京都市の観光施策 - 日本観光振興協会

京都市の観光施策
2013年5日2日
京都市長 門川大作
City of Kyoto
我が国の課題と今後の方向性
経済力,軍事力に増して,文化力(ソフトパワー)が評価される時代
我が国の現状
少子高齢化,経済停滞・・・・・・・
我が国の課題
我が国固有の文化と経済を融合させる成長戦略による活性化の必要性
各都市の都市格の向上
→国家としてのブランド力の向上
京都の重要性及びその果たさなければならない責務の重大化
「光」を「観せる」,
「観光」等を通じ,日本及び世界に貢献。
City of Kyoto
世界的な歴史都市京都
京都は,歴史都市として世界で重要な役割を果たしている。
世界遺産条約採択40周年記念最終会合を京都で開催
世界遺産条約が採択されて40周年に当たる平成24年11月に,40年間の総括と将来的な展望をまとめる
ための最終会合で,同年1月30日にパリのユネスコ本部で行われた開幕行事を皮切りに,世界各地で記
念行事が開催され,そのラストを飾った。世界遺産の過去・現在・未来の「京都ビジョン」を採択,発信
世界歴史都市連盟
・目的 「歴史都市の保存と開発」という歴史都市が直面している課題の解決
歴史都市という共通の絆で結ばれた都市が日常的な交流を促進するための世界的都市間組織
(59カ国95都市で構成)
・設立 平成6年4月(第4回世界歴史都市会議にて発足)総会は,原則2年に1度
世界文化遺産地域連携会議
・目的 文化財の永続的な保全やそれを前提とした観光と地域づくりの在り方,各種共同事業の
実現等について積極的情報交換を行う。(東北から沖縄まで11地域)
・設立 平成23年6月
City of Kyoto
世界に誇る京都の特性
世界に誇る京都の特性
山紫水明の自然,歴史都市,宗教都市,環境先進都市,教育先進都市,福祉先進都市,
文化芸術都市,食文化都市,人権都市,観光都市,国際都市・多文化共生都市,大学のまち,
学生のまち,ものづくり都市,ものがたりづくり都市
京都は,古来から「ものづくり」(物質)の中心であったと同時に「ものがたりづくり」(精神)の中心であった。
そのような環境の中で,「人づくり」が行われ,その人達が京都の「まちづくり」を行ってきた。
また,優れた文化の集積,都市としての多面性,高いホスピタリティなどにより,世界のトップクラスの観
光都市となる潜在力を有する。
京都の特性を活かした発信
⇒京都の歴史,伝統,文化を体験
日常に根付いた京都の奥深い魅力を体験を通じて味わう。
⇒伝統音楽,クラシック音楽を世界へ発信
邦楽アンサンブル「みやこ風韻」,日本で唯一の自治体直営オーケストラである京都市交
響楽団などを通じて,古都・京都から音楽の音色を世界に響かせる。
⇒都市格の向上
建築物の高さ規制,京都にふさわしい建築物のデザイン基準の策定,
屋外広告物の規制,眺望や借景の保全に取り組むことで,京都のかけ
がえのない自然的,歴史的景観を守り都市格の向上を目指す。
City of Kyoto
「世界文化首都・京都」を目指す
世界の文化首都・京都
京都文化の裾野を拡大し,多くの人材が活躍する文化の都を実現する。 首都機能のバッ
クアップの必要性が高まるなか,皇族の一部を京都にお迎えするとともに,文化庁,観光庁機
能を京都が担う。
・双京構想の実現
(日本の大切な皇室の弥栄のために,東京だけでなく京都に皇族の方にお住まいいただく。)
・文化庁,観光庁の京都移転
(日本文化の中枢都市・京都が日本文化の継承と発展を支え日本観光の充実を牽引)
・保全と創造のまちづくり
(美しい町並みを保全し,日本人の「こころの故郷」京都に新たな活力を創造するまちづくり)
・クール京都構想の実現
(世界の文化関連産業でのトップブランドの確立)
City of Kyoto
京都市における新たな観光振興計画
「5000万人感動都市」へ
“いよいよ旅の本質へ”
京都が目指す新しい姿
「質の向上」を目指す!
「量を確保」する
5000万人感動都市
旅の“本質”とは・・・
人に出会い,風景に出会い,心打たれる出来ごとに出会い,
―そして旅を通して,気付き,学び,癒され,
元気をもらい,成長し,人生が深く,豊かになる。
京都はこうした旅の本質を,より多くの方々に,
誰が来ても,いつ来ても,思う存分堪能いただける,
世界で一番のまちを目指します。
City of Kyoto
京都市における新たな観光振興計画
「5000万人感動都市」へ
京都が目指す新しい姿
“いよいよ旅の本質へ”
「質の向上を目指す!」
「量を確保する」
「7つのプロジェクト」と主な「重点事業」
1
2
3
4
5
6
7
「暮らすように旅するプロジェクト」【重点】
「歩いてこそ京都」プロジェクト【重点】
「市民の京都再発見」プロジェクト【重点】
「心で“みる”京都」プロジェクト【重点】
「観光客の不満をゼロに」プロジェクト
「新たな京都ファン獲得」プロジェクト
「京都の魅力をうまく伝える」プロジェクト
観光スタイルの質の向上
観光都市としての質の向上
City of Kyoto
京都観光の不満ゼロを目指して
不満ゼロのまちを目指し,受入環境整備を重視
感動
不満
国内
国内
・寺院のライトアップが良かった
・風景が素晴らしかった
・京野菜を使った料理がおいしかった
・市民がやさしく,道を聞いても気軽に
応じてくれた
・バス乗り場や地下鉄乗り場がわかりにくい
・紅葉の色付きが悪かった
・路上駐車が多かった。
海外
海外
・寺院・神社がきれい
・人が親切
・紅葉など自然の風景が美しい
・道にごみがない
・寺院やホテル・旅館などで英語のサインが少ない
・交通費や入場料が高い
・バスが複雑
・ホテルや駅でインターネット,wifiがない
京都観光総合調査(2011)
City of Kyoto
京都市における外国人宿泊客数の推移
1000.0 (万人)
120.0 (万人)
京都市外国人宿泊客数(右軸)
900.0
834.7
861.1
835.1
100.0
800.0
訪日外客数(左軸)
733.4
679.0
672.8
700.0
ビジット・ジャパン・
キャンペーン開始
600.0
500.0
421.8
383.7
621.9
523.9
60.0
521.2
443.8
410.6
80.0
613.8
475.7 477.2
400.0
40.0
300.0
54.4
73.0
92.7
80.3
93.7
78.4
98.4
200.0
51.5
39.6
100.0
41.4
40.0
39.5
39.8
38.4 48.1
45.0
0.0
20.0
0.0
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
(年)
京都市観光調査年報(2011)
JNTO統計(2011)
City of Kyoto
京都市における月別宿泊客数
月別京都市宿泊者数
千人
月別京都市宿泊外国人客数
人
1,400
70,000
1,200
60,000
1,000
50,000
800
40,000
600
30,000
400
20,000
200
10,000
0
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
京都観光総合調査(2011)
City of Kyoto
京都市における国・地域別外国人宿泊客数
京都における外国人宿泊客数で見ると欧米が圧倒的に多い
京都市内外国人宿泊客数
平成10年
アメリカ
オーストラリア
フランス
イタリア
中国
6.8万人
1.0万人
0.8万人
0.3万人
1.0万人
平成15年
12.8万人
2.2万人
1.7万人
0.4万人
2.8万人
平成22年
28.1万人
7.8万人
7.2万人
3.5万人
7.7万人
平成22年
/平成10年
4.1倍
7.8倍
9倍
11.7倍
7.7倍
京都市観光調査年報
City of Kyoto
世界の旅行者から注目を集める都市,京都
京都は,我が国の旗振り役として先陣を切っていけるポジションにある
Travel + Leisure 世界第9位 (2012)
Conde Nast Traveler アジア部門 第1位 (2011)
City of Kyoto
観光立国 日本を牽引する誇りと責務
日本文化の拠点であり,我が国を代表する国際観光都市として,観光庁との連携強化により,
観光立国の牽引役を果たす
(共同プロジェクトの内容)
1 外国人観光客受入環境の充実
2 ラグジュアリー層を中心とした
外国人観光客の誘致
3 外国人観光客動向の調査
4 休暇取得・分散化の促進
等
City of Kyoto
ILTMの誘致
世界で最もブランド力ある商談会を京都で開催し、「京都」のブランド力の向上を図る
ILTM Asiaとは
• ラグジュアリー層向け旅行市場に関
するバイヤー(ラグジュアリー層を顧
客とする旅行エージェント)とサプラ
イヤー(高級ホテル、DMC等)のB
to Bの商談会
• カンヌで開催されるILTMのアジア版
として、2007年より上海で開催
これまでの経緯
平成22年6月 Reed社へのトップセールスを実施
平成23年1月 Reed社のILTM Asia責任者を京都に招請
平成23年6月 ILTM Asia初の公式プレトリップを京都で開催
平成24年6月 京都を含む5都市においてILTM Asia公式プレトリップを開催
平成25年3月 ILTM Japanを京都で開催
City
City of
of Kyoto
Kyoto
緊急対応のコールセンターの設置
外国人宿泊観光客をサポートするコールセンターを設置
京都を訪れる外国人観光客が抱
える大きな不安のひとつとして,
言語対応の不足があげられる。
外国人観光客の京都滞在における満足
度向上を図るため,京都文化交流コンベ
ンションビューローと連携し,外国人旅行
者向け多言語コールセンターを設置。
・24時間体制
・3カ国語(英・中・韓)で対応
City of Kyoto
観光案内標識アップグレード
「歩く観光」を推進するため「歩く観光客・市民」を対象としたシンプルでわかりやすい案内標識の整備
City of Kyoto
無料公衆無線LAN整備
誰もが無料で利用できる全国一の自治体無線LAN
現状
KYOTO_WiFi
外国人旅行者が旅行中に困ったこと
第1位(観光庁調査)
「無料公衆無線LAN環境が整っていないこと」
・通信料金が高額
・日本で普及している無料無線LANは特定会社の
携帯電話利用者等に利用が限定されている
(キョウト ワイファイ )
KDDI㈱と㈱インフィニティとの官民共同
バス停や地下鉄駅,セブン-イレブン,公
共施設等において,誰もが無料でインター
ネットを利用できる無線LANスポットを,
全国最大規模の市内630箇所に順次設
置し,運用を開始
City of Kyoto
空港からのアクセス改善
世界の他の観光都市と比較すると,空港から京都へのアクセス改善は不可欠
(関空から京都へのアクセス)
(他都市における空港から市内までのアクセス)
約1時間15分
パリ
(関空特急はるか)
ロンドン 約20分(ヒースローエクスプレス)
約30分(高速郊外地下鉄 RER)
・関空から京都へのヘリコプターによる移動の実現
・京都市,大阪市,阪急電鉄,南海電気鉄道共同による河原町-関空1200円
乗車券の発売 等
City of Kyoto
リニアの誘致
関西全体の発展のために・・・
1 リニア中央新幹線の京都駅ルート
を実現!
2 東京・大阪間の全線同時開業!
3 関西国際空港へのアクセス改善!
関西国際空港
京都府建設交通部資産
City of Kyoto
ユニバーサルツーリズムの推進
高齢者や障がいを持った方などを含め,誰もが観光を楽しめる環境整備を進める
<京都ユニバーサル観光ナビ>
・ユニバーサル・ツーリズム コンシェルジュ機能,モデルコースの充実 等
City of Kyoto
京都のかけがえのない景観を守る
建築物の高さ規制,京都にふさわしい建築物のデザイン基準の策定,
屋外広告物の規制,眺望や借景の保全
○建物の高さ規制・・・幹線道路沿道の街区では,45mの高さ規制を31m
へ引き下げ
○建築物のデザイン・・・屋根の色彩や外壁に使用する材料,バルコニー
の形状に至るまで,地域ごとにふさわしい建築物
等のデザイン基準を設定
○眺望景観・・・歴史的な建物,河川等の自然環境,三方の山並みが一体
となって構成される優れた眺望の保全
○借 景・・・比叡山などの遠くの景観要素を庭園などの眺めに取り込み一
体的な景観として捉える借景など,京都のかけがえのない風
景,景色の保全
○屋外広告物・・・屋上看板,点滅照明禁止,高さ・大きさ・色彩見直し,違
反指導の強化
屋外広告物
規制前
屋外広告
物 規制後
現在も保たれている
統一感ある町並み
山並みの借景
City of Kyoto
修学旅行客の受け入れ
1.現行
修学旅行生のニーズ等を把握し,京都への修学旅行生数を維持
修学旅行全国対象生徒数
6,000
5,000
4,000
3,000
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
京都への修学旅行生維持に向けて・・・
・修学旅行ニーズの把握(団体行動から班別行動による事前学習用資料の提供)
・修学旅行動向の把握(新規実施校獲得に向けた営業活動先の選定等)
・旅館組合,旅行会社等との密接な情報交換による官民一体となった修学旅行誘致
修学旅行生の100万人維持
<約99万人(平成12年) → 約107万人(平成23年)>
City of Kyoto
和食の世界無形文化遺産登録に向けて
日本の食文化をユネスコ無形文化遺産へ
和食とは
・多様で豊富な旬の食材,食品で栄養バランスに優れる。
・年中行事等と密接な結びつきを持つ食文化
・諸外国からも高い評価
京料理とは
・地元の新鮮な食材を活かし,料理だけでなく,食器,部屋のし
つらえなど,五感全て味わう日本の食文化の象徴
日本酒条例
・酒どころである伏見を中心に,京都の日本酒の普及と和の文
化への理解促進へ向け,全国で初めて制定
和食,日本酒を始めとする多彩な食文化を持つ京都
日本料理の更なる発展のために,観光を中心としたあらゆる機会
を活用して,京料理をはじめとした日本料理の精神性などを日本
の食文化として発信を図っていく。
「和食」を世界無形文化遺産に
City of Kyoto
京料理を世界に向けて発信
総合特区で外国人が働きながら日本料理を学ぶためのビザの要件緩和へ
現状・課題
・伝統と文化に根差した京都の食文化や京料理を代表とする日本料理は,海外での注目も高
く,その食文化を学びたいという外国人が増加。
・しかし,外国人が実際に日本料理店で就労しながら京都の食文化や京料理の知識,技能を
学ぶためには,法的規制が多く,現行の在留資格制度においては,十分技能を身につけるの
が困難。
本格的な京料理を世界に向けて発信し,日本料理の市場を拡大するため・・・・
地域活性化総合特区の特例措置として,料理の修業のために就労ビザの発行資格に
ついての規制を緩和
City of Kyoto
新たな魅力の創造
<徹底的な既存ストックの活用>
・京都水族館や鉄道博物館
子供連れにも楽しんでいただく新たな京都の観光地
・京の食文化発信と観光振興拠点となる中央卸売市場の再生整備
京都の四季を五感で味わい,京都の食文化を親しむ!「京の食文化ミュージアム(あじわい
館)」のオープン
・岡崎の再整備
岡崎地域の優れた都市景観・環境を継承し,更なる魅力創出を図る。
・山科の観光
地域観光の振興
など・・・・
City of Kyoto
安心安全な京都観光
東日本大震災を教訓に・・・・
・被災者支援
仙台市からの要請に基づき,保健師や薬剤師,建築士,教員など専門的な職員を直
ちに派遣するなど,本市の総力を挙げて救援・救助活動を展開
・会津若松との連携
震災復興への志と願いを込め,更なる一歩を踏み出す新たな「絆」を結ぶ。
防災対策
・京都市防災総点検
東日本大震災で浮き彫りになった課題を精査し,これまでの京都市の防災対策を専門委員を交えて,
130項目に渡って点検
・外国人観光客を含めた訓練の実施
特に観光客に視点を置いた,災害時の避難誘導や避難場所の指定等を行う(25年度予定)
緊急速報メールを合図に,身の安全を図る行動を行う訓練を実施(25年3月11日実施)
【注意】緊急速 報メールの受信端末は,NTTドコモ,au,ソフトバンクのみ
・帰宅困難者対策
特に観光客に視点を置いた,災害時の避難誘導や避難場所の指定等を行う(25年度予定)
住民にとって住みよいまち
観光客にとって満足度が高いまち
City of Kyoto
真の連携とは
「重なり合うこと」
そして,そのための「自己変革」が必要
連携とは,
「過去」と「相手」は変えられない
変えられるのは
「自分」と「未来」
City of Kyoto