平成28年度 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン -教育先進都市“いわき”の実現に向けて- いわき市教育委員会 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン 幼稚園教育要領、小中学校学習指導要領 いわき市教育大綱 新・いわき市総合計画 ふるさと・いわき21プラン いわき創生総合戦略 本市の教員に求められる資質・能 力 目指す子ども像(市人づくり教育提言書) 目 ○自分の夢や進路実現を目指 す子ども ○学びを大切にする子ども ○あいさつのできる子ども ○思いやりの心をもつ子ども ○生命を大切にする子ども ○健康でたくましい子ども 次代のいわきを担う、 ○教員としての使命感・責任 「生きる力」を身に付けた ○専門職としての高度な知識・ 子どもの育成 技能、探究力、主体的に学び 標 感、教育的愛情 続ける力 ・東日本大震災の教訓を生かして ○総合的な人間力 ・いわきの復興と未来に向けて 学校教育の約束(平成28年度~32年度) 夢に向かってチャレンジする子どもを育みます。 取組の 視点 A B C 視点A Activity(アクティビティ) 様々な体験活動・学習支援活動を推進します ・多様な主体(学校、家庭、地域、教育委員会、NPO、企業等)による 協働型の教育の推進 等 視点B Base(ベース) 教育の「土台」の部分をより一層充実します ・「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」の推進 視点C 等 Care(ケア) 子どもたちの命を守る取組を充実します ・人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培うことを重視した道徳教育の充実 ・いじめや不登校等の問題行動の未然防止と早期解決 等 学校における重点的な取組 視点A Activity(アクティビティ) (1) 多様な主体(学校、家庭、地域、教育委員会、 NPO、企業等)による協働型の教育の推進 (2) 多様な教育資源(学校、家庭、地域、教育委 員会、NPO、企業等)を活用した、「社会に開か れた教育課程」の編成、実施、評価、改善 (3) スチューデント・シティ、ファイナンス・パーク等 の経済教育プログラムを活用したキャリア教育 の推進 (4) 企画力・問題解決力・実践力や自己有用感の 育成を目指した体験活動の推進 (5) 生徒会長サミット事業等の多様な学びの機会 の提供と活用 視点B Base(ベース) (1) 「課題の発見・解決に向けた主体的・ 協働的な学び」の推進 (2) 言語活動の充実、豊かな言語環境の 形成 視点C Care(ケア) (1) 人間尊重の精神と生命に対する畏敬の 念を培うことを重視した道徳教育の充実 (2) いじめや不登校等の問題行動の未然防 止と早期解決、発生時の的確な対応 (3) 習熟度別指導やティーム・ティーチン (3) スクールカウンセラー、スクールソーシ グ指導の充実、弾力的な指導体制の確 ャルワーカー、関係機関等と連携した教 立 育相談の充実 (4) 学校司書を活用した学校図書館機能 の向上、読書活動や学習支援の充実 (5) 情報活用能力育成を目指した学習の 推進 (4) 体力向上に向けた組織的な取組の推進 (5) 家庭、地域等と連携した食育の推進 (6) 家庭、関係機関等との連携や学校保健 委員会等を活用した健康教育の推進 (6) 一人一人の教育的ニーズに応じた、 組織的な特別支援教育の推進 (7) 保幼小、小中の連携強化による義務 教育の質の向上 - 1 - (7) 家庭、地域、関係機関、各種団体等と 連携した防災・減災教育の推進 (8) 組織的・計画的な放射線等に関する教 育の充実 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン 総 1 説 目標等について 次代のいわきを担う、「生きる力」を身に付けた子どもの育成 ・東日本大震災の教訓を生かして ・いわきの復興と未来に向けて 本市では、平成24~27年度を実施期間として、上記目標を掲げた「未来をつくる いわきの学校教育A BCプラン」 (以下「ABCプラン」という。)による取組を推進してきた。平成27年度は、 「ABCプラン」 の実施最終年度にあたるため、各小・中学校の4年間の取組についてアンケート調査を行い、その結果等 に基づいた検証を行った。「ABCプラン」の目標に関する検証内容は、次のとおりである。 平成24~27年度にかけて、「生きる力」の育成に向けた取組は、いずれの小・中学校においても行わ れた。ただし、「東日本大震災の教訓を生かして」「いわきの復興と未来に向けて」という観点からの教 育課程、あるいは教育活動の見直し・改善には、一層の余地があると考える。 今後は、次代のいわきを担う人材を育成するという観点から、学校の教育課程及び教育活動を不断に 見直し改善する必要がある。 現在、中央教育審議会では、学習指導要領の改訂に向けた審議が進められている。そこでは、本市の子 どもたちが社会で活躍する頃には、様々な課題がますます変化・複雑化・高度化する社会となるため、学 校で学んだ知識・技能を定型的に適用して解決できる問題は少なくなり、自ら深く考え、知識や情報を統 合して新しい価値を創り出す力、そのために多様な他者と協働できる力を有する人材が求められることが 指摘されている。 また、本市においては、平成28年2月、総合教育会議において「いわき市教育大綱」が策定され、そこ でも、 「新しい時代を切り拓くために必要な力の育成」が必要であると指摘されている。同様の指摘は、 「新 ・市総合計画 ふるさと・いわき21プラン」、「いわき創生総合戦略」においてもなされている。 したがって、次代のいわきを担う子どもたちに必要とされる資質・能力とは、「生きる力」に他ならない が、今後は、「伝統や文化に立脚し、高い志や意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報 から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値 を生み出していく力」という側面からも「生きる力」を捉え直し、その育成を図る必要がある。 そこで、本市の学校教育を推進するにあたっては、教育大綱をはじめとする関連計画等との整合を図り つつ、平成24~27年度「ABCプラン」の検証内容を踏まえて、平成28年度から平成32年度の5箇年を計 画期間とする「ABCプラン」を改めて策定することによって、上記目標の達成を目指していく。 2 学校教育の約束について 東日本大震災や原子力災害により未曾有の被害を受けた本市にとって、これからの復興・再生を担う人 づくりは喫緊の課題である。 平成24~27年度「ABCプラン」における【学校教育の約束】「夢に向かってチャレンジする子どもを育 みます」に関する検証内容は、次のとおりである。 - 2 - 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン 「夢に向かってチャレンジする子どもを育む」ことを学校経営・運営ビジョンに位置付けるなど して、教育活動に取り組んだ学校は多い。しかし、そのような子どもを育むためには、各学校にお いてどのような資質・能力を育成する必要があるか、さらには、どのような教育課程を編成する必 要があるかなどを引き続き追究する必要がある。 本市においては、「いわき生徒会長サミット事業」、「体験型経済教育」といった「課題の発見・ 解決に向けた主体的・協働的な学び」を推進している。それらの事業を通じて育成することを目指 している資質・能力とは、「高い志や意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報 から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新た な価値を生み出していく力」である。今後各学校においては、「生きる力」をそのような側面から も捉え直し、その育成を意図的・計画的に進める必要がある。 このような理由から、平成28~32年度「ABCプラン」においても、【学校教育の約束】を「夢に向かっ てチャレンジする子どもを育みます」として、3つの視点から重点的な取組を推進する。(視点A~Cの頭 文字から「ABCプラン」と名付けた。) 【学校教育の約束】 夢に向かってチャレンジする子どもを育みます。 3 各視点と学校における重点的な取組 以下には、「各視点と学校における重点的な取組」を示す。学校ではこれらを、学校経営・運営や教育課 程上の「重点的な取組」として位置付けるようにする。 視点A Activity(アクティビティ) 様々な体験活動・学習支援活動を推進します 視点Aは、Activity(アクティビティ)であり、「体験活動・学習支援活動」を表す。 これからの社会を、自立した人間として多様な他者と協働しながら創造的に生きていくためには、何 事にも主体的に取り組もうとする意欲や多様性を尊重する態度、他者と協働するためのリーダーシップ やチームワーク、コミュニケーション能力、さらには豊かな感性や優しさ、思いやり等の豊かな人間性 を育むことが重要である。 そのような資質・能力を育成するために、「多様な主体(学校、家庭、地域、教育委員会、NPO、企 業等)による協働型の教育」を推進する。 ⑴ 「高い志や意欲を持って、蓄積された知識を礎としながら、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自 ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していく力」の育成を目指した、多様 な主体(学校、家庭、地域、教育委員会、NPO、企業等)による協働型の教育の推進 学校においては、次代のいわきを担う子どもたちに必要とされる資質・能力という側面からも「生き る力」を捉え直し、学校とそれを支える家庭や地域の人々、教育委員会、NPO、企業等が、学校教育 内外の活動において有機的に協働し、学校を核とした地域社会全体で子どもたちを育む、協働型の教育 を推進する。 - 3 - 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン ⑵ 多様な教育資源(学校、家庭、地域、教育委員会、NPO、企業等)を活用した、「社会に開かれた教育課程」の 編成、実施、評価、改善 学校においては、教育内容と教育活動に必要な人的・物的資源等を、家庭や地域等の外部資源を含め て活用しながら、教育の質の向上を図る。そのために、 「社会に開かれた教育課程」の編成、実施、評価、 改善をする。 ⑶ スチューデント・シティ、ファイナンス・パーク等の経済教育プログラムを活用したキャリア教育の推進 学校においては、スチューデント・シティやファイナンス・パークとともに、新しい経済教育プログラ ムを活用したキャリア教育を推進する。 ⑷ 企画力・問題解決力・実践力や自己有用感の育成を目指した体験活動の推進 学校においては、教科・総合的な学習の時間・特別活動における体験活動を通じて、企画力・問題解 決力・実践力を意図的・計画的に育成する。合わせて、「人の役に立った・人から感謝された・人から認 められた」という自己有用感を育成する。 ⑸ 生徒会長サミット事業等の多様な学びの機会の提供と活用 学校においては、生徒会長サミット事業の目的(いわきの未来を担う人材の育成、生徒会長のリーダ ーシップの育成、生徒会の交流を通した生徒会活動の活性化)を踏まえ、サミット事業における学びの 機会を提供するとともに、その成果を活用する。 視点B Base(ベース) 教育の「土台」の部分をより一層充実します 視点Bは、Base(ベース)であり、学校教育に欠かせない「土台」を表す。 視点Bの取組は、「夢に向かってチャレンジする」ために必要な「生きる力」を育む「土台」である。 同時に、次代のいわきを担う子どもたちに必要とされる資質・能力を育む「土台」でもある。 学校ではこれまで以上に、その充実に力を入れていく。 ⑴ 「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」の推進 学校においては、「学びの量とともに、質や深まりを重視し、子どもたちが『どのように学ぶか』につ いても重視する必要がある」との認識のもと、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」を推 進する。 「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」は、狭い意味における授業の方法や技術 の改善に留まるものではなく、子どもたちの深く対話的で主体的な学びを引き出し、次代のいわ きを担う子どもたちに必要とされる資質・能力を育むという観点から、学習の在り方そのものに ついて、その問い直しを目指すものである。 ⑵ 言語活動の充実、豊かな言語環境の形成 学校においては、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」を成立させ、思考力・判断力・ 表現力等を育む観点から、言語に対する関心・理解を深め、言語能力の育成に必要な豊かな言語環境を 形成し、言語活動の充実を図る。 - 4 - 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン ⑶ 習熟度別指導やティーム・ティーチング指導の充実、弾力的な指導体制の確立 学校においては、習熟度別指導やティーム・ティーチングを効果的に取り入れ、個に応じた指導を充 実させる。また、中学校においては、弾力的な指導体制を確立することによって、3年間を見通した学 習指導を行うとともに、校内研修の活性化を図り、教員の指導力を向上させる。 ⑷ 学校司書を活用した学校図書館機能の向上、読書活動や学習支援の充実 学校においては、学校司書を活用した学校図書館機能(「読書センター」「学習・情報センター」とし ての機能)の向上、読書活動の充実、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」への支援を充 実させる。 ⑸ 情報活用能力育成を目指した学習の推進 学校においては、教科・総合的な学習の時間等に、ICT機器やデジタル教科書等を使用して、子ど もたちの情報活用能力(情報の科学的な理解、情報活用の実践力、情報社会に参画する態度)を育成す る学習を推進する。 ⑹ 一人一人の教育的ニーズに応じた、組織的な特別支援教育の推進 学校においては、発達障がい等についての理解のもとに、 「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」 を作成・活用し、一人一人の教育的ニーズに応じた、組織的な特別支援教育を推進する。 ⑺ 保幼小、小中の連携強化による義務教育の質の向上 学校においては、保幼小連携や小中連携、小中一貫教育の成果を生かし、交流授業や授業研究等によ って、義務教育の質を向上させる。 視点C Care(ケア) 子どもたちの命を守る取組を充実します 視点Cは、子どもたちへのCare(ケア)を表す。 震災(地震、津波)では様々な教訓を得るとともに、原子力災害により、放射線についての正しい知 識や理解が必要であることがわかった。また、生育環境や発達課題等の影響から、心のケアを必要とす る子どもたちも少なくない。さらには、いじめや不登校等の問題行動、体力、心身の健康等も課題とな っている。 これらのことから、学校においては、「命を守る取組」の充実を図る。なお、この視点は、広い視野 から、子どもたちの生命、健康、安全について捉えるものである。 ⑴ 人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培うことを重視した道徳教育の充実 学校においては、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培うことを重視した計画を作成し、道徳 の時間における多様な指導方法や指導体制等を工夫するとともに、家庭や地域等との連携を図った「開 かれた道徳教育」を推進する。 ⑵ いじめや不登校等の問題行動の未然防止と早期解決、発生時の的確な対応 学校においては、いじめや不登校等の問題行動の未然防止と早期解決、発生時の的確な対応に、家庭 や関係機関等と連携しながら組織的に取り組む。 - 5 - 未来をつくる いわきの学校教育ABCプラン ⑶ スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関等と連携した教育相談の充実 学校においては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関等と連携した教育 相談体制を確立し、その充実を図る。 ⑷ 体力向上に向けた組織的な取組の推進 学校においては、体力・運動能力の課題を明らかにするとともに、具体的な解決策を盛り込んだ計画 を作成し、組織的な実施と改善を図る。 ⑸ 家庭、地域等と連携した食育の推進 学校においては、食に起因する課題の解決を図るための計画を作成し、栄養教諭や食育推進コーディ ネーターを中心とした指導体制を確立するとともに、家庭や地域等と連携した食育を推進する。 ⑹ 家庭、関係機関等との連携や学校保健委員会等を活用した健康教育の推進 学校においては、健康課題(肥満、う歯、近視、こころ・性)の解決を図るための計画を作成し、家 庭や関係機関等と連携したり、学校保健委員会等を活用したりして、健康教育を推進する。 ⑺ 家庭、地域、関係機関、各種団体等と連携した防災・減災教育の推進 学校においては、保護者、地域、関係機関、各種団体等と連携した、安全・安心な社会づくりに貢献 する意識を高める防災・減災教育を推進する。 ⑻ 組織的・計画的な放射線等に関する教育の充実 学校においては、外部講師等を活用するなど、具体的で実効性のある組織的・計画的な放射線等に関 する教育の充実を図る。 4 いわきの学校教育を担う教員に求められる資質・能力について 本市の学校教育を担う教員は、校内外の様々な研修を通じて、次の3つの資質・能力を育むよう努めた い。また、市教育委員会としても、学校訪問による支援・指導や各種研修の実施等を通じて、子どもや保 護者、地域の人々等から、尊敬され信頼される教員を育成していきたい。 教員としての使命感・責任感、教育的愛情 ○ 未来を担う人材育成に対する使命感・責任感、子どもへの教育的愛情 専門職としての高度な知識・技能、探究力、主体的に学び続ける力 ○ 教科・教職に関する高度な専門的知識、新たな学びを展開できる実践的指導力、教科指導・生徒指 導・学級経営等を的確に実践できる力 ○ チーム学校の一員として、諸課題の解決のために、組織的・協働的に取り組む専門的な力 ○ 様々な情報を適切に収集・選択・活用する能力、知識を深く構造化する力 ○ 多種多様な教育課題等に対する探究心、自律的に学ぶ姿勢 ○ 時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質・能力を高めていくことのできる力 総合的な人間力 ○ 豊かな人間性・社会性・コミュニケーション能力 ○ 様々な専門性を持つ地域の人材等と効果的に連携・協働する力 - 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