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http://trans-aid.jp
民間人の死は何人までなら許容範囲というのだろう? / トム・ヘ
イデン
How many civilian deaths are acceptable? / Tom Hayden
http://www.zcommunications.org/znet/viewArticle/22217
kmasuoka 2009-08-08 07:55:52
2009年8月5日
5月21日の米国上院聴聞会記録には、ジョン・ケリー上院議員の率直な質問に対してペンタゴ
ンの不可解な答えが見られる。
質問。2003年7月20日付けニューヨーク・タイムズ紙によると、ラムズフェルド国防長官
は、イラクで、それぞれにつき50人以上の無辜の民間人を殺すことになる米軍の空襲を50回
以上にわたり承認したと言います。当時のペンタゴン方針では、50人以上の民間人死者が付随
的被害として出ることが避けがたい空襲については一つ一つ国防長官本人が承認する必要があっ
たのです。この認可制度についてメディアが知ったのは2003年7月、米軍総司令官がこれを
暴露したときでした。今日、米国はアフガニスタンでこの政策を続けているのでしょうか。そう
だとすると、どのように続けているのでしょうか? 民間人犠牲者が50人を越えると予想され
る空爆について、ホワイトハウスかペンタゴンの高官が認可を与えているのでしょうか? どの
高官が与えているのでしょうか?
回答:(削除)
アフガニスタンやパキスタンで米軍の空襲が承認されるとき、オバマ政権とりわけ国防長官は、
事前に、罪のない民間人がどれだけ死亡するか知っているのだろうか? イラクを空爆する際、
ドナルド・ラムズフェルドは民間人犠牲者の見込みを知っていた。
米国政府は現在、その答えを隠している。
前政権の政策は打ち切られたというなら、ホワイトハウスは犠牲者数の考慮を現場司令官に任せ
ていることになるが、そうした微妙な意思決定を放棄するとは考えにくい。
この方針が続いているならば、ロバート・ゲーツ国防長官が個人的に承認するのだろうか? 大
統領にも情報は到達するのだろうか? 彼らは、不可避の民間人犠牲者について、どのくらいの
数だったらOKだという基準を持っているのだろうか? 持っているとすると、どのくらいで、
誰が決めるのだろう?
多くの場合、民間人犠牲者は単なるPR上の悩みとして扱われる。民間人犠牲者が出るとアフガ
ニスタンとパキスタンにいる米国の同盟者たちは常に苦情を言うが、これは人々の怒りがとても
深いことを示している。6月、国連のアフガニスタン特使カイ・エイダはNATOの防衛大臣た
ちに対し、空襲を抑制することは「焦眉の急務」であると告げた。「軍事的利益に対して不釣り
合いに」多くの民間人犠牲者が出ているためである。
5月4日の空爆----アフガニスタン政府関係者によると147人の民間人が殺され、そのうち
90人は女性と子どもだったという----ののち、ペンタゴンの高官は「新しいアメリカの安全保障
センター」の6月会議の際、共同で会見を行い、2003年から2005年までアフガニスタン
駐留米軍司令官を務めたデヴィッド・バーノ将軍は「民間人犠牲者をめぐるナラティヴを誰が支
配するかについて注意が必要だ」と語った。
空爆作戦に組み込まれた不可分の一部として民間人犠牲者の数が事前に計算されていることを認
めると、アフガニスタンの人々は激怒するだろうし、米国議員の中にも眉をひそめる者が出るか
も知れない。
だからこそ、民間人犠牲者が50人以上になると思われる空襲について承認が必要であるという
2003年の方針をめぐりペンタゴンが回答を拒否したことは極めて重要である。機密扱いとさ
れた回答は、5月4日の空襲で膨大な犠牲者が出た2週間後にケリーが出した質問に対するもの
だった。回答は依然として機密扱いである。
http://trans-aid.jp
民間人犠牲者数を曖昧にする方針はイラクで始まった。イラク戦争でペンタゴンはベトナムで起
きた犠牲者数を数えるメンタリティを避けようとしたのである。米軍とイラクでの同盟軍は犠牲
者の規模をめぐるプロパガンダ戦を開始し、米国のメディアと市民の間には混乱が残った。ロン
ドンを拠点とするイラク・ボディ・カウントはいわゆる消極的監視法を使い、主に英語メディア
の報道に依拠しながら犠牲者数を数えたが、ニューヨーク・タイムズ紙によると、ジョージ・ブ
ッシュ大統領はこれに基づき犠牲者数は「3万人前後」と述べたという。
対照的に、ジョンズ・ホプキンス大学の疫学者たちは積極的監視法を使い、戦争地帯で通常使わ
れる無作為の世帯調査を行った。それによると、民間人犠牲者はイラク・ボディ・カウントが出
した数値より少なくとも3倍は多い。本当の犠牲者数は、ペンタゴンとホワイトハウスも加担し
て作り出した戦場の霧の中で霧消してしまった。
この亡霊たちがアフガニスタンとパキスタンに再び姿を現した。村人たち、古老たち、アフガニ
スタン政府とパキスタン政府が大規模な犠牲者数をあげているのに対し、米国政府はぐずぐずし
、否認し、自前の調査をするとして、結局、民間人犠牲者数は当初言われていたよりはるかに少
ないと宣言していることからも、それがわかる。その結果、怒りが偏在する。アフガニスタンと
パキスタンの村人たちが復讐を叫ぶ一方、米国市民は戸惑いながらも無関心を決め込む。
前進するためには、ケリーの委員会は機密扱いになっているペンタゴンの回答を公表すべきであ
り、必要ならばさらなる説明を求めるべきである。議会はペンタゴンの利益相反行為の裏を見通
すべきである。
イラクにおけるこれらの問題の隠蔽を議会が調査して、諜報部門がブッシュ大統領の「3万人前
後」という推定に同意しているのかどうかを明かにさせることから始めるのが一つの手である。
独立の監視体制を作ることがもう一つの出発点である。
トム・ヘイデンは元カリフォルニア州上院議員で18冊の著書がある。
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