2003 年 12 月 7 日 主日説教

2003 年 12 月 7 日 主日説教
題
目:
「プリム」(大逆転の神)
聖
句:
エステル記
説
教:
チョ-・ヨンギ牧師
第 9 章 20 節~28 節
今日は皆さんと一緒に「プリム」(大逆転の神)と言う内容で恵まれたいと思います。
私たちの人生の中には願わない色々な敵に出会うようになります。生存競争と言う過酷
な現実の中で皆が親しい友達だけが居り、助けてくれる人だけがいるのではありません。
競争相手もあり、敵も出て来るのです。イエス様は、「家族の者がその人の敵となりま
す。」(マタイの福音書第 10 章 36 節参照)と言われました。ましてや、他人はどうでしょう
か?所が主は、敵に対する私たちの心構えをどうしなければならないのかに対して教え
て下さいました。
詩篇第 23 篇 5 節に、「私の敵の前で、あなたは私のために食事をととのえ、私の頭に
油をそそいでくださいます。私の杯は、あふれています。」と書かれてあります。即ち、
敵が来ますと、主が見事なご馳走を整えて下さり、食べて飲んで力を得て敵に勝つよう
にして下さり、聖霊の油注ぎを通して杯が溢れるようにして下さると言う意味なのです。
この事実が最も良く証明された所が即ち、聖書エステル記なのです。ペルシャの王アハ
シュエロは、その当時の中東では超強大国でありました。その国の帝王であったのです。
山川草木がアハシュエロ王の命令に震えました。所で或る日の事、このアハシュエロ王
が盛大な宴会を開き、文武百官を皆招き、社会各層の人たちも招いて皆が酒に酔ってし
まいました。そして王は酒で陽気になり王妃ワシュティに王冠を被らせ、王の前に連れ
て来るように命じました。酒に酔って彼女の容姿を民と首長たちに見せて自慢しようと
思ったからです。その気配を感じた王妃は命令を拒んで来ようとしませんでした。アハ
シュエロ王の命令に服従しなかったのです。再度、催促しても来ませんので欧は非常に
怒り、その憤りが彼のうちで燃え立たせました。原来、アハシュエロ王は性格が急で暴
力的な人でありました。即座に側近の首長たちの進言を聞き入れて、王妃ワシュティを
廃位させてしまいました。それから月日が過ぎ去って王の憤りが納まると、王妃も無く
心が虚ろで寂しくなったので、王に仕える若い者たちが新しい王妃を捜しましょうと進
言しましたので、それで新しく王妃を捜すようになり、ペルシャ全国で自信のある美人
たちは雲の群れのように集まって来ました。所が、その中でエステルと言うユダヤ人の
処女が一人含まれていました。エステルはモルデカイと言う王宮の末端の職分を持つ臣
下で、父の兄弟の娘でありました。彼女は幼くして父母を失い、依頼する所も無いので
従兄弟のモルデカイの膝元で育ちました。モルデカイは彼女の従兄弟の妹を自分の娘の
ように育てましたがね美貌が遥かに優れていました。それでモルデカイは従兄弟である
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妹エステルを王妃の候補者として推薦しました。所が、王は多くの娘たちの中でエステ
ルを見てからは、他のどの女よりもエステルを愛しました。この為、彼女はどの娘たち
よりも王の行為と恵みを受けました。それで王は他の娘たちを接見する気持がしません
でした。
“みんな家に帰らせなさい。エステルを朕の王妃にするから。
”と決定しました。
こうして、王は遂に王冠をエステルの頭に置き、ワシュティの代わりに彼女を王妃とし
ました。それでエステルは幼い時に父母を失い、捕虜として捕らえられて来たユダヤ人
の社会で従兄弟モルデカイの保護を受けながら育った彼女が瞬の間に、大帝国の凄い権
威を持つ王の王妃となったのです。然し、モルデカイは非常に心が謙遜なのでエステル
に、絶対に王の前で自分との親戚関係を話してはならないと言いつけました。彼は相変
らず末端の公務員として王の正門で自分の勤めをしておりました。所が或る日の事、入
り口を守っていた二人の宦官が王を謀殺する計画を立てているのです。この宦官の名前
はビクタナとテレシュでしたが、この二人が、“王が出てきて散策する時、行って殺し
ましょう。そして革命を起こして新しい帝王を迎え入れましょう。”と謀議するのを聞
いたモルデカイは即時にエステルに、この事実を知らせたのでエステルが王にこれを告
発しました。王は彼らを逮捕して尋問した結果、その事実が明らかになったので宦官ビ
グタンとテレシュは木に架けられ、庫のことは王の前で年代記に記録されました。所で、
この王宮で非常に地位が高く、崇め慕われる人が居りました。それはハマンと言う人で
した。ハマンは平凡な官吏として入って来ましたが、有能であって長官になり王の寵愛
を受け、総理大臣になって権勢が天を突くようになりました。そして彼が王宮から出て
来ると、門の所にいる王の家来たちが皆、膝をかがめてひれ伏しました。所がモルデカ
イは、この人が幾ら王宮の門を出入りしても、膝をかがめず、ひれ伏そうともしません
でした。それには理由があったのです。何故なら、このハマンはアマレクの子孫であり、
モルデカイはユダヤ人の子孫であったからです。アマレクはユダヤとは不倶戴天の敵で
あったからです。
申命記第 25 章 17 節から 19 節に見ますと、
「あなたがたがエジプトから出て、その
道中で、アマレクがあなたにした事を忘れないこと。彼は、神を恐れることなく、道で
あなたを襲い、あなたが疲れて弱っているときに、あなたのうしろの落後者をみな、切
り倒したのである。あなたの神、主が相続地としてあなたに与えて所有させようとして
おられる地で、あなたの神、主が、周囲のすべての敵からあなたを解放して、休息を与
えられるようになったときには、あなたはアマレクの記憶を天の下から消し去らなけれ
ばならない。これを忘れてはならない。」と、神様は仰せになられました。
出エジプト記第 17 章 16 節に、
「それは『主の御座の上の手』のことで、主は代々に
わたってアマレクと戦われる。」と言った。」と書かれてありますが、即ち、ハマンは、
このアマレクの子孫であったのです。それでモルデカイは、例え末端の職員でありまし
たがユダヤ人の子孫なのです。ですから、この二人は和解する事ができなかったのです。
モルデカイはハマンに膝をかがめてひれ伏す事ができなかったのです。モルデカイはハ
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マンにひれ伏しませんでした。それでハマンは心の中で憤りました。
“怪しからん奴だ!
他の人たちは皆、私に膝をかがめてひれ伏すのに、こいつは腰も屈めないとは、モルデ
カイだけを殺すのでなくユダヤ人全部を殺してしまおう。”その当時、ペルシャ王国に
いたユダヤ人の数は約 300 万人が居りました。
“300 万人を皆殺してやろう。その為に
は王の許可を得なければならない。
”許可を得るのは容易い事でした。何故なら、アハシ
ュエロス王はハマンを高め、ハマンを寵愛した為、ハマンの願う事は殆ど皆、許可して
やりました。それで、
エステル記第 3 章 8 節から 11 節に見ますと、「ハマンはアハシュエロス王に言った。
「あなたの王国のすべての州にいる諸民族の間に、散らされて離れ離れになっている一
つの民族がいます。彼らの法令は、どの民族のものとも違っていて、彼らは王の法令を
守っていません。それで、彼らをそのままにさせておくことは、王のためになりません。
もしも王さま、よろしければ、彼らを滅ぼすようにと書いてください。私はその仕事を
する者たちに銀一万タラントを量って渡します。そうして、それを王の金庫に納めさせ
ましょう。」そこで、王は自分の手から指輪をはずして、アガグ人ハメダタの子で、ユ
ダヤ人の敵であるハマンに、それを渡した。そして、王はハマンに言った。「その銀は
あなたに授けよう。また、その民族もあなたの好きなようにしなさい。」と書かれてあ
ります。ですから、完全にハマンの計画にアハシュエロ王は羽根を付けてやったのです。
ハマンは書記を呼んで、籤が投げられたユダヤの月暦で 12 月 13 日にペルシャ全国に
いるユダヤ人たちを男女、老幼、貧富、貴賎を問わず全部殺しなさいと命じました。そ
れで、この王の法令を書き、王の印が押されて全国に送られました。暫く経ってから全
ペルシャに居るユダヤ人たちは地を叩き、大声で泣きながら荒布を着て灰の上に仰向き
になっている人も多く居り、首都シュシャンに居るユダヤ人は、皆、町の真中に出て行
き灰を被り大声で泣きました。この事実が知らされるやモルデカイもむ荒布を着て灰を
被りシュシャン町の真中に出て行き、王の門の前まで来てひれ伏しました。この報告を
受けたエステルは非常に驚きました。それで自分の子侍女を呼んで良い着物をモルデカ
イに送りながら、
“そうしないで、着物を着替えなさい。
”と言いましたら、モルデカイ
は答えました。“今、ユダヤ人たちは全滅の憂き目に遭っている。ハマンがユダヤ人を
全滅させる為、王の法令がペルシャ全国に公示されている。今すぐ、王の所に行ってユ
ダヤ人の為に訴えなさい。”と彼女に言ってくれと頼みました。エステルはモルデカイ
に、こう返事を伝えさせました。
“私は王妃ではありますが、この 30 日間、まだ、王の
所に行くようにと召されていません。召されないで王の所に行く者は死刑に処されま
す。
”と答えました。この話を聞いたモルデカイは憤怒しました。
“あなたはすべてのユ
ダヤ人から離れて王宮に居るから助かるだろうと考えてはならない。あなたもユダヤ人
を撲滅する時、ユダヤ人と言うのが暴露されて、あなたも殺されます。ですから若しも、
あなたが今、王の所に行って、この民族の救いの為、訴えなかったら、神様の救いは別
の所から起ころう。しかし、あなたも父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、
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若しかすると、この時の為であるかも知れない。”と言いました。エステルはこの話を
聞いて余りにも心が重くなりました。それでモルデカイに返事を送りました。“行って
シュシャンにいるユダヤ人を皆集め、私の為に断食して下さい。三日三晩を食べたり飲
んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食しましょう。たとい法令
に背いても王の所に参ります。私は死ななければならないのでしたら、死にます”と死
ぬ覚悟をして三昼夜を断食した後、エステルは王妃の衣装を着て美しく化粧し王の執務
室に出て行きましたが全身はぶるぶる震えました。冷や汗が流れました。王が金の笏を
差し伸ばしませんと側近の臣下がすぐに駆けつけて来て顔を荒布で覆い連れて行って
処刑してしまうのです。それで、王の執務室の前に立ちましたら王が側近の人たちと話
をしている時、誰かが執務室に入って来るので見ましたら、王妃エステルが来たのです。
王の心に聖霊様が働かれてエステルに対する愛が炎のように起こりました。その上、三
日間も食事をしていませんので、この頃の様にすんなりとして、もっと美しく見えまし
た。それで王は直ぐに笏を差し伸ばしましたので、エステルは近寄ってその笏の先に触
りました。王はエステルに、“どうしたのだ。王妃エステル。この昼頃、私の執務室に
どうして来たのか?何がほしいのか?王国の半分でもあなたにやれるのだが。”と言い
ました。これ程になりましたから、もう心配無用です。それでエステルは言いました。
“若しも、王様が宜しければ今日、私が王様の為に設ける宴会にハマンとご一緒にお越
し下されば光栄です。その時、私の願いを申し上げます。
”と言いました。王は直ぐに、
“早くハマンに連絡して朕と今日、エステルの宴会に参加するように。”と命令しまし
た。それで王は午後にハマンを連れて、エステルの宴会に参席しました。所がエステル
が王をどれ程良く接待したのか、王は上機嫌になって、
“エステル!朕が愛する王妃よ!
あなたは何を願うので朕を呼んだのか?それを与えてやろう。何を望んでいるのか。王
国の半分でも、それを適えてやろう。”と言いました。エステルは答えて、“私が願い、
望んでいる事は、若しも王様が宜しくて、私の願いを赦し、私の望みをかなえて頂けま
すなら、私が設ける宴会にハマンとご一緒に、もう一度お越し下さい。そうすれば、明
日、私は王様の仰る通りに致します。”それでアハシュエロ王は、ハマンに向かって、
“ハマンよ!聞いただろう?明日もまた来るのだぞ!”ハマンは余にも嬉しくなって、
“はい!来ます。必ず来ます。”と答えました。それで、その日は非常に楽しい宴会を
済まして王は寝室に入り、ハマンはすっかり酔って、気持ち良く王宮を出て来る時、す
べての人が皆、膝を屈めひれ伏したので気持が良いのに、これはどうした事でしょう。
モルデカイを見ましたら、まじまじと見詰めて目も瞬きません。“これは怪しからん。
ユダヤ人たちを既に皆殺しにする事にしたけれども、こいつは特別に殺してやろう。”
と思いました。それで自分の家に帰り、自分の妻と親友と家族たちを集めさせて、ハマ
ンは自分の輝かしい富について、また、子どもたちが大勢いる事や、王が自分を重んじ、
王の長や家臣たちの上に自分を昇進させてくれた事などを全部彼らに話ました。そして
ハマンは言いました。
“しかも、王妃エステルは、王妃が設けた宴会に、私の他は誰も王
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と一緒に来させなかった。明日もまた、私は王と一緒に王妃に招かれている。この世で、
この様な栄光を受けた人が何処にあろうか?然し、私が酒が醒めてしまうような気持の
悪い事は、あの王の門の所に居るモルデカイは立ち上がろうともせず、自分を少しも恐
れていないのだ!あのユダヤ人モルデカイを見なければならない間は、これらの事は一
切私の為にならない。どうしてやろうか?”と言いましたら、妻ゼレシュが答えました。
“本当にあなたは総理大臣でしょうか?この国の総理大臣でしたら、それしきの末端公
務員モルデカイ一人を始末するのは朝飯前の事です。何故、悩み苦しむのでしょうか?
直ぐ命令を下して庭に高さ五十キュピトの柱を立てさせ、明日の朝、宴会に出かける前
に王の許可を得て、あのモルデカイの首を吊るしてしまいなさい。そして、気持ち良く
宴会にお出でなさい。”と言うのでした。夫人一人謝って娶りますと大変な事になって
しまいます。アダムも妻の言う事を聞き従った為、エデンから追放されましたが、ハマ
ンも夫人の話の為に、身の上が悪くなってしまいました。然し、妻ゼレシュの話は、自
分の耳にも聞き良く、親友たちも、
“そうです。そうです。奥様の話はご尤もです。”と
言いましたので、“早速、庭に五十キュピトの柱を立てなさい。そして、彼の首を吊る
す綱を繋いで置きなさい。私がそいつを明日の午前中に首を吊るしてから午後、気持ち
良く王妃の宴会に参加しよう。”と呟きました。その夜、ハマンは早く朝になればアハ
シュエロ王の所に行ってモルデカイの首を吊るす許可を得ようと待ち構えておりまし
た。それは、彼も末端の官職ですが、王宮に属した職員ですから、王の許可を得なけれ
ばなりませんでした。でも許可を得るのは容易い事だと思いました。所が、王はその日、
寝殿に入りましたが、久しぶりに食事も多くし、酒も多く飲んだからか消化もできず、
眠りも催しませんでした。目をつぶって寝ようとしても、直ぐ目が覚めるのでした。明
け方になっても眠れないので王の書記を呼んで、宮中日記を読ませました。その宮中日
記を読む途中、二人の宦官が王を謀殺しようと計画したのをモルデカイがこれを聞いて、
王妃に報告したのを王妃が自分に知らせてくれたので内査して見た結果、事実であった
ので、その二人を処刑したと言う記事が宮中日記に書かれてありました。それで王は、
“このために昇進とか、何かモルデカイにしたか?”王に仕える書記は答えました。
“彼
には何もしていません。”“それはいかん!”王は言いました。“庭に居るのは誰か?”
丁度、ハマンは、モルデカイの為に準備した柱に彼を吊るす事を王に上奏しようと、王
宮の外庭に入って来たところでありました。王が寝床から起き上がるのを待ちながら、
“何故、時間が早く行かないのか?本当に時間が経つのが遅い!”と呟きました。所が
王が、“庭に居るのは誰か?”と言うので、書記が、“今、庭に居るのはハマンです。”
王は命じました。“ここに通せ。”ハマンが入って来て上奏する前に王は、“王が栄誉を
与えたいと思う者には、どうしたら良かろう。”と言いました。早合点したハマンは、
“これは占めたものだ!王が栄誉を与えたいと思われる者は、私以外に誰が居ろうか、
王が私を高めて下さろうとするのだ!”と思って、“王が栄誉を与えたいと思われる人
の為には、王が着ておられる王服を持って来させ、また、王の乗られる馬を、その頭に
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王冠を付けて引いて来させて下さい。その王服と馬を貴族である王の首長の一人に渡し、
王が栄誉を与えたいと思われる人に王服を着させ、その人を馬に乗せて待ちの広場に導
かせ、その前で『王が栄誉を与えたいと思われる人はこの通りである。』とふれさせて
下さい。”と言いました。自分の口が自分を殺すのです。自分の口の言葉によって自分
自身が罠に繋り、自分の口の言葉によって捕らえられたのです。すると、王はハマンに
命じました。“では、すぐさま、王宮の門の所に座っているユダヤ人モルデカイと言う
末端公務員の所に行き王冠を被せ、王服を着させ、王の馬に乗せて、一番地位の高いあ
なたが馬の手綱を引いて町の広場に導き、その前で、「王が栄誉を与えたいと思われる
人はこの通りである。」と叫びなさい。あなたの言った事を一つでも違えてはならない。”
と言いました。“えっ!何か間違った事ではありませんか?王様、昨日食事を多く召し
上がり、酒も多くお飲みになったので、今、間違ってお命じになったのではありません
か?” “いや!間違ったのではない。記録の書、宮中日記を見たら、この者が王を謀
殺しようとした二人の宦官を告発して王のいのちを救った者だ。直ぐ、そうしなさい。
”
と命じました。晴天霹靂とは、この事です。自分の足で歩いて来て、自分の口で話した
事ですから、どうする事もできません。ご覧なさい!神様と格闘しますと負けてしまう
のです。恐れ多くも神様に敵対するとは?モルデカイは末端の官職に勤めておりますが、
モルデカイの後には万軍のヤエ-なる神様が居られるのです。モルデカイを殺すのは容
易い事ですが、彼が神様との契約を受けた民であるのを記憶しなければなりません。そ
れで泣き面をしながら、王冠をモルデカイに被せ、王服を着させ、王の馬に乗せたので
モルデカイは“これは、どうした事だろうか?果たしてこれは夢か?真か?今、このハ
マンがユダヤ人を全滅させようと計画を建て、法令として発布されたのに、ユダヤ人で
ある私を何故、こう待遇するのだろう?”と全然、その理由を知る事ができませんでし
た。神様は大逆転の神なのです。
エレミヤ書第33章3節に、「わたしを呼べ。そうすれば、わたしは、あなたに答え、
あなたの知らない、理解を越えた大いなる事を、あなたに告げよう。」と書かれてあり
ます。ユダヤ人たちとエステル王妃が三昼夜を断食しながら大声で叫び求めた祈りが、
この様に応答され始めたのです。到底、想像する事ができない理解を越えた大いなる事
が起こったのです。それで馬に乗っているモルデカイは上の空で、馬の手綱を取って引
いて行くハマンは気が遠くなり、果たして何故?こんな事が起こったのか想像する事が
できませんでした。神様が主の民の為に備えて下さったのは、
コリント人への手紙第一第2章9節に、「目が見たことのないもの、耳が聞いたこと
のないもの、そして、人の心に思い浮んだことのないもの。神を愛する者のために、神
の備えてくださったものは、みなそうである。」と書かれてある通りです。午前中モル
デカイを馬に乗せてシュシャンの広場を叫んで回ったので、シュシャンの町で灰を被り
荒布を着て泣いていたユダヤ人たちは泣くのを止めて目を丸くしました。“あれ!あ
れ!・・・これは夢か、真か?どんなにしてこうなったのだろう?”と驚いてしまいま
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した。それでモルデカイを連れて王宮の前まで行き下ろした後、ハマンは嘆いて、頭を
覆い大きな声で泣きながら急いで家に帰り、“私が生れてから今まで、こんな侮辱を受
けた事が無い。モルデカイを木に吊るす許可を得ようと行ったのに、私の過ちで反って
モルデカイに王冠を被せ、王の服を着せ、王の馬に乗せて、私が馬夫になって一日中、
町の広場を回りながら、
『王が栄誉を与えたいと思われる人はこの通りである。』と叫ん
だのだと一部始終を妻とすべての友人に話しました。妻は目をおお隠して驚き、”本当
にモルデカイはユダヤ人ですか?“と質問しましたら、そうだと答えましたら、”あな
たはユダヤ人の前で負けかけておいでですが、あなたはもう彼に勝つ事はできません。
きっと、あなたは彼に負けるでしょう。神様が一旦跪かせましたから、これからは滅亡
する時まで神様が導かれるのです。“と言いました。それでその場にいたハマンも、妻
のゼレシュも泣き、子どもたちも、友人も泣いているのに王の宦官たちがやって来て、
”
早くお出で下さい。“と催促しますので、顔を洗い官服を着て、エステルの設けた宴会
に行きました。そして、ほろ酔い機嫌で待っている王と一緒に接待を受けますが、もう
今は口に入る食べ物が砂を噛む様で苦痛でありました。彼は受けた侮辱に耐える事がで
きずに激憤しておりました。所が王は余にも気持が良くなって酒を干してから、エステ
ル王妃の肩に手をかけて”エステル王妃よ!あなたは本当に美しい。あなたが王妃にな
ったのは、私は大きに幸福だ!あなたは何を願っているのか。王国の半分でも、それを
適えてやろう。
“と言いましたので、時は到来したと思ってエステルは涙を流しながら、
俯いて、”若しも、王様のお許しが得られましたら、私のいのちと、私の家族、親戚、
民族にいのちを与えて下さい。“”何!何故、そんな話をするのか?“”今、私も、私
の家族、私の民族も売られて根絶やしにされ、滅ぼされる計画が進行されています。
“王
は、”何だと?この国の王は私であるのに誰が敢えて王妃の命を奪い、王妃の家族と親
戚と民族を滅ぼそうとするのは誰か?何処に居るのか?“”その迫害をする者。その敵
はこの悪いハマンです。
“ハマンは驚きのあまり気絶するほどでした。
”これは怪しから
ん。総理大臣が王妃の命を奪おうとするとは!“王は怒って酒宴の席を立って、憤怒を
静める為に宮殿の園に出て行きましたが、ハマンは余にも急なので長椅子に座っている
エステルの膝の上にひれ伏しました。前後を弁える余裕が無かったのです。そして王妃
に命を助けて下さいと、身悶えしながら泣いている時、王が宮殿の庭から帰って見ると、
これは何と無礼にも真昼に自分の王妃の太股に顔を埋め膝に抱きついて揺れ動かして
いるのではありませんか?それで王は、”これはけしからん!私の前で、この家の中で
王妃に乱暴をしようとするのか?“この言葉が王の口から出るや否や、ハマンの顔は覆
われてしまいました。すると忠実な宦官の一人ハルボナが言いました。”丁度、王様に
良い知らせを告げたモルデカイの為に、ハマンが用意した高さ五十キュピトの柱がハマ
ンの家に立っています。
“王は、”そうか。すぐ、このハマンを逮捕して、彼の妻子が見
ている前で、その五十キュピトの柱に吊るせ!“と命じました。敵が神の民、神の油注
ぎを受けた人を倒そうと落とし穴を掘りますと、自分が落ち込み、罠を置きますと自分
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が罠に繋ってしまい、自分が五十キュピトの死刑台を建てますと、その場に自分が吊る
されてしまうのです。ヤエ-なる神を侮ってはなりません。皆さん!神様は長らく待っ
て下さいますが、然し、決定的瞬間に神様は能力を現して下さるのです。神様の教会、
神様の民、主の油注ぎを受けた僕、皆さん!神様が目に見えないから無視して、自分勝
手に踏み躙る事ができると思いますが、時期が到来しますと神様は即座に審判されるの
です。悪魔は神様の民を自分勝手に踏み躙る事ができると考えますが、それは大きな誤
解であるのです。イエス・キリスト神の御子が、この世に来られた時、悪魔はロ-マの
法律とユダヤ人の宗教を通して計略でイエス様を十字架に釘打って殺しました。そした
後、三日間宴会を開き贈り物を交換して喜び、大騒ぎをしましたが三日目にイエス・キ
リストが復活された時、神様は、罪の無い神の御子を十字架に釘打った罪によって悪魔
のあらゆる支配と、あらゆる権威、権力を奪ってしまい、イエス・キリストを万王の王、
万主の主とならせたのです。悪魔はイエス・キリストを十字架に釘打ったのが勝利であ
ると思いましたが後で知った事は、この十字架を通して自ら審判を受けなければならな
い道を開いてしまったのです。自分が建てた十字架を通して悪魔は審判を受け、あらゆ
る支配と権威、権力を皆、奪われてしまい永遠に火と硫黄の燃える池に投げ込まれる運
命になってしまったのです。皆さん!神様は大逆転の神様なのです。ハマンがモルデカ
イを五十キュピトの木に吊るそうとしましたが、自分がそれに吊るされてしまいました。
祈る民の前には勝つ事ができません。そした後、王はエステルに、“王妃エステルよ。
ハマンの家をあなたに与えよう。”と言いました。エステルはハマンの子十人を皆、木
に吊るした後、モルデカイが自分の従兄弟であるのを明かしました。王は膝をぽんと打
ち、
“何故、あなたは王妃になりながらもモルデカイが従兄弟であるのを知らせないで、
下級官吏として王宮の門で働かせたのか?本当に良くやった。”と誉めて、モルデカイ
を呼んでハマンから取り返した自分の指輪をモルデカイに与えて、総理大臣に任命しま
した。ですから、虎に翼を付けてやったのです。総理大臣はモルデカイであり、王妃は
エステルなのです。ユダヤ人の王妃に、ユダヤ人の総理大臣ですから、ユダヤ人にはい
まや完全に神様の栄光が臨んだのです。すぐモルデカイとエステルは王の許可を得て、
ハマンが企んだ書類を皆取り消し、ハマンが計画したユダヤ人を全滅させる12月13
日に、ユダヤ人の敵たちを全国のユダヤ人たちは立ち上がって全部根絶やしにしなさい
と詔書を全国に送りました。そしてシュシャンの城では、12月13日の一日だけでは
なく14日まで継続してユダヤ人の敵たちを滅ぼしなさいと命じました。それで、12
月の13日と14日、二日間、彼らが殺したユダヤ人の敵の数は7万5千人にもなりま
した。ユダヤ人を殺そうとした人たちが反対に、ユダヤ人の手によって殺され、彼らを
滅亡させようとした人たちが反対に滅亡されました。暗闇は光明に、死はいのちに、悲
しみは喜びに、絶望は希望に満ち溢れるようになったのです。その国はアハシュエロ王
が治めますが、その下にモルデカイとエステルの手によって、ユダヤ人たちは何処に行
っても至る所で栄光を受け、崇められ祝福を受けました。
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皆さん!私たちが考える時、神様の教会、神様の民、神様の僕を容易く無視し、踏み
躙り、訴え、殺す事ができると思いますが、知らなければならない事は、神様の教会は
キリストの体なのです。神様の民たちはキリストの子たちであるのです。主の血潮で贖
って下さったのです。主の僕は、主がお呼びになり、油注がれた神様の僕なのです。聖
書には、わたしの油注がれた僕に手を付けてはならないと、書かれてあります。自分勝
手に教会を壊し、主の僕を踏み躙り、自分勝手に主の僕を待遇することができると考え
ますが、その背後には神様が居られるのです。サウロがイエス様を信じる人を迫害し、
ダマスコにいるイエス様を信じる人を見付次第縛り上げてエルサケムに引いて来る為、
ダマスコの近くまで来た時、真昼に天から太陽の光よりも明るい光が彼を巡り照らした
ので馬から落ちて倒れていると、
「サウロ、サウロ、何故、わたしを迫害するのか。」と
言う声を聞きました。彼が、
「主よ。あなたはどなたですか。」と言うと、お答えがあり
ました。
「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。
」サウロはイエス様を見た事
がありません。イエス様当時にキリストの御言葉を聞いた事もありません。然し、彼が
迫害する教会、彼が迫害する民は即ち、イエス様の教会、イエス様の子ですから主は、
サウロに、
「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。
」と言われたのです。サウ
ロはここで悔い改めてパウロとなり、神様の偉大な使徒となりました。皆さん!主の教
会の迫害は、イエス様に対する迫害であり、主の民を迫害するのはイエス様を迫害する
のであり、主の僕を冒涜するのは、イエス・キリストを冒涜する事になるのです。主は
長らく忍耐されますが、永遠には忍耐されるのではありません。主は長らく忍耐されま
す。然し、永遠には忍耐されないのを知らなければなりません。私たちの主は、能力が
なく、権威が無いので黙っておられるのではありません。長らく忍耐されるのは、一人
でも滅亡されずに、悔い改めて永遠なるいのちを得るようにと願われるから長らく忍耐
されるのです。
箴言第 26 章 27 節に、「穴を掘る者は、自分がその穴に陥り、石をころがす者は、自
分の上にそれをころがす。」と書かれてあり、
イザヤ書第 54 章 17 節に、「あなたを攻めるために作られる武器は、どれも役に立た
なくなる。また、さばきの時、あなたを責めたてるどんな舌でも、あなたはそれを罪に
定める。これが、主のしもべたちの受け継ぐ分、わたしから受ける彼らの義である。・・
主の御告げ。・・」と書かれてあります。私たちイエス様を信じる人たちが敵たちに迫
害され、踏み躙られ攻撃される時、私たちはどのような態度を取るべきでしょうか?私
たちが奮起して出て行って拳骨を振りかざして戦うべきでしょうか?皆さん!聖書に
見ますと、イスラエルの民がエジプトから脱出して紅海の海岸に到着した時、パロ王が
大軍隊を引き連れて、彼らを再び生け捕りにしようと駆けつけた時の事でした。前には
青々とした紅海が遮り、後にはエジプトの軍隊に追撃されて進退両難で絶望している時、
モ-セは何と言ったのでしょうか?“恐れてはいけない。しっかり立って、今日あなた
方のために行なわれる主の救いを見なさい。あなた方は今日見るエジプト人を最早永久
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に見る事ができない。”と言ったのです。神様は戦争の神様なのです。神様は主の民の
為に心を痛めて下さり、身代わりに戦ってくださるのです。
ローマ人への手紙第 12 章 19 節から 21 節に、
「愛する人たち。自分で復讐してはい
けません。神の怒りに任せなさい。それは、こう書いてあるからです。「復讐はわたし
のすることである。わたしが報いをする、と主は言われる。」もしあなたの敵が飢えた
なら、彼に食べさせなさい。渇いたなら、飲ませなさい。そうすることによって、あな
たは彼の頭に燃える炭火を積むことになるのです。悪に負けてはいけません。かえって、
善をもって悪に打ち勝ちなさい。」と書かれてあります。私たちが敵に、悪は悪で報っ
てやらずに善を持って彼らに報いてやっても、私たちの神様は敵のすべての計略を打ち
壊し、復讐は神様が報いて下さるのです。神様の石臼は、ゆっくりと回るように思われ
ますが、この石臼の中に一握り入れた豆は完全に細かい粉になって出て来るのです。神
様の石臼に敵が入りますと、ゆっくり回るから大丈夫と思いますが、粉にする時は完全
に、骨まで砕いてしまうのです。神様を侮ってはなりません。神様を無視してはなりま
せん。神様は目に見えません。目に見える教会が即ち、神の御子イエス・キリストの体
なのです。神様の民とは何処に居るのでしょうか?神様の子たちが神様の民であるので
す。神様の僕たちが即ち、神様が油注がれた主の使いなのです。神様は今日、教会を通
して、主の民を通して、油注がれた主の僕を通して、主の永遠なる計画を実行して下さ
るのです。神様を無視してはなりません。神様が目に見えないからと言って対決しては
なりません。皆さん!神様は主の民と一緒にして下さり、イエス・キリストを通して主
の民を祝福して下さり、恵んで下さり、保護して下さるのです。死の陰の谷を歩く事が
あっても、私は禍を恐れません。主が私と共に居られますから、あなたの鞭とあなたの
杖、それが私の慰めです。死の陰の谷は、いのちの谷に、死の陰の谷は光明な谷に、敵
には主の杖で救って下さり、鞭で打って主の民を保護して下さる神様なのです。神様は
私たちの敵の前で、私たちに恵みの盛大な食事を施して下さり、私の頭に油を注いで下
さり、私の杯は溢れるようにして下さる良い羊飼いであられるのを知り、強く、雄々し
い信仰を持たれます様、主の御名で祝福します。
“ 祈り ”
全能であり、聖であられる天の父なる神様!
主を知らない人たちが主の体である教会や、主の民や、主の僕を軽蔑して自分勝手に唾
を吐き、足で蹴って侮辱しても何でもないと思います。けれども、神様が長らく忍耐さ
れるのを試して見るのはいけない事です。神様は生きておられ、天の御座に座っておら
れ、神様は、神様の敵たちに向かって軽蔑されるのです。
主よ!イエス様の十字架の尊い血潮を通して代価を払って贖われた教会と聖徒と主
の僕たちを、どうして神様が見捨てる事ができましょうか?
天の父なる神様!どうして長らく忍耐されるのでしょうか?
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天の父なる神様!立ち上がって栄光をお受け下さり、神様が支配し治めて下さい。
イエス・キリストの御名でお祈り申し上げます。ア-メン・・・・・
(KS,Kim 訳)
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