レイルエキスパート自主研修旅行報告書 (株)アルカディア・インターナショナル 大成 真知子 レイルエキスパート資格者特典のパスを利用した自主研修旅行のご報告をいたします。 <日程> 別紙日程表のとおり <乗車したプレミアムトレイン> ユーロスター1 等(ロンドン/ブリュッセル) タリス1等(ブリュッセル/パリ) フランス国内 TGV1等(レンヌ/パリ) アルテシアナイト・スタンダール T3(パリ/ミラノ) 頂いたユーレイルパスを有効に活用し、より多くのプレミアムトレインを体験したいと考え、以前から訪れたいと考えていたブルージュ、モ ンサンミッシェル、チンクエテッレを含んだコースを組んでみた。 今回の旅は夫と子供(9 歳)1 名の計3名。 08/15 ロンドンヒースロー空港着。節約のため地下鉄を利用したいところだが、数日前にロンドンから帰国した人の話によると猛暑のために地 下鉄は徐行運転をしており、市内へ入るのに大変時間がかかっているとのことだったため、ヒースローエクスプレスを利用する。空港内の ヒースローエクスプレスという表示をたどっていけば、距離はあるが、誰でもまちがいなく駅に到達できる。 自動券売機では子供用チケットの購入ができなかったので窓口で購入。 レイルヨーロッパでもヒースローエクスプレスのチケットを扱っているので、事前購入をお奨めした方が手間もかからなく便利と感じる。 ホームへ入ると列車は行ったところであったが、すぐに次の列車が入ってきた。15 分間隔で運転されており待ち時間はそれほど気になら ない。 ロンドン郊外の風景を眺めているとすぐにパディントンに到着。ここからホテルまではタクシーを利用する。タクシー乗り場は少しわかりにく いので要注意。 ホテルへチェックイン後、子供の希望でハリーポターの舞台キングスクロスの 9 3 番線ホームへ行ってみる。9番線ホーム近くの壁に 9 3 4 4 のボードが貼ってあるが、工事中のためか駅自体の構造がわかりにくい。 8/16 ロンドンが初めての子供のために、ピーターパンが針の上に乗ったビッグベンと衛兵交代を見に行く。自動券売機では子供のチケットが 買えないため、窓口に並び、行き先と人数を告げてチケットを購入。その時、single?ときかれ、yes と答えたのだが、後でその質問の 意味がわかる。 衛兵交代を見た後、Green Park から Covent Garden へ地下鉄に乗ろうと窓口に並んでいると、列が長いため自動券売機に誘 導しようとしたのか、地下鉄職員がどこへ行くの?と尋ねてきた。Covent Garden と答えると「それだけしか乗らない?」と聞くので、今 日の予定を話すと、「それならファミリー・トラベルカードが得よ」と教えてくれる。最初の窓口でシングル?と聞かれたのは、そういうチケッ トがあるからなのだ。地下鉄くらい簡単に乗れる、とたかをくくって、ろくに調べもせずに来てしまったが、やはり下調べは大事。ファミリー・ トラベルカードは子供がいれば普通のトラベルカードよりもお得になっている。このカードを利用して、地下鉄とダブルデッカーバスを使い、 夕方までロンドンを楽しんだ。 いったんホテルへ戻り、荷物をピックアップして地下鉄でウォータールーへ向う。 今回のように移動の多い旅は初めてである。リゾートへ行くときは家族3人で大きなスーツケースを1つだけ持っていくが、今回は列車の 移動が多いので、スーツケースでは重すぎて不便なため、ソフトのキャリーバックを 2 つと子供は大きめのリュックサックにしてみた。キャリ ーバッグは、機内に持ちこめる小さなサイズのものが2つだったが、10 日間の旅行に必要なものを詰めても、まだ少し余裕がある。久し ぶりにヨーロッパへ行って、ハードのスーツケースを持っている人が少ないのに驚く。とくに駅ではほとんど見ることはなかった。ヨーロッパ内を 移動する人達には、ソフトキャリーバックが定着しているようだ。パッケージツアーならハードスーツケースでも構わないが、個人旅行であ れば、断然、ソフトキャリーバッグをお薦めする。 地下鉄ジュビリーラインでウォータールーへ向う。ここも表示がきちんとされており、迷うことなくユーロスターの駅へ到着できたのだが、ジュビリ ーラインの駅からユーロスターの駅までは移動に約 10 分を要するので、注意が必要。 ユーロスターの改札は、エコノミーとビジネスに分かれている。改札を通るとセキュリティーがあり、その後出国となる。3人分のパスポート を出すと、子供のパスポートにのみ出国のスタンプを押して返してくれた。通常、出入国のスタンプには飛行機の模様が入っていること が多いが、ここのスタンプには列車の模様が入っている。出入国スタンプを集めている人にとっては、ここのスタンプはうれしいにちがいな い。別にスタンプを集めている訳でもないが、うれしくなって、あと2名分にもスタンプを押してくれと頼んでしまった。シェンゲン協定以前に ジュネーブからパリへの TGV に乗ったときのスタンプはどうだったのだろうと、帰国後に以前のパスポートのページを繰ってみたが見つから なかった。 本題に戻って、 出国後は待合所になっている。両替所とブティックが3軒くらいと軽い食事ができるカフェがあるが、さほど広くはなく、駅を見学しようと早 めに行っていたので、時間を持て余してしまった。30 分前までにチェックインしなければならない理由はどこにあるのだろう?セキュリティ ーチェックやパスポートコントロールはあるが、荷物を預ける訳でもなく、15 分前でも充分と思える。しかも発車の20分前にならないと ホームへは入れない。ところが、あるはずのアナウンスが、20分前をすぎてもない。ホームへの通路は2箇所のようだが、待合所に列車 編成表などもなく、自分の乗る車両がどちらの通路を利用したら良いのかわからない。発車の10分ほど前になり、ようやくアナウンスが 流れる。乗客が一斉に立ち上がり移動し始める。通路は大混雑になってしまった。号車別に乗車を誘導したり、せめて待合所に列車 の編成表を掲示して、どの通路からホームへ上がるかを示しておけば、混雑を回避できるのにと感じた。 1等車両に乗り込む。 家族3名なので、テーブルがある4名席がよいと思うが、子供が乗り物酔いをしやすいことと、4名席の空いている1席に他人が入ったら 困ると思い、進行方向に向って横並びに2席と通路を挟んだ1席で予約した。が、心配は無用であった。私たちの車両には3組しか 乗客がおらず、他の 2 組も予約を取った席ではなく、好きなところへ移動して行った。私たちもテーブルのある4名席に落ち着いた。 発車してすぐに係員が飲み物のサービス。その後、メニューを配っていった。17:18 発の列車なので、夕食が出る。 本日のメニューは以下のとおり。 前菜:レモン風味のクスクスとモロッコ風野菜 メイン:メキシコ風チキンのパインアップルとライス添え 又は、カレイのクリーム煮の新ジャガ添え チーズ デザート:ラズベリーとチョコレートのチーズケーキ 飛行機のエコノミークラスのように、一度に運ばれてくるものと思っていたが、まず前菜がサーブされる。前菜のあとにメインのワゴンが来た。 私たちは3人ともチキンにしようと決めていたのに、すでに売り切れ。前菜のときにメインを言っておけばよかった。パサパサのカレイを食べ るのはイヤだなと思っていたら、予想に反しておいしかった。つけ合わせの新ジャガが特にいける。パンもおいしい。メインの後、チーズとデ ザートがでて、コーヒー、紅茶と同時にチョコレートが配られた。最近の機内食は予算も削っているため、あまりおいしい食事には出会え ない。正直なところ、ユーロスター内の食事も期待していなかったが、機内食より満足できるものであった。 イギリス内は専用線ではないため速度が遅い。ユーロトンネルをぬけると速度がぐんと上がっていった。 2等車両を見学に行く。計った訳ではないが、飛行機に比べてシートピッチが狭く、通路も狭い。シート自体が薄く、座りごこちはあまり よくなさそう。予約を取ってはいても、好きな席にどんどん変わって行くようで、ひとりで2席を占領している人が多い。乗車率は 50%か ら 60%くらいだと思うが、車両内はあまり余裕のある雰囲気がない。この後にタリス、フランス国内 TGV にも乗車したが、ユーロスター の2等はもっとも貧弱に感じた。 ブリュッセル MIDI に到着。着後、パスポートコントロールがある。 MIDI より中央駅へ移動しようと思うが、駅の表示がわかりにくい。ベルギーは多言語国家なので、絵表示が多いと聞いていたが、そ の絵がトラムなのかプレメトロなのか列車なのか、非常にわかりにくい。列車への乗換えの方向がわかりそちらへ行くと、今度はどのホー ムに中央駅行きが入るのかがわからない。乗換えの列車の時間なども調べてきたが、ベルギーの駅の電光掲示板には列車番号が出 ていない。例えば、IC480 なら IC としか表示されない。時間だけで判断するのは、大きな駅の場合危険である。列車の行き先を見 て、中央駅を通る列車を探す。ブリュッセル NORD 行きの列車があったので、そのホームに上がる。 MIDI からであれば、NORD 行きの列車は中央駅を通ると私たちには判断できたが、MIDI、中央、NORD の位置関係がわかって いなければ判断できない。お客様には今まで、列車番号と時間をご案内していたのだが、ベルギーの場合、それだけでは不都合である とわかった。駅の大きな時刻表には、もちろん列車番号も表示されているが、ホームやホームに上がるまでの掲示板には終着駅と時間 しか表示されていない。したがって、自分の行き先が終着駅の場合を除いて、目的地が途中の駅の場合は、その列車がどこ行きなの かがわからなければ判断できないことになる。 さっそく帰国後に、ベルギーを訪れるお客様には、どこ行きの列車に乗るべきかを案内した。このお客様はタリスでパリから到着し、中央 駅へ行きたかったのだが、MIDI で中央駅行きの列車がわからず、結局、タクシーでホテルへ向ったと帰国後に報告を受けた。やはり、 MIDI でタリスを降りてから中央駅行きの列車に乗るのは、初めての人にはむつかしいようだ。駅の平面図があれば、もっと説明しやす く、わかりやすいと思う。 中央駅に着いて、ホームのある地下から地上へ上がる。リフトもあるが、場所がはなれているので、階段を利用する。 ホテルは駅の目の前のメリディアンを取っておいて良かった。 8/17 午前中、ブリュッセルの街を散策し、お昼にブルージュへ向う。またまた中央駅で、すぐに列車がわからず、大きな時刻表と持ってきたト マスクックを見て Knokke 行きで間違いないと確認してホームにあがる。列車の編成表がないので、1等車両がどこに止まるかわから ず、ホーム中央で待っていると、定刻から10分ほど遅れて、列車がホームに入る。1 等は一番後ろとわかり、走って車両に向う。日本 なら、ホームに必ず編成を示すものがあり、またアナウンスもしているので、列車が入ってくる前に確認ができる。2等を利用の場合は、 こんな不便はないが、1等の場合は 1、2車両しかないので、編成がわからないとかなり不便である。 ようやく1等車両に乗りこむ。1 つの車両内に喫煙席と禁煙席がある。完全に分煙されていない。車内は空いていたので、できるだけ 喫煙席から離れた席に着く。 8/18 今日は大移動の1日だ。ブルージュからブリュッセルへ戻り、タリスでパリ・ノルドへ。ノルドからサンラザールへ移動して、カーン行きにのり、 カーンからポントルソンへ。ポントルソンからバスでモンサンミッシェルへという予定だ。 ブルージュの駅でブリュッセルまでの子供のチケットを買おうとすると、大人に同行する12 歳以下の子供は無料だという。ブリュッセルから ブルージュへはチケットを買ったので、不思議に思ってもう一度聞くと、9時以降の列車で2等の場合のみ無料で1等は常に有料であっ た。子供連れならではの情報である。最近は子供を連れてヨーロッパへ行かれるお客様も増えている。6月にも子供連れのお客様を 扱ったばかりだ。スイスのファミリーカードは有名だが、他の国でも子供に関する割引があるにちがいない。各国の子供料金を詳しく調べ てみたいと思った。 ブルージュの駅を、行きと同じく定刻10分遅れで発車した。インターネットで列車の時間を調べると、10分くらいの乗継ぎ時間で列車 を拾ってくるが、そんな短い時間での乗継ぎでは、非常に不安を感じる。ちなみに、この列車も分煙できていない車両だった。 MIDI で両替をし、チョコレートを買う。MIDI 駅は広く、両替所、レンタカー、お土産屋、チョコレートショップ、コンビニなどがある。トイ レは有料。 私たちの乗るタリスは、アムステルダムから来る列車だ。ホームへ上がるとすでに列車が入っている。が、私たちの乗る車両がない。ブリュ ッセルで車両を増結するようだ。出発時間を過ぎてもタリスは入ってこない。ホームにブリュッセルから乗りこむ車掌も待っていたので、もう 一度確認する。大丈夫だ。このあたりで待っていれば、「あと 2、3 分で入ってくる」と、かなりテキトーなことを言われる。 定刻10分遅れでアムステルダムから到着する。車両に乗りこむと、私たちの席には他の人が座っている。ダブルブッキング?いや、好き に座席を変わっているだけだった。車掌もそれには何も言わず、あっちが空いているよ、とのこと。別の4人掛けシートに座る。 タリス内も完全に分煙されていない。ヨーロッパは喫煙に寛容なようだ。乗車率は 70%くらいか。 発車するとすぐに飲み物のサービスが始まった。パリ到着時のタクシーの予約をしようと思い、車掌にたずねると、呼出し料が必要とのこ と。約 11 ユーロから 15 ユーロかかるようだ。そんなに必要なら、と RER で移動することにした。メトロや RER のチケットは車内バーで 販売していると車掌が案内してくれた。 タリス内の昼食は簡単なライスサラダのようなものだった。ヨーロッパ内の機内食もサンドイッチのみが多いのでこれでも充分だ。 パリ・ノルドに到着。はじめてノルド駅にきたのだが、新しく気持ちのよい駅だ。有料トイレと同じ場所に有料シャワーもあった。 RER に乗りかえるために駅内を移動する。移動距離はかなりあるが、表示通りに進むと RER の乗り場へたどり着く。改札からホーム へは階段しかない。改札もスーツケースだと通れないかもしれない。 サンラザールへ到着。ここも階段しかない。電光掲示板でカーン行きの列車を探す。 出発まで30分以上あるが、すでにホームに列車が入っている。1 等は2車両、その内コンパートメントは1車両。その中で空いているコ ンパートメントを探す。どうにか占領できるコンパートメントが1つだけ見つかった。2等のコンパートメントは7割が予約済みだった。予約 していない人は発車の30分前から席を取っているのだ。コンパートメントを占領したかったら、始発駅で30分前には乗りこんでいる必 要があるようだ。オープンサロンでもよければ、満席ということはない。 出発時間を過ぎたが発車する気配がない。時間がすぎても平気な顔で乗りこんでくる人が大勢いる。約 15 遅れで発車した。 モンサンミッシェルへは TGV でレンヌ経由というルートが一般的だが、TGV 以外の列車にも乗ってみたかったことと、時間が適当だった こと、また子供はバスが苦手などの理由で、ポントルソンまで列車で行けるこのルートを選んだ。 出発は15分遅れたが、途中で取り戻して、カーンへは定刻より少し遅れただけで到着した。隣のホームに短い列車が待っている。あ れが、ポントルソン行きだろうか?ホームの電光掲示板で停車駅を確認し乗りこむ。 1等は1車両の中の6列のみだ。その6列が禁煙と喫煙に分かれている。この列車は禁煙席と喫煙席の間にクリアーな壁があって、完 全に分煙されている。 モンサンミッシェルに行く列車なので、日本人観光客に会うかと思ったが、誰にも会わなかった。韓国人の青年が一人乗っており、韓国 語の地球の歩き方を持っていた。 カーンからポントルソンまでは、本当にのどかな田園風景だ。教会の塔の立つ小さな村をいくつか過ぎる。 遠くにモンサンミッシェルの姿が見えてきた。それを通りすぎてしばらくしてから、列車はポントルソンの駅に着いた。 何もない小さな駅だ。バスの乗り場は左へ曲がって 200 メートルと掲示してあった。 バス停にはバスが待っていた。レンヌからのバス以外にもポントルソンとモンサンミッシェルを往復しているバスは約1時間に1本ある。カー ンからの列車の時間にも合わせているようだ。バスで 15 分。ようやくホテルに到着。4本の列車とバスでの移動の1日だった。 8/19 午前中にモンサンミッシェルを観光し、名物のオムレツを食べ、ホテルに戻る。荷物をピックアップして、バス停でポントルソン行きのバスを 待つ。レンヌ行きのバスなのだが、車酔いしやすい子供のために、ポントルソンで降りて列車に乗る。 レンヌ行きのバスはほぼ満席、すぐ後ろにポントルソン行きのバスが来ている。続行便のようだ。ポントルソンでバスを降り、列車まで時 間があったので、町をぶらっとしてみる。お店が3ブロックぐらいにわたって並んだ小さな町で、小さなホテルも多い。 ローカル線に乗ってレンヌへ。レンヌの駅は新しい駅舎で、コンビニやカフェなどがいくつもある。 出発時間近くになっても列車が入ってこない。レンヌ始発とばかり思っていたが、夏の間は BREST 始発のようだ。1等車両に乗りこむ。 この列車も乗車率は 70%くらい。列車に乗ったら食事がでると思いこんでいる子供が、食事は?とたずねる。「食事はでない」と言うと、 急におなかが空いてきたらしい。ビュッフェへ行ってみる。クロックムッシューが 4.5 ユーロ。高いけど仕方がない。クレジットカードが使える。 デビットカードで支払っている人が多かった。 これまでに乗ったユーロスター、タリス、フランス国内 TGV の1等車両はどれも同じくらい乗り心地は良い。2等車両は見学しただけだ が、フランス国内 TGV が一番乗り心地が良さそうに思えた。 モンパルナス駅に到着。今夜はベルシーからアルテシアナイトでミラノへ向けて出発だ。夕食をモンパルナス付近で取ってからベルシーに 向かうか、ベルシーで取るか迷ったが、ベルシーで時間の余裕があったほうが良いと思い、モンパルナスからすぐにベルシーへ向う。ベルシ ーの駅は初めてで、駅の中の設備やお店などがどれくらいあるのかがわからなかった。両替と夕食、シャワーができることを期待していた。 ノルド駅でもシャワーを見つけたので、夜行がでる駅だからシャワーもあるのでは、と少し期待していたのだ。が、ベルシーの地下鉄駅に 降りてみて、失敗だったとすぐにわかった。地下鉄の駅も小さく、出口は2箇所あるだけだ。地下鉄から地上へは階段しかない。地上へ 上がると寂しい町外れという感じで、インド料理店と中華料理店が目に入った。この 2 つのどちらかしかないなとあきらめた。すぐ前に駅 がある。駅は2階になっており、階段とエスカレーターがあるのだが、エスカレーターは動いていなかった。構内に何があるかと見渡すと、 売店が1店あるのみだ。サンドイッチや飲み物は売っているが、夕食にするには寂しい。 アルテシアラウンジがどんなものか、まず見てみることにした。ラウンジに入ると係りの女性がチケットをチェックする。空港のラウンジと同じく、 ゆったりしたソファーが置かれ、飲み物のサービスもある。トイレは清潔だが、シャワーのサービスはない。駅の前にある中華料理の店に 行きたかったので、荷物を預かってくれるかとたずねると、パスポートも一緒に預かれるのなら、荷物を預かっても良いとのことなので、1 名分のパスポートと大きな荷物を預けて夕食へ出かけた。スタンダールの発車は 21:20 だが、ラウンジは 21 時に閉めるので、それま でに戻ってきてほしいと言われた。係りの女性に向いの中華料理店の評判を聞いてみたが、行ったことがないからわからないとのことだっ た。 駅で両替をしようと思っていたのだが、ベルシーには両替所がなかったのであまり現金がない。中華料理店で VISA カードが使えること を確認してからオーダーする。メニューを見ているとタイ風のメニュ-がいくつかある。おそらく、中国系のタイ人がやっているお店なのだろう。 お味の方はまあこんなもんでしょうという感じ。日本人にとっては冷たいサンドイッチを夕食にするよりはこちらの方がよいという程度であ る。 21 時10分前にラウンジに戻ったら、もう他の乗客は列車に乗り込んでいるのか、ラウンジには誰もいなかった。係りの女性は、おっとり した、感じの良いイタリア人で、「パリは暑いでしょう?」と言うので、「日本はもっと暑いよ」と答えると、「夏には日本に行けないねえ」と笑 っていた。実際に今年の夏、ヨーロッパは猛暑に襲われ、ニュースでも再三取り上げられていたが、乾燥しているので日本の夏の不快さ とは比べ物にならない。実際にこの日は、モンサンミッシェルで 5 時間近くも歩きっぱなしだったが、汗をかいてもすぐに乾いて、不快さが あまりない。シャワーを浴びないととんでもないと思っていたが、結局シャワーも浴びないまま次の日の夕方まで過ごしてしまった。 ラウンジの写真を取りたいというと、もう閉めかけていたにもかかわらず、再度電気をつけてくれた。お茶でもどうぞとすすめてくれたが、アル テシアを早く見たくて、荷物とパスポートを受け取って、早々にホームへと降りて行った。 第1印象は「なあんだ、ただのユーロナイトではないか」だった。プレミアムトレインだからと期待をし過ぎていたのかもしれない。 私たちは T3 を予約していた。いままでに何回かヨーロッパで寝台列車に乗っているが、それと何も変わらない。エクセルシオールでない とダメねという結論に至った。夜遅い出発のため、もうベッドにセッティングされていた。アルテシアナイトには少しがっかりしたので、今度は シティーナイトトレインに挑戦してみようという気になってしまった。パリ・ベルシー駅を出ると車掌がやってきて、朝食の飲み物の希望を聞 き、チケットとパスポートを預かっていった。それにしても、愛想のない車掌だ。車掌はたいがい愛想がいいのではないの?しかも、彼はイ タリア人なのに?しばらく外を眺めていたが、疲れていたのか、列車の振動がよかったのか、3 人とも快適な眠りについた。 8/20 ミラノ到着の 1 時間ほど前に、車掌が朝食を運んできてくれた。チケットとパスポートを返してもらう。 ベッドが 3 つセットされたままだと座ることもできないので、勝手に中段をかたづけて下段に座り、朝食を食べる。 さあ、ミラノ到着だ。ミラノからジェノバ行きに乗り、ジェノバで乗り換えてラ・スペーツィアへ向う。ミラノでジェノバ行きの列車のホームへ向 うとあれ?SBB のマーク?あっ!ジェノバではなく、ジュネーブだ!あぶない、あぶない、良く見なければ。ジェノバを見つけ、列車番号を 確認して乗りこむ。またまた、コンパートメントを占領できた。 ジェノバのプリンチペ駅に列車が入ると、1 つ向こうのホームにたくさんの人が列車を待っている。多分、あれがラ・スペーツィア行きのホー ムだ。少しイヤな予感がした。私たちは 1 等なので、そんなに混まないだろうという期待と、でも 1 等車両は少ないから逆に混んでいる かもという不安。ホームにジェノバから乗りこむ車掌がいたので、1 等車両はどこに止まるかを聞くと前から 2 車両とのことなので、そこで 列車の到着を待つ。列車がホームに入ってきた。???先頭車両のドアが開かない。仕方なく 2 両目から乗りこむ。満席だ。通路に も人があふれている。先頭車両は無人で電気も消えており、ドアも開かない。なんということだ。1 両目を開けてくれるのではという淡い 期待をもって通路に立っていた。車掌が来たが、結局 1 両目は開けてくれなかった。イタリア語で説明をされてもわからない。ラ・スペー ツィアまで立っていくことになってしまった。夏のリゾート地なので、少し不安は感じていたが、こんなに混んでいるとは思わなかった。要注 意だ。ラ・スペーツィアからミラノへの帰りの列車は、ラ・スペーツィアが始発なので、予約は不要かとも思ったが、往きがこんな状態だった ため不安になり、ラ・スペーツィアに到着してすぐに予約を入れた。 駅のインフォメーションで地図などをもらって、いったんホテルへ。 荷物を置いた後、チンクエテッレへ出かけた。ラ・スペーツィアとレヴァントの間を、チンクエテッレの村々を結ぶローカル列車が走っている。 1 時間に 2 本から 3 本の割合だ。この区間だけの乗り放題切符や、村々を結ぶフットパス(遊歩道)との共通乗り放題切符もある。 ラ・スペーツィアの隣の村、リオマジョーレで降りて、マナローラまではフットパスを歩く。崖の下の海が美しい。色とりどりの家々も絵になる。 本当はチンクエテッレの村に泊まりたかった。メールやファックスでいくつか問い合わせをしてみたが、B&B でもやたらと高かったり、良いなと 思ったところは空室がなかったり、英語がわからないのか、2 泊ぐらいの客は泊めたくないのか、返事もくれないところも多かった。仕方な くラ・スペーツィアにホテルを取ったのだが、実際に訪れてみて、チンクエテッレはイタリア人のためのリゾートだと実感した。日本人をはじめ 東洋人はほとんど見かけなかった。子供の目的は海で泳ぐことだったので、どこのビーチが良いかを下見して、明日は泳ぐ準備をして来 ようということになった。やはりビーチが長く、整備もされているモンテロッソで泳ごうということになった。 8/22 ラ・スペーツィアの駅に発車の 20 分くらい前に到着。予約していた席はコンパートメントで、他の座席も予約が入っている。今なら予約 が入ってないコンパートメントを占領できるかも?と、他の車両を見に行く。隣の車両に占領できるコンパートメントを見つけ、移動する。 途中いくつもの海沿いのリゾート地の駅に停まり、たくさんの乗客が乗ってきた。往きほどの混み具合ではないが、このシーズンのこの路 線は要注意だ。ミラノに到着してから両替をし、タクシーでホテルへ向う。タクシー乗り場は中央階段を降りたところでわかりやすい。 ミラノに到着し、ヨーロッパ列車の旅は終了した。 たくさんのプレミアムトレインに乗れたこと、ベルギーの駅の表示がわかりずらく、MIDI 駅でのタリスからの乗りかえはむつかしいということ がわかったこと、子供運賃無料などのサービスがあるとわかったこと、パリ・ベルシー駅周辺には何もないとわかったこと、イタリアのピークシ ーズンのリゾート路線は予約が必要とわかったこと、などなどが今回の旅の収穫だ。 距離のある大都市間の移動には、飛行機でひとっ飛びが便利だが、高速列車の走っている区間は、空港での待ち時間や空港まで の時間などを考えると、列車のほうがスマートに移動できるということが実感できた。もう少し使いやすいプレミアムトレインの割引料金が あれば、また、格安航空券の 1 クーポンとして使える路線や航空会社が増えれば、日本人の利用者増も期待できる。 以前から思っていたのだが、今回、実際に列車中心の旅をしてみて、一層必要を感じたものは、主要駅構内の地図だ。 空港では入国する人、乗り換えだけの人、と人の流れがはっきりしており、それに応じた表示がきちんとされている。また、必ず英語の表 示があり、わかりやすい。最近はほとんどの空港が、ホームページ上で平面図を公開していたり、施設の説明をしていたりするので、あら かじめ調べておくことができ、お客様への案内にも問題はない。が、駅の場合、構内の設備やどんなサービスがあるかを事前にチェックす るのがむつかしい。ベルギー国鉄のホームページには、駅にどんな設備があるかの表示はあるが、その地図はないので、大きな駅だとそ の設備の場所をさがすのが大変だ。ミュンヘンの中央駅の平面図は、ミュンヘン市のサイトで見つけたが、そのほかの駅の平面図はネッ ト上では見たことがない。表示も各国それぞれのところがあり、わかりにくい。 旅行者にとって必要な情報(どの路線はどのホームを利用するか、両替、売店、レストラン、トイレ、シャワー、コインロッカーや荷物預 かり所、観光案内所、レンタカー、レンタサイクル、エレベーターなどの有無と位置)を示すような平面図があれば、多くの鉄道利用者が 事前に情報を入手でき、旅をスムーズに運ぶことができると思う。 今回は列車に乗ることを目的とした 1 泊づつの移動の旅で、誰の目にもハードなようでしたが、実際にはそれ程疲れもなく、1 泊でもそ の土地を楽しむことができました。恐らく、出発時間を 9 時半以降にし、列車での移動中に休むことができたことが大きいのではと思い ます。こんなに急ぎ足の旅でも列車を利用することで、ゆとりが生まれ、結構満足できると実感しました。 今後の業務に大いに役立てることのできる有意義な旅でした。 このたびは、自主研修の機会を与えて頂き、ありがとうございました。 1 2 日付 8/15 (金) 地 名 時 間 交通機関 関 空 発 09:55 発 L H 7 4 1 フ ラ ン ク フ ル ト 着 14:40 着 フ ラ ン ク フ ル ト 発 16:15 発 L H 4 7 0 8 ロ ン ド ン 着 16:55 着 食事 ロンドン MILENIUM LONDON MAYFIAR 泊 8/16 (土) 朝食 ロ ン ド ン 発 17:18 発 9 ブ リ ュ ッ セ ル 着 21:06 着 3 8/17 (日) 4 8/18 (月) 5 日 程 ブ ブ ブ パ サ カ カ ポ ル リ リ リ ン ー ュ ュ ・ ラ ー ー ン ト ジ ッ セ ッ セ ノ ル ザ ー ン ン ル ソ ュ ル ル ド ル 発 着 発 着 発 着 発 ン 着 10:33 11 : 2 3 11 : 4 0 13:05 14:30 16:37 16:53 19:02 発 着 発 着 発 着 発 着 1 5 2 ブリュッセル/LE MERIDIEN 泊 夕食 朝食 ブルージュ/DIE SWAENE 泊 I C 1 5 1 0 09:59 発 10:50 着 IC509 朝食 THA9324 3 3 4 昼食 5 5 2 8 1 1 モン・サンミッシェル RELAIS ST.MICHEL 泊 8/19 (火) 朝食 ポ ン ト ル ソ ン レ ン ヌ レ ン ヌ パリ・モンパルナス パ リ ・ ベ ル シ ー 発 着 発 着 発 16:29 17:25 18:05 20:10 22:20 発 5 2 8 0 7 着 発 TGV8658 着 発 Stendhal21 7 アルテシアラウンジ利用可 車中泊 6 8/20 (水) 7 8/21 (木) 8 8/22 (金) ラ ・ ス ペ ー ツ ィ ア 発 1 0 : 4 4 発 I C 3 8 2 始発 ミ ラ ノ 着 13:50 着 9 8/23 (土) ミ ラ ノ 発 10:30 発 L H 3 9 0 7 フ ラ ン ク フ ル ト 着 11 : 5 5 着 フ ラ ン ク フ ル ト 発 13:50 発 L H 7 4 0 ミ ラ ノ ミ ラ ノ ジ ェ ノ バ ジ ェ ノ バ ラ ・ ス ペ ー ツ ィ ア 着 発 着 発 着 08:45 09:10 10:42 10:52 12:01 着 発 I C 6 4 5 着 発 I C 5 3 9 着 朝食 ラ・スペーツィア/JOLLY 泊 朝食 ラ・スペーツィア/JOLLY 泊 朝食 ミラノ/DELA VILLE 泊 1 0 8/24 (日) 関 空 LH:ルフトハンザドイツ航空 着 07:45 着 朝食 機中泊
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