人事評価

人事評価
人事考課の重要性を管理者に理解させる方法は
当社は年 2 回人事考課を実施し, その結果を賃金改定, 昇格, 賞与, 能力開発等に活用することを
目的にしています。 しかし, 多くの管理者は目的を十分に理解せず, 主観で評価しています。 人事
考課の重要性をどのような方法で理解させたらよいのでしょうか。
人事考課は管理者の重要な仕事だということを, 「管理者の役
割」 と 「人事考課の目的」 の 2 つの面から理解させる
管理者, すなわち評定者に対して, 人事考課の重要
めには, 次のように進めると思います。
性を理解させるためには, 評定者のトレーニングの際
①
部下の能力を把握する
に, 次の 2 つの面から理解できるようにアプローチす
②
その仕事を遂行するうえで必要な仕事の能力を把
握する
ると, 効果的です。
1
「管理者の役割」 との関連から理解させる
管理者の役割を一口で言うと, 「任された部下を活
③
その仕事の目標を設定して与える
④
その仕事を動機づけ, 指導しながら実施させる
⑤
でき上がった仕事を評価する
用して, 与えられた目標 (担当部署の仕事) を達成す
このように, 人事考課の制度がなくとも, 管理者は
ること」 といえると思います。 すなわち管理者の役割
自身の役割を果たすために人事考課を行わなければな
は 「部下を活用して担当部署の目標を達成する」 とい
らないということになります。 そのため, この重要性
うことです。 そのために管理者は何をするかという
を理解させることが 1 つの方法だと思います。
と, 「人と仕事の管理」 を行うことになると思います
(図表 1 )。
2
「人事考課の目的」 との関連から理解させる
管理者は自身も仕事を担当しますが, それだけでな
人事考課制度は, 人事制度を運用するために行うも
く, 部下に対して目標達成 (仕事) をするように働き
のです。 したがって, 人事考課は人事制度と連動して
かけを行う役割があります。 部下に目標達成するよう
いなければなりません。 人事制度の目的はその会社に
に働きかけるということは, 「人と仕事の管理」 をす
よって多少異なると思いますが, 第 1 の目的は 「社員
るということです。
の能力と意欲の向上」 にあると思います。
「人と仕事の管理」 を行う手順は, 「仕事の割当て,
そうなると, 人事考課も 「社員の能力・意欲の向
目標の設定を行い」 (計画), 「動機づけ, 指導し」 (実
上」 が第 1 の目的でなければなりません。 社員の能
施), 「仕事の結果を評価する」 (評価) の順で行うと
力・意欲を向上させるためには, 次のことをきちんと
思います。 その中の 「仕事の結果を評価する」 が人事
管理者が行い, それを人事制度の運用に活用しなけれ
考課ということです (図表 2 )。 このように考えていく
ばなりません。
と, 人事考課は管理者本来の仕事の 1 つということが
①
社員の能力の現状を把握する
理解できると思います。
②
能力よりやや高い目標を設定する
③
その目標達成のために上司が動機づけ, 指導する
また, 部下に目標を与え, その目標を達成させるた
126
人事実務 2008.1.1・15 (No.1028)
Q&A実務講座
図表 1
図表 2
管理者の役割
人事考課の位置づけ
④
向上した能力, 達成した結果を公正に評価する
たルールに従って公正な評定を行うことが大切だと学
⑤
評価した結果を処遇に活用する
ばせ, そこから人事考課の重要性を理解させるのも 1
そのための人事考課の目的として,
①
公正な処遇を行う
②
能力開発を行う
③
ヤル気を向上させる
④
適正配置を行う
つの方法だと思います。
(現代マネジメント研究会・代表取締役
菅野篤二)
【毎月 1 日号掲載】
といったことをあげている会社が多いと思います。
このような人事考課の目的を評定者のトレーニング
でしっかり理解させ, 評定者は主観でなく, 定められ
人事実務 2008.1.1・15 (No.1028)
127