事故事例1~8

25年度
管内事故事例
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目
次
<事例1> 分電盤撤去工事に伴う配線確認中の感電死亡事故
<事例2> 天井ファン停止のトラブル対応中の感電負傷事故
<事例3> キュービクル内の機器銘板確認作業中の感電負傷事故
<事例4> トラッククレーンを使用した作業中の感電負傷事故
<事例5> 一部充電中に実施した年次点検作業中の感電負傷事故
<事例6> 電圧測定時に誤って短絡させたことによるアークによる負傷事故
<事例7> 原因の特定が十分でないままAOGを投入したことによる波及事故
<事例8> キュービクル内にネズミが侵入したことによる波及事故
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<事例1> 分電盤撤去工事に伴う配線確認中の感電死亡事故
【事故発生場所】愛知県
【主任技術者選任形態】外部委託
【事故発生月・天候】7月・曇り
【使用電圧】:210V
【事故発生箇所】受電キュービクル内の
低圧母線
【事故原因】被害者の過失
【被害内容】感電死亡
【経験年数】50年以上 (作業者)
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・被災者は、分電盤撤去工事を委託された工事業者であり、作業者Aと2名で作業を行っ
ていた。
・被災者は、作業者Aを撤去分電盤に待機させ、撤去分電盤へ送電している低圧動力開
閉器を開放するため、受電キュービクルへ向かった。
・作業者Aは電源が開放されないため、受電キュービクルに向かったところ、倒れている被
災者を発見した。
・救急車にて病院に搬送されたが、死亡が確認された。
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<事故原因>
・被災者は、開放すべき開閉器を特
定するため、開閉器に接続されたケ
ーブルを確認しようと開閉器上部に
頭を入れたところ、誤って低圧母線
に頭部が触れ感電した。
・作業開始時はヘルメットを着用し
ていたが、被災時には倒れた横に
置かれていた。
【低圧動力開閉器】
・工事に当たり、電気保安業務の委
託先には連絡されていなかった。
感電箇所
<再発防止>
・開閉器に送電先を明示する。
・関係者に対し電気の保安に関する教育を実施。
・電気設備の工事を行う場合には、電気保安業務の委託先へ連絡し、必要に応じて立
ち会いを依頼する。
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<事例2> 天井ファン停止のトラブル対応中の感電負傷事故
【事故発生場所】静岡県
【主任技術者選任形態】専任
【事故発生月・天候】5月・晴れ
【使用電圧】:200V
【事故発生箇所】配電盤内の低圧ヒュー
ズホルダ
【事故原因】作業方法不良
【被害内容】感電負傷
【経験年数】3年 (作業者)
<事故概要>
・当該事業場は特別高圧需要家である。
・被災者は、当該事業者の設備保全担当者であり、天井ファンが停止した旨の連絡を受け、
原因調査のため現場へ向かった。
・被災者は、配電盤内のヒューズを素手で外して確認しようとしたが堅くて外れないため、
近くにあったハサミを利用して外そうとし、誤って充電中のヒューズホルダ端子に触れ感電
した。
・応急処置の後、社用車で病院に搬送され、入院することとなった。
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<事故原因>
・電源が入った状態のまま作業した。
(検電未実施)
・手袋等の保護具が未着用であった。
・不適切な工具を使用した。
・社内で定める資格を有していないの
に作業を行った。
<再発防止>
【ヒューズホルダ】
・作業手順書を作成し、停電、検電、使用工具等を
明確にする。
・関係者に対し、通電(充電)状態で作業を行わない
こと及び資格の無い者の作業を禁ずること等の教育
を実施する。
・作業時はヘルメット、手袋等の保護具の着用を厳
守する。
【使用したハサミ】
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<事例3> キュービクル内の機器銘板確認作業中の感電負傷事故
【所在地】愛知県
【主任技術者選任形態】外部委託
【事故発生月・天候】6月・晴れ
【使用電圧】6.6kV
【事故発生箇所】受電キュービクル内の負
荷開閉器(LBS)
【事故原因】被害者の過失
【被害内容】感電負傷
【経験年数】-(公衆)
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・被災者は、当該設置者の従業員あり、PCB含有の電気工作物調査の報告のため、対象
となる機器の銘板を撮影しようとした。
・被災者は、対象となる機器が判からなかったため電気保安業務の委託先に連絡をした
が、担当者からの連絡を待っている間に単独で受電キュービクルの扉を開け、対象となる
機器の銘板確認中に誤って充電中のLBSに触れ感電した。
・別の従業員がキュービクル前で倒れている被災者を発見し、救急車で病院に搬送され、
入院することとなった。
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<事故原因>
・電気取扱者ではない者が、キュービクル内が
危険であるという認識を持たずに機器銘板確
認作業を行った。
・キュービクルの扉の鍵が破損しており、施錠
がされていなかった。
<再発防止>
【現場状況】
・キュービクル内の作業は、電気保安業務の委託先に連絡し、指導・助言を求める。
・キュービクルの施錠及び鍵の管理を確実に行い、電気取扱者以外の者に扱わせない。
・電気の保安について教育を実施する。
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<事例4> トラッククレーンを使用した作業中の感電負傷事故
【事故発生場所】愛知県
【主任技術者選任形態】
電力会社:専任
高圧需要家:外部委託
【事故発生月・天候】2月・晴れ
【使用電圧】6.6kV
【事故発生箇所】高圧引込線
【事故原因】被害者の過失
【被害内容】感電負傷(2名)
【経験年数】-(公衆)
<事故概要>
・事故発生箇所は電力会社の高圧引込線であるが、当該引込線により受電している高
圧需要家の構内で発生したものである。
・被災者2名は、当該事業場内にプレハブ事務所の据付工事を依頼された工事業者の
従業員であり、被災者2名で作業を行っていた。
・被災者2名は、積載型トラッククレーンで吊り上げたプレハブ事務所を支えながら据付
け作業を行っていたが、上空の高圧引込線に気付かずにクレーンを移動させたため、吊
り上げていたワイヤーが誤って高圧引込線に触れ感電した。
・被災者のうち1名は心肺停止状態であったが、心肺蘇生により一命を取り留めた。
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<事故原因>
・電気に直接関係がない工事であったため、
電気保安業務の委託先に工事内容につい
て伝えられていなかった。また、電力会社
へも連絡がなされていなかった。
・作業前の安全確認が十分ではなかった。
<再発防止>
○電力会社
・今回の工事関係者に対し、電気事故防止をPR
【感電時の状況】
・土木・建築・重機会社への電気事故防止PRを継続して実施。
○高圧需要家
・従業員に対し、電気の保安に関する教育を実施
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<事例5> 一部充電中に実施した年次点検作業中の感電負傷事故
【事故発生場所】愛知県
【主任技術者選任形態】専任
【事故発生月・天候】11月・小雨
【使用電圧】6.6kV
【事故発生箇所】キュービクル内の高圧
母線
【事故原因】作業準備不良
【被害内容】感電負傷
【経験年数】1年4ヶ月 (作業者)
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・年次点検実施のため商用系を停電したが、非常用予備発電設備を運転して一部の設
備に電気を供給していたため、高圧充電部と停電部が混在していた。
・被災者は、年次点検を依頼された点検業者の従業員である。
・被災者は、作業責任者以下3名と共に割り当てられた電気室内の外観点検・清掃を実
施していたが、充電中の非常用系の高圧母線に触れ感電した。
・被災者は心肺停止状態であったが、救命蘇生を行い、救急車にて病院に搬送され入
院することとなった。
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<事故原因>
・点検業者が作成した作業計画書の充電部を示した図に
誤りがあり、感電のあった箇所は停電箇所とされていた。
・電気主任技術者は、高圧充電部と停電部の混在を点検
業者に説明していたので、十分理解していると思っていた。
なお、上記の図を作成・使用していることについて点検業
者から報告を受けていなかった。
<再発防止>
S系
動力 盤
母線
連絡盤
ZPD
配電盤- 3
C系電灯
配電盤- 4
C系動力
配電盤- 5
電源系
変圧器
ZPD
配電盤- 1
B 系電灯
配電盤- 2
B 系動力
B系
引込盤
C系
引込盤
【充電部を示した図】
充
※電中を赤色で示すところ、ZPD及び
母線連絡盤は赤でしめされていなかった。
・上記の図は同じ点検業者が前回の年次点検において作
成したものであるが、点検中に図の誤りに気付いたものの、
終了後に図の修正がなされなかった。また、前回の年次
点検にて使用されていたため、今回の年次点検において、
単線結線図との照合、現場確認を十分に行っていなかっ
た。
・電気主任技術者は、点検業者に充電部を示した図を提出させ、単線結線図と照合及
び現場にて確認をする。
・作業時に充電部が混在する恐れがある箇所について危険表示を行う。
・作業実施前に全ての作業箇所の検電を行う。また、作業者が電路に触れる前には再
度検電を行う。
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<事例6> 電圧測定時に誤って短絡させたことによるアークによる負傷事故
【事故発生場所】三重県
【主任技術者選任形態】専任
【事故発生月・天候】7月・晴れ
【使用電圧】200V
【事故発生箇所】分電盤内の低圧幹線
【事故原因】作業者の過失
【被害内容】アークによる負傷
【経験年数】24年 (作業者)
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・被災者は、当該事業場に設置されている生産ラインの設備メーカーの従業員である。
・被災者は、生産ラインの不具合対応のため、分電盤にて電圧測定を測定しようとした
時、誤ってテスターの測定ピンにてブスバーを短絡させたため、アークにより負傷した。
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<事故原因>
・テスターの取り扱いを誤り、縦ブ
スバーと横ブスバーを短絡させた
。
【短絡したブスバー】
<再発防止>
・分電盤を施錠し、通電部に容易に触れさせない。
・社内で定める有資格者しか作業を行わない。
・電気工事・電圧測定等を行う際は手袋を着用する。
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<事例7> 原因の特定が十分でないままAOGを投入したことによる波及事故
【事故発生場所】静岡県
【主任技術者選任形態】外部委託
【事故発生月・天候】7月・曇り
【使用電圧】6.6kV
【事故発生箇所】AOG
【事故原因】作業者の過失
【被害内容】4,800kW、11分間
【経験年数】-
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・事故発生前は雷を伴う集中豪雨であった。
・事業場内が停電したとの連絡を受けて、電気保安業務の委託先が原因調査を行った。
・AOGを開放し、AOG二次側の絶縁状態を確認したところ異常がなかったため、AOGを
投入したところ再度地絡して波及事故となった。
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<事故原因>
・AOGが絶縁不良(ほう酸ヒューズ部で3MΩ
)であったが、原因の特定が十分になされな
いまま、AOGを投入した。
【AOG】
<再発防止>
・原因不明の場合には安易な判断をしない。
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<事例8> キュービクル内にネズミが侵入したことによる波及事故
【事故発生場所】三重県
【主任技術者選任形態】外部委託
【事故発生月・天候】12月・晴れ
【使用電圧】6.6kV
【事故発生の電気工作物】SOG
【事故原因】鳥獣接触
【被害内容】834kW、56分間
【経験年数】-
<事故概要>
・当該事業場は高圧需要家である。
・事業場内が停電したとの連絡を受けて、電気保安業務の委託先が原因調査を行った。
・進相コンデサ用負荷開閉器(LBS)電源側が焼損し、下部にネズミの死骸を発見した。
・構内引込第1柱上のSOGが焼損し、絶縁不良(0MΩ)となったため、波及事故となっ
た。
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<事故原因>
・進相コンデンサ用負荷開閉器(
LBS)の電源側にネズミが接触し
て地絡・短絡した。
・主遮断器(OCB)が動作したが
、短絡電流により構内引込第1柱
上のSOGが絶縁破壊し、内部閃
絡により焼損した。
【ネズミが侵入したと思われる開口部】
<再発防止>
・小動物の侵入口を塞ぐ
【ネズミの死骸】
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