尿道カテーテル留置中の患者の疼痛・不快感に対する援助 ~尿道カテーテルのテープ固定を行って~ 3階北病棟 はじめに 平成 21 年度の A 病院での泌尿器科の手術で経尿道 的術式は 415 件行われ、その全例に尿道カテーテルが 挿入さる。患者の中には尿道カテーテルに対して、不 快感や疼痛を訴え、自己流でカテーテルを固定する患 者もいる。看護師の意見では「固定するよう指導を受 けていない」 「病棟自体する習慣がない」等の意見があ り、ケアは定着していない。薬師寺ら 1)は、固定の必 要性の一つに患者の痛みや違和感があることをあげて おり「尿道カテーテルは固定することが一般的な合意 事項であるといえる」と述べている。そこで、テープ 固定を行うことで疼痛や不快感を軽減できるのではな いかと考え研究に取り組んだ。その結果、テープ固定 は疼痛や不快感の軽減に有効であった為報告する。 Ⅰ.研究目的 尿道カテーテル留置中の患者に対して尿道カテー テルをテープ固定することで、カテーテル留置に伴 う疼痛や不快感を軽減することができる。 Ⅱ.研究方法 1 非介入群、介入群共に独自に作成した質問用紙を もとに聞き取り調査を実施。調査時期は、入院時・ 手術帰室後 3 時間・疼痛・不快を訴えた時・尿道 カテーテル抜去前の計 3~4 回にわたり担当看護 師が聞き取り調査する。1 回の回答に要する時間 は 5 分程度とする。 2 介入群は独自に作成したフローシートを作成し、 テープ固定時の皮膚状況、テープはがれの有無、 テープ固定中の患者の状況・訴えを観察した。 3 看護師に介入前・後でアンケート行い、尿道カテ ーテル管理の現状と意識調査を行う。 Ⅲ.結果 1 患者の属性 1)非介入群 … 34 名 平均年齢 63.6±12.9 歳 介入群 … 32 名 平均年齢 63.9±12.8 歳 2)術式:膀胱砕石 、経尿道的尿路結石除去術、 前立腺生検、尿管ステント留置術、経尿道的 膀胱腫瘍切除術 2 質問紙の聞き取り調査について 1)帰室後 3 時間(安静解除の前) 疼痛あり:非介入群は5名、介入群は 0 名。 不快あり:非介入群は 12 名、介入群は4名。 2)尿道カテーテル抜去前 疼痛あり:非介入群は 16 名、介入群は 12 名。 佐々木 瞳 谷本陽子 黒崎 由美子 真辺 保美 長嶋 久田 久子 和子 不快あり:非介入群は 23 名、介入群は 15 名。 3)疼痛・不快の訴え 疼痛の訴え:非介入群は8名、介入群は7名。 不快の訴え:非介入群は 16 名、介入群は 9 名。 4 看護師の意識調査について(20 名中 20 名) 「テープ固定するように指導されていない」 、 「病 棟自体する習慣が無い」などの意見があった。 Ⅳ.考察 帰室後 3 時間では疼痛があると答えた患者は、非 介入群が 5 名で介入群は行った全ての患者が疼痛はな いと答えた。また、不快があると答えた患者は、非介 入群より介入群の方が有意に低かった(p<0.05) 。帰 室後3時間は安静解除直前のため、ベッド上安静の状 態である。尿道カテーテル留置によって引き起こされ る疼痛には、膀胱内で膨らませたカフが尿道に引っか かった状態になるため膀胱壁に圧迫がかかり引き起こ される。テープ固定をすることでカテーテルが引っ張 られるのを防ぎ、さらにカテーテルの動きを抑制し膀 胱や尿道粘膜を圧迫し刺激することを回避することで 疼痛や不快感を軽減させることに繋がったと考える。 テープ固定をすることでカテーテルが引っ張られるの を防ぎ、さらにカテーテルの動きを抑制し膀胱や尿道 粘膜を圧迫し刺激することを回避することで疼痛や不 快感を軽減させることに繋がったと考える。テープ固 定についての患者の反応については、 「固定した方が良 い」 「安心感があった」 、 「引っ張られないでよかった」 という声が聞かれた。看護師意識調査を行って、尿道 カテーテルによる疼痛・不快感に対しては意識が薄く、 看護師間のケアも定着していなかった。また、テープ 固定することで軽減するといった認識が無かったこと が、意識の低さに繋がったと考える。今後は根拠ある 看護技術として尿道カテーテル管理とテープ固定を実 践し定着させ意識改革を行っていく必要があることが 示唆された。 Ⅵ 結論 短期間の尿道カテーテル留置中の患者にテープ固 定を行うと疼痛・不快感が軽減する。 引用文献 1)薬師寺文子 導尿、膀胱留置カテーテル挿入患 者の看護 その合併症と予防 看護技術
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