第22回日本心エコー図学会学術集会 抄 録 集 会 期:2011年4月21日(木)~ 23日(土) 会 場:鹿児島市民文化ホール(鹿児島県鹿児島市与次郎2-3-1) 南日本新聞社会館 みなみホール(鹿児島県鹿児島市与次郎1-9-33) 会 長:皆 越 眞 一 (独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター 循環器科) 事務局:独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター 循環器科 〒892-0853 鹿児島市城山町8-1 TEL:099-223-1151 FAX:099-223-7918 目 次 ご挨拶 ……………………………………………………………………………………………………… 4 Official Sessionのご案内 … ……………………………………………………………………… 5 会場へのアクセス ……………………………………………………………………………………… 6 会場案内 …………………………………………………………………………………………………… 8 日程表 ……………………………………………………………………………………………………… 10 学術集会参加者の皆様へ … ………………………………………………………………………… 13 座長・演者の先生方へ … …………………………………………………………………………… 14 学術集会役員 … ………………………………………………………………………………………… 16 機器等展示のご案内 …………………………………………………………………………………… 17 協賛企業・団体一覧 …………………………………………………………………………………… 18 Official Session … …………………………………………………………………………………… 21 特別企画 …………………………………………………………………………………………………… 25 一般口演演題 … ………………………………………………………………………………………… 37 一般ポスター演題 ……………………………………………………………………………………… 51 Official Session抄録 ………………………………………………………………………………… 67 仁村レクチャー …………………………………………………………………………………… 67 Young Investigator's Award ……………………………………………………………… 68 特別企画抄録 … ………………………………………………………………………………………… 73 特別講演 … ………………………………………………………………………………………… 73 招請講演 … ………………………………………………………………………………………… 75 ASE Young Investigator's Award 優秀者発表 … ………………………………… 78 シンポジウム ……………………………………………………………………………………… 79 ビジュアルワークショップ …………………………………………………………………… 93 教育講演 … ………………………………………………………………………………………… 95 教育企画 … ………………………………………………………………………………………… 97 ワークステーション … ……………………………………………………………………… 104 モーニングセミナー … ……………………………………………………………………… 107 ランチョンセミナー … ……………………………………………………………………… 111 イブニングセミナー … ……………………………………………………………………… 118 一般口演演題抄録 …………………………………………………………………………………… 121 一般ポスター演題抄録 … ………………………………………………………………………… 159 バス時刻表 …… 巻末 ご挨拶 第22回 日本心エコー図学会学術集会 会 長 皆 越 眞 一 (独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター 循環器科) 第22回日本心エコー図学会学術集会へようこそ御参加くださいました。本学会を鹿児島で開催できますこ とを心より感謝申し上げます。今回の学会への応募演題数は一般口演103題、ポスター181題の合計284題で した。会員の皆様の熱意に改めて御礼申し上げます。 恒例の仁村レクチャーは鹿児島大学鄭忠和先生の「私の心エコー図研究を振り返って」です。若い人たち にとって心エコー研究の原点を知る機会となるでしょう。特別講演にはアメリカからJae K. Oh先生(Mayo Clinic) 、塩田隆弘先生(Cedars-Sinai Medical Center)をお迎えし、また、招請講演としてアメリカ心エコー 図学会(ASE)からSanjiv Kaul先生(Oregon Health & Sciences University)を、ヨーロッパ心エコー図 学会(ESE) から会長のLuigi P. Badano先生(Padua University) を、 さらに韓国心エコー図学会から Jong-Won Ha先生(Yonsei University)をお招きしています。海外での心エコーはどのように進んでいる のかを考える良い機会となるでしょう。Young Investigator’s Award(YIA)では6名の先生方のすばらし い発表が準備されています。また、ASEのYIA winnerとしてShelby Kutty先生(Nebraska University)の 発表もあります。シンポジウムは、 「New Device時代の心エコー法の役割」、「心エコードプラ指標の心不 全治療への応用」、「心エコー法による心筋虚血評価の到達点」、「3D心エコー法による定量評価への新展開」 の4つを企画しました。いずれも、現在の心エコー学における大切なテーマです。また、今回から始まる韓 国心エコー図学会とのジョイントミーティングでは、上記特別講演の他、韓国、日本両国からそれぞれ2名 の医師が参加して行われるケースカンファレンスが企画されました。国を越えての症例検討を是非御経験く ださい。さらに、動脈硬化に対するこれからの血管エコー法の役割を明らかにするために、ビジュアルワー クショップを企画し、頸動脈、大動脈、腎動脈、下肢動脈領域におけるそれぞれのエキスパートにお話をし ていただきます。教育企画では、ブタの心臓を用いて解剖を学ぶウェットラボ「見て学ぼう触って学ぼう、 心臓の解剖」を準備しました。3次元時代の今日、心臓の解剖に今一度対峙することは大きな意義があると 信じます。その他、教育講演、モーニングセミナー、ランチョンセミナー、イブニングセミナーでは臨床に 役立つ有意義な講演が予定されています。今回は循環器小児科医の先生方にも数多く御参加いただいており、 大人の先天性心疾患への理解を深める良い機会ともなるでしょう。また、ワークステーションにも是非足を お運びください。以上のような企画を準備いたしましたが、学会の真髄である一般演題の口演とポスター会 場の方もどうか宜しくお願い申し上げます。 かつてEdlerらがMモードエコー図で僧帽弁の動きを記録したほぼ同じ頃、今と同じく噴煙たなびく鹿児 島で僧帽弁輪のエコー図を記録していた人達がいました。エコーに縁の深いこの地で、エコーを愛する人々 が再び集い、知見を交錯させ、新旧貫く棒の様なものが生まれ、参加された一人ひとりに「新たなる飛翔」 が始まりますことを心より祈念申し上げる次第です。 ― 4 ― Official Sessionのご案内 日本心エコー図学会「Official Session」を下記の通り開催いたしますので、会員の 方々は皆様ご出席ください。 日本心エコー図学会 理事長 吉田 清 記 日 程:4月22日(金) 会 場:第1会場(第2ホール) 午前の部:9:00 ~ 10:30 Official Session 1 Young Investigatorʼs Award 午後の部:14:10 ~ 15:00 Official Session 2 理事長報告 表彰・認定式 ・名誉会員 ・日本心エコー図学会功労賞 ・海外学会発表優秀論文賞 ・Journal of Echocardiography 論文賞 ・Young Investigator’s Award 結果発表・表彰 ・日本心エコー図学会認定専門技師 認定式 海外留学助成帰国報告 次回学術集会会長挨拶 15:00 ~ 15:45 Official Session 3 仁村レクチャー ※ 詳しい時間帯は、プログラムの「Official Session」の頁(p21)をご参照ください。 ― 5 ― 会場へのアクセス 至指宿 ナポリ通り 東口駅前広場 東 23 ダイエー鹿児島中央店 地下通路 鹿児島銀行 市電停留所 東 20 東 22 南国高速 バスセンター 東 19 東 18 東 10 東 16 東 1 東 12 東 15 東 2 東8 東 13 東 14 東3 東7 東6 東5 交 番 中央駅一番街 東 11 若き薩摩 の群像 地下通路 東9 東 17 TAXI TAXI 東 4 空港バス乗り場 桜島口 アミュプラザ鹿児島 鹿児島中央駅 駐車場 ― 6 ― 鹿児島中央駅前路線バス乗り場 東 15 乗り場からバスが出ます。 鹿児島市営バス 16-2 番線、27 番線、並びに 鹿児島交通 32-1 番線の鹿児島市民文化ホール 行きバス乗り場です。 天文館バス停は電車通り沿いにあります。 ※ 巻末にバス時刻表掲載 ○飛行機ご利用の方 空港より鹿児島市内へ空港バスが運行されます。 (所要時間:約 1 時間 15 分、運賃:大人 1,200 円) 鴨池港行き:空港発 40 分間隔で出発 〔鹿児島空港〕→約 45 ∼ 55 分→〔鹿児島中央駅前〕→約 15 分→〔与次郎一丁目〕下車 →徒歩3分以内で市民文化ホール 空港からタクシーご利用の場合 (所要時間:約 40 分、料金:約 11,000 円 ※高速経由時)交通事情により異なります ※高速道路をご利用の場合、別途高速料金¥1,050 が必要となります。 ○JRご利用の場合 〔鹿児島中央駅〕→タクシー 15 分→〔市民文化ホール〕 市営バス、鹿児島交通バスもあります。東 15 乗り場より。(巻末に時刻表掲載) ︻鹿児島市営バス︼ 16 番線 鴨池港・文化ホール線 ※鹿児島中央駅は経由いたしません。 (市役所前→天文館→市民文化ホール北口→市民文化ホール前→県庁前→鴨池港) 16-2 番線 鴨池港・文化ホール線(中央駅経由) (市役所前→天文館→鹿児島中央駅→市民文化ホール北口→市民文化ホール前→県庁前→鴨池港) 27 番線 県庁・与次郎線 (鹿児島中央駅→県庁前→市民文化ホール前→市民文化ホール北口) ︻鹿児島交通バス︼ 32-1 番線 鹿児島中央駅前・鴨池港線 (鹿児島駅前 / 金生町→天文館→鹿児島中央駅→天保山→与次郎ヶ浜→市民文化ホール北口→ 市民文化ホール前→鴨池港) ○乗用車ご利用の方 鹿児島市民文化ホール駐車場 (有料 200 円) 373 台 サンロイヤル ホテル 空港バス停 与次郎1丁目 空港バス停 与次郎1丁目 鹿児島市民文化ホール 北口バス停 鹿児島市民文化ホール 北口バス停 鹿児島市民文化ホール 北口バス停 鹿児島市民文化ホール前バス停 ― 7 ― 南日本新聞社会館4階 会場案内 鹿児島市民文化ホール エレベーター ■会場立面図 5F 第2 会議室 4F 市民ホール ロビー 3F 交流資料 展示室 市民ホール 第1ホール 3Fロビー 第 1 ホ 5F 4F 第2ホール 3Fロビー 第1ホール 2Fロビー 第2ホール 2Fロビー エントランスホール 正面玄関 ル 第 2 ホ ー 1F 特別 応接室 和 室 ー 2F 第1 会議室 第1ホール 1Fロビー 北 口 玄 関 管理 事務所 第2ホール 1Fロビー 東 口 玄 関 小 練習室 ル 3F 2F 1F ※ 正面玄関(エントランスホール)は、2階です。 ※ 南日本新聞社会館へは北口玄関をご利用ください。 ※ ホール内の1F∼3Fロビー(ポスター会場) はエレベーターでは行けません。 ホール2Fロビーより両脇の階段をご利用ください。 ■会場平面図 1F みなみホール (南日本新聞社会館) へ 2F 1F 北口玄関 警備 第1ホール 2F V E 管理 事務所 売 店 東 口 玄 関 1F 21 FF 海 岸 側 ︵ 桜 島 ︶ 1 2 F F 第2ホール 2F 第1ホール2Fロビー クローク 2F 1F 機器展示 エントランスホール 3F 総合受付 第1ホール 第1ホール 1F 2F V E ワークステーション会場 日本心エコー図 学会事務局/ASEブース 第2ホール2Fロビー 3F 関 玄 面 正 PC受付 3 F 3 F 1 F 1 F 第2ホール ― 8 ― 第2ホール 第1会場 952席 第1ホール3Fロビー 3F ポスター会場 3階ロビーへは、 各ホール両脇の階段を使用。 V E 第1ホール 吹抜 吹抜 第2ホール3Fロビー 第2ホール 吹抜 4F V E 第1ホール 吹抜 ル ー ホ 民 市 市民ホール 第2会場 350席 第2ホール 吹抜 みなみホール:南日本新聞社会館4階 4F 第3会場 ― 9 ― 第1日目 日程表 4月21日(木) 第1会場 8:00 第2会場 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール 4階 市民ホール ワークステー 第3会場 ポスター会場 ション会場 展示会場 南日本新聞社会館 4階 みなみホール 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 ロビー内 第1ホール 3階ロビー 第1ホールステージ 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 9:00~11:00 9:00~10:00 シンポジウム1 一般口演1 O-001~005 一般口演2 O-006~010 9:00~10:00 「New Device時代の心エ「虚血性心疾患」 コー法の役割」 座長:石井 克尚 座長:尾辻 田邊 演者:塩田 相川 桑原 川合 竹田 谷口 富松 豊 一明 隆弘 大 栄嗣 宏哉 泰治 学 宏文 「心機能1」 小柳 左門 座長:宇野 漢成 山本 一博 10:00~11:00 10:00~11:00 ポスター貼り出し 一般口演3 O-011~015 一般口演4 O-016~021 「スペックルトラッキング1」「症例1」 座長:浅沼 俊彦 瀬尾 由広 ポスター閲覧 座長:芦原 京美 室生 卓 11:10~11:50 11:30 特別講演1 11:00~12:00 ポスター発表 座長:吉川 純一 演者:Jae K. Oh 12:00 12:30 13:00 12:10~13:00 12:10~13:00 ランチョンセミナー1 ランチョンセミナー2 座長:大木 崇 座長:水重 克文 演者:Luigi P. Badano 演者:伊藤 浩 共催:GEヘルスケア・ジャパン㈱ 共催:ファイザー㈱ 座長:増山 理 演者:Jong-Won Ha 13:10~13:50 13:30 14:00 14:30 15:00 13:10~13:50 招請講演1 教育企画 13:10~15:10 ケースカンファレンス 「エコードプラ法が有用で あった教育的症例 Educational cases using Echo-Doppler method」 座長:Hoo-Joong Youn 増山 理 座長:赤石 誠 西上 和宏 演者:濱口 浩敏 松村 誠 小田代 敬太 平井 都始子 ポスター閲覧 15:10~17:10 15:30 16:00 16:30 17:00 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 機器展示 講師:福田 祥大 協力:持田シーメンス メディカルシス テム㈱ 15:10~16:10 演者:Goo-Yeong Cho 泉 知里 Geu-Ru Hong 田中 信大 シンポジウム2 「心エコードプラ指標の心 不全治療への応用」 座長:岩永 史郎 中谷 敏 演者:Jae K. Oh 飯野 貴子 玉田 智子 安保 浩二 岩野 弘幸 井内 新 坂田 泰史 一般口演5 O-022~026 「弁膜症1」 座長:高橋 秀一 山田 聡 16:20~18:20 教育企画1 ウェットラボ 見て学ぼう 触って学ぼう、心臓の解剖 司会:西畠 信 講師:井本 浩 協力:Edwards㈱ 17:10~18:20 17:30 「3Dデータの使い方」 「血管エコー法で知る動脈 硬化」 13:50~15:10 9:00~18:00 ワークステーションⅠ ビジュアルワークショップ KSE-JSE Joint Session 教育講演1 ポスター撤去 「Dyssynchronyの評価法」 座長:上松 正朗 演者:宮崎 知奈美 有田 武史 18:00~19:00 評議員会 ポスター1 P-001~007 「心筋症」 ポスター4 P-024~033 ポスター7 P-050~056 「症例・感染性心内膜炎」 「スペックルトラッキング」 座長:山浦 泰子 座長:庄野 弘幸 座長:湯田 聡 ポスター2 P-008~013 ポスター5 P-034~043 ポスター8 P-057~063 「先天性心疾患」 「症例・先天性心疾患」 「心機能1」 座長:小山 耕太郎 座長:新垣 義夫 ポスター3 P-014~023 ポスター6 P-044~049 「症例・心不全虚血」 座長:芳谷 英俊 座長:有田 武史 「新技術」 座長:高木 厚 ※ 氏名は50音順もしくは発表順に記載しています(以下同じ)。 ― 10 ― 会場名:城山観光ホテル 第2日目 日程表 4月22日(金) 第1会場 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 第2会場 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール 4階 市民ホール ポスター会場 ション会場 展示会場 南日本新聞社会館 4階 みなみホール 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 ロビー内 第1ホール 3階ロビー 第1ホールステージ 8:00~8:45 8:00~8:45 モーニングセミナー1 座長:石井 正浩 演者:牛ノ濱 大也 共催:アクテリオン ファーマシュー ティカルズ ジャパン㈱ モーニングセミナー2 座長:山近 史郎 演者:長瀬 雅彦 9:00~10:30 9:00~10:00 Official Session1 一般口演6 O-027~031 一般口演7 O-032~036 YIAセッション 座長:三神 岩倉 演者:田渕 片岡 日置 折居 奥村 田野 大世 克臣 晴名 明久 彩那 誠 謙一 絢子 10:30~10:50 ワークステー 第3会場 「心機能2」 9:00~10:00 「弁膜症2」 座長:田畑 智継 西野 雅巳 座長:佐伯 文彦 宮崎 知奈美 10:00~11:00 10:00~11:00 ポスター貼り出し 一般口演8 O-037~041 一般口演9 O-042~046 「心不全」 「先天性心疾患」 座長:大滝 英二 高木 力 ASE-YIA 優秀者発表 座長:市橋 光 富松 宏文 ポスター閲覧 11:00 11:10~11:50 11:30 座長:伊藤 浩 演者:Shelby Kutty 特別講演2 座長:宮武 邦夫 演者:塩田 隆弘 11:00~12:00 ポスター発表 12:00 12:10~13:00 12:30 13:00 13:30 座長:竹中 克 演者:松尾 汎 ライブ:久保田 義則、水上 尚子 共催:日立アロカメディカル㈱ 13:10~13:50 13:10~14:10 招請講演2 一般口演10 O-047~051 一般口演11 O-052~057 EAE-JSE Joint Session 「三次元心エコー1」 13:10~14:10 Official Session2 理事長報告 表彰・認定式 海外留学助成帰国報告 次回学術集会会長挨拶 15:00~15:45 9:00~18:00 機器展示 「症例2」 座長:高野 真澄 渡辺 弘之 14:10~15:00 15:00 ランチョンセミナー4 座長:村田 和也 演者:田中 秀和、石津 智子 共催:東芝メディカルシステムズ㈱ 14:00 14:30 12:10~13:00 ランチョンセミナー3 座長:仲宗根 出 福田 信夫 座長:吉田 清 演者:Luigi P. Badano 共催:GEヘルスケア・ジャパン㈱ ポスター閲覧 Official Session3 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 仁村レクチャー 座長:坂本 二哉 演者:鄭 忠和 15:45~17:45 15:45~16:45 シンポジウム3 一般口演12 O-058~062 一般口演13 O-063~067 「心エコー法による心筋虚「新技術」 血評価の到達点」 座長:西條 芳文 座長:赤阪 隆史 林 英宰 演者:Sanjiv Kaul 上松 正朗 樋口 義治 平田 久美子 武井 康悦 高野 真澄 15:45~16:45 15:45~16:25 教育企画 「スペックルトラッキング2」 那須 雅孝 座長:大手 信之 渡邉 望 16:45~17:55 16:45~17:45 教育講演2 一般口演14 O-068~072 「先天性心疾患におけるエ「血管」 コー」 座長:戸出 浩之 座長:森 一博 演者:安河内 聰 新居 正基 松村 誠 ワークステーションⅡ 「2D、3D Speckle Tracking によるCRT評価の実際」 講師:田中 秀和 協力:東芝メディカル システムズ㈱ ポスター撤去 18:00~18:50 イブニングセミナー 18:30 19:00 19:30 20:00 座長:山岸 正和 演者:岡田 行功 ポスター9 P-064~069 「虚血性心疾患」 ポスター12 P-087~096 「症例・腫瘍」 ポスター15 P-114~120 「心機能2」 座長:石津 智子 座長:野間 充 座長:大手 信之 ポスター10 P-070~076 ポスター13 P-097~106 ポスター16 P-121~127 「弁膜症1」 「症例:三次元心エコー・心機能」 「心不全」 座長:宇都宮 俊徳 座長:湯淺 敏典 ポスター11 P-077~086 ポスター14 P-107~113 「症例・弁膜症」 座長:平野 豊 「症例1」 座長:山田 博胤 20:30 ― 11 ― 座長:平田 久美子 第3日目 日程表 4月23日(土) 第1会場 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール 4階 市民ホール 8:00~8:45 12:30 13:00 14:00 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 鹿児島市民文化ホール 2階 ロビー内 第1ホール 3階ロビー 第1ホールステージ 9:00~10:10 9:00~10:00 シンポジウム4 教育企画2 一般口演15 O-073~077 座長:田内 遠田 演者:種村 田中 高橋 潤 栄一 正 教雄 秀一 「3D心エコー法による定量 あなたも挑戦してみよう!「組織ドプラ」 評価への新展開」 心エコー専門技師試験に挑 座長:大門 雅夫 戦!(症例検討会) 湯田 聡 座長:大倉 宏之 竹中 克 演者:松本 賢亮 中島 英樹 宮坂 陽子 村田 光繁 谷 知子 斎藤 顕 ポスター貼り出し 10:00~11:00 一般口演16 O-078~082 教育企画3 「心筋症」 パネルディスカッション 座長:宇都宮 俊徳 10:10~11:10 ポスター閲覧 「もっと知りたい心エコー専 松村 敬久 門技師」 11:20~12:00 招請講演3 座長:別府 慎太郎 演者:Sanjiv Kaul 共催:㈱フィリップスエレク トロニクスジャパン 12:10~13:00 12:10~13:00 ランチョンセミナー5 ランチョンセミナー6 座長:羽田 勝征 演者:塩田 隆弘 共催:㈱フィリップスエレク トロニクスジャパン 座長:千田 彰一 演者:川端 正明 共催:大塚製薬㈱ 13:10~14:10 13:30 南日本新聞社会館 4階 みなみホール 9:00~11:00 座長:木佐貫 彰 ASE-JSE Joint Session 12:00 ポスター会場 ション会場 展示会場 8:00~8:45 モーニングセミナー4 座長:村田 和也 演者:岩倉 克臣 演者:水上 尚子 共催:持田シーメンスメディカル システム㈱ 共催:日立アロカメディカル㈱ ワークステー 第3会場 モーニングセミナー3 11:00 11:30 第2会場 13:20~14:30 教育企画4 11:00~12:00 ポスター発表 9:00~15:00 機器展示 13:10~14:10 一般口演17 O-083~087 一般口演18 O-088~092 「弁膜症3」 ライブデモンストレーション 座長:岩瀬 正嗣 血管エコーを習得しよう! 鈴木 真事 ガイドラインに沿った血管 エコーの評価方法と手技 14:10~15:10 14:30 座長:増田 喜一 宮武 邦夫 演者:岡庭 裕貴 戸出 浩之 紺田 利子 コメンテーター: 野間 充 山田 博胤 「心機能3」 13:10~13:50 ポスター閲覧 座長:竹内 正明 谷 知子 15:00 「2D・3Dデータセットをワー クステーションで活用する ~GE製超音波画像解析装置 EchoPAC PCを用いて」 14:10~15:10 「症例3」 講師:種村 正 協力:GEヘルスケア・ ジャパン㈱ 座長:太田 剛弘 八木 登志員 閉会式 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 ワークステーションⅢ 座長:岡本 光師 穂積 健之 一般口演19 O-093~097 一般口演20 O-098~103 「三次元心エコー2」 教育企画 座長:西上 和宏 演者:竹本 和司 森尾 のぞみ 富田 文子 協力:日立アロカメディカル㈱ ポスター撤去 ポスター17 P-128~133 「弁膜症2」 「新型2Dマトリックスア レイトランスジューサを 用いた新しいWorkflow」 講師:竹内 正明 協力:㈱フィリップス エレクトロニク スジャパン ポスター20 P-154~163 「症例2」 座長:石塚 尚子 座長:山室 淳 ポスター18 P-134~143 ポスター21 P-164~168 「症例・心筋症」 座長:和田 靖明 ポスター19 P-144~153 「症例・心膜血栓」 座長:高崎 州亜 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 ― 12 ― 「三次元心エコー」 座長:田中 伸明 ポスター22 P-169~175 「心機能3」 座長:室生 卓 ポスター23 P-176~181 「血管」 座長:庄野 弘幸 学術集会参加者の皆様へ Ⅰ.参加受付 1.学術集会プログラムへのご参加に先立ち、参加受付をお済ませください。 参加受付は、会期中、鹿児島市民文化ホール エントランスホールに設置した「総合受付」で行います。 2.参加費と引き換えにネームカードをお渡しします。会場内ではネームカードを必ずご着用ください。 参加費は現金のみの取り扱いとなります。参加費は下記の通りです。 医 師 技師・その他 学 生 会 員 13,000円 7,000円 無料※ 非会員 15,000円 8,000円 ※ 学生は参加無料、但し大学院生は除く。 受付時間:4月21日(木) 8:00 ~ 18:00 4月22日(金) 7:30 ~ 18:30 4月23日(土) 7:30 ~ 15:00 Ⅱ.学会入会・年会費など 新規入会、 各種手続き、 年会費払い込みは、「日本心エコー図学会事務局受付」(鹿児島市民文化ホール エントランスホール)にお越しください。 Ⅲ.各種会合 1.理事会 4月20日(水) 16:30 ~ 18:30 島津重富荘「オトヌ(AUTOMNU)」(鹿児島市清水町13-7) 2.評議員会 4月21日(木) 18:00 ~ 19:00 城山観光ホテル 5F「飛天」 (鹿児島県鹿児島市新照院町41-1) 3.Official Session 4月22日(金) 9:00 ~ 10:30 第1会場(鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール) 14:10 ~ 15:00 第1会場(鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール) 15:00 ~ 15:45 第1会場(鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール) Ⅳ.その他 1.クロークは第1ホール横に設置します。 取扱時間:4月21日(木) 8:00 ~ 19:00 4月22日(金) 7:30 ~ 19:00 4月23日(土) 7:30 ~ 17:00 2.ASE(American Society of Echocardiography)のブースが設置してありますので、ご利用ください。 3.原則として会場内での呼び出しは行いません。エントランスホールに設置いたします掲示板をご利用 ください。外部からの呼び出しも、原則としてこの掲示板に貼り出します。 4.ランチョンセミナー整理券発行について 本学術集会ではランチョンセミナーの整理券を発行いたします。ランチョンセミナー会場前にてお弁 当と引き換えとなりますので、必ず整理券発行場所にてお受け取りください。 1人1枚限りといたします。 場所:鹿児島市民文化センター エントランスホール内 時間:4月21日(木) 8:00 ~ 4月22日(金) 7:30 ~ 4月23日(土) 7:30 ~ ※モーニングセミナー、イブニングセミナーの整理券発行は行いません。 ― 13 ― 座長・演者の先生方へ Ⅰ. 口演演題座長の先生へのお願い ・セッション開始10分前までに、会場内の次座長席にご着席ください。 ・開始時間になりましたら、セッションを開始してください。時間厳守をお願いいたします。 Ⅱ. 口演演題演者の先生へのお知らせ ・セッション開始30分前までに、PC受付にお越しください。 受付時間: 場所: 4月21日(木) 8:30 ~ 18:00 4月22日(金) 7:30 ~ 18:00 4月23日(土) 7:30 ~ 15:00 第1・2会場での 口演演者 第3会場での 口演演者 鹿児島市民文化ホール 2F 第2ホールロビー(第1会場前) 南日本新聞社会館 4F ロビー (第3会場前) ・発表の10分前までに、会場内の次演者席にご着席ください。 【発表時間】 ・一般口演 12分(発表7分、質疑応答5分) ※「症例」セッションのみ10分(発表6分、質疑応答4分) ・YIA 15分(発表8分、質疑応答7分) ※時間厳守でお願いいたします。 【口演発表について】 ・口演発表はPCによる発表のみとさせていただきます。 ・発表データは、CD-RまたはUSBフラッシュメモリーでご持参頂くか、ご自身のPCをお持ちくださ い。特にプレゼンテーションに動画などを含まれる方は、ご自身のPCをご持参頂くことをお勧め します。 また、Macintoshをご利用の方は、必ずご自身のPCをご持参ください。 ・発表の約30分~1時間前までに、PC受付にて、受付・試写をお済ませください。 ・発表データは、OSはWindows、Macintosh、アプリケーションはPowerPointで作成をお願いしま す。 ・ファイル名は【演題番号(半角)】【氏名】と付けてください。 (例)S1-1日本太郎.ppt ・フォントはWindowsおよびMacintoshに標準搭載されているものをご使用ください。 ・メディアを介したウィルス感染の恐れがありますので、予め最新のウィルス駆除ソフトでチェック をお願いいたします。 <PCを持ち込まれる場合> PC受付にて受付・試写をされた後、発表の約20分前までに、会場内演者席付近のオペレーター席 へご自身でPCをお持ちください。 外部モニター接続端子をご確認の上、コネクターを必要とする場合は必ずご持参ください。学会で はD-sub15ピンに対応する端子のみ準備いたします。 外部モニターに正しく出力されるか、予めご確認ください。 スクリーンセーバーならびに省電力設定は事前に解除しておいてください。 ACアダプター、バックアップデータは、必ずご持参ください。 発表後は、発表会場内のオペレーター席にて、ご自身のPCをお受け取りください。 ― 14 ― <発表データを持ち込まれる場合> メディアは、USBフラッシュメモリー、又はCD-Rに対応いたします。メディアに保存した後、作 成したPC以外のPC環境でも正常に動作することを確認してください。 お預かりした発表データは、会期後に全て消去します。 Ⅲ. ポスター演題座長の先生へのお願い ポスター演題座長の先生は、セッション開始の10分前までにポスター会場(3階 第1ホール)前の「ポス ター受付」までお越しください。 開始時間になりましたらセッションを開始してください。時間厳守でお願いいたします。 Ⅳ. ポスター演題演者の先生へのお願い 【ポスター掲示・撤去について】 ・ポスターの掲示および撤去時間は下記の通りです。 90cm 撤去時間までは、ポスターを貼っておいてください。 20cm なお、貼付用の画鋲は各パネルに貼り付けてあります。 20cm 掲 示 撤 去 4月21日(木) 9:00 ~ 10:00 17:00 ~ 18:00 4月22日(金) 9:00 ~ 10:00 17:00 ~ 18:00 4月23日(土) 9:00 ~ 10:00 15:00 ~ 16:00 演題 番号 ・掲示には横90cm×縦180cmのパネルを用意いたします。 事務局でパネルの左上角20cm×20cmのスペースに演題 演題名 氏名・所属 掲示スペース 180cm 番号を掲示いたします。 ・離れた場所からも判読できるよう、文字の大きさやレイ アウトを工夫して作成してください。 ・撤去時間を過ぎても撤去されないポスターは、事務局で 破棄いたします。 【ポスターセッションの口演発表について】 ・セッション時間は下記の通りです。 4月21日(木) 11:00 ~ 12:00 4月22日(金) 11:00 ~ 12:00 4月23日(土) 11:00 ~ 12:00 ・発表時間は、発表5分、質疑応答3分の計8分です。 ※「症例」セッションのみ、発表4分、質疑応答2分となります。 Ⅴ. 個人情報保護に関して 個人情報保護に関して本学会の方針として、 学術集会等で使用されるスライド、PCプレゼンテーション において、個人情報(患者名はもとより、病院で使用されている 「ID」 等)が含まれているものは使用 を禁止しております。個人が特定できる部分は、削除ないしマスキングをお願いいたします。マスキング の方法につきましては当学会ホームページのトップページ下部(Other information) にリンクを設定し ておりますので、ご利用ください。 日本心エコー図学会ホームページ URL: http://www.jse.gr.jp/ ― 15 ― 学術集会役員 Ⅰ.実行委員会 有田 武史 (社会保険小倉記念病院 循環器科) 尾辻 豊 (産業医科大学 第二内科) 木佐貫 彰 (鹿児島大学 医学部 保健学科) 桑原 栄嗣 (鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) 高崎 州亜 (鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) 竹内 正明 (産業医科大学 第二内科) 西上 和宏 (済生会熊本病院 循環器内科) 西畠 信 (鹿児島生協病院 小児科) 野間 充 (九州厚生年金病院医療情報部) 畠 伸策 (国立病院機構鹿児島医療センター 臨床検査科) 水上 尚子 (鹿児島大学病院 検査部 生理検査室) 牟田 光明 (財団法人慈愛会 今村病院分院 臨床検査部) 森尾のぞみ (医療法人天陽会中央病院 検査部) 盛本 真司 (鹿児島市医師会病院 生理機能検査室) 湯淺 敏典 (鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) 米満幸一郎 (鹿児島市医師会病院 生理機能検査室) Ⅱ.査読委員 赤阪 隆史 (和歌山県立医科大学 循環器内科) 石井 正浩 (北里大学 小児科) 岩倉 克臣 (特定医療法人 渡辺医学会 桜橋渡辺病院 循環器内科) 岩永 史郎 (東京医科大学八王子医療センター 循環器内科) 上松 正朗 (関西労災病院 循環器科) 大倉 宏之 (川崎医科大学 循環器内科) 尾辻 豊 (産業医科大学 第二内科) 川合 宏哉 (神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野) 瀬尾 由広 (筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学分野 循環器内科教室) 大門 雅夫 (順天堂大学医学部 循環器内科) 竹中 克 (東京大学医学部附属病院 検査部) 田邊 一明 (島根大学医学部 内科学講座第四) 戸出 浩之 (群馬県立心臓血管センター) 中谷 敏 (大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) 西上 和宏 (済生会熊本病院 循環器科) 福田 信夫 (国立病院機構 善通寺病院 臨床研究部) 三神 大世 (北海道大学大学院 保健科学研究院 病態解析学分野) 村田 和也 (山口大学医学部附属病院 検査部) 室生 卓 (大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器病態内科学) 安河内 聰 (長野県立こども病院 循環器小児科) 山田 聡 (北海道大学大学院 医学研究科 循環病態内科学) 山田 博胤 (徳島大学病院 循環器内科) 山本 一博 (大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター) 林 英宰 (医療法人三世会 河内総合病院 循環器内科) ― 16 ― 機器等展示のご案内 機器等展示を下記スケジュールで開催します。お気軽にご来場ください。 場 所:展示会場 <2階ロビー内> 日 時:4月21日 (木)9:00 ~ 18:00 4月22日 (金)9:00 ~ 18:00 4月23日 (土)9:00 ~ 15:00 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ 株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 正晃株式会社 株式会社ワイディ フクダ電子株式会社 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 東芝メディカルシステムズ株式会社 日本ライトサービス株式会社 持田シーメンスメディカルシステム株式会社 旭光物産株式会社 日立アロカメディカル株式会社 パラマウントベッド株式会社 ― 17 ― 協賛企業・団体一覧 本学術集会の開催にあたり、下記の各企業・団体様のご協力・ご支援をいただきました。こ こに篤く御礼を申し上げます。 アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社 あすか製薬株式会社 株式会社アステム アステラス製薬株式会社 アストラゼネカ株式会社 エーザイ株式会社 Edwards株式会社 MSD株式会社 大塚製薬株式会社 小野薬品工業株式会社 協和発酵キリン株式会社 旭光物産株式会社 株式会社グッドマンヘルスケアITソリューションズ 興和創薬株式会社 サノフィ・アベンティス株式会社 塩野義製薬株式会社 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 正晃株式会社 セント・ジュード・メディカル株式会社 第一三共株式会社 大日本住友製薬株式会社 武田薬品工業株式会社 田辺三菱製薬株式会社 中外製薬株式会社 テルモ株式会社 トーアエイヨー株式会社 東芝メディカルシステムズ株式会社 日本化薬株式会社 日本光電九州株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 日本メドトロニック株式会社 日本ライトサービス株式会社 ノバルティスファーマ株式会社 バイエル薬品株式会社 パラマウントベッド株式会社 日立アロカメディカル株式会社 ファイザー株式会社 株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン フクダ電子株式会社 有限会社南九州調剤薬局 持田シーメンスメディカルシステム株式会社 持田製薬株式会社 株式会社ランダルコーポレーション 株式会社ワイディ (50音順) 平成23年3月11日現在 ― 18 ― Official Session Official Session 4月22日(金) 第1会場<鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> Official Session 1 9:00~10:30 9:00~10:30 Young Investigator’s Award 座 長 三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院 病態解析学分野) 岩倉 克臣(特定医療法人 渡辺医学会 桜橋渡辺病院 循環器内科) 審査委員 芦原 京美(東京女子医科大学 循環器内科) 岩倉 克臣(特定医療法人 渡辺医学会 桜橋渡辺病院 循環器内科) 宇野 漢成(東京大学医学部附属病院 コンピュータ画像診断学/ 予防医学講座) 西上 和宏(済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科) 三神 大世(北海道大学大学院 保健科学研究院 病態解析学分野) 水上 尚子(鹿児島大学病院 検査部 生理検査室) 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科) YIA-1 位相差トラッキング法によるStrain Rate分布から観察し得た、左室壁心筋の収縮・弛緩・ 伸展の伝播 田渕 晴名(東北厚生年金病院 循環器センター) YIA-2 連続の式によるASの大動脈弁口面積計測を再考する-320列CTを用いての解剖学的弁 口面積との比較検討 片岡 明久(千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学) YIA-3 3Dスペックルトラッキング法を用いた局所心筋機能の検討:壁張力-面積ループによる 局所仕事量の評価 日置 彩那(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座) YIA-4 僧帽弁形成術は、なぜ置換術に優るのか? -2Dスペックルトラッキング法による左室動態の検討- 折居 誠(和歌山県立医科大学 循環器内科) YIA-5 免疫グロブリン療法が川崎病急性期の心筋局所ストレインに及ぼす影響 奥村 謙一(大阪医科大学 小児科) YIA-6 Major Determinants of Dobutamine-induced Left Ventricular Outflow Tract Obstruction in Patients with a Sigmoid Septum 田野 絢子(日本大学 医学部 内科学系 循環器内科学分野) Official Session 2 14:10~14:25 14:10~15:00 理事長報告 日本心エコー図学会理事長 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) 14:25~14:41 表彰・認定式 名誉会員 別府 慎太郎(大阪船員保険病院 院長) 日本心エコー図学会功労賞 宮武 邦夫(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 名誉院長) 別府 慎太郎(大阪船員保険病院 院長) ― 21 ― 海外学会発表優秀論文賞 【ACC】齋藤 実(喜多医師会病院 循環器科) 【ASE】片岡 明久(千葉大学医学部付属病院 循環器内科) 【ASE】村中 敦子(札幌医科大学附属病院 第二内科) 【AHA】 大下 千景(山口大学大学院 器官病態内科学) 【AHA】 杜 徳尚(岡山大学医学部 循環器内科) 【EAE】 加藤 隆一(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 循環器科) Journal of Echocardiography 論文賞 浅沼 俊彦(大阪大学医学部 保健学科) Ultrasound Inflammation Imaging in Rats with Myocardial Ischemia-Reperfusion: Evaluation by Non-Specific Targeted Contrast Microbubbles Young Investigator’s Award 結果発表・表彰 日本心エコー図学会認定専門技師(第5回日本心エコー図学会認定専門技師試験) 中井 博美(近畿大学医学部奈良病院) 中島 英樹(筑波大学附属病院) 西蔭 朋子(大阪船員保険病院) 14:41~14:57 海外留学助成帰国報告 座長 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科) 帰国報告1 田中 秀和(神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野) 帰国報告2 藤本 浩平(石切生喜病院 循環器科) 14:57~15:00 次回学術集会会長挨拶 第23回学術集会会長 増山 理(兵庫医科大学 循環器内科) Official Session 3 15:00~15:45 15:00~15:45 仁村レクチャー 座長 坂本 二哉(半蔵門病院) 私の心エコー図研究を振り返って 鄭 忠和(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) ― 22 ― 特別企画 特別企画 第1会場 特別講演 1 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 11:10~11:50 座長 吉川 純一(西宮渡辺心臓・血管センター) LV Remodeling : Lessons from STICH Jae K. Oh(Cardiovascular Diseases and Internal Medicine, Mayo Clinic, Rochester, USA) 第1会場 特別講演 2 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 11:10~11:50 座長 宮武 邦夫(医療法人 吉田小野原東診療所) Echocardiography in the Age of Percutaneous Device Procedure 塩田 隆弘(Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA) 第1会場 招請講演1 KSE-JSE Joint Session <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 13:10~13:50 座長 増山 理(兵庫医科大学 循環器内科) Assessment of LV filling pressure at rest and during exercise Jong-Won Ha(Division of Cardiology, Severance Cardiovascular Hospital, Yonsei University College of Medicine, Seoul, Korea) ASE Young Investigatorʼs Award 優秀者発表 第1会場 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 10:30~10:50 座長 伊藤 浩(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 循環器内科学) Sonothrombolysis of Intra-Catheter Aged Venous Thrombi Using Microbubble Enhancement and Guided Three-Dimensional Ultrasound Pulses Shelby Kutty(Joint Division of Pediatric Cardiology, University of Nebraska/ Creighton University, Childrenʼs Hospital and Medical Center, Omaha, USA) 招請講演2 EAE-JSE Joint Session 第1会場 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 13:10~13:50 座長 吉田 清(川崎医科大学 循環器内科) The Right ventricle: not anymore the neglected neighbour of the left Luigi P. Badano(President of the European Association of Echocardiography; Department of Cardiac, Thoracic and Vascular Sciences, University of Padua, Padua, Italy) (共催:GEヘルスケア・ジャパン株式会社) ― 25 ― 第1会場 招請講演3 ASE-JSE Joint Session <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月23日(土) 11:20~12:00 座長 別府 慎太郎(大阪船員保険病院) What is Coronary Blood Flow Reserve? Insights Using Myocardial Contrast Echocardiography Sanjiv Kaul(Oregon Health & Sciences University, Portland, Oregon, USA) (共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン) 第1会場 シンポジウム1 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 9:00~11:00 New Device時代の心エコー法の役割 座長 尾辻 豊(産業医科大学 第二内科) 田邊 一明(島根大学 医学部 内科学講座第四) SY1-KN Keynote Lecture 僧帽弁クリップにおける心エコー法の役割 塩田 隆弘(Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA) SY1-1 術中経食道エコー法による僧帽弁形成術の評価 相川 大(新座志木中央総合病院 循環器科) SY1-2 虚血性僧帽弁逆流に対する形成術の評価 桑原 栄嗣(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) SY1-3 大動脈弁形成術における心エコーの役割 川合 宏哉(神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座 循環器内科分野) SY1-4 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)における心エコー検査の有用性 竹田 泰治(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学) SY1-5 経カテーテル的心房中隔欠損症閉鎖術における心エコー図の治療ガイドとしての役割 谷口 学(岡山大学病院 循環器疾患集中治療部) SY1-6 心房中隔欠損症に対するカテーテル治療における経食道心エコー法の重要性 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科) 第1会場 シンポジウム2 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 15:10~17:10 心エコードプラ指標の心不全治療への応用 座長 岩永 史郎(東京医科大学 八王子医療センター 循環器内科) 中谷 敏(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻機能診断科学講座) SY2-KN Keynote Lecture Echocardiography in Heart Failure Jae K. Oh(Cardiovascular Diseases and Internal Medicine, Mayo Clinic, Rochester, USA) SY2-1 左室流入血流速波形の評価におけるValsalva法の有用性:高度僧帽弁逆流例における 検討 飯野 貴子(秋田大学大学院 医学系研究科 循環器内科学) SY2-2 左室収縮能低下例における拡張能正常例の頻度とその意義:組織ドプラ法による検討 玉田 智子(川崎医科大学 循環器内科) ― 26 ― SY2-3 Restrictive pattern例における予後予測因子としての組織ドプラ法(A’)の有用性 安保 浩二(大阪市立大学医学部付属病院 中央臨床検査部) SY2-4 左室全体のストレインレートと内膜面積変化速度による左室弛緩能の評価 岩野 弘幸(北海道大学 大学院 医学研究科循環病態内科学) SY2-5 高血圧心の左室心筋に対するARBの修復効果 -2-D speckle tracking(2DST)法による検討- 井内 新(国立病院機構 東徳島医療センター 循環器内科) SY2-6 Diastolic Wall Strainを用いた左室駆出率が保たれた心不全発症リスク予測の可能性 高血圧モデルによる検討 坂田 泰史(大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学) 第1会場 シンポジウム3 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 15:45~17:45 心エコー法による心筋虚血評価の到達点 座長 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科) 林 英宰(医療法人三世会 河内総合病院 循環器内科) SY3-KN Keynote Lecture Echocardiography for the detection of myocardial ischemia: The Ischemic Cascade during Demand Ischemia-Implications for Detecting the Extent of Disease Sanjiv Kaul(Oregon Health & Science University, Portland, Oregon, USA) SY3-1 Post-systolic shorteningを検出することによる心筋虚血の非侵襲的評価:日常臨床へ の応用をめざして 上松 正朗(関西労災病院 循環器科) SY3-2 Impact of microembolization during PCI on regional wall motion in patients with stable angina pectoris 樋口 義治(桜橋渡辺病院) SY3-3 経胸壁心エコーによる冠血流速予備能(CFVR)と心筋血流予備量比(FFR)の心筋虚血 検出能を比較する 平田 久美子(和歌山県立医科大学) SY3-4 新たな冠危険因子と冠血流予備能 武井 康悦(東京医科大学 循環器内科) SY3-5 3D負荷心エコーによる心筋虚血診断:いずれのStrain Rate指標が虚血診断に最も有用か 高野 真澄(福島県立医科大学 感染制御・臨床検査医学講座) 第1会場 シンポジウム4 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月23日(土) 9:00~11:00 3D心エコー法による定量評価への新展開 座長 大倉 宏之(川崎医科大学 循環器内科) 竹中 克(東京大学 医学部附属病院 検査部) SY4-1 拡張型心筋症における左室収縮能障害の不均一性と左室同期不全との関係 -3D Speckle-Tracking 法を用いた検討- 松本 賢亮(神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野) SY4-2 3D心エコー法を用いた左室容量計測における精度の検討 中島 英樹(筑波大学附属病院 検査部) ― 27 ― SY4-3 リアルタイム3D心エコー法による左房サイズの定量評価 宮坂 陽子(関西医科大学附属枚方病院 循環器内科) SY4-4 肺高血圧患者の運動耐容能評価:3D心エコー法を用いた検討 村田 光繁(慶應義塾大学 医学部 臨床検査医学) SY4-5 Distinctive Patterns of Mitral Annular Change between Mitral Valve Prolapse and Ischemic Mitral Regurgitation by 3D-TEE 谷 知子(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) SY4-6 機能性僧帽弁閉鎖不全症例に対するannuloplasty + bileaflet optimizationの有用性 斎藤 顕(川崎医科大学 循環器内科) 第2会場 ビジュアルワークショップ <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月21日(木) 13:10~15:10 血管エコー法で知る動脈硬化 座長 赤石 誠(北里研究所病院 循環器内科) 西上 和宏(済生会熊本病院 循環器内科) VW1 頸動脈エコー VW2 大動脈エコー VW3 腎動脈エコー VW4 下肢動脈エコー 濱口 浩敏(神戸大学医学部附属病院 神経内科) 松村 誠(埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科) 小田代 敬太(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学(第一内科)) 平井 都始子(奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部) 第1会場 ケースカンファレンス <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 13:50~15:10 エコードプラ法が有用であった教育的症例 Educational cases using Echo-Doppler method 座長 Hoo-Joong Youn(Catholic University, Seoul, Korea) 増山 理(兵庫医科大学 循環器内科) 演者:Goo-Yeong Cho(Seoul National University, Seoul, Korea) 泉 知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科) Geu-Ru Hong(Yeungnam University, Daegue, Korea) 田中 信大(東京医科大学 第二内科) ― 28 ― 教育企画 第1会場 教育講演1 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 17:10~18:20 Dyssynchronyの評価法 座長 上松 正朗(関西労災病院 循環器科) EL1-1 Dyssynchronyの実用的な評価法 宮崎 知奈美(東住吉森本病院 循環器内科) EL1-2 Dyssynchronyの評価法とその意義 有田 武史(小倉記念病院 循環器内科) 第2会場 教育講演2 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月22日(金) 16:45~17:55 先天性心疾患におけるエコー 座長 森 一博(徳島市民病院 小児科) EL2-1 先天性心疾患手術前後の解剖、血行動態、エコーの注意点(単心室、三尖弁閉鎖、Fontan 手術を中心に) 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器小児科) EL2-2 先天性心疾患手術前後の解剖/血行動態/エコーの注意点(TGAなど流出路疾患を中心に) 新居 正基(静岡県立こども病院 循環器科) 第2会場 教育企画1 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月21日(木) 16:20~18:20 ウェットラボ 見て学ぼう触って学ぼう、心臓の解剖 司会 西畠 信(鹿児島生協病院 小児科) 講師:井本 浩(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・消化器疾患制御学) (協力:Edwards株式会社) 第2会場 教育企画2 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月23日(土) 9:00~10:10 あなたも挑戦してみよう!心エコー専門技師試験に挑戦!(症例検討会) 座長 田内 潤(大阪労災病院 循環器内科) 遠田 栄一(三井記念病院 検査部) 演者:種村 正(心臓血管研究所付属病院 臨床検査部) 田中 教雄(国立循環器病研究センター 臨床検査部) 高橋 秀一(天理よろづ相談所病院 臨床病理部) ― 29 ― 第2会場 教育企画3 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月23日(土) 10:10~11:10 パネルディスカッション 「もっと知りたい心エコー専門技師」 座長 増田 喜一(医療法人 吉田小野原東診療所) 宮武 邦夫(医療法人 吉田小野原東診療所) EP3-1 心エコー図専門技師「私の体験談」 岡庭 裕貴(群馬県立心臓血管センター 技術部) EP3-2 認定専門技師制度発足から5年が経過して 戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) EP3-3 心エコー専門技師認定試験を受験して 紺田 利子(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部) コメンテーター 野間 充(九州厚生年金病院 医療情報部) 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科) 第1会場 教育企画4 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月23日(土) 13:20~14:30 ライブデモンストレーション 血管エコーを習得しよう! ガイドラインに沿った血管エコーの評価方法と手技 座長 西上 和宏(済生会熊本病院 循環器内科) EP4-1 腎動脈狭窄症の超音波検査 竹本 和司(和歌山県立医科大学附属病院 循環器内科) EP4-2 より身近に下肢動脈エコー 森尾 のぞみ(天陽会中央病院 検査部) EP4-3 下肢静脈エコー 富田 文子(済生会熊本病院 中央検査部) (協力:日立アロカメディカル株式会社) ワークステーション会場 ワークステーションⅠ <鹿児島市民文化ホール 1階 第1ホールステージ> 4月21日(木) 13:10~13:50 3Dデータの使い方 講師:福田 祥大(大阪掖済会病院 循環器内科) (協力:持田シーメンスメディカルシステム株式会社) ワークステーション会場 ワークステーションⅡ <鹿児島市民文化ホール 1階 第1ホールステージ> 4月22日(金) 15:45~16:25 2D、3D Speckle TrackingによるCRT評価の実際 講師:田中 秀和(神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野) (協力:東芝メディカルシステムズ株式会社) ― 30 ― ワークステーション会場 ワークステーションⅢ <鹿児島市民文化ホール 1階 第1ホールステージ> 4月23日(土) 13:10~13:50 Ⅲ-1 2D・3Dデータセットをワークステーションで活用する ~GE製超音波画像解析装置EchoPAC PCを用いて 講師:種村 正(心臓血管研究所付属病院 臨床検査部) (協力:GEヘルスケア・ジャパン株式会社) Ⅲ-2 新型2Dマトリックスアレイトランスジューサを用いた新しいWorkflow 講師:竹内 正明(産業医科大学 第2内科学) (協力:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン) ― 31 ― モーニングセミナー 第1会場 モーニングセミナー1 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 8:00~8:45 座長 石井 正浩(北里大学 小児科) CARTOを用いた先天性心臓病の3DCT画像の解析方法:心エコーとのハイブリッド 牛ノ濱 大也(福岡市立こども病院・感染症センター 循環器科) (共催:アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社) 第2会場 モーニングセミナー2 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月22日(金) 8:00~8:45 座長 山近 史郎(井上病院内科・循環器科) 知っておきたい心臓腫瘍 長瀬 雅彦(市立旭川病院 中央検査科) 第1会場 モーニングセミナー3 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月23日(土) 8:00~8:45 座長 村田 和也(山口大学医学部 附属病院 検査部) 心エコーの計測についてもう一度考えてみよう -臨床に使える指標を的確に提供するには- 水上 尚子(鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部) (共催:日立アロカメディカル株式会社) 第2会場 モーニングセミナー4 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月23日(土) 8:00~8:45 座長 木佐貫 彰(鹿児島大学 医学部 保健学科) ショックにおける緊急エコー診断のポイント 岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 心臓血管センター) (共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社) ― 32 ― ランチョンセミナー 第1会場 ランチョンセミナー1 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月21日(木) 12:10~13:00 座長 大木 崇(東徳島医療センター) Comprehensive assessment of left ventricular morphology and function using 4D echocardiography Luigi P. Badano(President of the European Association of Echocardiography; Department of Cardiac, Thoracic and Vascular Sciences, University of Padua, Padua, Italy) (共催:GEヘルスケア・ジャパン株式会社) 第2会場 ランチョンセミナー2 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月21日(木) 12:10~13:00 座長 水重 克文(独立行政法人国立病院機構 高松医療センター) 循環器治療戦略におけるアルドステロン拮抗薬の役割 伊藤 浩(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 循環器内科学) (共催:ファイザー株式会社) 第1会場 ランチョンセミナー3 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 12:10~13:00 座長 村田 和也(山口大学医学部 附属病院 検査部) 左室Dyssynchronyの評価における2-Dおよび3-D Speckle Tracking法の有用性 田中 秀和(神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野) 3Dトラッキングの心筋虚血診断における展望 石津 智子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床検査医学) (共催:東芝メディカルシステムズ株式会社) 第2会場 ランチョンセミナー4 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月22日(金) 12:10~13:00 座長 竹中 克(東京大学医学部附属病院 検査部) 血管エコーと心エコーの密接な関係 −脚が痛くて歩けない60歳女性の話− 演者:松尾 汎(松尾クリニック、藤田保健衛生大学) ライブ:久保田 義則(国立循環器病研究センター 臨床検査部) 水上 尚子(鹿児島大学医学部附属病院 臨床技術部 検査部門) (共催:日立アロカメディカル株式会社) ― 33 ― 第1会場 ランチョンセミナー5 <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月23日(土) 12:10~13:00 座長 羽田 勝征(榊原記念クリニック 循環器内科) Clinical Applications of Modern 3D Echocardiography 塩田 隆弘(Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA) (共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン) 第2会場 ランチョンセミナー6 <鹿児島市民文化ホール 4階 市民ホール> 4月23日(土) 12:10~13:00 座長 千田 彰一(香川大学医学部 総合診療部) 新たなる心不全治療:水利尿薬の可能性を探る 川端 正明(兵庫医科大学 ささやま医療センター 循環器科) (共催:大塚製薬株式会社) イブニングセミナー 第1会場 イブニングセミナー <鹿児島市民文化ホール 2階 第2ホール> 4月22日(金) 18:00~18:50 座長 山岸 正和(金沢大学 循環器内科) 僧帽弁逆流にたいする弁形成術1000例の経験からみた手術適応時期 岡田 行功(神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科) ― 34 ― 一般口演演題 4月21日(木) 一般口演1(9:00~10:00)虚血性心疾患 第2会場 座長:石井 克尚(関西電力病院 循環器内科) 小柳 左門(国立病院機構都城病院) O-001 急性心筋梗塞例の発症90分以内早期再灌流は冠微小血管を保護する:冠動脈血流速波形からの検討 山室 淳(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) O-002 経胸壁心エコーによる冠血流速予備能(CFVR)と心筋血流予備量比(FFR)の比較 和田 輝明(和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科) O-003 2型糖尿病において全身加速ベッドを用いた受動運動が冠微小循環とインシュリン抵抗性に与える急性 影響 河野 靖(大阪掖済会病院 循環器内科) O-004 Automated Functional Imaging法のラット心筋機能評価に対する有用性: 虚血再灌流後adrenomedullin投与モデルにおける検討 堂園 武史(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座) O-005 陳旧性心筋梗塞症におけるV1誘導のP terminal forceの臨床的意義:心エコー・ドプラ法を用いた検討 山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科) 一般口演2(9:00~10:00)心機能1 第3会場 座長:宇野 漢成(東京大学医学部附属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座) 山本 一博(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター) O-006 Detection of Tissue Doppler Velocity and Speckle Tracking Strain Rate During Isovolumic Relaxation Time 岡野 智子(東京大学 医学部 附属病院 検査部) O-007 糖尿病患者における心筋内微小循環障害は遠隔期の左室拡張障害と関連する 小林 淳(福島県立医科大学 循環器血液内科) O-008 運動耐容能と左室充満圧指標の関係 高井 学(聖マリアンナ医科大学 循環器内科) O-009 左室弛緩障害症例における左室内渦動態の検討-Vector Flow Mappingを用いた評価- 寺上 貴子(金沢大学附属病院 検査部) O-010 植え込み型除細動器による心腔内除細動は心不全患者の心機能を低下させ、血行動態の回復を遅延させる 杜 徳尚(岡山大学 医学部 循環器内科) ― 37 ― 4月21日(木) 一般口演3(10:00~11:00)スペックルトラッキング1 第2会場 座長:浅沼 俊彦(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻機能診断学講座) 瀬尾 由広(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科) O-011 3Dスペックルトラッキング法による心筋虚血後残存する局所壁運動異常の評価についての検討 三角 千香(兵庫医科大学病院 超音波センター) O-012 短時間虚血再灌流後のpost-systolic shorteningによる虚血メモリーの評価:スペックルトラッキング 法を用いた心筋層別解析 櫻井 大輔(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座) O-013 Japanese Ultrasound Speckle Tracking Analysis in Left Ventricle: JUSTICE-第一報-予備的研究 瀧聞 浄宏(長野県立こども病院) O-014 加齢による左室変形と左室弛緩機能との関係 岡田 一範(北海道大学 大学院保健科学院) O-015 肥大型心筋症における運動負荷時の心機能変化 水越 慶(聖マリアンナ医科大学 循環器内科) 一般口演4(10:00~11:00)症例1 第3会場 座長:芦原 京美(東京女子医科大学 循環器内科) 室生 卓(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学) O-016 機能性僧帽弁逆流症が左室機能低下や僧帽弁輪拡大によるものでは無く、左室拡大によることが短期間 で証明された興味深い一例 大久保 輝男(埼玉県立循環器・呼吸器病センター 生理検査室) O-017 収縮性心膜炎に類似した血行動態と心エコー図所見を呈した重症三尖弁閉鎖不全症の症例 安達 和子(島根大学医学部内科学講座第四) O-018 可逆的「逆たこつぼ型」壁運動異常を認めた褐色細胞腫の3例 佐藤 寛大(松江市立病院 循環器内科) O-019 鈍的心筋損傷に対して心臓超音波検査、心臓MRI検査が有用であり、その経時的変化を観察し得た症例 高田 佳代子(藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科学) O-020 左室、左心耳、右房内に血栓を認めた低左心機能の一例 緒方 啓人(川崎医科大学 循環器内科) O-021 左室中部閉塞肥大型心筋症に合併した心尖部血栓の1例 鈴木 さやか(聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科) ― 38 ― 4月21日(木) 一般口演5(15:10~16:10)弁膜症1 第3会場 座長:高橋 秀一(天理よろづ相談所病院 臨床病理部) 山田 聡(北海道大学大学院医学研究科 循環病態内科学) O-022 “Bileaflet Optimization” in Repairing Functional Mitral Regurgitation: Diastolic configuration of mitral leaflet 尾長谷 喜久子(川崎医科大学 循環器内科) O-023 外科的弁輪縫縮術後の虚血性僧帽弁逆流の前方へのjetはより高度である 桑原 栄嗣(鹿児島大学病院) O-024 僧帽弁逸脱における経胸壁心エコー図の診断精度-特に交連逸脱に着目して- 磯谷 彰宏(社会保険 小倉記念病院) O-025 運動誘発性僧帽弁逆流に関与する左室形態変化および左室wall stressの検討 エルゴメータ負荷心エコー法を用いて 山本 昌良(筑波大学 循環器内科) O-026 左心耳血栓形成における左心耳突撃型僧帽弁閉鎖不全症の意義 二宮 信雄(広島市立安佐市民病院 臨床検査部) ― 39 ― 4月22日(金) 一般口演6(9:00~10:00)心機能2 第2会場 座長:田畑 智継(西田厚徳病院 循環器内科) 西野 雅巳(大阪労災病院 循環器科) O-027 日本人における心血管イベント予測因子としての左房容積の有用性に関する検討 辻本 悟史(関西医科大学附属枚方病院 循環器内科) O-028 Elevated plasma von Willebrand factor(vWF)level predicts LAA dysfunction in patients with cardioembolic stroke 和根崎 真大(山形大学 医学部 内科学第一講座) O-029 心房細動アブレーション再治療後洞調律維持の予測因子 佐々木 健人(群馬県立心臓血管センター 循環器内科) O-030 CHA2DS2-VASc Score Refines Risk Stratification for Left Atrial Thrombus Prior to Left Atrial Ablation 山下 英治(群馬県立心臓血管センター 循環器内科) O-031 慢性心房細動における肺静脈隔離術の左房形態および左房機能への影響 谷中 里美(筑波大学附属病院 検査部) 一般口演7(9:00~10:00)弁膜症2 第3会場 座長:佐伯 文彦(東芝病院 循環器内科) 宮崎 知奈美(東住吉森本病院 循環器内科) O-032 Impact of EF<55% on Long-term Survival after Elective Aortic Valve Replacement in Octogenarians with Aortic Stenosis 柴山 謙太郎(榊原記念病院 循環器内科) O-033 超高齢者における大動脈弁硬化に関する検討 冨田 紀子(徳島大学病院 循環器内科) O-034 大動脈二尖弁の実際-大動脈弁置換術例での検討- 齋藤 聡男(大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器病態内科学) O-035 スペックルトラッキング法を用いた慢性大動脈弁閉鎖不全症患者における局所心筋機能評価の有用性 金子 明弘(神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野) O-036 上行大動脈拡大を伴った単交連一尖大動脈弁の超音波所見 長瀬 雅彦(市立旭川病院 中央検査科 生理機能検査室) ― 40 ― 4月22日(金) 一般口演8(10:00~11:00)心不全 第2会場 座長:大滝 英二(おおたき循環器内科クリニック) 高木 力(高木循環器科診療所) O-037 心臓再同期療法の効果予測に対する低用量ドブタミン負荷3D心エコー図の有用性 柳下 慈子(東京女子医科大学循環器内科) O-038 心臓再同期療法における推定肺血管抵抗の有用性と予後との関連 前田 美歌(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 心不全部) O-039 右室心尖部ペーシング施行例における左室壁運動障害の経時的評価 飯野 貴子(秋田大学大学院 医学系研究科 循環器内科学) O-040 肺うっ血診断におけるLung Comets signの有用性 加藤 美穂(藤田保健衛生大学病院 臨床検査部) O-041 慢性心不全患者の心臓リハビリテーションにスタチン治療を併用することの有用性 中坊 亜由美(兵庫医科大学 内科学 循環器内科) 一般口演9(10:00~11:00)先天性心疾患 第3会場 座長:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター小児科) 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科) O-042 三次元心エコーを用いた無脾症候群における房室弁評価-新しい房室弁分類を用いた術前評価- 新居 正基(静岡県立こども病院 循環器科) O-043 機能的左室性単心室の心エコー評価 梶村 いちげ(東京女子医科大学病院 循環器小児科) O-044 心室中隔を右室側と左室側に区別したストレイン解析は、右室容量及び圧負荷の診断に有用である 早渕 康信(徳島大学病院 小児科) O-045 Speckle tracking imagingによるファロー四徴症術後患者の左室torsion, strainの解析 高安 博史(順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児科) O-046 ファロー四徴症術後遠隔期における大動脈径の変化についての検討 神田 かおり(東京女子医大病院 中央検査部) ― 41 ― 4月22日(金) 一般口演10(13:10~14:10)三次元心エコー1 第2会場 座長:高野 真澄(福島県立医科大学 感染制御・臨床検査医学講座) 渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科) O-047 心臓再同期療法におけるねじれ運動の重要性~3Dスペックルトラッキング法による評価~ 李 泰治(大阪労災病院 循環器内科) O-048 3次元スペックルトラッキング法による右室局所壁運動評価 渥美 安紀子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科) O-049 RT3DTEE can detect true lumen originated coronary arteries in patients with acute type A aortic dissection 佐々木 俊輔(榊原記念病院 循環器内科) O-050 3次元経食道心エコー図を用いた肺静脈評価の初期経験 田中 一樹(東京女子医科大学 循環器内科) O-051 術中三次元経食道心エコー図検査の心臓血管外科手術に与える影響:当院での経験症例 芳谷 英俊(産業医科大学 第二内科) 一般口演11(13:10~14:10)症例2 第3会場 座長:仲宗根 出(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 臨床研究部 臨床検査科) 福田 信夫(独立行政法人国立病院機構 善通寺病院 臨床研究部) O-052 大動脈弁右冠尖のみに高度変化を認めた慢性関節リウマチに伴う大動脈弁逆流症の一例 高橋 利絵子(群馬大学大学院医学系研究所 臓器病態内科学) O-053 再発を来した自己大動脈弁血栓症の1例 妹尾 有夏(名古屋第二赤十字病院 医療技術部 生体検査課) O-054 胸痛および局所壁運動異常を呈したミトコンドリア心筋症の一例 小形 幸代(自治医科大学 循環器内科) O-055 長期経過を追えたacromegalic cardiomyopathyの一例 伏見 悦子(平鹿総合病院 循環器科) O-056 Rituximab-CHOP療法により、発症後1年以上の長期経過を心臓超音波検査にて観察中の心臓原発悪性 リンパ腫の1例 加藤 隆一(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター 循環器科) O-057 無症候性心臓inflammatory myofibroblastic tumorの一例 溝渕 景子(東京女子医科大学 循環器内科) ― 42 ― 4月22日(金) 一般口演12(15:45~16:45)新技術 第2会場 座長:西條 芳文(東北大学 大学院医工学研究科 医用イメージング研究分野) 那須 雅孝(医療法人社団恵仁会 三愛病院 循環器科) O-058 Assessment of left ventricular wall motion and valvular regurgitation by a new pocketsized echocardiographic machine 古山 輝將(川崎医科大学附属病院 循環器内科) O-059 第4音聴取例の心房収縮期左室内流速分布の特徴:Vector Flow Mapping法による検討 福田 信夫(国立病院機構 善通寺病院 臨床研究部) O-060 運動負荷心エコー法を用いた膠原病例における潜在性肺動脈性肺高血圧症の検出 清水 拓(徳島大学病院 超音波センター) O-061 肺高血圧症患者における運動負荷エコーの有用性の検討 伊藤 義浩(藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科) O-062 超高周波超音波を用いたマウスEmbryoの心機能評価 大谷 健太郎(国立循環器病研究センター研究所 再生医療部) 一般口演13(15:45~16:45)スペックルトラッキング2 第3会場 座長:大手 信之(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学) 渡邉 望(川崎医科大学 循環器内科) O-063 未熟児の左室機能の成熟-speckle tracking法による左室内膜運動速度の検討- 森 一博(徳島市民病院 小児科) O-064 左室収縮能および拡張能評価における3D wall tracking法の有用性 若見 和明(名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学) O-065 心房細動患者における左室global longitudinal strain計測:先行R-R間隔指標を用いた検討 山口 一人(島根大学 医学部 附属病院 検査部) O-066 心拍数コントロールによるStrain Delay Indexの収束効果と運動耐容能の向上 黄 世捷(聖マリアンナ医科大学循環器内科) O-067 Speckle-Tracking Displacement法およびStrain法を用いた急性肺塞栓症における左室動態の検討 櫻井 裕子(三重大学医学部附属病院 中央検査部) ― 43 ― 4月22日(金) 一般口演14(16:45~17:45)血管 第3会場 座長:戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター 技術部) 松村 誠(埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科) O-068 総頚動脈の蛇行は脳心血管イベントの予測因子となる 渡部 朋幸(医療生協わたり病院 内科循環器科) O-069 頚動脈stiffnessの加齢による変化-Two-dimensional speckle tracking imagingによる検討- 大石 佳史(国立病院機構 東徳島医療センター 循環器内科) O-070 頚動脈のPeak circumferential strainの再現性に関する検討 齋藤 実(喜多医師会病院 循環器内科) O-071 CABG術前におけるグラフト評価の有用性 北出 和史(大阪警察病院 臨床検査科) O-072 睡眠時無呼吸症候群(SAS)合併心疾患患者における心臓及び血管機能低下に関する検討:%FMDの 有用性 義久 精臣(福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座) ― 44 ― 4月23日(土) 一般口演15(9:00~10:00)組織ドプラ 第3会場 座長:大門 雅夫(順天堂大学医学部 循環器内科学) 湯田 聡(札幌医科大学 医学部 臨床検査医学) O-073 左室正常壁運動のDuchenne型筋ジストロフィーにおけるradial strain中に見られたノッチの臨床的意 義について 山本 哲志(神戸大学医学部付属病院 検査部) O-074 肺動脈性肺高血圧症における左房負荷と肺血管抵抗について 赤坂 和美(旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部) O-075 肺静脈隔離術後の心房細動再発と組織ドプラ法を用いた拡張能障害の関連 北村 健(東京都立広尾病院 循環器科) O-076 Low wall velocity of left atrial appendage measured by TTE predicts thrombus in paroxysmal atrial fibrillation 田村 晴俊(山形大学 医学部 内科学第一講座) O-077 心エコー検査で診断された肺高血圧症連続387例の基礎疾患と三尖弁輪運動速波形指標 玉井 利奈(徳島大学病院 循環器内科) 一般口演16(10:00~11:00)心筋症 第3会場 座長:宇都宮 俊徳(大町町立病院) 松村 敬久(高知大学医学部 老年病科 循環器科) O-078 Global longitudinal strain rateは左室弛緩機能の非侵襲的指標である 西村 和久(愛媛大学大学院 病態情報内科学) O-079 肥大型心筋症における円周方向ストレインは心内膜側では保たれ中層では低下している 岡田 一範(北海道大学 大学院保健科学院) O-080 たこつぼ型心筋症の左室収縮能および拡張能障害の評価 武本 和也(杏林大学 医学部 循環器内科) O-081 超音波組織性状解析を用いた肥大型心筋症における心内膜下虚血の検出 川崎 達也(松下記念病院 循環器科) O-082 Duchenne型筋ジストロフィー左室後壁外膜側有意に認められる非虚血性局所心筋障害-自律神経機能 異常との関連- 宮崎 達志(独立行政法人国立病院機構 徳島病院 小児科) ― 45 ― 4月23日(土) 一般口演17(13:10~14:10)弁膜症3 第2会場 座長:岩瀬 正嗣(藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報学科) 鈴木 真事(東邦大学医療センター大橋病院 臨床検査医学) O-083 日本における大動脈弁狭窄症の重症度における進行度の検討 武田 久輝(大阪市立大学 大学院 医学研究科 循環器病態内科学) O-084 重症大動脈弁狭窄症における拡張能について 有田 武史(社会保険 小倉記念病院 循環器内科) O-085 健常例における生理的弁逆流の頻度と予測因子 山邉 梓(ベルランド総合病院 臨床検査室) O-086 感染性心内膜炎57例での塞栓症と早期外科手術に関する実態調査 宮崎 浩美(九州厚生年金病院 中央検査室) O-087 一施設における最近 5年間(2006年~2010年)の感染性心内膜炎 54例の臨床背景に関する検討 杉林 幸代(関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部) 一般口演18(13:10~14:10)心機能3 第3会場 座長:岡本 光師(県立広島病院循環器内科) 穂積 健之(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学) O-088 スペックルトラッキングストレイン法を用いた右室ペーシング時の不全心の左室動態 市川 和秀(三重大学大学院 循環器腎臓内科学) O-089 心室中隔 pacingは心尖部 pacing に比べLV torsion の低下を減弱しLV total performance(Teiindex)を保つ 茅野 博行(昭和大学 医学部 内科学講座 循環器内科学部門) O-090 器質的心疾患を伴わない肺動脈圧上昇症例の症状と心機能との関係:心エコー図所見からみた特徴 奥平 久美子(兵庫医科大学病院 超音波センター) O-091 β遮断薬導入による左室収縮能改善とコラーゲン代謝との関連 大江 良子(兵庫医科大学 循環器内科) O-092 発作性心房細動患者の左室スティフネスの評価(心エコーMモード法を用いた非侵襲的評価) 坂本 二郎(天理よろづ相談所病院 循環器内科) ― 46 ― 4月23日(土) 一般口演19(14:10~15:10)三次元心エコー2 第2会場 座長:竹内 正明(産業医科大学 第2内科学) 谷 知子(神戸市医療センター 中央市民病院 内科) O-093 Three-dimensional Geometric Analysis of Semi-rigid Ring for Mitral Valve Plasty 柴山 謙太郎(榊原記念病院 循環器内科) O-094 経胸壁3D echoを利用した同一心拍僧帽弁多断面2D表示の有用性 余語 保則(小牧市民病院 臨床検査科) O-095 心房細動が房室弁形態と逆流におよぼす影響:リアルタイム三次元経食道心エコー図法による検討 春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科) O-096 3次元経食道心エコー図法による大動脈根部形態の評価 加来 京子(産業医科大学 第二内科) O-097 大動脈弁逸脱におけるリアルタイム3次元経食道エコーの有用性 長尾 秀紀(兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部 生理検査室) 一般口演20(14:10~15:10)症例3 第3会場 座長:太田 剛弘(社会医療法人生長会 府中病院 循環器科) 八木 登志員(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部) O-098 剖検所見を確認できた副僧帽弁の一例 坂本 一郎(九州厚生年金病院 循環器科) O-099 カルチノイド症候群に合併した高度肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症の1症例 岡崎 葉子(神戸大学医学部附属病院 検査部) O-100 繰り返す再発性タコツボ心筋症によりび慢性壁運動低下心筋症様となりうっ血性心不全を来たした 1症例 西山 裕善(府中病院 循環器科) O-101 瀉血とキレート剤により心機能が著明に改善したヘモクロマトーシスの1例 正岡 佳子(土谷総合病院循環器内科) O-102 8ヶ月未満で5cm大に成長したことを確認できた心臓粘液腫の一例 西崎 晶子(聖マリア病院 循環器内科) O-103 右室内に巨大な可動性血栓を認めた肺塞栓症の一例 盛本 美恵子(関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部) ― 47 ― 一般ポスター演題 4月21日(木) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター1(11:00~11:56)心筋症 座長:山浦 泰子(兵庫県予防医学協会) P-001 Diastolic wall strain(DWS)identifies between HHD and HCM 生島 雅士(東宝塚さとう病院 循環器科) P-002 Is hypertrophied papillary muscle a type of hypertrophied cardiomyopathy? 梶山 貴嗣(国保直営総合病院 君津中央病院 循環器科) P-003 心アミロイドーシスにみられる右室壁の肉柱肥大についての報告 中橋 卓也(平成紫川会小倉記念病院) P-004 心サルコイドーシス診断における局所壁運動異常評価の有用性~核医学との比較~ 松井 深香(大阪市立大学医学部附属病院 中央臨床検査部) P-005 心サルコイドーシスの診断における3次元スペックルトラッキング法の有用性 辻 隆之(神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学) P-006 全身性AA(続発性)アミロイドーシスによる心筋肥大-原疾患治療による10年経過の症例 東上里 康司(琉球大学 医学部 附属病院 検査部) P-007 非対称性中隔肥大を呈した心サルコイドーシスの1例-組織ドプラ法を用いた心筋ストレイン法による 経時的変化- 中尾 浩司(兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部) ポスター2(11:00~11:48)先天性心疾患 座長:小山 耕太郎(岩手医科大学附属病院循環器医療センター 循環器小児科) P-008 心臓超音波検査法による収縮期最大圧較差は小児大動脈弁上狭窄症の狭窄程度を過大評価する 山澤 弘州(北海道大学病院 小児科) P-009 2Dスペックルトラッキング法による新生児左室ストレインの評価 丸山 麻美(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科) P-010 Pressure-Strain Loopを用いた心室収縮様式の評価-右室および左室型単心室での検討- 鈴木 一孝(静岡県立こども病院 循環器科) P-011 卵円窩推定面積と卵円孔開存との関連について 川井 真(東京慈恵会医科大学 循環器内科) P-012 肺動脈弁狭窄を合併した不完全型房室中隔欠損症の一例 伊藤 梢(函館中央病院 検査科) P-013 心房中隔欠損のシャント量決定因子 -カテーテル治療1年後の心室パフォーマンスの検討から- 須田 憲治(久留米大学 医学部 小児科) ― 51 ― 4月21日(木) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター3(11:00~12:00)症例・心不全虚血 座長:芳谷 英俊(産業医科大学 第二内科) P-014 急性肺塞栓症類似の心エコー図所見を示し、治療による経時的変化を記録しえた衝心脚気の1例 横井 靖世(国立病院機構 善通寺病院 臨床検査科) P-015 心エコー経過を確認できた雷撃傷の1例 サッキャ サンディープ(総合病院国保旭中央病院) P-016 トラスツズマブによる心不全をきたした2例 上田 素子(高知大学 医学部 附属病院 老年病科) P-017 クロミプラミンにより心不全をきたした症例 北條 義明(深谷赤十字病院 内科) P-018 心不全で入院となった仮性心室瘤の1例 小野 和重(君津中央病院 生理検査部) P-019 Health Care-Associated Infective Endocarditis(HCAIE)診断における心エコー図検査施行の重 要性、2つの心不全症例からの教訓 上西 洋二(北里大学 北里研究所病院 診療技術部 臨床検査科) P-020 胸部下行大動脈縮窄症による急性心不全の急性期と回復期を心筋スペックルトラッキング法で観察した 大動脈炎症候群の1例 原 佳世(愛媛大学大学院 病態情報内科学) P-021 心臓再同期療法におけるリード感染の特徴 -当院での経食道エコーにおける検討- 小林 さゆき(獨協医科大学越谷病院 循環器内科) P-022 感染性心内膜炎に感染性冠動脈瘤を併発した一例 高橋 のり(東京医科大学 循環器内科) P-023 冠動脈内stent感染による感染性冠動脈瘤の一例 吉村 雄樹(県立宮崎病院 循環器科) ポスター4(11:00~12:00)症例・感染性心内膜炎 座長:庄野 弘幸(熊本県済生会みすみ病院) P-024 急性細菌性心内膜炎(Acute Bacterial endocarditis)の2症例 中村 幸美(鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部門) P-025 左室心内膜面に及んだ僧帽弁の感染性心内膜炎の一症例 岩崎 実加(和歌山県立医科大学 循環器内科 超音波検査室) P-026 アトピー性皮膚炎の感染から腸腰筋膿瘍を合併した感染性心内膜炎の一例 大西 正人(草津総合病院 循環器内科) P-027 感染性心内膜炎術後に心室瘤の右房穿破を認めた一例 花井 甲太郎(名古屋徳洲会総合病院) P-028 発熱と胸背部痛にて緊急手術となった感染性心内膜炎の一例 山崎 正之(大阪府済生会野江病院 検査科) P-029 大動脈弁下狭窄に合併した感染性心内膜炎の一例 矢作 和之(社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科) ― 52 ― 4月21日(木) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-030 肺動脈弁及び僧帽弁にvegetationを認め、TEEにてASDが見つかった感染性心内膜炎の1例 林 隆三(名古屋徳洲会総合病院 循環器内科) P-031 左房粘液腫が疑われたGroup B Streptococcus感染性心内膜炎の一例 前川 恵美(北里大学 医学部 循環器内科学) P-032 速やかな診断とホモグラフト置換術で救命しえたAerococcus urinaeによる感染性心内膜炎の1例 谷地 繊(三井記念病院 循環器内科) P-033 治療時期決定に心エコー図による判断が極めて有用であった人工弁感染性心内膜炎(PVE)の一症例 堀川 史織(九州大学病院 ハートセンター生理検査部門) ポスター5(11:00~12:00)症例・先天性心疾患 座長:新垣 義夫(倉敷中央病院 小児科) P-034 2D speckle tracking法が心室再同期の評価に有効であった単心房単心室の1例 木村 純人(北里大学 医学部 小児科) P-035 壮年期に診断された右室二腔症の一例;経食道心エコー検査の有用性について 長友 大輔(済生会福岡総合病院 循環器内科) P-036 高齢となってから偶発的に発見された心房中隔欠損と三尖弁狭窄症による右室低形成の一例 瀬谷 美瑛(亀田総合病院 循環器内科) P-037 新生児・乳幼児心室中隔欠損症評価におけるSubcostal Viewの有用性について 西澤 崇(横浜市立大学附属病院 小児循環器科) P-038 心内修復術後に心室中隔内血腫を合併した心室中隔欠損症の1例 武井 黄太(北海道大学大学院 医学研究科 小児科) P-039 労作時呼吸困難を契機に発見された心房中隔瘤と卵円孔開存を合併した心室中隔欠損症の一例 高柳 由佳(社会医療法人孝仁会 釧路孝仁会記念病院 臨床検査部) P-040 巨大な右冠尖逸脱により重症右室流出路狭窄を来した肺動脈弁下型心室中隔欠損の1例 小川 恭子(大阪厚生年金病院 中央検査室) P-041 乳児期に腱索断裂をきたした抗SS-A抗体陽性の2症例 荻野 佳代(倉敷中央病院 小児科) P-042 慢性腎不全患者の心エコー図検査で偶然発見された大動脈四尖弁の一例 吉村 雄樹(県立宮崎病院 循環器科) P-043 動脈管開存症に対しコイル塞栓術を施行した高齢者の3症例 中村 琢(島根大学医学部附属病院 内科学講座第四) ポスター6(11:00~11:48)新技術 座長:高木 厚(東京女子医科大学 循環器内科) P-044 Tissue mitral annular displacementを用いた小児心不全症例の検討 面家 健太郎(岐阜県総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科) P-045 TMADの疾患特異性について 田端 千里(聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター) ― 53 ― 4月21日(木) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-046 Left Ventricular Ejection Fraction in Patients with Regional Wall Motion Abnormality by Volume Imaging Ultrasound System 柴山 謙太郎(榊原記念病院 循環器内科) P-047 Accurate Measurement of Mitral Annular Area Using Single and Biplane Linear Measurements 兵頭 永一(大阪市立大学 医学部 循環器内科) P-048 ポケットサイズ心エコーVscanTM:実臨床における初期使用経験 大門 雅夫(順天堂大学 医学部 循環器内科) P-049 Sonazoidと生体内分子の混合による簡便な分子標的気泡作成法の開発 大谷 健太郎(国立循環器病研究センター研究所 再生医療部) ポスター7(11:00~11:56)スペックルトラッキング 座長:湯田 聡(札幌医科大学 医学部 臨床検査医学) P-050 心室再同期療法患者における心室の電気的興奮と機械的収縮の差についての検討 小室 拓也(倉敷中央病院 臨床検査科) P-051 心室再同期療法患者における2Dスペックルトラッキングエコーと左室リード位置が左室リバースリモデ リングに与える影響 中島 淑江(坂戸中央病院) P-052 心筋ストレインを用いたマルファン症候群における無症候性左室機能低下の非侵襲的評価 鈴木 太(東京女子医科大学 循環器内科) P-053 左室形態変化(リモデリング)と心機能障害の検討:2D speckle tracking法によるGlobal Longitudinal Strainを用いて 氏野 経士(医療法人寿会 富永病院 循環器科) P-054 Autmated function imagingを用いた肥大心の鑑別 村中 敦子(札幌医科大学第二内科) P-055 左室心筋ストレイン、心尖部回転運動の性差 長谷川 拓也(国立循環器病研究センター 心臓血管内科) P-056 モノクロタリン誘発性イヌ肺高血圧モデルにおけるMモード法およびスペックストラッキング法を用い た右室収縮能の検討 西尾 進(徳島大学病院 超音波センター) ポスター8(11:00~11:56)心機能1 座長:有田 武史(社会保険小倉記念病院) P-057 Tissue Mitral Annular Displacement(TMAD)の加齢による影響 大崎 司(東邦大学 医療センター 大橋病院 臨床生理機能検査部) P-058 左室駆出率正常例におけるTMAD規定因子についての検討 腰塚 瑠美(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 フロンティア医科学専攻) P-059 Subclinical LV Dysfunction in Uncomplicated Patients with Impaired Glucose Tolerance and Type 2 Diabetes Mellitus 宇都宮 裕人(広島大学大学院 循環器内科学) ― 54 ― 4月21日(木) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-060 僧帽弁移動速度波形on setの遅れに影響する因子の検討 梅田 ひろみ(財団法人平成紫川会 社会保険 小倉記念病院 検査技師部) P-061 大動脈弁・僧帽弁繊維性結合部(AM-junction)の組織ドプラ波形による心機能評価 -心肥大群にお いて- 寺田 舞(秋田大学大学院 循環器内科学) P-062 至適AV-delayはペーシング部位で異なる -左室収縮能の正常な患者に於ける連続波大動脈弁口ドップラーVTIとIEGM法を用いての検討- 服部 進(独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター 循環器科) P-063 冠危険因子を有する症例における動脈スティフネスと左室肥大パターンの関連 堀添 善尚(鹿児島大学 医学部 医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学講座) ― 55 ― 4月22日(金) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター9(11:00~11:48)虚血性心疾患 座長:石津 智子(筑波大学大学院人間総合科学研究科 臨床検査医学) P-064 非心臓手術周術期リスク評価におけるドブタミン負荷心エコーmultidetector CTとの比較 時田 祐吉(日本医科大学 付属病院 循環器内科) P-065 Stress Echocardiography prior to Carotid Artery Stenting 横山 直之(帝京大学 医学部 附属病院 循環器内科) P-066 虚血性心疾患におけるBull's Eye表示2Dストレイン法によるドブタミン負荷心エコー法の有用性 塚本 勝(特定医療法人北海道循環器病院 循環器外科) P-067 心筋梗塞後の左室弛緩能に及ぼす性差の影響:組織ドプラ法による検討 高田 裕子(ベルランド総合病院 臨床検査室) P-068 冠動脈エコー法が初期診断に有用であった左前下行枝99%狭窄の2症例 原田 修(関東中央病院 臨床検査部) P-069 Dobutamine負荷にて“finger-tip”-like flow velocity accelerationが顕性化したmyocardial bridgingの1症例 大野 由香理(愛媛大学医学部附属病院 検査部) ポスター10(11:00~11:56)弁膜症1 座長:宇都宮 俊徳(大町町立病院) P-070 左室後負荷を反映した大動脈弁狭窄症の重症度と左室拡張能障害との関係 内田 耕資(山口大学大学院 医学研究科 器官病態内科学) P-071 大動脈弁狭窄症の重症度とGlobal longitudinal strainの関係 宮崎 彩記子(順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科) P-072 左室駆出率が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症は本当に悪いのか? 田中 千春(大阪市立総合医療センター 循環器内科) P-073 低左心機能の大動脈弁狭窄症は極めて予後が悪い 村上 弘則(手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科) P-074 左室駆出率が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症は、心エコー図検査の計測上の誤差から生じて いないか? 伊東 風童(大阪市立総合医療センター 循環器内科) P-075 大動脈弁狭窄症における左室肥大の決定要因についての検討 合田 亜希子(兵庫医科大学 内科 循環器内科) P-076 大動脈弁硬化症診断における大動脈弁石灰化スコア化の妥当性の検討 古川 邦子(宮崎大学 医学部 附属病院 検査部) ― 56 ― 4月22日(金) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター11(11:00~12:00)症例・弁膜症 座長:平野 豊(近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部) P-077 局所心筋虚血により重症機能性僧帽弁逆流を認めた一例 清家 史靖(愛媛県立中央病院 循環器内科) P-078 機能性僧帽弁閉鎖不全に僧帽弁逸脱を合併し重症僧帽弁閉鎖不全呈した一症例 岩瀧 麻衣(産業医科大学 第二内科) P-079 僧帽弁形成術後の早期に進行性の溶血性貧血を伴った僧帽弁逆流の一症例 水田 理香(国立循環器病研究センター 臨床検査部) P-080 外科的切除により診断しえた僧帽弁輪部動脈硬化性疣腫の一例 山田 香織(和歌山県立医科大学 循環器内科 超音波検査室) P-081 僧帽弁 disjunction 磯谷 彰宏(社会保険 小倉記念病院) P-082 急性心不全を発症した大動脈弁輪拡張症(AAE)の病態診断に心エコーが有効であった一例 窪田 由季(特定医療法人北海道循環器病院) P-083 重症大動脈弁逆流をきたした大動脈四尖弁の一例 川上 知子(函館中央病院 検査科) P-084 大動脈弁狭窄症におけるTrans Mitral Annual DisplacementとLongitudinal Strainの比較 上嶋 亮(聖マリアンナ医科大学 循環器内科) P-085 高度三尖弁閉鎖不全と右室機能低下を伴ったEbstein奇形の術後の予後予測にドブタミン負荷心エコー 法が有用であった1例 平石 真奈(神戸大学 大学院 医学研究科 循環器内科学分野) P-086 僧帽弁輪石灰化に合併した無症候性感染性心内膜炎の1例 村上 千佳(愛媛大学大学院 病態情報内科学) ポスター12(11:00~12:00)症例・腫瘍 座長:野間 充(九州厚生年金病院医療情報部) P-087 経食道エコーで腫瘍の付着部位診断が有用であった左房巨大粘液腫の1例- 320列エリアディテクター CTとの比較 谷地 繊(三井記念病院 循環器内科) P-088 高齢巨大左房内腫瘍の1例 宮内 元樹(聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター) P-089 経胸壁心エコーにて観察しえた上行大動脈内可動性腫瘤性病変の一例 桜山 千恵子(社会保険中央総合病院 臨床検査部) P-090 大動脈基部に可動性腫瘤影を認めた動脈硬化ハイリスク症例の一例 發知 淳子(大阪医科大学 内科学(I)) P-091 左室流出路に多発性乳頭状線維腫を認めた一症例 西野 共達(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) P-092 高度な肺動脈狭窄と肺高血圧症を来たし、肺動脈血栓塞栓症との鑑別が困難であった肺動脈肉腫の一例 小口 徳之(自衛隊中央病院 診療技術部 臨床検査課) ― 57 ― 4月22日(金) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-093 巨大縦隔悪性リンパ腫により肺動脈狭窄を呈した1例 水野 麗子(奈良県立医科大学 総合医療学) P-094 上大静脈症候群で発見された心臓浸潤を伴った縦隔腫瘍の1例 中山 美緒(自治医科大学付属病院 内科学講座 循環器内科部門) P-095 心臓転移を認めた悪性リンパ腫の1例 渡部 徹也(関西ろうさい病院 循環器内科) P-096 心エコーにて急速な進行をとらえた悪性リンパ腫の一例 浅川 雅子(JR東京総合病院 循環器内科) ポスター13(11:00~12:00)症例:三次元心エコー・心機能 座長:湯淺 敏典(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) P-097 僧帽弁輪形成リング縫合部の広範囲離開により心不全、溶血性貧血を生じた1例-経胸壁2D、3D心エ コー図による多角的観察- 吉村 雄樹(県立宮崎病院 循環器科) P-098 形態診断にリアルタイム3D経食道心エコーが有用であった僧帽弁形成術後溶血性貧血の一例 森 三佳(金沢大学 循環器内科) P-099 3D経食道心臓超音波検査にて確定診断しえた、大動脈弁位機械弁機能不全の1例 別當 勝紀(山田赤十字病院 臨床検査部) P-100 心房中隔欠損症の外科的修復後にカテーテルアブレーションを行う際に、術前評価として3D経食道心エ コー図が有用であった3例 磯谷 彰宏(社会保険 小倉記念病院) P-101 心室中隔瘤を伴った膜様部VSDの欠損孔描出に経胸壁3D心エコー検査が有用であった症例 村上 智江(市立伊丹病院 循環器内科) P-102 2Dストレインレイト法を用いた左室内収縮後期高速逆行波の機序解析 桐谷 博巳(大坪会 東和病院 超音波検査部) P-103 2D speckle tracking法による移植心拒絶反応の検出 海老原 文(東京大学附属病院) P-104 運動負荷心エコー検査で薬効評価が確認できたSLEに合併した肺高血圧症の一例 谷口 貢(近畿大学 医学部 循環器内科) P-105 慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の肺動脈拡張術前後の経時的心エコー図所見 安 隆則(琉球大学 大学院医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学) P-106 僧帽弁形成術・左心耳結紮術後に出現した左房内異常血流より推察する左心耳機能 佐々木 賀津乃(東京大学 医学部 附属病院 検査部) ― 58 ― 4月22日(金) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター14(11:00~11:42)症例1 座長:山田 博胤(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 器官病態修復医学講座 循環器内科学) P-107 巨大左冠動脈瘤-肺動脈瘻の1症例 牟田 光明(財団法人慈愛会 今村病院分院 臨床検査部) P-108 心エコー図検査にて発見・経過観察され手術しえた巨大冠動脈瘤・冠動脈左室瘻の一例 丹羽 加奈子(群馬大学医学部附属病院 検査部) P-109 冠静脈洞へ開口する巨大冠動静脈瘻の一例 上國料 章展(鹿児島市医師会病院 生理検査室) P-110 生食コントラスト心エコーにより確定診断が可能となった肺動静脈瘻の2症例 佐久間 信子(福島県立医科大学附属病院 検査部) P-111 感染性心内膜炎および敗血症性肺塞栓症を来した右冠動脈瘤ー冠静脈洞瘻の一例 佐藤 ゆかり(福島県立医科大学附属病院 検査部) P-112 深部静脈血栓と動脈血栓を下肢血管エコーで同時に検出したヘパリン起因性血小板減少症の1例 山本 多美(済生会熊本病院 中央検査部 心血管エコー室) P-113 下大静脈径とその呼吸性変動の加齢性変化についての検討 舛形 尚(香川大学 医学部 総合診療部) ポスター15(11:00~11:56)心機能2 座長:大手 信之(名古屋市立大学大学院 心臓・腎高血圧内科学) P-114 心房細動における収縮能および拡張能指標に対するRR間隔の影響 楠瀬 賢也(徳島大学病院 循環器内科) P-115 健常人における右室拡張能指標への加齢による影響 大塚 健紀(東邦大学医療センター大橋病院) P-116 発作性心房細動例における動脈スティフネスと左室拡張能の関係:CAVIによる検討 堀添 善尚(鹿児島大学 医学部 医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学講座) P-117 個々の症例における左室拡張機能の経時的推移 木島 勇人(東京医科大学) P-118 肺高血圧症における左室拡張機能の検討 天野 裕久(獨協医科大学 医学部 心臓・血管内科) P-119 徐脈を呈する高齢者の左室弛緩能についての検討:僧帽弁口血流速パターンをどう解釈するか 林 修司(徳島大学病院 循環器内科) P-120 イルベサルタンは高血圧例の左室局所機能を改善するか?:組織ドプラ法による検討 湯田 聡(札幌医科大学 医学部 臨床検査医学) ― 59 ― 4月22日(金) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター16(11:00~11:56)心不全 座長:平田 久美子(和歌山県立医科大学 循環器内科) P-121 Perioperative Risk Stratification for Non-cardiac Surgery using Myocardial Scintigraphy and Echocardiography 前羽 宏史(関西医科大学附属枚方病院 循環器内科) P-122 低用量ドブタミン負荷により惹起された左室非同期運動は心室再同期療法への反応を予測できるか? 猪谷 亮介(東京女子医科大学 循環器内科) P-123 拡張早期僧帽弁輪運動速波高(e’)と僧帽弁口血流速波形(E/A)の組合せによる左房圧の推定方法 杉本 匡史(三重大学大学院 循環器腎臓内科学) P-124 慢性心不全患者におけるAdaptive servo-ventilation(ASV)の左房機能に及ぼす効果:2Dスペック ルトラッキング法による検討 春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科) P-125 左房容積と慢性心不全 大平 里佳(独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 臨床検査科) P-126 Persistently enlarged left atrial volume index predicts poor prognosis in patients with chronic heart failure 佐々木 真太郎(山形大学 医学部 内科学第一講座) P-127 持続性心房細動例における心不全発症の予測に有用な心エコー図指標はなにか? 今井 孝一郎(川崎医科大学 循環器内科) ― 60 ― 4月23日(土) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター17(11:00~11:48)弁膜症2 座長:石塚 尚子(東京女子医科大学附属成人医学センター) P-128 三尖弁逆流と動脈スティフネスとの関係 正木 充(兵庫医科大学 医学部 臨床検査部) P-129 経胸壁心エコー図法を用いた大動脈弁置換術における適切な人工弁サイズの推測方法に関する検討 嘉納 由美子(神戸大学医学部附属病院 検査部) P-130 無症状の重症僧帽弁逆流に対する最適な手術時期の検討 北井 豪(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) P-131 Valsalva手技に伴う僧帽弁血流速波形の経時的変化の有用性-移植待機の超重症心不全例に学ぶ 小板橋 俊美(北里大学 医学部 循環器内科学) P-132 経胸壁心エコー図を施行した連続症例におけるMitral annular disjunctionについての検討 紺田 利子(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部) P-133 重症僧帽弁逆流患者におけるMitral annular disjunctionについての検討 紺田 利子(神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部) ポスター18(11:00~12:00)症例・心筋症 座長:和田 靖明(山口大学大学院医学系研究科器官病態内科学) P-134 心尖部に血栓を有する肥大型心筋症が長期経過中に拡張相肥大型心筋症に移行した一例 丹波 寛子(平鹿総合病院 臨床検査科) P-135 長期間にわたり形態変化を観察し得た心アミロイドーシスの一例 大和 恒博(さいたま赤十字病院 循環器科) P-136 左室肥大患者の失神の原因検索目的で施行したドブタミン負荷心エコーで検出された潜在性左室流出路 狭窄の意義の検討 大山 慶介(大阪府済生会千里病院 循環器内科 心血管内治療室) P-137 SAM出現時における左室収縮動態のVVIによる検討 村田 幸栄(済生会山口総合病院 中央検査部) P-138 たこつぼ型心筋症を併発し左室流出路狭窄を来たした肥大型心筋症の一例 武田 久輝(大阪市立大学 大学院 医学研究科 循環器病態内科学) P-139 イレウスで入院後タコツボ型心筋症を発症、血圧低下遷延し左室流出路狭窄、Oozing ruptureが原因と 考えられた1症例 谷川 崇(府中病院 中央検査部) P-140 くも膜下出血に合併した逆たこつぼ心筋障害の1例 ~2Dストレインによる検討~ 杉本 恵子(藤田保健衛生大学 医療科学部 臨床検査学科) P-141 好酸球性心筋炎の経過観察に2D speckle traking解析が有効であった1症例 高野 智晴(松江赤十字病院 検査部) P-142 心エコー図により経過観察のできた周産期心筋症の一例 和氣 正樹(島根大学 医学部 循環器内科) P-143 不整脈源性右室心筋症の一例 奥 真奈美(草津総合病院 診療技術部 検査科) ― 61 ― 4月23日(土) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> ポスター19(11:00~12:00)症例・心膜血栓 座長:高崎 州亜(鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学) P-144 バセドウ病を合併した滲出性収縮性心膜炎の一例 山田 千夏(京都大学大学院 医学研究科 臨床病態医科学・内分泌代謝内科 心臓研究室) P-145 心臓手術既往のない小児に発症した収縮性心外膜炎の一例 後藤 育子(東京女子医大病院 中央検査部) P-146 EBウイルスの持続活動性感染による大量心嚢液貯留・高度僧帽弁逆流の1例 斎藤 聖多郎(大分大学 医学部 総合内科学第一講座) P-147 Left atrial septal pouchに付着する血栓様構造物を確認し得た重症大動脈弁狭窄症の一例 桑木 恒(産業医科大学 第二内科) P-148 抗凝固療法中に消失を認めた左房内血栓の1例 大元 美子(山口県立総合医療センター 中央検査部) P-149 心臓腫瘍と鑑別を要した左心耳内巨大血腫の一例 中島 正博(深谷赤十字病院 内科) P-150 僧帽弁形成術後に見られた右房壁内血腫の一例 伊藤 敦彦(公立学校共済組合 関東中央病院 循環器内科) P-151 好酸球性白血病の経過中に可動性良好な心尖部に血栓の出現と消失を認めた1例 石神 弘子(名古屋第二赤十字病院 医療技術部 生体検査課) P-152 無冠尖内に巨大血栓を形成し、腫瘍との鑑別が困難であったvalsalva aneurysmの一例 正木 豪(大阪労災病院 循環器内科) P-153 脳梗塞を契機に発見された非細菌性血栓性心内膜炎と考えられた一例 鎌田 康彦(川崎医科大学附属病院 循環器内科) ポスター20(11:00~12:00)症例2 座長:山室 淳(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科) P-154 三次元心エコー法により術前診断ができたペースメーカーリードの弁尖穿通による重症三尖弁逆流の 一例 竹谷 善雄(徳島大学病院 循環器内科) P-155 CRT-D植込み後のフォローアップに2Dスペックルトラッキングエコー及び心電図同期心筋血流SPECT が有用であった1例 矢作 和之(社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科) P-156 心エコー・ドプラ法による左室流入血流速波形と肺静脈血流速波形を用いた至適AV delayの設定 福原 健三(川崎医科大学附属病院 循環器内科) P-157 肺血管拡張薬の使い分けに心エコー図法が有用であったPH crisisを伴う先天性心疾患術後の一成人例 堀端 洋子(千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部・小児科) P-158 経胸壁ドプラ心エコーが診断に有用であった左冠動脈起始異常を伴う労作性狭心症の1例 永尾 彰子(喜多医師会病院 生理検査室) P-159 Postconditioningによる治療効果を心エコーで観察しえた急性心筋梗塞の一例 島田 恵(北里大学北里研究所病院循環器内科) ― 62 ― 4月23日(土) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-160 弁輪周囲膿瘍に膜様中隔瘤を合併した症例 竹中 理紗(聖マリア病院) P-161 リアルタイム3次元経食道心エコーガイド下に経皮的僧帽弁交連切開術を行った僧帽弁狭窄症の1例 高島 啓(徳島大学病院 循環器内科) P-162 短期間に僧帽弁に腫瘤形成をきたし消失した一例 畠山 裕志(笠岡市立市民病院 臨床検査科) P-163 心電図異常を契機に発見された右室内腫瘍の一症例 伊波 秀(獨協医科大学病院 心臓・血管内科) ポスター21(11:00~11:40)三次元心エコー 座長:田中 伸明(山口県立総合医療センター循環器内科) P-164 僧帽弁逸脱症における僧帽弁逸脱容積およびtenting容積の和は僧帽弁逆流の有効逆流弁口を反映する: 3D経食道エコーを用いた検討 植屋 奈美(鹿児島大学病院心臓血管内科) P-165 リアルタイム3D心エコー図法と2D心エコー図法による左室容量・駆出率の比較検討 東 香里(聖路加国際病院 臨床検査科) P-166 3D心エコーでの心機能評価の妥当性と方法論 水野 篤(聖路加国際病院 ハートセンター) P-167 発作性心房細動患者における左房機能特性-3D スペックルトラッキング法を用いた検討- 古川 敦子(関西電力病院 循環器内科) P-168 左心房ストレイン評価における2Dと3Dスペックルトラッキング法の比較 有吉 亨(山口大学 医学部附属病院 検査部) ポスター22(11:00~11:56)心機能3 座長:室生 卓(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学) P-169 急性期脳梗塞患者における左房機能の評価:組織ドプラ法による検討 星 詠子(旭川赤十字病院 検査部) P-170 Left Atrial Appendage Flow Velocity and Global Left Atrial Function in Patients with Atrial Fibrillation 鶴田 ひかる(慶應義塾大学病院循環器内科) P-171 EFの保たれた心不全における左房機能の評価:僧帽弁輪部心房収縮速度波からの検討 大平 芳行(河内総合病院 臨床検査部) P-172 心不全徴候を認めない左房容積の上昇について 尾形 剛(国立病院機構 仙台医療センター 循環器科) P-173 Bosentan投与は肺動脈性肺高血圧例の左室機能を改善するか? 古山 輝將(川崎医科大学附属病院 循環器内科) P-174 シロスタゾールの心機能への影響について 藤原 理佐子(地方独立行政法人 秋田県立病院機構 秋田県立脳血管研究センター 循環器内科) ― 63 ― 4月23日(土) ポスター会場 <鹿児島市民文化ホール第1ホール 3階ロビー> P-175 Strain imaging法によるドブタミン負荷時の心筋虚血・収縮予備能評価 宮田 聖子(中部大学 生命健康科学部 生命医科学科) ポスター23(11:00~11:48)血管 座長:庄野 弘幸(熊本県済生会みすみ病院) P-176 当院におけるATP負荷冠動脈エコーの現状 国師 賢二(鹿児島医療生活協同組合 国分生協病院) P-177 急性冠症候群症例における頸動脈エコーによる頸動脈動脈硬化の評価 坂田 好美(杏林大学 医学部 循環器内科) P-178 動脈スティフネスと左室拡張能の関連 正木 充(兵庫医科大学 医学部 臨床検査部) P-179 経胸壁心エコー・ドプラ法による上行大動脈壁硬度の評価-augmentation indexとの比較 松崎 つや子(日本科大学附属病院 生理機能センター) P-180 超音波ドプラ法が診断、治療に有用であった線維筋性形成異常症(Fibromuscular dysplasia)の 2症例 大園 七瀬(鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部門) P-181 リアルタイム三次元経食道心エコー図検査が有用であった大動脈解離の一例 春木 伸彦(産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科) ― 64 ― Official Session 抄録 仁村レクチャー Young Investigator's Award Official Session 4月22日(金) 15:00 ~ 15:45 仁村レクチャー 座長:坂本 二哉 私の心エコー図研究を振り返って 鄭 忠和 鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学 この度、心エコー図学のパイオニアのお1人である私の尊敬する仁村泰治先生を讃える「仁村レクチャー」の 演者に指名していただき大変光栄に思っています。 私の心エコー図研究との出会いは1975年8月、東大第二内科坂本二哉研究室(第13研究室)に国内留学したの が始まりでした。当時、坂本研究室には林輝美、天野恵子、一安弘文、羽田勝征の先生方が机を並べておられ、 午前・午後は、心音図・心エコー図検査室で、様々な患者さんの心音図・M―モード心エコー図をストレプトチャー トレコーダーで記録しては自動現像し、水洗後用紙を紐に吊るして自然乾燥させ、夕方になると約1メートルの 長さに切って症例ごとにファイルして、毎晩遅くまでその日の記録を分析していた頃を大変懐かしく思い出しま す(心尖部肥大型心筋症の報告)。 私が心エコー図の研究に没頭するようになったのは、1977年秋、坂本二哉先生と田中元直先生に引率されて米 国の主要な心エコー図研究施設を10数ヶ所訪問する機会を得てからです。米国の広大さと自由なアカデミズムに 触れ、心エコー図学の将来に夢を感じたことでした。現在、日本心エコー図学会理事長の吉田清先生も一緒でし た。青年の志を熱く燃やした米国訪問でした。 1977年12月、東大から鹿児島に帰ると、米国留学への気持ちが以前にも増して燃えさかり、1978年~1979年ま での2年間は、断層心エコー装置(東芝SSH 11A)を用いて、寝食を忘れる程心エコー図を記録して(心房中隔 運動および心室中隔運動の機序を解明)、その結果、ロサンゼルスのPravin M Shah教授の下に留学する機会を 得ました。3年半の留学時代は耐乏生活でしたが、振り返ると思い出に残る至福の時でした。ロサンゼルスでは 思いがけず様々な研究成果を挙げることができましたが(僧帽弁輪および三尖弁輪の評価・解析、心筋コントラ ストエコーの開発など)、すべて家族の支えとShah教授のご指導の賜でした。 1983年夏、ロサンゼルスから帰国する時、連続波ドプラー装置(Pedof Single Probe)を持ち帰り、連続波ド プラー法の臨床応用に取り組み、その普及に役立てられたのも懐かしい思い出です。その後、1989年1月、霧島 リハビリテーションに移籍後、和温療法とTei indexを開発する幸運に恵まれました。心臓病患者のいないゼロ からの出発でしたが、 新たなライフワークに出会いました。 それらを確立させるために1994年、48歳でMayo Clinicに単身で2度目の留学をしました。娘たちの受験の時期と重なりましたが、単身で2年間Mayo Clinicに滞 在できたのは妻子の理解と支えのおかげであり、 成果をあげられたのは、Jamil Tajik教授、Jim Seward教授、 Jae Oh教授達のMayo Clinic Echo Labの協力の賜でした。 Mayo Clinicから帰国後、1998年古巣の第一内科に戻りました。そして心エコー図に情熱を注ぐ教室員や検査 技師達と、心エコー図研究の新たな飛翔を求めて現在に至っています。 本講演ではこれまで辿ってきた私のささやかな心エコー図研究を振り返りながらお話したいと思います。若い 方々に少しでも参考になれば幸いです。 ― 67 ― Official Session 4月22日(金) 9:00 ~ 10:30 Young lnvestigator's Award 座長:三神 大世、岩倉 克臣 YIA-1 位相差トラッキング法によるStrain Rate分布から観察し得た、左室壁心筋の 収縮・弛緩・伸展の伝播 田渕 晴名1 菅原 重生1、山口 済1、片平 美明1、田中 元直1、中島 博行2、坂本 二哉3、亀山 剛義4、長谷川 英之5、金井 浩5 1 東北厚生年金病院 循環器センター、2東北厚生年金病院 中央検査部、3半蔵門病院、4宮城社会保険病院、5東北大学大学院工学研究科 (目的) 心エコー法を基礎とした位相差トラッキング法を用い、 微視的に測定された心周期中に生じるstrain rateの分布変化から局所心筋の収縮・伸展性を追及した。(方法)超音波周波数3.5 MHz, 繰り返し周波数は4.5KHz, ビーム幅1.5mmの2D 心エコー法を用いた。健常者5例を対象とし約30oの角度範囲内を630frame/secの速度で走 査しつつ、6o間隔で間引き扇形走査を行い5方向での壁内心筋からの反射信号を2-6秒間メモリーに取り込んだ。 各ビーム方向における心筋からの信号を専用ソフトを用いて処理し、位相差トラッキング法により局所心筋組織 の速度値を求め、更に心筋内音速を1600m/sとして厚み変化を0.82mm間隔で200μm毎にシフトさせて測定する と共に、Strain rateを求めた。その結果をカラー表示によるM-mode像および断層像に重畳して示した。(結果) 心室壁局所心筋の収縮・弛緩伸展について 1.局所心筋の収縮と弛緩伸展は短軸方向には外膜側から内膜側へ伝播 する。2.長軸方向には心尖部から始まり心基部へと、逐次拡散するように進行する。3.一心周期の間で収縮の長 さと弛緩の長さはほぼ等しくなる。4.心室壁上には収縮あるいは弛緩伸展のみが出現している時間帯と、両者が 同時に共存する時間帯とが存在し、共存する時には収縮した心筋部分は弛緩した心筋部分を伸展させるように働 く。5.収縮-弛緩を基準にすると、心時相は次の4時相、駆出前過渡期、駆出期、駆出後過渡期、流入期(心房収 縮を含む)に区分できる。(結論)心室壁の収縮-伸展は、拡散するように外側から内側へ、心尖から心基部へ伝 播し、これが交互に周期的に出現する結果収縮と伸展が円滑に繰り返され心拍動が成立すると考えられる。 YIA-2 連続の式によるASの大動脈弁口面積計測を再考する-320列CTを用いての 解剖学的弁口面積との比較検討 片岡 明久1 1 2 1 2 1 2 1 船橋 伸禎 、李 光浩 、矢嶋 玲 、高橋 章予 、斎藤 真理子 、山口 千晴 、上原 雅恵 、小室 一成3、小林 欣夫1 千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学、2千葉大学 医学部附属病院 検査部、3大阪大学 大学院医学研究科 循環器内科学 1 【背景】大動脈弁狭窄症(AS)において連続の式による大動脈弁口面積(AVAcw)は、実効弁口面積であり解 剖学的弁口面積(AOA)より小さいが、臨床の場では左室流出路(LVOT)の計測誤差が影響している可能性 がある。 【目的】AVAcwとCTでの弁口面積(AVAct≒AOA)との関係と、これ対する年齢、心機能、弁尖数、 弁上弁下の形態、 弁石灰化の影響を検討した。【方法】AVAcw<2.0cm2のAS24症例( 3尖17例、2尖7例、 全て SR)に320列CTを施行しAVAct、LVOT面積(LVOTAct)、ならびに大動脈基部の各径と弁石灰化スコアを測定。 また、LVOTActで誤差を補正したcorrected AVAcwとAVActの弁口面積比(Cc=corrected AVAcw/AVAct) を計算した。【結果】AVAcw: 1.12±0.44cm2、AVAct: 1.37±0.51cm2は良好な相関(R=0.877, P<0.0001)を示し たが、AVAcwの方が有意に小さかった(P<0.001, bias=0.24±0.48cm2)。LVOTActはLOVTAcwより有意に大 きく(P<0.001, 4.17±0.85cm2 vs 3.54±0.69cm2)、楕円形を呈していた。LOVTAの差は扁平率( 0.23±0.64)と は相関なく、LVOT径に相関(R=0.58, P<0.01)を示した。corrected AVAcw: 1.35±0.62cm2はAVActと有意な 差を認めず、 相関の増強とbias減少を認めた(R=0.883, P<0.0001, bias=0.02±0.57cm 2 )。Cc: 0.97±0.22は AVAct、 弁尖数、 大動脈基部の各径、 石灰化スコアとは相関を示さず、 年齢(R=0.539, P<0.01、3尖例のみ R=0.479, P=0.052)、LVEF(R=0.421, P<0.05)と相関傾向があった。【結論】AVAcwはAVActよりも小さいが、 LVOTAの過小評価が影響しLVOTが大きいほど注意が必要である。また、この誤差を補正しても若年や心機能 低下症例において、過小評価傾向を認めた。 ― 68 ― Official Session 4月22日(金) 9:00 ~ 10:30 Young lnvestigator's Award 座長:三神 大世、岩倉 克臣 YIA-3 3Dスペックルトラッキング法を用いた局所心筋機能の検討:壁張力-面積 ループによる局所仕事量の評価 日置 彩那 櫻井 大輔、岩崎 真梨子、増田 佳純、浅沼 俊彦、中谷 敏 大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座 【背景】3Dスペックルトラッキング法を用いれば、心内膜面の局所面積変化率(area tracking ratio)の評価が 可能である。 一心拍中の局所面積変化がわかれば局所仕事量を算出できる。3Dスペックルトラッキング法を用 いて局所壁張力-面積(T-A) ループを求め、 局所仕事量の指標となりうるか否かにつき検討した。【方法】 麻酔開胸犬8頭を対象とした。 左冠動脈回旋枝を2分間閉塞する前後で東芝社製ArtidaTMを用いて3D画像を取得 し、虚血領域と非虚血領域におけるarea tracking ratio [%]を測定、新たに開発したソフトウェアを用いて自動 的に局所面積 [cm2]に変換した。カテ先マノメータで計測した左室圧と、心エコーで求めた左室内径からラプラ スの法則より壁張力を求めた。 虚血領域と非虚血領域のT-Aループを描出し、 局所仕事量としてT-Aループ 内の面積(TAA)を求めた。TAAの妥当性を検証するために、全セグメントのTAAの総和と、左室全体の仕 事量である左室圧容積(P-V)ループ内の面積(PVA)との相関関係を調べた。【結果】TAAは虚血領域にお いて有意に減少したが(26.0±9.6 vs. 18.8±8.9 mmHg・cm3, p < 0.05)、非虚血領域においては変化を認めなかっ た( 46.3±16.4 vs. 50.6±18.4 mmHg・cm3, p = NS)。左室PVAとTAAの総和の間に良好な相関関係がみられた (r = 0.91, p < 0.0001)。【結語】3Dスペックルトラッキング法を用いて求められる局所壁張力-面積ループは局 所仕事量を反映し、これを用いた局所心筋機能の定量的評価が可能である。 YIA-4 僧帽弁形成術は、なぜ置換術に優るのか?-2Dスペックルトラッキング法に よる左室動態の検討- 折居 誠 平田 久美子、今西 敏雄、水越 正人、木村 桂三、中西 浩子、猪野 靖、北端 宏規、谷本 貴志、小向 賢一、 石橋 耕平、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 循環器内科 【目的】僧帽弁形成術は、生存率・合併症回避の点から、人工弁置換術に比して優れた方法である。両者の大き な違いは弁下組織の温存であり、予後改善の理由とされるが、詳細な検討はなされていない。本研究の目的は、 形成術優位の根拠を、2Dスペックルトラッキング法と冠血流速度予備能(CFVR)で検討することである。【方法】 対象は、 僧帽弁逸脱症による高度僧帽弁閉鎖不全症の31例。術直前と術後3カ月に、経胸壁心エコー図検査を行い、 心機能評価および左冠動脈前下行枝のCFVR計測を行った。 局所壁運動評価は、2Dスペックルトラッキング法 を用いて心筋の距離変化率を求め、左室18領域におけるpeak strain値を計測、僧帽弁形成・置換群(各17、14名) の各計測値について比較検討を行った。【結果】術前の左室駆出率、CFVR、各peak strain値は、2群間で有意な 差は認めなかった(左室駆出率:66±6% vs. 68±12%、CFVR:2.3±1.0 vs. 2.0±0.6)。術後、両群で左室駆出 率は低下したが、 置換群で特に低下が著明であった( 61±6 vs. 52±10%, p=0.02)。 しかし、 術後の各peak strain値は、術式による差はなかった。形成群のCFVRは、置換群に比して高値であった( 3.2±0.7 vs. 2.3±0.5, p=0.002)。 さらに、 各領域におけるQRSからpeak strainまでの時間を計測、 その標準偏差を同期の指標とし、 両群で比較すると、術後、置換群で強い同期不全を認めた( 84±25 vs. 49±19ms, p=0.001)。【結論】術式によ る局所壁運動の差はなかったが、置換例では強い同期不全を認めた。一方、形成群では左室機能も冠循環も保持 されていた。本研究の結果は、形成術の優位性を示唆する一つの根拠になりうると考えられた。 ― 69 ― Official Session 4月22日(金) 9:00 ~ 10:30 Young lnvestigator's Award 座長:三神 大世、岩倉 克臣 YIA-5 免疫グロブリン療法が川崎病急性期の心筋局所ストレインに及ぼす影響 奥村 謙一 岸 勘太、森 保彦、玉井 浩 大阪医科大学 小児科 【背景】 川崎病急性期において、subclinicalな心筋障害が存在することは知られているが、 その評価方法に一定 の見解はない。また、免疫グロブリン療法(IVIG)が、川崎病急性期心筋障害に及ぼす影響に関する報告は皆 無である。【目的】川崎病急性期心筋局所ストレインを計測し、IVIGが心筋局所ストレインに及ぼす影響を検討 する。 【対象】 川崎病患児 6名(男4名、 女2名)。【方法】IVIG前後に、 心臓超音波検査を施行し、2D speckle trackingを用いて左室乳頭筋レベルの短軸像よりradial strain(RS)およびcircumferential strain(CS)を、心尖 部4chamber viewよりlongitudinal strain(LS)を算出した。IVIG前後の心筋局所ストレインの値を統計学的に 解析し、P<0.05を有意とした。【結果】 (1)RSの検討では、IVIGが側壁(38.6±22.1% vs 64.7±20.0%)、後壁(35.7 ±22.3% vs 74.5±11.6%)、下壁( 35.0±22.6% vs 72.7±15.9%)、中隔( 35.9±22.0% vs 63.9±21.8%)のストレイ ンを有意に改善させた。( 2)CSの検討では、IVIGが前壁中隔(-18.5±5.1% vs -25.9±5.6%)のストレインを 有意に改善させた。( 3)LSに関しては、IVIGが側壁基部(-15.8±5.2% vs -23.1±7.0%)のストレインを有意 に改善させた。また、global longitudinal strainの検討でも、有意な改善を認めた(-14.9±3.4% vs -19.1±2.7%)。 【結語】IVIGは川崎病急性期における心筋局所ストレインを有意に改善し、左室自由壁の心筋局所ストレインを より強く改善する傾向が認められた。 YIA-6 Major Determinants of Dobutamine-induced Left Ventricular Outflow Tract Obstruction in Patients with a Sigmoid Septum 田野 絢子 笠巻 祐二、太田 昌克、奥村 恭男、藤井 信如、相澤 芳裕、中井 俊子、小船 達也、国本 聡、廣 高史、加藤 真帆人、 渡辺 一郎、平山 篤史 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 Background: A sigmoid septum(SS)patients often develop a left ventricular outflow tract obstruction (LVOTO)under certain conditions. We investigated the occurrence of the LVOTO during dobutamine stress echocardiography(DSE)in SS patients and elucidated the possible mechanisms of such latent LVOTOs. Methods and results: DSE was performed in 64 SS patients(mean age 73.3±7.7 years)with no documented LVOTO. Forty( 62.5 %)of 64 patients developed LVOTO during the DSE(latent LVOTO). At baseline, patients with latent LVOTO had a shorter mitral leaflet-tethering distance, “α”, between the tip of the lateral papillary muscle and contralateral anterior mitral annulus( 29.9±4.2 mm versus 35.2±4.6 mm)and LVOT diameter during systole(13.4±2.7 mm versus 16.1±3.4 mm),higher ejection fraction(73.4±5.9 % versus 69.3 ±6.4 %)and LVOT gradient at rest( 6.3±2.8 mmHg versus 4.4±2.2 mmHg)and during the Valsalva maneuver( 7.1±3.3 mmHg versus 4.5±2.3 mmHg)than those without(p<0.05 for all). After adjusting for those parameters, the distance, “α”, at baseline remained an independent predictor of the latent LVOTO. Conclusions: Our data indicate that the short leaflet-tethering distance “α” was the major determinant of the latent LVOTO and the mitral leaflet displacement/redundancy caused by the shortening “α” may contribute to the development of the LVOTO. ― 70 ― 特別企画抄録 特別講演 招請講演 ASE Young Investigator's Award 優秀者発表 シンポジウム ビジュアルワークショップ 教育講演 教育企画 ワークステーション モーニングセミナー ランチョンセミナー イブニングセミナー 特別講演 1 4月21日(木) 11:10 ~ 11:50 座長:吉川 純一 LV Remodeling : Lessons from STICH Jae K. Oh Cardiovascular Diseases and Internal Medicine, Mayo Clinic, Rochester, USA The current management strategy for ischemic cardiomyopathy has been geared towards reversing the remodeling process by medicines and/or a device therapy. The SVR procedure has been performed to restore the remodeled LV to a smaller size with a more natural shape by eliminating thinned and scarred parts of the LV, thereby achieving more drastic and immediate mechanical reverse remodeling. The initial SVR procedure was adopted from endoventricular circuloplasty technique used for removal of LV aneurysm.( 1) Many centers have performed SVR in patients with akinetic and/or dyskinetic areas without a frank aneurysm and reported a good surgical outcome. However, these studies were not randomized comparisons to CABG alone. The RESTORE Group reported early and late survival data in a registry of 1198 patients with heart failure after anterior myocardial infarction.( 2) Concomitant CABG was performed in 95%, and the overall 30-day mortality was 5.3%. Although the numbers of patients with cardiac volumes reported at baseline was not clearly specified, mean baseline LVEF and LVESVI were 29.6 ± 11 % and 80.4 ± 51.4 mL/m2, respectively, which were similar to those in STICH SVR patients. Overall five-year survival of the RESTORE patients was 68.6 ±2.8%. Factors increasing risk of death were LVEF≤ 30%, LVESVI ≥ 80 mL/m2, advanced New York Heart Association functional class, and age ≥ 75 years. The largest single center experience in SVR comes from Menicanti’s group that reported a total of 1161 consecutive patients.( 3)Their average baseline LV endsystolic volume(not indexed)was 145 ± 64 ml and LVEF was 33%. Long-term survival in the overall population was 63% at 5 years, but SVR outcome was not compared to that of CABG alone. At least moderate mitral regurgitation, New York Heart Association class greater than II, and diastolic dysfunction were predictors of operative mortality. One single-center study randomized 74 patients with viable dyssynergic myocardium to CABG with or without SVR, and reported that outcome of CABG + SVR was better than that of CABG alone.( 4) However, in that study, patient selection criteria included LVEF <50% and LVESVI > 80mL/m2. Therefore, there have been no data to guide decisions regarding which patients with ischemic cardiomyopathy may benefit from adding SVR to CABG. References 1. Dor V, Saab M, Coste P, Kornaszewska M, Montiglio F. Left ventricular aneurysm: A new surgical approach. Thorac Cardiovasc Surg . 1989;37:11-19. 2. Athanasuleas C, Stanley A, Buckberg G, Dor V, Di Donato M, Blackstone E, group atR. Surgical anterior ventricular endocardial restoration(SAVER)in the dilated remodeled ventricle after anterior myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2001;37:1199-1209. 3. Menicanti L, Castelvecchio S, Ranucci M, Frigiola A, Santambrogio C, de Vincentiis C, Brankovic J, Di Donato M. Surgical therapy for ischemic heart failure: Single-center experience with surgical anterior ventricular restoration. J Thorac Cardiovasc Surg . 2007;134:433-441. 4. Ribeiro G, da Costa C, Lopes M, Albuquerque A, Antoniali F, Reinert G, Franchini K. Left ventricular reconstruction benefits patients with ischemic cardiomyopathy and non-viable myocardium. Eur J Cardiothorac Surg . 2006; 29: 196-201. ― 73 ― 特別講演 2 4月22日(金) 11:10 ~ 11:50 座長:宮武 邦夫 Echocardiography in the Age of Percutaneous Device Procedure 塩田 隆弘 Takahiro Shiota Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA Percutaneous transcatheter procedures are now evolving to treat selected patients with valvular heart disease and congenital heart disease. For patients with severe mitral regurgitation, percutaneous mitral valve repair is rapidly developing as an alternative to cardiac surgery. MitraClip(E valve)system uses a clip to replicate the surgical suture-based approach. Echocardiography is essential for this procedure from the time of patient selection. In the EVEREST II study, the US multicenter trial, 107 patients with 3 or 4+ mitral regurgitation were enrolled. Ten( 9%)had a major adverse event, including 1 nonprocedural death. Freedom from clip embolization was 100%. Partial clip detachment occurred in 10(9%)patients. Overall, 79 of 107(74%)patients achieved acute procedural success, and 51( 64%)were discharged with mitral regurgitation of less than or equal to grade 1. Twenty-three patients with functional mitral regurgitation had similar acute results and durability. This procedure is clinically available in Europe whereas it is still not approved as a clinical tool in the U.S. At our institution, real-time 3D transesophageal echocardiography(TEE)is of great value in guiding and monitoring this procedure, especially for determining the direction of the clip. For surgically high risk patients with severe aortic stenosis, transcatheter aortic valve implantation (TAVI)is also being tried with great enthusiasm. In 2010, a multi-center trial of a total of 358 patients with severe aortic stenosis who were not considered to be suitable candidates for surgery was published. In this study, patients who underwent TAVI had better survival rate than standard therapy at 1 year. However, at 30 days, TAVI was associated with a higher incidence of major strokes( 5.0% vs. 1.1%)and major vascular complications( 16.2% vs. 1.1%)than standard therapy. Echocardiographic evaluation for the indication, procedure monitoring and follow up of TAVI is of critical value. For patients with patent foramen ovale, atrial septal defect and ventricular septal defect, percutaneous device closure is also performed under TEE guidance. Real-time 3D TEE often provides stunning images of these congenital defects in en-face views, resulting in more precise anatomical information, better preparation and successful results. Open and smooth communication between intervensionists and echocardiologists are essential for the success of above mentioned percutaneous transcatheter procedures. ― 74 ― 招請講演1 KSE-JSE Joint Session 4月21日(木) 13:10 ~ 13:50 座長:増山 理 Assessment of LV filling pressure at rest and during exercise Jong-Won Ha Division of Cardiology, Severance Cardiovascular Hospital, Yonsei University College of Medicine, Seoul, Korea Primary diastolic dysfunction is the cause of up to 50% of cases of congestive heart failure, the hemodynamic correlate of which is increased diastolic filling pressures even at rest. More commonly, symptoms of primary diastolic dysfunction occur only during exertion because diastolic filling pressure is normal at rest and increases only with exertion. Therefore, to evaluate diastolic dysfunction, diastolic filling pressures must be measured during exercise as well as at rest. Although invasive hemodynamic monitoring during exercise would be most accurate, a noninvasive demonstration of this phenomenon would be more practical and clinically applicable. Since the first description of exercise echocardiography more than 2 decades ago, substantial progress has been made in using it to detect myocardial ischemia. However, no major effort has been made to evaluate diastolic function noninvasively with exercise. It has been shown and validated that left ventricular filling pressures can be estimated reliably by combining mitral inflow(E)and mitral annulus (E’)velocities recorded with Doppler and tissue Doppler echocardiography, respectively. E and E’ velocities increase proportionally as transmitral gradient increases in subjects with normal myocardial relaxation, but E’ velocity does not change as much as E velocity in patients with abnormal myocardial relaxation. As a result, E/E’ remains unchanged with exercise in normal subjects, but it is expected to increase with exercise in patients with myocardial disease. Clinically, it is critical to differentiate left ventricular diastolic dysfunction from normal physiologic variations in left ventricular diastolic filling during exercise, particularly in patients who have exertional dyspnea and normal left ventricular systolic function. Although many uncertainties remain about the underlying mechanisms, striking abnormalities of left ventricular filling can be demonstrated at rest and during exercise in patients with diastolic dysfunction. Recently, we tried to introduce a novel noninvasive diagnostic test to detect an exercise-induced increase in diastolic filling pressures using supine bicycle Doppler echocardiography, Diastolic Stress Echocardiography. The preliminary results showed that diastolic stress echocardiography using supine bicycle exercise is technically feasible for demonstrating the change in E/E’(ie, filling pressure)with exercise and that the hemodynamic consequences of exercise-induced increase in diastolic filling pressure can be demonstrated noninvasively with this novel technique. Thus, a diastolic stress test will provide valid additional information that may help to identify patients who have primary diastolic dysfunction and heart failure. For example, patients without evidence of exercise-induced deterioration of diastolic function may not benefit from the conventional treatment of heart failure. Conversely, those who have exercise-induced diastolic dysfunction and symptoms of exertional dyspnea may have clinical improvement after proper treatment based on their hemodynamic profiles with exercise. This approach based on Doppler stress echocardiography will contribute to better management of congestive heart failure due to primary diastolic dysfunction. Also, this test potentially can be an excellent way to distinguish between cardiac and noncardiac dyspnea in patients with multiple coexisting conditions that can cause exertional dyspnea. In conclusion, diastolic stress echocardiography using supine bicycle exercise is technically feasible for demonstrating changes of E/E’ ratio and tricuspid regurgitant velocity during exercise due to changes in exercise-induced diastolic filling pressures. Although further hemodynamic confirmation will be needed for this approach, these preliminary results suggest that the hemodynamic consequences of exercise-induced diastolic dysfunction can be demonstrated noninvasively with exercise Doppler echocardiography. ― 75 ― 招請講演2 EAE-JSE Joint Session 4月22日(金) 13:10 ~ 13:50 共催:GEヘルスケア・ジャパン株式会社 座長:吉田 清 The Right ventricle: not anymore the neglected neighbour of the left Luigi P. Badano President of the European Association of Echocardiography; Department of Cardiac, Thoracic and Vascular Sciences, University of Padua, Italy The right ventricle(RV)has long been the ‘forgotten ventricle’, in comparison to the left. The lower awareness of its important functional role and the difficulty in studying such a complex chamber by conventional echocardiography previously led to its neglect in comparison to the much higher attention enjoyed by the left ventricle(LV)in the clinical and research arenas. Presently, the focus placed on the RV study has surged. A great body of evidence attests now that RV dysfunction is an important predictor of functional capacity and survival in various clinical scenarios, like pulmonary arterial hypertension, congenital heart disease(CHD) ,systolic heart failure, coronary or valvular heart disease, heart transplantation etc. Evaluation of RV volume, function and mass is challenging by conventional twodimensional echocardiography( 2DE).Major challenges for RV assessment by conventional 2DE derive from(i)complex asymmetric geometry which cannot be fitted into simple geometric models;(ii)heavily trabeculated inner contour with poor endocardial definition and low reproducibility of manual tracing;(iii) separate inflow and outflow which may be adequately visualized only from separate 2D views;(iv)loaddependency and lower accuracy of most conventional echo parameters in comparison with invasive measures. All 2D echocardiographic approaches are inadequate to assess RV volumes and function because they rely on visual estimation or unverified geometric assumptions. Doppler parameters are affected by load dependency and alignment difficulties, while Tei index pseudonormalizes when the right atrial pressure increases. 3DE can overcome some of these limitations and has been shown to improve the accuracy and reliability of RV quantification when compared with 2DE. ― 76 ― 招請講演3 ASE-JSE Joint Session 共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 4月23日(土) 11:20 ~ 12:00 座長:別府 慎太郎 What is Coronary Blood Flow Reserve? Insights Using Myocardial Contrast Echocardiography Sanjiv Kaul Oregon Health & Sciences University, Portland, Oregon, USA Myocardial contrast echocardiography(MCE)has demonstrated that coronary blood flow reserve is determined by microvessels that are not involved in coronary autoregulation(that is <100 µm in diameter, with most being capillaries with a mean diameter of 7 µm).At this level, resistance is not only determined by radius( 4th power)and length of vessel, but also viscosity, whose main determinant is hematocrit. Other determinants of whole blood viscosity include erythrocyte charge, deformability, and mobility. All or one of these can be altered by blood lipids and glucose, nitric oxide(Nitroglycerin)and, statins. Nonischemic cardiomyopathy, hypertension, and transplant vasculopathy, all result in reduction in microvessel number and/ or size, thus reducing coronary flow reserve even in the absence of coronary stenosis. Even in the absence of coronary stenosis, these vessels are the main cause of reduced flow reserve, since they derecruit in order to maintain a constant hydrostatic pressure. Thus, MCE has provided unique insights into the microvascular control of myocardial blood flow. ― 77 ― ASE Young Investigator's Award 優秀者発表 4月22日(金) 10:30 ~ 10:50 座長:伊藤 浩 Sonothrombolysis of Intra-Catheter Aged Venous Thrombi Using Microbubble Enhancement and Guided Three-Dimensional Ultrasound Pulses Shelby Kutty1 2 2 2 2 Feng Xie , Shunji Gao , Lucas K Drvol BS , John Lof MS , Scott E Fletcher1, Stanley J Radio3, David A Danford1, James M Hammel4, Thomas R Porter2 1 Joint Division of Pediatric Cardiology, University of Nebraska/Creighton University, Childrenʼs Hospital and Medical Center, 2 Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, 3Department of Pathology and Microbiology, 4 Division of Cardiovascular and Thoracic Surgery, University of Nebraska Medical Center, Omaha, NE, U.S.A BACKGROUND: Central venous and arterial catheters are a major source of thromboembolic disease in children. We hypothesized that guided high-mechanical index(MI)impulses from diagnostic three-dimensional (3D)ultrasound during an intravenous microbubble infusion could dissolve these thrombi. METHODS: An in vitro system simulating intracatheter thrombi was created and then treated with guided high-MI impulses from 3D ultrasound, using low-MI microbubble sensitive imaging pulse sequence schemes to detect the microbubbles. Ten aged thrombi >24 hours old were tested using 3D ultrasound coupled with a continuous diluted microbubble infusion(group A)and 10 with 3D ultrasound alone(group B). RESULTS: The mean thrombus age was 28.6 hours(range, 26.6-30.3 hours).Group A exhibited a 55 +/- 19% reduction in venous thrombus size compared with 31 +/- 10% in group B(P = .008).Feasibility testing was performed in six pigs, establishing an in vivo model to investigate further the efficacy of this approach. CONCLUSIONS: Sonothrombolysis of aged intracatheter venous thrombi can be achieved with commercially available microbubbles and guided high-MI ultrasound from a diagnostic 3D transducer. ― 78 ― シンポジウム1 4月21日(木) 9:00 ~ 11:00 New Device時代の心エコー法の役割 SY1-KN 座長:尾辻 豊、田邊 一明 Keynote Lecture 僧帽弁クリップにおける心エコー法の役割 塩田 隆弘 Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA 開胸術施行が困難な僧帽弁閉鎖不全症に対し、経皮的カテーテルを用いてクリップを前尖、後尖にかけ、逆流減 少を諮る手技が、近年米国、欧州で試みられている。特に欧州では、すでに臨床上実用化され、2010年には、例 数は少ないものの、その短期成功率は97%と報告されている。 心エコー法のこの手技への貢献度は極めて高い。第一に閉鎖不全の重症度判定、どのようなタイプのものかの判 断に心エコーが必須であり、第二には左室の大きさや機能、第三に肺高血圧の有無も重要なポイントとなる。理 学所見と心エコーのこうした情報から、患者の症状が、そもそも僧帽弁閉鎖不全によるかどうかを判断しなけれ ばならない。 米国では、この手技はエヴェレストという名で治験中で、僧帽弁中央の弁尖からの逆流にのみ適応となり、クリッ プが使用されることになっている。適応を決める際、まず、経胸壁心エコーで、僧帽弁閉鎖不全の重症度を判定 し、何らかの治療が必要と判断された場合、経食道心エコーを施行する。これにより、逆流が弁の内側ないし外 側からのものでないことを確認し、さらに、クリップがかけられる程度の弁異常であることを確認する。 心カテ室では、心房中隔穿刺部の選定、クリップの位置確認、特に、クリップの方向を僧帽弁に対し最良の角度 になるよう導くなど、心エコー画像は成功不成功の一つの鍵となる。また、カラードップラー法は、逆流の大き さや位置を示し、クリップ装着後の有意な逆流量減少の確認に供することができる。術後、心房穿刺により生じ た短絡の程度を確認することも精査項目に入る。 SY1-1 術中経食道エコー法による僧帽弁形成術の評価 相川 大1 2 渡辺 弘之 、高梨 秀一郎3 1 新座志木中央総合病院 循環器科、2榊原記念病院 循環器内科、3榊原記念病院 心臓血管外科 【目的】僧帽弁逸脱症の診断において、3次元経食道エコーデータから切り出した2次元エコー画像の臨床的有用 性は十分に検討されていない。 【方法】僧帽弁逸脱症の術前評価として経食道エコー(Phillip社製iE33)で3次元画像と従来の2次元画像を記録、 かつ術中に逸脱部位を確認した53例( 56±14歳、男性39例、前尖単独7例・後尖単独29例・両尖17例)を対象と した。 僧帽弁を前尖lateral section・middle section・medial section、 後尖lateral scallop・middle scallop・ medial scallopの6部位(計318部位)に分け、逸脱の有無についての術前経食道心エコー図診断を術中所見と照 合した。3次元データから切り出した2次元画像の解析(同社製QLAB)は、収縮末期時相で複数の2次元画像を 切り出すことで行った。 【結果】画像記録に要した時間は、2次元画像(13min)に比して3次元画像(4min)が有意に短かった(P<0.001)。 従来の2次元画像と比し3次元データから切り出した2次元画像は、6部位のいずれにおいても、同等以上の感度・ 特異度・陽性適中度・陰性適中度を示した。全体では、感度98% vs. 87%、特異度98% vs. 75%、陽性適中度 97% vs. 61%、陰性適中度98% vs. 93%、でいずれも3次元データから切り出した2次元画像が高値を示した。 【結語】経食道心エコーによる僧帽弁逸脱症の逸脱部位同定において、3次元データから切り出した2次元画像は 従来の2次元画像に比して、画像記録に要する時間が短く、かつ診断精度が高かった。 ― 79 ― シンポジウム1 4月21日(木) 9:00 ~ 11:00 New Device時代の心エコー法の役割 座長:尾辻 豊、田邊 一明 SY1-2 虚血性僧帽弁逆流に対する形成術の評価 桑原 栄嗣1 2 3 1 1 1 1 1 4 1 尾辻 豊 、上野 哲哉 、窪田 佳代子 、河野 美穂子 、堀添 善尚 、茶円 秀人 、植屋 奈美 、水上 尚子 、湯浅 敏典 、高崎 州亜1、 宮田 昌明1、濱崎 秀一1、木佐貫 彰1、井本 浩3、鄭 忠和1 鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学、2産業医科大学第2内科、 鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・消化器疾患制御学、4鹿児島大学病院 検査部 1 3 背景:虚血性僧帽弁逆流(MR)例では、弁輪縫縮術(MAP)後にもMRが残存・再出現することがある。MAP は僧帽弁輪後部を前方へ変位させるため、 後尖のtetheringが増強し、 後尖の可動性低下および弁尖接合の後方 への変位がMAP後の残存MRの機序となる可能性がある。 方法: MAPを施行した虚血性 MR 30 例において、術前および術後慢性期の僧 帽弁尖形態や可動性および弁尖 tethering とMR重症度を比較検討した。 結果:1)術後慢性期に9例に有意なMRを認めた。2)MR非再発例に比べて MR 再発例では弁接合は虚血性MR例で有意に後方および心尖方向に変位し、後尖の 可動性は有意に低下していた。3)多重解析により、後尖 tetheringの増強(α2 の増強)および弁接合の後方への変位(d1の延長)は術後再発性虚血性MRの有 意な決定因子であった(r2=0.75, p<0.0001)。 結語:僧帽弁後尖の可動性の低下と弁接合の後方および心尖方向への変位がMAP 後のMRと関連している。 SY1-3 大動脈弁形成術における心エコーの役割 川合 宏哉 神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座 循環器内科分野 大動脈弁閉鎖不全症に対する外科的治療法の術式として、大動脈基部拡大や交連部の支持機能不全が存在し大動 脈弁病変は軽微な症例に対して、自己大動脈弁を温存して大動脈基部置換を行う手術が行われ、さらに近年、大 動脈弁病変が存在する症例にも形成術により自己弁を温存することが可能になりつつある。この形成術の適応拡 大に伴い、術前に大動脈弁を詳細に評価する必要性が高まり、開放・閉鎖という正常の大動脈弁機能が大動脈弁 尖のみで作動するものではなく、弁輪部・弁尖・バルサルバ洞・交連部・洞大動脈接合部(ST junction)で構 成される機能的大動脈弁複合体が統合的に作動することで機能するという概念が提唱された。大動脈弁閉鎖不全 症はこの機能的大動脈弁複合体の異常によって起こる、と捉えられる。そして、弁尖の形状ならびに動きにより 大動脈弁閉鎖不全症を3型に分類する。Ⅰ型は正常弁尖でかつ大動脈基部拡大による閉鎖不全で、Ⅱ型は弁尖の 組織変化は少なく過剰な弁尖運動を示すことを特徴として大動脈弁逸脱や有窓化が属し、Ⅲ型は弁尖の組織変化 が高度で弁尖運動が制限されリウマチ性や退行変性による弁病変が属する。この分類においてⅠ型・Ⅱ型の大動 脈弁に対する術式として弁形成術が選択され、自己弁温存が可能となりつつある。ここで術前の術式選択や機能 的大動脈弁複合体の評価に経食道心エコー図検査は必須かつ重要である。本シンポジウムでは、機能的大動脈弁 複合体の概念を概説し、特にⅡ型病変の評価における経食道心エコー図検査の有用性を述べる予定である。 ― 80 ― シンポジウム1 4月21日(木) 9:00 ~ 11:00 New Device時代の心エコー法の役割 座長:尾辻 豊、田邊 一明 SY1-4 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)における心エコー検査の有用性 竹田 泰治1 2 中谷 敏 、倉谷 徹 、溝手 勇 、鳥飼 慶 、島村 和男 、坂田 泰史 、山本 一博 、坂口 太一 、南都 伸介4、 澤 芳樹3、小室 一成1 1 3 4 3 3 1 1 3 大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学、2大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻機能診断科学、 3 大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科学、4大阪大学大学院 医学系研究科 先進心血管治療学 高齢化社会となり大動脈弁狭窄症(AS) は増加し、 大動脈弁置換術件数は成人弁膜症手術の中では最も多い。 しかし、超高齢、重篤な合併症の存在など、高リスク症例が少なくない。このような症例に対する治療法として 経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が開発され、欧米では広く施行されている。本邦でも2010年4月より 臨床治験が行われている。現在、本邦で用いている人工弁では、TAVIに際し、心尖部よりアクセスする順行性 アプローチか下肢動脈(大腿動脈、腸骨動脈)よりアクセスする逆行性アプローチかを選択する。我々は臨床治 験に先立ち、4例の高リスクAS症例に対し、TAVIを施行し、成功した。その際の経験によりTAVIにおける心 エコー検査の有用性について確認することができた。TAVI術前では心エコー検査により、ASの重症度や心機能、 大動脈弁輪と冠動脈開口部の位置関係、冠動脈開口部周囲の粗大石灰化の有無、他弁疾患の重症度、心室中隔の 張り出しの程度を評価し、手術適応の有無やアプローチ部位を選択した。さらに、弁輪径の測定することで、用 いる人工弁のサイズを決定した。TAVI術中には、経食道エコーを用いて、弁留置部位決定のサポートし、弁留 置後には合併症の有無について評価を行い、人工弁周囲逆流や流出路狭窄、収縮期僧帽弁前方運動などの合併症 を迅速的に感知することができた。TAVI術後には、治療後の心機能の変化や留置した弁機能を心エコー検査で 確認した。以上のように、高リスク大動脈弁狭窄患者に対する治療法として有望であるTAVIの施行において、 心エコー検査は術前、術中、術後にわたり、重要な役割を果たした。 SY1-5 経カテーテル的心房中隔欠損症閉鎖術における心エコー図の 治療ガイドとしての役割 谷口 学 赤木 禎治 岡山大学病院 循環器疾患集中治療部 心房中隔欠損症に対する経カテーテル的閉鎖術において、心エコー図は治療前の適応評価、治療中の手技ガイド、 そして治療後のフォローアップという役割を担っている。治療ガイドでは、治療の状況を正しく判断し、多くは 心エコー図の専門家ではない術者に、分かりやすいきれいな画像を使って、スピード感をもって情報伝えていく。 治療ガイドの失敗は、ガイドワイヤーによる心穿孔、閉鎖栓の脱落といった合併症につながる可能性があり、緊 急手術になる場合もあるため、的確な情報を提供する責務がある。しかし一方 で、ダイナミックでスピーディーな治療ガイドと、術者と心エコー図施行医と の連携が治療成功の大きな鍵となり、心エコー図のポテンシャルを大きく発揮 できる。さらに、三次元経食道心エコー図も利用できるようになり、海外では 局所麻酔で治療を行うことができる心腔内心エコー図もこの治療に広く使われ ている。周囲縁欠損症例や多孔型といった治療が容易ではない症例を中心に、 経カテーテル的心房中隔欠損症閉鎖術における心エコー図の治療ガイドとして の役割について述べる。 ― 81 ― シンポジウム1 4月21日(木) 9:00 ~ 11:00 New Device時代の心エコー法の役割 座長:尾辻 豊、田邊 一明 SY1-6 心房中隔欠損症に対するカテーテル治療における経食道心エコー法の重要性 富松 宏文 梶村 いちげ、島田 衣里子、山村 英司、中西 敏雄 東京女子医科大学 循環器小児科 背景:心房中隔欠損症(ASD)に対するカテーテル治療(ASO)が本邦では2007年から実施できるようになった。 ASO実施には経食道心エコー法(TEE)によるガイド下に行うことが義務付けられており、TEEは本治療にとっ て重要な役割を担っている。目的:ASOの適応決定におけるTEEの有用性を明らかにすること。対象:2008年1 月から09年12月までの間にASOの適応決定のためTEEを施行した103人。 年齢平均24歳( 1から84歳)。 方法: TEEによるASO適応決定の実際とASO実施結果を、適応外と判断した例についてはTEE所見と手術所見を比較 した。結果:ASO適応ありは78人、そのうちASO実施例73人、待機中5人。ASO実施例の中で、実施中およびそ の後に問題の生じたもの3人。適応外としたのは25人。その内訳は治療適応があるものの技術的にASOの適応外 としたのが14人、小欠損もしくはPFOで治療の適応がないもの8人、ASDが検出されなかったもの3人。技術的 にASO適応外とされた14人の中で、手術実施例8人、手術待機中5人、手術リスクが高く経過観察となったもの1人。 ASO適応外とした理由は、ほぼ全周にわたりrimが短いか存在しない全欠損に近いものが8人、後下縁が短いも のが3人、superior rimがほとんど存在しないものが3人であった。 手術施行例における手術所見は、 全例ほぼ TEE所見と一致していた。 実施例における問題事象は脱落2人(留置後と留置前が各1人)、 タンポナーデ1人。 結語:ASOにおいてTEEは必須の手技であるが、ASO前の評価においてもTEEは重要な役割を果たしている。 ― 82 ― シンポジウム2 4月21日(木) 15:10 ~ 17:10 心エコードプラ指標の心不全治療への応用 SY2-KN 座長:岩永 史郎、中谷 敏 Keynote Lecture Echocardiography in Heart Failure Jae K. Oh Cardiovascular Diseases and Internal Medicine, Mayo Clinic, Rochester, USA When heart failure is clinically suspected, echocardiography is the single most important diagnostic imaging technique. In a half of patients with heart failure, echocardiography demonstrates a structural and/or functional abnormality. In the other half of patients with heart failure, most likely diastolic heart failure, there may be subtle abnormalities in 2-dimensional echocardiography, but a firm diagnosis of failure requires Doppler and myocardial imaging. If mitral inflow and annulus velocities demonstrate clearly a restrictive filling pattern and/or high filling pressure at resting stage, the diagnosis of diastolic heart failure is usually secured. When echocardiography shows normal filling pressure at rest, we need to consider that exercise-induced increased filling pressure is responsible for patient’s symptoms of shortness of breath. Therefore, we need to assess filling pressure with exercise as well as at resting stage. Finally, we should move beyond the concept of echocardiography as only a diagnostic tool, but also use this versatile and available technology to gain pathophysiologic insights of various forms of heart failure, to help identify or establish an optimal therapy for the patients with heart failure, to monitor treatment response, to prognosticate, and to be an important tool in clinical heart failure trials. SY2-1 左室流入血流速波形の評価におけるValsalva法の有用性:高度僧帽弁逆流例 における検討 飯野 貴子1 2 合田 亜希子 、中坊 亜由美 、伊藤 宏1、増山 理2 1 2 秋田大学大学院 医学系研究科 循環器内科学、2兵庫医科大学 内科学 循環器内科 心エコー図検査において、左室流入血流速波形の評価は、左室拡張能、肺動脈楔入圧の推定に有用である。さら に、Valsalva法を用いることにより偽正常型と正常型とを鑑別しうることが知られている。一方、高度僧帽弁逆 流例では左室流入血流は偽正常~拘束型を呈するが、この評価におけるValsalva法の意義は明らかでない。そこ で、僧帽弁逸脱による器質的高度僧帽弁逆流症14例を対象にValsalva法施行前後の左室流入血流速波形を評価し た。拡張早期波E波と心房収縮波A波の比E/Aが0.5以上低下したものを有意とした。Valsalva法施行前のE/Aは 1.74±0.54で、全例拘束型であった。14例中7例で、Valsalva法施行後E/Aが有意に低下した。E/Aが有意に低下 した可逆的拘束群7例と、低下しなかった不可逆的拘束群7例に分け、比較した。僧帽弁逆流量、左室駆出率、左 室拡張末期径に有意差は認めなかった。一方、左室心筋重量係数は、不可逆的拘束群において有意に高値であっ た( 139±9.8 vs. 110±7.4 g/m2, p <0.05)。高度僧帽弁逆流例では、心筋障害が軽度の場合は前負荷減少に伴い 心房収縮直前の左室圧が低下し、A波は増高、E波は減高する。心筋障害が重い例では、前負荷の程度に依らず 心房収縮直前の左室圧が高いためE、A波高が変化しないと考えた。【結論】 器質的高度僧帽弁逆流症において Valsalva法を用いた左室流入動態観察は、心不全のより詳細な病態評価に有用である。E/AがValsalva法前後で 変化しない例では、外科手術やより強固な心保護療法などを考慮する必要があることが示唆された。 ― 83 ― シンポジウム2 4月21日(木) 15:10 ~ 17:10 心エコードプラ指標の心不全治療への応用 座長:岩永 史郎、中谷 敏 SY2-2 左室収縮能低下例における拡張能正常例の頻度とその意義: 組織ドプラ法による検討 玉田 智子 大倉 宏之、林田 晃寛、今井 孝一郎、古山 輝將、斉藤 顕、尾長谷 喜久子、根石 陽二、川元 隆弘、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 【背景】心エコー図・ドプラ法による左室流入血流速波形と僧帽弁輪部速度の拡張早期成分(e’)は心不全例に おける左室拡張能評価や予後予測に用いられている。一般に、左室拡張能の障害は収縮能の低下に先行するとい われているが、日常臨床において左室駆出率(LVEF)が低下しているにもかかわらず、左室弛緩能の指標e’が 低下していない例がある。 【目的】 左室収縮能低下例におけるe’正常例の頻度とその意義について検討する。 【対象と方法】洞調律を有し、LVEF<50%であった連続105例を対象とした。e’が正常範囲内であった群(N群)と、 e’が低下していた群(L群)に分類し比較検討した。【結果】 (表) N群は53例( 50.5%)、L群は52例( 49.5%) であった。 両群間 で年齢、 左室拡張末期容積、 収縮末期容積、LVEF、E/A比, E波の減衰時間、収縮期右房-右室圧較差に差は認めなかった。 一方、N群ではL群に比して、男性の比率が高く、左室心筋重 量係数が有意に小であった。 【結語】左室収縮能低下例の約半 数でe’が正常範囲に保たれており、それには心肥大の程度が関 連している可能性が示唆された。 SY2-3 Restrictive pattern例における予後予測因子としての組織ドプラ法(A’)の 有用性 安保 浩二1 2 1 1 1 1 1 室生 卓 、松井 深香 、石橋 千佳 、木村 信勲 、藤岡 一也 、中尾 満 、竹内 一秀1、葭山 稔2 大阪市立大学医学部付属病院 中央臨床検査部、2大阪市立大学大学院 循環器病態内科学 1 【背景】LV inflowにおけるrestrictive pattern例(RP)は予後不良であるとされる。一方、組織ドプラ法の心房 収縮期波(A’)は、予後予測に有用であるとされる。【目的】RPにおける予後予測因子としてA’の有用性を検討 すること。【対象と方法】2005~2010年3月までに心エコー図検査を施行し、EF<40%かつRPであった54例。死 亡および心不全・心室性不整脈による再入院を心事故とした。観察期間中に心事故の発生した群をE群、発生し なかった群をF群とし、 両群間で断層およびドプラ心エコー図指標、 BNPなどの臨床指標を比較した。【結果】 観察期間中、13名が死亡、 13名が再入院となった。E・F両群間において、 組織ドプラ法におけ るE’、A’、E/E’に有意差が認められた。さらに多変量解析では、A’(p <0.05)が心事故発生の独立した危険因子であった。ROC曲線からA’ の心事故予測のカットオフ値を3.5cm/sとし、Kaplan-Meier解析を行っ たところ、 <3.5cm/sの群において心事故発生率が有意に高値であっ た(p<0.0001) 。 【結語】RPにおいて、A’は予後予測因子として極め て有用である。 ― 84 ― シンポジウム2 4月21日(木) 15:10 ~ 17:10 心エコードプラ指標の心不全治療への応用 座長:岩永 史郎、中谷 敏 SY2-4 左室全体のストレインレートと内膜面積変化速度による左室弛緩能の評価 岩野 弘幸1 1 2 2 2 3 山田 聡 、加賀 早苗 、西野 久雄 、横山 しのぶ 、小野塚 久夫 、三神 大世3、筒井 裕之1 北海道大学 大学院 医学研究科循環病態内科学、2北海道大学病院 検査・輸血部、3北海道大学 大学院 保健科学研究院 1 【背景】左室長軸方向のglobalストレインレート(SR)が弛緩能推定に有用と報告されているが、等容弛緩期(IVR) と急速流入期のどちらの値がより有用であるかは明らかでない。また、左室壁の伸展は長軸と円周方向に起こる ため、 内膜面積変化速度(area tracking rate: ATR)が1方向の指標よりさらに有用である可能性がある。そこで、 弛緩能評価に1)IVRと急速流入期のどちらが適するか、2)ATRは有用か否かを検討した。 【方法】待機的に心臓カテーテル検査を行った57例で時定数τを計測した。二次元スペックルトラッキング法に より心尖部3断面から長軸方向ストレイン(LS)、短軸3断面から円周方向ストレイン(CS)を求め、各方向の時 間-global SR曲線を得た。時間-global ATR曲線には、内膜面積変化率の理論式LS+CS+(LS×CS)/100 [%]を 用いた。 これらからIVRと急速流入期の長軸、 円周方向のSRとATR(各々LSR IVR 、LSRE 、CSRIVR 、CSRE 、 ATRIVR、ATRE)を求めた。僧帽弁輪の中隔側と側壁側のe’(各々e’SEP、e’LAT)、カラーMモード法による左室流 入血流伝播速度(Vp)を計測した。 【結果】e’LATとLSREはτと相関しなかった。Vp(R=-0.33)、e’SEP(R=-0.30)、CSRE(R=-0.35)、ATRE(R= -0.31) 、LSRIVR(R=-0.24)はτと有意に相関したが、その相関は疎であり、一方CSRIVR、ATRIVRはτと良好 に相関した(CSRIVR: R=-0.48、p<0.001; ATRIVR: R=-0.60、p<0.001。多変量解析の結果、VpとATRIVRがτ の独立規定因子であった(Vp: β=-0.28, p<0.05; ATRIVR: β=-0.56, p<0.001)。 【結論】IVRで計測したglobal SRは急速流入期の指標よりも良好に左室弛緩能と関連した。ATRは、e’や1方向の SR指標よりも強く弛緩能と関連した。 SY2-5 高血圧心の左室心筋に対するARBの修復効果 -2-D speckle tracking(2DST)法による検討- 井内 新1 水口 幸生2、大石 佳史1、三好 宏和3、長瀬 教夫3、大木 崇1 1 国立病院機構 東徳島医療センター 循環器内科、2兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科、 3 国立病院機構 東徳島医療センター 内科 【目的】 アンギオテンシン2受容体拮抗薬(ARB) は高血圧を伴う心不全の治療や予防目的のための第一選択薬 として用いられている。本研究の目的は2DST法を用い、ARB(telmisartan)投与による高血圧患者の左室形態 および機能異常の改善を評価することにある。【対象・ 方法】 未治療高血圧症35例を対象とした。Telmisartan (20-40mg/日)を1年間投与した。心エコー・ドップラー検査は投与後1~2カ月で血圧が正常化した時点(phase1) と投与後1年(phase2)に行った。【成績】Phase2ではphase1に比べて、1)僧帽弁口血流速波形のE波の減速時 間と等容拡張時間の有意な短縮、僧帽弁輪運動速波形(MAMV)の拡張早期波(e’)と左室長軸、円周および 重心方向における拡張早期strain rateの有意な増大を認めた。以上の所見は左室の弛緩(relaxation)の改善を 示唆する。2)MAMVの収縮早期波(S1’) と3方向全ての収縮期strain、 および長軸、 円周方向の収縮期strain rateの有意な増大を認めた。以上の所見は左室の収縮能(contractility)の改善を示唆する。3)左室心筋重量係数、 相対的壁厚および左房容積の有意な減少を認めた。以上の所見は左室と左房の形態異常の改善を示唆する。4) 左室の捻れ(torsion)の有意な減少を認めた。Torsionは左室相対的壁厚と有意な正相関がみられたが、左室心 筋重量とは有意な相関を認めなかった。 以上の所見は、torsionが求心性肥大と心内膜側心筋の線維化に規定さ れることを示唆する。 【結論】2DST法は、高血圧心におけるARBの左室心筋修復効果の判定に役立ち、拡張期 心不全への進展を予防する有用なtoolになりうると考えられた。 ― 85 ― シンポジウム2 4月21日(木) 15:10 ~ 17:10 心エコードプラ指標の心不全治療への応用 座長:岩永 史郎、中谷 敏 SY2-6 Diastolic Wall Strainを用いた左室駆出率が保たれた心不全発症リスク予測の可能性 高血圧モデルによる検討 坂田 泰史 竹田 泰治、大谷 朋仁、真野 敏昭、山本 一博、小室 一成 大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)について慢性期の治療法が確立されていない理由の一つに、HFpEFへ 移行するリスクの高い症例を抽出しえていないことが挙げられる。我々は拡張機能の中で重要な構成要素である スティフネスについて、線形弾性理論に基づきスティフネスの亢進している左室壁では拡張期における心筋外膜 側の動きが大となるとの仮説を立て、 その仮説より求めた Diastolic Wall Strain(DWS)=(拡張期の左室後壁心内膜の移 動距離-心外膜の移動距離)÷ (収縮末期左室後壁厚) が非侵 襲的な左室スティフネス評価に有用であることを示した。 そこで、DWSがHFpEF発症リスク評価に使用できるか、高血 圧性拡張不全モデルを用いて検討したところ、 心不全が顕在 化する以前より高血圧ラットは正常血圧ラットに比し、DWS は低値を示し、 かつACE阻害薬を投与された治療群では、 そ の低下が抑制されていた。 以上より、DWSは心不全発症前よ り変化を捉えることができ、 リスク評価が可能な指標と考え られた。 ― 86 ― シンポジウム3 4月22日(金) 15:45 ~ 17:45 心エコー法による心筋虚血評価の到達点 SY3-KN 座長:赤阪 隆史、林 英宰 Keynote Lecture Echocardiography for the detection of myocardial ischemia: The Ischemic Cascade during Demand Ischemia-Implications for Detecting the Extent of Disease Sanjiv Kaul Oregon Health & Science University, Portland, Oregon, USA We have shown that similar to supply ischemia, regional perfusion abnormalities precede regional function abnormalities during demand ischemia. Although perfusion defects are seen distal to a mild stenosis even at low doses of dobutamine, wall thickening abnormalities occur at higher doses. Furthermore, the circumferential extent of a perfusion defect is greater than that of wall thickening abnormality at all except the highest doses of dobutamine. The temporal separation between the development of perfusion defects and wall thickening abnormalities as well as the discordance between the circumferential extent of these abnormalities is more marked in the setting of single vessel compared with multi vessel stenosi. These findings may explain both the higher sensitivity of perfusion compared with function imaging for the detection of coronary artery stenosis as well as the superiority of dobutamine echocardiography for the detection of multi vessel compared with single vessel stenosis. SY3-1 Post-systolic shorteningを検出することによる心筋虚血の非侵襲的評価: 日常臨床への応用をめざして 上松 正朗1 大西 俊成2 1 関西労災病院 循環器科、2ピッツバーグ大学メディカルセンター 左室局所拡張能を評価し得れば鋭敏に心筋虚血を検出し得るが、肉眼的評価は困難であるため従来あまり行われ てこなかった。近年組織ドプラ法(TDI)やスペックル・トラッキング法(STM)などにより壁運動の定量的 評価が行われるようになったが、TDIでは角度依存性やテザリングの影響、STMでは心内膜トレースの必要性 や再現性等の問題があり、日常臨床で広く用いられているとはいえない。我々はTDIを用いて、壁運動異常を有 さない狭心症症例では高頻度にpost-systolic shortening(PSS)が存在することをみいだし、さらにdisplacement のピーク時相の収縮末期からの遅延を検出することにより、PSSの存在を断層心エコー図上に画像化した (detection of diastolic abnormality by dyssynchrony imaging: DADI)。本法は時相データを用いるため角度依存 性が少なく、心内膜トレースが不要なため再現性に優れる。壁運動異常を有さない胸痛患者では、感度60%、特 異度75%で冠動脈疾患を検出し得る。さらにDADIを用いて心筋虚血の評価が可能か否かを検証するため、安静 時壁運動異常を有さない胸痛患者においてドブタミン負荷試験を行い、DADIを行ったところ、DADIにより、 感度89%、 特異度73%で冠動脈疾患を診断し得た。 またERにおけるリスク層別化においては、 心エコー図に DADIを加えることにより感度97%、 特異度65%、正確度89%で冠動脈疾患を検出し得た。TDIを用いてPSSを 検出することにより、日常臨床においても心筋虚血を評価し得ると考えられた。 ― 87 ― シンポジウム3 4月22日(金) 15:45 ~ 17:45 心エコー法による心筋虚血評価の到達点 座長:赤阪 隆史、林 英宰 SY3-2 Impact of microembolization during PCI on regional wall motion in patients with stable angina pectoris 樋口 義治 岩倉 克臣、岡村 篤徳、伊達 基郎、永井 宏幸、小澤 牧人、渋谷 真彦、藤井 謙司 桜橋渡辺病院 PURPOSE Embolic particles liberated from plaque during PCI are recognized as high-intensity transient signals(HITS)with a Doppler guidewire(DGW). We investigated the impact of microembolization on regional wall motion after PCI measured with 2D-speckle tracking method. METHODS We performed PCI to LAD coronary arteries in 25 patients( 18 men and 7 women, 68±8 years old)with stable angina pectoris. We measured coronary flow velocity with DGW and counted the number of HITS. In the days before and after PCI, we recorded echocardiography and analyzed longitudinal peak strain(Ss),strain rate(SRs),and early diastolic strain rate(SRe)within at-risk area. RESULTS Echo study showed no apparent abnormalities in wall motion after PCI as well as before. PCI was successfully performed and 10±6 HITS(ranged from 0 to 22)were recognized during whole procedures. Comparing between in the days before and after PCI, Ss and SRe improved in case of HITS < ca.10 and deteriorated in case of HITS > ca.10. There were significant correlations between the number of HITS and the changes in Ss and SRe(R2=0.42 and 0.46, respectively and p <0.001, both) .The change in SRs had no correlation to the number of HITS(R2=0.15, p=0.053). CONCLUSION Using 2D-speckle tracking method, we concluded that a large number of embolic particles could deteriorate invisible cardiac function early after PCI. SY3-3 経胸壁心エコーによる冠血流速予備能(CFVR)と心筋血流予備量比(FFR) の心筋虚血検出能を比較する 平田 久美子 今西 敏雄、北端 宏規、石橋 耕平、谷本 貴志、中西 浩子、猪野 靖、岩崎 実加、山田 香織、和田 輝明、折居 誠、小向 賢一、 和田 希美、木村 桂三、水越 正人、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 背景および目的:近年、冠動脈の機能的狭窄度を評価する方法として、圧ワイヤーを用いて測定する心筋血流予 備量比(FFR)が用いられるようになっている。しかしながら、心筋虚血の検出能について、経胸壁ドプラ心エ コー(TTDE)による冠動脈速度予備能(CFVR)との比較検討はなされていない。本研究の目的は、TTDEで 求めたCFVRと圧ワイヤーで求めたFFRを、負荷心筋シンチの結果と比較し、心筋虚血診断能について検討する ことである。方法:狭心症の患者84例に対し、冠動脈造影前に、タリウム負荷心筋SPECTとCFVRの測定を行っ た。CFVRは安静時の冠動脈の血流速度を測定し、アデノシン3燐酸(ATP)の経静脈投与による最大冠拡張時 血流速度との比を算出して求めた。また、FFRは、冠動脈造影時にATP投与時の狭窄遠位部と近位部の平均冠 内圧を測定し、 その比率とした。CFVRとFFRのカットオフ値はそれぞれ、2.0、0.75とし、 負荷心筋SPECTに おける虚血を検出する感度、特異度、正診率を比較した。結果: CFVRとFFRの心筋虚血に対する感度、特異度、 正診率は、それぞれ、CFVR: 86%、94%、92%, FFR: 63%, 80%, 76%であった。結論:経胸壁心エコーによる CFVRは、FFRと比較して、負荷心筋シンチから求められる生理的な心筋虚血をより強く反映する指標と考えら れた。 ― 88 ― シンポジウム3 4月22日(金) 15:45 ~ 17:45 心エコー法による心筋虚血評価の到達点 座長:赤阪 隆史、林 英宰 SY3-4 新たな冠危険因子と冠血流予備能 武井 康悦 田中 信大、黒羽根 彩子、高橋 のり、木島 勇人、山科 章 東京医科大学 循環器内科 近年、従来の冠危険因子である高血圧、糖尿病、脂質代謝異常や喫煙などに加え、新たな危険因子として、血糖 値の変動、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などが注目されている。心筋肥大や糖尿病では既に冠血流予備能(CFR) は低下しており、 また高脂質食や喫煙でもCFRは一過性に低下することが報告され、 古典的な危険因子に対す るCFR評価の意義は確立されている。糖代謝異常の病態の一つである急激な血糖値の変動や、SASは独立した冠 危険因子となりうるものとされ、これらのみを基礎とした虚血性心疾患症例が増加している。我々は非糖尿病か つ明らかな心筋虚血がない症例で、ブドウ糖負荷による急速高血糖を惹起し、正常群、耐糖能異常群、糖尿病型 群にわけCFRの変動を観察した。 全群でCFRは糖負荷後には低下したが、 特に耐糖能異常群と糖尿病群で大き く低下した。 正常群の中で高インスリン血症を有する例では、 一過性に高血糖、 後に低血糖となり、 糖負荷後 CFRは低下した。 糖尿病発症前でも血糖値の変動がある症例はCFRに悪影響を及ぼしていることが示された。 また急性心筋梗塞発症時(ストレス時) 高血糖を有した症例では、 急速高血糖惹起下でのCFRは非責任冠血管 においても低下していた。 急激な血糖値の変動は、CFRを低下させうる個別の危険因子として認識する必要が ある。また我々は重症SASを有する症例に対し、CPAP療法導入前後のCFR変化を観察した。SAS例では睡眠覚 醒後CFRは低下したが、CPAP使用により睡眠によるCFRの低下は抑制された。CFRは食事、ストレス時、睡眠 など日常の中での冠灌流変化を表すことができる指標である。 虚血性心疾患の管理においてはこれらCFRの情 報をより有効に利用すべきである。 SY3-5 3D負荷心エコーによる心筋虚血診断:いずれのStrain Rate指標が 虚血診断に最も有用か 高野 真澄1 小林 淳1、及川 雅啓1、渡部 朋幸2、待井 宏文1、竹石 恭知1 福島県立医科大学 感染制御・臨床検査医学講座、2医療生協わたり病院 内科循環器科 1 【背景】虚血性心疾患において、いずれの方向のStrain およびSR解析が心筋虚血診断に有用か否かは明らかでな い。 【目的】3D負荷心エコー法にて、 同一画像から4方向のSR(longitudinal SR: L-SR、radial SR: R-SR、 Circumferential SR: C-SR, Area SR: Area-SR)を解析し、アデノシン誘発性局所心筋虚血の同定に最も有用であ るSR指標を検討する。【方法】対象は虚血性心疾患を疑いアデノシン負荷99mTc心筋シンチグラフィーを施行し た9例。安静時および負荷時において、Full Volume画像収集を行い(東芝社製ArtidaTM)、左室中部6分画にお ける4方向のStrainを求めた。 次いで、original softwareを用いてSRを算出し、 拡張早期最大SR値(max SRe) を求めた。安静時と負荷時のmax SReの変化率を、心筋シンチ所見と比較検討した。【結果】全54分画のうち11 分画が心筋シンチにて心筋虚血と判定された。Area-SR とC-SRにおけるmax SReの変化率は、虚血部において 非虚血部に比べ有意に低下した(Area-SR: -0.12±0.34 vs 0.93±1.36, P<0.001; C-SR: -0.52±1.32 vs 0.46±3.55, P<0.001)。一方、R-SRとL-SRのmax-SReの変化率は二群間で有意差を認めなかった。心筋虚血を診断するため の判別分析にて、Area- SRおよびC-SRのmax-SRe変化率を用いた場合、最も良好に判別可能で(z=0.765 x maxArea SRe変化率 + 0.094 x max-Circumferential SRe変化率 -0.573、感度90%、特異度67.4%)、Area SRの判別 に寄与する程度が高かった。 【結語】3D 負荷心エコー法におけるSRの解析により、虚血性心疾患患者における アデノシン誘発性局所拡張不全を同定可能であり、その検出にArea SRが最も有用であることが示唆された。 ― 89 ― シンポジウム4 4月23日(土) 9:00 ~ 11:00 3D心エコー法による定量評価への新展開 座長:大倉 宏之、竹中 克 SY4-1 拡張型心筋症における左室収縮能障害の不均一性と左室同期不全との関係 -3D Speckle-Tracking 法を用いた検討- 松本 賢亮 田中 秀和、三好 達也、平石 真奈、金子 明弘、辻 隆之、山脇 康平、漁 恵子、福田 優子、則定 加津子、辰巳 和宏、 川合 宏哉、平田 健一 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 【背景】 特発性拡張型心筋症(IDC) において、 左室同期不全は比較的高頻度に認められる所見である。 一方、 IDCはびまん性の収縮力低下と心室の拡大を特徴とする心筋疾患と定義されているが、近年MRIなどを用いた検 討により左室における心筋障害は必ずしも一様ではなく不均一な分布を示すことが知られている。今回我々は左 室心筋障害の不均一性と左室同期不全の関係について3D speckle tracking( 3DST)法を用いて定量的に検討し た。 【方法】正常QRS幅を有するIDC54例と健常群対照28例に対して3DST心エコー法を施行し、左室全16領域の ストレイン曲線を得た。心電図R波から最大strainまでの時間の全領域における標準偏差をsystolic dyssynchrony index(SDI)と定義した。また、左室収縮能障害の不均一性の指標として、最大strain値の全領域における標準 偏差をSD-peak strainと定義した。【結果】IDC群では左室収縮能障害の分布は不均一で、SD-peak strain は健 常群に比し有意に大であった( 11±2 vs. 8±2%, p<0.001)。またIDC群のSDIは健常群に比し有意に大であった ( 81±39 vs. 24±8ms, p<0.001) 。単変量解析ではSD-peak strain、LVEF、左室心筋重量、左室拡張末期容積、 収縮末期容積、QRS幅がそれぞれSDIの規定因子であったが、多変量解析ではSD-peak strain(β=0.71, p<0.001) およびLVEF(β=-0.340, p=0.001)のみがSDIの独立した規定因子であった。【結語】3DST法により、IDCに おける左室収縮能障害の分布は不均一であることが定量的に示された。また、左室収縮能の低下および左室収縮 能障害の不均一性が左室同期不全に関連している可能性が示された。 SY4-2 3D心エコー法を用いた左室容量計測における精度の検討 中島 英樹1 瀬尾 由広2、石津 智子2、山本 昌良2、渥美 安紀子2、川村 龍2、川上 康3、青沼 和隆2 筑波大学附属病院 検査部、2筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器病態医学、 3 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床分子病態検査医学 1 【目的】近年、単心拍での左室3D画像取得が可能となり、心房細動例などへの応用が期待される。一方、本法は 空間・時間分解能が低く、左室容積推定値について十分な検証が必要である。本研究の目的は、左室容積評価に おける単心拍法3D心エコー図の臨床的な実施可能性を検討することである。【方法】 対象はMRIおよび3D心エ コー図を同日に施行した50例(男性27例、 平均年齢61±16歳)。3D心エコー図は4心拍および単心拍法で画像を 取得した。各々で左室拡張末期容積(EDV)、収縮末期容積(ESV)および左室駆出率(LVEF:%)を計測し、 MRIによる計測値と比較した。【結果】3D心エコー検査時の心拍数は63±11(レンジ40-96/分)、画像解析可能 率は4心拍法100%、 単心拍法92%であった。 単心拍法と4心拍法による計測値に有意差は認めなかった(表1)。 3D心エコーはMRIより もEDVとESVを過小評 価したが、両者は良好な 相関関係を認めた(表2)。 【結論】3D単心拍法は4 心拍法と同等の左室容積 測定精度を有しており、 臨床的に実施可能である と考えられた。 ― 90 ― シンポジウム4 4月23日(土) 9:00 ~ 11:00 3D心エコー法による定量評価への新展開 座長:大倉 宏之、竹中 克 SY4-3 リアルタイム3D心エコー法による左房サイズの定量評価 宮坂 陽子 辻本 悟史、土手 絹子、前羽 宏史、岩坂 壽二 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科 左房サイズは、心房細動や脳梗塞など心血管イベントの独立した予測因子として有用な指標である。また左室拡 張能障害の重症度ともよく相関するとされる。現在、3D心エコー評価が確立されていないので、ASEで推奨さ れている左房サイズの評価法は2Dエコー法である。しかし、左房は前後方向への拡大に制限があるため、拡大 すればより楕円形となり、 仮定式を用いる2Dエコーでの左房容積の評価には限界がある。 すなわち、 既報の CT/MRIと2Dエコーによる左房容積の比較検討で、2Dエコー はCT/MRIによる左房容積に比し過小評価であり、心疾患など に伴い左房が拡大するほどその程度が増大するとされる。3D エコーは仮定式を用いないことからより正確な定量評価が可 能である。我々は、リアルタイム3Dエコーと64列MDCTの左 房容積を、 冠動脈疾患が疑われた57例で比較し、2Dエコーよ りも良好な相関を認め、 臨床上有用な指標になり得る可能性 を示した(J Am Soc Echocardiogr; in press)。今後3Dエコー を用いた心血管イベントのデータを蓄積し、 予後予測や拡張 能の重症度評価法の確立などが期待される。 SY4-4 肺高血圧患者の運動耐容能評価:3D心エコー法を用いた検討 村田 光繁1 森川 知子2、鶴田 ひかる2、安田 理沙子2、鈴木 恵子2、田村 雄一2、岩永 史郎2、村田 満1、福田 恵一2 1 慶應義塾大学 医学部 臨床検査医学、2慶應義塾大学 医学部 循環器内科 【背景】原発性肺高血圧患者において、6分間歩行距離( 6MWT)は独立した予後規定因子であり、症候限界性 心肺運動負荷試験により得られる最大酸素摂取量に相関し運動耐容能の指標となることが知られている。一方、 従来の心エコー検査法では肺高血圧症患者の運動耐容能の指標は知られていない。最近我々は、3次元心エコー 法による右室機能評価法が心臓MRIと同等に有用であることを報告した。【目的】肺高血圧症患者において、運 動耐容能を反映する心エコー指標を同定すること【方法】 肺動脈性高血圧症患者(平均肺動脈圧≧25 mmHg) で心臓超音波検査と6分間歩行検査を2回以上施行しえた20例(特発性12例、2次性8例) を対象とした。Phillips 社製iE33を使用しルーチン検査に加え、心尖部像のfull volume記録を行い、3D解析ソフト(Advanced QLab、 GIモード)を用いて解析した。体表面積で標準化した右室拡張末期容量(RVEDVI)、右室収縮末期容量(RVESVI)、 右室一回拍出量(RVSV)を計測し、右室駆出率(RVEF)を求めた。さらに、6分間歩行検査を施行し、6MWT と心エコー指標との相関を検討した。【結果】RVEFおよびRVSVは6MWTと有意な正相関を認めたものの、 RVSVは弱い相関であった(RVSV; r=0.41, P=0.019, RVEF; r=0.64, P<0.0001)。一方、RVESVIおよびRVEDVI はいずれも6MWTと弱い負の相関を認めた。さらに、同一患者におけるΔ6MWTは、ΔRVEFと有意な正相関 を示した(r=0.60, P<0.0001)。なお、推定肺動脈収縮期圧変化量はΔ6MWTと有意な相関を認めなかった(r=0.22, P=0.23) 。【結語】肺高血圧症患者の運動耐容能評価には3次元心エコー法による右室機能計測が有用であること が示唆された。 ― 91 ― シンポジウム4 4月23日(土) 9:00 ~ 11:00 3D心エコー法による定量評価への新展開 座長:大倉 宏之、竹中 克 SY4-5 Distinctive Patterns of Mitral Annular Change between Mitral Valve Prolapse and Ischemic Mitral Regurgitation by 3D-TEE 谷 知子1 川井 順一2、北井 豪1、金 基泰1、八木 登志員2、中村 仁美2、紺田 利子2、藤井 洋子2、盛岡 茂文1、岡田 行功3、 北 徹1、古川 裕1 1 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科、2神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、 3 神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科 Three-dimensional( 3D)transesophageal echocardiography(TEE)is useful for quantification of mitral valve (MV)structures. The aim is to investigate quantitatively differences in MV anatomy among patients(pts) with MV prolapse(MVP) ,patients with ischemic mitral regurgitation(IMR)and normal control subjects. Methods: Real-time 3D-TEE was performed in 15 MVP pts, 9 IMR pts and 12 normal subjects using iE33(Philips Medical Systems). The full-volume 3D MV data sets were performed offline with Q-Lab software. Results: As shown in Table. There were distinctive patterns between MVP and IMR in changes in annular geometry from normal subjects. Pts with IMR showed significant annular anterior to posterior dilatation, whereas in pts with MVP, dilatation in antero-lateral to postero-medial diameter was more prominent. Conclusions: 3D-TEE is a useful method for mitral valve geometry in patients with MV diseases. SY4-6 機能性僧帽弁閉鎖不全症例に対するannuloplasty + bileaflet optimization の有用性 斎藤 顕1 大倉 宏之1、尾長谷 喜久子1、林田 晃寛1、渡邉 望1、根石 陽二1、川元 隆弘1、米田 正始2、吉田 清1 1 川崎医科大学 循環器内科、2名古屋ハートセンター (背景)機能性僧帽弁閉鎖不全(MR)例に対する外科治療法として、僧帽弁輪形成術が行われているが、術後 に後尖のtetheringを来すことにより、MRの再発がおこる場合がある。(目的) 僧帽弁輪形成術時に、bileaflet optimizationを追加することにより、後尖のtetheringを防止可能かにつき検討すること。(方法)重症機能性僧 帽弁症例6例を対象とし、手術前後に3次元経食道心エコー図検査を行った。定量解析ソフトを用いて、収縮中期 の僧帽弁tenting容積(TV)、tethering length(TL)を測定した。また左室長軸断面における前尖角度と後尖角 度を計測した。(結果)TV、TLは術後に縮小していた(P <0.05) 。また、前尖のtetheringは術後に減少し(P < 0.05) 、後尖角度の増大は認めなかった(P = 0.17) (表)。 (結語)chordal translocationの併用により弁形成術後の 後尖のtetheringを防止することができる。 このことに より、MRの再発予防が可能かもしれない。 ― 92 ― ビジュアルワークショップ 4月21日(木) 13:10 ~ 15:10 血管エコー法で知る動脈硬化 座長:赤石 誠、西上 和宏 VW1 頸動脈エコー 濱口 浩敏 神戸大学医学部附属病院 神経内科 日常診療の中で、動脈硬化の評価には頸動脈エコー検査がよく用いられる。中でも、内膜中膜複合体厚(intimamedia thickness:IMT)は早期からの動脈硬化の指標とされ、心血管イベント、脳卒中イベントとの関連や、様々 な薬剤に対する治療効果の判定など利便性が高い。動脈硬化(IMT)が進展し、隆起性病変となった場合、プラー クと呼ばれる。プラークを観察する際に重要なのは、表面性状、内部性状を評価することで、安定プラークであ るのか不安定プラークであるのかを確認する。特に潰瘍病変や、内部性状が低輝度であり表面のfibrous capが薄 いようなプラークの場合には、高率に脳梗塞の原因となりうるため注意が必要である。また、最近では可動性プ ラークの存在も重要視されている。プラークの性状を詳細に評価することで、脳梗塞発症における危険性の評価 が可能になり、治療方針の決定に役立つ。また、頸動脈の動脈硬化度を半定量的に評価する簡便な判断基準とし て、プラークスコアを用いる場合もある。プラークが進展し、血管内腔の50%以上の面積を占めるようになると、 頸動脈狭窄として診断する。評価方法は、NASCET法、ECST法、短軸面積法が用いられる。また、収縮期血流 速度が200cm/sec以上で70%以上の狭窄として定義する。血流速度の計測は、石灰化病変により狭窄率が評価で きない場合でも有効である。狭窄率を算出することで、外科的治療として内膜剥離術や頸動脈ステント留置術を 用いるか、内科的治療を行うかを判断する指標の一つとして利用できる。その他、血流波形から様々な心血管疾 患の病態を推測することも可能である。今回、頸動脈エコーを指標とした動脈硬化の病態およびその評価法など について解説する。 VW2 大動脈エコー 松村 誠 埼玉医科大学国際医療センター心臓内科 【意義】超音波検査は末梢の動脈だけでなく、大動脈に生じる粥状(アテローム)硬化や動脈壁硬化の診断にも 用いられる。 前者に対してはアテロームの形態、 大きさ、 性状の評価、 後者では血管の弾性に関する機能検査 (stffness parameterβ値など)が有効である。両者とも動脈硬化を評価する上で重要であるが、臨床的にはアテ ロームに対する診断意義が大きい。それは、超音波を用いた多くの研究から、大動脈のアテローム病変(特に上 行・弓部)が脳・末梢動脈塞栓の独立した危険因子であることが明らかにされたためである。【検査】超音波に よる診断手段として通常、 経胸壁心エコーや腹部エコーが有用であるが、 胸部大動脈に関してはTEEの診断感 度が最も高い。また、カテーテル検査・治療、手術症例ではIVUSやEAUも利用される。【所見】アテロームは その進行度によって様々なエコー所見を呈する。早期では軽度の壁肥厚(内膜中膜複合体の肥厚)とエコー輝度 の上昇を示す程度であるが、進行に伴いアテローム全体の厚さが増すだけでなく、局所的に隆起する部位が現れ、 内腔面の不整も明らかになる。また、アテロームに亀裂や破綻が起こるとそこに潰瘍や血栓、石灰沈着などの複 合病変が形成され、さらに潰瘍が中膜以下に達した場合にはPAUが観察されることもある。【診断】確定した診 断基準はないが、通常、内部のエコー輝度増加を伴い、不整な壁肥厚( 1-2mm以上)を認めるものをアテロー ムあるいはプラークとしている。【危険因子】血管イベントとの関連性からは、隆起性(厚さ4-5mm以上)、複 合病変(潰瘍、血栓)、可動性病変を伴うアテロームが危険因子とされている。 ― 93 ― ビジュアルワークショップ 4月21日(木) 13:10 ~ 15:10 血管エコー法で知る動脈硬化 座長:赤石 誠、西上 和宏 VW3 腎動脈エコー 小田代 敬太 九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学(第一内科) 腎動脈エコー検査では、主として腎動脈狭窄の有無、腎機能(腎血管抵抗性)を評価する。 腎動脈狭窄の原因疾患には粥状動脈硬化性、線維筋性異形成、大動脈炎症候群などがある。粥状動脈硬化性は腎 動脈起始部に多く、線維筋性異形成は若年者に多く腎動脈の中遠位部が好発部位である。 腎動脈の狭窄は、腎血管性高血圧や、虚血性腎症による腎機能低下の原因となる。また、冠動脈疾患患者では腎 動脈狭窄の合併が多く、透析患者の10%弱は両側腎動脈高度狭窄が原因ともいわれている。このように腎動脈狭 窄を早期に発見し、薬物療法など早期介入することが重要である。 腎動脈狭窄に対しての治療は近年血管形成術が広まってきた。線維筋性異形成ではバルーン拡張が主で、粥状動 脈硬化性ではステント留置術が主である。 さらにエコー検査では腎実質の血流よりResistance Index(RI)を求めることで腎実質障害を評価することも可 能である。RIとCKDステージは相関することが知られている。慢性腎臓病(CKD)患者では腎機能を血液デー タや尿検査のみでなくエコーでも評価することが重要である。 VW4 下肢動脈エコー 平井 都始子 奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部 動脈硬化による下肢閉塞性動脈硬化症や動脈瘤は近年増加傾向にある。下肢閉塞性動脈疾患の画像診断法には血 管エコー以外にCTAやMRAがあり、 それぞれの特徴や患者の病態に応じて用いられている。 特にCTの多列化 が進み腎機能に問題のない症例では検査時間が短く全体像が把握しやすいCTAが多用されるようになってきて いる。血管エコーはCTに比べれば時間がかかり、全体像を把握するのは難しいが、血管壁や内腔の性状と同時 に生理的な状態での血流情報がリアルタイムに観察できるメリットがある。血流速度波形から狭窄の程度を判定 し、血流障害の程度を評価することが可能である。 本ワークショップでは、下肢動脈疾患に対する血管エコー法と主な疾患の診断に有用な所見を提示しながら血管 エコーの役割について概説する。 ― 94 ― 教育講演1 4月21日(木) 17:10 ~ 18:20 Dyssynchronyの評価法 座長:上松 正朗 EL1-1 Dyssynchronyの実用的な評価法 宮崎 知奈美 東住吉森本病院 循環器内科 「CRTの適応を決めるのにdyssynchornyの測定をお願いします。」そんな心エコーのオーダーを出されて困った 経験はないだろうか。 心室室再同期療法(CRT) の主なメカニズムは局所収縮のタイミングがずれて非効率的な収縮をする左室を再 同期させることと考えられていることから、dyssynchronyの大きさでCRTの効果が予測できるだろうという期 待がかけられた。 ひと口に局所心筋の収縮タイミングを評価するといっても、Mモード、tissue velocity、ストレイン、3Dエコー などの色々な方法がある。さらに収縮の始まり、終わり、最も速い時点のタイミングなど様々なとらえ方がある。 どの分画を見るかにしても、中隔と側壁、前壁中隔と後壁、基部と中部の12分画とバラエティに富む。さらに最 大の遅れであったり標準偏差をとったりと指標の作り方も異なる。 こうして提唱された種々のdyssynchrony指 標がCRTの効果を関連があった、 という結果はまことに結構なのだが、 臨床現場ではすべてを測定していては どれだけ時間があっても足りない。また指標同士の結果が解離する場合はどう解釈すべきなのか。新規ユーザー としてはどこからどう手をつけたらよいのか良くわからないというのが実情であると思う。 この講演では、dyssynchrony 指標をいくつかレビューし、それらを実際にどのように測っていけばよいのかに ついてできるだけ具体例に即して示してみたいと思う。Dyssynchornyの評価は日進月歩であり講演内容は現時 点での一つの方向性を示すに過ぎないが、明日からの臨床の参考にしていただければ幸いである。 EL1-2 Dyssynchronyの評価法とその意義 有田 武史 小倉記念病院 循環器内科 Dyssynchronyは心室間dyssynchrony、心房心室間dyssynchrony、心室内dyssynchrony、の3つのレベルがあり、 この順に重要性が大きくなる。 心室間dyssynchronyはCRTの適応に関しては最も意義の薄い項目ではあるが、 両心室の流出路におけるパルスドップラー波形にて駆出開始の時間的ずれを評価する。心房心室間dyssynchrony は左室流入路におけるパラスドップラー波形においてE波とA波の融合の程度、またその総体としての充満時間 の心周期における割合を評価する。 最も重要な心室内dyssynchronyは、 簡便さ重要さの順に、Mモードエコー でのSPWMD、2Dでの見た目dyssynchrony、speckle tracking解析法を用いたradial strain dyssynchrony、 Tissue Doppler Imageを用いたYu/Bax/Gorcsan indexなどがある。SPWMDの測定は非常に感度に優れた指標 であり、中隔の後壁の時間的ずれを評価する。見た目のdyssynchronyは心尖部のshuffle motionまたは心室中隔 のseptal flashがあればdyssynchronyあり、と判断するものであり経験を要するが特異度が高く臨床的に有用で ある。Speckle tracking法はいまだ統一された指標はなく、再現性という点で唯一臨床的に応用できるのが短軸 像でのradial strainである。Tissue Velocity法では主に各セグメントにおける収縮期のピークのずれを評価する。 各々講義にて詳細に説明する。 ― 95 ― 教育講演2 4月22日(金) 16:45 ~ 17:55 先天性心疾患におけるエコー 座長:森 一博 EL2-1 先天性心疾患手術前後の解剖、血行動態、エコーの注意点 (単心室、三尖弁閉鎖、Fontan手術を中心に) 安河内 聰 長野県立こども病院 循環器小児科 先天性心疾患の手術成績の向上に伴い成人期に到達する術後患者数は増加している。今まで成人領域では目に しなかった先天性心疾患の術後の心エコー検査をする機会も増加している。先天性心疾患術後の心エコー検査を 理解するためには、術前の解剖や血行動態を基本的に理解することはもちろんのこと、外科手術の術式の知識、 手術によりどのように形態が変化するか、また血行動態が変化するか理解しておくことが極めて重要である。術 式により、術後の心エコー検査でのチェックポイントがそれぞれ異なるが、基本はBモード画像による形態診断 でありドプラエコーによる血流評価であることは変わらない。さらに、3DエコーやSpeckle tracking法による局 所心室壁運動解析などの新しい心エコーの技術を利用して先天性心疾患術後の心エコー検査を行ない評価を進め るべきである。 CHDの術式は多岐にわたるが、ここでは単心室や三尖弁閉鎖に対するFontan手術を中心に概説する。Fontan 手術は、2心室修復が困難なCHDに対して行われるチアノーゼをとるための機能的(姑息的)手術であることを 理解しなければならない。Fontan術後管理における心エコーの役割は、 体心室の収縮能や拡張能の評価に加え 房室弁逆流の機序や重症度の評価、Fontanルートの狭窄や血流の評価など多岐にわたる。 診断の目的に応じた エコー診断法を用いて、Fontan術後の構造および機能評価を行うことが重要である。 EL2-2 先天性心疾患手術前後の解剖/血行動態/エコーの注意点 (TGAなど流出路疾患を中心に) 新居 正基 静岡県立こども病院 循環器科 単心室、二心室いずれにおいても様々な流出路疾患が合併し得る。むしろ単心室においては何らかの流出路異常 が合併することが多い。今回の企画では良好に機能する二心室を持つ先天性心疾患に限って流出路異常の概説を 行う、また大血管の異常も流出路異常に含むものとする。この群は先天性心疾患の約1/3を占める。 流出路異常は大きく 1)数の異常、2)心室との連結異常および 3)大血管の異常に大別される。 1:流出路の数の異常 Single outlet:総動脈幹遺残、肺動脈閉鎖、大動脈閉鎖 2:心室と流出路の連結異常 完全大血管転位、両大血管右室起始、両大血管左室起始、ファロー四徴等 3:大血管の異常 右大動脈弓、大動脈縮窄、大動脈離断、大動脈肺動脈窓等 完全大血管転位1型を除いて流出路異常の疾患には心室中隔欠損が合併しており、外科的修復法の選択はこれら 流出路と欠損孔の位置関係が非常に重要になる。特に両大血管右室起始は大血管の相互の位置関係/大血管と心 室中隔欠損孔の位置関係/流出路中隔と右室筋束(TSM)との位置関係が多岐に渡り、治療法の選択を複雑に している。 完全大血管転位においては両大血管のサイズの不均衡や、冠動脈開口部位およびその走行そして両半月弁の交連 位置の情報が術前情報として重要になる。 術後の問題点 大動脈への流出路再建に中隔欠損を使用した場合は、この経路の成長に伴う狭窄、右室から肺動脈への再建に人 工血管を使用した場合は、同血管の狭窄や閉鎖不全が問題となる。完全大血管転位においては、移植冠動脈の狭 窄、再建した肺動脈の狭窄または、大動脈弁(旧肺動脈弁)閉鎖不全等が問題となる。 ― 96 ― 教育企画1 4月21日(木) 16:20 ~ 18:20 ウェットラボ 見て学ぼう触って学ぼう、心臓の解剖 協力:Edwards株式会社 司会:西畠 信 EP1 講師:井本 浩 鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・消化器疾患制御学 経胸壁および経食道心エコーともに3Dエコーが普及し、心臓の立体的な画像描出が容易になり、従来は不可能 だったあらゆる断面の描出も可能になってきました。その一方で、これらの所見を正確に画像診断するためには、 これまでにも増して詳細な心臓の解剖学的知識が要求されるようになってきています。また以前は主に小児科領 域で扱ってきた先天性心疾患も、予後の改善とともに成人例として診療・エコー検査をする機会が増加していま す。先天性心疾患の解剖学的把握がまだまだ苦手な人も多いのではないでしょうか。 このような現状を踏まえ、改めて心臓の解剖を勉強する機会として、ブタの心臓を用いた解剖実習を企画致しま した。当日は、実際にブタの心臓を解剖して頂きます。鹿児島大学心臓血管外科の井本浩教授をお招きして、外 科医から見た心臓解剖という視点で心臓の解剖の基本を皆さんと一緒に学んでいきたいと思っております。 なお、本企画は事前予約が必要となっております。応募はすでに締め切っておりますのが、当日は実習風景を第 一ホールにて中継致しますので、是非そちらにも足をお運び下さい。 『プログラム』 16:20-16:30(10分) オリエンテーション(実習説明、注意事項など) 16:30-16:50(20分) ショートレクチャー(鹿児島大学心臓血管外科教授 井本浩先生) 16:50-18:20(90分) ブタ心臓を用いた実習 1)心表面の観察 2)右心系の観察 肺動脈弁と三尖弁の位置関係(左心系とどう違うのか) 3)左心系の観察 4)左右冠動脈の観察 心室中隔の冠動脈支配分布はどうなっているのか 5)正常心の心房中隔 / 心室中隔の観察 ASDやVSD欠損孔と両心腔との位置関係はどうなっているのか。 ― 97 ― 教育企画3 4月23日(土) 10:10 ~ 11:10 パネルディスカッション「もっと知りたい心エコー専門技師」 座長:増田 喜一、宮武 邦夫 EP3-1 心エコー図専門技師「私の体験談」 岡庭 裕貴 群馬県立心臓血管センター 技術部 近年、受験資格の改正により多くの技師が認定専門技師を受験できるようになった。ここでは、認定専門技師 資格取得に関心を抱く心エコー技師に向けて、受験時の印象や私が行った試験対策法を述べたい。 1. ワンルック動画 動画像から即座に解答を導き出す設問である。出題方法も記述式からマーク式へと変更され、記載されている 疾患名から比較的容易に解答を導き出すことができる。従って、各疾患の特徴について整理しておくことが、本 セッション攻略への近道となる。 2. 筆記試験 専門的知識に加え、心電図・心音図所見などの幅広い知識が要求される。また心エコー図検査で用いられる各 種計算式においても十分に理解し、迅速に対処できる技量が必要である。 3. 高度動画問題 自身の知識と経験を駆使して、動画像から検査レポートを作成する極めて難解な設問である。しかし現在では マーク式に変更され、比較的解答しやすい設問へと変化している。 4. 実施試験および面接 特別な事柄はなくルーチン検査で行っている事を実施すればよい。しかし、普段できていない事は試験時にも できるはずがなく、日々の検査において検査前準備、患者確認、検査中の応対等について十分に気を配り、試験 時にも日頃の手腕が発揮されるよう努めておく。 5. 私の試験対策 各種専門書と日本循環器学会のガイドラインの熟読を行った。特に月刊「心エコー」(文光堂)は、各領域の 専門の先生が執筆されているため試験対策教材としては最適であり、試験前には必ず目を通しておくことを推奨 する。 本資格は、ルーチン検査を行う上では必ずしも必要とはされないが、専門知識・技術を網羅し最高の心エコー 図検査を提供できる技師の証となると考える。 ― 98 ― 教育企画3 4月23日(土) 10:10 ~ 11:10 パネルディスカッション「もっと知りたい心エコー専門技師」 座長:増田 喜一、宮武 邦夫 EP3-2 認定専門技師制度発足から5年が経過して 戸出 浩之 群馬県立心臓血管センター 技術部 日本心エコー図学会の認定専門技師制度は、2006年に最初の試験が実施されて以来、昨年までに25名が認定さ れてきた。制度発足からちょうど5年が経過した今年、試験や評価の方法などについてこれまでを振り返り、改 めて議論することはたいへん重要である。本発表では、第1回試験の受験者であり、第2回以降は本制度に関す るいくつかの委員会の委員として試験に関わってきた演者の立場から、本試験に対する感想を述べ話題提供とし たい。 本制度発足時の目標は、10年で200名程度の認定者を考えていたと記憶しているが、これを考えると5年で25名 はあまりにも少ない。受験者数が伸び悩んでいる理由はいろいろ考えられるが、そのひとつとして受験資格にお いて経食道心エコーなどの特殊検査に重点が置かれすぎていないだろうか。実際に日常業務の中でこれらの特殊 検査にそれなりの件数携わることができる施設は限られてくる。一次試験は、受験者が実際に探触子を持って検 査した症例について、エコー所見をもとに病態をしっかり考察したレポートで評価することも、真の実力を量る 上で重要である。 本制度は日本超音波医学会の認定資格を保持していることが受験資格であり、すなわち二階建て資格の上級に 位置する。制度の目的にも認定者が後進の育成や新技術・新手法の実践・研究などにおいて指導的役割を担うこ とが謳われている。したがって、本学会のような専門学会はもちろん、地域の勉強会などにおいて指導的役割を 担ってきた方々には是非ともこの資格を取得していただきたい。その意味において、これまでの指導実績が受験 資格のひとつであり、指導力を評価する試験方法も必要なのではないかと考えている。 ― 99 ― 教育企画3 4月23日(土) 10:10 ~ 11:10 パネルディスカッション「もっと知りたい心エコー専門技師」 座長:増田 喜一、宮武 邦夫 EP3-3 心エコー専門技師認定試験を受験して 紺田 利子 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部 この試験では、診療に必要な知識とそれに基づいた超音波検査ができるか否か。さらに後進の育成に携わり広 く社会に貢献できるかが判定される。これまで技師教育はほとんど医師が行っていたが「技師による技師のため の教育を目指す」ことが最大の目的である。 *試験の感想 一次試験:レポート準備にかなり時間を要した。 二次試験:予想以上に出題数が多く時間配分を一番に考えること。 どの症例も興味深く、ルーチンで初めて見た症例を診断する感覚が味わえて楽しかった。 三次試験:実技で緊張しないこと。美しい画像にこだわりすぎないこと。 *私の受験勉強 普段関わっていない小児や血管エコーを重点的に行った。教科書には「心臓超音波テキスト」、「臨床心エコー 図学」 、 「心臓病診療プラクティス」、「臨床発達心臓病学」や当院のカンファレンス資料や「月刊心エコー」など を用いた。動画症例に関しては、幸いにも症例が豊富な当院では、専門医を囲んで毎週行われるカンファレンス で基礎の講義や症例について活発なディスカッションをしていることが非常に役に立った。今さら聞けないよう な疑問点に対しても専門医や機器メーカー技術者の方々に詳細に指導して頂いた。新技術は学会や講習会、文献 などを参考にした。さらに当院は受験生が複数いたので励まし合ったことも力になった。ただ、私自身は心エコー に長年関わった自分の実力試験として受験したため今になってこの重責を感じている。 *既に後輩を育成しているソノグラファーへ 目の前のハードルを飛ぶつもりで受験してはどうだろう。目的を持つと勉強はできる。今の知識と経験を次世 代に受け継ぎ、育成することは自分を見つめ直す良いチャンスである。 ― 100 ― ライブデモンストレーション 血管エコーを習得しよう! ガイドラインに沿った血管エコーの評価方法と手技 教育企画4 座長:西上 和宏 4月23日(土) 13:20 ~ 14:30 ライブデモンストレーション 血管エコーを習得しよう! ガイドラインに沿った血管エコーの評価方法と手技 座長:西上 和宏 協力:日立アロカメディカル株式会社 EP4-1 腎動脈狭窄症の超音波検査 竹本 和司 和歌山県立医科大学附属病院 循環器内科 腎動脈狭窄症(Renal artery Stenosis : RAS)は冠動脈疾患、頚動脈狭窄症、末梢動脈疾患と同様に主要な動 脈硬化疾患の1つで、原因として粥状硬化症(atherosclerotic renal artery stenosis : ARAS)、繊維筋性過形成、 大動脈解離、高安動脈炎、血栓塞栓症、膠原病などがある。他の動脈硬化性疾患と比較し特徴的な臓器虚血性症 状を有さないことから、未診断、未治療のまま放置されている可能性が高く、高血圧症患者で心エコー図検査の 依頼をされていても、 腎動脈狭窄の有無が診断されていない患者は多い。 腎動脈狭窄の画像診断法としては MRA、CTアンジオ、超音波検査が施行され、診断感度および特異度は同程度である。超音波検査は造影剤を使 用せず腎障害患者にも適用でき、多くの症例を対象とすることから臨床で幅広く活用することができる。超音波 検査はRAS診断の第一選択肢とされ、スクリーニング、診断において中心的役割を担うことができる。最近腎動 脈に対するステント留置術も徐々に増加しており、腎動脈狭窄症の診断から治療後の経過観察まで、超音波検査 は重要な役割を果たすことができる。検査では腎動脈基部の血流速度が重要であるが、患者によっては、他の部 位の観察が必要な場合もあり、病態の幅広い知識が必要とされる。腎動脈描出困難な場合は機械設定、探触子に よる圧迫が十分されていない場合が多い。今回は機械の設定方法や、超音波検査の限界、患者により観察部位を 変えること、血流速波形の読み方などを説明します。 ― 101 ― 教育企画4 4月23日(土) 13:20 ~ 14:30 ライブデモンストレーション 血管エコーを習得しよう! ガイドラインに沿った血管エコーの評価方法と手技 座長:西上 和宏 協力:日立アロカメディカル株式会社 EP4-2 より身近に下肢動脈エコー 森尾 のぞみ 天陽会中央病院 検査部 末梢動脈硬化性疾患(Peripheral vascular disease : PAD)は、心血管イベントや予後の予後因子であることが 明らかになってきました。そのため、冠動脈疾患を含めた全身の主要な動脈硬化性病変を診断・評価し、血行再 建を含めた治療の方針を決定することが重要となり、特に下肢動脈の診断・治療に関しては、国際的に標準化さ れたガイドラインTASCⅡ(Trans-Atlantic Inter-Society ConsensusⅡ)が発刊されました。 下肢動脈エコーは、TASCⅡの病変の狭窄程度・長さなどの形態評価のみならず、その血流波形の測定は優れた 機能評価として治療効果や重症度の評価に大いに役立っています。 また最近ではエコーガイド下による経皮経管的血管形成術(Percutaneous Trensluminal Angioplasty : PTA) が行われるようになり、術前・術後の治療の評価、また穿刺部の合併症などに、簡便かつ非侵襲的に評価可能な 下肢動脈エコーが重要な手段となってきました。 近年、Global Vascular Diseaseという言葉を耳にするようになり、心エコーにかかわる医師、技師も全身の血管 を扱うようになってきました。 下肢動脈エコーは、適した断面(画像)で形態評価を行い、適切な条件の下で血流波形を記録するなど、手技を 1つ1つ丁寧に積み重ねることが最終的な診断レベルを上げる鍵になります。 今回のライブデモンストレーションではモデルを使い基本的な下肢動脈の描出方法と血流測定方法を実践し、血 流波形の変化による評価についてお話します。 これから下肢動脈エコーを始めようと考えている方や、下肢動脈エコーが苦手だと感じている方が、明日から使 えるヒントになるよう努めます。 ― 102 ― 教育企画4 4月23日(土) 13:20 ~ 14:30 ライブデモンストレーション 血管エコーを習得しよう! ガイドラインに沿った血管エコーの評価方法と手技 座長:西上 和宏 協力:日立アロカメディカル株式会社 EP4-3 下肢静脈エコー 富田 文子 済生会熊本病院 中央検査部 日本超音波医学会から2008年に出された「下肢深部静脈血栓症の標準的超音波診断法」をもとに、下肢静脈エコー の評価方法と手技を解説したい。 表示法:画面表示は、短軸像の描出は足側から見たように、長軸像は画面向かって左側を静脈中枢側、右側を末 梢側とする。 超音波機器と検査条件: 3.5-5MHzのコンベックス型、3.5MHzのセクタ型、7-10MHzのリニア型プローブを使用。 血流速範囲は1020cm/s。血流を表示させる範囲を狭めに設定し、フレームレートを落とさない。 検査手技・診断基準: ガイドラインでは、血栓の部位診断を行うための検索手順は、大腿静脈系→膝窩静脈系→下腿静脈系→下大静 脈・腸骨静脈系とされている。ひらめ静脈は初めのうちは同定が難しい。視野を広く観察できるコンベックスプ ローブの併用や、体位の工夫により静脈を拡張させてから検査を行うと観察しやすい。 安静時に長軸短軸で内腔や壁の観察、血管径の呼吸変動の有無、静脈拡張の有無、血栓像の有無を調べる。血 管径の呼吸変動の欠如、血管径が並走する動脈より大きい場合などは血栓を疑い、次に行う圧迫法での静脈の非 圧縮性の観察は注意深く行う。圧迫しても静脈が完全につぶれない非圧縮所見は、直接血栓の存在を意味するこ ととなるため、静脈の圧迫は日頃から注意深く、しかし、確実に行う。血流誘発法には呼吸負荷法やミルキング 法がある。この2つが血栓の証明として行われることは少なくなったが、上手に活用したい。 血栓を認めた場合、血栓中枢端と末梢端から血栓範囲を特定する。特に中枢側断端の部位や血栓性状の観察は 重要となる。ライブデモでは症例もいくつか呈示できればと考えている。 ― 103 ― ワークステーションⅠ 4月21日(木) 13:10 ~ 13:50 協力:持田シーメンスメディカルシステム株式会社 3Dデータの使い方 講師:福田 祥大 大阪掖済会病院 循環器内科 現在、様々な心疾患の診断・治療方針の決定に心エコーは必須である。しかし、他の画像診断、たとえばCTや MRIの進歩は著しく、臨床における心エコーの役割は変わりつつある。この1つの原因として考えられることは、 通常行なわれている心エコーが2D評価であることである。一方、CTやMRIはすでに3D評価が臨床において行わ れている。心臓が3D構造を有するため、2D手法では、表示されている断面が心臓のどの部位に位置しているか 客観的に把握できず、他人と情報を正確に共有できない。 心エコー分野でも、リアルタイム経胸壁3D心エコーが登場して約10年が経つ。その間、この経胸壁3D心エコー の臨床的有用性が多くの研究で報告されている。しかし、従来の3D心エコーは手技が煩雑で解析に熟練を要し たため十分臨床応用されていなかった。近年、1心拍で心臓全体の3D情報を取得することができる新しいリアル タイム経胸壁3D心エコーが登場した。この装置を用いれば、簡単に3D心エコーを行うことができる。疾患・病 変箇所を3D表示することだけが、3D心エコーの有用性ではない。3D心エコーで心臓の3D情報を取得すれば、任 意の2D断面を切り出すことができる。3D情報から2D断面を切り出せば、当然その2D断面が心臓のどの部位に位 置しているか正確に把握できるため、弁膜症などで病態の把握・理解に有用である。また、左室容量や心駆出率 の正確な測定にも3Dエコーは有用である。 現在の3D心エコーは、時間・距離分解能が低いなど、まだ克服しなければならない点がある。しかし、CTや MRIと同様に、将来心エコーも3D評価を行う必要があると信じている。3Dデータの扱い方はすべての画像診断 に通じるものであり、今回その操作方法やコツ、その有用性につき述べたい。 SC2000に搭載された3D左室容量自動解析(eSie LVA) ≪陳旧姓心筋梗塞:下壁) ≫ ― 104 ― ワークステーションⅡ 4月22日(金) 15:45 ~ 16:25 協力:東芝メディカルシステムズ株式会社 2D、3D Speckle TrackingによるCRT評価の実際 講師:田中 秀和 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 心臓再同期療法(CRT)におけるnon-responderを見極めるために、QRS幅に代わる左室Dyssynchronyの評価 方法について盛んに論じられてきた。しかし、心エコー図法がより有用であるのではないかという流れの中で、 2008年に発表されたPROSPECT trialでは、tissue Doppler imaging法などの心エコー図による手法がCRTの responder予測には有用ではないという結果が報告された。このstudyを検討した結果、心エコー図による手法 は、 再現性に乏しく、 また確立された解析の仕方が存在しないという問題点も浮上してきた。 さらに、ASE Dyssynchrony Writing GroupはCRTの適応基準を満たす患者に対して、心エコー図によるDyssynchronyの評価 のみでCRTの適応を決めるのを推奨していない。 Speckle tracking法は2-D画像上で心筋のスペックルを追い続けることによって画面上の心筋を追従し続けるた め、Dopplerを用いずに局所心筋の評価ができる。そのためtissue Doppler imaging法とは異なり角度依存性がな いために、より詳細で正確な局所心筋機能の評価ができると期待されている。またstrainを用いると隣接する心 筋と心筋全体の動きに左右されないので、speckle tracking strain法は理論上Dyssynchronyなどの局所心筋機能 評価には有用であると期待されている。この2-D speckle tracking strainを用いたDyssynchronyの有用性は数多 く報告されており、現在あまり否定的な意見は聞かれていない。さらに、近年開発された3-D speckle tracking 法では従来の2-D speckle tracking法とは異なり、左室全16領域の局所心筋機能が同一心拍で同時に評価が可能 である。そのために、Dyssynchronyの評価が左室全領域で同時に可能であり、視覚的にもとらえ易く有用である。 本ワークステーションではspeckle tracking法によるDyssynchronyの評価方法のやり方と、これをどのように 臨床的に応用すべきかをデモンストレーションしたいと思う。 ― 105 ― ワークステーションⅢ 4月23日(土) 13:10 ~ 13:50 Ⅲ-1 協力:GEヘルスケア・ジャパン株式会社 2D・3Dデータセットをワークステーションで活用する ~GE製超音波画像解析装置EchoPAC PCを用いて 講師:種村 正 心臓血管研究所付属病院 臨床検査部 近年超音波検査は装置本体を用いた実際の検査だけでなく、データ管理、解析、レポーティング、更には院内ネッ トワークへ統合等、ITと連携した一体運用が重要となっている。 しかしながらその運用は従来から行ってきた、心エコー検査のʻスキャン~計測~計測結果の検証~レポートに よる結果の報告ʼという従来の心エコー検査のワークフローにおいて写真とレポートがデジタルになったという 点がほとんどである。 このような背景の中、超音波画像を解析するワークステーションが普及し、単に画像のレビューやルーチン計測 だけでなく、 取得した超音波画像のゲイン調整等の画像調整や各種計測、4D画像から詳細をチェックするとい う従来は超音波診断装置本体でのみ可能であったことが本体以外の場所で容易に可能となった。これらの機能を 駆使することで、検者は心エコー検査ではスキャンに集中してデータを収集し、時間のかかる計測、詳細確認な どはワークステーション上で行うことができるため、心エコー検査全体の効率が良くなりさらには患者様の負担 が少なくなっていくことが期待されている。 本セッションでは最新のEchoPAC PCを使用して2Dデータ解析 (Auto EF、ストレイン、AFI等) 、4Dデータ解析(多断面表示、容量計測、ストレイン等)を実際の症例デー タを用いてレビューを行います。 ワークステーションで何ができるのか、そしてそれが先生方にとって超音波検査の効率化の一助になり得るの か、実機を通じて理解を深めていただければ幸いです。 Ⅲ-2 協力:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 新型2Dマトリックスアレイトランスジューサを用いた新しいWorkflow 講師:竹内 正明 産業医科大学 第2内科学 この度市販を開始した新しい2Dマトリックスアレイトランスジューサは従来品に比べて小さくて軽い。 ルーチン心エコー用のトランスジューサとほぼ同じ大きさであるが、2Dと3Dの全てのモードの検査がトランス ジューサを持ち変える事無く施行可能である。取り回しの良く、Purewave採用の画質の向上したトランスジュー サで日常の検査を効率良く行えるようになった部分を実機を交えてお見せしたい。 ― 106 ― モーニングセミナー1 4月22日(金) 8:00 ~ 8:45 共催:アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社 座長:石井 正浩 MS1 CARTOを用いた先天性心臓病の3DCT画像の解析方法: 心エコーとのハイブリッド 牛ノ濱 大也 福岡市立こども病院・感染症センター 循環器科 【背景および目的】先天性心臓病(CHD)患者は、肺高血圧、低酸素血症、心不全などのため出生後早期に外科 的介入が必要なものが多く、手術方針の決定のため正確な形態の把握が必要となる。CARTOシステムによる心 血管の管腔側からの3次元像構築は、従来のマルチスライスCT(MDCT)の3次元像より、管腔側から画像をあ らゆる方向から簡便に立体視でき、CHDの診断治療に有益である。今回CHDの心エコー図に必要な構造情報を CARTO3D画像から理解していただくために本法の画像を提示する。 【方法】MDCTデータ(末梢静脈造影法;イオパミロン300, 2ml/kg,心電図同期、息こらえなし)をDICOM3形 式で記録し、 心臓電気生理学的検査装置CARTOTR XPシステム(Biosense Webster Inc) を用いて作成した 3D-CT像からclipping plane機能、transparency機能により見たい部位の心血管腔側から心内構造の立体視を試み、 心エコー図、術中所見と比較した。 【症例】提示する代表2例を示す。①1歳女児、体重10kg、心エコー法と心カテ法(心血管造影)による診断:正 常大血管関係の両大血管右室起始の肺動脈絞扼術後。3D像:遠位型VSDの形態と大血管の位置関係が立体的に 観察され、経VSDの左室流出路再建が可能と予想された。術中所見においてもVSD形態、周辺構造物の位置関 係ともに3D像所見と一致し、経VSD的左室流出路再建が可能であった。②2カ月男児、体重3.7kg、従来法のよ る診断:二次孔型ASD + 部分肺静脈還流異常(全右側肺静脈-SVC還流型)。右肺静脈のSVC開口部とASDの空 間的関係を心血管腔側から任意の方向で観察できた。術中所見も同等の評価であり、右心房自由壁に切開を加え 心房後壁をFlapとした静脈還流路を形成できた。 【考案】CARTOTRXPシステムを用いた心血管系の3次元描出は、心エコー法と心カテ法の所見に3次元的所見を 追加できる。基となるマルチスライスCTデータが得られれば、本システムを用いて臨床的に有用な3D画像が得 られ、手術シュミレーションなどに活用できる可能性がある。手術所見、心エコー図との対比、およびMDCT によるデータ収集法の改良などにより、画像の有用性を確認し、精度を向上させることが必要である。 ― 107 ― モーニングセミナー2 4月22日(金) 8:00 ~ 8:45 座長:山近 史郎 MS2 知っておきたい心臓腫瘍 長瀬 雅彦 市立旭川病院 中央検査科 心臓腫瘍の発生頻度は0.00017%~0.28%といわれており、そのうち約75%は良性腫瘍で約8割が粘液腫である。 外観は脆くゼラチン質に富んだものから皮膜を有するものまで様々な形態を呈し、茎が太くしっかりとした腫瘍 では栄養血管に富むことが多く、弁口などに陥入すると血流障害を起こし失神や突然死を招くこともある。一方、 茎が細くゼラチン質の強い例では栄養血管に乏しいが飛散すると左心では脳梗塞や心筋梗塞に、右心では肺塞栓 などを引き起こす可能性が示唆される。一般に粘液腫は女性に多く、好発部位は左房、右房、右室、左室の順で、 心房内では中隔に発生する頻度が高いが心房後壁や心室、弁輪などからも発生する。また、まれに同室多発例や 異室多発例もあり悪性では播種性の広がりを呈するため、 術中の到達法も含めてTEEでの精査は重要となる。 乳頭状線維弾性腫では約9割が弁より発生するが巨大化することは少なく、弁以外の場所で発生した場合には断 層上粘液腫との鑑別が問題となる。心原発悪性腫瘍は、転移性心臓腫瘍に比べて圧倒的に頻度が少なく、多くは 肉腫類や悪性リンパ腫で、血管肉腫は右房に好発し悪性リンパ腫も右心系に好発するが何処にでも発生する。肉 腫は発育が早く再発も多いため悪性度が高いとされているが、悪性リンパ腫では治療により消失する例があり超 音波での早期発見は意義が大きい。続発性心臓腫瘍は、肺癌など隣接臓器から心外膜への直接浸潤、白血病や悪 性リンパ腫などの心筋転移、極めて希であるが乳癌、子宮癌や甲状腺癌などの心腔内転移がある。その他にも肝 臓癌や腎癌などでは下大静脈から右房内へ浸潤を呈し、肺癌でも上大静脈内や肺動脈内への浸潤、肺静脈から左 房内への血管内浸潤を認めることがある。 特に注意が必要なのは心筋内への腫瘍浸潤で断層エコー上肥大心筋との鑑別が難しいこともあり、カラードプ ラ法で腫瘍部分の心筋血流を描出することやストレイン法での心筋評価は有用と考える。 【まとめ】心臓腫瘍は、心エコー検査で偶然発見されることが多く、心臓への発生パターンは心外膜性、心筋性、 心内膜性などにわけられる。また、特異的な発生部位のため良悪を問わず良性腫瘍でも基本的治療は外科手術と なることが多い。したがって、ルーチン検査で心臓腫瘍が発見された場合には腫瘍形態や範囲、心臓に近接した 腫瘍に関しては縦隔や食道の関与も視野に入れて多くの情報提供が望まれる。 ― 108 ― モーニングセミナー3 4月23日(土) 8:00 ~ 8:45 共催:日立アロカメディカル株式会社 座長:村田 和也 MS3 心エコーの計測についてもう一度考えてみよう -臨床に使える指標を的確に提供するには- 水上 尚子 鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部 心エコー検査では、ほかの部位の超音波検査に比べ計測する項目が多く、計測値を基にした評価が重要視されて いる。さらに最近では弁膜症や心機能評価など、定量的計測値による客観的評価が求められる指標がますます増 えている。そのため、検査時間が長くなり患者様に負担をかけたり、検査者が計測することに振り回されてしま うことも往々にしてありがちである。また、報告書内の数値データは臨床側に確実に伝わる反面、計測値がひと り歩きしてしまうと、検査者の意図しない情報が臨床側に伝わってしまう問題点もある。ここでは、検査室の重 要な課題である、精度の高い心エコーの計測について、臨床に役立つ的確な指標を提供するにはどのような点を 留意すればよいのか、下記項目について、当院での事例を提示しながら参加者とともに考え、心エコーの計測す る悩み解決の糸口を探ってみたい。 1.正確な計測手技と実際の計測精度について ◦断層像、Mモード計測 ◦時相の計測 2.圧較差の算出、ベルヌーイの式の功罪 ◦連続波ドプラ法による計測の難しさ ◦時相を考える ◦Pressure recoveryとは 3.計測した値を検証する ◦計測値の意味を考える ◦臨床像との対比 ◦計測に値する画像か 4.計測値の解釈に迷ったら ◦ほかの検査データとの検証 ◦臨床側との連携 ― 109 ― モーニングセミナー4 4月23日(土) 8:00 ~ 8:45 共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社 座長:木佐貫 彰 MS4 ショックにおける緊急エコー診断のポイント 岩倉 克臣 桜橋渡辺病院 心臓血管センター 心エコーには他の画像診断法にない機動性と迅速性があり、この利点はショックなど一刻も早い判断が必要な 場で最大限に発揮される。P10を始めとする小型で高い画質を持つ携帯型エコーにより、さらに迅速な診断が出 来るようになった。 緊急心エコーではまず心臓の動きを確認し、心原性ショックかどうかを判断することが大切である。非心原性 ショックでは壁運動は正常または過収縮を示す。下大静脈が呼吸によって血管が殆ど潰れる虚脱状態であれば急 性の出血などの循環血液量減少性のショックが考えられ、敗血症、アナフィラキシーなどでは下大静脈径や左房 径は保たれる。解離性大動脈瘤や動脈瘤破裂も心機能は正常でショックになる。心タンポナーデでは心嚢液の貯 留と共に右心系の縮小と下大静脈の拡大を認める。肺血栓塞栓症は右室の拡大や重度の三尖弁逆流が診断の手掛 かりとなる。 心原性ショックの最大の原因は心筋梗塞で、左室機能不全によることが最も多いが、右室梗塞、機械的合併症 も重要である。左室機能不全を生じる広範囲な梗塞としては、( 1)左主幹部梗塞、( 2)広範囲前壁梗塞、( 3)多枝 病変があり、エコーでは冠動脈支配領域を考慮した梗塞領域の拡がりを見るようにする。機械的合併症では、自 由壁破裂は心嚢液の貯留を認めることで診断され、心室中隔穿孔、乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全はカラー ドプラにより診断される。その他、劇症型心筋炎や重症拡張型心筋症などの心筋疾患や感染性心内膜炎の弁機能 不全なども心原性ショックの原因となる。図に診断のためのチャートを示すが、最新の携帯心エコーは診断のた めに十分な能力を持っており、その活躍が期待される。 ― 110 ― ランチョンセミナー1 4月21日(木) 12:10 ~ 13:00 共催:GEヘルスケア・ジャパン株式会社 座長:大木 崇 LS1 Comprehensive assessment of left ventricular morphology and function using 4D echocardiography Luigi P. Badano President of the European Association of Echocardiography; Department of Cardiac, Thoracic and Vascular Sciences, University of Padua, Italy “In the last decades the introduction and development of echocardiography allowed a significant improvement in the diagnosis as well as in the morphological and functional evaluation of several heart diseases, and today many therapeutic decisions are taken based on the results of the echocardiographic examination. One of the most important development in the field of echocardiography is three-dimensional imaging, which has evolved from the slow and labor-intense off-line reconstruction techniques to the faster and simpler real-time volumetric imaging, which has the potential to be integrated in routine clinical practice. One of the major proven advantages of real-time three-dimensional echocardiography is the evaluation of left ventricular volume, mass and function, which is achieved by eliminating the need for geometric modeling and the errors caused by foreshortened views. Recently, three dimensional assessment of left ventricular function has evolved from simple measurement of volumes and ejection fraction to the assessment of left ventricular geometry(i.e. mass and shape)and myocardial function with 4D speckle tracking assessment of myocardial strain in 3 dimensions (longitudinal, radial, circumferential and area strain)overcoming the limitations of 2D strain analysis. II will discuss the state-of-the-art and anticipate future developments of real-time three-dimensional echocardiography that are relevant to its application to the assessment of left ventricular geometry and function. ― 111 ― ランチョンセミナー2 4月21日(木) 12:10 ~ 13:00 共催:ファイザー株式会社 座長:水重 克文 LS2 循環器治療戦略におけるアルドステロン拮抗薬の役割 伊藤 浩 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 循環器内科学 メタボリックシンドローム、糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)など様々な病態でレニン-アンジオテン シン-アルドステロン(RAA)系が活性化しており、病態の進行に関与している。高血圧診療ガイドラインで もこれらの疾患が合併した高血圧の診療においてはRAA系阻害薬であるACE阻害薬やARBの使用が推奨されて いる。その中でアルドステロン拮抗薬の位置づけは未だ曖昧である。一般的にスピロノラクトンは利尿薬として の認識が強いため、ACE阻害薬、ARBに比べてその使用は限定的でもある。そして、アルドステロンは以下の 作用により病態の進行に中心的役割を果たすという事実も余り認識されていない。 1. 心筋間質、腎間質、血管壁の線維化 2. 腎におけるNa再吸収亢進、K、Mg排出増加、蛋白尿の誘発 3. 酸化ストレス増大 4. 中枢を介した血圧上昇 5. ACEの産生亢進およびアンジオテンシンⅡのⅠ型受容体数の増加 例えACE阻害薬、ARBあるいは両者を併用しても完全にアルドステロン活性を抑制することは困難である。 逆に慢性投与をしていると抑制されていたアルドステロンが再上昇することすらある(アルドステロン・プレイ クスルー)。アルドステロン拮抗薬はそのような病態の進行を抑制するのに有用である。 さらに、 心不全症例におけるアルドステロン拮抗薬の有用性も検討されている。 既にRALES、EPHESUSで ACE阻害薬・ARB・利尿薬やβ遮断薬を含む最適な内科治療を行っている収縮不全症例にアルドステロン拮抗 薬を加えることにより、生命予後が改善することが認められている。心不全の利尿薬としてフロセミドが用いら れることが多いが、生命予後の改善を考慮するとアルドステロン拮抗薬のより積極的な投与が考慮されるべきで ある。本セミナーでは循環器治療戦略におけるアルドステロン拮抗薬の意義をわかりやすく述べる予定である。 ― 112 ― ランチョンセミナー3 4月22日(金) 12:10 ~ 13:00 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社 座長:村田 和也 LS3-1 左室Dyssynchronyの評価における2-Dおよび3-D Speckle Tracking法の 有用性 田中 秀和 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学分野 はじめに 心臓再同期療法(CRT)のresponderを同定するために、心エコー図法を用いた左室Dyssynchronyの定量評価 が盛んに論じられていた。しかし2008年に発表されたPROSPECT trialの結果以来、tissue Doppler imaging法な どの従来有用とされていた手法が疑問視されたために、左室Dyssynchronyの評価法自体をもう一度原点に帰っ て見つめ直すことになった。 本ランチョンセミナーでは2-D speckle tracking法と、 近年新しく開発された3-D speckle tracking法がDyssynchronyの評価に有用であるか、またどのように臨床的に利用できるかを中心に話を 進めたいと思う。 2-D Speckle Tracking Strainを用いたDyssynchronyの定量評価 昨年、2-D speckle tracking strainがDyssynchronyの定量評価とCRTのresponderの予測に有用であるかどう かを検討した初の多施設共同研究であるSTAR study(the Speckle Tracking And Resynchronization study)の 1 。RadialとTransverse strainを用いた左室Dyssynchrony 結果が発表された(Toshiba Medical Corporation後援) の指標はCRT7ヶ月後の心エコー図によるresponderの予測と平均3.5年観察した長期の予後予測に有用であった が、CircumferentialとLongitudinal strainを用いた指標ではこれらの予測が不可能であった。さらにCRT前に有 意なRadialとTransverse Dyssynchronyがともに認められなければ、高率にadverse outcome eventが起こるこ とも証明された。この研究により、RadialとTransverse strainは2つの異なった断面から評価されるので、相補 的にDyssynchronyの評価が可能であり、2-D speckle tracking法が臨床的に有用である可能性が示唆された。 3-D Speckle Tracking Strainを用いたDyssynchronyの定量評価 Toshiba社製の超音波装置のAplio Artidaには3-D speckle tracking法の機能が搭載されている。3-D speckle tracking法では従来の2-D speckle tracking法とは異なり、左室全16領域の局所心筋機能が同一心拍で同時に評価 が可能である。そのために、Dyssynchronyの評価が左室全領域で同時に可能であり、視覚的にもとらえ易く有 用である。 近年3-D speckle tracking radial strainを用いた左室Dyssynchronyの指標は従来の2-D speckle tracking radial strainを用いた指標とよく相関することも証明されている2。3-D speckle tracking法を用いるもう 一つの利点は詳細な左室最遅延収縮部位の同定ができることである。CRT後のresponderを規定する因子の一つ に、左室リードの位置の問題がある。最も遅延して収縮している部位と左室リードの位置が一致している症例は CRT後の心機能の改善が良いという報告がある。 一般的には左脚ブロックを呈する心不全患者の最遅延収縮部 位は後側壁であると言われているが、3-D speckle tracking法を用いるとより詳細な最遅延収縮部位の同定が可 能であり、さらに個々の症例で異なることがわかってきた2, 3。 まとめ CRT後のresponderは必ずしもMechanical Dyssynchronyの有無だけで予測できる単純なものではないが、2-D speckle tracking法は従来の手法に比べて、Dyssynchronyを正確に評価できる可能性がある。また3-D speckle tracking法を用いることにより詳細な局所心筋の評価が可能になり、今後の更なる臨床応用が期待される。 参考文献 1. Tanaka H, et al. Dyssynchrony by speckle-tracking echocardiography and response to cardiac resynchronization therapy: results of the Speckle Tracking and Resynchronization(STAR)study. Eur Heart J. 2010;31:1690-1700. 2. Tanaka H, et al. Usefulness of three-dimensional speckle tracking strain to quantify dyssynchrony and the site of latest mechanical activation. Am J Cardiol . 2010;105:235-242. 3. Tanaka H, et al. Comparative mechanical activation mapping of RV pacing to LBBB by 2D and 3D speckle tracking and association with response to resynchronization therapy. JACC Cardiovasc Imaging. 2010;3:461-471. ― 113 ― ランチョンセミナー3 4月22日(金) 12:10 ~ 13:00 共催:東芝メディカルシステムズ株式会社 座長:村田 和也 LS3-2 3Dトラッキングの心筋虚血診断における展望 石津 智子 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床検査医学 心室は収縮期に心尖部に向かい短縮する。健常成人では僧帽弁輪移動距離は約15mmに及ぶ。2D心エコー断層法 では関心断面を左室組織が通り抜けてゆくthrough-plain現象が宿命である。2Dスペックルトラッキングは時々 刻々と変化してゆく関心平面の白黒パターンの中から、似通ったパターンを1フレームごとに見つけ出し追従す る方法であるため、高いフレームレートを必要とする。一方、3D心エコーのスペックルトラッキングでは、3次 元画像情報内のなかに追従したい領域が存在する。このため、2次元エコーよりも低いフレームレートでも安定 したトラッキング結果を得ることが出来る。 3Dスペックルトラッキングを虚血性心疾患の評価に用いると、局所壁運動異常の広がりを多断面短軸像やbull’s eye表示でしめすことが可能となる。また、局所心筋が長軸方向、円周方向、中心方向にどのように変形するか 一つの3次元データから比較することもできる。心内膜心筋線維は長軸に、中層は円周方向に走行している。心 筋虚血は心内膜側から心外膜側へとwave-frontが進むように障害が進行するため、長軸方向ストレインと円周方 向ストレイン障害領域の不一致は心筋虚血壁内進達度の情報を与えてくれる場合がある。 さらに、3Dトラッキ ングならではの指標である心内膜面area trackingは長軸方向ストレインや円周方向ストレインよりも安定した感 度の高い虚血指標となり得る。加えて、複雑な右室壁運動にも応用することで、従来困難であった右室梗塞の詳 細な把握が可能となる場合がある。さらに負荷エコーへの応用も大いに期待される。本セミナーでは虚血性心疾 患症例における3Dスペックルトラッキング画像を提示し、その活用法の展望に関して説明する予定である。 ― 114 ― ランチョンセミナー4 4月22日(金) 12:10 ~ 13:00 共催:日立アロカメディカル株式会社 座長:竹中 克 LS4 血管エコーと心エコーの密接な関係 −脚が痛くて歩けない60歳女性の話− 演者:松尾 汎 松尾クリニック、藤田保健衛生大学 ライブ:久保田 義則 国立循環器病研究センター 臨床検査部 水上 尚子 鹿児島大学医学部附属病院 臨床技術部 検査部門 心臓と血管とはお互いに密接な関係にあります。心臓だけを見ていても、血管だけを見ていても、いずれも失 敗する可能性が少なくありません。 本セミナーでは「脚が痛くて歩けない60歳女性」の話を軸に、講演と実機ライブを駆使して、心エコーと血管 エコーの密接な関係を学んでいただきます。 症例:60歳女性 脂質異常と糖尿病を有する60歳女性。一定距離を歩くと大腿からふくらはぎが痛み歩けなくなった。しばらく 休むと回復するが、また歩くと痛くなるので、心配になり病院を受診した。診察と検査の結果、閉塞性動脈硬化 症(ASO)による間欠性跛行(Fontaine 分類 Ⅱb度)と診断された。血管エコー検査で下肢の動脈病変を評価 したが、その際にTVF-Transit Vessel of Flow-によるポイント毎の血流通過時間により病変部の推定が可能 であり、検査時間の短縮につながった。 症状が進行し、安静時疼痛(Fontaine 分類Ⅲ度)のため寝たきりの日も多くなってきた頃、起立時に突然の 息切れ・胸痛を覚え、緊急受診となった。血液ガス酸素分圧が低下しており、肺塞栓の疑いで心エコー検査を行 い、右心負荷を確認した。さらに下肢静脈エコー検査では、下腿に新鮮血栓(DVT)を確認し、静脈血栓塞栓 症(VTE)と診断された。e-flowを用いると極めて低流速の血流信号も検知でき、下肢静脈の評価に有用であっ た。 入院中、トイレで意識障害を認め、脳梗塞が疑われたため、頸動脈エコー検査に加えて、経食道エコー検査に て、左心耳血栓や卵円孔開存(PFO)の有無および大動脈硬化性病変の評価も行った。結果、卵円孔を介した 奇異性塞栓が認められ、緊急手術となった。 まとめ 心エコー、血管エコー、経食道心エコー検査を有機的に組み合わせることにより、極めて有用な情報が得られ る。 ― 115 ― ランチョンセミナー5 4月23日(土) 12:10 ~ 13:00 共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 座長:羽田 勝征 LS5 Clinical Applications of Modern 3D Echocardiography 塩田 隆弘 Takahiro Shiota Department of Cardiovascular Medicine, Cedars-Sinai Medical Center; University of California, Los Angeles, USA 3D cardiac ultrasound is a promising imaging technology currently still in development. It can provide intuitive recognition of cardiac structures from any spatial point of view and present complete information about absolute heart chamber volumes and functions. In a patient with localized left ventricular(LV)wall motion abnormalities, conventional 2D methods could not be used for determining absolute LV volumes and ejection fraction(EF)because of its unpredictable asymmetric LV geometry. When the image quality is high with excellent time resolution, an analysis of localized wall motion by 3D echocardiography may reveal real efficacy of resynchronization therapy in patients. Geometry of right ventricular(RV)cavity is complicated and therefore RV function is often difficult to evaluate with conventional 2D echocardiography. For a long time 3D echocardiography has been considered to be ideal for RV evaluation. As of today, however, 3D echocardiography is still not used in clinical settings. Only specific cases benefit from recently developed real-time 3D echocardiography. In a patient with mitral valve prolapse/flail and severe mitral regurgitation, the location of the flail or prolapsed leaflet(medial, central and lateral)and its geometry are essential for determining etiology of mitral regurgitation and its corrections. Conventional 2D echocardiography requires multiple views of the mitral valve and mental reconstruction of the 3D image of the diseased structure. By using dedicated software, both the annulus geometry and the size of the valve prolapse can be analyzed quantitatively. In a patient with valvular regurgitation, color Doppler 3D capability, which has been recently introduced in real-time 3D systems, can provide 3D images of regurgitant flow jet and flow convergence. Congenital heart disease is another important field for clinical 3D echocardiography. The location and shape of patent foramen ovale, atrial septal defect and ventricular septal defect are hard to picture with conventional 2D echocardiography. Recent developments in real-time 3D transesophageal echocardiography have enabled stunning images of such defects, revealing exact location and shape in motion. A 3D image of cardiac masses such as myxoma, cyst, and fibroelastoma can also provide more detailed information than 2D echocardiography. The location of the attachment of a mobile mass is often better understood with 3D echocardiography. In summary, 3D echocardiography shows unique capabilities for clarifying complicated cardiac anatomies. Further development of 3D echocardiography with real-time color Doppler capability may result in widespread use of this method in routine clinical settings. ― 116 ― ランチョンセミナー6 4月23日(土) 12:10 ~ 13:00 共催:大塚製薬株式会社 座長:千田 彰一 LS6 新たなる心不全治療:水利尿薬の可能性を探る 川端 正明 兵庫医科大学 ささやま医療センター 循環器科 「ループ利尿薬が慢性心不全患者の予後を改善するか否か?」についてランダム化された臨床試験は皆無です。 にもかかわらず「エビデンスなきClass I drug」として、ループ利尿薬は心不全治療の中で不動の地位を保って います。なぜなら、心不全患者の大半は体液貯留による肺うっ血や末梢性浮腫といった症状を伴っており、症状 の迅速な改善にはループ利尿薬は必要不可欠な薬剤であるからです。さらに運動耐性を改善し心不全の基礎治療 薬であるβ遮断薬の使用を容易にすることから心不全患者の約8割に処方されています。しかし、最近ループ利 尿薬の使用が予後を悪化させていることを示唆する知見が蓄積されつつあります。ループ利尿薬により誘発され た神経体液性因子の過刺激を抑制するためにRAS抑制薬を併用することはもちろんのこと、 ループ利尿薬の使 用量自体をどのように減らすか?が心不全診療に求められています。 「サムスカ」は、非ペプチド性バソプレシンV2-受容体拮抗剤で、腎臓の集合管において、バソプレシン(抗 利尿ホルモン)のV2-受容体への結合を選択的に阻害する作用機序を持った治療薬です。水利尿薬という全く新 しいメカニズムを持つ「サムスカ」の利尿効果は驚愕に値します。その効果とともに、ループ利尿薬の使用量を どう減らすことができるか、あるいは、どのようにして予後改善へ向けられるかの方法論が求められています。 本ランチョンセミナーでは、世界に先駆け心不全を適応疾患として「サムスカ」を使用できるようになった本邦 において実臨床における本薬の可能性を明らかにしたいと思います。講演では、治験例はもちろん「real world」 での使用経験を、症例提示を中心に紹介します。急性期のみの短期使用、併用フロセミドの減量、外来での管理 方法、さらに注意を要する高ナトリウム血症の発症機序とその対策についても言及する予定です。 ― 117 ― イブニングセミナー 4月22日(金) 18:00 ~ 18:50 座長:山岸 正和 僧帽弁逆流にたいする弁形成術1000例の経験からみた手術適応時期 岡田 行功 神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科 僧帽弁逆流に対する外科治療の第一選択術式として僧帽弁形成術が位置づけられて久しい。僧帽弁置換術の成績 と比べて僧帽弁形成術の特徴は手術死亡が少なく、遠隔期の弁関連合併症も少ないことである。僧帽弁形成術の 目的は、1)僧帽弁機能の修復、2)左室機能の回復、3)弁関連合併症の回避、である。僧帽弁機能の修復に関 しては心エコー図検査の進歩により弁逆流のメカニズムと部位が診断できるので、これに対応した修復手技を用 いることにより90%以上に症例で再現性に高い形成術が可能となった。左室機能の回復に関しては、手術時期の 左室機能(LVEDD、LVESD、LVEF)に大きく左右される。ガイドラインではLVESD40mm、LVEF60%が手 術時期決定の指標となっている。弁逸脱症例の20%の症例で術前LVESD40mm以上、LVEF60%以下であったが、 遠隔期生存率に有意差は見られなかった。しかしながら遠隔期LVEFの回復をみるとLVESD36mmがカットオフ 値であり、高齢者の左室機能回復は不良であった。手術後の弁関連合併症の回避をみると、耐久性の優れた形成 術が行われて再手術が少ないことが前提であるが、心房細動が大きな要素である。心房細動による血栓塞栓、抗 凝固剤による出血、遠隔死亡が大きな問題である。心房細動に対するメイズ手術の効果はみられるが、手術環境 を簡潔にすることは合併症の回避からみて有用であろうと考える。 僧帽弁逆流に対する再現性と耐久性の優れた形成術の確率は高くなってきているので左室機能が温存され、心房 細動となる前の手術が望ましいと考える。 ― 118 ― 一般口演演題抄録 O-001 急性心筋梗塞例の発症90分以内早期再灌流は冠微小血管を保護する:冠動脈血流速波形からの検討 山室 淳、加地 修一郎、北井 豪、谷 知子、古川 裕 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科 (目的)AHA/ACCガイドラインにおいて、ST上昇型心筋梗塞例は発症90分以内早期再灌流を勧告している。しかしながら、早期再灌流成功 例でも冠微小循環障害から心筋内血流が保てず慢性期左室機能障害が報告されている。本研究は発症90分以内早期冠動脈インターベンション (PCI)から冠微小血管を保護できるか検討すること。(方法)対象はPCIが成功した初回の急性前壁心筋梗塞連続211例で、冠動脈血流速波形 はPCI直後にドプラガイドワイヤーを用い記録した。冠動脈血流速波形より収縮期最高血流速(cm/s, SPV)、拡張期減衰時間(ms, DDT)を 計測した。高度冠微小血管障害は冠動脈血流速波形が拡張期波deceleration time(DDT)≦600msで収縮早期逆流波を示すものと定義した。患 者は虚血時間から3群に分類した: <90 minutes(group 1)、90-180 minutes(group 2)、180 <minutes(group 3)。(結果)冠微小循環障害と 虚血時間との関係は、早期PCI成功で有意に高度冠微小血管障害の合併が減少した: 0/12( 0%); group 1、12/42( 29%); group 2、77/157 (49%); group 3。早期PCI成功後測定した冠動脈血流速波形は有意に早いSPV(22±11 vs. 2±24 vs. -6±25 cm/s, p<0.05)で延長したDDT (group 1 vs. group 2 vs. group 3; 806±122 vs. 638±213 vs. 542±252 ms, p<0.05)を示した。(総括)早期再灌流は冠微小血管を保護すること が明らかであり、特にST上昇型心筋梗塞の発症90分以内早期再灌流例は高度冠微小血管障害を合併しなかった。 O-002 経胸壁心エコーによる冠血流速予備能(CFVR)と心筋血流予備量比(FFR)の比較 和田 輝明、平田 久美子、北端 宏規、岩崎 実加、山田 香織、石橋 耕平、谷本 貴志、中西 浩子、猪野 靖、折居 誠、小向 賢一、 和田 希美、木村 桂三、水越 正人、今西 敏雄、赤阪 隆史 和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科 背景および目的:近年、冠動脈の機能的狭窄度を評価する方法として、圧ワイヤーを用いて測定する心筋血流予備量比(FFR)が用いられる ようになっており、冠動脈の治療適応の決定に用いられている。また、経胸壁ドプラ心エコーによる冠動脈速度予備能(CFVR)も、冠動脈 の狭窄診断に用いられる方法であるが、FFRとの比較検討はなされていない。 本研究の目的は、 経胸壁ドプラ心エコーにより求められた CFVRをFFRと比較し、冠動脈の機能的狭窄診断に対する有用性を評価することである。方法:狭心症の患者85例を対象に、カテーテル検査 24時間前に冠動脈左前下行枝のCFVR測定を行った。CFVRは安静時の冠動脈の血流速度を測定し、アデノシン3燐酸(ATP)の経静脈投与に よる最大冠拡張時血流速度との比を算出して求めた(GE横河メディカル社製Vivid 7 Dimension)。また、冠動脈造影時に、冠動脈に圧ワイヤー を挿入し、ATP投与時に測定した狭窄遠位部と近位部の平均冠内圧の比率をFFRとした。Receiver Operating Characteristic Curve(ROC 曲線) により、FFR0.75に対する、CFVRのカットオフ値を求め、その感度、特異度、正診率を求めた。結果:85例中、FFRは0.75以下は46例であった。 ROC曲線により求められたCFVRのカットオフ値は2.5であり、FFRにより求められた心筋虚血に対する感度、特異度、正診率は、それぞれ、 92%、56%、76%であった。結論:経胸壁心エコーによるCFVRは、FFRにより求められた有意狭窄を非侵襲的に評価しうる方法と考えられた。 O-003 2型糖尿病において全身加速ベッドを用いた受動運動が冠微小循環とインシュリン抵抗性に与える急性影響 河野 靖 1、福田 祥大 1、島田 健永 2、泉 康雄 3、中村 康浩 2、泉家 康宏 4、大塚 憲一郎 1、久保 知一郎 1、實正 哲 1、田口 晴之 1、 小川 久雄 4、葭山 稔 2、藤田 正俊 5、吉川 純一 6 1 4 大阪掖済会病院 循環器内科、2 大阪市立大学大学院 循環器病態内科学、3 大阪市立大学大学院 分子病態薬理学、 熊本大学大学院生命科学研究部 循環器病態学、5 京都大学医学部 人間健康科学科、6 西宮渡辺心臓血管センター 【背景】運動療法は糖尿病など慢性疾患の一次、二次予防に有用だが、運動に制限がある例では推奨される中等度強度の運動が困難である。受 動運動の1つである全身加速ベッド(WBPA)は、血管のshear stressを増大することにより血管内皮機能を改善する。【目的】2型糖尿病を対 象として、WBPAが冠微小循環とインスリン抵抗性に与える急性効果につき検討した。【方法】WBPAは長軸方向に140回/分の頻度で振動 する(図左)。WBPAを45分間行い、その前後に冠動脈左前行下枝(LAD)の血流を描出し(図右)、冠血流速予備能(CFVR)を測定した。 【結果】WBPAによってCFVRは2.5±0.6から2.9±0.7(p<0.05)に増加し、 血清インスリン値は27.4±15.5から21.7±16.3にHOMA-IRは12.3±7.8から 10.4±9.2にそれぞれ減少した(p<0.05)。20人中11例でLADに有意狭窄(≧ 50%) を認めたが、 これらの症例でもWBPAによりCFVRは改善した。 【まとめ】 糖尿病において、WBPAを用いた受動運動が冠微小循環とイン スリン抵抗性を改善する事が示された。 ― 121 ― O-004 Automated Functional Imaging法のラット心筋機能評価に対する有用性:虚血再灌流後adrenomedullin投 与モデルにおける検討 堂園 武史、増田 佳純、浅沼 俊彦、中谷 敏 大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座 【背景】Automated Functional Imaging(AFI)は心筋ストレインに基づいた左室心筋機能の俯瞰画像であるが、小動物における有用性は確立 されていない。ラットにおいてadrenomedullin(AM)の心筋保護効果の評価にAFIが有用であるか検討した。【方法】Wistarラットの左冠動 脈前下行枝を60分間結紮した後に再灌流させ、同時にAM( 3.0 μg/kg、AM群、n=6) または生理食塩水(コントロール群、n=6)を静脈内投与した。心エコー図検査を結紮前、 結紮時、再灌流1、3、7日後に実施し、左室心筋機能をAFIで評価するとともに全区画 のpeak systolic longitudinal strainの平均値からglobal longitudinal strain(GLS)を算出 し、 結紮前からの変化率(%GLS) を両群で比較した。【結果】AFIは低収縮領域の回 復過程を可視化するのに有用であった。%GLSは、コントロール群では再灌流7日でも 回復しなかったが、AM群では7日後において1日後に対し有意に改善した。【結語】 % GLSによりAMの心筋保護効果が示された。AFIはラット心筋機能評価に有用である。 O-005 陳旧性心筋梗塞症におけるV1誘導のP terminal forceの臨床的意義:心エコー・ドプラ法を用いた検討 山田 博胤 1、遠藤 桂輔 2、西尾 進 2、楠瀬 賢也 1、冨田 紀子 1、林 修司 1、玉井 利奈 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2、佐藤 光代 2、 竹谷 善雄 1、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】心電図の左房負荷所見が、左房容量負荷あるいは圧負荷のいずれを反映するのかについては議論がある。我々は、陳旧性心筋梗塞例に おいて、心電図V1誘導のP terminal forceと心エコー・ドプラ指標を比較し、本指標の臨床的意義を検討した。 【方法】対象は、心電図および心エコー検査を同日に施行した左室駆出率50%以下の陳旧性心筋梗塞165例である。標準12誘導心電図にてV1誘 導のP波陰性相の幅と振幅の積であるP terminal forceを算出し、心エコー・ドプラ法により左房径、左房容積係数、左室駆出率、左房容積、 拡張早期(E)および心房収縮期(A)僧帽弁口血流速波高、E/A、拡張早期僧帽弁輪運動速波高(e')、E/e'を計測した。 【結果】左房負荷群(P terminal force>0.04、n=54)と非左房負荷群(P terminal force≦0.04、n=114)の間で左房径に有意差は認めなかっ たが、左房負荷群の左房容積、左房容積指数は非左房負荷群より大であった。左房負荷群のE、E/A、e'、E/e'は非左房負荷群と比べて有意に 大であった。全例において左房径、左房容積はP terminal forceと有意な相関を認めなかったが、E/A、E/e'はP terminal forceと有意な正相関 を示した。P terminal forceを規定する心エコー指標は、EおよびE/Aであった。P terminal force>0.04をcut offとすると、感度74%、特異度 85%で左室拡張末期圧の上昇が予測できた。 【結語】左室駆出率の低下した陳旧性心筋梗塞において、心電図のP terminal forceは左房容量負荷よりも左房圧負荷を反映する。 O-006 Detection of Tissue Doppler Velocity and Speckle Tracking Strain Rate During Isovolumic Relaxation Time 岡野 智子 1、木村 公一 2、竹中 克 1、海老原 文 1、宇野 漢成 3、佐々木 賀津乃 1、千明 真弓 1、飯野 弘子 1、福田 延昭 1、安東 治郎 4、 藤田 英雄 2、森田 啓行 2、永井 良三 2、矢冨 裕 1 1 4 東京大学 医学部 附属病院 検査部、2 東京大学 医学部 附属病院 循環器内科、3 東京大学 医学部 附属病院 画像診断学/予防医学、 東京大学 医学部 附属病院 集中治療部 【背景】左室の能動的弛緩能評価に、等容性弛緩時間(IRT)あるいは拡張早期流入期における指標が使用される。近年、左室能動的弛緩の指 標としてIRT時相におけるtissue Doppler velocity(TD-IRT) やspeckle tracking strain rate(ST-IRT)の有用性が報告されているが、その臨床有用性は確立していない。 【目的】心不全患者におけるIRT波形の検出頻度の検討。 【方法】重症心不全患者55例の心エコー画像をEchoPacで解析した。心尖部四腔像と左 室短軸像の左室6 segmentにおけるTD-IRTおよび ST-IRTの検出頻度を検討した。 【結果】TD-IRTは左室短軸像: 51%、心尖部四腔像: 66%で検出され、ST-IRTはlongitudinal strain: 41%、transverse strain: 48%、circumferential strain: 46%、radial strain: 48% の検出頻度であった。検出されないsegmentでの波形は、波形識別が困難な場合と、S 波からE波になだらかに移行する場合(図)があった。 【考察】心不全患者におけるTD-IRTやST-IRTの検出頻度は約半数で、弛緩能指標とし ての臨床応用には工夫が必要と考えられた。 ― 122 ― O-007 糖尿病患者における心筋内微小循環障害は遠隔期の左室拡張障害と関連する 小林 淳 1、高野 真澄 1、渡部 朋幸 2、竹石 恭知 1 1 福島県立医科大学 循環器血液内科、2 医療生協わたり病院 内科循環器科 【目的】DM患者における心筋内微小循環障害が、遠隔期の左室拡張障害の発症に関係するか否か検討する。【方法】対象はII型DM患者12名(65 ±9歳)。登録時において、心エコー検査及びレボビスト持続静注による心筋コントラストエコーを安静時及びATPによる反応性充血期に施行 した。関心領域(心室中隔部)の心筋輝度から指数関数:y=A( 1-e-βt)を用いて心筋内血流速度βを算出し、安静時β値、反応性充血時 β値、 及びβ比(反応性充血時β/安静時β) を求めた。 遠隔期( 7.0±1.3年) の心エコー検査から左房拡大群(L群: 左房容積係数≧30ml/ m2、n=6)と非拡大群(N群、n=6)に分類し、β値、β比、登録時及び遠隔期の拡張能指標、糖尿病性合併症(糖尿病性腎症、糖尿病性末 梢神経障害、糖尿病性網膜症)の有無を比較検討した。また、全患者における登録時β値、β比と遠隔期拡張能指標との関連について検討した。 【結果】登録時において、L群はN群と比し安静時β値は有意に高値(0.75±0.3 vs 0.39±0.2, P<0.01)、β比は低値(1.1±0.4 vs 2.5±0.3, P<0.05) を示した。また糖尿病性合併症はL群で増加する傾向があった。遠隔期における左房容積係数は、登録時における安静時β値(R=0.82, P<0.001)、 β比(R=-0.61, P<0.01)及び年齢(R=0.81, P<0.001)と有意な相関を示した。多変量解析により、登録時における年齢とβ値は、遠隔期の 左房容積係数拡大を予測する独立した規定因子であった。【結語】DM患者では心筋内微小循環障害が遠隔期の左室拡張障害出現と密接に関連 する可能性が示唆された。 O-008 運動耐容能と左室充満圧指標の関係 高井 学 1、鈴木 健吾 1、水越 慶 3、上嶋 亮 2、黄 世捷 1、出雲 昌樹 1、下郷 卓史 1、林 明生 2、大宮 一人 1、三宅 良彦 1 1 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院、3 川崎市立多摩病院 【背景】個人の運動耐容能を示す最高酸素摂取量(Peak VO2)は左室充満圧の指標であるE/E'との相関が知られている。近年、左室流入血流 E波を左室長軸方向の拡張早期ストレインレート(global longitudinal diastolic strain rate: DSr)で除したE/DSrがE/E'よりも良好に左室充満 圧と相関することが報告された。今回、我々はPeak VO2とE/E'ならびにE/DSr の関係を検証した。【対象・方法】対象は拡張型心筋症患者56 名(男性48名、女性8名、平均年齢52.1歳、平均LVEF:35%)である。対象者全例に心肺運動負荷検査と下肢筋力測定を行い、Peak VO2と下肢 筋力を測定した。 心肺運動負荷検査より1週間以内に行われた心臓超音波検査では一般的な計測の他に、 収縮指標としてglobal longitudinal strain: GLS、拡張指標としてDSrを心尖部四腔像、二腔像、長軸像からoff line解析により求めた。【結果】Peak VO2とLVEFは従来の報告通り 有意な相関関係を認めなかった。Peak VO2とGLSとの関係はr=-0.32、p<0.05と有意ではあるが弱い相関関係であった。一方、左室充満圧の 指標であるE/E'とはr=-0.41、p<0.01と有意な負の相関関係を認め、さらにPeak VO2とE/DSrとの間にはr=-0.56、p<0.0001と強い負の相関 関係を認めた。 上記の心エコー指標に末梢骨格筋力を加えた多変量解析では末梢骨格筋力、E/DSrがPeak VO2の独立した規定因子であった (R=0.60)。【結論】従来の報告通り運動耐容能と左室充満圧との間には有意な関係を認めるが、E/E'よりもE/DSrがより運動耐容能の予測が可 能と考えられた。 O-009 左室弛緩障害症例における左室内渦動態の検討-Vector Flow Mappingを用いた評価- 寺上 貴子 1、林 研至 1、宮嶋 良康 1、森 三佳 2、大江 宏康 1、南部 裕子 1、高村 利治 1、高村 雅之 2、酒井 佳夫 1、和田 隆志 1、山岸 正和 2 1 金沢大学附属病院 検査部、2 金沢大学循環器内科 【背景】Vector Flow Mapping(VFM)は、ドプラ法を用いた流速ベクトル分布により左室内渦流を描出する新しい解析手法として注目されて いる。しかし、左室機能障害との関連性に関しては未だ不明な点が多い。今回、左室拡張能とVFMとの関連性に注目し、左室弛緩障害症例に おける左室内渦動態の解析を行いその有用性について検討した。【方法】対象は2010年3月から8月までの間に心エコー図検査が行われ、VFM 評価に同意した症例のうち、左室流入血流速波形で弛緩障害パターンを呈したAR群27例(男性16例、70±12歳)、左室流入波形および僧帽弁 輪移動速度が正常パターンを呈したN群11例(男性6例、47±21歳)とした。各心エコー図指標、心周期の各時相における左室内渦流の有無を 計測し、渦流の最大流量、最大流量の半値での面積(半値面積)、渦強度(最大流量/半値面積)を求め、両群で比較検討した。【結果】平均年 齢および左房径はAR群で有意に大であり(左房径:AR群40±4 vs. N群32±6, p<0.05)、左室拡張末期径(AR群48±4 vs. N群45±5)および 左室駆出率(AR群63±12 vs. N群69±8)は両群で同等であった。AR群の渦流の最大流量は、等容性収縮期で有意に大(AR群34.1±13.6 vs. N 群22.9±11.1)、急速流入期で有意に小(AR群19.6±9.1 vs. N群32.5±12)、心房収縮期で有意に大(AR群31±12.3 vs. N群18.9±13.4)であった。 一方、各時相における半値面積および渦強度は、両群でそれぞれ同等であった。【結論】左室弛緩障害パターンを呈する症例の拡張期および等 容性収縮期における渦流の最大流量は正常症例のそれと異なっており、左室弛緩障害の評価に有用と考えられる。 ― 123 ― O-010 植え込み型除細動器による心腔内除細動は心不全患者の心機能を低下させ、血行動態の回復を遅延させる 杜 徳尚 1、西井 伸洋 1、中村 一文 1、渡辺 修久 2、田辺 康治 2、麻植 浩樹 1、谷口 学 3、河野 晋久 1、森田 宏 1、草野 研吾 1、伊藤 浩 1 1 岡山大学 医学部 循環器内科、2 岡山大学病院 中央検査部、3 岡山大学病院 循環器疾患治療部 背景: 植え込み型除細動器(ICD)は不整脈による突然死を減少させるが、心不全症例では適切作動、不適切作動に関係なくICDショックその ものが心事故を増加させる。しかし、ICDショックが心機能および血行動態に与える影響について左室収縮能保持の有無で異なるかについて 検討した報告はない。方法: 左室駆出率(LVEF)45%未満の症例20人、LVEF45%以上の症例21人を対象とし、全例ICD植え込み時に心室細 動を誘発しICDによる除細動を行った。LVEFはmodified Simpson法で計測した。左室拡張能の指標である等容拡張期グローバルストレインレー ト(GSRIVR)は2Dスペックルトラッキング法を用い、心尖部3断面の平均値を求めた(EchoPAC PC(GE))。心エコー図での計測はICDショッ ク前、直後、5分後、4時間後で行った。中心動脈圧測定はICDショック前後で行った。結果: LVEFはICDショックによりLVEF保持群で全経 過を通じて変化を認めないものの(p=ns)、LVEF低下群では直後、5分後で低下し4時間後に回復していた(p<0.05)。GSRIVRは両群において 直後、5分後で低下し4時間後に回復していた(both p<0.05)。中心動脈圧がICDショック前の値に回復するまでの時間はLVEF低下群で有意に 延長していた(p<0.05)。結語: LVEFが低下した症例ではICDショックにより左室収縮能および拡張能が障害され、さらに中心動脈圧の回復 も遅延した。一方、LVEFが保持された症例では左室拡張能のみ障害され、中心動脈圧も速やかに回復した。 O-011 3Dスペックルトラッキング法による心筋虚血後残存する局所壁運動異常の評価についての検討 三角 千香 1、合田 亜希子 2、正木 充 2、大塚 美里 2、大江 良子 2、吉田 千佳子 2、中坊 亜由美 2、田中 益水 1、牧原 佐知子 1、西村 純子 1、 吉本 直喜 1、奥平 久美子 1、松永 桃子 1、川端 正明 2、飯島 尋子 1、増山 理 2 1 兵庫医科大学病院 超音波センター、2 兵庫医科大学 内科学循環器内科 【背景】2Dスペックルトラッキング法を用いて心筋局所のstrain・strain rateが測定可能となり臨床応用もすすんでいる。しかしこの手法は描 出した断面における解析であることから、心臓全体の動きは考慮されておらず理論的には本来の追従とはいえない。3Dスペックルトラッキン グ法はいくつかの課題はあるものの、本来の心内膜面のトラッキングを可能にした。一方、2Dトラッキング法による心筋虚血後の心筋局所動 態について、 虚血解除後24時間を経ても拡張の遅れが残存することが報告されている。【目的】3Dトラッキング法を用いて心筋虚血後残存す る局所壁運動異常の評価が可能かどうかについて検討すること。【方法】対象は虚血性心疾患で冠動脈形成術(PCI)を施行した10例(男性10例、 年齢71±10歳)。PCI前日とPCI後24時間以内の2Dスペックルトラッキング法 transverse strain値と3Dスペックルトラッキング法 area strain値 を求めた。大動脈弁閉鎖時から拡張期1/3のstrain値を引き、大動脈弁閉鎖時のstrain値で除したものをSI-DI値とし、それぞれPCIの前後で比較 検討した。【結果】2Dトラッキング法においてPCI後のSIDIは有意に低下した(-0.83±2.63 vs. 1.04±0.38, p<0.05)。3Dトラッキング法におい てもPCI後のSIDIは有意に低下し(0.01±0.27 vs. 0.34±0.26, p<0.05)、10例中7例で2Dトラッキングと3Dトラッキングの虚血残存の有無につい ての結果が一致した。【結語】3Dスペックルトラッキング法におけるarea strain値解析は心筋虚血後残存する局所壁運動異常の評価に有用な指 標となる可能性が示唆された。 O-012 短時間虚血再灌流後のpost-systolic shorteningによる虚血メモリーの評価:スペックルトラッキング法を用 いた心筋層別解析 櫻井 大輔、日置 彩那、岩崎 真梨子、増田 佳純、浅沼 俊彦、中谷 敏 大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座 【背景】心筋虚血の鋭敏な指標であるpost-systolic shortening(PSS)は、再灌流後にも残存すること(虚血メモリー)が報告されている。近年、 スペックルトラッキング法により、局所壁運動を心筋層別に評価できるようになったが、PSSの虚血メモリーを心内膜側、心外膜側に分離評 価した検討は行われていない。【方法】麻酔開胸犬13頭を対象とした。東芝社製Aplioを用いて、左前下行枝閉塞前、2分間閉塞時、再灌流10分、 20分、30分後の左室短軸画像を取得し、スペックルトラッキング法を用いて解析した。すべての指標は虚血領域における心内膜側と心外膜側 のcircumferential方向について算出した。収縮機能の指標として、収縮期最大ストレイン値εS、収縮末期ストレイン値εAVCを計測した。また、 PSSの指標としてpost-systolic index(PSI)と大動脈弁閉鎖からPSSのピークまでの時間Tpeakを算出した。【結果】εS、εAVCは、心内膜側、心 外膜側ともに閉塞時には低下したが、再灌流後すみやかに閉塞前の値に回復した。心内膜側では、閉塞時に出現したPSSは再灌流後にも持続 したため、PSIは、閉塞前と比べて再灌流20分後まで有意に上昇していた( 1.62±2.49 vs. 11.67±7.78、p<0.05)。Tpeakも同様に、再灌流20分後 まで有意に延長していた(0.51±0.07 vs. 0.58±0.05、p<0.05)。一方、心外膜側では閉鎖時にPSSが出現したが、再灌流後にPSI、Tpeakともに有 意な増加はみられなかった。【結語】スペックルトラッキング法を用いて、短時間虚血再灌流後にPSSは心外膜側に比べ心内膜側でより長く残 存することが確認された。 ― 124 ― O-013 Japanese Ultrasound Speckle Tracking Analysis in Left Ventricle: JUSTICE-第一報-予備的研究 瀧聞 浄宏 1、竹内 正明 2、中谷 敏 3 1 長野県立こども病院、2 産業医科大学第二内科、3 大阪大学医学部保健学科 【目的】JUSTICEは本邦健常人における年齢別、性別の2Dストレイン正常値を決定することを目的とした現在進行中の日本心エコー図学会主 導型多施設共同研究である。 【対象】二施設で得られた健常症例160例のデータのうち2Dストレイン解析が断面の半数以上の分節で以可能であっ た121例(男性65例、0-70才)。【方法】超音波装置はiE33、解析ソフトはQlabを使用した。傍胸骨短軸像心基部、乳頭筋、心尖部レベル、心尖 4腔、2腔、 長軸像計6断面の2D画像を収集。 スペックルトラッキング法による解析を行い、 短軸断面の各分節におけるradial strain(RS), circumferential strain(CS)、全分節の平均値であるglobal RS, CSを計測。心尖3断面からもlongitudinal strain(LS)を計測し、各分節のLS、 global LSを同様に求めた。【結果】全対象症例の平均global RSは34±10.4%、global CSは-21.1±3.6%, global LSは-18.6±2.8%であった。各 global strainと年齢との間に有意な相関関係は認められなかった。男女間でも各global strainに有意差は認めなかった。各分節間では、心基部 レベルの側壁領域のRSおよび心尖部レベル側壁から後壁のLSが他分節に比較して有意に大であった。【結語】今回の予備的研究結果からは左 室局所のストレイン値の分布に差が認められるものの、大きな年齢差、性別差は認められなかった。 O-014 加齢による左室変形と左室弛緩機能との関係 岡田 一範 1、三神 大世 2、加賀 早苗 3、小野塚 久夫 2、中鉢 雅大 3、西野 久雄 3、井上 真美子 3、横山 しのぶ 3、松野 一彦 3、岩野 弘幸 4、 山田 聡 4、筒井 裕之 4 1 4 北海道大学 大学院保健科学院、2 北海道大学 大学院保健科学研究院、3 北海道大学病院 検査・輸血部、 北海道大学 大学院医学研究科 循環病態内科学 【目的】加齢とともに左室弛緩機能は低下する。「S字状中隔」も代表的な心臓加齢現象で、実際には延長した大動脈と横隔膜に挟まれた左室全 体の変形である。この左室変形が左室弛緩にどう影響するかどうかを二次元スペックルトラッキング( 2DST)法で分析した。【方法】健常47 例において、大動脈心室中隔角(ASA)、経僧帽弁血流のE、A、E/A、DT、IRT、2DST法で拡張早期ピークグローバルストレインレート(G-Esr) と心室中隔と左室後壁の心基部・中部・心尖部、計6区域の拡張早期ピークストレインレート(Esr)を求めた。【結果】G-Esrは、年齢と有意 に相関したが(r=-0.52)、G-EsrはASAと、ASAは年齢とよりよく相関した(各々r=0.68, r=-0.67)。G-Esrを目的変数、年齢、体格指数(BMI)、 心拍数、左室拡張末期径、左室内径短縮率、左室心筋重量係数(LVMI)およびASA を説明変数とする重回帰分析では、ASA、BMIおよび LVMIが独立規定因子として選択された(p<0.001)。部位ごとにみると、心基部と中部のEsrは中隔、後壁ともASAと有意に相関しなかったが、 心尖部のEsrはASAと有意に相関した(中隔r=0.55, 後壁r=0.58)。G-EsrはEと有意に相関した(r=0.68, p<0.001)。【結論】健常人の加齢などに よる左室弛緩機能の低下には、大動脈と横隔膜に挟まれた左室の変形が関与する可能性がある。その機序として、横隔膜に直接圧迫される心 尖部心筋の弛緩障害の影響が考えられた。 O-015 肥大型心筋症における運動負荷時の心機能変化 水越 慶 1、鈴木 健吾 1、黄 世捷 1、田端 千里 2、菊池 秀和 2、宮内 元樹 2、高井 学 1、出雲 昌樹 1、明石 嘉浩 1、大宮 一人 1、三宅 良彦 1 1 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 臨床検査部 【背景・目的】肥大型心筋症(HCM)患者における運動負荷中の心機能変化に関し、一定の見解が得られていないのが現状である。今回我々 はHCM患者に対して、運動負荷心エコーを行い、運動負荷中の心機能変化を2D speckle tracking法を用いて検討することを目的とした。【方法】 対象はHCMの確定診断がされている20名の患者である。年齢、性別をマッチさせた健常ボランティア15名を対象群とした。半坐位エルゴメー ターにより症候限界性に運動負荷を行い、同時にGE社製Vivid E9により心エコーを実施した。検査終了後、Eco PAC PCによるオフライン解 析を行い、収縮指標としてglobal longitudinal strain(GLS)、global circumferential strain(GCS)、twist、拡張指標としてuntwisting rate(UR)、 global longitudinal diastolic strain rate(GLDSr)、global circumferential diastolic strain rate(GCDSr)をそれぞれ求めた。【結果】健常者群 においてはGLS、GCS、twist、URはいずれも運動負荷に伴い有意に亢進した。しかし、GLDSr、GCDSrの有意な亢進は認めなかった。HCM 群においては、運動負荷に伴うGLS、GCSの有意な上昇は認めなかったが、twistの有意な上昇を認めた( 17.8±1.5 vs 22.1±2.4)。一方、拡張 指標においては、GCDSr に有意な変化を認めなかったものの、UR、GLDSrの有意な上昇を認めた(UR: 77.6±13.2 vs 136.9±13.8、GLDSr: 0.54 ±0.09 vs 0.78±0.12)。【結論】HCM患者における運動負荷時の心機能変化を検討した。その結果、左室の捻れと“ほどけ”、左室長軸方向の拡 張は健常者よりも有意に亢進した。HCM患者において、これらの変化が運動負荷中に重要な役割を果たしていると考えられた。 ― 125 ― O-016 機能性僧帽弁逆流症が左室機能低下や僧帽弁輪拡大によるものでは無く、左室拡大によることが短期間で証明さ れた興味深い一例 大久保 輝男 1、宮本 敬史 2、大塚 伸子 1、油座 記子 1、神嶋 敏子 1、豊岡 郁子 1、石川 哲也 2、武藤 誠 2 1 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 生理検査室、2 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科 [症例]64才男性[既往歴]高血圧、慢性心房細動[主訴]労作時呼吸困難[現病歴]2009年11月に僧帽弁逆流症(MR)と心房細動(Af)によ る心不全で近医入院し利尿剤で軽快した。 心不全精査目的にて当院紹介となり、 心エコー上、EFは50%で左室拡張末期径(LVEDd) は 55mm、MRはMildであった。Afが存在していたが、脈拍はβブロッカーにて80-90台であったため、Rate controlとワーファリンにて経過観察 という方針になった。しかし2010年4/21起座呼吸のため当院へ緊急入院。心エコー上EF20%、LVEDdは67mmと拡大し、MRはTetheringのた めModerate-Severeへ増悪していた。Afリズムで脈拍は140台と頻脈であったため、Af頻脈による心不全と考え、経食道心エコーにて左心耳内 血栓無いことを確認後、 電気的除細動を施行して洞調律に復帰させた。 しかし翌日の心エコーではEFは50%台へ改善したもののLVEDdは 67mmと拡大したままで、MRはむしろSevereへ増悪した。一時僧帽弁形成術も検討されたが、アミオダロン、カルベジロールにて洞調律維持 と脈拍コントロールに努めた所、1週間後にはEF60%、LVEDdは58mmとReverse remodelingによるTetheringの改善でMRはほとんど消失した。 また、この間僧帽弁輪径に変化は認めなかった。[結語]機能性僧帽弁逆流症が左室機能低下や僧帽弁輪拡大によるものでは無く、左室拡大に よることが大であることが短期間で証明された興味深い症例であったので、文献的考察を加えて報告する。 O-017 収縮性心膜炎に類似した血行動態と心エコー図所見を呈した重症三尖弁閉鎖不全症の症例 安達 和子 1、吉冨 裕之 2、新田 江里 2、山口 一人 2、岡田 大司 1、中村 琢 1、伊藤 新平 1、和氣 正樹 1、伊藤 早希 1、小谷 暢啓 1、菅森 峰 1、 佐藤 正岳 1、高橋 伸幸 1、佐藤 秀俊 1、田邊 一明 1 1 島根大学医学部内科学講座第四、2 島根大学医学部附属病院検査部 重症三尖弁閉鎖不全症(TR)は、収縮性心膜炎(CP)と同様に右心不全の原因となり得るが、時に右室圧所見がdip and plateauなど、CP類 似の血行動態を示す場合があることが知られている。私達は、重症TRによりCPに類似した血行動態と心エコー図所見を呈した症例を経験し たので報告する。症例:66歳女性。開心術など特記すべき既往歴はない。下腿浮腫・息切れのため、当科入院となった。入院時、心房細動で あり、胸部X線やCTで心拡大を認めたが、心膜の肥厚・石灰化は認めなかった。心エコー図では、収縮期三尖弁離開による重症TRと右心系拡 大を認めたが、左室収縮能低下は認めなかった。Mモード法では、心室中隔と左室後壁の拡張早期の急峻な後方運動と拡張中期以降の平坦運動、 septal bounce、左室・右室流入血流速度波形でのE波のdeceleration timeの短縮とE波高の有意な呼吸性変動など、CPに特徴的な所見を認めた。 しかし、典型的なCPでみられる心膜癒着サインや右室の狭小化は認めなかった。心臓カテーテル検査では、両心室拡張期圧および両心房圧の 上昇と等圧化、右室圧波形のdip and plateau型を認めた。右房圧波形ではTRによるv波の増高を認めたが、CPに特徴的なW型ではなかった。 右心不全症状の原因が重症TRであると考え、三尖弁形成術を施行したが、術中、心膜の癒着・肥厚・石灰化などのCPの所見は認めなかった。 術後の心エコー図では、術前のCP様所見は消失した。この症例を含む、同様の病態を呈した4症例をまとめるとともに、重症TRがCP類似の血 行動態となる成因とその鑑別法について検討する。 O-018 可逆的「逆たこつぼ型」壁運動異常を認めた褐色細胞腫の3例 佐藤 寛大 1、太田 哲郎 1、広江 貴美子 2、角 瑞穂 2、岡田 清治 1、村上 林児 2、田邊 一明 3 1 松江市立病院 循環器内科、2 松江市立病院 中央検査科、3 島根大学 医学部 内科学講座第四 可逆的逆たこつぼ型壁運動異常を認めた褐色細胞腫の3例を経験したので報告する。症例1は42歳男性、主訴は心窩部痛。心エコー図検査では 逆たこつぼ型の壁運動異常を認めEFは20%であった。ショック状態となり呼吸循環管理が困難であったためPCPS、IABPを挿入し全身管理を 行った。1ヶ月の心エコー図検査では逆たこつぼ型壁運動異常は全体的な壁運動低下となりEFは40%に改善、2ヶ月後に副腎摘出術を行いその 後EFは53%に改善した。症例2は55歳男性、主訴は心窩部痛。心エコー図検査では逆たこつぼ型の壁運動異常を認めEFは32%であった。全身 管理を行い、1週間後の心エコー図では、逆たこつぼ型壁運動異常は改善しEFは50%であった。症例3は39歳男性、上部消化管内視鏡検査中に 突然頻脈、呼吸苦が出現し当院へ搬送された。心エコー図検査では逆たこつぼ型の壁運動異常を認めEFは19%であった。全身管理を行い1ヶ 月後の心エコー図検査では逆たこつぼ型の壁運動異常は改善しEF 60%であった。これらの3症例は急性の肺水腫と循環不全を示し、急性期に 心室基部から心室中部に無収縮、心尖部に正常から過収縮を示す逆たこつぼ型の壁運動異常を認め、経過中に全体的な壁運動低下となり、そ の後さらにEFが改善する傾向が認められた。褐色細胞腫では逆たこつぼ型壁運動を示す症例があることに留意して心尖部の十分な観察が必要 である。 ― 126 ― O-019 鈍的心筋損傷に対して心臓超音波検査、心臓MRI検査が有用であり、その経時的変化を観察し得た症例 高田 佳代子 1、岩瀬 正嗣 2、河合 朋子 1、伊藤 義浩 1、坂口 英林 1、椎野 憲二 1、杉本 恵子 2 1 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科学、2 藤田保健衛生大学 医療科学部 症例は28歳男性。2010年4月7日、トラックとトラックとの間に数秒間挟まれた。自力で脱出したが胸痛を訴え、同日当院ERへ救急搬送となる。 採血上はCPK 1065 IU/l(CK-MB 92.3ng/ml)、ミオグロビン659ng/ml、心筋トロポニンI 16.86g/l。心臓超音波検査にて、乳頭筋より心尖部 側に楔状に心筋壁欠損を認め、左室心尖部の心筋断裂および乳頭筋断裂が疑われ、心臓外科へ入院となった。特に下後壁で心筋断裂は著明で、 最も菲薄化している部分で、 壁厚は2-3mm程度であった。 また心外膜側に断続的なエコー増強を認め、 心膜の挫傷が疑われた。 肉眼的 LVEF=55-60%, MR 0.5/4°程度であり、 外科的手術は必要なく、 循環器内科へ転科となった。 第15病日、 第45日病日に超音波検査や心臓 MRIのフォローアップし、その心筋の経時的変化などを観察した。第15病日の楔状欠損部分は多少改善し、断続的なエコーの増強もほぼ消失 した。第45日目には欠損部分はさらに改善した。 胸部外傷の原因は、日本では交通事故、労災事故、墜落などによる鈍的外傷が70~80%と多く、刃物や銃器などによる鋭的外傷は少ない。そ のうち心臓損傷の占める割合は10%であり、そのなかでは心筋挫傷が最も多い。心タンポナーデや中隔穿孔、乳頭筋、腱索の断裂、致死性不 整脈をきたし、予後としては、心臓外傷全体では救命率48%、DOA(dead on arrival)を除くと65%といわれている。今回我々は鈍的外傷に よる心筋損傷を経験し、心臓超音波検査、心臓MRIにて確定診断に至り、その経時的変化を観察し得た生存症例を経験したので、報告する。 O-020 左室、左心耳、右房内に血栓を認めた低左心機能の一例 緒方 啓人、大倉 宏之、比嘉 冨貴、鎌田 康彦、福原 健三、鼠尾 晋太郎、斉藤 顕、今井 孝一郎、川元 隆弘、林田 晃寛、根石 陽二、 吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 症例は70歳代男性。主訴は呼吸困難。平成22年10月下旬頃より呼吸困難が出現したため、当院を受診した。受診時の心電図は心房細動で、経 胸壁心エコー図検査にてびまん性の左室壁運動低下(EF=17.9%)を認め、特に心尖部は無収縮であった。左室心尖部と右房に壁在血栓を指摘 されたため精査加療目的で入院となった。入院後に利尿剤等による心不全の治療及び抗凝固療法を開始したところ、第4病日目の心エコー図検 査にて左室心尖部の血栓に可動性が生じた。塞栓の危険性があると判断し緊急手術となった。術中 の経食道心エコー図検査で左心耳にも血栓を認め、左室、右房、左心耳の血栓をすべて摘出した。【考 察】本例は低左心機能により左室内に、心房細動により左心耳にそれぞれ血栓を生じたものと考え られたが、右房内血栓は比較的稀であり、血流うっ滞だけでなく、凝固異常や内皮機能障害等が関 与していた可能性が推測された。 O-021 左室中部閉塞肥大型心筋症に合併した心尖部血栓の1例 鈴木 さやか 1、鈴木 健吾 2、宮内 元樹 3、大津 理恵 3、田端 千里 3、田中 逸 1 1 聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科、2 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、3 聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター 症例は39歳男性。平成22年7月14日、めまい・ふらつきを主訴に当院来院した。既往歴、家族歴に特記事項は認めなかった。来院時の心電図に て非持続性心室頻拍を認め、器質的心病変の精査目的で当院超音波センターにて心臓超音波検査を施行した。心尖部アプローチにおいて左室 中部の限局する壁肥厚を認め、左室中部閉塞型心筋症が疑われた。さらに心尖部の壁運動は無収縮を 呈し、同部に可動性を伴う心尖部血栓を認めたため、速やかに抗凝固療法を施行した。超音波検査と 同時期に施行された心臓MRIでは心尖部領域を中心に遅延造影が観察され、 心臓超音波検査の3D speckle tracking echoにおいても心尖部領域のstrainの低下を認めた。血栓消失後に心臓電気生理検 査を施行。心室頻拍・心室細動が誘発され、経カテーテル的心筋焼灼術ならびに植え込み型除細動器 を留置した。左室中部閉塞肥大型心筋症に合併した心尖部血栓の一例であり考察を加えて報告する。 ― 127 ― O-022 “Bileaflet Optimization” in Repairing Functional Mitral Regurgitation: Diastolic configuration of mitral leaflet 尾長谷 喜久子 1、米田 正始 2、斎藤 顕 1、小山 裕 2、深谷 俊介 2、北村 英樹 2、林田 晃寛 1、大倉 宏之 1、種本 和雄 3、吉田 清 1 1 川崎医科大学 循環器内科、2 名古屋ハートセンター 心臓血管外科、3 川崎医科大学 心臓血管外科 Background: Several surgical techniques for functional MR have been reported. However, residual MR and functional mitral stenosis(MS) remain unsolved problems. To overcome these, a novel technique “bileaflet optimization” has been developed. Methods: In 6 patients with functional MR who underwent “bileaflet optimization”(Group 1)and 5 who underwent sling operation (Group 2),postoperative angle between the annular plane and both anterior and posterior leaflet in diastole was measured(Figure).Results: Anterior leaflet angle was significantly greater and posterior leaflet angle was smaller in Group 1 than Group 2. Direction of LV inflow was more physiological in Group 1, while it deviated to the posterior wall side in Group 2. Conclusion: “Bileaflet optimization“ may effective to preserve physiological LV inflow and prevent postoperative functional MS in patients with functional MR. O-023 外科的弁輪縫縮術後の虚血性僧帽弁逆流の前方へのjetはより高度である 桑原 栄嗣 1、塩田 隆弘 2、尾辻 豊 3、上野 哲哉 1、水上 尚子 1、窪田 佳代子 1、河野 美穂子 1、植屋 奈美 1、堀添 善尚 1、茶園 秀人 1、 高崎 州亜 1、湯浅 敏典 1、木佐貫 彰 1、鄭 忠和 1 1 鹿児島大学病院、2 シーダースサイナイ病院、3 産業医科大学 【背景】虚血性僧帽弁逆流(MR)の逆流jetは左房中央ないし後方へ向かう。【仮説】弁輪縫縮術(MAP)後には、後尖tetheringは増強し、前 尖は相対的に逸脱し、後尖に平行かつ前方へのMR jetが出現しうる。【目的】MAP前および後の弁尖形態と逆流jet方向とMR重症度との関連 の検討。【方法】MAP未施行の虚血性MR32例とMAP後の虚血性MR残 存10例において、弁尖tethering(α1およびα2)とMR jet方向(θ)を 検討。【結果】1)MAP(-) 群に比べMAP(+) 群は、 前尖tethering は同程度であったが、後尖tetheringは高度で(α2: 57 ± 9 vs. 111 ± 13 度, p<0.0001)、相対的前尖逸脱を呈した。2)MAP(+)群ではMAP(-) 群と比べて、jet方向はより前方へ向かい(θ: 64 ± 10 vs. 85 ± 9 度, p <0.05)、MRは高度で(r2=0.61, p<0.005)、後尖tetheringの増強と関連 【結語】虚血性MRに対するMAP後において、 があった(r2=0.45, p<0.05)。 後尖tetheringは増強し、前方へのjetはより高度である。 O-024 僧帽弁逸脱における経胸壁心エコー図の診断精度-特に交連逸脱に着目して- 磯谷 彰宏、有田 武史、梅田 ひろみ、酒井 孝裕、横井 宏佳、岩淵 正志、延吉 正清 社会保険 小倉記念病院 【背景】 僧帽弁逸脱の外科的治療に当たっては、逸脱部位の正確な診断は非常に重要である。 【方法と結果】 術前経胸壁心エコー図検査による逸脱部位の診断精度を、 術中所見をゴールドスタン ダードとして評価した。 僧帽弁逸脱による重症僧帽弁閉鎖不全症で手術を施行した連 続102症例( 141部位、平均60.0±13.7才、男性66人)を対象とした。Carpentier分類に 基づいて僧帽弁を8領域に分類し、 前尖をA1、A2、A3、 後尖をP1、P2、P3、 前交連 をC1、後交連をC2 とした。単独逸脱は68人(67%)、複数同時逸脱 34人(33%)であっ た。全141部位の内、C1逸脱は 7.8%、C2逸脱は13.5%を占めた。各々の部位の診断精度 の詳細を表に示す。 全体の診断精度は88.6%であった。C1・C2 では特に感度が低く、 C2 では陽性反応的中率も低値であった。 【結論】 全体の診断精度は高かった。 交連逸脱は全体の21.3%と無視できない割合を占めるが、 経胸壁心エコー図での診断精度は決して十分なものではなかった。 ― 128 ― O-025 運動誘発性僧帽弁逆流に関与する左室形態変化および左室wall stressの検討 エルゴメータ負荷心エコー法を 用いて 山本 昌良 1、石津 智子 1、腰塚 留美 3、谷中 里美 2、菅野 昭憲 1、渥美 安紀子 1、針村 佳江 1、川村 龍 1、中島 英樹 2、飯田 典子 2、 酒巻 文子 2、瀬尾 由広 1、青沼 和隆 1 1 筑波大学 循環器内科、2 筑波大学附属病院 検査部、3 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 【目的】運動誘発性僧帽弁逆流(Exercise-Indeuced MR)に関与する因子を明らかとする。【方法】対象は当院にて臥位エルゴメータ負荷心エコー 図検査を施行された慢性心不全の連続11症例。MRの重症度を逆流ジェット最大面積/左房面積(%)にて評価し、最大負荷時逆流面積分画(Peak %MR area)-安静時逆流面積分画(baseline %MR area)を逆流面積分画変化率(delta %MR area)として左室および僧帽弁形態指標、左室 収縮末期wall stressとの関連性を検討した。【結果】delta %MR areaは安静時左室収縮末期wall stress(r=0.709, P=0.015)、 負荷時僧帽弁 tethering area(r=0.612, P=0.045)と正の相関を示し、安静時および負荷時左室駆出分画(r=-0.692, P=0.018 and r=-0.668, P=0.027)、負荷 時左室収縮末期sphericity index(r=-0.623, P=0.04)と負の相関を示した。一方、安静時逆流面積分画(r=0.546, P=0.076)、安静時左室収縮 末期sphericity index(r=-0.565, P=0.07)、安静時僧帽弁tethering area(r=0.521, P=0.09)とは有意な関連性を認めなかった。【結論】運動誘 発性僧帽弁逆流は安静時より左室wall stressの亢進を伴う左室収縮不全心において認められ、その機序として運動負荷に対する左室球状化と 僧帽弁tetheringの増強との関連性が示唆された。 O-026 左心耳血栓形成における左心耳突撃型僧帽弁閉鎖不全症の意義 二宮 信雄 1、土手 慶五 2、加藤 雅也 2、佐々木 正太 2、中野 良規 2、香川 英介 2、梶川 正人 2、東 昭史 2、板倉 希帆 2、大谷 佳子 1 1 広島市立安佐市民病院 臨床検査部、2 広島市立安佐市民病院 循環器内科 【背景】心房細動、心不全、および弁膜症症例において、重篤な塞栓症となりうる左心耳血栓を発見、除去することは重要である。左心耳血栓 の形成は左心耳内血流のうっ滞がその主因である。【目的】左心耳へ向かって吹く僧帽弁閉鎖不全症(左心耳突撃型MR)を伴う場合では、左 心耳血栓が形成されにくいという仮説を検討する。【方法】経食道心エコーを施行した593例を検討した。左心耳血栓の有無、および僧帽弁閉 鎖不全症(MR)を伴う症例においてはMRジェットの吹く方向について検討した。MRジェットが左心耳に向かう群(左心耳突撃型MR群)と MR無しも含めた左心耳突撃型MR以外の群(その他の群)とに分類した。【結果】左心耳血栓を78例( 13.2%)に認めた。左心耳突撃型MR群 は17例であった。左心耳突撃型MR群 64±8歳 vs その他の群 69±10歳と、左心耳突撃型MR群で有意に若年であった(P=0.04)。左心耳突撃型 MR群は男性12例( 70.6%)vs その他の群は男性259例( 70.7%)と有意差を認めなかった(P=0.99)。CHADS2スコアは両群間に有意差を認め なかったが、左心耳血栓の有病率は左心耳突撃型MR群0例( 0%)vs 一過性および慢性心房細動症群72例( 19.67%)と、左心耳突撃型MR群 で有意に低かった(P=0.04)。【結論】左心耳突撃型MRを伴う症例においては、左心耳血栓が形成されにくいことが示唆された。この結果は、 左心耳に突撃するMRジェットにより左心耳内血流のうっ滞が起こりにくくなるためと考える。僧帽弁閉鎖不全症を考慮に入れた血栓リスク評 価が、血栓塞栓予防の一助となる可能性がある。 O-027 日本人における心血管イベント予測因子としての左房容積の有用性に関する検討 辻本 悟史、宮坂 陽子、土手 絹子、前羽 宏史、岩坂 壽二 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科 【背景】日本人のコホートにおいて、左房容積と心血管イベントの関連を前向きに検 討した報告は少ない。【方法】対象は臨床的適応で経胸壁心エコー検査を施行した成 人患者で、 心血管イベント発症の有無を前向きに調査した。 心血管イベントは Framinghamの定義を使用した。 多変量Cox比例ハザードモデルにより心血管イベ ントの独立した予測因子を検討した。【結果】対象患者1,171例(平均年齢 61±15歳、 男性 51%、平均左房容積係数 33±12ml/m2、高血圧 48%、糖尿病 17%、慢性腎臓 病 31%)のうち、平均観察期間 20±14ヶ月で43例( 4%)に心血管イベントが発症 した。 多変量Cox比例ハザード解析で、 左房サイズの拡大は心血管イベントの独立 した危険因子であった(ハザード比=1.4、95%CI=1.2-1.7、P<0.0001)。 左房容積 別のKaplan-Meier曲線を図に示す。【結語】 日本人患者において従来の動脈硬化の 危険因子に加え、左房容積は心血管イベントの独立した危険因子として予後予測に 有用な指標であると考えられた。 ― 129 ― O-028 Elevated plasma von Willebrand factor(vWF)level predicts LAA dysfunction in patients with cardioembolic stroke 和根崎 真大、渡邉 哲、西山 悟史、田村 晴俊、佐々木 真太郎、久保田 功 山形大学 医学部 内科学第一講座 It was reported that increased plasma von Willebrand factor(vWF)level predicts the presence of left atrial appendage(LAA)thrombus in non-valvular atrial fibrillation. However, it remains determined whether increased vWF level is associated with LAA thrombus in patients with acute ischemic stroke. Transthoracic and transesophageal echocardiography were performed and plasma vWF levels were measured in 202 patients(age 70 ± 13 years)within 7 days after the onset of acute ischemic stroke. Plasma vWF levels were significantly correlated with LAA emptying flow velocity(LAA eV),LA volume index(LAVI),and LAEF(LAAeV, r=0.62, p<0.01; LAVI, r=0.76, p<0.01; LAEF, r=0.37, p<0.01).Plasma vWF levels were higher in patients with cardioembolic stroke, compared to those without( 222% vs. 190%, p<0.05).Among patients with cardioembolic stroke, plasma vWF levels were significantly higher in patients with cardiogenic stroke than in those with cryptogenic stroke( 237% vs. 140%, p<0.01).Multivariate logistic regression analysis showed that plasma vWF >178 % was an independent predictor of cardiogenic stroke(odds ratio 9.85, 95% confidence interval 2.02-77.0; p<0.01).Elevated plasma vWF levels may be a reliable surrogate marker for LAA dysfunction and cardiogenic stroke. O-029 心房細動アブレーション再治療後洞調律維持の予測因子 佐々木 健人、山下 栄治、熊谷 浩司、内藤 滋人、星崎 洋、大島 茂 群馬県立心臓血管センター 循環器内科 背景: 心房細動アブレーション後、洞調律が維持されている症例では左心房サイズの縮小(左心房の逆リモデリング)が得られると報告されて いる。アブレーション後再発症例においても左心房の逆リモデリングを呈する症例を経験するが、左心房の逆リモデリングと再アブレーショ ン後の洞調律維持との関係は明らかではない。方法:心房細動アブレーション再治療を行った患者50名(男性38名、女性12名、平均年齢61±9 歳)を対象とし、患者背景および初回治療及び再治療時の経胸壁・経食道心エコーのデータを比較検討した。再治療後心房細動の再発をエン ドポイントとし1年間追跡調査を行った。(初回治療時の左房容積-再治療時の左房容積)/初回治療時の左房容積を%ΔLAESVと定義し左心房 の逆リモデリングの評価に使用した。結果:33名(66%)で洞調律を維持し(洞調律群)、17名(34%)で心房細動の再発を認めた(再発群)。 患者背景は2群間に有意差を認めなかった。洞調律群は再発群に比べ高い%ΔLA-RRを示した (14.0±28.3 vs. -5.0±26.1, P<0.05) 。ROC曲線では、 %ΔLAESV=10%にて洞調律維持の感度81.3%, 特異度63.6%、AUC 0.71であった(P<0.01)。%ΔLAESV ≧10%の患者群では%ΔLAESV<10% の患者群と比較し高い割合で洞調律を維持していた(Kaplan-Meier曲線87% vs. 46%, Logrank test P<0.01)。Cox比例ハザードモデルの解析 では%ΔLAESV ≧10%は洞調律の独立した予測因子であった(hazard ratio 9.60, 95%信頼区間は1.27 to 72.6, p = 0.009)。結論: 初回治療後の 左心房逆リモデリングは再治療後洞調律維持の予測因子である。 O-030 CHA2DS2-VASc Score Refines Risk Stratification for Left Atrial Thrombus Prior to Left Atrial Ablation 山下 英治 1、佐々木 健人 1、塚田 直史 1、戸出 浩之 2、岡庭 裕貴 2、かせ野 健一 1、熊谷 浩司 1、内藤 滋人 1、星崎 洋 1、大島 茂 1 1 群馬県立心臓血管センター 循環器内科、2 群馬県立心臓血管センター 生理機能検査課 Background:Presence of left atrial(LA)thrombus is contraindication of LA ablation for AF. However CHADS2 score is used for risk stratification of the thromboembolisms in AF patients, it is not always sufficient to determine the indication of transesophageal echocardiography(TEE)for thrombus screening prior to LA ablation. CHA2DS2-VASc score is expected to improve to predictive value for LA thrombus prior to LA ablation over the CHADS2 score. Methods: The subjects consisted of 446 AF patients scheduled to undergo LA ablation (age 59 ± 11 years) .We assessed the patient characteristics, echocardiographic parameters, and calculated CHADS2 score, CHA2DS2-VASc Score and TEE findings. Results: LA thrombus was detected in 13 cases( 2.9%)prior to LA ablation. LA thrombus was present in 1.0%, 3.9% and 5.9% of patients with CHADS2 scores of 0, 1 and ≧2, respectively(P=0.06).Patients with CHA2DS2-VASc score of 0, 1 and ≧2 had 0%, 2.3% and 5.3% of prevalence of LA thrombus(P=0.023).However there were 2 LA thrombus cases with CHADS2 score of 0, both cases had ischemic heart disease(old myocardial infarction or angina pectoris)and CHA2DS2-VASc scores of them were calculated as 1. CHA2DS2-VASc scores of 0 had no patients with LA thrombus. Conclusion: Low CHA2DS2-VASc score is more reliable regarding absence of LA thrombus prior to LA ablation than low CHADS2 score. ― 130 ― O-031 慢性心房細動における肺静脈隔離術の左房形態および左房機能への影響 谷中 里美 1、瀬尾 由広 2、亀田 有里 2、腰塚 瑠美 2、菅野 昭憲 2、渥美 安紀子 2、山本 昌良 2、町野 智子 2、川村 龍 2、野上 佳江 2、 中島 英樹 1、飯田 典子 1、酒巻 文子 1、石津 智子 2、青沼 和隆 2 1 筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 人間総合科学研究科 臨床医学系 循環器内科 【背景】心房細動(AF)に対する肺静脈隔離術(PVI)は発作性AF(PAF)から慢性AF(CAF)に適応が拡大している。PAFにおいてPVI は左房容量を減少させるがCAFにおける効果は明らかでない。また左房機能に対する効果はPAFにおいても一定の見解が得られていない。 【目的】CAFにおいてPVIの左房容量及び機能に対する効果を検討すること。 【方法】PVI後1年以上洞調律を維持したCAF35例(AF持続期間4.7±4.8年、0.5~20年、左室駆出分画63±9%)。PVI前、PVI直後、6カ月、及 び12カ月後に心エコー図検査を行った。左房容積は二断面ディスク法で計測した。左房機能評価は心房収縮期左房容量変化(LAEF)及びスペッ クルトラッキング法を用い、左房リザーバー機能を左房拡張期longitudinal strain、strain-rate、左房ブースター機能を左房収縮期longitudinal strain-rateにより評価した。 【結果】左房容積はPVI後に経時的に減少した(PVI前72±36, 6カ月後65±33, 12カ月後55±25 ml, 全群間でP<0.05)。一方、左房機能指標はい ずれも有意な変化が認められなかった(LAEF;PVI直後54±12%, 12カ月後57±13%, ns, 左房拡張期longitudinal strain;PVI前15.3±5.6, 12カ月後 16.0±4.5%, ns, strain-rate;PVI前-1.4±0.6, 12カ月後-1.7±0.7, ns, 左房収縮期longitudinal strain-rate;PVI直後-17.0±3.0, 12カ月後-16.9±2.6, ns)。これら左房容量及び機能と心房細動持続時間の間には有意な関係は認められなかった。 【結論】PVIによる左房のreverse remodeling効果はCAFにおいても認められた。一方、左房機能の改善は明らかでなかった。洞調律化の恩恵 とは反対にPVIによる左房組織の瘢痕化などの傷害が左房機能の回復に影響しているかもしれない。 O-032 Impact of EF<55% on Long-term Survival after Elective Aortic Valve Replacement in Octogenarians with Aortic Stenosis 柴山 謙太郎 1、渡辺 弘之 1、佐々木 俊輔 1、田端 実 2、福井 寿啓 2、梅村 純 1、住吉 徹哉 1、高梨 秀一郎 2 1 榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 心臓血管外科 Background and Objective: A prognosis after elective aortic valve replacement (eAVR)in octogenarians with aortic stenosis(AS)was evaluated unsatisfactory. Therefore, we intended to identify the risk factor after eAVR in octogenarians with AS and investigate how that affected their long-term outcomes. Method and Result: Study population consisted of 103 consecutive octogenarians with AS who underwent eAVR. EF<55% was identified as the risk factor of 6 months by receiver operating characteristics curve and multivariate logistic regression. The patients were classified into two groups: EF≧55%(n=69)and EF<55% groups(n=34).Mean follow-up was 29 ± 18 months(range, 0 to 70 months).Long-term survival was shown in the figure. Conclusion: EF<55% strongly affects the mortality after eAVR in octogenarians with AS and needs to be taken into consideration when indicating eAVR for octogenarians with AS. O-033 超高齢者における大動脈弁硬化に関する検討 冨田 紀子 1、山田 博胤 1、西尾 進 2、楠瀬 賢也 1、林 修司 1、玉井 利奈 1、遠藤 桂輔 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2、佐藤 光代 2、 竹谷 善雄 1、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】大動脈弁硬化(AVS)は大動脈弁狭窄症へと進行するリスクを有するのみならず、その存在自体が心血管イベントと関連があることが 報告されている。AVSは84歳以上の48%に認められるとの報告もあるが、超高齢者におけるAVSについての検討は少ない。そこで我々は、80 歳以上の患者に認められたAVSの自然歴およびその進行に影響を及ぼす因子について検討した。 【方法】対象は、当院超音波センターにおいて2006年10月~2010年9月までに経胸壁心エコー検査を施行した14050例のうち、3ヶ月以上の間隔 で2回以上の検査を施行した80歳以上のAVS 53例(82歳±3歳、男性20例、女性33例)である。AVSは、大動脈弁に動脈硬化性変化を認め、大 動脈弁口通過血流速度が1.5~2.5m/sと定義した。 【結果】20例において0.1 m/s/year以上の進行を認め(進行例:82歳±3歳、0.33±0.35 m/s/year)、33例では有意な進行を認めなかった(非進 行例:82±2歳, -0.16±0.24 m/s/year)。高血圧、脂質異常症、糖尿病の有無や内服薬に関して、両群間における有意差はみられなかった。非 進行群と比べて、進行群の初回検査値は、左室駆出率が低く、拡張早期僧帽弁口血流速波形の減速時間が延長し、左房容積が拡大傾向を示した。 【結語】80歳以上の高齢者において、約38%でAVSが進行した。また、AVS進行例では、非進行例と比べて、基礎疾患に差を認めなかったも のの、観察開始時の左室収縮および拡張能の低下を認め、その因果関係について今後検討する必要があると思われた。 ― 131 ― O-034 大動脈二尖弁の実際-大動脈弁置換術例での検討- 齋藤 聡男 1、室生 卓 1、武田 久輝 1、松村 嘉起 1、兵藤 永一 1、杉岡 憲一 1、花谷 彰久 1、島田 健永 1、穂積 健之 1、細野 光治 2、 末広 茂文 2、葭山 稔 1 1 大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器病態内科学、2 大阪市立大学大学院 医学研究科 心臓血管外科 【背景】大動脈二尖弁は大動脈弁狭窄症(AS)及び大動脈弁閉鎖不全症(AR)の主因のひとつで、最も多い先天性心疾患である。しかし、そ の管理は欧米のガイドラインに準じて行われているのが現状であり、本邦における大動脈二尖弁に関する検討はほとんどみられない。【目的】 本邦における大動脈二尖弁の臨床的特徴を明らかにすること。【対象及び結果】2000年から2010年まで当院心臓血管外科でAS及びARが原因で 大動脈弁置換術(AVR) を行った355症例から、 再置換術1例を除いた354例のうち、 術中所見で大動脈弁尖数を評価し得た353例(平均年齢 68.3歳、AS:253例、AR:100例) を対象とした。353例のうち、 三尖が278例( 78.8%)、 二尖が74例( 21.0%)、 四尖が1例であった。 また、 AVR時の年齢が70歳未満の167例では、三尖が114例( 68.3%)、二尖が52例( 31.1%)、四尖が1例であった。大動脈二尖弁例のうち、右左冠尖 融合型(R-L型)が33例( 44.6%)、右無冠尖融合型(R-N型)が37例( 50.0%)、左無冠尖融合型(L-N型)が4例( 5.4%)であった。AVR時の 年齢はR-L型が58.9±12.4歳、R-N型が64.1±10.4歳、L-N型が66.3±11.5歳であり、R-L型はR-N型に比して有意に年齢が若かった(p=0.04)。【結 論】本邦のAVR例における大動脈二尖弁の頻度は欧米の報告より少なかった。また、欧米の報告と異なり本邦大動脈二尖弁例のAVR時の年齢 はR-L型の方が若く、本邦ではR-L型の方がAVRを要する弁膜症に進行しやすいことが示唆された。 O-035 スペックルトラッキング法を用いた慢性大動脈弁閉鎖不全症患者における局所心筋機能評価の有用性 金子 明弘、田中 秀和、大西 哲存、三好 達也、平石 真奈、辻 隆之、山脇 康平、漁 恵子、福田 優子、則定 加津子、辰巳 和弘、松本 賢亮、 川合 宏哉、平田 健一 神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 循環器内科学分野 【背景】重症の慢性大動脈弁閉鎖不全症(AR)患者における左室収縮機能の評価は重要である。しかしながら正常左室収縮能を有するAR患者 の局所心筋機能障害を同定することは困難である。本研究の目的は正常左室収縮能を有する慢性の重症AR患者の左室局所収縮能障害を2次元 スペックルトラッキング法を用いて検出することである。【方法】対象は外科的手術を行った慢性AR患者32例。平均左室駆出率は58±5%(≧ 50%)、逆流量は64±28ml、逆流率は46±12%であった。心エコー図検査は術前と術後平均14±9ヵ月後に行った。Global radial strain(GRS) は2次元スペックルトラッキング法を用いて、 左室短軸像乳頭筋レベルで算出し、 左室全層(GRStotal)、 心内膜側(GRSinner)、 心外膜側 (GRSouter)で評価した。左室駆出率をマッチさせた10人の正常群をコントロールとした。【結果】AR群のGRSinnerは正常群と比較して有意 に低値であった(26.1±10.0% vs. 38.2±13.1%, p<0.01)。一方、GRStotalとGRSouterは両群間で有意差を認めなかった(24.7±9.0% vs. 30.4±8.4%, and 30.0±13.4% vs. 25.6±7.1%)。術後、左室駆出率は58±5% から61±7%に改善し(p<0.05)、GRSinnerも26.1±10.0% から37.3±13.4% に有 意に増加した(p<0.001)。しかしながら、GRStotalとGRSouterは術後に有意な変化を認めなかった。【結論】心内膜側のglobal radial strainは 慢性の重症AR患者では有意に障害されており、術後に改善することが示された。この結果により、2次元スペックルトラッキング法を用いる と、AR患者の左室心筋障害を早期に検出できる可能性が示唆された。 O-036 上行大動脈拡大を伴った単交連一尖大動脈弁の超音波所見 長瀬 雅彦 1、永森 祐衣 1、三浦 美里 1、宮武 司 2、吉本 公洋 2、大場 淳一 2、青木 秀俊 2 1 市立旭川病院 中央検査科 生理機能検査室、2 市立旭川病院 胸部外科 【はじめに】大動脈一尖弁(Unicuspid Aortic Valve;UAV)は極めて稀な先天性弁膜疾患で、術前に断層心エコーにてUAVを診断する機会は 少ない。今回 三次元心エコー(以下3D)にてその特徴的な超音波像を評価できたので報告する。【症例】11歳男児、身長152cm、体重37kg、 他院にて4270グラムで出生、ASRの診断にてフォローされていたが、 最近ARによる心拡大が強くなってきたためBentall術目的にて当院転院 となった。【超音波所見】入院時TTEでは、severe ARを有し弁尖の延長と6時方向に1つのCommissureを有する単交連一弁尖が推定された。 3DTTEでは、大動脈側より見ることでdomingが明瞭に検出され、弁開放時にはフジツボ様の弁口として認められた。3DTEEでは、拡張期に 左室側から見ると2つのRapheが写し出され三尖弁様の構造として認められるものの、収縮期に大動脈側から見ると2つの交連が癒合した一葉 弁として確認された。以上のことから、単交連一尖大動脈弁を疑い手術が行われた。 【術所見】弁尖はやや肥厚しておりRCCとNCC、RCCと LCCの間に2つのRapheを有し、NCCとLCCの間に交連を有するunicommissural UAVと診断された。 【まとめ】二次元心エコーに対し三次元心 エコーでは見る視点を変えることで的確に大動脈弁の形態を認識することができ、弁尖の形状を見る上では有用と考えられた。またUAVは、 一般的に無交連型と単交連型に分類され、無交連型は狭窄を有する報告が多い。一方単交連型では加齢に伴う狭窄も多いが逆流が主体で、い ずれも若年齢で上行大動脈の拡大を伴い上行置換など行われる例が多く、今回の症例では中膜の断裂等認めないものの経過観察においては注 意が必要と考えられた。 ― 132 ― O-037 心臓再同期療法の効果予測に対する低用量ドブタミン負荷3D心エコー図の有用性 柳下 慈子、新井 光太郎、柳下 大悟、鈴木 太、郡司 一恵、芦原 京美、高木 厚、庄田 守男、萩原 誠久 東京女子医科大学循環器内科 <目的>低用量ドブタミン負荷心エコー図法(DSE)による左室収縮予備能の評価は、左室心筋のviabilityを反映し、慢性心不全の予後予測に 有用とされている。我々は心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy: CRT)植込み例を対象に局所収縮予備能がCRTの効果予測 指標として有用であるか前向きに検討した。<方法>従来のCRT植込み基準を満たす慢性心不全30例(男性18例、48±18歳)にCRT植込み前 に3次元( 3D)DSEを行い、左室心拍出量および左室非協調運動指数(systolic dyssynchrony index: SDI)を計測した。SDIは各分画の時間容 量曲線においてのQRSのR波からの最小容量となるまでの時間をRR間隔で除した値を計算し、左室16分画における計測値の標準偏差値と定義 した。局所収縮予備能は各分画の時間容量曲線におけるドブタミン10 mcg/kg/minでの局所1回心拍出量の総和と、安静時の局所1回心拍出量 の総和の差と定義した。慢性期に左室収縮末期容量が15%以上縮小した群を反応群とした。<結果>安静時非同期運動を認めた18例中12例が 反応群であった。一方、安静時非同期運動を認めなかった12例中9例がDSEにて非同期運動を認め、その9例中7例が反応群であった。3D-DSE で局所収縮予備能を認めた19例中全例が、反応群であった。3D-DSEによる負荷前後のSDIの増悪と慢性期左室逆リモデリングに有意な関係を 認めた(R=0.6、p<0.001)。<結論>慢性心不全患者のCRT効果予測にDSEによる局所収縮予備能の評価が有用である。 O-038 心臓再同期療法における推定肺血管抵抗の有用性と予後との関連 前田 美歌、神崎 秀明、天木 誠、長谷川 拓也、舟田 晃、高濱 博幸、朝倉 正紀、北風 政史 国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 心不全部 【背景】心不全では、左房圧や左室拡張末期圧の上昇から、後毛細血管性の肺血管抵抗上昇を招く。このため肺血管抵抗は、心不全の重症度を 反映している可能性がある。心臓再同期療法(CRT)は、治療抵抗性の心不全に対し、ペーシングによって同期不全を解消し、心臓ポンプ効 率を高める治療であるが、本研究の目的は、心エコードプラ法を用いて推定した肺血管抵抗が、CRTにおいて有用な心不全指標であるか明ら かにすることである。【方法】2006年から2010年にCRT前および6ヶ月後に心エコー検査(Vivid 7, GE)を実施し、解析可能であった連続91例(年 齢 65±10歳、EF 24±9%、QRS幅 161±39 ms)を対象とし、一般的な心エコー検査項目に加え、最大三尖弁逆流速度と右室流出路流速積分 値から、肺血管抵抗(pulmonary vascular resistance: PVR)を推定した。PVRの改善は、10%以上の低下を有意な改善と定義した。【結果】 CRT6ヶ月後に39例(43%)は有意なPVRの改善を認めた。PVR改善群ではLVESViの縮小は、20±22%(P<0.01)であったが、PVR非改善群 では、5±18%(P=NS)にとどまった。CRT後平均24ヶ月の観察期間では、心死亡、左心補助循環の発生は、PVR改善群のほうが低率であり(P <0.01)、心不全再入院、心室細動/頻拍を加えた心イベントの発生も、PVR改善群において低率であった(p<0.01)。【結語】心エコードプラ 法を用いた推定肺血管抵抗は、CRTの効果を反映しており、心不全指標として有用である。 O-039 右室心尖部ペーシング施行例における左室壁運動障害の経時的評価 飯野 貴子、渡邊 博之、小山 崇、伊藤 宏 秋田大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 【背景】右室心尖部ペーシング(RVAP)が左室内同期不全をもたらし、心機能を低下させることが知られている。RVAPにより局所壁運動異 常が生じるという報告もあるが、充分な検討はなされていない。【目的】RVAP施行例の経時的な左室機能障害の出現様式を検討する。【方法】 2000~2002年にRVAPが行われた74例を対象とし、右室心尖部ペーシング率(VP)≧50%群と<50%群に分けて比較した。術後5年間、心エコー を施行し心機能を評価した。【結果】RVAP開始3年後に、Wall Motion Score Index(WMSI)は1から1.18に上昇した。WMSIはRVAP施行期 間に応じて上昇した。各分画ごとに壁運動を評価すると、心尖部において局所壁運動異常が有意に多く出現した(心尖部: 98% vs. 心尖部以 外:2%, p<0.01)。心室ペーシングの割合に着目してRVAP施行開始から3年後の心機能を評価すると、VP≧50%群では、有意にWMSIは高値で あり(VP≧50%群 vs. VP<50%群, 1.19 vs. 1.06, p<0.01)、左室拡張末期容積は増大し( 143.8±4.2 vs. 109.9±5.8 ml, p<0.001)、左室駆出率は 低値であった( 58.7±9.6 vs. 63.2±8.6 %, p<0.05)。BNP値もVP≧50%群で有意に高値であった( 218.57±150.18 vs. 111.68±115.10 pg/ml, p< 0.001)。【結論】RVAP施行例では、心室ペーシング率とRVAP施行期間に応じて左室機能が低下した。左室壁運動異常は心尖部で有意に多く 出現し、左室収縮能低下の一因になり得ることが示唆された。 ― 133 ― O-040 肺うっ血診断におけるLung Comets signの有用性 加藤 美穂 1、岩瀬 正嗣 3、杉本 邦彦 1、伊藤 さつき 1、犬塚 斉 1、中野 由紀子 1、杉本 恵子 3、高田 佳代子 2、椎野 憲二 2、坂口 英林 2、 伊藤 義浩 2、石井 潤一 1、尾崎 行男 2 1 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、2 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、3 藤田保健衛生大学 医療科学部 【はじめに】近年、超音波診断装置で観察する肺のcomets sign(LCS)が肺うっ血(PE)を評価できると報告されたが、本邦での報告は少ない。 【目的】LCSの観察により肺うっ血の診断が可能か検討すること。【対象】当院外来患者のうち、心不全経過観察時の心エコー図検査、LCSの 観察及び胸部X-Pを同日に施行し得た34例、平均年齢66歳。【方法】一般的な心エコー図検査では、左室拡張末期及び収縮末期径(Dd、Ds)、 左室駆出率(EF)、一回拍出量(SV)、相対的壁肥厚(%WT)、左室心筋重量係数(LVMI)、左室流入血流速波形E波とA波の比(E/A)、E波 と組織ドプラe’の比(E/e’)、左房容積係数(LAVI)を検討に用いた。LCSの観察は左右の第2から第6肋間腋窩線上より肺実質をscanした。肺 表面から垂直に後方に向かう彗星様の形状をした高エコー像をLCSとし、 探触子を左右に振ってLCSが最も多く観察された断面で評価した。 LCSの総数を観察し得た断面数で除してLCS Index(LCSI)を求めた。胸部X-Pより肺うっ血(PE)の有無とともにその程度を3段階(-、1+、 2+)に分類し、LCSIとの関係を検討した。【結果】超音波上、LCSを29例(85%)に認めた。心エコー図検査の指標では、PE(+)群とPE(-) 群に有意な差は認められなかった。LCSIはPE(+)群で有意に高値であった( 0.90±0.55 vs. 0.24±0.26、p<0.001)。ROC曲線よりLCSIのcutoff値を0.4(AUC:0.85、p<0.001)と設定するとLCSIによるPEの診断率は感度87.5%、特異度78.8%であった。肺うっ血の程度とLCSIには有 意な正相関を認めた(r=0.76、p<0.001)。【結語】超音波によるLCSの観察はPEの有無を非侵襲的に評価できる可能性が示唆された。 O-041 慢性心不全患者の心臓リハビリテーションにスタチン治療を併用することの有用性 中坊 亜由美 1、吉田 千佳子 1、廣谷 信一 1、合田 亜希子 1、正木 充 1、大塚 美里 1、大江 良子 1、江口 明世 1、澤田 悠 1、川端 正明 1、 辻野 健 2、増山 理 1 1 兵庫医科大学 内科学 循環器内科、2 兵庫医療大学 薬学部 医療薬学科 【背景】心臓リハビリテーション(cardiac rehabilitation: CR)は、心不全患者の運動耐容能だけでなく生命予後を改善する。一方、HMG-CoA 還元酵素阻害薬(スタチン)は血管内皮機能を改善し、運動機能の改善をもたらす。そこで今回我々は、慢性心不全患者においてCRにスタチ ン治療を追加することの有用性について検討した。【方法】慢性心不全患者31例(男性25例、女性6例、平均年齢64歳)を無作為にCR介入群と 非介入群およびスタチン内服群と非内服群に割り付けた。CR介入前 と6ヵ月後に心エコー図検査を施行し、左室収縮能指標(左室駆出率: LVEF)、 拡張能指標(拡張早期僧帽弁輪移動速度:E’、 拡張早期波 の減速時間:DcT)の改善の割合を比較検討した。【結果】CRにスタ チン治療を併用した群でDcTは有意に延長した。 左室拡張末期径 (LVDd)、LVEF、E’の変化量は4群で有意な差を認めなかった。【結論】 心臓リハビリテーションにスタチン治療を追加することは慢性心不全 患者の左室拡張能を相乗的に改善する可能性がある。 O-042 三次元心エコーを用いた無脾症候群における房室弁評価-新しい房室弁分類を用いた術前評価- 新居 正基 1、村田 眞哉 2、宮越 千智 1、戸田 孝子 1、鈴木 一孝 1、濱本 奈央 1、芳本 潤 1、金 成海 1、満下 紀恵 1、小野 安生 1 1 静岡県立こども病院 循環器科、2 静岡県立こども病院 心臓血管外科 【背景】無脾症候群(右側心房相同)における房室弁機能は重要な予後規定因子の1つである。しかし、同症候群の房室弁は心室形態を含む弁 下組織の複雑さにより術前に外科医と情報共有を行うことがこれまで困難であった。3Dエコーでは術中視野に比較的近い心房側から見た断面 を作ることができ、これに加えて、房室弁と心室構造を元にした新たな分類を取り入れることで外科との術前情報の共有が容易となった。【目 的】新しい取り組みについての中期的な評価を行うこと。【方法】対象:房室弁形成を要した無脾症候群患者26名(男15、女11)。房室弁輪と 心室の位置関係を元に次の3種類に分類:Type A: balanced connection(房室弁輪が両心室にほぼ均等に挿入);Type B: unbalanced connection(房室弁輪が一方の心室に偏って挿入(弁輪面積の75%以上));Type C: single connection(房室弁輪が一方の心室のみに挿入(弁 輪面積の100%))。この分類を基にして11名の患者には3Dエコーを用いた術前検討を施行(A群)。15名は従来の方法で手術を施行(B群)。両 群間で術後生存率について比較を行った 。【成績】A群:計17回の弁形成術を施行(手術時年齢:中央値9ヶ月(日齢5-34ヶ月))。B群:計18回 の弁形成術を施行(手術時年齢:6ヶ月(日齢2-26ヶ月))。術後生存率(観察期間中央値12ヶ月):A群89%; B群45%(P=0.02)。【結論】新し い房室弁分類と3Dエコーを用いた術前の詳細な外科との情報共有は無脾症候群における弁形成に良好な結果をもたらした。 ― 134 ― O-043 機能的左室性単心室の心エコー評価 梶村 いちげ、富松 宏文、清水 美妃子、山村 英司、中西 敏雄 東京女子医科大学病院 循環器小児科 【背景】体循環をになう右室性単心室の機能不全に比し、左室性単心室に関して述べられたものは少ない。【目的】機能的左室性単心室の心機 能を心エコーを用いて評価すること。【方法】対象は7例(平均年齢29歳( 16-47歳),M:F 3:4, 三尖弁閉鎖(TA)3, 左室性単心室(SLV)2, 純 型肺動脈閉鎖(PPA)1, 両大血管右室起始+右室低形成(DORV)1)。最終手術は、Fontan 5, Glenn 1, 肺動脈絞扼術 1。使用機器はVividE9(GE 社製)、解析ソフトはEchoPAC Dimensionを用いた。FS, EF, E/E’, radial strain(SR) ,circumferential strain(SC) ,longitudinal strain(SL) , dysshynchrony評価, LV torsionに関して検討した。【結果】短軸像、4CVとも全例で評価可能であった。FS; 0.32±0.1, EF(N= 5); 64±5.5%, E/E’; 7.9±4.1, SR 25±14, SR delay 106±53(47-200)ms, SC -16±4, SC delay 136±44(81-200)ms, SL(4CV)-15±4, SL delay 108±58(14 -175)ms。2例(PPA 1, TA 1)はapicalが反時計回転、baseが時計回転、torsionは反時計回転で年齢相当( 9.4, 13.1 deg)、1例(SLV)は apicalが時計回転、baseが反時計回転、torsionは時計回転でやや低下(-8.9deg)、その他の4例(TA 2, SLV 1, DORV 1)はapical/baseがとも に反時計回転しtorsionをほとんど認めなかった。【結語】左室性単心室ではFS, EF, E/E’が維持されていてもdyssyhnchronyやLV torsionの低 下を認める例があり、潜在的な心機能低下を示唆している可能性がある。 O-044 心室中隔を右室側と左室側に区別したストレイン解析は、右室容量及び圧負荷の診断に有用である 早渕 康信 1、阪田 美穂 1、大西 達也 1、渡辺 典子 1、香美 祥二 1、森 一博 2 1 徳島大学病院 小児科、2 徳島市民病院 小児科 【背景】右室機能の評価は先天性心疾患において重要であるが、簡便で正確な方法は確立していない。これは右室形態の複雑性や自由壁の描出 が困難であることに起因する。心室中隔は右室機能を支える重要な構成因子であり描出が容易である。四腔断面像では心室中隔の中央には高 輝度の線を確認できることが多く、右室側(Ascending segment)、左室側(Descending segment)の2層の心筋線維層の境界と考えられている。 【目的】高輝度線を境界として右室側(Rt)と左室側(Lt)に心室中隔を分画したストレイン解析の右心不全診断に対する有用性を検討する。【方 法】右室容量負荷を有する術前の心房中隔欠損症(ASD群22例)、肺動脈狭窄兼逆流を有し右室圧容量負荷を有するファロー四徴症術後(TOF 群23例)、正常群44例におけるRt、LtのRadial(R),Longitudinal(L),Circumferential(C)の各ストレイン(ε)をHIATCHI Preirusを用 いて測定した。また、LtとRtのPeak strainの時間差T(Lt-Rt)も検討した。【結果】正常群ではRε, Cε はLtにおいてRtより高値であった(41.3 ±12.8 vs 22.6±6.8 %; -28.0±5.4% vs -22.5±4.8%, p<0.0001)が、Lεでは差が無かった(-22.0±4.9 vs -20.7±5.2%)。ASD群では正常群 に比し、Rt-Lε, Cεは有意に高値であったが(p<0.005)、Rt-Rεには差が認められなかった。TOF群のRt-Rεは、正常群およびASD群より 有意に高値であり、Rt-Lεは低値であった(P<0.0001)。Rt-Cεは有意差を認めなかった。また、TOF群のT(Lt-Rt)は、正常群、ASD群に 比し、有意に延長していた(P<0.05)。【結語】心室中隔を右室側と左室側に区別してストレイン解析することは右室機能の観察に有用である。 O-045 Speckle tracking imagingによるファロー四徴症術後患者の左室torsion, strainの解析 高安 博史 1、高橋 健 1、瀧聞 浄宏 2、安河内 聰 2、古川 岳史 1、秋元 かつみ 1、稀代 雅彦 1、清水 俊明 1 1 順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児科、2 長野県立こども病院 循環器科 【背景】ファロー四徴症(TOF)術後長期の患者の中に、心機能低下を伴う予後不良症例があり特に左室機能が問題となる。 【目的】TOF術後患者における2D Speckle tracking imaging(STI)による左室torsionと心筋strainを求め、遠隔期での左室心機能低下の有無 と機序について検討する。 【対象と方法】心不全症状がないTOF術後29人(年齢5~25才)と正常対照29人。Vivid7(GE)を使用し、左室短軸断面(心基部と心尖部)と 心尖部四腔断面の2D-STIから左室torsionと心筋strainを求めて比較検討した。 【結果】LVEFはTOF群68.3±5.6%、正常群72.0±3.5%で有意差を認めなかった。しかし、TOF群においては、正常対照群に比べ左室torsionは 低下していた(5.0±3.4 vs. 10.0±4.0)。 Circumferential strain, strain rate(SR)は心基部で年齢と逆相関し対照群より低下していたが(-18.2±3.5 vs. -21.6±3.9、-1.2±0.2 vs. -1.3 ±0.17)、心尖部は比較的保たれていた。Longitudinal strain, SRは中隔側で年齢と逆相関し対照群より低下していたが(-17.9±3.3 vs. -22.0 ±2.8、-1.0±0.2 vs. -1.3±0.2)、側壁側は比較的保たれていた。 【結論】TOF群では心不全症状を認めなくても左室torsionと心筋strain値が低下し、年齢と逆相関を認めた。TOF患者術後の左室機能評価にお いて左室torsionと心筋strainはより鋭敏で重要な指標となりうる。 ― 135 ― O-046 ファロー四徴症術後遠隔期における大動脈径の変化についての検討 神田 かおり 1、富松 宏文 2、梶村 いちげ 2、山村 英司 2、黒川 文夫 1、鶴田 義典 1、高野 一成 1、林 哲朗 1、三浦 ひとみ 1、芦原 京美 3、 中西 敏雄 2 1 東京女子医大病院 中央検査部、2 東京女子医大病院 循環器小児科、3 東京女子医大病院 循環器内科 背景:外科技術の進歩によりファロー四徴症(TF)の修復術後に成人期に達する症例は増加している。術後遠隔期に大動脈が拡大し解離性大動 脈瘤をきたす可能性のあることが指摘されている。しかし本症の術後に大動脈のサイズがどのような経過をたどるのかはまだ十分には解明さ れていない。目的:成人期に達したTF術後症例の大動脈径の変化を明らかにすること。対象:TF修復術後に成人期に達したあと5年以上の経過 観察が行われた45人。心内修復術(I):31人、ラステリ手術(R):14人。方法:心エコー検査の経時的データを振り返り大動脈径のサイズの変化 について検討し、術式、大動脈弁逆流(Ar)等による影響を後方視的に検討した。結果:初回検査時年齢27±6.9歳( 20~47歳)、手術時年齢9.1 ±9.1歳(中央値5.9歳)。初回検査からの観察期間8.7±1.9年( 5~12年)。また経過中に2人にBentall手術が行われ1人がBentall手術予定となって いる。大動脈径の変化:3.5±0.5cmから3.8±0.7cmへ拡大した(P<0.01)。術式による差:R群では3.8±0.6cmから4.2±0.7cmへ拡大、I群では3.3 ±0.4cmから3.7±0.6cmへ拡大した(P<0.01)。Bentall手術適応となったものは3人ともラステリ手術後であった。Arの有無による差を見ると、 Arなし群では3.3±0.5cmから3.7±0.7cmへ拡大し(P<0.01)、Arあり群では3.6±0.5cmから4.0±0.6cmへ拡大した(P<0.05)。TF術後に大動脈 径は有意に拡大を認めたが、術式やArの有無による差は認めなかった。しかしArや大動脈拡大に対して治療を要すると判断された3人はいず れもR群であった。結語:TF術後において大動脈径は拡大を示す例があり、大動脈解離などのリスクが予想されるため経時的観察が重要である。 O-047 心臓再同期療法におけるねじれ運動の重要性~3Dスペックルトラッキング法による評価~ 李 泰治 1、西野 雅巳 1、田中 彰博 1、岡本 直高 1、菊池 篤志 1、森 直己 1、正木 豪 1、吉村 貴裕 1、中村 大輔 1、谷池 正行 1、 牧野 信彦 1、加藤 弘康 1、江神 康之 1、習田 龍 1、森田 久樹 2、正木 友二 3、田内 潤 1、山田 義夫 1 1 大阪労災病院 循環器内科、2 大阪労災病院 救急部、3 大阪労災病院 心臓超音波室 背景:心臓再同期療法(Cardiac resynchronization therapy: CRT)は重症心不全の治療 法として有効であるがその機序は不明な部分も多い。 最新の3Dスペックルトラッキング 法( 3DST)にて左室全体のねじれ運動を評価することが可能となり、CRTの効果をねじ れ運動を含め検討した。 方法:21名のCRT植え込み患者と12名の正常群を対象とした。 植え込み6ヶ月後での左室収縮末期体積の15%以上減少をCRT responderとしたところ responder9名、non-responder12名となり、各々でCRT-on/offでの3DSTを評価した。収縮 運動としてradial strain, longitudinal strain, circumferential strainを、ねじれ運動として torsion, twistを評価した。torsion、twistに対してdyssynchronyによって失われた左室全 体のエネルギーとしてのdyssynchrony index(図)を計測し正常群と共に評価した。結果: 図。結論:有効なCRTは左室全体のねじれ運動を改善する。ねじれ運動のdyssynchrony indexはresponder予測に役立つ可能性がある。 O-048 3次元スペックルトラッキング法による右室局所壁運動評価 渥美 安紀子、石津 智子、山本 昌良、針村 佳江、町野 智子、川村 龍、榎本 真美、関口 幸夫、夛田 浩、瀬尾 由広、青沼 和隆 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科 【目的】右室機能低下(RVD)例に3D speckle tracking(3DSTI)を用いて右室局所strainを計測し、心内膜面電位分布との比較を行うこと。 【方法】対象はRVD4例と正常29例。体表心エコー心尖部像6心拍加算で右室3D画像を取得した。試作ソフトを用いて右室内膜面を用手的にト レースし、右室容積を算出し、流入路側壁、流入路下壁、心尖部側壁、心尖部下壁、流出路前壁の局所心内膜面の面積変化率(Area strain値) を計測した。さらにRVD例では心内膜面電位(CARTO)と3D strain分布を比較した。 【結果】RVD例および正常例での平均右室拡張末期容積は132±24, 79 ±24ml(p<0.001)、 収縮末期容積は100±18, 45±17ml(p<0.001)、 駆出分画は24±5, 44±8%,(p<0.001)であった。正常例での収縮期最 大Area strain値は流入路側壁-42%、流入路下壁-34%、心尖部側壁 -39%、 心尖部下壁-32%、 流出路前壁-28%であった。RVD例にお いてはCARTOで低電位を示した領域で正常群と比較してArea strain 値の低下が認められた(図)。 【結論】 右室3DSTIにより右室の局所壁運動評価が可能であることが 示唆された。 ― 136 ― O-049 RT3DTEE can detect true lumen originated coronary arteries in patients with acute type A aortic dissection 佐々木 俊輔 1、渡辺 弘之 1、柴山 謙太郎 1、田端 実 2、福井 寿啓 2、高山 守正 1、梅村 純 1、高梨 秀一郎 2、住吉 徹哉 1 1 榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 心臓血管外科 Purpose: The aim of this study was to test the hypothesis whether real-time three-dimensional transesophageal echocardiography(RT3DTEE) can detect true lumen originated coronary arteries in patients with acute type A aortic dissection(AAD).Methods: We enrolled 22 consecutive patients who underwent intraoperative echocardiography by RT3DTEE(iE33, Philips Medical Systems, USA)during emergency surgery for AAD. We detected the position of the ostia of the coronary arteries by conventional 2D echocardiography and by analysis of 3D dataset, and compared them with surgical findings. Results: RT3DTEE could successfully detect the ostia of the coronary arteries. In detecting the true lumen originated coronary arteries, 3D analysis was more accurate than conventional 2D imaging(Table).Conclusion: RT3DTEE is a new noninvasive approach to assess critical risks of emergency surgery for AAD. O-050 3次元経食道心エコー図を用いた肺静脈評価の初期経験 田中 一樹 1、新井 光太郎 1、小林 眞樹子 1、高木 厚 1、江島 浩一郎 1、柳下 慈子 1、中島 崇智 2、芦原 京美 1、庄田 守男 1、萩原 誠久 1 1 東京女子医科大学 循環器内科、2 東京女子医科大学 放射線科 【目的】 心房細動に対する経カテーテル肺動脈隔離術に際して行われる肺静脈の観察および評価には、 主にmulti-detector computed tomography(MDCT)が用いられているが、放射線被爆や造影剤使用、高コストなど問題がある。近年登場した3次元経食道心エコー図(3DTEE) は、経食道心エコー図においても良好な3次元エコー画像の描出を可能とし、低侵襲で正確な情報を得ることができる方法である。今回、我々 は3DTEEを用いて肺静脈の評価を行い、MDCTによる評価との比較検討を行った。【方法】当院で心房細動と診断され、経カテーテル肺動脈 隔離術を行った、連続39名(平均 60 ± 12歳)を対象とした。術前に3DTEEを施行し、4本の主要肺静脈の入口部で肺静脈の長径および短径、 断面積を計測した。MDCTにより計測された肺静脈の長径、短径、断面積を基準データとし比較を行った。【成績】左上肺静脈、右上肺静脈の 描出は87%、82%の症例で観察可能であった。左下肺静脈および右下肺静脈は65%、55%の症例で観察可能であった。また、断面積に関して は肺静脈全体の60%で3DTEEでの計測が可能であり、MDCTによる計測値と良好な相関を示した。【結論】3DTEEにより、左上肺静脈、右上 肺静脈の描出および正確な形態評価が可能であった。経カテーテル肺動脈隔離術に際して行われる肺静脈の観察および評価に3次元経食道心エ コー図が有用である可能性が示唆される。 O-051 術中三次元経食道心エコー図検査の心臓血管外科手術に与える影響:当院での経験症例 芳谷 英俊、竹内 正明、春木 伸彦、加来 京子、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科 【目的】術中2次元経食道心エコー図検査( 2DTEE)は、最適な心臓血管外科術式の決定、人工弁のサイズ、人工心肺離脱の可否や再手術の必 要性の有無等の判断に重要な役割を演じている。一方3次元経食道心エコー図検査( 3DTEE)は心臓の局所を立体的に評価することが可能で あり、弁逆流の程度のみならず正確な範囲まで評価できる利点を有する。今回我々は当院での術中3DTEEの心臓血管外科手術に与える影響を 検討した。【方法】対象は2008年1月より2010年12月に術中3DTEEを施行した連続115例(大動脈弁置換術:42例、僧帽弁置換術:20例、僧帽弁形 成術:24例、冠動脈バイパス術:38例、その他:6例)。術前、人工心肺離脱時に3DTEEを施行した。【結果】3DTEEにより術式、投薬の追加、変 更が生じた例を10例( 9%)認めた(有意な僧帽弁逆流の残存あるいは増悪:3例、弁置換、形成術後のSAM:3例、大動脈弁置換術後の有意な弁周 囲逆流:2例、人工心肺離脱後の新たな壁運動異常:2例)。いずれも2DTEEに3DTEEを加えることにより付加的な情報を得ることができ、外科医 と連携し治療をおこなうことが可能であった。一方で三尖弁に付着した乳頭繊維弾性腫症例で3DTEEにて心房中隔に欠損孔の存在を指摘した ものの実際には欠損は存在しなかった症例も1例経験した。【結語】術中3DTEEは有用であるが、その限界を認識しながら検査を行うことが重 要である。 ― 137 ― O-052 大動脈弁右冠尖のみに高度変化を認めた慢性関節リウマチに伴う大動脈弁逆流症の一例 高橋 利絵子 1、黒沢 幸嗣 1、北條 義明 2、中島 正博 2、大山 善昭 1、奥村 渉 1、斉藤 勇一郎 1、倉林 正彦 1 1 群馬大学大学院医学系研究所 臓器病態内科学、2 深谷赤十字病院 症例は51歳女性。19歳時より慢性関節リウマチの既往あり、ステロイド、メトトレキサート、ブシラミン等の内服を継続していた。2008年頃 より労作時息切れを自覚していたが、2010年1月に生物学的製剤の治験参加予定にてスクリーニング検査を施行したところ、胸部X線で心陰影 の拡大を認め、収縮期雑音、拡張期雑音を指摘された。原因精査のため施行した経胸壁心エコー検査にて、重度の大動脈弁逆流と中等度の僧 帽弁逆流、左室収縮能低下を認めた。精査加療目的にて2010年3月に当科入院され、経食道心エコー検査を施行したところ、大動脈弁右冠尖の みに高度の肥厚・短縮を認め、全体に左室側へ落ち込み、左冠尖・無冠尖と高さがずれ、完全に接合不全を生じていた。その立体的構造の把 握に経食道3D心エコーが有用であった。僧帽弁も全体に軽度の肥厚・短縮を認めた。感染性心内膜炎を示唆するエピソード、臨床所見はなく、 慢性関節リウマチによる炎症に付随した弁膜症が疑われた。同年4月に大動脈弁置換術(SJM Regent 19mm)、僧帽弁形成術を施行した。術中 所見でも、左冠尖・無冠尖はほぼ正常であったが、右冠尖のみに高度の肥厚・短縮を認め、接合が消失していた。病理組織像では、右冠尖にフィ ブリンを伴う壊死組織と周囲の肉芽腫様変化を認め、リウマチ結節として矛盾しない所見であった。術後経過は良好で、左室収縮能も改善し、 BNPもほぼ正常化した。慢性関節リウマチによる炎症に付随した弁膜症は比較的稀であり、かつ右冠尖のみに高度の肥厚・短縮を認め、その 立体的構造を経食道3D心エコーにて明瞭に観察しえた症例を経験したため報告する。 O-053 再発を来した自己大動脈弁血栓症の1例 妹尾 有夏 1、石神 弘子 1、近藤 規明 1、伊藤 守 1、竹中 真規 2、古澤 健司 2、岩瀬 正嗣 3 1 3 名古屋第二赤十字病院 医療技術部 生体検査課、2 名古屋第二赤十字病院 循環器内科、 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報科学 【症例】30歳男性【主訴】頭痛・嘔吐【既往症】多発静脈血栓症・大動脈弁血栓症【現病歴】2年前多発静脈血栓症・大動脈弁血栓症(無冠尖) を発症しワーファリン内服開始。1年前から内服を自己中断。最近、疲労の際に嘔吐を伴う頭痛が出現し外来を受診した。【来院時現症】意識 は清明。神経学的所見に異常はなし。【来院時CT所見】左横静脈洞に高信号を認めた。【経過】緊急頭部血管造影にて左横静脈洞・直静脈洞に 血栓像を認め血栓溶解療法を開始した。【超音波検査所見】経胸壁心エコー大動脈弁右冠尖の大動脈側に13×14mmの腫瘤を認めた。腫瘤は無 茎性で腫瘤自体可動性は見られないが、弁に付着し、大動脈弁の開放制限が見られた。大動脈弁血流最高流速は2.3m/sであった。経食道心エ コーでも同様に右冠尖に付着する腫瘤をみとめた。大動脈弁血栓症の再発と考え、血栓溶解療法を継続した。2週間後の経胸壁心エコーでは腫 瘤は10×10mmと退縮し大動脈弁血流最高流速は2.0m/sと低下していた。1ヵ月後の経胸壁心エコーでは血栓は消失していた。【考察】自己大 動脈弁血栓症の再発を来たした症例を経験した。血液検査で凝固因子異常を認めない正常大動脈弁血栓症の再発は稀であり文献的考察を加え て報告する。 O-054 胸痛および局所壁運動異常を呈したミトコンドリア心筋症の一例 小形 幸代、新島 聡、西村 芳興、泉 学、旗 義仁、市田 勝、新保 昌久、苅尾 七臣 自治医科大学 循環器内科 【症例】53歳男性【現病歴】29歳で糖尿病を発症しインスリンを導入し、36歳で脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳筋症(mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes;MELAS)と診断された。冠危険因子として糖尿病、脂質異常症、喫煙が ある。2010年8月、突然の胸痛と呼吸困難が出現し、当院へ入院となった。CPK、AST、LDHは上昇しており、心エコーでは全周性左室肥大 およびびまん性壁運動低下を認め、特に下壁はakinesisを呈しEF22%であった。心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄は認めず、冠動脈 疾患は否定された。ミトコンドリア心筋症に合併したうっ血性心不全と診断し、利尿剤の投与を開始した。心不全は利尿剤により速やかに改 善した。201Tl+123I-BMIPP心筋シンチグラムはびまん性に集積低下が著明であった。 また、123I-MIBG心筋シンチグラムではH/M比率の低下、 washout rateの亢進を認めた。心臓MRIでは心外膜側優位にびまん性のdelayed enhancementを認めた。心エコーで得られた局所壁運動異常は 心筋シンチや心臓MRIの障害部位とは必ずしも一致しないという結果であった。【結語】突然の胸痛と呼吸困難を呈し、急性冠症候群との鑑別 を要したミトコンドリア心筋症によるうっ血性心不全の症例を経験した。ミトコンドリア心筋症は稀な疾患であり、当院で経験した他の2症例 の心エコー所見との比較を含め文献的考察を加え報告する。 ― 138 ― O-055 長期経過を追えたacromegalic cardiomyopathyの一例 伏見 悦子 1、新保 麻衣 3、武田 智 1、深堀 耕平 1、菅井 義尚 1、高橋 俊明 1、関口 展代 1、岡田 恵利 2、高橋 久美子 2、伊藤 宏 3、 山本 文雄 4 1 平鹿総合病院 循環器科、2 平鹿総合病院 臨床検査科、3 秋田大学循環器科、4 秋田大学心臓血管外科 【症例】62歳女性【現病歴】8歳頃から先端巨大兆候あり。52歳時当院受診、血清GHは125ng/ml(上限3.6)、IGF-1 922ng/ml(上限266)と著 明高値で、頭部MRIで下垂体腫瘍が指摘された。心エコー図では左室の全周性の肥厚しておりLVDd57mm, LVDs38mm. E/A=65/40と偽正 常化、拡張障害あり、MRII度あった。下垂体腫瘍摘出術および同部のガンマナイフ治療を施行し内服治療もされ、GHは一時的には正常化し たが、ほぼ正常値の2倍程度で推移していた。左室肥大は経年的に拡張相様に変化し、拘束型障害となった。またtetheringによる僧帽弁逆流の 増加も相まって、心不全を繰り返した。2010年62歳心不全で入院時の心エコー図ではLVDd72mm, LVDs51mm, E/A=140/30, E/e’=33、MRは IV度であった。左室の壁は菲薄化していた。オクトレオチドの投与でGHは正常化したが、心不全は内科的にコントロール困難となり、僧帽弁 置換術が施行された。術後経過は良好で現在心臓リハビリ中である。【症例】二次性心筋障害を合併し、長期に経過を追うことが出来た先端巨 大症の一例を報告する。ホルモンの正常化に難渋したため、左室肥大は経年的に拡張相様に変化し、拘束型障害となった。またtetheringによ る僧帽弁逆流の増加も相まって、内科的にコントロール困難な心不全を併発した。先端巨大症の予後規定要因の心機能の維持のためには、ホ ルモン値の正常化が重要である。 O-056 Rituximab-CHOP療法により、発症後1年以上の長期経過を心臓超音波検査にて観察中の心臓原発悪性リンパ 腫の1例 加藤 隆一 1、伊藤 順子 1、吉田 善紀 1、関川 雅彦 1、庄司 正昭 1、櫻井 馨 1、小川 亨 1、田原 敬典 2、横山 泰廣 1、足利 貴志 1、佐藤 康弘 1 1 独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター 循環器科、2 たはらほほえみクリニック 症例68歳女性。主訴:息切れ。現病歴・経過:2009年9月より主訴出現。近医にて処方を受けるも症状軽快せず当院紹介受診。胸部造影CTに て心臓腫瘍を認め、精査加療目的で10月に入院となった。心臓超音波検査では三尖弁周囲より右室流出路までを占拠する形で腫瘍塊を認めた。 腫瘍により右室流出路血流は妨げられ、心膜腔にも腫瘍の浸潤を認めた。各種検査では心臓以外に腫瘍は認めず、外科的生検により心臓原発 のDiffuse Large B Cell Lymphomaの診断に至った。検査中も症状の進行を認め、呼吸不全に陥り、診断確定後速やかにCHOP療法施行。以後 7コースのRituximab-CHOP療法を施行した。これにより腫瘍は速やかに消退したが、右室壁及び心膜腔に心臓超音波で確認できる腫瘍の残存 を認めた。更にESHAP療法を2コース施行したが、腫瘍の残存を疑う所見を認めた。本人の希望で以後経過観察としているが、経時的に右室 の肥厚が増悪しており、 腫瘍の再燃が疑われている。 現在も引き続き経過観察中である。 心臓原発悪性リンパ腫は極めて稀有な疾患であり、 平均生存期間は半年~1年との報告もされており、予後不良の疾患である。しかし、近年Rituximabが使用可能となり、完全寛解に至ったとの 報告もある。本症例はRituximabを使用したものの部分寛解のまま経過観察となった。心臓原発悪性リンパ腫治療後の長期経過についての報告 は少なく、稀有と考えられたため、これを報告する。 O-057 無症候性心臓inflammatory myofibroblastic tumorの一例 溝渕 景子 1、新井 光太郎 1、尾崎 友美 1、中林 圭介 1、齋藤 貴士 1、中島 崇智 2、柳下 慈子 1、鈴木 太 1、芦原 京美 1、高木 厚 1、 志賀 剛 1、西川 俊郎 3、萩原 誠久 1 1 東京女子医科大学 循環器内科、2 東京女子医科大学 放射線科、3 東京女子医科大学 病理診断科 症例は65歳男性。発作性上室性頻拍の診断で経過観察中に行った経胸壁心エコー図で左心房内に可動性の乏しい腫瘤を認めた。経食道心エコー 図を行ったところ、心房中隔から心房壁の広い範囲にエコー輝度が低下した病変を認めた。内部エコーは不均一で一部無エコー輝度の部位も 混在していた。病変内部に血流信号は認めなかった。リンパ増殖性疾患の可能性が考えられたため、精査目的に入院となった。心臓CTでは主 肺動脈後方から心房中隔に浸潤し冠静脈洞に至る65×39×64mmの占拠性病変を認め、造影後期相で心筋よりも造影効果を認め、内部はやや 不均一な造影効果を認めた。心臓MRIではT1強調画像で心筋と等信号、T2強調画像で不均一な高信号を呈し、ガドリニウム造影の遅延相では 不均一な造影遅延を認めた。また、ガリウムシンチグラム、FDG-PETでは腫瘍に一致して高度集積が認められた。診断目的に開心生検術を行っ た結果、 組織学的にはリンパ球および形質細胞浸潤のみられる線維性肉芽組織が主体であった。 異型細胞は認められず、inflammatory myofibroblastic tumorと考えられた。予後は良好とされているが、心臓での発生は稀であり長期予後はいまだ不明である。現在ステロイド投 与で経過観察中である。心エコー図によって発見された本症例を画像所見および病理所見とともに報告する。 ― 139 ― O-058 Assessment of left ventricular wall motion and valvular regurgitation by a new pocket-sized echocardiographic machine 古山 輝將、大倉 宏之、玉田 智子、斎藤 顕、今井 孝一郎、尾長谷 喜久子、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、吉田 清 川崎医科大学附属病院 循環器内科 Background:A pocket-sized transthoracic echocardiographic machine, VscanR(GE healthcare)(pTTE)has become commercially available. Purpose:The aim of this study was to compare the visual assessments of the left ventricular(LV)wall motion and valvular regurgitation by pTTE with a standard transthoracic echocardiographic machine(sTTE)Methods:Fifty-four consecutive patients( 33 male, age 69.0±17.3 years)underwent echocardiographic examination both with sTTE(IE 33 and Sonos7500, Phillips)and pTTE. In each digitally stored image, LV wall motion score was visually assessed and graded as either normal(=1),mild-hypokinesis(=1.5),hypokinesis(=2),severhypokinesis(=2.5),akinesis(=3),or dyskinesis(=4)in 16 segments. By color Doppler imaging, severity of valvular regurgitation in mitral,aortic, tricuspid and pulmonary valve was graded as either none(=0),trivial(=1),mild(=2),moderate(=3),or severe(=4). LV wall motion score and the severity of valvular regurgitation by pTTE were compared with those obtained from sTTE. Results:LV wall motion score(r=0.744-0.836, all P<0.0001)and the severity of valvular regurgitation(r=0.772-0.950, all P<0.0001)by pTTE showed excellent correlation and agreement with sTTE. Conclusion:pTTE with the VscanR offers accurate visual assessments of the LV wall motion and semi quantitative grading of the valvular regurgitation comparable to a standard echo Doppler machine. O-059 第4音聴取例の心房収縮期左室内流速分布の特徴:Vector Flow Mapping法による検討 福田 信夫 1、福田 大和 2、森下 智文 2、小島 義裕 2、田村 禎通 2、横井 靖世 3、山本 祐介 3 1 国立病院機構 善通寺病院 臨床研究部、2 国立病院機構 善通寺病院 循環器科、3 国立病院機構 善通寺病院 臨床検査科 【背景と目的】Vector Flow Mapping(VFM)法は心周期各時相の心腔内血流速度分布を評価できる。第4音と心房収縮期左室内流速分布との 関係を検討した。【方法】最近2ヶ月間に心エコー検査を実施した洞調律例のうち、左室収縮不全(EF<50%)と弁膜症を有さず、心尖拍動を 触知でき、左室流入血流(LVIF)速波形がE<A パターンで、かつ良好なVFM記録の得られた15例(平均年齢70歳;高血圧6例、陳旧性心筋 梗塞4例、発作性心房細動3例、その他2例)を聴診上4音(+)7例と(-)8例に分け、心房収縮期LVIFの左室内流速分布と基本的エコー指標 を求め、両群間の差異を検討した。VFM法は心尖部3腔像において心房収縮期LVIFのカラードプラ像を記録し、ALOKA ProSound α10の解 析ソフトを用いて僧帽弁輪部より心尖部に至るサンプリングライン上の流速分布曲線を求めた。また、心尖拍動図のA波率(dA)と僧帽弁通 過血流量(dV)から左室スティフネス(dA/dV)を求めた。【結果】4音(+)群は(-)群に比し、左房容量が有意に高値、E’が有意に低値、 dAおよびdA/dVが有意に高値であった。左室内流速分布曲線は両群とも僧帽弁尖部で最大値(a)を示した後、徐々に減速し、心尖部近傍で 急激に減速(b)するパターンを示した。aからbに至る減速勾配は4音(+)群が(-)群に比して有意に急峻で、dAおよびdA/dVと有意な正 相関を示した。【結論】4音(+)例は(-)例に比して左室スティフネスが高いため、心房収縮期の左室流入血流が左室内で速やかに減速さ れるものと考えられた。 O-060 運動負荷心エコー法を用いた膠原病例における潜在性肺動脈性肺高血圧症の検出 清水 拓 1、楠瀬 賢也 2、山田 博胤 2、西尾 進 1、林 修司 2、冨田 紀子 2、玉井 利奈 2、遠藤 桂輔 1、河野 裕美 1、平岡 葉月 1、 佐藤 光代 1、竹谷 善雄 2、添木 武 2、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科 【背景】強皮症などの膠原病では、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を高頻度に合併することが知られており、PAHの合併は患者の予後に大きな 影響を及ぼす。PAHの早期スクリーニングには定期的な安静時心エコー検査が有用であるとされているが、PAHの初期の自覚症状は労作時の 呼吸困難等であり、安静時検査では労作性に出現するPAH(潜在性PAH)は診断できない。我々は、運動負荷心エコー検査により潜在性PAH の早期診断が可能であるかを検討した。 【方法】安静時心エコー検査ではPAHを認めなかった膠原病患者57例において、6分間歩行を施行し、運動前後の三尖弁逆流血流速波形を記録 した。 三尖弁逆流ピーク速度および下大静脈の径、 呼吸性変動の有無から収縮期肺動脈圧(sPAP) を推定した。 運動負荷によりsPAPが 20mmHg以上上昇、またはsPAPが10mmHg以上上昇しかつsPAP≧40mmHgとなった例を潜在性PAHと診断した。 【結果】膠原病患者の内訳は、強皮症35例、全身性エリテマトーデス9例、混合性結合組織病5例、シェーグレン症候群3例、その他5例であった。 全例において安静時心エコー検査では異常を認めず、平均sPAPは28±6mmHgであった。運動負荷心エコー検査により、57例中16例( 27.6%) が潜在性PAHと診断された。潜在性PAH例のsPAPは、安静時32.5±6.8mmHgから6分間歩行後48.1±8.3mmHgに上昇した。 【結語】運動負荷心エコー検査により、潜在性PAHが検出可能であった。運動負荷心エコー検査は膠原病患者におけるPAHの早期スクリーニ ング法として有用であると考えられた。 ― 140 ― O-061 肺高血圧症患者における運動負荷エコーの有用性の検討 伊藤 義浩 1、岩瀬 正嗣 2、高田 佳代子 1、椎野 憲二 1、坂口 英林 1、杉本 邦彦 3、犬塚 斉 3、深谷 修作 4、吉田 俊治 4、尾崎 行男 1 1 4 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、2 藤田保健衛生大学 医療科学部、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査科、 藤田保健衛生大学 医学部 リウマチ感染症内科 [目的]肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者の重症度は必ずしも肺動脈圧の程度とは一致しない。この原因として、労作に伴う肺動脈圧の変化、 すなわち肺血流増加に対する肺血管床の予備能あるいは右室機能の関与が考えられるが、その評価は十分検討されていない。本研究ではPAH 患者における運動負荷エコーの有用性について検討した。[対象と方法]当院にてPAHが疑われる、またはすでにPAHと診断されているWHO 機能分類(WHO-FC)1-2の患者15名を対象に、臥位エルゴメーターによる多段階運動負荷を施行した。経胸壁心エコーにより、運動負荷前、 負荷中および負荷後に最大三尖弁逆流速度から求めた圧較差(TRPG)の変化を測定した。[結果]負荷は平均55Wまで施行し、全例とも下肢 疲労ないしは息切れでで終了し、運動負荷による合併症は1例も見られなかった。TRPGは、負荷前31-88(平均53)mmHg、最大運動負荷時 45-127(平均85)mmHgまで増大し、負荷による上昇は17-81(平均45)mmHgであった。6分間歩行距離は、安静時のTRPGよりも、負荷に よるTRPG上昇とある程度相関した。[考察]PAH患者の重症度は、肺動脈圧の程度よりも労作に伴う肺動脈圧の変化の方が大きく、適切な治 療方針決定には運動負荷によるTRPGの変化を評価することが有用であると示唆された。 O-062 超高周波超音波を用いたマウスEmbryoの心機能評価 大谷 健太郎 1、徳留 健 2、岸本 一郎 2、寒川 賢治 2、池田 智明 1 1 国立循環器病研究センター研究所 再生医療部、2 国立循環器病研究センター研究所 生化学部 【背景と目的】近年、高周波超音波を用いた成獣マウスの心機能評価が広く行われている。一方、遺伝子操作マウス、特に胎生期の心血管構築 に深く関与する遺伝子の欠損マウスは胎生致死となる事が多い。よって子宮内マウス胎児の心機能が評価できれば、発生生物学的研究におけ る意義は大きいと考えられる。本研究では、1)野生型マウスembryo(WT)の母体子宮内での心機能評価の可能性、及び2)ANP・BNPの共 通受容体であるGuanylyl Cyclase-Aの遺伝子欠損マウスembryo(GC-A-KO)の心機能について検討した。 【方法と結果】GC-A-KOは胎生17.5日までに約75%が胎児水腫および心血管形成不全を呈して死亡するため、胎生16.5日齢WT及びGC-A-KOを 対象とした。 母親マウスの腹部表皮を切開した後、 腹膜上からVevo2100(VisualSonics社) のMS-550D探触子( 32MHz) を用い、B-mode、 M-mode、カラードプラおよびパルスドプラ法で胎児心臓・胎児大動脈・臍帯血流の観察を行った。WTにおける観察の結果、子宮内胎児の心 臓壁運動、左室流入血流速度、大動脈血流速度、及び臍帯動脈血流速度の定量評価が可能であった。一方、体表面血管形成不全を呈したGCA-KOでは、徐脈・心筋壁菲薄化・心収縮力の低下が認められ、かつWTに比しE/Aは低値を示した。 【結語】超高周波超音波を利用することで、成獣マウスのみならずマウスembryoにおいても定量的心機能評価が可能であった。今後、様々な 胎生致死となる遺伝子欠損マウスの発生段階における心機能評価への応用が期待できる。 O-063 未熟児の左室機能の成熟-speckle tracking法による左室内膜運動速度の検討- 森 一博 1、早渕 康信 2 1 徳島市民病院 小児科、2 徳島大学病院小児科 【背景と目的】未熟心筋はサルコメア蛋白が少なく筋小胞体のCaポンプも未発達で、心機能が未熟である。本研究では、speckle tracking法を 用いて、 低出生体重児の左室機能の成熟を解析した。【方法】 対象は日齢0の新生児で出生時体重<1500g(超低出生体重群) =6名、1500- 2500g=15名、2500g以上=12名、そして生後1か月児=9名の4群合計42名。左室短軸断面を6分割し、各分画の左室内膜面の運動速度曲線を記 録した。その後、6分画の平均速度曲線を描出し収縮期および拡張早期のpeak値を測定し、左室拡張末期径で補正した(c-syst Vとc-diast V)。 なお、20例では、平均日齢13で再度検討を行った。また左室内径短縮率(SF)、左室流入血流速度比(E/A)、組織ドプラ指標との比(E/E’) も測定した。【結果】[1] SFおよびE/E'は4群で有意差を認めなかった。収縮期指標のc-syst Vは差を認めず0.91±0.15/secであった。拡張期指標 のc-diastVは低出生体重児ほど低値で、生後1か月で有意に加速した(p<0.05)。[2]平均日齢13で再検討できた例では、E/E’やE/A には有意差 はなかった。c-diast Vは増大したが( 0.85±0.21 vs. 1.1±0.30/sec, p<0.01)、c-syst Vは有意差を認めなかった。[3] 6分画のc-diast Vのピーク は低出生体重児ほどバラツキを認めたが日齢と共に波形の同期性が増し、c-syst Vよりも大きく改善した。【考察】本法は6分画の内膜面の運動 を個別に表示でき、各分画の同期性も観察可能である。未熟心筋では拡張期の速度波形にバラツキが強く、このことが拡張機能全体の低下に 関与すると考えらえた。本法は心筋運動の同期性を加味した新指標であり、広く新生児の左心機能評価に利用できる。 ― 141 ― O-064 左室収縮能および拡張能評価における3D wall tracking法の有用性 若見 和明、大手 信之、菊池 祥平、後藤 利彦、福田 英克、木村 玄次郎 名古屋市立大学大学院医学研究科 心臓・腎高血圧内科学 【背景】3D wall motion tracking法で求めたArea Tracking(AT)は従来の2D speckle tracking法で求めた長軸および円周方向の2つのstrainの 要素を併せ持った新しいパラメータである。【目的】収縮末期におけるAT値と侵襲的に求めた左室収縮能および拡張能の指標とを比較検討す ること。【方法】対象は心臓カテーテル検査および心エコー図検査を同日に施行し得た洞調律の18症例(平均年齢68歳、男性72%、陳旧性心筋 梗塞5例、狭心症13例)。Toshiba社製Artidaを用いて3D画像を記録。offline解析により収縮末期におけるATの値を左室全体(global-AT)およ び心尖部(a-AT)に分けて算出した。これらと従来の観血的心機能指標および左室内圧(P)-dP/dt関係より求めた左室収縮末期の駆出血流 がもつ慣性力(Inertia force:IF)との関係を検討した。【結果】global-ATはpeak positiveおよびnegative dP/dt、左室等容弛緩期時定数tauお よびIFとの間に有意な相関関係を認めた(各々r=-0.54、p<0.05;r=-0.68、p<0.01;r=0.52、p<0.05;r=-0.57、p<0.05)。更にa-ATは peak positiveおよびnegative dP/dt、左室等容弛緩期時定数tauおよびIFとの間により有意な相関関係を認めた(各々r=-0.64、p<0.01;r= -0.83、p<0.0001;r=0.64、p<0.01;r=-0.80、p=0.0001)。【結論】3D wall motion tracking法で求めたArea trackingを用いて、左室収縮 能および弛緩能の評価が可能であるが、その中でも特に心尖部のATが優れていた。 O-065 心房細動患者における左室global longitudinal strain計測:先行R-R間隔指標を用いた検討 山口 一人 1、吉冨 裕之 1、新田 江里 1、田中 延子 1、柴田 宏 1、長井 篤 1、伊藤 新平 2、岡田 大司 2、中村 琢 2、和気 正樹 2、 安達 和子 2、伊藤 早希 2、小谷 暢啓 2、菅森 峰 2、佐藤 正岳 2、高橋 伸幸 2、佐藤 秀俊 2、田邊 一明 2 1 島根大学 医学部 附属病院 検査部、2 島根大学 循環器内科 【背景】心房細動(AF)において左室収縮能評価を行う際、心拍ごとのばらつきがあるため正確な評価のためには何心拍かの平均値を求める 必要がある。しかしAFであっても先行する2拍のR-R間隔が等しい時、左室駆出率や大動脈弁血流速度を平均値と近似できることが報告されて いる。そこで、左室global longitudinal strain値においても1心拍で平均値と近似できるか検討した。【方法】対象はAF患者16症例(平均年齢73 ±10歳)。 心尖部四腔像から2Dスペックル・ トラッキング法による左室global longitudinal strain値を計測した。 先々行する心周期の長さを RR2、先行する心周期の長さをRR1とし、その先行する2心周期が等しいとき(RR1/RR2=1)の心周期の左室global longitudinal strain値を13 心拍平均した値と比較検討した。【結果】 計測した13心拍のstrain値とRR2/RR1比の間には良好な相関関係が得られた(r =-0.80)。 また、 RR1/RR2=1のstrain値と13心拍平均のstrain値はほぼ一致した。 (-10.26±2.35 vs. -10.04±2.18 %)。全症例でのRR1/RR2=1 の時のstrain値と 13心拍平均strain値の間には強い正の相関関係を認めた(r = 0.95、y = 0.89x -0.96)。【結語】AF患者における左室global longitudinal strain 値は先行する2心拍のRR間隔に影響を受け、RR1/RR2=1 の時のstrain値は平均値と一致する。 O-066 心拍数コントロールによるStrain Delay Indexの収束効果と運動耐容能の向上 黄 世捷 1、鈴木 健吾 1、水越 慶 1、高井 学 1、田端 千里 2、菊池 秀和 2、出雲 昌樹 1、明石 嘉浩 1、長田 尚彦 1、大宮 一人 1、三宅 良彦 1 1 聖マリアンナ医科大学循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 臨床検査部 【背景・目的】SHIFT試験(Heart rate as a risk factor in chronic heart failure)は、慢性心不全患者における安静時心拍数が心臓血管イベン トのリスクファクターであることを明らかにした。また、心臓長軸方向の収縮指標であるLongitudinal Strainは、心臓重心方向への収縮指標で ある左室駆出率(LVEF) よりも心不全患者の予後予測に有用だと報告されてる。 近年、 心臓の協調性の指標として用いられるLSのStrain Delay Index(SDI)は、心不全患者の予後予測に有用だと期待される。我々は、慢性心不全患者の安静時心拍数とSDIの関係を、慢性心不全 患者の独立した予後予測因子である最大酸素摂取量peak oxygen uptake(peak VO2)を用いて検討した。【方法】50例の慢性心不全患者(年齢 54.0 ± 12.0歳、女性14名、LVEF 46.0 ± 15.0%)に対して、安静時心臓超音波検査および心肺運動負荷試験を施行し、安静時心拍数によって 二群に分類した。(<72/min, N=22, ≧72/min, N=28) 【結果】両群間のLVEFに有意差は認めなかった。心拍数の低い群ではPeak VO2(21±1.3 ml/kg/min vs 18.1 ±1.0 ml/kg/min, p=0.08)および LS(-14.5 ± 1.1% vs -11.9 ± 0.8%, p=0.06)が保たれていた。心拍数の低い群は、SDI が低く、(-25.3 ± 4.4% vs -37.5 ± 3.3%, p=0.03)心臓の協調性が保たれていた。【結論】慢性心不全患者における心拍数の減少は、心臓の 協調性を改善することで運動耐容能の改善に寄与する可能性が示唆された。 ― 142 ― O-067 Speckle-Tracking Displacement法およびStrain法を用いた急性肺塞栓症における左室動態の検討 櫻井 裕子 1、土肥 薫 2、福田 はるみ 1、藤井 忍 1、別所 由梨 1、増田 千秋 1、杉浦 英美喜 3、杉本 匡史 3、田辺 正樹 3、山田 典一 3、 中村 真潮 3、伊藤 正明 3、登 勉 2 1 三重大学医学部附属病院 中央検査部、2 三重大学大学院 検査医学、3 三重大学大学院 循環器腎臓内科学 【背景】急性肺塞栓症による右心負荷が左室協調運動を障害するか検討した。 【方法】 広汎型および亜広汎型急性肺塞栓症患者(APTE)25人と正常者(NC)25人の左 室短軸、円周、および長軸方向での左室協調性についてスペックルトラッキング・ ディスプレースメント法およびストレイン法を用いて検討した。【結果】ディスプ レースメント法による検討では、APTE群において短軸および長軸方向で心室中 隔と左室自由壁の協調性が損なわれ、NC群に較べ有意な左室協調運動障害が見ら れた(discoordination index: 短軸 23±2* vs. 15±3%、 長軸 25±6* vs. 15± 6%、*p<0.05 vs. NC)。一方、ストレイン法では、APTE群ではNC群に較べ円周 および長軸方向に有意な左室協調障害が認められた(discoordination index:円周 18±4* vs. 13±4%、長軸 20±5* vs. 12±3%、*p<0.05 vs. NC)が、短軸方向 の協調性は保たれていた。【結論】急性肺塞栓症では、心室中隔と左室自由壁の非 協調性を特徴とした左室協調運動障害が認められた。 O-068 総頚動脈の蛇行は脳心血管イベントの予測因子となる 渡部 朋幸 1、高野 真澄 2、竹石 恭知 2 1 医療生協わたり病院 内科循環器科、2 福島県立医科大学 医学部 循環器・血液内科学講座 【背景】内頚動脈(ICA)の蛇行は心血管危険因子と関連するが、心血管イベントとの関連は明らかではない。一方、頸動脈エコーによるICA の詳細な観察は総頚動脈(CCA)に比べ困難である。 【目的】CCAの蛇行が心血管イベントと関連するかどうか頸動脈エコーにより検討する。 【対 象と方法】598人(66.8±11.8歳)の患者を登録した。登録時のCCAの蛇行の程度により 肉眼的に次の3群に分類した。I群: 蛇行なし、II群: 軽度蛇行(蛇行角30度未満)、III群: 中等度~高度蛇行(蛇行角30度以上またはクランク状)。【結果】 平均4.7±2.2年の追跡 期間中、66例の心血管イベント(心血管死25例、急性冠症候群20例、脳梗塞19例、その 他血管イベント2例)が生じた。蛇行の程度が増加するに従いイベント発生率が有意に 増加した(P<0.0001、図)。Cox比例ハザードモデルにより、蛇行の程度が強まるほど イベント発生に対するリスクが高まった[I群 vs. II群: HR 4.0( 95%CI 1.6-13.7)、P< 0.005; I群 vs. III群: HR 17.3( 6.9-57.7)、P<0.0001]。【結論】CCAの蛇行は心血管イベ ントの予測因子となることが示唆された。 O-069 頚動脈stiffnessの加齢による変化-Two-dimensional speckle tracking imagingによる検討- 大石 佳史、三好 宏和、井内 新、長瀬 教夫、大木 崇 国立病院機構 東徳島医療センター 循環器内科 【目的】2-D speckle tracking imaging を用いて頚動脈stiffnessを定量的に評価し加齢による影響を検 討すること。【対象】心エコー検査にて正常左室ポンプ機能を有した89例。【方法】左右総頚動脈(Ca) の短軸像をVivid 7 system(GE)にて記録し、2-D speckle tracking法により円周方向のpeak strain (Ca-S)およびstrain rate(Ca-SR)をEchoPacにて測定した。頚動脈弾性指標(Ca-S index)は以下 の式で算出した:Ca-S index = ln(SBP/DBP)/Ca-S。【結果】Ca-SおよびCa-SRは年齢と有意な負 相関がみられた(Ca-S: r = -0.48, p < 0.0001; Ca-SR: r = -0.56, p < 0.0001)。Ca-S indexは年齢 と有意な正相関がみられた(r = 0.67, p < 0.0001)。【結語】2-D speckle tracking法により求めた頚 動脈stiffnessは加齢に伴い増大を示した。 ― 143 ― O-070 頚動脈のPeak circumferential strainの再現性に関する検討 齋藤 実 1、佐々木 康浩 1、森岡 弘恵 1、吉井 豊史 1、日浅 豪 1、住元 巧 1、西村 和久 2、井上 勝次 2、岡山 英樹 2 1 喜多医師会病院 循環器内科、2 愛媛大学大学院 病態情報内科学、3 愛媛県立中央病院 循環器内科 目的:頸動脈壁のPeak circumferential strain(CS)の再現性を検討すること。方法:健常者60名(平均年齢:51±15歳)を対象とした。エコー 機はVivid7(GE)で12 MHzのリニアプローブを用い、右総頚動脈分岐部より1cm中枢側の短軸断面を撮像した。小動物用のSpeckle tracking 法で同断面を6セグメントに分割し、 下壁のみのCS(Inf-CS) と全セグメントの平均のCS(Mean-CS) を測定した。 また同断面でStiffness index β(β)も算出した。2名の検者で各指標の検者間及び検者内変動を検討し、年齢との相関関係を検討した。結果:Inf-CSとMean-CSは βに比し有意に検者間及び検者内変動が良好であった(表)。 また Inf-CS(r2 = 0.225, p<0.001)及びMean-CS(r2 = 0.275, p<0.001) はβ(r2 = 0.139, p=0.003)に比し年齢と良好な相関関係を示した。 結語:頸動脈のCSはβに比し再現性が良好であり、加齢と良好な相 関を示すことが示唆された。 O-071 CABG術前におけるグラフト評価の有用性 北出 和史 1、森 宏樹 1、守安 謙志 1、物部 真子 1、長谷部 愛 1、高田 美紀 1、有田 勝 1、柏瀬 一路 2、榊 雅之 3、水谷 哲 1 1 大阪警察病院 臨床検査科、2 大阪警察病院 循環器科、3 大阪警察病院 心臓血管外科 【はじめに】近年CABGのグラフト血管として使用する内胸動脈(ITA)、橈骨動脈(RA)は、超音波機器の高性能化に伴いその質的診断が可 能となってきた。今回我々は、非侵襲的で簡便である超音波検査を用いITA,RAの質的評価、血管径、血流情報、snuff box法(橈骨動脈圧迫 試験)によるRA採取後の手の虚血予想を検討したので報告する。【対象、方法】対象は2007年5月~2010年12月に実施された214例男性150例、 女性64例平均年齢67.9歳( 35~87)。計測部位はRA近位部、中間部、遠位部の三点、尺骨動脈(UA)近位部、遠位部の二点、ITA第二~三肋 間の一点を計測し、それぞれの血管性状、血管径を、またSnuff box法でのRA逆転血流を観察した。【結果】右RA径近位部平均3.5mm中間部3.1mm 遠位部2.8mm、左RA径近位部平均3.4mm中間部3.0mm遠位部2.8mm、右UA近位部4.1mm遠位部2.6mm、左UA近位部4.1mm遠位部2.6mm、右 ITA2.5mm左ITA2.3mmであった。RA不良症例は214例中42例( 19.6%) 血管の細さが主な原因。UA不良症例は214例中48例( 22.4%)snuff box法での血流逆転不良が主な原因。ITA不良症例は214例中14例(6.5%)鎖骨下動脈狭窄に伴う血流不良が主な原因であった。【まとめ】今回、 超音波検査にてグラフト評価をした結果214例中95例( 44%)でRA又はUA、ITAで不良症例を経験した。術前グラフト評価は手術方法の決定 や手術時間の短縮、RA採取後の手の虚血予防に貢献でき有用と考えられた。 O-072 睡眠時無呼吸症候群(SAS)合併心疾患患者における心臓及び血管機能低下に関する検討:%FMDの有用性 義久 精臣、小林 淳、高野 真澄、竹石 恭知 福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座 【目的】睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心血管疾患との関連が報告されているが、SAS患者における心臓及び血管機能低下に関しては十分に検 討されていない。心エコー図法及び血管内皮機能指標であるFlow mediated dilatation(FMD)法にて検討した。【方法】当科にてSAS合併が 疑われ、type3ポリグラフ(フクダ電子社製LS300)を施行した連続233症例(平均年齢62.2±14.4歳、平均左室駆出率49.1±15.1%)を対象とし た。ポリグラフ結果にて、無呼吸低呼吸指数(AHI)≧15群(n=168, AHI 34.8±14.8回/時)とAHI<15群(n=65, AHI 8.4±4.0回/時)との2 群に分類した。両群において、心エコー検査(IVSTd, PWTd, LVMI,LVEF, E/A, DCT, E/eʼ, LAVI)、血液検査(Hb、肝機能、腎機能、脂質、 糖代謝、h-CRP、BNP等)、及び%FMD(ユネクス社製UNEXEFTM)について比較検討した。【成績】1)両群間において、心エコーにおける 左室収縮能(LVEF)および拡張能(E/A, E/eʼ, LAVI)に特に差を認めなかった。2)AHI≧15群においてAHI<15群に比べ、%FMDは有意に 低値を示した(4.1±2.5 vs. 6.4±3.7, P<0.01)。3)AHIと%FMDには負の相関(R=-0.42, P<0.01)を認めた。【結論】中等症以上SAS患者にお いて%FMDは低下し、SASが心疾患の進展と増悪に関与している可能性が示唆された。SAS患者における血管機能評価においてFMDは有用で あり、今後リスク評価や治療効果判定においても期待される。 ― 144 ― O-073 左室正常壁運動のDuchenne型筋ジストロフィーにおけるradial strain中に見られたノッチの臨床的意義につ いて 山本 哲志 1、川合 宏哉 2、平石 真奈 2、三好 達也 2、辻 隆之 2、金子 明弘 2、漁 恵子 2、山脇 康平 2、福田 優子 2、辰巳 和宏 2、 則定 加津子 2、粟野 宏之 3、松本 賢亮 2、田中 秀和 2、林 伸英 1、木下 承晧 1、竹島 泰弘 3、平田 健一 2、松尾 雅文 3、河野 誠司 1 1 神戸大学医学部付属病院 検査部、2 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学、3 神戸大学大学院医学研究科 小児科学 【背景・方法】Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の心筋は拡張型心筋症様変化を来すため早期心筋病変を検出する必要がある。DMDと 確定診断され心エコー図検査にて視覚的に左室壁運動低下の無かった58例を対象とした。組織ドプラ心エコー図法より得られるストレイン値 の心筋壁層内分布をMモードプロファイルとして表現するTransmural Myocardial Strain Profile(TMSP)を用い、短軸方向の収縮末期の左 室後壁TMSPを記録した。TMSPの形態が心内膜側で最大値となり心外膜に向かって減高する1峰性群DMD-S群37例と、中間にノッチを有する 2峰性群DMD-N群21例の2群に分け比較検討した。【結果】両群間にTMSPから得られる最大ストレイン値には有意差を認めなかった。一年後 の心エコー図検査でDMD-N群中8例に壁運動低下を認めたがDMD-S群には一例も認めず壁運動低下の発生率に有意差を認めた(p<0.001)。 【結 論】DMDにおいてTMSP上のノッチの形成は壁運動低下との関連が示唆さ れた。 O-074 肺動脈性肺高血圧症における左房負荷と肺血管抵抗について 赤坂 和美 1、中森 理江 1、竹原 有史 2、岡田 基 3、長谷部 直幸 4 1 4 旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部、2 旭川医科大学 心血管再生・先端医療開発、3 旭川医科大学 救急医学、 旭川医科大学 循環・呼吸・神経病態内科学 【背景】特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)ではlateral E/e’<8であることが報告されているが、他の原因による肺動脈性肺高血圧症(PAH) に関しては明らかではない。【目的】PAHにおける左房負荷と肺血管抵抗(PVR)について検討すること。【方法】心エコー図検査連続920件 において右室-右房間収縮期圧較差(TR-PG)が31mmHg以上であった78件中、心房細動合併例と同一症例を除外した54例について後ろ向き に検討した。PAH(IPAH3例、膠原病4例、門脈圧亢進症など2例、ASD2例)と慢性血栓塞栓性肺高血圧症1例の計12例(平均年齢56歳)をA群、 原因が特定できない11例をB群( 69歳)、左心系疾患に由来する肺高血圧症(PH)31例をC群( 72歳)として比較した。lateral E/e’、prolate ellipse法により左房容積(LAV)、右室流出路の時間速度積分値と三尖弁逆流最高速度よりPVRを求めた。【結果】A群のTR-PGはB群とC群に 比し有意に高値であった(66.3±8.0 vs 36.0±1.5、37.4±0.8 mmHg、ともにp<0.01)。lateral E/e’はA群とB群においてC群に比して低値であっ た( 6.8±0.7、7.2±0.5 vs 12.4±1.0、ともにp<0.05)が、A群中4例がlateral E/e’≧8であった。LAVはC群においてA群とB群に比し拡大して いた(76.8±5.4 vs 34.1±3.8、47.1±7.2 ml、ともにp<0.01)。A群のPVRはB群とC群に比し有意に高値であったが(4.3±0.7 vs 2.4±0.4、1.9±0.1 WU、各々p<0.05、p<0.01)、ASD2例は3 WU未満であった。【結語】PAH全体におけるlateral E/e’はIPAHで指摘されているほど低値ではなく、 PHの原因疾患検索にはPVRや左房サイズも含めて評価する必要性が考えられた。 O-075 肺静脈隔離術後の心房細動再発と組織ドプラ法を用いた拡張能障害の関連 北村 健 1、深水 誠二 1、西村 卓郎 1、渡邉 智彦 1、島田 博史 1、岩澤 仁 1、石川 妙 1、松下 紀子 1、北條 林太郎 1、林 武邦 1、 小宮山 浩大 1、田辺 康宏 1、手島 保 1、櫻田 春水 1、西崎 光弘 2、平岡 昌和 3 1 東京都立広尾病院 循環器科、2 横浜南共済病院、3 東京医科歯科大学 【背景】左室収縮能低下のない発作性心房細動(PAF)患者における肺静脈隔離術(PVI)術後の再発に対する拡張能障害の影響は明らかでは ない。【方法】対象はPAFに対して初回PVIを施行した44症例(平均年齢62±12歳、男性29例)。術前に施行した経胸壁心エコーにて左室駆出 率(LVEF)50%未満の収縮能低下例は除外した(平均LVEF 69±9%)。PVI 後、1・3・6・12カ月後と以後3カ月毎の24時間ホルター心電図お よび受診時12誘導心電図にて、術後3カ月以降の再発の有無を調査した。心電図にて30秒以上持続する頻拍の記録を再発と定義した。再発有り 群と再発無し群の2群について、術前の洞調律下での経胸壁心エコーの計測値、及び患者背景、各検査所見のパラメーターについて後ろ向きに 比較検討した。拡張能の評価は組織ドプラ法による拡張早期僧帽弁輪部中隔側移動速度から得られたE/e’と左室流入血流速度より得られたE/ Aを指標とし、E/Aが0.75を下回るもの、あるいはE/Aが0.75を下回らない場合はE/e’が10を超えるものを左室拡張能障害ありとした。また、 E/e’, e’等についても再発と関連があるかを検討した。【結果】平均観察期間6.5カ月において再発を6例(14%)に認めた。両群で経胸壁心エコー での左房径・左房容積には有意差を認めなかった。再発有り群においては全例に拡張能障害を認め、E/e’(12.6±3.7 vs. 9.3±2.9, p<0.05)が有 意に再発無し群より大であった。【結語】心エコーにより評価した拡張能障害がPVI術後のPAF再発と関連している可能性が示唆された。 ― 145 ― O-076 Low wall velocity of left atrial appendage measured by TTE predicts thrombus in paroxysmal atrial fibrillation 田村 晴俊、渡邉 哲、西山 悟史、佐々木 真太郎、和根崎 真大、久保田 功 山形大学 医学部 内科学第一講座 It is recommended that transesophageal echocardiography(TEE)is performed before cardioversion for AF which continues more than 48 hours. We previously reported that LAA dysfunction could be evaluated by LAA wall velocity(LAWV)measured by transthoracic echocardiography(TTE).The aim of this study was to examine whether TTE-LAWV can predict thrombus formation in patients with paroxysmal AF(PAF).We performed TTE and TEE in 50 consecutive patients with PAF who were referred to our department for cardioversion, pulmonary vein isolation, or detection of embolic sources. TTE-LAWV was measured by Doppler tissue imaging at LAA tip from parasternal short axis view of TTE. Thirteen patients had severe LAA spontaneous echo contrast(LAA-SEC)and/or LAA thrombus (LAAT).TTE-LAWV was significantly lower in patients with severe LAA-SEC and/or LAAT than in those without it( 10.6 ± 6.5 vs. 14.5 ± 3.9 cm/s, P<0.05).Patients with TTE-LAWV <9.6 cm/s had significantly higher prevalence of stroke than in those without it( 77 vs. 32%; P<0.01).The multivariate logistic regression analysis showed that TTE-LAWV <9.6 cm/s was an independent predictor of severe LAA-SEC and/or LAAT(odds ratio, 35.5; 95% confidence interval, 3.0-418.2; P<0.01).In conclusion, TTE-LAWV can noninvasively evaluate LAA dysfunction and assist in the detection of LAAT in patients with PAF. O-077 心エコー検査で診断された肺高血圧症連続387例の基礎疾患と三尖弁輪運動速波形指標 玉井 利奈 1、山田 博胤 1、西尾 進 2、楠瀬 賢也 1、冨田 紀子 1、林 修司 1、遠藤 桂輔 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2、佐藤 光代 2、 竹谷 善雄 1、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】肺高血圧症(PH)に対する各種新薬が上市され、PHの診断における心エコー検査の重要性が再認識されつつある。そこで、当院超音 波センターにおけるPHの基礎疾患別頻度および疾患別の三尖弁輪運動速波形(TAM)の各指標を検討した。 【方法】2004年5月から2010年9月に心エコー検査を施行した12010例の中で、推定右室-右房圧較差が40mmHg以上であった651例のうち、再検 査を除外した連続387例を対象とした。TAMを記録し、収縮期波高(s')、拡張早期波高(e')、心房収縮期波高(a')を計測した。 【結果】PHの基礎疾患別の頻度およびTAM指標を表に示す。先天性心疾患を含む心臓疾患によるものが59.8%を占め、肺性心が23.8%、肺動 脈性肺高血圧は13.0%であった。全例における推定右室-右房圧較 差と各TAM指標の間には有意な相関を認めなかった。 【結語】当施設で診断されるPHの約6割が心原性、約1/4が肺性心で あった。TAMのe'は、 左室収縮不全、 肺血栓塞栓症および特発性 肺動脈性PHでの低下が目立ち、 左室拡張不全では比較的保たれて いた。 O-078 Global longitudinal strain rateは左室弛緩機能の非侵襲的指標である 西村 和久 1、井上 勝次 1、東 晴彦 1、稲葉 慎二 1、斎藤 実 2、吉井 豊史 2、日浅 豪 2、住元 巧 2、永井 啓行 1、鈴木 純 1、 大木元 明義 1、檜垣 實男 1、岡山 英樹 3 1 愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 喜多医師会病院 循環器内科、3 愛媛県立中央病院 循環器病センター 【背景】Tau(時定数)は左室弛緩機能指標のgold standardとしてよく知られているが、侵襲的な検査法であるため簡便に繰り返し計測するこ とが困難である。【目的】本研究は、tauを規定する心エコー指標を検討ことである。【方法】対象は冠動脈に有意狭窄を有さない非虚血性心筋 症患者12名である(高血圧性心臓病(n=3)、非閉塞性肥大型心筋症(n=3)、心アミロイドーシス(n=2)、拡張型心筋症(n=4))。心エコー検 査はカテラボで心臓カテーテル検査時に同時測定を行った。Tauは左室内にミラーカテーテルを留置し等容拡張期左室圧下行曲線から算出し た。心エコー装置はGE社製のVivid 7 Dimensionを使用し、Echo PAC PCを用いて2D speckle tracking法を用いて左室乳頭筋レベル短軸像、 心尖部四腔像、二腔像および長軸像から長軸方向及び円周方向のglobal strain(GLS, GCS)とstrain rate(GLSr, GCSr)を計測した。Strain rateは等容収縮期(IC)、 駆出期、 等容拡張期(IR)、 拡張早期、 心房収縮期時相において算出した。【結果】 平均左室駆出分画、e’、E/e’、 propagation velocity、GLSr-IRはそれぞれ58%、4.8 cm/s、16、38 cm/s、0.25 s-1であった。本対象群においてtauはpropagation velocity(R2= 0.76、 P< 0.001)と GLSr-IR(R2= 0.86、P<0.0001)に強い相関を認めた。【結論】等容拡張期global longitudinal strain rateは左室リモデリング様式 の異なる非虚血性心筋症においてtauと密接に関連し、非侵襲的な左室弛緩能の指標となり得る可能性が示唆された。 ― 146 ― O-079 肥大型心筋症における円周方向ストレインは心内膜側では保たれ中層では低下している 岡田 一範 1、山田 聡 2、三神 大世 3、岩野 弘幸 2、加賀 早苗 4、小野塚 久夫 3、横山 しのぶ 4、西野 久雄 4、西田 睦 4、松野 一彦 4、 筒井 裕之 2 1 4 北海道大学 大学院保健科学院、2 北海道大学 大学院医学研究科 循環病態内科学、3 北海道大学 大学院保健科学研究院、 北海道大学病院 検査・輸血部 【背景】肥大型心筋症(HCM)では長軸方向ストレインが低下するが、円周方向ストレイン(CS)は低下するという報告と増加するという報 告がある。本研究では心内膜側と中層のCSをわけて計測し、HCM患者と健常例とで比較した。【方法】左室駆出率(LVEF)の保たれた(> 55%)HCM 9例と健常(N)12例を対象とした。東芝社製Artidaを用い、心室中部短軸断面のスペックルトラッキング法から心内膜側と中層 のピークグローバルCS(各々CSinner、CSmw)を求めた。拡張機能指標として、経僧帽弁血流のE/Aと左室流入血流伝播速度(FPV)を計測した。 【結果】HCM群の心室中隔厚(15±3 mm)、後壁厚(10±1 mm)、左室径(51±2 mm)、左房径(46±7 mm)は、いずれもN群より有意に大 であった。LVEF( 69±5 vs 65±6%)は両群で差を認めず、E/A( 1.1±0.5 vs 1.8±0.7, p<0.05)とFPV( 33±6 vs 53±4 cm/s, p<0.001)は 、CSmwはHCM群で有意に低下した(-9.4±3.3 vs -12.5 HCM群で有意に低下した。CSinnerは差を認めなかったが(-22.4±6.8 vs -20.8±4.8%) ±3.0%, p<0.05)。CSinnerは他の心エコー指標と相関しなかったが、CSmwは左室の径および心筋重量係数(各々r=0.55, p<0.01; r=0.53, p<0.05)、 左房径(r=0.54, p<0.05)、E/A(r=-0.60, p<0.01)、FPV(r=-0.53, p<0.05)と有意に相関した。CSinnerとCSmwの差は平均壁厚と有意に相関 した(r=0.55, p<0.01)。【結論】LVEFの正常なHCMのCSは、内膜側では保たれたが中層では低下していた。中層CSが心筋の円周方向短縮機 能を反映するのに対し、心内膜側CSは適応過程としての壁厚増大により正常に保たれる左室収縮機能を表すことが示唆された。 O-080 たこつぼ型心筋症の左室収縮能および拡張能障害の評価 武本 和也、坂田 好美、佐藤 一樹、水野 宜英、南島 俊徳、田口 浩樹、古谷 充史、吉野 秀朗 杏林大学 医学部 循環器内科 【目的】可逆性心筋障害であるたこつぼ型心筋症は、急性期には広範囲な心筋障害を認めるが慢性期には正常心機能に改善し予後良好である。 しかし、急性期にショック状態となり重症な経過をとる症例も存在し心機能障害の重症度の評価が必要である。たこつぼ型心筋症の急性期の 心エコーによる心機能および心事故発生症例の特徴につき検討した。【方法】たこつぼ型心筋症62例(平均年齢:71±9歳、23~90歳)において、 入院時に左室拡張末期容量(LVEDV)、左室収縮末期容量(LVESV)、左室駆出率(LVEF)、左室のtotal wall motion index(TWMI)を計測 した。また、左室拡張機能の指標として左室流入血流波の急速流入血流速度(E)と心房収縮期血流速度(A)の比(E/A)、組織ドプラ法の 僧帽弁弁輪拡張早期波速(e’)とEの比(E/e’)を求めた。【成績】急性期にこれらのCardiac eventsを認めた29例( 47%)をGroup CEとし、 Cardiac eventsを認めなかった33例(53%)をGroup Nとした。Group Nと比較してGroup CEでは、LVESVが有意に増大し(53±5ml vs. 40± 4 ml: p=0.0398)、LVEFは有意に低下(40±2% vs. 48±2%: p=0.00152)し、TWMIは有意に高値(18±1 vs. 13±1: p=0.0015)であった。E/ A( 1.5±0.2 vs. 0.7±0.2: p=0.0094)およびE/e’( 19±11 vs. 12±4: p=0.0244)もGroup Nと比較してGroup CEで有意に高値であった。慢性期 には心機能は正常に改善し、両群間に有意差は認められなかった。【結論】たこつぼ型心筋症において、急性期に心エコーを用いてたこつぼ型 心筋症の心機能および重症度を評価することは有用である。 O-081 超音波組織性状解析を用いた肥大型心筋症における心内膜下虚血の検出 川崎 達也、階元 聡、山野 倫代、三木 茂行、神谷 匡昭 松下記念病院 循環器科 【背景】肥大型心筋症患者は心内膜下虚血を呈することがあるが、通常の安静時心エコー図で検出することは困難である。一方、超音波組織性 状解析は冠動脈疾患患者における心筋虚血の検出に必ずしも負荷を要しないことが報告されている。超音波組織性状の解析が肥大型心筋症に おける心内膜下虚血の検出に有用か否かはほとんど検討されていない。【方法】対象は非対称性中隔肥大を有する非閉塞性肥大型心筋症17例。 通常の心エコー図検査に加えて、中隔右室側と中隔左室側における後方散乱信号(Integrated Backscatter, IBS)の心周期的変動量を測定した。 運動負荷テトロフォスミン心筋シンチグラフィの負荷後と安静時における短軸15断面から算出した内腔容積比から心内膜下虚血の有無を判断 し、IBS変動量を含む心エコー図指標との関連を検討した。【結果】肥大型心筋症17例中10例に心内膜下虚血を認めた。一般的な心エコー図指 標には両群間で差がなかったが、IBS変動量の中隔右室側/中隔左室側は心内膜下虚血を認めた群で高値であった(1.19±0.10 vs 0.84±0.10, p= 0.04)。受信者動作特性曲線から算出したIBS変動量の中隔右室側/中隔左室側の最適な分割値は1.0で、その時の心内膜下虚血に対する診断能は 感度80%、特異度71%、正診度76%であった。【結語】超音波組織性状解析は肥大型心筋症患者における心内膜下虚血の検出に有用であると考 えられた。 ― 147 ― O-082 Duchenne型筋ジストロフィー左室後壁外膜側有意に認められる非虚血性局所心筋障害-自律神経機能異常と の関連- 宮崎 達志 1、多田羅 勝義 1、阪田 美穂 2、早渕 康信 2、香美 祥二 2、森 一博 3、井上 美紀 4 1 4 独立行政法人国立病院機構 徳島病院 小児科、2 徳島大学 医学部 発生発達医学講座 小児医学分野、3 徳島市民病院 小児科、 四国中央病院 小児科 【背景・目的】Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)における拡張型心筋症では、心筋線維化が左室後壁外膜側から始まる事が報告されてい るが、機序は不明である。また、DMDでは心臓自律神経、特に副交感神経機能の低下が若年齢から認められる。本研究は、DMDでの自律神 経機能異常と後壁外膜側における局所心筋障害の関連を検討した。【対象】左室内径短縮率(%FS)28%以上のDMD 32名。(年齢18.2±5.3歳) 【方 法】 日立EUB6500を用い、 左室後壁の外膜側に輝度の上昇がある群(HE群) 輝度の上昇がない群(N群) に分けて左室後壁外膜側のradial strainを測定。更にホルター心電図心拍変動解析により自律神経指標LH/HF, %RR50を解析した。【結果】1)心拍数及び%FSに関してはHE群、 N群で有意差はなかった。2)後壁外膜側のradial peak strainは、HE群が、N群に比して小であった。(26.2±3.4 vs. 50.7±5.1%, p<0.01)3)交 感神経指標LF/HFはHE群、N群で有意差はなかった。4)副交感神経指標である%RR50はHE群がN群に比べて小であった。( 4.5±4.6 vs. 12.5 ±10.7%, p<0.05)【考察】DMDでは副交感神経機能が低下した症例で後壁外膜側のstrainが低下していた。副交感神経のAch神経末端は左室 心筋の内膜側に多く、外膜側に少ない事が報告されており、DMDでは、副交感神経機能低下により、左室外膜側で相対的交感神経亢進状態と なり、早期より心筋障害が生じている可能性が示唆された。それに対し、内膜側はAch神経末端が多い分、残存する副交感神経機能によって 機能障害が軽度に抑えられている可能性がある。 【結論】DMD外膜側有意の非虚血性心筋障害は自律神経機能異常が関与している可能性が示 唆された。 O-083 日本における大動脈弁狭窄症の重症度における進行度の検討 武田 久輝、室生 卓、齋藤 聡男、松村 嘉起、兵頭 永一、杉岡 憲一、花谷 彰久、島田 健永、穂積 健之、葭山 稔 大阪市立大学 大学院 医学研究科 循環器病態内科学 【背景】日本において大動脈弁狭窄症(以下AS)の進行度に関する検討は十分になされていない。欧米でのASの進行は大動脈弁口面積/年(△ AVA/yr)0.1cm2/m2/yrと報告されている。【目的】日本でのASの進行度を明らかにすること。【方法】当院に1996年から2008年に受診したAS 患者のうち6か月以上フォローできた(平均期間40±27か月)連続111例(平均年齢69±12歳、男性47例)に対し大動脈弁口面積(以下AVA) (連 続波ドプラ法)、 大動脈弁口面積/体表面積(AVAI)、 大動脈弁平均圧較差(mPG)、 大 動脈弁最大圧較差(pPG) を検討した。 患者はAVAI<0.6cm2/m2の重症群( 38例) と AVAI≧0.6cm2/m2の軽中等症群( 73例)にわけて比較検討した。【結果】AS全体での進 行度は△AVA/yr=0.06±0.080.1cm2/m2/yrであった。重症群の方が軽中等症群と比べて AVAの進行は遅い傾向があったが、mPG、pPGの進行は速い傾向があった。【結論】 日 本でのASの進行は欧米に比べ遅い可能性がある。 また重症のASは、 大動脈弁口面積に おいて軽中等度ASと比べ進行が遅かった O-084 重症大動脈弁狭窄症における拡張能について 有田 武史、礒谷 彰浩、三浦 史郎、岩淵 成志、延吉 正清 社会保険 小倉記念病院 循環器内科 背景 重症大動脈弁狭窄症(AS)は労作時呼吸困難の症状を訴えるがそのメカニズムはよく解明されていない。方法 26人の重症AS(男性 15/26, 年齢 74±5.8, 平均大動脈弁弁口面積(AVA)/BSA 0.53cm2/m2, 平均圧較差(PG)35.0mmHg,最大流3.79m/sec)を対象とした。0.014” のpressure wire(Certus TM)を用いて左室並びに大動脈弁上圧を同時に測定し、meanPG, Gorlinの式によるAVAを求めると同時に、左室内 圧曲線よりtau, peak negative dp/dt, LVDP およびLVEDPを記録した。24時間以内に体表心エコー検査を行い左室機能ならびに拡張能の評価 を行った。結果 全患者においてE’は低下し( 4.27±1.32m/sec)E/E’は上昇していた( 22.9±8.14)。しかしながらtauの延長(>48msec)は 11/26人の患者にのみ認められ、 低下したpeak negative dp/dt(<1100mmHg/sec) は3/26人にのみ認められた。 同様にLVEDPの上昇(> 16mmHg)は17/26に認められた。正常tauの患者は延長したtauの患者と比較して、より低いLVEDP、高いEF、高い大動脈弁圧較差を認めた(15.8 ±5.2 vs22.9±7.4, 62.9±11.6 vs 51.3±18.5, 55.8±21.8 vs 38.2±13.8, respectively, all p<0.05)。AVAとLVSPは有意差が二群間において差がな かった。結論 ドップラー心エコーでは拡張能障害と診断されるにもかかわらず、重症ASのおよそ40%は正常拡張能を有する。重症ASにおけ るドップラー心エコーでの拡張能評価は注意を要すると同時に、重症ASのメカニズムは一様ではない可能性がある。 ― 148 ― O-085 健常例における生理的弁逆流の頻度と予測因子 山邉 梓 1、大倉 宏之 2、高田 裕子 1、戸田 為久 3、吉田 清 2 1 ベルランド総合病院 臨床検査室、2 川崎医科大学 循環器内科、3 ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科 【背景】近年、心エコー図装置の性能が向上するにつれ、カラードプラ法の感度が高くなった結果、健常例においても高率に弁逆流が検出され るようになった。【目的】健常例において検出される弁逆流の頻度とその予測因子について検討すること。【方法】対象は心疾患や高血圧を有 さない健常例1,333例(平均年齢55歳、年齢分布10歳-89歳)。カラードプラ法により大動脈弁逆流(AR)、僧帽弁逆流(MR)、三尖弁逆流(TR) の有無について評価し、その予測因子を検討した。使用超音波装置はGE社製Vivid7を用いた。【成績】1,333例中ARは233 例( 17.5%)に、MR は859例(64.4 %)に、そしてTRは1,137例(85.3%)にそれぞれ検出された。多変量解析の結果、ARの予測因子は年齢(オッズ比1.05, p<0.0001) と左室流入血流側波形のA波(オッズ比6.38, p = 0.03)であった。MRの予測因子は年齢(オッズ比1.02, p = 0.01),女性(オッズ比1.39, p = 0.007)、 左室駆出率(オッズ比 0.97, p = 0.002)、そして左房径(オッズ比1.05, p = 0.004)であった。TRの予測因子はMR(オッズ比3.04, p<0.0001), AR(オッズ比1.91, p = 0.009)、そして左房径(オッズ比0.95, p = 0.02)であった。【結論】健常例において生理的弁逆流は高率に検出された。 年齢はARとMRに関連していたが、TRとは関連していなかった。 O-086 感染性心内膜炎57例での塞栓症と早期外科手術に関する実態調査 宮崎 浩美 1、野間 充 2、秋光 起久子 1、廣永 道隆 1、坂本 一郎 3、渡邉 まみ江 4、瀬瀬 顯 5 1 5 九州厚生年金病院 中央検査室、2 九州厚生年金病院 医療情報部、3 九州厚生年金病院 循環器内科、4 九州厚生年金病院 小児循環器、 九州厚生年金病院 心臓外科 【はじめに】感染性心内膜炎の診断と治療方針の決定には、心エコー図検査が重要な役割を果たしているが、多数例での報告が少なく判断に苦 慮することが少なくない。今回、当院で経験された症例をもとに、1)塞栓症発症例と2)抗生剤による感染コントロール以前に施行された早 期外科手術施行例において、心エコー所見での鑑別点があるのかA疣腫サイズ10mm以上B弁瘤形成C膿瘍形成D疣腫が複数箇所に存在EA~D なし、について調査を行なった。同時に3)疣腫サイズ10mm以上の症例、4)弁瘤・仮性瘤形成例、5)膿瘍形成例でのF塞栓症の有無G外科的 治療の有無についても調査した。【対象】2003年2月~2010年10月(小児科は2008年4月~)の間に、感染性心内膜炎と診断された57例。【結果】 基礎心疾患は、弁膜疾患26例、人工弁置換後11例、先天性心疾患8例、ペースメーカー植え込み後4例、不整脈または心疾患の既往なし8例。1) 塞栓症発症例:15例で弁膜疾患8例、先天性心疾患5例。A9例B2例CなしD5例E2例、2)早期外科手術施行例:外科的治療例31例のうち、早期 外科手術例11例、A5例B2例C3例D4例E1例、3)疣腫サイズ10mm以上の症例:24例で弁膜疾患が13例と多かった。F9例G14例、4)弁瘤・仮 性瘤形成例:8例で弁膜疾患・先天性心疾患各2例、心疾患なし3例。F2例G全例、5)膿瘍形成例:7例FなしG5例(他の2例は死亡)【まとめ】 塞栓症発症例では、疣腫サイズ10mm以上かまたは疣腫が複数箇所に存在する症例の割合が多かった。早期外科手術施行例でも塞栓発症のリ スクを考慮した手術が行われていた。 O-087 一施設における最近5年間(2006年~2010年)の感染性心内膜炎 54例の臨床背景に関する検討 杉林 幸代 1、宮坂 陽子 2、前羽 宏史 2、平山 優子 1、大倉 ひろ枝 1、岩坂 壽二 2、高橋 伯夫 1 1 関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部、2 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科 【背景】感染性心内膜炎の臨床的背景の傾向に関する最近の報告は少ない。【方法】2006年1月~2010年12月の 5年間に、Duke診断基準に基づき 当院で感染性心内膜炎と診断しえた連続 54例(平均年齢 56.7 歳、男性 57.4 %)を対象とし、臨床的背景を検討した。【結果】感染性心内膜炎 54例のうち、60歳代が 17例( 31.5 %)で最多、50歳代・70歳代が共に 9例( 16.7 %)であり、50歳以上が約 70%を占めていた。基礎心疾患は 弁膜症が 26例( 48.1 %)で最多だが、25例( 46.3 %)は発症前の基礎心疾患は不明であった。推定感染経路は不明が 33例( 61.1 %)と最多で、 次いで歯科的処置が 17例(31.5 %)であった。起因菌は 38例(70.4 %)で判明し、Streptococcus属 17例(31.5 %)、Staphylococcus属 17例(31.5 %)が共に最多で、4例( 7.4 %)はMRSAであった。疣贅の付着部位は僧帽弁が 32例( 59.3 %)と最も多く、次いで大動脈弁 21例( 38.9 %)、 三尖弁 3例(5.6 %)、肺動脈弁 2例(3.7 %)で、7例(13.0 %)は複数弁の感染であった。合併症はうっ血性心不全が 29例(53.7 %)、左心系塞 栓を 20例(37.0 %)、右心系塞栓を 3例(5.6 %)に認め、11例(20.4 %)は内科的治療で軽快、38例(70.4 %)に外科的治療を行った。手術所 見で弁穿孔 12例(22.2 %)、弁瘤 2例(3.7 %)、弁周囲膿瘍 10例(18.5 %)が認められた。院内死亡は 7例(13.0 %)であった。【結語】最近 5 年間に当院で経験した感染性心内膜炎 54例の臨床的背景を検討した。 ― 149 ― O-088 スペックルトラッキングストレイン法を用いた右室ペーシング時の不全心の左室動態 市川 和秀 1、土肥 薫 2、杉本 匡史 1、杉浦 英美喜 1、佐藤 雄一 1、熊谷 直人 1、中嶋 寛 1、中森 史朗 1、田辺 正樹 1、山田 典一 1、 中村 真潮 1、登 勉 2、伊藤 正明 1 1 三重大学大学院 循環器腎臓内科学、2 三重大学大学院 検査医学 【目的】右室ペーシングが左室動態に与える悪影響を、心エコーと左室圧容積関係を用いて検討した。 【方法】 高頻拍誘発性心不全犬(左室駆出率30±5%)6匹と、 正常犬5匹(左室駆出率55±10%) において、 心エコー(Aplio 80, Toshiba Corp)による短軸方向のスペックルトラッキングストレイン法(frame rate: 61±0)、およびカテーテルによる左室圧容積関係を用いて左室動 態を評価した。各計測は、右房ペーシング(Baseline)と右房-右室心尖部ペーシング(RV pacing)で心拍数を一致させて行った。左室収縮- 拡張の協調性(mechanical coordination)は、ストレインの時間微分である時間 ‐ ストレインレート曲線を用いて、左室全体の収縮拡張動態 に対する各セグメントでのフレーム毎の不一致を算出し、全6セグメントの1心周期における不一致をパーセント表示した。 【結果】正常心ではRV pacingは左室の収縮能や拡張能、およびcoordinationに影響を及ぼさなかった。一方、不全心では、RV pacingは左室の mechanical coordination を悪化させ(26±3* vs. 21±3 %, *p<0.05 vs. Baseline)、左室収縮性の指標であるpreload recruitable stroke workを 低下させ( 33±12* vs. 38±13 mmHg, *p<0.05 vs. Baseline)、弛緩能の指標である左室弛緩時定数Tauを延長させた( 48±6* vs. 42±4 msec, * p<0.05 vs. Baseline)。 【結論】右室ペーシングは、不全心でのみ左室の収縮能、弛緩能、およびcoodinationを顕著に悪化させた。 O-089 心室中隔 pacingは心尖部 pacing に比べLV torsion の低下を減弱しLV total performance(Tei-index) を保つ 茅野 博行、土至田 勉、小林 洋一 昭和大学 医学部 内科学講座 循環器内科学部門 目的:心室中隔 pacing と心尖部 pacingには左室機能に違いがあるかを検討すること。対象と方法: 左室駆出率(EF≧50%)が保たれ局所壁 運動異常を認めない年齢74±12yrs. の完全房室block 45例が対象。全例がDDD 型 pacemaker 植込術後(full pacing)で、中等度以上の弁膜症 は除外した。左室短軸断面の心基部と心尖部levelにおけるLV rotation を2D speckle tracking imagingを用いて計測し、LV torsion を計算した。 時計方向回転を正とした。またPulsed Doppler 法を用いてTrans-mitral flow と LV out flowを記録LV Tei-index を算出した。心室中隔 pacing 群(S-group, 20例; 76±10yrs.)と左室心尖部pacing群(A-group, 25例;72±12yrs.)の二群に分けて心基部と心尖部levelにおけるrotationと torsion、Tei-indexそして他の心エコ-指標に加え心電図QRS widthについて比較検討した。使用した超音波装置は東芝社製Artida。結果:左室 拡張、収縮末期径そしてEFは二群間に差は認めなかった。心電図QRS width(ms)はS-group(10±223)はA-group(135±15)に比し有意に 低値であった(p<0.002)。LV rotation(degree)に関して 心基部levelはS-group(-0.27±1.8)とA-group(-0.45±2.2)の間に差は認めなかっ たが、心尖部level はS-group(3.43±1.8)はA-group(2.5±02.2)に比し有意に高く(p<0.05)、Torsion でもS-group(4.3±21.7)はA-group(3.03 ±2.4)に比し有意に高かった(p<0.05)。LV Tei-index(ratio)はS-group(0.5±11.6)はA-group(0.74±0.21)に比し有意に低かった(p<0.05)。 結語:心室中隔 pacing はEFに差がなくてもLV rotation ,torsion そして LV total performance(Tei-index)において優れていた。 O-090 器質的心疾患を伴わない肺動脈圧上昇症例の症状と心機能との関係:心エコー図所見からみた特徴 奥平 久美子 1、合田 亜希子 2、中坊 亜由美 2、正木 充 2、大塚 美里 2、吉田 千佳子 2、大江 良子 2、江口 明世 2、田中 益水 1、牧原 佐知子 1、 三角 千香 1、西村 純子 1、吉本 直喜 1、松永 桃子 1、廣谷 信一 2、川端 正明 2、飯島 尋子 1、辻野 健 2、増山 理 2 1 兵庫医科大学病院 超音波センター、2 兵庫医科大学 内科学循環器内科 【背景】肺高血圧症とは、肺動脈圧の上昇を認める病態の総称であり、肺動脈圧上昇の原因はさまざまである。心エコー図検査は肺高血圧症の 最も有用な非侵襲的評価法であるが、器質的心疾患に起因しない肺高血圧症を有する症例の患者背景と自覚症状、心機能との関連については 明らかではない。【目的】器質的心疾患に起因しない肺動脈収縮期圧上昇症例の症状と心エコー図所見から見た特徴を明らかにすること。【方 法】心エコー図検査にて三尖弁逆流速度から推定される圧較差(TR-PG)25mmHg以上であり、器質的心疾患を有さない連続671例(平均年齢 70歳、男性335人)を対象とした。器質的心疾患として左室収縮能低下(EF<50%)、心臓手術後、中等度以上の弁膜症、虚血性心疾患、心筋症、 先天性心疾患は除外した。心エコー図検査施行時に呼吸困難、胸痛、浮腫、動悸、ふらつきの有無について調査した。【結果】何らかの症状を 有する症例は全体で546例(81%)であり、軽度の肺動脈圧上昇にとどまる症例(25≦TR-PG<35mmHg)においても、446例(80%)に認めた。 また、有症状例では、無症状例と比較し、E/e’(14±5 vs. 13±4, p<0.01)、TR-PG(31±9 vs. 29±8, p<0.05)が有意に高値であった。症状別 の出現頻度では、呼吸困難が最多(370例(56%))で、浮腫(306例(45%))、動悸(287例(41%))、ふらつき(227例(33%))、胸痛(214 例( 32%))の順に多かった。【結語】器質的心疾患を有さなくても、肺動脈圧上昇を認める症例では多くの例で何らかの症状を訴えることが 示された。 ― 150 ― O-091 β遮断薬導入による左室収縮能改善とコラーゲン代謝との関連 大江 良子、吉田 千佳子、中坊 亜由美、合田 亜希子、正木 充、廣谷 信一、川端 正明、辻野 健、増山 理 兵庫医科大学 循環器内科 背景:1型プロコラーゲンC末端ペプチド(PICP)と1型コラーゲンC末端テロペプチド(CITP)は、コラーゲン合成と分解のマーカーとされ ている。β遮断薬投与により左室のリモデリングが抑制され、左室収縮能は改善するが、その機序については明らかではない。目的:β遮断 薬導入に伴う左室収縮能改善とコラーゲン代謝の関係について検討した。 方法: 慢性心不全46人を対象とした。 β遮断薬(ビソプロロール) 導入前、2ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後に血清PICPとCITPを測定すると共に、心エ コー検査では、modified Simpson法により左室駆出率(EF)と、心尖部2腔像と4 腔像においてLongitudinal peak strainと短軸においてRadial strainの計測を行っ た。結果:EF、Longitudinal strain、Radial strainは、β遮断薬導入後に改善を認 めた。PICPは変化を認めなかったが、CITPはβ遮断薬導入後に減少した。CITP の減少率は、EFとRadial strainの増加率と相関を認めた。(r=0.29、p<0.01、 r=0.26、p<0.05) 結論: β遮断薬は、 コラーゲン分解を抑制し左室収縮能を改善 する可能性が示唆された。 O-092 発作性心房細動患者の左室スティフネスの評価(心エコーMモード法を用いた非侵襲的評価) 坂本 二郎 1、泉 知里 1、高橋 秀一 2、橋和田 須美代 2、松谷 勇人 2、西賀 雅隆 1、三宅 誠 1、中川 義久 1 1 天理よろづ相談所病院 循環器内科、2 天理よろづ相談所病院 臨床病理部 【背景】左室スティフネス評価のゴールドスタンダードは侵襲的な左室内圧波形の記録が必要であるが、近年、心エコーMモード法を用いて心 外膜の動きを評価することで左室スティフネスを非侵襲的に評価できることが線維弾性理論を用いて明らかにされた。拡張期の心外膜の動き、 拡張末期と収縮末期の後壁の壁厚で算出されるepicardial movement index(EMI)とdiastolic wall strain(DWS)が左室スティフネスの評価 に有用であることが示され、EMI,DWSともに左室スティフネスと逆相関するとされる。【目的】発作性心房細動患者の左室スティフネスにつ いて、EMI,DWSを用いて、健常人と比較することで検討する。【方法】心エコーで明らかな器質性心疾患のない発作性心房細動患者30例(男 性19例、年齢66±10歳)と健常人50例(男性22例、年齢59±11歳)について、それぞれEMI, DWS, E’, E/E’を計測した。【結果】発作性心房細 動患者では健常人に比し、EMI, DWSともに有意に小さかった(EMI:0.088±0.061 vs 0.162±0.097, p<0.001、DWS:0.349±0.117 vs 0.459±0.078, p<0.001)。E’,E/E’は発作性心房細動患者と健常人で有意な差はなかった(E':8.03±1.77 vs 7.76±2.17 cm/sec, p=0.565, E/E':9.29±2.32 vs 9.43 ±0.097, p=0.823)。E’, E/E’とEMI, DWSとは相関がなかった。【結論】発作性心房細動患者では、健常人と比較して、EMI, DWSはともに有意 に小さく、左室スティフネスは亢進している可能性がある。EMI, DWSは、E’, E/E’よりも早期に拡張障害を検出することができるかもしれない。 O-093 Three-dimensional Geometric Analysis of Semi-rigid Ring for Mitral Valve Plasty 柴山 謙太郎 1、渡辺 弘之 1、佐々木 俊輔 1、田端 実 2、福井 寿啓 2、梅村 純 1、住吉 徹哉 1、高梨 秀一郎 2 1 榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 心臓血管外科 Background: Most mitral valve(MV)plasty techniques include annuloplasty by prosthetic ring. However, little is known about the effect of semi-rigid ring on annular structure and physiological motion in vivo.Methods: We enrolled 5 patients of paroxysmal atrial fibrillation with normal MV annulus and 19 patients who underwent MV repair with Physio II®(Edwards Lifesciences) ring for MV prolapse. Commissure-commissure / anterior-posterior diameter ratio and annular height / area ratio were determined by 3D transesophageal echocardiography in end-systole and mid-diastole before and after operation. Results: As shown in the figure, semi-rigid ring normalized flattened and rounded annulus shape and kept three dimensional cyclic change of the annulus.Conclusion: Flattened and rounded annulus of MV prolapse can be normalized by using semi-rigid ring. ― 151 ― O-094 経胸壁3D echoを利用した同一心拍僧帽弁多断面2D表示の有用性 余語 保則、岸 久美子、五十嵐 悠子 小牧市民病院 臨床検査科 【はじめに】3D echoの開発により心臓の立体構築が可能となった。しかし、経食道3D echoに比べ経胸壁3D echoはアーチファクトが多く、日 常臨床に活発に利用されるに至っていない。今回我々は、経胸壁3D echoを利用した同一心拍における僧帽弁の多断面2D画像を表示することで、 客観的に弁構築を示すことができると考えたので報告する。【方法】Philips社製SONOS7500を使用しX4 matrix probeにて胸骨傍左縁短軸像を 描出し、収縮期に前交連側から後交連側まで画像内に入るように動画保存した。解析はPhilips社製 QLABTMを利用して僧帽弁を三次元構築し、 多断面表示可能なi-slice機能にてスライス断面を前交連と後交連を結ぶ線に対して直角となるように設定した。【対象】当院において3D観察が 可能であり、手術にて、その所見が確認できた僧帽弁逆流症10例(Barlow病3例、交連部逸脱2例、後尖逸脱5例)【結果】Barlow病の症例では、 前尖、後尖の前交連側から後交連側までの広範囲なbillowingを同一心拍にて全例が表示可能であった。また、交連部の逸脱症例では、交連部 の逸脱を客観的に指摘する事が可能であり、的確な診断に繋げることができた。スライス幅を表示するGI-slice法を使用する事が可能であった 症例では、逸脱の範囲を半定量することが可能であった。【考察】同一心拍の動画にて多断面表示する事で、僧帽弁逸脱の場所や範囲を客観的 に確認する事が可能であった。しかし、通常心臓超音波において使用されるmodeではスライス幅を表示することが不可能であり、またGI-slice は使用方法が煩雑であるため改良の余地があると感じた。 O-095 心房細動が房室弁形態と逆流におよぼす影響:リアルタイム三次元経食道心エコー図法による検討 春木 伸彦、竹内 正明、芳谷 英俊、加来 京子、大谷 恭子、桑木 恒、岩瀧 麻衣、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科 【背景】三次元経食道心エコー図検査( 3DTEE)は、僧帽弁のみならず三尖弁輪形態の正確な計測が可能である。【目的】孤立性心房細動が僧 帽弁及び三尖弁輪形態や逆流に対してどのような影響を及ぼすかを検討すること。【方法】14人の孤立性心房細動症例および、洞調律の非弁膜 症症例22例を対照群とし、3DTEEを施行した。僧帽弁および三尖弁を3Dズームまたはフルボ リュームモードで記録し、 解析ソフト(QLAB) を用いて収縮中期の弁輪形態を評価した。 また3Dカラーフルボリュームモードからvena contracta area(VCA)を計測し、逆流重症度 の指標とした。【結果】僧帽弁輪面積及び三尖弁輪面積は、心房細動群で有意に高値であった。 また、対象群の平均弁輪面積に対する相対的な増加は、三尖弁が僧帽弁に比べ有意に大きかっ た。僧帽弁逆流のVCAと弁輪面積の間には相関を認めなかったが、三尖弁逆流のVCAと弁輪 面積の間に有意な相関を認めた。【結語】心房細動時の房室弁輪拡大は僧帽弁逆流には影響を 及ぼさないが、三尖弁逆流を悪化させる。 O-096 3次元経食道心エコー図法による大動脈根部形態の評価 加来 京子、竹内 正明、大谷 恭子、春木 伸彦、芳谷 英俊、尾辻 豊 産業医科大学 第2内科 【目的】3次元経食道心エコー( 3DTEE)による大動脈根部評価の有用性をMDCTと比較検討すること。【方法】同時期に3DTEEとMDCTを施 行したAS 10例、非AS 10例を対象とした。両方法にて大動脈弁輪、バルサルバ洞、STJの断面積、弁輪~STJまでの距離を計測した。【結果】 MDCTと比べ、各計測値は3DTEEで約10%過小評価したが、良好な相関が得られた(弁輪面積;MDCT: 3.1±0.4cm2/m2 vs. 3DTEE:2.7±0.5cm2/ m2, p<0.01, r=0.89, バルサルバ洞面積; 5.4±1.0cm2/m2 vs. 5.0±1.0cm2/m2, p<0.01, r=0.97, STJ面積; 4.0±0.7cm2/m2 vs. 3.5±0.7cm2/m2, p<0.01, r=0.91, 弁輪~STJ間距離; 12.7±1.4mm/m2, 11.2±1.4mm/m2, p=ns, r=0.75)。AS症例では非AS症例に比べSTJ面積が有意に小さく(AS 3.1± 0.4cm2/m2, 非AS 3.8±0.7cm2/m2, p<0.05)、バルサルバ洞面積、弁輪~STJ間距離も低値となる傾向にあった(バルサルバ洞面積; 4.6±0.9cm/ m2 vs. 5.4±1.0cm/m2, p=0.07, 弁輪~STJ間距離;10.7±1.0mm/m2 vs.11.7±1.6mm/m2, p=0.09)。【結語】3DTEEによる大動脈根部の評価は可能 であり、ASでは短軸方向だけでなく長軸方向にもremodelingを生ずる可能性があると考えられた。 ― 152 ― O-097 大動脈弁逸脱におけるリアルタイム3次元経食道エコーの有用性 長尾 秀紀 1、宮本 忠司 2、笹倉 明子 1、須原 信子 1、中澤 佳代 1、大谷 幸代 1、山岸 真代 1、小野 眞守美 1、笹川 のせこ 1、岩崎 敏明 1、 棚田 洋平 2、鷹津 良樹 2、大野 暢久 3、鷹巣 晃昌 4 1 4 兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部 生理検査室、2 兵庫県立尼崎病院 循環器内科、3 兵庫県立尼崎病院 心臓血管外科、 兵庫県立尼崎病院 病理診断科 大動脈弁逸脱においては、大動脈弁形成術が行なわれるようになり、術前評価の重要性がより高まっている。【症例報告】術前にRT-3DTEE法 を施行し、大動脈弁逸脱症に対し手術が行われた3症例について、2次元経食道心エコー法(2D-TEE法)、術中所見との比較を行った。【症例1】 76歳男性。陳旧性心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全にて経過観察中。2010年3月、経胸壁エコー、カテーテル検査にて大動脈弁逆流の増悪、左室拡 大、左室駆出率低下を認めた。【症例2】54歳男性。主訴は呼吸苦。2010年健診にて高血圧、心肥大を指摘されたが、自覚症状なし。6月初め頃 より動悸、労作時呼吸苦が出現したため当院を受診し、BNP1382pg/mlと高値で急性心不全として入院となった。【症例3】72歳男性。主訴は 間歇的発熱、咳嗽。2010年9月末より間歇的発熱、咳嗽、食欲減退あり。二日連続発熱したため、近医を受診したところ心雑音を指摘され、当 院紹介受診となった。これまで心疾患を指摘されたことはない。使用装置はPHILIPS iE33、3次元データセットは解析ソフトQLAB(Ver.7.1) にてオフライン解析した。RT-3DTEEの大動脈弁逸脱所見は術中所見に合致していた。【考察】RT-3DTEE法で取り込んだデータセットに多断 面再構成法(MPR法)を用いると、これまでの2次元経食道心エコー法( 2D-TEE)では不可能であった任意の断面を得ることができる。これ により、術前に心臓外科医に対し各弁尖や各々の接合の状態など、より詳細に病態を伝えることができた。【結語】大動脈弁逸脱症の術前評価 にRT-3DTEE法が非常に有用であった3症例を経験した。 O-098 剖検所見を確認できた副僧帽弁の一例 坂本 一郎 1、野間 充 2、宮崎 浩美 3、林谷 俊児 1、山本 雲平 1、宮田 健二 1、折口 秀樹 1、毛利 正博 1、山本 英雄 1 1 九州厚生年金病院 循環器科、2 九州厚生年金病院 医療情報部、3 九州厚生年金病院 中央検査室 症例は62歳男性。進行横行結腸癌に対して横行結腸切除・胆嚢摘出・肝門部リンパ節部分切除施行。術後化学療法を開始したが、肝門部リン パ節転移による閉塞性黄疸を認め、胆管ステント留置・放射線治療を施行。以後も繰り返し発熱を認めており、複数の抗生剤を使用するも改 善を認めず、精査・加療目的に術後10ヶ月目に当院転院となった。入院時前医では指摘されなかった収縮期駆出性雑音を聴取し、経胸壁心エコー 施行。左室流出路に僧帽弁前尖に付着する可動性の構造物を認め、同部位には大動脈弁逆流が吹き付けていた。経食道心エコーでも同様の可 動性構造物を認めたが、構造物のエコー輝度は正常弁組織と同様のエコー輝度であり、弁瘤や弁穿孔・膿瘍などの感染性心内膜炎を示唆する 所見はなく、その他の弁にも感染性心内膜炎を示唆する所見は認めなかった。また構造物による左室流出路障害はなく、その他の先天性の異 常も認めなかった。血液培養は陰性であったが感染性心内膜炎に準じた抗生剤治療を施行したが、当院入院24日目に敗血症のため永眠された。 剖検では心内には疣贅を認めず、僧帽弁前尖に付着するように見えた構造物は左室流出路と乳頭筋に付着部位を有していた。心エコーで僧帽 弁に付着するように見えた構造物は副僧帽弁と診断した。副僧帽弁は小児の左室流出路狭窄を生じる稀な原因であり、成人例での報告は少なく、 剖検所見で解剖学的な形態が評価できたのは貴重と思われ、心エコー図所見と合わせて報告する。なお肝門部には膿瘍を認め、敗血症の原因 としては肝膿瘍が考えられた。 O-099 カルチノイド症候群に合併した高度肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症の1症例 岡崎 葉子 1、田中 秀和 2、則定 加津子 2、平石 真奈 2、三好 達也 2、辻 隆之 2、金子 明弘 2、漁 恵子 2、山脇 康平 2、福田 優子 2、 辰巳 和宏 2、松本 賢亮 2、木下 承晧 1、河野 誠司 1、川合 宏哉 2、平田 健一 2 1 神戸大学医学部附属病院 検査部、2 神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野 症例は57歳女性。高血圧にて近医に通院中であった。近医で施行された心エコー図検査にて、高度の肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全 症を指摘されたため、当院に精査目的で紹介となった。当院で施行された経胸壁心エコー図及び経食道心エコー図検査では、右心系は拡大し ており、肺動脈弁及び三尖弁は肥厚、短縮し、弁の可動性が著明に制限されており、高度の肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症が認め られた。その後外来で経過観察していたが、下腿浮腫などの右心不全症状が出現してきたため、手術適応と考え、肺動脈弁及び三尖弁置換術 を施行した。術中の肉眼所見では、肺動脈弁の、前半月弁、左半月弁は著明に肥厚、短縮し、三尖弁の弁腹は肥厚し腱索は短縮していた。肺 動脈弁の病理組織所見では、粘液腫状、線維性の肥厚、部分的な毛細血管の増生、少数のリンパ球、形質細胞の浸潤を認めたが、弁の変性の 原因の特定は困難であった。術後、器質的な肺動脈弁及び三尖弁閉鎖不全症を来たす疾患の検索を進めたところ、尿中5-HIAAが53.4mg/day(正 常値0.5~5.0mg/day)と高値を示した。カルチノイド症候群を疑い全身検索を行ったところ、右卵巣に腫瘤を認め、当院産婦人科にて両側附 属器切除及び子宮全摘出術が行われた。病理組織所見より、右卵巣カルチノイドと診断された。肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症は 機能的なものが大半をしめ、器質的なものは稀であるが、その原因の一つとしてカルチノイド症候群が知られている。今回我々は、カルチノ イド症候群に伴い、高度の肺動脈弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症を来たした一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 ― 153 ― O-100 繰り返す再発性タコツボ心筋症によりび慢性壁運動低下心筋症様となりうっ血性心不全を来たした1症例 西山 裕善 1、太田 剛弘 1、柿原 隼 1、河合 慶介 1、谷川 崇 2、金子 みどり 2、林 雄介 1、白井 たから 1、紙森 公雄 1、柳 志郎 1 1 府中病院 循環器科、2 府中病院 生理機能検査室 タコツボ型心筋症(TC)の予後は比較的良好とされ再発例も報告がある。我々は同症を3回繰り返しその都度心機能正常化し退院したが、4回 目を発症し心不全で入院。心エコー検査でび慢性の心筋症様所見の改善を認めない稀な症例を経験した。【症例】78歳 女性【主訴】呼吸苦 食欲不振【現病歴】2006年12月頃から精神的ストレスがあった。2006年1月労作時の呼吸困難が出現しうっ血性心不全、発作性心房細動認め心 エコーで心尖部のballooningとEF27%と低下し心臓カテーテル、心電図からもTCと診断されたが心機能正常化し退院した。その後2009年1月 呼吸苦、ECG異常で救急搬送され心エコーなどからTC再発と考えた。2010年5月にも同症再発しLVEF30%と低下したが改善。退院後食欲不 振などあり7月に心不全で入院した。【現症】血圧 128/87 mmHg 軽度下腿浮腫 胸部レ線:CTR拡大 胸水 ECG:心房細動 HR110回/分。 V2-V6 ST上昇後陰性化。【入院後経過】入院時心エコーで心尖部のballooningを含むび慢性壁運動低下でEF30%だった。胸水貯留し心不全治 療開始、症状は徐々に改善したが利尿剤の点滴中止で体重増加、浮腫、呼吸苦を繰り返し4ヵ月後に症状安定した。しかしび慢性壁運動低下の 改善は認めなかった。【まとめ】TCの再発を繰り返しび慢性壁運動低下で難知性の心不全となった症例を経験した。冠動脈造影は正常で冠攣 縮も否定された。TCは再発もあり繰り返す発作は慢性心不全に至る可能性がありTC既往例には十分な経過観察、治療が必要と考えられた。 O-101 瀉血とキレート剤により心機能が著明に改善したヘモクロマトーシスの1例 正岡 佳子 1、佐々木 洋子 2、土井 弘枝 2、沖野 清美 2、砂押 春香 2、舟木 麻美 2、川瀬 共治 1、渡辺 紀晶 1 1 土谷総合病院循環器内科、2 土谷総合病院循環器内科心機能検査室 【はじめに】心筋のIB値は繊維化や鉄等の異常物質の沈着により上昇すると報告されている。我々は拡張型心筋症類似の重症心筋障害をきたし たヘモクロマトーシス症例の心筋IB計測を行い、血清ferritinの低下に伴い心筋IB値が低下し心機能も改善する経過を観察し得たので報告する。 【症例】症例44才男性、家族歴:特記事項なし。2006年12月30日急性左心不全で当院へ救急搬送された。心エコー検査ではびまん性の右室及び 左室壁運動低下(LVEDV/ESV 185/136ml、EF27%、E/E’11.7)を認めた。冠動脈造影では有意狭窄なし。皮膚の色素沈着あり、血液検査に てFe227μg/dl、ferritin3467ng/dlと上昇し、CT、MRIでも肝臓、心臓に鉄の沈着の所見を認めた。Acoustic Densitometry法による心室中隔、 左室後壁の心筋Integrated Backscatter(IB)値も18.2dB、18.5dBと高値であった。肝生検を施行しヘモクロマトーシスと診断された。カルベ ジロール等による心不全の治療に加え瀉血とキレート剤による治療を開始したが2007年4月心不全で再入院。血清ferritin4492ng/dlまで上昇し、 心室中隔、左室後壁の心筋(IB)値も19.2dB、21.0dBと更に上昇した。その後徐々に瀉血量を増量し、2010年12月には血清ferritin713ng/dl、 心室中隔、 左室後壁の心筋IB値は14.2dB、12.0dBと低下した。 心エコー所見もLVEDV/ESV 102/49ml、EF52%、E/E’6.0と著明に改善し NYHA1度を維持している。 【結語】ヘモクロマトーシスにより拡張型心筋症類似の心筋障害を来し瀉血及びキレート剤等による治療で著明に心機能が改善した症例を経験 した。心筋IB値はヘモクロマトーシスによる心筋への鉄沈着の診断、治療効果判定に有用であると考えられ報告する。 O-102 8ヶ月未満で5cm大に成長したことを確認できた心臓粘液腫の一例 西崎 晶子 1、大江 健介 1、田代 英樹 1、赤須 晃治 2 1 聖マリア病院 循環器内科、2 聖マリア病院 心臓血管外科 症例は59歳男性。40歳代で肥大型心筋症を指摘されていた。2010年1月に不整脈のため当院を受診し、発作性心房細動であったためワルファリ ンカリウムによる抗凝固療法を開始された。その時の心エコーでは、心臓内に腫瘤性病変は認めなかった。経過観察のため2010年9月に経胸壁 心エコーを施行したところ左心房内の心房中隔に付着する可動性を有する5 x 4 cm大の内部エコー均一な腫瘤を認めた。僧帽弁口への嵌頓は なかった。経食道心エコーでも、同様の所見であった。冠動脈造影検査では右冠動脈から腫瘤への栄養血管を認めた。血栓の可能性も考えら れたが、十分な抗凝固療法を行っていたこと、栄養血管を認めたことから否定的であり、粘液腫が最も疑われた。CTでは脳、肺、腎に塞栓は 認めなかった。心臓外科にて腫瘤摘出術を行った。腫瘤は左房上壁に近い心房中隔から起始しており、表面整で、軟らかく、大きさは5.5 x 4 x 4 cm、40 gであった。病理診断ではアルシアンブルー陽性で紡錘形細胞が増生しており、粘液腫の所見であった。経過は良好で術後半年間で 再発は認めていない。粘液腫は全心臓腫瘍のうち約40-50%を占めるが、成長速度についての報告は少なく、見解は一致していない。本例は 少なくとも0.69 cm/月以上の速さで急激に成長しており、大変興味深い症例であるためここに報告する。 ― 154 ― O-103 右室内に巨大な可動性血栓を認めた肺塞栓症の一例 盛本 美恵子 1、宮坂 陽子 2、前羽 宏史 2、平山 優子 1、大倉 ひろ枝 1、岩坂 壽二 2、高橋 伯夫 1 1 関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部、2 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科 【症例】71歳、女性。4年前から慢性関節リウマチに対しステロイドを内服していた。3カ月前から下肢の腫脹を認めるも放置。2010年7月、料 理中に意識消失を認め、両上肢の熱傷のため他院で加療後、失神の原因精査のため当院に紹介入院となった。入院時の経胸壁心エコー検査では、 右室の拡大、左室圧排所見(D-shape)と推定肺動脈圧 59/24mmHgの上昇、右室内に可動性のある巨大な帯状エコーを認めた。経食道心エコー 検査にて帯状エコーは幅約5mmで、下大静脈との連続性を認めず、三尖弁腱索から連続性に肺動脈弁まで達する巨大で可動性の高いmassであっ た。また同日施行した胸部造影CT検査にて、左右肺動脈内にも血栓像を認めた。下肢静脈エコー検査では右下肢静脈には血栓像は認めず、左 膝窩静脈から左大腿静脈までをほぼ閉塞する血栓像を認めた。以上の検査所見から、下肢静脈血栓からの肺血栓塞栓症および巨大右室内可動 性血栓と診断、内科的治療は困難との判断で、同日緊急に肺動脈血栓除去術、右室内血栓除去術を施行した。手術後、経胸壁心エコーにて肺 高血圧所見は改善し、経過は良好で第27病日に軽快退院となった。【結語】巨大な可動性血栓を右室内に認め、心エコーにて詳細に確認し得る 事で、速やかに手術を施行することができた肺血栓塞栓症の一例を経験した。若干の文献的考察を加え報告する。 ― 155 ― 一般ポスター演題抄録 P-001 Diastolic wall strain(DWS)identifies between HHD and HCM 生島 雅士、金山 彩子、滝内 伸、福本 淳、浅野 克明、大辻 悟、東野 順彦 東宝塚さとう病院 循環器科 【背景】肥大型心筋症(HCM)は、心筋の錯綜配列、繊維化、心筋肥大を特徴とし、高血圧性心肥大(HHD)による肥大とは組織学的に性状 が異なることが知られている。我々は以前組織ドップラー法を用いたrotationの評価でApical HCM(a-HCM)とHHDの区別ができる可能性 を報告したがその相違の機序については不明である。【目的】a-HCMとHHDのApical rotationの相違の成因を、心筋stiffnessを反映する指標と されるdiastolic wall strain(DWS)を評価することにより検討した。【方法、結果】対象はa-HCM23名、HHD25名。(a-HCM 62±7, HHD 68± 11(歳))GE社VIVID7を用いapicalの短軸像を記録し、offlineでrotationとM-mode計測を行った。DWS=(左室収縮末期自由壁厚―左室拡張末 期自由壁厚) ÷ (左壁収縮末期自由壁厚)として計算した。Rotationの角度とDWSについて両群間での比較検討を行った。apical rotationはHHD 患者でa-HCM患者に比べ有意に高値であった。( 13.5±3.6vs.7.3±2.4(度)p<0.01)DWSはa-HCM患者でHHD患者に比べ低値であった。( 0.25 ±0.024vs.0.31±0.077 p<0.05)conventionalなパラメーターとして左室相対壁厚率は両群間で有意差を認めなかった。( 1.16±0.23 vs. 1.09±0.23 p=n.s.) 【結語】今回、apical HCMではHHDと比べ心尖部の回転は低下しDWSの低下も認められた。Apical HCMはHHDと同じ形態の肥大であっ ても、組織学的な相違を認め心筋stiffnessの違いを反映しているものと考えられた。 P-002 Is hypertrophied papillary muscle a type of hypertrophied cardiomyopathy? 梶山 貴嗣、関根 泰、山本 雅文、藤本 善英、松戸 裕治、芳生 旭志、外池 範正、兵働 裕輔、氷見 壽治 国保直営総合病院 君津中央病院 循環器科 背景:乳頭筋肥大(HPM)は肥大型心筋症(HCM)と類似した心電図変化を示すが、通常は臨床的症状を伴わないと考えられている。左室 肥大がなくHPM単独な症例(Solitary HPM)がある一方で、HCMの患者でもHPMが認められ、Solitary HPMをHCMの一つのタイプとする論 文も存在する。Solitary HPM症例の特徴と臨床的意義を二次元断層心エコー図( 2DE)にて評価した。方法:胸骨左縁短軸像における乳頭筋 の最大径が11mmを超えるものをHPMと定義し、77例のSolitary HPM症例(Group A、男性39例、平均年齢65.2歳)と24例のHCM症例(Group B、男性13例、平均年齢72.5歳)を比較した。対象は2DEを用いて形態、左室の収縮・拡張能を記録した。また、組織ドプラ法で拡張早期僧帽 弁輪移動速度(E’)を計測し、E/ E’を算出した。結果:すべての症例で収縮能は正常であった。E'は正常対照と比較して両群において低下して いた。GroupBはGroupAに対して有意に低かった(5.96±1.83cm/s v.s. 3.86±0.91cm/s; p<0.001)。E/E'は GroupBにおいてより高く(12.3±4.4 v.s. 19.5±9.1; p<0.001)、左房径はGrope B においてより拡大していた( 41.0±3.6cm v.s. 43.8±7.5mm; p<0.05)。考察:拡張能ではSolitary HPMは健常人よりは低下しているが、HCM患者ほどの障害は認めなかった。この事からSolitary HPMとHCMは拡張能によって層別できると 考えられた。 P-003 心アミロイドーシスにみられる右室壁の肉柱肥大についての報告 中橋 卓也、有田 武史、三浦 史郎、磯谷 彰宏、岩淵 成志、横井 宏佳、野坂 秀行、延吉 正清 平成紫川会小倉記念病院 【背景】心エコー検査における心アミロイドーシスの特徴的な所見として心室壁の肥厚、左室の拘束型拡張障害などが知られているが、いずれ も特異的ではない。【方法】当院で2010年1月1日から2010年12月31日までの間で心内膜生検によって診断された心アミロイドーシス14例(アミ ロイド群;ATTR型 12例、AL型 2例)と、同時期に心肥大を呈して心内膜生検を施行された13例(コントロール群;拡張型心筋症、肥大型心 筋症、心筋炎、原因不明など)の心エコー所見をretrospectiveに評価した。【結果】心エコー所見において、アミロイド群とコントロール群と を比較したところ左室拡張末期径(アミロイド群41.1mm vs コントロール群45.9mm、p=0.02)、左室収縮末期径(アミロイド群30.2mm vs コ ントロール群38.1mm、p=0.02)、 心室中隔厚(アミロイド群14.9mm vs コントロール群12.1mm、p=0.001)、 左室後壁厚(アミロイド群 15.0mm vs コントロール群12.1mm、p=0.001)、右室壁厚(アミロイド群6.5mm vs コントロール群5.3mm、p=0.03)で有意差を認めた。左室 拡張能評価では両者の間で有意差は見られなかった。また12例のATTRアミロイドーシスのうち、6例においては右室壁に肉柱肥大所見を呈し ていた。granular sparklingはアミロイド群で71%( 10/14)、コントロール群で84%( 11/13)と感度57%・特異度15%であったが、右室の肉 柱肥大所見はアミロイド群で43%( 6/14)、コントロール群で23%( 3/13)と感度43%・特異度77%であった。右室の肉柱肥大所見はgranular sparklingに比べて、特異度においてより有用な所見であると思われ報告する。 ― 159 ― P-004 心サルコイドーシス診断における局所壁運動異常評価の有用性~核医学との比較~ 松井 深香 1、室生 卓 2、安保 浩二 1、石橋 千佳 1、木村 信勲 1、藤岡 一也 1、中尾 満 1、竹内 一秀 3、葭山 稔 2 1 大阪市立大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2 大阪市立大学大学院 循環器病態内科学、3 大阪市立大学大学院 血行動態力学 背景:心サルコイドーシスは治療効果が期待されるため早期発見が重要であるが、心筋の菲薄化はすでに不可逆的な変化を来たしていること が多い。一方、心エコーにおける局所壁運動異常(RWMA)は早期所見として有用と思われるがその精度は十分に検証されていない。目的: 心サルコイドーシスにおける病変の検出にRWMAが有用か否かを検討すること。方法:対象は心サルコイドーシスのうち心筋シンチグラム(RI) を施行した13例(年齢62±15歳、女11例)。左室を16分画し、菲薄化部位を除外した分画に関してRWMAとRI所見を比較検討した。RIはTlな いしBMIPPにて欠損像を示す分画を異常とした。結果:全208分画のうち、菲薄化26分 画を除外した182分画でRWMAのRIの異常所見に対する感度、特異度はそれぞれ97%、 81%であった(p<0.0001、表)。RWMAを認めRIで異常を認めなかった23分画を認めた。 総括: 心サルコイドーシスにおけるRWMAは診断に有用で、RWMAはRIに比しより 早期病変を検出出来る可能性が示唆された。 P-005 心サルコイドーシスの診断における3次元スペックルトラッキング法の有用性 辻 隆之、田中 秀和、三好 達也、平石 真奈、金子 明弘、山脇 康平、漁 恵子、福田 優子、辰巳 和宏、則定 加津子、松本 賢亮、川合 宏哉、 平田 健一 神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学 背景: 心エコー図検査法は心サルコイドーシス(CS)の診断に有用であるが、時に拡張型心筋症(DCM)様の形態を呈するために、両者の鑑 別は容易ではない。本研究の目的は近年開発された3次元スペックルトラッキング法がCSとDCMの鑑別に有用であるかどうかを検討すること である。方法: 対象はCSと診断された17例(平均左室駆出率48±10%)と左室駆出率をマッチさせた16例のDCM患者( 46±10%)である。3次 元スペックルトラッキング法を用いて、左室全16領域のGlobal radial(GRS),circumferential(GCS),longitudinal(GLS)strainを算出した。 結果: CS群のGRSはDCM群と比較して有意に低下していた( 18.3±8.6% vs. 28.5±8.3%, p<0.01)。一方、GCSとGLSは両群間で有意差を認めな かった(20.2±6.8% vs. 21.0±5.8%、11.8±3.3% vs. 11.8±2.6%)。また、CS群ではDCM群と比較して有意にnegative radial ストレインを有する 領域が多かった( 1.8±2.2 vs. 0.1±0.5, p<0.01)。ROC解析によりCSとDCMを区別する指摘カットオフ値はnegative radial ストレイン≧1.0領 域であり(AUC0. 79)、感度65%、特異度94%であった。結論: 3次元スペックルトラッキングを用いたGRSはCS群とDCM群との鑑別に有用で ある可能性が示唆された。 P-006 全身性AA(続発性)アミロイドーシスによる心筋肥大-原疾患治療による10年経過の症例 東上里 康司 1、安 隆則 2、大城 克彦 2、太田 千亜紀 1、菅原 麻世 1、大屋 祐輔 2 1 琉球大学 医学部 附属病院 検査部、2 琉球大学 大学院 医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学 心筋病変を含む全身性AAアミロイドーシス(リウマチ性疾患)による5年生存率は31%と報告されているが、原疾患である家族性地中海熱の コントロールにより10年で心筋肥大の退縮を認めた症例を報告する。症例:48歳、男性。幼少時から、月に2-3回の腹痛や関節痛を伴う発熱発 作をくり返していた。発作は数日の間に自然軽快するため、医療機関を受診するが、原因不明のままであった。36歳、クローン病として治療 が開始されたが、発作の出現は変わらなかった。38歳、難治性下痢、慢性腎不全の精査入院にて、家族性地中海熱による全身性AAアミロイドー シスと診断した。それまで肥大型心筋症として観察されていた心筋肥大は心アミロイドーシスに起因すると判断された。コルヒチンによる原 疾患に対する治療により発熱発作の頻度は著しく減少した。治療開始時と10年後の心臓超音波検査所見は、左室中隔/後壁が22/16から13/13 mmへ退縮し、左室内腔の正常化がみられた。LVEFは93から67%となった。治療経過中、腎不全のため維持透析を導入、洞不全症候群と3度 房室ブロックに対して永久ペースメーカ植え込み術が施行された。 ― 160 ― P-007 非対称性中隔肥大を呈した心サルコイドーシスの1例 -組織ドプラ法を用いた心筋ストレイン法による経時的変化- 中尾 浩司 1、都留 正人 1、寺川 仁人 1、藤本 惠子 1、石本 剛 1、諸根 隆行 1、荒木 順子 1、米川 幸子 1、石沢 博子 1、大岩 新一 1、 岡嶋 克則 2、淀井 景子 2、谷口 泰代 2 1 兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部、2 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科 40歳代男性[主訴]動悸、労作時呼吸困難[家族歴]母親と叔母がサルコイドーシス[既往歴]1977年失神、I度AVブロック。心筋生検は異 常なし。2004年動悸で近医受診。心房粗動で当院受診し、投薬で洞調律。2005年アブレーション施行。2009年12月労作時呼吸困難、他院でAV ブロックと心房細動を指摘、アブレーションとペースメーカー目的で当院紹介となるが、CTで縦隔と肺門部に多発性リンパ節腫大、心臓腫瘍 を疑い、アブレーション中止。[現病歴]他院の縦隔リンパ節生検でサルコイドーシスと診断され、当院紹介。[現症]血圧118 / 58、脈拍48 / 分(整)、呼吸音及び聴診異常なし、呼吸苦及び下腿浮腫なし。[血液検査]BUN23.8mg/dl、BNP34.9pg/ml、他に有意所見なし。[胸部X線] CTR54%、左肺門リンパ節腫大[心電図]完全AVブロック、心房粗動[心エコー]AoD27.8mm、LAD48.0mm、IVST17.3mm、LVPWT9.7mm、 LVDd47.6mm、LVDs29.9mm、FS37.2%、LVEF60.3%、RVP37mmHg、心室中隔基部の非対称性中隔肥大。[造影CT]心房中隔と心室中隔の 肥厚、右房壁に接した腫瘤。[Gaシンチ]縦隔部と心臓に集積。[MRI]造影T1WIで心室中隔基部は不均一な染影、T2WIで心室中隔は高信号 の肥厚。【ステロイド治療の検査所見】[心エコー]治療1週、6週、14週後でIVST15.6mm、12.6mm、11.4mm、心室中隔基部の最大ストレイ ン値9%、20%、30%に改善。[造影CT]肥厚と腫瘤は消失。[Gaシンチ]集積消失。[MRI]肥厚は消失。[まとめ]非対称性中隔肥大を伴う心 サルコイドーシスのステロイド治療は、心室中隔肥厚部を正常化し、最大ストレイン値が改善した。心サルコイドーシスの診断及び治療効果 判定は、心筋ストレイン法による壁運動評価が有用と考えられた。 P-008 心臓超音波検査法による収縮期最大圧較差は小児大動脈弁上狭窄症の狭窄程度を過大評価する 山澤 弘州、上野 倫彦、武田 充人、武井 黄太、古川 卓朗、泉 岳 北海道大学病院 小児科 【背景】以前我々は小児の大動脈弁狭窄症(AS)では圧回復現象の補正がなくても、心臓超音波検査と心臓カテーテル検査による収縮期最大 圧較差、平均圧較差に大きな乖離を認めないことを報告した。しかし成人には少ない大動脈弁上狭窄症(SVAS)での報告はほとんどない。【目 的】小児SVASにおける心臓超音波検査と心臓カテーテル検査による収縮期最大圧較差及び平均圧較差の値について検討する。【方法】対象は SVASの6症例(月齢37.8±24.6ヶ月: 平均±SD) で、 心臓超音波検査および心臓カテーテル検査から算出した、 収縮期最大圧較差(peak instantaneous Doppler PGおよびpeak catheter PG)、平均圧較差(mean Doppler PGおよびmean catheter PG)の値について検討した。【結果】 収縮期最大圧較差はpeak catheter PG =0.85 peak instantaneous Doppler PG-8.14mmHg, r2=0.71と相関は悪くないが、ASの時と異なり心臓 超音波検査法による値が心臓カテーテル検査法による値を大きく過大評価する症例を認めた。 平均圧較差でも心臓超音波検査法の値はmean catheter PG =0.96mean Doppler PG-5.41mmHg, r2=0.93と心臓カテーテル検査法の値を過大評価する傾向を認めたが相関は良好で、大きな乖 離は認めなかった。【結論】小児SVASでは平均圧較差はASの時と同様、検査法による乖離は小さかった。しかし収縮期最大圧較差では心臓超 音波検査法は心臓カテーテル検査法に比較し大きく過大評価する可能性が示唆された。 P-009 2Dスペックルトラッキング法による新生児左室ストレインの評価 丸山 麻美、佐藤 有子、川瀬 泰浩、市橋 光 自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科 [目的]近年、心筋ストレインを用いた心機能評価が行なわれはじめているが、新生児領域での試みは僅かである。今回われわれは新生児・未 熟児の心エコー検査において、2Dスペックルトラッキング法による新生児左室心筋ストレインを計測した。[対象および方法] 対象は自治医 科大学附属さいたま医療センター新生児室に入院した新生児のうち、心奇形を認めず、呼吸・循環状態が安定していた21名である(在胎週数 37.2±2.3、出生体重2638±573g)。日齢0~9に行なった心エコー検査における乳頭筋レベルの左室短軸断面を動画で2心拍分を保存し、循環器 画像診断参照システムXcelera(Philips社)を用いて画像の解析を行った。心内膜のトレースから中心を決定し、それを基に心内膜側と心外膜 側の心筋範囲を設定し、2Dスペックルトラッキング法による左室ストレインを計測した。[結果]円周方向ストレイン(circumferetial strain) は中隔、前壁中隔、前壁、側壁、後壁、下壁でそれぞれ-28.5±10.5、-25.5±8.4、-21.6±9.2、-16.4±7.3、-14.9±7.6、-22.5±6.0(%)で、 中隔と前壁中隔で大きく、側壁と後壁で小さい特徴を有した。心内膜側と心外膜側の心筋ストレインを比べると心内膜側で高値を示した。心 内膜側と心外膜側のストレインの比は、各領域で有意差を認めなかった。[結論]新生児の円周方向の左室ストレインは、成人と同様の特徴を 示した。 ― 161 ― P-010 Pressure-Strain Loopを用いた心室収縮様式の評価-右室および左室型単心室での検討- 鈴木 一孝、新居 正基、宮越 千智、戸田 孝子、濱本 奈央、芳本 潤、金 成海、満下 紀恵、小野 安生 静岡県立こども病院 循環器科 【背景】スペックルトラッキング法による心筋ストレインは、心筋壁固有の収縮・拡張運動を正確に評価できる。しかしストレインは後負荷の 影響を受けることが知られており、ストレインのピーク値のみでは局所心筋機能を正確に評価することはできない。心筋壁局所ストレインと 心室圧の同時測定によりPressure-Strain Loopを得ることができ、その面積(PSLA(KJ/m3))は局所心筋仕事量の代用となり得る。【目的】 心室の3方向でPSLAを計測し、右室型単心室(SRV)・左室型単心室(SLV)および正常左室(Control群)の3群間で心室仕事様式の違いを比 較する。【方法】対象:21例(男11/女10)、SLV:7例、SRV:7例、Control群:7例、年齢:中央値3歳( 0-10歳)。単心室患者は全てFontan術後。心 臓カテーテル検査中に心室圧と心エコー記録を同時に施行。ストレインは次の3方向で計測:1)心室中央部横方向(T-MID)、2)心室中隔側 縦方向(L-VS)、3)自由壁縦方向(L-LW)。【結果】Control群:T-MIDのPLSA値は、3.13KJ/m3(1.98-5.09)であり、L-VS:1.65(1.28-2.03) やL-LW:1.63( 1.24-2.00)に比して有意に大きかった。SLV群では各成分間で有意差を認めなかったもののT-MIDはL-VSやL-LWよりも大きい 傾向を示した。SRV群において各成分は一様な値であり有意差を認めなかった。【考察】正常左室では、心室中央部横方向のPSLAは縦方向に 比して有意に大きく、心室仕事様式として横方向の収縮がより大きく関与していることが示された。SLV群でも有意差は認めないものの、横 方向の仕事が大きい傾向を示した。一方、SRV群では全方向のPSLA値が近似しており心室は一様な仕事様式を呈していると考えられた。 P-011 卵円窩推定面積と卵円孔開存との関連について 川井 真、中根 登喜子、藤井 真也、木村 悠、吉田 律、野尻 明由美、山根 禎一、本郷 賢一、吉村 道博 東京慈恵会医科大学 循環器内科 【目的】脳梗塞の約30%は原因不明であり、奇異性脳塞栓症として分類される。いままでに示された奇異性脳塞栓症と卵円孔開存との有意な関 連は、卵円孔開存の存在が奇異性脳塞栓症発症のリスクであることを示唆している。我々は経食道心エコー図検査(TEE)における卵円窩断 層像の測定値から、卵円窩面積を推定し卵円孔開存率との関係を検討した。【方法】対象は心房細動に対する肺静脈隔離術前の患者224名(肺 静脈隔離術前群)と原因不明の脳梗塞患者50名(奇異性脳塞栓症群)であり、それぞれ施行したTEEによって測定した卵円窩の縦径と横径より、 卵円窩を楕円形として仮定することで面積を推定した。卵円孔開存の有無は、肺静脈隔離術前群では心筋焼灼術時にカテーテルによる穿通が 必要であったかどうか、また、奇異性脳塞栓症群ではTEEにおけるコントラストエコー法にて診断した。【結果】卵円孔開存を認めた割合は、 肺静脈隔離術前群と奇異性脳塞栓症群においてそれぞれ19%( 43名)と74%( 37名)であった。卵円窩推定面積はそれぞれの群においても卵 円孔開存有りの症例で有意に大きく、 肺静脈隔離術前群では338.0±193.1mm 2 対235.5±126.6mm2 であり、 奇異性脳塞栓症群では257.4± 113.8mm2対183.9±61.5mm2であった。それぞれの群において卵円孔開存検出のための卵円窩推定面積のカットオフ値は270mm2と200mm2であ り、この時の卵円孔開存の検出感度と特異度は56%、70%と65%、77%であった。【結論】以上より卵円窩推定面積200mm2以下の場合、卵円 孔開存率が極めて低いことが示唆された。 P-012 肺動脈弁狭窄を合併した不完全型房室中隔欠損症の一例 伊藤 梢 1、斉藤 尚孝 2、川上 知子 1、高瀬 博美 1、羽根川 立人 1、土川 泰子 1、稲葉 直美 1 1 函館中央病院 検査科、2 函館中央病院 循環器科 不完全型房室中隔欠損症において房室弁の逆流を伴わないものは、病態的には二次孔心房中隔欠損と同様に小児期は無症状で経過する。しかし、 年齢とともに左室の伸展性が低下して短絡量の増加や、加齢による二次的変化を受け、不整脈の出現などを契機に心不全が出現する例が多い。 今回、心房中隔欠損による短絡で右心負荷が進行したが、肺動脈弁狭窄の合併のため肺高血圧とはならず心不全が顕在化せず、無治療でも高 齢まで生存できた症例を経験し報告する。 【症例】72歳女性【現病歴】19歳時に先天性心疾患の指摘を受けたが詳細不明、以後通院歴なし。労作時息切れ、動悸あるが軽労作の範囲で日 常生活はこなしていた。平成19年6月、下肢浮腫、腹水貯留にて近医受診。心拡大、心電図異常認め入院精査。不完全型房室中隔欠損症、肺動 脈弁狭窄、狭心症を認め、当院の循環器科紹介となる。 【検査所見】心エコーにて一次孔心房中隔欠損、重症三尖弁逆流、肺動脈弁狭窄症を認めた。僧帽弁裂隙は軽微で僧帽弁逆流は軽度であった。 心臓カテーテル検査では、Qp/Qs 2.54、L-R.shunt 63.1%、R-L.shunt 6.4%の心房間短絡、右室圧98/EDP20mmHgと高値であるが、PSのた め肺動脈圧33/18( 26)mmHgと軽度上昇に留まっていた。冠動脈造影にて、左前下行枝(#7)90%狭窄を認めた。【治療経過】まず、冠動脈 左前下行枝(#7)90%狭窄に対してPCI施行。STENT(BMS)留置にて改善。その1ヵ月後、当院心外科にて一次孔閉鎖、三尖弁形成術、房 室弁輪前後径短縮術、および肺動脈弁形成術を施行した。 ― 162 ― P-013 心房中隔欠損のシャント量決定因子 -カテーテル治療1年後の心室パフォーマンスの検討から- 須田 憲治 1、石井 治佳 1、伊藤 晋一 2、籠手田 雄介 2、工藤 嘉公 1、家村 素史 1、寺町 陽三 1、西野 裕 1、前野 泰樹 1、松石 豊次郎 1 1 久留米大学 医学部 小児科、2 聖マリア病院 小児循環器科 【背景と目的】 心房中隔欠損(ASD) の患者で、 欠損孔の大きさ自体がシャント量に直接的に影響しない、 大きさのよく似たASDの患者で、 治療後心室がほぼ正常化した時点で、心エコーによりシャント量(Qp/Qs)の規定要因を調べた。【方法】対象は、ASDでカテーテル治療を施 行し、 径15-20mmのデバイスを留置した患者45例(ASD群) と健常対照35例(CONT群)。ASD群で、 デバイス径(欠損孔径の代わり) と Qp/Qsに相関はなく、カテーテル治療後6か月から1年を経過し、心室の容積が正常化した時点で検査した。M-modeからLVDd, LVEF, Doppler 心エコーから MV-E, MV-A, MV-E/A, TV-E, TV-A, TV-E/A, LV Tei Index, RV-Tei Index, sepctralとcolor TDIそれぞれからLV-Sa, LV-Ea LV-Aa, LVEa/Aa, RV-Sa, RV-Ea, RV-Aa, RV-Ea/Aaを計測し、Ea, Aa, Ea/Aa, SaについてはRV/LVの比を計算した。これらの値をASD群と CONT群で比較するとともに、ASD群では術前のQp/Qsとの相関を調べた。【成績】2群間に年齢( 23.9 ± 12.8 vs. 27.8 ± 6.7歳)HR( 64 ± 9 vs. 66 ± 10)、LVDd( 44.1 ± 4.8 vs. 44.7 ± 4.6mm)や、TDIの各指標に有意差は無く、術後6か月以降でASD群の心室形態はほぼ正常化して いると考えた。この時点で計測したDoppler検査指標にQp/Qsと有意な相関を認めたものは無かった。一方、TDI指標のうち、spectral TDIの RV-Ea(r=0.32, p<0.03)、EaのRV/LV(r=0.31, p=0.05)、Color TDIのEaのRV/LV(r=0.34, p<0.04)が有意に相関した。【結論】ASDのシャ ント量を規定するのは、左右心室の拡張能の差である。 P-014 急性肺塞栓症類似の心エコー図所見を示し、治療による経時的変化を記録しえた衝心脚気の1例 横井 靖世 1、福田 大和 2、森下 智文 2、小島 義裕 1、山本 裕介 3、福田 信夫 3、田村 禎通 2 1 国立病院機構 善通寺病院 臨床検査科、2 国立病院機構 善通寺病院 循環器科、3 国立病院機構 善通寺病院 臨床研究部 症例は41歳男性。2008年頃よりインスタント食品中心の食生活を送っていた。2010年6月より四肢の しびれと10Kgの体重増加を認めていたが、9月に呼吸困難が増強し救急搬送された。来院時ショック 状態でpH7.0と代謝性のアシドーシスを呈し、 心エコー図で著明な右室拡大と壁運動低下及び推定肺 動脈圧上昇( 45mmHg)を認め、急性肺塞栓(APE)を疑ったが、造影CT検査で否定された。カテ コラミン大量投与でも血圧上昇せず、人工呼吸を必要とした。スワンガンツ・カテーテルを挿入し心 拍出量を測定すると11L/分と著明高値であったため、衝心脚気を疑いチアミンを静脈投与した。投与 2時間後より血圧上昇とアシドーシス改善を認め、 その後右室負荷は徐々に軽減し第23病日に退院で きた。治療前の血中チアミン濃度は17ng/mlと低値であった。右心負荷の強い衝心脚気ではAPE類似 の血行動態を示すことがあり、診断困難例も多い。APE類似の心エコー図所見を示し、治療経過中の 経時的心エコー図を記録しえた衝心脚気の1例を報告する。 P-015 心エコー経過を確認できた雷撃傷の1例 サッキャ サンディープ、小寺 聡、糟谷 美有紀、山下 周、鈴木 洋輝、安部 紘嗣、藤巻 茂謙、宮地 浩太郎、石脇 光、佐藤 寿俊、 櫛田 俊一、神田 順二 総合病院国保旭中央病院 【症例】30歳代 男性 【主訴】心肺停止【現病歴】7月下旬12時半頃、海辺で雷にうたれ受傷した。心肺停止状態でライフセーバーが発見した。 心肺蘇生にて脈拍再開と停止を繰り返すようになった。13時頃ドクターヘリにて気管内挿管を行い、 当院救急外来を受診した。【現症】 血圧 140/74mmHg(エピネフリン使用下)、脈拍130bpm、意識レベルE1VTM5【心電図】心拍数129bpm、洞調律、完全右脚ブロック【心エコー】 中隔壁厚7mm、diffuse hypokinesis、EF20~30%程度、心嚢水なし、明らかな弁膜症なし【入院後経過】呼吸循環動態が不安定なためカテコ ラミン・人工呼吸器を使用した。集中治療により徐々に呼吸循環動態が安定した。入院後CPKの上昇を認め、心電図では広範な陰性T波を認 めた。1週間後の心エコーではEFは50%程度に改善していた。入院時と異なり200-300mlの心膜液と左室壁の全周性肥大(中隔壁厚9mm)を 認め、急性心筋炎に類似した心エコー所見であった。E波が0.45m/s、A波が0.63m/sでE/Aが0.71、DTが159msと拡張障害を認めた。経過良好 にて第11病日に独歩で退院した。2ヶ月後の心エコーでは心膜液および左室肥大は消失していた。拡張障害も改善し、ほぼ正常な心エコー所見 であった。【結語】本症例は雷劇症により心肺停止となったが、蘇生され後遺症なく治療できた。経過中に心エコーで一過性の左室壁運動低下、 心膜液貯留、左室拡張障害を認めた。雷撃傷の心エコー経過を確認できた稀な症例であり、文献的考察を加えて報告する。 ― 163 ― P-016 トラスツズマブによる心不全をきたした2例 上田 素子、松村 敬久、川田 泰正、馬場 裕一、羽屋戸 佳世、大川 真理、久保 亨、山崎 直仁、北岡 裕章、古野 貴志、土居 義典 高知大学 医学部 附属病院 老年病科 1例目は54歳女性。右乳がん、肺転移に対し、2006年からトラスツズマブを導入した。約2年の経過で労作時息切れと胸水貯留を認め、当科へ 入院した。トラスツズマブ導入前はLVDd/Ds 51/31mm、EF70%であったが、当科入院時はLVDd/Ds 67/60mm、EF30%と低下していた。うっ 血は利尿剤で速やかに改善し、原因精査として心筋シンチグラフィーを含む精査を行ったが有意な所見を認めず、トラスツズマブによる心毒 性と判断した。原因薬剤の中止と、ACE阻害薬、β遮断薬の導入を行い、2ヵ月後にはLVDd/Ds 55/42mm、EF45%と改善を認めた。2例目は 53歳女性。右乳がんに対し、2009年に右乳房扇状部分切除術を行い、トラスツズマブを導入した。導入9ヵ月後より夜間呼吸苦を自覚し、肺うっ 血を認め当科へ入院した。トラスツズマブ導入前はLVDd/Ds 48/30mm、EF70%であったが、入院時はLVDd/Ds 55/48mm、EF40%であった。 うっ血は利尿剤投与で速やかに改善し、原因精査として冠動脈造影を含む精査を行ったが、有意な所見を認めず、トラスツズマブによる心毒 性と判断した。原因薬剤の中止と、ACE阻害薬、β遮断薬の導入を行い、3ヵ月後にはLVDd/Ds 45/30、EF63%と改善を認めた。トラスツズ マブ単独では2-7%、アントラサイクリン系などと併用した場合は28%に心機能低下を来たす。左室の拡大と、びまん性の壁運動低下を来たし、 拡張型心筋症に類似する。しかし、その変化は可逆性であり、薬剤中止などにより、2-4ヶ月で回復してくることが特徴とされている。トラ スツズマブによるうっ血性心不全を発症し、トラスツズマブ開始前からの左室形態と左室収縮能の変化を観察し得た2症例を経験した。文献的 考察を加え報告する。 P-017 クロミプラミンにより心不全をきたした症例 北條 義明 1、高橋 利絵子 2、黒沢 幸嗣 2、中島 正博 1、柳沢 三朗 2、奥村 渉 2、倉林 正彦 2 1 深谷赤十字病院 内科、2 群馬大学医学部附属病院 症例は69歳男性。2009年6月に胸痛の原因精査のため、心臓カテ-テル検査を行ったが、冠動脈は正常であり、左室造影ではLVEF 59%と極軽 度の全周性壁運動低下を認めるのみであった。 心エコーでもLVEF 67%と収縮能は保持されており、 軽度~中等度の大動脈弁逆流を伴った。 当時より鬱病にて精神科外来に通院し、内服加療を行っていた。2010年7月、呼吸困難を主訴に来院され、心不全の診断にて当院入院となった。 胸部X線では以前と比し著明な心拡大を認め、入院時の心エコーでは左室はEDV 321mlと高度拡大し、LVEF 19%と高度の左室収縮障害を認 めた。大動脈弁逆流の程度は以前と著変なく、血清BNP濃度は1960pg/mlと著明な上昇を認めた。カルペリチド、フロセミドによる治療で心 不全は改善に向かい、 原因精査のため心臓カテーテル検査を施行した。 冠動脈は正常であったが、 高度の全周性壁運動低下を認め、LVEF 21%であった。短期間での急激な心機能の低下の原因として、心筋炎や薬剤性心筋障害を疑った。心筋生検では特異的な所見を認めず、拡張 型心筋症に矛盾しない所見であったが、2010年4月から鬱病に対しクロミプラミンを投与されており、三環系抗鬱薬によって心不全をきたした 症例の報告も散見されるため、クロミプラミンの投与を中止したところ、心機能は速やかに改善がみられた。同年12月に施行した心エコーで はLVEF 59%と収縮能は改善し、左室容量もEDV 119mlと縮小、BNPも12.0pg/mlまで低下した。心エコーで経過を追えたクロミプラミンによ り心不全をきたしたと考えられる症例を経験したため報告する。 P-018 心不全で入院となった仮性心室瘤の1例 小野 和重 1、関根 泰 2、村田 尚行 1、國金 正宏 1、梶山 貴嗣 2、兵働 裕介 2、外池 範正 2、芳生 旭志 2、松戸 裕治 2、藤本 義英 2、 山本 雅史 2、氷見 寿治 2 1 君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科 症例は58歳男性。1ヶ月前に2、3日続く胸痛を自覚するも放置していた。その後全身倦怠感、呼吸困難が徐々に悪化。救急車にて搬送となった。 胸部X線にて両側胸水貯留、当直医の心エコー図検査にて心室中隔欠損症、肺高血圧を確認し心 不全の診断で緊急入院となった。 入院後心エコー室にて検査を施行。 左室下壁基部に57mm × 39mmの仮性心室瘤を確認した。瘤は右室に穿破し、瘤入口部( 35mm)から流入した血流は右 室に流入(左→右短絡)していた。胸痛のエピソードもあり虚血性の仮性心室瘤と考え心不全加 療後に冠動脈造影検査を施行。 右冠動脈#2:75% #3:99%狭窄、 左主幹部#LMT:75% #6:75% #11:75%狭窄を認め、心臓血管外科にて左室仮性心室瘤修復術(パッチ閉鎖)+冠動脈バイパス 術を施行した。仮性心室瘤の右室穿破は稀な所見であり症例を報告する。 ― 164 ― P-019 Health Care-Associated Infective Endocarditis(HCAIE)診断における心エコー図検査施行の重要性、 2つの心不全症例からの教訓 上西 洋二 1、島田 恵 2、馬場 彰泰 2、小杉 理恵 2、小平 まさみ 1、木村 さゆり 1、山田 洋子 1、林 規隆 1、高橋 路子 2、赤石 誠 2 1 北里大学 北里研究所病院 診療技術部 臨床検査科、2 北里大学 北里研究所病院 循環器内科 症例1:84歳女性。外科で胃癌のため胃摘出手術を施行、手術時に中心静脈カテーテルを挿入された。術後2週間経過して38度以上の発熱が出現、 カテーテル感染を疑い抜去したが発熱が続き、血液培養で多剤耐性ブドウ球菌(MRS)が検出された。抗生剤治療を開始したが症状改善せず、 血液培養で陽性が続き、術後1カ月の経過で呼吸困難が突然出現、人工呼吸器管理となった。循環器内科に診療依頼あり、心エコー図検査で僧 帽弁に疣腫を認め、IEに伴った急性僧帽弁閉鎖不全による急性心不全と診断され、IEに準じた治療を開始したが、 状態悪化により死亡した。 症例2:60歳女性。高血圧性心不全で入院し、利尿剤等の治療で一時軽快した。その後、突然39度の発熱を来たし、心室細動を生じて電気的除 細動を施行、 洞調律に復帰したが、 全身状態不良で集中治療室で人工呼吸器下に管理、 中心静脈カテーテルも挿入して点滴治療を継続した。 発熱時の血液培養でMRSが検出、感受性のあったメロペネムの大量投与を行った。この間、IEの可能性を考慮して繰り返し心エコー図検査を 施行したが、疣腫や新たな弁逆流は検出出来ず、IEは否定的であった。抗生剤が奏功せず、血液培養でも繰り返しMRSが検出されたが、発熱 後に挿入したカテーテルの抜去で症状は軽快、カテーテル先の培養からも同様のMRSが検出された。以上の2症例は、いずれもMRSによる敗 血症の症例だが、症例1はHCAIEであることが疑われず、状態悪化してから明らかになったのに対し、症例2では繰り返し心エコー図検査を施 行することでHCAIEを否定して良好な経過を辿った。HCAIEの可能性を認識しながら心エコー図検査を行うことの重要性を再認識した症例と して報告する。 P-020 胸部下行大動脈縮窄症による急性心不全の急性期と回復期を心筋スペックルトラッキング法で観察した大動脈炎 症候群の1例 原 佳世 1、西村 和久 1、井上 勝次 1、東 晴彦 1、藤井 昭 1、稲葉 慎二 1、永井 啓行 1、鈴木 純 1、大木元 明義 1、檜垣 實男 1、 岡山 英樹 2 1 愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 愛媛県立中央病院 循環器病センター 症例は70歳、女性。昭和60年に大動脈炎症候群と診断され内服加療が行われていた。平成22年6月、農作業後に息切れが出現したため救急外来 を受診した。胸部X線で肺うっ血を認め、心エコーでは左室収縮能が保持された著明な求心性肥大所見を認めたためdiastolic heart failureと診 断した。 急性心不全は薬物療法により速やかに改善した。 入院時と第二病日の2D エコー画像からspeckle tracking法を用いてglobal longitudinal strain(GLS)と拡張 早期strain rate(dGLSr)を比較検討した。治療後にGLSの変化は認められなかった が、dGLSrおよびE/dGLSrの改善を認めた(図A)。造影CTで胸部下行大動脈縮窄(図 B)を認め、心臓カテーテル検査の結果、縮窄部前後で約100 mmHgの圧較差を認 めた。後日外科的治療を行った。本症例は後負荷増大による急性心不全を発症した 大動脈縮窄症と考えられspeckle tracking法を用いた心機能評価を行った。 興味深 い症例と思われたので文献的考察を踏まえて報告する。 P-021 心臓再同期療法におけるリード感染の特徴 -当院での経食道エコーにおける検討- 小林 さゆき 1、林 亜紀子 1、善利 博子 1、薬袋 路子 1、江口 美知子 1、小沼 善明 2、佐々木 伸二 2、飯島 忍 2、池辺 麻衣 2、澤 朋良 2、 木村 紀子 2、酒井 良彦 1、高柳 寛 1 1 獨協医科大学越谷病院 循環器内科、2 獨協医科大学越谷病院 臨床検査部 【背景】今日、デバイス治療の増加に伴い、デバイス感染が増加している。特に心臓再同期療法( Cardiac Resynchronization Therapy : CRT ) はリード本数が多く、かつ、患者背景上、低心機能に加え、臓器合併症が多いため、早期診断、治療が大変重要である。が、これまでにCRT におけるリード感染の経食道エコー( TEE )所見に関する報告は少ない。【目的】当院でのCRT施行例のリード感染におけるTEE所見の特徴 を検討した。【対象と方法】対象は当院において2004年1月から2010年11月までの期間中、CRTを施行した63例。方法は術後、デバイス感染の 有無を観察し、リード感染例においては臨床所見とTEE所見( vegetationの部位、形状、大きさ、輝度の程度、可動性の有無 )を評価した。【結 果】1. CRT 63例中、デバイス感染を3例( 5% )に認め、2例がリード感染、残り1例は本体部の感染後のリード感染であった。2. 全例が糖尿 病あるいは耐糖能異常、腎障害を合併していた。3. TEEにおいてvegetationはリードに付着あるいは沿うsleeve様エコーとして描出され、可動 性の高いひも状エコーを示す例はなかった。Vegetationは2例で右房、右室内を走行するリードに、診断に難渋した1例は4回目のTEEにて冠静 脈内リードに沿って広範囲に低輝度エコーとして描出された。【総括】CRTリード感染例では基礎疾患に耐糖能障害を合併する例が多く、 TEE所見ではvegetationはペースメーカリード感染と同様、リードに付着あるいはsleeve様エコーとして描出された。CRTリードが疑われた 際には、各リードを広範囲に描出し、詳細かつ経過を追って観察することが大切であると考えられた。 ― 165 ― P-022 感染性心内膜炎に感染性冠動脈瘤を併発した一例 高橋 のり 1、田中 信大 1、武井 康悦 1、黒羽根 彩子 1、木島 勇人 1、椎名 一紀 1、宇野 美緒 1、齋藤 友紀雄 1、山科 章 1、鷹合 真太郎 2、 山本 宜孝 2、高田 宗尚 2、牛島 輝明 2、渡邊 剛 2 1 東京医科大学 循環器内科、2 東京医科大学 心臓外科 症例は54歳男性。他院にて下壁心筋梗塞を発症。責任血管である右冠動脈#2に対して冠動脈内ステント留置術施行された。約四ヶ月後より全 身倦怠感、歩行困難、発熱、下肢浮腫などの右心不全症状あり、MSSAによる三尖弁位感染性心内膜炎と診断され治療開始されるも腎機能障害、 全身性感染性塞栓症(細菌性髄膜炎、脳梗塞、肺塞栓症、膿胸、左眼内炎)を合併したため精査加療目的に当院転院となった。転院後の経食 道心エコー検査で三尖弁に18×19mmの可動性に富む疣腫と弁輪部周囲に膿瘍を、また大動脈弁と僧帽弁にも10mm弱の疣腫をそれぞれ認めた。 抗生剤加療していたが、その後も炎症反応は完全には鎮静化しなかった。フォローアップの経胸壁、経食道心エコー図では、三尖弁や大動脈弁、 僧帽弁に付着した疣腫は縮小したが、右房室間溝を走行する右冠動脈部に瘤を認めた。冠動脈造影CT試行したところ、右冠動脈ステント挿入 部より近位側に生じた冠動脈瘤を認めた。急速に拡大する傾向だったため、心臓外科転科し、準緊急手術(右冠動脈結さつ術、三尖弁切除術) を施行した。播種性血管内凝固症候群、右心不全、全身性感染性塞栓症、感染性冠動脈瘤を合併した重度の感染性心内膜炎の1例を経験したの で報告する。 P-023 冠動脈内stent感染による感染性冠動脈瘤の一例 吉村 雄樹 1、渡邉 望 3、増山 浩幸 1、金城 玉洋 2、福永 隆司 1 1 県立宮崎病院 循環器科、2 県立宮崎病院 心臓血管外科、3 川崎医科大学 循環器内科 症例は61歳男性。2006年に糖尿病性腎症で血液透析導入された。2008年4月に不安定狭心症(RCA#2 99%)で冠動脈形成術(PCI)施行。そ の後LCX#11 90%に対してPCI施行。11月に狭心症で#7 75%にPCI施行された際、#2にステント内再狭窄75%を認めPOBA施行された。2009年 7月には#7stent近位部に75%狭窄を認めPCI施行。2010年1月の冠動脈造影では有意狭窄は認めなかった。同年 8月8日に38℃の発熱、胸痛が出 現し8月9日近医に入院、発熱の原因精査のため12日に当院に紹介入院となった。心電図は洞調律でV1~3 QS pattern,IaVL V4~6陰性T波であっ た。経胸壁心エコー図検査で右房室間溝に径18mm大の瘤状エコーを認め、冠動脈瘤を疑い冠動脈造影を行ったところRCA#2ステント近位側 に径14mm大の冠動脈瘤および 90%狭窄を認め開胸下での冠動脈瘤切除並びにCABGの方針となった。しかし、前縦隔~心嚢は炎症にて癒着 が激しく、仮性瘤部分を剥離途中で膿汁を認めたためbypassそのもののrisk(吻合部破綻)が懸念され 感染コントロールを優先し洗浄ドレナー ジ並びに瘤部をタココンブ・フィブリン糊で可及的に固める保存的治療となった。本症例は原因不明の発熱で発症した透析患者のPCI施行1年 半後のステント感染に伴う冠動脈瘤で、経胸壁心エコー図による詳細な観察により冠動脈瘤の診断をすることができた。 P-024 急性細菌性心内膜炎(Acute Bacterial endocarditis)の2症例 中村 幸美 1、水上 尚子 1、野口 慶久 1、大園 七瀬 1、湯之上 真吾 1、徳重 沙織 1、湯浅 敏典 2、高崎 州亜 2、桑原 栄嗣 2、河野 美穂子 2、 窪田 佳代子 2、植屋 奈美 2、堀添 善尚 2、茶圓 秀人 2、木佐貫 彰 2、井本 浩 3 1 鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部門、2 鹿児島大学病院 心臓血管内科、3 鹿児島大学病院 心臓血管外科 【症例1】70歳女性。腰痛にて整形外科入院後、発熱、敗血症性ショックとなり循環器へ転科した。心エコーにて僧帽弁に疣贅を認め、血液培 養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された。その後僧帽弁逆流は増悪し、心不全コントロールが困難となったため、当院紹介となった。 入院時の経胸壁心エコー(TTE)では僧帽弁にあきらかな疣贅は検出されなかったが、僧帽弁前交連側より高度の逆流が観察された。3D経食 道心エコー(TEE)では僧帽弁の前交連は大きく欠損しており、弁輪部に付着する広範囲な疣贅が鮮明に観察された。即日緊急手術が施行さ れたが、 僧帽弁前交連側は広範囲に破壊され、 前乳頭筋の一部も断裂していたため弁形成は困難と判断され、 生体弁置換となった。【症例2】 83歳女性。11年前に僧帽弁狭窄症に対し僧帽弁置換術を施行。3週間前から発熱があり、近医での心エコー上、人工弁に疣贅を認め、血液培養 にてグラム陰性桿菌が検出された。抗菌薬が投与されたが心不全が出現、当院搬送となった。当院でのTTEでは、人工弁に付着する可動性に 富む疣贅と著明な弁座の動揺が認められ、弁周囲から高度な逆流がみられた。前医での5日前のTEEと前日のTTEでは、弁座の動揺はみられず、 急速に進展した急性細菌性心内膜炎(ABE)と診断され、緊急で人工弁再置換術が施行された。術中所見は、人工弁輪の約半分は膿瘍形成に より弁座が浮いている状態で、後交連側には弁座と弁輪との間に5mmの孔を形成していた。【まとめ】急激な経過を辿るABE症例では、詳細 な観察が可能なTEEと頻回に施行可能なTTEによる注意深い経過観察が重要であると思われた。 ― 166 ― P-025 左室心内膜面に及んだ僧帽弁の感染性心内膜炎の一症例 岩崎 実加 1、平田 久美子 2、和田 希美 2、山田 香織 1、石橋 耕平 2、小向 賢一 2、谷本 貴志 2、北端 宏規 2、猪野 靖 2、中西 浩子 2、 木村 桂三 2、今西 敏雄 2、赤阪 隆史 2 1 和歌山県立医科大学 循環器内科 超音波検査室、2 和歌山県立医科大学 循環器内科 【症例】66歳女性【既往歴】特記事項なし【現病歴】2010年10月23日から38℃台の発熱と全身倦怠感が出現し、10月24日、精査加療目的で他院 に入院となった。経胸壁心エコーにて少量の僧帽弁逆流を認めた。10月25日、血液培養よりMSSAが検出され、抗菌薬が開始された。10月27日、 意識低下が出現し、頭部MRIにて多発性脳梗塞を認めたため、脳血栓塞栓症の疑いで、当院転院となった。入院時の胸部レントゲンにて肺鬱 血を認め、心不全が疑われた。心エコー図検査にて、僧帽弁逸脱による中等度の僧帽弁逆流と逸脱した弁尖に疣腫の付着を認めた。また左室 心内膜面全体に多発するひも状の構造物の付着を認めた。感染性心内膜炎と診断し、抗菌薬投与を続け経過観察を行った。経過中、左室内膜 面のひも状構造物は徐々に消退したが、疣腫の増大と僧帽弁逆流の増加を認めたため、11月29日、僧帽弁形成術を行った。左室内膜面は肉眼 的には浮腫状で変色していた。病理所見では左室内膜面と僧帽弁付着物に炎症細胞の浸潤を認めた。【結語】僧帽弁の感染性心内膜炎が左室心 内膜面へ波及した症例を経験した。 P-026 アトピー性皮膚炎の感染から腸腰筋膿瘍を合併した感染性心内膜炎の一例 大西 正人 1、奥 真奈美 2、野方 華子 2、岡本 暢之 2、川田 早希 2、中村 文泰 3、和田 厚幸 1 1 草津総合病院 循環器内科、2 草津総合病院 臨床検査科、3 草津総合病院 消化器内科 症例は62歳男性。アトピー性皮膚炎、アルコール性肝障害で当院に通院していたが、平成22年9月初旬から37.8℃の発熱、下痢、下血、腰痛が 続くため10月4日にウイルス性腸炎の診断にて当院消化器内科に入院した。入院後も37から38℃台の発熱が続き、アトピー性皮膚炎による全身 の乾燥発赤、擦過傷、掻痒感、易出血性あり、10月14日の血液培養にて黄色ブドウ球菌が検出されたため15日からバンコマイシンが投与され たが、10月18日にはCRPが( 6+)15.3mg/dL、WBCが11,000まで上昇し、10月19日施行した心エコー検査にて僧帽弁後尖の腱索付近に vegetationを疑わせる5~6mmの腫瘤を認めたため、セファゾリン+ゲンタマイシンに変更した。11月1日には腫瘤は2~3mmに縮小し15日には ほぼ消失し弁周囲膿瘍も認めなかった。10月22日の腰椎CTでL2/L3レベルの左腸腰筋に限局的な腫大を認め、腸腰筋膿瘍も疑われたため、抗 生物質の点滴投与が継続され、11月29日にCRPは(-)0.4mg/dL、WBCは7,600になった。アトピー性皮膚炎から感染性心内膜炎に腸腰筋膿 瘍を合併した症例は稀であり、文献的考察を加えて報告する。 P-027 感染性心内膜炎術後に心室瘤の右房穿破を認めた一例 花井 甲太郎、亀谷 良介、吉岡 真吾、林 隆三、渡辺 大基、角辻 暁 名古屋徳洲会総合病院 【主訴】意識消失【現病歴】アトピー性皮膚炎・喘息の既往のある18歳男性。H22年5月28日より発熱・体調不良を認めていた。5月31日に失禁・ 倒れているところを発見され前医へ救急搬送。敗血症・DICにて右小脳出血に至り人工呼吸器管理されていた。6月2日より心エコーにて疣贅 の指摘あり。増悪傾向見られたため当院紹介搬送となった。6月8日にIE、MRに対してMVR・疣贅除去・デブリードメントを施行。術後両側 胸水改善ないため胸壁心エコーを施行したところ、TR増悪を確認。更なる心エコーフォローにて収縮期に左室から右房に突出する心室瘤及び 左室から右房へのシャントフローを認めたので経食エコーを施行したところ心室瘤の右房穿破が確認された。8月12日に左室右房交通部閉鎖 パッチ術・僧帽弁人工弁周囲裂孔修復・三尖弁輪縫縮術施行。術後の経過は良好で第114病日に退院となった。【考察】今回IE術後経過中に心 室瘤の右房穿破認めた一症例を経験した。原因としては術中手技の合併症、感染等が考慮されるが、文献的考察を加えてここに報告する。 ― 167 ― P-028 発熱と胸背部痛にて緊急手術となった感染性心内膜炎の一例 山崎 正之 1、丸山 将広 2、波元 智香 1、山本 将司 1、越知 博之 1、有馬 隆幸 1、岡 洋子 1、森 啓吾 1、穂積 健之 4、服部 玲治 3、武 俊介 2 1 4 大阪府済生会野江病院 検査科、2 大阪府済生会野江病院 循環器内科、3 大阪府済生会野江病院 心臓血管外科、 大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学 症例は61歳女性。2週間前より持続する発熱のため、当院紹介受診となった。聴診では駆出性収縮期雑音が聴取され、血液生化学検査で炎症所 見が認められた。心エコー図では、大動脈弁に高度石灰化と著明な開放制限がみられ、高度大動脈弁狭窄(AS)と評価された。さらに、大動 脈弁に異常構造物がみられ、感染性心内膜炎(IE)の診断で抗生剤治療が開始された。5日後に 胸背部痛がみられ、心電図上、I・aVLにST上昇、II・III・aVF・V4~V5にST低下が認められた。 経食道心エコー図(TEE)にて、高度AS(二尖弁疑い)および大動脈弁上に動性塊状エコー(径 1cm以上)を認め(図)、左冠動脈入口部付近で可動性が認められた。冠動脈CTでは、左前下 行枝近位部に高度狭窄が認められた。以上より、高度ASに尤贅を形成したIEで、疣贅塞栓症に よる心筋虚血を呈していると考えられた。本例は、緊急手術(大動脈弁置換術・冠動脈バイパ ス術)が施行され、術後経過良好で退院となった。病態診断と手術適応判断にTEEが有用であっ たIE症例を経験したので報告する。 P-029 大動脈弁下狭窄に合併した感染性心内膜炎の一例 矢作 和之 1、中島 啓喜 1、塩川 則子 2、萩原 千秋 2、高木 秀祐 2、阿佐美 匡彦 1、渡部 美佳 1、橋本 拓弥 1、原 弘典 1、李 政哲 1、 大塚 龍彦 1、中島 祥文 1、岸 智 1、谷脇 正哲 1、谷地 繊 1、谷本 周三 1、青木 二郎 1、田辺 健吾 1、遠田 栄一 2、原 和弘 1 1 社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科、2 社会福祉法人 三井記念病院 検査部 症例は55歳男性。小学生時に心雑音を指摘されるも医療機関の受診はなかった。2008年に健診で心雑音指摘され、当院を受診した際に心エコー にて大動脈弁下狭窄症を指摘され、当院でのフォローが開始した。2010年4月より38℃台の発熱が出現し、その後も間欠的に38度の発熱を認め た。4月下旬に近医を受診し抗菌薬を処方されたが、症状の改善は認めなかった。5月6日当科を受診し、心エコーにて僧帽弁前尖の肥厚から疣 贅を疑い、感染性心内膜炎疑いにて緊急入院となった。入院時、体温は39.2℃で胸部聴診上胸骨右縁第2肋間に収縮期雑音 Levine3/6を聴取した。 血液検査でWBC11300/μl、ESR71mm/h、CRP7.2mg/dlと炎症反応は高値で、経胸壁心エコーでは大動脈弁下の隔壁を認め、大動脈弁下の圧 較差は89mmHgであった。また、僧帽弁前尖の肥厚も指摘された。経食道心エコーでは大動脈弁下に隔壁を認め、隔壁の大動脈側に低エコー の塊状エコーと僧帽弁前尖に線状エコーを認めた。また、隔壁によるAcceleration 伴うsystolic jetの存在も確認した。血液培養は4セット中4セッ トStreptococcus parasanguisを検出し、Duke分類から感染性心内膜炎の診断に至った。診断後、ペニシリンG及びゲンタマイシンの併用で抗 菌薬治療を開始。炎症反応が陰性化したところで手術の方針となった。大動脈弁下狭窄症に対し、弁下組織の切除及び大動脈弁置換術施行し、 術後の経過は良好であった。大動脈弁下狭窄症の成人例は比較的まれであり、手術所見と考察を加え報告する。 P-030 肺動脈弁及び僧帽弁にvegetationを認め、TEEにてASDが見つかった感染性心内膜炎の1例 林 隆三、亀谷 良介、渡辺 大基、吉岡 真吾 名古屋徳洲会総合病院 循環器内科 症例は73歳、男性。2001年に徐脈性心房細動によるペースメーカー植え込み術(VVI)の既往がある。今回うっ血性心不全と糖尿病のため他 院にて入院加療されていたが、昨年の5月中旬より入院中に発熱及び腰痛・右股関節痛が出現しCTで化膿性脊椎炎が疑われたため当院整形外 科に紹介となった。転院後抗生剤投与で経過観察していたが6月頃より喘鳴が出現し胸部Xp上CTRの拡大と右胸水貯留を認め、うっ血性心不 全が疑われ循環器内科に紹介となった。経胸壁心エコー施行したところ、ペースメーカーのリードの周辺及び肺動脈弁にvegetationと思われる massを認め、感染性心内膜炎(IE)が疑われたため経食道エコー(TEE)を施行。TEEでは僧帽弁にもvegetationが疑われたが三尖弁やリー ドにははっきりしたvegetationは認めなかった。またその際のエコーで欠損孔約16mmの心房中隔欠損(ASD)を認めた。結局、血液培養でも 3セットからStreptococcus bovis(gallolyticus)が検出されIEの診断に至った。準緊急で僧帽弁及び肺動脈弁置換術・心房中隔欠損閉鎖術・ペー スメーカーリード交換術施行されたが、術中所見では肉眼的にはリード感染は認めず三尖弁にもvegetationは明らかなものは認めなかったため 置換術は施行されなかった。肺動脈弁に生じるIEは珍しく、ASDの合併の報告は文献上も少ないためここに報告する。 ― 168 ― P-031 左房粘液腫が疑われたGroup B Streptococcus感染性心内膜炎の一例 前川 恵美、小板橋 俊美、樋口 格、石井 俊輔、渡辺 一郎、柳澤 智義、水谷 知泰、品川 弥人、佐藤 大輔、竹内 一郎、猪又 孝元、 和泉 徹 北里大学 医学部 循環器内科学 症例は49歳女性。心臓疾患の指摘はなかった。一週間前より発熱を認め、近医より抗生剤が処方された。突然の 嘔吐と意識レベルの低下を認め、炎症反応の高値と髄液検査、頭部MRI所見より、細菌性髄膜脳炎および左前頭 側頭葉の脳梗塞と診断された。当院神経内科へ転院となり、抗生剤が開始された。塞栓源精査のため施行した心 エコー図では、軽度の僧帽弁逆流と、心房中隔と僧帽弁基部の間に、12×15mm大の有茎性の表面不整で内部不 均一な腫瘤を認め左房粘液腫が疑われた。僧帽弁機能に影響はなく経過観察とした。しかし、第11病日に施行し た心エコー図では、腫瘤は消失しており、第18病日には、僧帽弁逆流が高度となり、僧帽弁後尖に弁瘤を認め、 腫瘤が付着していた部位に穿孔を認めた。血液培養からはGroup B Streptococcus(GBS)が検出され、腫瘤は感 染性心内膜炎(IE)に伴う疣腫であったと考えられた。GBSによるIEは稀であり、本例のように逆流ジェットが 当たらない部位にも疣腫を認めるなど、非特異的な心エコー図所見を呈することがある。 P-032 速やかな診断とホモグラフト置換術で救命しえたAerococcus urinae による感染性心内膜炎の1例 谷地 繊 1、中島 啓喜 1、大野 貴之 2、宮入 剛 2、高本 眞一 2、原 和弘 1 1 三井記念病院 循環器内科、2 三井記念病院 心臓血管外科 【症例】65歳男性 【主訴】発熱、意識障害【現病歴】糖尿病の指摘があったが加療していなかった元力士。平成22年6月28日より全身倦怠感 を自覚、翌日には体動困難となり、7月1日に同僚に発見され救急受診となった。【経過】入院時38度の発熱と見当織障害を認め、頭部MRI で は両側基底核に急性期梗塞巣を認めた。 経胸壁心エコーで大動脈弁に付着する長さ2 cmの塊状エコーとそれに伴う重症大動脈弁閉鎖不全症 (AR)を認めた。経食道エコーでは大動脈弁左冠尖と右冠尖に茎を有する長さ3.6cmの数珠状の疣贅を認めた。多発脳塞栓を併発した感染性心 内膜炎と診断し、入院当日に緊急大動脈弁置換術(AVR)を施行した。手術では左冠尖側の弁輪の一部は感染により組織が脆弱であり、人工 弁輪を一部左室に縫合する形で終了した。血液培養からは4/4本でAerococcus urinae が検出された。第4病日の経食道心エコーで左冠尖に一致 する部位に人工弁周囲逆流を認めたため、第9病日にホモグラフトを用いて、上行大動脈基部置換術を施行した。術後1ヶ月間、覚醒遅延や原 病による腎機能障害を認めたが、徐々に回復して5カ月後にリハビリ病院に転院となった。【考察】Aerococcus urinae による感染性心内膜炎は 非常に稀で、当院細菌検査室でも血液培養からの検出は初めての経験であった。これまでの14の症例報告では、感染源では尿路系で脳血管塞 栓症での発症が多いが、 致死率は50%を超える。 本症例も多発性脳梗塞とARによる急性心不全で発症し、 緊急手術が必要となった。 緊急 AVR後に弁周囲逆流が生じたが、早期診断によりホモグラフトを用いた再手術で救命しえた。 P-033 治療時期決定に心エコー図による判断が極めて有用であった人工弁感染性心内膜炎(PVE)の一症例 堀川 史織 1、西坂 麻里 2、多田 千恵 1、小宮 陽子 1、河原 吾郎 1、伊勢川 健吾 2、中城 総一 2、肥後 太基 2、富永 隆治 3 1 九州大学病院 ハートセンター生理検査部門、2 九州大学病院 循環器内科、3 九州大学病院 心臓外科 症例は60代女性。リウマチ熱関連弁膜症のため1978年生体弁による僧帽弁置換術、12年後に機械弁による再置換術が施行され以降の経過は良 好であった。2006年になり溶血性貧血と心不全症状を自覚。心エコー図にて晩期人工弁感染性心膜炎(PVE)、弁周囲逆流が確認され、3度目 の僧帽弁置換術が施行された。以降は発熱や心不全症状なく経過良好であったが、さらに4年を経た2010年春頃より、労作時息切れ等心不全徴 候を認めるようになった。発熱なく、血液培養は陰性、経胸壁心エコー上は疣腫や人工弁不全所見は認めなかったが、経食道心エコー図(TEE) にて、疣腫様構造物と弁輪部膿瘍を疑う低エコー領域を認めた。弁周囲逆流は認めなかった。抗生剤治療により炎症反応は改善傾向にあった がTEEで膿瘍疑いの低エコー領域の拡大、同部位への血液流入が確認された。炎症反応再燃、発熱も認め、協議の上、準緊急に4度目の再置換 術が施行された。開心にて弁周囲膿瘍が確認された。術後経過良好であったが、4ヶ月を経て再度心不全症状が出現。新たに高度の弁周囲逆流 が確認されたため計5度目の弁置換術を施行されたが、今回はPVEの所見は認めなかった。充分な期間の抗生剤治療の上での4度目の再弁置換 術であったが、 周囲組織の炎症は残存しており、 創傷治癒に伴い組織の収縮が生じて短期間のうちに弁周囲逆流を生じたものと考えられた。 PVEは死亡率10-40%、周術期死亡率10-50%とされ、診断と治療に難渋する予後不良の疾患である。PVEのため比較的短期間に複数回の再 置換術を要した症例を経験した。経過観察と診断に心エコー図が極めて有用であったため報告する。 ― 169 ― P-034 2D speckle tracking法が心室再同期の評価に有効であった単心房単心室の1例 木村 純人 1、中畑 弥生 1、大和田 夏子 1、安藤 寿 1、本田 崇 1、宮地 鑑 2、石井 正浩 1 1 北里大学 医学部 小児科、2 北里大学 医学部 心臓血管外科 【背景】 心室再同期療法(CRT) は重症心不全症例に対して有効な治療法と考えられている。 今回我々は単心室症例に対してCRTを施行し、 2D speckle tracking法(2DST)にて評価を行ったため報告とする。【症例】出生前より無脾症候群、単心房、単心室を指摘されていた1歳女児。 当院にて出生し大動脈弁狭窄、総肺静脈還流異常症を認めたため、生後すぐにNorwood術を施行した。その後増悪する右側房室弁閉鎖不全に 対し、10ヶ月時に右側房室弁置換術を施行した。術後完全房室ブロックを来したため体外式ペースメーカーにて管理としていた。弁置換後も 心不全の増悪が見られ、心室の駆出障害が原因と考え、ペースメーカー埋め込みの際に心室リードを心室前壁と後壁に縫着し、心室再同期を行っ た。ペースメーカーの設定はDDD、HR140/180で、AV delay 120msec、RV-LV delay 20msecにて開始した。その後経胸壁心エコー下に設定 を変更し、AV delay 80msec、RV-LV delay 44msecとした。その結果、四腔断面longitudinal systolicのtime-to-peakの改善及び短軸断面におけ るRadial strainの増加(僧帽弁レベル6分画平均導入前/後28.1/39.0)を認めた。同時に施行したLVEF(67/71)、FS(37/34)、Tei-index(0.40/0.44)、 E/A( 1.24/1.30)、E/e’( 15.7/21.9)に大きな変化は認められなかった。【結語】単心室症例についてCRT療法を行い臨床症状の改善を認めた。 その際2DSTは評価に有用な指標となりえた。 P-035 壮年期に診断された右室二腔症の一例;経食道心エコー検査の有用性について 長友 大輔、中村 亮、武居 講、山田 怜花、中島 啓裕、高原 勇介、大坂 薫平、守谷 知香、高宮 陽介、芹川 威、有村 賢一、岡部 眞典、 山本 雄祐 済生会福岡総合病院 循環器内科 40歳女性。3歳時に心室中隔欠損(VSD)修復術後を施行。30歳ごろから運動時の動悸、呼吸苦あり。心電図では右室負荷の所見を認め、運動 負荷試験で著明な呼吸苦が出現した。経胸壁心エコーで右室内の乱流を認め、連続波ドップラーでの圧較差は80mmHgであった。経食道心エコー にて右室内は異常筋束により二分されていることが確認され、 心臓MRIの所見も合わせ右室 二腔症(DCRV)と診断した。DCRVは、右室内の異常筋束の増殖により筋性部狭窄を生じ進 行性の右室内圧較差を来す疾患であり、約80%にVSDを合併する。通常は小児期に診断され、 成人で診断に至ることは稀である。 経胸壁心エコーのみでは右室内の異常筋束の発見が困難 であり診断に至っていない症例も多いとの報告もあり、 本症例のようにVSDの既往や心不全 症状を呈する症例においてはDCRVを積極的に疑って検査を進める必要がある。 各種モダリ ティで得られた特徴的な画像所見を呈示するとともに、文献的考察をふまえ報告する。 P-036 高齢となってから偶発的に発見された心房中隔欠損と三尖弁狭窄症による右室低形成の一例 瀬谷 美瑛 1、長堀 亘 1、阿部 昌巳 1、大野 真紀 1、吉田 誠吾 1、末永 祐哉 1、岩塚 良太 1、水上 暁 1、瀬戸口 雅彦 1、大野 正和 1、 鈴木 誠 1、松村 昭彦 1、橋本 裕二 1、磯部 光章 2 1 亀田総合病院 循環器内科、2 東京医科歯科大学循環器制御内科学 症例は79歳女性、打撲で外来受診時、偶発的に低酸素血症が認められた。呼吸困難の自覚症状はなかった。身体所見上心雑音は認めず、レン トゲン・CTで肺疾患や肺塞栓、うっ血性心不全は否定的であった。心エコーでは右心系の低形成を認め、マイクロバブルテストでシャント疾 患が疑われた。右心カテーテル検査では心房中隔欠損と三尖弁狭窄症を認めた。著明な低酸素血症を認めるものの無症状で経過し、高齢となっ てから偶発的に発見された心房中隔欠損と三尖弁狭窄症による右室低形成を合併した一例を経験した為、若干の文献的考察を含めて報告する。 ― 170 ― P-037 新生児・乳幼児心室中隔欠損症評価におけるSubcostal Viewの有用性について 西澤 崇 1、咲間 裕之 1、金 晶惠 1、市川 泰広 1、岩本 眞理 1、江村 佳子 2、笠間 啓一郎 2、鈴木 伸一 2、磯松 幸尚 2、益田 宗孝 2 1 横浜市立大学附属病院 小児循環器科、2 横浜市立大学附属病院 心臓血管外科 【背景・目的】先天性心疾患の中で心室中隔欠損症(VSD)症例を心エコー検査にて評価する機会は多く、主に経胸壁エコーよる短軸像、長軸 像、四腔断面像にて画像的評価を施行している。新生児・乳幼児は心窩部から心臓までの距離が近く、心窩部(subcostal site)よりプローブ を当てることにより、肋間にプローブを当てて得られる画像より多くの情報を得ることができる。近年subcostal viewによる先天性心疾患のエ コー画像が紹介されるようになり、術前症例検討の際にもイメージし易い画像として評価を得ている。今回我々は新生児乳児VSD症例に対し てsubcostal view(短軸、長軸、RAO view)による評価を行い、その画像的有用性を評価した。【対象と方法】手術適応のある新生児・乳幼児 のVSD症例14例に対しsubcostal viewを含めた心エコー検査を施行し、 必要な追加処置、 術前術後の部位診断(soto分類) の比較、 parasternal& apical viewと比較した心臓血管外科医による評価の調査を行った。【結果】VSDの部位診断は全例術前の診断と一致した。特に perimembranous typeにおいてmedial papillary muscleを指標にextendの方向を同定し得た。Subcostal RAO viewは三尖弁経由に見えるVSD の位置がイメージし易く、心臓血管外科医に好評であった。中隔面を正面から覗く形のviewが得られ、形態が楕円形の場合も過小評価が少なかっ た。通常鎮静処置以外に特別な処置や時間的努力は不要であった。AVSD症例における弁構造の評価にも有用であった。【結論】小児先天性心 疾患領域においてsubcostal approachによる心エコー検査は肺の影響を受けずに良好な画像を得ることが可能であり有用である。 P-038 心内修復術後に心室中隔内血腫を合併した心室中隔欠損症の1例 武井 黄太 1、上野 倫彦 1、武田 充人 1、山澤 弘州 1、古川 卓朗 1、泉 岳 1、夷岡 徳彦 2、橘 剛 2 1 北海道大学大学院 医学研究科 小児科、2 北海道大学大学院 医学研究科 循環器外科 【背景】心室中隔内血腫(ISH)は心室中隔欠損症(VSD)心内修復術の稀な合併症で、遠隔期まで左室壁運動異常が持続する症例も報告され ている。今回、VSD術後にISHを合併し、急性期に2-Dスペックルトラッキング法(2DS)による壁運動評価を含めた経過観察を行った1例を経 験したので報告する。 【症例】症例は4ヶ月男児。生後日齢1に心雑音を指摘され傍膜様部のVSDと診断された。生後2ヶ月より心不全症状を認め、 4ヶ月時にVSDパッチ閉鎖術を施行された。術後4時間に施行した心エコー検査(UCG)でパッチ閉鎖部より心尖側にISHを認めた。血行動態 は安定していたため穿刺は行わず、 術後11時間をピークにISHの増大は治まった(最大心室中隔径17mm)。 左室壁運動は左室内径短縮率 (LVFAC)28%と低下しており、 心室中隔の奇異性運動も認めた。iE33、S5又はX7プローブ、 解析ソフトウェアQLAB(フィリップス社製) を用いた2DSによる解析では中隔は自由壁と比較して、radial strain(SR)の低下を認めたが、circumferential strain(SC)は低下していなかっ た( 6 vs 34, -10 vs -7%)。その後も問題なく経過し、術後6日に心臓カテーテル検査を施行、冠動脈造影にて左前下行枝の分枝からfistulaを 認めた。術後8日にはLVFAC 35%に回復し、SRも改善を認めた(19 vs 36%)。現在術後8ヶ月が経過したが、ISHは消失し左室壁運動異常も認 めていない。【考察】VSD術後にISHを認めた1例を経験した。文献報告では急性期に血腫除去術が施行されていたが、本症例では無治療で壁 運動異常を残さずに自然消失した。急性期に中隔のSRは低下していたがSCは低下しておらず、このことが左室壁運動の回復を示唆していた可 能性がある。 P-039 労作時呼吸困難を契機に発見された心房中隔瘤と卵円孔開存を合併した心室中隔欠損症の一例 高柳 由佳 1、齋藤 礼衣 2、山本 均美 2、一村 真希 2、杉尾 英昭 1、湯田 聡 3 1 社会医療法人孝仁会 釧路孝仁会記念病院 臨床検査部、2 釧路孝仁会記念病院 循環器内科、3 札幌医科大学 医学部 臨床検査医学 【症例】57歳女性。【現病歴】小学生の頃より心雑音を指摘されるも放置。また、2年前より動悸を自覚するようになったが、精査はされていな かった。2010年11月頃より、軽労作で動悸や息苦しさを自覚するようになったため、当院循環器内科を受診した。【現症】聴診上、Levine III/ VIの収縮期雑音を認め、心電図上心房細動、胸部X線で心胸郭比の拡大(63%)および肺うっ血を認め、脳性利尿ペプチド(BNP)は315pg/ml と高値であった。経胸壁心エコー法では、左房および右房の拡大、膜様部欠損型の心室中隔欠損症、右房側に隆起する心房中隔瘤と心房中隔 欠損症を疑う2本の左→右短絡血流を認めた。中等度の三尖弁逆流を認め、右房-右室間の圧較差は34mmHgと軽度上昇を認めた。経胸壁心エ コー法で評価した肺体血流比は1.8であった。経食道心エコー法により、左→右短絡血流を2ヶ所に認める心房中隔瘤を合併した卵円孔開存と 診断された。 【考察】本例は、経胸壁心エコー法では心房中隔欠損症を疑ったが、経食道心エコー法により2つの欠損孔を有する卵円孔開存(Ewert らの分類(Heart 2000; 84: 327-331):type C)と診断された。心不全に伴う左房圧の上昇により、現在は左→右シャントであるが、心不全の 治療により、短絡血流のパターンが変化するか否か観察する必要があると思われる。心室中隔欠損症および卵円孔開存はしばしば経験する心 疾患であるが、両者の合併例は比較的稀であり、さらに卵円孔開存の詳細な観察に経食道心エコー法が有用であったので報告する。 ― 171 ― P-040 巨大な右冠尖逸脱により重症右室流出路狭窄を来した肺動脈弁下型心室中隔欠損の1例 小川 恭子 1、岡田 昌子 2、佐野 哲也 3、小津 彩菜 1、福嶋 友孝 1、森 智美 1、北田 弘美 1、寺本 美穂 1、内藤 雅文 4、小笠原 延行 2、 山平 浩世 2、長谷川 新冶 2、田中 裕美子 5、末廣 泰男 5、青山 孝信 5、藤井 弘通 5、笹子 佳門 5 1 5 大阪厚生年金病院 中央検査室、2 大阪厚生年金病院 循環器内科、3 大阪厚生年金病院 小児科、4 大阪厚生年金病院 臨床検査科、 大阪厚生年金病院 心臓血管外科 症例は、50歳代男性。幼少時から心室中隔欠損を指摘されていたが、特に治療は受けていなかった。2010年8月脈が飛ぶような感じがあるとい う主訴で当院外来受診。心電図上心室性期外収縮が頻発していたためメキシレチン開始。初診時の経胸壁心エコー検査で肺動脈弁下型心室中 隔欠損孔における大動脈弁右冠尖の逸脱、軽度大動脈弁閉鎖不全、右室流出路から肺動脈弁にかけて40mmHgの最大圧較差を認めたが、シャ ント血流は認められなかった。同じころから呼吸困難感も出現し、2週間後の心エコーでは、右室流出路から肺動脈弁にかけての最大圧較差は さらに82 mmHgと増悪したため、手術適応であると判断され、10月心室中隔欠損閉鎖術を施行された。術中所見では、大動脈弁右冠尖が逸脱 したまま欠損孔に癒着していたため、両者を剥離せず右室側からパッチで欠損孔を閉鎖した。肺動脈弁については軽度肥厚を認めたものの明 らかな狭窄病変は認めなかった。大動脈閉鎖不全については欠損孔整復後も軽度のままであったため、特に処置を施行しなかった。術後の心 エコー所見では、右室流出路の狭窄は消失し、大動脈弁閉鎖不全はわずかであった。肺動脈弁下型心室中隔欠損は大動脈弁尖が欠損孔に落ち 込み、大動脈弁逸脱とそれに伴う閉鎖不全を合併することで知られているが、右室流出路狭窄を来す症例については非常に稀である。欠損孔 に逸脱した右冠尖が大きく突出し、右室流出路に重症圧較差を生じた症例を経験したので報告する。 P-041 乳児期に腱索断裂をきたした抗SS-A抗体陽性の2症例 荻野 佳代、石塚 潤、吉永 大介、羽山 陽介、花岡 義行、林 知宏、脇 研自、新垣 義夫 倉敷中央病院 小児科 【はじめに】新生児・乳児期の腱索断裂による急性心不全はまれとされる。両側房室弁の逆流をきたし、抗SS-A抗体陽性であった2症例を経験 した。いずれも心エコー検査において、両側の房室弁弁尖、腱索、乳頭筋にかけてが広範に高輝度を呈していた。 【症例1】2か月女児。周産期に異常の指摘なし。3日前に咳嗽、哺乳低下が出現。活気低下、顔色不良、多呼吸のため受診。重度の僧帽弁逆流、 三尖弁逆流を認めた。母に自覚症状はなかったが、児の抗SS-A抗体陽性を契機に母の抗SS-A抗体陽性が判明した。内科管理困難のため弁形成 術を施行した。 【症例2】1か月女児。周産期に異常の指摘なし。母がシェーグレン症候群と診断されていた。10日前に多呼吸、哺乳低下が出現、増悪して受診。 重度の僧帽弁逆流、三尖弁逆流を認めた。内科管理で安定し、外来で手術を待機。12か月時に急激に心不全が増悪し死亡した。 【考察】乳児期早期に両側房室弁に高度の逆流をきたし、エコー上弁組織、弁下組織が高輝度であった点、抗SS-A抗体が陽性であった点が、2 症例において一致していた。母体の抗SS-A抗体が児に移行する新生児ループスの症状として、腱索断裂の報告はほとんどない。しかし何らか の機序により組織の変性をきたし、腱索断裂を引き起こす可能性が示唆される。 P-042 慢性腎不全患者の心エコー図検査で偶然発見された大動脈四尖弁の一例 吉村 雄樹 1、渡邉 望 2、増山 浩幸 1、福永 隆司 1 1 県立宮崎病院 循環器科、2 川崎医科大学 循環器内科 症例は62歳男性。 平成9年から糖尿病・ 高血圧・ 慢性腎不全で内服治 療されていた。2010年11月、定期健診でCre7.6mg/dl, BUN99.9mg/dl となったためシャント作成・透析導入目的で入院となった。心雑音は なく、 心電図は洞調律でV1~3 poor R progression,V4~6陰性T波を 認めた。シャント手術、透析導入前検査として施行された経胸壁心エ コー図検査では壁運動は良好であったが大動脈四尖弁が疑われたため に後日経食道心エコー図検査を行い大動脈四尖弁と診断した。現時点 で弁逆流や狭窄などの機能的異常は合併しておらず年1回の心エコー 図での経過観察とした。今回我々は、剖検集計では0.008~0.033%と報 告されている極めて稀な大動脈四尖弁を経験したので報告する。 ― 172 ― P-043 動脈管開存症に対しコイル塞栓術を施行した高齢者の3症例 中村 琢 1、国澤 良嗣 1、岡田 大司 1、伊藤 新平 1、和氣 正樹 1、伊藤 早希 1、安達 和子 1、小谷 暢啓 1、菅森 峰 1、佐藤 正岳 1、 高橋 伸幸 1、佐藤 秀俊 1、吉冨 裕之 2、田邊 一明 1、羽根田 紀幸 3 1 島根大学医学部附属病院 内科学講座第四、2 同検査部、3 どれみクリニック 無症状で成人期に達する動脈管開存症(PDA)症例はまれではないが、高齢者の動脈管開存症は比較的稀である。高齢者の動脈管開存症では、 心不全、肺高血圧、不整脈の合併頻度が増加する一方で、動脈管性状などから手術リスクが高いといえる。我々は、症状のある高齢のPDAの 3症例に対し、カテーテルによるコイル塞栓術を施行し、心エコー図による経過観察が可能であったので報告する。【症例1】65歳女性。近医で 10年以上前からPDAを指摘されていた。 下腿浮腫増強のため入院し心エコー図検査でPDA、 肺高血圧、 心膜液貯留を認めた。 心膜穿刺後、 PDAに対し、コイル塞栓術を施行した。シャントは消失し、下腿浮腫消失、肺高血圧は改善し、心膜液の再貯留も認めなかった。【症例2】74 歳女性。高血圧で近医通院中、甲状腺機能亢進を契機に労作性呼吸困難が出現。心雑音、胸部X線異常認め、精査のため施行した心エコー図 検査で初めてPDAと肺高血圧を指摘され当院入院。コイル塞栓術にて、シャントは消失し、労作性呼吸困難、肺高血圧は改善した。【症例3】 79歳男性。慢性心不全、僧帽弁閉鎖不全症で近医通院中、労作性呼吸困難悪化したため、僧帽弁閉鎖不全症に対する外科的治療目的で入院した。 術前の心エコー図検査で初めてPDAを指摘。コイル塞栓術にてシャントは消失し、呼吸困難軽減したため、僧帽弁閉鎖不全に対する手術は施 行しなかった。 3症例ともPDAに対するコイル塞栓術により心不全所見、自覚症状、ADLの著明な改善を認めた。高齢でもPDA閉鎖の意義は大きく、治療可 能な場合には積極的にカテーテル治療を検討すべきである。 P-044 Tissue mitral annular displacementを用いた小児心不全症例の検討 面家 健太郎、寺澤 厚志、金子 淳、松波 邦洋、後藤 浩子、桑原 直樹、桑原 尚志 岐阜県総合医療センター 小児医療センター 小児循環器内科 【目的】小児心不全症例における心機能評価の中心は心エコー図である。近年、組織ドプラ法やspeckle tracking法などを用いた心機能評価の 報告がなされている。しかし組織ドプラ法は角度依存性が存在し、speckle tracking法は操作解析が煩雑である。また小児患者では心筋が薄く、 呼吸停止が困難であることなどからtrackingが不十分であり、実際の心不全に対する集中治療の際に十分に生かされているとは言い難い。今 回われわれは長軸方向への収縮能を評価する手段としてtissue mitral annular displacement(TMAD)を用い、その有効性と問題点を検討した。 【対象・方法】当科において心尖部四腔断面からTMADを測定した心筋炎2例、心筋症4例、のべ29検査。超音波診断装置、解析装置はそれぞ れiE33、QLAB(Philps Medical Systems)を用い、オフライン解析を行った。【結果】TMAD(mid)(%)は左室内径短縮率(%FS)(%)と 正相関(TMAD(%)=4.770+0.305 × %FS(%))し、r=0.73、p<0.0001であった。【考察】長軸方向への収縮能を示すとされるTMADは従来 法での短軸方向への収縮能指標である%FSと非常に良い相関が得られた。小児では呼吸の問題、心奇形、術後など、正しい左室短軸像が得ら れにくいこともあり、比較的得られやすい四腔断面から得られる収縮能指標は有用と考えられる。またTMADは成人では拡張不全などの早期 心不全などでの有用性が検討されつつある。本方法は簡便であり、今後の小児を含む日常診療のツールとして有用な可能性がある。 P-045 TMADの疾患特異性について 田端 千里 1、鈴木 健吾 2、秋元 真梨奈 1、木村 沙希子 1、濱野 陽子 1、菊池 秀和 1、宮内 元樹 1、桜井 正児 1、上嶋 亮 2、水越 慶 2、 高井 学 2、黄 世捷 2、辻本 文雄 3、信岡 祐彦 3 1 聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター、2 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、3 聖マリアンナ医科大学 臨床検査医学講座 【背景】2D speckle tracking法を用いたTissue mitral annual displacement(TMAD)は心尖部四腔断面での僧帽弁輪2点と心尖部の計3点を指 定するだけで、左室長軸方向の収縮能を評価できる指標である。これまで我々はTMADとleft ventricular ejection fraction(LVEF)との関係 を報告してきたが、今回はTMADとLVEFの関係を疾患別に検討することを目的とした。【方法】対象は当院で心エコー検査が施行された連続 266名(男性200名、女性66名)と健常人84名である。基礎疾患は虚血性心疾患52名、拡張型心筋症37名、肥大型心筋症34名、弁膜症74名、高 血圧心臓病69名である。超音波診断装置はPHILIPS社製iE33を使用し、modified Simpson法(biplane)によるLVEFに加え、QLABによるoffline解析によりTMADを算出した。【結果】LVEFとTMADとの間に有意な相関関係を認めた(r=0.50、p=0.0001)。疾患別では、虚血性心疾 患群ではr=0.66、拡張型心筋症群ではr=0.55と強い相関関係を認めた。しかし、肥大型心筋症、弁膜症、高血圧性心臓病群での相関関係は弱 い結果であった。これらの群においてはLVEFが保持されていてもTMADが低下している症例を多数認めた。【結論】TMADは日常スクリー ニング検査で汎用される左室長軸方向の収縮指標と期待されるが、TMADとLVEFの関係には疾患特異性が存在し、評価に際しては注意する 必要があると考えられた。 ― 173 ― P-046 Left Ventricular Ejection Fraction in Patients with Regional Wall Motion Abnormality by Volume Imaging Ultrasound System 柴山 謙太郎、渡辺 弘之、佐々木 俊輔、長山 雅俊、浅野 竜太、高山 守正、梅村 純、住吉 徹哉 榊原記念病院 循環器内科 Background: Left ventricular ejection fraction(LVEF)by volume imaging ultrasound system( 3DS),which use a single-beat full-volume acquisition of threedimensional echocardiography, enabled a semi-automated LVEF analysis. However, in patients with regional wall motion abnormality(RWMA)the accuracy of 3DS remains unclear. Our aim was to validate accuracy of 3DS for LVEF in patients with RWMA compared with two-dimensional echocardiography( 2DE)and cardiac MRI. Methods: We enrolled 20 patients with myocardial infarction who were recorded by 2DE, 3DS acquisition of three-dimensional transthoracic echocardiography(Siemens ACUSON SC2000)and cardiac MRI(Siemens MAGNETOM Sonata 1.5T).Results: Shown in the figure. Conclusion: 3DS has better correlation and closer limits of agreement than 2DE for LVEF. 3DS is a new objective solution for noninvasive semiautomated LVEF analysis. P-047 Accurate Measurement of Mitral Annular Area Using Single and Biplane Linear Measurements 兵頭 永一 1、本間 俊一 2、武田 久輝 1、斎藤 聡男 1、松村 嘉起 1、杉岡 憲一 1、穂積 健之 1、室生 卓 1、葭山 稔 1 1 大阪市立大学 医学部 循環器内科、2 コロンビア大学 医学部 循環器内科 Background The guidelines advocate using a single 4Ch mitral annulus diameter(MAD)to estimate mitral annulus area(MAA).The purpose is to evaluate the accuracy of the traditional and anatomically-orthogonal planes using the anterior-posterior(LAX)and commissure-commissure(CC)axis for the estimation of MAA. Methods 2D and 3D TEE were performed in 70 patients. The MAD was measured from four standard planes: 4Ch, 2Ch, LAX and CC. MAA was calculated either by the formula for a circle using a single diameter, or the formula for an ellipse using two diameters. These were compared to 3D planimetric MAA. Results In patients without LV dilatation, MAA measurements by a single 4Ch MAD, or any paired apical two MAD measurements revealed comparable results to 3D planimetric MAA. However, in patients with LV dilatation, only a 4Ch MAD and two anatomically-orthogonal MAD(4Ch/2Ch, LAX/CC)measurements revealed comparable results. On linear regression analysis, MAA measurements by the single 4Ch MAD(r=0.93) ,and two MAD in 4Ch/2Ch(r=0.95)and in LAX/CC(r=0.97)correlated strongly with 3D planimetric MAA in all patients. Moreover, the closest limits of agreement with 3D planimetric MAA were found in LAX/CC MAD. Conclusions These results demonstrate that anatomically-orthogonal imaging planes provide the most accurate MAA measurement compared to traditional methods of estimating MAA. P-048 ポケットサイズ心エコーVscanTM:実臨床における初期使用経験 大門 雅夫、宮崎 彩記子、小磯 容子、鈴木 宏昌、代田 浩之 順天堂大学 医学部 循環器内科 【目的】VscanTM(GE)は断層法とカラードプラ法が可能なポケットサイズの携帯型心エコー装置であるが、日本での実臨床でどの程度有用か は明らかでない。我々は、VscanTMの心内膜描出能と逆流検出能を、ハイエンド心エコー装置Vivid 7(GE)と比較検討した。【方法】心疾患 患者連続17例を対象に、VscanTM とVivid 7の両機種で心エコー図検査を施行した。 左室16分画のそれぞれについて、 心内膜描出スコア ( 3=excellent, 2=fair, 1=poor, 0=invisible)を用いて心内膜描出能の評価を行った。また、 弁逆流についてカラードプラ法でそれぞれの検出率を比較した。【成績】心尖2腔像では、 心尖部心内膜描出スコアがVscanTM で劣っていたが(図)、そのほかの領域では両者に有 意差は認めなかった。Vivid 7で検出された合計27の弁逆流のうち、25の弁逆流( 93%) 【結論】ポケットサイズ心エコー装置VscanTMは、 はVscanTM でも同様に検出可能であった。 日本の実臨床においても左室壁運動評価と弁逆流の検出には十分有用であると考えられ た。 ― 174 ― P-049 Sonazoidと生体内分子の混合による簡便な分子標的気泡作成法の開発 大谷 健太郎、池田 智明 国立循環器病研究センター研究所 再生医療部 【背景と目的】超音波分子イメージングを用いて生体内の分子動態を観察することが可能となった。しかし、臨床応用可能な分子標的気泡は皆 無である。本研究では、生体内でマクロファージ上のインテグリンαvβ3とアポトーシス細胞の細胞膜上のホスファチジルセリン(PS)とを 結びつける分子であるMFG-E8を用い、1)MEG-F8がPSを含有するSonazoidと結合するか否か、2)その結合の安定性、及び3)MFG-E8がイ ンテグリンαvβ3発現細胞(HUVEC)と結合するか否かについて検討した。 【方法と結果】Sonazoid(第一三共)と蛍光標識MFG-E8を混合した後、気泡からの蛍光をFACSにより評価した。激しい攪拌の後に再度FACS 解析を行い、攪拌前の蛍光強度との比較を行った。最後に、HUVECと蛍光標識MFG-E8を反応させ、細胞からの蛍光をFACSにより評価した。 気泡からの蛍光強度はMFG-E8の添加量に依存して上昇した( 0μg: 3.1±0.1 vs. 1μg: 60.1±7.3 vs. 5μg: 159.9±10.1)。攪拌後においても蛍光 強度の低下は認められなかった。蛍光色素とのみ反応させた群に比し、蛍光標識MFG-E8と反応させることでHUVECからの蛍光強度は有意に 上昇した(色素群: 14.6±0.1 vs. MFG-E8群: 137.2±2.5)。 【結語】インテグリンαvβ3発現細胞と気泡-MFG-E8複合体のin vitro接着実験や動物実験による診断有用性についての更なる検討が必要だが、 Sonazoid-MFG-E8複合体がインテグリンαvβ3に対する標的気泡となり得る可能性が示唆された。 P-050 心室再同期療法患者における心室の電気的興奮と機械的収縮の差についての検討 小室 拓也 1、丸尾 健 2、栗原 明子 1、山内 陽平 1、高橋 勝行 1、筑地 日出文 1 1 倉敷中央病院 臨床検査科、2 倉敷中央病院 循環器内科 【背景】心室再同期療法(CRT)患者の心エコー検査において、dyssynchronyを解析する際、QRS波を開始点としてstrain値を計算している。 しかし、心室の電気的興奮と左室の機械的収縮の時間差については検討が少ない。そこで今回、我々は、CRT患者においてQRSとStrain rate の開始点の差をCRT植え込み前後で比較した。【方法】CRT植え込みを行い、術前と術後1ヶ月で心エコーを施行した18例(69±13歳、男性10名) を対象とした。電気的興奮の指標としてQRS、機械的収縮の指標としてstrain rate(SR)を用いた。SRはspeckle trackingを用いて左室短軸像 (Circumferential)と心尖部4腔像(Longitudinal)を解析し、QRS波開始点から各SRが正から負にX軸と交わる点(機械的収縮の開始点)まで の時間(QRS-cSR、lSR)を計測した。【結果】術前、QRS-cSR 31±29ms、QRS-lSR 39±48msとSRの開始はQRSの開始よりずれていた。術後 には、QRS-cSR 60±40ms、QRS-lSR 73±57msと術前に比べて有意に延長していた(p<0.05)。【考察】CRT患者では電気的興奮と機械的収縮 それぞれの開始点には時間差があり、植え込み後には更に延長していた。CRT患者においてspeckle trackingを用いてstrain解析する際、QRS 波を基準点とするだけではなく、機械的収縮の開始も考慮に入れる必要があるかもしれない。 P-051 心室再同期療法患者における2Dスペックルトラッキングエコーと左室リード位置が左室リバースリモデリング に与える影響 中島 淑江 1、松村 誠 2、小川 晴美 2、有山 幸紀 2、加藤 律史 2、村松 俊裕 2、松本 万夫 2、西村 重敬 2、小宮山 伸之 2 1 坂戸中央病院、2 埼玉医科大学国際医療センター 【目的】心室再同期療法(CRT)の術前2Dスペックルトラッキングエコー(STE)と左室リード位置が左室リバースリモデリングに及ぼす影 響について検討する。【方法】手術前と術半年後の左室拡張末期容量、左室収縮末期容量を心エコーで計測し、術半年後に左室収縮末期容量が 15%以上減少した29例を有効群とした。術前心エコー2D STE法で得られた短軸方向ストレインの心基部と乳頭筋レベル各々6セグメントでの、 前駆出期と後収縮期を含んだ収縮期間内におけるピークストレインまでの最大の時間差(Td)で心室内非同期を評価した。術後胸部レントゲ ン2方向で、左室リード位置を基部、中部、心尖部(正面像)、前壁、側壁、後壁(側面像)に分類した。初回CRTを施行した成人患者連続50 例(平均67歳、男性72%)を検討した。【結果】左室リードは高さ方向で中部42%、心尖部52%、前後方向で側壁24%、後壁73%に挿入された。 術前の臨床所見では有効、非有効群間での有意差はなかったが、2D STEによる左室内非同期評価は、心基部、乳頭筋レベル共に有効群でTd が優位に延長していた。(Tdbase:381±126 vs. 251±154msec, p=0.003, Tdmid:396±98 vs. 197±138msec, p<0.001)臨床所見、心エコー所見、左 室リード位置と有効群について単変量及び多変量解析(多重ロジスティック解析)を行った結果、乳頭筋レベルでの心室内非同期のみが独立 した予測因子であった。(p=0.01)また左室リードが側壁に位置していると有意なTdbaseの延長を認めた。( 441msec, p=0.04)【結論】2D STE はCRTの有効群予測に有用であり、左室内非同期と側面像で評価した左室リード位置には関係があることが示唆された。 ― 175 ― P-052 心筋ストレインを用いたマルファン症候群における無症候性左室機能低下の非侵襲的評価 鈴木 太 1、新井 光太郎 1、齋藤 千紘 1、高木 厚 1、柳下 慈子 1、郡司 一恵 1、青鹿 佳和 1、芦原 京美 1、青見 茂之 2、萩原 誠久 1 1 東京女子医科大学 循環器内科、2 東京女子医科大学 心臓血管外科 【目的】マルファン症候群はfibrillin-1遺伝子の変異を原因とする結合織疾患である。2次元心エコー図を用いた研究において、マルファン症候 群には無症候性の心機能障害を認める患者がいることが報告されている。また、心筋ストレインは、局所心筋の障害を反映し、軽度の心筋障 害を評価する方法として有用である。本研究の目的は、心筋ストレインを用いてマルファン症候群における左室機能を評価することである。 【方 法】有意な弁膜症を有しないマルファン症候群患者20例(平均年齢38±12歳)および年齢を一致させた健常者20例を対象に、2次元心エコー図 を施行した。左室容量計測に関しては、modified Simpson法より左室拡張末期容量、左室収縮末期容量および左室駆出率を求めた。心筋スト レインは心尖部4腔断面、2腔断面、長軸断面から求めた長軸方向ストレイン(global longitudinal strain: GLS)を計測し、両群の比較検討を行っ た。【成績】左室拡張末期容量、左室収縮末期容量、左室駆出率は両群間に差を認めなかった。一方、GLSは健常群と比較してマルファン症候 群患者において有意に低値であった(-13.5 ± 3.0% vs. -15.6 ± 2.0%, p<0.01)。【結論】マルファン症候群の患者では左室駆出率が保たれて いるにも関わらず、global longitudinal strainが低下していた。心筋ストレインはマルファン症候群のおける無症候性の心機能低下を評価する 有用な方法であることが示唆された。 P-053 左室形態変化(リモデリング) と心機能障害の検討:2D speckle tracking法によるGlobal Longitudinal Strainを用いて 氏野 経士 1、尾田 知之 1、礒田 圭 1、三宅 淳平 2、宮本 由紀子 2、山下 歩美 2、蛇島 晴恵 2、小林 美幸 2、一井 重男 2 1 医療法人寿会 富永病院 循環器科、2 医療法人寿会 富永病院 検査科 【背景】左室肥大のみならず形態変化(リモデリング)により予後が異なることは報告されている。【目的】心エコーを用いて左室形態変化に よる左心機能の差異について、さらに2D speckle tracking法によるGlobal Longitudinal Strain(GLS)も用いて検討すること。【方法と結果】 対象は当院でGE社製Vivid E9を用いて左心機能(左室および左房径・容積、拡張能指標)を計測し、左室駆出率60%以上の患者60症例(男性 33例、平均年齢62.4±13.0歳)。Echo PAC PCによるオフライン解析にてGLSを計測した。左室形態変化はアメリカ心エコー図学会ガイドライ ンにより、相対壁厚(RWT)による左室リモデリング(LVRM+:RWT>0.42)、左室重量係数(LVMI)による左室肥大(LVH+:LVMI> 115(男性)(95(女性))g/m2)を用いて、4群に分類、正常群(LVRM-、LVH-)24例、求心性再構築群(LVRM+、LVH-)15例、遠心 性肥大群(LVRM-、LVH+)11例、求心性肥大群(LVRM+、LVH+)10例であった。拡張能指標および左房容積は正常群に対して、各リ モデリング群で有意差を認めたが、GLSは求心性肥大群のみが有意に上昇していた。(正常-18.7±2.5、求心性再構築-18.2±2.7、遠心性肥大 -18.0±2.3、求心性肥大-15.5±2.6:p<0.02)【結論】GLSによって求心性肥大は他のリモデリング形態と比べてより心筋障害が強いことが示 唆された。 P-054 Autmated function imagingを用いた肥大心の鑑別 村中 敦子 1、湯田 聡 2、西田 絢一 1、舟山 直宏 1、望月 敦史 1、土井 崇裕 1、神津 英至 1、国分 宣明 1、下重 晋也 1、橋本 暁佳 1、 土橋 和文 1、渡邉 直樹 2、三浦 哲嗣 1 1 札幌医科大学第二内科、2 札幌医科大学臨床検査医学 【背景】Autmated function imaging(AFI)は、2Dスペックルトラッキング法に基づき左室全体の長軸方向ストレイン値を簡便に測定するこ とが可能である。【目的】AFIを用いて肥大心における左室長軸方向ストレイン値を解析し、 疾患別の特徴を検討すること。【方法】GE社製 Vivid 7を用いて肥大心25例、健常例13例を対象に、通常の心エコー図検査施行し、AFIによる解析を行った。心房細動、虚血性心疾患例、中 等度以上の大動脈弁逆流、僧帽弁疾患例は除外した。心尖部左室長軸像、四腔像、二腔像の3断面を40fps以上のフレームレートで画像の取り 込みを行った。AFIにて3断面それぞれの心内膜を半自動的にトレースし、18分画の左室長軸方向ストレイン値を算出する。 その平均値を global longitudinal peak spteckle strain(GLPS)と定義した。【結果】肥大心の内訳は、大動脈狭窄症8例(AS群)、高血圧性心肥大7例(HHD 群)、肥大型心筋症10例(HCM群)で、3群で各指標を比較検討した。左室駆出率(EF)はAS群、HHD群、HCM群間には有意差を認めなかっ た(61±3、63±7、63±7%、p=NS)。左室心筋重量は、HHD群(109±12g/m2)に比べ、AS群(134±44g/m2)とHCM群(145±22g/m2)は 有意に高値(p<0.05)であったが、AS群とHCM群間に有意な差は認めなかった。GLPSは、HHD群、AS群、HCM群の順に低下し(-19±3、 -17±3、-13±5%)、HCM群は有意にAS群、HHD群より低値であった(p<0.01)。【結論】EFが正常値であっても、HCMのGLPSは有意に 低値を示した。AFIによる左室長軸方向ストレインの解析は、肥大心の鑑別に有用である可能性が示唆された。 ― 176 ― P-055 左室心筋ストレイン、心尖部回転運動の性差 長谷川 拓也、神崎 秀明、天木 誠、安井 博規、前田 美歌、田中 旬、舟田 晃、高濱 博幸、朝倉 正紀、北風 政史 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 背景:健常者における左室心筋ストレイン、心尖部回転運動の精査について検討する。方法:対象は高血圧、糖尿病、左室心筋重量増加(左 室重量係数(男性)>115g/m2、(女性)>95g/m2)のない男性 25名、女性43名。2D speckle tracking法でcircumferential、longitudinalの2方 向のstrain、strain rate、apical rotationを計測した。Longitudinal strainは心尖部2腔像、3腔像、4腔像の平均をとり、circumferential strainは 左室中部レベルの短軸像における6セグメントの平均をとった。結果:年齢(55±15, 54± 13歳)、収縮期血圧( 119±12, 114±13mmHg)、脈圧( 46±6mmHg, 43±9mmHg)に有 意な男女差は認めなかった。体表面積、左室心筋重量係数は男性で有意に大であった。左 室心筋ストレインはcircumferential、longitudinalとも女性で高値をとる傾向にあり、心尖 部回転運動は男性で高値をとる傾向を示していた(表参照)。結論:左室心筋ストレイン、 心尖部回転運動には男女差を認めた。2D speckle trackingを用いた左室心筋機能評価にお いては性差も考慮する必要がある。 P-056 モノクロタリン誘発性イヌ肺高血圧モデルにおけるMモード法およびスペックストラッキング法を用いた右室収 縮能の検討 西尾 進 1、山田 博胤 2、玉井 利奈 2、林 修司 2、遠藤 桂輔 1、清水 拓 1、高島 弘光 1、山中 森晶 1、不動 祐司 3、酒井 芳紀 3、佐田 政隆 2 1 徳島大学病院 超音波センター、2 徳島大学病院 循環器内科、3 小野薬品株式会社 【背景】右室自由壁のpeak systolic strain(PSS)および三尖弁輪移動距離(TAPSE)が肺高血圧による右室機能障害を反映するかを検討する ため、イヌを用いた肺高血圧モデルにおいて、肺高血圧の発症に伴うこれら指標の変化を観察した。【方法】ビーグル犬にデヒドロモノクロタ リン(DHMCT)を投与し、平均肺動脈圧 25mmHg以上の肺高血圧を発症した5頭を肺高血圧群(PAH群)、溶媒のみあるいはDHMCTを投与 しても肺高血圧を発症しなかった5頭を対照群(C群)とした。DHMCT投与前および投与4週後に、右心カテーテル検査と心エコー検査を施行 した。デジタル保存した四腔断面の動画データから、スペックルトラッキング法を用いて解析を行い、右室自由壁の平均PSSを計測した。また、 Mモード法を用いてTAPSEを計測した。【結果】PAH群における投与4週後の肺動脈収縮期圧は、32.8±5.7 mmHgであった。投与前の平均PSS およびTAPSEは両群間に有意差を認めなかった。投与4週後におけるC群の平均PSSおよびTAPSEは投与前と比べて有意な変化を認めなかっ たが、PAH群ではいずれの指標も有意に低下した(平均PSS: -24.1±4.0 → -11.3±3.2%, p=0.003;TAPSE: 7.2±0.9 → 4.0±0.9 mm, p=0.003) 。 【結 語】モノクロタリン誘発性イヌ肺高血圧モデルにおいて、肺高血圧が誘発された個体の平均PSSおよびTAPSEは有意に減少した。これらの指 標は、イヌ肺高血圧モデルにおける右室収縮能の評価に有用であると考えられた。 P-057 Tissue Mitral Annular Displacement(TMAD)の加齢による影響 大崎 司 1、石川 陽子 1、土田 貴子 1、大木 晋輔 1、吉川 尚男 2、大塚 健紀 2、橋本 剛 2、中村 正人 2、杉 薫 2、鈴木 真事 1 1 2 東邦大学 医療センター 大橋病院 臨床生理機能検査部、 東邦大学 医療センター 大橋病院 循環器内科 【目的】健常者のTissue Mitral Annular Displacement(TMAD)の加齢に よる影響を知ること。【使用機器】Philips社製 IE33。解析機器:QLAB【対 象】IE33で検査を行った39歳から79歳の男性49人、女性84人、計133例。不 整脈例、描出が極めて困難である症例は除外した。【方法】標準的な計測の ほか、心尖二腔像、心尖四腔像から得られたTMADを計測し、年齢との関 連を検討した。【結果】左室内径短縮率や左室駆出率と年齢の間に有意な相 関は認められなかった。TMADの平均は下壁側12.8±2.6mm、前壁側11.4± 2.5mm、 中隔側11.5mm±2.5、 側壁側12.0±2.3mmであった。 各部位の TMADと年齢との間には有意な関連を認めたが相関係数は低かった。【ま とめ】TMADは加齢とともに低下したが、その関連は弱かった。 ― 177 ― P-058 左室駆出率正常例におけるTMAD規定因子についての検討 腰塚 瑠美 1、瀬尾 由広 2、亀田 有里 3、谷中 里美 4、菅野 昭憲 2、渥美 安紀子 2、山本 昌良 2、町野 智子 2、針村 佳江 2、川村 龍 2、 中島 英樹 4、飯田 典子 4、酒巻 文子 4、石津 智子 2、青沼 和隆 2 1 4 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 フロンティア医科学専攻、2 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科、3 筑波大学 医療科学類、 筑波大学附属病院 検査部 【背景】左室長軸方向への収縮動態が、左室駆出率(LVEF)では検出できない心機能異常の評価法として注目されている。近年スペックルトラッ キング法(STE)によりmitral annular displacement(TMAD)が計測可能となり、より簡便かつ再現性良く長軸方向の心機能評価が可能となっ た。 本研究の目的はLVEFが50%以上の症例におけるTMADの規定因子について明らかにすることである。【方法】EF50%以上かつ壁運動異 常を認めない72症例(57±18歳)を対象とした。超音波診断装置はPHILIPS社製iE33を用い、心尖部四腔断面像にてTMADを計測した。また、 STEによりlongitudinal(LS),circumferential(CS),およびradial strain(RS)を計測した。左心系形態評価として左房、左室の長軸径、短 軸径、左房と左室の長軸径の和、容積、左室sphericity indexおよび重量を計測した。【結果】TMADはLVEF, CS,およびRSとは相関が認めら れなかったが、LSと有意相関が認められた(r=-0.62, p<0.001)。 また、 拡張期僧帽弁輪速度e’、E/e’と有意な相関を認めた(e'; r= 0.38, p=0.002, E/e'; r=-0.40, p=0.001)。一方、左房と左室の長軸径の和を含む左心系形態とは有意な関係が認められなかった。【結論】LVEF正常 例においてTMADは左心系形態に影響されずに長軸方向収縮および拡張機能と関連した。 P-059 Subclinical LV Dysfunction in Uncomplicated Patients with Impaired Glucose Tolerance and Type 2 Diabetes Mellitus 宇都宮 裕人、國田 英司、岡 俊治、日高 貴之、岩本 由美子、石橋 堅、西岡 健司、栗栖 智、山本 秀也、木原 康樹 広島大学大学院 循環器内科学 Background: Regional left ventricular(LV)dysfunction in a group of uncomplicated and normotensive patients with impaired glucose tolerance(IGT)or diabetes mellitus(DM)has not been well documented. Methods: Study population consisted of 100 patients with normal LV ejection fraction who underwent 2-dimensional speckle tracking echocardiography( 2DST)and cardiac computed tomography(CCT). Mean values of global longitudinal and circumferential strain profiles were determined from 2DST analyses. IGT or DM was determined by oral glucose tolerance test. Exclusion criteria included known DM, HbA1c>8.5%, blood pressure of>150/85 mmHg, and diabetes-related complications. The presence of significant coronary artery disease was also excluded by CCT. Results: A total of 57 patients(normal, n=30; IGT, n=14; DM, n=13)were analyzed. IGT and DM groups showed reduced longitudinal systolic and diastolic function(strain, -18±1 vs -16 ±1 vs -15±3 %; systolic strain rate, -1.4±0.1 vs -1.2±0.1 vs -0.9±0.1 1/s; early diastolic strain rate, 1.3±0.1 vs 1.0±0.1 vs 0.9±0.1 1/s; all p<0.001).However, the circumferential function was preserved in all groups. Multiple linear regression analysis revealed that the presence of IGT or DM was related to the LV longitudinal function(p<0.001).Conclusion: The LV longitudinal function is impaired in early stages of glucose tolerance disorder. P-060 僧帽弁移動速度波形on setの遅れに影響する因子の検討 梅田 ひろみ 1、有田 武史 2、磯谷 彰宏 2、工藤 珠実 1、海野 哲治 1、杉田 国憲 1、阿部 伸子 1、岩渕 成志 2、延吉 正清 3 1 3 財団法人平成紫川会 社会保険 小倉記念病院 検査技師部、2 財団法人平成紫川会 社会保険 小倉記念病院 循環器内科、 財団法人平成紫川会 社会保険 小倉記念病院 病院長 【目的】左室拡張能の指標として用いられている左室流入波形と組織ドプラ法による僧帽弁輪移動速度波形が幅広く用いられるようになってき た。これら二つの波形の開始時間はほとんどの場合同時であるが、弛緩障害が強い場合や左室拡張末期圧が高い場合に後者の開始時間が遅く なるという報告もある。今回、組織ドプラ法による僧帽弁移動速度波形の開始時間遅延に影響する因子を検討した。【方法】2009年8月~2010 年8月に当院にて心不全もしくは心不全疑いと診断された372例(男性230例 女性142例 年齢72±12)を対象とした。左室流入波形(E)と 僧帽弁移動速度波形(Ea)のon setを比較し、Eaの早い群・Eaの遅い群の2郡に分けLVDd・LVDs・LAD・LVEDV・LVESV・EF(Mod-bp) ・ E/A・DcT・E/e’・RWS・LVMとの関連を比較検討した。【結果】Eaの遅いのは372例中に290例認められた。LVDd(p<0.05)・LVEDP(p= 0.0025)・LVESV(p=0.0056)においてはEa遅延群の方が有意に大きかった。E/A(p=0.02)・E/e’(p<0.0001)ではEa遅延群の方が有意に 高値を示し、DcT(p=0.01)ではEa遅延群の方がより低値であった。またLVM(p=0.0008)においてはEa遅延群の方が有意に高値を示した。【結 論】左室拡大および左室心筋重量増加を伴っている症例では、Ea on setの遅れを生ずる可能性があると考えられた。E/e’がより高値であるこ とから、左房圧上昇がEa on setの遅れに関係していると考えられ、またE/A、DcTはより低値を示していることより拡張能の低下もEa on set の遅れに関与していると思われた。 ― 178 ― P-061 大動脈弁・僧帽弁繊維性結合部(AM-junction)の組織ドプラ波形による心機能評価 -心肥大群において- 寺田 舞 1、鬼平 聡 1、照井 元 2、渡邊 博之 1、伊藤 宏 1 1 秋田大学大学院 循環器内科学、2 秋田赤十字病院 循環器科 【背景】心機能評価として、組織ドプラによる弁輪移動速度波形を用いられ、検討されてきた。測定には心室中隔の僧帽弁付着部、左室後壁の 僧帽弁輪部が一般的に用いられるが、いずれも近接する局所心筋の収縮・弛緩の影響を受け、心機能評価に最適とはいいがたい。【目的】局所 心筋の収縮・弛緩の影響をうけない大動脈弁・僧帽弁繊維性結合部(AM-junction)の組織ドプラ波形を心尖部アプローチにて記録し、有用性 を検討する。【方法】健常例18例、心肥大群(HHDおよびHCM)28例を対象として、中隔・後壁に加えAM-junctionの組織ドプラ波形を記録し た。心機能評価としてTEI index=(IRT+ICT)/ET, IRTm, TEImindex=(IRTm+ICTm)/ETmを計測した(IRTm: Sm終了~Em開始までの時間、 ICTm:Am終了~Sm開始までの時間、ETm:Sm持続時間)。【結果】健常例と心肥大群の対比ではTEI( 0.26 vs 0. 36, P<0.01)と有意差を認め、心 肥大群にて有意に高値であった。AM junctionにおいての検討では、健常群と比較し心肥大群においてIRTm(80.8 vs 111.6, P<0.01)、TEIm(0.47 vs 0.72, P<0.01)と有意差を認め、心肥大群においてIRTmは有意に延長し、TEImは有意に高値を認めた。また中隔、後壁のIRTm、TEImもと もに有意差を認め、 心肥大群においてIRTmは有意に延長し、TEImは有意に高値を認めた。【結語】AM-junctionの組織ドプラ波形は心肥大群 における左室機能障害の検出に有用である。 P-062 至適AV-delayはペーシング部位で異なる -左室収縮能の正常な患者に於ける連続波大動脈弁口ドップラーVTIとIEGM法を用いての検討- 服部 進、中嶋 哲史、小杉 元宏、荒木 亮、今仲 崇裕、松寺 亮、足達 英悟、野田 善樹、久米 清士、安岡 良典、佐々木 達哉 独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター 循環器科 【背景】ペースメーカー(PM)留置時のAV delay(AVD)の設定が心機能に与える影響は大きいが、正常左室収縮能を持つ患者の場合はあ まり重要視されていない。また近年、従来からの心尖部ペーシングに代わり中隔ペーシングが広く行われているが、ペーシング部位の違いが 至適AVDに与える影響については不明である。 【目的】正常左室収縮能を持つ患者において、同一患者での心尖部ペーシング時と中隔ペーシング時の至適AVDを比較すること。また、中隔ペー シング時もIEGM(Intracardiac EleCtrogram-based Method for optimizing cardiac resynchronization therapy)法により至適AVDを計測する こと 【方法】 対象は当院にて永久的PMの留置を必要とし、 心室リードを中隔に留置し得た左室収縮能の正常なII度~完全房室ブロックの患者4名。 右室心尖部に留置した心室リードで至適AVDを計測後に永久的PM留置を行い、その後中隔ペーシング時の至適AVDを計測した。計測はGE社 Vivid iを用いて行い、 至適AVDは連続波大動脈弁口ドップラー速度時間積分値(VTIAoV) を最大とするAVDとした。 また、SJM社のPMの Quick Opt機能を用い、至適AVDをIECM法によっても算出した。 【結果】心尖部ペーシング時の至適AVDはVTI Aoを用いると110±7.1ms、IECM法を用いると108±4.3msであり、中隔ペーシング時は各々125 ±8.7ms、125±5.0msであった。VTIAoにはペーシング部位の違いによる有意な変化は認めなかった(心尖部ペーシング vs 中隔ペーシング 28.3±5.6 vs 29.3±7.4)。 【考察】左室収縮能が正常な房室ブロック患者において、同一患者でもペーシング部位により至適AVDが異なる可能性が示唆された。 P-063 冠危険因子を有する症例における動脈スティフネスと左室肥大パターンの関連 堀添 善尚 1、高崎 州亜 1、湯浅 敏典 1、桑原 栄嗣 1、茶圓 秀人 1、植屋 奈美 1、河野 美穂子 1、窪田 佳代子 1、水上 尚子 2、木佐貫 彰 1、 宮田 昌明 1、濱崎 秀一 1、鄭 忠和 1 1 鹿児島大学 医学部 医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学講座、2 鹿児島大学病院 臨床検査部 【背景】動脈スティフネスと左室拡張能との関連や、左室肥大パターンと心疾患リスクとの関連 が報告されている。本研究の目的は、冠危険因子を有する症例にて動脈スティフネスと左室肥 大パターンとの関連の検討である。 【方法】対象は一つ以上の冠危険因子を有する連続64症例。左室重量係数および相対的左室壁厚 より、正常(NG) ・中心性リモデリング(CR) ・遠心性肥大(EH) ・中心性肥大(CH)の4群に 分けた。心エコーにて、EF、僧帽弁E波減衰時間(DcT)、僧帽弁輪速度(E’)、等容拡張時間(IRT) を計測し、動脈スティフネスとして上腕足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。 【結果】1)4群間で、年齢、性別、血圧に有意差は認めなかった。2)DcTは他群と比べCH群で 有意に延長し、E’はNG群と比べCR群とCH群で有意に減少していた。3)baPWVは、NG群と比 較してCR群およびCH群で増大し、CH群でより高値を示した。 【結論】冠危険因子を有する症例において、中心性肥大群が最も左室拡張能が低下し動脈スティ フネスが増大している。 ― 179 ― P-064 非心臓手術周術期リスク評価におけるドブタミン負荷心エコーmultidetector CTとの比較 時田 祐吉 1、大野 忠明 1、松崎 つや子 2、本間 博 1、水野 杏一 1 1 日本医科大学 付属病院 循環器内科、2 日本医科大学 付属病院 生理機能センター 近年の高齢化社会あるいは医療技術の高度化、疾患、患者背景の複雑化にともない、非心臓手術機会は増加、その周術期リスク評価も重要となっ ている。 周術期リスク評価におけるドブタミン負荷心エコー(DSE) の有用性はほぼ確立されており、 心事故発生の陽性予測率は20~48%、 陰性予測率は93~100%といわれている。一方、近年急速に普及した冠動脈CT(multidetector computed tomography : MDCT)は、冠動脈の 有意狭窄に対して感度89%、特異度 96%と十分な診断能を有し、検査の簡便さから応用範囲の拡大が研究されている。周術期リスク評価に関 してそのリスクを低減する要因として、myocardial jeopardyが示されており、DSEではこれらに沿った評価が可能である。本検討では当施設 で非心臓手術を予定している患者80例にドブタミン負荷心エコーとMDCTを施行し、冠危険因子、冠動脈の狭窄数から虚血性心疾患の重症度 を層別化、MDCTとの使い分けで効率的かつ効果的に周術期リスク評価におけるドブタミン負荷心エコーの位置づけ、役割、虚血評価の意義 を報告したい。 P-065 Stress Echocardiography prior to Carotid Artery Stenting 横山 直之 1、斉藤 智久 1、紺野 久美子 1、小林 花子 2、白倉 和代 2、千久田 いくみ 2、古川 泰司 1、一色 高明 1 1 帝京大学 医学部 附属病院 循環器内科、2 帝京大学医学部附属病院 中央検査部 Objective: The aim of this study was to evaluate the utility of stress echocardiography(SE)to predict cardiac events related with carotid artery stenting(CAS).Methods: The study patients were consisted in 16 patients( 69±9, 14 male)without known coronary artery disease. SE was performed for all study patients prior to CAS. Of 16 patients, a symptom limited maximal ergometer test was performed for 10 patients. Pharmacologic SE using dobutamine was performed for 6 patients unable to exercise. A SE examination was regarded as positive for ischemia if there was evidence of new or worsening wall-motion or wall-thickening abnormalities.The SE results were compared with the cardiac events during 30 days after CAS. The cardiac events were defined as cardiac death or nonfatal myocardial infarction.Result: Fourteen patients had a history of cerebral infarction. SE was performed at 27 ± 20 days after cerebral infarction. No side effect including stroke was occurred at SE examination. The SE was positive for ischemia in 2 patients. CAG revealed that these 2 patents had multi-vessel coronary artery disease. Before CAS, coronary revascularization was performed for these patients. No cardiac events occurred during 30 days after CAS.Conclusion: SE can successfully predict cardiac events for patients with CAS. P-066 虚血性心疾患におけるBull's Eye表示2Dストレイン法によるドブタミン負荷心エコー法の有用性 塚本 勝 1、堀田 大介 2 1 特定医療法人北海道循環器病院 循環器外科、2 特定医療法人北海道循環器病院 循環器内科 目的>従来のドブタミン負荷心エコー法(DSE)では虚血心筋のpost systolic strainの評価は困難である。我々は客観性に優れたBull’s Eye表 示による2Dストレイン( 2DS)にてDSEを行いその結果をTL負荷心筋シンチ(RI)と比較検討した。対象>最近DSEとRIを施行したIHD症例 5例。方法>装置はGE社製Vivid E9を用い、負荷の各ステージ毎に心尖部3断面を記録。解析はGE社製Echo-Packを用い、収縮期最大ストレイ ン(PSS),駆出後収縮係数(PSI)をBull’s Eye表示。心室壁分画は前壁、前壁中隔、中隔、下壁、後壁、側壁、および心尖部の7分画とし、5 例35分画についてRIおよびDSEのBull’s Eye表示を比較した。PSSにおける虚血診断の閾値を-10%以上、またPSIは閾値を8%以上とした。心 筋viabilityの診断は『局所心筋収縮の確認』とした。また、PSSおよびPSIにおける正診率を検討するため、安静時PSS単独(r-PSS)、安静時 PSSあるいはPSIいずれかの判定(r-PSS/PSI)、安静時および負荷時のPSS単独(DSE-PSS)、安静時および負荷時のPSSあるいはPSIいずれか の判定(DSE-PSS/PSI)、の4段階で評価した。結果>虚血心筋の診断に関して、r-PSSでは感度52%、特異度63%、正診率49%、r-PSS/PSIでは それぞれ76%、33%、69%、DSE-PSSではそれぞれ50%、20%、43%、およびDSE-PSS/PSIではそれぞれ93%、20%、80%であった。また、DSE の心筋viability判定の感度は97.0%、特異度は100%、正診率は97.1%であった。考案>Bull's Eye表示によるDSEはIHDの診断において客観的か つ良好な正診率を示した。 ― 180 ― P-067 心筋梗塞後の左室弛緩能に及ぼす性差の影響:組織ドプラ法による検討 高田 裕子 1、大倉 宏之 2、山邉 梓 1、戸田 為久 3、吉田 清 2 1 ベルランド総合病院 臨床検査室、2 川崎医科大学 循環器内科、3 ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科 【背景】健常例における検討により、左室弛緩能は年齢や性差に影響をうけることが報告されている。【目的】心筋梗塞例の左室弛緩能に及ぼ す性差の影響につき明らかにすること。【方法】対象は心筋梗塞既往例729例(男性527例、女性202例、平均年齢69歳)。急性心筋梗塞例は除外 した。心エコー図検査を施行し、僧帽弁輪部速度の拡張早期成分e'を左室弛緩能の指標とし、男女間で比較した。【成績】女性は男性と比較し て高齢で(76 vs. 66歳, p<0.01)、左室駆出率は高い傾向にあった(54 vs. 52 %, p=0.06)が、e'は有意に低値であった(4.5 vs. 5.4 cm/sec, p<0.01)。 e'値により対象例を四分位に分類すると、女性、年齢、左室駆出率はe'最小四分位群の独立した予測因子であった。【結論】心筋梗塞例におい て性差は年齢や左室収縮能とともに左室弛緩能に影響していた。 P-068 冠動脈エコー法が初期診断に有用であった左前下行枝99%狭窄の2症例 原田 修 1、伊藤 敦彦 2、田部井 史子 2、杉下 靖之 2、吉玉 隆 2、梶山 佐枝子 1、高橋 登美子 1、古賀 祥子 1、黒瀬 美香 1、本多 美奈子 1、 斎藤 三江子 1、野崎 彰 2 1 関東中央病院 臨床検査部、2 関東中央病院 循環器内科 【症例1】74歳男性、労作時胸部絞扼感を主訴に循環器内科受診。虚血性心疾患の疑いで受診当日に心エコー検査を施行。局所壁運動異常、及 びAFI(Automated Functional Imaging)に異常なく、駆出率72%であった。冠動脈エコーでは左前下行枝分枝部に約4m/sの高速の血流を 検出、遠位部の血流速度は順行性の0.15m/s、心室中隔に左前下行枝への側副血行路を認めた。左前下行枝分枝部高度狭窄の疑いで入院とな り冠動脈造影検査の施行となった。冠動脈造影検査では左前下行枝分枝部99%狭窄、右冠状動脈から左前下行枝への側副血行路が造影された。 【症例2】70歳男性、労作時胸部圧迫感を主訴に当院紹介受診。虚血性心疾患の疑いで受診当日に心エコー検査を施行。局所壁運動異常、及び AFIに異常なく、駆出率70%であった。冠動脈エコーでは左前下行枝近位部に約3.5m/sの高速の血流を検出、遠位部の血流速度は順行性の 0.10m/s、心室中隔に左前下行枝への側副血行路を認め、左前下行高度狭窄病変が疑われた。虚血性心疾患の疑いで入院。冠動脈造影検査で は左前下行枝近位部99%狭窄、右冠状動脈から左前下行枝への側副血行路が造影された。【結語】2症例とも安静時での局所壁運動異常、AFI のみでは虚血性心疾患の検出は困難であり、冠動脈エコー法による左前下行枝高度狭窄病変の検出が迅速な診断に有用であった。本法は患者 への負荷が不要であり、日常検査においても積極的なアプローチが必要と思われた。 P-069 Dobutamine負荷にて“finger-tip”-like flow velocity accelerationが顕性化したmyocardial bridgingの1 症例 大野 由香理 1、井上 勝次 2、稲葉 慎二 2、土居 寿之 2、東 晴彦 2、永井 啓行 2、西村 和久 2、鈴木 純 2、大木元 明義 2、宮崎 真紀 1、 作岡 南美子 1、上甲 毅 1、西宮 達也 1、檜垣 實男 2、岡山 英樹 3 1 愛媛大学医学部附属病院 検査部、2 愛媛大学大学院 病態情報内科学、3 愛媛県立中央病院 循環器科 症例は、57歳男性。右冠動脈 #3の急性心筋梗塞および左前下行枝(LAD)#7 90%狭窄にて経皮的 冠動脈形成術を施行。確認心臓カテーテル検査(CAG)目的で入院した。CAGでは再狭窄病変を認 めなかったが、LAD #7-8にsystolic luminal narrowingを伴うmilking effectを認めた。QCAでは、 収縮期に拡張期と比較し21% stenosisを認め、軽度のmyocardial bridging(MB)と診断した。経 胸壁心エコー検査(GE Vivid 7 Dimension)にて同部位におけるcoronary flowを測定した。安静時 のcoronary flowではMBに特徴的な所見である“finger-tip”-like flow velocity accelerationを認めな かったが、Dobutamine負荷にて著明なflow velocityの上昇を伴う“finger-tip”-like flow velocity accelerationが出現した。MBはbenignなanomalyとして考えられてきたが、心筋梗塞など虚血性の cardiac eventの独立した規定因子であることが近年報告されてきている。 軽度のMBであっても、 負荷時には異常なcoronary flow patternが出現することもあり、貴重な1症例と考えられたため若 干の考察を踏まえて報告する。 ― 181 ― P-070 左室後負荷を反映した大動脈弁狭窄症の重症度と左室拡張能障害との関係 内田 耕資 1、村田 和也 2、和田 靖明 3、大下 千景 1、奥田 真一 1、須佐 建央 1、村上 和華子 1、有吉 亨 2、松崎 益徳 1 1 山口大学大学院 医学研究科 器官病態内科学、2 山口大学医学部附属病院 検査部、3 山口大学医学部附属病院 先進救急医療センター 【背景】左室後負荷を反映するValvuloarterial impedance(Zva)は(収縮期血圧+左室-大動脈間平均圧較差)/(一回拍出量/体表面積) )とし て算出され、大動脈弁狭窄症患者(AS)の重症度評価の指標として提唱されている。ASの重症度は主として大動脈弁口面積(AVA)により 評価さているが、ZvaとASの左室拡張機能障害との関係は明らかではない。 【方法】健常者10例、AS20例を対象とし、拡張早期の左室流入血流最大速度(E)と僧帽 弁輪最大速度(E’)の比(E/E’)を得た。ASはAVA係数(AVAI)とZvaに基づく重症度 によりそれぞれ2群に分類し(A-M群:AVAI≧0.6 cm2 x m-2, n=11、A-S群:AVAI<0.6 cm2 x m-2, n=9、Z-H群:Zva≧3.8 mmHg x ml-1 x m2, n=10、Z-L群:Zva<3.8 mmHg x ml-1 x m2, n=10)、各群でのE/E’を比較した。 【結果】A-M群とA-S群間のE/E’には差がみられなかったが、Z-H群でのE/E’はZ-L群と比 較して大であり、E/E’とZvaとの間には良好な正相関がみられた(図)。 【結論】ASの左室拡張機能障害は、大動脈弁口面積よりも左室後負荷による影響が大であ ることが示唆された。 P-071 大動脈弁狭窄症の重症度とGlobal longitudinal strainの関係 宮崎 彩記子、大門 雅夫、小磯 容子、大西 優子、鈴木 宏昌、代田 浩之 順天堂大学医学部附属順天堂医院循環器内科 【目的】2Dスペックルトラッキング法で測定した Global longitudinal strain(GLS)は、左室駆出率(LVEF)の保たれた重症大動脈弁狭窄症 患者において、正常対照群と比較して低下していることが報告されている。しかし、大動脈弁狭窄症の進行とGLS低下の関係についてはなお 不明である。今回我々は、ASの重症度とGLSの関係を検討した。【方法】LVEFが50%以上で、心筋梗塞の既往や局所壁運動異常のないAS患 者113名(年齢, 73.3±8.8歳; 男性, 38%; 大動脈弁弁口面積(AVA)、1.0±0.3 cm2; 平均圧較差(mean PG)、33.8±22.1 mmHg)を対象とした。 対象患者は軽症AS、中等症AS、重症ASの3群に分けられ、臨床背景、心エコー指標を3群間で比較した。左室心尖四腔像の6セグメントのpeak strain値の平均をGLSとした。【結果】LVEFは3群間で有意差を認めなかった。 しかし、GLSは重症ASで有意差をもって低値であった(軽症 17.1±3.0%、中等症: 16.4±3.0%、重症: 14.5±3.9%、ANOVA p=0.003)。単変量解析により、GLSはLVEF,左室心筋重量,AVA,mean PG,e'と有 意な相関があり、多変量解析ではLVEF,mean PGと高血圧症がGLSの独立した規定因子であった。(R2=0.247, p=0.0001)。【結論】AS患者にお いて、LVEFは変化しなくとも、重症度が高いほどGLSが低下していることが示された。2Dスペックルトラッキング法はAS患者における潜在 的な左室心筋障害を評価するのに有用である可能性がある。 P-072 左室駆出率が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症は本当に悪いのか? 田中 千春 1、阿部 幸雄 1、伊東 風童 1、松三 博明 1、水谷 一輝 1、大澤 和宏 1、中川 英一郎 1、小松 龍士 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3、 土師 一夫 1、成子 隆彦 1、伊藤 彰 1 1 大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器病態内科学、3 西宮渡辺心臓・血管センター 循環器内科 【背景】左室駆出率(EF)が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症(AS)は、高圧較差の重症ASより進行した病態であるとの報告がある。 今回我々は、低圧較差の重症AS例の心エコー図学的特徴を調べた。【方法】当院の心エコー図検査データベースから、EFが維持された重症AS (EF>50%かつドプラ法で大動脈弁口面積指数[AVAI]<0.6 cm2/m2)の71症例を後ろ向きに抽出し、大動脈弁平均圧較差によって低圧較差 群(≦ 40 mmHg)31例( 44%)と高圧較差群(>40 mmHg)40例( 56%)の2群に分けた。両群において、年齢および性別、AVAIでマッチ ングした21組で心エコー図所見を比較した。【結果】両群間において、左室心筋重量指数や相対的壁厚指数といった左室形態指標に差はなかっ た。左室の収縮能指標や拡張能指標にも差はなかった。弁口面積を算出する連続の式に用いる指標について両群で比較したところ、左室流出 路における駆出血流の時間速度積分には差がなかったが、 左室流出路径指数は低圧較差群で高圧較差群より小さかった( 12±1.7 vs. 13±1.1 mm/m2、P<0.01)。その結果、一回駆出量指数は、低圧較差群で高圧較差群より低かった( 39±10 vs. 48±8 ml/m2, P<0.01)。【結論】EFが 維持された低圧較差の重症ASでは、高圧較差の重症ASと比べて、左室肥大や左室求心性リモデリング、左室機能不全の明らかな進行はなかっ た。低圧較差にもかかわらず弁口面積が小さいことの原因は、左室流出路径が小さいことにある可能性がある。これが、真の形態的問題なのか、 計測上の技術的問題なのかを明らかにする必要がある。 ― 182 ― P-073 低左心機能の大動脈弁狭窄症は極めて予後が悪い 村上 弘則 1、棗田 誠 1、小川 孝二郎 1、田中 仁啓 1、石川 嗣峰 2、工藤 朋子 2、網谷 亜樹 2、矢戸 里美 2、中島 朋宏 2、山口 翔子 2 1 手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科、2 手稲渓仁会病院臨床検査部 【目的】低左心機能重症大動脈弁狭窄症(AS)の臨床的特徴と予後を検討。【対象・方法】大動脈弁口面積(AVA)≦1.0cm2、左室駆出率(EF) ≦40%を満たす低左心機能重症AS(男29例、 女24例、 平均79歳、 平均EF30%) の症状、 合併疾患、 予後、 死因、 治療効果を検討。【成績】 96%の症例が有症状で、75%が呼吸苦、胸苦であった。虚血が45%に見られ、心筋梗塞は34%に合併した。平均クレアチニン値が2.35mg/dLと 高く、17%は血液透析患者であった。低左心機能の原因は主にAS( 38%)と虚血( 40%)で、平均0.4年で22例が心臓死した。死因は73%が突 然死で、徐脈から心停止、心室頻拍/心室細動、血行動態破綻による心原性ショック、心肺停止であった。13例に大動脈弁置換術(AVR)、う ち7例に冠動脈バイパス術が追加され、2例に経皮的大動脈弁形成術(PTAV)を施行した。AVR、もしくはPTAVを施行した15例中、長期に 外来で経過観察できた9例では術後1カ月から36カ月でEFが正常化(平均EF59%)したが、術後2例は突然死した。AVRが施行できず、冠動脈 バイパス術を施行した4例では、術後2例が心血管死した。【結論】低左心機能重症ASの予後は極めて悪いが、もしAVR、PTAVが施行できれ ばEF、予後の改善が期待できるので、可及的速やかなASの解除が有効と考えられた。また、虚血合併時には積極的な治療追加が予後改善に 有効と考えられた。 P-074 左室駆出率が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症は、 心エコー図検査の計測上の誤差から生じていない か? 伊東 風童 1、阿部 幸雄 1、田中 千春 1、松三 博明 1、水谷 一輝 1、大澤 和宏 1、中川 英一郎 1、小松 龍士 1、葭山 稔 2、吉川 純一 3、 土師 一夫 1、成子 隆彦 1、伊藤 彰 1 1 大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪市立大学 循環器病態内科学、3 西宮・渡辺心臓血管センター 循環器内科 【背景】左室駆出率が維持された低圧較差の重症大動脈弁狭窄症(AS)が存在し、高圧較差の重症ASより進行した病態であるとの報告がある。 しかし、連続の式を用いたASの重症度評価において、左室流出路面積(LVOTA)ひいては大動脈弁口面積(AVA)が過小評価されることで、 そのような症例が間違って生じている可能性がある。【目的】連続の式を用いた低圧較差の重症ASという評価が、LVOTAひいてはAVAの過 小評価によって生じたものではないかどうかを3D経食道心エコー図検査(TEE)を用いて検証すること。 【方法】連続の式を用いて重症AS(AVA 指数<0.6cm2/m2)と評価され、精査のため3DTEEを施行した20例を対象とした。LVOTA指数やAVA指数を連続の式と3DTEEで比べた。【結 果】低圧較差群(平均大動脈弁圧較差<40mmHg)は6例、高圧較差群(平均大動脈弁圧較差≧40mmHg)は14例だった。LVOTA指数は、両 高圧較差群で0.14±0.84 群ともに連続の式のほうが3DTEEよりもやや大きかったが有意差はなかった。 その差は低圧較差群で0.05±0.27 cm2/m2、 2 2 cm /m であり、両群で同等だった。AVA指数においても、連続の式と3DTEEとの差は、低圧較差群で0.00±0.17 cm2/m2、高圧較差群で0.00 ±0.21 cm2/m2となり、両群で同等だった。【結語】左室駆出率が維持された低圧較差の重症AS例が、連続の式におけるLVOTAやAVAの過小 評価によって生じている可能性は低い。 P-075 大動脈弁狭窄症における左室肥大の決定要因についての検討 合田 亜希子 1、正木 充 1、大塚 美里 1、吉田 千佳子 1、中坊 亜由美 1、赤堀 宏州 1、大江 良子 1、辻家 紀子 2、江口 明世 1、澤田 悠 1、 廣谷 信一 1、川端 正明 1、宮本 裕治 2、増山 理 1 1 兵庫医科大学 内科 循環器内科、2 兵庫医科大学 心臓血管外科 目的:大動脈弁狭窄症(AS)は弁の狭小化により、左室内圧が上昇し左室肥大をきたす。しかし、ASが進行し手術を要する症例の中にも左 室肥大がないか比較的軽度である症例を認める。ASの重症度は心エコー図検査により診断されるが、断層エコーにより弁狭窄が疑われるもの の、描出不良などにより弁通過血流速が高速でなく左室肥大もないような場合にはその重症度判定に苦慮することがある。本研究においては 重症AS患者において左室肥大に関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法:対象は重症ASにたいし弁置換術を施行した36例(女 性20例、年齢74±8歳)。二尖弁は除外した。心エコー検査により、手術直前の心筋重量(LVMI g/m2)を求め、中等度以上の左室肥大を認め (1) る群(LVH+群:男性LVMI≧132 g/m2、女性≧109 g/m2)と認めない群(LVH-群)において心エコーデータ、臨床背景を比較した。結果: LVH+群(24例)とLVH-群(12例)において、LVH+群には女性(p<0.05)が多く、LVH-群ではBMIが大きかった(24.5±4.7 vs. 21.4±3.8,p <0.05)。左房径や左室径、左室の収縮能・拡張能指標、大動脈弁狭窄症の進行度、求心性リモデリングの有無などには差は認めなかった。(2) 内服について、降圧薬、糖尿病治療薬、ワーファリン、スタチン系薬、冠拡張薬の有無について検討を行ったところ、LVH-群においてはア ンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)の内服が有意に多く(p<0.05)、他の薬剤については差を認めなかった。結論:進行したAS症例にお いて、左室肥大がないか軽度である群においてはARB内服の頻度が高く、重症ASにおいてもARBに肥大抑制効果があることが示唆された。 ― 183 ― P-076 大動脈弁硬化症診断における大動脈弁石灰化スコア化の妥当性の検討 古川 邦子 1、長友 英里香 2、尾方 美幸 1、鈴木 千代子 1、小松 弘幸 2、鬼塚 久充 2、川越 純志 2、鶴田 敏博 2、石川 哲憲 2、今村 卓郎 2、 北村 和雄 2 1 宮崎大学 医学部 附属病院 検査部、2 宮崎大学 医学部 附属病院 第一内科 【背景】石灰化大動脈弁疾患は、左室流出路狭窄を伴わない大動脈弁硬化症と、左室流出路狭窄を伴う大動脈弁狭窄症に分類される。大動脈弁 石灰化の進展は、動脈硬化病変と病理学的特徴や危険因子が類似していることから、動脈硬化との関連も指摘されている。我々は、大動脈弁 の石灰化の有無および石灰化弁尖の枚数は、頚動脈平均IMTが厚いほど有意に増加することを報告した。【目的】大動脈弁硬化症の重症度評価 として、弁尖の石灰化をスコア化しその方法の妥当性を検討すること。【方法】複数の評価者が大動脈弁の拡大画像を個別に観察して、3枚の 大動脈弁尖のうち石灰化の存在する弁尖の枚数を0~3の4段階に分類する。評価者間の再現性が許容範囲内であるか否かを検討した。弁尖石灰 化判定は心周期の収縮期に弁尖が重ならない時相で行った。評価した画像は2010年10月に当院第一内科で心エコーを行った循環器疾患の患者 50例を用いた。評価者間の4段階のスコア判定の分布差の有無をx 2検定で行い、結果の一致度を検討する目的でk 検定を行った。【結果】4段階 の重症度評価の分布差はP値が0.53とスコア分布に有意な差はみられなかった。評価者間でのスコア一致度は経験豊富な評価者間ではk 値が0.50 で許容範囲となった。しかしながら、経験の浅い評価者ではk 値が0.33であった。【結論】大動脈弁硬化症において、石灰化弁尖の枚数をスコ ア化する方法は、大動脈弁硬化症の重症度評価として簡単で特別な機器を用いる必要もなく、許容範囲のばらつきで実施できる臨床的に有用 な指標と思われる。 P-077 局所心筋虚血により重症機能性僧帽弁逆流を認めた一例 清家 史靖、三根生 和明、岡山 英樹、川上 大志、山中 俊明、佐藤 真、佐藤 澄子、中村 陽一、風谷 幸男 愛媛県立中央病院 循環器内科 症例は80歳代前半、男性。平成22年7月に呼吸困難を自覚し、近医にて外来加療されていたものの改善せず、当院に救急搬送された。来院時、 発熱を認め呼吸困難も持続しておりリザーバー酸素投与下SpO2 95%であった。肺炎及び慢性心不全の増悪と判断し、肺炎に対してはABPC/ SBT投与を行い、心不全に対してはフロセミドの静注、及びhANP投与にて加療を行った。上記加療にて心不全及び肺炎は改善した。入院時 心エコー図検査では、後側壁の運動の低下及びballooningを認めており、同部位より前乳頭筋がtetherされ、そのために重症機能性僧帽弁逆流 を認めていた。後日行った冠動脈造影検査では、後側壁枝のみの虚血を認めており、同部位に対し経皮的冠動脈インターベンション及び薬物 加療により機能性僧帽弁逆流の改善を認めている。局所心筋虚血により重症機能性僧帽弁逆流を認めた一例を経験したので報告する。 P-078 機能性僧帽弁閉鎖不全に僧帽弁逸脱を合併し重症僧帽弁閉鎖不全呈した一症例 岩瀧 麻衣、竹内 正明、芳谷 英俊、春木 伸彦、加来 京子、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科 65才、男性。以前より広範囲前壁中隔心筋梗塞に伴う虚血性心筋症、発作性心房細動などで外来通院。心エコー図検査では前壁中隔を含めて びまん性に左室壁運動低下、僧帽弁弁尖はtetheringを呈しているものの軽度の僧帽弁閉鎖不全を認めるのみであった。しかし感冒様症状とと もに急速に進行する呼吸困難を突然自覚するようになり当院救急外来を受診、急性心不全の診断にて同日入院となった。入院時心房細動を呈 していたため除細動を行うも心不全症状改善せず。心エコー図検査で左室の壁運動低下は変わらないものの僧帽弁前尖腱索断裂による逸脱か らの重症僧帽弁閉鎖不全を認めた。内科的治療では心不全のコントロールがつかないため準緊急的に僧帽弁置換術を行った。術後心不全は軽 減し血行動態も安定した。僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流の重症度は僧帽弁健側のtetheringも影響すると考えられているが、今回の症例では元々 tetheringをしていた弁に新たに逸脱が加わり重症僧帽弁閉鎖不全に至ったと思われた。これらを三次元経食道心エコー図検査にて詳細に検討 できたので報告する。 ― 184 ― P-079 僧帽弁形成術後の早期に進行性の溶血性貧血を伴った僧帽弁逆流の一症例 水田 理香 1、住田 善之 1、城 好人 1、安達 名緒子 1、天木 誠 2、長谷川 拓也 2、田中 教雄 1、神崎 秀明 2 1 国立循環器病研究センター 臨床検査部、2 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 [症例]64歳男性[既往歴] 特になし[現病歴]2008年春、 近医で心不全と診断され市立病院を受診し心エコーにて高度の僧帽弁逆流(MR) と診断。手術目的で当院受診。[入院時現症]心電図:正常洞調律HR58bpm。胸部レントゲン:CTR 50%。心エコー:LVDd/Ds=67/44mm、 EF=60%、LADs=55mm、僧帽弁後尖middle scallop からlateral scallopにかけて逸脱を認め、同部位から中等度~高度のMR( 3~4°/4)が 検出された。[手術所見]僧帽弁後尖middle scallopの逸脱に対し、後尖台形切除、Cosgrove ringによる僧帽弁形成術が施行された。[術後経過] 術後4日目頃より徐々に心雑音が強くなり血液データでHb9.5g/dl、LDH723U/lと溶血性貧血が疑われた。術後7日目の心エコーにて軽度のMR ( 2°/4)が認められ、術後17日目の心エコーにてMRは僧帽弁後尖側から高度( 4°/4)に増加。弁形成部位を詳細に観察すると、後尖中央部の 弁腹に隙間が認められそこからMRが出現していた。LVDd/Ds=69/41mm、EF=60%、LADs=56mm。経食道心エコーでも同様の所見であっ た。患者の全身倦怠感が強く、再手術が施行された。[再手術所見]ringによる再形成術が施行された。後尖を縫合した糸が組織をカッティン グし、Cosgrove ringも両側の5針を除いて外れていた。弁および周囲組織が著しく脆弱であったためと考えられた。[結語]僧帽弁形成術後の 早期に認められた進行性の溶血性貧血の原因検索に、心エコーが有用であった。 P-080 外科的切除により診断しえた僧帽弁輪部動脈硬化性疣腫の一例 山田 香織 1、平田 久美子 2、和田 希美 2、岩崎 実加 1、石橋 耕平 2、小向 賢一 2、谷本 貴志 2、北端 宏規 2、猪野 靖 2、中西 浩子 2、 木村 桂三 2、今西 敏雄 2、赤阪 隆史 2 1 和歌山県立医科大学 循環器内科 超音波検査室、2 和歌山県立医科大学 循環器内科 症例は62歳女性。糖尿病性腎症の増悪に対して精査目的に当院に入院された。下腿浮腫、全身倦怠感を認めたため、心性浮腫も疑い心エコー を施行した。僧帽弁輪部左室側に可動性を有する腫瘤性病変を認めた。感染性心内膜炎の可能性を考えたが、有意な弁膜症および炎症所見の 上昇を認めず、血液培養も陰性であった。臨床所見、心エコー所見より乳頭線維腫を疑った。治療方針として、腫瘤が可動性であることおよ び悪性腫瘍の可能性が否定できないことから、腫瘤摘出術を行った。病理所見上は、動脈硬化性疣腫であった。今回我々は可動性を有する僧 帽弁輪部腫瘤性病変に対して診断・治療に苦慮した症例を経験したので報告する。 P-081 僧帽弁 disjunction 磯谷 彰宏、有田 武史、梅田 ひろみ、酒井 孝裕、横井 宏佳、岩淵 正志、延吉 正清 社会保険 小倉記念病院 【背景】 僧帽弁 disjunction は、僧帽弁繊維輪の構造的異常で僧帽弁逸脱との関わりで病 理学者によって報告されている。Disjunction は、心房壁-僧帽弁の連続が左室に 付着する部分の分離によって定義づけられている。このために僧帽弁の可動性は 過剰となり、flail leaflet となる。 【方法と結果】 僧帽弁逸脱を有し手術を施行した72症例を、 経食道心エコー図で評価した。 Disjunction は 9例( 12.5%、平均年齢 63.1±12.9才、男性8人)で認められ、その 幅は5.0-13.2mm(平均8.0±2.7mm)であった。これらは全例後尖に認められ、2 例がP1、2例がP2、6例がP3 であった。 【結論】 僧帽弁逸脱におけるdisjunction は、決して稀ではない。 ― 185 ― P-082 急性心不全を発症した大動脈弁輪拡張症(AAE)の病態診断に心エコーが有効であった一例 窪田 由季、塚本 勝、横山 秀雄、白神 幸太郎 特定医療法人北海道循環器病院 AAEは大動脈基部拡張による大動脈弁尖tetheringの結果、大動脈弁逆流(以下AR)が徐々に進行する疾患であり、急激に進行する事はまれ である。今回、急性心不全を発症した本症を経験し、興味ある知見を得たので報告する。【症例】51歳 男性【主訴】呼吸困難【既往】関節リ ウマチ【現病歴】2010年11月30日労作後突然胸部不快感を自覚し、翌日当院外来を受診。聴診にて前胸部にthrillを伴う収縮期雑音と拡張期雑 音を聴取した。血圧は98/44mmHg、心電図ではHR120~150bpmの心房細動であった。胸部X線で軽度心拡大と肺うっ血を認めた。心エコー 図では大動脈基部が67.8mmと著明な拡大を来しており、右冠尖先端の異常運動、および重度のARを認めたが、左心室の拡張は軽度であった。 僧帽弁はP1とP3が軽度逸脱し、僧帽弁逆流(以下MR)を認めたが、それに加え中等度の拡張期MRが見られた。以上の所見より、前日の胸苦 出現時に右冠尖断裂が起こり、重度のARによる急激な左室拡張期圧(LVEDP)上昇を来たしたと考えられた。治療はまず内科的治療を行い、 心不全の改善が得られ、拡張期MRも消失した。12月10日に準緊急的にBentall手術を施行。手術所見では、大動脈の壁と大動脈弁は菲薄化し、 右冠尖の弁先端に断裂が認められた。術後経過は順調であった。【考察】拡張期MRはLVEDPが急激に上昇し、左室 ‐ 左房間の圧較差が逆転 した時に生じる現象であり、急性期の重症AR症例に見られることが知られている。本症例も、拡張期MRの存在が大動脈弁尖断裂による急性 心不全発症の転機を示唆した症例であった。 P-083 重症大動脈弁逆流をきたした大動脈四尖弁の一例 川上 知子 1、斉藤 尚孝 2、伊藤 梢 1、高瀬 博美 1、羽根川 立人 1、土川 泰子 1、稲葉 直美 1 1 函館中央病院 検査科、2 函館中央病院 循環器科 大動脈四尖弁は稀な先天性心臓弁膜奇形であり、剖検集計では0.008~0.033%と報告されている。四尖弁の発生機序は胎生4週から生じる総動 脈幹から肺動脈、 大動脈中隔が形成する過程で、 動脈幹隆起に過剰増殖が生じたさいに半月弁の弁尖異常が生じると推定されている。 今回、 近医から心雑音指摘のため紹介され、心エコー検査にて重症大動脈弁逆流をきたした大動脈四尖弁を認めた症例を経験し、文献的考察を加え て報告する。 【症例】45歳男性 【現病歴】H21年の健診にて心雑音を指摘され近医受診。 H22年7月、心臓弁膜症精査のため当院紹介受診。第3肋間胸骨左縁にLevine3/VIの収縮期および拡張期雑音を聴取する。労作時息切れ、動悸 あるが、日常生活は問題なくこなしていた。 【検査所見】心エコー検査にて、大動脈四尖弁であり、弁尖肥厚・軽度硬化、および弁尖中央での接合不全を呈しており、重症の大動脈弁逆流 を認めた。左室内径は拡大し、左室収縮も正常下限レベルに低下していた。 心臓カテーテル検査では、 冠動脈に有意狭窄はなし。 左室拡張末期圧25mmHgと上昇し、 左室拡張末期容積288.5mlと拡大し、 左室駆出率 56.8%と正常下限レベル。sellers4/VIの大動脈弁逆流を認めた。 【治療経過】ARB内服を開始し、経過観察するが、心拡大傾向ある。H22年12月、大動脈弁形成術施行した。 P-084 大動脈弁狭窄症におけるTrans Mitral Annual DisplacementとLongitudinal Strainの比較 上嶋 亮 1、鈴木 健吾 1、黄 世捷 1、水越 慶 1、高井 学 1、田端 千里 2、宮内 元樹 2、三宅 良彦 1 1 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、2 聖マリアンナ医科大学 臨床検査部 【背景・目的】大動脈弁狭窄症(AS)患者において左室駆出率(LVEF)が保たれるが、左室長軸方向への収縮、Longitudinal Strain(LS)が 有意に低下していることが知られている。また、LSは左室重量係数(LVMi)と相関し、LSとLVMiはAS患者の大動脈弁置換術(AVR)予後 予測に有用だとされている。Trans Mitral Annual Displacement(TMAD)はLS同様に左室長軸方向への収縮能の評価に有用で、かつ心尖部 四腔断面の一断面から得られる。我々は無症候性ASおよびAVR待機患者においてiE33で得られたLSとTMADおよびLVMiとの関係を比較検討 した。【方法】無症候性AS患者15名と、AVR待機患者15名に対し、iE33を用いてLVMi、LVEF、LS、TMADを測定した。【結果】無症候群と 待機群で年齢、LVEFに有意差を認めなかった。LVMiは手術待機群で増大していた。( 146±30 vs 184±42 ml)心尖部四腔像一断面から得ら れたLSは手術待機群で低下している傾向にあるものの、無症候群と有意差を認めなかった(-11.8±3.2 vs -10.9±2.5 %)。同一断面から得ら れたTMADは無症候群で有意に高かった( 11.3±0.7 vs 9.2±0.7 %)。LS、TMADいずれもLVMiと相関を認めた。【結論】心尖部四腔像一断面 でのLSは無症性大動脈狭窄患者群と大動脈弁置換術待機患者群間の左室長軸方向への収縮障害を弁別できなかった。 同一画像から得られた TMADは二群間で有意差を認め、TMADは日常臨床における無症候性大動脈弁狭窄のスクリーニングおよび予後予測に有用であることが示唆 された。 ― 186 ― P-085 高度三尖弁閉鎖不全と右室機能低下を伴ったEbstein奇形の術後の予後予測にドブタミン負荷心エコー法が有用 であった1例 平石 真奈 1、田中 秀和 1、松本 賢亮 1、三好 達也 1、辻 隆之 1、金子 明弘 1、漁 恵子 1、山脇 康平 1、福田 優子 1、則定 加津子 1、 辰巳 和宏 1、大北 裕 2、川合 宏哉 1、平田 健一 1 1 神戸大学 大学院 医学研究科 循環器内科学分野、2 神戸大学 大学院 医学研究科 心臓血管外科学分野 症例は64歳女性。幼少時から運動時に易疲労感を自覚していた。2003年に労作時易疲 労感の増強を自覚し近医を受診した。Ebstein奇形およびそれに伴う高度三尖弁閉鎖不 全と診断され、 以後外来でフォローをされていた。2009年7月より下腿浮腫、 労作時 易疲労感などの右心不全症状が出現したため、近医に入院となった。心不全の加療を 行い、一旦軽快退院するも、同年9月に右心不全が再燃したために、近医に再入院となっ た。しかし内科的治療のみでは改善が得られず、外科的治療の精査目的に当院に転院 となった。心エコー図検査上、右室は著明なリモデリングを示し、高度の右室収縮能 低下と三尖弁逆流を認めた。術後のポンプ失調が危惧されたが、術前に行ったドブタ ミン負荷心エコー図検査にて右室収縮能の改善が認められ、収縮予備能は残存してい るものと判断した(表参照)。同年11月、三尖弁形成術、右房化右室縫縮術を施行し、 以後心不全の再燃なく現在まで経過している。重症右心不全を呈した高齢Ebstein奇形 に、外科的治療を行い良好な結果を得た一例を経験したので報告する。 P-086 僧帽弁輪石灰化に合併した無症候性感染性心内膜炎の1例 村上 千佳 1、西村 和久 1、井上 勝次 1、東 晴彦 1、稲葉 慎二 1、永井 啓行 1、鈴木 純 1、大木元 明義 1、檜垣 實男 1、岡山 英樹 2 1 愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 愛媛県立中央病院 循環器病センター 患者は78歳の男性。2010年6月に収縮期雑音を指摘され近医の循環器内科を受診した。心エコー図検査で閉塞性肥大型心筋症、中等度大動脈弁 狭窄症および僧帽弁輪石灰化を指摘され内服加療されていた。同年12月に行った定期検査で僧帽弁に付着する径1.5cmの可動性腫瘤を認めた。 胸部症状や塞栓症状はなかったが、塞栓症のhigh riskと判断し精査加療目的で当院に緊急入院した。入院後の経食道心エコー図検査で僧帽弁 輪石灰化部位に付着するdog ear様の可動性腫瘤(径1.5cm)を認め手術適応と判断した。術前の血液培養は陰性であった。冠動脈疾患と中等 度大動脈弁狭窄症を合併していたため腫瘤摘出に加え冠動脈バイパ ス術、 大動脈弁置換術を同時に施行した。摘出検体の細菌培養から Staphylococcus lugdunesisが検出され、 組織診断でも多核巨細胞や 好中球などの炎症性細胞浸潤を認め感染性心内膜炎に矛盾しない結 果であった。僧帽弁輪石灰化は良性と考えられているが、感染性心 内膜炎を発症する可能性があり注意が必要である。 P-087 経食道エコーで腫瘍の付着部位診断が有用であった左房巨大粘液腫の1例- 320列エリアディテクターCTと の比較 谷地 繊、中島 啓喜、岸 智、原 和弘 三井記念病院 循環器内科 【症例】52歳男性【現病歴】平成22年8月に他院で施行したCTで左房内の造影欠損を指摘、 経胸壁心エコーで左房粘液腫と診断され手術目的で当院に紹介となった。【経過】当院 での経胸壁心エコーでは拡張期に左室から僧帽弁にかけて陥頓する7x 3cmの巨大左房 腫瘤を認めたが、 腫瘍の付着部は描出不能であった。 経食道エコー(TEE) では、 左 房壁の大動脈弁無冠尖後方に付着する腫瘍茎を鮮明に描出できた。術前に冠動脈評価を 兼ねて320列エリアディテクターCTを施行した。Toshiba Aquilion One を使用して1心 拍全周期撮影を行い、 収縮期30%位相、 スライス幅0.25mmで再構成を行ったところ、 TEEと同部位に腫瘍茎付着部を確認できた。 手術は右房切開経中隔アプローチで施行 しTEEおよびCTに一致した位置に腫瘍の付着を確認できた。【結語】 心臓腫瘍では茎 付着部の部位診断が術式の決定に必須である。 被曝があり再構成の処理が必要なCT検 査に比して、TEEではリアルタイムで腫瘍と周辺組織との関係が描出でき、 低侵襲で 鮮明な画像評価が可能であった。 ― 187 ― P-088 高齢巨大左房内腫瘍の1例 宮内 元樹 1、水越 慶 2、黄 世捷 2、高井 学 2、鈴木 健吾 2、明石 嘉浩 2、桜井 正児 1、辻本 文雄 3、信岡 祐彦 3 1 聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター、2 聖マリアンナ医科大学 循環器内科、3 聖マリアンナ医科大学 臨床検査医学講座 原発性心臓腫瘍の多くは良性でありその多くが左房内に好発することが知られている。一方で、悪性腫瘍の多くを占める肉腫の好発は右心系 である。今回我々は、左房内に出現し、診断および治療に苦慮した左房内巨大腫瘤の一例を経験したので報告する。【症例】80歳の女性 。数 年前から近医にて高血圧症および甲状腺機能低下症の内服加療中。平成22年9月14日より動悸が出現し、9月25日に心房細動を指摘。経胸壁心 臓超音波検査にて左房内巨大腫瘤性病変を認めたため当院紹介となった。来院時身体所見は血圧 149/104mmHg、心拍数148/分不整であり、 明らかな心雑音は聴取できなかった。当院での経胸壁超音波検査では、左心房に3cm x 4cmの多房性で、可動性に富むものの、心房中隔に広 基性に付着し、付着部に石灰化を伴う腫瘤を認めた。前医にておよそ一年半前に施行された心臓超音波検査では同様の巨大腫瘤は認めなかった。 心臓CT、MRIでは良悪性の鑑別は困難であったが、経胸壁、経食道心エコーでは、心房中隔を超えた浸潤が疑われた。診断加療目的に開胸心 臓内腫瘤除去術を行い、心房中隔から発生した心臓原発の肉腫と診断した。姑息的手術にて退院されたものの、術後三ヶ月での腫瘍の再増大 を認めた。術後経過を含め、心臓悪性腫瘍の鑑別および診断における心臓超音波検査の有用性を報告する。 P-089 経胸壁心エコーにて観察しえた上行大動脈内可動性腫瘤性病変の一例 桜山 千恵子 1、河野 ますよ 1、南雲 俊哉 1、市川 健一郎 2、吉田 省吾 2、田代 宏徳 2、山本 康人 2、大山 明子 2、薄井 宙男 2、野田 誠 2、 北村 成大 3 1 社会保険中央総合病院 臨床検査部、2 循環器内科、3 病理部 【症例】89歳男性【既往歴】糖尿病、高血圧、喉頭がんにて放射線治療後【現病歴】平成22年8月ごろより咽頭痛、血痰が出現、炎症反応高値 にて入院加療となった。誤嚥性肺炎、咽頭炎を疑われ、抗生剤投与が開始された。入院後施行した経胸壁心エコーで、腕頭動脈起始部近傍の 大動脈内腔に不整形、可動性に富んだ4×2cm大の異常構造物を認め、前壁より大動脈内へ伸びる有茎性腫瘤状形態を呈していた。同部位の動 脈壁は不整な肥厚とエコー輝度上昇を認めた。大動脈前方にはhypo echoic spaceを認め、大動脈壁の一部は前縦隔と癒着しているものと思わ れた。経過観察中の心エコーで腫瘤の増大傾向を認め、手術を勧めるも家族の同意が得られなかった。第16病日に多発性脳梗塞を発症、先端 の形状に変化を認め、心不全の進行と呼吸状態の悪化により、第21病日に死亡した。剖検所見では大動脈前面に癒着する縦隔内に膿瘍形成を 認め、膿瘍の一部が大動脈内へ漏出し血栓形成をきたしていた。採取した膿瘍内部よりCandida albicansが検出された。【結語】上行大動脈内 に形成された可動性腫瘤性病変の経過観察、診断に経胸壁心エコーが有用であった。 P-090 大動脈基部に可動性腫瘤影を認めた動脈硬化ハイリスク症例の一例 發知 淳子 1、岡部 太一 1、横山 芳 1、星賀 正明 1、石原 正 1、石坂 信和 2、花房 俊昭 1 1 大阪医科大学 内科学(I)、2 大阪医科大学 内科学(Ⅲ) 【症例】70歳男性【主訴】透析中の胸痛【既往歴】2006年冠動脈バイパス術、2007年下肢動脈バイパス術。【現病歴】22年来の糖尿病で、4年前 より維持透析中。透析中の胸痛にて当院へ紹介。【経過】心筋逸脱酵素の軽度上昇を認め急性冠症候群と診断したが、心エコーにて上行大動脈 基部の石灰化プラークに付着する13×8 mm大の可動性に富む等エコーの腫瘤影を認め、カテーテル操作による塞栓症のリスクを考慮して保存 的加療を行った。CRPは持続的に軽度上昇するも、 経過中発熱を認めず血液培養は 陰性であった。 大動脈壁の動脈硬化病変に付着した可動性血栓の可能性が高いと考 え、抗凝固療法を行った。その後、明らかな塞栓を疑わせる徴候はなく、2ヶ月後の 心エコーでは腫瘤は縮小し(7×5 mm)、エコー輝度の増強を認めた。以上から、腫 瘤はアテローム性プラークに付着する可動性血栓と考えられた。 若干の文献的考察 を加え報告する。 ― 188 ― P-091 左室流出路に多発性乳頭状線維腫を認めた一症例 西野 共達 1、谷 知子 1、小津 泰久 2、井手 裕也 1、豊田 俊彬 1、本田 怜史 1、木村 紀遵 1、舟越 俊介 1、金 基泰 1、北井 豪 1、 小堀 敦志 1、江原 夏彦 1、木下 愼 1、加地 修一郎 1、山室 淳 1、岡田 行功 2、古川 裕 1 1 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科、2 神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科 症例は54歳女性。2010年3月、繰り返す失神を主訴に近医受診。頭部MRIやHolter心 電図など精査されるが異常は認められず、経胸壁心エコー図検査にて、左室流出路・ 心室中隔壁・僧帽弁に多発性に可動性の腫瘤を認め当科紹介となった。心エコー図検 査からは多発性乳頭状線維腫と診断した。可動性に富んだ腫瘤であり、塞栓症予防の ため、開心摘出術を行う方針となり施行。病理標本でも乳頭状線維腫であることが確 認された。乳頭状線維腫は、通常大動脈弁などの弁組織に単発性に生じることが多く、 本症例は、左室流出路に多発性に生じた稀有な症例であった。当院での過去10年間の 乳頭状線維腫の経験と過去の文献を合わせて報告する。 P-092 高度な肺動脈狭窄と肺高血圧症を来たし、肺動脈血栓塞栓症との鑑別が困難であった肺動脈肉腫の一例 小口 徳之 1、竹村 明子 1、長畑 公宣 1、加賀谷 健一 1、大海 延也 1、駒形 良博 1、草野 浩幸 2、永井 知雄 2、上畑 昭美 2、田中 良昭 3、 箱崎 幸也 4 1 自衛隊中央病院 診療技術部 臨床検査課、2 同循環器内科、3 同心臓血管外科、4 同消化器内科 【症例】77歳女性【主訴】呼吸困難・動悸【既往歴】糖尿病にて他院通院中。【現病歴】平成20年頃より呼吸困難・動悸を認め、精査勧められ るも拒否。平成22年4月より症状悪化し当院受診・入院となった。【入院時身体所見】血圧153/57、脈拍93/分、下腿浮腫あり。【胸部レントゲ ン所見】CTR57%【心電図所見】洞調律【心エコー図所見】右室・右房は高度に拡大し、心室中隔は収縮期・拡張期ともに高度扁平化を認めた。 肺動脈弁直上付近に、内腔を占める55×27mm大のmassを認めた。同部位の血流は、max4.0m/s.maxPG65mmHg.であった。三尖弁逆流は軽度 だが、最大逆流圧較差はmaxPG90mmHg.と高度圧較差を認めた。【胸部造影CT所見】肺動脈相で肺動脈幹内部に塊状の造影欠損像を認め、平 衡相では内部に不均一な造影効果を認めた。末梢肺動脈内にも不均一な造影欠損像を認めた。【PET-CT所見】腫瘤影に一致し、肺動脈内に異 常集積を認めた。【Angio】冠動脈に有意狭窄無し。右心カテーテルにて、右室圧65/14( 15)mmHg.であった。【経過】肺動脈腫瘍・血栓摘徐 術が施行された。肺動脈主幹部に腫瘍を認め、肺動脈弁の同定は困難だった。左肺動脈内にも腫瘍を認め、右肺動脈内は血栓塞栓症を伴って いた。病理検査にて、肺動脈肉腫と診断された。【まとめ】肺動脈狭窄を伴う肺動脈肉腫を経験した。心臓原発悪性腫瘍は、0.007%と非常に 稀であり心エコー上肺動脈血栓塞栓症との鑑別に苦慮した。 P-093 巨大縦隔悪性リンパ腫により肺動脈狭窄を呈した1例 水野 麗子 1、吉田 秀子 2、辻本 紀美子 2、斎藤 能彦 3、岡本 康幸 2、藤本 眞一 4 1 4 奈良県立医科大学 総合医療学、2 奈良県立医科大学附属病院 中央臨床検査部、3 奈良県立医科大学 第一内科、 奈良県立医科大学 教育開発センター 症例:22歳、男性。1年前に胸痛を主訴に当院を受診した。精査の結果、前縦隔原発のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。R-THPCOP療法(rituximab pirarubicin cyclophosphamide、vincristine、prednisolone)8クールが施行され、リンパ腫は完全寛解し、胸痛も消失した。 その後、経過は良好であったが、R-THP-COP療法終了1年後に再度胸痛が出現した。胸部造影CTでは、初発時と同様に前縦隔左側に68 x 45 mm大の腫瘤が認められ、腫瘤の一部は肺動脈本幹に浸潤していた。腫瘤が初発時と同一部位に認められることから、リンパ腫再燃が疑われた。 経胸壁心エコーでは、 肺動脈本幹が腫瘍浸潤により狭窄しており、 狭窄部位において18 mmHgの圧較差が認められた。CHASER療法 (cyclophosphamide、cytosine arabinoside、etoposide、dexamethasone)3クールが施行され、胸部CT上、縦隔腫瘤は43 x 15 mm大へ縮小し、 肺動脈本幹への浸潤も消失した。また、胸痛も消失した。経胸壁心エコーでは、肺動脈本幹の腫瘤による狭窄は消失し、同部位における有意 な圧較差は消失していた。結語:前縦隔悪性リンパ腫の浸潤により肺動脈本幹の狭窄を来した1例を経験した。本例では、心エコー図により化 学療法前後でのリンパ腫による肺動脈狭窄の経時的変化を詳細に観察し得た。前縦隔腫瘍が認められた場合は、周囲の血管への浸潤やそれに 伴う血行動態変化の詳細な評価に心エコーが有用である。 ― 189 ― P-094 上大静脈症候群で発見された心臓浸潤を伴った縦隔腫瘍の1例 中山 美緒、泉 学、西村 芳興、市田 勝、苅尾 七臣 自治医科大学付属病院 内科学講座 循環器内科部門 77歳男性。2010年9月より食欲不振にて近医にて入院加療し、補液にて一旦は症状改善し退院となったが、再び症状の増悪を認め、顔面・下腿 浮腫と咳嗽も出現したため、精査を行ったところCT上縦隔腫瘍を認め、当院総合診療部紹介入院となった。縦隔腫瘍は上縦隔を中心に上行大 動脈周囲を取り囲みように拡大しており、肺動静脈・両心房が圧排されていた。腫瘤全体の大きさは、116×113×87mmであり、内部は造影 不均一で一部壊死組織を疑わせる低吸収域の部分があり、心臓内にも浸潤していることが疑われる所見も認められた。当科にて心臓超音波検 査を施行したところ、左心機能は保持されていたが、両心房内に腫瘤形成している所見あり、最大径23mm×31mmであった。心嚢液も全周性 に認めたが、心タンポナーデには至っていなかった。上大静脈も腫瘤により狭窄しており、右心房内へ加速する2.88m/sのDoppler 信号を認め、 上大静脈症候群を示唆する所見であった。 縦隔腫瘍に対してエコー下生検を行ったところ、壊死を伴いN/C比の高い腫瘍細胞が明らかな構 造を呈さずに増殖していた。免疫染色では上皮性マーカーであるAE1/AE3陽性で、その他の免疫染色は陰性であり、上皮性低分化癌と病理診 断を得た。心臓に浸潤した縦隔腫瘍を詳細に報告したものは少なく、心臓超音波検査や他の画像所見を対比しながら、経過観察ができ、かつ 経時的に縮小する過程を捉えることができた本例は貴重な症例と考え報告した。 P-095 心臓転移を認めた悪性リンパ腫の1例 渡部 徹也、上松 正朗、水上 雪香、永田 正毅 関西ろうさい病院 循環器内科 症例は69歳男性。平成22年2月末より右陰嚢の腫脹を認めた。当院泌尿器科受診し、右精巣腫瘍を認めた。組織検査から非Hodgkinリンパ腫と 診断され内科紹介となった。PET-CTでは頸部、鎖骨上窩、大動脈周囲、右外腸骨、胃、心臓に取り込みを認めた。同年4月27日眼前暗黒感あり、 心電図にて完全房室ブロックを認めたため体外式ペースメーカを挿入したがCHOP療法開始後、完全房室ブロックは消失した。心エコー図上、 心嚢液および心房中隔の著明な肥厚を認めた( 9mm)。CHOP療法5クール後の心エコー図検査では心房中隔の肥厚は消失していた。PET-CT でも心臓への取り込みは消失していた。精巣原発の悪性リンパ腫の心臓転移は極めて少なく、文献的考察を加えて報告する。 P-096 心エコーにて急速な進行をとらえた悪性リンパ腫の一例 浅川 雅子 1、小野寺 一義 2、石谷 晴信 2、大竹 睦美 2、小林 和彦 3、村岡 洋典 1、碓井 伸一 1、杉下 和郎 1、安喰 恒輔 1、高橋 利之 1 JR 東京総合病院 循環器内科、2JR 東京総合病院 臨床検査科、3JR 東京総合病院 血液内科 1 症例:84歳女性。脳梗塞精査のため、2010年3月25日当院神経内科受診、塞栓源精査目的に心エコー施行し、Dd42mm、Ds26mm、LA33mm、 EF68%、正常範囲内だった。その後、4月25日下肢浮腫、労作時息切れを自覚し、近位にて心不全と診断され、利尿剤が開始されたが呼吸苦 は改善せず、5月13日当科紹介受診。 身体所見: 身長139cm、 体重41kg、BP100/57、PR70/分。 検査所見;Alb3.1g/dl、LD796IU/l、BNP 428pg/ml、ECG:洞調律、HR59/分、低電位、V2-5 陰性Tを認め、胸部レントゲンではCTR 59%、CPAは鈍であった。精査目的に心エコー 施行。Dd37mm、Ds18mm、LA27mm、EF83%、右房内に径50mmの内部不均一な占拠病変を認めた。右房内腫瘤とIVCへの連続性は確認で きず。MRIでは右房から右室にかけての巨大腫瘤(6x9.4x6cm)を認め、右冠動脈は腫瘤内に巻き込まれていた。経過;心臓腫瘍として血液内 科紹介。高齢で積極的治療を希望されなかったため、自然経過を見ることとなり、初発症状から8週間後に永眠された。剖検;本症例は、右房 を中心として右室、心外膜、心嚢に伸展する9.5x5x4.2cmの心臓原発悪性リンパ腫(diffuse large B cell type)であった。右心不全症状は乏しかっ たが、鬱血肝は高度であった。死因は右心系腫瘍占拠による急性心不全と診断された。考察;心臓原発悪性腫瘍のなかで悪性リンパ腫は約5% を占める。血液内科学的には他のリンパ腫とも異なる経過をとるとされ、独立したサブタイプとして扱う意見もある。心臓原発の悪性リンパ 腫の進行速度は明らかではないが、本症例は約6週間という短期間に心エコーで描出されるようになった急速な腫瘍拡大をとらえた貴重な症例 として報告した。 ― 190 ― P-097 僧帽弁輪形成リング縫合部の広範囲離開により心不全、 溶血性貧血を生じた1例-経胸壁2D、3D心エコー図 による多角的観察- 吉村 雄樹 1、金松 和里 1、増山 浩幸 1、渡邉 望 3、金城 玉洋 2、福永 隆司 1 1 県立宮崎病院 循環器科、2 県立宮崎病院 心臓血管外科、3 川崎医科大学 循環器内科 【背景】3Dエコーの登場により立体的多角的な評価が可能となった。今回、僧帽弁輪形成リング縫合部の広範囲離開により心不全、溶血性貧 血を生じた症例を経験し経胸壁2D、3D心エコー図で術前評価することができたので報告する。【症例】82歳男性 【主訴】呼吸困難【既往歴】 H15冠動脈バイパス手術(CABG)・僧帽弁輪形成術(MVP)【現病歴】平成21年12月から貧血が進行し全収縮期雑音、僧帽弁逆流増加、溶血 性貧血を認め当院紹介となった。【入院時血液検査】Hb 9.4g/dL、T-Bil 1.45mg/dL、AST 85IU/L、LDH 1754IU/L【入院時経胸壁心エコー図】 僧帽弁輪形成リングの前交連側が広範囲にわたり弁輪部より離開し、重度僧帽弁逆流を認めた。逆流ジェットは弁全体から吹き人工弁輪に直 接当たるジェットも観察された。3Dエコーでは弁輪部から離脱したコスグローブリングを描出することができた。【考察】本症例はCABGに伴 うMVP 7年後に溶血性貧血を生じ心エコー図にて形成リング縫合部離開が診断され再手術となった症例である。心エコー図では前交連側で弁 輪から大きく離脱し、後交連側でも一部離脱した人工弁輪が観察された。2D、3Dエコーの併用で術前により立体的な情報を外科医に報告でき た。手術所見でも心エコー図診断と解剖学的に一致した。【結語】2D、3Dエコーを併用して評価することでより正確な診断につながることが 期待される。 P-098 形態診断にリアルタイム3D経食道心エコーが有用であった僧帽弁形成術後溶血性貧血の一例 森 三佳、林 研至、藤田 主税、今野 哲雄、藤野 陽、井野 秀一、山岸 正和 金沢大学 循環器内科 【症例】66歳、男性。【主訴】労作時呼吸困難【既往歴】アルコール性肝障害、胆石胆嚢炎【現病歴】56歳時に経胸壁心エコーで僧帽弁閉鎖不 全症(MR)を指摘され、心房細動も認められた。62歳時に急性心不全を発症し、前医にて入院加療を受けた後、精査加療目的に当院紹介となっ た。経胸壁心エコー(TTE)および2D経食道心エコー(2D-TEE)にて僧帽弁後尖P3の逸脱および断裂腱索様構造物、高度のMRが認められた。 心臓血管外科にて僧帽弁形成術を施行され(Cosgrove-Edwards 30 mm人工弁輪を使用)、術後TTEではMRはごくわずかとなり退院した。し かし、4か月前より労作時呼吸困難が出現し、 溶血性貧血が認められたため再度当院紹介となった。TTEでは高度のMRを呈しており、 2D-TEEで僧帽弁後尖中隔側の逸脱が認められ、人工弁輪の一部脱落が疑われた。術前に施行されたリアルタイム3D経食道心エコー(RT3DTEE)では、人工弁輪が中隔側で外れ僧帽弁口が二分されている所見、および逸脱した中隔側の後尖が明瞭に観察された。MRジェットが脱 落した弁輪に当たり溶血を生じたものと考えられ、心臓血管外科にて僧帽弁置換術を施行された。【結語】RT3D-TEEによる観察が僧帽弁形態 の観察および立体構造の把握に有用であった。 P-099 3D経食道心臓超音波検査にて確定診断しえた、大動脈弁位機械弁機能不全の1例 別當 勝紀 1、高村 武志 2、濱口 真紀 1、宮武 真弓 1、北村 智子 1、森脇 啓至 2、渡辺 清孝 2、坂部 茂俊 2、大村 崇 2、河村 晃弘 2、 世古 哲哉 2、笠井 篤信 2、渡邉 文亮 3、徳井 俊也 3 1 山田赤十字病院 臨床検査部、2 山田赤十字病院 循環器科、3 山田赤十字病院 胸部外科 11歳時に健康診断にて心臓弁膜症を指摘され、27歳時に心不全を発症し、AVR + OMC+TAPを施行された。35歳時に僧帽弁狭窄症の進行にてMVRを施行された。 51歳頃から心臓超音波検査にて大動脈弁位機械弁機能不全を指摘されていたが、手 術リスクの高さから内服加療での経過観察となっていた。59歳時の11月未明に労作 時息切れ、起座呼吸を認め、翌朝に当院循環器科外来を受診し、慢性心不全増悪に て入院した。2D経胸壁および経食道心臓超音波検査では大動脈弁位機械弁機能不全 (狭窄弁、 重症) を認めたが、 画像が不明瞭であることから機能不全の原因につい て評価できなかった。機械弁単純シネでは、可動性に問題は無かった。3D経食道心 臓超音波検査(Phillips iE-33)にて大動脈弁位機械弁の直下(左室流出路側)に全 周性のパンヌス形成を確認し、機械弁機能不全の原因と判断した。術中所見も同様 であった。機械弁機能不全の評価において、3D経食道心臓超音波検査が非常に有用 であった1例を経験したので報告する。 ― 191 ― P-100 心房中隔欠損症の外科的修復後にカテーテルアブレーションを行う際に、術前評価として3D経食道心エコー図 が有用であった3例 磯谷 彰宏、有田 武史、梅田 ひろみ、酒井 孝裕、横井 宏佳、岩淵 正志、延吉 正清 社会保険 小倉記念病院 ASD 修復後の患者で、カテーテルアブレーション(CA)を計画した3症例の術前評価に3D経食道心エコー図( 3D-TEE)を施行した(Philips Medical System、iE-33、X7-2t)。 【症例1】60才女性、40歳時にASD閉鎖+AVR+MVR+TAP 施行、ASDの術式不明。3D-TEE にて15mm程の溝のような構造がみられ、direct suture の跡と判断。前方に偏位しており心房中隔穿刺に際しては問題ない部位と判断。経心房中隔アプローチにより左房頻拍に対してCA施行。 【症例2】62才女性、32才時にASD patch閉鎖。3D-TEE にて15×22mm のpatch が描出され心房中隔の広い部分を占めており、周辺構造物と の関係から patch を外して心房中隔穿刺を行うのは困難と思われた。手術時の心房切開由来の右房頻拍と診断され、経心房中隔アプローチを 行うことなくCAを終了。 【症例3】65才男性、25才時にASD 閉鎖、詳細不明。3D-TEE にて、NCC の背後の心房中隔からIVC流入部近傍の後壁に向かって溝状の構造 が描出され、direct suture の跡と判断。下端に小さな残存シャントあり。溝は比較的低位に位置しており、経心房中隔アプローチには問題な いと判断し、PV isolation を施行。 【結論】若年時のASD手術例では、過去の手術記録が利用できない場合もある。3D-TEE では閉鎖術式の推定が可能で閉鎖部位も描出が可能で あり、経心房中隔アプローチに際しては有用な情報となる。一方で、特にpatch閉鎖後で閉鎖部位を確実にを避けて穿刺するためには、手技中 の3D-TEE ガイドが必要な場面もあると予想された。 P-101 心室中隔瘤を伴った膜様部VSDの欠損孔描出に経胸壁3D心エコー検査が有用であった症例 村上 智江 1、井波 準治 2、南坂 朋子 1、二井 理恵 1、坂森 和美 2、安居 由香 2、藤原 佳子 2、下山 寿 1 1 市立伊丹病院 循環器内科、2 市立伊丹病院 医療技術部 症例は62歳女性。 以前より心雑音を指摘されていたが、 特に自覚症状なく経過していた。 健康診断にて心電図異常を指摘されたため精査目的で当院を初めて受診し、胸骨左縁第3肋 間を最強点とするLevine 3/6の汎収縮期雑音を聴取したため心エコー検査を施行した。2D 心エコー検査ではparasternal long axis viewおよびshort axis viewにて大動脈弁直下の膜様 部付近に、心室中隔瘤およびシャント血流を認めた。引き続き経胸壁3D心エコー検査を施 行したところ、心室中隔瘤内に約3mmの欠損孔を認めた。リアルタイム3D心エコー検査は 心内形態を3次元的に把握し任意の方向からの観察が可能であるため、先天性心疾患の診断 に非常に有用である。今回我々は2Dエコー検査でははっきり描出しえなかったVSD欠損孔 を、 経胸壁3D心エコー検査を用いることで形状や場所を含め正確に把握することができ、 臨床的に有用であった症例を経験したためここに報告する。 P-102 2Dストレインレイト法を用いた左室内収縮後期高速逆行波の機序解析 桐谷 博巳 1、千明 真弓 2、海老原 文 2、宇野 漢成 3、竹中 克 2 1 大坪会 東和病院 超音波検査部、2 東京大学医学部附属病院検査部、3 東京大学医学部附属病院コンピュータ画像診断学 / 予防医学講座 【症例】62歳男性【主訴】検診【既往歴】平成13年より維持透析開始。平成17年よりDDDペー スメーカー挿入【現病歴】 平成21年3月、 誕生日月検診心エコー施行。 収縮後期雑音並びに同 時期に左室中部より心尖部へ向かう異常高速血流を指摘される。平成22年6月、ペースメーカー オン/オフ時の心エコー図施行。 異常血流速度の変化及び2Dストレインレイト法を用いた壁運 動解析による機序解明を試みた。【結果】ペーシング時に毎秒約4mあった異常血流速度は、ペー シング停止時に半分となりE波と融合した。 壁運動では、 ペーシング時に心基部がいまだ収縮 している収縮後期に心尖部は伸展開始していたが、ペーシング停止時にはこの壁運動のずれは 縮小した。【考察】本症例は乳頭筋肥厚があり、過収縮による左室中部の狭窄が観察されていた。 右室の心尖部に挿入されていたリードによる心尖部の早期収縮・拡張が、左室心基部腔と心尖 部腔との間に壁運動のずれと圧較差を生じさせ、異常高速血流が生じたものと思われた。 【結語】 過収縮狭小左室の心尖部ペーシングにより収縮後期高速逆行波が出現する。 ― 192 ― P-103 2D speckle tracking法による移植心拒絶反応の検出 海老原 文、竹中 克、宇野 漢成、木村 公一、山形 裕美、佐々木 賀津乃、岡野 智子、千明 真弓、矢冨 裕 東京大学附属病院 【症例】26歳女性。 産褥心筋症による心不全のため2007年8月心移植を施行後、 当 院で定期的に心エコー検査と心筋生検を行っている。 心筋生検の前後2日以内の ルーチン心エコーの諸指標に加え、 動画1心拍を東芝製speckle tracking(ST) 解析ソフトで解析し、拒絶反応grade(ISHLT分類)と心エコー諸指標を比較検討 した。ST解析は再現性が最も良い心内膜circumferential strainの最大値(CS-max) とstrain rate(CSR)のs波、e波、a波について行った。【結果】左室径とEFでは拒 絶反応gradeに応じた変化を認めなかった。組織ドプラの指標e’及びST解析のCSmax、CSR-eは、 拒絶反応grade-0に比べ、grade-3Bで低値、grade-1Bで回復傾向 を示した(表)。【考察】 組織ドプラの指標e’及びST解析のCS-max、CSR-eは、 心移植後の急性拒絶反応を早期かつ非侵襲的検出する指標として有用である可能 性が示唆された。 P-104 運動負荷心エコー検査で薬効評価が確認できたSLEに合併した肺高血圧症の一例 谷口 貢、平野 豊、菅 竜也、高瀬 徹、生田 新一郎、森本 啓介、山本 裕美、宮崎 俊一 近畿大学 医学部 循環器内科 【症例】40歳代女性【主訴】労作時呼吸困難【現病歴】2005年9月、SLEの診断をうけステロイド投与により活動性はコントロールされていたが、 2008年12月より労作時呼吸困難が出現し、2009年2月の心エコー検査で推定肺動脈圧80mmHgの肺高血圧症を認めた。プレドニン60mgまで増 量し、2009年3月には推定肺動脈圧が48mmHgまで低下した。しかし、その後も労作時呼吸困難は継続し、推定肺動脈圧も40~50mmHg程度で 推移したため、循環器内科に紹介受診となった。2010年6月の右心カテーテル検査の結果、肺動脈圧47/20mmHg、平均32mmHg、肺動脈楔入 圧9mmHg、肺血管抵抗680dynes・sec・cm-5、心係数2.70であった。運動負荷心エコー検査では三尖弁逆流(TR)より求めたPG(圧較差)が 安静時35.8mmHgから25W運動負荷で57.6mmHgまで上昇し、6分間歩行距離は423mであった。肺動脈性肺高血圧症の診断でボセンタン250mg 投与を開始した。3ヶ月後には6分間歩行距離も475mまで延長し、肺動脈圧43/13mmHg、平均29mmHg、肺血管抵抗400dynes・sec・cm-5、心 係数3.30と肺血管抵抗の低下および心係数の増加を認めた。同時に施行した運動負荷心エコー検査ではTR-PGは安静時38.6mmHgが25W運動負 荷で46.9mmHgまで上昇したが3カ月前の薬剤投与前に比較しδPGの低下を認めた。【考察】安静時のTR-PGはボセンタン投与前後でほぼ同等 であったが、運動負荷時の上昇がボセンタン投与後抑制された。ボセンタン投与により肺血管抵抗は低下したが、心拍出量が増加し、安静時 の圧には投与前後で変化ないものの、運動時には肺血管抵抗の低下がδPGの低下につながった可能性があり、運動負荷エコー検査の有用性が 示唆された。 P-105 慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の肺動脈拡張術前後の経時的心エコー図所見 安 隆則 1、東上里 康司 2、浅田 宏史 1、槇田 徹 1、松原 広巳 3、相澤 直輝 1、池宮城 秀一 1、山里 将一郎 1、大城 克彦 1、伊敷 哲也 1、 太田 千亜紀 2、菅原 麻世 2、大屋 祐輔 1 1 3 琉球大学 大学院医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学、2 琉球大学 医学部 附属病院 検査部、 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 循環器科 平均肺動脈圧が30mmHg以上の慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH) は、1年生存率 が約50%と極めて予後不良である。今回我々は、重症CTEPH症例(末梢型)に対して3回 に及ぶ肺動脈拡張術を施行しその血行動態を改善させ、 術前後の経時的心エコー図所見 を得たのでここに報告する。症例は55才女性、主訴は労作時の呼吸困難、現病歴ではH19 から平地歩行で呼吸困難を自覚し、 肺血流シンチと肺動脈造影でCTEPHと診断された。 プロサイリン、ワーファリンと酸素療法が開始され、その1年後からボセンタンが開始さ れたが肺高血圧が悪化してきたため当院に紹介された。 心エコー図では右室の肥厚と拡 大、左室の狭小化と収縮末期の心室中隔平定化、著しい肺高血圧、左右Tei indexの高値 を認めた。 肺動脈拡張術後に肺動脈圧と肺血管抵抗は下がり心拍出量は増え、 右Tei indexは低下した。左室前負荷が増して僧帽弁E wave が増高し、左Tei indexも低下した。 (表)結語:CTEPHに対する肺動脈拡張術後に右Tei indexは低下し、左室の拡張障害が 改善したため左Tei indexも低下した。 ― 193 ― P-106 僧帽弁形成術・左心耳結紮術後に出現した左房内異常血流より推察する左心耳機能 佐々木 賀津乃 1、竹中 克 1、宇野 漢成 2、海老原 文 1、岡野 智子 1、千明 真弓 1、飯野 弘子 1、縄田 寛 3、小野 稔 3、矢冨 裕 1 1 東京大学 医学部 附属病院 検査部、2 東京大学 医学部 コンピュータ画像診断学 / 予防医学講座、3 東京大学 医学部 心臓外科 [症例提示]:症例は48歳男性。僧帽弁逸脱による重症僧帽弁逆流および心房細動のため、僧帽弁形成術、Maze手術、左心耳(LAA)結紮術 を施行。術後心エコー(洞調律下)で、術前には無かった左房(LA)内拡張期異常血流を認め たため、経食道心エコー(TEE)を施行し、結紮したLAAの入口部に離開孔を認め、ここから 心房収縮期にはLAAからLAへ最大流速2.6m/s、心室収縮期にはLAからLAAへ最大流速1.6m/s の血流が認められた(図)。3D TEEでは、縫合離開孔の全貌が明瞭に描出された。 [考察]:LAAとLAは発生源が異なる。LAAはLAより伸展性が高く、またLAA結紮でLA圧が 上昇することより、LAAのリザーバー機能が示唆されている。 正常LAA血流は約±50cm/s程 度で、通常LAの収縮と弛緩期に限定される。LAA結紮術後の縫合離開発生率は約40%であるが、 本症例も術後に離開が生じた。 縫合後離開孔を通って、 心室収縮期にはLAAからLAへの高速 血流、LA収縮期にはその逆方向の高速血流が認められ、LAAのリザーバーとブースター機能 の存在が可視化できた貴重な一例として報告する。 P-107 巨大左冠動脈瘤-肺動脈瘻の1症例 牟田 光明 1、中尾 博子 2、川越 志保 2、宮之原 涼子 2 1 財団法人慈愛会 今村病院分院 臨床検査部、2 公益社団法人鹿児島共済会 南風病院 臨床検査科 【症例】66歳女性【既往歴】 特記事項はなし【現病歴】 川崎病の既往なし。5年前から検診にて心雑音を指摘されるも症状なく放置していた。 近医にて心雑音、心電図異常を指摘され2007年12月に当院紹介受診となる。胸部X線にて左3弓 の突出を認め原因精査のため心エコー図検査となる。経胸壁心エコー図検査にてLVDd56mmと 軽度拡大を認めEF76%。 大動脈弁短軸像にて(図) 拡張した左冠動脈に連なる著明に拡大した 冠動脈像41×41mm大、48×52mm大の2個を認めた。左冠動脈からは血流速の上昇を認めた異常 な血管叢を認め、拡大した前壁側の冠動脈からは肺動脈への流出血流を認めた。冠動脈CTでも 41mm大、53mm大の計2個の拡大した冠動脈を認めたため、冠動脈瘤、冠動脈肺動脈瘻との診断、 鹿児島大学病院へ紹介となる。同院にてCAG検査でQp/Qs 1.71、左-右シャント率 43%。嚢状 の冠動脈瘤であり、シャント率30%以上であることから冠動脈瘤切除、異常血管結紮、肺動脈瘻 閉鎖術が施行された。経過は良好。稀な巨大左冠動脈瘤-肺動脈瘻の症例を経胸壁心エコー図検 査にて検出し診断できたので報告する。 P-108 心エコー図検査にて発見・経過観察され手術しえた巨大冠動脈瘤・冠動脈左室瘻の一例 丹羽 加奈子 1、黒沢 幸嗣 2、高橋 利絵子 2、高田 智子 1、下田 順子 1、関口 桂子 1、庭前 野菊 2、小池 則匡 3、茂原 淳 3、高橋 徹 3、 倉林 正彦 2、村上 正巳 1 1 群馬大学医学部附属病院 検査部、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科、3 群馬大学医学部附属病院 心臓血管外科 症例は70歳女性。 前胸部痛精査目的の経胸壁心エコーにて、 拍動に応じて移動する4.5×3.8cm の管腔様構造物を房室間溝に認めた。内腔は大部分壁在血栓化し、拡張期優位の血流を認め冠 動脈瘤が疑われた。 また側壁から左室心尖部に向かう拡張期血流を認め冠動脈左室瘻も疑われ た。冠動脈造影検査では左回旋枝に巨大な瘤を、その末梢に複数の瘤を認めた。また左前下行 枝末梢は異常血管へと連続し、左室と交通していた。瘤と異常血管との交通は明らかではなかっ た。負荷検査で虚血所見はなく、外来経過観察をしながら手術時期を検討していた。経過観察 中の経胸壁心エコーにて、5.1×4.3cmと瘤の増大傾向を認めたため、手術の方針となり2010年8 月冠動脈結紮と冠動脈瘤縫縮術を施行した。 左室側壁の動脈瘤を切開し内部を確認したが動脈 瘤への交通は流入部の1か所のみで流出部は認めず、 末梢側の2つの動脈瘤にも流出部は認めな かった。動脈瘤内を検索したが左室との交通口は認めず、そのため瘤を縫合閉鎖し手術を終了 した。経過観察しえた巨大冠動脈瘤・冠動脈左室瘻を経験したので報告する。 ― 194 ― P-109 冠静脈洞へ開口する巨大冠動静脈瘻の一例 上國料 章展 1、米満 幸一郎 1、盛本 真司 1、小村 寛 1、川田 慎一 1、小野原 暁恵 1、岩元 由佳 1、黒原 由貴 1、鳥居 博行 2、山口 剛司 2 1 鹿児島市医師会病院 生理検査室、2 鹿児島市医師会病院 循環器内科 症例は60歳女性、主訴は動悸。子宮全摘、高脂血症の既往あり。40歳の子宮筋腫手術の時に初めて心雑音を指摘されたが症状がなかったため 放置した。半年前頃より夜間の動悸を自覚し、今回紹介医を受診した。心雑音に加え、胸部X線での心拡大とホルター心電図でのST変化を認 めたため、心雑音と心筋虚血の精査目的で当院紹介となった。現症は意識清明、胸骨右縁第2肋間で収縮期優位の連続性雑音を聴取した。胸部 X線でCTR55%と心拡大を認め、安静心電図では洞調律で心拍数67bpm、ST変化は認めなかった。経胸壁心エコーにて右心系の拡大と右冠動 脈起始部に径25mmの瘤を認めた。右胸壁アプローチにて冠動脈瘤に流入した血流は右房の前方を横断し、冠静脈洞を介して右房への流入を 認め、冠静脈洞へ開口する巨大冠動静脈瘻と診断した。心臓カテーテル検査と冠動脈CTにて冠静脈洞へ開口する巨大冠動静脈瘻と、回旋枝に も冠動静脈瘻を認めた。Qp/Qsは2.4であり、心筋シンチにて心筋虚血を認めたため心臓血管外科へ紹介となった。冠動脈瘤切除術及び冠動静 脈瘻閉鎖術が施行され、切除された瘤壁は動脈組織で炎症所見はなく、川崎病は否定的であった。本症例は経胸壁心エコーが冠動脈瘤と冠動 静脈瘻の診断に有用な症例であった。若干の文献的な考察を加え報告する。 P-110 生食コントラスト心エコーにより確定診断が可能となった肺動静脈瘻の2症例 佐久間 信子 1、高野 真澄 2、堀越 裕子 1、佐藤 ゆかり 1、元木 ゆみ 1、待井 宏文 2、小林 淳 2、竹石 恭知 2 1 福島県立医科大学附属病院 検査部、2 福島県立医科大学附属病院 循環器内科 【症例1】36歳男性。主訴:胸痛。現病歴:2007年2月夜間就寝中に突然の左前胸痛が頻回に出現し、当院受診。安静時SaO2 93%と低値であり、 肺血栓塞栓症疑いで精査となる。心エコー検査にて特記すべき所見および心内シャントを認めなかった。胸部造影CTにて右中葉に肺動静脈瘻、 肺血流シンチにて血流亢進を認め、シャント率(右→左)22%であった。コントラストエコーにより、右心系から右肺静脈を介して左房に生 食バブルの流入があることを確認した。先天性右肺動静脈瘻と診断され、経皮的コイル塞栓術を施行された。【症例2】46歳女性。主訴:労作 時息切れ。既往歴:アルコール性肝硬変、食道胃静脈瘤。現病歴:2009年より息切れあり。2010年9月食道胃静脈瘤に対する加療目的に当院消 化器内科入院。この時、血液ガス分析(酸素2L投与下)にてSaO2 92%、PaO2 65.3 mmHg、PaCO2 32.3 mmHgと低酸素血症を認めた。心エコー 検査にて特記すべき所見および明らかな心内シャントを認めず、また造影CTにて心内および肺内シャントを認めなかった。しかし、肺血流シ ンチにてシャント率26.6%(右→左シャント)を認め、肝肺症候群が強く疑われた。生食バブルによるコントラスト心エコーにて肺動静脈シャ ントの存在を確認し、肝肺症候群と診断され、在宅酸素療法中である。【考案】今回我々は、生食バブルによるコントラスト心エコーが診断に 有用であった肺動静脈瘻の2例を経験した。他のモダリティーにて検出できない微細な肺動静脈瘻の場合においても、生食バブルによるコント ラスト心エコーがその診断に非常に有用であったので報告する。 P-111 感染性心内膜炎および敗血症性肺塞栓症を来した右冠動脈瘤ー冠静脈洞瘻の一例 佐藤 ゆかり 1、高野 真澄 2、水上 浩行 2、佐久間 信子 1、堀越 裕子 1、元木 ゆみ 1、待井 宏文 2、小林 淳 2、竹石 恭知 2 1 福島県立医科大学附属病院 検査部、2 福島県立医科大学 循環器内科 【症例】20歳男性【主訴】胸痛、咳嗽、発熱【既往歴】気管支喘息【現病歴】平成21年12月、38台発熱のため近医入院加療。退院後、咳嗽・胸 痛の持続と血痰を認めた。平成22年1月上旬より発熱、咳嗽増悪にて内服加療されるも軽快せず。同年4月、健診にて胸部異常陰影を指摘され、 近医受診。胸部CTにて肺野に浸潤影と空洞形成を認め、血液検査上WBC11100/μl, CRP 8.4 mg/mlと炎症反応高値であり、PR3-ANCA陽性で あった。Wegener肉芽腫症の疑いで精査加療目的に当院呼吸器内科紹介、4月下旬入院。【入院後経過】37-38℃台発熱が持続し、発熱の原因 検索目的に循環器内科紹介となる。心エコー検査にて三尖弁弁輪部外側に直径1.5cmの管腔構造を認めたため、右冠動脈瘤を疑い詳細な観察を 行った。右冠動脈は起始部から著明に拡大、カラードプラーにてモザイク血流を呈し、冠静脈洞へ開口していた。また、冠静脈洞内に可動性 を有する異常構造物の付着を認め、右冠動脈瘤-冠静脈洞瘻および感染性心内膜炎の診断となった。血液培養にてStreptococcus gordoniiが陽 性であった。冠動脈CTにて冠動脈瘤-冠静脈洞瘻、および肺血流シンチにて有意な短絡血流の存在が確認された。また、肺野異常陰影は敗血 症性肺塞栓症と診断された。8週間の抗菌薬投与にて徐々に疣贅は器質化・縮小し、軽快・退院となる。【考案】本症例は右冠動脈瘤-冠静脈 洞瘻における短絡血流の存在が、冠静脈洞の内皮障害を惹起し、感染性心内膜炎の原因となったことが考えられた。今後、感染性心内膜炎の 再発、心筋虚血や心不全を来すことも考えられ、慎重な経過観察が必要である。 ― 195 ― P-112 深部静脈血栓と動脈血栓を下肢血管エコーで同時に検出したヘパリン起因性血小板減少症の1例 山本 多美 1、西上 和宏 2、村上 未希子 1、西冨 恵美 1、早川 裕里 1、浪崎 秀洋 1、志水 秋一 1、田中 智 1、富田 文子 1、小郷 美紀生 1、 福満 雅史 2、小江 陽子 2、神尾 多喜浩 3 1 済生会熊本病院 中央検査部 心血管エコー室、2 済生会熊本病院 心臓血管センター、3 済生会熊本病院 中央検査部 病理室 ヘパリン起因性血小板減少症は、血小板の減少と重篤な血栓症を伴うことが知られ、静脈血栓症が合併しやすいと言われている。今回われわ れは、下肢血管エコーで動脈血栓と静脈血栓を同時に検出した症例を経験したので報告する。【症例】82歳、男性。基礎疾患に糖尿病、脂質異 常、慢性腎不全がある。下腹部違和感と食欲不振を認め、前医を受診された。血液検査でCPKの上昇がみられ、急性冠症候群が疑われ、当院 紹介となった。 来院時の心エコーでは、前壁心尖部を中心に収縮低下と肺高血圧( 56mmHg)を認めた。入院となり、同日よりヘパリン投 与が開始された。心不全が悪化し、第4病日に人工呼吸器管理となった。第10病日より血小板の減少と左足のチアノーゼを認めた。下肢血管エ コーを施行し、動脈側では左膝窩動脈に可動性の血栓を認め、前脛骨動脈は血栓のため閉塞していた。また、静脈側では右膝窩静脈に浮遊血 栓を認め、左側は大腿静脈から下腿まで可動性血栓を認めた。経過よりヘパリン起因性血小板減少症を疑い、ヘパリンを中断しアルガトロバ ンに変更された。抗ヘパリン-PF4複合体抗体は陽性であった。第14病日の肺動脈-下肢静脈の造影CTでは、肺動脈血栓症と下肢静脈血栓症、 胸水貯留、無気肺を認めた。CPK、ミオグロビンはさらに上昇し、組織壊死が強く疑われる状態であった。第18病日に心室細動のため、永眠 された。 P-113 下大静脈径とその呼吸性変動の加齢性変化についての検討 舛形 尚、千田 彰一、犬飼 道雄、樋本 尚志、合田 文則 香川大学 医学部 総合診療部 下大静脈径とその呼吸性変動は右房圧の推定に用いられるが、その加齢性変化は十分に明らかにされていない。本研究では明らかな心疾患を 持たない患者を対象として、加齢が下大静脈径およびその呼吸性変動に及ぼす影響を検討した。対象は高血圧、糖尿病、脂質異常症のために 心機能評価を行い、 明らかな異常を認めなかった患者200例で年齢は17~94歳(平 均67±15歳)である。心窩部Mモード法を用いて、下大静脈の右房接合部より1cm 末梢側に計測部位を設定して下大静脈径を計測した。下大静脈の呼吸性変動は通常 の呼吸下で最大下大静脈径(IVCmax)と最小下大静脈径(IVCmin)を計測し、呼 吸性変動(%)=100×(IVCmax-IVCmin)/IVCmaxとして算出した。IVCmax(r= -0.221, p=0.002)とIVCmin(r=-0.265, p<0.001)は年齢と負の相関を示した。下 大静脈径の呼吸性変動は年齢と正の相関を示した(r=0.244, p=0.001)(図)。加齢に 伴って下大静脈径は縮小し、その呼吸性変動は大きくなることが示され、一部の高 齢者の右房圧低下を反映している可能性もあると考えられた。 P-114 心房細動における収縮能および拡張能指標に対するRR間隔の影響 楠瀬 賢也 1、山田 博胤 1、西尾 進 2、冨田 紀子 1、林 修司 1、玉井 利奈 1、竹谷 善雄 1、佐藤 光代 2、平岡 葉月 2、三木 淳子 2、 添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】心房細動では、心拍毎に前負荷およびforce-interval relationshipが変動するため、正確な左室機能の評価が困難である。我々は、心房 細動例において心臓カテーテル検査による左室圧と各種心エコー指標を同時に記録し、両指標の関連および各指標に対するRR間隔の影響を検 討した。 【方法】非弁膜症性心房細動18例を対象とし、全例でMillarカテーテルによる左室圧計測と同時に心エコー指標を連続10心拍計測した。収縮能 指標としてmax dP/dtおよび2D speckle tracking法を用いて4ch viewの左室各分画平均longitudinal strain(LS)を計測した。拡張能指標とし て時定数τ、組織ドプラ法による拡張早期strain rate(eSR)を計測した。測定心拍のRR間隔(RR0)、先行RR間隔(RR1)、先々行RR間隔(RR2) を評価に用いた。 【結果】各例において、max dP/dtおよびLSはRR1/RR2と相関を認めたが、τおよびeSRはRR1/RR2と明らかな相関を認めずRR0と相関を示し た。 全症例における各心拍(計180計測) のカテーテル指標と心エコー指標を比較したところ、max dP/dtとLS(r=-0.81, p<0.01)、tauと eSR(r=-0.63, p<0.01)はそれぞれ有意な相関を認めた。各例においてRR1/RR2≒1の心拍で計測したLSは、10心拍の平均値とほぼ一致した が、RR1/RR2≒1の心拍で計測したeSRは平均値と一致しなかった。 【結語】心房細動においても、心拍毎の心臓カテーテル指標と心エコー指標はよく相関した。各例において、収縮期指標はRR1/RR2と相関し Frank-Starling機序およびforce-interval relationshipとの関連が裏付けられたが、拡張期指標はRR1/RR2との関連が観察されず、他の要因にも 影響されていると思われた。 ― 196 ― P-115 健常人における右室拡張能指標への加齢による影響 大塚 健紀、鈴木 真事、吉川 尚男、橋本 剛、石川 陽子、土田 貴子、諸井 雅男、中村 正人、杉 薫 東邦大学医療センター大橋病院 【背景】:我々は、以前に加齢が拡張早期僧帽弁輪部運動速度や左室流入波形に及ぼす影響を検討してきた。しかし加齢が右室拡張能に及ぼす 影響は十分に検討されていない。目的:健常例において加齢による右室拡張能を年齢ごとに超音波法を用いて検討すること。【方法】:対象は 20-89歳までの健常例310例(男性139例、女性171例)。三尖弁流入血流速波形から急速流入期速度(E)と心房収縮期速度(A)、及びその比 であるE/Aを求め、更に組織ドプラ法により拡張早期三尖弁輪部運動速度(Ea)を計測し年代ごとに検討した。【結果】:E波は加齢により低 下した(p<0.0001 r=-0.50)。A波は加齢により上昇した(p<0.0001 r=0.44)。E/Aは加齢により低下した(p<0.0001 r=-0.66)。Eaは加齢に より低下した(p<0.0001 r=-0.63)。【結論】:健常例における右室拡張 機能は、加齢により影響をうける。比較的良い相関を示したのはE/Aと Eaである。右室拡張能を評価する時にも年齢を考慮する必要性があると おもわれた。 P-116 発作性心房細動例における動脈スティフネスと左室拡張能の関係:CAVIによる検討 堀添 善尚 1、高崎 州亜 1、湯浅 敏典 1、桑原 栄嗣 1、茶圓 秀人 1、植屋 奈美 1、河野 美穂子 1、窪田 佳代子 1、水上 尚子 2、木佐貫 彰 1、 宮田 昌明 1、濱崎 秀一 1、鄭 忠和 1 1 鹿児島大学 医学部 医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学講座、2 鹿児島大学病院 臨床検査部 【背景】動脈スティフネスと左室拡張能の密接な関連が報告されているが、発作性心房細動(PAf) 症例において、これらの関連は検証されていない。 【方法】 対象は、 器質的心疾患のないPAf連続42症例(平均年齢57才)。 動脈スティフネス指標と してcardio-ankle vascular index(CAVI)を計測し、心エコーにて、EF、僧帽弁E/A、僧帽弁E 波減衰時間、等容収縮(ICT)および拡張時間(IRT)、駆出時間(ET)、僧帽弁輪速度(E’)、E/ E’、左房容量係数(LAVI)を計測した。 【結果】1)CAVIは左室拡張能指標の中で、IRTおよびE’と有意な相関を示した。2)CAVIは収縮 機能指標であるEF、ICT、ETとは相関しなかった。3)CAVIは左房機能指標であるLAVIとは相 関しなかった。4)年齢、CAVIはIRTと有意な相関を認め、これらに対して重回帰分析を行った ところCAVIのみが独立したIRTの規定因子であった。 【結論】PAf症例において、動脈スティフネスは左室の能動的拡張能と相関している。 P-117 個々の症例における左室拡張機能の経時的推移 木島 勇人、田中 信大、黒羽根 彩子、高橋 のり、武井 康悦、山科 章 東京医科大学 【目的】 僧帽弁通過血流速波形のE/A比は左室拡張能の変化に伴い高齢者ほど低下することが報告されている。(J.Am Soc Echocardiologr; 1997;10:246-270.) しかし個々の症例におけるE/A比の経年変化に関する検討はなく、今回、個々の症例において左室拡張機能の経時的推移 と関連因子について検討した。【方法及び結果】高血圧症にて通院中で、左室収縮異常(左室駆出率>50%)、心房細動、弁膜症を認めない61 例(男性:40人、女性:21人)。調査開始時年齢52±3歳、経過5.0±2.3年を追跡し、E/A比のパターンから E/A比が>1から後に1<へと変化 する群(n=14)、E/A比が<1から>1へと変化する群(n=9)、E/A比が少なくとも2回以上1.0の上下をばらつく群(n=12)、E/A比が<1を維 持する群(n=19)、E/A比が>1を維持する群(n=7)の5群へ分類した。左房径、左室心筋重量、E波deceleration time(DCT)、肺静脈血流、 収縮期血圧、心拍数、血清クレアチニンについて調査した。各群内で調査開始時と終了時の各項目には有意な変化を認めず、各群間の各項目 にも有意な差を認めなかった。【考察】血圧加療中の高血圧症例においてE/A比が経時的に低下し、55歳前後で<1となる典型的な変化を認め る症例は23%( 14/23人)で、症例ごとに様々な変化形式を呈し、またその変化は他の心機能指標の変化とは独立していた。個々の症例のE/A 比の変化はその症例の背景を考慮し慎重に判断する必要がある。 ― 197 ― P-118 肺高血圧症における左室拡張機能の検討 天野 裕久、上原 大輔、伊波 秀、西 悠、大谷 直由、有川 拓男、豊田 茂、井上 晃男 獨協医科大学 医学部 心臓・血管内科 肺高血圧症患者において、高い右室収縮期圧が左室拡張機能に及ぼす影響について検討した。慢性血栓塞栓性肺高血圧症4例、特発性肺動脈性 肺高血圧症4例、その他の原因による肺高血圧症2例の計10例において薬物治療の前後で、心臓エコー図上の推定右室収縮期圧と組織ドップラー 法による中隔側の僧帽弁輪移動速度(E’)を測定した。治療薬剤はベラプロスト7例、シルデナフィル3例であった。治療前後で、右室収縮期 圧は71.3±26.0mmHgから72.4±30.9mmHg、E’は0.044±0.016m/sから0.048±0.016m/sへと有意な変化はなかったが、右室収縮期圧が低下した6 症例では、E’も改善していた( 0.040±0.013m/sから0.053±0.015m/s、p<0.05)。全体で治療前後での右室収縮期圧の変化率とE’の変化率とは 相関傾向(r=-0.62、p=0.058)がみられた。肺高血圧症の治療により左室拡張機能が改善することが示唆された。 P-119 徐脈を呈する高齢者の左室弛緩能についての検討:僧帽弁口血流速パターンをどう解釈するか 林 修司 1、山田 博胤 1、楠瀬 賢也 1、西尾 進 2、玉井 利奈 1、冨田 紀子 1、遠藤 桂輔 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2、佐藤 光代 2、 竹谷 善雄 1、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 【背景】我々は、健常高齢者において僧帽弁口血流速波形(TMF)が拡張早期波高(E)>心房収縮期波高(A)の“正常パターン”を呈する理由 の一つが徐脈であることを報告した。徐脈を呈する高齢者の左室弛緩能について検討するため、60歳以上の健常高齢者を対象として、正常洞 調律かつE>AをS-N群、正常洞調律かつE<AをS-RF群、徐脈かつE>AをB-N群、徐脈かつE<AをB-RF群として4群に分類し、各種心エコー・ ドプラ指標を比較した。【方法】当施設において心エコー検査を施行した年齢60歳以上の器質的心疾患を有さない高齢者において、2010年12月 から後ろ向きに各群連続30例を抽出した。心エコー検査では、左房および左室容積、左室心筋重量を計測し、ドプラ法を用いてTMFおよび僧 帽弁輪運動速波形を記録した。【結果】年齢、性別、左房容積、拡張末期および収縮末期左室容積は、4群間で差を認めなかった。B-RF群の左 室心筋重量指数は、S-N群およびS-RF群と比較して有意に大であった。S-N群の左室駆出率はS-RF群よりも大であったが、S-N群、B-N群およ びB-RF群の各群間に有意差を認めなかった。E波の減速時間は、B-N群とS-N群の間には差を認めなかったが、B-RF群ではS-N群およびB-N群 と比べてそれぞれ有意に延長していた。B-N群の拡張早期僧帽弁輪運動速波高(e’)は、S-N群およびS-RF群と有意差を認めず、B-RF群のe’は 他の3群と比較してそれぞれ有意に低値であった。【結語】高齢者において、徐脈かつE>A例の左室弛緩能は正常洞調律例と同等に保たれてい るが、徐脈かつE<A例の左室弛緩能は低下していると考えられた。 P-120 イルベサルタンは高血圧例の左室局所機能を改善するか?:組織ドプラ法による検討 湯田 聡 1、金子 尚史 2、村中 敦子 3、中田 智明 2、土橋 和文 3、渡邉 直樹 1、三浦 哲嗣 3 1 札幌医科大学 医学部 臨床検査医学、2 道立江差病院 循環器科、3 札幌医科大学 医学部 第二内科 【背景】高血圧(HT)例の左室機能に対するangiotensin II受容体拮抗薬(ARB)の効果について、組織ドプラ法(TDI)を用いた検討が幾つ か報告されているが、成績には不一致がみられ、class effectの有無、左室機能への効果と血圧変化との関連の有無は明らかではない。【目的】 腎保護効果を有するARBであるIrbesartan(Irb)投与により、HT例の左室局所機能が改善するか否か、TDIを用いて前向きに検討すること。【方 法】HT15名(HT群、年齢73±11歳、男性7名、女性8名)、年齢を一致させた健常者20名(N群、年齢70±5歳、女性20名)を対象とした。HT 例にIrb( 100-200mg/日)を投与し、投与前と投与5ヶ月後の心エコー指標およびTDI指標(中隔および側壁の収縮期波高(S’)と拡張早期波 高(E’))を計測した。【結果】N群に比べ、Irb投与前のHT群の中隔および側壁のS’とE’は、いずれも低値を示したが、E/Aや左室駆出率(EF) は2群間で差を認めなかった。Irb投与後、中隔S’( 5.9±1.6→7.1±1.8 cm/s, p<0.05)、側壁S’( 7.1±0.8→7.7±1.4 cm/s, p<0.05)、側壁E ’( 6.7 ±1.7→7.5±2.0 cm/s, p<0.05)および左房容積係数(42±15→36±9 ml/m2, p<0.05)は有意な改善を認めた。一方、収縮期血圧、拡張期血圧、 E/AやEFは、有意な変化は認めなかった。Irb投与前後での収縮期血圧および拡張期血圧の変化量と、中隔S’、側壁S’および側壁E ’の変化量と の間には、有意な相関は認めなかった。【結論】Irbの投与により、HT例の左室局所収縮能および拡張能の改善を認め、血圧の変化とは独立し て改善している可能性が示唆された。TDIは、HT例に対するIrb投与後の左室局所機能改善の検出に有用であった。 ― 198 ― P-121 Perioperative Risk Stratification for Non-cardiac Surgery using Myocardial Scintigraphy and Echocardiography 前羽 宏史、宮坂 陽子、辻本 悟史、土手 絹子、岩坂 壽二 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科 Background: Although perioperative risk stratification for non-cardiac surgery is essential, the predictive factor has still been unclear. We herein investigated the predictive factors for perioperative cardiovascular events(CVE)using myocardial scintigraphy and echocardiography. Method: We included patients who were scheduled for non-cardiac surgery. Myocardial scintigraphy with 99mTctetrofosmin was performed to investigate the myocardial perfusion. Echocardiography was performed to evaluate LV systolic/diastolic function including left atrial(LA)volume. Results: We divided 64 patients into Group E( 8 patients with CVE)and Group N( 56 patients without CVE).All CVE were acute decompensated heart failure(ADHF).Perioperative risk factors based on ACC/AHA guideline were identical in two groups. Although myocardial perfusion and systolic function were identical, LA dimension, LA volume, and indexed LA volume were significantly greater in group E than in group N( 46±6.3mm vs. 41±6.1mm; P=0.02, 80±34ml vs. 55±17ml; P<0.01, 56±23ml/ m2 vs. 36±12ml/m2; P<0.01, respectively).Moreover, the tricuspid regurgitant pressure gradient was greater in group E than in group N ( 32±10mmHg vs. 22±6mmHg; P<0.01).Conclusion: We should focus on LA volume and pulmonary artery pressure as excellent predictive factors of perioperative CVE, especially ADHF for non-cardiac surgery. P-122 低用量ドブタミン負荷により惹起された左室非同期運動は心室再同期療法への反応を予測できるか? 猪谷 亮介、柳下 慈子、新井 光太郎、鈴木 太、柳下 大悟、郡司 一恵、芦原 京美、高木 厚、庄田 守男、萩原 誠久 東京女子医科大学 循環器内科 <目的>低用量ドブタミン負荷心エコー図検査(DSE)は左脚ブロックに伴う左室非同期運動を増強あるいは惹起させ、負荷中の左室非同期 運動の程度は、心室再同期療法(CRT)に伴う効果と相関があると言われている。我々はCRT植込み例を対象に低用量ドブタミン負荷により 惹起された左室非同期運動の程度が、CRTの効果予測指標として有用であるか前向きに検討した。<方法>従来のCRT植込み基準を満たす慢 性心不全33例(男性20例、年齢43±18歳)にCRT植込み前にDSEを行った。左室オフライン解析による2Dスペックルトラッキング法を用いて、 左室短軸断面を6分画に分け、各分画のpeak radial strain到達時間を測定した。前壁中隔と後壁との時間差を同期不全(radial dyssynchrony: RD)の指標とした。CRT植え込み後の慢性期に左室収縮末期容量が15%以上縮小した群をCRT反応群とした。<結果>DSEによりRDは150± 133msecから203±112msecに増悪した(p<0.001)。CRT反応群は19例であった。安静時のRDと比較して負荷時RDはCRT後の左室収縮末期容 積の減少度と有意な相関を認めた(R=0.34, p=0.60 v.s. R=0.67, p<0.01)。<結論>慢性心不全患者のCRT効果予測にDSEにより惹起された左 室非同期運動の評価が有用である。 P-123 拡張早期僧帽弁輪運動速波高(e’)と僧帽弁口血流速波形(E/A)の組合せによる左房圧の推定方法 杉本 匡史 1、土肥 薫 2、市川 和秀 1、杉浦 英美喜 1、佐藤 雄一 1、熊谷 直人 1、中嶋 寛 1、中森 史朗 1、田辺 正樹 1、山田 典一 1、 中村 真潮 1、登 勉 2、伊藤 正明 1 1 三重大学大学院 循環器腎臓内科学、2 三重大学大学院 検査医学 【目的】 左房圧の推定には僧帽弁口血流速波形(E/A) や早期僧帽弁口血流速波形(E) と拡張早期僧帽弁輪運動速波高(e’) との比(E/e’) が用いられているが、いずれも単独では左房圧推定の信頼性が低い。今回我々は左房圧の推定に有効な心エコー指標の組合せを検討した。【方 法】当院で2007年から2010年の4年間に慢性心不全精査で右心カテーテル検査および心エコー検査を受けた162例(64±13歳、LVEF 49±20%、 肺動脈楔入圧(PCWP)12±7mmHg、心係数 2.7±0.6L/min/m2、虚血性心筋症32例、非虚血性心筋症93例、弁膜症37例、除外疾患:心房細動、 僧帽弁狭窄症、収縮性心膜炎、透析患者、人工弁およびペースメーカー植込み患者、心内シャント)を対象に拡張能の指標(E, A, e’)を測定し、 PCWP >18mmHgの推定に関してROC曲線を用いて解析した。【結果】PCWP >18mmHg に対してE/e’ は感度68%、特異度62%、ROC曲線 下面積0.70、至適cut off 17であった。次に対象をe’(cut off 8cm/s)により2群に分け、検討した。拡張能が正常な群(e’≧8cm/s, n=9)では 全例PCWPの上昇を認めなかった( 9±4mmHg)。拡張能低下群(e’<8cm/s, PCWP 13±8mmHg, n=153)のE/AはPCWP >18mmHg に対し て感度81%、特異度72%、ROC曲線下面積0.84、至適cut off 1.17であり左房圧の推定に有用であった。【結論】正常拡張能を除外した上で用い るE/Aは左房圧の推定に有用な指標であることが示唆された。 ― 199 ― P-124 慢性心不全患者におけるAdaptive servo-ventilation(ASV)の左房機能に及ぼす効果:2Dスペックルトラッ キング法による検討 春木 伸彦、竹内 正明、芳谷 英俊、加来 京子、大谷 恭子、桑木 恒、岩瀧 麻衣、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科 【背景】Adaptive servo-ventilation(ASV)は、慢性心不全患者において慢性期 の左室収縮能を改善させることが報告されているが、左房機能に及ぼす効果は検討 されていない。2Dスペックルトラッキング法( 2DSTE)は、左室機能のみならず 左房機能の評価も可能である。【目的】慢性心不全患者におけるASV療法の左房機 能への効果を、2DSTEを用いて検討すること。【方法】対象はASV療法を導入した 洞調律の慢性心不全患者13例(平均年齢70歳、男性8例)。ASV療法導入直前および 慢性期(平均26±6週)に心エコー図検査を施行した。左房を含む心尖四腔像から 2DSTEを用いて左房のストレイン値(ε)およびストレインレート(SR)を測定 した。【結果】ASV導入前に比較し、 慢性期には、 収縮期最大SR、 拡張早期最大 SRおよび心房収縮期最大SRはいずれも有意に改善した。また収縮期最大εも有意 に増加した。 【結語】ASV療法は慢性心不全患者において、左室機能のみならず左 房機能も改善させる。 P-125 左房容積と慢性心不全 大平 里佳 1、高橋 千里 1、田村 佳子 1、葛西 智子 1、伊藤 真理子 1、加藤 敏夫 1、但木 壮一郎 2、木村 義隆 2、田丸 貴規 2、山口 展寛 2、 尾上 紀子 2、田中 光昭 2、石塚 豪 2、鈴木 博義 1、篠崎 毅 2 1 独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 臨床検査科、2 独立行政法人 国立病院機構 仙台医療センター 循環器科 【背景】左房拡大は慢性心不全(CHF)の診断と予後に関連する。【目的】左房容積 と左室負荷及びCHFとの関係を明らかにすること。【対象】CHFは心不全急性増悪 入院の既往または心不全症状の存在と定義した。 洞調律においてbiplane modified Simpson法による左房容積、NT-pro BNP、E/e’を計測した連続104例(年齢70±13歳) を対象とした。【方法】左房容積係数(LAVI)の値が低い順に4分位に分類し、Q1, Q2, Q3, Q4とした。各群におけるLAVI、NYHA分類, NT-proBNP, E/e’, CHF患者の 頻度について検討した。【結果】4分位の順にNYHA, NT-proBNP, E/e’, CHF患者の 頻度が増大した。 左室駆出率は各群間に有意差を認めなかった(Table)。Q1の LAVIはJAMP研究に示された日本人の正常値と一致したが、19%の患者がCHFで あった。 一方、Q4においてCHFを有さない患者は15%存在した。【結語】 左房拡大 は左室負荷やCHFの存在と関連するが、その程度にはおおきな個人差があるかも知 れない。 P-126 Persistently enlarged left atrial volume index predicts poor prognosis in patients with chronic heart failure 佐々木 真太郎、渡邉 哲、西山 悟史、田村 晴俊、和根崎 真大、久保田 功 山形大学 医学部 内科学第一講座 Background: It was reported that left atrial volume index(LAVI)is associated with the severity of diastolic dysfunction and poor prognosis in chronic heart failure(CHF).However, LAVI may be altered by hemodynamic changes of patients. Therefore, we evaluated whether the persistently enlarged LAVI can predict poor prognosis in patients with CHF. Methods and Results: Transthoracic echocardiography was performed in 170 consecutive patients( 95 males, 75 females, mean age 73±12 years)who were hospitalized for heart failure at admission and discharge. There were 80 cardiac events( 47%)during a median follow-up period of 397 days. There were no significant differences in left ventricular end-diastolic dimensions, and ejection fraction between with and without cardiac events. However, the ratio of LAVI changes((acute LAVI - chronic LAVI)× 100 / chronic LAVI)was markedly lower in patients with cardiac events than in those without(median 13.9 vs. -1.7%, P < 0.01).Multivariate Cox proportional hazard analysis showed that the low ratio of LAVI changes was an independent predictor for cardiac events(hazard ratio 1.231(per 10% decrease); 95% confidence interval 1.094-1.397; P < 0.01). Conclusion: The ratio of changing LAVI changes may be a novel parameter for poor prognosis in patients with CHF. ― 200 ― P-127 持続性心房細動例における心不全発症の予測に有用な心エコー図指標はなにか? 今井 孝一郎、大倉 宏之、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、玉田 智子、吉田 清 川崎医科大学 循環器内科 背景)心不全は脳梗塞とともに心房細動(AF)の重大な合併症のひとつである。目的)持続性AF例での心不全発症を心エコー図により予測 可能か否かを検討すること。方法)対象は持続性AF患者103例とした。心エコー図検査を施行後、経過観察中に心不全を発症した19例(CHF群) と心不全を発症しなかった84例(non-CHF群)を比較検討した。結果)CHF群では有意にE/e’が高値( 18.9±11.1 vs. 14.4±7.2, p=0.04)で、 EFが低値( 52±12 vs. 60±12 %, p=0.03)であった。多変量解析の結果、E/e’(OR=1.04, p=0.04)とEF(OR=1.01, p=0.03)は心不全発症の独 立した因子であった。ROC解析の結果、E/e’は15をカットオフ値とすると 感度:41%、 特異度92%で、EF50%をカットオフ値とすると感度 74%、特異度69%でそれぞれ心不全発症を予測可能であった。結論)持続性AF例においてE/e’とEFにより心不全発症を予測可能である。 P-128 三尖弁逆流と動脈スティフネスとの関係 正木 充 1、廣谷 信一 2、合田 亜希子 2、大江 良子 2、中坊 亜由美 2、吉田 千佳子 1、川崎 大三 2、川端 正明 2、辻野 健 2、小柴 賢洋 1、 増山 理 2 1 兵庫医科大学 医学部 臨床検査部、2 兵庫医科大学 医学部 循環器内科 【目的】心エコー図検査で三尖弁逆流速度から推定される圧較差(TR-PG)は、肺高血圧症の程度を知る上で有効である。またTR-PGの上昇は、 肺疾患のない場合、左房圧の上昇も推定できる。一方、動脈スティフネスは、左房機能と関連することが知られている。そこでTR-PGと動脈 スティフネスとの関係を検討する。【方法】心エコー図検査上、左室駆出率が正常(EF50%以上)で三尖弁逆流速度が計測出来た肺疾患や器 質的心疾患をもたない連続した56症例( 71±13、男性36名)を対象とした。三尖弁逆流速度から推定される圧較差(TR-PG)や左房圧の指標 として左室流入波形速度(E)を拡張早期僧帽弁輪移動速度(E’)で除したE/E'を計測した。動脈スティフネスの指標は、Vasera VS-1500を用 いてCardio-Ankle Vascular index(CAVI)値を求めた。【成績】CAVI値は、E/E'と相関を示さなかったが、TR-PG(r=0.34, p<0.05)、年齢(r =0.50, p<0.001)と有意な相関を示した。またTR-PGも、E/E'と相関を示さなかったが、年齢(r=0.38, p<0.01)と有意な相関を示した。同 様に左房圧上昇を示唆するE/E'>15の群(11名)は、それ以外の群(45名)と比べて、TR-PG、CAVI値とも有意な差は認められなかった。【結 論】TR-PGの増加は、動脈スティフネスの増加を示した。今回のTR-PGは、正常ないし軽度の肺高血圧症であり、左房圧上昇というよりむしろ、 加齢に伴って増加していることが示唆された。 P-129 経胸壁心エコー図法を用いた大動脈弁置換術における適切な人工弁サイズの推測方法に関する検討 嘉納 由美子 1、田中 秀和 2、山本 哲志 1、平石 真奈 2、三好 達也 2、辻 隆之 2、金子 明弘 2、漁 恵子 2、山脇 康平 2、福田 優子 2、 辰巳 和宏 2、則定 加津子 2、松本 賢亮 2、林 伸英 2、木下 承晧 2、河野 誠司 2、川合 宏哉 2、平田 健一 2 1 神戸大学医学部附属病院 検査部、2 神戸大学 大学院 医学研究科 循環器内科学 【はじめに】大動脈弁置換術を行う際、適切な人工弁サイズを推測する必要があるが、術前の経胸壁心エコー図検査(TTE)による大動脈弁 輪径を計測する方法は定まっていない。今回我々は、術前TTEにて最も正確に大動脈弁輪径を推測する計測方法について検討した。【方法・ 対象】大動脈弁狭窄症( 18例)大動脈弁閉鎖不全症( 1例)両疾患合併( 1例)のため当院で大動脈弁置換術を施行し、術前にTTEを行った20 例( 70±7歳)を対象とした。人工弁はCarpentier Edwards Pericardial弁15例、Mosaic Ultra弁5例で、装着部位は全例弁輪部で弁輪拡張術を 必要とした症例は除外した。TTEによる大動脈弁輪径の計測は大動脈弁直下の左室流出路径(LVOT)と、大動脈弁付着部位の弁を除去した と想定される径(AV)の2つの内径を、収縮中期(sLVOT, sAV)、拡張末期(dLVOT, dAV)の2時相でそれぞれ計測し、置換術にて挿入し た人工弁のメーカー提示径を真の弁輪径として比較検討した。 【結果】 計測値はそれぞれsLVOT:21.9±2.1 mm, dLVOT:21.3±2.6 mm, mLVOT(sLVOTとdLVOTの平均値) :21.6±2.3 mm, sAV:22.8±2.9 mm, dAV:22.9±3.1 mm, dAV(sAVとdAVの平均値) :22.8±2.9 mmで、 いずれも術中弁輪径と正の相関関係を認めた。またBland-Altman解析では術中弁輪径との差が最も小さかったのは、mLVOTであった。【結語】 大動脈弁輪径を推測する際は、収縮中期と拡張末期の左室流出路径の平均値が有用であった。 ― 201 ― P-130 無症状の重症僧帽弁逆流に対する最適な手術時期の検討 北井 豪 1、岡田 行功 2、谷 知子 1、金 基泰 1、加地 修一郎 1、山室 淳 1、北 徹 1、古川 裕 1 1 神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科、2 神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科 【背景】無症状の重症僧帽弁逆流患者に対する僧帽弁手術については未だ議論があり、日本人でのデータは乏しい。本研究の目的は、術前の心 エコー指標・臨床症状が術後の遠隔成績に及ぼす影響について調査し、最適な手術時期を再検討することである。【方法と結果】当院で無症状 重症僧帽弁逆流に対し僧帽弁手術を施行した連続298例( 57±12歳)を検討した。全例で僧帽弁形成術が施行された。患者をガイドラインに示 される項目で2群に分けた。A群:左室駆出率(LVEF)>60%、かつ左室収縮末期径(LVDs)<40mm、かつ洞調律、かつ肺高血圧のない群(122 名)、B群:上記条件を満たさない群(176名)。2群間で術後の臨床経過を比較検討した。平均追跡期間は7.0±4.5年。B群はA群に比して術後10 年で生存率が有意に低く(A vs B; 93% vs 81%, P=0.02)、弁関連合併症(心臓死・心不全入院・脳梗塞・重大な出血・重度僧帽弁逆流再発・ 再僧帽弁手術の複合エンドポイント)回避率も有意に低かった(A vs B; 89% vs 71%, P<0.01)。多変量解析では、術後の弁関連合併症の独立 した予測因子として術前の心房細動の合併(hazard ratio, 3.34; P<0.001)と60歳以上の高齢(hazard ratio, 2.50; P<0.01)が示され、左室駆出 率や左室収縮末期径は無症状患者においては有意な因子ではなかった。【結論】重症僧帽弁逆流に対する早期手術は、良好な長期成績であった。 無症状の患者においては心房細動が術後の弁関連合併症の予測因子として重要であると考えられた。 P-131 Valsalva手技に伴う僧帽弁血流速波形の経時的変化の有用性―移植待機の超重症心不全例に学ぶ 小板橋 俊美、猪又 孝元、甲斐田 豊二、岩本 美和、前川 恵美、品川 弥人、和泉 徹 北里大学 医学部 循環器内科学 有徴候性心不全での治療標的は、うっ血の解除と低心拍出量症候群(LOS)の改善である。しかし、左室収縮障害を伴った超重症心不全例では、 うっ血軽減への介入にて容易にLOSが助長し、「さじ加減」的な減負荷療法が求められる。うっ血とLOSとをあえて中庸を保つ設定をすること で他臓器障害を回避させ、心移植などの高度医療への橋渡しを行う戦略である。症例は39歳、女性、拡張型心筋症。労作時息切れを初発とし、 約3ヶ月でNYHA心機能分類4度となった。LVDd 64 mm, LVEF 25%と著明な心拡大と収縮障害を認めた。内科的治療への反応に乏しいため、 機能性僧帽弁逆流に対する弁形成術と左室縮小術、CRT-D植込みを施行した。 しかし、 術後もNYHA3から4を推移し、 容易にうっ血ないし LOSに傾くため、減負荷の治療域が狭まった。経時的な心エコー図所見では、SVに著変はなかったが、進行性にE波は増高し、僧帽弁血流速 波形(TMF)は拘束型を呈した。Valsalva手技(VM)にてE/Aは3.7から2.7へ低下したが、1ヶ月後には症状の進行と共に8.7から4.9と反応性 が変化した。慎重な減前負荷療法を行ったところ、TRPGとIVCは低下し、かつSVは保たれた。E波はむしろ増高し、E/Aも12.0と上昇したが、 VM時のE/Aは2.3に低下した。以上より、安静時TMFから、SV維持に要する左室圧が進行性に上昇し、原病の進行が窺われた。また、VM時 のTMFの変化はうっ血下で前負荷の指標となり、経時的変化から目標とすべきLOSとうっ血の転換点を検出できた。超重症心不全では、常に うっ血とLOSの両者を意識し、VMや経時的変化といった一種負荷試験的な方法論を取り入れる心エコー管理が有用である。 P-132 経胸壁心エコー図を施行した連続症例におけるMitral annular disjunctionについての検討 紺田 利子 1、谷 知子 2、八木 登志員 1、藤井 洋子 1、川井 順一 1、中村 仁美 1、北井 豪 2、盛岡 茂文 2、古川 裕 2、北 徹 2 1 神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科 [背景]経胸壁心エコー図検査(TTE)中に傍胸骨左室長軸像で僧帽弁輪部の過大運動を認めた場合、後尖側の僧帽弁付着部にあたる弁輪線維 部(annular fibrosus)で左室心筋との間が薄く外側に膨瘤して観察される場合がある(Mitral annular disjunction:MAD)。僧帽弁逸脱(MVP) 症例で弁輪部の過大運動を認めることはあるが、MVPの基準を満たさない、軽度しなった僧帽弁症例においてもMADはしばしば観察される。 剖検例におけるMADの頻度についての報告はあるが、心エコー図における充分な検討はされていない。本研究ではMADの線維部の距離を分 類し、当院でTTEを行った連続718症例中のMADの分類と頻度を検討した。[方法]2010年6月15日から2010年7月21日までに当院にて経胸壁心 エコー図検査を施行した連続718例中、MADは45症例( 6.3%)であり、MAD症例中MVP症例は14例( 32%)であった。またMADの線維部の 距離を分類してその頻度を調べた。MADの分類は傍胸骨左室長軸像にて収縮末期に僧帽弁後尖の付着部において、MADと弁輪部過大運動を 共に認めない症例を0型、MADは認めないが弁輪部過大運動を示す症例をI型、MADの距離が5mm未満の症例をII型、5mm以上の症例をIII型 とした。[結果]連続症例718例中、0型は674例(93.9%)、I型28例(3.9%)、II型16例(2.2%)、III型1例(0.1%)であった。II型では左房拡大を 認めない症例が多かった( 12/16例75%)。[結論]MADはFloppy mitral valve症例に限らずMVPの基準を満たさない軽度のしなった僧帽弁症 例においても観察される。今後MADと僧帽弁逆流との関連性などについての検討が必要と考えられる。 ― 202 ― P-133 重症僧帽弁逆流患者におけるMitral annular disjunctionについての検討 紺田 利子 1、谷 知子 2、八木 登志員 1、藤井 洋子 1、川井 順一 1、中村 仁美 1、北井 豪 2、盛岡 茂文 2、古川 裕 2、北 徹 2 1 神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科 [背景]僧帽弁逸脱症例において僧帽弁輪部の過大運動をしばしば認める。Floppy mitral valve(FMV)では僧帽弁複合体の過大運動によりそ の弁付着部にあたる弁輪線維部(annular fibrosus) は僧帽弁輪部と左室心筋との間が薄く外側に膨瘤して観察される場合がある(Mitral annular disjunction:MAD)。FMVにおけるMADの頻度についての報告はあるが、MADの線維部の距離とFMVの僧帽弁逆流(MR)との関 連性については充分な検討はされていない。本研究では重症僧帽弁逆流患者におけるMADの線維部の距離を分類してその関連性について検討 した。[方法]2009年3月24日から2010年12月6日までに当院にて経胸壁心エコー図検査を施行した連続11434例中、僧帽弁逸脱による重症僧帽 弁逆流症と診断した185例を対象とした。MRの重症度は定性評価で判定した。MADの分類は傍胸骨左室長軸像にて収縮末期に僧帽弁後尖の付 着部において、MAD、弁輪部過大運動を共に認めない症例を0型、MADは認めないが弁輪部過大運動を示す症例をI型、MADの距離が5mm未 満の症例をII型、5mm以上の症例をIII型とした。[結果]重症僧帽弁逆流患者185例中0型は38例(20.5%)、I型99例(53.5%)、II型47例(25.4%)、 III型1例( 0.6%)であった。僧帽弁逸脱による重症僧帽弁逆流症ではIII型に比べて有意にI型、II型が多かった。[結論]MADはMRに関連して いるがMRの重症度にはMAD以外の要因も関連していると考えられる。 P-134 心尖部に血栓を有する肥大型心筋症が長期経過中に拡張相肥大型心筋症に移行した一例 丹波 寛子 1、岡田 恵利 1、高橋 久美子 1、袴田 幹雄 1、川田 健太 2、國生 泰範 2、深堀 耕平 2、武田 智 2、菅井 義尚 2、伏見 悦子 2、 高橋 俊明 2、関口 展代 2 1 平鹿総合病院 臨床検査科、2 平鹿総合病院 循環器内科 症例は43歳男性。16歳時心電図異常の精査で当院で非対称性肥大型心筋症と診断された。その後無症状で他院で経過観察されていたが、心エコー 図では心尖部の軽度肥厚もあった。34歳時脳梗塞を発症し、心エコー図では、IVS15mm、pWTd9mmと非対称性の肥厚があり、左室拡張末期 径52mm、収縮末期径36mmと心基部の収縮は保たれEF59%であったが、心尖部は菲薄化し収縮不良、前壁側はdyskinesisであった。心尖部に は内腔へ突出した径23mmのmassを認めた。血栓が疑われ、心原性脳塞栓と診断された。左室内に狭窄血流はなかった。心不全症状はなかった。 抗凝固療法が施行され、退院時には13mmまで縮小していた。その後は10mmm程度の大きさで心尖部に張り付くエコー輝度の高い器質化血栓 となっていた。しかし徐々に前壁中隔はakinesisとなり、左室拡張末期径62mmと拡大しEF50%に低下していた。平成22年10月頃から仕事上で 負荷過剰となり、水分摂取も多くなり、息切れや下肢浮腫等出現した。心エコー図では壁肥厚はみられず全周性に以前より薄くなり、壁運動 も低下しEF31%、TRPG53mmHg、IVC径は21mmと拡張し呼吸性変動が消失していた。PT-INRは2.5であったが心尖部に再び新鮮血栓を疑う massが認められた。BNP1412pg/ml、胸部写真では肺うっ血があり、心胸隔比67%と拡大、両心不全の急性増悪として入院となった。入院後 抗凝固療法の強化で一時血栓は縮小したが、心尖部の収縮の改善はなく、再び新鮮血栓が形成された。これまでの経過より拡張相肥大型心筋 症が疑われた。今回肥大型心筋症の長期経過を追う過程で、徐々に拡張相に移行し、心尖部に血栓形成を繰り返す症例を経験したので報告する。 P-135 長期間にわたり形態変化を観察し得た心アミロイドーシスの一例 大和 恒博 1、佐藤 明 1、矢野 博子 2、岩井 慎介 1、狩野 実希 1、浅野 充寿 1、井原 健介 3、村松 賢一 1、松村 穣 1、武居 一康 1、 新田 順一 1、淺川 喜裕 1 1 さいたま赤十字病院 循環器科、2 さいたま赤十字病院 救急医学科、3 横浜市立みなと赤十字病院 循環器科 症例は79歳男性。65歳頃から慢性心房細動を指摘されていたが精査は受けていなかった。75歳時に脳梗塞を発症し、心房細動の精査目的に当 科初診となった。12誘導心電図ではV4~V6の深い陰性T波を認めた。初診時の心エコー図では左房拡大と心尖部寄りの左室側壁の壁肥厚を認め、 心電図所見と合わせて心尖部肥大型心筋症が疑われた。2年後には壁肥厚は左室側壁全体に及び、心尖部寄りの心室中隔にも壁肥厚を認めるよ うになった。右室壁肥厚も出現した。左室右室共に心筋輝度の上昇を伴うようになっていた。3年後には左室側壁は結節状の著しい肥厚となっ ており、心室中隔心尖部寄りの左室壁も結節状の肥厚を呈するようになっていた。当初は軽度の僧帽弁逆流と三尖弁逆流を認めるのみであっ たが、3年後には僧帽弁逆流と三尖弁逆流は中等症に増悪していた。経過中、左室収縮能は一貫して正常であったが、僧帽弁輪移動速度の低下 が認められ左室拡張障害が疑われた。当初より大動脈弁と僧帽弁の肥厚を認めており、大動脈弁は徐々に開放制限を伴うようになったが、重 症大動脈弁狭窄には至らなかった。心膜液の貯留はなかった。経過中にネフローゼ症候群・IgAλ型M蛋白血症・上腸間膜動脈回結腸枝から の出血を合併。治療目的に行った回腸切除の際に、組織診断からALアミロイドーシスと判明した。心筋へのアミロイド沈着は証明されていな いものの、経過からは心アミロイドーシスと考えられた。全身浮腫と腎機能増悪がみられるようになり、79歳(初診から4年)で死亡した。長 期にわたり心アミロイドーシスの形態的変化を観察し得た貴重な症例と考えられたため報告する。 ― 203 ― P-136 左室肥大患者の失神の原因検索目的で施行したドブタミン負荷心エコーで検出された潜在性左室流出路狭窄の意 義の検討 大山 慶介 1、山田 憲明 1、高松 祐介 2、有馬 健 2、伊藤 賀敏 1、岡田 健一郎 1、土井 泰治 1、林 亨 1 1 大阪府済生会千里病院 循環器内科 心血管内治療室、2 大阪府済生会千里病院 生理機能検査室 【症例】62歳、男性。2010年5月、魚釣り中に意識消失し、海に転落した既往あり。同年9月某日早朝、胸部圧迫感、冷や汗で目が覚め当院救急 外来を受診、発作性頻脈性心房細動と高血圧を認め緊急入院となった。安静時の心エコーでは求心性左室肥大を呈し、左室流出路狭窄は認め られなかったが、ドブタミン負荷心エコーを行ったところ、血圧低下や失神および前失神症状はみられなかったものの、40γ投与下Valsalva 負荷にて左室流出路に最大5.7m/sの加速血流が認められ、潜在性左室流出路狭窄が考えられた。他の失神の原因検索目的で心臓電気生理検査 を施行したところ、誘発試験で非持続性多形性心室頻拍を認めた。冠動脈造影検査では、3枝ともに有意な器質的狭窄病変を認めた。また入院 中、発作性心房細動の自然停止時に約8秒の洞停止を認め、洞不全症候群の合併も考えられた。肥大型心筋症が疑われる本症例での失神の原因 として、心室頻拍あるいは発作性心房細動による頻脈性不整脈、心筋虚血、洞不全症候群、潜在性左室流出路狭窄による心拍出量の減少に伴 う脳虚血など様々な病態が考えられた。突然死に関する複数の危険因子を有していたことから、ICDの適応と判断し植え込み術を施行した。 【考察】左室肥大を有する患者の失神の原因精査では、肥大型心筋症の鑑別診断を含め、様々な検査を行う必要がある。潜在性左室流出路狭窄 の有無を評価する目的でのドブタミン負荷心エコー検査の意義と結果の解釈について文献的考察を加えて報告する。 P-137 SAM出現時における左室収縮動態のVVIによる検討 村田 幸栄 1、小野 史朗 2、國近 英樹 2、赤川 英三 2、田中 純子 1、松本 勝彦 1、安田 優子 1、縄田 純子 1、角田 智枝 1 1 済生会山口総合病院 中央検査部、2 済生会山口総合病院 循環器内科 肥大型心筋症(HCM)におけるSAMの発症機転に左室狭小化や収縮力増強などが関与していると考えられている。β遮断薬や抗不整脈薬に よる左室流出路の圧較差減弱が報告されており、その機序として収縮力の減弱や伝導遅延によるDyssynchronyが考えられている。今回、経過 中に一過性にSAMを発症した肥大心の2症例についてSAM出現時と消失時における左室収縮動態についてVVIを用い検討したので報告する。 症例1:65歳男性。労作時息切れを主訴に来院。高血圧、中等度の左室肥大を認め、降圧薬等で経過観察されていた。特に誘因なく収縮期雑音 が増強、心エコー図検査にてSAMを認めた。SAM増強時とSAM減弱時の心エコー図検査では、両者において左室サイズや駆出率に差はみら れなかったが、VVIによる左室壁動態の解析ではSAM増強時に特に後壁基部のTangential Velocityが増大していた。SAM減弱時には中隔と後 壁でほぼ均一な収縮動態を示していた。症例2:67歳男性。HCMにて近医で加療されていた。房室ブロック、心不全にて紹介された。ペース メーカー挿入後に心不全が増強したため、ハンプ、ミルリーラを投与したが、血圧上昇しないため心エコーを施行したところSAMを認めた。 そのためハンプ、ミルリーラを中止、β遮断薬、I群抗不整脈薬を投与し心不全は軽快。VVI解析ではペースメーカー挿入後Dyssynchronyを認 め、SAM出現時には後壁基部のTangential Velocityが増大していた。2症例での検討であるが、SAMと後壁基部のTangential Velocityとの関 連が示唆された。 P-138 たこつぼ型心筋症を併発し左室流出路狭窄を来たした肥大型心筋症の一例 武田 久輝、室生 卓、齋藤 聡男、松村 嘉起、兵頭 永一、杉岡 憲一、花谷 彰久、島田 健永、穂積 健之、葭山 稔 大阪市立大学 大学院 医学研究科 循環器病態内科学 症例は58歳女性。既往として腹部大動脈瘤に対して腹部大動脈ステント留置されている。非閉塞性肥大型心筋症(HNCM)でフォローされて いたが、左室収縮能は良好であった。数日前から食欲低下し、食事中に失神したため当院受診した。受診時血圧60/32mmHg、脈拍80bpm、整、 4LSBにLevine3/6の収縮期駆出性雑音を聴取し抬起性の心尖拍動を認めた。心エ コーにて左室心尖部を中心とした壁運動の低下と心基部の過収縮を認めた。 ま た僧房弁前尖収縮期前方運動(SAM)も認めたため、左室流出路狭窄をきたし 流速は4.0m/sだった。心筋逸脱酵素の上昇なく心電図でV1-V4に陰性T波を認め た。心筋シンチグラフィでTlとMIBGでの取り込み解離を認めたことからたこつ ぼ型心筋症と診断した。 肥大型心筋症にたこつぼ型心筋症を合併し心基部が過 収縮になったこと、 さらに食欲低下から脱水をきたしたことから左室流出路狭 窄が出現し、失神をきたしたと考えた。その後、2か月後には心機能は正常化し た。HNCMにたこつぼ型心筋症を合併し、SAM、左室流出路狭窄が出現した稀 な症例を経験したため文献的考察を加え報告する。 ― 204 ― P-139 イレウスで入院後タコツボ型心筋症を発症、血圧低下遷延し左室流出路狭窄、Oozing ruptureが原因と考えら れた1症例 谷川 崇 1、太田 剛弘 2、川井 小百合 1、柿原 隼 2、河合 慶介 2、林 雄介 2、西山 裕善 2、白井 たから 2、紙森 公雄 2、柳 志郎 2 1 府中病院 中央検査部、2 府中病院 循環器科 タコツボ心筋症は精神的、物理的ストレスが誘因とされ循環器以外の主訴で発症する例がある。本症は経過良好とされるが重篤な合併症も報 告され急性期に慎重な対応が必要である。今回イレウスによる消化器症状で入院後、高度血圧低下が遷延し原因として合併した左室流出路狭 窄とOozing ruptureの心膜液貯留が主因と考え保存的治療を選択しイレウス手術に成功した稀な症例を経験した【症例】72歳 女性【主訴】 嘔吐 腹部膨満【現病歴】10年以上前に大腸癌手術後、 繰り返すイレウスの既往あり。2010年11月に嘔吐、 腹痛出現し消化器科入院【現症】 意識清明 血圧76/50mmHg 脈拍98/分 胸X線:CTR52% うっ血所見なし ECG:V2-V6 ST上昇 VPC多発【入院後経過】入院後イレウ スに対し手術検討したが血圧低下が続き第5病日V2-V6 ST上昇あり心カテ施行、 有意狭窄なし。 心エコーで左室心尖部を中心にballoon状の a-dyskinesisと心尖部菲薄化を認め心基部は壁運動亢進しタコツボ型心筋症と考えた。血圧低下の原因はSAMを伴う左室流出路狭窄とフィブリ ン様析出物を伴う心膜液貯留心タンポナーデと思われた。保存的治療の血圧管理、補液、安静で血行動態は徐々に安定し左室壁運動異常、心 膜液改善を認め第42病日に癒着性イレウス解除手術を行い軽快退院となった【まとめ】本例は腹痛、嘔吐などのストレスでタコツボ心筋症を 発症し脱水も関与した左室流出路狭窄とOozing ruptureによる血圧低下を保存的治療し、外科手術可能となった。タコツボ心筋症は急性期に 重い合併症も報告され心破裂、重篤な不整脈などは致死的である。経時的に改善する例があり十分な血行動態管理のうえ切適な循環器的治療 が必要と考えられた。 P-140 くも膜下出血に合併した逆たこつぼ心筋障害の1例 ~2Dストレインによる検討~ 杉本 恵子 1、山田 晶 2、高橋 礼子 3、大平 佳美 3、加藤 歩 3、加藤 美穂 3、杉本 邦彦 3、伊藤 義浩 2、椎野 憲二 2、高田 佳代子 2、 加藤 庸子 5、岩瀬 正嗣 4、尾崎 行男 2 1 4 藤田保健衛生大学 医療科学部 臨床検査学科、2 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、3 藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報学科、5 藤田保健衛生大学 医学部 脳神経外科 症例:53歳男性。既往歴:高血圧(内服治療中)。主訴:意識障害。現病歴:2009年7月、不穏状態で暴れているのを家族により発見され、当 院へ救急搬送された。来院時の身体所見は血圧123/80mmHg、脈拍105/分・整、体温36.0℃、JCS:1―3、瞳孔径3mm左右差無し。胸部X線写 真でbutterfly shadowが認められ、脳血管造影CTにて前交通動脈の動脈瘤破裂によるWFNS Grade4のくも膜下出血、神経原生肺水腫と診断さ れ入院となった。血液学的検査では、心筋トロポニンI 2.54ng/ml、アドレナリン751pg/ml、ノルアドレナリン3891pg/ml、ドーパミン342pg/ mlと各項目とも高値を示した。入院時の断層心エコー図検査では心基部から心室中部にかけては無収縮であったが、心尖部は正常~過収縮に 収縮しており、逆たこつぼ心筋障害様の心エコー像を呈していた。左室駆出率(EF)は30%であった。第3病日の心エコー図検査では、心基 部の壁運動もほぼ回復しEFも53%と改善がみられた。胸部X線写真上、肺うっ血も認められなくなっていた。第6病日の2Dストレインによる Bull’s Eye表示では入院時と比較し心基部の壁運動が正常に近い値まで改善しているのが観察された。しかし第8病日に脳血管攣縮を合併し臨 床的脳死となり第11病日に死亡、その後、死体腎・骨ドナーとなった。本症例は冠動脈造影、MIBGは施行していないが、心エコー検査の経 過から逆たこつぼ心筋障害と考えられた。本症例のように逆たこつぼ型を呈するたこつぼ心筋障害症例は比較的珍しく、さらに2Dストレイン を用いて左室壁運動の改善経過を観察することができたので報告する。 P-141 好酸球性心筋炎の経過観察に2D speckle traking解析が有効であった1症例 高野 智晴 1、菅澤 一子 1、森奥 雪世 1、佐伯 菜穂子 1、杤木 達也 1、青戸 正樹 1、北尾 政光 1、森下 孝臣 2、城田 欣也 2 1 松江赤十字病院 検査部、2 松江赤十字 循環器科 【症例】症例は50歳男性。2010年4月19日より階段昇降時に息切れと前胸部に不快感があり、増悪傾向を認め4月22日近医総合病院救急外来を受 診した。緊急心臓CTにて冠動脈異常を認めず、急性心筋炎の診断で同院入院となる。5月4日、左脚ブロック及びショック状態が出現し当院転 院。超音波検査にて左室壁肥大及び壁運動の低下を認めたため、大動脈バルーンパンピングを挿入し心筋生検を行った。血液検査の結果、好 酸球の著増を認めたため好酸球性心筋炎と診断し、ステロイドパルス療法を3日間行った。5月4日の心エコー検査では、びまん性に壁運動低下、 壁肥厚及び心嚢液の貯留を認めた。2D speckle traking解析を用いたlongitudial strain波形にて、Peak strainの低下及び前壁と後壁のTime to Peakのずれを認めた。5月7日の心エコー検査では壁運動及び壁肥厚に改善傾向を認めた。またlongitudial strain波形にて、Peak strainの改善 を認めたが、前壁と後壁のTime to Peakのずれはまだ残っていた。5月17日の心エコー検査では壁運動及び壁肥厚は改善し、longitudial strain 波形にて、Peak strainの改善及び前壁と後壁のTime to Peakのずれも改善した。【結語】好酸球性心筋炎の経過を心エコー検査にて観察し、ス トレイン解析を用いることにより心筋炎の回復過程を評価することが出来た。 ― 205 ― P-142 心エコー図により経過観察のできた周産期心筋症の一例 和氣 正樹 1、吉冨 裕之 2、中村 琢 1、岡田 大司 1、伊藤 新平 1、安達 和子 1、伊藤 早希 1、小谷 暢啓 1、菅森 峰 1、佐藤 正岳 1、高橋 伸幸 1、 佐藤 秀俊 1、田邊 一明 1 1 島根大学 医学部 循環器内科、2 島根大学医学部 検査部 周産期心筋症は、心疾患の既往のない女性が、妊娠・産褥期に心不全を発症し、拡張型心筋症類似の病態を示す特異な心筋症で、本邦では年 間新規発症50例程度の比較的まれな疾患である。我々は、周産期心筋症症例の発症後の経過を心エコー図にて観察することが出来たので報告 する。【症例】38歳女性。第一子妊娠時に妊娠高血圧症候群と完全左脚ブロックを指摘されているが、第一子から第三子まで正常分娩であった。 2008年4月(第四子妊娠38週時)に初めて労作性呼吸困難出現。近医で骨盤位、妊娠高血圧、Rh(-)を指摘され、産科に入院。4月8日、帝 王切開による出産直後から、突然の呼吸困難が出現。心エコー図検査でLVDd68mm、LVDs60mm、LVEF11%であったため、周産期心筋症に よる心不全として当科転科となった。ACE阻害剤、 β-blocker、 利尿剤の投与により症状は軽快。5月13日、LVDd66mm、LVDs57mm、 LVEF21%となった。その後、外来通院治療となったが、症状の再発なく心機能は回復傾向となったため、内服が漸減された。2010年11月2日 には、LVDd46mm、LVDs30mm、LVEF62%まで心機能は改善し、現在にいたる。本症による最重症例は致死的であることから、妊娠後期か ら分娩直後に呼吸苦をみた場合には、正常妊産婦の周産期にみられる生理的症状以外に、本症による心不全の可能性を考え、早期の心エコー 図検査を行う必要がある。また、本症の予後は、急性期を除けば他の心筋症に比し良好であるが、中には、心機能低下残存例や悪化例があり、 心エコー図による定期的な経過観察が重要である。 P-143 不整脈源性右室心筋症の一例 奥 真奈美 1、川田 早希 1、野方 華子 1、岡本 暢之 1、松本 武洋 2、大西 正人 2、和田 厚幸 2 1 草津総合病院 診療技術部 検査科、2 草津総合病院 循環器内科 症例は34歳男性。27歳の時、動悸、意識消失で他院に通院歴あり。その後も10~30分の動悸や意識消失発作を数回繰り返していた。2010年8月 13日から動悸発作があり、14日早朝に当院救急を受診。心電図で左脚ブロック型の心室頻拍(VT)であり、電気的除細動を施行した。除細動 後の心電図でV1,V2にε波、V1~V3に陰性T波を認め、ホルター心電図にてVPCは3061/day( 3.6%)であった。心エコー検査で両室壁運動低 下(RVEF24%,LVEF32%(MOD法))、右室の著明な拡大(RV/LV:54×77/38×75mm,RA/LA:46×51/42×51mm)、右室の肉柱の発達を認め、 肺動脈圧正常(肺動脈収縮期圧≒26mmHg)、先天性の短絡疾患や心奇形は認められなかった為、不整脈源性右室心筋症(ARVC)が疑われた。 また、17日の心臓MRIでは右室壁は高度に菲薄化、線維変性を起こし、残存心筋は大半が脂肪組織に置き換わっており、ARVCに合致する所 見と考えられた。19日に心臓カテーテル検査を施行し、冠動脈造影は異常なし、右室造影で右室の拡大、壁運動低下、左室造影で心尖部の壁 運動低下を認めた。心筋生検では右室壁の内膜は線維結合織と共に脂肪織の増生が認められたが、心筋内に脂肪浸潤を伴った心筋細胞の委縮 は認められなかった。家族歴は父方叔父が50歳で突然死、別の叔父はVTのためICD植え込みを受けている。本例はESC/ISFCの診断基準を満 たした為、ARVCと診断された。今回心エコーが診断過程において重要な役割を果たした一例を経験した。ARVCは、特発性心筋症の一つと して分類されている比較的稀な疾患である。現在ARVCの原因遺伝子探索を行っており、形態的特徴との関連や文献的考察を加えて報告する。 P-144 バセドウ病を合併した滲出性収縮性心膜炎の一例 山田 千夏、桑原 宏一郎、柴田 純子、南 丈也、中尾 一泰、桑原 佳宏、木下 秀之、宇佐美 覚、中川 靖章、錦見 俊雄、中尾 一和 京都大学大学院 医学研究科 臨床病態医科学・内分泌代謝内科 心臓研究室 [症例]42歳、女性 [主訴]熱発、呼吸困難、下腿浮腫 [現病歴]1996年から2002年にかけバセドウ病に対して内服およびラジオアイソトー プ治療を受けていたが、その後放置していた。2009年4月高熱のため近医を受診しバセドウ病増悪を指摘され、プロピルチルウラシルを開始さ れた。熱発持続し、呼吸困難および下腿浮腫が出現したため、同年5月当院紹介となった。血液生化学検査では炎症反応および甲状腺機能の亢 進を、また、胸部レントゲンでは心拡大、肺うっ血および胸水貯留を認めた。うっ血性心不全およびバセドウ病と診断し、入院となった。心 エコーでは全周性に多量の心嚢液貯留を認めたが、徐々に高度の左質拡張能低下及び心膜癒着をきたし、収縮性心膜炎へと移行した。心臓CT および心臓MRでは心膜の肥厚を認めた。心臓カテーテル検査は施行せず。また、コクサッキーA16ウイルス抗体価及び抗ストレプトリジンO 抗体価の上昇を認めた。内科的加療により心不全は軽快し心嚢液は消失、外来経過中に収縮性心膜炎も軽快した。[考察]感染性心膜炎が滲出 性収縮性心膜炎へ移行した可能性が示唆された。バセドウ病との関与は不明であった。滲出性収縮性心膜炎は稀な疾患であり、内科的加療で 軽快しない場合は心膜切除術を要するため、急性心膜炎罹患後は十分な経過観察が必要と思われた。 ― 206 ― P-145 心臓手術既往のない小児に発症した収縮性心外膜炎の一例 後藤 育子 1、富松 宏文 2、梶村 いちげ 2、山村 英司 2、黒川 文夫 1、鶴田 義典 1、高野 一成 1、林 哲朗 1、三浦 ひとみ 1、芦原 京美 3、 中西 敏雄 2 1 東京女子医大病院 中央検査部、2 東京女子医大病院 循環器小児科、3 東京女子医大病院 循環器内科 小児の収縮性心外膜炎を経験し、種々の画像検査の所見を得ることができたので報告する。症例:16歳 女性。現病歴:半年ほど前から労作時の 息切れを自覚するようになり次第に増悪し、精査の結果心疾患を疑われ入院となった。既往歴:3年前の学校検診で心電図異常を指摘されたが 二次検診では異常なしとされた。心臓手術歴なし。現症:身長152cm。体重43.8Kg。心音:弱、過剰心音聴取せず。心雑音:聴取せず。腹部:平坦軟。 肝;4cm触知。四肢の浮腫なし。検査所見:胸部XP;心胸郭比45%、肺うっ血なし、心電図;洞調律、P波増高、T波平定化、陰性化。血液検査:アル ブミン5.1g/dl, ビリルビン1.3mg/dl, BNP157.9pg/ml。心エコー;LVDd:3.9cm, LVSF:0.33, LVinflow:E;59cm/s, A;34cm/s, E/A;1.75, DCT:142msec, TEI index:0.21。心内奇形なし。両心房拡大。組織ドプラ法:E':22.5cm/s, E/E':2.6。胸部CT:右室前壁、左室心基部の側壁ないし後壁にかけて心 膜の石灰化と心膜の肥厚を認めた。心筋シンチ:血流代謝乖離は認めず、壁運動正常。心臓カテーテル検査:右房圧、肺動脈楔入圧、左右心室拡 張末期圧はすべて等しく16mmHg。肺動脈圧35/20(27)と肺高血圧を認めた。左右心室圧はdip and plateauの所見を認めた。心筋生検:非特異 的な心筋の肥厚と線維化や変性のみであった。以上の所見より収縮性心膜炎と診断したが、その原因は不明であった。経過:確定診断の後、心 外膜切除術を施行し臨床症状は著明に改善した。結語:収縮性心外膜炎は小児においては非常にまれであり、拘束型心筋症との鑑別が重要とな る。本症の診断と拘束型心筋症との鑑別に心エコーやCTなどの画像診断が有用であった。 P-146 EBウイルスの持続活動性感染による大量心嚢液貯留・高度僧帽弁逆流の1例 斎藤 聖多郎 1、油布 邦夫 2、安部 一太郎 1、鬼木 崇裕 1、岡田 憲広 1、脇坂 収 1、篠原 徹二 1、高橋 尚彦 2、原 政英 1、犀川 哲典 2 1 大分大学 医学部 総合内科学第一講座、2 大分大学 医学部 臨床検査診断学講座 症例は16歳男性。高校入学時の健診で心雑音聴取・心房細動・著明な心拡大(CTR83%)を指摘された。来院時に心エコー上心収縮力は良好 であったが心嚢液大量貯留、重度のMRとTRを認めうっ血性心不全を呈していた。心タンポナーデは認めなかった。また同時期より39℃前後 の不明熱・腎機能障害・肝脾腫・貧血を伴っていた。炎症反応は軽度であり、感染症・腫瘍・膠原病等疑い画像・各種培養・細胞診・抗体検 索等を施行したが明らかな確定診断には至らず、抗核抗体弱陽性・血球減少・漿膜炎・腎障害の存在からSLEを最も疑い、ステロイド療法を 開始した。その後心嚢液は著明に減少し、炎症所見・腎機能は正常化した。後日胸水細胞の遺伝子検索結果が判明し、本症例はEBウイルスの 持続活動性感染によると考えられた。原因ははっきりしないが、僧帽弁輪拡大に伴うと考えられる僧帽弁逆流を高度認めており、ステロイド 減量後の電気生理学的検査では、右房電極に電位を認めず、冠静脈洞電極で左房の一部に規則的心房電位を認めた。今後は骨髄移植を検討中 である。今回我々は大量心嚢液貯留の1例を経験したので文献的考察を含めて報告する。 P-147 Left atrial septal pouchに付着する血栓様構造物を確認し得た重症大動脈弁狭窄症の一例 桑木 恒、竹内 正明、芳谷 英俊、春木 伸彦、加来 京子、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科 Left atrial septal pouch(LASP)は1次中隔と2次中隔の癒合不全が原因で左房側に生じたポケット様の穴であり、最近塞栓源の原因の一つと して注目されている。症例は51才の男性。以前より心雑音を指摘されるも放置。進行性の息切れを自覚し、うっ血性心不全の診断で入院となる。 経胸壁心エコー図検査にて二尖弁と思われる重症大動脈弁狭窄症、 左室収縮能低下、 左室・ 左房拡大を認めた。3次元経食道心エコー図検査 ( 3DTEE)では前後型の二尖弁に伴う大動脈弁狭窄症が確認され、拡大した左房内のもやもやエコーと左房側の一次中隔断端を認め、ここに 付着する長さ5mmのmassを認めた。LASPに付着した血栓と考え抗凝固療法を開始した。治療2週間後に再度3DTEEをおこなったところmass は消失していた。この間明らかな動脈塞栓症状は出現しなかった。いずれの経食道心エコー図検査でも生理食塩水を攪拌させたコントラスト 製剤を投与するも右-左シャントは認めなかった。LASPに血栓の付着を確認した報告は文献的には我々の調べた限り過去4例であり、3DTEE を施行することで左房側よりLASPに付着したmassをenfaceで観察し得た。LASPの成因等文献的考察を含め報告する。 ― 207 ― P-148 抗凝固療法中に消失を認めた左房内血栓の1例 大元 美子 1、田中 伸明 2、西原 聡志 2、福冨 基城 2、内海 仁志 2、金本 将司 2、中尾 文昭 2、田谷 美恵子 1、真鳥 光弘 1、藤井 崇史 2 1 山口県立総合医療センター 中央検査部、2 山口県立総合医療センター 循環器内科 症例は80歳代男性。既往歴:膜性腎症、陳旧性肺結核。慢性心房細動で近医にてワーファリン投与中であった。左下肢動脈血栓塞栓症にて当 院外科を受診した際、心エコー検査で直径3cm大の左房内血栓を指摘された。同時期に膜性腎症の増悪があり当院泌尿器科へ入院となり、左 房内血栓について循環器内科へコンサルトとなった。ワーファリンは以前3mg/日で効果が出ていたというが、最近増量され7mg/日を内服中 であるのに、PT-INRは1.3と低値であった。病歴を確認したところ、3ヶ月前から他院呼吸器科にて非結核性抗酸菌症の診断でリファンピシン (REF)を含む投薬を開始されていた。当院泌尿器科入院後は前医呼吸器科医の指示でREFを含む抗結核薬は中断したとのことであった。抗結 核薬中断6日めからワーファリンは減量した。同日経食道心エコー検査を行い、前回の経胸壁心エコー検査と同様に直径3cm大の左房内血栓と 著明なモヤモヤエコーを認めた。患者および家族は手術による血栓除去には積極的でなく、左房内血栓の治療としてヘパリン10,000単位/日の 持続点滴を開始した。7日後の心エコーでは左房内血栓は直径約2.7cmと縮小傾向を認めた。ヘパリンは翌日より12,000単位/日へ増量した。14 日目の心エコー再検を予定していたところ、ヘパリン投与開始後12日目にTIAを生じた。14日目に心エコー検査を再検したところ左房内血栓 は消失していた。頭部MRIで後頭葉と脳室周囲に小梗塞を認めたが、明らかな後遺症は認めなかった。左房内血栓が消失し、膜性腎症のコン トロールもつき、左下肢動脈血栓塞栓症の治療のため血管外科へ転科となった。血管外科での治療後はヘパリンを漸減し、ワーファリンによ る抗凝固療法を継続中である。 P-149 心臓腫瘍と鑑別を要した左心耳内巨大血腫の一例 中島 正博 1、黒沢 幸嗣 2、高橋 利絵子 2、北條 義明 1、小池 則匡 3、茂原 淳 3、高橋 徹 3、渥實 潤 4、中野 哲宏 4、清水 公裕 4、 倉林 正彦 2 1 4 深谷赤十字病院 内科、2 群馬大学医学部附属病院 循環器内科、3 群馬大学医学部附属病院 心臓血管外科、 群馬大学医学部附属病院 呼吸器外科 症例は77歳男性。平成20年8月、前医にて僧帽弁逆流、三尖弁逆流、心房細動に対し僧帽弁置換術、三尖弁形成術及びmaze手術を施行した。 平成22年4月、胸部レントゲンで新たな左第3弓の突出あり、胸部CTとMRIで左室基部に6cm大の腫瘤を認めた。精査目的に群馬大学呼吸器外 科に紹介された。 FDG-PET CTでは左室の頭側、肺動脈の左側に腫瘤を認めるも、FDG集積は軽度であり心臓肉腫疑いと診断された。胸部及び冠動脈CTでは 心膜に広其性に接する腫瘤と冠動脈高位側壁枝からの腫瘤に向かう分枝があり、心臓腫瘍の疑いと診断された。経胸壁心エコー図検査では肺 動脈から左心耳の位置に腫瘤性病変を認め、冠動脈からfeeding arteryを疑う血流があり心臓腫瘍も疑われた。経食道心エコー図検査では左心 耳の位置に腫瘤性病変を認め、腫瘤内部は比較的均一だがlow echoic spaceが散在し内部に血流は認めなかった。左心耳内血栓を疑う所見では あるものの、心臓腫瘍も否定できない所見であった。そのため呼吸器外科・心臓血管外科合同で心臓腫瘤摘出術を施行した。腫瘤は被膜を有し、 肺動脈、左房、左心耳に癒着していた。左心耳の一部は強固に癒着しており、左心耳縫縮の際の糸が腫瘤内に入り込んでいる所見を認めた。 左心耳の壁と腫瘍被膜が一塊になっており、一部合併切除の形で腫瘍摘出し、左心耳を再縫合した。病理組織診断では、腫瘤壁の大部分は心 筋で、内部に血腫を形成、腫瘍組織は認めず、左心耳に形成された血腫( 91x62x44mm)の診断であった。心臓腫瘍と鑑別を要した左心耳内 巨大血腫の一例を経験したため報告する。 P-150 僧帽弁形成術後に見られた右房壁内血腫の一例 伊藤 敦彦 1、原田 修 2、田部井 史子 1、吉玉 隆 1、杉下 靖之 1、野崎 彰 1、杉本 恒明 1、川崎 暁生 3、笠原 勝彦 3 1 公立学校共済組合 関東中央病院 循環器内科、2 公立学校共済組合 関東中央病院 臨床検査科、3 公立学校共済組合 関東中央病院 心臓血管外科 症例は73歳の男性で、僧帽弁閉鎖不全(逸脱、心房細動)による心不全にて入院し、僧帽弁 ならびに三尖弁形成術を施行した例である。手術は順調に経過し、人工心肺からの離脱も良 好であった。経過観察目的で術後一週目に心エコーを施行したところ、右房側の心膜液貯留 と右房内に突出する輝度の高い可動性のない辺縁不整の腫瘤像を認めた。右房内血栓が疑わ れたが、経食道心エコー図では、心房中隔や右房壁が連続的に凸凹に肥厚していた。もやも やエコーの所見もなかった。X線CTにても連続した肥厚像から右房壁内血腫と判断した。 使用開始していた抗凝固剤は中止とし、経過観察としたところ腫瘤像は退縮した。術後経胸 壁心エコーで、心房内血栓との鑑別に悩んだ僧帽弁形成術後の心房壁血腫を経験したので報 告する。 ― 208 ― P-151 好酸球性白血病の経過中に可動性良好な心尖部に血栓の出現と消失を認めた1例 石神 弘子 1、伊藤 守 1、妹尾 有夏 1、近藤 規明 1、竹中 真規 2、古澤 健司 2、岩瀬 正嗣 3 1 名古屋第二赤十字病院 医療技術部 生体検査課、2 名古屋第二赤十字病院 循環器内科、3 藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報学科 症例は62歳男性。既往歴;8年前に胆石。主訴は感冒様症状、疲れやすさ。1月下旬、感冒様症状にて近医受診し汎血球減少、好酸球増多を認 めたため当院に血液内科に紹介受診。当院初診時、白血球は14100/ul、好酸球35.6%と著明な好酸球増多をみとめ、Hgb8.4g/dl、血小板10.5万/ ulであった。LDHは511IUと上昇、IgEは240で正常範囲であった。 その後も好酸球増多症が続いたため、3月上旬心エコーが施行された。 LVDd61mmと拡大、EF0.53であった。心尖部の可動性は良好であったが通常の心筋の内層に輝度の上昇を伴う肥厚をみとめ壁在血栓が疑われ たが、血小板減少のため抗凝固治療は行えなかった。その後も好酸球のコントロールはつかなかったが、4月中旬の2回目心エコー検査では左房、 左室の拡大に変化はなかったが心尖部の壁在血栓様所見はかなり縮小した。好酸球増加がさらに進行したため化学療法を施行することになり 入院した。化学療法開始後約3週間での心エコー検査では心尖部の壁在血栓様所見は消失した。本症例では好酸球増多症が持続し抗凝固療法を 施行しなかったにもかかわらず血栓の消失を確認した。壁運動が良好であるにもかかわらず好酸球による心内膜傷害の変化が血栓の生成、消 失をもたらした興味深い症例と考え報告する。 P-152 無冠尖内に巨大血栓を形成し、腫瘍との鑑別が困難であったvalsalva aneurysmの一例 正木 豪 1、西野 雅巳 1、岡本 直高 1、田中 彰博 1、菊池 篤志 1、森 直己 1、中村 大輔 1、李 泰治 1、吉村 貴裕 1、谷池 正行 1、 牧野 信彦 1、加藤 弘康 1、江神 康之 1、習田 龍 1、森田 久樹 2、田内 潤 1、山田 義夫 1、藤田 晋一 3、正木 友二 3、古川 美奈子 3 1 大阪労災病院 循環器内科、2 大阪労災病院 救急部、3 大阪労災病院 心臓超音波室 症例は59歳男性。他院で脊柱管狭窄症手術予定だったが、術前心電図異常にて当院へ紹介。 当院で施行した経胸壁心エコーで、 心室中隔から下壁にかけて壁運動異常を認め、 心房中 隔から大動脈無冠尖辺縁にかけて可動性のない無茎性の26×30mm大のlow echoic massを 認めた。 経食道心エコーではruptured valsalva aneurysmか心臓腫瘍が考えられた(図)。 造影CTおよびMRIでは線維腫などの腫瘍の可能性も否定できなかった。全身検索で明らか な悪性腫瘍は認められず、画像上は腫瘍よりもruptured valsalva aneurysmが疑われ、冠動 脈造影で三枝病変を認めており、左心房への圧排所見も認めたため、冠動脈バイパス術およ び腫瘤核出術施行。術中所見で無冠尖内に巨大血栓が形成を認め、原因はruptured valsalva aneurysmによるものと考えられた。無冠尖内に巨大血栓を形成し、腫瘍との鑑別が困難で あったvalsalva aneurysmの一例を経験し、若干の考察とともに報告する。 P-153 脳梗塞を契機に発見された非細菌性血栓性心内膜炎と考えられた一例 鎌田 康彦、大倉 宏之、今井 孝一郎、緒方 啓人、福原 健三、林 秀行、鼠尾 晋太郎、土谷 哲生、山田 亮太郎、岡橋 典子、尾長谷 喜久子、 根石 陽二、林田 晃寛、川元 隆弘、吉田 清 川崎医科大学附属病院 循環器内科 症例は70歳代男性。近医で膵尾部癌、多発脳梗塞と診断され当院へ精査加療目的で入院した。 多発性脳梗塞の塞栓源精査目的で経胸壁、経食道心エコー図を施行したところ、僧帽弁両尖 (A2、P2)に約5mm大の腫瘤性病変を認めた。僧帽弁逆流は軽度であった。血液培養は陰性 で、 感染性心内膜炎を疑う感染兆候はなく、 悪性腫瘍に合併した非細菌性血栓性心内膜炎、 もしくは乳頭状弾性線維腫と考えた。膵癌の全身転移を伴っていたため、外科治療は行わず 保存的加療を選択した。考察:非細菌性血栓性心内膜炎は悪性腫瘍、自己免疫疾患、汎発性血 管内凝固症候群、慢性感染症などに合併し、血小板やフィブリンを主体とした血栓性疣腫に よって全身塞栓を引き起こすことがある。本例のように、悪性腫瘍に多発性脳梗塞を合併し た例では、例え感染兆候がなくても心エコー図により、疣腫の有無を検索すべきであると考 えられた。 ― 209 ― P-154 三次元心エコー法により術前診断ができたペースメーカーリードの弁尖穿通による重症三尖弁逆流の一例 竹谷 善雄 1、山田 博胤 1、楠瀬 賢哉 1、西尾 進 2、林 修司 1、冨田 紀子 1、玉井 利奈 2、遠藤 桂輔 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2、 佐藤 光代 2、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 症例は、83歳、 女性。2001年、 洞不全症候群のためDDDペースメーカー植込術が 施行された。2010年5月、労作時呼吸困難と顔面浮腫を主訴に近医を受診し、心エ コー検査により重症三尖弁逆流を原因とする右心不全と診断され、精査加療目的で 当科に入院した。入院後の経胸壁および経食道三次元心エコー検査により、ペース メーカーリードが三尖弁前尖を穿通し弁尖の可動制限を来していることで重症三尖 弁逆流が生じていることが判明した。内科的治療により症状は改善したが、三尖弁 逆流は軽減しないため、ペースメーカーリード抜去と三尖弁形成術による治療が選 択された。術中所見で、リードは三尖弁前尖のほぼ中央部を貫通しており、三次元 心エコー法の術前診断と合致していた。ペースメーカーリードが機械的に三尖弁の 可動性を制限することで三尖弁逆流を生じることが知られている。しかしながら、 原因が弁尖の穿通であることは非常にまれである。ペースメーカーリードにより生 じた重症三尖弁逆流の診断に三次元心エコー法が有用であったので報告する。 P-155 CRT-D植込み後のフォローアップに2Dスペックルトラッキングエコー及び心電図同期心筋血流SPECTが有用 であった1例 矢作 和之 1、中島 啓喜 1、塩川 則子 2、萩原 千秋 2、高木 秀祐 2、阿佐美 匡彦 1、渡部 美佳 1、橋本 拓弥 1、原 弘典 1、李 政哲 1、 大塚 龍彦 1、中島 祥文 1、岸 智 1、谷脇 正哲 1、谷地 繊 1、谷本 周三 1、青木 二郎 1、田辺 健吾 1、遠田 栄一 2、原 和弘 1 1 社会福祉法人 三井記念病院 循環器内科、2 社会福祉法人 三井記念病院 検査部 症例は76歳男性。2000年に虚血性心疾患に対してPCI施行し当院通院中であった。2009年頃から心不全入院を繰り返すようになった。NYHA3 度で、心電図は完全左脚ブロック、QRS 195msと心室内伝導障害を認めた。心エコーではdyssynchronyを認め、EF 35%(Simpson法)であっ た。2009年8月27日CRT-D植込み術を施行し、術前・術後6・12ヶ月後に2Dスペックルトラッキングエコーと心電図同期心筋SPECTを施行した。 心電図同期心筋SPECTはQGS自動解析ソフトウェアを用いて左室のdyssynchronyを定量評価した。2Dスペックルトラッキングエコーでは心 室中隔-後壁の遅延(radial strain)が術前・術後6・12ヶ月後で227、44、22msと改善した。また、左室短軸( 6segment)でのtime to peaksystolic strainの標準偏差も106、33、58msと改善した。 心電図同期心筋SPECTでも術前・ 術後6・12ヶ月後のQGS自動解析ソフトウェアの Phase Analysisにおいて左室全体のSDev(標準偏差)が56、36、22degreeと改善した。CRT-D植込み後の6・12か月フォローで2Dスペックル トラッキングエコー、心電図同期心筋血流SPECT共にdyssynchonyの改善を示した。Responder(CRT-D植込みによってNYHA心機能分類で1 クラス以上の改善を認めた症例) において2Dスペックルトラッキングエコーと心電図同期心筋SPECTが共にdyssynchonyの有効な評価法と なった1例を経験したので報告する。 P-156 心エコー・ドプラ法による左室流入血流速波形と肺静脈血流速波形を用いた至適AV delayの設定 福原 健三、林田 晃寛、緒方 啓人、比嘉 冨貴、鎌田 康彦、林 秀行、鼠尾 晋太郎、土谷 哲生、根石 陽二、川元 隆弘、大倉 宏之、 吉田 清 川崎医科大学附属病院 循環器内科 【背景】心室ペーシング例における至適AV delayの設定には経胸壁心エコー図検査(TTE)の左室流入血流速波形(LVIF)が一般的に用いら れているが、 肺静脈血流速波形(PVF) を併用する事で至適AV delayの設定が可能かもしれない。【目的】 ペースメーカ留置例における、 LVIFとPVFを用いた至適AV delay設定法の実行可能性と有用性を検討すること。【方法】心室ペースメーカ植え込み術を施行した10例(DDD 4例、VDD 6例)で検討した。本法で設定した至適AV delay時の、一回拍出量(SV)をその前後(±50msec)のAV delayで設定した時のSV を比較した。 【結果】本法を用いたAV delayの設定はすべての症例で可能であった。至適AV delayの平均値はDDD例で188±46 msec、VDD 例で120±28 msecであった。SVは全例で本法による至適AV delay設定時に最大となったが、統計学的には他のAV delay時との間に有意差は 認めなかった。【結語】TTEのLVIFとPVFを用いた至適AV delayの設定は、実行可能であった。その有用性については、さらなる多数例での 検討が必要と考えられた。 ― 210 ― P-157 肺血管拡張薬の使い分けに心エコー図法が有用であったPH crisisを伴う先天性心疾患術後の一成人例 堀端 洋子、村上 智明、白井 丈晶、立野 滋、川副 泰隆、森島 宏子、丹羽 公一郎 千葉県循環器病センター 成人先天性心疾患診療部・小児科 症例は23歳男性。40W 2414gで出生。生後11日目にファロー四徴症・肺動脈閉鎖・主要体肺動脈側副血行路と診断された。3歳時にA病院で右 uniforcalization(UF)+Blalock-Taussig短絡手術(BTS)、11歳時に当院で左UF+BTS、12歳時にpalliative Rastelli術を施行したが、右心不全 症状が強く約2週間後にVSD拡大+ 肺動脈絞扼術を施行した。同年に肺動脈分岐部狭窄に対してバルーン拡張術を施行後にVSD closure+肺動 脈絞扼解除術を施行した。術後肺高血圧(PH)を認め、肺血管拡張薬を投与した。今回胃腸炎から心房頻拍が出現。胸水・腹水貯留を認め緊 急入院となった。心エコー図検査(TTE)で推定肺動脈収縮期圧(ePAp)68mmHgであった。利尿薬内服+静注で対応したが、下肢の浮腫、 胸水貯留の改善は認めず人工呼吸管理を開始した。この時ePAp>体血圧であり、PH crisisと診断した。NO吸入を20ppmから投与し、CHDF を開始した。2日後から自尿を認め、4日目にCHDFから離脱した。注射薬であるPGI2を2ng/kg/minから開始し、NOを漸減した。その後NOを 4ppmにするとePApが上昇し心拍出量が低下するため、PGI2を6ng/kg/minまで増量、8日目にNOから離脱、12日目に抜管した。その後ボセン タンを開始・漸増、PGI2を漸減し、28日目に中止した。最終的にボセンタン250mg内服で、ePAp 78mmHg、CI 2.1L/min/m2となり、自宅退 院となった。現在肺動脈性肺高血圧の治療には3系統の機序の異なる薬剤がある。本例では投与経路の違いから別系統の薬剤への変更を余儀な くされたため、それぞれの効果を判定するためTTEを用いて血行動態(ePAp、心拍出量)を評価し、安全に薬剤を変更することが可能であっ た。 P-158 経胸壁ドプラ心エコーが診断に有用であった左冠動脈起始異常を伴う労作性狭心症の1例 永尾 彰子 1、齋藤 実 2、和氣 大輔 1、河内 好子 1、檜垣 里江子 1、西尾 静子 1、森岡 弘恵 2、佐々木 康浩 2、吉井 豊史 2、日浅 豪 2、 住元 巧 2 1 喜多医師会病院 生理検査室、2 喜多医師会病院 循環器内科 症例は60代の男性。3ヶ月前から労作時の胸痛を認め、その精査目的で当科を受診した。外来で心エコーを 施行したところ、壁運動異常及び有意な弁膜症は認められなかったが、左室短軸断面の大動脈レベルで右冠 動脈洞から分枝し、 大動脈と左房の間を走行する異常なモザイク血流を認めた。ATP負荷心筋シンチグラ フィーでも前壁領域に、軽度の再分布像及び洗い出し率の低下を認めたことから後日、心臓カテーテル検査 を施行した。左冠動脈は右冠動脈洞から起始し、左主幹部の屈曲部に50%狭窄を認めた。プレッシャーワイ ヤーで計測されたFFRは0.75であった。また心臓CTでは左冠動脈が右冠動脈洞から起始し、大動脈と左房 の間を走行し、同部に狭窄を認めている像が明瞭に観察できた。今回我々は、経胸壁ドプラ心エコーにより 冠動脈起始異常及び同部の狭窄が事前に示唆された左冠動脈起始異常の1例を経験したので報告する。 P-159 Postconditioningによる治療効果を心エコーで観察しえた急性心筋梗塞の一例 島田 恵 1、小山 卓史 3、馬場 彰泰 1、小杉 理恵 1、小平 まさみ 2、中嶋 純子 2、山田 洋子 2、木村 さゆり 2、高橋 路子 1、赤石 誠 1 1 北里大学北里研究所病院循環器内科、2 北里大学北里研究所病院診療技術部臨床検査科、3 永寿総合病院循環器内科 虚血後再灌流時に短時間虚血を繰り返すことで心筋保護を来たすpostconditioningが近年注目されている。我々は急性心筋梗塞で本治療が奏功 し、心エコー図検査で経過を観察しえた症例を経験したので報告する。症例は67歳男性。朝より持続する胸痛発作のため当院受診、胸部誘導 で著明なST上昇を認め、 急性前壁中隔梗塞の診断で緊急心臓カテーテル検査を行った。 冠動脈造影では左前下行枝#6の完全閉塞を認めた。 同部位に対してPCI治療を行うためガイドワイヤーを通過させ、血栓吸引療法を施行、TIMI3の良好な血流回復を認めたが、胸痛の増悪と心電 図上ST上昇が顕著になった。虚血再灌流傷害が生じたと判断し、バルーンを挿入してpostconditioning治療を開始、バルーン拡張術による冠動 脈閉塞、解除を30秒毎に計5回施行した。胸痛は軽減し、ST上昇の程度も改善、血行動態の悪化もなく、病変にステント留置術を施行して終 了した。カテーテル治療後の心電図ではST resolutionは47.5%まで軽減したが、心エコー図検査では壁運動スコア指数2.5点、左室駆出率35% であった。CPKピーク値は11049 IU/l(MB756)であった。1週間以内に施行したエコーでは駆出率32%で、スペックルトラッキング法では壁 運動異常に伴ったdyssynchronyが顕著だったが、入院15日目に施行したエコーでは駆出率48%で、壁運動異常によるdyssynchronyも軽快した。 なお、経過中カテコラミン製剤、利尿剤は適宜使用したが、心不全合併はなく経過良好だった。以上より、本例ではpostconditioningは虚血再 灌流傷害を軽減し、左室リモデリングを抑制した可能性が考えられた。Post conditioningは、緊急カテーテル治療の有用な方法になりうる。 ― 211 ― P-160 弁輪周囲膿瘍に膜様中隔瘤を合併した症例 竹中 理紗、田代 英樹、柿野 貴盛、安永 弘、赤須 晃治、財満 康之 聖マリア病院 症例73歳男性。X年3月頃より労作時呼吸苦が出現し、6月頃より症状増悪、精査にて高度大動脈弁狭窄(AS)を認めたため、大動脈弁置換術(AVR) を施行する予定であった。7月22日より発熱、左足関節痛が出現し、足関節炎に起因した所見と考え、CEZ投与を開始したが改善なく、血液培 養からEnterococcus faecalisが検出、腹部造影CT所見より、急性腎盂腎炎を起因とした敗血症が考えられた。感染性心内膜炎(IE)の危険性 を考え、LDZ投与を開始し、定期的に経胸壁エコー(TTE)を施行したところ、大動脈弁閉鎖不全(AR)の進行が認められた。IEによる大 動脈弁破壊を考え、経食道エコー(TEE)を施行。膜様中隔から右房壁にかけて径8mm大のMassを認めた。ARは左冠尖(LCC)付近から流出、 弁輪破壊像、弁周囲に異常エコーを認めた。IE、および弁輪部膿瘍と診断し、LDZ投与にて治療を行うも、発熱と炎症反応に改善なく、感染 コントロール不良のIEと考え、AVRを施行した。術中、無冠尖(NCC)は弁輪から脱落、LCCとNCCから左室流出路には連続性が欠如し、弁 輪部膿瘍を形成、膜様中隔壁から右心房壁には膜様中隔瘤を形成し、内部は血液であった。膜様中隔瘤は弁輪部膿瘍内に血液が入り込み、左 負荷により形成されたと考えられた。IEと膜様中隔瘤の関連性は以前より考えられているが、はっきりと関連していることが確認されるもの は極めて珍しいため、ここに報告する。 P-161 リアルタイム3次元経食道心エコーガイド下に経皮的僧帽弁交連切開術を行った僧帽弁狭窄症の1例 高島 啓 1、山田 博胤 1、楠瀬 賢也 1、西尾 進 2、冨田 紀子 1、林 修司 1、玉井 利奈 1、遠藤 桂輔 2、竹谷 善雄 1、佐藤 光代 2、 平岡 葉月 2、三木 淳子 2、添木 武 1、佐田 政隆 1 1 徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 超音波センター 症例は59歳の女性。1999年に近医で弁膜症を指摘されたが、 症状なく経過観察されていた。 2009年、当院に紹介され、心エコー検査で中等度の僧帽弁狭窄(僧帽弁口面積1.2cm2)と診断 された。 症状に乏しいため半年に1回の心エコー検査で経過観察されていた。2010年の定期検 査時に労作時呼吸苦を認めたため、ループ利尿薬が投与された。しかしながら、動悸が出現し、 心エコー上も僧帽弁口面積の狭小化、心房の拡大を認め、治療方針を決定するため心臓カテー テル検査が施行された。その結果、Gorlinの式で僧帽弁口面積が1.25cm2、平均左室-左房圧較差 は8mmHg、僧帽弁逆流は1-2/4度であった。これらより、経皮的僧帽弁交連切開術の適応と判 断され、2010年12月に同術が施行された。術中にリアルタイム3次元経食道心エコー法を併用 し、 バルーンと弁の位置を確認しながら手技を行い、 合併症なく治療を終えることができた。 術後、 僧帽弁口面積は1.1cm2から1.9cm2に増大し、 心雑音の改善と動悸の消失が認められた。 経皮的僧帽弁交連切開術に際して3次元経食道心エコー法が有用であったので報告する。 P-162 短期間に僧帽弁に腫瘤形成をきたし消失した一例 畠山 裕志 1、氏原 好恵 1、佐藤 千佳子 1、富田 純子 2、小野 彰範 2、新谷 憲治 2 1 笠岡市立市民病院 臨床検査科、2 笠岡市立市民病院 内科 【症例】87歳、女性。【現病歴】高血圧、慢性心不全で外来フォローアップ中。平成22年 9月フォローのための経胸壁心エコーにて僧帽弁弁下後尖側に可動性を有する腫瘤性病 変を認め、 粘液腫が疑われたため精査加療目的で入院。 約1年前の同検査では弁輪の石 灰化は認められるが腫瘤形成はみられなかった。9月14日経食道心エコーを施行したと ころ弁輪の石灰化のみで腫瘤性病変は認められなかった。再度、経胸壁心エコーでも腫 瘤性病変は確認できなかった。【結語】 短期間に僧帽弁に腫瘤形成をきたし消失した症 例を経験したので報告する。 ― 212 ― P-163 心電図異常を契機に発見された右室内腫瘍の一症例 伊波 秀、豊田 茂、上原 大輔、西 悠、大谷 直由、天野 裕久、有川 拓男、井上 晃男 獨協医科大学病院 心臓・血管内科 症例は66歳男性。特に自覚症状なかったが、健診の心電図で異常を指摘され他院を受診。経胸壁心臓超音波検査にて右室内に腫瘍を認めたため、 当院紹介、2010年12月9日精査目的に入院となった。経胸壁心臓超音波検査にて右室中部自由壁、右室心尖部にいずれも20×30mm大、エコー 輝度が高く、辺縁がスムースで、可動性に乏しい腫瘍を2個認めた。心臓MRIでは、腫瘍は右室心筋内から発生し、ガドリニウムで造影された ため血管肉腫が疑われた。右冠動脈造影にて腫瘍が造影され、同時に生検も行った。心臓血管肉腫は初期診断が困難で診断された時点で転移 があることも多く、予後不良であることから、12月25日退院後に行ったPET、生検の結果を含め治療方針を決定する予定であり、経過につい ては当日会場で報告する。 P-164 僧帽弁逸脱症における僧帽弁逸脱容積およびtenting容積の和は僧帽弁逆流の有効逆流弁口を反映する:3D経 食道エコーを用いた検討 植屋 奈美 1、湯浅 敏則 1、堀添 善尚 1、茶圓 秀人 1、河野 美穂子 1、窪田 佳代子 1、水上 尚子 2、桑原 栄嗣 1、高崎 州亜 1、木佐貫 彰 1、 濱崎 秀一 1、鄭 忠和 1 1 鹿児島大学病院心臓血管内科、2 鹿児島大学病院臨床検査部 背景:我々は3D経食道エコーを用いて計測された僧帽弁の逸脱容積とtenting容積の和が2Dエコーで得 られた僧帽弁逆流率と相関することを報告した。 近年、 カラードプラ3Dエコーにて計測されたVena contracta area(VCA)は有効逆流弁口面積(EROA)を直接反映し得る新たな定量評価法であると報 告されている。今回VCAと僧帽弁の逸脱およびtentingとの関連を評価した。 方法:中等度以上の僧帽弁逆流を有する僧帽弁逸脱症患者29例に対し、3D経食道エコーを行い、QLABMVQを用いて僧帽弁の逸脱容積とtenting容積を計測した。 カラードプラ3D経食道エコーにて僧帽弁 逆流のVena contracta areaを計測し、僧帽弁の逸脱およびtenting容積との関連を検討した。 結果:VCAは僧帽弁逸脱容積とは相関を認めなかったが、僧帽弁のtenting容積とは良好な相関を認め (r=0.63, p<0.0005)、さらに僧帽弁の逸脱容積+tenting容積の和とはさらに良好な相関を認めた(r=0.72, P<0.0001) 結論:僧帽弁逸脱症における有効逆流弁口面積は僧帽弁逸脱およびtenting双方の影響を受けることが 示唆された。 P-165 リアルタイム3D心エコー図法と2D心エコー図法による左室容量・駆出率の比較検討 東 香里 1、佐久間 葉子 1、服部 加奈子 1、新沼 廣幸 2、水野 篤 2、大出 幸子 3、武田 京子 1 1 聖路加国際病院 臨床検査科、2 聖路加国際病院 循環器内科、3 聖路加国際病院 臨床疫学センター 背景:左室収縮能の評価法として日常臨床では断層像によるModified Simpson法が用いられている。しかし、真の心尖部が描出不可能な場合な ど測定値に誤差が生じる。 目的: Modified Simpson法と1心拍画像収集による3D心エコー図法で左心室測定値を比較しその有用性を検討した。 対象:2010年10月から11月に心エコー図検査を施行し、画像記録が良好であった30例(男性16例、平均68±15歳)を対象とした。 方法:(1)Modified Simpson法と3D心エコー図法に手技的補正を加えた半自動解析法で測定した左室拡張期容量(EDV)、左室収縮期容量(ESV)、 左室駆出率(LVEF)についてspearmanの相関係数およびBland Altman法を用いて検定を行った。(2)3D心エコー図法の自動解析測定値と半 自動解析による測定値およびModified Simpson法との比較検討を行った。 結果:(1)EDV(R=0.88, p<0.01)、ESV(R=0.91, p<0.01)、EF(R=0.66, p<0.01)。(2)3D自動解析法と半自動解析法ではEDV(R=0.72, p<.001)、 ESV(R=0.66, p<.001)、EF(R=0.77, p<.001) 、3D自動解析法とModified Simpson法ではEDV(R=0.64, <.001)、ESV(R=0.56, p<.001)、 EF(R=0.42, p<.001)。 結語:3D心エコー図法での自動解析より求めた駆出率はModified Simpson法および半自動解析法と比し、過小傾向であった。 ― 213 ― P-166 3D心エコーでの心機能評価の妥当性と方法論 水野 篤 1、新沼 廣幸 1、石山 光富 2、東 香里 3 1 聖路加国際病院 ハートセンター、2 聖路加国際病院 放射線科、3 聖路加国際病院 臨床検査科 生理機能検査室 【目的】3D心エコー装置が臨床使用され3D心エコー図( 3DTTE)検査は心臓弁膜症評価などに用いられている。しかし、従来の装置では3D 画像構成に数心拍を必要としていた。今回、1心拍で3D画像収集を可能としたSC2000(Siemens社製)について、心機能評価の方法とその正 確性についての報告は少ない。【方法】2010年10月より、3DTTEと心臓磁気共鳴画像(CMR) もしくは心電図同期SPECT(Quantitative gated single-photon emissioncomputed tomography: QGS)を同検査直後に施行された正常ボランティア8名を対象とした。これらの症例で、 それぞれの画像診断法から左室駆出率(LVEF) 、左室拡張末期容積(LVEDV)、左室収縮末期容積(LVESV)を求め、ノンパラメトリック のspearmanの相関係数を用い比較検討した。3DTTEでは左室容量解析の際、自動測定に用手的補正を加えて半定量的測定を行った。【結果】 8名(男性7名、女性1名、年齢52.9±18歳)について、3DTTE, CMR, QGSを用いて心機能解析を行った。それぞれの画像診断法によるLVEF は3DTTE; 55.3±11.4%、CMR; 43.8±8.2%、QGS; 55.2±7.8%であり、それぞれの相関については、3DTTEとCMR; r= 0.8, p=0.2, 3DTTEと QGS; r= 0.68, p=0.22と有意な相関を認めなかった。さらに、LVEDVとLVESVでも有意な相関を認めなかった。【考察】1心拍3DTTEでの左室 容量評価では正確な評価のためには、心尖部からの画像描出法の改善、画像解析の自動測定および用手的補正の手法の十分な知識が必要であり、 今回の研究以前に施行した1心拍3DTTE,CMRとQGSを研究目的でなく撮影した42例での1心拍3DTTEとの左室容量における比較検討と合わせ て報告する。 P-167 発作性心房細動患者における左房機能特性-3D スペックルトラッキング法を用いた検討- 古川 敦子 1、干場 裕子 2、宮坂 千鶴 2、佐藤 洋 2、山中 あすか 1、間木野 泰祥 1、片岡 一明 1、石井 克尚 1 1 関西電力病院 循環器内科、2 関西電力病院 臨床検査部 【背景】心房細動の発症には慢性的な左房圧の上昇が関係することが知られ、左室流入血流速波形の E 波と拡張早期僧帽弁輪速度 e’ の比であ る E/e’ は左房圧の推定指標として用いられている。【目的】発作性心房細動(PAF)における左房機能特性を 3D スペックルトラッキング法 で評価する。【方法】対象は正常左室収縮能を有する PAF 患者 9 例( 63 ± 9 歳)と器質的心疾患のない若年対照群 9 例( 34 ± 7 歳)。通常 の 2D 心エコー図で左室心筋重量係数(LVMI)、左室拡張末期および収縮末期径(LVDd, LVDs)、左室駆出率(LVEF)、ドプラ法による E/e’ を計測した。次に 3D 心エコー図で左房の拡大画像を記録したのちに左房内膜をトレースし、3D スペックルトラッキング法を用いて最大左房 容積係数(LAVI)、 左房駆出率(LAEF) を計測した。 更に左房16分画の area strain カーブを作成し、 各分画の平均値より描いた global strain カーブの最大値を peak global strain 値として計測した。【結果】PAF 群と対照群の間で心拍数、LVMI, LVDd, LVDs, LVEF に有意差 は認められなかった。E/e’ は PAF 群で高値であった(p = 0.002)。LAVI は PAF 群で高値で(p < 0.0001)、LAEF は低値であった(p = 0.0003)。 peak global strain 値は PAF 群で低値であった(p = 0.03)。LAVI, LAEF は E/e’ と相関し(R = 0.52, R = 0.63)、peak global strain 値も E/e’ と相関した(R = 0.41)。【結論】3D スペックルトラッキング法を用いた左房コンプライアンスの評価が、発作性心房細動の予測因子として有 用である可能性が示唆された。 P-168 左心房ストレイン評価における2Dと3Dスペックルトラッキング法の比較 有吉 亨 1、村田 和也 1、和田 靖明 2、奥田 真一 2、大下 千景 2、内田 耕資 2、岸田 由香里 1、原田 典子 1、田中 智子 1、日野田 裕治 1、 松崎 益徳 2 1 山口大学 医学部附属病院 検査部、2 山口大学大学院 医学系研究科 器官病態内科学 背景: 近年、3Dスペックルトラッキング(3D-T) による左房(LA) のglobal longitudinal strain(GLS)解析が可能となったが、2D スペックルトラッキング法 (2D-T)を用いたLAのlongitudinal strain(LS)計測値との関係は明らかではない。 方法:健常者22例を対象とし、3DによるLAのボリュームデータを得た(東芝社 製Artida)。3D-TにてLAを16セグメント(Base 6, Mid 6, Roof 4)に分割し、各 セグメントでのLS(3D-LS)とGLS(3D-GLS)を算出した。2D-Tで心尖2腔像(2C)、 4腔像( 4C)でのLS(LS-2C, LS-4C)とその平均値(LS-Av)を測定し、3D-GLS での値と比較した。また各セグメントでの3D-LSを比較した。結果:3D-GLS と LS-2C, LS-4C, LS-Avとは良好な相関がみられたが3D-GLSでの測定値は2D-Tより も低値であった(図)。3D-LSはRoof領域のセグメント間での値の差が顕著であっ た。結論: LAのセグメント間の測定値差の存在により、LA全体のLS を反映す る3D-GLSでは2D-Tによる計測よりも低値であると思われた。 ― 214 ― P-169 急性期脳梗塞患者における左房機能の評価:組織ドプラ法による検討 星 詠子 1、野澤 幸永 2、佐藤 晶子 1、逆井 拓也 1、岡 真琴 1、片山 晴美 1、佐藤 賢哉 1、湯田 聡 3、西宮 孝敏 2 1 旭川赤十字病院 検査部、2 旭川赤十字病院 循環器内科、3 札幌医科大学 臨床検査医学講座 【目的】急性期脳梗塞(ACI)患者の左房機能障害の有無を、組織ドプラ法にて発症機序別に検討した。【方法】PAFを確認できたACI群32例(PAF 群)、 梗塞部位に一致する血管の狭窄を認めたACI群58例(狭窄群)、 画像診断的に血栓塞栓症が疑わしいが、PAFや心疾患を認めなかった ACI群58例(塞栓疑い群)、年齢を一致させた健常群78例(N群)を対象とし、左房容積係数(LAVI)、側壁の心房収縮期波高(A’)を求め、 心電図のP波の立ち上がりからA’の立ち上がりまでの時間(P-A’時間)を計測した。【結果】N群に比べ、ACI全体群はLAVI、P-A’時間は高値、 A’は低値を示した。4群間の比較では、LAVIはN群、狭窄群に比べ、塞栓疑い群、PAF群で有意に高値であり、A’はN群に比べ、ACIの3群は いずれも低値を示した。P-A’時間は、N群( 65ms)に比べ、狭窄群( 70ms)、塞栓疑い群( 82ms)、PAF群( 88ms)で有意に延長を認めた。 また狭窄群に比べ、PAF群は、高齢で、LAVI、P-A’時間が高値、A’が低値を示した。多重ロジステック解析では、P-A’時間(p<0.001、odds 比1.1)が、PAF群と狭窄群を鑑別する独立因子として選択された。ROC曲線より、P-A’時間>80msを閾値とした場合、感度69%、特異度79% でPAF群と狭窄群の鑑別が可能であった。塞栓疑い群の30例( 52%)で、P-A’時間の延長(>80ms)を認めた。【結論】ACI患者はいずれの群 でも、左房機能障害を認めた。P-A’時間は、PAF群と狭窄群の鑑別に最も有用であり、塞栓疑い群の52%にP-A’時間の延長を認めた。このこ とからPAFが確認できなくともP-A’時間が延長し、画像上心原性塞栓が疑わしいACI例では、積極的な抗凝固療法の導入を考慮すべきと考え られた。 P-170 Left Atrial Appendage Flow Velocity and Global Left Atrial Function in Patients with Atrial Fibrillation 鶴田 ひかる、岩永 史郎、安田 理紗子、団 真紀子、冨山 久美子、羽鳥 泰子、岡本 明美、近藤 麻紀子、篠原 純子、岩尾 舞、鈴木 恵子、 西山 信大、三好 俊一郎、村田 光繁、高月 誠司、福田 恵一 慶應義塾大学病院循環器内科 Background: Current risk schemes have limited overall ability to predict thromboembolism in AF. Meanwhile, reduced left atrial appendage flow velocity(LAAV)is associated with LAA thrombosis. We examined whether LAAV would correlate with LA function, including LA wall strain. Methods: We performed transthoracic and transesophageal echocardiography in 31 AF patients(average CHADS2 score of 0.7).LA volume was measured using Simpson’s method. The LA expansion index(LAEi)was calculated as(maximal-minimal LA volume)/minimal LA volume x 100%. Global LA wall strain(S-LAs)was measured by speckle tracking imaging. Results: LAAV showed significant correlation with LAEi and S-LAs(r=0.72, p<0.001 and r=0.61, p<0.001).Patients with LAAV<25 cm/s showed significantly reduced LAEi and S-LAs compared to those with ≧25 cm/s( 26.4% vs 54.0%, p<0.01, and 9.9% vs 15.1%, p<0.001).When patients with low CHADS2 score( 0,1)were analyzed separately, those with lower LAEi(<36%)demonstrated significantly reduced LAAV compared to those with preserved LAEi(26 cm/s vs 51 cm/s, p=0.02). Conclusion: LAAV was associated with the parameters of LA reservoir function in AF. In subgroup of patients with low CHADS2 score, stratification by LA function was associated with reduced LAAV, and this parameter might be useful for further risk stratification in patients with AF. P-171 EFの保たれた心不全における左房機能の評価:僧帽弁輪部心房収縮速度波からの検討 大平 芳行 1、林 英宰 2、川野 成夫 2、南森 秀行 2、竹内 元康 2、三嶋 正芳 2 1 河内総合病院 臨床検査部、2 河内総合病院 心臓センター内科 【背景】EFの保たれた心不全(HF-PEF)の病態は必ずしも明らかではない。一方、組織ドプラ法から得られた僧帽弁輪部心房収縮速度波(A’) が左房機能を反映すると報告されている。 【目的】HF-PEFで左房収縮能が保たれているかをA’から検討し、左室拡張能との関係を評価した。 【方 法】対象は急性うっ血心不全で入院した255例。入院時EFが45%以上で、その後外来で6ヶ月以上安定しているものをHF-PEF群(n=33)とした。 心症状のない左室駆出率が45%以上の高血圧患者連続30例をコントロール群とした。慢性期にA’、左房径、E/E’、血清BNP値を測定した。【成 績】コントロール群に比しHF-PEF群で、A’は低値を示し、左房径、E/E’、BNPは高値を示した。(A’: 7.4±2.1 vs.8.5±1.8 cm/s, p<0.05 ; 左房径: 41.9±4.8 vs.38.2±5.2 mm, p<0.05 ; E/E’: 14.4±4.1 vs.10.9±2.0, p<0.01; BNP: 209±120 vs. 31±5 pg/mL, p<0.01)。A’が6.0 cm/s以下の有意低 下例はコントロール群では1例(3.3%)しかなかったのに比し、HF-PEF群では9例(27.3%)あった。A’とE/E’の間には有意な負の相関を認め た(p<0.001)。【結論】HF-PEF群では、左室拡張能の低下に伴う左室充満圧の上昇により、左房機能も低下する。このことがA’の低下により 推論された。 ― 215 ― P-172 心不全徴候を認めない左房容積の上昇について 尾形 剛、篠崎 毅、但木 壮一郎、木村 義隆、田丸 貴規、山口 展寛、尾上 紀子、田中 光昭、石塚 豪 国立病院機構 仙台医療センター 循環器科 【背景】左房容積は、左室拡張機能障害の重症度と罹患期間に応じて拡大する。しかし、左室形態と機能が正常な症例における左房拡大の意義 は不明である。【方法】洞調律においてNT-BNPを計測し、biplane Simpson法を用いて左房容積の測定を行った連続104例の中から以下の全て の条件に合致する症例の特徴を検討した。1)器質的心疾患がない、2)慢性心不全症状がない、3)慢性心不全急性増悪入院の既往がない、4) Bモード像における左室計測値が正常、5)急速充満期の心室中隔側僧帽弁輪速度≧8または側壁側僧帽弁輪速度≧10、6)急速充満期左室流 入速度に対する心室中隔側僧帽弁輪速度の比(E/e') <15、7) 下大静脈径から推定した右房圧<10 mmHg、8)NT-BNP<200 pg/ml、9) eGFR>60 ml/min/1.73m2、10)心拍数>50 bpm。【結果】4症例(年齢 69 ± 7.2才、男性:1例、女性:3例)が上記の条件に合致した。左房 容積係数=44±5.5 ml/m2、NT-BNP=118±45.44 pg/ml、eGFR=73±5.3 ml/min/1.73m2、e/e'=9.9±3.3、心拍数 57±5.1 bpmであった。高 血圧の既往が4例全てで認められたが、収縮期血圧131±11 mmHg、拡張期血圧80±13 mmHgと良好に血圧はコントロールされおり、全例に 左室肥大を認めなかった。発作性心房細動を2例に認めた。【結論】左室の形態や機能が正常であっても、左房拡大を呈する症例が存在する。 P-173 Bosentan投与は肺動脈性肺高血圧例の左室機能を改善するか? 古山 輝將、大倉 宏之、玉田 智子、斎藤 顕、今井 孝一郎、宮本 欣則、岡橋 典子、尾長谷 喜久子、林田 晃寛、根石 陽二、川元 隆弘、 吉田 清 川崎医科大学附属病院 循環器内科 【背景】Bosentan投与により肺高血圧だけでなく、左室機能が改善することが報告されている。【目的】肺動脈性肺高血圧例に対するBosentan 投与が、左室機能に及ぼす影響につき明らかにすること。【対象】Bosentan投与を受けた、肺動脈性肺高血圧例10例。男性4例、女性6例、平均 年齢59.4歳。基礎疾患は、原発性肺高血圧3例、慢性肺血栓塞栓症1例、膠原病に伴う肺高血圧例6例であった。【方法】Bosentan投与前と投与 後(平均5.1ヶ月後)に心エコー図検査を施行し、推定肺動脈収縮期圧(PAP)、左室流入血流速波形のE、A、E/A、Eの減衰時間(DcT)、左 室収縮末期容積(LVEDV)、 左室拡張末期容積(LVESV)、 左室駆出率(EF)、 左房径(LAD)、 右室径(RVD) を計測した。【結果】 Bosentan投与(平均106 mg/day)後PAPは有意に低下した(P=0.02)。E、A、E/A、DcT、LVEDV、LVESV、RVDには有意な変化は見ら れなかったが、EFは有意に上昇した(P=0.04)。【結語】肺動脈性肺高血圧例に対するBosentanにより、肺高血圧の改善のみならず左室収縮能 の改善も得られた。 P-174 シロスタゾールの心機能への影響について 藤原 理佐子 1、鬼平 聡 2、伊藤 宏 3 1 3 地方独立行政法人 秋田県立病院機構 秋田県立脳血管研究センター 循環器内科、2 きびら内科クリニック、 秋田大学大学院 循環器内科学、呼吸器内科学 【目的】脳梗塞の2次予防にシロスタゾールの有用性が証明され、脳梗塞発症症例においてシロスタゾールの処方が増えてきたが、シロスタゾー ルによると見られる所見が経胸壁心エコーで散見されるようになってきた。そこで、心拍数増加と併せて心エコーでの所見への影響を検討した。 【方法】2010年1年間にシロスタゾールを内服し、経胸壁心エコーを施行しえた102例において、心拍数(以下HR)、心駆出率(以下EF)、過収 縮の有無、収縮期左室内圧上昇の有無等を検討した。【結果】検査時HRは平均74±12/分、EF:0.685±0.092、102例のうちHR83/分以上は24例 (23.5%)で、EF:0.75以上は25例(24.5%)にみられた。また、14例(13.6%)で左室内加速血流が1m/s以上計測され、10例(9.8%)に過収縮、 34例( 33.3%)に収縮期の内腔閉塞が見られた。左室内加速血流は1.25~3.6m/sであった。解析可能な89例での多変量解析では、左室内加速に は年齢、性別(女性)、HR上昇が関連していた(p<0.05)。1症例では、シロスタゾール継続で動悸及び呼吸促拍の自覚があり、最大3.6m/s、 51.8mmHgと上昇があり、内服中止と共に症状が改善し左室内血流は1.2m/sにまで減少した。 【結論】シロスタゾール内服の循環器系副作用には、 心拍数の増加、増加に伴う虚血性変化の誘発が明記されているが、経胸壁心エコー上での左室内血流速度上昇による心負荷も起きうる事が判 明し、シロスタゾール内服中は心エコーでの左室内血流速度の上昇の有無や経過観察が必要であると考えられた。 ― 216 ― P-175 Strain imaging法によるドブタミン負荷時の心筋虚血・収縮予備能評価 宮田 聖子 1、野田 明子 1、平敷 安希博 2、大島 覚 2、奥村 貴裕 2、室原 豊明 2 1 中部大学 生命健康科学部 生命医科学科、2 名古屋大学大学院 医学系研究科 循環器内科学 【目的】ドブタミン負荷心エコー法は、心筋虚血の診断に広く用いられている。Strain imaging法により、局所心筋壁運動評価が可能である。 今回、ドブタミン負荷による心筋虚血・収縮予備能評価におけるStrain imaging法の有用性について検討した。 【方法】対象は、左室駆出率(LVEF)<50%の患者11例(平均年齢49.2±15.7歳)であった。対象者の疾患の内訳は、拡張型心筋症(DCM) 患者6例および虚血性心疾患(IHD)5例であった。安静時およびドブタミン負荷時に心エコー検査を施行した(東芝社製Aplio)。ドブタミン 負荷は5μg/kg/minから開始し、5分毎に10、15μg/kg/minと増量した。左室拡張末期径、左室収縮末期径、心室中隔厚および左室後壁厚を 計測し、LVEFを算出した。 パルスドプラ法による左室流入血流E波の最高速度(E)、 組織ドプラ法による拡張早期僧帽弁輪運動速度(Ea) およびEとEa の比(E/Ea)を求めた。また、乳頭筋レベルの左室短軸断面を記録し、左室後壁に関心領域(ROI)を設置し、Strain波形のピー ク値を計測した。 【成績】安静時のEa、E/Eaおよび心筋Strain値は、DCM群とIHD群の間で有意な差を示さなかった。DCM群において、ドブタミン負荷時、Ea および心筋Strain値は、安静時のそれらに比し有意に増大し、E/Eaは低下する傾向を示した。一方、IHD群では、Ea、E/Eaおよび心筋Strain 値は、安静時に比しドブタミン負荷時に有意な改善は認められなかった。 【結論】IHD患者とDCM患者のドブタミン負荷時のStrain波形の変化は有意に異なった。ドブタミン負荷Strain imaging法は心筋虚血・収縮予 備能評価およびその病態生理の解明に重要な情報を提供すると考えられた。 P-176 当院におけるATP負荷冠動脈エコーの現状 国師 賢二 鹿児島医療生活協同組合 国分生協病院 [はじめに]当院では2005年7月よりATP負荷冠動脈エコー(以下ATP負荷)を行い、2008年に心臓CTも導入し、循環器関連検査および虚血 性心疾患の診断および治療法としての確立を目指している。今回、当院におけるATP負荷での冠動脈狭窄評価の有効性について検討したので 報告する。[対象および方法]対象:2009年~2010年の間に、ATP負荷(対象冠動 脈はLADのみ)を施行した患者で、心臓CT・心臓カテーテルを行った患者。方法: ATP負荷による冠血流予備能と、心臓CT・心臓カテーテルで評価された冠動脈の 狭窄の関係をみた。[結果](表1)冠動脈予備能と心臓CT・心臓カテーテルでの冠 動脈の狭窄率※冠血流予備能は、冠血流の平均流速により算出したもの。※「なし」 は施行なし、 「不能」は判定不能。[考察およびまとめ]冠動脈予備能が2.00以下の 場合は、 心臓CTまたは心臓カテーテルで70%以上の冠動脈狭窄を全例で診断され ており、ATP負荷が冠動脈狭窄病変の検出に有効であることを確認した。 P-177 急性冠症候群症例における頸動脈エコーによる頸動脈動脈硬化の評価 坂田 好美、佐藤 一樹、武本 和也、水野 宜英、南島 俊徳、田口 浩樹、古谷 充史、吉野 秀朗 杏林大学 医学部 循環器内科 【目的】頸動脈の内膜中膜複合体(IMT)・プラークは脳血管・心血管疾患のリスクの指標とされている。今回、急性冠症候群(ACS)におけ る頸動脈動脈硬化病変の重症度につき検討した。 【方法】当院に入院した急性冠症候群連続56例において、頸動脈エコーを施行し、総頸動脈、 分岐部、内頸動脈のIMTを計測した。 【成績】総頸動脈の平均IMTは2.16±0.93mm(0.89~5.60mm)であった。最大IMTが1.5mm以上(2.4±0.1mm) であった41例(73%)をGroup A、最大IMTが1.5mmより低値(1.3±0.2mm)の15例をGroup Nとした。Group Aの4例(10%)には60%以上の 狭窄を認めた。Group A でGroup Nと比較して、高LDLコレステロール血症( 20% vs. 0%: p=0.01)、糖尿病( 32% vs. 7%: p=0.03)、慢性腎 不全( 15% vs. 0%: p=0.04)の合併率が有意に高値であった。糖尿病合併の19例中16例( 84%)では多数プラークを認め、慢性腎不全症例の 全例で高輝度プラーク(石灰化)を認めた。【結論】ACS症例では動脈硬化進展を認め脳血管疾患のリスクも高い。頸動脈エコーは、ACS症例 において動脈硬化の評価に有用である。 ― 217 ― P-178 動脈スティフネスと左室拡張能の関連 正木 充 1、廣谷 信一 2、合田 亜希子 2、大江 良子 2、中坊 亜由美 2、吉田 千佳子 1、川崎 大三 2、川端 正明 2、辻野 健 2、小柴 賢洋 1、 増山 理 2 1 兵庫医科大学 医学部 臨床検査部、2 兵庫医科大学 医学部 循環器内科 【目的】血圧の影響を受けにくいといわれているCardio-Ankle Vascular index(CAVI)を用いて動脈スティフネスと左室拡張能ならびに、そ の障害の原因となりうる交感神経活性との関連について検討する。【方法】対象は、経胸壁心エコー上、左室駆出率50%以上の連続する高血圧 患者65名(平均年齢:69±11歳、男性35名)と健常者10名(平均年齢:59±18歳、男性5名)を対象とした。Vasera VS-1000を用いてCAVIを 測定した。全例、経胸壁心エコー図検査を施行した。拡張能の指標として左房径(LADI)、拡張早期僧帽弁輪移動速度(E’)を計測した。ま た血漿NT-proBNP濃度、血漿ノルアドレナリン濃度を同日に測定した。【成績】CAVI値は健常者に比べて高血圧患者で有意に高値であった(9.4 ±1.9 vs. 7.7±0.9, p<0.05)。またCAVI値は左室拡張能の指標として求めたLADI(r=0.37, p <0.01)、血漿NT-proBNP濃度(r= 0.48, p <0.05) そしてE'(r= -0.37, p<0.01)と有意な相関を示した。交感神経活性の指標である血漿ノルアドレナリン濃度は、CAVI値(r= 0.72, p<0.001) やLADI(r= 0.77, p <0.05)と正の相関を示した。【結論】高血圧患者では、健常者に比べ動脈スティフネスの指標であるCAVI値が増加する.そ のCAVI値の増加は、交感神経系活性亢進、左室拡張能障害との関連性が示唆された。 P-179 経胸壁心エコー・ドプラ法による上行大動脈壁硬度の評価-augmentation indexとの比較 松崎 つや子 1、本間 博 2、大野 忠明 2、時田 祐吉 2、藤本 啓志 2、佐藤 丞子 2、横島 友子 2、伊藤 恵子 2、水野 杏一 2 1 日本医科大学附属病院 生理機能センター、2 日本医科大学附属病院 循環器内科 【目的】経胸壁心エコー法による上行大動脈基部の壁硬度評価とaugmentation index(AI)との比較【対象と方法】対象は健常者5例(A群)、 高血圧症75例(B群)。糖尿病32例、脂質異常症60例の合併。心尖部から左室駆出率(LVEF;%)。胸骨左縁上行大動脈短軸像、心尖部4腔断 面像から2D画像とstrain-rate(SR)画像を描出(使用機器; Vivid 7)。Mモードにて大動脈壁の内・中膜の厚さ(IMC;mm)、SRを計測。大 動脈壁の伸展性は収縮早期SR+(1/S;圧補正)、リコイルは収縮後期SR-(1/S;圧補正)、心電図QRSからSR-のピークまでの時間 SRT(msec; 心拍数補正)を算出。拡張早期僧帽弁輪速度 e’(中隔側と側壁側の平均)、E/e’を算出。同時に radial AI(%)を測定(HEM9000-AI)【結果】 A群とB群は平均年齢(45±10vs.65±14)、上腕収縮期血圧(122±16vs.136±22mmHg)、拡張期血圧(78±12vs.86±18mmHg)、平均心拍数(70 ±9vs.78±10/分)。AI(62±13vs.85±16)、IMC(2.2±0.3vs.3.4±1.0)、SR+(1.6±1.2vs.1.8±1.3)、SR-(-0.8±0.3vs.-1.1±1.1)、SRT(122 ±32vs.456±320)、LVEF( 70±9vs.69±9)、e’( 8.3±0.8vs.6.2±1.8)、E/e’( 7.1±1.7vs.9.2±2.1)。AIとの相関は年齢(R=0.430、p<0.001)、 IMC(R=0.374、p=0.001)、SRT(R=0.334、p=0.003)SR+(R=0.072、p=0.541)、SR-(R=0.104、p=0.374)。SRTとの相関は年齢(R=0.319、 p=0.005)、IMC(R=0.206、p=0.076)、e’(R=-0.400、p<0.001)、E/e’(R=0.230、p=0.007)。【結論】SRTはAI、e’、E/e’に相関が得られた。 左室拡張能と大血管機能とを経胸壁心エコーで同時に評価できれば治療効果判定上有用と考えられた。 P-180 超音波ドプラ法が診断、治療に有用であった線維筋性形成異常症(Fibromuscular dysplasia)の2症例 大園 七瀬 1、水上 尚子 1、野口 慶久 1、中村 幸美 1、湯之上 真吾 1、徳重 沙織 1、湯浅 敏典 2、高崎 州亜 2、桑原 栄嗣 2、河野 美穂子 2、 窪田 佳代子 2、植屋 奈美 2、堀添 善尚 2、茶圓 秀人 2、林 完勇 3、瀬之口 輝寿 3、木佐貫 彰 4、鄭 忠和 2 1 3 鹿児島大学病院 臨床技術部 検査部門、2 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学、 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 放射線診断治療学、4 鹿児島大学医学部 保健学科 線維筋性形成異常症(FMD)は腎動脈に好発し、若年性の腎血管性高血圧症の重要な原因疾患であり、その治療では血管形成術(PTRA)が 第一選択肢となっている。今回我々は、超音波ドプラ法を契機にFMDを診断され、血管形成術を施行し経過良好であった症例と、再狭窄を繰 り返した症例を経験したので報告する。【症例1】24歳女性。妊娠初期にて高血圧を指摘された。超音波ドプラ法にて右腎動脈中間部に狭窄が 検出され、狭窄部の最大流速は3.0m/sec、腹部大動脈の最大流速との比(RAR)は3.69、腎内区域動脈のresistance index(RI)は0.39と低下 しており、高度狭窄と診断された。PTRA施行後はRAR1.87、腎内区域動脈のRI0.58と改善し、服薬無しでも血圧のコントロールは良好となっ た。【症例2】26歳女性。22歳時高血圧を指摘され、内服治療にて血圧は安定していたが、挙児希望があり精査治療目的で当院を受診され、超 音波ドプラ法にて両側腎動脈に狭窄が検出された。右の狭窄部は中間部では最大流速は3.6m/sec、左は近位部の狭窄で最大流速は3.2m/secで あった。PTRA施行後血圧は安定し、帝王切開で出産したが、妊娠後期には血圧のコントロールが不良となり、出産後施行した超音波ドプラ 法でも両側腎動脈の再狭窄が検出された。特に、右腎動脈は数珠状の狭窄が遠位まで連続し、PTRA前と狭窄形態の変化が観察された。再度 右腎動脈にPTRAを施行したが、短期間で再狭窄を繰り返し、現在は服薬治療を強化、外科的治療も考慮しながら経過観察中である。 ― 218 ― P-181 リアルタイム三次元経食道心エコー図検査が有用であった大動脈解離の一例 春木 伸彦、竹内 正明、芳谷 英俊、加来 京子、大谷 恭子、桑木 恒、岩瀧 麻衣、尾辻 豊 産業医科大学 第二内科学 循環器・腎臓内科 症例は77歳男性。2010年8月1日早朝、突然左上下肢の脱力感を自覚し当院へ救急搬送され、頭部CT検 査で右皮質下出血を認めたため脳外科に緊急入院となった。精査の結果、出血性梗塞と考えられ、塞栓 源検索目的で経食道心エコー図検査が依頼された。左房および左心耳の拡大は認めるも、明らかな血栓 は認めなかった。しかし、胸部下行大動脈に解離を認め、門歯より28cm、大動脈弓部末梢にエントリー を認めた。 三次元モードで観察すると、エントリーの部分は4.5×3.5mmの小孔であり、カラードプラ では収縮期に真腔から偽腔に向かい、拡張期に偽腔から真腔に向かう血流が観察された。造影CT検査 は腎機能低下のため施行できなかった。 大動脈解離の診断において経食道心エコー図検査は、CTや MRIと同等の診断能を有するが、三次元経食道心エコー図検査では解離腔やエントリーの形態を三次元 的に描出することができ、付加的な情報が得られると考えられた。 ― 219 ―
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