2015 年版 シンガポールにおける問題点と要望 1/4 貿易・投資円滑化

2015 年版
シンガポールにおける問題点と要望 1/4
シンガポールにおける問題点と要望
区分
意見元
9 輸出入規制・関 JEITA
日機輸
税・通関規制
JEITA
日機輸
No 問題点
問題点内容
(対応)
・輸入管理の対象品目の輸入者は、監督機関に事前登録してライセンスを取得することが義務付けられている。ライセンスはオンライン・ビジネス・ライセン
シング・サービス(OBLS)を通じてライセンス申請が可能となっている。ライセンスを取得した輸入業者は EDI システムであるトレードネット(TradeNet)を
通じて輸入許可申告を行う。
・シンガポール税関、全輸出業者に対して出港前の事前輸出申告(AED)遵守を喚起する通知を公布;2014 年 10 月より、AED を本格実施へ(2013 年 4
月 1 日から 2014 年 9 月 30 日までは移行期間);貿易の安全確保強化を目指す。(星税関の通知 2014 年第 7 号)
(2) 輸出管理該非判定 ・同じワッセナー等のリストを使いつつ、微妙に適用方法や適用時期が国ごとに異 ・国をまたがる、ワッセナー基準での該非判
なる。よって国境を越えるたびに新たな該非判定情報が必要となるというのが負 定情報の整備。
情報取得の煩雑
(例えば、CISTEC のグローバル版)
担。
(3) 輸入製品登録手続 ・医療機器輸入・販売における製品登録手続きが煩雑である。
の煩雑
日機輸
・プロトタイプ機の評価目的で輸入する際に製品登録が必要。
日商
準拠法
(1) 規制品目の輸出入 ・規制品目を輸入したり、輸出したり、廃棄したりする際に必要な手続きが複雑で ・許認可手続き全体の迅速化のための手続 ・NIL
手続の煩雑
許認可に時間がかかる。
きの簡素化。
日機輸
JEITA
日機輸
要望
・製品登録更新手続きの廃止。すなわち、
日本等の様に一度登録したら更新不要に
してほしい。
・評価の為の輸入手続き簡素化。
(4) FTA 原産地証明の ・FTA 締結国(韓国)向け輸出の FTA の原産地証明にかかる税関手続きが複雑 ・手続きの迅速化。
通関手続の煩雑
で遅れが出ており、シンガポール税関による原産地証明書発行の待ち時間が顧
客との納期約束に影響を及ぼすおそれがある。併せて、シンガポール税関に
HS コードの関税分類について判定の助力を頂いているが、単一の製品に対し
て最低 30 営業日を要している。
(5) 税関申告上輸出者 ・税関より、海外事業者にインボイスを発行する最後のシンガポール企業が税関 ・規則の提示、運用の明確化。
適格の定義の不明 申告上の輸出者となるべきとの指導を受けているが、当該指導を裏付ける規則
確
の提示がなく、また、海外事業者を挟んで複数のシンガポール企業が介在する
取引(例えば取引ルートが在星企業-(FOB)-在日企業-(FOB)-在星企業
-(FOB)-在泰企業)の場合)の対応が不明確。
・NIL
・Refer to Singapore
Customs website at :
http://www.customs.gov.
sg
・シンガポール税関 HP 上の
FAQ
日商
(6) 厳格な AEO
(STP-Plus)要件
・AEO に係る STP-Plus 取得にあたり、倉庫保管時のセキュリティー要件が厳格 ・商内形態、商品特性に応じたセキュリティ ・Secure Trade
Partnership Programme
であり、外部倉庫の起用、客先寄託等がある場合の要件充足が困難。
ー要件の設定等、柔軟な対応。
12為替管理
JMAA
(1) 急激な為替変動
・円建てでの直貿で、海外販売店は為替差益を得ているが、値上げの交渉は困 ・為替の安定、変動幅が 6 ヶ月で数%以内と
難。現地通貨建てでの海外子会社との親子間取引で、現在円安効果で特別価 して頂きたい。
格にて販売が可能だが、利薄の取引が多く、将来取引が続いて円高に振れた時
にたやすく損失が出てしまうほどの変動幅。
14税制
JPETA
(1) 高い自動車税
・社用車保有に際して、現地の高額な自動車税が障害となっている。
日商
(2) 移転価格税制での ・特に移転価格税制においては、各国間のルールがまちまちで、見解が分かれる ・世界標準の移転価格税制(ガイドラインな
二重課税リスク
こともあり、当社グループとして二重課税リスクを抱えている。
ど)の法整備。
・事前確認制度の充実。
・制度の緩和を希望する。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会
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区分
意見元
No 問題点
16雇用
日機輸
(1) シンガポール人優 ・FCF(Fair Consideration Framework)規制により熟練外国人労働者の雇用 ・製造業に対し FCF 適用を緩和する。
先雇用政策
が困難かつコスト増。
・2014 年 8 月 1 日より Fair Consideration Framework(FCF)が Ministry of ・MNC における社内ローテーションについ
Manpower(MOM)により施行される。Employment Pass 申請時には一旦人 ては適用除外として頂きたい。
材バンクにそのポストを登録しシンガポール人の雇用を募る必要有り
(Exemption は月収 SGD12,000 以上の人材募集、及び従業員数 25 名未満
の企業)。
シンガポール人の雇用確保を目的とした措置であるが当社のような MNC Multi
National Company にとっては多大な影響有り。特に若手トレイニーの受け入
れが難しくなる事が予想される。
(2) 外国人労働者の雇 ・2010 年に政府が外国人労働者を全労働人口の 3 分の 1 に抑える目標を設定し ・一部の工事案件対応の外国人エンジニア
用規制・入国管理 て以降、各種 VISA の取得要件が厳格化してきており、特に工事案件に必要な などについては、雇用規制の緩和を検討
の強化
エンジニアはシンガポール人だけで必要数を確保することが困難であり、外国人 して頂きたい。
の採用が不可欠だが、外国から呼寄せる際に、却下される可能性がある。
・シンガポール政府は特に外国人の「専門家」の入国を優遇しているが、外国人 ・製造業の企業がマレーシアや中国に限ら
労働者の入国については厳格化している。シンガポールにおける生産拠点は熟 ず、ミャンマーやインドからの労働者を雇
練労働者の確保が困難になりつつある。
用することを許容すること。
・各企業の雇用環境に基づき、外国人労働
者への徴税を軽減する。
・国内の失業率によってビザ発給、更新拒否など外国人就労者の排他的処置が
とられる。
・シンガポールの若者は製造業での従事を好まず、年配労働者も減少している。
そのため外国人労働者に頼らざるを得えないが政府の外国人労働者規制により
コストアップとなっている。
日商
日機輸
JEITA
日機輸
石化協
日機輸
問題点内容
要望
準拠法
・改正外国人人材雇用法
・Fair Consideration
Framework
・Refer to Ministry of
Manpower at
http://www.mom.gov.sg
(参考)
・Work Permit for foreign worker:(http://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/work-permit-for-foreign-worker)
・Fair Consideration Framework:
(http://www.mom.gov.sg/employment-practices/fair-consideration-framework/Pages/fair-consideration-framework.aspx)
(対応)
・シンガポールの失業率は、アジア通貨危機前の 1.4%から、2003 年に 4.8%まで高まったが、その後低下しているものの、2005 年 9 月末 3.3%と依然高
い水準にある。
・2009 年 5 月、人材省は、成長が期待される分野の企業の人材育成を支援する専門スキル実習プログラム(PSPT)を開始した。
・2009 年 6 月 1 日から「S パス」(中技能外国人労働者就労パス)の発給基準を厳格化(学歴、職務経験などの基準引き上げ)した。
・人材省は 2011 年 7 月 1 日から、EP の発給基準となる基本月給を 300∼1,000 シンガポール・ドル(S ドル、1S ドル=約 66.7 円)、S パスについては 200S
ドル、それぞれ引き上げた。さらに人材省は、12 年 1 月 1 日から管理・専門職種の就労許可証 EP の発給基準の基本月給と学歴基準を引き上げると発
表した。
・2010 年、政府は新経済戦略として、外国人労働者を全労働人口の 3 分の 1 に抑える目標を設定した。
・2010 年以降、低熟練外国人労働者ワークパーミット(WP)と中熟練労働者 S パス雇用主に対して半年ごとに外国人雇用税を引上げ。
・2013 年 2 月に発表された政府予算案で、①低熟練外国人労働者ワークパーミット(WP)と中熟練労働者Sパスに関し外国人雇用税を 2014∼15 年段階
的に引上げ、サービス部門と建設部門の雇用限度の引き下げ、基本月給の下限の引上げを行うこと、②外国人幹部・専門職の EP に対して Q1 パスの申
請審査の厳格化、雇用の枠組み設定などの外国人雇用抑制策を発表した。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会
2015 年版
区分
シンガポールにおける問題点と要望 3/4
意見元
No 問題点
JEITA
日機輸
(3) 外国人労働者の国 ・製造分野における外国人労働者は中国、香港、マカオ、台湾、韓国、マレーシ ・製造業の企業に対し、タイ、インド、ミャン ・Guidelines on the
籍の限定
アに限定されているが、これらの国からの労働者のコストは現地の労働者より高 マー、フィリピン、インドネシア、バングラデ Calculation of Quota
い。
シュからのより安い労働力の利用を許容す and Levy Bill
ること。
問題点内容
要望
準拠法
(参考)
- Guidelines on the Calculation of Quota and Levy Bill の URL:
(http://www.mom.gov.sg/foreign-manpower/foreign-worker-levies/Pages/calculation-of-foreign-worker-quotas.aspx)
JPETA
(4) 駐在員のビザ取得 ・シンガポールの外国人就労許可には複数の種類があるが、ほとんどの駐在員は ・ICT に基づく EP 発行については、これを ・Employment of Foreign
の煩雑・遅延
管理職用の Employment Pass(EP)を取得し就労している(EP 以外には単純 迅速に処理すると共に、ICT の該非につ Manpower Act
(Chapter 91A)
労働者用、投資家用等の許可がある)。
いて明確なガイドラインを示されたい。
2014 年 8 月より、シンガポール人が公平に雇用される為の Fair Consideration ・グループ企業の従業員を研修生として受 ・Fair Consideration
Framework が導入され、新規採用に伴い EP の申請を行う場合には、事前に け入れる場合、TEP の有効期間を最低で Framework (Ministry
of Manpower 2013 年 9
政府が運営する求人サイト Job Bank へ 14 日間、当該採用に関する求人広告 も 6 ヶ月とされたい。
月 23 日リリース)
を掲載(無料)することが必要となった。
これにより、外国人雇用が迅速に行うことが出来なくなり、かつ、企業内転勤の場
合も求人広告の掲載および応募書類の審査という不合理なステップを踏む必要
が発生している。
なお、WTO GATS に基づき、企業内転勤(ICT)については例外的に掲載不要
と制度上はなっているが、本国から管理職を当地に異動させる場合においても
当該異動が ICT と見なされず、EP 申請が却下されるケースが相次いでいる。加
えて、ICT か否かの審査に 1 ヶ月以上の期間を要することもあり、現実的に機能
していない。
また、グループ企業の従業員を短期間(6 ヶ月程度)研修生として勤務させる場
合においても、研修生用就労許可(TEP)の有効期間が 2012 年より 3 ヶ月に短
縮されたため、新規採用と同様のステップを踏む必要があり、シンガポールにお
ける研修を阻害する一要因となっている。
・FCF(Fair Consideration Framework)の導入により、本社員をシンガポール ・本社員の派遣(企業内転勤)については、
に駐在させる際の手続きや VISA 取得に要する時間が増加する可能性がある。 人材バンクによる求人で集まった人材での
代替は困難であり、FCF の対象外として欲
しい。
・就労ビザの取得と更新の基準が厳しくなりつつある。
・制度の緩和を希望する。
JEITA
日機輸
(5) 帯同配偶者のビザ ・家族帯同時、配偶者のビザ申請用に卒業証明書が求められる場合がある。
の申請手続の煩雑
日機輸
日機輸
・帯同家族のビザなので本人ビザをもとに発
行頂く事を要請したい。
(対応)
・人材省は、外国人の技能や学歴、賃金に応じて外国人就労許可証(管理・専門職向け EP パス、中技能者向け S パス、低技能者向け WP)を発行してい
るが、2012 年 9 月 1 日より EP パスと S パスともに配偶者と子供への帯同ビザ発給の所得基準を引き上げ一律月給 4,000 シンガポール・ドル以上に設
定した。
・2015 年 9 月 1 日から、就労ビザ保持者が帯同家族のビザ申請(ビザの更新を含む)を行うための月額給与基準が、配偶者と子供への帯同ビザの場合
4,000 シンガポールドル(S ドル)以上から 5,000 S ドル以上へと引き上げられ、両親の長期滞在ビザの場合 8,000S ドル以上から 10,000 S ドル以上へと
引き上げられた。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会
2015 年版
区分
意見元
No 問題点
問題点内容
シンガポールにおける問題点と要望 4/4
要望
準拠法
17知的財産制度運 JEITA
日機輸
用
(1) 不明確な第一国特 ・現地開発ニーズが高まる新興国において、当該国における第一国出願義務が ・第一国出願義務の緩和撤廃、又は法令条
許出願義務の法令 法令で規定されている国が依然として多いが、その法令が明確でないため、有 文の明確な規定をお願いしたい。
規定
効な知的財産権の確保が困難な場合がある。
・多数国間での取り決めなどにより、国を跨
また、多数国間にまたがる研究開発活動が必要とされる今日、複数国での第一 る研究開発への第一国出願義務の適用緩
国出願義務が抵触するリスクが懸念される。
和などを推進していただきたい。
23諸制度・慣行・非 日機輸
能率な行政手続
(1) 個人情報の越境移 ・EU と同様に「同等の個人情報保護を与える国」に出す場合を除き、個人の同意 ・EU と同様、日本が「同等の個人情報保護 ・Personal Data
動禁止
なく個人情報の越境移動を原則禁止しており、データの活用に支障を来たす虞 を与える国」である認定を取れるよう、政府 Protection Act
がある。
間で迅速に協議を進めてほしい。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会