夢の島熱帯植物館 ニュース vol.32 2015年 10月 【榎本館長からのメッセージ】 初めに、前月の台風により多くの災害が発生しました。被災された方々にはこの場を借りてお見舞い申し上げます。 今月は、前ニュースレターでお伝えした『お化けカボチャ』を再度ピックアップします。9月20日に、お化けカボチャコンクールの審査 と収穫運搬の為、茨城県の常陸大宮へ行ってまいりました。審査当日は、会場に400個近くのカボチャが展示され、その眺めは壮観 のひとことでした。夢の島へは、その内の100個ほどがやってまいりました。大きいものはもちろんのこと、変な形、カッコイイ形、色も 形も様々です。10月に入りますと、都民の日、ベアフットフェスティバルなど、入館無料日もあります。是非この機会に、お気に入りの マイカボチャを見つけに来て記念撮影してみてはいかがでしょうか。お待ちしております。 館長 屋外で見られる熱帯植物の紹介(副館長:矢部) 秋本番、薄手の長袖を着て行楽にお出かけするのに最適な季節となりました。熱帯植物館で は恒例の「おばけカボチャ」達が皆様のお越しをお待ちしております。芝生の庭でオレンジのカ ボチャ達に囲まれてみませんか。 公園の中にもこの時期オレンジの花を咲かせる樹木があります。今回取り上げます『キンモ クセイ』です。花の直径は 5 ㎜程と非常に小さいものの、束のように咲き、株全体にオレンジを 散らしたように見えます。雌雄異株ですが、日本には雄株しかありません。 色みもさることながら、一番の特徴は独特の強い芳香にあります。香りがするので周囲を見 回すと見つかった。ということはよくあります。園内各所にありますので匂いをたよりに探してみ るのも楽しいものです。お父さん、お母さん世代にはトイレの芳香剤としておなじみの香りです。 筆者も懐かしく感じますが、現在ではほとんど販売されておりません。消臭技術が発達し、あの 強い香りで悪臭を打ち消さなくても臭いを抑える事ができるそうです。 中国ではこの花を乾燥し緑茶や紅茶にブレンドさせ「桂花茶」として、お酒に漬けて「桂花陳 酒」として親しまれています。ジャスミンの花のような活用法です。 花期が 10 日前後と短いです。今年は 9 月 25 日から 10 月 3 日頃が見ごろです。 ▲キンモクセイ(モクセイ科) 温室で見られる熱帯植物の紹介(植物館植栽担当:横平) マートルは、植物館前庭にあるハーブ園から北側花壇に続く道にある常緑 低木です。原産地は、地中海沿岸から西アジアあたりと言われています。和名 は「ギンバイカ(銀梅花)」、形が梅に似て真っ白な花をつけることからつけられ たようです。糸状の長い雄しべがたくさんあって目立ち、とても美しい花です。 開花はここでは 6 月くらいで、実は秋頃から冬にかけて青黒く熟します。ゲッケ イジュと同じようにハーブであり、蕾や花と実、葉に芳香があります。花は香水 を作るのに、葉は肉料理の風味と芳香をつけに使われます。中世では、その 実がコショウのように調味料として使用されていました。 アラビアやヨーロッパでは「ミルテ」の名で、旧約聖書から古代の詩人の作 品、ギリシャやローマの神話の中にも名前が登場しています。そしてアラビア の物語には、天国を追放されたアダムが、コムギとナツメヤシの種子とマート ルの小枝を持ち出したと書かれています。当時はマートルがこれらと同等の価 値があると認められていたことだと考えられます。 ◂ マートルの花 ・6 月頃 (フトモモ科) マートルの実 ・11 月頃 ▶ 今 月 の キノコ ♪ この時期の人気者 ♪ ▲地 湧 金 蓮 ▲ サフラン ▲ ダーク オパールバジ ル 予告: 次回は 10/25 の発行予定です。 秋の空には、さば雲、いわし雲、う ろこ雲がうかび。公園や植物館の 庭では花の芳香が漂います。 屋外ではキンモクセイ、ハナシュク シャ、エンゼルトランペット。 館内では、花の香り、滝の匂い、 土の匂い、熟したタコの実、 木陰で育つパイナップルの実。 秋は「香り」が際立つ季節 です。嗅覚を通じ心身の 疲れも癒されていく ことでしょう。
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