指導案

【英語教育実践演習 2012/11/05】
英語科学習指導案
A 班 H.I, S.S., M.H., & S.H.
1.
対象:茗溪学園高等学校 2 年生
2.
教材:NEW CROWN Course 2 (但し、本時では教科書本文は扱わない)
3.
本時の目標
ドラえもんになって困っているのび太を助ける道具について英作文する場面で、仮定法の働きに気づくような文法指
導や、主節と従属節を結びつける神経衰弱ゲームを行うことを通して、仮定法の文法形式や適切な使用場面を理解し、
自分で表現できるようになる。
4.
題材・目標設定の理由と授業の概要
仮定法には、仮定法現在・仮定法過去・仮定法過去完了の 3 つの時制が存在する。仮定法は、話し手が事実をその
まま述べるのではなく、自分の頭の中の仮想の世界のこととしてありそうもないことを仮想したり、自分の願望や要
求を表したりするような場合に用いる。生徒は既に一度教科書を通して仮定法について学んでいるが、仮定法過去と
仮定法過去完了において『過去』という言葉に混乱する場合が多いと考えられる。そのため『過去』という用語を見
つめ直す必要があると考えた。英語における過去形は、大まかに 3 つの『離れた距離』を表している。この『離れた
距離』とは ① 時間的に遠いこと (e.g., I played baseball yesterday.) ② 現実から遠いこと (e.g., I wish I were a bird.) ③
人間関係が遠いこと (e.g., Could you tell me how to get to University of Tsukuba?) である。しかし、日本語の『過去』と
いう言葉は①を表し、生徒も過去形を①の文脈でのみ使うものだと捉えている可能性が高い。本時で扱う仮定法過去
は②に該当し、話し手が実現不可能と考えたことを表現するために用いるのだと理解する必要がある。本時では、仮
定法の基礎的な理解と定着をめざし、仮定法過去と仮定法過去完了の合成形のような応用の形は扱わないこととした。
本時では、言語使用場面を理解した英文を生徒が書けるようになることが目標である。そのために、まず生徒の困
難点を解決するタスクとして、時間軸を用いた簡潔な文法説明を行ったあとに神経衰弱ゲームを行う。この活動を通
して、
「直説法と仮定法」及び「仮定法過去と仮定法過去完了」の文法形式と意味の違いに生徒自身が気づき、ゲーム
を通して理解したことを反復して確認でき、文法形式と用いられる文脈考えながら英文を書くことができるようにな
ることが期待できる。最後に、生徒が学習した表現をより身近なものとして使用できる場面を想定したのが「ドラえ
もんになって困っているのび太を助けよう」という活動である。のび太が現在実現できずに困っていることを解決す
る道具 (非現実の道具であるため仮定法を用いることになる) を考え、その道具があれば何ができるのか仮定法過去を
用いて表現できるようになることを本時の最終目標として設定した。
今回の授業ではライティングに焦点を当てているが、仮定法について整理し直し理解を深めることで、他の 3 技能
でも過去形が出現した時に、話し手 (書き手) の判断を考察できる能力の基礎となると考える。
「楽しい」授業とは、
必ずしも「笑い」がある授業ではなく、笑いがなかったとしてもクラス全員が「わかった」と実感できる授業が「楽
しい」授業だという認識を教師たちが共有し、それを達成したいという思いのもと授業を構成した。
5.
本時のねらい
①
直接法と仮定法の違いを理解することができる。
②
仮定法過去と仮定法過去完了の言語形式と用いられる文脈を理解し、時制と意味を考えながら文をつくることが
できる。
6.
評価基準
授業のワークシートや活動の様子から評価する。

B 評価 (全員が達成すべき目標):仮定法過去を正しく用いて英作文できていればが B 評価とする。

A 評価:上記の仮定法表現にプラスして、既習の表現を用いて英作文や会話をより豊かなものにしていれば A 評
価とする。

時間の調整について

神経衰弱の部分で時間の調整を行う。

自分たちが挑戦する部分

授業の大部分を英語で行う。


生徒の反応に対し、定型表現だけでなくプラス 1 を心掛ける。

生徒が分かっていなさそうな表現はわかるようにパラフレーズしたり、リピートしたりする。
それぞれの活動に生徒自身が意味を見出して、単なる活動やゲームで終わることのないように、指示や説明はわ
かりやすく丁寧にすることを徹底する。
7.
本時案
Time
Teachers’ Activities
導入
1. 挨拶 (+自己紹介)
・初対面の生徒たちを緊張させない
ように活気のある挨拶を行う。
2. Oral Introduction
・ドラえもんの主要な道具 (e.g., ど
こでもドア / タケコプター) を
提示して、英語でのやりとりを通
して生徒からその道具に関する
情報を引き出す。
・「もし○○があったら、××がで
きる」という道具の説明を、仮定
法を用いて発話する。
・仮定法を用いている部分は強調し
たり、リピートしたりしながら発
話し、生徒の気付きを促す。
10 分
Students’ Activities
Points (◎) & Re-designing (△)
・挨拶し、教師の自己紹介を聴く。
・英語の授業に臨む
◎時間をかけない。
・パワーポイントをみながら教師た
ちの発話を聴き、なるべく英語で
発問に答える。
・ドラえもんの道具に関する情報を
クラス全員で共有する
・教師たちが強調しながら発話して
いる部分で(仮定法)過去形が用い
られていることに気づき、なぜ(仮
定法)過去形を用いているのか考
える (ここでは「ドラえもんの道
具は非現実的なものだから仮定
法を用いているのだな」とまで気
付けなくて良い)。
◎英語での口頭説明だけでは理
解できない生徒でも理解でき
るよう、パワーポイントやピク
チャーカードを用いで理解を
補助する。
△英語で発話できない生徒は日
本語で良い。教師はそれを拾っ
て英語で投げ返す
・あるマンガの場面 (メジャーでは
ない場面) をパワーポイントで ・「自分だったら」どんな道具を出
提示し、もし自分がドラえもんだ
してあげるか考える。
ったらどんな道具を出してのび
太を助けるのか考えるよう促す。
実際にドラえもんが出した道具
(i.e., 答え) はここでは提示せず、
「どんな道具が考えられるかな
ぁ」と生徒が考え出したところで
Today’s Goal を提示する。
◎仮定法が使われていることに
気づけるように、キーセンテン
スの部分は特にゆっくり、リピ
ートしながら発話する。
◎生徒たちの中で Today’s Goal に
つながりが持てるような導入
を心掛ける。
Today’s Goal: 困っているのび太を助けよう!
展開
35 分
3. 仮定法過去 (過去完了の) の文
法説明
・ドラえもんの道具を説明するため
に必要な文法事項が仮定法であ
ることを示し、生徒が一度学習済
みの知識を思い出しながら取り
組めるような発問を与える (e.g.,
直説法と仮定法の比較を促す)。
・直説法、仮定法過去、仮定法過去
完了の文を提示し、比較するよう
促すことで、仮定法の使い方に関
する気付きを促す。
・導入で用いた仮定法の文をキーセ
ンテンスとして含める。
・英語における『過去』という用語
・直説法と仮定法の文を比較し、時
制の違いが現実と非現実の違い
を表現しているということに気
づく。
・話し手 (書き手) が非現実的だと
判断した時に仮定法が用いられ
ることを理解する。
・導入で仮定法が使われていた理由
を考え、理解する。
・仮定法過去と仮定法過去完了の文
△英語ができる子だけでなく全
員が参加できるように、隣の席
の友だちと相談しながら直説
法と仮定法の違いがどこにあ
るのか考えるよう促す。
◎導入場面で出てきたキーセン
テンスを文法説明で振り返る
ことで、授業の流れから逸れた
英文が出てこないようにする。
◎「過去」という用語に惑わされ
について、時間軸を用いた図を利
用して簡潔に説明する。
4. 従属節と主節を結びつける神経
衰弱ゲーム *文章例参照
・ルール説明する (教師が実際に黒
板を使ってやみせる)。
・従属節と主節の①形式と②意味に
注目するように促す。
・グループを作らせ、時間を提示す
る。
・ルールが理解できていないグルー
プを支援するために机間指導に
入る。
・主節と従属節の正しい組み合わせ
をゲーム終了時にワークシート
に転記するよう促す。その際、生
徒の意識が時制に注がれるよう
に、時制の部分に下線を引くよう
指示する (e.g., If I had money, I
would buy a new house.)
5. 各グループで英語のマンガを読
み、のび太がどのようなことで困
っているのか把握する
・英語のマンガを配る。
6. ドラえもんになって、困ってい
るのび太を助ける道具を考え、英
作文する
・Oral Introduction で答えを出してい
なかった、マンガを用いて、考え
た道具をどのように英作文すれ
ばよいかモデルを示す。
終末
5分
8.
・発表の良かった点を言ったり、他
のグループに尋ねてみたりし、一
生懸命作ったことを褒める。
7. 本時のまとめ
・仮定法の使い方についてまとめ
る。
を比較し、仮定法過去が「時間的
な過去」を表すのではないことを
整理理解する。
ずに、仮定法過去と仮定法過去
完了の表す時正しく理解でき
るようにする。
・学習活動 3.で学んだ仮定法の文の
つくり方を定着できるように、仮
定法過去と仮定法過去完了の文
法形式を繰り返し検証する (e.g.,
If I had money+I could have bought
a new house.だと従属節は仮定法
過去の時制で主節が仮定法過去
完了の時制になっているため不
適切な文であると判断できる)。
・組み合わせた主節と従属節が正し
いか否かグループ全員で検討す
る。正しければ机の隅に並べてお
き、ゲーム終了時にワークシート
に英文を転記する。
△ゲームの手順も英語で行う。一
度で理解できない生徒のため
にもパワーポイントで手順を
示したままにしておく。
◎直説法と仮定法過去と仮定法
過去完了の意味や形式の違い
を意識して、主節と従属節のマ
ッチングできることが目標で
あるため仮定法過去と仮定法
過去完了の合成形は扱わない。
△主節と従属節の組み合わせの
正誤がなかなか判断できない
生徒には、「まず時制の形に注
目し、その後意味をとる」よう
に促す。
△時間の調整を行う (20~25 分残
せるようにする)。
・どんな点でのび太が困っているの
か状況を読み取る。
・読み取ったことをグループで共有
する。
・教師のモデル文をみて、どのよう
に仮定法を用いているのか把握
する。
・モデル文を参考にして、英作文す
る。
・わからない表現は辞書を引いた
り、教師に尋ねたりする。
・グループの発表を聴きあう。
・本時の授業に関して自己評価する
・授業アンケートに答える
板書計画
Today’s Goal: 困っているのび太を助けよう!!
時間軸を用いた仮定
パワーポイントの
法の説明の図
スクリーン
モデル英作文
△共有する際は日本語でよい。
◎各グループで文脈が異なるよ
うに設定し、お互い他のグルー
プに伝わる英語を書こうとす
ることができるようにする。
△生徒の習熟度を配慮し、英作文
する際、「仮定法過去を正しく
用いること」を最重要視してい
るため、単語の選定や細かなコ
ロケーションはそこまでこだ
わらない。それよりも、伝える
ことを意識するよう促す。
△時間があれば 2、3 人に発表し
てもらう。
◎自己評価することで、仮定法に
ついての理解が深まったか振
り返る。

神経衰弱の文章例
If I had run, I might have got there in time.
If I had had money enough, I could have bought that house.
If I had money, I would buy a new house.
If he had studied hard, he would have got good marks.
If I knew his phone number, I could call him.
If I had enough time, I would go to cinema.
If I were a bird, I could fly.
If it had not rained yesterday, we could have played baseball.