ひずみを考慮した画像計測法によるゴム材料の全視野変位・ひずみ計測の高精度化 大阪府立大学大学院 工学研究科 航空宇宙海洋系専攻 正岡研究室 研究背景・目的 背景 サブピクセル画像照合法 本研究の流れ ゴム材料の変位・ひずみ計測の現状 サブピクセル処理 画像照合法 ai(xi,yi) 本研究の目的 ・ゴム材料への金属ひずみゲージの適用は困難な ので、試験片の標線間の変位差1)、すなわち平均 的なひずみを計測するのが一般的 ・応力・ひずみ集中部等の変形ひずみ挙動を把握 するために、多点計測、精細計測を行うことは非 常に重要 M1 大平紘敬 Δx dy ひずみを考慮した画像照合法の開発 A(ai) ・大変形時における変位・ひずみ 計測の高精度化 ・変形前後2枚の画像で照合可能 ピクセル単位での対応点bj を基準にそ れと隣接する点(x方向3×y方向3)の 輝度相関値から最小二乗曲面を作成 bj(xi+Δx ,yi+Δy) dx A (ai) Δy B(bj) 基準画像 最小二乗曲面が最小値をとるときの 座標(x,y) 比較画像 従来手法との比較・検討することに より上記手法の妥当性の検証 大変形時における計測精度に問題があり、 ひずみ分布に振動が見られる 各々の領域の輝度相関値 Rij(ai,bj)を 残差自乗和相関により求める。 最小二乗曲面 x+Δx-1 輝度相関値Rijが最大時における B(bj)の中心位置bj(xi+Δx,yi+Δy)が 対応点(ピクセル単位)となる。 ひずみ集中問題への適用 参考文献:1)加硫ゴムの引張り試験法 (JIS K-6251) (ISO 37)他 :2)山口晃司,柴原正和,画像処理による非接触変形・応力法の開発, 溶接シンポジウム(2006)他 対応点 輝度相関値 比較画像の画像領域 B(bj) をずらし ながら順次設定 全視野計測が可能な画像処理による変形計 測法2)を適用すれば多点計測、精細計測が可 能になると考えられる 問題点 対応点(サブピクセル単位) 更に高精度化するために 比較する画像領域 A(ai), B(bj)を同 サイズ dx×dy で設定(dx,dyは10 ~100程度) x+Δx x+Δx+1 x ピクセル座標 x方向の最小二乗曲面 全画素について繰り返し適用 増分加算型変形計測法(従来手法) サブピクセル処理を施した画像照合法を連続的に適用す ることにより、変位{Δu1}、 {Δu2}、{Δu3}・・・ {Δun}を 計測 y (xn,yn) ・・・ (x3,y3) (x2,y2) (xx1,y1) 画像2 画像1 変形前画像 画像3 従来システムの流れ 提案システムの流れ 変形中の連続画像を 撮影 変形前後2枚の画像 を撮影 連続する2枚の画像 毎に画像照合 照合範囲を変化させ 画像照合 変位増分を加算し変 位量{Δu}を算出 変位量{u}を算出 この点に輝度値は存在しない 最終変形画像 対応点を追跡 {Δε}=[B]{Δu} {ε}n={ε}n-1+{Δε}n よりひずみを算出 変形前画像と最終変形画像での変位量 {ΔU}={Δu1}+{Δu2}+{Δu3}・・・+{Δun} 照合範囲 + 画像n+1 変形途中画像 変形途中画像 輝度値は画素の中心のみ存在する 照合範囲 相関性の最も高い照 合範囲の変化率をひ ずみ{ε}として算出 変形前画像 空間的な微分を行わない ためノイズが小さく高精度 変形後画像の照合範囲を変化させ、 変形前画像の照合範囲と相関をとる ゴム材料矩形試験片の引張り試験 2枚目 3枚目 4枚目 A-A'上 y方向変位(pixel) 1枚目 40 125 解析領域 t=2 試験片形状・寸法 基準画像 (F=37.6N) (F=61.2N) (F=84.3N) 従来手法 ひずみを考慮した画像照合法 4枚の画像で照合 (%) (%) A A’ Y方向ひずみ Y方向変位 ばらつきのあったひずみ分布が滑らかになった Y方向ひずみ 6枚目 基準画像 (F=12.0N) (F=28.8N) (F=40.3N) 100 50 0 ひずみを考慮した画像照合法(2枚) 従来手法(4枚) 50 100 150 200 250 y座標(pixel) 300 試験片形状・寸法 120 (%) 100 80 A A’ B B’ 60 40 20 0 0 ひずみの振動が軽減 50 ひずみを考慮した画像照合法 (2枚) 従来手法(6枚) 100 A-A’上 Y方向変位 A 4枚目 t=2 150 A A’ 2枚目 200 ひずみを考慮した画像照合法 (2枚) 従来手法(4枚) Y方向変位 1枚目 15 125 変位計測は同程度の精度 2枚の画像のみで照合 (pixel) 解析画像 F 40 250 A-A'上 y方向ひずみ(%) (pixel) 300 A’ 周囲4点の輝度値を用いて線形 補間を行うことで輝度値を算出 き裂を有するゴム材料の引張り試験 両手法の結果比較 解析画像 F 変形後画像 100 150 200 250 y座標(pixel) 300 (F=40.3N) A-A’上 Y方向ひずみ B-B'上 y方向ひずみ(%) {Δu1} {Δun} {Δu3} {Δu2} ひずみを考慮した画像照合法(提案手法) B 80 B’ き裂近傍部までひずみ計測が可能 60 40 20 0 0 100 200 300 x座標(pixel) 400 B-B’上 y方向ひずみ 計測誤差によるひずみ分布の振動を抑えることができた 結言 ・ 画像処理による変形計測法に対し、新たに ひずみを考慮した画像照合法を導入することにより、高精度な変位・ひずみ計測 を導入することにより、高精度な変位・ひずみ計測 画像処理による変形計測法に対し、新たにひずみを考慮した画像照合法 が可能になった。 ・ 大変形時においても変形前後2 大変形時においても変形前後2枚の画像のみで変位・ひずみ計測が可能になった。 枚の画像のみで変位・ひずみ計測が可能になった。 今後の展望 ・ 顕微鏡画像を用いることで、微視的な応力・ひずみ集中部のき裂進展挙動を計測し、き裂進展メカニズムについて巨視的および 微視的の双方から検討を行う。
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