大阪ものづくり企業読本

独 自 の 技 術・戦 略 を 持 つ
大 阪 市 の も のづく り 企 業
社
35
大阪産業創造館
[特別寄稿]
「大阪の頑張るものづくり企業を応援します」
かつて日本最大の工業都市であった大阪には、現在も優れた人
材や高度な技術を持ったものづくり企業が集積し、そこから様々な
製品が生み出されています。
未曾有の経済危機の影響や原材料価格の高騰、後継者不足
など、昨今の厳しい経営環境においても、高い技術を活かし、個性
的な製品の開発によって困難を乗り越えていこうと頑張る元気な
企業がたくさん存在しています。
大阪が全国に誇るブランドとも言うべき企業と、
そのすばらしい技術をご紹介した「大阪ものづく
INDEX
INDEX
り企業読本」は、第1弾の掲載企業について大手企業の開発担当者から問い合わせがあるなど、
ビジネスマッチングにも役立っているとのことであり、
この第2弾がより広く活用され、多くのビジネス
チャンスにつながることを期待いたしております。
大 阪はものづくりのまち、中小 企業のまちであり、今後とも、皆様 方と力を合わせて、活気あ
ふれる「 元 気な大 阪 」の実 現に力を注いでまいりますので、皆 様 方のご支 援、ご協 力をお願
い申しあげます。
皆様方のご発展、
ご繁栄をお祈り申しあげまして、
ごあいさつといたします。
経験豊かな企業OBによる技術マッチング
【ビジネスチャンス倍増プロジェクト】
大阪産業創造館「ビジネスチャンス倍増プロジェクト」は文字通り、ものづくり企業の「ビジネスチャンス=売上げ・販路を拡
大する」ために2002年4月から活動を開始しました。
ものづくりに関する特殊な技術・知識を持ち、人脈と経験豊かな大手企業の技術系OBが「マッチングナビゲーター」として
現在約50名在籍しており、大阪市内の中小ものづくり企業を訪問。それぞれの企業が抱える課題をヒアリングしています。
その後の活動では、公の支援施策などの多様な情報提供、技術的な相談、そして訪問先企業と大手・中小企業同士などを結
び付ける「ビジネスマッチング」を通じて、販路拡大や新製品の開発、新分野への進出をお手伝いしています。
プロジェクトの仕組み
マッチングナビゲーターが
訪問企業に電話
●現状の課題や求めている内容をヒアリング
約50名のマッチングナビゲーターがそれぞれ、大阪市内の中小も
のづくり企業にまずは電話でコンタクト。同プロジェクトの内容を説
明し、
現状をヒアリング。必要とあれば訪問のアポを取る。
●経営者や技術分野の責任者にさらに詳細なヒアリングを行う
ここが
ポイント
マッチング会議
ここで企業の課題や要望を把握する
■ 営業をしたことがない
■ 他社と共同で技術開発をしたい
■ 技術開発で行き詰まっている
■ 今の取引先だけでは不安だ
■ 独自に開発した技術の使い道がない ■ 大手企業にアプローチしたい…など
INDEX
INDEX
大阪市内
中小製造業へ訪問
マッチングナビゲーターが、
各社を訪問し得意分野や強み、
保有技
術や製品、
生産体制、
担当者の熱意など詳細を聞く。
●マッチングナビゲーターが一堂に会して情報交換
訪問した企業の情報を持ち寄り、情報交換。製品のサンプルや、
写真などを公開し、議論。
その後、
お互いのネットワークの中から、
各企業にぴったり合ったマッチング先を模索。
※マッチング会議は月に1回。
会議での情報を踏まえ、
マッチング先探し
●マッチングナビゲーターの持つ経験や人脈を活かし、
最適なパートナーを決定
これまでに同プロジェクトで蓄積された企業データやマッチングナビ
ゲーターが現役時代に築き上げた人脈・経験を活かして、各企業
に最適なマッチング先を決定。
マッチング先
■ 大手メーカー・商社
■ 中堅・中小企業… など
●企業とともにマッチング先へ訪問し、製品・技術を紹介
マッチング先へ訪問
マッチング成立
予めマッチングナビゲーターが把握しているマッチング先のニーズ
に照らし合わせながら、
企業の情報を提供。
この際マッチング先か
ら、
技術のレベル、
生産体制、
納期、
コストなど、
さまざまな要望が出
される。
●両社が納得し、新規取引に向けた検討に入るまで見届ける
当プロジェクトは、対象を大阪市内の製造業の皆様に限定させていただいております。
また個人の方、
アイデアのみをお持ちの方のご要望にはお応えできかねる場合がございます。
ご了承下さい。
03
あ
生活便利グッズの開発とプラスチック成形組み立て
プラスチック加工と並行し商品開発 アイデア勝負の生活便利グッズ
旭電機化成株式会社
ページ
精密部品加工と治具・超硬工具の設計製作
短納期・高精度のアルミ切削加工とそれを支える治具の設計製作
05
立山工業株式会社
光学レンズ・光学フィルターを自社一貫生産
成型と溶融という2本柱で特殊ガラスの可能性を切り拓く
五鈴精工硝子株式会社
超硬工具等製造販売
徹底した品質管理で産業を支える超硬工具のプロフェッショナル集団
06
東洋ツール工業株式会社
精密プレス金型の設計・製作
生産の省力化・合理化・自動化をサポート 独自のロボットシステムを考案
株式会社稲田製作所
東洋理機工業株式会社
消臭・抗菌性の強い消臭剤を開発
有限会社エバーライフ
07
配管洗浄システム開発
な
株式会社OEG
か
電気・情報通信・機械器具製造業
株式会社ピコエイダ
プラスチックベアリング製造
粉粒体機器装置の専門メーカー
不二パウダル株式会社
あらゆる工業用水処理剤の研究・開発
強化硝子及び各種硝子製品の製造・加工・販売
強化ガラスのパイオニア プラスαの付加価値で新商品開発
09
INDEX
藤原工業株式会社
工業用機械刃物の製造販売
燃料電池の未来を担う 高速撹拌機のパイオニア企業
神谷機工株式会社
プライミクス株式会社
プラスチック製品の製造・加工並びに販売
キョーラク株式会社
さ
自動車や建材・環境の試験装置、風洞システムの製造・開発
建材や自動車の耐久性・安全性のテスト環境を実現する
10
打楽器・リズム楽器製造
本田工業株式会社
ま
自社ブランド確立で攻めに転じ職人技のドラムで世界トップシェアに挑む
株式会社サカエリズム楽器
サークルアンドスクエア株式会社
鍛造品の製造装置メーカー
株式会社万陽
太陽電池の製造販売
真空乳化撹拌装置など各種装置製造
みづほ工業株式会社
環境を選ばないセラミック製バーコードを開発
照明器具設計製作
小型で耐久性も高く省エネになるLED照明器具の開発に重点を置く
12
真空装置の設計・製作
株式会社森川製作所
や
真空装置のスペシャリスト 一貫生産体制でユーザーをサポート
誠南工業株式会社
た
株式会社ダイハン
プールクリーナーの製造販売
日本唯一のスピンドルメーカー
カートリッジフィルターの製造・企画・販売
圧倒的な高性能と低価格の産業フィルターで急成長
ワイエスフィルタージャパン株式会社
計測器、
電力量変換器、
指示計器、
計量機等の製造
タケモトデンキ株式会社
株式会社四柳
わ
高橋紡機有限会社
04
硬質クロムメッキ/無電解メッキ
10ミクロンの金属細線を透明樹脂基板にメッキする新技術
プールクリーナーでトップシェア 水底清掃ならすべておまかせ
13
繊維機械の要となるスピンドルを日本で唯一製造するオンリーワン企業
電力計測や生コン計装の草分け 多品種の粉体自動計量を可能に
21
合資会社矢野クローム工業所
過熱水蒸気発生装置開発
食品用自動製造ロボットを次々に開発 過熱水蒸気が拓く新しい可能性に着目
20
乳化・分散問題を解決 最適な装置仕様を提案する
株式会社サンドリーム
株式会社シグマックス
無溶剤・脱溶剤を実現した接着用機器・設備の製造
接着のエコロジー化をめざし無溶剤・脱溶剤を実現
高品質、
低コストを追求し続ける鍛造品加工のスペシャリスト
11
国内船舶用太陽電池シェア80% 先見性のある発想でビジネスを展開
熱にも薬品にも強いバーコードで国内外のあらゆる先進的な産業に貢献
19
松下工業株式会社
3D切削・微細穴加工など精密微細加工
高精度な微細加工技術で難易度の高い試作品製造も可能
18
乳化、
分散、
混練、
微粒化機器の製造・販売
あらゆる材料の切断にチャレンジ 産廃ゼロのナイフが主流
プラスチックのパイオニアが生むブロー成形の多様な独自技術
17
「できない」
は言わない造粒機開発のパイオニア
鹿島化学金属株式会社
株式会社片山化学工業研究所
DNA抽出試薬および分析用マイクロチップの開発・製造・販売
数分でできる抽出試薬から全自動検査装置まで遺伝子検査に革命をおこす
水道・電気・ガスの使用量を一括管理しトータルで省エネ・経費削減に貢献
08
プラスチックベアリングでシェアトップクラス 研究開発によって高品質製品を提供
水処理薬剤における国内トップメーカー 環境関連事業でも独自技術が光る
16
Biocosm 株式会社
高精度形状測定システムを開発
OptiWorks 株式会社
凝集剤の開発・製造・販売
納豆のネバネバ成分で水を浄化 環境や人体に無害な水質浄化剤
日本ポリグル株式会社
は
コストもリスクも抑える配管洗浄システム
産業用レンズの設計技術を活かし高精度の形状測定システムを開発
15
生産のシステム化とロボットアプリケーションの設計・製作
コンマ1mmの誤差も許さない 絞り金型の高い技術を極める
天然鉱石の徹底研究で生活4大悪臭に挑む
ページ
14
22
大阪産業創造館が発行するビジネス情報紙「b-platz press」で
「ビジネスチャンス倍増プロジェクト」を通してマッチングナビゲーターが出合った
中小製造業の先進的な取り組みを紹介する連載コラムがあります。
これらの事例をより多くの方に読んでいただきたいと、これまで掲載させていただいた
企業群から一部を抜粋し、さらに新規の取材先を追加して
「大阪ものづくり企業読本」として一冊の本にとりまとめました。
独自の技術や戦略を打ち立てて、厳しい時代に挑む大阪の中小製造業の
取り組みをご紹介することで、より多くのビジネスチャンスが創造できることをめざしております。
多くの方々にご活用いただければ幸いです。
【大阪産業創造館 ものづくり支援プロジェクトチーム】
※掲載している内容は、過去に取材した情報に基づいて一部再編集しております。
旭電機化成株式会社
プラスチック加工と並行し商品開発
アイデア勝負の生活便利グッズ
生活便利グッズのオリジナルブランド 「ス
商品
化する」 という視点から生まれる。年間約 30
マイルキッズ」と、プラスチック成型 ・ 組み立
アイテムの新商品を発表しているが、「開発
てを中心とする OEM の 2 本柱で事業を展開
チームが知恵を絞り、100 個アイデアを出し
する旭電機化成。ラジオ部品の製造を行って
てもモデル化するのは 1 個あればいいほう。
いたが、1993 年に業務提携した企業の商品
実際に商品として世に出るのは、さらにその
開発部門をベースに、自社ブランドをスタート
1/10 です。その中には、他社とのコラボレー
「トイレのエコメロディー」 「雨降りセンサー」 「しっ
ぷ貼りひとりでペッタンコ」 など“あると便利”
を形にしたものばかり。
させた。徐々にヒット商品が生まれ始め、
現在、 ションで初めて日の目を見たものもたくさんあ
約 360 アイテムを数えるまでに成長。今年 8 りますね」 と原氏は話す。
月の決算では、初めて自社製品の売上げが
こだわりは、顧客の声をすぐに商品改良に
50%を超えた。他にはない斬新な商品アイデ
活かす対応力にある。「ちょっとした変更なら、
アが消費者から支持され、テレビなどメディア
翌日でも対応可能」 というスピードを重視。「
にも数多くの商品が取り上げられてきた。
その場で試してみて結果を確認できれば、す
「スマイルキッズ」 は、リモコン発見器やコ
ぐに商品に反映。その小回りの良さを最優先
ンセントカバー、シリコンキャップと灯りの付
しています」 と同氏。大企業には難しい一つ
いた耳かきなど、ほかにはないアイデア商品
ひとつへの細やかな対応を武器に、今後も商
ばかり。「あったらいいな、という思いを商品
品展開していく予定だ。
旭電機化成株式会社
大阪市東成区神路4-3-18
http://www.smile-asahi.co.jp/
TEL 06-6976-1371
代表取締役
原 直宏 氏
プラスチックを有効に利用し、軽くて使いやすいグッズを開
発。「オリジナリティを重視し、
商品作りに力を注いでいます。
他社との共同開発も、積極的に行っていくつもりです」。
05
五鈴精工硝子株式会社
成型と溶融という2本柱で
特殊ガラスの可能性を切り拓く
商品
五鈴精工硝子は、一貫してガラスにこだわ
の柱が、ガラスの溶融による光学フィルター
り、独自技術を生み出してきた。戦時中はガ
製造。組成の組合せにより、紫外線や赤外
ラスボタンを製造し、戦後始めたガラス碁石
線など特定の波長範囲の光だけを透過または
は、国内シェア 90%以上。70 年代には自動
カットするように設計でき、ラインナップは多
車のヘッドライトに使われる非球面レンズや
種多様だ。
OHP(オーバーヘッドプロジェクター)向け
集光型太陽光発電システムにも、同社の
異型レンズを製造していた。
集光レンズが活躍している。これは、平板型
光を効率よく集光、拡散することができるように
設計されたレンズ「CPC」
。集光型太陽光発電
だけでなくLED 製品などに使用されている。
現在の同社の事業は、大きく分けて2つ。 の太陽光発電システムと比べ、太陽電池の基
1つは、金型成型による安定した品質と量産
板となるシリコンの面積を小さくできるため、
可能な光学レンズの製造。
「複数個のレンズ
材料費を削減。単位あたりの発電効率も高く、
が 1 枚になった『一体型レンズアレイ』は、 国内・外の集光型太陽光発電システムで導入
高品質かつ低コストで安定供給することで顧
され始めている。セキュリティーカメラなどで
客評価につながり、液晶プロジェクターの約
使われる赤外線透過ガラス、液晶パネル製
五鈴精工硝子株式会社
7 割で当社製品を使っていただいています」
。 造装置で使用される紫外線透過フィルターも
大阪市西成区南津守 6-3-6
http://www.isuzuglass.co.jp/
TEL 06-6659-1575
最小セルピッチ 0.3 の極小レンズ「マイクロ
開発。
「 技 術・研究開発に経営資 源の約
レンズアレイ」も開発。高度な成型技術が必
30%を投入。新技術の開発に全力を注ぎ、
要な大型レンズ開発にも取り組む。もう1つ
顧客のニーズに応えたい」
。
代表取締役社長
垂水 孝至 氏
「一体型レンズアレイを金型で成型することは、
光学業界で画期的な技術です。
その基礎技術が、
新製品開発に重要な役割を果たしています」
。
株式会社稲田製作所
コンマ1mmの誤差も許さない
絞り金型の高い技術を極める
「絞り金型は、稲田製作所に持って行け」 しまで一貫して対応している。 と言われるほど、絞りにこだわった高い技術
「大切なのは、曲線部分の滑らかさと適正なク
同社の取引先はプレス会社のほかに、大手
リアランス(すきま)
。製品がプレスの過程で
力を誇っているのが稲田製作所だ。精密プレ
家電メーカーへの直接納入も行っており、長
割れてしまうのを防ぐため、人間の手で曲線
ス金型の設計・製作を専門に行っていて、な
年にわたる信頼関係を築いている。大型液晶
を磨き、滑らかにします。さらに絞る過程で、
かでも、浅絞りや深絞りの順送金型製作を最
パネルやIH調理器トップ部品、石油ファン
金型は熱を帯びてわずかに膨張するんです。
も得意としている。20 〜 30トンの小物プレ
ヒーター板金パネルなど、さまざまな製品の
そんな誤差を調節するのは機械ではなく、やっ
スから 500トンクラスの大物プレスまで、幅
金型を作ってきたが、大手家電メーカーの
ぱり人間の勘でしかできません」
。すでに同社
広い金型を製作し、順送型、
ロボットプレス用、 ウォーターレンジ開発には、研究段階から関
の金型は、次世代電池やソーラーパネルなど
の新技術にも、大いに活かされている。
単型などそれぞれに適した製作も可能だ。プ
わった。また、難易度が高いSUS(ステンレ
レス材料としては、鉄、ステンレス、プレコー
ス鋼)大型タンクの深絞り金型も完成させて
ト鋼板などを使用。金型設計から製作、型押
いる。その技術力について、
稲田氏はこう語る。
株式会社稲田製作所
商品
大阪市平野区長吉川辺 2-8-11
TEL 06- 6707-2648
代表取締役
稲田 孝明 氏
高い技術力で、自らが創業したこの会社を誰もマネのでき
ない金型作りを行い、その名をとどろかせるまでに育てた。
大手家電メーカーも頼りにしている存在だ。
06
ストーブやレンジ、ガスバー
ナーなどの部品製作に使う
深絞り順送金型。
有限会社エバーライフ
天然鉱石の徹底研究で
生活4大悪臭に挑む
生活4大悪臭とされるトリメチルアミン、メ
れんものやろか」と考え出したのがきっかけだ。 に塗りこむことで商品の応用範囲が広がった。
チルメルカプタン、アンモニア、硫化水素。数
炭や光触媒といった既存の素材や技術も試し
多くの消臭剤が出回っているが、このすべてに
たが限界を感じ、医王石などの天然鉱石に着目。 じ、早くに出世したが、実業の世界に興味を
顕著な効果を持つ商品は少ない。エバーライフ
組み合わせや配合比で試行錯誤を繰り返しな
持った。
「三枝さんから教わったのは、人と違
桂三枝に弟子入りして落語の世界に身を投
の消臭剤「エルム」はその難題を克服してみせ
がら、納得いくものに仕上げていった。
「その鉱
う発想でないと長続きせえへんということ。そ
た。外部機関による分析データが何よりそれを
石自体にはあまり効果がなくても組み合わせる
の言葉が生きています」
。消臭だけでなく強い
雄弁に物語る。効果の正体は、悪臭のもとに
ことで相乗効果を発揮することもあるんです」
。
抗菌性についても公的機関で効果は実証済み
吸着し、分解する働きを持つ天然鉱石で、これ
限られた容量で最大限の効果を発揮するた
で、黄色ブドウ球菌や大腸菌は死滅するとい
を10 種類ほど組み合わせて商品化した。
めに、粒子をナノ化し、水に溶かして使うこと
う。現在はさらに強力な商品を開発中で、口
会社員時代、葬儀関係の知人から持ち込ま
を考えついた。
「普通やったら鉱石を混ぜても
コミだけで舞い込んでくる商品開発依頼に追
れた相談に乗るうち、
「遺体の臭いを何とか取
沈んでしまうと思うでしょう」
。不織布や壁材
われている。
有限会社エバーライフ
商品
大阪市淀川区西中島5-7-14- 8F
TEL 06-6306-5229
代表取締役
上埜 嘉文 氏
剣道用の道具袋から靴の
中敷まで用途は幅広い。消
臭・抗菌効果を生かし介護、
医療向けにも可能性が広
がる。
「何より体感してもらうことが一番」と、アンモニアを使った
比較実験のキットを常に持ち歩く。
株式会社OEG
コストもリスクも抑える
配管洗浄システム
食品工場の製造ラインに張り巡らされた配
ていた時に、
洗浄システムの原型を開発し、
「こ
管の内部には、使ううちに原料などがこびり
れは商売になる」と独立。ラインを止めて、
ついていく。そのままにしておくと通りが悪く
管をはずし、水で高圧洗浄していた多くの工
なるなどのさまざまな弊害が出る。この課題
場が、口コミだけでこぞって採用した。管の
を解決するのが同社の配管洗浄システムだ。 内径や使う原料に合わせて、材質や大きさを
掃除をしてくれるのは空気圧を使って管内を
変えて作るオーダーメード商品。
「既存の配管
突き進む「PUSHKUN(プッシュクン)
」と呼
に取り付けるだけで簡単に洗浄でき、押し出
ばれる“弾丸”状の物体。管の内部を円滑に
された原料は再利用できる。安全面、コスト
進むよう先端部が球状になっており、その後
面でもメリットは大きい」と、食品、化粧品、
ろについた羽が内壁に密着して、原料を押し
工業用液体メーカーなどを中心に多くの納入
出しながら進んでいく。素材には弾力性のあ
実績を築いている。
るシリコンゴムなどが使われており、カーブ部
納入先のニーズに応えて、さまざまな構造
商品
スタート管
キャッチャー管
PUSHKUN
「PUSHKUN」
を空気圧及び水圧で押し出すスター
ト管、受け止めるキャッチャー管を組み合わせる
システム。
分も難なく通過する。
「99%は取り除けます」 を持つ「PUSHKUN」や、配管の枝分かれに
株式会社OEG
と安藤氏。
「PUSHKUN」を押し出すスタート
対応するための調整バルブなども開発し、特
管と、受け止めるキャッチャー管を製造ライン
許を取得。
「おそらく競合メーカーは国内には
大阪市天王寺区小橋町2-1 岡田ビル 1F
http://www.pushkun.com/
TEL 06-6765-1222
に組み込むだけで、すぐに利用できる。
ない。まだまだ導入先はある」と更なる開拓
もともと食品メーカーの設備管理を担当し
に力を入れる。
代表取締役
安藤 寿美男 氏
「PUSHKUN」はドイツ、韓国など海外でも販売
実績があり、
「今後はもっと世界で売っていきたい」
と話す。
07
OptiWorks 株式会社
産業用レンズの設計技術を活かし
高精度の形状測定システムを開発
商品
精密部品を扱う生産工場では時にナノ単位
状測定システム「モジュラー型オプティカル・
(10 億分の 1)の精度で製品の形状や表面の
ペン」
。色収差を持つ結像レンズを使い、光
粗さ、欠損などを測定する必要がある。そん
の波長によるピント位置の違いを利用して寸
な高品質が要求される産業用レンズをはじめ、 法を測定。金属やゴム、ガラス、皮革、弾性
各種光学システムの設計・製造・販売を行う
体、液面など、あらゆる対象物の面の形状が
のが OptiWorks だ。同社の強みは、レンズの
ナノレベルで測定可能で、PC を通じて数値
測定データをリアルタイムに出力できる「モジュ
ラー型オプティカル・ペン」
。
設計から加工まで、一貫して対応できる点。 データや三次元の立体画像を表示できる。フ
光学システムの設計には高度な技術が伴うた
ランスのパートナー企業の装置をベースに、
め、レンズの加工はできても設計ができる中
同社の高度なレンズ設計技術を駆使して開発
小企業が少ない中、
「高い技術開発力と国内
した。こうした高精度測定システムは高額機
外の緊密なネットワークを武器に、顧客が求
器を導入するしかないのが現状で、中小企業
める高品質の光学製品を設計から請け負いま
には手が出ないことが多い。
「しかし、当社の
す」と土肥氏。同氏は長く産業用レンズの開
システムは用途に合わせて機能が選べるモ
OptiWorks 株式会社
発に携わってきたスペシャリストで、設計から
ジュラー型。費用を抑えて必要な機能のみ導
成形、研磨などの加工に至るまで、卓越した
入できます」と光学製品を扱う中小企業を含
大阪市中央区安土町1-2-4 ミツルプラザ2F
http://www.optiworks.jp/
TEL 06-6264-7310
技術とノウハウを持つ。
め、ニッチ分野での普及をめざしている。
同社が昨年発表したのが非接触三次元形
代表取締役
土肥 寿秀 氏
「
『オプティカル・ペン』は精密金型の測定に使え
るなど用途は多彩。販路開拓に注力しつつ、新
たなレンズ開発にも挑戦しています」
。
鹿島化学金属株式会社
プラスチックベアリングでシェアトップクラス
研究開発によって高品質製品を提供
金属加工業からスタートし、いち早くプラ
いるので、プラスチックが金属にとって変わ
スチック製品の製造・加工へと転換した鹿島
ることはありません。しかし我々が狙うのは、 年度 戦略的基盤技術高度化支援事業」の
化学金属。すべり軸受け、加工品、ギアー、 金属ベアリングで対応不可能な分野。金属
補正予算事業で、「位置決め装置用低発塵プ
ピローブロックという4つの柱で業績を伸ば
をサポートするサブとしてお役に立ちたいと
ロセッシングプラスチック軸受の開発」にお
してきた。昭和 60 年頃からは、プラスチッ
思っています」と鹿島氏。すでに半導体や
いて認定を獲得している。
クベアリングというニッチ分野に着目し、企
液晶の洗浄機、医療用具、電気・電子部品、 「研究開発で得た情報をもとに、プラスチッ
画・製造をスタート。水中・海中で使用して
計量器・計測器などで利用されている。
クで出来ること、あるいは出来ないことを正し
も錆びたり腐食したりせず潤滑油も不要、耐
加えて、プラスチックベアリングの品質向
く伝える。それが誠意だと考えています。薬
薬品性・耐摩耗性・非磁性というプラスチッ
上にも力を注ぐ。九州大学との共同研究で、 品や熱にも強く、性能にも優れた材質を使用
クの特性を活かし、市場を開拓している。
「金
劣化の少ない材質の選定や、熱で膨張する
し、プラスチックベアリングの限界に勝負し
属は高速回転における精度・強度に優れて
弱点の補強、精度の安定などに取り組む。そ
ていきます」
。
鹿島化学金属株式会社
大阪市西淀川区姫里2-9-21
http://www.kashima-kagaku.com/
TEL 06-6472-0556
代表取締役社長
鹿島 祐二 氏
「プラスチックのスライドベアリングの商品化、スプロケット
とプラスチックベアリングの組み合わせ提案など、すでに
次の事業展開も仕掛けています」
。
08
の一環として、経済産業省が行う「平成 21
商品
耐熱効果の高い「PEEK」
、
耐 薬 品 性 に 優 れた
「PCTFE」など、性能に優
れたプラスチックベアリン
グの一例。
株式会社片山化学工業研究所
水処理薬剤における国内トップメーカー
環境関連事業でも独自技術が光る
製鉄、石油化学関連、製紙業などの工場
のソリューションを提供しようと考え、対環境
る「バラスト水処理システム」がある。製鉄、
で使われるボイラーや冷却水用の水処理薬
問題の商品に力を入れるようになったのです」 石油化学工場や発電所などで使う冷却用海
剤。熱交換器への海洋生物の付着を、殺さ
と片山氏は話す。
ず忌避させることにより防止する海水冷却水
その代表的な商品が、全漁連と共同開発し、 のオンリーワン商品だ。ほかに土壌改良剤 「
水系水処理剤 「シェルノン」 とともに、同社
系付着生物防止剤。片山化学工業研究所は、 過酸化水素系薬剤を用いた養殖魚の寄生虫
ホットソイル」 やノンケミカル住宅用防湿防
そのような水処理薬剤の分野において、国内
駆除剤 「マリンサワー」。トレーサビリティー
蟻シート 「ミラクルシート」、食品改質剤「グ
トップクラスのシェアを誇る。創業当初は水
への関心が高まって以降、それまでのホルマ
ルパール」や「ほぐれパール」など、ユニー
処理薬品のアフターサービスとして、廃水の
リンに代わって需要が伸び、トップシェアを
クな商品を多数開発。共通するのは、安全性
分析作業をしていた。顧客の関心や社会の
誇っている。同じく過酸化水素系薬剤を用い
と環境への配慮。「環境問題への課題はます
ニーズが、環境や人の安全へ向かい始めたの
た技術として、船舶のバラスト水による生態
ます増えるでしょう。その問題を解決できる製
を機に、
「分析だけでなく、廃水に対する課題
系破壊を防ぐためのプランクトン等を処理す
品や技術を開発し続けます」。
商品
株式会社片山化学工業研究所
大阪市東淀川区東淡路1- 6 -7
http://www.katayama-chem.co.jp/
TEL 06 - 6322- 0176
代表取締役社長
片山 博彦 氏
定期的に依頼される、工場
の廃水分析調査。値が基
準値以内かどうかを調べ、
改善対策を提案する。
水処理薬剤や環境対策商品のノウハウを活かし、企業から
の環境分析も請け負う。「分析後の対策もアドバイスできる
ので、重宝していただいています」。
神谷機工株式会社
あらゆる材料の切断にチャレンジ
産廃ゼロのナイフが主流
日本の産業の大半は加工業で、その加工を
ナイフだ。鋸で切ると切り粉が発生し、それ
支えるのが刃物だ。ただ、時代とともに切削
が産業廃棄物になってしまう上、材料のロス
素材は劇的に変わり、たとえば建築資材では、 も大きくなる。その点、ナイフ状の極薄刃は
木材よりも石膏ボードやセメント板などが主
それを解消。
「今や、ナイフでソーラーパネル
流に。神谷機工はそんな流れにいち早く適合
やフィルム、鉄まで切ることができます。世
し、あらゆる工業用刃物・カッターの生産を
の中がエコへと向かう中、環境にやさしい刃
得意としている。
「次々に新素材が開発されて
物作りを行うことは大きな成果だと思います」
。
いますが、それをどうやって切ればいいのか
また、歪みのない薄板鋼板を作る技術にも自
困っておられるお客様が多いのも事実。その
信を持つ。1万回転といった高速にも耐えうる
悩みを解決する方法を、我々は提案させてい
よう、腰入れを行い刃に力をたくわえる。
ただきます」と神谷氏。その課題解決能力を
同社には豊富な刃物の知識を持つ「刃物コ
頼りに、1日に 2、3 件の新規案件が持ち込
ンサルタント」が常駐。さらに製造や販売だ
まれていると言う。
けでなく、再研磨といったアフターサービスに
同社は木質材料からプラスチック、窯業系
も重点を置く。
「ただ販売するメーカーではな
材料まで幅広い業種に対応。現在、力を入れ
く、切削工具における課題を、お客様ととも
ているのが「環境にやさしい刃物」である丸
に一つひとつ解決、改善していきます」
。
商品
食品、繊維・布、タイヤ・ゴム、レザー、ファイバー
グラス、アクリル、銅、真鍮、アルミ、ステンレス、
鋼管、
鋼材など、
あらゆる素材をカットする刃物を製造。
神谷機工株式会社
大阪市平野区平野西4-10-23
http://www.kamiya-saw.co.jp/
TEL 06-6702-3022
代表取締役社長
神谷 明史 氏
「木材を切る丸鋸から始まり、現在は、工業用刃
物にまで守備範囲が拡大。PCD ダイヤモンド刃
物の非接触放電による研磨は、20年も前から採
用しています」
。
09
キョーラク株式会社
プラスチックのパイオニアが生む
ブロー成形の多様な独自技術
商品
プラスチック製品を作り続けて 60 年。 資材用樹脂コンテナで、その先駆けが 「タフ
キョーラクでは 「ブロー成形」 を軸に、独自
パック」 だ。製品の中空部に面加重に強い特
の加工技術を積み上げてきた。食品容器に使
許技術 「インナーリブ」を用い、軽量・高剛
用される 「多層ボトル」 容器は酸素・水蒸気
性の樹脂パネルを実現。フラットディスプレ
など外からの進入を多層構成によって防ぐこ
イやワイヤーハーネスなどの輸送にも採用さ
とで、内容物を新鮮なままで保管できる特殊
れ、返却時には1/7サイズに折り畳むことが
ブロー成形技術。発泡材とブロー成形を組み
でき、取り扱いしやすいというもの。続く新商
合わせた多様な特殊工法も、他社にはないレ
品として、ブロー成形でありながら中空部のな
ア技術。自動車の空調ダクトで実績化したも
いトレー形状が可能な「タフトレイ」
、金型費
ネスティング状態
スリーブ部分には 3 層ダンボールを組み合わせ
て使用する 「タフパック」。
のとして「発泡ブロー成形」がある。これは、 不要で希望サイズの製品が作成可能な「フ
通常のブロー製品より軽量化・断熱材レスに
リーサイズ樹脂パレット」なども積極的に展
よるコストダウンを実現。また、
「スーパーブ
開している。
ロー」は、成形中に中空部へ発泡材を充填で
「あらゆるものに対してスぺシャリティを追
キョーラク株式会社
きる特殊成形技術で、剛性・断熱・防音機
求すること、より良いものをめざし挑戦するこ
能を持たせた樹脂パネル材として、住宅設備
とがモットー」 と北野氏。長年にわたり蓄積さ
大阪市中央区瓦町2-3-10 瓦町中央ビル
http://www.krk.co.jp/
TEL 06-6203-1301
業界を中心に採用されている。
れた成形技術で、今後もプラスチックの可能
大阪支店長兼京都支店長
近年、新たな販路として見出したのが物流
性を開拓し続けている。
「食品容器とともに自動車部品や工業部品、住宅
資材、物流資材など幅広い分野でブロー成形を
活かしたプラスチック製品をつくりたい」。
北野 良二 氏
株式会社サカエリズム楽器
自社ブランド確立で攻めに転じ
職人技のドラムで世界トップシェアに挑む
世界トップ 10 に入るドラムメーカー。シェ
ラジオ放送がスタートした 1925 年。その後、 ンガを用いて差別化を図り、チューニングしや
ア上位の国内メーカーが相次いで海外生産
ドラム製造を自ら手がけ、1965 年頃には、大
すいようネジの締めやすさにも配慮し、スナッ
にシフトする中、サカエリズム楽器は国内生
手楽器メーカーと取引が始まった。現在、そ
ピーの張り具合を変えるストレイナーの操作感
産を守り続けている。東住吉区の工場には、 の楽器メーカーが販売する中・高級ドラムの
にもこだわった。ドラムを扱う国内の楽器店を
ドラムの胴に当たるシェルに使う板を型には
中心に取り扱いを増やしているが、創業 85
すべてを OEM で供給。2005 年に母からバト
め、丸く曲げる作業が丹念に行われていた。 ンを受け社長に就任した中田氏は、長年温め
周年となる 2010 年 1月に米国ロサンゼルス
接着剤は、季節や天候で配合を微妙に変え
ていた自社ブランドの立ち上げを実行に移し
で開かれる国際楽器見本市 「NAMM Show」
る。「単純な構造だからこそ、一つひとつの
た。OEM の供給先に配慮すべき、と社内には
で
「SAKAE」
ブランドの世界デビューも果たす。
工程に対する手間のかけ方で音に差が出る」
反対する声もあったが、「自分が思い描くドラ 「3 年後には自社ブランド製品を全売上げの半
と中田氏は言う。
ムを形にしてみたい」と意志を貫いた。要であ
分にまで高め、6 年後には中・高級ドラム市
祖父が楽器の輸入商を始めたのは、日本で
るシェル材には従来とは違うマホガニーやブビ
場で世界シェアトップをめざします」
。
株式会社サカエリズム楽器
商品
大阪市東住吉区今川4 -21-27
http://www.sakaedrums.com/
TEL 06 - 6702-1257
代表取締役
中田 栄蔵 氏
ドラムに使われる部品点数の約7割は金属部品が占める。
「大阪は町工場が集積しており、必要な部品がオンタイムで
そろう環境がうちの強みになっている」と話す。
10
自 社 ブ ラ ンド のド ラ ム
「SAKAE」
。高級感が漂う
デザイン性が人気を博して
いる。
サークルアンドスクエア株式会社
高精度な微細加工技術で
難易度の高い試作品製造も可能
プラスチック素材からジュラルミンや銅な
でなく、自由曲面の切削や3D 加工にも対応
作られるので非常に小さく、技術を要する。
どの金属まで、あらゆる素材の切削や加工を
できるのが当社の最大の強みです」と小田氏。 このような高精度の微細切削加工は、いかに
行うサークルアンドスクエア。さまざまな企業
試作品製作が多いため、具体的な図面がない
精度の高い位置出しと固定ができるかにか
の企画開発部門からの依頼で、試作品の製
段階でのオーダーも多く、その時々の依頼に
かっている。
「当社の場合、XYZ の 3 点座標
作 に 携 わ っ て い る。 得 意 と す る の は
従って、2D または 3D データを作成。そこか
軸でミクロン単位の位置合わせができ、固定
1/1000mm つまりμ ( ミクロン ) 単位の微細
ら加工用データを作り、マシニング加工を行っ
に必要な治具も自社で製作します」
。治具は、
加工。LED 用の微細電極や内視鏡用鉗子、 ている。
加工後の製品を洗浄したり、メッキなどの二
センサー関連の試作品などに技術を活かして
現在、最も力を入れているのは、LED 関連
次加工をする際にも使うため、量産後にも必
いる。微細部品を作っているメーカーから試
の製品。代表的なものとしてアクリル樹脂で
要になることがある。「治具も作れますから、
作を依頼されることもある。
「ミクロン単位と
作る LED 用レンズがある。携帯電話用レン
当社に発注していただければ大きなメリットに
いう高精度にも対応し、幾何学的なものだけ
ズの場合、機器に組み込むことを前提として
つながると自信を持って言えます」。
商品
サークルアンドスクエア株式会社
大阪市鶴見区安田2-2-45
http://www.csq.co.jp/
TEL 06 - 6911- 5115
代表取締役
3D データからマシニング
加 工 を 施した、 現 物 の
1/2500 サイズのツインム
スタング。高度な加工技術
がうかがえる。
(守秘義務
上、加工品は掲載できない
ため、写真はサンプル)
。
小田 昌宏 氏
「3次元の複雑形状・自由曲面などの微細切削加工に自信
があります。ミクロン単位の誤差削減など、さらなる精度の
向上をめざします」
。
株式会社サンドリーム
国内船舶用太陽電池シェア80%
先見性のある発想でビジネスを展開
サンドリームは、設立当初より太陽光発電
の製造販売事業からスタート。現在では、船
の先駆けとして、国内にとどまらず、世界の
舶向けの独立電源用太陽電池 80%のシェア
商品
太陽電池応用市場を開拓してきた。特に、中・ を誇るまでに成長した。また、独立電源向け
小型太陽電池パネルの製品開発において、 の中・小型太陽電池パネルの市場において、
世界レベルの高い技術力には定評があり、官
多品種少量のニーズに応える独自の生産技術
太陽電池パネルは特殊な形状や、折り畳みも可
能で、あらゆる用途に対応できる。
公庁や大手電機メーカーと取引を行っている。 を着実に積み上げているのが同社の強みであ
近藤氏は、起業前に商社に勤務していた。
「そ
る。
注目はカスタムメイドの太陽電池システム。
の頃、原子力発電や石炭液化ビジネスなど、 折り畳みも可能な多様形状で、用途も幅広い。
石油代替エネルギーの事業に携わりました。 近藤氏は自身の経営哲学を
“生き残り戦術”
そのときに、石油エネルギーに頼っている現
だと述べる。
「先見性と柔軟な経営姿勢で、
代社会に、ある種の限界を感じたんです。
“今
新たな道を開拓していくこと。
一寸先は闇でも、
後は自然エネルギーが求められるようになる” 千載一遇のチャンスをつかめるはずです」
。世
と」
。まさに、先見の明と言える発想で、会社
界市場を視野に入れた製品開発を推進してい
株式会社サンドリーム
を立ち上げた。
くという同氏。その先見性のある発想と実行
「太陽電池事業は新規参入のハードルが高
力で、今後さらにビジネスフィールドを広げて
大阪市北区本庄東3-10-19
http://www.sundream-jp.com/
TEL 06- 4708-3725
い」という同氏は、まず自家発電用太陽電池
いく。
代表取締役社長
近藤 彰 氏
「太陽電池 1 枚から太陽光発電システム、産業用・
レジャー用など、実績とデータをもとに、さまざま
な用途に対して最適なシステムを提案します」
。
11
株式会社シグマックス
熱にも薬品にも強いバーコードで
国内外のあらゆる先進的な産業に貢献
バーコードといえば、スーパーなどのレジで
ラベル」の商品化を機に、新聞・雑誌等に紹
ピッ!と読み込まれるシールを誰もが思い浮か
介され、国内・海外のあらゆる産業から問い
べるだろう。しかし、シグマックスが開発した
合わせが相次ぎ、全世界で年間最高 1 億枚
バーコードは千数百度の熱にも耐え、酸やア
以上を供給した実績もある。
ルカリなどにも強いセラミックでできたバー
「未焼成のセラミックでシールのように簡単
コードだ。開発者でもある代表の山野氏は開
にプリンター印字できる『セララベル - グリー
発の経緯をこう語る。
「以前、
ある大手メーカー
ン』は、メガネレンズからアルミ製品、セラミッ
から、熱に強いバーコードがほしいと依頼が
ク基板、特殊鋼、陶磁器など、使用温度や
あったんです。工場で製品管理のために貼る
製品の素材に合わせて作られ、用途が拡大し
んですが、製造過程で数百度になるので、燃
ています。工場の自動化とトレーサビリティの
えて無くなってしまう…と。それならセラミッ
厳格化という流れの中で、弊社が貢献できる
ク製にして陶器に絵付けする釉薬でバーを印
分野は増えていくでしょう」
。燃料電池の製造
ゆうやく
商品
通常の紙用ラベルプリンターで現場発行が可
能な、未焼成のセラミックラベル、
「セララベ
ル - グリーン」
。
刷すればいいんじゃないかと私は考えたんで
や先進医療の試薬管理など、すでにたくさん
株式会社シグマックス
す」
。そうしてできた「セララベル」は 130 枚
の案件が寄せられている同社の今後の活躍に
の受注となり、その後、ブラウン管を作るメー
期待したい。
大阪市西区土佐堀1-4-8 日栄ビル 7F
http://www.sigmax-ltd.com/
TEL 06-6444-1320
カーから毎月 20 万枚の受注へと続く。
「セラ
代表取締役
山野 稔 氏
前職では大手磁気テープメーカーで、おもに磁
石の研究開発をする研究者だった。セラミック
製バーコードラベルを自ら開発した。
誠南工業株式会社
真空装置のスペシャリスト
一貫生産体制でユーザーをサポート
ものづくりにおいて、その清潔性や物理的
金属疲労を生じやすく、当社の持つ溶接の技
に加工しやすい特性から真空環境が求められ
術力が大きな強みとなっています」と亀井氏。 機関、大手企業からの引き合いは絶えること
る工程は多い。同社は、真空を作りだす排気
かつて大阪市立大学に納めた真空装置では、 がない。近年、納入先から重宝がられている
装置や真空下での多様な加工を実現する真空
国内最高の真空到達度を達成したこともある。
のが、誰が操作しても実現したい成膜性能に
装置メーカー。最近では、太陽電池の性能を
設計から製造、搬送、メンテナンスまでを
なるよう保証する「性能保証付き成膜装置」
。
左右する重要な工程において、最適な加工を
一貫して担えることから、ユーザーの細かい 「企業だけでなく、独立法人化によって国公立
探し出すための実験装置なども供給している。
要望を取り入れて装置に落とし込む力には定
大学も近年は開発型研究への志向が強く、基
もともと潜水艦向けなどの高度な溶接加工
評がある。中でも対象となる試料に薄い膜を
礎研究分野の人員が手薄になっています。そ
を手がけてきたが、30 年ほど前から真空装置
張る成膜装置に関しては、10 種類を超える
こを担うのが私たちの役割」
。ユーザーが困っ
の製造を開始。
「装置は、使う際に真空度を高
成膜方法のすべてに対応し、各々の装置を開
ている課題を見つけだし、常に一歩先んじる
められるよう高温、低温状態を繰り返すため、 発できる。また、ニーズに応じて最適な成膜
誠南工業株式会社
方法を提案することができ、大学や公的研究
開発で、オンリーワンを磨き続けている。
商品
大阪市住之江区北加賀屋4-3-24
http://www.seinan-ind.co.jp/
TEL 06- 6682- 6788
代表取締役社長
亀井 龍一郎 氏
平均年齢は30代前半。
「ものづくりに興味を持つ若い子は
多い。そのまっすぐな姿勢にこちらが打たれる」
。
12
要望に合わせて一台一台
設計を行っている。
株式会社ダイハン
食品用自動製造ロボットを次々に開発
過熱水蒸気が拓く新しい可能性に着目
10 年前に開発した過熱水蒸気を使った食
果が認められ、中小企業優秀新技術・新製
力に目をつけ、IHを使った調理機器を食品
品調理装置「スーパースチロボ」は、それま
品賞で優秀賞を受賞した。開発のきっかけは
メーカーのニーズに応じて製造してきた。取
での加熱調理の常識を覆した。過熱水蒸気 「すでに開発していた電磁調理器から発生す
得した特許は、これまでに国内・外で 40 件
とは、沸騰して発生した飽和水蒸気に熱を
を超えている。
る高温の水蒸気に肉をかざして食べたとこ
加え 100℃以上の高温にした水蒸気のこと。 ろ、驚くほど美味しかったことから思いつい
さらに開発に取り組んでいるのが、過熱水
水分でありながら大きな熱エネルギーを持つ
た」と植村氏は振り返る。
蒸気を利用した家庭用の廃棄物減容装置。
ため、素材の旨味を引き出しながら焦げ目を
寿司店向けの薄焼玉子全自動製造機を皮
過熱水蒸気の熱で、プラスチックや食品残
つけることができ、酸化による栄養の損失も
切りに、だし巻玉子を1時間に 350 本以上
渣など、家庭から出るごみの大半を炭化して
防ぐ。
また、
ガスやボイラーを使用しないので、 製造できるだし巻き玉子全自動製造機「エッ
しまう。「1 家に 1台あればゴミの問題は解決
爆発や不完全燃焼による一酸化炭素中毒を
グロボ R」を開発。その後、環境・安全性・ しますよ」 と同氏。過熱水蒸気という、新し
起こす恐れがなく、安全性が高い。その成
熱効率に優れるIH ( 電磁誘導加熱方式 ) の
い熱媒体の限りない可能性にかけている。
商品
株式会社ダイハン
大阪市北区長柄中3 -12-22
http://www3.osk.3web.ne.jp/~daihan/
TEL 06- 6881- 2203
代表取締役
冷凍魚 ・肉・ パンなど冷凍
食品では、解凍と焼きの 2
工程を一度に短時間で行
うこともできる「スーパー
スチロボ」
。
植村 元昭 氏
「発明が趣味」という植村氏のアイデアを元にした機器は、
大手食品製造会社、大手外食チェーンなど、名だたる企業
で利用されている。
高橋紡機有限会社
繊維機械の要となるスピンドルを
日本で唯一製造するオンリーワン企業
日本の紡績産業を〝軸〟で支え続けてきた
の硬度を上げることで、飛び抜けた耐久性を
企業がある。1935 年の創業以来、繊維機械
実現させている。
「ヨーロッパの製品は約 2 割
用スピンドルの専用メーカーとして事業展開
安いが耐久性は約 7 割低い。当社は品質の
商品
してきたのが高橋紡機だ。
〝スピンドル〟とは、 高さで勝負したいですね」と高橋氏は語る。
高速回転させて糸を巻き取る際の〝軸〟とな
現在、30 年前に製造されたスピンドルの
る重要部品で、糸をボビンに巻き取る精紡機
交換時期でオファーが集中しているが、今回
1台につき 500 ~ 1000 本が用いられている。 納品すれば次の注文は 30 年後。
「品質のい
国内の紡績産業の衰退と共に同業の撤退が
い商品を作りすぎなんです」と苦笑いしつつ、
相次ぎ、現在日本でスピンドルを製造するの
新たな事業の柱として反物のシワを伸ばす機
は同社のみ。海外製品も出回る中、国内シェ
械のスレッドバーの開発にも着手。5 年がか
ア 7 ~ 8 割を占めるオンリーワン企業だ。
りでようやく製品化にこぎつけた。
同社製品がヨーロッパなどの海外製品と比
「日本の紡績産業は海外へ移転してしまい
べて圧倒的に優れているのが耐久性と回転性
ましたが、私はメイド・イン・ジャパンブラン
能。
「スピンドルは 1 分間に 1 万 5000 ~ 2
ドを守っていきます」
。日本で唯一のスピンド
万回転するのですが、当社製品は 365 日回り
ルメーカー。日本が世界に誇る技術であり、
続けても 25 ~ 30 年は持ちます」
。高速回転
財産である。
時の振動を極限まで抑え、負荷がかかる部位
高橋紡機有限会社
大阪市城東区東中浜9-11-8
TEL 06- 6961-0340
代表取締役
高橋 昌義 氏
「スピンドルの製造に携わって 45 年。この技術を
次代に継承していきたいですね」と語る。
13
タケモトデンキ株式会社
電力計測や生コン計装の草分け
多品種の粉体自動計量を可能に
商品
大正5年創業という、90年以上の歴史を
監視でコスト削減に活用できます」と三宅氏。
持つタケモトデンキは計量・計測機器のプロ
工場やビル、外食店などで利用されている。
フェッショナル集団だ。戦後は電熱器を製造
さらに力を入れているのが、粉体計量とい
していたが、電気指示計器製造を再開する。 う分野。主原料の計量を自動化している企
昭和 27 年からは、現在の主軸事業である生
業は多いが、副原料の計量が問題となって
副原料となる添加剤専用の自動計量装置。生
コンクリート計量での技術から派生し、あらゆ
る粉体の高精度計量を可能にした。
コンの計量制御システムを手がける。近年は、 いる。人の手で行う企業が多い中、同社で
マイクロ波を利用し、原材料の砂に付着する
は「粉体自動計量装置」を開発した。
「1〜
水分量を測る「水分計」も開発し、建設業
10 種類まで対応でき、それぞれ数グラム〜
界で知れ渡っている。
2トンまでの計量が可能です。もちろん、異
事業の根幹である電力計測は、省エネの
物混入も防止。食品・医薬・化学品など幅
流れで消費電力の“見える化”が課題。そ
広い業界で利用され、海外からのオファーも
こで同社が提案するのが、電力線通信シス
増えています」
。流動性の高いものや浮遊し
テム。30 年前から取り組むこの事業は、屋
やすいものなど粉によって性質が異なるた
タケモトデンキ株式会社
内の電気配線を使う通信方式。
「中継器3台
め、それに合わせた計量システムの設計が
を使えば最大 600m まで送信可能。コンセ
必要。
「機械、電気制御、生産管理システム
大阪市淀川区田川3-5-11
http://www.takemotodenki.co.jp/
TEL 06-6300-2111
ントがあれば使えるので配線工事の必要が
すべてトータルで提案できます。粉体計量で
なく、電気使用量をチェックできるデマンド
の長年のノウハウがありますから」
。
代表取締役社長
三宅 康雄 氏
「一番早く相談される企業になる」というのが三
宅氏のめざすところ。海外との技術提携による
開発など、今後はグローバル化を推進する。
立山工業株式会社
短納期・高精度のアルミ切削加工と
それを支える治具の設計製作
立山工業はミシンの部品メーカーとして創
必要な時に自社内で作ることができ、
短期納品・ も、同社の技術力の高さがうかがえる。
業したが、現在はアルミ加工に特化し、部品
コスト削減を可能にする。「加工部門とは別に
の切削・加工から金型の設計 ・ 製作、鋳造ま
エンジニア部門を設け、 超硬 ・ ダイヤ工具、 を取得した 2003 年頃から、格段にクオリティ
での受注をしている。自動車部品や実装機部
加工・測定治具などを作っています。治工具
品(半導体装着装置)
、
空圧機器、
通信機など、 の外販も多くなりました」 と長岡氏。現在では
また、
加工部品の精度にも定評がある。
「ISO
は向上。品質マネジメントシステムを確立した
ことで、チェック体制が整いました」と同氏。
小ロットから大量生産まで、多彩な部品を製
部品加工が 75%、治具や工具の設計製作の
不良品は現場で撲滅することを徹底し、不良
造。最近では、
設計段階から部品完成まで、
トー
占める割合が 25%。通常ならば、治具の図面
品として出荷された商品を極力ゼロに近づけ
タルに請けることが増えている。
をクライアントから提示されて作るが、同社で
る品質管理の高さは圧巻だ。さらに、品質管
同社の強みは部品の加工だけでなく、機械
は「こんな部品を作るための治具がほしい」と
理用の取り付けミスを感知する装置開発も
加工治工具も製作できること。加工用刃物や
仕上がり部品を提示されるだけで、要望どおり
行っており、品質向上への努力は現在も続け
治具は外注で作ることが一般的だが、同社は
の治具を作りあげることができる。この点から
ている。
立山工業株式会社
商品
大阪市平野区加美東3- 4-8
http://www.tateyamakogyo.com/
TEL 06 - 6791- 0444
代表取締役社長
長岡 義継 氏
「アルミ高精度加工では、不良品がほとんどゼロで、品質
管理に自信があります。加工治工具も自社製作なので、
修正・
変更なども短期間で対応できます」。
14
削りだし第一号でもある自
転車の空圧部品や、アルミ
ダイキャストのマウンター
部品、自動車部品など。
東洋ツール工業株式会社
徹底した品質管理で産業を支える
超硬工具のプロフェッショナル集団
金属を削ったり穴をあけたり、木材を切断
続けている。 すると負荷がかかり、不適合品が増える。当
したり、糸や布を切ったり、切削工具の用途
「1000 分の 3 mm といったミクロン単位
社では、スピード×クオリティのベストな妥
は実に幅広い。東洋ツール工業は創業から
での研磨技術に対応できる設備、小さなミ
協点を見極め、機械をコントロールする技量
35 年、一貫して切削工具を作り、数百種類
スも見逃さない技術者の技量が、安定した
を持ち合わせています」
。さらに高感度CCD
にもおよぶ製品バリエーションを誇っている。 取引につながっています」と是枝氏。同社は
カメラを搭載した三次元CNC画像測定機で
なかでも同社が得意とするのは、超硬合金を 「不適合品ゼロ」を合言葉に、徹底した品質
の検査も、
ミクロン単位の誤差も見逃さない。
使用した「超硬工具」の分野。その品質の高
管理を行っている。現在、工場は大阪と鹿
そのダブルチェックで、厳しい品質要求に応
さは有名で、大手自動車メーカーをはじめ、名
児島の 2 拠点。その生産現場で、
でき上がっ
えている。「刃物は産業の根幹。切れない、
だたる企業がOEM製造を依頼する。さらに、 た製品を技術者自らが目視や手触りでチェッ
削れないと何も作れません。だからこそ、日
外資系の超硬工具メーカーとの取引もある。 ク。この時に、チッピングと呼ばれる小さな
本の産業を牽引するような切削技術を生み出
現在の取引先は 500 社を超え、今なお増え
していきたい」 と目標を掲げる。
欠損も見つけ出す。
「生産効率を上げようと
商品
東洋ツール工業株式会社
大阪市平野区加美北1-22-17
http://www.toyotool.co.jp/
TEL 06 - 6756 -7588
代表取締役
是枝 清上 氏
エンドミル、
ロータリバー、
ダッ
シュコートは自社ブランドを展
開。円盤型の刃物は 0.3mm
まで常時、製作している。
「どんな仕事も断らないのがモットー。お客様の課題解決の
お役に立ちたい」 と同氏。最薄 0.15mm の直刃、金型部品
など、製品は多岐にわたる。
東洋理機工業株式会社
生産の省力化・合理化・自動化をサポート
独自のロボットシステムを考案
産業用ロボットのシステムは、ロボットに
くの産業分野で用途開発を行うこと。次に、
周辺機器が加わって構成される。これらを
少子高齢化社会の労働人口減少に対する、
商品
束ねて目的の動作へと導くには、機械、電気、 ロボットによる熟練作業者の技能継承」だ。
制御、ソフトウエアなど要素技術に対する
前者については、たこ焼きロボットやお好み
幅広い知識経験と、複数の機能を統合する
焼きロボットを開発し、ロボットの巧みな動き
同社の産業用ロボットは、
自動車、電気・電子、化
学薬品など、さまざまな
分野で活躍している。
視点が求められる。この役割を果たすのが、 と、その汎用性を多くの人にアピールしニー
細見氏の言う 「ロボットシステムインテグ
ズを探る。後者のモデルケースとして、熟練
レーション」 で、その代表的なものとして、 を要する鍛造作業について、ハンマーの力加
同社では高温下での作業を自動化する熱間
減や状況を分析・学習しながら作業をするロ
鍛造ロボットや微量の成分を配合、撹拌し、 ボットの実証を続けている。
評価する化学薬品分析検査ロボットなどのメ
「ものづくりの世界では、要素技術を深掘り
ニューが開発されている。
することに価値が置かれがちだが、複数の要
「きつい・汚い・危険という 3K 職場の苦渋
素技術を有機的に結び付け、1+ 1を 3 にも
東洋理機工業株式会社
作業や、特殊環境下での作業はロボットで代
4 にもできるシステムインテグレーションに
替すべき」 と説く細見氏が、ロボットの活躍
もっと価値が見出されるべき」
。細見氏の指摘
大阪市西淀川区御幣島6 -13- 60
http://www.toyoriki.co.jp/
TEL 06-6473-6667
の場を広げるために注目している2つのター
は、日本のものづくりの競争力を高めるために
ゲットがある。
「1つは、製造業に限定せず多
必要な視点でもある。
代表取締役
細見 成人 氏
次世代ロボットの開発を目的としたネットワーク
「RooBO(ローボ)
」の運営委員長も務めており、
自らを「ロボット開発請負人」と呼ぶ。
15
日本ポリグル株式会社
納豆のネバネバ成分で水を浄化
環境や人体に無害な水質浄化剤
水質浄化の実験を見せていただいた。まず
商品
工学博士として自動制御系の研究開発に
汚水で満たされたビーカーの中に〝白い粉〟 従事してきた小田氏。阪神大震災の時に生活
を入れ、かき回す。すると驚くスピードで汚れ
用水の確保に苦労し、
「近所の池の水を一瞬
が凝集し、沈殿する。あとは固まった汚れを
できれいにできたら」という思いがきっかけで
ろ過して取り除くだけ。この間、1分にも満た
水質浄化に興味を持った。ある文献でポリグ
ない。小田会長は瞬間芸とも言える速さで浄
ルタミン酸に高い保水性があることを知り、
「こ
化された水を飲み干し、
「水道水よりおいしい
れを水の浄化に利用できないか」と考え研究
ですよ」と笑顔を見せた。
を開始。偶然、最初の実験で浄化作用が確
この不思議な白い粉こそ、納豆のネバネバ
認できたが、ポリグルタミン酸は高額で大量
のなかにある成分「ポリグルタミン酸」を原
使用できないという問題が持ち上がった。そ
料に開発された水質浄化剤「PGα 21シリー
の課題解決のため、日夜試行錯誤を繰り返し、
ズ」だ。水道水の浄化に使われている凝集
実用化に成功。
剤より安全で、地球環境への負荷も軽減でき
同社の使命は「世界中の人びとが安心して
る。水中の汚濁原因となる浮遊物質や重金属・ 生水を飲めるようにすること」
。小田氏は「水
油分の除去も可能で、
「工場排水や燃料が含
不足で苦しむ途上国の人びとを救いたい」と
まれる汚水の浄化や、ダムや湖沼のヘドロの
海外を飛び回り、PG α 21シリーズを活用し
回収にも使用可能」と言う。
た生活用水の普及活動を続けている。
凝集剤の常識を覆す画期的な商品で、世界中か
ら注目を集める。環境保護で注目されるレアメタ
ルの回収にも転用できる。
日本ポリグル株式会社
大阪市中央区内久宝寺 4 -2-9 ポリグルビル
http://www.poly-glu.com/
TEL 06-6761-5550
代表取締役会長
小田 兼利 氏
「技術力がある大阪の中小企業とタッグを組んで
装置を開発し、共に世界で活動したいですね」
。
Biocosm 株式会社
数分でできる抽出試薬から全自動検査装置まで
遺伝子検査に革命をおこす
遺伝子検査が必要なあらゆる分野に対応でき
がっている。これらを通る過程で数回の検査
出の三段階で行われるが、従来の検査では、 ると平塚氏は言う。
「弊社の商品には、他に
遺伝子検査は、遺伝子の抽出・増幅・検
ができるのだ。これと同社の試薬を使えば、
“そ
検体からの遺伝子抽出にもっとも時間がか
マイクロ流路リアクターチップというものがあ
の場”で“微量”の検体を“素早く”検査す
かっていた。そのため、現在でも検体を研究
ります。これは簡単に言えば、透明の小さい
ることが可能となる。
室に持ちこんで、数日間も結果を待たなけれ
シリコンチップの上で数段階の試薬検査が連
「インフルエンザの検査もその場でできて、
ばならない。しかし、バイオコズムの開発した
続して行えるというものです。今までは、研
ほかにも食品偽装問題や予防医療の分野、I
わずか9分という短時間で抽出でき、次の段
れ替える作業を繰り返していたが、これはチッ
PS細胞などの再生医療分野にも大いに貢献
階の増幅反応に素早く進める。しかも、同社
プ一枚の上で簡単にできる画期的なもので
できると思います」
。将来は、誰でも簡単に自
は試薬だけにとどまらず、抽出・増幅・検出
す」
。チップにはよく見ると試薬や検体が流れ
分のDNAを検査できる時代が来ると、同氏
までのすべてを全自動で行える装置も開発し、 る路と検査反応をおこすくぼみが幾つもつな
Biocosm 株式会社
大阪市此花区島屋4-2-7 島屋ビジネスインキュベータ3F
http://www.biocosm.co.jp/
TEL 06 - 4307- 3207
代表取締役
は自信の笑みを見せた。
商品
▼熱処理だけで DNA 抽
出が可能なオリジナル試
薬「セルイーズ」
。
平塚 哉 氏
大学では工学部で、応用物理計測を専攻し博士号を取得。
大手機械メーカーでレーザーによる非接触計測などさまざ
まな基礎研究を行ってきた経歴を持つ。
16
発症感染者も見逃さないようになるでしょう。
核酸(DNA)抽出試薬「セルイーズ」は、 究室で試験管から試験管に検体や試薬を入
▲各種チップは流路デザインなど、
目的に応じたカスタマイズが可能。
20
40
株式会社ピコエイダ
水道・電気・ガスの使用量を一括管理し
トータルで省エネ・経費削減に貢献
ホテルやレストランなどの業務用厨房では、 と 3 つの制御モードを設け、無駄な給水時間
フトを使って一括管理し、グラフなどを使い時
食器洗浄機に入れる前に行われる下洗い(前
を自動的にカットします」
。導入現場では、シ
間単位で〝可視化〟してインターネット上で
洗い作業)に必要使用量の倍の水が使われ
ステムを設置した吐水口で 43%以上、厨房
使用量がひと目でわかるようにすると共に、省
ていると言われる。ピコエイダは大阪大学と
全体で 10%以上の水使用量の削減効果が実
エネ診断と運用サポートを実施する。
「水道・
節水に関する共同研究を行い、その技術を活
証され、
「ホテルでは設置後 1 年足らずで減
電気・ガスすべての使用量を一括管理し、トー
用して業務用厨房の下洗いに特化した節水・
価償却できるほど水道費が削減できます」と
タルで可視化したシステムは当社が初めて。
省エネシステム「ジョイビット」を開発、 堀氏が語るように、すでに全国のホテルを中
自分の眼で省エネの達成度がわかるので、現
2007 年 10 月に販売を開始した。
心に 500 台の販売実績を上げている。
場のスタッフのモチベーションアップにつな
「業務用厨房での下洗いは人的作業である
2008 年 10 月には、業務用水道・ガス・ がります。ホテル産業が盛んな中国や中近東
ため、どれだけ注意しても必ず無駄が生じま
電気総合運用管理システム「ECOIS」が登場。 などに進出したいですね」と海外展開も視野
す。ジョイビットでは
【手洗い】
【溜める】
【間欠】 水道・電気・ガスの使用量を独自開発したソ
に入れている。
商品
株式会社ピコエイダ
大阪市北区天神橋1-15-7 クリスタルビル5F
http://picoada.co.jp/
TEL 06- 6882- 4684
取締役副社長
堀 宣氏
水道・電気・ガス
の使用状況がモニ
ターに表示される。
「長年に亘る省エネコンサルで得たバックデータを活かして
システムを完成させました」
。
不二パウダル株式会社
「できない」は言わない
造粒機開発のパイオニア
食品や医薬品分野における製品形態として
ム・グラン」は 1994 年に化学工業会技術賞
多く使われているのが粉末や顆粒、錠剤。こ
を受賞した。同業他社には、粉砕、分級(振
商品
20m
れらの製造には、製品ごとに求められる機能・ 動ふるい)
、混合、撹拌、乾燥粉砕、造粒の
品質などの特性を発揮させる粉粒体加工技
いずれかの機能に特化する専門メーカーが多
術が欠かせない。そのための粉粒体機器装
い中、すべてを一貫してバランスよくそろえて
置全般を製造しているのが不二パウダルだ。 いるのも同社の特長。コンスタントな商品開
中でも粉末原料を加工し、運搬しやすいよう
発で、現在の品ぞろえは 40 機種、850 型式
な造粒物に加工する造粒技術のパイオニアと
に及んでいる。
してよく知られ、その加工機器の一つである
従来、技術力をもとに市場に提案するプロ
押し出し造粒機ではトップシェアを誇る。
ダクトアウト型の開発を多く手がけてきたが、
5 グラムというわずかな試料から造粒できる微少
量流動層造粒機。新規薬物製剤の初期研究向け
などに売上げを伸ばしている。
40m
「お客様に対して『できない』とは絶対に言 「技術者には、
“ドラえもんのポケット”すなわ
わない」
という姿勢が創業来息づいている。
「今
ちあったらいいなと思えるものを開発しよう」
持っている知識だけで判断せず、新しいこと
と常に説いている。攻めの姿勢で、2 次電池
に挑んできた」と矢澤氏は、開拓者魂を説く。 向け装置の模索も始めており、粉体加工の新
加工の難しい細粒でも均一な品質を可能に
し、
生産性を大幅に高めた造粒機「ツイン・
ドー
たな可能性をどん欲に切り開いている。
不二パウダル株式会社
大阪市城東区中央2-2-30
http://www.fujipaudal.co.jp/
TEL 06-6933-1511
代表取締役
矢澤 英実 氏
「成功体験に縛られていては、旧来の延長線上で
の発想しかできない。
」と話す。
17
藤原工業株式会社
強化ガラスのパイオニア
プラスαの付加価値で新商品開発
商品
電気ごて(アイロン)を製造する技術者だっ
新商品開発に積極的に取り組んできた。人目
た初代が、電熱処理による曲げガラス加工に
は避けたいがデザインにも気を遣いたいとい
成功し創業したのは昭和 2 年のこと。当時、 うニーズに応えたのが、カラーセラミックを
貴重だったガラスを再生加工できる技術は重
プリントした目隠しガラス 「ベラミ」。色を高
宝され、大阪に次ぎ東京、名古屋、神戸にも
温で焼き付けることで発色を鮮やかにし、か
工場を建て業績を伸ばした。その後、大手ガ
つ退色しにくくした点が特長で、タワーマン
ラスメーカーが海外技術を導入して強化ガラ
ションのベランダなどに採用されている。ま
スの生産に乗り出したが、国産技術による強
た、
150 インチクラスの大型ガラス製プロジェ
化ガラス製造技術を確立し「強化ガラスの藤
クタースクリーンも最近のヒット商品。真横
絵柄やパターンを浮き出させる合わせガラス「ベ
レッツア」
。二重像で立体的に見える。
原」の名声を確立。しかし近年、
市況は厳しく、 からでも映像を認識できる幅広い視野角を持
ガラス技術の成熟で競合他社との差別化が
つ強みが評価され、公共施設での導入実績
見出しにくく、価格競争に巻き込まれる。加
を増やしている。
「ガラスと組み合わせる技術
えて、主な取引先である建設業界が冷え込み
を保有する他社との連携が、開発のポイント」
藤原工業株式会社
「量、価格ともに落ち込むダブルパンチ」 と松
と同氏。今後も環境や省エネをキーワードに、
井氏は話す。
同社が誇る技術力で 「売上げに占める新商
大阪市淀川区加島3 -14-24
http://www.fujiwarasafetyglass.co.jp/
TEL 06-6302-5513
そうした中で 8 年ほど前から、従来の強化
品の比率を、20%まで伸ばしていきたい」 と
代表取締役社長
ガラス、合わせガラスに新たな機能を加えた
意気込む。
「開発担当の専門部署は置かず、営業部門が開
発を兼ねています。お客さまのニーズを拾い上げ
ることが新商品のアイデアにつながります」
。
松井 清 氏
20
40
プライミクス株式会社
燃料電池の未来を担う
高速撹拌機のパイオニア企業
国産初の高速撹拌機 「ホモミクサー」 を世
イ材料、先進医療の医薬品など、先進的な分
能にしている。この仕組みは、これまでの高
に送り出して以来、高速撹拌機のパイオニア
野にも不可欠な技術。
「用途は違っても、当
速撹拌機では実現できない、ナノメータの微
として、プライミクスは産業界に大きく貢献し
社の技術には、研究者が唱えていた撹拌技
粒化を可能にした。
「フィルミックスを組み込
ている。取引先は医薬品から化学、化粧品、 術の限界を超える領域の
“ナノ単位の微粒化、 んだ、連続プロセスが可能な電極材料の製
食品、エレクトロニクス、エネルギーなど幅広
均質化”が求められているのです」
。
造装置は、 すでに国内外の電池製造各社に
い。
「たとえば、自動車の塗料は、いろんな色
その高い技術力の結集が、薄膜旋回型高
研究機として納入されています。今後、これ
や成分を混ぜて作ります。どんな加工品にも
速ミクサー「フィルミックス」だ。従来の羽
らが生産システムに採用され、世界の電池生
“混ぜる”技術は必要なんです」と古市氏。 根のせん断力で混ぜる方式ではなく、高速旋
高度な撹拌技術は、EV(電気自動車)など
回するホイールの遠心力で材料を容器内壁と
に使われる燃料電池や携帯電話などのリチウ
ホイールの間に集め、回転による速度差から
ム電池電極材、半導体の封止剤、ディスプレ
生まれる応力によって、微粒化、均質化を可
プライミクス株式会社
産を担う時代が来ると確信しています」と、
同氏は語る。
商品
大阪市福島区海老江8 -16- 43
http://www.primix.jp/
TEL 06 - 6458-7531
代表取締役社長
「撹拌機の常識をくつがえすフィルミックスは、従来機の約
2 倍の周速度で、ナノレベルの微粒化を実現。全国発明賞
など、数々の賞を受賞しました」
。
18
20
古市 尚 氏
ナノ粒子までの微粒化を実
現する、薄膜旋回型高速ミク
サー「フィルミックス」
。
40
本田工業株式会社
建材や自動車の耐久性・安全性の
テスト環境を実現する
本田工業は、建材 ・ 環境の試験装置や風洞
自動車関連の試験装置では、「自動車用環
パネルの環境試験装置なども開発。「特にソー
システム、自動車とその関連部材の性能試験
境風洞」 が挙げられる。これは「走行時に発
ラーパネルは、台風時の風加重に耐えられるか、
装置など、数々のテスト環境を提供している。 生する気流や気圧を再現して、燃費効率や加
強風によってボルトがゆるんだり配線が切れた
試験やテストを実施するのではなく、試験装置
速性能、排気ガスなどを確認するものです。 りしないかなど、調べるポイントが多岐にわた
そのものを作っているのが特徴だ。代表的なも
また、自動車の空力性能を計測する実車風洞
ります。現在、ソーラーパネルに関する試験そ
のが風洞装置で、これは台風の時にカーテン
における車の周辺風速を計測するトラバース
のものは多くないですが、今後、必然性が増
ウォール、サッシ等が受ける風害やビルの谷間
装置は、当社独自の技術となっています」と
すと確信しています」 と同氏。必要な試験やテ
での風の流れ方などを調べるためのシステムで
本田氏。安全走行支援システムの開発に必要
ストを相談されれば、それに最適な方法とシス
ある。さらに耐震強度や水密性、防 ・ 耐火、 な 「車輌走行模擬試験装置」 など、
幅広いニー
テムを提案 ・ 構築することができる。それが、
耐熱、遮音など、住環境に関わるさまざまな試
ズに対応している。
同社の強みだと言える。
験装置も開発している。
また、屋外型ガス機器や燃料電池、ソーラー
本田工業株式会社
20m
商品
大阪市中央区本町2-3-6 本町ビジネスビル9F
http://www.h-dynamics.com/
TEL 06 - 6265 -5501
代表取締役社長
風洞システム。断面全
体から一定の風力で風
を送れるため、場所に
よって風速が変わるこ
とはない。
本田 英行 氏
1967 年にアルミサッシの耐風、耐震、気密 ・ 水密試験装
置を開発し、業界のパイオニア的存在となる。2003 年よ
り、試験装置の事業に特化している。
40m
松下工業株式会社
接着のエコロジー化をめざし
無溶剤・脱溶剤を実現
工業用ミシンの販売からスタートした松下
は「無溶剤」
「脱溶剤」だ。2 液型接着のプ
工業は、国産工業用ミシンメーカーとして古
ロセスでは、ミキシングヘッド(2 液混合部と
い歴史を持つ。昭和 30 年代からベッドマッ
ノズル部)を洗浄する必要がある。従来は溶
トレス関連機械の製造も手がけ、国際特許
剤を使って洗浄していたが、同社の開発した
を取得した自動ポケットコイル製造機は海外 「水洗浄タイプ2液混合吐出機」は 1. 水で洗
の展示会でも好評。この分野でも、まさに国
うので洗浄液のコストダウン。2. 洗浄液の廃
内唯一のメーカーとして確固たる地位を築き
液処理費削減。3. 作業環境が大幅改善、局
商品
無溶剤タイプの複合繊維用ラミネーターは、大幅
なライン短縮と環境・安全の向上につながっている。
20m
上げた。さらに、接着分野にも乗り出したが、 所排気装置が不要といったメリットがあり、エ
松下氏はどの事業分野もつながりがあると言
コロジーの面でも有効だ。今後は、さらに幅
う。
「お客様の要望をかなえたいという思い
広い業界に接着のノウハウを提供したいと言
から、事業分野が広がりました。接着分野は、 う。
「ソーラーパネルなどの最先端産業にも貢
靴関係の機械の取り扱いがきっかけ。靴の
献しています。昨年、接着の悩みを解決する
製造過程には縫うことに加え接着する工程も
ポータルサイト“ザ・接着”
(http://www.
あり、そこから無溶剤タイプのホットメルトの
the-bond.com/)を立ち上げ、ビジネスチャ
接着プロセスとシステムのノウハウを蓄積し
ンスを広げています」
。熱転写ラベルなどの産
ました」
。
業資材にも取組み、さらに事業を拡大させて
接着システムにおいて、同社が提案するの
いる。
松下工業株式会社
40m
大阪市天王寺区上本町 7-1-24
http://www.tecmic.co.jp/
TEL 06- 6774- 6000
代表取締役社長
松下 行利 氏
縫製システム、
ベッドマシナリー、
接着システム、
産業資材…と 4 つの分野で独自の技術を持つ
同社。
「接着の分野で、新たなフィールドの開
拓をめざします」
。
19
株式会社万陽
高品質、
低コストを追求し続ける
鍛造品加工のスペシャリスト
商品
衝撃や圧力により金属を一定の形状に仕上
貫して担うプラントエンジニアとして進化を遂
げる鍛造品の製造装置メーカー。戦後の復興
げ、自動車メーカーを中心に国内のみならず
期に町工場をおこした塩川氏の父が、鉄の切
世界で絶大な信頼を得ている。
断作業を楽にできないかと研究を重ね、クラ
レバー機構を利用して切断する方法にはた
ンクで回転運動を往復運動に換えるとともに、 だ一つデメリットがある。ギロチンのように押
クランクでの駆動にレバーを介在させることにより、切
断時の衝撃を吸収。機械全体を破損や摩耗から守る、
同社独自の“レバープレス“は特許を取得している。
20
てこの原理を使って刃物にかかる力を増幅し、 して切るため、切り始めの部分が圧力でわず
切断する装置を開発した。
「コンパクトな構造
かばかり歪んでしまうのだ。その弱点を突くよ
40
で大きな力を生み出す」ことが最大の特長。 うに近年台頭したのが精密切断を可能にする
物理の基本原理に着目したシンプルな技術ゆ
ノコ切断だ。
「技術者任せでなく経営者自らが
えの強みで、競合他社の挑戦を幾度もはねの
新たなアイデアを四六時中考えなければなら
けてきた。刃物を金型に置き換えればそのま
ない」との信念を持つ同氏は、対応策を徹底
ま鍛造品の型取りに転用できることから鍛造
して考え抜いた。その結果、歪んだ面を瞬時
プレス装置も開発。
「仕上がりをより精密に、 に切削して磨き上げる新型切断機を編み出
株式会社万陽
しかも無駄がないように究めようとすればその
し、ノコ切断を圧倒して見せた。
「創業者であ
上流の切断技術、さらにはその間の工程をトー
る父が掲げた創造、研究、開発の 3 つの理
大阪市北区大淀北1-7-3
http://www.manyo.com/
TEL 06-6458- 0481
タルで考えなければならない」との思いをもと
念が今も息づいている」
。追随を許さない技
に、現在は材料棒の切断からプレスまでを一
術はまだその先をめざす。
代表取締役社長
塩川 博康 氏
「今年100 歳になる父は、
数年前まで設計に携わっ
ていました」
。その開発者魂はしっかりと受け継が
れている。
みづほ工業株式会社
乳化・分散問題を解決
最適な装置仕様を提案する
乳化、撹拌、練合、充填、廃水処理…さ
いった機能があります。さらに化粧品、製薬
プできるよう共同研究・共同開発体制を整え
まざまな装置製造のエキスパートとして、幅
業界のニーズに応えるために、ホモミキサー
ている。その顕著な例が、同社の売上げの
広い産業に貢献しているみづほ工業。化粧品、 を装備した撹拌システムを開発しました。当
70%を占める化粧品分野である。製品とその
医薬品、化学品はもちろん、電子材料、機能
社の装置の優位性は、スムーズに冷却を行え
生産プロセスを熟知し、乳化・分散・練合の
性食品分野といった産業のプロダクトパート
ること。また、すべての装置をカスタムメイド
調整工程から、粉末成形、充填、仕上げ工程、
ナーである。特に、同社の得意分野は乳化だ
で作っていることです。要望に合わせ、最適
さらには排水処理まで、工場全体のプランニ
と髙木氏は言う。
「当社は、乳化装置の開発
な仕様の装置を開発します」
。
ングを行い、全体的な技術提供を行っている。
からスタートしたと言ってもいいくらいですか
同社はトータルプロセスエンジニアリングを
国内はもとより海外の化粧品メーカーも含め
ら。その技術を象徴するのが真空乳化撹拌装
標榜しており、自社のテクニカルセンターで
置です。これは槽内を真空状態にすることで、 研究開発支援を実施。また、研究段階で得た
製品に気泡が混入せず、品質が安定すると
て、幅広い取引先を持ち、頼れるパートナー
として信頼関係を築いている。
成果を、そのまま生産段階へとスケールアッ
みづほ工業株式会社
商品
大阪市西成区南津守4- 4-16
http://www.mizuho-ind.co.jp/
TEL 06-6658- 4000
常務取締役
髙木 和行 氏
研究開発支援から装置製造、機械据付、メンテナンスに至
るまで、最適な研究・生産環境を構築。化粧品から先端産
業まで、幅広く貢献している。
20
真空乳化撹拌装置。乳化物
の製造だけでなく、さまざま
な製品の生産プロセスでも活
躍している。
株式会社森川製作所
小型で耐久性も高く省エネにつながる
高品質なLED照明器具を開発
創業から 70 余年、
照明器具の専業メーカー
生産効率という面ではマイナスですが、あえ
高輝度な LED 素子を使用し、器具内部の光
として独自技術に基づいた製品を提供してい
てこだわる部分です」と森川氏は話す。
学レンズにより、効率良く光源を活用できる、
る森川製作所。同社の製品はスタイリッシュ
現在、同社が意欲的に取り組んでいること
というもの。昨年発売した、最小の LED 照
なデザイン、空間と一体化になるコンパクト
が2つある。1つが、照明器具の小型化と、 明器具「D × 20 シリーズ」も好評。
「大規模
フォルムなどが支持され、美術館やホテル、 それを可能にする放熱性の向上。材質もアル
マンションの共用部分、たとえば通路などの
店舗など、主に商業用として採用されている。 ミ合金にこだわらず、放熱効率の高いものを
蛍光灯をすべて LED に付け替える案件も増え
製品はすべて、建築家やデザイナーとの打ち
検討中だ。もう1つは、大学や公的機関によ
ています。従来よりも電気代が安くなるという
合わせに基づきニーズに合わせて製作するオ
る光学技術の導入。この 2つの技術の結集が、 メリットも明確で、ニーズの広がりを実感して
リジナル。金型を使用するダイキャスト成形で
主力製品である LED 照明器具だ。2002 年
います」と同氏。今後も LED 技術を応用した
はなく、1 点ずつ削り出して作る。
「切削する
には他社に先駆けて「G3-W(白色系)
」を製
製品ラインナップを増やす予定だ。
「省エネや
ことで放熱性がアップし、明るさを増すので、 品化。これはコンパクトでありながら、3つの
環境にも配慮した商品を提供していきたい」
。
商品
株式会社森川製作所
大阪市東成区玉津1- 4-12
http://www.morikawa-tl.co.jp/
TEL 06-6972- 0505
代表取締役社長
新規商品の開発には、光学
レンズの研究と装着試験を
徹底して行う。コンパクトな
LED 照明器具は、外装デザ
インと統一感を持たせなが
ら光源を確保できる。
森川 允夫 氏
「LED 照明器具は、独自のデザイン性と機能性に優れたも
のを開発。本体の厚さが、わずか 2.5mm の Twing も話題
を集めています」
。
合資会社矢野クローム工業所
10ミクロンの金属細線を
透明樹脂基板にメッキする新技術
商品
電解クロム、ニッケル、無電解ニッケル、 た事業がある。「機能集積型マイクロチップ
装飾クロムなどのメッキを中心に事業を展開
デバイス」 の開発だ。「この時に当社が開発
する矢野クローム工業所。メッキの前工程で
した技術が、ポリカーボネート樹脂に対する
あるバフ研磨、バレル研磨を自社で行うこと
無電解メッキです。樹脂の透明性を損なわず、
により、良質のメッキに仕上げ、その手腕で
密着性に優れた方法で無電解ニッケルをメッ
10ミクロンという単位で、パターン化した微細
メッキを施したポリカーボネート。
多くの固定客をつかんできた。同社の主軸は、 キしたり、幅 10 ミクロンという微細なパター
工業用クロムメッキとも呼ばれる硬質クロム
ンを作ることに成功しています」。微細パター
メッキ。メッキが難しいタングステン素材にも
ンの形状は任意に描くことができ、自由度も
20mm
対応できる。また、ステンレスや金 ・白金で
高い。これらは、分析 ・ 検出用デバイスはも
作られた化繊ノズルの穴に対する、耐摩耗性
ちろん、ディスプレイ用の電極、電磁波のシー
を上げるための硬質クロムメッキも、高い技
ルド材、微細デザインパネル、照明光の反射・
術力があるからこそ実現。
「わずか 50 ミクロ
拡散板などにも、応用できる技術でもある。
ンの、ただの丸や四角ではないさまざまな形
ほかにもメッキ技術でつくる内径 100 ミク
合資会社矢野クローム工業所
状の穴に施す精密なメッキは、当社の技術力
ロンの微細パイプや 50 ミクロンの微細メッ
を表しています」と小佐々氏。
シュなど、メッキの技術を活かして、新しいも
大阪市大正区北村2-1-21
TEL 06-6552- 5081
この技術を活かし、大阪府の新連携事業
のづくりの可能性を追求している。
補助金 3000 万円を得て 5 年前にスタートし
40mm
代表社員
小佐々 明夫 氏
「硬質クロムと無電解ニッケルのメッキが当社の
代表的な技術です。メッキ業の可能性を広げ、
ものづくりに活かすための研究にも力を入れてい
ます」
。
21
株式会社四柳
プールクリーナーでトップシェア
水底清掃ならすべておまかせ
商品
プールの底を清掃するには水を抜き、へば
期的な動きを実現。従来型の不規則に移動す
りついた泥や葉っぱをさらわなければならな
るランダム方式が抱えていた、電源コードの
い。その労力は相当なもので、
水道代もかさむ。 ねじれという弱点を克服し、
「モーター搭載の
この課題を解決してくれるのがプールクリー
マイクロコンピューターを据え付けることで、
ナーで、四柳は国内トップシェアを誇る。大
より正確で効率的な制御を可能にしました」
手メーカーでポンプ技術者として活躍した四
と言う自信作だ。ロボットは 4 代目で、累計
柳氏の父は、独立して 3 年目の 1968 年、知
販売台数は 1万台を超える。
識とノウハウを活かしプールクリーナーを開
「新たな自社製品の柱として育てたい」と考
N 字型のジグザグ走行で、プールを自動清掃す
る「ハイパーロボ MRX-06」
。
発。その後、主力事業であるポンプの販売・ えているのがスクランブルミキサー。水深の
施工・管理を手がける傍ら、プールクリーナー
あるプールを小学生などが使う場合、可動床
の改良に精魂を傾け、全自動クリーナーや水
を活用して底面の高さを調整するが、床下の
の浅い場所でも稼動する水底掃除機などを発
水がよどみ、ヘドロなどがたまりやすくなる。
表。跡を継いだ四柳氏が、2006 年に開発し
そこで、ミキサーで勢いのある水流を人工的
たモーター駆動式全自動プールロボット「ハ
に作り出し汚れを流す。
「水中の掃除のことな
イパーロボ MRX-06」は独自の機構を採用し、 ら、あらゆることに対応できます」と語る四柳
プール底面を N 字型に自動往復走行する画
氏には、スペシャリストとしての自負がのぞく。
株式会社四柳
大阪市此花区四貫島2-24-10
http://www.yotsuyanagi.co.jp/
TEL 06-6468-2351
代表取締役
四柳 繁 氏
工学部出身。入社以来、営業畑一筋で歩んでき
たが、50歳を超えてから眠っていた技術者魂が
呼び覚まされ、現在は先頭に立って技術開発に
取り組んでいる。
ワイエスフィルタージャパン株式会社
圧倒的な高性能と低価格の
産業フィルターで急成長
20mm
産業用カートリッジフィルターは、工場で
イエスフィルタージャパンを設立。
「研究開発
品を上回ります」
。
液体、気体などから不純物を除去するために
や生産設備には、莫大な投資が必要。そのた
製造は 8 カ国 11 社もの提携工場に、販売
使われる。携帯電話、薄型 TV などのハイテ
め国内メーカーは、品種を限定して商品展開し
も全国 100 社の代理店に委託。自らは研究開
ク製品、また医薬品や飲料の製造にも欠かせ
ています。当社のように多種多様な製品を展
発とマーケティングに専念。経営を身軽に保
ない。
「もしフィルターがなければ、多くの工
開する総合メーカーは、あまり例がありません」
。 つこのビジネスモデルが、多彩な商品ライン
40mm
場で生産活動がストップするほどの必需品な
基幹商品は「シリウス」
。濾過性能の高さと
ナップを可能にした。
「競争力を支えているの
んです」
。
低価格で月産5万本を販売。
「フィルターとい
は、製品だけではありません。代理店がお客
日本の市場では、米国企業 3 社が 6 〜 7
うと柔らかいイメージ。でも当社の製品はセラ
様を訪問する際に、技術者でもある営業社員
割を占め、圧倒的な強さを誇る。角田氏自身、 ミックのように固い。流体を通しにくく、電気
が同行。開発ニーズがあればすぐに仕様を検
ある外資系メーカーに 25 年勤務した経歴を持
代をロスしそうですが、ポンプの圧力損失は3
討し、3 〜 7 日の短納期でサンプルを届けられ
ち、本部の経営統合を機に、2003 年4月にワ
分の1。独自構造で不純物の捕捉量も競合製
るのが強みです」
。
ワイエスフィルタージャパン株式会社
商品
大阪市西区北堀江3 -12-10
http://ysfilter.co.jp/
TEL 06 - 6543 -2891
代表取締役社長
角田 行広 氏
前職では、技術開発、営業など幅広い部署を経験。豊富
な専門知識とグローバルな人的ネットワークが武器。
22
大ヒットした『シリウス』
。
半導体製造工場など幅広
い分野で活躍。大手家電
メーカーにも納入。
掲載している企業と読者の間で結ばれるいかなる取引・契約について、
その内容及びそれに基づいて発生した
いかなる事故・
トラブルに関しても、
大阪産業創造館は一切責任を負いません。
大阪市の中小企業支援拠点
大阪産業創造館
http://www.sansokan.jp/
〒541-0053 大阪市中央区本町1-4-5
ものづくり支援プロジェクト
TEL 06-6264-9898 FAX 06-6264-9899
大阪産業創造館へのアクセス
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■ 発行
2010年1月
■ 発行元
大阪産業創造館
http://www.sansokan.jp/
〒541-0053 大阪市中央区本町1-4-5