青森高等学校/長内 梨瑠さん

青森高等学校
長内
梨瑠
私は以前からエネルギーの今後や海外の文化、生活、教育に興味を持ってい
たためこの研修に応募したものの、まさか自分が参加できるとは思っていなか
ったため参加が決まったと聞いた時は本当にうれしかった。最高のメンバーと
過ごしたこの2週間の研修期間中に私が学び、感じたことをまとめる。
【エネルギーについて】
フランスではランス潮力発電所、ラ・アーグ再処理施設、スウェーデンでは
ハンマルビー・シェースタッド、フォルシュマルク中・低レベル廃棄物貯蔵所
を見学した。
ランス潮力発電所では潮力発電の発電方法や、建設・運営による環境への影
響を学んだ。潮力発電は潮の干満を利用して発電する方法だ。資源の少ないフ
ランスにとって、潮力発電とは、自国の資源だけでまかなうことができる貴重
な 100%国産の自然エネルギーだ。しかも私が1番驚いたことは、1963年
の建設開始時からいっさい環境へ悪影響を出していない、それどころか逆に環
境がよくなったということだ。
ラ・アーグ再処理施設では保護衣を着て見学をした。ここでは世界中から運
びこまれる使用済燃料からガラス固化体をつくっている。ラ・アーグは六ヶ所
の再処理施設のお手本となった施設のためか似ていると感じた。しかし安全対
策の面では日本よりも進んでいるように感じた。周囲への放射線の影響はない
のかと言う調査のために広範囲にわたったサンプル調査が行われていたり、周
辺の住民に安全対策の説明が十分にされていたり、小さなアクシデントも隠さ
ずに報告がされている為、住民からの信頼度が高いと感じた。運営側による信
頼できる安全対策とそれに対する住民の理解と協力、そして住民側もただ受身
になるのではなく自ら情報収集をする・・・このような姿勢が日本にはまだ足
りないのではないかと考える。
スウェーデンのエコタウン、ハンマルビー・シェースタッドでは"環境にや
さしいまち"を見学した。ゴミの回収システムには驚いた。まちの至る所に丸
い筒が3つ並んだゴミ捨て場がある。3つの筒はそれぞれ、生ごみ、可燃ごみ、
新聞紙でわけられており、地下につながったパイプをつかって時間になるとバ
キュームで吸い取り処分場へと運ばれる。このように住民たちはごみを捨てる
前から分別を常に意識しているためか、町はとてもきれいだった。
フォルシュマルク原発では地下に最終処分場ができる予定だ。私たちは SFR
と呼ばれる中・低レベル廃棄物の処分場を見学した。中・低レベルの廃棄物で
さえ、人体に無害になるまでは500年かかるそうだ。高レベル廃棄物となる
と、10万年もかかる。10万年後人類は存在しているのだろうか。10万年
という年月はあまりにもスケールの大きな話で、改めて放射性物質の恐ろしさ
を感じた。
【文化、生活について】
フランス 街のどこを歩いても芸術作品に出会う、そんな美しい街だった。
しかし喫煙者が多いのか、街の至る所で歩きタバコや捨てられた吸殻が落ちて
おり、マナー面では日本の方がきれいだと思った。また、細かいことをあまり
気にしない国民性なのか全体的にゆっくりとしていて日本のように時間に追
われているという人を見かけなかった。
スウェーデン 自然がとても豊かで風景が美しかった。自然と共存している
国だと感じた。国民のエコヘの意識も高く、スーパーではオーガニック食材や
エコ商品がたくさん売られていた。どの食事もおいしかった。ただラクリスと
言う食べ物だけは食べることができなかった。
【高校生との交流について】
フランス 日本に興味を持っている人が多く、日本の文化をよく知っていた
ことに驚いた。また家族がラ・アーグで働いているという生徒が七割ほどだっ
たのにもとても驚いた。原発に対しての考え方としては、日本の原発事故は津
波に対する対策が不十分であったために起こったので、地震もないフランスは
大丈夫だと考えている生徒が多いと感じた。
スウェーデン 日本語がうまい生徒が多く、英語よりも日本語を使って会話
をすることが多かった。スウェーデンの生徒とは3日会っていたのでフランス
の生徒よりも仲良くなることができた。スウェーデンもフランスと同じで、固
い岩盤があるので原発事故は起こらないと考えている人が多いように感じた。
【参加したメンバーについて】
11月に行われた研修会ではじめてメンバーと会い、六ヶ所と東通にある原
子力関連施設を見学した。この時はまだみんなお互いに少し緊張して静かだっ
たのを覚えている。2週間の研修を終え、かなり仲良くなったいまでは絶対に
ありえない光景だと思う。施設の中では真剣に説明を聞き積極的に質問をして
いるのを見てこのメンバーなら一緒に学び成長できる最高の研修になると思
った。
実際、フランス・スウェーデンではエネルギー関連施設とそれ以外の時とのみ
んなの姿勢は全く違い、施設の中では質問が絶えることがなかった。しかし楽
しむときはとことん楽しむのが私達だ。エネルギー関連施設以外の訪問先では
たくさん写真を撮りあったり、いつまでも尽きない話をしたり・・・常に笑い
が絶えなかった。
ほんとうにこのメンバーで良かったと心から思う。
この研修で私はここに書ききれないほどに本当に多くのことを学んだ。今まで
は日本のエネルギー事情しか視野に入っていなかったが、世界の視野から見る
ことで今迄とは全く別の新しいものが見えてくると感じた。また、海外から日
本はどう思われているのかということも学ぶことができ、日本の素晴らしさを
改めて感じることができた。
橋本団長、北山さんをはじめとする大人の方々、通訳をしてくださった小林さ
ん、博多さん、そしてこの研修を通じて出会い、支えてくれたすべての人に感
謝したい。