スマホ市場のさらなる 競争激化とインフラの進化 NTTドコモの

Special Interview
株式会社NTTドコモ 執行役員
マーケティング部長 永田清人氏に聞く
NTTドコモの端末戦略
Solutions
MBB時代に対応する
「エンド・ツー・エンド ソリューション」
モバイルネットワーク・
インフラストラクチャーの
再構築
Feature Story
ジャーナリスト・神尾寿が見たMWC2012
スマホ市場のさらなる
競争激化とインフラの進化
Voice from Operators
ブロードバンド化から付加価値の創造へ
テレコム・マレーシア
Tao of Business
イノベーションに満ちたパートナーシップ
ファーウェイと
ボーダフォン・スペイン
2012/04
ISSUE 5
www.huawei.com/jp
「イノベーション」を事業経営の中核に
ファーウェイ・ジャパン
華為技術日本株式会社 代表取締役社長
エン
リ
ダ
大地震後、加速されています。こういった通
Solution 」や新世代の高効率省エネル
閻 力大
信事業者のチャレンジこそが、
ファーウェイ
ギー・ソリューションなど、数多くの新製品や
のイノベーションの源泉となります。
新ソリューションを発表しました。
「企業は、
イノベーションによってのみ成
今年、
ファーウェイは創業25周年を迎え
エネルギー・コストの抑制とエコロジカル・
功を収めることができる」
と、多くの経営者
ます。創業以来、顧客志向のイノベーショ
フットプリント
(人間の自然環境への依存度
が口をそろえます。
もちろん、
イノベーション
ンを軸に、中国の農村で交換機を売る零
を示す指標)
の削減が重要課題となってい
は必ずしも
「ロケットサイエンス」に匹敵する
細企業から、世界の通信を支える存在とな
る通信業界では、
エネルギー効率の高い先
ほどの高度な新技術の発明を意味するも
りました。よく、中国企業の一大競争力は
進的なソリューションを導入できるかどうか
のではありません。
「使い捨てカイロ」、
「カ
価格にあると言われます。それを完全に否
が、事業の成否を分ける大きな鍵となってい
イゼン」、そして環 境 保 護を意 識したエコ
定はしませんが、多くのグローバル企業が
ます。こういったニーズに応えるため、
ファー
バッグなどがよい例でしょう。
生産拠点を中国におく今日、
その競争力も
ウェイは、二酸化炭素(CO 2)
の直接的、間
世界人口70億人に対し、今日の携帯電
希釈されつつあります。
ファーウェイが短時
接的な排出を大幅削減するハイブリッド・パ
話人口はすでに60億を超えているといい
間で世界のICT業界の活性化に貢献する
ワー・ソリューション
『Power Cube』
を開発
ます。携帯電話の役割も単なる通信ツール
企業までに成長できたのは、つねにお客様
しました。
『 P o w e r C u b e 』はH U A W E I
から、情報の受発信や管理、e-コマース、
の要望の本質を理解し、技術革新を通じて
H.E.BUS技術を駆使し、通常の送電網
ゲームなどを楽しむといった幅広い分野の
価格以上の「価値」
を創出することに焦点
による電力供給以外に、太陽光や化石燃
プラットホームに変化しています。また、ス
を当ててきたからにほかなりません。
料といったエネルギー源などの併用による
マートフォンの急激な普及により、通信事
今年2月、
スペイン・バルセロナで開催され
電力の確保を可能にしました。
業者が抱えるトラフィックの急増問題はも
たMobile World Congress( MWC)
で、
これにより、節電とCO 2 排出量の削減
はや世界共通です。
さらに、
日本において
ファーウェイは世界最小データ通信カードを
のみならず、災害時の安定した電力供給
は、省エネや電力に頼らない通信ソリュー
はじめ、L T E 対 応 端 末 製 品 、世 界 初 の
を最大限に保障することができます。この
ションへの民間の取り組みが、特に東日本
「Mobile Broadband Cloud Acceleration
ソリューションをいち早く導入したのは、社
ファーウェーブ
2012 /04 ISSUE 5
TABLE OF CONTENTS
「イノベーション」
を
事業経営の中核に
P1
華為技術日本株式会社 代表取締役社長 閻 力大
編集部より
この2月、
『 HuaWave』
は無事、創刊1周年を迎えることができまし
た。第4号より発刊月が変更となり、今後は1月、4月、7月、10月のサイ
クルで発行する予定です。
編集部では発刊以来、毎号読者アンケートをとっています。
これまで
に、数多くの読者の声が編集部に届けられ、多い時は百数十通もあり
ました。
「興味深かった」
という言葉に喜び、
「品質向上を」
に戒められ、
「業界を牽引する情報誌を目指して」に励まされ、皆様から寄せられる
叱咤激励の重みを、編集スタッフ一同かみ締めています。
ところで、今号の表紙を飾るペガサス像は、MWC2012会場で展示
されていた高さ5.7メートルのオブジェです。合計3,500ものファーウェ
イ製携帯電話を使用してロンドンで製作したこのペガサス像は、
このほ
どMWCで発表した超薄型スマートフォン
『Ascend』
シリーズのアイコ
ンでもあります。Ascendは
“上昇する”
を意味します。
このペガサスのよ
うに、
『 HuaWave』
も
“上昇気流”
に乗り、成長できるよう、
力を注いでま
いります。
Special Interview
株式会社NTTドコモ 執行役員
マーケティング部長 永田清人氏に聞く
NTTドコモの端末戦略
P2
Feature Story
Mobile World Congress 2012
スマホ市場のさらなる
競争激化とインフラの進化
P6
Solutions
モバイルネットワーク・インフラストラクチャーの再構築
MBB時代に対応する
「エンド・ツー・エンド ソリューション」
P10
Voice from Operators
テレコム・マレーシア
ブロードバンド化から付加価値の創造へ
P14
会や環境の持続可能性の取り組みで世
迎えることができましたが、
ブランド認知度
界をリードするスペインのテレフォニカ社で
やユーザー・エクスペリエンスの向上といっ
“think outside the box”
を意識した経営
す。テレフォニカ社は、
ファーウェイをパート
た課題に一層の取り組みが必要です。今
を実行できてこそ、社員らがイノベーション
ナーに迎え、
オフグリッド基地局(送電網を
後も、品質に厳しい日本市場でも受け入れ
を生み続けることができると考えています。
使用しない基地局)
をマドリッド市内に設置
ていただける端末製品を数多く開発し続け
常に己の限界に挑戦し、絶えず物事の
しました。
てまいります。
このソリューションを導入した結果、
テレ
日進月歩 の I C T 業 界では、新 技 術は
生み出す。ファーウェイが問われる真価は
フォニカ社はCO2排出が約60%削減され、
次々と産声を上げています。イノベーション
そこにあります。
の道は、終わりなき旅です。
ファーウェイは、
「新機軸」
を捉え、継続的に新しい価値を
スタッフによる基地局巡回の頻度も5分の
1に減りました。
ファーウェイのグリーン・イノ
ベーションは、通信事業者のTCO(総保有
コスト)
の削減ならびに社会的責任の実現
に役立つと同時に、持続可能な社会の営
みにも貢献することができました。
MWC2012では、新しいインフラ技術の
ほか、当 社が 独自開 発したクアッドコア
CPU『 K3V2 』
を搭載するスマートフォン
『Ascend D quad』
も来場者の注目を集
めました。スピード、操作性、バッテリーの持
久性、音質、画質といった性能面の向上に
加えて、高級感溢れるボディデザインが好
評でした。
他社と比較して、
ファーウェイの携帯端
末開発歴は長い方では決してありません。
今年のMWCでひとつのマイルストーンを
Grid
Solar
Fuel
Energy Storage Unit
テレフォニカが導入した新世代ハイブリッド・パワー・ソリューション
『PowerCube』
は、
複数のエネルギー源を併用することを可能にし、基地局への電力の安定供給を実現する
HuaWave 第5号 2012年 4月1日
発
行 : 華為技術日本株式会社『HuaWave』編集部
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1
Tao of Business
ファーウェイとボーダーフォン
イノベーションに満ちたパートナーシップ
大手町ファーストスクエア ウエストタワー12階
P19
テレビ‐ブロードバンド‐電話サービスの
「トリプルプレイ」に挑む P22
HUAWEI Japan Device Update
P26
HUAWEI、HUAWEIロゴ、記載されているすべてのHUAWEI製品およびサービス名は、中国
およびその他世界各国におけるHUAWEIの登録商標または商標です。本誌にて掲載されてい
るその他すべての製品およびサービス名は、関連するロゴも含めて、各会社の商標である場合
P28
があります。
【免責事項】
P29
本誌の情報は、各国における取材をもとに、世界の通信ネットワークの情報を提供することを目
的に作成されています。情報の内容には万全を期していますが、
その内容を保証するものではあ
りません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、華為技術日本株式会社は一
Profiling HUAWEI People in Japan
ファーウェイで働くって、
どんな感じ?
表紙写真 : ファーウェイ・ジャパン 黄 進凱(Ooi Chin Kai)
©華為技術日本株式会社
HUAWEI Japan Highlights
ファーウェイ・ジャパン ハイライト
作 : 有限会社 アイラック
デ ザイン : 有限会社 レベルフォーデザイン
(本誌掲載の写真・記事の無断転載および転写を禁じます)
HUAWEI Global Highlights
ファーウェイ グローバル・ハイライト
L : 03-6266-8008(大代表)
発 行 人 : 閻 力大(エン・リダ)
制
スカイ:無限に広がる可能性
新製品が続々登場!ブランディングも強化中です。
E
編集責任 : 華為技術日本株式会社 広報部
Tao of Business
Connected Possibilities
T
P30
切の責任を負うことはできません。
Roaming China
漫遊中国
P32
/ APR.2012 01
Special Interview
株式会社NTTドコモ 執行役員 マーケティング部長 永田清人氏に聞く
NTTドコモの端
スマートフォンの開発コンセプトとファーウェイへの期待
急速に広がりつつあるスマートフォン市場。
これまでは先進ユーザーがこぞって
カーに有利」
とも感じるが、永田氏は「グ
スマートフォンに飛びついていたが、2012年は「ケータイユーザー」のスマート
ローバルメーカーと日本メーカーの競争環
フォン・シフトが加速しようとしている。なかでも、NTTドコモはAndroidを中心に
スマートフォン戦略を強化しつつある。世界をリードするNTTドコモは端末戦略
をどのように考えているのか。同社のマーケティング部長、永田清人氏に話を
聞いた。
HuaWave編集部
境はイコールになった」
と見立てている。
「確かに、
ここ最近の状況は日本メーカー
のチャンスとも言える。iモードの頃は、
日
本のユーザーをピンポイントに絞って開発
していれば良かったが、
スマートフォン時
代はベースの技術はグローバルのものを
使い、
いかに機能を足していくかという開
『 w i t h 』の2つのシリーズに分 割 。ユー
発をしていかなくてはいけない。そういった
ザー・ターゲットと商品コンセプトを明確に
意 味で、
グローバルの技 術を持つベン
分けたのだ。
「ひとつの製品ですべての
ダーが日本で活躍できるチャンスは逆に
スマートフォン・シフトの勢いが止まらな
ユーザーのニーズを満たすという考え方も
増えたように思う」
い。各キャリアの計画を上回るペースでス
あるが、NTTドコモはマジョリティ層を開
さまざまな国内・海外メーカーと関係の
マートフォンが売れている状態である。業
拓していくためにもwithシリーズを作っ
あるNTTドコモにとって、
グローバルメー
界トップであるNTTドコモは、2011年度
た。スマートフォンは機能やスペック以外
カーに求めるのが「開発スピード」
と
「コス
の計画を当初、600万台と予想していた
にも感情やファッション性の部分が求め
ト」だ。日本メーカーのほとんどが国際競
が早々に上方修正を余儀なくされ、
いまで
られるようになる。
これが、
お客様に支持さ
争力を持たず、疲弊している中、
グローバ
は800万台を超えるペースで推移してい
れる方向性だと感じている」
ルメーカーの持つ「総合的な体力」はキャ
る。
「まさにスマートフォンの売れ行きは予
NTTドコモは、
フィーチャーフォンのころ
リアにとって魅力的に見えると永田氏は
想を遙かに超えている状態だ。
しかし、
そ
から5つのシリーズに分けて商品を訴求し
語る。
「やはりグローバルメーカーは全体
ろそろ売り上げが伸びるペースがつかめ
ていた。スマートフォン時 代においても
の物量が圧倒的に違い、
そこが有利だ。
てきたように思う。この先、年間販売台数
「ユーザーが自分に合った機種を選べる」
数を売っているだけあって、
コスト体力、
を増やすのは難しい時期に来ているのか
というラインナップ作りに注力しているの
ベースの開発能力がずば抜けている」
もしれない。すでにイノベーターやアーリー
だ。その流れもあってか、
かつてはグロー
世界規模で活躍し、ベースの技術を多
アダプター層にはスマートフォンが行き
バルメーカーのスマートフォンが人気で
様な市場に向けて応用していく開発能
渡っており、今後、
さらにユーザー層を広
あったが、
ここ最近のスマートフォンの売
力。
こういったノウハウ、体力はグローバル
げていかなくてはならない」
れ筋と言えば、おサイフケータイ、
ワンセ
メーカーだからこそ持ち得るスキルだ。日
NTTドコモがスマートフォン・ユーザーを
グ、赤外線通信など日本特有機能が搭
本メーカーは、
日本に特化したカスタマイ
拡大するために取り組んだのが「シリーズ
載された日本メーカーの機種になりつつあ
ズにおいては一日の長があるが、
コストや
化」
だ。昨年、
スマートフォンを
『NEXT』
と
る。昨今のユーザー・ニーズは「日本メー
開発力においては分が悪い。
しかし、永田
変化する
スマートフォン市場
02
/ APR.2012
末戦略
永田 清人(ながた きよひと)
株式会社NTTドコモ
執行役員 マーケティング部長
1982年日本電信電話公社入社。
1992年にNTT移動通信網株式会
社(現・NTTドコモ)設立と同時に転
籍。移動機開発部長として携帯電話
の端末新技術・ソフトウェアの研究開
発に従事し、
その後プロダクト部長と
して商品企画等を担当。
現在は、同社執行役員マーケティン
グ部長として、
ドコモのロイヤリティ・
マーケティングを推進するとともに、
ド
コモのサービス・端末の戦略策定を
統括する。
氏は「国籍」
でメーカーを分けることはあま
り意味がないと考えている。
「もはや、
日本
メーカーと、
グローバルメーカーという分け
方ではない。
『世界を見ているかどうか』
と
いう考え方の問題ではないか」
これからの
メーカーは、世界で応用できるベースの技
術を開発し、
それに、
ローカライズの部分
をプラスするかが重要だと語る。ローカラ
イズの部分は海外のメーカーも日本メー
カーと同様の投資が必要かもしれない。
し
かし、
そのベースの部分でいかにコスト競
争力をつけるかが求められるというのだ。
経験値がものを言う
スマートフォン開発
一方、
ユーザー視点から見ると、
日本市
場の顧客は製品に対し
「高い品質」
を求
める傾向が強い。ユーザーは日本メーカー
であれば「高品質」だと思い「安心」
して
これからのメーカーは、
世界で応用できる技術を開発し、
国ごとにローカライズすることが
重要です。
/ APR.2012 03
買っていた傾向がある。
しかし、永田氏は
いる。つまり、世界市場に向けて他社に先
過去のiモード端末では、
日本メーカー
スマートフォンにおいては、
この思い込み
駆け開発し、大量生産して多くの経験を積
が国内しか使えない機種ばかりを投入し
も通用しないと語る。
「日本メーカーだから
んだ方が「高い品質の製品」
をつくりやす
ていた時期にGSMローミングができる機
品質が良い、
グローバルメーカーだから品
い環境にあるというのだ。
種を投入した海外メーカーがあったり、端
質はいまいち、
という時 代ではない。グ
もうひとつ、
日本ユーザーが求めるのが
末納入価格が高止まりしている時期に一
ローバルな市場でハイエンドなものをどれ
「ブランド」だ。グローバルメーカーにとっ
気に安価な機種を投入したりして、
ブラン
くらい作り、売ってきたのかという実績の
て、
日本でブランド構築するのは難しいが、
ド認知を高めた海外メーカーがあった。他
方が重要だ。スマートフォンは新しい商品
それでも
「チャンスは十分にある」
と永田氏
にはない大きなメリットを出すことで、
ブラ
ジャンルということもあり、
『 経験値』
がモノ
は語る。
「確かにブランドをつくっていくのは
ンドバリアを克服したのだった。国内市場
を言う世界だ」
相変わらず大変だ。
しかし、
ここ数年、海外
の伸びは頭打ちとなり、急激な新規契約
「日本人は品質に厳しい」
と思いがちだ
メーカーでも日本でブランド認知に成功し
者増が見込めない中、海外メーカーに求
が、先進国でもハイエンド・スマートフォンに
たところもある。製品としてずば抜けたもの
められるのは、他社にはない「個性」だ。
対しては高い品質が求められている。高品
を一気に投入したことで、
すんなり日本人
「他にはない何か光るものを求めている」
質が支持されるのは日本に限った話では
に受け入れられた。以前に比べれば日本
ない。スマートフォンはハイエンドな製品を
人の抵抗感は少なくなってきているのでは
つくり、
そのノウハウが品質につながって
ないか」
というわけだ。
グローバルメーカーだから品質がいまいち、
日本メーカーだから良い、
という時代ではない。
グローバルで鍛えられた
ファーウェイの開発体制
そうした中、個性的な端末で、NTTドコ
モのラインナップで着実に存在感を示し
つつあるのが、
ファーウェイだ。ファーウェ
イはNTTドコモ向けに2009年12月には
『フォトパネル』
を投入、
さらに2011年9
月には
『キッズケータイ HW-02C 』
を投
入した。
「ファーウェイさんには新しいサー
ビスを立ち上げる際にお世話になってい
る。おつきあいを始める際は新しいメー
カーという面もあり心配もしたが、結果は
本当に良かった」
キャリアが新しくサービスを開 始する
際、重視するのはやはりコストだ。新規に
開発する端末コストだけでなく、
ネットワー
ク・コスト、
さらにはサービスのコストをでき
るだけ抑える必要がある。その点、
ファー
ウェイと組んだことで「われわれの従来の
パートナーでは実現が難しいコストを実現
してくれた。結果、お客さんが受け入れら
れるサービスの価格にすることができた」
という。
他社に先行されたサービスでも、NTTド
コモとファーウェイが組むことで、高機能
でありながら、価格競争力のあるサービス
に仕上げることができた。他社にキャッチ
04
/ APR.2012
キッズケータイは、
価格・品質・カラー・
サイズ感とも高評価です。
「コドモダケ」のCMで
おなじみのキッズケータイ
(HW-02C)
アップするために、
ファーウェイの迅速な
C E Sを訪 れた 永 田 氏 にとっても、
「凄いもの」の提案に期待。
モチベーションを評価
『Ascend P1 S』
はかなりの印象に残っ
貢献している」
という。
現在、NTTドコモはLTEサービス
『Xi』
勢は非常にアグレッシブに見えた。世界
『キッズケータイ HW-02C』において
に軸足を移しつつある。
「 他社と比べて
に向けてマーケティング的に何をすべきか
も「 子ども向けベル 型 端 末において、
LTE導入が進んでいるのは、
われわれの
を理解し、実現しているように感じた。ス
NTTドコモは最後発であったが、
おかげさ
優位点でもある。実際に体感してもらえ
マートフォン市場に後発で参入しながら
まであの価格で、品質、
カラー、サイズ感
ば、ユーザーにも
『速い』
と理解してもらえ
も、非常にモチベーションが高い。今後、
など満足のいくものができた。販売の現
る。今後はフラグシップなイメージとしてプ
『Ascend』
が世界でどのように評価、支
場でも高い価格競争力を誇っている」
と
ロモーションでも強く打ち出していきたい。
持されていくのか、注視させていただきた
評価は高い。
ドコモとしては最 終 的には4 , 0 0 0 万ス
い」
と語った。今後のファーウェイに対し、
実際、
ファーウェイとの関係においては
マートフォン時代を視野に入れており、Xi
永田氏はとにかく
「驚きのある製品」
を期
「ここまで至るには開発の考え方や言語
スマートフォンのラインナップ拡充を加速
待しているという。
「グローバルモデルであ
の違いという問題などはあったが、
われわ
させていくことになるだろう」
りながら、
われわれのサービスをきっちりと
れが求める品質を、約束したコストで実現
ファーウェイは、今年1月にアメリカ・ラス
取り込み、
さらに何か凄いものをもってい
してくれた。結果、信頼できるパートナーに
ベガスで開催された世界最大級の家電見
るのか、
あるいは日本仕様に徹底的にカ
なったと思う。
コスト、期間については世界
本展示会『CES』
において、世界最薄とな
スタマイズされた凄いものなのか。いずれ
でトップクラスのものを持っている。開発
る6.68mmを実現した、最新のAndroid
にしても、
ファーウェイからは『 凄いもの』
ソースの投入の仕方といい、
グローバルで
OS4.0『Ice Cream Sandwich』
を搭載
の提案を期待したい」。
鍛えられている人材の活用といい目を見
した
『Ascend P1 S』
を発表した。同時に
ファーウェイが日本でさらに飛躍するた
張るものがある」
と振り返った。
LTE対応モデルも参考出展を行った。
めの「ヒント」
は、
ここにあるようだ。
開発体制が求められたのだ。その結果、
「契約純増数にもつながり、売り上げにも
たという。
「0.1ミリでも薄くという開発姿
/ APR.2012 05
Mobile
World
Congress
2012
スマホ市場のさらなる
競争激化とインフラの
スペイン・バルセロナで開催された
『Mobile World Congress (MWC)』
は、
年々その重要性を増しつつある。
その背景にあるのは、
スマートフォンやタブレッ
トなど“スマートデバイス”の広がりだ。世界的に進行しているスマートデバイス
の普及は、
インターネットの主役をパソコン
(PC)
から奪い去り、2010年代のIT
産業はモバイルが最重要な分野となっている。MWCはそのモバイルITのさまざ
まなトレンドや技術が一堂に会する場であり、従来以上の注目を集めるように
なった。そして2012年。今年のMWCでは何が起きていたのか。今後のトレンド
一般会場「Hall 8」
とは別のエリアに、顧客専用の
展示場を設けた。期間中の来場者は5,000人以上
06
/ APR.2012
はどうなっていくのか。
取材・文 神尾 寿
(通信ジャーナリスト)
Feature Story
205ヵ国、約6万7,000人。
り、新興国では
“唯一無二”
のネット端末
から大きく飛躍しているのだ。Asend D
これは、Mobile World Congress
としてスマートフォンが普及し始めている。
quadによって、
ファーウェイはスマートフォ
2 0 1 2の国 籍の数と参 加 者 数である。
その成長率はPCを上まわり、IT産業の主
ンメーカーのトップ集団入りをしたと言え
MWCは一昨年から急速に重要度を増
役として重要な役割を担っているのだ。
るだろう。
し、参加者が増えていったが、
ついに今年
MWC2012におけるスマートフォン競
一方、
もう1社、大きな変化を感じたの
は過去最高の参加者数を記録した。
さら
争を俯瞰してみると、
メーカーごとに今後
が韓国のサムスンである。同社は昨年、
に注目すべきなのは参加者の属性だ。運
の製品開発やビジネスのスタンスに違い
当 時 最 高スペックのA n d r o i dスマート
営事務局によると、
この6万7,000人のう
が現れてきたことに気づかされる。そして
フォン『GALAXY S II』
を発表して脚光
ち約半数が企業の役職者であり、CEO
MWC2011から1年ほどで、
メーカー各
を浴びた。
しかし今年はMWCの会期に
に至っては3,500人に達したという。モバ
社が置かれている立ち位置にも大きな変
あわせてスマートフォンのフラッグシップモ
イルIT・インターネット産業の中枢メンバー
化があった。
デルは投入せず、
その代わりにペン入力
が、
その時、
バルセロナに集結したのだ。
この変化の筆頭ともいうべきは、中国
型タブレット
『GALAXY Note』
を大々的
MWCの波及効果も大きい。今回の
メーカーの台頭である。
とりわけファーウェ
に展示。端末スペックの優劣については
出展企業は1,500社を上まわり、取材し
イの躍進ぶりは、
ひいき目ぬきで舌を巻い
まったく語らず、
“ペン入力デバイスによる
たマスメディアは3,300媒体を超えた。
た。同社は今回のMWCにあわせて、
ク
新たなユーザー体験”
を訴求していた。
さ
夜には企業主催のパーティーやビジネス
アッドコアCPUを搭載したハイエンドモデ
ら に プ レ ス カ ン フ ァレ ン ス で は 、
ディナーがあちこちのレストランで行わ
ル『Asend D quad』
を発表。同機は処
「GALAXY Noteシリーズで
(ペン入力と
れ、地域経済にもたらした収益は過去最
理速度、
グラフィックス性能、明るく解像
いう)新たなカテゴリーを創造し、
そこでの
大の3億ユーロに達したという。
度の高いスクリーンなど現時点(2012
リーダーになりたい」
と語った。スペックと
M W Cという場は、モバイルI Tやイン
年3月)
での最高性能を惜しげなく詰め込
いう競争軸ではなく、アップルやソニーモ
ターネットの新しい世界を作るための坩堝
んだものだ。スリムでデザイン品質も高
バイルのように
“独自のユーザー体験”
と
だ。さまざまなトレンドや技術、新たな提
い。
さらに、
タスク処理を4つのコアに分
“エコシステム
(経済的な生態系)”
を打ち
案、
ビジネス提携などが投げこまれ、
かき
散し、低い周波数かつ低い電圧で処理
出してきたのだ。むろん、
サムスンがスペッ
まぜられながら、次の時代を創っていく。
することで、基 地 局インフラと協 調して
ク競争から降りたわけではないだろうが、
バッテリー消費を抑えるなど、実用面でも
独自性重視と自らが新市場を切り開くと
優れた技 術を搭 載している。
“ モノ作り
いう姿 勢に転じたことに彼らの 変 化を
の力”
と、
それを支える
“技術力”
が、昨年
感じた。
る つぼ
進化
そこからはモバイルIT市場の今と未来が
見えてくるのである。
存在感を増すアジアの
スマートフォンメーカー
多くの人が今回のMWCで最も注目し
たのは、
スマートフォンの動向だろう。昨年
以上に市場は広がっており、
その勢いは
続いている。先進国では一般コンシュー
マー層のスマートフォン移行が進んでお
「Hall 8」
エントランスを飾るファーウェイの新製品『Ascend D quad』
の広告
/ APR.2012 07
スマホ市場のさらなる競争激化とインフラの進化
そして、
このファーウェイの躍進とサム
しても、GALAXY Noteのオリジナリティ
network)」
である。これは屋外用通常基
スンの変化は、Androidスマートフォンを
は損なわれず、ペン入力デバイス市場の
地局であるマクロセルと、
マイクロセルやピ
取りまくビジネス環境のひとつの象徴と
成長にあわせて有利なポジションを維持
コセルといった小型基地局、
ユーザー宅に
言える。
できる。
設置されたフェムトセルなどを高密度で混
スマートフォン市 場の競 争は激しく、
Androidスマートフォン市場のハイス
在させて、基地局側と端末側が自立的に
ハードウェア部分の
“トップメーカーの座”
ペック競争は未だ続いている。だが、単な
協調して最適な基地局とつながるというも
は、勢いと技術力のあるメーカーであれば
るスペック競争は一般ユーザーを置き去り
の。異なるセル半径の基地局を混在させ
1 年で狙うことができる。今 回のファー
にしてしまうリスクもまた孕んでいる。その
た時に問題となる干渉を制御する技術も
ウェイの躍進は、同社の技術力の高さや
観点で言えば、
メーカー各社が独自のユー
組み合わされており、将来的に導入されれ
開発スピードの速さによるところが大きい
ザー体験や新たな市場の創出を重視する
ば、
サービスエリアの収容力や処理能力を
が、他方で、Androidスマートフォン市場
ことが肝要だろう。
大幅に高めることができる。すでに多くの
の競争の激しさや流動性の高さも物語っ
ている。
サムスンの変化は、今後のスマートフォ
ン市 場において、メーカー独自のユー
基地局ベンダーやモデムチップ・ベンダー
トラフィック爆発に
どう立ち向かうか。
インフラ技術にも注目
がHetNetへの取り組みを進めており、
今後
のLTEへの移行とあわせて、
このネットワー
ク制御の仕組みは重要性を増すだろう。
ザー体験と、
それによる新市場の創造が
スマートフォンの一般化・大規模普及に
他方で、3G/LTEなどのネットワーク技
いかに 重 要 かを示 すものだ 。今 回 の
ともない爆発的に増えるトラフィックに、
ど
術と並んで注目されたのがWi-Fiである。
GALAXY Noteで見れば、ペン入力によ
のように向き合うか。
これが、今年のMWC
日本でも昨年からNTTドコモやKDDI、
ソ
るユーザー体験と新市場を再発明したの
における最重要テーマだった。
フトバンクモバイルなど大 手キャリアが
はサムスンだ。そのため他のメーカーがど
このインフラ技術において、特に重要
Wi-Fiスポットの拠点拡大に力を入れてい
れほど高性能なAndroidタブレットを発売
だったのが「HetNet(heterogeneous
るが、世界的に見ても、爆発的に増えるス
マートフォン/タブレットの 通 信 量を、
Wi-Fi経由で固定網に逃がす(オフロード
する)のは携帯電話事業者の既定路線と
なっている。
このW i - F iの分 野において、M W C
2012で重視されていたのが5GHz帯へ
の移行だ。現在主流のWi-Fiは民生機器
に広く開放された2.4GHz帯の周波数を
用いており、Wi-Fi機器の増加や他の電
子機器での利用も増えたことにより逼迫
している。
そこで既存のIEEE 802.11nや
802.11acといった最新のWi-Fi技術に
よって、新たな5GHz帯の周波数に移行
しようという取り組みが活発だったのだ。
今のところ5GHz帯のWi-Fi利用はPCが
中心だが、2012年の後半には日本も含
めて全世界で、
スマートフォンやタブレット
の5GHz帯Wi-Fiへの大規模移行が始ま
るだろう。
今年もAndroid
(Googleのスマートフォン向けOS)
のシンボル
『ドロイド』
のグリーンが目立った
08
/ APR.2012
Wi-Fiに関しては、
スマートフォンではオ
Mobile World
Congress 2012
世界最速※のクアッドコアを搭載したスマートフォン
『Ascend D quad』※2012年3月現在ファーウェイ調べ
フロード用の補完的な位置づけだが、
今後
るスマートデバイスと連携し、
さまざまな関連
はさまざまなモバイル機器/デジタル機器
サービス/ビジネスを生みだすことになる。
が採用する標準的な通信方式になる。た
このConnected Life市場の中でも、特
とえば、筆者が先日トヨタ自動車の幹部に
に成長が予想されるのが自動車関連だ。
インタビューしたところ、同社のPHV
(プラ
クルマへの通信モジュール搭載は、
日本で
グインハイブリッド車)
は将来的にすべて
もトヨタ・日産・ホンダなど大手各社で進ん
Wi-Fiを搭載する計画であり、
そのためにト
でおり、
日産のEV『リーフ』
のように次世代
ヨタの充電ステーションにはWi-Fiスポット
環境車ではほぼ標準装備されるものに
市場のさらなる競争激化とメーカー各社の
機能があらかじめ用意されているという。今
なっている。
この単純搭載の市場だけで、
競争に目を奪われたが、
その先にはスマー
後、
“スマートフォン以外”
に広がるモバイル
2020年には6,000億ドルになるという。
トフォン完全普及時代に向けたインフラの
IT市場において、Wi-Fiはとても重要な
他にも、
カー・シェアリングなど自動車利用
進化や、新たな成長領域の可能性などが
キーテクノロジーなのだ。
の新サービス
(2,250億ドル)
や自動車保
数多く見られた。2010年代は紛れもなく、
険(2,450億ドル)、電気自動車充電イン
モバイルIT産業の高度経済成長期にな
フラ
(750億ドル)
といった自動車関連市
る。
そこにあるチャンスは、
とても大きいと言
場に今後の成長領域がある。
えるだろう。
2020年に4.5兆米ドル。
注目される新市場への
取り組み
モバイルネットワーク・ソリューション『GigaSite』
を
説明するファーウェイ・ジャパン社員
翻って日本市場を見れば、国内にはトヨ
中 長 期 的な視 野で見ると、今 年 の
タをはじめグローバル市場でトップグループ
MWCではスマートフォンおよびタブレット
に属する自動車メーカーが多数存在し、
デ
の普及拡大期が終わった後の、
“ 次の成
ンソーやアイシンAWなどこちらも世界的な
長領域”
にも注目が集まった。その筆頭と
サプライヤーがいる。
「クルマ×モバイル
なったのが、
さまざまな機器に通信モジュー
IT」の新成長領域にアプローチするにあ
ルが内蔵されるM2M市場である。会期中
たって、有望なパートナーとなりうる自動車
にGSMAとMachina Research社が共
産業があるのだ。日本のキャリアやアプリ
同で発表した調査資料によると、M2Mは
/ソリューション・プロバイダーは、
グローバ
「Connected Life」
という新たな市場を生
ル市場に強いパートナーと手を携えなが
み出し、
その規模は2020年に4.5兆米ド
ら、
自動車産業との連携・融合を積極的に
ル=約372兆円に達するという。
しかも、
こ
進めていくべきだ。それが日本のモバイル
れらは単純にモバイルITの新成長領域に
IT産業の新たな力になる。
なるだけでなく、
その頃には広く普及してい
MWC2012では、
まずはスマートフォン
神尾 寿( かみお ひさし)
通 信ジャーナリスト/コンサルタン
ト。専門分野は通信(モバイルIT)
と
自動車・交通、電子マネーなど。著書
に『次世代モバイルストラテジー』
な
どがある。複数の企業の客員研究員
やアドバイザー、国際自動車 通信技
術展(ATTT)企画委員長、モバイ
ル・プロジェクト・アワード選考委員な
どを務める。Web媒体や新聞、雑誌
での執筆活動のほか、精力的に講
演活動も行っている。
/ APR.2012 09
Solutions
モバイルネットワーク・
インフラストラクチャーの再構築
MBB時代に対応する「エンド・ツー・エンド ソリューション」
通勤電車で片手につり革、片手にスマートフォンを持つ人々が居並ぶ。そんな光
景が当たり前になってきました。メールを交換し、SNSに書き込み、ニュースを
チェック、動画を見る。ICTの進化が人々の暮らしに大きな影響を与えるMBB
(モ
バイル・ブロードバンド)
時代の中で、
その溢れかえるデータ量の吸収/処理の方
法が喫緊の課題となっています。ファーウェイは、通信インフラ整備に取り組む事
業者の視点に立ったソリューションを提供しています。本稿は、デバイスとサービ
スの間の軸となる
「モバイルネットワーク・インフラストラクチャー」に関するファー
ウェイの取り組みをご紹介します。
「デバイス」
「ネットワーク」
「サービス」
全領域で最適なエンド・ツー・エンド
ソリューションを提供
ソリューション・セールス本部 マーケティング本部
ネットワークソリューション
ワイヤレス・マーケティング部 セールス部
担当部長
チーフ ネットワークアーキテクト
滝広 眞利(たきひろ まさとし) 鹿島 毅(かしま つよし)
要な要素です。ファーウェイは、
このすべて
その中でも、
デバイスとサービスの間の軸と
の領域にトータルに取り組むことで、
エンド・
なる
「ネッ
トワーク・インフラ」
に関してファーウェ
ツー・エンド ソリューションを提供します。
イの考えるトレンドと取り組みをご紹介します。
モバイルネットワークは、
フィーチャーフォン
が中心の段階から、
データカードの普及、
ス
マートフォンやタブレット端末の利用が急激
に増加する段階に入りました。必然的に、端
末が産むデータ量が増え続けています。
また
今後、M2Mのデバイスがより大規模に普及
していくと予想され、
もはや、携帯電話を持つ
人の数ではデータ量は予測できません。
一方、ユーザーの視点からすると、状況
に合わせて好きなデバイスを使用できるマ
ルチデバイス環境に加えて、
クラウドの技
術により、デバイスを選ばずにさまざまな
サービスをどこからでも利用できる環境が
実現されつつあります。
このように、
デバイス - ネットワーク - サー
ビスはいずれも、ICT業界の発展にとって重
10
/ APR.2012
【図1】
ファーウェイのモバイルネットワーク強化ソリューション
【図2】
モバイルネットワークとそれを支える伝送ネットワーク
= Small Cell
(小型基地局)
= 伝送ネットワーク
= 都市と都市など、
遠隔地を結ぶ
WDM伝送ネットワーク
ネットワーク全体の
キャパシティ増強が課題
● MBB時代を支えるネットワーク・インフラストラクチャーには、無線アクセス技術と
モバイルバックホールの伝送技術の両者において、連携した技術革新が要求されます。
● ファーウェイは、
ワイヤレス・アクセスネットワーク、伝送ネットワーク、
コアネットワーク、
それぞれの専門家が緊密な連携をとり、
トータル・ソリューションを提供いたします。
● モバイルバックホール:無線基地局とモバイル・コアネットワークを繋ぐ広域伝送ネットワーク
● モバイル・コアネットワーク:音声、
データ通信サービスを提供する交換機などを収容するネットワーク
が重要であることに加えて、
ホットスポットな
して、
「ライセンスバンド
(※国の認可が必
ど必要な場所に十分な通信速度を提供す
要な周波数帯)のモバイルネットワークの
ることが重要になってきています。
大容量化」
と
「ワイヤレスLANなどの非ライ
加入者数の増大に対してはもちろん、
センスバンドへのデータ・オフロード」
を実現
デバイスやサービスの進化に伴うデータ・
するソリューションを提供しています。
電話など従来の音声利用が中心のネッ
トラフィックの急増に対応するため、ネット
無線通信事業者にとって、特にライセン
トワークでは、
カバレッジを主眼とした展開が
ワーク全 体のキャパシティ増 強も喫 緊の
スバンドにおける差別化は重要です。モバ
考えられてきました。一方、
データ利用が中
課題です。
イルネットワークの高速大容量化には、次
心のネットワークでは、依然としてカバレッジ
ファーウェイはこれらの課題への対策と
の3点が必要です。
まず、
ワイヤレス・ネットワークのレイヤー
(図2下部参照)
について見てみましょう。
/ APR.2012 11
Solutions
モバイルネットワークを
高速大容量化するには
的にデータを吸 収できる基 地 局ソリュー
標準化されています。ファーウェイは先進
ションを提供します。これらは屋外・屋内に
的なパケット処理、
トラフィック制御機能を
アクセス技術の高度化
簡単に設置が可能で、マルチレイヤーの
組み込んだチップセットを自社開発すること
∼周波数利用効率を高める∼
ネットワークを実現します。技術の発展とと
により100Gbpsイーサネットの製品化を推
ファーウェイはLTE-Advancedの標準
もに、
さらなる小 型 化・効 率 化が実 現し、
進しています。
化・製品化に積極的に取り組んでおり、
す
ネットワークの工事・運用コストの削減が期
でに一部機能は装置への実装が進んでい
待できる領域のため、
ファーウェイは積極
ます。開発段階の装置では、4X4 MIMO、
的に研究開発を進めています。
∼固定電話と同等の保守・
障害対応機能をパケット網で実現∼
Carrier Aggregationなどの技術を利用
さらに、
このようにマルチバンド、
マルチア
高速化、低コスト化の面では優れている
することで、1.2Gbpsの通信速度を実現し
クセス、
マルチレイヤーと高度化するモバイ
イーサネットですが、既存伝送ネットワーク
ています。
ルネットワークを効率よく運用管理するた
で使用されているSDHと比較すると保守・
今後は、アクティブアンテナの技術を利
め 、ファーウェイは O & Mソリューション
障害対応機能が不足しています。たとえば
用し、
トラフィックの発生や通信路の状況
「SingleSON(図1参照)」
を提供します。
イーサネットでは回線障害時の予備回線
に合わせてビームを最適化することで、周
波数利用効率を高めるソリューションの提
供も予定しています。
GigaSite(SingleRANによる
マルチバンド・マルチアクセス)
への対応
への切替に数100ミリ秒∼数秒の時間を
「高速性」
「高信頼性」
「移行性」
MBBに向けたバックホールに
対する要求を満たす
要することがあります。
この課題に対してファーウェイは、従来
のSDHと同様の保守・障害対応機能をパ
ケット網で実現するパケット・
トランスポート
次に、伝送ネットワークのレイヤーについ
技術(MPLS-TP)によるソリューションを
∼サイトの集積度と効率性を高める∼
て解説します。モバイルバックホールは、基
提供します。MPLS-TPを用いた障害検出
トラフィックの急増に対応するため、世界
地局とモバイル・コアネットワーク間を繋ぐ
および回線切替により、従来のSDH網と
中で新しい周波数が割り当てられていま
広域伝送網です。モバイル・ブロードバンド・
同等の50ミリ秒以下での障害回復を保
す。これにより実現するマルチバンド・マル
サービスを実現するモバイルバックホールに
証します。
チアクセスのネットワークを、
いかに低TCO
は、
「 高速性」
「高信頼性」
「移行性」が要
で実現するかが重要な課題です。
求されます。
ファーウェイの「モバイルバック
ファーウェイは、
2009年から
「SingleRAN」
ホール・ソリューション」は、
これら3つを満た
∼既存ATM回線をイーサネットに収容∼
という単一の装置でマルチバンド、
マルチア
します。
既存の基地局ではATM回線が多く用い
クセスに対応するソリューションを提供し
ています。今 後 、単 一サイトでG b p sオー
ダーの通信速度をサポートする必要があ
り、
ファーウェイはベースバンド装置やRF
装 置ともに 集 積 度と効 率 性を高 めた
「 GigaSiteソリューション
(図1参照)」
を
提供します。
モバイルバックホール・
ソリューションで
広域伝送網のキャパシティを拡張
高速性を実現
∼無線インターフェースに
対応して拡張可能∼
伝送ネットワークの高速化にはイーサネッ
スムーズな移行性
られており、
モバイルバックホールの完全な
イーサネット化の障害になっています。
ファー
ウェイは回線エミュレーション技術
(PWE3)
を用いてATM回線をイーサネットに収容する
ことにより、
この課題を解決します。また、
ATM回線には基地局に対してクロック同期
を提供する役割があります。
トが広く用いられています。イーサネットは家
ファーウェイは基地局からコアネットワー
庭内からキャリア・ネットワークまで広く普及
クまでのエンド・ツー・エンドのネットワーク
∼効率的にデータを吸収する∼
しており、基地局に対しても100Mbpsまた
機器でS y n c h r o n o u s Ethernetおよび
ビルや鉄塔などに設置されるマクロ局に
は1Gbpsの高速インタフェースを比較的安
IEEE1588V2に対応し、
イーサネット化され
よる面のカバレッジをサポートする形で、
マ
価に提供できます。また、
その100倍の伝
たモバイルバックホール全体へのクロック同
イクロ、
ピコ、
フェムト
(図2参照)
など効率
送速度を提供する100Gbpsイーサネットも
期を提供します。
Small Cell(小型基地局)の展開
12
高信頼性を保証
/ APR.2012
ファーウェイのエンド・ツー・
エンド・ネットワーク製品
より、
モバイルバックホールのエンド・ツー・エ
C/D WDM(OSN1800)
ンドに従来のSDH網と同等の高信頼性を
高さ1Uまたは2Uの小型筐体で多様な
持つイーサネット伝送路を提供します。
また、
サービス・インタフェースに対応します。
また、
一
ファーウェイはIPルーター、
パケット・
トラン
回線エミュレーション技術によるATM回線
本の光ファイバーで双方向通信を行い、
ファ
スポート、光伝送の各レイヤーの装置と取り
のイーサネットへの収容によってモバイル
イバー使用コストを半減する一芯双方向伝送
揃え、個々のニーズに適合するモバイルバッ
バックホールの完全なイーサネット化をサ
に対応します。
これにより、
光ファイバーを用い
クホール・ソリューションを提供します。
ポートします。
たネッ
トワーク構築の自由度を高めます。
IPルーター
(NE40E)
設置自由度の高い奥行30cmのコンパク
サービス・ルーターまでのラインナップにより、
日本市場の要求を考慮した
ソリューションを研究開発
モバイルバックホール設計の自由度を向上し
冒頭で述べたように、
モバイル・ブロード
ファーウェイ・ジャパンでは、
お客様のご
ます。たとえば小型ルーターをモバイルバック
バンド時代の課題は、
通信技術の進化と
要望にいち早くお応えできるようにラボを
ホールに配置することで、
LTE基地局間での
ともにニーズが増えた結果として増加した
併設し、
ソリューションの実証を含め、
お客
直接IP通信を実現し、
コアネットワークによる
「データ量の吸収と処理」
です。
ファーウェ
様へのデモも実施しています。今後も、
装
イは、本稿でご紹介したように、世界中で
置の小型化や低消費電力化、
日本独自
蓄積した経験とノウハウ、
豊富な装置ライ
仕様の回線への対応はもちろん、
日本市
パケット・
トランスポート
(PTN)
ンナップを生かし、
MBBサービスの実現お
場の多様なニーズを考慮し、
新しいビジネ
スペースの限られている基地局にも設置
よびコスト削減に貢献する
「エンド・ツーエ
ススタイルの確立や収益化を図る通信イ
可能な高さ1U(4.45cm)
の小型装置から
ンド ソリューション」
を提供いたします。
ンフラ整備に取り組み続けます。
ト・ルーターから100Gbitイーサネット対応の
IP中継の負担を削減できます。
コア・メトロネットワーク対応の大容量装置に
【図3】
ファーウェイの伝送ネットワークの製品ラインナップ
● ファーウェイは無線通信事業者のあらゆるニーズに応える
モバイルバックホールを構築するために、光伝送、
パケット・
トランスポート、
IPルーターの各製品群においてエンド・ツー・エンドのラインナップを提供します。
/ APR.2012 13
VOICE
FROM OPERATORS
テレコム・マレーシア
ブロードバンド化から付加価値の創造へ
HSBB
(High Speed Broadband:高速ブロードバンド)
は、マレーシア政府が推進
するナショナル・ブロードバンド計画だ。HSBBは、マレーシアの国民生活を豊かに
し、国内の通信業界、
さらには国家自体にも根本的変化をもたらしている。テレコ
Telekom Malaysia Berhad
マレーシア 国 内 最 大 手 の 情 報 通 信グ
ループ。マレーシア政府とブロードバンドを
ム・マレーシアでCTIO
(Chief Technology and Information Officer:最高情報
推進する一方で、データ通信や固定電話
技術責任者)
を務めるジョルジオ・ミリアリナ氏は、
ブロードバンド化の範囲が拡大
など総合通信サービスとソリューションを
し、通信事業者のビジネス・モデルをサービス、発想、性能の観点から変革しうると
ころまで来たと確信する。
幅広く提供する。固定電話加入数430
万回線。
ブロードバンド加入者170万人。
『WinWin』編集部(ファーウェイ刊)Michael Huang 編
HSBBで次の段階へ
飛躍を狙う
レーションを通じて可能性を切り開くべく、
将来に向けて共同投資する道を選んだ。
次世代通信プロバイダーへの変革を着実
TMとマレーシア政府は、HSBBの展開を
に進めている。
連携して進めることに合意した。
これにより、
人口が約3,000万人のマレーシアは、
TMが直面する課題は、固定通信事業
主要都市の最大130万の建物にFTTH
国民の平均年齢が26歳という非常に若い
者であれば少なからず抱えているものだ。
(Fiber-To-The-Home)
またはV D S L
国だ。近年、
ブロードバンドの普及が急速
消費者行動の急速な進化に伴う
「固定」
(Very-high-speed Digital Subscriber
に進み、ユーザーのニーズに応えるため、
から
「モバイル」への極めて大きな構造変
Line)
が敷設され、220万以上の世帯およ
通信事業者は迅速な行動が求められてい
化に際し、
プロバイダーとして固定回線イン
びオフィスが結ばれることになる。
る。モバイル普 及 率はすでに1 0 0 %を超
フラおよびサービスの位置づけの見直しを
2008年9月、HSBBは、次世代高速ブ
え、固定電話加入数もマレーシア国内全
迫られている。近年、特に動画によってトラ
ロードバンド・インフラおよびサービス開発
世帯数約600万世帯に対し430万回線
フィックが爆発的に増加したこともその一
に向けた官民パートナーシップによる国家
に上る。国内のブロードバンド普及率は、
例だ。その結果、
レガシー・プラットフォーム
プロジェクトとして立ち上がった。
2010年に目標の50%を上まわり、2011
は、
ブロードバンド・サービスやデータ・サー
総 投 資 金 額は1 1 3 億マレーシア・リン
年夏の時点で57%(インターネット人口は
ビスを柔軟かつ効率的に提供する上での
うち89億
ギット
(約2,825億円) に上り、
1,600万ユーザー以上)
に達している。
阻害要因になっている。
マレーシア・リンギット
(約2,225億円) は
テレコム・マレーシア( 以 下TM)は、
ブ
一方、
マレーシア政府は、HSBBによって
TMが負担した。残る24億マレーシア・リン
ロードバンド、データ、固定を含む総合的な
次の段階への飛躍を図りたいという意向を
ギット
(約600億円) は、
マレーシア政府
通信サービスとソリューションを提供するマ
示す。タイミングよくコスト効率に優れた展
がプロジェクト・マイルストーンの達成に基
レーシア最大手の情報通信グループだ。
開の必要性や、
カバレッジと品質に対する
づいて発生ベースで拠出する。
マレーシアの全国民に高度なデジタル・ラ
国民の期待が高まっていることから、業界
HSBBプロジェクトの対象範囲は、新し
イフスタイルを提供し、接続、通信、
コラボ
中心の不確実な発展に任せるのではなく、
いラストマイル・アクセス・サービスの提供だ
注)
注)
注)
注)
1マレーシア・リンギット=25円で換算
14
/ APR.2012
HSBBで
コスト効率が良い展開や、
カバレッジと品質に対する
国民の期待に応える
Giorgio Migliarina: CTIO of Telekom Malaysia Berhad
けでなく、
エンド・ツー・エンド ネットワークの
OSS
(Operating Support System)
/BSS
ン・アクセスネットワークとすることだ。その
提供にもおよぶ。これには、従来のPSTN
(Business Support System)
に対応する
他のローカル・ネットワーク通信 事 業 者 、
(Public Switched Telephone Network:
こともできる。
ASP(Application Service Provider)
、
公衆交換電話網)
からオールIPベースのコ
このプロジェクトには大きく2つの目的が
ISP
(Internet
アネットワーク・インフラへの移行も含まれ
ある。1つは、
クアラルンプール、
クランバ
レーシア通信マルチメディア委員会のライ
る。これにより将来も使用可能なプラット
レー、および主要工業団地が立地する地
センス取得企業のうち、
TMの既存ネット
フォームが実現し、
より総合的なサービスの
域に包括的なインフラを整備することであ
ワーク・インフラおよびHSBBネットワーク・
提供が可能になる。加えて、
キャパシティの
り、
もう1つは、
TMを中立的なサービス・プ
インフラを利用したいすべてのアクセス事
増 強 によって、海 外との 連 携 や 新たな
ロバイダーとして位置づけ、HSBBをオープ
業者に開放される。
Service
Provider)
など、
マ
/ APR.2012 15
HSBBが秘める可能性
HSBBは、重要な国家インフラ整備構想
であり、
マレーシアが知識経済への飛躍的
発展を遂げるか否かの鍵を握っている。経
済成長や雇用創出に大きく貢献することに
加え、FDI
(Foreign Direct Investment:
海外直接投資)
の誘致によって、
アジア太
平洋地域におけるマレーシアの競争力強
化にもつながることが期待される。
それ以上に、HSBBは消費者に高度な
デジタル・ライフスタイルを約束するもので
あり、仕 事 、健 康 、インフォテインメント
( I n f o t a i n m e n t : 情 報と娯 楽を融 合した
サービス)、バーチャル・ショッピング、高解
像度VoD(Video-on-Demand)、
ゲーム、
遠隔教育などにおける消費者の創造、交
流、協働を可能にする。
一方、企業もマネージド・サービス、会計
管理、供給管理、
およびCRM(Customer
Relationship Management:顧客関係管
理)分野の新しいアプリケーションによっ
て、経営効率改善を図ることができる。国
内外を問わず、市場のアクセスが向上し、
世界中のビジネス・パートナーとの統合強
化を図ることも可能になるだろう。
変革へのアプローチ
マレーシアのHSBBプロジェクトはその
範囲と期間に関して世界で3本の指に入
るブロードバンド・プロジェクトだ。その技
術 的な課 題は、すでに銅 線インフラが整
備されている地域に高品質のブロードバ
ンドをどのように提 供するかだ。そこで、
T
Mが採用したのは、3つの柱からなる展開
戦略だった。
まず、主 要 都 市 の 人 口 密 集 地 には、
FTTHおよびADSL
(Asymmetric Digital
16
/ APR.2012
VOICE
FROM OPERATORS
Subscriber Line)
ベースのサービスを提
幅に短縮するため、技術基盤の変革プロ
しては公衆網とVPN(V i r t u a l P r i v a t e
供する。また、郊 外および 中 都 市には、
グラムにも着手した。このプログラムでは、
Network)
の両方のIP化を進めている。
ADSLおよび国民総ブロードバンドサービス
これまでの場 当たり的な拡 張によって複
これらの移行は、いずれもスケジュール
『Streamyx』
を提供する。
そして、農村地域
雑に入り組んだネットワーク構 成を廃し、
が異なることに加え、
それぞれ固有の依存
には、Wi-Fiなどのワイヤレス・テクノロジー
IMS(IP Multimedia Subsystem)
など
関係があるため、計画には慎重を期する。
によってサービスを提 供すると同 時に、
のサービス配 信プラットフォームをベー
留意すべき点として、現在のネットワーク利
C D M A(Code D i v i s i o n M u l t i p l e
スにアーキテクチャーを刷 新 する計 画
用率、サービス・レベル、
レガシー設備の保
A c c e s s )/ E V D O(Evolution Data
だ 。計 画されているアーキテクチャーで
守コスト、移行への投資が挙げられる。
レガ
Optimized/Evolution Data Only)
イ
は 、ブロードバンド・アクセスは F T T H
シー交換機の段階的廃止には、多大な時
ンフラなどの固定ワイヤレス・リソースによっ
G P O N(Gigabit-capable P a s s i v e
間とリソースが必要だ。念願の次世代ネッ
て補完する。
Optical Network:ギガビット・パッシブ光
トワークへの移行に向けた全プロジェクトの
ネットワーク)
およびVDSL2テクノロジー、
ア
技術面での変革
完了は、2017年になる見通しだ。
グリゲーション・レイヤーはメトロ・イーサネッ
ト、制御レイヤーはIMSベースとなる。さら
新しいHSBBのコンポーネント
TMは、
まず既存インフラの品質改善に
に、
キャリア・クラスのサービス提供とあらゆ
重点を置き、銅線インフラ改修プログラム
る顧客ニーズへの柔軟な対応を実現すべ
HSBBネットワークの設計はゼロから行
を開 始した。最 終 的な目的は、ローカル・
く、IPコア・バックボーンも一新する計画だ。
われており、アクセスネットワークは完全に
ループ部分が長く、低速のADSLインフラ
オールIP化は、
リソース集約的な取り組み
新しいものとなる。一戸建て住宅にはすべ
を交 換し、最 終 的にマレーシア全 土にわ
であるため、運用管理面での課題も多い。
てFTTH、集合住宅にはVDSL2を敷設し、
たってADSLの高速化を図ることだ。その
現在、
TMでは9つの主要プラットフォーム
2 0 1 2 年までに1 8 0 万 世 帯に相 当する
取り組みの一方で、
オールIP化に向けたイ
移行プログラムを手がけている。その中に
130万ポートをカバーする計画だ。
ンフラの変革も進めている。これは、帯域
は、
ATM
(Asynchronous Transfer Mode:
新しい次 世 代ネットワーク・コア、5 0 0
幅の増加、将来も使用可能なネットワーク
非同期転送モード)ベースの回線からIP
ノード以上のメトロ・イーサネット、約100台
の確保、運用コストの削減、サービス能力
MSAN
(Multi-Service Network Access)
のIPコア用ルーターの設置に加え、新しい
の向上のほか、
自社または他社による新た
への移行、全レガシーPSTN交換機の段
OSS/BSSスイートによるシステムの更新
なサービス提供の促進にもつながることが
階的廃止、AG(Access Gateway)/IP
も進めている。この規模でのアクセスネット
期待される。
MSANベースのプラットフォームへの移行
ワーク、
コアネットワーク、
およびITシステム
さらに、新サービスの市場投入期間を大
などが含まれる。また、
コアネットワークに関
の同時移行は、前例のないもので、同 時
HSBBは、
マレーシアの経済成長の鍵
/ APR.2012 17
VOICE
FROM OPERATORS
ル・ダッシュボードなど、有効性が実証済みの
で削 減し、最 終 的には7 0まで削 減する
非常に一般的なツールを再導入した。第4
計 画だ。特 にプラットフォーム全 体 にわ
に、
「 設計プロセスの合理化とシンプル化」
移 行プログラムの実 施に当たっては、
たってマルチベンダー環 境が 存 在する
に比重を置いた。
まずその業界の知見を事前に調査しなけ
OSS/BSS側で大きな問題が生じないよ
うに、
すべてのプラットフォーム、
ブロードバ
ンド・フォーラムおよびITU(International
Telecommunication Union:国際電気通
18
知見の共有が重要
に、現 在 7 0 0あるシステムをまず3 0 0ま
ればならない。TMでは、従来マルチベン
驚異的なペースでの
立ち上げ
ダー戦略を採ってきたが、
オールIP化に伴
う複 雑さを軽 減するため、少 数 のパート
ナーに限 定した。これが 功を奏し、ネット
信連合)
規格を可能な限り採用している。
HSBBおよびUniFiトリプルプレイ・サー
ワーク展開をより効率的に実行できた。
ITシステムの場合、既存顧客および製
ビスの立ち上げにより、
TMは持続的な成
また、移 行の経 済 的 側 面を慎 重に分
品の導入・移行が極めて重要だ。まったく
長に向けた基盤を固め、現在は音声交換
析することも必要だ。たとえば、障害発生
新しいOSS/BSSスイートを導入したことか
から情報交換への変革を進めている。
率の低さ、性能の高さ、移行コストの高さ
ら、HSBB製品の移行は段階的に進めた。
2010年11月のHSBB立ち上げから1
などを検 討し、特 定 のレガシー・プラット
OSS/BSS(Nova)
の立ち上げは、特に不
年間で、UniFiプラットフォームは20万人
フォームを極力使用するといったことなど
具合やトラブルが生じることもなく9ヵ月で
以上の顧客を獲得し、設置ポート数は100
が挙げられる。当然のことながら、
コミュニ
完了し、現在はシステムへの既存製品の
万ポートを超えた。
ケーションも重要であり、顧客をはじめとす
追加を徐々に進めているところだ。
その一方で、
マレーシアには、
ファイバー
る関係者全員の理解を得ることは不可欠
OSS/BSSの移行に当たって革新的な
関連のトレーニングを受けたフィールド・チー
である。
方法を採用したにもかかわらず、
タイミング
ムがなかったため、デリバリー&サービスを
こうしたプロジェクトにとって重要なこと
や新製品に対する既存システムの利用度
効率よく行えるチームをゼロから育成しなけ
は、社内の考え方や行動の変化が伴わな
の問題は、現状では無事に解決できてい
ればならなかった。
また、
自社スタッフだけで
ければ、いくらテクノロジーを変更しても無
る。また、単一のプラットフォームに基づい
なく、請負業者を短期間でトレーニングする
意味だということである。たとえ優れた新技
てベンダーの専用ソリューションを使用し、
必要もあった。これは、新規顧客に滞りなく
術を持っていても、
それを効果的なサービス
カスタマイズの必要性を最小限に抑えた。
対応する上で最も功を奏した。
提供に生かす方法がわからなければ、結局
さらに、
まずHSBBと増え続けるIPに対
現在では、FTTHテクノロジーについて
は機会を逸することになる。
応する製 品はそのまま使 用し、プラット
十分にトレーニングを受け、実務知識を身
技術移行は、
プロセスの根本的な変化
フォームが安定状態に達した時点で初め
に付けた技術スタッフや請負業者を数千
につながらなければならない。人々に最初
てレガシー製品の移行を開始した。ただし、
人確保するまでに至っている。
から行動変革を求めるのは難しい話だ。
し
タイト・スケジュールのため、複数のリリース
IPTV
(Internet Protocol TeleVision)
プ
かし、パフォーマンスが徐々に上がってくる
を並行して行った。
ラットフォームは、UniFiの立ち上げからわ
ことによって、仕事へのプライドが生まれ、
運用シンプル化計画では、基本的に4つ
ずか6ヵ月後にスタートした。IPTVネットワー
変革の推進は容易になる。そうすれば、変
の要素を柱とした。第1に、
テクノロジーでは
クの設定に伴う複雑さを考えると、
これは世
革は独特の活気を帯びて加速し、
プロジェ
なく
「職務責任」に重点を置いた。
そのため、
界でも類を見ない早さだ。
クトの成功につながっていくだろう。
現場作業者の考え方や行動を調査し、
サー
運用簡素化プログラムにより、音声アク
ビス提供、障害復旧、
その他の業務の方法
ティベーションの平均所要時間および平均
を根本から見直した。第2に、
「無駄をなくす」
復旧時間は60%以上、
ブロードバンド・オペ
ことに努めた。第3に、
ツールのシンプル化に
レーションの平均所要時間は80%以上短
よって
「管理・監視の強化」
を実施した。
縮された。
また、
バック・オフィスの仕組みを単
時間単位での活動記録のため、
ビジュア
純化することで、
コスト削減効果も得られた。
/ APR.2012
AO OF 01
BUSINESS
ファーウェイと
ボーダフォン・スペイン
イノベーションに満ちたパートナーシップ
協力関係が
イノベーションを生み出す
WinWin:ボーダフォンとファーウェイは、長
年にわたって緊密に協力してきました。これ
までの協力関 係についてどうお考えです
か。またボーダフォン・スペインにとって、
ど
のようなメリットがありますか。
バスティロ氏:ファーウェイとの協力関係の
始まりはかなり前に遡ります。ボーダフォン・
スペインは、
ファーウェイとともに2つのボー
ダフォン・グループ共同イノベーション・セン
ターを立ち上げました。1つは、2005年に
開設したM I C( M o b i l e I n n o v a t i o n
Center)
で、
ここでは無線技術を中心に研
究・開発を行っています。
もう1つは、2007
年に開設したAIC(Application Innovation Center)
で、
こちらはアプリケーションと
ソフトウェアを中心に研究・開発を行って
います。
この2つのイノベーション・センターで開
発され、商用化されたプロジェクトの数は
ベンダーと通信事業者の創造的な協力関係は、通信業界の発展に不可欠だ。ボーダ
フォン・スペインでCTO
(Chief Technology Officer:最高技術責任者)
を務めるジェイ
ムス・バスティロ氏に、最近の業界動向およびボーダフォン・スペインとファーウェイの協
力関係がもたらすイノベーションについて話を聞いた。
『WinWin』編集部(ファーウェイ刊)Pearl Zhu
25本以上に上ります。たとえば、現在すべ
てのネットワークに 展 開しているR R H
( Remote Radio Head:リモート無 線 ヘッ
ド)
とSingleRAN製品の適用開始や、
そ
の 後 のさまざまな無 線 製 品 機 能 の 改 良
も、MICで行われました。
ファーウェイは、ボーダフォン・スペインに
James Bustillo, CTO of Vodafone Spain
/ APR.2012 19
AO OF 01
BUSINESS
とって申し分のないパートナーです。ファー
応じて3台以上の無線ヘッドを装備すること
ら、今後はビジネス・モデルのあり方につい
ウェイは、お客 様 志 向と誠 実さをコア・バ
も可能です。確かにキャパシティや周波数
て検討を深めていく必要があります。
リューとして捉えているため、当社のお客様
帯域幅も必要な要素ですが、柔軟性こそが
のためのイノベーション実現に向けて、極め
SingleRANの最大の特長だと思います。
得に向けて、
サービスとネットワークの両面
て協力的に働いてくれます。ネットワーク構
築分野では、実際にその成果を最善の形
WinWin:SingleRANの今後に期待するこ
での変革を考えています。これらの分野に
でお客様にお届けできています。
また、
アプ
と は 何 でしょうか 。ボ ー ダ フ ォン の
おけるベテランとして、通信事業者が取り
リケーション分野における連携も始まってお
SingleRAN展開におけるさらなる価値創出
得る選択肢についてお聞かせ願えますか。
り、今後もあらゆる分野で引き続き連携を
のために、
ファーウェイが改善できる点につ
またボーダフォン・スペインの計画とあわせ
図っていく予定です。
また、
アプリケーション
いてお聞かせください。
て教えてください。
やソフトウェアの分野でも新しいことにチャ
バスティロ氏:SingleRANは、無線ヘッドや
バスティロ氏:スペイン市場の状況は、他の
レンジする必要があります。大きな課題とし
アンテナの統合化をさらに進めることが可能
ヨーロッパ諸国の市場と非常によく似てい
ては「クラウド・コンピューティング」
が挙げら
だと思います。実際、
アンテナの統合化に取
ます。また、テレフォニカ、オレンジ、ボーダ
れます。これは、両社が非常に関心を寄せ
り組んでいるところです。
また、
サポートする
フォンといった通信事業者への集中化が
ている分野です。われわれは、双方にとって
周波数帯域幅の拡大や、
ビーム・ステアリン
進んだいま、市場はますます似通ってきて
イノベーションをもたらす新たな分野に集中
グ
(基地局の電波を特定の方向に集中して
います。ただ、
ソーシャル・ネットワーキングや
して取り組んでいく必要があります。
送る)
も有益でしょう。
しかし、全体的に見て、
ソーシャル・リレーションシップに対するアプ
コンセプトはすでにあるわけなので、後は細
ローチの仕方には違いがあると思います。
部の最適化を図ればよいと思います。
コンピテンシーの分野では、現在と同様
WinWin:SingleRANが、
ファーウェイと
ボーダフォン・スペインのMICで初めて公開
されたことは、
まさに重要な出来事でした。
低コスト、
キャパシティ、
スペクトル効率、帯
インターネットをユビキタスに
一歩先を行く通信環境を
に今後も顧客が求めているものを提供する
必要があります。顧客が求めるものは時間
とともに変化するため、
それに応じてアプ
ローチも変える必要があります。
域幅の観点から見て、SingleRAN独特の
20
WinWin:通信事業者は、市場優位性の獲
価値はどこにあると思いますか。
WinWin:現在、MBB
(モバイル・ブロードバン
重要なことは、お客様がどこからでも、必
バスティロ氏:SingleRANは当社にとって
ド)
が急速に普及してますが、
トラフィックの増
要に応じてあらゆるコンテンツにアクセスで
非常に重要なイノベーションの1つです。
加に見合うARPUが得られていない通信事
きるようにインターネット接続を提供すること
最大のメリットは、柔軟性に優れているこ
業者もあります。モバイル通信事業者が世
だと思います。たとえば、
クラウドに保管され
とだと思います。つまり、サイトが存在する
界およびスペインのMBB市場において現在
たコンテンツにアクセスしたいと思えばアク
場 所に1 台だけ設 置しておけばよいこと
直面している課題は何ですか。
セスできる。
ときには外出先からテレビ映画
や、周波数、規格、およびサイトに関するあ
バスティロ氏:スペインにおけるブロードバン
を観たい、
あるいは自国/故郷で開催される
らゆることを後で変更できる点です。この柔
ドの課題は、
「モバイル・ブロードバンドの収
スポーツイベントを旅行先の国から観たいと
軟性は、OPEX(Operating Expense:
益化」の一言に尽きると思います。これは、
思えば観ることができる。
これが今後数年間
運用コスト)の削減にもつながります。
当社に限らず、
どの通信事業者にも当ては
の大きな流れになると思います。
従来、設置作業の大半は、担当者が基
まることです。収益化を実現するためには、
コンテンツ配信の改善のために新しい
地局に直接出向いて行わなければなりま
顧客と通信事業者の双方にとって有益な
アップロード用ツールも必要ですが、
それら
せんでした。
また、消費電力の大きさも悩み
ビジネス・モデルを構築する必要がありま
はツールにしかすぎません。それよりも、
イン
の種でしたが、SingleRANによって1台の
す。今後数年間はその課題に取り組むこと
ターネットを誰もがいつでも、
どこにいても楽
機器で対応できるようになりました。
しかも
になるでしょう。技術に関しては、顧客の要
しめるユビキタスなものにすることこそが大き
非常に小型です。また、
アプリケーションに
求レベルはすでにクリアしています。ですか
な課題です。
/ APR.2012
バスティロ氏:期待しているのは柔軟性で
WinWin:インターネッ
トをユビキタスなものにす
す。周波数帯域とキャパシティを使用する
るために必要なツールに関して伺います。
必要がある時期は、
まだ正確には予測でき
RCS
(Rich Communication Service)
や
ません。だからこそ、柔軟性が必要なので
CDN
(Contents Delivery Network)
といった
す。ファーウェイのテクノロジーが、現在市
分野に対するボーダフォンの取り組み状況を
場で求めうる最高のものであるのは言うま
お聞かせください。
でもないと思います。
バスティロ氏:当社はお客様に最高のイン
周波数を確保した後、LTEの展開を開
ターネット体験を提供すべく取り組んでお
始する予定であり、すでに試験運用は始
り、CDNなどのテクノロジーも今後の展開
まっています。こうした進化は、LTEのキャ
に向けて視 野に入っていることは確かで
パシティの推進力となるスマートフォン市場
す。ボーダフォンは、
これまで非常に革新的
にかかっています。
な企業として歩んできましたし、
これからもそ
うあり続けるつもりです。
WinWin:業界はクラウド・コンピューティン
RCSに関しては、バルセロナで開催され
グの話題で持ちきりですが、
クラウドが通信
たMobile World Congress 2011で業
において果たす役割について、
どのように
界標準が発表されました。この技術開発に
見ていますか。
は、ボーダフォン・グループが牽引する役割
バスティロ氏:クラウドに関しては、主要イン
に関わっており、特にボーダフォン・スペイン
ターネット・プレイヤーはもちろん、
すべての
の技術者が積極的な役割を担っているこ
人、企業、通信事業者が関心を寄せていま
とを指摘しておきたいと思います。
す。
クラウドにはさまざまな側面があり、
その
て、ボーダフォンはどのような計画をお持ち
多くに対処する必要があります。
ですか。これまでの進捗状況についてお聞
WinWin:LTEの商用展開を目指している
その1つはプライベート・クラウドです。ま
かせ願えますか。
通信事業者が今後直面する最大の課題
た、従来以上の収益性を確保できるような
バスティロ氏:ボーダフォン・スペインは、通
は何でしょうか。
形でバック・オフィスをクラウド化する必要も
信事業者の中ではクラウドのコンセプト開
バスティロ氏:現在、
スペインをはじめ、多く
あります。
発における草 分け的 存 在です。当 社が
の国で課題となっているのは周波数です。
ボイスメールやアプリケーション・ストアと
どの国も2.6GHz帯と800MHz帯に周波
いったサービスの側面もあります。コンテン
以上前になります。この画期的な製品は、
数を割り当てており、周波数の確保がLTE
ツのフォルダーをクラウド内に設けることが
あらゆる企業通信サービスをクラウド化し、
における当面の重要課題です。
できるため、
コンテンツをメモリ・スティックに
お客様のインフラを極限までスリム化する
また、周波数を確保する一方で、エコシ
入れて持ち歩かなくても、常にコンテンツを
ものです。現在、
クラウド・ストレージなど、IT
ステムを構築し、LTEの展開に向けたベン
利用することが可能になります。
さらに求め
インフラの範 囲を広げた新しいクラウド・
ダーと通信事業者の双方の態勢を整える
られているのは、
インターネット上に広がっ
サービスが生まれつつあります。ボーダフォ
必要もあります。LTEの展開において重要
ていないあらゆるものをクラウド化すること
ン・スペインは、事業の一環としてこの分野
なポイントは、端末と周波数の2つです。
です。今後はこうした側面の重要性が増し
の開発に取り組んでおり、当社のイノベー
ていくはずです。そして、
あらゆるものがイン
ション部門がマーケティング・チームと協力
WinWin:LTE分野でファーウェイに期待する
タラクティブになり、
クラウド化されることに
しながら、お客様への提案の策定と展開を
ことは何でしょうか。LTEネットワークの展開に
なるでしょう。
進めています。
ふさわしい時期はいつ頃だとお考えですか。
WinWin:クラウド・コンピューティングに関し
『Vodafone Office 』
を開始したのは5年
TAO OF BUSINESS
/ APR.2012 21
AO OF 01
BUSINESS
スカイ:無限に広がる可能性
テレビ - ブロードバンド - 電話サービスの
「トリプルプレイ」に挑む
スカイ社は、
有料テレビの顧客が1,000万人を超える英国で名の知れた存在だ。1989年の
事業開始以来、放送メディア業界をリードするプレイヤーとして業績を伸ばし続けている。
同社はテレビ‐ブロードバンド‐電話サービスの
「トリプルプレイ」
に向けた革新的な取り組
みにより、英国で
「ホーム・エンターテインメント」
と言えば真っ先に名前が挙がる企業となっ
た。
さらに、放送事業と電話事業への投資拡大によって、
ホーム・コミュニケーション分野で
も勢力を伸ばしつつある。
スカイ・ネットワーク・サービスでディレクターを務めるモハメド・ハ
Sky(British Sky Broadcasting Group Plc)
イギリスの放送事業者。スカイは、
ヨーロッ
パで最も成功を収めた有料テレビ配信企
業の1つとして、数百万人におよぶ加入
者に最高のエンターテイメント、
スポーツ、
ニュース、
アートを提供している。
マディ氏が
『WinWin』
に詳しく語ってくれた。『WinWin』編集部(ファーウェイ刊)Yingying Li
ができる柔軟性をお客様に提供すること
要を背景に、毎週1,000人のペースで顧
にあります」
客数を伸ばし続けている。
「HD加入者数
スカイの競争力の源は、高品質なコンテ
Sky+は、テレビ視聴のあり方に変革を
は一貫して高い伸びを示しています。HD
ンツ開発と投資へのコミットメントにある。
もたらし、今では英国人お気に入りのパー
対応テレビの一般家庭への普及が進むに
同社は、テレビ・コンテンツに年間20億
ソナル・ビデオ・レコーダー的存在となった。
つれて、HDサービスの利用を検討する家
ポンド
(約2,400億円 注)
を超える投資を行
「Sky+にいったん慣れた人であれば、誰
庭も 増えることが 予 想されます 。S k y
う英国最大の商業投資企業でもある。
もがその利便性に納得するはずです。機能
Movies HDで最新の超大作映画を、
ある
スカイの最も重要なイノベーションの1つ
面に目を向ければ、
スカイに加入することの価
いはSky Sports HDでサッカーの試合を
は、1998年に始まったデジタル化への移
値はさらに深まります」
とハマディ氏は語る。
一目見れば、
その違いを実感していただけ
行が2001年に完了し、従来の概念を覆す
Sky+の成功に加え、
ヨーロッパ最大と
るはずです。その先には、胸を躍らせるよう
Sky+(スカイ・プラス)
サービスを導入したと
なる50チャンネルを超えるHD(高精細)
な未来が広がっているのです」
とハマディ
きに起こった。
チャンネルを提供することで、HDTVにおけ
氏は語る。
スカイ・ネットワーク・サービスでディレク
るリーダーとしての地位も確保している。
2010年に登場したSky 3Dは、
スカイの
ターを務めるモハメド・ハマディ氏は次の
スカイは、多くのテレビ・メーカーのサポー
コンテンツをダイナミックかつエキサイティン
ように語る。
「Sky+はテレビ体験のあり方
トを得て2006年にHDサービスの提供を
グに楽しむ方法によって、
さらなる躍進を果
を変えました。番 組の一 時 停 止 、巻き戻
開始し、ユーザーが選択した数のチャンネ
たした。スカイは、2011年7月には、アトラ
し、早送りを実現したほか、視聴者が番組
ルをかつてないレベルの鮮明な高画質映
ンティック・プロダクションズとのジョイント・
表に生 活を合わせるのではなく、生 活に
像で楽しめるようにした。現在、Sky+HDは
ベンチャーによるオリジナル・コンテンツ制
合わせてコンテンツを記録してテレビ番組
総合的なサービスへと発展し、加入者数を
作の新会社の立ち上げを発表するなど、
を編 成することを可 能にしました。その目
350万世帯以上に伸ばしている。
3Dエンターテインメントに対して重点的な
的は、観たいものを観たいときに観ること
スカイは、Sky+HDに対する根強い需
投資を進めている。また、ディズニー、ディ
常にイノベーターであれ
注)
1ポンド=120円で換算
22
/ APR.2012
スカバリー、およびMTVとの間で、最新の
番組を3Dでスカイの顧客に直接提供する
配信契約を新たに結んだ。
コンテンツ専業から
トリプルプレイ・サービス・
プロバイダーへ
スカイの有料テレビは膨大な契約者数を
有しているにもかかわらず、1,000万人を超
える顧客のうち、
テレビ、
ブロードバンド、
およ
び電話サービスの3つすべてにおいて、
スカ
イを選択している顧客の割合はたった27%
にすぎない。これは、
トリプルプレイ顧客の
新規獲得だけでなく、既存加入者に対して
スカイが提供する製品やサービスを売り込
む機会があることを意味している。
既存顧客へのホーム・コミュニケーション・
サービスの販売は、
スカイにとって最優先課
題であり、同社の成長戦略の柱となってい
る。2011年6月の時点で、Sky Broadband
は71万1,000人の新規加入者、同社の電
話サービスであるSky Talkは73万4,000人
の新規顧客を獲得した。
現在の経済環境を考えると、節約目的
だけでなく、
エンターテインメントと通信の料
Mohamed Hammady, Director of Sky Network Services
金請求書をすべて一本化できる利便性か
ら、
トリプルプレイ・サービスを選択する家庭
ミュニケーション分野をリードすることも可
がますます増えると見込んでいる。
能でしょう」
とハマディ氏は語る。
「 当 社 は 、S k y + 、H D 、3 D 、V o D
「現在、何百万人というスカイのお客様が
(Video-on-Demand)、およびマルチプ
既存通信プロバイダーの通信サービスを利
ラットフォーム・サービスの形で、真のイノ
用しています。
それらのサービスをスカイに切
スカイは、
ホーム・コミュニケーション分野
ベーションによって支えられた最も総合的
り替えれば、完全無制限のダウンロードやダ
への新規参入組であるため、
レガシー・ネッ
なコンテンツ群を提供できるように全力を
ウンロード速度の安定性といったユーザー・
トワークの厳しい制約に縛られることなく、
傾けています。こうした努力が、
ホーム・エン
エクスペリエンスの向上を体感していただけ
最新テクノロジーを導入することができる。
ターテインメントにおけるトップの地位につ
ます。
しかもサービス利用料の支払いを抑え
しかし、
そうした急速な拡大に伴う問題はな
ながったものと確信しています。また、価値
ることができます。新規加入者の間では、
トリ
いのだろうか。たとえば、
スカイのネットワー
の高い、高品質のブロードバンドと家庭用
プルプレイ・サービス契約率は非常に高く、
クで年を追うごとにトラフィックが大幅に増
電話といった要素を加味すれば、
ホーム・コ
今後も堅調に推移すると予測しています」
加しているとすれば、
そうした急成長にイン
ファーウェイの
IMSソリューションで
マルチアクセスを可能に
TAO OF BUSINESS
/ APR.2012 23
AO OF 01
BUSINESS
フラをどのように整備すべきなのだろうか。
はずです」
長は、
あらゆるサービスにどこからでも、
どん
「 当社では、5年単位でネットワーク・エ
2009年、
スカイはファーウェイのIMS
(IP
なデバイスからでもアクセス可能という将
ボリューションを展望し、顧客数の増加予
Multimedia Subsystem)
ソリューション
来の要件を実現するという点にあります」
と
測、および有望な新サービスの投入機会
の試験運用を開始した。これは、同社の住
ハマディ氏は語る。
に基 づいて、毎 年 見 直しています。これ
宅 用 固 定 電 話サービスに関する現 在の
スカイは、2010年9月にIMSネットワーク
は、1年前に立ち返ってやり直すということ
ニーズに合うだけでなく、将来の新製品や
への顧客の移行を開始して以来、
さまざま
ではなく、常に適応して一歩ずつ前進する
サービスの開発を大幅にシンプル化するこ
な記録を達成している。たとえば、4ヵ月で約
ということです」
とハマディ氏は説明する。
とも可能だ。
50万人の顧客のネットワーク間移行を無
「当社では、現在のニーズだけでなく、将
「移動中、
自宅、
あるいは職場で同じチャ
事完了した。これはボリュームと効率に関し
来のニーズにも対応できるネットワークを構
ンネルを視聴するために、同じデータにアク
て業界の新基準となるものだ。移行の第2
築したいと考えています。その場その場で
セスできる能力が、今後は求められるように
弾は2011年7月に始まり、
さらに37万人の
状況を変えることは誰しも避けたいと考える
なると予想しています。IMSのユニークな特
顧客がネットワークに追加され、顧客数は
合計で110万人に達する見込みだ。
スカイは、展開が完了した段階で、革新
的かつリッチメディアなサービスを新たに立
ち上げることを計画している。IMSによっ
て、
さまざまなプラットフォームやデバイスに
わたるシームレスなユーザー・エクスペリエ
ンスを提供できるようになるだろう。
「IMSネットワークの導入には、2つの目
的があります。それは低コスト化と新サービ
ス開発の加速化です。短期的にはコストが
増加するかもしれませんが、長期的な視点
で見ればコスト削減に貢献するでしょう。今
後数年の間には、投資のメリットをお客様
に享受していただけるようになると確信して
います」
とハマディ氏は言う。
得意分野でトップになる
ハマディ氏は自信を持って次のように語
る。
「当社は、英国の最も成長著しいホー
ム・コミュニケーション企業であり続けるつ
もりです。そのために、
お客様に何を提供す
べきなのかを理解し、
そのニーズに対応す
るための最適なテクノロジーを探す必要が
あります」
「WiMAXに対する当時の評価を覚えて
いますか?それで、WiMAXは現在どうなっ
24
/ APR.2012
優れた通信プロバイダーになるためには、
テクノロジーの確かな選択が必要です
たのでしょうか。優れた通信プロバイダーに
このハイブリッド・モデルは、当社が目指す
生み出すスピードが速いということです」
なるために、
すべてのテクノロジーを実装し
高速性と効率性に加え、安定性と多様性
ハマディ氏は、
さらにファーウェイの起業
なければならないとは限りません。要は確か
に優れたオンデマンド配信の実現に貢献
家精神、経営陣のサポート、研究開発チー
な選択眼が大切なのです」
するものです」競合するIPTV事業者に対
ムとの仕事のやりやすさを評価している。
他の通信事業者がIPに全面的に依存
しても、ハイブリッド・ネットワークがスカイに
するのとは異なり、スカイは急成長を遂げ
もたらす優位性に対するハマディ氏の自信
ているSky Anytime+において、衛星によ
は揺るぎない。
るテレビ配信と固定ブロードバンドによる
VoD配信を組み合わせたハイブリッド・ソ
リューションを採用している。
スカイの限界とは?
2011年、
スカイは、全国5,000ヵ所以
スカイとファーウェイの
出会い
上にWi-Fiホットスポットのネットワークを持
つ『ザ・クラウド』
を買収した。この買収によ
り、同社は特に移動中でもスカイのコンテ
「HDのようなチャンネルをすべてブロード
バンドで提供することは不可能だからです。
ファーウェイは、
スカイのパートナーとして
ンツにアクセスすることを望むユーザーに
すべてIP化しようとしても、需要に応じて通
選ばれるまで、英国では実績らしい実績が
対し、新たなサービスを提供できるようにな
信速度を調整したり、
ネットワーク輻輳を避
ほとんどなかった。そうした状況の中、ハマ
るだろう。同社は、Wi-Fiの提供エリアを大
けたりする必要性から、品質が低下する可
ディ氏はスカイのコンテンツ配信にかける
幅に拡大する意向も示している。ハマディ
能性は否定できません。HDや3Dビデオと
情熱とファーウェイの最先端テクノロジー
氏は次のように語る。
「当社はすでに多数
いった広帯域幅サービスの場合、やはりデ
から、
このパートナーシップが顧客のために
のコンテンツをモバイル配信していますが、
ジタル衛星のような放送技術が需要の増
正しい選択だと判断したのだ。
ザ・クラウドの買収により、Wi-Fiを使用した
大に対応する上で最も有効かつ効率的な
「強力な製品群もさることながら、最も印
モバイル・デバイスへのコンテンツ配信能
のです」
とハマディ氏は語る。
象付けられた点はファーウェイの対応の速さ
力をさらに高めることが可能になります」
「すでに衛星経由でのVoDコンテンツの
です。また、
ファーウェイの研究開発にかけ
「Wi-Fiとモバイル・データ通信の親和性
配信も始めています。最も人気のある番組
る情熱には本当に感心しています。スタッフ
は最高だと思います。お客様のニーズを理
を絶えず記録し、
セットトップ・ボックスを介し
の48%(2011年12月現在)
が研究開発
解した上で、従来の物事のやり方にとらわ
てお客様に配信できるようにしています」
部門に所属するという事実は驚くべきことで
れず、
いかに効率を追求できるかどうかがす
「ただし、VoDの選択肢をさらに広げるた
す。
ファーウェイに比べれば、他社の研究開
べてなのです」
めに、
ブロードバンドを利用して幅広い番組
発部門のスタッフはごく少数です。つまり、
に素早くアクセスできるようにしています。
ファーウェイは、他社よりもイノベーションを
ふくそう
TAO OF BUSINESS
/ APR.2012 25
HUAWEI Japan Device Update
http://www.huaweidevice.jp
Connected Possibilities
新製品が続々登場!ブランディングも強化中です。
2012 Consumer Electronics Show(CES)で、
世界最薄スマホ『Ascend P1/P1 S』
を発表
1月10日∼13日、米・ラスベガスにて世界最大の家電製品トレードショー
『2012 Consumer Electronics Show
(CES)』
が開催されました。
ファー
ウェイの新スマートフォンの製品発表会と展示会場の模様をご紹介します。
洗練されたデザインに高評価
ウェイ・テクノロジーズ チーフストラ
売されているモデルを含むさまざまなタ
テジー&マーケティングオフィサーの
イプのモバイルWi-Fiルーター/USB
リチャード・ユーの力強いプレゼンに
を展示しました。
また、昨年6月に発表
ついても「 端末製品業界でプレゼン
した世界初Android3.2搭載で注目
スを上げていきたい」
というファーウェ
を集めた7インチ『MediaPad』
では、
イの強い意志と決意を感じたとのコメ
Andoroid
ントをいただきました。
色のカラーバリエーションなど、
さらに
TM
4.0のアップグレード品、3
今後成長が期待される通信モジュー
リチャード・ユー会長
LTE対応端末製品などを
幅広く展示
ルやホーム・ソリューション製品なども
紹介しました。
世界最薄6.68mm!
ハイエンド・スマートフォン
CESのファーウェイのブースでは、1
予想を上回る方々にご来場いただ
月9日に発 表した新 製 品『 A s c e n d
き、大盛況で幕を閉じました。
ご来場い
ファーウェイは、1月9日
(米・現地時
P1』
『 同P1 S』
に加え、開発中のLTE
ただいた皆様、
ありがとうございました。
※
間)
に世界最薄 (約6.68mm)のス
対応スマートフォン、
すでに販売されて
マートフォン
『Ascend P1 S』
と、同一
いる
『Vision』
(日本ではソフトバンクよ
機 能で厚さ7 . 6 9 m m の『 A s c e n d
り発売)
、
『 Honor』
(イー・アクセスより
P1』の新製品発表会を開催しました。
GS02として発売)
などのスマートフォ
『Ascend P1 S』
『 同P1』
は1.5GHz
デュアルコアCPU、Android
TM
4.0、
ン・ラインナップを展示。LTE対応も、
モバイルWi-Fiルーターから日本でも発
4.3インチタッチパネルの有機ELディ
スプレイ
(960×540ピクセル)
を搭
載しています。世界最薄を実現した技
術力だけでなく、洗練されたデザイン
に対しても発表会に出席したメディア
から高い評価を受けました。
ファーウェイ・デバイス会長兼ファー
CESの新製品発表会
Ascend P1 S
※2012年1月現在
26
/ APR.2012
ファーウェイ・ジャパンがGfK Japan Certifiedの
データ通信カード・端末/モバイルルーター部門で
4年連続販売数量シェアNo.1に選出
ファーウェイ・ジャパンは市場調査会
月に設立され、2007年から通信端末
を提供しています。
社ジーエフケーマーケティングサービス
事業を日本で展開しています。いつで
ファーウェイ・ジャパンは今後もさら
ジャパン株式会社(以下、GfKジャパ
もどこでもインターネットに接続したい
なる高速通信、使いやすさを追求し、
ン)
が発表した「第8回GfK Japan
というユーザーの皆様の需要に応え、
革新的な製品の開発に取り組んでま
Certified」において、
「データ通信カー
モバイルWi-FiルーターやUSBタイプ
いります。
ド・端末/モバイルルーター」の2011年
のデータ通信端末を多数製品化して
年間国内販売数量シェアNo.1に選ば
まいりました。また、デジタルフォトフ
れました。今回で、
ファーウェイ・ジャパン
レームでは、離れて暮らす家族や友人
は同部門において2008年「 第5回
に携帯電話やパソコンで撮影した写
GfK Japan Certified」
から4年連続
真を瞬時送信し、共有するというコミュ
で、
シェアNo.1に選出されました。
さら
ニケーションスタイルをつくり出しまし
に、
「デジタルフォトフレーム」部門でも
た。2011年からは動画受信・再生に
シェアNo.1に選出されています。
対応した製品を開発し、
さらに幅広い
ファーウェイ・ジャパンは2005年11
コミュニケーションを可能にする製品
「データ通信カード・端末/モバイルルーター」部門と
「デジタルフォトフレーム」部門でNo.1に
イー・アクセスに
データ通信端末3製品を提供
ファーウェイ・ジャパン初の
テレビCMが放映!
イー・アクセスの 次 世 代 モバイル 通 信 サービス
ファーウェイ・ジャパン初のオリジナル・テレビCMが3月
「EMOBILE LTE」対応『Pocket WiFi LTE(GL01P)』
15日に放映開始されました。イー・アクセスより発売中の
と
『GL03D』、
コンセントに挿すだけで自動的にインター
Pocket WiFi LTE
(GL01P)
のスピード感をモチーフにし
ネット接続できる
『Stick WiFi
(GD03W)』の3製品を提
て、
「LTEのリーディングカンパニー」の企業イメージを打ち
供します。
出しています。
Pocket WiFi LTE GL01P
Stick WiFi GD03W
端末に関する情報は、Twitter、Facebookでもご覧いただけます。
Twitterアカウント:HUAWEI_Japan_PR Facebookアカウント:ファーウェイ
・ジャパン/HUAWEI
JAPAN
/ APR.2012 27
HUAWEI Global Highlights
ファーウェイ グローバル・ハイライト
MWCで世界最速のスマートフォン『Ascend D quad』
を発表
2月27日∼3月1日、
スペインで開催された
MWCの新製品発表会では、
独自の高性
Mobile World Congress(MWC)2012
能アプリケーション・プロセッサーを開発した
で、
世界最速※1のクアッドコアを搭載したス
ファーウェイの技術力について、高評価をい
マートフォン
『Ascend D quad(アセンドD
ただきました。
また、
ファーウェイ・デバイス会
クアッド)』
を発表しました。CPUにファー
長のリチャード・ユーが「日本は最重要市場
ウェイ製クアッドコア1.2/1.5GHzプロセッ
のひとつ」
と発言したことから、
ファーウェイの
サー
(K3V2)
を搭載。4.5インチディスプレ
日本における今後の活躍に、
一層の期待感
イ・スマートフォンの中でもコンパクトなデザ
が込められた記事が多数掲載されました。
インです。
また、
ファーウェイのスマートフォンを約
A n d r o i d ™ ※2OS 4.0、
最大30%の省
3 , 5 0 0 台 使って製 作されたペガサス像
電力を実現するファーウェイ独自開発のパ
もMWC会場内に展示され、
ファーウェイ
ワーマネジメント・システムを搭載することで、
の今後の発展を予感させると注目を集め
スマートフォンの可能性を広げます。
ました。
2012年2月29日
スマートフォンを全面に貼り付けた
「ペガサス」。
飛ぶような高速感をペガサスにたとえた
※1 世界最速はファーウェイの独自測定結果に
基づくものです。
※2 Android™はGoogle.Inc.の商標または
登録商標です。
全体で高速・大容量のLTE Advancedを実装
して両者の知見に基づいて構築された今回
し、
同時に多数のユーザーが接続可能な超高
のLTEネットワークは、
英国政府のブロードバ
速ブロードバンドの次世代アクセス
(Next
ンド戦略にとって大きな一歩となります。
このプ
Generation Access)
を実現します。
ロジェクトに参加し、
高速ワイヤレス・ブロードバ
UK Broadband
(以下UKB)
が構築中のロ
対応端末の第一弾は、
UKBとファーウェイ
ンド・サービスをより多くのユーザーに提供する
ンドン初となるLTEネッ
トワークに、
ファーウェイ
の共同開発によるもので屋内用と屋外用が
というUKBと英国政府の取り組みを支援でき
のLTE TDDソリューションが採用されました。
用意され、
サービス・カバーエリア内の一般家
たことを誇りに思います」
世界で初めて3.5GHzバンドを搭載した同
庭と企業向けに、
高速ワイヤレス・ブロードバン
ネットワークは、
英国における商用LTE TDD
ド環境を提供します。2012年9月には、LTE
ネッ
トワークの先駆けとなります。UKBは同ネッ
TDD/FDDに対応したマルチモード・モバイル
トワークをホールセール・モデルで運用し、
2012
端末も展開する予定です。
ファーウェイの商用LTE TDDネットワーク
英国初のLTEネットワークとして
UK Broadbandが採用
28
Ascend D quad
2012年3月2日
「クラウド」インタラクションが
家族をデジタル時代に導く
年5月よりパートナー各社を通じて、
企業、
一般
UKBのCEO、
ニコラス・ジェームス氏は次の
最も広範囲の
「C o n n e c t e d H o m e
消費者、
公的機関向けに商用サービスの提供
ように述べています。
「 英国初となるLTE
Solution」
をMWC2012で発表しました。こ
を開始する予定です。
サービス開始時のカバー
TDDネッ
トワークを提供開始できることを大変
れは、
ホーム・エンターテイメントやSOHO、
エリアは、
ロンドンのサザーク特別区のサウス
うれしく思います。今回ファーウェイをパート
ホーム・クラウド・コンテンツの共有、
ホーム・
バンク地区およびバラ地区となります。
ナーに選んだのは、
最良のネットワークを構築
セキュリティ
・ソリューションを含む包括的なも
今回のネットワークでは、
UKBのLTEバンド
するために必要な専門知識と経験を兼ね備
のです。
ファーウェイは、本ソリューションで家
42およびバンド43
(3.5GHz帯と3.6GHz帯)
えているからです」
庭におけるデジタル生活の促進と豊かでさら
における124MHzの帯域幅を使用します。
こ
ファーウェイ英国支社のCEO、
ビクター・ツァ
に進化した自動化ホーム・エンターテインメン
れにより6×20MHzという帯域幅の広いチャ
ンは次のように述べています。
「ファーウェイの
ト、
オフィス環境を世界中の人々にもたらすこ
ネルを確保できるため、将来的にネットワーク
通信機器、
UKBが免許を保有する周波数、
そ
とを目指します。
/ APR.2012
HUAWEI Japan Highlights
ファーウェイ・ジャパン ハイライト
ファーウェイがWCPの屋外デモに全面協力
Wireless City Planning
(以下、
WCP)
は、
銀座エリアを走行しながら、
デモを実施しまし
るトラフィックを支えるための先駆的な技術
帝国ホテルにて
「AXGPサービス説明会」
を
た。車内では、
タブレット端末
(iPad)
の画面
の開発も進め、
キャリアにもエンド・ユーザー
開催しました。
ファーウェイは、
説明会の準備・
上でさまざまなデモンストレーションを実施。
ス
にもご満足いただけるネットワークを提供し
設営・運営に全面的に協力し、
メディアや
ループット・デモでは、下り65Mbpsの通信
てまいります。
ジャーナリストなど約50人が参加しました。
速度を達成しました。
AXGPネットワークは2011年11月にサー
ビスインしました。PHSサイトを活用して稠密
(ちゅうみつ)
な置局を行っているため、
ネット
ワークに接続するユーザーが増加すると、
他
の携帯電話システムと比較して、
基地局・端
末間の信号がより多く干渉することが予想
されます。
ファーウェイは、
WCPと議論を重ね
WCPのAXGPサービスについては、新た
ながら、
このようなAXGP特有の課題に対す
なネットワークとして、新サービスへの期待
る解決策も開発を進めてきました。
感や日本における次世代ネットワークの構
説明会終了後、AXGPサービスを記者の
築に対するファーウェイの貢献度が報じら
皆様に体感していただくため、
マイクロバスで
れました。
ファーウェイは、将来的に増え続け
AXGPネットワークのデモンストレーション。テレビ電
話アプリ
『FaceTime』
を使用し、動画デモを実施。音
声や映像のシームレスな美しさに感嘆の声も
2011年12月9日
2012年2月16日
2012年3月9日
イー・アクセスにソーラー&ディーゼル・
ソリューション提供
環境負荷の低い基地局を構築
世界初1.7GHz対応
UMTS/LTEネットワークを
イー・アクセス向けに構築
KDDI研究所・ドイツテレコムと共同で
Ethernet-over-OTNの
相互運用性デモを実施
ファーウェイは、通信事業者向け太陽発
ファーウェイは、
イー・アクセス向けに、世
ファーウェイは、KDDI研究所ならびにドイ
電ソリューション『ソーラー&ディーゼル・ソ
界初の1.7GHz帯域対応UMTS/LTEコン
ツテレコム
(DT)
と実施したEthernet-over-
リューション』
を導入し、
イー・アクセス向け
バージェント・ネットワークを全国規模で展開
OTN相互運用性テストのデモンストレーショ
に、環境負荷の低い基地局を構築したこと
することを発表しました。同ネットワークは、
ンの成功を発表しました。
を発表しました。基地局の点検作業の負担
ファーウェイのSingleRANソリューションを
光インターネットワーキング技術推進団体
軽減を図ることができるほか、太陽光利用時
ベースにW-CDMAとLTEを同時にサポート
Optical Internetworking Forum
(OIF)
を
にはCO2排出ゼロを実現します。本ソリュー
します。
ファーウェイによる世界最高レベル
運営主体とする本テストは、
マルチキャリア
ションは、
すでに世界60ヵ国、80社以上の
の分散型基地局
(DBS)
の安定した品質と
環境下で、光伝送ネットワーク Optical
通信事業者に採用されています。
高い費用対効果を生かすことで、
ネットワー
Transport Network
(OTN)
をベースとした
クを短期間で構築することが可能です。ま
イーサネット・サービスにおける、
マルチベン
た、1.7GHz対応RRU(リモート無線ユニッ
ダー間の相互運用性を実証するもので、
デ
ト)
は、最先端のソフトウェア無線(SDR)技
モンストレーションは、
データ・プレーン技術と
術を搭載しており、W-CDMAとLTEを同時
制御プレーン技術の有効性に焦点を当てて
にサポートします。
行われました。
千葉県市原市のサイト
/ APR.2012 29
Profiling HUAWEI
People in Japan
ファーウェイ・ピープル
エンジニアとの連携も大切です。
日本のお客
様の詳細なご要望に応える技術力は十分に
ありますので、質問の内容にもよりますが、
ベ
ストを尽くして早めに返すようにしています。
友谷:私は、本社のエンジニアには、
お客様
のご要望をできるだけ具体的に教えてあげ
ることにしています。文章だけではなく、図解
を添えて可視化するほうがよいときもありま
ファーウェイで働くのって、どんな感じ?
す。そうすると、
レスポンスが早くなる。技術
的なことは特に、
どれくらいのレベルを求めて
いるかとか。日本での仕事歴が長い中国人
のエンジニアは、
そのあたりをよく汲み取って
今回は、
ファーウェイ・ジャパンで働く
エンジニアとセールス担当の計4人の
社員が「仕事」を通して、
ファーウェイの
企業文化について語ってくれました。
くれますね。
黄笛:私はずうっとファーウェイの人間です
(笑)
。2005年にファーウェイの子会社だっ
たHuawei3Comに入社、主にチャネル営業
をしていました。2008年にファーウェイ・ジャ
パンに来て、技術営業をしています。
Q1
お客様に「ファーウェイは仕事にス
ピード感がある」と評価していただい
ているようです。皆さんが心がけてい
ることはありますか?
黄 笛(Huang Di)
ソリューション・セールス本部
胡:対応の早さかな? 私自身は、早く早くとい
ネットワーク・ソリューション・セールス部
友谷 康浩(ともたに やすひろ)
うよりも、
お客様の質問をしっかり理解して、
おしゃれで親しみやすい。落ちつきのある
デリバリー&サービス本部
1回の回答でお客様に満足していただきた
人柄が同僚の信頼を集めている
プロジェクト・マネージメント・オフィス
いと思っています。なるべく追加質問がない
シニア・プロジェクト・マネージャー
30
担当部長
冬はスノーボード、それ以外の季節は
ようにして、
ファーウェイのレベルは高いと感
黄:逆に、
エンジニア側が最新の情報をどれ
サッカーを楽しむアウトドア派
じてもらいたいです。
くらい明確にしてフロントの営業マンに伝えら
伊藤:そうですね。一方で、
スピードで勝負と
れるかも、重要ですね。お客様が気にされる
友谷康浩:エンジニアとして入社しましたが、
いう考え方もある。たとえば、
月曜日にお客
ポイント、要求のレベルなどを鑑みて、
なるべ
いつの間にか4年以上経ってしまいました。
様から質問があって、金曜日までに答えが
く細かく情報をシェアする努力をしています。
現在は、
デリバリー&サービス本部でAXGP
欲しいとします。私は、金曜日までじっと待っ
胡:きっちりと応えるということは、
ゆっくり考え
(TD-LTE)
構築のプロジェクト・マネージャー
ていないで、
まず水曜日に回答を持ってお
るということではないのです。お客 様との
をしています。
客様のところに行きたいです。お客様が新
キャッチボールの中からソリューションを編み
伊藤匠:友谷さんと同じプロジェクトで、
プロ
たに気づくことがあるかもしれない。こちらが
出していく。
もちろん、案件に対するモチベー
ダクト・セールスをしています。2010年の7月
気づくこともある。合わないところが見つか
ションも見せていきます。
入社です。
れば、デッドラインの金曜日までに2回提案
黄:モチベーションが上がるとスピードが高く
胡穎:私は、2010年12月入社です。私も世
できるからです。僕自身は、早く早く!と心
なりますよね。お客様のリクエストを早く満た
界最初のAXGP構築に参加させていただき
がけています。
したい。ファーウェイの同僚は皆、
モチベー
ました。
胡:迅速な対応をするためには、中国本社の
ションが高いと感じています。お客様自身が
/ APR.2012
設定した締め切りよりも早く回答を持ってき
黄:言葉はコミュニケーションのツールです。
ど……。友谷さんもプロジェクト・チームで
てくれたら、
ファーウェイの仕事に付加価値
実際は、正しく情報を理解できることが大切
受賞された。
を感じていただけるんじゃないかな?ファー
です。技術者同士は、言葉がスムーズじゃな
友谷:チーム・メンバーの誇らしげな顔を見るの
ウェイが全力でやっているということを「ス
くても、
エンジニアリングのベースがあるから
が嬉しいかな。働く環境のことを言えば、
遠足
ピード感」
として感じていただいている。
だから
わかりあえる。
や社員旅行、大規模の手作り感たっぷりの
こそ、現在のようなよい循環が生まれるのか
伊藤:何に対する回答を求めているかという
新年会がある。アットホームかなぁ? そういうイ
もしれません。
共通認識があれば、お互いに片言の英語
ベントには、
みんな家族を連れてきますね。
!
(笑)
友谷:出し惜しみする気持ちはないですよ
だったとしても、
ロジックがわかる。
シチュエー
ションがわかる。お互いに同じことを考えてい
るか確認しあうことが大切。だって、
それがわ
からずに完璧な中国語を話して、完璧な和
訳をされたとしても、
わかりあえないですよ。
胡:私にとっては言葉も大事ですが、両国の
文化を理解することも大事だと思ってます。
実際、
2つのカルチャーの中でエンジニアと
して仕事ができることが、
ファーウェイ・ジャ
パンでの働きがいだと思います。
さらに技術
伊藤 匠(いとう たくみ)
を理解していると、片言の英語や日本語で
も、
ホワイトボードに図示すればお互いにわ
胡 穎(Hu Ying)
ワイヤレス・ネットワークソリューション営業部
ワイヤレス・ネットワークソリューション営業部
かるんですよ。
ワイヤレス・プロダクト・マネージャー
担当部長
友谷:最先端の通信技術を毎日勉強しなけれ
休日はできるだけアートに触れて、
2人のお嬢さんを持つ子煩悩パパ。
いつまで「大好き!」といってもらえるか心配
Q2
大変ですけれどね!
ばならないから、
大変ですけれど
感性を磨くようにしているのだとか
胡:プロだけど、毎日勉強する。
それが楽しい!
デモやプレゼンでも、
さすがファーウェイです
黄:
ファーウェイは、
会社自体が若いから、
若い
ねって褒められると、
ますますモチベーションが
中国人の上司がつくことが多いのが特徴的
上がります。
かもしれません。経験豊かな現地社員からは、
黄:日本に来てからまだ若い会社だから、
信頼
学ぶところが多いです。
されるように努力しなければならない。お客様
友谷:部下から上司への風通しはいいような
友谷:私は中国語がわかりません。でも、仕事
も
「ファーウェイは、
こういうことができるか、
で
気がしますね。
で大きな支障を感じたことはありません。たと
きないか」
と問いかけることで、厳しく試してく
伊藤:仕事の成果は、
きちんと評価してもらっ
えば、
私はプロジェクト・マネージャーをしていま
ださいます。
われわれはそれに応えていかなけ
ています。一方で、
ファーウェイでは、
ただ黙っ
す。中国人エンジニア同士のメールのやり
らばならないですね。
て指示を待っていては仕事にならない。欲し
コミュニケーションで中国語は必須で
すか?
とりはcc:で見ています。それは、英語が中
心ですが、中国語の自由なディスカッション
には確かにスピード感があるように感じま
す。そろそろ答えが出ているかな?と思え
Q3
働きやすさの面では、いかがですか?
ば、そこで英 語で報 告してもらう。頃 合と
い情報があれば、
自分から積極的にどんどん
取りにいかないと!
全員:
(深くうなづく)
友谷:自分で仕事を作っていくことができる人
が、
ファーウェイで働きがいを見つけられる人か
ニュアンスは、見えますから。
伊藤:働きやすいかな? 朝礼ないし
(笑)
もしれないですね。
フレキシビリティの高いチー
伊藤:確かにわかったらいいなぁと思うときも
黄:伊藤さんは、
社内の表彰制度で最優秀個
ムで仕事ができるのがファーウェイの楽しいと
あります。中国語を話せた方が問題解決の
人貢献賞を受賞したんですよね!おめでとうご
ころです。通信業界は変化のスピードが速いで
スピードが早いだろうとも思う。でも、言語が
ざいます。
すから、
自ら情報を収集して、
積極的に仕事に
仕事上で一番大切なことではない。大切な
伊藤:ありがとうございます。
でも、
それが欲しく
関わっていく姿勢が大事だと思います。
のは、
コミュニケーションを密にとることです。
て仕事をしたわけではないです! 嬉しいですけ
/ APR.2012 31
Roaming China
漫遊中国
北京
My Home Town in China
江蘇省
河南省
上海
四川省
革命の都市
南昌
江西省
湖北省
広東省
台湾
江西省南昌市
(リュウ・シコン/Liu Zhikun)
デリバリー・サービス本部 デリバリーマネージメント部部長
江西省南昌市出身。来日7年目。本社よりの出向社員の中で
日本最長勤務社員。近頃、公務多忙のため、同じ南昌市出身の妻と
3歳の娘と過ごす時間が少ないと反省する子煩悩パパ。
「南昌起義」
(なんしょうきぎ)の地は
水の都、楼閣の街なり
帝唐高祖によって建てられた藤王閣(653
り、
そして3歳の娘の父親になっていました。
年)
があります。この楼閣は湖北省の黄鶴
赴任当時のファーウェイ・ジャパンのオフィ
楼、湖南 省にある岳 陽 楼と並んで、
「江南
スは小さな貸部屋で、社員若干名が肩を寄
(長江の南)三大名楼」
と呼ばれています。
せ合っており、
その頃には6年後に今の規模
同じく、唐の時代に建てられた七重の塔であ
まで成長するとは想像もしませんでした。競争
る縄金塔(904年∼907年)
は明朝の戦火
の激しい日本市場で最初のオーダーが取れ
に焼かれ、1368年に建て直されました。
たとき、全員が肩を抱き合って男泣きするほど
恋焦がれるふるさとの味
「南昌米粉(ビーフン)」
医食同源を医療の基本とする中国医学
喜びました。
遠距離恋愛は離れている分、
コミュニケーションと時間が勝負
によると、辛い料理を食べると体内に溜まる
妻とは共通の友人を介して知り合い、1年
湿気(水)
と毒素を排出することができるそう
半の遠距離恋愛を経て2007年に妻の誕生
です。南昌人は他の亜熱帯気候地域出身
日に入籍しました。それまでは、毎日電話や
の人と同じように、辛いものが大好きです。
チャットでコミュニケーションをとっていました。
年に一回、家族がそろって帰省するとき
遠距離恋愛を成就させるにはやはり
「まめさ」
は、私たちは必ず南昌名物の米粉(ビーフ
と
「スピード」がキーワードなのかもしれません
ン)
を食べます。米の郷でもある南昌特産の
ね
(笑)。最近、平日は仕事で忙しく、妻や4月
ビーフンはやや太めで、歯ごたえが他の地方
から幼稚園生になったばかりの娘と過ごす時
のビーフンよりもあります。おろし生姜、
おろし
間が少ないため、休日はできるだけ家族3人で
にんにく、
ごま油、
しょう油、刻みねぎ、高菜に
どこかへ出かけるようにしています。
唐辛子と胡椒を入れて炒めるのが一般的で
す。
どうですか。想像しただけでも、垂涎しそう
になりませんか?
2005年より赴任。3ヵ月が7年へ、
ファーウェイ・ジャパンの最古参
私は小さい頃から理数系に強く、科学者
や理科教師に憧れていました。南昌大学電
子情報学部を卒業後、地元で一度就職しま
したが、2005年1月にファーウェイに転職し、
社命により5月に日本にやって来ました。最
初は3ヵ月間の短期出張のつもりでしたが、
気がついたら日本で独身者から妻帯者とな
藤王閣
32
/ APR.2012
劉さんの中国語ワンポイントレッスン
ニー・ジン・ワン・ヨウ・コン・マー?
[ni jin wan you kong ma?]
今夜、空いてますか?
Words of Chinese Wisdom
言葉の贈りもの ∼故事成語の知恵
中国の故事成語には、現代に生きる私たちのヒントとなる知恵がたくさんある。
Words of Chinese Wisdomでは、
そんな中国の先人の知恵について言葉を紐解きながら紹介する。
ye 解釈
自分の力量もわき
まえず尊大に振る
lang zi da
『夜郎自大』
舞い、威張ること。知識も力もないのに偉ぶ
ることのたとえ。世間知らずで、
自信過剰の
様子を指す。
日本語でも
『夜郎自大』
(やろうじだい)
として使われています。
漢の時代、
インドへの道を求めて、西南の未開拓部族である
歴史的背景
貴州省にあったとされる国。漢と比べものにならないほどの小国だった。
しか
滇
(テン)
という小国に使者を派遣した。滇の王と、
その隣国である夜郎の王
し、漢との交流のなかった滇や夜郎の王は、
自分が一国の主だと思っている
は、漢の使者に、
「漢とわが国では、
どちらが大きいか」
と尋ねた。夜郎は、今の
ので、漢の強大さを知らずに自分の国の力を自慢したという故事による。
( 出 典:史 記 西 南 夷 列 伝 )
Kaleidoscope
異文化の万華鏡
へん れん
中国の国芸∼変臉
清朝時代に安徽(あんき)省で発祥し、北京
市を中心に発展した戯曲を
「京劇」
と称すること
に対し、四川省一帯に広まったそれを
「川劇(せ
んげき)」
と呼ぶ。
ダミー差替え予定
川劇を代表するパフォーマンスのひとつに
「変
ダミー差替え予定
臉」
がある。
その鮮やかな瞬間芸を目にしたものが
必ず驚嘆の声をあげると言われるほどの神技だ。
臉=顔だが、
「 変臉」はもちろん変な顔という
意味ではない。役者が顔に手を当てる、
あるいは
顔をマントまたは扇子で隠す瞬間に臉譜(れん
ぷ:仮面)
が変わるという仕掛けである。臉譜は
布製。
どのような仕組みかは門外不出の秘伝と
され、中国では重要国家秘密として守られてい
る。数分のパフォーマンスでは十数、多いときで
数十の仮面が使用されるそうだ。
さまざまな臉譜は模様によって演じる者の身分や心情を表す
「変臉」の由来は、古代中国人が猛獣を脅す
魔力の脅威性や、盗賊の身分隠しを表現すると
ために、顔の部位によって異なる技法を用いて
きにも用いられる。
模様を描くこととされている。
この慣わしがのちに
「 変臉 」はまさに中国文化芸術の国宝であ
戯曲に取り入れられ、今日のパフォーマンスに発
る。四川まで足を運び、本場の「変臉」
を観るこ
展したのは20世紀に入ってからだと言われてい
とは容易ではないが、Youtubeで
「川劇−変臉」
る。現在、川劇では
「変臉」
で劇中人物の情緒、
のキーワードを入れれば、神秘的な
“Face-Off”
たとえば驚愕、恐怖、絶望、怒りといった心理状
の世界を垣間見ることができる。
態の突然変化を表す。
また、仙人や悪魔が持つ
( 出 典:四 川 省 中 国 青 年 旅 行 社 )
扇子の後ろに隠れてface-off!
/ APR.2012 33
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