富士フイルム 朝霞技術開発センター

富士フイルム
朝霞技術開発センター
社会・環境レポート 2004
この「社会・環境レポート」は、富士フイルム 朝霞技術開発センターの主として
2003年度(2003年4月から2004年3月)における環境活動と実績とを中心にまと
めたものです。編集にあたっては環境省の「環境報告書ガイドライン」および
C o n t e n t s
ご あ い さ つ
GRIの「持続可能性報告のガイドライン」を参考にしました。
1
ごあいさつ
2
1 朝霞技術開発センターとは
近年のデジタル機器やインターネットの急速な普及によるデジタル化の波は、私たちの生活や産業界
の構造を大きく変えつつあります。従来アナログ機器に使用された、多くの化学製品をご提供してきた
これが私たちの事業所です
2 朝霞技術開発センターの環境活動の歩み
4
富士フイルムですが、
これを逆にビジネスチャンスとポジティブにとらえ、力強く成長を続けております。こ
3 朝霞技術開発センターの環境方針
5
のような社会情勢のもと、2004年1月、当社は創立70周年を迎えました。そして、5年後を見据えた、新中
私たちは、環境配慮を大切にします
期経営計画「VISION75」を策定しました。新規研究開発体制を一新し、当社の多彩な技術力を活か
4 環境マネジメントのための仕組み
6
1. ISO14001に基づく環境マネジメントシステム
6
2. 朝霞技術開発センターの環境管理推進体制
6
5 朝霞技術開発センターの環境活動成果の概要
7
これに伴い、朝霞技術開発センターで最も古い歴史を誇る朝霞研究所は、
R&D統括本部ライフサイ
エンス研究所と改称されました。この部門は、臨床検査用診断試薬「富士ドライケム」を開発・生産して
おり、2004年は製品発売20周年にあたる記念すべき年です。そして、
同年6月、
新規製品「自動核酸抽
環境活動を通してこのような成果を上げました
6 製品の環境配慮活動の実績
1.R&D統括本部 ライフサイエンス研究所
2.電子映像事業部
3.イメージング&インフォメーション事業部
して、守りから攻めの経営に転換するためです。
8
出システムQuickGene」
を発売するにいたりました。ライフサイエンス事業は当社が力をいれている分野
8
の一つで、
この分野での研究開発成果の第一弾を出せたことを、非常に嬉しく思っております。
10
プリンター商品開発部
7 環境保全活動の実績
11
12
地域の環境に配慮した環境活動
さらに、当事業所はデジタル化時代の象徴的な製品ともいえる、デジタルカメラ
「FinePix」開発部門
の電子映像事業部を擁しております。今では、
「FinePix」は「フジカラー」と並んで、富士フイルムを代表
するブランドの一つにまで成長してきました。また、
イメージング&インフォメーション事業本部プリンター商品開
1. ゼロエミッションの継続・維持
12
2. PCBの管理
13
3. 化学系排水の緊急時対応ストックタンクの設置工事
13
時代に即した数多くのヒット商品を世に送り出しています。このように、朝霞技術開発センターはかつて
4. 水質関連
14
ないほどの活況を呈しており、大変心強く思っております。
● 環境モニタリング
−土壌関連、地下水関連、騒音・振動・臭気測定−
14
5. 大気関連
15
6. ボイラー燃料の重油から天然ガスへの切り替え
16
活動し、環境マネジメン
トシステムの国際規格ISO14001の拡大認証を取得しました(1999年3月に、当時
7. グリーン購入・グリーン調達
16
の朝霞研究所がISO14001の認証を取得しているため、
今回は拡大認証となります)。また、同年12月、
8. 環境会計
16
8 社会性活動の実績
17
社会の一員としての活動の数々
発部は、2004年4月にプリンピックス事業部とインスタント写真部技術グループとが統合されてできた部門で、
2003年12月、
当事業所は、
「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」にのっとり、全部門が一体となって
ボイラー燃料を天然ガスに切り替える工事を完了しました。さらに、
コンプライ
CO 2 排出量を削減するため、
アンスの説明会を開催し、法令遵守の精神を全従業員に徹底させる等、多くの活動を展開しております。
1. コンプライアンス説明会
17
一方で、従業員のみならず地域の皆様との共生も大切にして、環境の優等生企業としての活動を
2. 安全衛生・健康管理
17
展開して行きます。以上のように、私たちは、製品の開発、生産だけでなく、環境問題、企業の社会的
3. 防災訓練
17
4. 排水事故訓練
18
5. 救命講習会
18
6. 従業員のISO14001に関する環境教育
18
7. 手話の勉強会
18
責任
(CSR)
等、
企業が正しく進むべき道を常に考えつつ、
日々の活動を推進しております。
本書をお読みになって、
朝霞技術開発センターの活動内容をご理解いただき、
また、
本書に対する率
直なご意見、
ご批評を賜れば望外の喜びでございます。
−地域社会との共生−
8. 夏祭り
19
9. グリーン・エイド作戦
19
10.朝霞市への防災行政協力(非常時の緊急放送設備の設置)
20
2004年10月
11.災害時における地域住民への井戸水提供
20
富士写真フイルム株式会社
9 環境クレーム
20
10 用語集
21
執行役員 R&D統括本部
ライフサイエンス研究所長
社会・環境レポート2004
1
1
朝霞技術開発センターとは
これが私たちの事業所です
● 主要生産品目および業務内容
電子映像事業部
R&D統括本部
イメージング&インフォメーション事業本部
ライフサイエンス研究所
プリンター商品開発部
●臨床検査用診断試薬の開発と生産
●デジタルカメラの開発・設計
富士ドライケム(FDC)
●デジタルプリンターの開発
FinePix
●自動核酸(DNA,RNA)
抽出システムの開発
プリンピックス
●インスタントカメラ、プリンターの開発
チェキ、チェキプリンター、ケータイプリンター
QuickGene(クイックジーン)
富士ドライケムとは臨床検査用の多層分析フィ
プリンター商品開発部は、2004年4月にプリンピックス事業部とイン
ルム(スライド)です。
スタント写真部技術グループとが統合してできた部門です。
このスライドをアナライザーにセットし、血液
プリンピックス事業部は プリンチャオ シリーズの開発を行う事業部
試料の一滴を点着するだけで測定が行える、迅
です。これは、デジタルカメラやカメラ付きケータイの画像から簡単に写
速・簡便なシステムです。これにより血糖値、総
真クオリティの高画質プリントが得られるデジタルプリンターです。イン
A330・A340、ノイズを極限ま
タンパク量などの情報を簡便に、かつリアルタイムに医師に提供するこ
とができます。
2004年は製品出荷20周年にあたると共に、会社創立70周年にも
なります。富士フイルムは新中期計画VISION75を発表し、研究体制の
朝霞 の電子映像事業部はデジ
で低減し、ナチュラルな階調とク
タルカメラの開発・設計を中心と
リアな画質を実現したF810、卓
した部門です。
越した描写性能を発揮するハイス
一新をはかりました。これに伴い、朝霞研究所の名称はライフサイエンス
1988年に富士フイルムは世
ペックデジタル 一眼レフS3Pro
研究所と改称され、同年6月、その成果の第一弾、自動核酸抽出システム
界で初めてデジタルカメラを開発
など、豊 富なラインアップが揃っ
QuickGene-800および専用抽出キットの発売が開始されました。この
し、その後も次々と新製品を世の
ています。
システムは、研究室/グループ単位、さらにはパーソナルシステムとして、
中に送り出すことで業界をリード
各種の生物試料から目的の核酸を簡便、迅速に、かつ高品質に抽出でき
してきました。現在では FinePix
ることが特徴です。
は フジカラー と並んで富士フ
イルムを代表するブランドにまで
この部門は朝霞技術開発センターで
成長しています。
最も古い歴史を誇っており、今後はライ
FinePixはスタイリッシュでシ
フサイエンス事業を、当社のコア事業の
一つとして立ち上げていく計画です。
また、これらFinePixの高品質・
高 機 能 を 技 術 的 に 支 える の は 、
スーパーCCDハニカム など富
士フイル ム の 独 自 技 術 で す 。
今後はデジタルカメラ以外にも、
携帯モジュールを始めとした新規
ンプルな外観のF440・F450、
デジタル製品・システムの開発も
操作がカンタンでキレイに撮れる
行っていきます。
クのいらないオドロキのプリントで富士フイルムの優れた写真技術を応
用しています。
インスタント写真部技術グループは、1998年の発売以来大ヒットを続
けている チェキ シリーズの開発を行う部門です。
さらに、2003年12月には、カメラ付きケータイから、赤外線通信機能
によりプリント(写真)ができるチェキプリンターNP-1の発売を始めまし
た。NP-1はカバンの中にもすっぽりおさまるコンパクトボ
ディで、フィルムには手軽にどこでも買える、大人気のチェ
キフィルムを使用しています。2004年
11月にはさらに進化したケータイプリ
ンター Pivi(ピヴィ)も発売されます。
これら二つの部門が統合され、これか
らもますます時代のニーズにあった新
製品の開発を目指します。
2003年度(2004年3月現在)
● 創立 1965年(昭和40年)4月
● ISO14001認証取得 1999年(平成11年)3月12日(朝霞研究所)
● ISO14001拡大認承取得 2003年(平成15年)12月(朝霞技術開発センター)
● エネルギー使用量
敷地面積 32,831m2
延べ床面積 24,827m
建物面積 7,167m2
従業員数 1,009人
2
電力(買電)8,602MWH
井水使用量 102千m3
重油 347kl
天然ガス 138千Nm3
排水量 118千m 3
2
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2
3
朝霞技術開発センターの環境活動の歩み
朝霞技術開発センターの環境方針
本方針は「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」に則して定められています。
1965年(昭和40年) 中央研究所として発足
1979年(昭和54年) 中央研究所を朝霞研究所に改称
2003年5月20日制定
2004年4月27日改訂
1983年(昭和58年) 臨床検査試薬の生産開始
1988年(昭和63年) 最終ピットおよび中間ピット
(5カ所)に「自動pH計」を設置
1. 基本方針
中央研究所発足当時
1990年(平成2年) 構内の小型焼却炉を撤去
持続可能な発展 は21世紀の地球、人類、企業にとって最重要課題である。
1992年(平成4年) ボイラー燃料をA重油から特A重油への全面転換によるSOxの低減化
富士フイルム 朝霞技術開発センターは、環境・経済・社会の全ての面において確実で一歩先行した
事業所名を朝霞技術開発センターに改称
取り組みにより先進企業となることを目指す。
朝霞研究所に加え、
デジタルカメラ、
デジタルプリンターおよびカメラの開発事業部が加わる
我々は、製品・サービス・企業活動における高い 環境品質 を実現することで顧客満足を達成する
1995年(平成7年) 構内排水を公共河川放流から市下水道処理施設へ接続
と共に、 持続可能な発展 に貢献する。
環境管理課を新設し、環境管理体制を強化
1996年(平成8年) 建物の耐震補強工事を実施
1997年(平成9年) 省エネタイプの小型還流ボイラーを設置
2. 行動指針
生ゴミ処理機を設置
朝霞市と災害時における井戸水の供給支援協定書を締結
1998年(平成10年) 環境ISO推進委員会を設置
1. 環境負荷低減と安全確保を次の三項目に留意して推進する。
生ゴミ処理機
「朝霞研究所 環境方針」を策定
②製品の全ライフサイクルにわたって実施する。
1999年(平成11年) ISO14001環境マネジメントシステム認証取得(朝霞研究所)
③経済的、社会的効果を総合的に配慮する。
地下重油タンク周辺の漏洩対策工事を実施
・
・
・
・
製品の使用及び廃棄、並びにサービスに係わる環境負荷低減及び安全の確保に取り組む。
2000年(平成12年) グリーン購入活動をスタート
廃棄物発生を削減し、
ゼロエミッションを維持する。
事業活動に伴う環境負荷の低減と汚染予防に取り組む。
敷地全体の土壌調査実施、地下水観測井を設置
2001年(平成13年) ゼロエミッションを達成
①企業活動の全側面で実施する。
ISO14001認証取得を
表す看板
グリーン調達に取り組む。
グリーン調達活動をスタート
2. 化学物質の管理レベルを高め、
リスクを低減する。
ISO14001更新審査受審(認証継続)
3. 法律、条例、当社規則或いは基準及び同意する他の要求事項を順守する。
2002年(平成14年) 廃棄物置場の大幅改修工事を実施
4. 協力会社とのパートナーシップと行政・業界活動への協力を強化し、地域活動に積極的に参加する。
化学系排水配管の地上露出化工事を開始。
2003年(平成15年) デジタルカメラ「FinePix410」が他社を含めた全てのデジタル
廃棄物置場
5. 環境課題への取り組み状況とその成果を、地域社会や行政などの社外関係者に積極的に情報開
示し良好なコミュニケーションを確保する。
カメラで初めて「エコリーフ環境ラベル」取得
「朝霞技術開発センター環境方針」を策定
6. 社員教育の徹底を通じて意識向上を図り、環境課題に取り組む基盤を強化する。
朝霞技術開発センターとしてISO14001の拡大認証取得
7. ISO14001によるマネジメントシステムを構築し、継続的に改善する。
ボイラー燃料を重油から天然ガスへ100%切り替え
2004年(平成16年) 朝霞研究所をライフサイエンス研究所に改称
環境方針カード
5対象品目
(用紙、
コピー機類、
パソコン、文具および生活用品)の
グリーン購入率の100%化の達成
プリンピックス事業部とインスタント写真部技術グループとが統合され、
プリンター商品開発部が発足
化学系排水の緊急時対応ストックタンクの設置工事を開始
ライフサイエンス研究所から新規事業製品、
自動核酸抽出システム
ISO14001拡大認証取得を
表す看板
この環境方針が記載されたカードを朝
霞技術開発センターの従業員全員が携
帯しています。
Quick Gene発売
4
社会・環境レポート2004
5
4
5
環境マネジメントのための仕組み
朝霞技術開発センターの環境活動成果の概要
環境活動を通して、この様な成果を上げました
1
ISO14001に基づく環境マネジメントシステム
製品の環境配慮への取り組み
1999年3月に朝霞研究所(現ライフサイ
エンス研究所 )は、環境マネジメントシステ
■ ライフサイエンス研究所では、永年の懸案であっ
ムの国際規格ISO14001の認定取得をし
た製造工程での重クロム酸カリウム(社内の環境
ました。さらに、2003年12月に他の事業部
懸念物質に該当)の代替化を達成しました。
を含めた、朝霞技術開発センター全体として
の認証を取得しました。
■ 電子映像事業部、プリンター商品開発部では、次々
と新製品のエコリーフ環境ラベルを取得しています。
なお、ISO14001とは1996年に発行さ
れた環境マネジメントシステムの国際規格で、
3年ごとに更新が行われます。
図のように、計画(PLAN)→実行(DO)
→確認(CHECK)→改善(ACT)のサイク
環境保全活動の実績
ルを繰返し、管理システムの継続的な改善を
図っています。
■ 2001年6月にゼロエミッションを達成して以来、
これを維持・継続しています。
2
朝霞技術開発センターの環境管理推進体制
■ PCBは「PCB廃棄物に関する法令」に準じて、厳
2003年7月に朝霞技術開発センターはISO14001の認証取得を目指し、環境管理推進体制を構築し
ました。そして、2003年12月の認証取得後もこの体制を維持し続けています。
■ 環境モニタリングも定期的に測定をし、厳しくチェッ
クを行っています。
水質(pH,BODなど)、大気(SOx、NOxなど)、地下水、騒音、臭
気など。
重に保管されています。
■ グリーン購入・グリーン調達
■ 化学系排水の緊急時に対するストックタンクの設
置工事が開始されました。
2003年度にグリーン購入は100%を達成しました。グリーン
調達は、調達先に対してのグリーン調査を開始し、調達品自体へ
と広がりが本格派しています。
■ 環境会計
︵
R
C
=
レ
ス
ポ
ン
シ
ブ
ル
ケ
ア
︶
環境保全コストは約15億円、環境経済効果は約6億円でした。
ライフサイエンス
研究所長
F
R
C
委
員
会
環境管理責任者
(ライフサイエンス研究所 事務部長)
(公害防止監督者)
事
務
部
長
事
務
局
=
ラ
イ
フ
サ
イ
エ
ン
ス
研
究
所
メ
ン
バ
ー
=
各
部
門
長
統
括
者
=
ラ
イ
フ
サ
イ
エ
ン
ス
研
究
所
長
環朝
境霞
委技
員術
会開
︵発
Eセ
Mン
Sタ
運ー
営
会
︶
公
害
防
止
主
任
者
内
部
環
境
監
査
員
事
務
局
=
環
境
安
全
課
メ
ン
バ
ー
=
各
部
門
長
選
任
委
員
長
=
環
境
管
理
責
任
者
︵環朝
E境霞
Mマ技
Sネ術
推ジ開
進メ発
委ンセ
員トン
会推タ
︶進ー
委
員
会
社会性活動の実績
シ
ス
テ
ム
の
運
用
と
実
施
各
部
門
長
■ コンプライアンスを全従業員に徹底させるため、
全職場で説明会が開催されました。
■ 安全衛生・健康管理に関しては、産業医、看護師等
と連携をとり、活動が推進されています。
■ 防災訓練、排水事故訓練、救命講習会も年に1〜
2回の頻度で開催されています。
■ 朝霞技術開発センターのISO14001取得に伴い、
■ 朝霞技術開発センターでは、社内で手話の勉強会
が、希望者対象に定期的に開催されています。
■ 毎年恒例の夏祭りが、社員やその家族、近隣の住
民の皆様も参加して盛大に開催されました。
■ グリーンエイド作戦(会社や社宅周辺のゴミ拾い)
が、土曜休日に社員やその家族により行われました。
■ 朝霞技術開発センターでは、朝霞市に対して防災
必要な環境教育がパソコンを使用して行われて
行政に協力したり、災害時に近隣の住民の皆様に
います。
井戸水を提供する契約を交わすなど、市に協力態
勢をとっています。
●レスポンシブルケア
事業者が自ら決定し、責任を持つという基本に基づき、製品の開発から製造および使用、廃棄にいたるまでのすべての過程において、環境
保全・安全を確保することを経営者が約束し、実施と改善を図る活動で、世界各国で取り組まれています。
6
社会・環境レポート2004
7
6
1
製品の環境配慮活動の実績
R&D統括本部
■ 富士ドライケム
ライフサイエンス研究所
■ 重クロム酸カリウムが受ける規制は?
イオン選択電極製造工程の重クロム酸カリウムの代替化
法的には主として次の規制を受けるため、環境負荷の小さい物質への代替化が望まれていました。
従来、一部の製品の製造工程に、重クロム酸カ
リウムが使用されていました。これは、社内の環境
法規制
懸念物質に該当し、法的にも色々規制のかかる物
質で、この代替化がかねてから望まれていました。
このたび、
PDTA・Fe(III)という環境に対する負
荷がかなり小さいものへの代替化が完了しました。
この物質は富士フイルムの自動現像機の漂白
剤に使用されている物質です。
やるべきこと
1)劇物(毒物及び劇物取締法)
2)消防法の危険物
1)施錠して保管、在庫量チェックなど厳重な管理
2)在庫量に制限
3)労働安全衛生法の特化則
(特定化学物質等障害予防規則)
4)下水道法及び水質汚濁防止法
3)作業従事者は年に2回特殊検診の義務
4)水洗水も該当するため、
廃液を年間約5トン回収
■ FDC(富士ドライケム)とは?
社内の環境懸念物質に指定
■ 代替化によりこうなりました
FDC(富士ドライケム)とは多層分析フィルム(ス
ライド)で、病院や医療機関で用いられる臨床検
重クロム酸カリウム
査用血液分析スライドのことです。このスライドを
厳重(施錠・在庫量チェック等)
制限あり
年に2回
年に約5トン
保管
在庫量の制限
特殊健診
廃液
アナライザー(分析装置)にセットし、血液試料の
一滴を点着するだけで、測定が行われる、迅速・簡
便なシステムです。これにより、例えば、血糖値、
総タンパク量、あるいは、
Na
(ナトリウム),
K(カリ
AgCl粒子の電子顕微鏡写真
重クロム酸カリウム
PDTA・Fe(lll)
5000倍
ウム),
Cl
(クロール)の値をリアルタイムに知るこ
とができます。
PDTA・Fe(III)
FDCには比色法スライド(大部分がこのタイプ)
と電極法スライドの2種類があります。このうち、
電極法スライドの製造工程で社内の環境懸念物
質 に 該 当 す る 、重 ク ロ ム 酸 カリウ ム( 化 学 式
K2C r2O7の結晶状固体)が使用されていました。
イオン選択電極製造工程の重クロム酸カリウムの代替化
保管
在庫量の制限
特殊健診
普通の保管・管理
制限は特になし
必要なし
廃液
年に約1トン
粒径が均一で細密
たのですか?
「勿論ありました。そのため、装置の一部の材質を変えたり、新
ロムは検出されますが、全く心配するレベルではありません」
しく装置を開発したり、相当数の改良を行っています。」
―
―
ライフサイエンス研究所
時代でした。一部の製品を製造するときに使用されるだけでし
寺嶋 正明
たし、
この物質が簡単に代替できるとは思ってもいませんでした。
イオン選択電極製造工程の重ク
いました。しかし、法的にいくつもの規制を受けますし、その後、
などと一緒に検討しました。
くなりました。さらに、廃液回収の手間も少なくなり、色々な面
ロム酸カリウムの代替化を担当
社内での規程の環境懸念物質に指定され、できるだけ早い機
検討した点は、
で非常に歓迎されています。」
した、ライフサイエンス研究所製
会にこれの代替化を進めないといけない状況になりました。」
そのような訳で、研究に着手してしばらくしてから中断してしま
研究の内容、苦心した点につい
―
て聞いてみました。
代替品のPDTA・Fe(III)はすぐに見つかったのですか?
「いくつかの候補、例えば、過マンガン酸カリウム、過酸化水素
造部技術課の寺嶋正明さんに、
1.できた製品の品質が今までと同等
重クロム酸カリウムは製造工程の、どの工程で使用され
2.環境に負荷をかけない物質
ているのですか?
3.コスト
「富士ドライケムのNa-K-Clスライドにはイオン選択電極と呼
PDTA・Fe(III)に替わって、現場の人の反応はどうですか?
「保管、取り扱いの面倒くささがなくなり、特殊な検診も必要な
―
最後に、PDTA・Fe(III)の今後の課題は何でしょう?
「現在、PDTA・Fe(III)の水溶液は、使用後回収して産業廃棄
物としての処理をしています。しかし、一度還元されたFeイオ
ンを酸化すれば、もとのPDTA・Fe(III)に戻ることは、理論的
このテーマにとりかかったのはいつ頃ですか、またそれ
ばれる、特定のイオンにのみ反応する特別な電極が使用されて
はなぜですか?
います。この電極を製造する工程で銀を酸化するために用い
の3点です。結局、この3つを満足するものはPDTA・Fe(III)し
こうすることにより、廃棄物をさらに減少させることができると
られています。つまり酸化剤です。」
かありませんでした。」
考えています。」
―
―
「最初に着手したのは、そう、1996年頃でしょうか。当時はそ
れほど重クロム酸カリウムの製造工程での使用がうるさくない
8
粒径のばらつき大
これが製品に付着するという心配はないのですか?
「多量の水で水洗・除去しています。分析すると、極々微量のク
―
10000倍
重クロム酸カリウムが製造工程で使用されることにより、
には可能です。
PDTA・Fe(III)を検討するにあたり、何か問題点はなかっ
社会・環境レポート2004
9
FinePixのエコリーフ環境ラベル(FinePix F410, FinePix A310・・・FinePix F450)
2
電子映像事業部
3
イメージング& インフォメーション事業本部
プリンター商品開発部
「チェキ プリンターNP-1」、
「ケータイプリンターPivi」でも
エコリーフ環境ラベルを取得しました
2003年4月、富士フイルムのデジタルカメラ
FinePixF410は、他社を含めたすべてのデジタ
た点を一つあげてみましょう。
デジタルカメラの中で、液晶パネルは環境負荷
富士フイルムは、
2003年12月に、カメラ付きケータイから赤外線通信を利用してプリント(写真)
を作る「チェキ プリンターNP-1」を発売しました。この種の製品は業界でも初めてのため、大変
ルカメラの中で、エコリーフ環境ラベル(下欄を参
が高い部品です。しかし、やはりこれはお客様にと
照してください)取得第1号の栄誉に輝きました。
って大きいほうが見やすく、製品のセールスポイ
注目されています。また、
2004年11月には、さらに進化した「ケータイプリンターPivi」も発売と
その後、FinePix A310, FinePix F700,FinePix
ントにもなります。環境負荷を小さくしたい、
しかし、
なり、ケータイで撮った画像がカンタン操作で、どこでもプリントできるようになりました。いずれ
A210・・・と次々とエコリーフ環境ラベルを取得
大きく見やすい液晶パネルにしたい。この二つを
の製品もエコリーフ環境ラベルを取得しています。
してきました。そして、2004年7月にFinePix F450
満足させることは非常に困難でしたが、面積はそ
が発売され、このカメラもエコリーフ環境ラベル
のままで、体積を小さくすれば良いことに着目し
を取得しています。
ました。すなわち、厚みを薄くすれば良い訳です。
FinePix F450は、小さく、頑丈で、壊れにくい
そこで、新たに薄い液晶パネルを開発しました。
ということが特徴です。一般に、小型のカメラは環
その結果、見事にこの二つを両立させる製品がで
境 負 荷 が 小 さ い も の で す 。し かし 、F i n e P i x
きました。
F 4 1 0 で 既 に か なり小 型 化し て い る た め 、
今後もFinePixは製品の品質の向上、エコリー
FinePix F450の温暖化負荷(CO 2換算)はあま
フ環境ラベルの取得、環境負荷軽減等と多くの面
り変わっていません。ここで、開発に当たり苦労し
で挑戦を続けていきます。
F450
従来機との
ライフサイクル環境負荷比較
F410
温暖化負荷(CO 2 換算)の数値は、製品の誕生から廃棄ま
でを次の5つのステージに分けて、それぞれの環境負荷を
LCAの手法により
(kg)
8
F410
7.17
●液晶シャッターを通して、
RGBの光(光源はLED)が露光され、フィルムに感光します。
6.67
6
画像がフィルムに書込まれる原理
F450
●素材製造 : 製品について、部品ごとの材料を把握し、使用材料ごとに環
境負荷を 求め、さらに成形や研磨に使用したエネルギー、
水、電力などを加える。
5.81
4.18
4
●素材製造:工場での組み立て工程において使用したエネルギー、水、電 力など。
2.03
2
1.83
0.03
0.20
0.06
0.38 0.39
0
素材製造
製品製造
物流
使用
廃棄・リサイクル
合計
●物
流:製品の輸送にかかる環境負荷。
●使
用 : お客様が製品を使用されるときの環境負荷。乾電池使用の
場合、その乾電池を製造する際の環境負荷。二次電池(充
電式電池)の場合、充電する際の電力。
●廃棄・リサイクル:廃棄物として処理されるときの環境負荷。
※F450はF410と違い、クレードルが同梱されています。本比較は同梱されて
いるクレードルを除いたデータです。
エコリーフ環境ラベルとは
経済産業省所管の社団法人 産業環境管理協会によって運営されています。LCA(ライフサイクルアセ
の光で画像を記録します。上の図に示すように、フィルムには線状の光が画面全体に渡り、順次、
の負荷、資源の消費などを定量的に表示するものです。目的は、企業自らが定量的データを把握し、環境負
露光されます。昇華型プリンターが各色毎に画面全体を露光するのに対して、
3色同時に露光する
荷低減のさらなる動機づけを目指すもので、インターネットでも公開され、消費者のグリーン購入・グリー
こと、さらに記録媒体にISO800の高感度フィルムを使用することで、プリント時間は15秒と大変
ン調達にも活用されます。
短くなっています。
[エコリーフ環境ラベル]については
●富士フイルムホームページ
http://www.fujifilm.co.jp/ecoleaf/
●社会法人 産業環境管理協会のホームページ
http://www.jemai.or.jp
でご覧いただけます。
10
撮影レンズを通った被写体像を、そのままフィルムに記録するカメラと違い、NP-1はRGB3色
スメント)手法により、製品の誕生から廃棄・リサイクルにいたるまでの全ライフサイクルにおいて、環境へ
人物や風景など被写体の色やコントラストをリアルに再現するため、
RGBの光を定量的に測定
する機器を開発し、各種環境下でも安定した光量制御を可能にすること、また、画面の露光ムラを
減らすため、速度ムラの少ない露光ヘッド駆動メカニズムを開発すること等がNP-1の開発では
重要なポイントでした。
社会・環境レポート2004
11
7
環境保全活動の実績
地域の環境に配慮した環境活動
1
2
ゼロエミッションの継続・維持
PCBの管理
PCB(ポリ塩化ビフェニール)は燃やすと有害な
2001年6月、朝霞技術開発センターはゼロエミッション(単純焼却・埋め立て処理のゼロ)を達成し、こ
ダイオキシンを発生する物質です。適切な処理方
れを継続、維持しています。
法が確立されていないため、朝霞技術開発センター
で保有しているPCBは、以前から厳重に保管され
発生する廃棄物の中身
ていました。さらに2001年7月、PCB廃棄物に
再資源化の方法
関する法令が施行され、将来、適切な処理方法が
塗布工程原材料(ポリマー類)
感染性廃棄物
廃酸(重金属含有)
生
産
工
程
か
ら
確立されるまで、引き続き厳重に保管されます。
サーマルリサイクル後
の汚泥
路盤材
安定化処理後の汚泥
塗布済ロールおよびベース
製鉄高炉
還元剤
包 アルミ包材および打抜屑
装 プラスチック
材
料 紙
3
再生紙原料
廃溶剤
地中に埋められていた化学系排水配管を、地上に露出させる工事は2004年3月に完了しました。この
汚泥
再生溶剤
化学系排水の緊急時対応ストックタンクの設置工事
廃機械油
再生オイル
工事の目的は、万一配管に亀裂が入って排水が漏れても、すぐに発見できるためのものでした。これの第2
事務紙屑・包装紙屑・段ボール
再生プラスチック
原料
から始まりました。製造棟の近くのコンクリート製の緊急時対応の排水槽の内側に、さらにタンクが設置さ
期工事ともいえる、緊急時(水質の異常)に排水を一時的にストックするためのタンク工事が2004年4月
生
産
工
程
以
外
か
ら
秘 書類
研究棟の建物の近くには別途、緊急時対応のストックタンクが設置されます。これらは2005年3月完了を
サーマル
リサイクル
生 可燃性生活ゴミ
活 プラスチック
ゴ
ミ 不燃性生活ゴミ
目標に工事が行われています。
(温泉利用)
ガラス
OA機器類
金属
銀回収
自動現像機廃液
食
堂
か
ら
れます。これにより、万一タンクに亀裂が入って排水が漏れることがあっても、すぐに発見できます。なお、
水銀・
重金属回収
廃蛍光灯・廃乾電池
食堂残飯
セメント原料
生ゴミ処理機
化学系排水配管製造棟付近
堆肥
天ぷら油
代替燃料
ライフサイエンス研究所の廃棄物処理量の推移
一般廃棄物
(トン)
300
リサイクル率の推移
産業廃棄物
(%)
100
292.6
100
100
100
ストック
タンク
253.5
250
218
廃 200
棄
物
処 150
理
量
234
192
76
80
リ
サ
イ
ク
ル
率
195
164
60
二重構造
56
pH調整後
下水道へ放流
44
40
36
100
20
50
0
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003 (年)
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003 (年)
*2001年度からは、集計範囲を朝霞技術開発
センター全体に拡大(変更)しました。
12
社会・環境レポート2004
13
4
5
水質関連
朝霞技術開発センターでは、排水水質について、法規制値よりも厳しい管理基準値を設けて管理を行っ
ています。2003年度も、各項目とも管理基準値以下でした。
大気関連
朝霞技術開発センターでは法規制に準じた管理基準値を基に管理を行っており、2003年度も各
項目とも管理基準値以下でした。ボイラーは従来特A重油を使用していましたが、2003年12月に
これを天然ガスに切り替える工事を行いました。天然ガスに切り替えることにより、地球温暖化の原
項目
pH(水素イオン濃度指数)
単位
下水道排出規制値
(下水道法)
朝霞研究所の
自主管理基準値
−
5.0〜9.0
5.3〜8.7
7.2
480以下
1.2
1998年 1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
7.2
7.2
7.1
7.3
7.4
1.2
1.2
1.5
4.6
15.4
因となるCO 2排出量が大幅に減少します。
分析項目
BOD(生物化学的酸素要求量) mg/リットル
600以下
硫黄酸化物(SOx)量
浮遊物質量
mg/リットル
600以下
480以下
10未満
10未満
10未満
10未満
10未満
10未満
5以下
4以下
2.5未満
2.5未満
2.5未満
2.5未満
2.5未満
2.5未満
窒素酸化物(NOx)濃度
ノルマルヘキサン抽出物量含有量( 鉱油類
含有量) mg/リットル
mg/リットル
3以下
2.4以下
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
亜鉛含有量
mg/リットル
5以下
4以下
0.5未満
0.5未満
0.5未満
0.5未満
0.5未満
0.5未満
溶解性鉄含有量
mg/リットル
10以下
8以下
1未満
1未満
1未満
1未満
1未満
1未満
総クロム含有量
mg/リットル
2以下
1.6以下
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
窒素含有量
mg/リットル
240以下
192以下
11.3
11.3
11.3
9.9
9.9
11.2
リン含有量
mg/リットル
32以下
26以下
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
法規制値
管理基準値
m3N/h
2.462
ppm
3
g/m N
ばいじん量
銅含有量
単位
1999年
2000年
2002年
2003年
2.462
0.019
0.026
0.029
0.027
0.020
0.013
当面猶予
130
75
93
85
103
102
73
当面猶予
0.1
0.019
0.021
0.009
0.008
0.007
0.003
硫黄酸化物(SOx)排出量の推移
(kg)
500
489
400
SOx
排
出
量
窒素酸化物(NOx)排出量の推移
(kg)
1400
446
1388
1175
1200
387
341
300
212
200
実績値実績値
2001年
1998年
187
NOx1000
排 800
出 600
量
926
911
650
653
400
全シアン含有量
mg/リットル
1以下
0.8以下
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
0.1未満
カドミウム含有量
mg/リットル
0.1以下
0.08以下
0.01未満 0.01未満 0.01未満 0.01未満
0.01未満
0.01未満
鉛含有量
mg/リットル
0.1以下
0.08以下
0.01未満 0.01未満 0.01未満 0.01未満
0.01未満
0.01未満
水銀含有量
mg/リットル
0.005以下
0.004以下
ヨウ素消費量
mg/リットル
220以下
176以下
0.0005未満 0.0005未満 0.0005未満 0.0005未満
5未満
5未満
5未満
5未満
0.0005未満
0.0005未満
5未満
5未満
100
0
200
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003(年)
これらのグラフの数字は様々な要因
により変わってきます。ボイラー燃料の
重油から天然ガスへ の切り替えもその
一つです。
1998 1999 2000 2001 2002 2003(年)
ばいじん排出量の推移
(kg)
120
ば
い
じ
ん
排
出
量
100
100
80
80
60
44
44
47
40
20
0
14.4
1998 1999 2000 2001 2002 2003(年)
環境モニタリング
土壌関連
地下水関連
朝霞技術開発センターでは外部の専門調査会
2003年度も測定したすべての項目で管理基
社に依頼して、2000年10月から2001年1月
準値以下であることを確認しました。この測定は
にわたり、敷地全域の土壌調査を行いました。そ
2000年11月、敷地内に4カ所の観測井を設置し
の結果、揮発性土壌ガスおよび重金属項目のすべ
て以来、毎年、定期的に実施されています。
騒音・振動・臭気測定
定期的に騒音・振動・臭気測定を実施して
いますが、法規制値を超過していません。
てで管理基準値以下となり、土壌汚染のないこと
が確認されました。これは、富士フイルム全社で
実施している環境管理活動の一環として行われ
たものです。
臭気測定
敷地内4カ所の地下水の
サンプリングをしています。
14
振動測定
敷地境界線の騒音を
測定しています。
社会・環境レポート2004
15
8
社会性活動の実績
社会の一員としての活動の数々
6
ボイラー燃料の重油から天然ガスへの切り替え
1
朝霞技術開発センターのボイラー燃料は、従来、
特A重油が使用されていましたが、2003年12月、
コンプライアンス説明会
<2004年4月〜5月>
コンプライアンスとは、通常、法令遵守の意味に
天然ガスに切り替わりました。これにより、地球温
用いられています。昨年同様今年も、朝霞技術開
暖化の原因となるCO 2排出量が大幅に減少するこ
発センターでコンプライアンス&リスク管理部に
とが見込まれます。
よる、役職者対象のコンプライアンス説明会が開
催されました。さらにこの内容を全従業員に徹底
させるため、各職場において、役職者による説明会
が開催されました。企業倫理や企業の社会的責任
が新聞・テレビで大きく取上げられる昨今、参加者
一同、皆真剣に聞き入っていました。
7
2
グリーン購入・グリーン調達
朝霞技術開発センターでは、一般購入品の購入
安全衛生・健康管理
健康管理の面では、
「心身ともに健康であるべき」
具および生活用品)に限定しています。グリーン調
業保険指導者)による三位一体でサポートします
におけるグリーン購入の推進を進めてきました。
達に関しては、まず調達先に対してのグリーン調
との考えから産業医、産業カウンセラー、管理栄養
その趣旨は、環境に配慮したメーカー、販売先を
査を開始し、調達品自体へと広がりを本格化して
士および看護師の連携のもと、身体だけでなく精
労 働 災 害 の 点 で は 、過 去5年 間 に 休 業 災 害2件
います。
神的な面も含めて従業員の健康管理の充実を図っ
(2000年、2001年)、不休業災害3件(2001年、
選択すること、および環境に配慮された製品を購
(8月〜10月まで、計5回の個別面談方式で実施)。
入することです。その結果、2003年度にはグリー
ています。さらに健康診断後のフォローとして、健
2002年、2003年)発生していますが、2003年
ン購入は100%を達成しました。ただし、グリーン
康教室も行っています。2004年度の健康教室と
度の災害度数率(0.89)、災害強度率(0)は全国平
購入は5対象品目(用紙、コピー機器、パソコン、文
して、次の3つを実施します。
均の災害度数率(1.77)、災害強度率(0.12)に比
1. ライフコーダーによる生活習慣のデータ化
較しても大幅に下回っています。今後も「ゼロ災」
2. 生活活動量把握による食事指導
を目指して事業場の安全衛生委員会を主体とした
3. メンタル面のフォロー
安全衛生管理活動を推進しています。
(年度)
2003
グリーン購入
達成率
100
2002
97
2001
これら3つを運動トレーナー、管理栄養士、看護師(産
87
0
20
40
60
80
100(%)
ライフコーダーとは、データが
パソコンで解 析できる万 歩 計
です。これにより生活習慣のデー
タ化を行います。
調達先への説明会
8
「法律やルールに違反しないというだ
けでなく、常識や倫理に照らして、個人
や企業が正しい行動を行うこと。」
これがコンプライアンスです。
環境会計
朝霞技術開発センター2003年度の環境会計
ら天然ガスに切り替えるための工事(CO 2 排出削
を集計した結果、環境保全コストは約15億円、経
減のため)を重点に実施しました。また、経済効果
済効果は約6億円でした(環境省のガイドラインに
については、主にデジタルカメラの省電力化によ
準拠)。本年度は、汚染予防のための化学系排水
る効果金額を集計しました。
3
防災訓練
今年の健康教室は「三位一体のサポー
ト」が特徴かー。ヨーシ、途中でめげ
ず、頑張るゾー!
!
<2003年11月5日>
配管の地上露出化工事と、ボイラー燃料を重油か
朝霞消防署
2003年度 環境保全コスト
2003年度 環境経済効果
15億3,000万円
6億4,000万円
6%
4%
公害関連法遵守および汚染予防
浜崎分署隊員のご指導による防
員の安全確認、負傷者の救助、災害による被害を
災訓練が、2003年度も朝霞技術開発センターの
最小限に食い止め、環境汚染の二次災害防止の取
全従業員が参加して実施されました。大きな地震、
り組みなど、多くの訓練を行いました。
火災などが発生したことを想定しての訓練で、人
環境保全活動
「了解、ご苦労
さまです」
90%
環境配慮型商品の研究開発
「全員避難
完了しました」
100%
デジタルカメラの電池本数削減効果
(電池本数の削減効果)
災害はいつ来るかも分りません。明日来てもおかしく
はありません。普段から心の準備をしておきましょう。
16
社会・環境レポート2004
17
地域社会との共生
排水事故訓練
<2004年3月15日>
夏祭り
この訓練は、排水異常発生時に構内から管理基
準値を超えた排水が排出しないように、排水対策
<2004年7月23日
約900名参加>
労使共催の夏祭りが今年も構内で開催されまし
班により定期的に実施されています。
一等賞にはいれー!
た。今年は天気にも恵まれたため、従業員やその
家族だけでなく、近隣の住民の皆様も多数参加さ
れました。ヤキソバ、飲み物、輪投げ、射的を始め
多くの屋台が会場を取り囲むなか、子供さんたち
の歓声が絶えず、楽しいひとときを過ごしました。
救命講習会
<2004年7月15日22名参加>
わぁ〜、たくさんの人がいるよ〜。
今年も埼玉県南西部消防本部隊員のご指導に
より救命講習会が開催されました。参加者はモデ
ルの人形を相手に、人口呼吸、心臓マッサージなど、
皆真剣に取り組んで
いました。
ママー、ヤキソバ買ってきて!
今回学んだ心肺蘇生を実践で使う機会がない
ことを願いますが、そういう場面に遭遇した場合、
ちゅうちょすることなく、
「もしもし!わかります
か?!」と意識の確認からスタートします。
「 輪投げやヨーヨー釣りもあるよ♪
楽しいなー」
最初はドキドキ!中ごろはフムフムなるほど。消
防士さんの巧みな話術?!に顔もほころびがち。
最後の試験にまたドキドキ!
!使う機会がないこ
とを祈りつつ。講習を受けさせていただきました。
従業員のISO14001に関する環境教育
グリーン・エイド作戦
<2004年5月22日
約30名参加>
グリーン・スマイル(富士フイルム労働組合の社
朝霞技術開発センターでは、全従業員がパソコ
会貢献活動への取り組み)の一環として、今年もグ
ンを通じて環境関係の学習をしています。昨年も
リーン・エイド作戦が開催されました。土曜休日に
実施したeラーニングやISO14001 H16年度
もかかわらず、従業員やその家族の皆さんが、朝
活動内容の説明等、ISO14001に関する内容を
霞技術開発センターや近接する社宅周辺のゴミ拾
学習しました。
いを行い、
リヤカー一杯にもなるゴミを収集しまし
た。
手話の勉強会
2001年に始まったこの手話の勉強会は、今年
で3年がたちました。聴覚障害を持った従業員と
あっ、あそこにも、
ほらっ、ここにも、
結構たくさん落ちてるね。
も良好なコミュニケーションがとれるよう、希望者
を対象に月2回、従業員が講師となり、社外の手話
通訳士にも指導をお願いして勉強が進められて
います。初めから参加している人は、も
うかなりのレベルに達しています。
18
手話を覚えようと思ったきっかけは、電車のホームで、窓越しに手
話で話をしている人を見たときでした。
「なんて素敵で便利な方
法だろう・・・」毎回楽しみにして、この勉強会に参加しています。
汗はかいたけど、気持ちイーナ。
「こんなにゴミが落ちてるんだ……。これ
からはポイ捨てしないように気をつけよう」
社会・環境レポート2004
19
朝霞技術開発センター敷地内の雑木林を利用する鳥達
コゲラ
ツグミ
シジュウカラ
キビタキ
ヤマガラ
アトリ
朝霞技術開発センターには、武蔵野の面影を残す小さな雑木林があります。
ここにはアカマツ、
クロマツの針葉樹、ナラ、
クヌギの落葉樹、
その他にもサクラ、
クリ、ユーカリなどが、狭い敷地内で仲良く共存しています。その中に、昔ここ
が小さな沢だった名残であろうタラの木が20本ほど生えています。春になると、
美味そうなタラの芽が生えてくるのをご存知ですか・・・。
この小さな雑木林にも、四季を通じて多くの野鳥が訪れていることをご存知
の方は少ないでしょう。どんな鳥がやって来るかをここにご紹介します。
年間を通して見られる野鳥は、留鳥*(りゅうちょう)のムクドリ、キジバト、ハシブ
トガラス、ハシボソガラス、シジュウカラ、スズメ、カワラヒワ、
ヒヨドリ、メジロ、オ
ナガ、ハクセキレイ、コゲラ、アカゲラ、アオゲラ、ウグイスです。春になると、か
ん高い声で「ピー、
ピー」と雌を呼ぶ鳴き声を発しているのは、キツツキのアオ
ゲラです。
5月の連休頃、はるばる南方から日本にやって来るのは、キビタキ、オ
オルリ。この雑木林で一息入れてから、山へ繁殖のため飛んで行きます。近所
の民家で営巣しているツバメが、雑木林の上を餌採りに忙しく飛び交います。
冬になると、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、シメ、アオジ、マヒワ、アトリ、ヤマガラ、
ヒガラがこの雑木林を利用するために訪れます。
こんなにも多くの鳥達が、この小さな雑木林を利用していることに驚かれた
でしょう。鳥に興味がないと、目の前を通過しても、美しい声でさえずっていても
気が付かないものです。たまには雑木林に目をやって一息入れてみてはいかが
ですか。身近な自然の恵みに気持ちは癒され、感動を覚えるはずです。
*留鳥:季節的移動をしないで、一年中、一定地域内にとどまって生息する鳥。
(写真と文:ライフサイエンス研究所 韮澤光治)
JR武蔵野線
北朝霞
朝
霞
台
●
朝
霞
第
五
小
●
朝
霞
第
三
中
●
朝
霞
第
十
小
東
武
東
上
線
富士写真フイルム株式会社 朝霞技術開発センター
〒351-8585
埼玉県朝霞市泉水3丁目11番46号
本誌に関するご意見・お問い合わせは、下記までお願いします。
朝霞技術開発センター
ライフサイエンス研究所
TEL:(048)468-2305
R&D統括本部
環境・安全グループ
FAX:(048)468-2307
このレポートは、GPN-GL14「オフセット印刷サービス」
発注ガイドラインに基づき、印刷製本しています。
※本誌は古紙配合率100%再生紙を使用しています。
発行/2004年11月
このレポートはアメリカ大豆協会が認定する環境に
やさしい大豆油インキを使用しています。
次回発行予定/2005年10月
印刷:株式会社 富士グラフィックサービス