Rassegna storica del Risorgimento【Ris.:3257】 「 リ ソ ル ジ メ ン ト 史 研 究 」 Rassegna storica del Risorgimento は、1914 年に創刊され、現在まで 100 年近い歴 史をもつリソルジメント研究誌。発刊元の「リソルジメント史 国民協会」Societa Nazionale per la storia del Risorgimento は、クローチェが顧問に名を連ね、その後名称を変えながらも、 現在に至るまでイタリアにおけるリソルジメント研究の中心の一つとなっている。 【主要参考文献】 • クリストファー・ダガン著、河野肇訳『イタリアの歴史』創土社、2005 年【2370:62】 • 清水廣一郎、北原敦編『概説イタリア史』有斐閣、1988 年【2370:3】 • G. プロカッチ著、斎藤泰弘、豊下楢彦訳『イタリア人民の歴史』1,2 未来社、1984 年 【Qd:790:1,2】 • ロザリオ・ロメーオ著、柴野均訳『カヴールとその時代』白水社、1992 年【2800:502】 • 黒須純一郎『イタリア社会思想史 : リソルジメント民主派の思想と行動』御茶の水書房、1997 年【3090:264】 • 黒須純一郎『フランチェスコ・フェッラーラの経済的自由主義』一橋大学社会科学古典資料セ ンター、2003 年【Azb:3:49】 • 森田鉄郎『イタリア民族革命 : リソルジメントの世紀』近藤出版社、1976 年【Nc:981】 • イタリア近現代史研究会編『イタリア近現代史文献目録』イタリア文化会館、1980 年【QAa:246】 • イタリア近現代史研究会編『イタリア近現代史洋書総合目録』日外アソシエーツ、1991 年 【QAa:307】( 「イタリア近現代史文献目録」の増補改訂新版) • 竹内啓一「リソルジメント・コレクションについて」 『鐘』9 号、1982 年【ZA:600】 • 尾崎有紀子「一九世紀イタリア出版文化の中のリソルジメント--トレヴェス社、ソンゾーニョ 社を中心に」 『美術史研究』Vol.45、2007 年 pp.1-20 • 柴野均「19 世紀ローマの歴史地理」『イタリア学会誌』No.42、1992 年 pp.28-55【ZA:564】 • 豊下楢彦「リソルジメント研究史の諸問題--戦後論争をめぐって」 『法学論叢』92(4-6)、1973 年 pp.216-252【ZM:2】 • 中川政樹「「イタリア・リソルジメント」研究の諸問題--リソルジメントの解釈を中心として」 『島根大学教育学部紀要 人文・社会科学』 (通号 5)、1971 年 pp.96-108 一橋大学附属図書館 〒186-8602 東京都国立市中 2 丁目 1 番地 URL:http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/index_Ja.html TEL:042-580-8252 (学術情報課 学術・企画主担当) FAX:042-580-8232 (学術情報課) 常設展示 図書館所蔵コレクション紹介 リソルジメント・コレクション 日 程 :2008(平成 20)年 10 月 7 日(火)~ 場 所 :一橋大学附属図書館 公開展示室 入場時間:月曜~金曜(入場無料、土・日・祝日は閉室) 本コレクションは、北イタリアの実業家ジャンニ・カプローニ(1886-1957)が生涯かけて収集 したリソルジメント (近代イタリア統一運動)に関する旧蔵資料を中核とし、これにイタリア国 家参議会が 1944 年に放出した蔵書およびファシズム時代の政治家チェザーレ・マリア・デ・ヴ ェツキ・ディ・ヴァル・チスモン(1884-1959)の蔵書に由来するコレクションが追加されたもの である。 内容的には 19 世紀初頭以降のイタリア統一国家形成のための政治運動、思想運動に関する文 献で構成されている。また、同時代人によるリソルジメント運動の記述として、古典的評価が与 えられているものの他、1950 年代までに発表されたリソルジメントに関する研究書が多数収め られている。 リソルジメントの政治運動、思想運動に携わった当事者の著作(その多くは初版) およびこれ ら運動家の伝記が自由主義穏健派および民主主義派の双方に渡って広く集められているのが、こ のコレクションの重要な特色である。 なお、本コレクションについては、2005 年までに目録の電子化作業を終えており、大部分が 附属図書館オンライン目録 HERMES から検索可能となっている。 リソルジメントとは リソルジメント(Risorgimento)とは、イタリア語で「復興」を意味するが、一般的には 18 世紀末から 1870 年に至る近代イタリアの国民国家形成過程を指す。イタリア統一運動あるいは 「イタリアの統一」ともいう。 ナポレオン体制崩壊後のウィーン体制のもとでイタリアには、オーストリア支配下のロンバル ド・ベネト王国、トスカナ大公国、教皇庁、パルマ公国、モデナ公国、ルッカ公国、スペイン系 ブルボン朝の両シチリア王国、そしてサルデーニャ王国が分立していた。そして最も影響力を保 持していたのは隣接する大国オーストリアであり、その宰相メッテルニヒであった。 18 世紀におけるポンペイ遺跡発掘などの事業は、イタリアが古代ローマ以来の文化的伝統を もつことを人々に改めて想起させたが、こうした意識は現状の割拠状況への不満へとつながり、 すでに 18 世紀から、オーストリアの支配からの独立や統一イタリアの形成を模索する動きをさ まざまな仕方で促していた。19 世紀に入ると秘密結社のカルボナリ(炭焼)党などが立憲自由 主義の運動を非合法に展開し、1820~30 年代には各地で革命的反乱を引き起こしたが、いずれ もオーストリア軍の介入で鎮圧された。 これらの秘密結社は、少数の上層部のみにより主導されており、組織の具体的な目的があいま いにしか共有されていなかったため、共和主義の革命家マッツィーニは、民族の独立と統一共和 政の樹立という明確な目標を掲げ、1831 年に青年イタリア党を結成した。結成後は北イタリア を中心に主要都市に支部を広げて 30 年代に幾度かの蜂起を試みたが、いずれも失敗に終わった。 一方で、1830 年代以降の北部の経済的発展を背景として 40 年代には穏健的な自由主義運動も 存在した。単なる蜂起や領土の拡大ではなくイタリアの近代化が独立と統一に不可欠であるとい う世論が新聞・雑誌を通じて形成されていったのである。そして 50 年代に入ると北部出身の知 識階層から政治・経済の自由主義思想を持った人々が出てきた。カヴールはその代表者といえる。 両者の立場の相違は国内における階級的差異と地域的差異と関連しながら、結局統一後のイタリ アの国内問題として現代に至るまで尾を引くことになる。 フランスの二月革命(1848 年)に端を発して全欧を巻き込んだ三月革命は、イタリアでもリ ソルジメント運動を加速させたが、その一方で民衆革命による急激な体制転換への懸念も北部の 知識人層に植えつけた。オーストリア軍やフランス軍による武力鎮圧により、その動きが数年を 経ずして鎮静化すると、カヴールを首相とするサルデーニャ王国は、民衆革命を伴わずに独立と 統一を達成する道として外交戦術を採用し、イタリア北部を中心に諸邦や諸都市を併合する形で 徐々に統一を進めていった。 しかし、ガリバルディらはこのような政策に激しく抗議し、独自のイタリア解放を目ざして、 1858 年には義勇軍によるシチリア遠征を敢行した。彼らは半島南部を席捲することができたが、 農民や共和主義者の蜂起に支えられていた点で、北部におけるサルデーニャ王国の動きとはかな り異なるものであった。ガリバルディは最終的に、その征服地を全てサルデーニャ国王ヴィット ーリオ・エマヌエーレ 2 世へ献上し、これにより 1861 年春イタリア王国が発足した。 その後、未回収の領土であるヴェネツィアを含むヴェネト地方は 66 年の普墺戦争の際に、ロ ーマは 70 年の普仏戦争の際に王国に併合され、ここにイタリアの統一が完成した。 ■展示資料 Storia del Risorgimento italiano / narrata da Francesco Bertolini. Milano : Fratelli Treves, 1889【Ris.:308】 フランチェスコ・ベルトリーニ『イタリア・リソルジメントの歴史物語』 。 豊富な図版によってリソルジメント運動の歴史をわかりやすく物語ったも の。ベルトリーニ(1836-1909)は歴史家で、リソルジメントに関する著作 も数多く、リソルジメント・コレクションにも 6 点が収録されている。 L'Italia nel 1848-49 : quadri storici del Risorgimento / Guido Tabet. Milano : Editori-Alfieri & Lacroix, [1---]【Ris.:3021】 『イタリア 1848-49 絵で見るリソルジメント史』。ページをめくるたび に現れる色分けされた 13 枚の地図によって、1846 年当時から 1848 年のシ チリア独立運動の激化、ロンバルド・ヴェーネト各地での蜂起、トスカー ナにおける臨時政府の樹立、ローマ共和国の成立と瓦解、ヴェネト共和国 の成立と瓦解などを経て、1849 年の旧体制回復に至るイタリア半島の領土 分割の状況の変化を一目でわかるようにしたもの。 Proclama : Cittadini di Bologna e delle province unite !, 1859【Ris:2604】 布告『ボローニャおよび諸州の市民たちよ、団結せよ』。1859 年 7 月 4 日 にボローニャの政府臨時中央委員会が発令した布告。オーストリア軍との戦 争に備えて市民の団結を訴えたもの。ボローニャでは市民蜂起の結果 1859 年 6 月 12 日にオーストリア占領軍が撤退したが、その後サルデーニャ王国への 編入が完了するまでのごく短期間、ジョアッチノ・ナポレオーネ・ペポリら を首班とする臨時政府が樹立されていた。 Cavour nella caricatura dell'Ottocento / GEC (Enrico Gianeri) ; prefazione di Vittorio Badini Confalonieri【Ris.:1353】 『19 世紀風刺画に描かれたカヴール』 。1957 年出版。1848 年からカ ヴールの亡くなった 1861 年までを中心に、当時の雑誌、新聞から 360 点の政治風刺画を編年で集めたもの。カヴールが活躍した 19 世 紀半ばは、イタリアにおける風刺雑誌の草創期で、この本にも多数 の風刺画が収録されている”Il Fischietto”(1848 年創刊)を初め として、多くの専門誌が創刊されている。 Il pensiero di Mazzini : scritti di Bergmann, Conti, De Donno, Golfieri Masci, Mormina-Penna, Parri, Perassi, Ruffini, Salvatorelli, Zuccarini【Ris.:766】 『マッツィーニの思想』。1949 年にマッツィーニ顕彰国民委員会が刊行し た、マッツィーニの政治思想についての論文集。ルイージ・サルヴァトレッ リ、フランチェスコ・ルッフィーニ、フェルッチオ・パッリなどがさまざま な機会にマッツィーニについて論じた文章が集められている。執筆者の多く は歴史家やジャーナリストで、1945 年に短期間イタリア首相を務めたパッリ をはじめとしてイタリアの政治に参画した人々も数多い。 Scritti e discorsi politici e militari / a cura della Reale commissione【Ris.:1298:3】 ガリバルディ『政治・軍事論』 。1934 年から 1937 年にかけてイタリア王立 委員会の監修によって国費により刊行された 6 巻本のガリバルディの著作集 の 1 冊。 『政治・軍事論』は 3 巻からなり、ガリバルディの論説、手紙、演説 の記録などが編年ごとに収録されている。写真は第 3 巻で、1868 年から 1882 年に至るガリバルディの軌跡をたどることができる。 Scritti politici / Camillo Cavour ; nuovamente raccolti e pubblicati da Giovanni Gentile 【Ris.:650】 カヴール『政治論集』。イタリアの哲学者ジョヴァンニ・ジェンティーレ (1875-1944)により編纂され、1925 年に刊行されたもの。サルデーニャ王 国の首相になる以前、ジャーナリストとして新聞『リソルジメント』で論陣 を張っていた時代にカヴールが記したさまざまな長さの政治関係の文章 63 編(1847 年 12 月 15 日から 1850 年 10 月 11 日まで)が収められている。
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