第2回買い物弱者と地域商業研究会拡大勉強会 [PDFファイル

会
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議
録
会議名
第2回買い物弱者と地域商業研究会拡大勉強会
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議題(公開・非公開の別)
(1)あいさつ(公開)
(2)講演(公開)
(3)講演質疑応答(公開)
(4)事例報告(公開)
(5)事例報告質疑応答(公開)
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開催日時
平成23年8月2日(火)午後1時30分から
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開催場所
上越観光物産センター
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中ホール
傍聴人の数
22名
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出席した者(傍聴人を除く。)氏名(敬称略)
・講演講師:加藤弘
・事例報告者:竹内久美、笹川俊晴、大嶋喜久雄、中條勝夫
・構 成 員:岡田政彦、中田英之、細井隆司、松田正人、堀井一男、松川奈々子、
熊田僚己、飯塚和憲、松本美鈴、星野恵司(オブザーバー)、
高野園子(オブザーバー)、佐々木賢一(オブザーバー)
・事 務 局:滝澤産業振興課長、池田副課長、恩田係長、大島主任、立浪主事
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発言の内容【要旨】
(1) あいさつ
(産業振興課
滝澤課長)
・高齢化や人口減尐に伴い、当市においても日常に必要な買い物やサービスが十分に受け
られない方々、いわゆる「買い物弱者」が多くなっている。
・こうした現状を踏まえ、買い物弱者支援のあり方や今後の方策について、商工団体や福
祉分野、市民活動など様々な活動をされている皆様方と意見交換を行い、24 年度の予算
編成に向けて、いくつかのモデルプランにまとめたい。
・今回は経済産業省商務流通グループ流通政策課の加藤課長補佐から講演いただくと共に、
市内で実際に買い物弱者支援に取り組まれている方々から事例報告をいただき、加藤課
長補佐からご助言やご指導をいただくなかで、プランイメージの具体化を図りたい。
(2) 講演
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・本日の日本経済新聞に、長岡市で宅配牛乳を届ける際に御用聞きや見守りも行っている
企業の記事が掲載されていた。尐子高齢化が進む中で、このような事例が見られるよう
になった。
・中心市街地活性化はどうなるのか、地域のまちづくりどうなるのか、どうように住民参
加していくのか、今後数年間大きく問われることになるだろう。
・本日は流通業の課題、買い物弱者対策の方向性、これまでの国の買い物弱者支援施策の
三つについて話をしたい。
<流通業の課題>
○日本の小売業の現状
・百貨店、総合スーパーの売上は 13 年連続で減尐。
・通信販売の売り上げは倍増。
・ドラッグストアの売上は、2000 年に 2.6 兆円だったが、10 年間で約 5,4 兆円伸びている。
○流通業の課題:急激に進む人口減尐・高齢化
・人口は今後減尐していく予測。
・人口ピラミッドも高齢者層が厚い壺型に移行していく。
○買い物弱者の現状
・日常の買い物に不便を感じる人が増えている現状がある。
・高齢者の買い物の行動範囲は約 300m~500m。
○高齢化による消費者の嗜好の変化
・若者は安いことを好むが、高齢者は近くて便利であること、商品が選びやすい店内であ
ること、店員が親切なこと、宅配等のサービスがあること等を重要視している。
<買い物弱者対策の方向性>
・尐子高齢化・人口減尐や市場減尐を受け、大型店に客を集める「集客型」から、売る側
が顧客に接近し、消費者の潜在需要を積極的に掘り起こしていく「接客型」に移行して
いく必要がある。
・採算性を確保するために、二つのアプローチが考えられる。一つは、ITの活用や既存
インフラの新たな活用による運営コストの削減、ネット取引により来店しない客をも取
り込む、新たな需要開拓といった、イノベーションによる課題克服である。二つ目は
民間企業の工夫や確認に加え、地方自治体からの補助金や公有施設の使用、住民の協力
等を活用することで採算性を確保する、地域のボランティア等の非営利主体と連携する
ことで、コミュニティの安全・安心や活性化に寄与するというアプローチである。
○ネットスーパー
・ネットスーパーは現代版御用聞きとして、3 年で 3 倍に増加している。市場規模は 2009
年の 300 億円から、2012 年には 460 億になるのではないかと言われている。
・福島県のスーパーいちいでは、高齢者が公民館等に集まり、タッチパネル式の専用端末
「ネコピット」で注文すると、スーパーに注文が行ってヤマト運輸が引き受けて届ける
というサービスを行っている。集まってわいわいがやがやしながら注文できるシステム
となっている。
○オンデマンドバス
・バスについては、空気だけ運んでいるような路線バスもある。そこで、タクシーを安く
呼ぶことができ、コンビニまで連れて行ってくれるようなオンデマンドの形での移動支
援サービスを行っているところもある。
○地方自治体との役割分担
・三重県四日市市の生活バスよっかいちは住民が中心となって運行している。財政支援は
行政から補助金が月 30 万円、企業からの協賛金が月 50 万円となっている。
・高知県の移動販売車は採算が悪化した際に、顧客の安否確認を行い、異変があった場合
は民生委員に通報する、見守り協定を県と結ぶことで、県から車両購入費の補助を受け
た。
<これまでの国の買い物弱者支援施策>
・これまでの国の買い物弱者支援施策としては、買い物弱者マニュアルの策定、セミナー
の開催、全国の自治体における買い物弱者支援制度一覧の公表、地域商業活性化に向け
た民間の取り組みへの補助等がある。
・買い物弱者応援マニュアルでは、身近な場所に店をつくること、家まで商品を届けるこ
と、人々が出かけやすくすることが必要であることを示している。
・このうち、身近な場所に店をつくるという点については、基礎的な生活サービスを提供
する小さな拠点としての役割が期待される。例えば虐待予防機能、医療・健康サービス
を提供する機能、おしゃれが楽しめる機能、最低限の金融機能など。
○買い物弱者応援マニュアルからの事例紹介
・大分県中津市のノーソンくらぶは周辺住民を会員とするNPO法人により開業した店舗
である。会員が生産した農作物を街のスーパーに出荷し、得た現金収入を住民がノーソ
ンくらぶでの購入資金に充てるというもの。
・福井県生協では中山間地域に移動販売車ハーツ便を運行している。福井県が 2 年間人件
費を補助。
・高齢者向けの宅配事業を行う三重県のドライバーを顧客と接する営業最前線と位置付け、
物を確かめ、良い品物を選んで配達する、接客マナーを徹底する等を実施している。
・岩手県のまごころ宅急便は、登録された高齢者から社会福祉協議会が電話で注文を受け、
地元のスーパーでピッキングし、ヤマト運輸が高齢者宅まで配達するというものである。
店から最大 30km離れていても配達をする。注文と異なるものが届いた場合は、社会福
祉協議会が買い取り、トラブルを回避している。
・茨城県土浦市のキララちゃんバスは、市と地域団体が話し合い、中心市街地活性化を目
指すには交通整備が必要であるとして、運行を開始したものである。
(3)講演質疑応答
(産業振興課
滝澤課長)
・ご紹介いただいた買い物弱者支援策の中で、四日市市のバスが企業からの協賛金月 50 万
円、行政からの補助月 30 万円を受けているということだったが、補助の持続性という点
でどのようにお考えか。
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・例えば広島県呉市の送迎バスの場合、行政からの補助金のほか、地元企業の車内広告を掲
載し、広告費を運行費用に充てている。
・呉市から都会に出た人に、実施団体であるNPOに協賛金を出してもらったりもしている
そうである。
・このように事例の中には補助金に頼らない財源確保の工夫も見られる。
(傍聴人)
・先ほどネットスーパーの話が出たが、上越管内でもコンビニ等がNTTドコモの端末を使
って、宅配業と連携するというような事例も出ていると聞いた。コンビニの動きについて
お聞きしたい。
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・セブンイレブンでは、都市部の高度成長期にできたような集合住宅などに、スマートフォ
ンを貸し出し、インターネットで注文を受け宅配を行うサービスを試験的に始めるという
事例が見られる。
・同じセブンイレブンでは、その物流網を活用し、加盟店が食事を宅配するセブンミールと
いうサービスがある。
・ファミリーマートさんは毎日新聞と提携し、ファミリーマートが電話で受けた注文を毎日
新聞の配達員が宅配する。消費者にとっては、いつも新聞を配達してくれる人ということ
で新聞配達員とは信頼関係があり、安心して買い物の配達も頼むことができる。
(4)事例報告
(中川商店
竹内氏)
・集落の住民で立ち上げた「中川商店」を運営している。
・商店のある坊金集落は、人口 142 人、世帯数 53、高齢化率 45.8%の典型的な過疎化・高
齢化が進む農山村集落。
・A コープが撤退した際、お店をなくしてはいけない、と考えた集落の地元有志で運営し
ている。
・スタッフの大部分はボランティアで運営に携わっている。
・車を持たない高齢者世帯、独居老人宅世帯にとっては、徒歩や電動カートなどで行ける
坊金集落唯一の商店。
・買い物ついでにお茶飲みもできる憩いの場でもある。
・地域で唯一の商店としての継続、独居高齢者等の憩いの場、日中の緊急連絡拠点として
の機能を担っている。
・市の地域活動支援事業を活用し、施設を一部改装し、バリアフリー化した。手狭だった
のが、お茶飲みができる快適な場所となり、趣味の集まり等にも使用されるなど、地域
の拠り所としての機能が強化された。以前は買い物ついでにお茶を飲むという感じだっ
たが、改装後はお茶を飲みに来たついでに買い物もしていく、という人が増え、中川商
店の経営安定化にも貢献した。
・今後どうなるかわからないが、今できることをやりながら、みんなで手を携えて仲良く
やっていきたい。
(牧商工会
笹川室長代理)
・区内で宅配事業を実施している。
・牧区は上越市の中でも高齢化率の高い地域である。地域商業も衰退の傾向が見られるこ
とから対策が必要ということになった。
・そこで、区内の商店が、電話で注文を受け購入者宅まで配達するほか、他の店で客が必
要なものがあれば、電話注文を受けた店が代わりに購入し、ついでに配達するという事
業を開始した。
・事業を開始した理由は二つある。地域に根差した商売を行うことが地域商業者の務めで
あり、そのためには地域の課題に目を留めて改善のために努力することが必要と考えた
ため。二つ目は地域に住む人をよく知っているのが地域商業者の強みであり、既存の店
舗を利用してくださっている客層を大切にいくためである。
・区内の 27 店舗に声をかけ、うち 17 店舗が参加しての事業開始となった。
・事業の付加価値を加えるため、参加事業者に対し、配達の際には高齢者の見守りを行う
一声運動を推進している。具体的には、電話を受けた際に、他に必要なものがないか一
声かける、注文が複雑になる場合は取り扱い店を紹介したり、取り扱い店から客に連絡
するよう手配する、配達時に安否確認をしたり、話し相手になったりする等の取り組み
をお願いしている。
・配達料は各店舗に一任されており、店舗によって異なっている。
・商工会としては、参加事業者を募集したほか、事業の周知、チラシの作成等を行った。
主役はあくまで商店と利用者であり、商工会は側面支援の立場。
・6 月 20 日に開始して、約一カ月 10 日がたったが、事業に参加している 17 店舗に実績に
ついて電話による聞き取り調査を行ったところ、配達全件数が 714 件、高齢者世帯への
配達はのべ 321 件、チラシの営業による配達は 20 件という結果となった。ついで配達は
2 件。配達の後、利用者に依頼され診療所に送迎した事例もある。
・商工会としては、今後、新規利用者の獲得や事業の風化を防ぐ努力をしていきたい。
・今回の配達事業は高齢者のための事業だが、身近な商店が存在しつづけるためにも意義
があり、そのためにも利用者を拡大していきたい。
・小学生が 100 円玉を持ってアイスを買いに行くような店が地域には必要。
・高齢者宅に弁当を提供しているNPO団体などもあるので連携を考えたい。
・今後とも良い事業を進め、地域と共に課題を乗り越えて行きたい。
(本町3丁目商店街振興組合
大嶋代表理事)
・コミュニティショップ本町いちば、宅配サービスの本町まごころ便を運営している。
・本町は上越市の中心市街地であるが、スーパーが撤退し、生鮮食品を買える店がなくな
った。地域の住民はタクシーに乗って買い物に行かなければならなくなった。
・そこで、県のふるさと雇用再生特別基金の補助を受け、市から委託されてこれらの事業
を開始することとなった。
・補助は 23 年度で終了するため、補助終了後の事業運営をどうするかという課題がある。
・補助を受けるには法人格が必要だが、本町3・4・5丁目商店街振興組合連合会として
は法人格がないため、下部組織の本町3丁目が本町いちばを、4丁目が本町まごころ便
の事業を受託する形となっている。
・本町いちばは、最近は寺町に寺町マルシェというスーパーができたことで、本町いちば
としては売り上げに影響が出ている。
・従業員との会話を楽しむ方も多く、買い物だけでなくコミュニケーションの場ともなっ
ている。
・本町まごころ便は商品のカタログをつくって寺町、仲町等の家庭に配布したが、現在の
ところ、利用頻度は尐ない。
・今後は人件費等が問題になってくると思う。
・24 年度中には旧長崎屋である高田共同ビルが開業し、そこにはスーパーも入る予定。そ
れまではなんとか頑張りたいと思っており、応援いただきたい。
(有限会社やまざくら
中條社長)
・第三セクターのスーパー、大島やまざくらを運営している。
・大島区内で唯一の生鮮食品を扱う商店であり、市から受託して、移動販売車を運行する
メルカート上越事業を開始した。
・23 年度まで県のふるさと雇用再生特別基金の補助を受けている。
・事業開始にあたり運転手を 2 名雇用した。
・現在まで、ほぼ毎日運行している。
・商工会とは多くの調整を要したが、幸い大島商工会からはご理解いただくことができた。
・安塚区や大島区の一部を含め、現在四コース運行している。
・採算という点では厳しく、収支のバランスは難しい。
・メルカート上越事業は、お客さんにとって必要な存在となってきていると思っている。
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・ある民主党の代議士から、行政からの助成が終了した時に終わるような事業は駄目だ、
と言われたことがある。
・事業開始してすぐは無理でも、尐しずつ赤字から黒字に転換していければ良いと思う。
・買い物弱者は本当にいるのか、という疑問もある。
・毎日でなくても、例えば、住民のオーダーに答えられる店を週 2 回開設する、という
形でも良いのではないか。
(4) 事例報告質疑応答
(名立商工会
細井室長)
・高齢者見守り等、福祉的な部分で補助を受けることは可能か。
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・先ほど紹介した高知県の移動販売車は、高齢者見守りを同時に行うことで補助金を得て
いる。また、富山県でも利用者宅を訪問して見守りを行っている業者が補助金を受けて
いる例がある。補助を受けずに宅配の際に見守りを行っている民間業者の事例もある。
(上越市
松本集落づくり推進員)
・最初、買い物弱者のことを聞いた時はどこの話かと思った。なぜなら、自分が担当して
いる地域は、買い物に困っている人は多くない。まだ健康で、車の運転もできる人が多
いので、自力で買い物が可能。集落の人はたくましいと思う。
・商店だけが頑張るのではなく、消費者も頑張らないといけない。地域の商店をなくさな
いために、なるべく地域の店で買うなど努力が必要。多尐高くでも、商店をなくさない
ために寄付したと思えばいい。一緒になって地域の商店を守っていかなくてはいけない
と思う。
(経済産業省商務流通グループ流通政策課
加藤課長補佐)
・消費者の「買い支え」という考え方である。
・消費者に地域の商店で買ってもらえるようにするにはどうしたらいいか、いつも考えて
いる。例えば、スーパーのようにワンストップショッピングが地域の商店街等でできる
ようになればいいかもしれない。
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問合せ先
産業観光部産業振興課産業政策係
TEL:025-526-5111(内線 1270)
E-mail:[email protected]
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