Center, TX, and a
の異形成に対する内視鏡的マネジメントが、食道
服用していても異常な逆流がある患者にはバク
professor of medicine at the University of
切除術に取って代わると思われる。このマネジメ
ロフェン使用を試みてもよいであろう。最近は、
Texas Southwestern Medical Center, Dallas
ントは患者に大きく依存するであろう」
と述べた。
Inside this issue
3
H. pyloriの差異の分析に
関する研究
4
深部小腸内視鏡検査における
実用的な提案
5
クローン病合併症管理では
協力体制が鍵
6
結腸・直腸がんに対する
新しい治療法を論じるシンポジウム
7
この1年のもっとも有望な
肝臓学研究の専門家レビュー
2
DDW Daily News
ASGE
Monday, May 3, 2010
ASGEシンポジウムは、20年の使用経験からERCPを評価
内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)
は、胆
療における有用性が高いことから、依然として
置の回数を減少させることによりコストを減少さ
成功も示されている。
管/ 膵管の病変を診断し治療する際に用いら
管不一致の治療のゴールドスタンダードである」
せるであろう」とDr. Coteは述べ 、さらに患者
20 年のERCPの使用経験をまとめて、Dr.
れる確立された方法である。ERCPは、2日
(日)
と述べた。
のQOLも改善するであろうとつけ加えた。
Baronは「内視鏡治療は、大半の患者で外科
的治療の適応を回避した」
と語った。
に行われたASGE Clinical Symposium Post-
バルーン拡張は一般的な治療法であるが、
Todd H. Baron, MD, FASGE, professor of
Transplantation Complications and ERCP:
再発率が高いというデータがあることから、ス
medicine in the division of gastroenterology
Georgios I. Papachristou, MD, assistant professor
Where Are We 20 Years Later の3 講演でレ
テント挿入の頻度が増加している。Dr. Coteは、 and hepatology at the Mayo Medical School,
of medicine at the University of Pittsburgh
ビューされた。
“ Post-Transplant Leaks,
「メタルステント挿入は再発を減少させるものの、 Rochester, MN は、
Medical Center は、
“ PancreaticoBiliary
講演の内容は、メタルステント、漏出と円柱の
成績を改善するのに平均 4回のERCPsと3 つ
Stones, Casts and Approach to Roux Limb ”
Complications after Composite Visceral
処置、腸移植の合併症など多岐にわたった。
のステントが必要であったとの報告もある」と述
と題された講演で、関連する問題を論じた。
Transplantation”
と題された講演の中で、腸移
べた。
Dr. Baronは、漏出部位へのステント使用を
植(IT)
について論じた。
professor of clinical medicine at the Indiana
プレーンメタルステントより、フルカバーステン
中心に、数種の胆汁漏出の治療について考察
ITには、腸単独、肝-腸同時、多臓器の3
University School of Medicine, Indianapolis
トを使用した方が、ERCPs回数の減少には有
を加えた。Dr. Baronは、
「 十分な時間と十分
種類がある。多臓器移植の頻度は最も低いが、
は、
“ Endoscopic Management of Post-
用と考えられている。さらに、フルカバーステント
なステントがなければ、コントロールできない漏
他の2 つの移植と比べて膵管胆道合流合併症
Transplant Biliary Strictures and the
は初期コストは高いものの、ERCPs回数を減少
出はほとんどないであろう」
と述べた。
が少ないことから、頻度は増加傾向にあると同
Evolving Use of Covered Metal Stents”
と題
させることから、全体的なコストの削減につな
さらに、シングルバルーン小腸内視鏡検査に
氏は語った。
された講演で、狭窄治療におけるステント使用
がるとDr. Coteは指摘した。
よる胆汁円柱症候群の内視鏡的治療が成功し
Dr. Papachristouは ITについて「ERCPに
の増加を中心に報告した。
Dr. Coteは、
カバーメタルステントとプラスチック
たことについても論じられた。Mayo Clinicで
は重要な役割があり、頻繁に活用されている」
Gregory A. Cote, MD, MS, assistant
胆管合併症は、肝移植レシピエントの25%
ステントの比較試験が必要であると結論づけた。
大腸内視鏡による治療が不成功に終わった患
とまとめ、
「 膵管胆道合流合併症は複雑で、集
にみられ 、最も高頻度にみられるのは吻合部
「出費に見合う最大の価値は、コストのインパ
者の治療成績では、シングルバルーン小腸内視
学的治療アプローチが必要である」
と講演を締
漏出である。Dr. Coteは、
「ERCPは、診断・治
クトであろう。理論が正しければ、メタルは、処
鏡によるRoux-en-Y肝管空腸吻合術の治療の
めくくった。
AASLD
プレナリー・セッションで肝疾患に関する研究成果が採り上げられる
2日(日)朝のAASLD plenary sessionsでは、 促進されると発表した。
さまざまな肝疾患について、シグナル伝達経路、
Gyongyi Szabo, MD, PhD, professor
細菌環境の悪化、および腸管粘膜免疫の変化の
Alexander J. Thompson, MBBS, PhD,
関連についての研究を総括した。
a fellow at the Duke Clinical Research
inflammasome 活性化、アルコール摂取、ロタ
of gastroenterology at the University of
Dr. Yanらによれば、3週間のアルコール摂取後マ
Institute, Duke University, Durham, NC は、
ウイルス感染、インターロイキン-28 B(IL28 B)遺
Massachusetts Medical School, Worcester
ウスの腸内では細菌の過剰繁殖が生じるが、
この
C 型肝炎ウイルス(HCV)
によるC 型慢性肝炎患
伝子型、肝腎同時移植に関する基礎および臨床
は、食事によって誘発される非アルコール性脂
際生ずる腸内細菌環境の悪化にはBacteroidetes
者におけるIL28 B 遺伝子型とペグインターフェロ
研究を6人の研究者が発表した。
肪 性 肝 炎はinflammasome の活 性化と関連
菌、
Verrucomicrobia 菌が多く、Firmicutes 菌が
ンα(IFN-α)
に対する治療反応性との因果関係
Guanhua Xie, BS, an investigator from the
しており、inflammasome 活 性 化 はtoll-like
少ないという特徴がみられるという。
を示唆する研究を発表した。
division of gastrointestinal and liver diseases
receptor-9によって誘発された炎症反応を増悪
Kathleen B . Schwa rz, M D, chief of
「この研究は、IL28 Bの遺伝子変異が、HCV
at the University of Southern California
させ肝障害をもたらすことを示す研究を発表した。
pediatric gastroenterology at the Johns
に対する自然免疫を制御し外因性 IFN-α治療
Keck School of Medicine, Los Angelesが発表
彼らの発表によれば、MyD88ノックアウトマウ
Hopkins University School of Medicine,
に対する反応性を決定していることを示唆する」
した研究によれば、環状グアノシン一リン酸シグ
スにメチオニン・コリン欠乏食を与えたところ、脂
Baltimore, MDは、胆道閉鎖症を有する新生児
とDr. Thompsonは語った。
ナル伝達経路はマウスにおける肝類洞内皮細胞
肪性肝炎が発症した。このMyD88 欠乏マウス
では、従来の報告よりも有意に高頻度に無症候
最後に、Ayse L. Mindikoglu, MD, MPH,
では、炎症性サイトカインであるプロインターロ
性ロタウイルス感染率がみられるという研究を発
assistant professor of medicine at the
イキン-1 Bの産生がブロックされており、これは
表した。
University of Maryland School of Medicine,
(LSEC)の表現型を制御し、肝硬変の改善を促
進するという。
Dr. Xieらは、in vivo での可溶性グアニル酸シ
inflammasome の誘導が MyD88 依存性であ
「少なくとも一部の胆道閉鎖症は遺伝的素因を
Baltimoreは、腎不全であるが透析未施行の患者
クラーゼの活性化は肝硬変に先行する線維化の
ることを示唆する。
有するヒトにロタウイルスが感染したために生ず
における肝腎同時移植の予後について報告した。
程度とは無関係に肝臓の星細胞の毛細血管化を
Arthur W. Yan, MD, a senior resident
るのか、それともたまたま米国の胆道閉鎖症の
研究では、末期腎不全で推算糸球体濾過量
改善するという知見を得た。いったん毛細血管
at the University of California, San Diego,
幼児にロタウイルス抗体価が高かっただけなの
が 30 ml/分/1 .73 m2 以下の患者では、肝腎同
化の進行が止まると、肝硬変の退縮は可溶性グ
department of medicineは、アルコール摂取誘
かについては、今後の検討が必要である」とDr.
時移植は、肝移植のみの場合に比べ、予後を改
アニル酸シクラーゼを活性化する因子がなくとも
発性肝障害マウスにおける細菌過剰繁殖、腸内
Schwarzは語った。
善する可能性が示された。
AGAブース
AGA Resource Center
AGA Digestive Health Outcomes RegistryTM のライブデモンストレーションを見に、AGAブース(2434)
を
訪れてみよう。AGAブースには、さまざまな種類のAGAの教育、診療所運営、患者向けの資材なども販売さ
れており、多くは総会特別価格で入手できる。会員情報、AGAジャーナルの見本、AGAプログラムに関する情
報も用意されている。
AGA Resource Center の新しい AGA Digestive Health Outcomes RegistryTM のライブデモンストレーショ
ンを訪れてみよう。さらに 、UpToDate® in Gastroenterology and Hepatologyを含むAGAの教育、診療所
運営や患者向け資材を見てみよう。AGA 総会特別価格については要問い合わせ。会員情報 、AGAジャーナ
ルおよびAGAプログラムに関する情報が入手できる。武田ブース(319)を訪れる参加者1人につき25ドルが
研究目的でAGA Foundationに寄付されることをお忘れなく。
Translation of the official newspaper of Digestive Disease Week® 2010
Monday, May 3, 2010
AGA
DDW Daily News
H. pylori の差異の分析に関する研究
3
DDW Council (2009-2010)
Lawrence S. Friedman, MD – DDW Council Chair;
John M. Vierling, MD – DDW Secretary/Treasurer
Helicobacter pylori(H. pylori )は、胃、歯周、
アテローム硬化性、その他のさまざまな疾患と関
連しているが、H. pylori 疾患はすべて同じように
Arun J. Sanyal, MD – President
Michael R. Lucey, MD – Treasurer
Jorge A. Bezerra, MD – Program Chair/Secretary
T. Jake Liang, MD – President-Elect
発生するわけではない。これは、2日(日)のH.
pylori 関連疾患の疫学に関するAGA Research
Forumからの覚えておいてほしいメッセージだ。
「コロンビアでは、H. pylori 感染率が一貫し
て極めて高い」と、Thibault de Sablet, PhD,
Vanderbilt University Medical Center,
Gail A. Hecht, MD, MS, AGAF – President
Damian H. Augustyn, MD – Secretary/Treasurer
D. Brent Polk, MD, AGAF – Program Chair
Ian L. Taylor, MD, PhD, AGAF – President-Elect
Nashville, TNは述べた。
「しかし、山岳部居住
者の胃がん発症リスクは沿岸部居住者の25倍で
ある」
と語った。
「この差は、山岳部と沿岸部の居住者の人種的
または食習慣の違いで説明できるかもしれない」
Jacques Van Dam, MD, PhD, FASGE – President
Thomas M. Deas Jr., MD, FASGE – Treasurer
Kenneth K. Wang, MD, FASGE – Program Chair/Secretary
M. Brian Fennerty, MD, FASGE –President-Elect
とDr. de Sabletは述べた。コロンビアの沿岸部
居住者はほとんどがアフリカ系であるが、山岳部
居住者はアメリカ先住民、ヨーロッパ人、アフリカ
人との混血である。沿岸部の食餌は魚介類が主
であるが、山岳部ではジャガイモである。さらに、
地域により優勢なH. pylori 株が異なる可能性が
ある。
「消化不良の症状がある男性 89 例から胃生検
を採取し、うち81例からH. pylori 株を単離した」
とDr. de Sabletは述べた。遺伝学的研究から、
沿岸部と山岳部で優勢な株が異なることが示さ
2日( 日)午前の AGA New Insights Into the Epidemiology of H. Pylori -Induced Diseases セッション
で質問する参加者
れたが、この違いでは25 倍におよぶ胃がん発生
胃がんにかかりやすいことが明らかにされた」と
の感染と動脈の感染の間に有意の関連があった。
率の差を説明できなかった。
語った。
また、H. pylori 感染と動脈内膜肥厚増加の間
その後、疾患に対する高リスク群と低リスク群
アテローム硬 化 性 疾 患へのH. pylori の関
にも有意の関連があった。H. pylori 侵入は、炎
に株を分け、各群の系統発生分析を行い、株の
与についてもエビデンスが増えている。Andre
症が進んだ大型動脈プラークの形成およびプ
起源を決定した。高リスク群では株の100 %が
Dubois, MD, PhD, professor of medicine,
ラーク中のマクロファージの存在とも関連しており、
欧州起源と同定されたが、低リスク群では60 %
Uniformed Services University of the Health
アテローム形成における役割が示唆された。
の株がアフリカ起源であり、残りの40 %が欧州
Sciences, Bethesda, MDは、H. pylori の胃への
Dr. Duboisは、
「サルの場合、食餌は感染に関
起源であった。H. pylori 株の遺伝形質の比較と
侵入とアテローム硬化症の冠動脈組織との関連
与していないが、感染と従属的な社会的地位の
患者の病理組織学的スコアから、欧州起源の感
について、サルにおける新たなデータを報告した。
間に有意の関連がみられた。従属するサルはボ
染がリスクの高低を問わず進行病変と有意に関
この研究で、食餌とストレスに基づく冠動脈ア
スザルよりストレスが多く、重症度の高い冠動脈
連することが示された。
テローム硬化症とH. pylori およびcagA病原性
疾患を発症する可能性が高いことが知られてい
「アジア起源の株は同定されなかった」とDr.
因子の関係を検討した。
「食餌を管理し、個々の
る」
と述べた。
de Sabletは加えた。
サルの社会的地位に基づいてストレスを評価した。
「こうした研究はヒトでの実施が困難である」
と
「H. pylori 株の遺伝学的背景は、人種や食
ボスザルは従属するサルよりもストレスが少ない」
Dr. Duboisは述べ 、
「 代わりに動物でH. pylori
習慣よりも優れた発がん指標である可能性があ
とDr. Duboisは述べた。
とストレスの影響について研究している。ヒトでも
る。人種的背景が同じで同様の食餌を摂ってい
剖検で、
胃にH. pylori の侵入が認められたサル
この関連性の研究が可能になればよいと考えて
る人が、欧州起源のH. pylori に感染していれば、 はわずか56%、冠動脈回旋枝では42 %であり、胃
AASLD
いる」
と締めくくった。
David M. Mahvi, MD – President
David W. McFadden, MD – Chairman of the Board
Robin S. McLeod, MD, FRCSC – Treasurer
Fabrizio Michelassi, MD – Secretary
Mark P. Callery, MD – Program Chair
David W. Rattner, MD – President-Elect
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DDW Daily News Japanese Edition
DDW Daily News 日本語版
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Toshifumi Hibi, MD, PhD
編集顧問
日比 紀文 医学博士
Scientific Supervisors
Upper and Lower Gastrointestinal Tract
Mamoru Watanabe, MD, PhD(Monday Issue)
Tsutomu Chiba, MD, PhD(Tuesday Issue)
Kentaro Sugano, MD, PhD(Wednesday Issue)
Liver, Gallbladder & Pancreas
Hajime Takikawa, MD, PhD(Monday Issue)
Tooru Shimosegawa, MD, PhD(Tuesday Issue)
Hirohito Tsubouchi, MD, PhD(Wednesday Issue)
脂肪肝疾患が生じる原因を探る
監修
上部および下部消化管
渡辺 守 医学博士(Monday Issue)
千葉 勉 医学博士(Tuesday Issue)
脂肪肝疾患の患者数は少なくとも欧米諸国で
リポ多糖類への炎症反応のキーメディエーターで
2 型糖尿病やメタボリックシンドロームの男性
は増加していることから、大きな関心を集めてい
あることが明らかとなった」
と報告した。
では、肝臓への脂肪蓄積が認められ、心血管系
る。脂肪肝疾患にはアルコール性のものだけで
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
に関して
疾患のリスク因子が集積する。そして、こうした
滝川 一 医学博士(Monday Issue)
なく、非アルコール性のものもあり、小児が罹病
は、Samar H. Ibrahim, MD, from the division
リスク因子の集積と食後の代謝異常が、心血管
坪内 博仁 医学博士(Wednesday Issue)
することもある。2日(日)のAASLD Research
of gastroenterology and hepatology at the
系疾患の発症リスクを上昇させると、Maarten
Forum, Alcoholic and Non-alcoholic Fatty
Mayo Clinic, Rochester, MNが、GSK-3阻害に
E. Tushuizen, MD, from the department of
Liver Disease では、脂肪肝が生じる原因を検討
よってパルミチン酸誘導性の肝細胞アポトーシス
endocrinology/diabetes center at VU Medical
した研究成果が論じられた。
が抑制されるかどうかについて検討を行った。
Center, Amsterdam, Netherlandsは述べた。
The department of medicine at the University
Dr. Ibrahimらは、GSK-3を阻害するとパルミチ
Dr. Tushuizenらが行った試験では、2型糖尿病
of Massachusetts Medical School, Worcester
ン酸誘導性のアポトーシスは抑制されること、GSK-3
男性12 名、メタボリックシンドローム男性12 名、健
の研究者らは、慢性アルコール摂取のモデル
shRNAを用いてGSK-3をノックアウトすると同様に
常男性12 名を対象に、12時間の絶食後に高脂肪
動物であるLieber-DeCarliマウスを用いて、ア
パルミチン酸誘導性のアポトーシスが減弱すること、
食を朝、昼、晩に摂取し、肝臓への脂肪蓄積量を
ルコール性 脂肪 性肝炎における低酸 素症誘
GSK-3 阻害はパルミチン酸のJNK活性を低下させ
測定した。その結果、Dr. Tushuizenは、2 型糖尿
発性因子1α
(HIF-1α)の役割について検討し
ること、パルミチン酸はGSK-3βの活性化を引き起こ
病とメタボリックシンドローム男性では肝臓の脂肪
た。その結果、同施設のBharath D. Nath 氏は、 すことを明らかにした。これらの結果から、GSK-3β
含有量が多くなり、HDL-TGリッチなリポ蛋白が増
「HIF-1αは慢性アルコール摂取状態において
はヒトNASHの治療標的になりうると考えられた。
え、
それが内皮機能障害を引き起こすと報告した。
菅野 健太郎 医学博士(Wednesday Issue)
肝、胆および膵
下瀬川 徹 医学博士(Tuesday Issue)
Publisher
Medical News & Conference Systems, Inc.
8F Towahoridomecho Bldg.,
2-1-1, Nihonbashi Horidomecho,
Chuo-ku, Tokyo, Japan, 103-0012
TEL: +81-3-5652-3500
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Director of Publication
Shin Yoshimoto
発行人
吉本 伸
Translation of the official newspaper of Digestive Disease Week® 2010
4
DDW Daily News
ASGE
Monday, May 3, 2010
深部小腸内視鏡検査における
実用的な提案
とDr. Dyeは指摘した。
深部小腸内視鏡検査は、興味深い検査であ
シングル/ダブルバルーンシステムにはバルーンつ
る。治療的観点からみれば十分に価値があるも
きのオーバーチューブがあり、一方、スパイラル内
症例によっては蛍光透視検査が有用
のの、経済的観点からみて高くつくことは否めない。
視鏡にはスパイラルオーバーチューブがある。ダ
であり、C02 または水 /シメチコン通気は、
1日
(土)
に行われたASGE Hands-on Course
ブルバルーンシステムは、より深部を見ることがで
空気の通気より望ましい。2日の準備が
ASGEコースの参加者は、小腸内視鏡検査の実技を行った。
Enteroscopy — Exploring the Depthsを開始
きる技術的な利点がある。スパイラルシステムは、 かかったとしても、腸をクリアに保つことは非常に
ない検査のコードが存在していた。
するにあたって、Carol Semrad, MD, associate
より小さいが、よりトレーニングが必要である。3
Dr. Schembreは、どのコードファミリーがより
重要である、とDr. Dyeは強調する。
professor of medicine, University of Chicago,
つのシステムは、いずれも、オーバーチューブを操
スタッフも重要な問題である。オーバーチュー
適切かどうかは、ある程度、施設によると指摘し
ILは、
「 深部小腸内視鏡検査は、より深く学ぶ余
作するセカンドオペレーターが必要である。コス
ブのオペレーターは、医師である必要はない。
た。内視鏡専門医とコーダーとの間の協同作業
地がある」
と述べたうえで、
「小腸の深部に到達す
トは、いずれも30 ,000 ~45 ,000ドルである。
Drew Schembre, MD, FASGE, FACG,
がほとんどない学術的センターでは、大腸内視
ることは容易ではない。また、努力が必ずしもコ
リスク管理は重要な問題である。進行した併
section head, digestive disease institute,
鏡検査のコードとその修飾コードが、最も時間、
ストに反映されるわけでもない」
と続けた。
発疾患のある高齢患者は、よりリスクが高い。
Virginia Mason Medical Center, Seattle, WA
コストの効率が良い選択肢である可能性がある。
Charles Dye, MD, associate professor of
「操作の長時間化は、死亡のリスクを伴う」と
は、
「 優れた看護師は、他の医師や同僚より、あ
臨床医とコーダーの協力体制が整っている施
medicine, Pennsylvania State College of
Dr. Dyeは注意を喚起し、
「 患者や適応にもよる
なたのために良い仕事をするであろう」と示唆し、 設では、ゾンデ処置コードやプッシュ式小腸内視
Medicine, Hersheyは、深部小腸内視鏡検査は
が、CT小腸内視鏡検査の症例、薬物療法、レ
「症例についてあれこれ指示する他の医師は必
始まったばかりで混乱もあると述べた。小腸内視
ビュー、その他の選択肢などを参照したいと考え
要ない」
と続けた。
る。要望が拒絶された場合、再度の要望に向けて、
深部小腸内視鏡検査ユニットの成否の鍵を握
コーダーは臨床医とより緊密に協調できる可能性
がある。
と続けた。
鏡検査ユニットの準備には、支払い、リスク管理、 るのは妥当である」
委託などさまざまな意思決定が必要となる。
処置時間は、経験や専門技術の獲得に伴い短
るのは、適切なコーディングかもしれない。
鏡検査コードとその修飾コードが有用と考えられ
Dr. Dyeは、
「 この手法には大きな設備投資が
くなる傾向がある。Dr. Dyeは、経験に関わりな
問題は、深部小腸内視鏡検査にはCPTコー
商業保険患者の割合が多い施設では、リスト
必要である」
と述べ、
「適切に投資したいと考える
く、合併症の発症に備えて、1処置は2 時間以内、 ドがないことである、とDr. Schembreは指摘し
にない小腸処置に基づいた要望を出す方が良い
のは当然である」
と続けた。
1日に2 処置以内の計画を推奨している。
た。ダブルバルーン小腸内視鏡検査が導入され
と考えられる。この戦略の成否は、先に、主要な支
深部小腸内視鏡検査には、シングルバルーン、
「1日に3~4つの処置を計画する研究者もいる
たときには、すでに大腸内視鏡検査、プッシュ式
払者と十分な時間配分の交渉ができるかどうかに
小腸内視鏡検査、診断専用ゾンデ検査、リストに
かかっている。
ダブルバルーン、スパイラルの3 つのタイプがある。 と思うが、そうした人たちは問題を起こしやすい」
AGA
消化器内科にとっての医療制度改革の意味を検討したシンポジウム
消化 器内科医にとっての医 療制度改革の
として、以下の4つを取り上げた。
意味やさまざまな規模で行われている消化器
●
Centers for Medicare and Medicaid Services
応可能なことに関する見識を有している」とDr.
LLC, and assistant clinical professor of
Schoenfeldは述べた。
medicine at the University of Arizona
内科による医療 への影 響を正確に予測する
および民間の保険業者による償還はどう変わる
さらに演者として、John I . Allen , M D,
College of Medicine, Phoenixである。
のは困難 である。AGA Instituteは、本日の
のか?
MBA, AGAF, chair of the AGA Digestive
Dr. Brillは、質、質に関する評価指標および
Clinical Symposium, Health-Care Reform:
医療の質に関するさまざまな尺度や出来高払い
●
The Changing Face of the Practice of
Gastroenterology で鍵となる動向を検討する目
などが現実にはどのような展開となるか?
制度の変化は外来外科センターでの医療にど
●
的で専門医のチームを招聘した。
「われ われは、標的が 定まらない 状 態で
ある限り、医療制度改革が 消化器内科にど
のような影響を与えるか?
医療制度改革は医師による実地医療および患
●
者へのケアにどのような影響を与えるか?
TM
Executive
アウトカムが、消化器内科医への償還に果たす
Management Board and medical director for
役割の変化を採り上げる予定である。また、Dr.
Health Outcome Registry
quality at Minnesota Gastroenterology, St.
Brillは、外来外科センターおよび病院での医療
Paulが招聘されているが、Dr. Allenは、医療制
における償還の役割の変化も採り上げるものと
度改革下で考えられる請求プログラムや請求条
考えられる。
件における変化を採り上げる予定である。60 以
「消化器内科医療の提供における質の定義が
のような影 響を与えるかをまだ知ることはで
議会で唯一の消化器内科医である共和党議
上のパートナーの消化器内科診療所のディレク
まったく明確ではない。Managed-careの提供者
きないが 、対 応を必 要とするいくつか の重
員 William Cassidy, MD,(R-LA)がシンポジウ
ターであり、あらたなAGA Registryの牽引力と
はなんらかの出来高払いを希望することを明確に
要 な 問 題 が あ る」と、Phillip Schoenfeld,
ムで講演を行う予定である。
して、Dr. Allenは保険業界のニーズや志向性に
示した。それが実際に意味することは、提供す
MD, associate professor and director of the
「Dr. Cassidyは、医師という職業あるいは消
関する特別な理解を有する。Dr. Allenはまた、
る医療の質が高ければ標準額の償還を受け、標
training program in GI epidemiology at the
化器内科医に対する医療制度改革の影響につ
消化器内科医を代表するとともに、質の高い適正
準的であれば償還額は低くなるということである。
University of Michigan Health System, Ann
いての適切な考察を話してくれるだろう。政府
な償還について活発な提唱者でもある。
こうした事態を消化器内科医は当然ながら懸念
Arborは述べた。
の医療制度改革は明らかにいまだ定まらない標
3 番目の演者は、Joel V. Brill, MD, AGAF,
している」
と、Dr. Schoenfeldは述べた。
Dr. Schoenfeldは、医師にとって重要な問題
的ではあるが、Dr. Cassidyは現状で現実に対
chief medical officer of Predictive Healthcare,
ASGE President’s Plenary Session
GutrunnersTM — 1マイル走で消化管の健康を改善
ASGE President ’
s Plenary Sessionは、3日(月)の午後1~5 時、コンベンションセンターのBallroom Cで開
催される。2009 plenaryでは、Glenn M. Eisen, MD, MPH, FASGE, Oregon Health & Science University,
PortlandによってJ. Edward Berk, MD, DSc, FASGE, State-of-the-Art Endowed Lectureが紹介された。
2日(日)
にAudubon Parkで開催された第1回GutrunnersTM DDW 5 K Race/1 Mile Walkは大盛況であった。
参加者には参加賞とお土産バッグだけでなく、レース後に朝食が提供された。本イベントはASGEの支援の下で
行われた。詳細はwww.gutrunners.comを参照のこと。
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Monday, May 3, 2010
DDW
DDW Daily News
クローン病合併症管理では
協力体制が鍵
5
腹腔鏡的ドレナージ・管理の役割について講演
点を当て、IBD患者の狭窄に対する内視鏡的治
する予定である。
療の適正使用に関するレビューを行う予定である。
Robert R. Cima, MD, associate professor of
「われわれは、この3つの発表がシンポジウムで
surgery in the department of colon and rectal
の活発な議論につながり、いまだ未解決のいくつ
surgery, Mayo Medical School, Rochester,
かの問題の解決につながる今後の研究に関する
指針ともなればと願っている」
とDr. Katzは述べた。
クローン病合併症の管理は専門医 1人だけ
inflammatory bowel diseases at University
MN は、
“ Impact of Anti-TNF Therapy on
の義務ではなく、治療に当たる複数の医師の
Hospitals Case Medical Center, Cleveland,
Surgery in IBD”
に関する発表を行う。
本 Combined Clinical Symposiumには、
「疾
共同責任である。DDW では、チームワークを
OH は述べた。
「抗 TNF 療法は IBDの治療を変革したが、
患に対する治療指針の報告がない現状、本ト
醸 成する学 術プログラム3日(月)にCombined
同シンポジウムでは、有力な専門医を交えて、ク
すべての患者に適しているわけではないかもしれ
ピックに関する最新議論への高いニーズ」に応え
Clinical Symposium,“Complicated Crohn’
s
ローン病管理における複雑な問題をとりあげてい
ない。外科治療を要する患者における抗 TNF
るべく、トピック性が高く、複雑性クローン病の治
Disease: A Multidisciplinary Approach to
るが、協力的治療戦略について焦点をあててい
療法の安全性の問題、特に術後の感染リスクに
療に当たる消化器内科医・外科医にとって重要と
Fistulas, Abscesses and Strictures ”
を提供する。
る。Dr. Katzは、全演者が複雑性炎症性腸疾患
関する問題が浮上している」とDr. Katzは述べ
思われる演題を選択したとDr. Katzは語った。
「内科的・外科的管理における大きな進歩にか
(IBD)管理に関する専門臨床医であると語った。
た。Dr. Cimaは外科治療を要するIBD患者の
Dr. Katzは、
「本シンポジウムは、複雑性クロー
抗 TNF 療法に関する争点について発表する。
ン病にかかわる消化器内科医、内視鏡専門医、
®
かわらず、瘻孔、腹腔内膿瘍、および/あるいは
“ The Management of Intra-abdominal
狭窄を有する患者を含む複雑性クローン病患者
Abscesses ”では、Richard A. Hodin, MD,
最 後 に、
“ Endoscopic Management of
消化器外科医、インターベンショナル・ラジオロジ
では医療における集学的アプローチが求められ
surgical director of the Crohn’
s & Colitis
Strictures: Outcomes, Benefits and Risks”
と題
ストにとって非常に価値の高いものとなるだろう」。
る。消化器内科医および外科医の間の緊密な
Center, Massachusetts General Hospital,
し、Séverine Vermeire, MD, of the department
また、
「 消化器内科および外科研修医、看護師、
協力は必須である」とシンポジウムモデレーター
Bostonは、術前ドレナージ vs. 早期手術、内科
of gastroenterology at University Hospital
医療助手および他の医療従事者にとっても有益
の Jeffry A. Katz, MD, medical director for
的・放射線学的 vs. 外科的管理の役割、さらに
SSAT
簡潔な講演の情報は
Quick Shots へ
DDW® で毎年行われている教育セッション
ている。
は広範囲にわたるが、SSATでは、今年も多
「将来受けるであろう手術のタイプを知って
数の研究を3 つのQuick Shotsセッションに分
いるか否か、患者に尋ねることはこれまではな
類し、簡潔な講演にまとめている。
かった」とDr. Fischerは述べている。
「手術
おなじ みのQuick Shotsでは、3分 間で
侵襲が小さくなっているため、機能的問題より
abstractを発表した後 3 分間討論を行う。合
も審美的問題のバランスが優先する。この研
計 33のabstractsについて、5月4日(火)に2
究は、患者が考えていることに関するユニーク
件、5日(水)
に1件のQuick Shotsセッション
な洞察となるだろう」
が行われる予定である。
5日( 水)に行われるQuick Shots IIIでは
4日
(火)
のQuick Shots Iでは11演題が発表さ
12のabstractsを取り上げる。Dr. Fischerは
れる。
「特殊な外科手術から日常的なトピックまで
Gasthuisberg, Leuven, Belgiumが発表を行う予
なものとなるだろう」
と語った。
定である。
「IBD治療における内科専門医、外科専門医
「IBD関連狭窄に対する良好な内科治療は存
をともに招集することにより、最良の医療の質を
在しない。しかしながら、内視鏡的治療は一部
実現する方法論に関する対話とコミュニケーショ
のIBD患者のIBD 狭窄の治療に用いることが
ンの場となることを期待している。われわれは本
可能だ」
とDr. Katzは述べた。
シンポジウムを楽しみにしており、この複雑なト
Dr. Vermeireは、内視鏡的治療対象患者の適
ピックに関する活発な議論を期待している」とDr.
応を慎重に決定することおよびその技術予後に焦
Katzは締めくくった。
ASGE Learning Center
「ハイライト・セッション」
とこれを評した。
「われわれは 3分という短い時間での発表
のこのセッションのabstractsの多くはとても
で取り扱いやすいテーマ、焦点を絞った明快
興味深いと思う」と、Craig P. Fischer, MD,
な講演、しかも演者が慣れているものをQuick
MPHは述べている。
Shotsに選んでいる」
とDr. Fischerは言う。
Dr. Fischer, co-chair of the SSAT Program
そして、特にこのセッションの呼び 物の
Committeeが「最初の演題が目玉」
と言う演題
abstract は“ Spontaneous Reflux During
は、
“Intraoperative Assessment of Perfusion
Videoesophagram: Its Clinical Significance
in Gastric Grafts for Reconstruction After
and Correlation with pH Monitoring”
である。
Esophagectomy: Predicting Anastomotic
「上部消化管に異常のある患者に対して、放
Complications”である。
射線医が自発的逆流所見についてコメントして
「この方法は、食道切除後の再建時の胃管
も、患者や消化器専門医はその臨床的重要性
検査方法において、新しくそして重要な方法で
を誤解することが多い」、
「この発表はこの問題
ある。このグループは、胃の特定領域を評価
を検討したものだ」
とDr. Fischerは述べている。
する新たな方法を検討している」
と述べた。
このセッションでは、オランダの研究をリー
もう1つ の 重 要 なabstractは“A Drain
ドして いるグル ープ も、
“ A Pilot Trial of
Amylase < 1000 U/L on the First Post-
Endoscopic Radiofrequency Ablation for
Operative Day Effectively Predicts the
the Eradication of Esophageal Squamous
Absence of a High-Impact Fistula Following
Intraepithelial Neoplasia and Early
Pancreatic Resection”である。
Squamous Cell Carcinoma Limited to the
「これは、一般的で重要な問題を検討した優
Mucosa”
を発表する。
れた研究であり、合併症の可能性のある術後
「これは食道扁平上皮がんの治療における
「こ
早期患者を分離できるものである。これによって、 粘膜手技の利用を検討した研究である」、
外科医は早期に行動することができ、簡単で広
のグループは、過去にバレット異形成や初期
く行える検査法であるため患者の回復を促進
腺がんに同じ手法を用いており、昨年のDDW
する可能性がある」
とDr. Fischerは述べた。
でも発表している。その講演は昨年のハイライ
4日( 火)には10 の abstractsを取り上 げ
トであり、すでに実地診療を変えつつある。食
るQuick Shots IIも開 催され るが、
“Citizen
道扁平上皮がん患者の治療に関するこのグ
Perceptions of LESS Surgery and NOTESR:
ループのその後の経験に関する今回の発表は
The Impact of Age, Gender, and BMI ”がそ
楽しみである」
とDr. Fischerは言う。
の中でも傑出していると、Dr. Fischerは述べ
ASGE Learning CenterはHall F/Gで3~5日にかけて開設されている。デモンストレーションに参加したり、教
育用の内視鏡ビデオやCD-ROMを見たり、6台のコンピュータも利用できる。
Translation of the official newspaper of Digestive Disease Week® 2010
6
DDW Daily News
ASGE
Monday, May 3, 2010
ERCPコースでは胆道疾患、
膵疾患に対する新技術を紹介
1日
(土)
に行われたASGE interactive course
のリークは、混濁試験後にのみ可視化されるリー
では、新たな内視鏡的逆行性胆道膵管造影法
DDW
結腸・直腸がんに対する新しい
治療法を論じるシンポジウム
4日(火)に開 催され るS SAT/A mer ica n
評価する今後の臨床試験において、患者を選択
クであるのに対し、高グレードのリークは混濁試
Hepato - Pa ncreato -Bilia r y Association
し、層別化する上で非常に重要である」
と語った。
験前に視認できるリークである。
( A H PBA )Joint Sympo sium , Today’
s
次に、Timothy M. Pawlik, PhD が“ The
悪性胆道膵管狭窄、および胆道膵管結石の評価
アルゴリズムによれば、低グレードのリークはス
Approaches to Colorectal Cancer( CRC)Liver
Role of Perioperative Chemotherapy in
と治療における実践的なヒントが示された。
テントのみによる治療が可能である。高グレード
Metastases では、肝転移を有する結腸・直腸がん
Resectable CRC Metastases: What Does the
Brenna Casey Bounds, MD, assistant
のリークは括約筋切開術と短い(8 mm)あるいは
患者に対する新しい化学療法と外科手術の併用
Evidence Support? ”と題する講演を行う予
professor of medicine at Harvard Medical
長い(10 mm)ステントの留置による治療を要す
などの集学的治療法が論じられる予定である。
定である。Dr. Pawlikはassociate professor of
School, Boston, and a gastroenterologist at the
る。狭窄を認める低 / 高グレードのリークは括約
Scott Helton, MDは「最近の5~8 年間に化
surgery and oncology at The Johns Hopkins
Massachusetts General Hospitalおよび Binh
筋切開術と長いステントの留置が最善の治療で
学療法や治療手技に著しい変革があり、5 年生
University, Baltimore, MDで、肝転移巣に対す
V. Pham, MD, assistant professor of medicine
ある。ステントを4~ 6 週間後に抜去し、再度、患
存率は大きく改善した」と述べ 、
「 このシンポジウ
る新しい化学療法の有効性について論じる。
and a gastroenterologist at Harbor-University
者の評価を行うべきである。
ムでは、より多くの外科医と消化器病専門医が集
「Dr. Pawlikは化学療法を術前あるいは術後
of California, Los Angeles, Medical Center,
胆管リークに内視鏡的経鼻胆道ドレナージの
まり、以前ならば治療の手立てがないと判定され
のどちらに行うべきかという論争に関して積極
(ERCP)
技術が紹介され、良性および胆管リーク、
Torranceによる4 時間コースでは、講義、ビデオ
活用も可能である。本治療は括約筋切除術を回
た進行・転移性結腸・直腸がん患者の治療転帰
的に寄稿してきた」とDr. Heltonは語り、
「 われ
による症例検討により、ERCPを要すると思われ
避できる利点があるが、外来患者ではなく、ICU
を改善するための新しい治療法や治療方針を論
われが現在どの地点にいて、どのようなタイプの
るさまざまな疾患が扱われた。
の重症膵炎患者にのみ用いるべきである。
じる機会としたい」
と語った。
臨床試験が実施されており、今後の課題を解決
ERCPは、内視鏡的胆嚢切除術後によくみら
通常、急性あるいは慢性膵炎の合併症である
Dr. Helton, the session moderator and
するためにはどのような試験を行うべきかをDr.
れる胆管リーク、特にこれらのリークが最も多く
が、膵外科術後あるいは腹部外傷後にもみられ
president of the AHPBAは、最新の全身化
Pawlikは論じてくれるだろう」
と続けた。
生じる胆嚢管でのリークの評価に有効である可
る膵液瘻の治療に内視鏡的経乳頭ステント留置
学療法を行うことで肝転移の消失が報告される
さらに、Eddie K. Abdalla, MDは“Optimal
能性がある。ERCPはまた悪性腫瘍切除後の部
を用いることも可能である。膵尾断裂はステント
など、この領域には大きな変革が起こっていると
and Individually Tailored Resection of CRC
分肝切除術関連リークあるいは移植後リークの
留置により容易に寛解するが、膵頭部・頸部・体
指摘した。
Metastases”と題 する講 演を行う予 定 で あ
評価にも活用しうる。
部の断裂は最適な結果を得るにはブリッジング
Dr. Heltonは「その一方で、化学療法の肝臓
る。Dr. Abdalla は assistant professor in
遺残胆嚢管リークは、ステント留置を伴うあるい
を要する、とDr. Boundsは語った。
に対する新しい副作用として、肝機能の低下、外
the department of surgical oncology at the
は伴わない内視鏡的胆管括約筋切開術で治療
良性術前狭窄の内視鏡的治療は、胆管・膵管
科療法施行時の合併症の
University of Texas MD
が可能である。本治療法は、移植後リークの治
に収まる限り、多くのプラスティックステントの留置
増 加など が 生じるように
Anderson Cancer Center,
療にも用いることができる。肝臓裂傷による二次
を要する。総胆管消化管瘻吻合による狭窄では、 なった」と語り、
「結腸・直腸
Houstonで、肝切除術の際
性リークに関しても、ERCPはリーク数およびリー
3 つのオプションがある。すなわち、バルーン拡張、
ク箇所の評価にも役立つとDr. Boundsは語った。
ニードルナイフによる総胆管切開術、およびステン
2人の専門医がリーク治療における比較的新
ト留置である。SEMSは治療抵抗性狭窄の治療
しい自己拡張型メタル・ステント(SEMS)の活用
に多く用いられる。
について述べた。SEMSは腫瘍の増殖を防ぐ目
胆嚢結石および総胆管結石の治療にはいくつ
がんの肝転移巣が消失する「最近の5~8年間に化
としても、こうした問題が生 学療法や治療手技に著
じれば対策を講じる必要が
しい変革があり、5年生
あり、十分な配慮が必要で
ある」と指摘した。
存率は大きく改善した」
的で一部もしくは全体が化学物質で覆われてい
かのオプションがあり、バルーンあるはハードワイ
こうした状況に対応して、
る。全面被覆 SEMSはリークの防止により効果
ヤーバスケットによる抜去、バルーン拡張とバルー
新しいコンセンサス・リコメン
が高いが、留置後に移動する可能性がより高くな
ンによる抜去、括約筋切開術とバルーン拡張、括
デーションでは、患者が数
る。最初のステント留置後に持続する、治療抵抗
約筋切開術とバルーン拡張およびバルーンあるい
サイクルでも化学療法を受け、その後に外科手
にどの程度肝臓を切除する
ことができるかを論じ、大
切除によって残肝容積が小
さい場合でも肝切除を完全
に行うために有用なテクニッ
クを紹介する。
Scott Helton, MD Dr. Heltonは「彼らは方程
式を用いて、体格に基づいて
生存に必要な残肝容積を正確に予測するモデルを
性リークでは、全面被覆 SEMSが望ましい。
はバスケットによる抜去、あるいは括約筋切開術
術を行い、さらに化学療法を行った場合には、
“サ
構築した。そのモデルはコンピュータ上で作動し、
Dr. Phamは、胆管リークの治療におけるステン
とバルーン拡張および機械的砕石術の組み合わ
ンドイッチ療法”
と呼ぶようになっている。
CTスキャンも行って肝切除の範囲を決定すること
ト使用に関するアルゴリズムを発表したが、胆管
せである、とDr. Phamは述べた。
またDr. Heltonは「肝転移を有する結腸・直
になる」
と述べた。
リークはERCPで重症度により低グレードもしく
また、Dr. Phamは、治療の選択は、結石の大
腸がん患者の生存を予測する医師の能力も劇的
これらのモデルは、肝臓の両側に腫瘍がある
は高グレードのリークに分類される。低グレード
きさおよび位置によるとした。
に向上した」
と述べ、
「そのため、外科医とオンコ
ため、部分切除を計画した場合の二次、三次肝
ASGE Resource Center
ロジストは、以前であれば生存期間が限られてい
切除術の実施時には非常に重要となる。遺残腫
ると考えられた多くの患者であっても、生存期間
瘍は肝臓が再生して切除可能になってから二次
を延長させるために、より積極的な治療を行うよ
切除することになる。
うになった」
と続けた。
肝 臓を直 接 標的とする治 療については N.
本シンポジウムの最初の演者は Michael
Joseph Espat, MDが、
“ What, How and When
D’
Angelica, MD で、
“ Prognostic Markers
to Offer Non-Resection Therapy for C RC
and Staging Systems for Patients with CRC
Metastases ”と題する講演で論じる予定である。
Metastases”
と題する講演を行う予定である。Dr.
同氏はprofessor and chief of surgical oncology
D’
Angelica, a surgeon at Memorial Sloan-
and vice chairman of the department of
Kettering Hospital, New York, NYは、生物学
surgery at Roger Williams Medical Center,
的、臨床的、人口統計学的な因子を用いて患者
Providence, RIである。
の生存期間を正確に予測するモデルを紹介する。
Dr. Heltonは、ラジオ波焼灼法やマイクロ波
Dr. Heltonは「Dr. D’
Angelicaらのグループは、 焼灼法、インターベンショナル・ラジオロジーと
Ernest N. Morial Convention CenterのHall I ロビーにあるASGE Resource Centerは、5日(水)
まで午前 7
時から午後 6 時まで営業中。会員申込書の受け取り、ASGE ’
s Endoscopic Learning LibraryなどでDVD 類の
ご購入をどうぞ。
Translation of the official newspaper of Digestive Disease Week® 2010
こうした予測モデルの研究では世界をリードして
いった非切除療法は、外科手術が適応とならな
いる」
と述べ 、
「レトロスペクティブなコホート研究
い患者にとって実現可能な治療の選択肢である
では、生存に影響を及ぼす興味深い因子が同定
と述べ、
「そのため、これらの療法は根治的では
されているが、それを新規症例に適応する場合
なくても、肝転移巣を縮小して、生存期間を延長
にはプロスペクティブにバリデートする必要がある。
させることができる」と続け、
「 こうした集学的な
また、遺伝子や腫瘍の分子マーカーも予後予測
治療を行うことで、以前に比べて患者の生存期
因子であることが分かっている」
と続けた。
間を延長させることが可能になった」と述べてイ
さらにDr. Heltonは「分子や臨床的因子を組
ンタビューを締めくくった。
み入れた予測モデルの構築は、新しい治療法を
Monday, May 3, 2010
AASLD
DDW Daily News
7
この 1 年のもっとも有望な
肝臓学研究の専門家レビュー
DDW® 毎年恒例のごく最近発表された研究知
薬の有無にかかわらず肝硬変における門脈圧亢
Dr. Sanyal, chair
見を肝臓専門医に伝えるという企画において、本
進症を改善したシンバスタチンに関する研究を取
of the division of
年は演者が「今後実地臨床で影響を持つと思わ
り上げた。
gastroenterolog y,
れる」演題を取り上げたと、AASLD President
ラットモデルで「興味深い可能性がある」と
hepatolog y a nd
Arun J. Sanyalは、1日(土)の“Advances in
Dr. Shahが述べた研究では、線維症および門脈
nutrition at Virginia
Hepatology: The Year in Review”で述べた。
圧亢進症を低下させるFDA 承認済の肝細胞が
C ommonwea lt h Universit y School of
NAFLD患者とNASH 患者を識別する非侵襲性
門脈圧亢進症の治療改善の可能性を検討し
ん(HCC)薬ソラフェニブの有益な効果が紹介さ
Medicine, Richmondは、非アルコール性脂肪性
生体マーカーとして循環サイトケラチン18(CK18)
た研究ハイライトを取り上げたVijay H. Shah,
れた。この薬剤は肝のレセプターチロシンキナー
肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性
の今後の利用可能性が取り上げられている。Dr.
MDは、門脈圧低下について臨床試験中の多数
ゼを阻害して作用するが、多くの患者での忍容性
肝炎(NASH)の研究の多数の進歩について発
Sanyalは、CK18のデータを「非常に有望である
の新しい薬物治療について論じた。
の低さにより有効性が制限される可能性がある。
表した。これらはいずれも、驚くべき速度で発症
がさらに微調整が必要である」と述べた。
非選択的β遮断薬カルベジロールなどの薬
また、慢性肝性脳症の治療および消化管細菌
率が上昇している肝疾患である。
NASH 患者が肝硬変でなくてもHCCを発症
物は、門脈圧を低下させ、内臓出血のリスクの
の阻害による門脈圧亢進症の改善への、吸収可
Dr. Sanyalは、
「 真のNASH 遺伝 子」の最初
することについての研究は「警告は発せられてい
低下という二次的利点をもたらすことが示され
能でない抗生物質rifaximinの使用可能性につ
の発見について脂肪肝の発症の根 底にある
る」とDr. Sanyalは述べ 、この疾患が公衆衛生
た と、Dr. Shah, professor of physiology and
いてもDr. Shahは意見を述べた。
PNPLA3 遺伝子の突然変異をあげた。この遺
上の大きな問題になり得ると付け加えた。
medicine at the Mayo Clinic Medical School,
「この研究により、慢性肝性脳症向けの安全で
伝子を単離すれば、本疾患ハイリスク患者の早
最後に、ピオグリタゾンに対するビタミンEでの
Rochester, MNは述べた。しかし、内臓出血や
かつ有効で忍容性のよい新薬が特定されるであ
期同定への扉を開くことになるであろう。
NASH治療のベネフィットを示した、先週発表さ
門脈圧亢進症の他の合併症を減少させる治療
ろう」
とDr. Shahは語った。
また、脂肪性肝疾患および NASHの診断を改
れたばかりの研究を取り上げた。この研究では、
の開発には、さらに研究が必要であると言う。
最後に、肝硬変における抗凝固因子の存在ま
善する可能性のある一組の研究も紹介した。一
ピオグリタゾンもビタミンEも脂肪肝を改善した
スタチン類は、血管機能を改善して心機能に
たは欠如を検出するための臨床検査に関する研
方の研究では脂肪性肝疾患の発症のベースにあ
が、ビタミンEは、ピオグリタゾン投与患者でみら
門脈圧亢進症の治療に関する研究ハイライトを紹介するVijay H. Shah, MD
有益であるばかりでなく肝機能にも有益であるこ
究が紹介された。この検査により、肝硬変およ
る脂質代謝異常を評価している。これは診断マー
れた体重増加を伴わずにエンドポイントを達成し
とが、多くの研究で繰り返し示されている。Dr.
び門脈圧亢進症の患者における凝固/出血の相
カーとして利用できる可能性がある。Dr. Sanyal
たことが示されていた。
Shahは、血中一酸化窒素の活性化によりβ遮断
対リスクがわかる可能性がある。
が「非常に重要」と述べた2 番目の研究では、
AGA
PG コースで議論された、
上部 GI 研究の進歩
近年 、バレット食 道、GERDなど上部 GI 疾
低悪性度異形成ではそれぞれ 91%、23%であっ
患治 療に関する研究が、盛んに行われてい
たことが報告されている。また、腫瘍の異形成へ
る。1日(土)に行われた、上部 GI 疾患をテー
の進行率は、高周波切除ではわずかに3 .6%で
マとしたセクションのAGA Institute Spring
あったのに対し、光力学療法では16 .3%であった。
Postgraduate Courseでは、いずれの疾患にお
異形成からがんへの進行率は、高周波切除では
いても、疾患の解明が治療の進歩に結びついて
1.2%であったのに対し、光力学療法では9 .3%で
いると報告された。
あった。
「バレットの物理的特徴が、内視鏡治療を制
「高周波は最も効果的で保護的な処置と思わ
限している」とStuart J. Spechler, MD, AGAF,
れる」
とDr. Spechlerは結論した。
chief of gastroenterology at the Dallas VA
酸逆流の治療も変化している。最近の成績で
Medical Center, TXは述べた。粘膜内がんであ
は、プロトンポンプの阻害、胃内pHのコントロール
るT1a 腫瘍は、内視鏡治療で治癒する可能性が
において、dexlansoprazole、tenatoprazoleなど
ある。一方、粘膜下組織まで浸潤したがんである
の長時間作用型プロトンポンプ阻害薬(PPI)
の方
T1b腫瘍は、転移の可能性
が短時間作用型薬剤と
があり、内視鏡的粘膜切除術
比べて、24 時間にわたり、
(EMR)
では治療することが
「 運動性改善薬には将
Dr. Spechlerは、
「 正 確な 来性がある...」
より有効であることが示
できない。
されている。
Tステージ分類は、EMR が
登 場している」と、John
可能かどうかを決定するのに
John Inadomi, MD, AGAF
きわめて重要である」
と述べ、
「検 討すべき新薬が
Inadomi, MD, AGAF,
professor of medicine
「EMR自体が、非常に正確なステージ分類がで
and chief of clinical gastroenterology at the
きる技術である」と続けた。EMRにより粘膜下
University of California, San Franciscoは述べた。
組織への浸潤が示された場合は、組織切除また
パイプラインにおいても新薬が 登場してい
は食道切除術を考慮すべきである。
る。GERDは酸による疾患ではなく、運動性疾
切除方法には、熱(レーザー、電気凝固、プラ
患であることを想起することが重要である、とDr.
ズマビーム、高周波)
、凍結(液体窒素または二
Inadomiは語った。バクロフェン、lesogaberanの
酸化炭素)
、光力学療法などがある。
2 つのGABABアゴニストは、一過性下部食道括
最近の成績では、光力学療法は高周波除
約筋弛緩に有効性が示されている。
去より有効性が 低いことが示されているとDr.
Dr. Inadomiは、
「これらの薬剤は非常に有望
Spechlerは語った。
無作為化シャム対照試験では、 で、現在、第Ⅲ相試験が行われている」
と述べ 、
12ヵ月後の成功率は、高悪性度異形の高周波除
去では81%であったのに対し光力学療法は19%、
AGA後援者
「運動性改善薬の方が PPIsよりも将来性がある」
と今後の方向性を示した。
1日( 土 )夜、Latrobe’
s in New Orleansで開催された基金の年次後援者晩餐会で、AGA Foundation for
Digestive Health and Nutrition 会長を退任するSidney Cohen, MD, AGAF(左 )
は、次期会長 Nicholas F.
LaRusso, MD, AGAFと対談した。
Translation of the official newspaper of Digestive Disease Week® 2010