Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 国内外風力発電における電力供給パスのコスト比較 Cost comparisons of power supplies in domestic and foreign wind power generations 渡 部 朝 史 * ・ 村 田 謙 二 Tomofumi Watanabe * * ・ 神 谷 祥 二 Kenji Murata * * * Shoji Kamiya (原稿受付日 2008 年 11 月 6 日,受理日 2009 年 4 月 1 日) Expanding energy resources for electric power plants from fossil energies to cost competitive renewable ones are required for reducing GHG emissions and for coping with the soaring in imported fossil energies prices. Importing natural energy resources as storable and transportable hydrogen transformed from wind power electricity may be preferable, if a large quantity of windmills are constructed in the favored oversea regions, such as Patagonia, where steady and strong wind is blowing over wide area and its electricity cost becomes low. Three kinds of electricity generating systems, based on domestic land windmills, domestic offshore windmills and that composed of electric power plant utilizing imported hydrogen, as mentioned above, are designed and the electricity costs of net power flows from such three systems are derived by estimating construction and running costs for the elements of such systems from open references. The result shows that the electricity cost derived from oversea wind power is comparable with that from domestic land wind power, if the future improvements of energy conversion efficiencies of electrolysis and hydrogen liquefaction are considered, though the construction cost for the oversea wind power system is more than twice of that of the domestic land wind power system. Keywords: Importing natural energy resources, hydrogen transformed from wind power, electricity cost 1.はじめに 我が国では,原子力発電や再生可能エネルギー普及 への取組みが行なわれてはいるものの,依然として化石 燃料への依存が高い状態となっている。このようなエネ 電によるエネルギーを我が国へ輸入するシステム概念 図を示す。 海外 風力発電 現地 送変電 ルギー需給構造には今後予想される資源制約ならびに 環境制約により大きなリスクが内在する。そのため温室 送水管 効果ガスの排出量がなく,一定の供給量を確保できる資 電気+水 水素 パイプライン 輸送 水電解 水素製造 気体水素 することが将来において大変重要である。これまでに再 エネルギーシステムの構築は我が国の WE-NET,EU-カナ ダの EQHHPP 等で検討されてきた。本稿では風力を水素 源とし,エネルギー供給量を WE-NET の約 10 倍としたシ ステム概念を構築し,システムの経済性検討を行なった。 積地貯蔵 タンカー輸送 図1 タービン 発電 揚地貯蔵 液体水素 海外 源を,安定的に輸入または生産する社会システムを構築 生可能エネルギーの水力を水素源とした国際的な水素 水素液化 電気 洋上 国内 海外風力水素システム概念図 図 2 および図 3 に比較対象である国内陸上風力発電お よび着床型洋上風力発電のシステム概念図を示す。 国内陸上 風力発電 蓄電 系統連系 電気 2.海外風力水素と国内風力発電のシステム比較 国内 図 1 に気象条件に恵まれた海外地域で得られた風力発 図2 * 財団法人エネルギー総合工学研究所 〒105-0003 港区西新橋 1-14-2 (新橋 SY ビル) e-mail [email protected] ** 財団法人エネルギー総合工学研究所 e-mail [email protected] *** 川崎重工業株式会社 技術研究所 〒673-8666 明石市川崎町 1-1 e-mail [email protected] 国内陸上風力発電システム概念図 着床型洋上 風力発電 海底 ケーブル 蓄電 系統連系 電気 洋上 図3 国内 着床型洋上風力発電システム概念図 第 27 回エネルギー・資源学会研究発表会の内容をもとに作成された 10 もの Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 図4 パタゴニア地方の風況とウィンドファームの想定位置 図 1 のシステムが経済性を有するためには,開始点で 図 4 はパタゴニア地方の風力状況 1)とウィンドファー ある海外風力発電に国内陸上,着床型洋上風力発電と比 ム建設の想定場所を示す。パタゴニア地方の風況は乱れ 較して,圧倒的なコスト競争力が要求される。 の少ない強風が西から吹き抜け,ほとんどの地域で平均 風速 7m/s 以上,中心部では 10m/s を越える。建設場所 3.海外風力発電によるエネルギー輸入についての検討 の設定理由は,(1)水素製造に必要な水源(デセアド川) 3.1 システム構成と風力発電所建設想定地 に近い。(2)水素輸出用の港湾に近い 1)。(3)周囲と比較 海外風力発電によるエネルギーは国内汽力発電所の して年間平均風速が高い等による。建設場所付近の平均 燃料として利用する。国内電力供給までの要素システム 風速は 8∼10m/s であり,HESS 調査団の現地風況計測結 は図1で構成される。ここで「現地送変電」とは「水電 果では,平均風速 10m/s が報告されているので 1),本稿 解水素製造」,輸送された気体水素を液化する「水素液 では建設予定地の平均風速を 10m/s とした。 化」,および液体水素の積出貯蔵基地のユーテリィティ 等の動力のため「積地貯蔵」に電力を供給するシステム 3.2 海外風力発電 であり,「送水管」は「水電解水素製造」に水素の原料 (1)年間稼働率 となる水を近隣の河川から供給するシステムである。水 HESS 調査報告書 1)ではサンタクルス州の風力発電の稼 素製造と水素液化は水素パイプラインで結ばれる。液体 働率を,保守による運転停止や各種の損失を考慮した上 水素はタンカーに積載され,我が国まで海上輸送され, で 49%と見込んでおり,本稿では次式(1)で示す年間稼 国内の各発電所に供給される。また,海外風力発電建設 働率を 50%とする。 年間発電量×100 想定地は,HESS(水素エネルギー協会)調査団(団長: 年間稼働率(%)= 太田健一郎横浜国立大学教授)報告書 1)をもとにアルゼ ンチン・パタゴニア地方南部のサンタクルス州のピコツ (2)風車単価・設置基数 ゥルンカド市北方に建設すると仮定した。 風車建設単価を米国 NREL(国立再生可能エネルギー研 パタゴニア地方の風力発電潜在量は我が国の電力需 要の 10 倍以上とも言われている ・・ (1) 定格出力×8760 時間 究所)の公表資料に従い算定した 4)5)。1.5MW から 3.0MW, 2)3) 。今回の検討対象と 3.0MW から 5.0MW 定格風車へのスケールアップの考え方 する発電量は平成 18 年度国内需要の 10%,国内発電所の は表 1 のとおりとした。 送電端電力量 8.9×1010kWh/年とした。パタゴニア地方で 表1 前記電力量を賄うため発電量は現在ケース(水電解水素 スケールアップの考え方 部位 製造および液化における電力原単位が現状レベル)で スケールアップ時のコスト ロータ部(ブレード等) ロータ直径の 3 乗に比例 3.0×1011kWh/年,将来ケース(電力原単位が現状レベル から向上したケース)で 2.3×1011kWh/年となり,これは 発電部(発電機等) 発電機定格出力に比例 タワー部 タワー長の 3 乗に比例 パタゴニア地方の潜在量の 2∼3%程度であると考えられ 表 2 に各条件における定格 1.5MW,3MW および 5MW の る。 風車建設単価の計算結果を示す。 ウィンド Las Heras ファーム群 Perito Moreno Los Antigüos Caleta Olivia Pico Truncado 送水管 (デセアド川から取水) 約 40miles 表2 デセアド川 平均水量15 m 3/sec 1.3 Million m3/day 主要都市 (全人口の95 % ) East Gdor.ピコ Gregores ツゥルンカド(実証試験設備) Puerto San Julián 風車容量1.2 MW 機器稼働率: 47 % Piedra Buena 年 間平均風 速 (m/sec) Puerto Santa Cruz > 10 El Calafate 風車建設単価の計算結果(パタゴニア) 検討ケース Puerto Deseado 定 常的風 向 West W est カレタオリビア港 (1) (2) (3) (4) 風車定格(MW) 1.5 1.5 3.0 5.0 ロータ直径(m) 70 70 99 99 ハブ高さ(m) 65 65 65 65 平均風速(m/s) 5.8 10.0 10.0 10.0 稼働率(%) 33.79 61.52 61.52 53.61 建設コスト(1000$) 1,472 1,472 3,094 4,293 981 981 1,031 859 建設単価($/kW) 8 - 10 7-8 Río Gallegos Río Turbio 28 de Nov. 250miles 表中の検討ケース(1)∼(4)は次の条件とする。 6-7 5-6 (1):ベースライン, (2):(1)と同一風車を平均風速 4-5 10m/s で使用,(3):定格出力を 3MW とし(2)と同等条件, 11 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 (4): (3)と同一ロータ径風車を定格出力 5MW で使用 算定した。 検討ケース(4)においては,風速分布としてレイリ 3.4 電力量割合および稼働率の検討 ー(Rayleigh)分布を想定すると,稼働率は 53.61%な (1)定格出力と稼働率の関係 る。想定稼働率 50%は,保守による運転停止や各種の損 定格出力と稼働率の関係は,次の仮定をもとに算定した。 失も考慮した妥当な稼働率と見なせる。 仮定 1:風力発電の出力はすべて「水電解水素製造」 「水 現在の実用化風車の最大定格出力は 5MW であるが 6), 素液化」「積地貯蔵」の動力に利用。 検討対象となる 5MW 級風車の建設単価は 859$/kW に算定 仮定 2:液化水素の量は,製造された水素から液化まで される。式 1 からパタゴニア地方に建設される風力発電 到着する間のロス分を差し引いた量。 の定格発電規模は現在ケースで約 68,000MW,将来ケース 仮定 1 から式(2),(3)が,仮定 2 から式(4)が成立する。 で約 53,000MW と算定されるため風車の設置基数は,現 在ケースで約 13,600 基,将来ケースで約 10,500 基とな Wt = Gt + Lt + St ・・・・・・・・・・・・・・・・(2) り,その建設コストは現在ケースで約 6 兆 1,400 億円, Wt × Wm = Gt × Gm + Lt × Lm + St × Sm ・・・・・(3) 将来ケースで約 4 兆 7,500 億円となった(円換算 1$=105 Hg = Hl + Hδ 円,後述の円換算も同レート)。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (4) ここで, Wt:風車発電の定格出力(kW),Gt:水電解水素製造の定 3.3 現地送変電 風力発電で得られた電力を「水電解水素製造」「水素 格動力(kW),Lt:液化の定格動力(kW),St:積地貯蔵の 液化」および「積地貯蔵」に供給するためのウィンドフ 定格動力(kW),Wm:風力発電稼働率(%),Gm:水電解水 ァーム一ヶ所あたりの定格電力は約 1,500MW,風車基数 素製造稼働率(%),Lm:水素液化稼働率(%),Sm:積地貯 は約 300 基で,その送電システムの概念図を図 5 に示す。 蔵稼働率(%),Hg:水電解による水素量(ton/年),Hl: 液体水素量(ton/年),Hδ:液化まで到着する間のロス 入力:風力発電から 高圧配電Cub(箱型変電設備) 5MW G 2030A a 特別高圧配電Cub 高圧配電Cub 100A ∼/∼ 5MW G b 6MVA 1.5kV/33kV 5MW G 2030A a 100A ∼/∼ a 100A ∼/∼ また Hg,Hl,Hδは式(5)から式(7)で表される。 b 6MVA 1.5kV/33kV 架3 空3 母k 線V 30基 量(ton/年) 特別高圧配電Cub 2030A 架3 空3 母k 線V 30基 5MW G b 2030A a 6MVA 1.5kV/33kV 100A ∼/∼ b 出力: 水素液化へ c c 3000A 3000A 230A×10=2300A 180MVA 33kV/275kV ∼/∼ 180MVA 33kV/275kV ∼/∼ d 360A d ここで 360A e 230A Hδ = δ × Gt × Gm × hr ×ρ/α・・・・・・・・・・・(7) 系統へ ×10列 d 360A Hg = Gt × Gm × hr ×ρ/ α ・・・・・・・・・・・・(5) Hl = Lt × Lm × hr ×ρ/β・・・・・・・・・・・・・(6) 6MVA 1.5kV/33kV e α:水素製造電力原単位(kWh/Nm3),β:液化電力原単位 230A+230A 275kV架空母線(X) :計器用変圧器 (kWh/Nm3),δ:液化まで到着する間のロス量/水電解水 :避雷器 275kV架空母線(Y) 素製造量 ( 0 < δ < 1 ) :遮断器 130A 130A 130A :断路器 :ケーブルおよびケーブルヘッド ∼/− ∼/− ρ:気体水素密度(ton/ Nm3),hr:年間時間(時間/年) ∼/− さらに St×Sm と Wt×Wm には次式(8)が成立する。 出力:水電解水素製造へ 図5 St × Sm =γ× Wt × Wm ・・・・・・・・・・・・・・(8) ウィンドファーム(一ヶ所)の送変電システム概念図 ファームの建設数は現在ケースで 45 ヶ所,将来ケー ここで γ:積地貯蔵使用電力量/発電電力量( 0 < γ < 1 ) スで 35 ヶ所となる。その一ヶ所の規模は,風向直角方 向にはロータ直径の 3 倍,風向並行方向にはロータ直径 以上の関係式から Gt×Gm,Lt×Lm および Wt×Wm の関 の 10 倍の間隔で風車を設置と仮定すると,風向直角方 係を求めると次式(9),(10)が導出される。 向に約 9km,風向並行方向に約 10km となる。 Gt × Gm =α/(α +β(1 -δ)) × (1 −γ) × Wt × Wm ・・・・(9) 電気協同研究 7)の変電設備建設単価および電力設備電 Lt × Lm =β(1 -δ)/(α+β(1 -δ)) × (1 −γ) × Wt ×Wm 8) 磁界対策ワーキンググループの資料 9 等を参考に,ウィ ンドファーム一ヶ所あたりの現地送変電コストを約 630 ・・・(10) 億円と算定し,現地送変電の総建設コストを現在ケース (2)水電解水素製造および水素液化の電力量割合 で約 2 兆 8,400 億円,将来ケースで約 2 兆 2,300 億円と 発電電力量に対する水電解水素製造の電力量割合 Pg 12 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 (%)および水素液化の電力量割合 Pl(%)は式(9),(10)よ 3.5 送水管 り次式(11),(12)となる。 (1)送水管の仕様 Pg = (Gt × Gm ) /(Wt × Wm ) × 100 = α/(α+β(1 -δ)) × (1 −γ) × 100 ・・・(11) Pl = ( Lt × Lm) /(Wt × Wm ) × 100 = β(1 -δ)/(α+β(1 -δ)) × (1 −γ) × 100 ・・・(12) 水電解水素製造の原料となる水は,3.1 の図 4 に示し たウィンドファーム建設場所近くのデセアド川から取 水する。必要となる送水量を表 4 に示す 表4 水素製造と液化の電力量割合は,規模,風力発電稼 働率とは無関係となる。 次に水素製造電力原単位よび液化の電力原単位を現 在ケース 9)と将来ケース 10)で想定した際の水素製造と液 本管・支管の送水量 年間総水素製造量:A 約 4.5×106ton/年 必要送水量:B=A*9 約 4.1×107ton/年 1 日当たり送水量:C=B/365 約 1.1×105ton/日(=本管流量) 支管本数:D,支管流量:E=C/D D=10 本,E=約 1.1×104ton/日 化の電力量割合を表 3 に示す。 表3 送水管は,水源から各ウィンドファームに送水する本 電力原単位別電力量割合 管とファーム内の支管から構成される。本管の長さ,口 現在ケース 将来ケース 水素製造電力原単位(α) 4.66 kWh/Nm3 3.93 kWh/Nm3 液化電力原単位(β) 1.20 kWh/Nm3 0.6 kWh/Nm3 Pg 78.7% 85.9% Pl 20.3% 13.1% 径は,現在・将来ケースともに約 154km,1,300mm とな る。ウィンドファーム内の支管長は 10km と仮定し,支 管の総長,管口径は現在ケースで 450km,500mm,将来ケ ースで 350km,500mm となる。 (2)送水管の建設コスト 水 素 製 造 電 力 原 単 位 は 水 素 の HHV( 高 位 発 熱 量 ) 送水管建設コストは,材料コスト,ポンプ等の付属機 3.54kWh/Nm3 を用いて,式(13)で求める。 器,設置工事費から構成される。 材質にダクタイル鋳鉄管を使用した送水管材料のコ 水素製造電力原単位 = 3.54 × 100 / 電解効率(%) ストは,積算資料 2008.811)をベースにした算定結果を表 ・・・(13) 5 に示す。 電解効率は,現在ケースで NEDO 技術開発機構ロードマ 表 5 送水管材料費(単位:億円) ップ 9)から 76.0%,将来ケースで DOE のレポート 10)から 現在ケース 90.1%と仮定した。 液化電力原単位は,現在ケースで実用段階レベルの 1.2kWh/Nm3 を,将来ケースで次世代技術である磁気冷凍 技術の液化電力原単位 0.6kWh/Nm3 を仮定した。ここでγ 将来ケース 支管 138.2 107.5 本管 219.7 219.7 合計 357.9 327.2 算定は我が国の公共工事の実績を参考にしたが,人件 =1%,δ=0 とした。 費が大きく影響する設置工事コストはアルゼンチンと (3) 水電解水素製造および水素液化の年間稼働率 我が国の平均賃金等を考慮して,我が国の 1/2 に仮定し Wm と,Gm,Lm および Sm の関係を式(14)に示す。 た。送水管設置費用は現在ケースで約 600 億円,将来ケ 1 = ( Pg / Gm + Pl / Lm + γ / Sm ) × Wm ・・・(14) ースで約 550 億円となった。 3.6 水電解水素製造 Wm,Sm が所与のとき,表 3 および式 14 から Gm×Lm は一定になる。システムコストを低減するためには高コ 水素製造の設備能力は, 年間総水素製造量約 5.0×1010 ストである水素液化稼働率 Lm を高くする必要があるこ Nm3/年と 3.4(3)で検討した稼動率から,現在ケースで約 とから,風力発電の動力を水素液化に優先配分する。こ 1.27×107 Nm3/h,将来ケースで約 1.22×107 Nm3/h が要 の時,水素製造稼働率 Gm は風力発電稼働率 Wm より低く 求される。水素製造装置 1 台の製造能力を 500 Nm3/h と なり,間欠稼動になるが,水素液化への水素ガス供給に する と現在ケース で 約 25,400 台,将来ケ ースで約 バッファを設けることにより水素液化稼働率を上げる 24,500 台が必要である。DOE 報告書 12)から現在ケースで ことができる。風力発電稼働率を 50%,水素液化稼働率 は$250/kW,将来ケースでは$200/kW と仮定すると,1 Lm を 80%となるようにシステムを運転し,Sm=100%を仮 Nm3/h の製造能力の水素製造装置コストは,現在ケース 定とする式 14 から水電解稼働率 Gm は現在ケースで約 で 1,165$/ Nm3/h,将来ケースで 786$/ Nm3/h と算定され 45.3%,将来ケースで約 47.0%となる。 た。建設コストは現在ケースで約 148 億ドル(約1兆 13 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 5,500 億円) ,将来ケースで 96 億ドル(約1兆 100 億円) 約 63 ton/day であるが,必要となる液化量が膨大にな と算定した。 ることから(1日の液化量が約 15,500ton/day) ,WE-NET で実施した概念設計 3.7 水素パイプライン輸送 14) を参考にして 1 基の液化量 300ton /day とすると建設基数は 52 基となった。 (1)水素パイプラインの仕様 液化設備の建設コストは欧州の液化設備メーカの試 夫々の水電解水素製造システムと水素液化設備の間 算 15)をベースにし,199.5 百万ユーロ(1 兆 6,600 億円, に設置される水素パイプラインの配置を図 6 に示す。パ 1€=160 円)と算定した。 イプライン長は,約 855km(現状ケース) ,約 665km(将 来ケース)と算定した。 3.9 積地貯蔵と揚地貯蔵 現在ケース45ヶ所、将来ケース35ヶ所 液体水素の積み出す基地と受け入れ基地に,各々液体 将来ケースではこの列は無い 10km 水素の積地貯蔵設備と揚地貯蔵設備が建設される。積地 貯蔵量は年間の液体水素払出量の 14 日分,揚地貯蔵量 9km は国内発電量の 30 日分を仮定すると積地で 2.4×106m3, 揚地で 4.9×106m3 の貯蔵設備が必要となる。最大の液体 最終列 ・ ・・ 90km ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ 水素パイプライン ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ 10ヶ所程度連系 ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ウィンドファーム 45 水素貯蔵設備は米国 NASA(航空宇宙局)の約 3,000m3 が 最大であるが,WE-NET で実施した 50,000m3 級の液体水 km 素貯蔵設備の概念設計を参考 14)にすると,積地での貯蔵 容量 80,000m3/基×30 基数,揚地で貯蔵容量 80,000m3/ 基×62 基数が想定される。建設コストは建設単価 240 億円/基と仮定すると,各々,積地貯蔵設備が 7,200 億 液化設備 図6 液化設備 液化設備 液化設備 円,揚地設備が 1 兆 4,900 億円と算定した。 液化設備 水素パイプライン概念図 3.10 タンカー輸送 積地貯蔵基地と揚地貯蔵基地間の海上輸送距離は約 パイプライン圧力を約 5.6MPa とした高圧水素輸送に すると,パイプライン中に保存される水素量は,水素の 20,000km である。液体水素の海洋輸送手段はコンテナ, 液化約 5 時間分(現状ケース)の緩衝能力を有する。 バージ,タンカーなどが検討されるが,WE−NET で実施 した LNG タンカー技術をベースにした液体水素タンカー (2)水素パイプラインの建設コスト の概念設計を参考にした 14)。パタゴニアと我が国間に運 水素パイプラインの建設コストは式(15)で算定した。 航させた場合の液体水素タンカーの仕様と建造費等を 水素輸送量×パイプライン長×輸送単価 建設コスト 表 6 に示す。想定される総タンカー数は 139 隻,建設コ = ストは約 3 兆 4,500 億円と算定した。 年経費率 表6 ・・・(15) 式 15 で水素輸送量は約 4.5×106 ton/年,パイプライ ン長は前述の長さとした。輸送単価は米国 BNL の試算結 タンカー容量 63,000 m3/隻 タンカー単価 248 億円/隻 片道想定距離 20,000 km 船舶速度 果 13)の輸送コスト 0.05$/kg・75miles を参考とした。欧 年間往復回数 米諸国と我が国の建設業における平均賃金をほぼ同水 準と仮定すると式(15)で求めた建設コストの 1/2 がパタ タンカー一隻あたりの仕様 19.5 ノット約 36.1km/h 7 回/隻 3.11 水素タービン発電 ゴニアにおけるパイプライン建設コストと仮定され,建 発電効率 60%(HHV)を目的とした水素タービンのター 設コストは現在ケースで約 8,300 億円,将来ケースで約 ビン翼,ロータ等主要構成機器等が WE-NET で検討がな 6,500 億円と算定した。 された。タービンの容量,設備費,発電端効率,稼働率 の仕様は WE-NET の成果 14)を参考にした。また発電所送 3.8 水素液化 電端効率は発電端効率の 1 割減とした。表 7 に水素ター 水素輸送形態として,常温・大気圧の気体水素の容積 ビン発電の仕様を示す。想定される総タービン数は 33 が約 800 分の1となる液体水素(沸点−253 度,密度 基,総定格出力は 50 万 kW×33 基で 1,650 万 kW,建設コ 70kg/m3)が有望である。液化設備の実在する最大規模は, ストは約 1 兆 5,400 億円と算定した。 14 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 表7 上から陸地までの電力輸送は,洋上ウィンドファームと 水素タービン発電の仕様 タービン容量 500 MW/基 陸地との距離(後述)を考慮し,海底ケーブルを布設す タービン単価 468 億円/基 る。発電電力量として約 5.5×1010kWh,蓄電池等による 年間稼働率 70.0% ロスを差し引いた電力系統への送電電力量は約 5.0× 発電端効率 60.0% 1010kWh となり,平成 18 年度国内需要の約 5.6%を補う。 送電端効率 54.0% 5.2 風車規模・単価・年稼働率 着床型洋上風力の風車定格を 2,000kW/基,洋上ウィン 4.国内陸上風力についての検討 ドファーム一ヶ所の平均規模は陸上と同規模と仮定し 4.1 システム構成と立地可能規模 20MW/箇所とした。風力発電の建設単価は海外の事例 陸上風力発電システムは図 2 に示す要素システムで構 20) や,おおよそ陸上風力の 2 倍程度の建設コストが掛かる 成され,陸上風力の賦存量は日本風力発電協会の試算結 ことから 50 万円/kW とした。洋上風力発電の年間稼働率 果 16)を引用し 2,500 万 kW とする。風力発電が系統に連 は陸上より高稼働になると想定し 35%とした。想定設置 系される場合,蓄電池で出力平滑化がなされる。発電電 基数は 9,000 基,建設コストは 9 兆億円と算定した。 力量として約 5.0×1010kWh,蓄電池等によるロスを差し 5.3 海底ケーブル 引いた電力系統への送電電力量は約 4.5×1010kWh となり, 海底送電ケーブルの仕様を表 9 に示す。ウィンドフ 平成 18 年度国内需要の約 5.1%を補う。 ァーム内のケーブルも考慮したケーブル総長を約 4.2 風車規模・単価・年稼働率 7,100km,建設コストを約 2 兆 8,500 億円と算定した。 風車定格を 2,000kW/基,ウィンドファーム一ヶ所の 表9 着床型風力海底ケーブル仕様 平均規模は 20MW/箇所とした。風力発電の建設単価は 陸地までの平均距離 NEDO のガイドブック 17)を参考に 30 万円/kW とし,陸上 海底ケーブル仕様 風力の年間稼働率は実績から 23%とした 18)。想定設置基 500m 66kV 建設単価(材料費込み) 数は 12,500 基,建設コストは 7 兆 5,000 億円と算定し た。 1 回線 4 億円/km 5.4 蓄電池・系統連系線 蓄電システムは,国内陸上システムと同じ仕様で海底 4.3 蓄電池・系統連系線 ケーブルの陸揚げ地点に設置する。その必要容量は約 NEDO 技術開発機構では蓄電技術の所用容量を新エネ 1MW あたり 20%MWh としている 19) 360 万 kWh,建設コストは約 1 兆 800 億円と算定した。 。これから国内陸上風 系統連系線の総長は 9,000km,建設コストは 7,200 億 力に必要な蓄電容量は約 500 万 kWh と算定した。蓄電シ 円と算定した。 ステム価格を 30 万円/kWh とし,蓄電システム設置費用 を約 1 兆 5,000 億円と算定した。また蓄電池への充放電 6.国内風力と海外風力のコスト算定の前提条件 時の電力ロスはそれぞれ 5%とした。 6.1 コスト算定の前提条件 次に,ウィンドファームから系統への連系仕様を表 8 電気事業連合会の資料 に示す。系統連系線の総長は 12,500km,建設コストは 1 21) を元に一部変更し表 10 に示 す。 兆円と算定した。 表8 表 10 系統連系仕様 電力系統連系点までの平均距離 送電線仕様 建設単価 10km 66kV 2 回線 8,000 万円/km 5.着床型洋上風力についての検討 5.1 システム構成と立地可能規模 洋上風力発電システムは図 3 で構成され,洋上風力発 コスト算定の前提条件 割引率 4.0% 固定資産税 1.4% 残存価額 1円 減価償却費算出法 定額法 保険費用 建設コストの 0.6% 一般管理費 建設コストの 1.0% 事業報酬 残存価額の 4.0% 電の賦存量(立地可能規模)は陸上と同様,日本風力発電 6.2 修繕費・耐用年数・年経費率 協会の試算結果 16)を引用し 1,800 万 kW とする。陸上に 修繕費については建設コストに対する機器毎の初年 おける検討と同様,蓄電池を陸地に布設する。また,洋 15 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 度修繕費率を仮定し耐用年数終了時は初年度の 3 倍の修 (約 40 万円/kW)と比べて約 3.1∼約 2.7 倍,および着床 繕比率になるとした。また各設備の想定耐用年数は, 型洋上風力(約 76 万円/kW)と比べても約 1.6∼約 1.4 倍 WE-NET を参考にした。年経費率は次のとおり。 と高コストとなった。これは非住宅用太陽光発電 (104 万円/kW22))と同程度である。どのシステムにおいても最 年経費率(%)=(∑ NPV換算経費)× 100/(建設コスト)/(耐用年数) も建設コストがかかる要素システムは風力発電である ・・・(16) ことから,風力発電の技術開発を進め建設コストを削減 NPV換算経費 = (n年後の年に実際にかか った経費) × 1 (1+i )n することが重要である。 ・・・(17) ここで NPV:Net Present Value(現在価値換算) i:割引率(4%) ,n:n 年後(耐用年数) 1,200 94 表 11 に各システムの初年度修繕費・耐用年数・年経 90 タービン発電 費率を示す。●は各ケースの要素システムである。 94 1,000 揚地貯蔵 209 各システムの初年度修繕費・耐用年数・年経費率 各システム 初年度 修繕率 (%) 耐用年数 年経費率 (年) (%) 陸 上 洋 上 海 外 要素システム ● ● ● 風力発電 0.7 17 8.4 - ● - 海底ケーブル 2.3 30 7.1 ● ● - 蓄電 1.2 10 13.5 ● ● - 系統連系 2.3 30 7.1 - - ● 現地送変電 1.5 30 6.2 - - ● 送水管 4 30 8.9 - - ● 水電解水素製造 2.3 10 15.3 - - ● 水素パイプライン輸送 4 20 10.2 - - ● 水素液化 3.3 10 17 - - ● 積地貯蔵 3.3 30 8.2 - - ● タンカー輸送 2.3 15 11.6 - - ● 揚地貯蔵 3.3 30 8.2 - - ● タービン発電 4.3 15 14.5 90 タンカー輸送 44 800 建設コスト(千円/kW) 表 11 積地貯蔵 209 40 60 600 158 101 50 水素液化 44 4 94 39 172 400 水素パイプライン 輸送 送水管 101 3 61 40 系統連系 135 60 水電解水素製造 蓄電 500 200 海底ケーブル 372 300 288 現地送変電 風力発電 0 国内陸上 図7 7.国内風力と海外風力のコスト比較 着床型 海外(現在) 海外(将来) 発電設備 1kW あたりの建設コスト ここで現在・将来ケースにおける海外風力水素の各要 素コスト比率を図 8 および図 9 に示す。 7.1 建設単価 (1)算定式 1kW あたりの建設コスト算定式を式(18)に示す。 7.6% 風力発電 7.3% 建設単価 = Σ(要素システム建設費) /総容量 ・・(18) 30.3% 現地送変電 水電解水素製造 総容量はそれぞれ前出のとおり国内陸上風力 2,500 万 送水管 17.0% KW,着床型洋上風力 1,800 万 KW,海外風力水素 1,650 水素パイプライン輸送 万 KW である。海外風力水素においては,国内の水素タ 水素液化 積地貯蔵 ービン発電の容量を基準とした。また建設コストとして 3.5% タンカー輸送 計上した要素システムは表 11 で●で示した。 14.0% 8.2% 揚地貯蔵 4.1% (2)検討結果 7.7% 0.3% タービン発電 各システムの建設コストを図 7 に示す。図 7 から海外 風力発電システムの設備工事費は,現在ケースで約 123 図 8 海外風力の各要素コスト比率(現在ケース) 万円/kW,将来ケースで約 106 万円/kW と,国内陸上風力 16 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 が実現可能である。これはパタゴニア地方が世界で最も 8.8% 風力発電 8.5% 27.1% 風力発電に適した地方であり,現地における発電電力量 現地送変電 水電解水素製造 と年経費は現在ケースでそれぞれ約 3.0×1011kWh/年と 送水管 約 5,140 億円 /年,将 来ケースでそ れぞれ 約 2.3× 水素パイプライン輸送 1011kWh/年と約 3,970 億円/年で,現地風力発電単価が約 水素液化 19.7% 12.7% 4.1% 9.5% 3.7% 積地貯蔵 1.7 円/kWh に算定されたことによる。現地風力発電単価 タンカー輸送 は,陸上・洋上風力の約 1/8 の単価である。故に,太陽 揚地貯蔵 光や水力などの自然エネルギーでの発電単価が 2 円/kWh タービン発電 5.8% 程度である場所ならば,現在将来において洋上風力,陸 0.3% 上風力と遜色ない電力価格が実現可能であると考えら 図 9 海外風力の各要素コスト比率(将来ケース) れる。 両ケースともに風力発電とタンカー輸送の建設コス 25.00 トの割合が高い。輸送システムの最適検討を行なうこと で海外風力水素製造の建設コストを大幅に削減できる 1.03 2.51 可能性がある。 タービン発電 2.94 20.00 7.2 電力単価 4.07 国内送電線に供給される電力量 1kWh あたりの単価 揚地貯蔵 2.51 1.56 (1)算定式 タンカー輸送 1.36 4.48 積地貯蔵 4.47 15.00 電力単価(円/kWh) を比較する。算定式を式(19)に示す。 Σ(要素システム建設コスト×要素システム年経費率) 電力単価 1.36 = 年間電力量 0.66 4.48 水素液化 0.66 水素パイプライン 輸送 送水管 3.17 0.95 10.00 0.06 3.17 水電解水素製造 2.68 ・・・(19) 0.74 15.15 13.84 年間電力量は国内陸上風力および着床型洋上風力は 0.05 系統連系 1.74 2.00 蓄電 電力会社の送電系統に連系する電力量とし,国内陸上風 1.57 5.00 海底ケーブル 力は 4.5×1010kWh/年,着床型洋上風力は 5.0×1010kWh/ 5.78 現地送変電 4.47 年とした。海外風力水素は水素タービン発電所の送電端 風力発電 建設コストおよび年 電力量とし 8.9×1010kWh/年とした。 0.00 国内陸上 経費率として計上した要素システムは表 11 で●で示し 着床型 海外(現在) 海外(将来) た。 図 10 (2)検討結果 電力量 1KWh あたりの電力単価比較 現在・将来ケースにおける海外風力水素の各要素電力 国内送電線に供給される国内陸上風力,着床型洋上風 単価比率を図 11 および図 12 に示す。 力,海外風力(現在・将来ケース)の電力単価を図 10 に示す。 10.6% 国内陸上風力の電力単価は 19.9 円/kWh で,その内訳 風力発電 24.4% 5.8% 現地送変電 は発電コスト 13.8 円/kWh と蓄電コスト 4.5 円/kWh およ 水電解水素製造 び系統連系コスト 1.6 円/kWh である。資源エネルギー庁 送水管 水素パイプライン輸送 のホームページに記載されている国内風力発電の発電 コスト 19.0% 水素液化 23) (発電コストのみで蓄電および系統連系のコス 8.4% トを含まない)9∼14 円/kWh に相当する風力発電の発電 積地貯蔵 タンカー輸送 コストが 13.8 円/kWh でありほほ同じである。 揚地貯蔵 2.8% 海外風力発電の電力単価(現在ケース)は約 23.6 円 11.3% 13.4% /kWh で着床型洋上風力と遜色ない。また,将来ケースで 4.0% 0.3% タービン発電 図 11 海外風力水素の各要素電力単価比率(現在ケース) は約 20.8 円/kWh で国内陸上風力と同等程度の発電単価 17 Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 30, No. 3 4)NREL;Baseline Cost of Energy(アクセス日 2008.4.14) 12.1% 風力発電 21.5% http://www.nrel.gov/wind/coe.html 現地送変電 6.6% 5) 水電解水素製造 7.6% 送水管 ・Example COE Projection Sheet(MS Excel 23KB) 水素パイプライン輸送 ・Annual Energy Production Calculator(MS Excel 253KB) 水素液化 21.6% 4)の一部にある次のシートを利用 6)REpower 社;WEB(アクセス日 2008.8.5) 積地貯蔵 8.4% 3.6% 3.2% 0.3% 15.3% http://www.repower.de/index.php?id=1&L=1 タンカー輸送 7) 電気協同研究会;「20kV 級/400V 配電方式普及拡大技術」電 揚地貯蔵 気協同研究第 56 巻第 3 号,(2000),287. タービン発電 8) 原子力安全・保安部会 電力安全小委員会; 「電力設備電磁 界対策ワーキンググループ」資料 9,(2008),4, 図 12 海外風力水素の各電力単価比率(将来ケース) 9) NEDO 技術開発機構 現在・将来ケースともに風力発電とタンカー輸送が高 燃料電池・水素技術開発部;2006 燃料 電池・水素技術開発ロードマップ,(2006), い比率となり,電力単価に占める比率も高い。これは水 10) DOE Hydrogen Program ; Well-to-Wheels Analysis , 39. 素製造と水素液化の耐用年数(10 年)が他要素システム http://www.hydrogen.energy.gov/pdfs/htacjuly07_wel より短期間に仮定したことによる。電力単価を削減する l_to_wheels.pdf (アクセス日 2008.4.15) には,風力発電とタンカーの建設コストを低減するとと 11) もに水素製造と水素液化の耐用年数を延長する技術開 12) DOE;Report to Congress,Solar and Wind Technologies 発やメンテナンスが必要である。 財団法人経済調査会; 「月間 積算資料 2008.8 月号」 For Hydrogen Production,(2005),13. 13) U.S. Department Of Commerce;Tables of Industrial Gas 8.まとめと今後の課題 Container Contents and Density for Oxygen, Argon, 海外風力発電と他の検討ケースを比較したとき,海 Nitrogen, Helium, and Hydrogen,(1985),176. 外風力発電は建設コストが国内陸上風力と比べて約 3.1 14) NEDO 技術開発機構;水素利用国際クリーンエネルギーシス ∼約 2.7 倍,および着床型洋上風力と比べても約 1.6∼ テム技術サブタスク 3 全体システム概念設計,(1999) 約 1.4 倍と高コストとなる。しかし,1kWh あたりの価格 15) E4tech;The Economics of a European Hydrogen Automotive では,現在ケース(23.6 円/kWh)においても,着床型洋 Infrastructure, A study for Linde AG,(2005) 上風力と比較して遜色なく,将来ケース(20.8 円/kWh) 16) 日本風力発電協会;風力発電長期導入目標値と風力発電導 においては国内陸上風力と同等の電力単価が実現可能 入拡大への要望,(2008),3. であることが示唆された。 17) NEDO 技術開発機構;新エネルギーガイドブック 2008, 今後の課題として,①海外風力発電の各ウィンドファ 18) 第 8 回風力エネルギー利用総合セミナー; 「北海道におけ ームの風況には強い相関があると推測されるため,それ る風力発電の現状と課題」,(2008),2-44. を考慮した風車の動力曲線の検討,②各要素システム 19) NEDO 技術開発機構「系統連系円滑化蓄電システム技術開発」 (特に建設コスト・電力単価に大きな影響を与える風力 共通基盤研究 発電・タンカー輸送・水電解水素製造・水素液化)の最 発の状況」,(2008),11. 適化の詳細検討,③海外におけるコスト低減効果,年経 20) 中尾 費率の詳細調査(耐用年数の長期化等) などがある。 第1回ワークショップ;「コスト評価手法開 徹;国内外における洋上風力発電の現況と展望,第 52 回新エネルギー講演会,(2008),54. 最後に本調査の実施にあたり,関係者の皆様から深甚 21) 電気事業連合会;モデル試算による各電源の発電コスト比 なる助言をいただいたことに対して謝意をあらわす。 較,電気事業分科会第 9 回コスト等検討小委員会,(2004) 22) 新エネルギー部会報告書∼今後の新エネルギー対策のあ 参考文献 り方について∼;新エネルギー部会,(2001) 1)NEDO 技術開発機構; 「南米の再生可能エネルギーを利用した 23) 資源エネルギー庁ホームページ(アクセス日 2008.12.26) 水素の生産に関する調査」調査報告書,(2006) http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/e 2) 勝呂幸男;アルゼンチンにおける風車利用の可能性,足利 nergy2006html/newenergy.html 工大第6回風力エネルギー利用総合セミナー(2006) 3)村田謙二;風のアルゼンチン・パタゴニア,季報 エネルギ ー総合工学 Vol29 No.2,(2006),98-106. 18
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