Newsletter 7 - IFERI

筑 波 大 学 大 学 院 人 文 社 会 科 学 研 究 科 組 織 的 な 大 学 院 教 育 改 革 推 進 プ ロ グ ラム 拠 点
IFERI
インターファカルティ教育研究イニシアティヴ
Inter-faculty Education & Research Initiative Newsletter No. 7, June 30, 2009
第7号 - 2009年6月30日
季刊ニュースレター
2009年度出発式
プログラム生一覧
第2回外部アドバイ
活動予定&活動報告
TAからプロフェッ
研究科プロジェクト
4月27日に平成21年
今年度のプログラム
ザー委員会の報告
4∼6月の活動を報告
ショナル・ディベ
研究情報の共有のた
度IFERI出発式が開
生 (第1期∼第3期) の
3月17日に委員会が
し、今後の活動予定
ロップメントへ
め、今年度採択され
催されました。
氏名、所属専攻、研
開催されました。
をお知らせします。
宮本陽一郎教授がTF
た研究科プロジェク
ページ 1-2
究テーマ、および異
ページ 4
ページ 5
制度や大学院共通科
トを掲載します。
分野融合指導体制の
目「職業としての大
ページ 8
一覧を掲載しまし
学教育」について語
た。
ります。
ページ 3
ページ 6-7
は独特な国です。政府が強力に世俗化を推し
2009年度
出発式
進め、特に首都チュニスでは、喫茶店では
ビールが出され、モスクからアザーンが鳴り
響いても、街ゆく人の誰一人として反応を示
さない、などなど。しかし一方で、南部の砂
漠地帯に行けば、モスクやアザーンがなくて
も、時間がくればメッカに向かってお祈りを
する人々がたくさんいました。「われわれ
4月27日 (月) 11:40より、清水副学長、波多野
学長補佐、坪井研究科長、主指導教
齋藤竜太さんによる決意表明
員、IFERI運営委員およびプログラム生列席
のもと、IFERIの平成21年度の門出を祝いま たものの、国境なき医師団やPKO、JICAな
した。青木運営委員長が今年度の事業計画を どの、紛争の現場での、実務的な活動に強い
説明した後、坪井研究科長が第3期プログラ 憧れを抱いてもいた私に、この言葉が与えた
ム生に合格証を授与し、第3期プログラム生 影響は測り知れません。
を代表して齋藤竜太さん (国際地域研究専攻1
年次) が決意表明をおこないました。
決意表明全文
しかし、地域紛争に取り組もうと本学に入学
したものの、学群生時代は、手当たりしだい
に中東紛争に関する本を読んではいました
日本人が考える『近代化』とは、一体なんだ
ろうか」。気づけばチュニスの街角で、日本
のことばかり考えていた私は、「日本人の視
点から取り組まなければ、対象とする課題に
とって自分が研究する意義がない」と考え、
ここで初めて自分の研究視点を獲得すること
ができたのでした。
私が取り組む、「中央アジアにおける水の
安全保障についての研究」は、紛争や国際関
が、狂った方位磁石のように興味関心がぐる 係について、水資源の確保やそれの管理とい
「世のため人のために役立つために、学問は
ぐると回り続ける、そんな日々でした。
ある」。タジキスタンでの国連監視団の活動
中に殉職された、故・秋野豊助教授が語って 転機となったのが、4年生になって参加した
いた言葉です。アカデミズムへの興味はあっ チュニジアでの語学留学でした。チュニジア
IFERI Newsletter No. 7
う側面から切り込もうとするものです。すで
に水と紛争に関しては海外を中心に研究がす
すめられ、中央アジアのこの問題に対して
1
Inter-Faculty Education & Research Initiative
坪井研究科長による挨拶
清水副学長による挨拶
青木運営委員長による挨拶
は、指導教員のダダバエフ先生が、研究成果 教員の知識伝授型の教育ではなく、学生の主 のプログラム生の課題と突き合わせ、より大
としてのこされています。私はこの問題に対 体的取り組みを尊重して、指導助言などの支 きく、独創的な共同研究プロジェクトを企画
して、さらに考察を行い、国際協力などの観 援をしています。
するノウハウを鍛えることだと思います。最
点から、日本、あるいは日本人の視点や立場
後の合同研究発表会の場ではこうした独創的
から、この問題解決にどう取り組んでいける
か。実体的な現地の人々の福祉の実現へ向け
て、補助線の一本を引けたら、と考えており
ます。
学生の取り組みは実に多様です。6月2 6日の
合同研究発表会において、IFERIプログラム
生によるシンポジウム「異分野融合研究の担
な異分野融合共同研究が発表できることを期
待しています。
い手として」が開かれましたが、「異分野融 他方、教員の方は「異分野融合リサーチワー
合」には、取り組む対象の多様性・複雑性に クショップ」によって、所属専攻にこだわら
また、このすそ野は人文科学や社会科学を超 重点を置く研究と、研究アプローチの多面 ず、助言のできる体制を作るので、専攻を超
え、環境などにも踏み込んでいます。異分野 性・複合性に重点を置く研究とがある、とい えた交流や、研究科をまたがった交流が活発
融合型の研究が、想像するだけでも、いかに う共通認識に学生たちは至りました。別の言 化してきました。実際、共同セミナー《共生
言うは易しく行うに難いかがわかります。水 い方をすれば、ひとつの研究対象を多面的に をめぐる問題系の確認と展開》( 2 0 0 9年7月)
資源を確保するには、従来の学問領域を超え 捉え、様々な角度から分析していくことこそ は、IFERIと共生教育社会学研究室 (人間総合
た研究が必要とされ、しかし今回、IFERIの が、人文・社会科学系の異分野融合なので 科学研究科) との連携で実現した成果の一例
助けを得られたことによって、一気に地平が す。一人の文学者の仕事 (作品・生きざま) を です。
開けたような思いがいたします。
「漠然とした不安に屈して、手軽で狭い『確
実』に身を委ねるな」。秋野先生の言葉で
す。新たな領域に踏み出し、同期のプログラ
ム生におかれましても、期待が大きい一方、
どれほどの不安を抱いていることかと思いま
す。しかし新領域のフロンティアたる誇りを
胸に、新たな地平へ向かって突き進むこと
を、第 3 期プログラム生一同、ここに決意い
たします。
平成21年4月27日 齋藤 竜太
通じて、その人の生きた時代との関わり、政
治と文学、歴史と文学、文学と言語、根底に
ある文化的アイデンティティの問題…を一つ
一つ丁寧に分析することで初めて見えてくる
「人・社会・歴史・文化」の有り様。「独立
国家と自治領との関係から民主主義の伝統・
経済発展・少数民族独立・地球環境の変動」
が複雑に入り組む地域の問題。同一地域にお
ける「水をめぐる利権・資源開発・信仰・伝
統文化の保存」と「人間の安全保障」が問題
となる地域の問題。学生一人の手に負えない
組織的な取り組みとして、今年度は 2 学期以
降に、英語による教育プログラム「文明対話
学プログラム」と「社会貢献学プログラム」
を導入します。それぞれ外部講師による集中
講義10単位を取得することで、履修認定証を
発行します。こうした取り組みが、研究科を
横断した教育研究プログラムや、他大学との
連携プログラム、国際的なダブル・ディグ
リーなどに発展していき、新領域の開拓につ
ながっていけばと思っています。
問題ばかりであるし、また教員一人では指導 また人社研の教員・学生の研究成果を国際的
しきれない問題ばかりです。しかしIFERIで に発信すべく、英語版電子ジャーナル Inter-
2009年度の活動方針:
異分野融合論の展開
は、学生と教員が「異分野融合ワークショッ Faculty (略称 IF) の創刊を準備しています。
プ」を立ち上げて、独自に研究会やワーク 平成22年2月に第1号が発行される予定です。
ショップ、調査などを行って研究を深めてい また教員の負担をいたずらに増やしているだ
きます。IFERIが立ち上がって3年目に入り、 けじゃないか…と思われる人もいらっしゃる
IF ER Iは「異分野融合研究」を標榜してきま 週一回の研究発表と討論会、4回の公開合同 かもしれませんが、インターファカルティ教
した。その内容には学生の課題に関わるもの 研究発表会、 3 回の学生会議を経て、学生た 育研究拠点は確実に学生とともに成長してい
と、教員の組織 (専攻) に関わるものがあり ちはプレゼンテーション能力・企画力・語学 ます。どうぞ暖かいご支援・ご助言をよろし
ます。IF ERIの基本理念は、学生主体の問題 発表能力を確実に高めてきました。残された くお願いします。
解決型の研究に対する支援というものです。 半年の課題は、各自の研究課題を他
2
青木 三郎 (IFERI運営委員長)
IFERI Newsletter No. 7
Inter-Faculty Education & Research Initiative
2009年度プログラム生一覧
氏名
李 炅澤
所属専攻
研究テーマと異分野融合指導体制
国際日本研究専 東アジアにおける孔子学院事業の比較研究:日本と韓国を事例として
攻 D1年次
第 松枝 世
一
期
プ
ロ
グ
入山 美保
中豊 (国際日本研究専攻), 川村陶子 (成蹊大学文学部), 小嶋華津子 (国際公共政策専攻)
国際日本研究専 自殺総合対策における「自殺系サイト」の実証的研究
攻 D1年次
仲田誠 (国際日本研究専攻), 松村敦 (図書館情報メディア研究科), 後藤嘉宏 (図書館情報メディア研究科)
文芸・言語専攻 孤立環境における日本語教育:現地人日本語教師養成の観点から
沼田善子 (文芸・言語専攻), 箕輪真理 (経済学専攻), Timur Dadabaev (国際日本研究専攻)
3年次
長谷川 詩織
文芸・言語専攻 合衆国文化言説としてのパン・アメリカ主義:19世紀末から30年代にかけてのラテン・アメリカ政策と映画・文学の関
3年次
ラ
係性 宮本陽一郎 (文芸・言語専攻), 佐藤千登勢 (歴史・人類学専攻), Mitsuyo Wada-Marciano (Carlton University)
ム 黄媚
現代文化・公共 中国の利益団体行動に見る政治・経済・社会システムの変容:浙江省の繊維業界団体の事例研究
生
政策専攻 5年次
范丹
国際政治経済学 中国の市場経済化と農村経済の変容
専攻 5年次
北川 直緒
前田 洋平
二
小田桐 奈美
プ
ロ
臼山利信 (文芸・言語専攻), Timur Dadabaev (国際日本研究専攻), 岡本智周 (人間総合科学研究科)
文芸・言語専攻 アフリカのフランコフォニー形成と複数言語文化主義の実態研究
青木三郎 (文芸・言語専攻), 小松祐子 (現代語・現代文化専攻), 柏木健一 (国際公共政策専攻)
2年次
グ
ラ
中村逸郎 (国際公共政策専攻), 田中洋子 (国際日本研究専攻), 篠原琢 (東京外国語大学外国語学部)
国際地域研究専 キルギス共和国における国家語政策 :言語・民族・国民をめぐる言説を中心として
攻 2年次
宮川 宗之
畔上泰治 (現代語・現代文化専攻), 飯田浩之 (人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻)
国際公共政策専 20世紀初頭の中欧とパン・ヨーロッパ運動:人物史から構成する国際関係史
攻 2年次
期
田中洋子 (国際日本研究専攻), 小嶋華津子 (国際公共政策専攻), 納口るり子 (生命環境科学研究科)
現代語・現代文 ノルウェーの児童文学における子どもと大人の関係に関する研究
化専攻 2年次
第
中豊 (国際日本研究専攻), 小嶋華津子 (国際公共政策専攻), 陳剰勇 (浙江大学政治学行政管理専攻)
古田 高史
国際日本研究専 戦後の言論界を中心とした昭和期日本の政治・社会・文化システムの変遷:福田恆存の「政治と文学」論
ム
攻 D2年次
今泉容子 (国際日本研究専攻), 平石典子 (国際日本研究専攻), 井上義夫 (一橋大学大学院言語社会研究科)
生 王冰
国際日本研究専 マスメディアと政治:商業化と政治規制の板挟みになった中国型のマスメディアを探る
攻 D2年次
今井 信治
哲学・思想専攻 先進資本主義諸国における「精神世界」の包括的研究:大衆文化・メディア空間・ニューエイジ
5年次
松本 秀昭
期
プ
ロ
グ
程 立紅
Timur Dadabaev (国際日本研究専攻), 藤倉良 (法政大学人間環境学部・JICA研究所),
山中弘 (哲学・思想専攻), 徳丸亞木 (国際日本研究専攻), 清水知子 (現代語・現代文化専攻)
攻 2年次
古家信平 (歴史・人類学専攻), 徳丸亞木 (国際日本研究専攻), 小口千明 (歴史・人類学専攻)
現代語・現代文 植民地支配と映画:日本の「満州国」、大陸占領地、台湾における映画制作について考察
江藤秀一 (現代語・現代文化専攻), 平石典子 (国際日本研究専攻), 四方田犬彦 (明治学院大学言語文化研究所)
国際日本研究専 日本語教育における自動詞・他動詞の習得の必要性
攻 D1年次
ラ
小野正樹 (国際日本研究専攻), 井出里咲子 (現代語・現代文化専攻)
ム Muradova Ella
国際日本研究専 中央アジア日本語教育における日本文学の役割
生
攻 D1年次
角田 延之
立川孝一 (歴史・人類学専攻), 青木三郎 (文芸・言語専攻), 渡邊淳也 (文芸・言語専攻)
哲学・思想専攻 仏教思想における無我説の多角的考察
4年次
高橋 美野梨
西村よしみ (国際日本研究専攻), 西原貴之 (呉工業高等専門学校), 平石典子 (国際日本研究専攻)
歴史・人類学専 フランス革命におけるフェデラリスムへの言語分析的アプローチ
攻 4年次
岸 清香
村真貴 (生命環境科学研究科)
国際地域研究専 霞ヶ浦周辺の水神信仰について
化専攻 D1年次
伊藤 秀明
山泰央 (国際公共政策専攻)
哲学・思想専攻 沖縄シャーマニズムの現在
2年次
第 胡 艶紅
三
倫理学への回帰 笹沢豊 (哲学・思想専攻),
国際地域研究専 中央アジアにおける水の安全保障
攻 1年次
村上 晶
山中弘 (哲学・思想専攻), 好井裕明 (国際公共政策専攻), 伊藤雅之 (愛知学院大学文学部国際文化学科)
哲学・思想専攻 「自由」「主体」「個」「社会」「他者」についてこれからの倫理学はどう語ることができるのか:反=倫理学による
1年次
齋藤 竜太
中豊 (国際日本研究専攻), 小嶋華津子 (国際公共政策専攻), 張寧 (中国中山大学伝媒学院)
佐久間秀範 (哲学・思想専攻), A. Charles Muller (東京大学人文社会系研究科次世代人文学開発センター)
国際政治経済学 島嶼部をめぐる「中心-周辺」の関係構造:「好意的」なデンマーク/自律化するグリーンランド
専攻 5年次
IFERI Newsletter No. 7
赤根谷達雄 (国際公共政策専攻), 南山淳 (国際公共政策専攻), 岸上伸哲 (国立民族学博物館先端人類科学研究部)
3
Inter-Faculty Education & Research Initiative
第2回 外部アドバイザー委員会
平成21年3月17日 (火) 18:00より秋葉原ダイビル15階会議室にて第2回 IFERI 外部アドバイザー委員会が開
催された。坪井研究科長の挨拶、青木運営委員長の平成 2 0 年度活動報告に続き、 5 名の外部アドバイ
ザー委員から忌憚のない意見が述べられた。下記は、この席で出された意見の一部である。
服部英二氏
柳川時夫氏
山田文比古氏
林史典氏
足代嘉行氏
ユネスコ事務局長官房特別参与
毎日新聞編集部特別編集委員
東京外国語大学教授
聖徳大学人文学部教授
元住友生命保険相互会社副社長
本プログラムは3年の時限
つきであるが、プログラム
終了後、その芽を育てる長
期的な手立て・仕組みをど
のように考えているのか。
外部資金の支援がある期間
だけのプログラムに終わら
せてはならない。
大学院生の数が増加する
とともに、質的低下が現実
には起こっており、その中
で研究職につく訓練をする
のは大変に難しい。また現
実に研究職のポストが先細
りしている中で、人材育成の
多様化の方向が模索される
わけだが、高度職業人の定
義もあいまいであり、それ
を受け入れる社会の体制が
できていない現実がある。
そういう中で複数の大学院
が連携しながら、大学院教
育の新しい方向性を模索す
ることが重要である。IFERI
は一つのモデルになりうる
のではないかと期待され
る。IFERIは分野横断型の広
がりと教育方法に特徴があ
る。この二つを上手に生か
してほしい。
民間の立場から見ると、
たとえば年末に行われたス
ロベニアとの共同セミナー
などで聞いたかぎり、学生
に 3 0 分発表させた程度では
とうてい実力が養われると
は思われない。教育界の中
だけで将来も仕事をしてい
こうとするならばそれでよい
かもしれないが、異分野、
異文化の国際会議など、厳
しい場面では通用しない。
パワーポイントの使い方一
つとりあげても、よりスキ
ルを上げることが必要であ
る。IFERIプログラム生が他
の大学院生、ふつうの学部
生とどこが違うのか、教育
成果を明示できるようにし
なければいけない。そのた
めには制度として、組織的に
プログラムを充実させてい
くべきである。
IFERIは学際性を重視して
いるが、学際研究は、中途
半端な研究に陥りやすい。
研究の出口のところで、確
実な評価システムを導入し
て、きちんと評価できるよ
うにすることが求められ
る。そうでなければ、誰に
も関心をもたれないような
場所に落ち込んでしまう。
他所で引用される研究であ
るためには、自己評価でき
るサブシステムが不可欠で
ある。現状では研究成果の
出口、他分野への成果の伝
え方が弱い。
国際的に見て、日本人
は、よく勉強し、深い知
識・教養をもつ人も多い
が、コミュニケーション力
において著しく劣っている。
コミュニケーション力を
もった学生を育成しなけれ
ばならない。そのコミュニ
ケーション力とは、英語だ
けではない複数の語学力と
ともに、人柄がきわめて重
要である。語学力と人柄を
備えた、国際場裡で活躍で
きる人材育成を期待する。
かつての大学院のイメー
ジとは異なり、大学院は研
究者養成だけではなく、学
部の延長として博士課程前
期 (修士課程) に進学する学
生も多い。大学院の研究教
育レベルの低下も認めざる
をえず、 2 年間で修士課程を
修了しても就職することも
進学することもなかなか困
難な状況にある。大学院も
実社会で役に立つ知識やス
キルを教えていかなければ
ならない。IFERIが学生の自
主性を尊重し、自らの試行
錯誤の中でスキルを身に着
けさせようとするのはよい
ことだが、それで本当に限
られた2年という期間、後期
を含めれば5年間でスキルが
本当に身につくのか。教育
は出来ない人を出来るよう
にしてやることが基本にあ
る。したがって、スキルはこ
うである、と教えていかな
ければいけないのではない
か。
IFERIメソッドなるものを
さまざまな形で定着させた
ら、筑波大学だけではな
く、日本の大学院教育にお
いてユニークな人材育成が
できるだろう。人材育成に
は時間がかかるので、IFERI
は継続しなければ意味がな
い。そのためには、時間的
な継続とともに、空間的広
がりを考慮することも大事
である。全国レベルで他大
学・他組織にこの種のメ
ソッドが広がっていくこと
を期待する。その際、問題
になるのは、資金である。
しかしIFERIメソッドは経費
のかかる部分とかからない
部分があり、仕組みとして
は全国的に大学院教育に広
がることができる。経費の
かからない仕組みの部分
を、IFERIを通じて、よりよ
いものにしていってほしい。
4
IFERI Newsletter No. 7
Inter-Faculty Education & Research Initiative
活動予定 & 活動報告 IFERI科目の開講
Call for Papers
例年通り、社会科学方法論序説 (月曜2限)、
欧文電子ジャーナル Inter-Faculty (略称 IF) 創 異分野融合リサーチワークショップ ( 月曜 7
刊号への投稿原稿を募集しています。投稿希 限)が開講しました。文明対話学序説は第2学
望者はIF編集委員会までお問い合わせくださ 期に開設されます。
政治経済学専攻5年)、小田桐奈美が指定討論
者をつとめました。
第5回 (6月15日) は、ブックレビューを岸清
香 (哲学・思想専攻4年) が行いました。
第6回 (6月22日) は、
ブックレビューを角田
い ([email protected])。
今年度から「人文社会科学のための情報コ
延之
TA研修・実習
ミュニケーション論(1)-(3)」(水曜2限)が開設
攻4年) が、研究発表を
(歴史・人類学専
されました。これは、人文社会科学の教育研
前田洋平 (国際公共政策専攻2年) が行い、北
究 に 必 要 な 情 報 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 技 術 川直緒 (現代語・現代文化専攻2年)、高橋美
共通科目「職業としての大学教育」( 7月2 - 4
( I C T )を概観した上で、受講者のニーズに配 野梨 (国際政治経済学専攻4年) が指定討論者
日) を必ず履修すること。これに加え、次の
慮しつつネットワーク管理、サーバ管理、 をつとめました。
A・Bいずれかの実習に参加すること。
ウェブサイトの構築、電子ジャーナルの編集
A. 7月27日開催の国際シンポジウム「若手研
第7回 (6月29日) は、ブックレビューを前田
等について論じる科目です。
究者のためのプロフェッショナル・ディベ
洋平 (国際公共政策専攻2年) が行いました。
ロップメント」のワークショップ①「 T A を 今年度は人文科学特講および社会科学特講を
また、付月氏 ( 人文社会科学研究科準研究
T A として雇用されるプログラム生は大学院
活用した成績評価基準の作り方と使い方」 活用して英語による教育プログラム「文明対
(講師:L. von Hoene、カリフォルニア大学 話学プログラム」と「社会貢献学プログラ
バークレー校) に参加する。
郎教授) の授業 (月曜1限)、TAミーティング
木曜6限) を1週間分見学する。
共同セミナー《共生をめぐる問題系の確
認と展開》
7月4日 (土)・5日 (日) に共同利用棟A201にて
共生教育社会学研究室との共催で共同セミ
ナーを開催します。本セミナーでは、共生論
の様々な領域における問題系を整理し、「共
に生きる」ということが現在どのような問題
として立ち現れているのかを把握します。
第3回IFERI言語・思想・文化研究シン
ポジウム
今回は「『知』をめぐる対話」という副題を
付し、扱う時代や洋の東西を異にする参加者
が各々の専門領域から発表・講演を行いま
ゲストスピーカーとしてお迎えしました。
ム」を新たに導入します。詳細は、決まり次
B. 総合科目「現代を読もう I-III」(宮本陽一 第、IFERIウェブサイトに公表します。
(月曜2限)、課外ディスカッション(水曜5限、
員)、二宮崇司氏 (学術振興会特別研究員) を
オープンセミナー:時代
IFセミナー始動
を生きる・時代を語る
第1回目の異分野融合リサーチワークショッ
本学東京キャンパス (秋葉原ダイビル14階) 講
プ (通称 IFセミナー) では青木運営委員長が
義室1にてIFERIオープンセミナー「時代を生
趣旨説明を行いました。
きる・時代を語る」が開催されました。
第2回 (5月25日) は、ま
第1回は、作曲家の丹波明氏を講師にお迎え
ず今年度から新らたに
して「序破急をめぐる思想」という題目でご
導入された冒頭 1 0 分の 講演いただきました。「序破急」という概念
ブックレビューを戸部 の定義とその歴史の紹介に始まり、それが音
篤研究員が行いました。研究発表は角田延之
楽のみならず日本における様々な文化に見い
(歴史・人類学専攻4年) が行い、長谷川詩織
だせることを、様々な例を挙げながらお話い
(文芸・言語3年)、前田洋平
ただきました。また、丹波氏が「序破急」を
(国際公共政策2
年) が指定討論者をつとめました。
第3回 (6月1日) は、ブッ
クレビューを田川拓海
作曲活動においてどのように実践しているか
についても、実際に作曲された楽曲を鑑賞し
ながらご解説いただきました。
研究員が、研究発表を
第2回は、報道写真家の
小田桐奈美 (国際地域研
笹本恒子氏を講師にお
第3回北京大学・清華大学・筑波大学三
究専攻2年) が行い、角田延之 (歴史・人類学
迎えして「私の出会っ
大学合同セミナー
専攻4年)、岸清香 (哲学・思想専攻4年) が指
た昭和の人々:風格と
す。開催時期は7月下旬を予定しています。
9月19日 (土) ∼20日 (日) に北京大学にて標記
定討論者をつとめました。
セミナーが開催されます。「言語研究におけ
第4回 (6月8日) は、ブッ
るモダリティとその周辺領域」と題するワー
クレビューを小田桐奈
クショップ、および 3 大学の学生による言語
美 (国際地域研究専攻2
研究・日本(語)研究の関連領域に関する研究
年) が、研究発表を岸清
発表が行われる予定です。
IFERI Newsletter No. 7
香 (哲学・思想専攻4年) が行い、范丹 (国際
優雅」という題目でご講演いただきました。
先生の撮影された、昭和の様々な様相を窺う
ことのできる建築物、風景、人物などの写真
を実際に見ながら解説していただき、さらに
その時代背景、撮影時の様子などについても
お話をいただきました。
5
Inter-Faculty Education & Research Initiative
●本研究科教員による特色ある教育的取り組み
TA制度からプロフェッショナル・
ディベロップメントへ
「表面的な模倣」から始まった制度が、
ささやかながらもようやく生きたシス
テムとして呼吸し始めたという感慨に、
私はひたされている。
̶ 宮本 陽一郎(文芸・言語専攻教授)
TIME誌日本特集の教訓
ある授業で、TIME誌に掲載された日本論を
歴史的に
りながら読んでいたら、次のよう
な一節にぶつかって、ある種のめまいのよう
なものを感じた。「しかし教育システムのパ
ターンと目的は、ウォークマンのように簡単
に輸入することはできない。アメリカの教育
者が日本に学ぶことは有益だろうが、表面的
に模倣しようとしたらだめだ。日本はこの教
訓を逆の立場から二度にわたって学んでい
皮肉なことにTIME誌が絶賛した日本は、こ
欠けていた。さらに、将来の大学教員養成、
のあとアメリカの教育システムを、さらに大 大学院生の生活保証、学士課程教育の充実と
規模なかたちで「表面的に模倣」することに いう本来の3つの目標のどれをも十分には満
なる。シラバス、授業評価、FD制度、TA制
度、学期完結制度、PDCAサイクル、総合的
学習、ゆとりの教育―数え挙げればきりがな
い。教育システムは簡単に輸入できないとい
う教訓を、私たちは教育史上かつてない規模
の崩壊のなかで、もう一度学んでいるのかも
しれない。
たしていなかった。
私が企画室に持ち帰った答えは、期待されて
いたものと逆のかたちになった。予算を縮小
するのではなくむしろ拡大して、ほんとうに
将来の大学教員を養成し、ほんとうに大学院
生の生活を保障し、ほんとうに学士課程教育
の充実に寄与する、ほんとうにアカウンタビ
る」―1983年8月1日号、いわゆる「日本特集
私は、本学の教育企画室員というささやかな
リティのあるTA制度を作るべきだという結
号」である。日本賛美で埋め尽くされたこの
立場から、この「教訓」を4年にわたり学習
論に私は行き着いてしまった。
号では、日本の教育までもがアメリカにとっ
し続けている。教育企画室の仕事は「表面的
TAがティーチング・フェロー (TF) として、
となるのは
ての学ぶべき手本として紹介されているので な模倣」のアフターケアにつきる。私が教育 実 際 に 教 室 で 教 育 に 参 画 す る こ と で あ
ある。「二度にわたって学んでいる」という
企 画 室 員 と して 最 初 に 与 え ら れ た 仕 事
のは、なんと明治時代に独仏の教育システム
は、TA制度の見直しだった。当時1億4千万 ある小笠原正明特任教授が、教育企画室にお
を、そして占領期にアメリカの教育システム 円ほどの年間予算が投じられていた T A 制度
る。TA研修制度のパイオニアであり権威で
られたという幸運に恵まれ、 T F 制度は陽の
を、それぞれ輸入しようとして失敗した経験 は、財政的にもはや維持が困難で、また何ら 目を見ることになった。
を指している。
6
報告体制がない現状はアカウンタビリティに
IFERI Newsletter No. 7
Inter-Faculty Education & Research Initiative
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バークレーにて
大学院共通科目「職業としての大学教育」
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バークレーに学ぶ
しかし、40名程度の中規模クラスで教員が直
接教育を行うことが、小学校から大学まで一
貫して受け入れられてきた、日本教育の「パ
ターン」である。T F制度は真っ向からこれに
反する。 T F 制度がこの後ありとあらゆる批
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研修授業、 T A を使う教員のためのセミナー スカッション・セクションを週に 1 ∼ 2 回行
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までも視察対象とした。「表面的なパター い 、 ほ ぼ 毎 週 講 義 に 関 係 す る 映 画
を上映
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ン」ではなくシステムそのものを理解するこ し、eラーニング (Moodle) を活用し講義の関
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とが、私たちの目的であり、そしてシステム 連資料などを W E B上に載せて、履修者の自
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そのものの豊かさは、視察隊全員をある種の 発的学習を支援した。
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興奮状態に巻き込んだ。
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TEL: 029-853-8094, FAX:029-853-7379,-./
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TEL: 011-706-7520ŽFAX: 011-706-752• ,-./
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6名のTAはそれぞれの経験と個性を持ち寄っ
判を浴びることになったのは、予期されるべ その興奮状態のなかで、わずか 1 ヶ月足らず て 、 こ の 試 み を 見 事 に 乗 り 切 っ て く れ
き結果であった。どうすれば大学院生が T F 後に開講の迫った「コモンコアのためのパイ た。TAたちの自発的な判断で、毎週TAミー
として教室で教えることが可能であり有益で ロット授業」に取り組むことになった。
ティングが開かれ、ディスカッション・セク
あることを説得できるのか?
ションの報告書が毎回作成された。「表面的
そんななかで、2007年にカリフォルニア大学 世界水準の教養教育?
バークレー校のTA研修センター (GSI教育研
「コモンコアのためのパイロット授業」は、
究研究センター) のリンダ・フォンヘーネ所
文科省による「質の高い大学教育推進プログ
長が来校し、講演を行った。そこで紹介され
ラム」(教育GP) の一環である。筑波大学か
たのは、アメリカでも最先端のPFFプログラ
ら採択されたプランの骨子は、「世界水準の
ムだった。PFF―Preparing Future Faculty、
教養教育」を目指すことである。「世界水
つまり将来の大学教員養成プログラムであ
準」のモデルはまたしてもアメリカに見出さ
る。表面だけでなくそれを支える実質まで学
ざるをえない。週に2回の大人数講義と、週1
ばなければ、日本でT A 制度が機能すること
回の大学院生 T A の担当する少人数制ディス
も、 T F 制度が受け入れられることもありえ
カッション・セッションを組み合わせるの
ないだろう。
が、アメリカの大学における教養教育の「パ
そのような反省のもとに、2008年には「将来 ターン」である。これにより学生は単に知識
な模倣」から始まった制度が、ささやかなが
らもようやく生きたシステムとして呼吸し始
めたという感慨に、私はひたされている。
プロフェッショナル・ディベロップメントに
向けて
来る7月27日から31日にかけて、筑波大学と
北海道大学の共同開催により、国際シンポジ
ウム「高等教育におけるプロフェッショナ
ル・ディベロップメント」が開催される。こ
れは義務化された F D 制度に代わり、「職員
研修や T A 研修をも包括する概念」として
の大学教員」のためのいわば教職科目である を享受するだけでなく、討議能力やレポート 「プロフェッショナル・ディベロップメン
大学院共通科目「職業としての大学教育」 執筆能力を養うことができる。「世界水準」 ト」を提唱する試みである。 F D 制度を、大
を、関係教員の協力を得て立ち上げることが を持ち出すまでもなく、講義を 1 0 回聞いて 学院生のキャリア教育にまで拡大し、むしろ
できた。
1 0 0 0字程度の答案を書いて、それで1単位と それを主体とすることにより、直面する様々
もうひとつの幸運は、比較文化学類および日
本語・日本文化学類から提案し採択された学
内教育支援プロジェクトを通じて、今年の 3
いう筑波大学の総合科目の現状が、「教養教 な課題は、より生産的に解決されるだろう。
育」として機能するとは、私にはどうしても
考えられない。
筑波大学では、リンダ・フォンヘーネ所長
と、バークレー校のアカデミック・サービス
月に教員2名大学院生4名で1週間にわたりカ 「コモンコアのためのパイロット授業」に選 部のサブリナ・ソラッコ部長がワークショッ
リフォルニア大学バークレー校を視察するこ ばれた総合科目「現代を読もう I―アメリカ プを開催する。これは、将来の大学教員とし
とができたことだった。ここで私たちは T A の影」では、「職業としての大学教育」の履 てのキャリアに、真剣に取り組もうとする大
が担当する授業ばかりでなく、授業の準備の 修者とバークレー視察隊のメンバーからなる 学院生にとって、得難いチャンスとなること
ためのTAミーティング、新任のTAのための 6名のTAが、講義を補完する自由参加のディ を確信している。
IFERI Newsletter No. 7
7
Inter-Faculty Education & Research Initiative
人文社会科学研究科プロジェクト
今年度、本研究科が重点的に支援する研究プロジェクトは下記の通りです。各プロジェクトの趣旨、進
状況、研究成果等に
つきましては、追って本ニュースレターに掲載し、研究科内で研究情報の共有を図りたいと思います。
サスティナビリティ問題の学
in Japanese) の定着度と学術
専攻准教授)ほか3名
ほか1名
環太平洋地域における各国政
術的知見の社会への応用・還
元のための基礎研究
的志向との関連についての研
究
子どもと養育者の相互行為場
医療過誤訴訟における証明問
治:紛争解決メカニズムの国
際比較
木村武史(哲学・思想専攻准
石塚修(文芸・言語専攻准教
面の分析:方法論的展開をめ
題の検討:医事法及び訴訟法
松岡完(国際公共政策専攻教
授)ほか1名
ざして
の融合の試みと審理原則の実
授)ほか9名
高木智世(現代語・現代文化
証的研究
村上正子(法学専攻准教授)
ほか1名
教授)ほか4名
西アジアにおける土器の起源
とパイロテクノロジーの発達
アジアにおける英米文学の受
容と変容:フィリピンにおけ
専攻講師)ほか1名
常木晃(歴史・人類学専攻教
る英語文学の調査と共同研究
利他主義と互恵性の経済学:
授)ほか4名
集会の開催
理論、実験および実証
経済的・物質的豊かさと少子
野上元(国際公共政策専攻准
齋藤一(文芸・言語専攻講
篠塚友一(経済学専攻教授)
化の関係に関する実証的研究
教授)ほか2名
師)ほか2名
ほか2名
:人口学的視点からみた日本
社会の過去、現在、未来
中央アジア地域における国際
古家信平(歴史・人類学専攻
カザフスタン留学生教育に関
少子高齢社会と家族のための
木下太志(国際公共政策専攻
関係の現状と課題:水資源の
教授)ほか2名
する心理的調査
総合政策:日独比較を中心と
教授)
共同管理制度の事例を中心に
一二三朋子(文芸・言語専攻
して
城県近・現代社会運動関係
資料の現存状況調査
准教授)ほか3名
本澤巳代子(法学専攻教授)
ほか5名
千本秀樹(歴史・人類学専攻
アジア系非英語母語話者との
教授)ほか1名
言語活動がもたらす動機付け
法における自由意思論をめぐ
別・デートDVを中心として
日ロ関係と両国の国民アイデ
および発信スキル向上のため
る諸問題:哲学的考察を基礎
土井隆義(国際公共政策専攻
ンティティ
の基礎研究
磐崎弘貞(現代語・現代文化
にして
岡上雅美(法学専攻准教授)
教授)ほか4名
ブフ・アレクサンダー(国際
日本研究専攻准教授) ほか1名
実習教育の地域社会への貢献
についての調査研究
筑波大生における学術的記述
力・論理力 (Academic Writing
的文化研究によるアプローチ
ティムール・ダダバエフ(国
現在の中学・高校での人間関
係に伴う生徒の問題行動に関
する研究:いじめ・障害児差
What is IFERI?
IFERI stands for “Inter-Faculty Education and Research
Initiative.” It is an interdisciplinary organization across
the Doctoral programs of the Graduate School of
Humanities and Social Sciences as well as the Masters
Program in Area Studies of the University of Tsukuba.
IFERI was initiated by researchers of joint programs
and seeks to encourage both faculty and students of
single-discipline programs to engage in education and
research in terms of a broader perspective. Its objective
is to explore new frontiers in the Humanities and Social
Sciences and to foster innovative thinking in order to
better meet the ever more complex problems of our 21st century global societies.
現代文化における越境性・流
動性に関する共同研究:学際
際日本研究専攻准教授)ほか
2名
編集後記
IFERIニュースレター第7号をお届けします。IFERIの活動も3
年目に入り、いよいよ大学院GPによる支援期間の最終年度を
迎えました。GP事業の成果を問い、支援期間終了後の展望を
探る1年となりますが、そのプロセスをこのニュースレターを
通して共有していきたいと思います。
IFERIは、発足当時からGP事業の推進母体であると同時に本
研究科における専攻の枠を超えた教育と研究のインキュベー
タとして位置づけられてきました。その原点を確認する意味
も込めて第7号からニュースレターをリニューアルし、G P事
業以外のインターファカルティな教育研究活動についても積
次号 CONTENTS
極的に取り上げていくことにしました。(JI)
大学院GP事業の活動報告
発行日 — 2009年6月30日
平成21年度前期合同研究発表会
発行者 — 青木三郎 (IFERI運営委員長)
第3回北京大学・清華大学・筑波大学三大学合同セミナーなど
連絡先 — 筑波大学人文社会科学研究科
本研究の特色ある教育的取り組み
教育プロジェクト支援経費による「人社系PFPプログラム構築のためのOB・
電話・FAX 029-853-4091
本研究の特色ある研究
8
〒305-8571
城県つくば市天王台1-1-1
OG調査」
研究科プロジェクトの進
IFERI事務局 (共同利用棟A302-2)
状況
[email protected]
Website — http://www.hass.tsukuba.ac.jp/iferi/
IFERI Newsletter No. 7