長期インターンシップに参加して

「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419533 村瀬
貴哉
自動車部品会社でのインターンシップに参加させていただきました。私自身、製品の
安全性に関心があり、お客様の安全性確保が何より重要となる自動車部品会社を志望い
たしました。研修では、次期型低燃費タイプの車両に搭載される ECU に関して予想され
る不具合対策を行いました。具体的には、ECU のパッケージの電極部がむき出しになっ
ているために、電源ショートが起こり、部品が焼損する恐れがあることがわかっていま
す。それを防ぐ保護回路の作製でした。まず、不具合を事前に予測するために、“現地
現物”という考え方が重要であることを学びました。生産現場で不具合に短時間で対応
する、問題の発生を予測して未然に対処するには、現場で磨き上げた深い知識や高い技
能が必要です。研修課題である電流検出抵抗の焼損という不具合を事前に予測するため
には、回路内部の構造だけでなく、パッケージの形を知らないといけません。不具合を
事前に予測するためには、常日頃から注意深く現物を見ることが必要であることがわか
りました。
研修中は、データに対して丁寧な考察が求められました。例えば、理論値とシミュレ
ーションの誤差は非常に小さいものだったが、なぜその誤差が生じたのかがわからなけ
ればデータの妥当性がわからないと指摘されました。得られたデータに対して、なぜそ
うなったのかということを常に考え、着実に考察を積み重ねることが重要であることが
わかりました。また、誤差要因を考察する際に、様々な要因が考えられたが、思い込み
で判断せず、きちんと理由をつけて原因かそうでないかを判断することが重要だと実感
しました。私自身、非常に思い込みが強く、反省しました。
“なぜなぜ 5 回”という考
え方があります。ある問題に対して、1度や2度考えて絶対的な答えと判断するのでは
なく、何度も繰り返し考え抜くことの重要性をあらわす言葉です。普段の研究において
も、このような考え方を活かしたいと思います。
今回の研修では、問題発見から問題解決までの考え方を学ばせて頂きました。大学で
の研究室インターンシップで見つけた課題はどれも基本的なことです。研究開発の基本
は企業でも大学でも大差はないことが分かりました。今後の研究活動を通じて、思い込
みで判断せず、丁寧に考察していく姿勢を身につけたいと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「インターンシップに参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419523
西尾和真
私は学部 3 年の時に眼科医療機器を作製している中小企業でのインターンシップを
経験しました。そこで、今回のインターンシップでは大企業での業務体験をしたいと強
く思い、また就職活動に向けて、自由応募でのインターンシップに挑戦しました。自由
応募インターンシップは企業選定やエントリーシートを書くことにより、今までの自分
を振り返ると共に、自分が何に興味があり、これから何をしていくべきなのかを考える
チャンスになりました。特に私は東海地方に生まれ育った環境から、自動車関連企業へ
の関心があり、そのなかで自動車部品を取り扱っている地元企業としてアイシン精機に
インターン志望しました。
アイシン精機でのインターンシップに向けて、自動車部品の品質に焦点をあわせて研
修に臨もうと考えました。自動車は「走る・曲がる・止まる」を安全、快適に達成しな
ければならないことから、強い品質への意識を学べると思ったからです。
実際にインターンシップに参加してみると、企業での時間の使い方や PDCA の考え方
を学ぶことが出来ました。限られた時間内に業務をこなすことの大切さと難しさを痛感
し、規則正しく生活することが業務を正確にこなすことへの近道だということを実感し
ました。また業務は PDCA が常にまわされており、徹底的に事前計画が立てられている
ことを知りました。研究室でも事前計画の大切さは意識し、理解しているつもりでした。
今回研修で、自分の認識が甘かったことを強く感じました。この経験を活かして今後の
実験を行うことを強く決心しました。
研修期間中にはご指導してくださった担当の方から現場での生の声を聞くことがで
きた事も、今回のインターンシップで得られた大きな成果だと思います。仕事を取り組
む上で、困難を乗り越えるための心構えを学ぶことができました。また、部署の人達と
ディスカッションを行うことの大切さと、プレゼンテーションにより物事を伝えること
の大切さと難しさを確認することができました。今後インターンシップで得られた経験
を大学での研究に役立てていきたいと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して得られたもの」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419538
山田
聡司
私が長期インターンシップに参加した動機として、以下の2点を挙げる。
1.大学での研究活動と企業における研究活動の差異を学ぶため。
2.将来、就職するにあたり、現在の研究内容と異なる分野に臨むことに難しい点がな
いか経験するため。
これは、これから就職活動をするにあたって、企業を知る事・企業を見る事を学ぶため
に必要な経験であり、4週間という長期間だからこそ学ぶことも大きいと考えたためで
ある。
今回、私は化学メーカーに研修に行き、大学の実験とは異なる無機物合成を学んだ。
この企業・研修テーマを選択した理由は、明確な研修テーマを設定していることが事前
に確認でき、インターンシップに対して好意的な姿勢で臨んでくれていることが感じら
れたこと。大学の実験内容とは異なるものに取り組むことで、異分野での職務に問題が
ないか経験するためである。実際、様々なことを学ぶことができ、非常に満足する結果
となった。
企業側は学生を受け入れるにあたり、学生はその企業の研究内容・仕事内容は全く理解
していないという事を当たり前としているので、インターンシップに参加することに対
して決して臆病になることはない。むしろ、インターンシップで企業・社会人と接する
事の楽しさや、何を学ぶべきか経験することで得られるものは非常に多いと思う。
実験時には、一から教えていただき、わからない点があればどんどん聞くべきであり、
聞く事を社員の方は望んでいる。そして、聞くことはコミュニケーションの道具である。
私一人で出来る内容であれば、自由性・自主性を持たせてくれ、社員の方の技術が必要
な時は丁寧にご指導頂いた。そういった、実験過程の中から、会社の雰囲気、職場の雰
囲気を経験できるのもインターンシップに参加することによって得られるものである。
私は長期インターンシップに参加することで、参加動機である、
1.大学での研究活動と企業における研究活動の差異を学ぶため。
2.将来、就職するにあたり、現在の研究内容と異なる分野に臨むことに難しい点がな
いか経験するため。
この 2 点だけでなく、多くの人とコミュニケーションをとり、色々な情報を得ること、
会社の雰囲気・職場の雰囲気を自身の経験から学ぶ事ができました。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップを終えて」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
創成シミュレーション工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21413578
山口大輔
今回の長期インターンシップを終えて感じたことを記述していきます。
これまで私が大学で行ってきた事の多くは、私自身が理解し、クリアすれば良いものが
大半でした。例を挙げますと、大学の演習で与えられるプログラミング課題の多くは各々
学生が求められた動作をするプログラム実装しソースコードと簡単な解説をそれぞれがレ
ポートで提出すれば良いものでした。その実装過程においての設計やアルゴリズムの構想
は頭の中に構成されていて、何かのドキュメントに残すという行為や、他人のプログラム
と組み合わせて何か一つの大きなプログラムを作成するという機会はほとんどありません
でした。
しかし実際の企業で進められるプロジェクトは個人で最初から最後までトータルで実行
できるものはほとんどありません。多くの場合で企画、設計、ハード開発、ソフト開発、
テスト、生産、営業、運送といった様々なプロセス(もっと沢山あると思いますが)を経
て、やっと一つの製品が世の中に生み出されていきます。プロジェクトの進行状況が分か
らなければ、何をするべきかが見えてこない。自身が何をしているのか・何を成したかを
チームに伝えなければ、チームの仲間は何をして良いのか分かりません。もちろん大学で
学んだ知識やスキルが活かされる場面は数多く存在しますが、それだけではチームプロジ
ェクトは成功しません。
仕様書、設計書といった開発のために作成された様々なドキュメントの存在や、毎日行
われる事細かな意見交換と状況確認が行われるミーティング、関数単位で作成者と役割が
記載されているソースプログラム。といった、チームプロジェクトを進めるために行われ
ている沢山の工夫を、チームの一員として参加し、間近で見ることができたのは大変貴重
な経験でした。これらの経験はこれからの研究活動に限らず、社会に出ていく上で非常に
大きな力になると確信しています。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
機能工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21416527 岡
孝太朗
今回の研修テーマを通じて、パラメータ実験を行ったテスト機がある場所は試作部内
の工場にありそのため,安全講習などを受け安全第一で業務を行うようにと配属先から
言われていた.その点に関しては十分に注意して危険な場面,けがなどはなく終えたこ
とは一つの結果である.工場内の安全管理はボタン一つまで注意事項があり,細心の注
意が安全を支えていると感じた.
実習テーマを通して未知の分野を実体験させてもらい,電解加工の基礎知識を少しで
はあるが理解し実験装置,測定装置な今まで見たこともない装置を使っても実習は大変
貴重な体験であった.特に,工場内では工作機械を使わせてもらったり,加工中の部品
を手にとって見せてもらったりと非常に興味深く,製造ロボットの動きをじっくり見た
りすることでモノづくりの現場を感じられたことは,配属先が試作部ならではの体験だ
った.
さらに、インターンシップを通じて、研修テーマである「企業での実験・解析プロセス
を学ぶ」ことは十分に達成した.このインターンシップで学んだことは,大学での研究
に簡単に生かすことができる.しかし,学んだことを実際の行動につなげることは容易
ではない.そして,実際の行動につなげなければ今回のインターンシップで得た経験は
意味のないものになってしまう.
自分の学生生活において良い面しかないこのインターンシップの経験を無駄にしな
いために,企業指導者の真似をしていきたいと思う.企業指導者は頭の中だけで考える
ことはせず,常に紙に書いていた.文章化することであいまいさをなくせると教わり,
今まで頭の中だけで考えていた自分にとって納得する部分である.考えを常に文書やフ
ローチャートなどにして今までとは異なる考え方を実践して,深い考察を取り入れた研
究にしていきたい.
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419531
福島隼人
働くとはどういうことなのか、長期インターンシップに参加する前に想像しようとし
たがはっきりイメージできませんでした。そこで 1 カ月程度実際に企業で働いてみれば
何か掴めるのではないかと考え、長期インターンシップに参加しました。長期インター
ンシップで得た経験は自身が想像していた以上のものでした。漠然としたイメージしか
なかったものが具体的になり、甘かった認識が改められました。長期インターシップが
推進される理由がわかったような気がします。
約 1 カ月企業研修を行えば、何かしらの与えられたこと、やらなければいけないこと
の責任に気づきます。学生生活においては何かしらの救済手段が在ることが多く、この
責任という概念をそれほど意識することはありませんでした。また、目標と時間の関係
を強く意識させられ、自身の行っていることに対して、質・量・スピードが重要である
ことに気づきました。
昨今、企業ではコミュニケーション能力の優れた人材を求めているとよく耳にします。
企業の求めるコミュニケーション能力で最も重要なことは挨拶ではないかと考えます。
インターンシップを通じて、初対面の人間を判断する基準の一つは挨拶であり、挨拶が
しっかりできる人間は印象に残る事に気づきました。また議論の場において自身で分
析・思考し自分の意見を持ち、発言することの重要だと感じました。
長期インターンシップで気づいたことは当たり前だといわれていることばかりだと
思います。しかし、話を聞くなどし、頭で分かっていることと、実際に経験し体で理解
することには大きな違いがあると思います。そのため長期インターンシップに参加する
ことで気づきを自身のものとして経験し、理解することができたことは今後の自分にと
って非常に意味のある事だと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「建築の保存修復を扱う建築事務所のインターンで考えたこと」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程1年
学籍番号 21419534
森
一朗
これからのまちづくりについて
私は日本の風景が好きだ。お寺やお城のある風景や、倉や町屋が並ぶ街並み、一面に
広がる田んぼ景色など趣があり、それぞれのよさを感じることができる。
日本にはさまざまな地域があり、その気候風土に応じさまざまな生活が営まれてきた。
建築はその環境に適応するように発達してきた。そしてそれは職業や身分、町の機能に
よってもさまざまであった。建築を後世に伝えていくことは、その土地の歴史を伝えて
いくことだ。そして建築は町並みを構成する一部である。京都や金沢のような白川郷な
どその土地の環境や街の用途に応じた建物で構成された町並みは、統一感があり、多く
の人をひきつける。古いものの価値はなかなか見つけにくいものだ。知らず知らずのう
ちに開発のため壊されてしまう。そのためにも現在注目されていないものも含め価値見
出し、残していこうとすることはとても大切なことのように思う。
歴史的建造物は、日本人としての暮らしぶり後世に伝える学術的価値だけでなく、社
会に知らない間にストックされた、地域活性化のための資源となり、その土地らしいま
ちづくりを行ううえで重要な基盤となるものである。地方活性化が求められる今、これ
からは歴史や周辺環境を考慮した特色あるまちづくりが求められるはずだ。
建築を職業とすることについて
建築は建てられた地域の景観形成に少なからず影響を与える。建築技術者の仕事とし
て理想的なあるべき姿は、その土地だけを考慮すればよいというだけでなく、周辺環境
や地域のあるべき姿を思い描き、その土地の能力を最大限生かせるような仕事をしよう
と努力すべきであるように思う。そのためにはよりよい将来のために、建築を計画する
という建築技術者としてのモラルが根底になくてはならないと感じた。構造偽装の問題
が生じたとき、建築家としてのモラルが問われた。法律を守るだけではない。本当に真
摯な気持ちで仕事が出来たのかが大切な気がする。
インターンと通して建築とはどのようなものなのか、また建築技術者としてどのよう
にあるべきかを考えてきた。いつかこの理想はこれから活動をしていく上で、心苦しい
ものになるかもしれない。しかしながらこの経験は将来を考える上で貴重な体験であり、
インターンで得たことを忘れずにがんばっていきたい。
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「長期インターンシップ感想文」
「車載ソフトウェアの標準化の必要性について」
平成 21 年度派遣社員
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年次
学籍番号 21419516 鈴木晴隆
今回の長期インターンシップでは AUTOSAR と呼ばれる車載ソフトウェアの標準化に関す
る調査と、一部モジュールの設計、実装を行った。
標準化が周辺の企業に与える影響、特に一次部品メーカーの危機感を肌で感じることが
でき、実際にアイシン・コムクルーズだけではなく、国内企業であれば、デンソーなども、
同様の危機感を持っていることを知った。実際に、インターンシップ期間中に、AUTOSAR 規
格に対応した、ソフトウェア開発ツールメーカーの方が説明会を行い、参加することがで
きた。そのなかでも感じたことは、実際の開発者の間では、これまでの開発過程や、開発
方法を保ちつついかにして AUTOSAR 規格に移行していくかということが重要視されている。
そこには新しい規格に対応するための、スイッチングコストなどよりも、これまで使用し
てきたソフトウェア開発ツールとの慣れなど数字では表せない点が重視されているように
も感じ、開発者が標準化導入を拒む要素を垣間見ることができた。
そして AUTOSAR による標準化に関する調査、報告ということで納得のいかない方にも標
準化導入を納得していただく報告会を行うことができ非常に重要な業務を担当することが
できたと感じている。その際に強く感じたことは、一社員であっても、自分の考えや会社
をより良くしたいという思いを社長をはじめ役員の方に伝えることで、会社を良くしてい
けると感じた。その際に重要なことは開発者、技術者に向けたプレゼンテーションとは異
なり、標準化に対応すると会社全体としてどのようなメリットが得られ、どのようなデメ
リットがあるのか、逆に対応しなければどのようなことが会社に起こるのかということを
明確にして発表することが非常に重要になると感じた。今回のインターンシップで見えて
きたことは、一技術者であっても、一社員であっても、自分の業務に集中してしまうだけ
ではなく、会社全体のことを考えながら業務を遂行していく必要性があることを知ること
ができた。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップを終えて」
~経営支援者として参考にすべき事とは・・・起業支援の現場を通じて~
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419515 佐藤俊介
私は、将来経営コンサルタント(経営支援者)という職業に従事すべく、その素養が
養える機関はどこかという軸を持って、インターンシップで起業支援を行う機関での研
修をさせて頂きました。
研修では、実際に起業支援を受け、起業することができた事業者へのヒアリングを行
いました。起業支援内容を把握することで経営支援者として参考にすべき事柄について
の情報収集を行うためです。
起業支援の第一線、そこにあったのは、起業を目指す事業者の「志」を引き出し、事
業者が社会との「縁」を紡ぎだすことのできるように協力団体を紹介したり専門家と引
き合わせたりするなどのコーディネート(関係者をつなぎ合わせる)に徹する「志縁者」
として活躍するスタッフの方々の姿でした。
「志」を引き出すとは、相手が本質的に何に悩んでいるのかを見抜き(問題発見)、
相手の志を刺激するだけの解決案を提示できる(問題解決) ことを指します。
インターンシップ参加前までは、経営支援者として、この問題発見力、問題解決力が
絶対的に必要だと感じていました。しかし、今回の研修では、それと同じように、経営
支援者として、事業者自らが問題を解決するために、必要に応じて関係者をつなぎ合わ
せるコーディネート力(「縁」を紡ぎだす力)の重要性を体感しました。
コーディネート力は一朝一夕で身につくものではありません(問題発見力、問題解決
力もそうなのですが)。将来、経営支援者として、クライアントに提案できるような「人
的な繋がり」を築くためにも、今後の研究で訪問するヒアリング先の企業などとの出会
いまた、産業戦略工学という「場」の特性でもある異分野の研究室の学生や社会人との
出会いを大切にしていきたいと思いました。そのような「場」で出会う一人ひとりとの
縁を大切にすることができれば、誰がどういう技術・志を持っているのかということを
把握でき、将来、橋渡しをするための目利き力(コーディネート力)が身につくと思い
ます。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士課程前期一年
学籍番号 21419514 坂上卓史
今回、新東工業様でのインターンを始める前に、自分の中で2つの目的がありました。
1つは、プロの研究者としての心理を体得すること、もう1つは産業戦略工学専攻の人
間として、特徴から価値を1つ以上提案することです。私は普段、働きながら大学に通
っていますので、完全に研究一本という生活スタイルは初めてでした。会社という組織
に属するという事は逆に慣れていましたので、直ぐに風土を理解し、課題に従事するこ
とが出来ました。思考を研究のみに簿とうさせる日々は、非常に新鮮で、考えれば何か
しらの選択肢は見えてくるものだと言うことを理解することができました。インターン
当初は装置の理解に時間と頭を使っていて、中盤で余裕が出てきたころに自分自身の工
夫が不足していることに気づきました。後半は、常識として行われてきた事を疑ってか
かったり、上司と積極的に議論したりして、自分という人間のオリジナリティを出すこ
とが出来たと思います。上司の方が新しいものを受け入れる柔軟な思考をお持ちであり、
若輩の私の意見に耳を傾けて頂けたことが非常に心強く、士気を落とさずに最後までや
り通すことができたと思います。実験、思考、議論の一連の流れの中で、プロの研究者
の心理をいうものを理解できたと思います。結果的に、追試や新規価値の提案をし、2
つめの目的も達成しました。
現場の考え方の中で最もシビアなものとして、コストが挙げられます。これは、予想
以上に細部まで効いてきて、なかなか理想的な条件での加工というわけにはいきません。
sの1つとして、水です。表面付着のメカニズムを解明するにあたって、あらゆるパラ
メータが断定出来ずに困ったのですが、水道水の存在がそれをさらに厄介にしました。
実験室レベルであれば、当然純水を使うのですが、それでは工数がかかり過ぎてとても
実現できません。何が混入しているか分からない、かつ、土地によって成分が変わって
くるのが水ですから、今回のデータを再現するには同じ土地で行わなければならないで
しょう。結果として、この疑問が純水を用いた試験という発想に繋がりました。水の事
例は1つに過ぎませんが。他の提案に関しても MOT で学んだ 4Q 分析が効果的できた。
それを現場で実践できて初めて、体得できたと思います。
初めは手間取ったり、何度か失敗をしたりしてしまいましたが、非常に有意義な時間
を過ごさせていただき、大変実りあるインターンであったと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「製造現場の研修に参加して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学
博士前期課程 1 年
学籍番号 214195 高宏涛
私は西島株式会社で一ヶ月間にわたるインターンシップに参加した。現場の仕事を体
験することにより、ものづくりに対する基本的な考え方、多能工の育成、部品加工プロ
セスの理解、さらに生産現場における加工法の改善、生産効率の向上について、問題解
決提案できる人材を育成することの重要性について学習できた。また、西島株式会社全
体の仕組、新規事業への展開、異業種分野の取り組みなどの事例を学習した。特に社員
のみなさんが仕事に対する情熱、高度な技術を追求する信念、また、自社を愛する気持
ちを深く感じた。社員の方からこういう話しを聞いた。
「この製品は西島しか作れない」
という話を聞いた時に私は素晴らしいと思った。自信をもつ、強い責任感をもつ、一生
懸命仕事している技術者たちの姿を見て、私は感動した。
西島株式会社は四つ特徴がある。
1、専用工作機械メーカーとして、顧客のニーズに対応する体制
専用機械は汎用機械と違い、受注生産、一品生産を行い、作業標準化ができないとい
う現実があるので、生産管理の難しさが私は実感じた。そのため、会社がスケジューリ
ングソフトを導入することにより、納期を短縮することが達成できた。
2.多能工を育成する方針
生産において、複数の異なった工程の作業を受け持つ技能を有する作業者のことであ
る。
無駄を排除し、柔軟な生産体制を実現するために求められる技能者が多能工である。大
量生産の場合には現場に多能工が多くいれば、忙しい工程に労働力を移動させ、負荷の
平準化を行うことができる。西島の狙いはまず、設計でも複数の能力を受け持つ社員で
ある。そして、会社が持続発展するため、ベテラン社員から若手社員に技術を伝承して
いくという考えがある。
3.定年なしという会社の方針である。
まず、専用工作機械メーカーとして、経験から新しいものを生み出す。また、品質を
追求するため、熟年の経験が大切であるという考えから、一般の会社と違って、定年退
職の制度がなくて、年配の社員が元気で働くことができる。
4.一貫生産体制(内製化)である。
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「長期インターンシップ感想文」
社内ですべての性能、品質を一貫して造り込むで、ノウハウを自社に蓄積していくと
いう会社の考えである。自分たちの存在価値を創り出すために、ノウハウ、設備、仕組
み、など全て進化しなくてはいけない。
一ヶ月間のインターンシップを通して、私はいろいろな知識、技術を習得した。会社
に学校で勉強し得た知識や技術を実践することができた。現場の作業を通して、自分が
弱い部分も見つかった。インターンシップから得た成果が自分の人生にかなり良い影響
をもたらすと考えている。私は会社から勉強し得た貴重な経験を自分の卒業研究と将来
の仕事に生かしたいと思う。
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「長期インターンシップ感想文」
「ファインセラミックスセンターにおける研究経験」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
未来材料創成工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21413317 尾関昭宣
今回、ファインセラミックスセンターという研究機関で長期インターンシップ制度に参
加させていただいたことにより、非常に多くのものを得ることができ、このような制度の
整った環境で学ぶことが出来ることに喜びを感じています。
ファインセラミックスセンターでは、研究開発事業や技術基盤整備事業を中心に様々な
取り組みを行っています。特に企業からの受託研究も行っており、同時に複数のプロジェ
クトを抱えることは珍しくないそうです。その中で私はエレクトロマテリアル部という部
署で SOFC(固体酸化物型燃料電池)に関する研究を通して、機関における研究の進め方
や考え方などを学びました。私は大学でも燃料電池用電解質の研究を行ってきましたが、
作動温度域の違う材料を扱っていたため、これまで体験したことのないプロセスや初めて
目にするものも多く、戸惑うこともありました。しかしそれらを一つずつ習得していくに
つれて、技術と知識の幅を広げることにつながり、研究へのアプローチの仕方を学ぶこと
が出来たと感じました。
この研修に参加して一番衝撃を受けたことは「自分が納得出来ない実験はするな」と言
われたことでした。大学での研究において、どうしたら先に進むかわからずに行き詰まっ
てしまった際、「とりあえずこの実験をしてみよう」とか「これを測定してみたらいいかも
しれない」といった考えで実験を行っていることがありました。しかし機関においては研
究のスピードやレスポンスの速さなどが重要であり、無駄なことをしている余裕はありま
せん。期待する成果に対して筋道を立ててアプローチした結果が失敗であれば仕方ありま
せんが、きちんと先を見通していないまま実験を行うと、それ自体が無駄につながってし
まうことを痛感しました。この強く認識することが出来た研究への考え方を、大学での研
究生活や将来の企業における活動に役立てていきたいと考えています。
私に関しましては、8 月から半年という期間でインターンシップに参加させていただいて
いるため、あと残り 3 ヶ月の研修期間があります。もう半分の期間が過ぎてしまったかと
思うと、自分の中で成長を実感出来る部分と、もっと多くのことを吸収できたのではない
かと悔やまれる部分があり、更なる意欲を持って研修に臨んでいきたいと考えています。
これからの 3 ヶ月間で、どんな小さなことでも出来る限り多くのものを吸収することを
心掛け、今後の大学における研究への姿勢や自分の人生に生かせるようなものを得て研修
を終えたいと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップに参加して」
~研究者に必要なものについて~
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
未来材料創成工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21413358
中村 仁
8 月初めから 9 月の終わりにかけての 2 ヶ月間、中部電力株式会社の研究機関である、
技術開発本部の電力技術研究所でインターンシップ研修をさせていただきました。研
修先の部署では、火力発電プラントのボイラーやガスタービンの保全に関する技術開
発や、プラント内で生じた設備トラブルの原因究明、対策提言について取り組みが成
されており、自身も研究員の方々と共に、その現場に参画させて頂く事ができました。
研修内容は、自身の専攻とは異分野のものであり、研修開始からしばらくの間、耳
慣れない数多くの単語の理解や、考察のために不可欠な基礎知識の習得に終始する
日々が続き、何も成果の無いまま研修期間が過ぎてしまうのではないかと不安に思い
ました。
しかしながら、研究員の方々にも熱心なご指導を頂き、研修期間の半分が過ぎる頃
には、分析項目について自身で検討し、得られた結果について自分なりの考察を元に
討論できるようになり、結果的には研修期間を目一杯使い、数個のテーマについて、
自身の考えと共に、対策提言を行うことができました。この経験は、自分にとって新
たな研究分野に一からトライしていくための大きな自信になると思います。
また、研修中、トラブルの生じたプラント設備に関する取り組みの中で、実機から
取り出された供試材を前にアイデアがまとまらず、トラブルの発生原因について考え
あぐねていた際、ある研究員の方から、
「試料だけをいくら細かく見たところで、やっ
ぱりその試料が受けてきた外環境からの影響や、その他全ての事について考慮しなけ
れば、本当のことは見えてこないよ」との言葉を頂く機会もあり、納得すると同時に、
改めて自身の視野の狭さを感じました。この他にも、自身が研究を行っていく中で基
礎的ではありますが、大切な多くの事について、改めて見直す機会を得ることができ
ました。
最後に、この度のインターンシップで、お忙しい中暖かく迎えて下さり、貴重な時
間を割いていろいろとご指導を頂きました研究者の方々に、心より感謝申し上げます。
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターシップに参加して」
~産業技術総合研究所における研究の取り組み~
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
未来材料創成工学専攻
博士前期課程1年
学籍番号 21413332 向後 雄太
現在、産業技術総合研究所での長期インターシップに参加させてもらっています。初
め、インターシップの6ヶ月という期間が非常に長く感じていましたが、もう3ヶ月が
過ぎ、インターシップの生活にもすっかり慣れました。この3ヶ月間のインターシップ
の中で、貴重な体験をすることができました。
産業技術総合研究所では、産業技術の幅広い分野における様々な技術開発を総合的に
行っている、日本最大級の研究組織です。産業界、大学との連携・協力による研究も盛
んで、新しい産業の創造や技術移転にも力を注いでいます。
一般的に、大学では主に先端的な基礎研究を行っています。一方で、企業ではビジネ
スに結びつけるための応用技術の開発を主体的に行っています。新しい産業技術を生み
出すには、基礎研究と応用技術の開発のどちらも必要不可欠です。産業技術総合研究所
では、産業界・大学・地域経済社会を結びつけ、それぞれの研究成果を融合・発展させ
ることによって新しい産業を生み出すことを目指しています。このように大学や企業と
は大きく異なる環境の中で私は、プラズマ溶射装置を用いてチタン基板上に配向性ハイ
ドロキシアパタイト被膜を作製し、その有用性についてタンパクや細胞を用いて調査し
ています。その調査の中で、幅広い視野で物事を考え、先を見通して研究を行うことの
重要性を再認識することができました。
私が配属されている生体機構プロセス研究グループでは、他大学の学生も参加してい
ます。その中で、月1回行われる研究の進行状況を報告する進捗報告会と、週1回行わ
れる論文の内容について討論する読書会があります。これらを通じて、自分のテーマ以
外の研究についても理解することで、より広範囲な考え方を学ぶことができました。ま
た、産業技術総合研究所では大学に比べて時間の制約が厳しく、効率良く実験しなけれ
ばなりません。そのため、自身の専門分野に限らず他分野の論文も参考にして緻密に実
験計画を立て、実験結果を予測しながら研究を進めることが求められました。これは、
大学の研究でも求められていることですが、改めてその重要性を実感しました。今回得
ることができた体験を、今後の大学での研究生活や将来の企業での活動に役立てていき
たいと考えています。
あと3ヶ月程インターシップが残っています。この期間にさらに多くのことを得ること
で、より充実したインターシップにしたいと考えています。
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「長期インターンシップ感想文」
「ものつくりの開発現場を体験して」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
機能工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21416635 吉原 寛人
今回の長期インターンシップの目的は,大学での講義や研究開発だけでは得る事が出
来ない,企業の市場ニーズを鑑みた,社会的意義を持った設計手法を得る事にあった.
私は現在研究室でロボットの設計開発を行っており,大学での研究開発手法について
は長年学んできた自負があった.そこでこれまでの経験を活かし,今回の研修にて,大
学での「ものづくり」と企業での「ものづくり」とを比較する事によって,大学と企業
との違い,市場を見越した社会的意義を持った開発手法とはどういったものであるのか
を浮き彫りにさせ,これを学習する事を目的としていた.またこの比較から得られる,
企業の合理的な開発手法から,自分の研究開発手法に足りないもの,欠けているものを
見つけ出し,フィードバックする技術的な目的もありこの二本柱で研修を行った.
研修を終わってみて感じる事は,思った以上に得るもの,学ぶべきものが多かったと
いう事だ.今回の研修では五週間の長期のものだったが,毎日,大学とは違う企業の取
り組みに触れて学ぶ中で,研修期間全く足りないと感じる程だった.そう考えると社会
に出てから学ぶ事というのはそれ程までに多く,特に CATIA や CAE,開発手法といった
技術的知識だけではなく,企業としてのあり方や,市場を先読みした開発手法,人材育
成の意義と有効性等大学在学中には中々得る事の出来ない知識を学ばせていただいた
様に思う.今回の研修で先取りしてこれ等の事を学習できた事は今後社会に出ていく上
で一助になるであろう事を強く感じさせるものであった.
今回の研修ではそれ以外にも,社会人,企業人としての立ち振る舞い,研究者・開発
者の社会的位置づけ等,研修目的以外にも研修全体を通して様々な事を学ぶ事ができた
事は特筆に値するものである.
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「長期インターンシップ感想文」
「長期インターンシップで得られたもの」
~他社に先行したものづくりはいかにして生まれるか~
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
機能工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21416547
小林丈二
私がインターンシップに参加したきっかけは,「技術開発にあたっているのは一体ど
んな人達」ということを,実際に技術者との交流を通して知りたいからでした.特徴的
なものづくりをしている会社がいいということでどんな会社に行こうか迷っていると
きに,研究室の北村先生がたまたま高木製作所を紹介してくれました.
高木製作所の板倉常務は,一人でやれる職業は芸術家くらいだと言っていました.ほ
とんどの場合は色々な部署や,場合によっては異なる企業間での協力があって一つの仕
事が出来上がります.そのためには組織がまとまって「素早く確実に」動くことが重要
ですが,大企業病という言葉があるように組織の規模が大きくなるほどそれは難しくな
ります.それを独自の生産システムで手助けしているのが高木製作所の特徴であり,そ
の核となる技術の発明者である新川技監から直接に教えてもらうことができたのが今
回の研修の中で一番刺激的かつ大きな経験でした.
コストに対する意識は企業の一人ひとりが必ず持つべき大事なものです.原価試算の
シミュレーションや営業部の方達との交流を通じて,色々な技術開発や発明がどのよう
に利益に結びついているかを知ることが出来ました.私は大学で経営などについて全く
学んで来なかったので,コストに対する意識というものを持ったことがありませんでし
た.しかしどんなに勉強してきた人であっても,会社でリアルな事例に触れてコストの
意識を学べるというのは,インターンシップならでは経験だと思います.
また研修の目的とは関係ありませんが,電車通勤というものを人生で初めて経験しま
した.乗換えが円滑に行える方法や座る場所を確保するテクニック,車内での時間の使
い方などの新しい発見があり,通勤中の人間観察も日課でした.また,研修中はどんな
時間に寝ても決まった時間に起きるという規則正しい生活を過ごすことができました.
それは,高木製作所から見ればこちらは大学の顔であるという責任感のようなものもあ
りましたが,会社での日々の新しい発見や,やりがいのある課題を与えてもらえたお陰
で朝起き上がることが苦にならなかったということも,大きかったように思います.今
ではもう元通りになってしまいましたが,4 週間を通して理想的な生活リズムで半強制
的に過ごせたことは大きな自信に繋がりました.
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「長期インターンシップ感想文」
最後に,高木製作所の板倉幸雄常務,新川邦夫技監,井上英喜課長,石原慎太郎さん,
小林正直さんはじめ生産技術部の皆様のお陰で,将来技術者になることをより明確に,
迷いなく目指せるようになりました.また,営業部ならびに金型生産部の皆様方には会
社の中で各部署がどのように連携しているかを教えてもらいました.そして研修期間を
通じて色々と取り計らって下さった総務部の藤井章徳さん,その他今回のインターンシ
ップでお世話になった方々に感謝します.
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「長期インターンシップ感想文」
「海外インターンシップで学んだこと」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
情報工学専攻
博士前期課程1年
学籍番号 21417551 久保田 渉
今回のインターンシップを通じて,私にとって学ぶことが多かったと思います。私は
海外に行くこと自体が初めてで,さらに企業へ研修に行くことも初めての経験でした。
その為,海外生活と企業研修の両方で自己の問題点が浮き彫りになることばかりでした。
一番戸惑ったことが英語でのコミュニケーションです。私は,語学力に長けていなか
った為,相手との意思疎通を図るのにもかなりの時間を要しました。これには,初めは
困惑していましたがドイツの文化に慣れていくにつれ,異文化に触れることへの恐怖心
がなくなり,次第に解消されていきました。
また,私の持つ工学者としての知見というのは,極端に言えば大学の研究の為に必要
なものしかなく他のことは何も知らない状態に近く,ブローゼ社ではあまり通用しなか
ったように思います。
しかし,このような逆境に置かれることにより,学ぶことや体感することが多く,チ
ャレンジ精神や度胸を培う糧になったと思います。
私が所属していた部署では,自分のデスクに留まっている人があまりおらず,いたる
所で電話会議やグループディスカッションが繰り広げられており,開発現場の活気を垣
間見ることができました。普段の研究生活において,私はこれ程までに他の学生と議論
することがなかった為,非常に良い参考になりました。
今年は,幸運にもインターンシップ期間中にフランクフルトで開催されていたモータ
ーショーに行くことができたことも,世界規模で環境問題に取り組む自動車産業の未来
像を直に見学することができ,私にとって貴重な経験となりました。
今後は,ドイツでの経験を生かし,充実した大学院生生活,社会人生活につなげるた
め,これらの課題を解消していくことに努めたいと思います。
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「長期インターンシップ感想文」
「ドイツ・Brose 社でのインターンシップ研修を終えて」
平成 21 年度派遣学生
名古屋工業大学大学院
産業戦略工学専攻
博士前期課程 1 年
学籍番号 21419540 吉田隆幸
ドイツにおける2ヶ月間の長期インターンシップを終えて思うことは,自分の技術者と
してのスキルはまだまだ未熟だということです.ですが,私自身の将来的な目標に対し
て,現在どのような位置に立っているのか,これからどのような能力を伸ばせば良いの
か,といったことが明確になった2ヶ月でもありました.
私は,将来的に海外で活動する技術者になりたいと考えています.そのため,これま
でも積極的にネイティブスピーカーとの交流を深めたり,海外でバックパッカーのよう
な単独旅行を行ったりしてきました.そのため,日常会話レベルの英会話ならば自由に
扱うことができ,英語で業務を遂行することは,あまり不安ではありませんでした.
確かに職場では,英語でコミュニケーションをとることが多かったのですが,彼らの
母国語はあくまでドイツ語であり,書類の体裁や,タスクの詳細などで,度々行き違い
が発生しました.そのたびに自分の英語での説明能力が不足していることを痛感しまし
た.ただ単語を並べるのではなく,テクニカルなトピックを相手にわかりやすく説明す
る英語を使えるようになりたいと感じました.
言語以外にも戸惑うことは多く,特にドイツ流の仕事スタイルにはとても驚きました.
ドイツには残業というものが殆どといっていいほどないのです.
私は日本の企業については,まだインターンシップ以外経験したことが無いのですが,
日本企業ではまず,個人としてタスクを消化し,その後チームとしてのプロジェクトの
進捗状況を確認するということが多いように思います.ですがドイツでは,始めからチ
ームとしてプロジェクトを進めていきます.勤務時間の多くをミーティングに費やし,
効率の良いプロジェクトの進行を,チーム全体で考えているという印象をうけました.
また,本インターンシップ・プログラムは私にとって,これまで会得した,母国語以
外でのコミュニケーション能力をさらに進化させる絶好の機会でした.
同じくインターンシップ・プログラムで研修生として派遣されてきた,世界中の学生
と親しくなり,共に酒を飲んで語りあったことは忘れられない思い出です.
また,パーティーの席で知り合ったブローゼ社員,マーティンとアリには公私にわた
って親切にしていただきました.この出会いは生涯大切にしたいと思います.
最後に,このインターンシップ・プログラムを成功させるため尽力していただいた,
ブローゼ・ジャパンの皆様,メンターのフランク・レーダー様に感謝の意を表します.
本当に実りある2ヶ月でした.ありがとうございました.
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