環境保全・公害防止について

資料№1
環境保全・公害防止について
平成 24 年 10 月 15 日開催
恵庭市焼却施設検討専門部会
1.環境保全・公害防止対策の考え方
焼却施設は、その焼却処理プロセスのなかで、排ガスや排水、悪臭、騒音、振動等を発生する
恐れがあります。このため、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等の公害規制法令に適合するもの
でなければならず、関連条例等による規制とあわせ、環境保全に支障が生じないようにしなけれ
ばなりません。
また、これらの公害要因に対しては、各々の環境保全設備による低減対策を講ずるだけでなく、
発生そのものを抑制するように努めなければなりません。
公害防止のための具体的な基準については、建設地が特定され施設整備基本計画を策定する段
階で設定することになりますが、施設周辺に与える様々な影響を軽減し、住民の不安感を払拭す
るように十分配慮することが必要です。
2.排ガス基準
排ガス中の「ばい煙」
(ばいじん、硫黄酸化物、塩化水素、窒素酸化物等)及びダイオキシン類
については、大気汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法及び関連法令等で定める排出基準
値以下としなければなりません。
排ガス基準については、環境負荷の低減や施設周辺の環境保全を図るために法規制値よりもさ
らに厳しい基準の設定を目指して検討します。排ガス規制物質の法の規制値と特徴は表 1 のとお
りです。
表 1 排ガス規制物質の基準と特徴
項目
規制値
3
規制物質の特徴
ばいじん
0.08g/m N
すすや燃えかすなど排ガス中に含まれる粒子状の物質
硫黄酸化物
K 値=17.5
700mg/m3N
430ppm
燃料に含まれている硫黄分が燃焼して発生する
窒素酸化物
250ppm
窒素と酸素の化合物で主なものは一酸化窒素と二酸化窒素
ダイオキシン類
1ng-TEQ/m3N
塩化水素
無色の刺激臭を持つ気体
他の物質と簡単に反応しない性質を持ち、水に溶けにくく、
蒸発しにくい物質
※規制値は施設規模を 52t/日と想定した場合の数値である
参考:排ガスの法規制値
法 規 制 値
項 目
ばいじん
ダイオキシン類
4t/h以上
0.04g/m3 N以下
処理能力
2~4t/h
0.08g/m3 N以下
2t/h未満
0.15g/m3 N以下
0.1ng-TEQ/m3 N以下
1ng-TEQ/m3 N以下
5ng-TEQ/m3 N以下
※
硫黄酸化物(SOX)
K=17.5以下
塩化水素
430ppm以下
窒素酸化物(NOX)
250ppm以下
※硫黄酸化物の規制値は、K値という地域ごとに定められた係数で煙突の高さをもとに許容排出量を定める規制法
式です。
1
<参考>
道内自治体の排ガス基準
道内自治体の排ガス基準は表 2 のとおりです。
表 2 道内自治体の排ガス基準
公害防止基準
地方公共団体名
施設名称
処理
能力
処理方式
炉
数
使用
開始
年度
ばいじん
3
(g/m N)
硫黄酸化
物:SO X
(ppm)
塩化水素:
HCl
(ppm)
窒素酸化
物:NO X
(ppm)
(t/日)
根室北部廃棄物処理広域
連合
北しりべし廃棄物処理広
域連合
釧路広域連合
札幌市
日高中部衛生施設組合
西いぶり広域連合
渡島廃棄物処理広域連合
根室北部広域ごみ処理施設
流動床式ガス化溶融炉
北しりべし広域クリーンセンター
ダイオキシ
ン類
(ngTEQ/m 3 N)
62
2 2006
0.01
100
100
150
0.1
ストーカ式
197
2 2006
0.02
50
50
100
0.1
釧路広域連合清掃工場
白石清掃工場
日高中部環境センター
西胆振地域廃棄物広域処理施設
渡島廃棄物処理広域連合 ごみ処理施設
流動床式ガス化溶融炉
ストーカ式
シャフト炉式ガス化溶融炉
キルン式ガス化溶融炉
キルン式ガス化溶融炉
240
900
38
210
126
2
3
2
2
2
2005
2002
2002
2002
2002
0.01
0.02
0.15
0.01
0.01
50
100
K値=17.5
50
20
50
100
430
50
50
50
150
250
100
100
0.1
0.1
0.1
0.1
0.01
江別市
江別市環境クリーンセンター
キルン式ガス化溶融炉
140
2 2002
0.01
K値=3
61
0.05
北見市
登別市
苫小牧市
十勝環境複合事務組合
旭川市
大雪清掃組合
札幌市
函館市
千歳市
札幌市
北見市廃棄物処理場
クリンクルセンター
沼ノ端クリーンセンター
くりりんセンター
旭川市近文清掃工場
しらかば清掃センター
発寒清掃工場
日乃出清掃工場 (3号炉)
環境センター焼却処理場
駒岡清掃工場
流動床式
流動床式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
ストーカ式
165
123
210
330
280
75
600
180
195
600
3
2
2
3
2
2
2
1
2
2
2000
1999
1998
1996
1995
1993
1992
1991
1989
1985
0.02
0.05
0.02
0.02
0.02
0.05
0.03
0.02
0.01
0.01
70
430
430
430
430
50
200
200
430
300
400
50cm 3 /Nm 3
250
250
250
250
150
200
150
250
250
150
苫小牧市
糸井清掃センター
ストーカ式
200
1 1982
0.02
450
430
250
出典:ごみ処理施設台帳(平成21年度)、自治体のホームページ
2
K値=17.5
100
K値=17.5
30
100
100
0.1
0.1
0.1
0.5
0.5
1
0.1
1
1
1.0
(目標0.5)
3.排ガス処理対策
焼却施設については、法律や国のガイドラインで構造や焼却方法が定められており、構造基準
では、焼却設備は空気取り入れ口と煙突の先端以外では外気と接しないようにすることや、ダイ
オキシン類の発生が抑制できる 850℃以上でごみを焼却できる性能を有することなどが定められ
ております。一般的な排ガスの除去方法は表 3 のとおりです。なお、排ガス基準値によっては、
排ガス中の有害物質を除去する機器構成が変わる場合があります。
表 3 排ガスの除去方法
項目
ばいじん
除去方法
ろ布と呼ばれる布状のフィルターなどを用いて排ガスを通過させ、ばいじ
んなどをろ過捕集するバグフィルタ(ろ過式集じん器)で取り除きます。
硫黄酸化物
消石灰または重曹などのアルカリ剤(粉末)を排ガスに吹き込んで、ガス
の状態となっている硫黄酸化物や塩化水素を吸収させた後、バグフィルタ
塩化水素
窒素酸化物
で取り除きます。
焼却炉内での燃焼を自動コントロールして発生を抑制し、排ガスにアンモ
ニアなどの薬剤を吹き込む方式や触媒脱硝反応塔と呼ばれる装置で取り
除きます。
ダイオキシン類
・24 時間運転による燃焼の安定化、効率化を図って 850℃以上の燃焼温度
を保ち、ごみを完全燃焼させ発生を抑制させます。
・排ガスを 200℃程度まで急速に冷却してダイオキシン類が再合成される
のを防ぎます。
・活性炭を吹き込んでバグフィルタで捕集する方式や触媒によりダイオキ
シン類を分解して無害化する装置で取り除きます。
図1
排ガス処理のイメージ
燃 焼 室
完全燃焼
・850℃以上で燃焼
・24時間運転
・滞留時間2秒以上
・外気と遮断
燃焼室
ごみ
焼却炉
排ガス処理設備
排ガス冷却設備
・200℃以下まで下げる
消石灰等・活性炭
ボイラー
熱交換機
減温塔等
アンモニア
バグフィルター
(ろ過式集じん機)
・ばいじん、硫黄酸化物、塩化水素、
ダイオキシン類を除去
3
触媒脱硝塔
・窒素酸化物の除去、
ダイオキシン類の分解除去
煙
突
◆排ガス測定結果等の情報公開
焼却施設では、排ガスの状況を常に監視し、細心の注意を払って施設の運転を行わなければ
なりません。また、排ガスの測定値や分析結果については、速やかに市民に公表しなければな
りません。
○排ガス測定数値の常時監視
ばいじん、窒素酸化物、塩化水素などについては常時測定し、測定値を電光掲示などで常
時公開します。
○調査結果の公表
常時測定できないダイオキシン類など定期的に調査し、結果を速やかに公表します。
○周辺環境の分析調査
施設内だけでなく、周辺地域に調査地点を定めて大気・土壌等のダイオキシン類の調査を行い、
結果を速やかに公表します。
4.排水対策
焼却施設から公共水域に排出される排水は、水質汚濁防止法及び関係条例で定める排水基準以
下、また、公共下水道に接続される排水にあっては、下水道法及び関係条例で定める水質基準値
以下でなければなりません。これらの基準を十分満足できるように排水対策を行います。排水処
理の原則は、単に各工程から発生する排水についてその処理を考えるだけでなく、施設全体にわ
たる発生過程も含めて、その処理体系を合理的に設定することが重要であり、再利用可能な排水
については極力再利用していきます。
焼却施設における排水は、主にごみ処理に伴う排水、職員や来客などの生活排水、敷地内に降
った雨水が考えられます。これらの排水は、次のように適正に処理します。
1)ごみ処理の排水
ごみ処理の排水は主にごみピットからの排水、灰出し設備などプラント設備からの排水、床洗
浄排水、洗車排水などがあります。ごみピットからの排水は、有機物量が多く、強臭気であるこ
とから、ごみピットに戻すことや、ごみピット汚水処理後炉内に噴霧処理を行うなど適切な処理
を行います。灰出し設備などプラント設備からの排水、プラットホーム洗浄排水、洗車排水など
は、極力再利用するように、クローズドシステムも含め検討します。
2)生活排水
生活系排水は職員や見学者などが利用する水洗式便所や洗面所・浴室から排出されるものです。
これらの排水は、合併処理浄化槽または公共下水道により適正に処理します。
3)雨水
雨水は、敷地内に調整池などを設けて水量を調整して放流する等の対策を行ないます。
4
5.臭気対策
敷地境界、煙突等の排出口、排水などの臭いは悪臭防止法及び関係条例の基準を満たすよう適
切な悪臭対策を講じます。
焼却施設には、悪臭源となるごみの受入設備等の工程、設備があります。悪臭を施設から出さ
ないためには、発生源において極力捕集するほか、建物の密閉化、燃焼用空気としての活用及び
施設の適正な維持管理が重要な要素となります。特にごみピットからの臭気については、ごみピ
ット空気を燃焼用空気として常時引き込み、外部に臭気が漏れないよう十分な対策を検討します。
6.騒音・振動対策
敷地境界における騒音、振動は、騒音規制法、振動規制法及び関係条例の基準を満たすよう万
全な防音、振動対策を講じます。
騒音、振動の対象となる設備は空気圧縮機や送風機ですが、その他にも油圧駆動機器やポンプ
等大きなモーターを持つ設備もありますので、低騒音、低振動型の機器の採用、室内の防音対策、
機器の振動対策、配置場所などについて十分検討します。
5