T ポイントの巨大な顧客基盤から 「予測」するビジネスチャンス

T ポイントの巨大な顧客基盤から「予測」するビジネスチャンス
T ポイントの巨大な顧客基盤から
「予測」するビジネスチャンス
~カルチュア・コンビニエンス・クラブが語るビッグデータ活用~
ビッグデータという言葉が生まれる以前から、「T ポイント」のデータを基にした精
緻なマーケティング活動をしてきたカルチュア・コンビニエンス・クラブ。同社の特長
は、多くの企業が苦労するデータの分析・解析プロセスを高いレベルで実現しているだ
けでなく、サービス化により実益をもつなげている点だ。データの山から新たなビジネ
ス価値を掘り起こす秘訣とは。ビッグデータ活用の最前線に迫る。
毎月 1 億円超の購買情報が蓄積される
日本最大級の共通ポイントサービス「T
ポイント」を運営するカルチュア・コンビ
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
執行役員
CCC マーケティングカンパニー
マーケティング・ソリューション事業部
ニエンス・クラブ(CCC)。2014 年 6 月末
時点で日本の人口の約 38.5%に当たる 4900
万人の会員数を誇り、110 社の提携先を含
めた店舗で利用できる「T カード」は、同
社のデータベース・マーケティング事業の
軸を成すサービスだ。「会員数は、名寄せ
によって複数枚持つ方のカードも 1 枚とカ
ウントし、かつ直近 1 年間に利用した方の
数。このアクティブユーザーの多さは、T
カードの特長です」と同社の渡辺朗氏は述
べる。
T ポイントのデータベースには、消費者
の「性別」「年齢」「住所」といった基本
渡辺 朗 氏
属性から、「いつ」「どの店で」「何を」
という T ポイント提携先での購買履歴、「好み」や「趣味」といったアンケー
ト情報までのビッグデータが格納されている。このデータは日々増大。購買履
歴だけでも月 1 億件以上が新たに登録されているというが、ここでいう「1 件」
とは、レジで発行されるレシート 1 枚分のこと。つまり、中には各商品の明細
事業部長
© 2015 SAP SE. All rights reserved.
T ポイントの巨大な顧客基盤から「予測」するビジネスチャンス
情報が含まれているため、実際には数倍から数十倍のデータが毎月蓄積されて
いることになる。
この大量のデータを活用し、同社は顧客企業のマーケティング支援サービス
を行っている。それが「データベース・マーケティング」である。「サービス
を開始した当初は、カードはあくまで TSUTAYA の会員証であり、収集されるデ
ータも TSUTAYA での各種履歴のみでした。しかし、お財布の中の複数のカード
をまとめたいという消費者のニーズにお応えするかたちで、共通ポイントカー
ドへと進化。それにともない、カードも TSUTAYA 会員証から T カードへと名称
を変更しました。収集するデータの量と種類が飛躍的に増えたことで、提供で
きるマーケティング支援サービスも、より多様な業種・業界のニーズにお応え
できるものへと進化していったのです」と渡辺氏は説明する。
T カードのデータを顧客のマーケティング支援に活用
サービスの具体的な手法は、次のようなも
のだ。顧客から依頼を受けた同社は、綿密
なヒアリングを基に必要なデータの種類や
粒度を定義。その後、そのままでは意味を
成さないデータ群を、有益な情報が得られ
るように関連付けた「分析モデル」を構築
し、データ分析を実行する。これにより、
膨大なデータから顧客のマーケティング活
動に役立つ情報を抽出し、改善策などの提
案につなげることが可能となる。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
例えば、ダイレクトメール配信の効果が
CCC マーケティングカンパニー
低いことに悩む企業には、詳細な購買デー
マーケティング・ソリューション事業部
タを基に顧客層をクラスタ(属性や趣味な
データベースマーケティング研究所
どが似た集団)に分け、それぞれに合った
小野 翔一 氏
メールを配信することでコンバージョン率
向上につなげる。「また、マーチャンダイジングに近い手法のサービスも提供
しています。例えば飲食店においては、単に各メニューの販売数だけを見るの
ではなく、注文者の属性情報とクロスさせた分析を実施。これにより、『よく
注文は入るがリピーターが少ない』『注文は少ないがリピーターは多い』のよ
うなメニューごとの傾向までを洗い出すことができ、一歩踏み込んだメニュー
© 2015 SAP SE. All rights reserved.
T ポイントの巨大な顧客基盤から「予測」するビジネスチャンス
改定案やプロモーション施策をご提案することが可能となります」と同社の小
野翔一氏は話す。
ほかにも、小売チェーン店などからは、出店場所選定時のコンサルティング
依頼も増えているという。出店予定地域の消費者の購買データから「来店客の
年齢層」「来店時間帯」「平均購入金額」などの傾向を割り出すことで、出店
にともなうリスクを最小化するというものである。
従来、こうしたマーケティング手法は、担当者の感覚任せで行われていたり、
またはデータを基にする場合も、その粒度が粗かったりというケースが一般的
だった。「その点当社は、他社が真似できないレベルの詳細なデータ分析に基
づき、最適な手法を提案することが可能。マーケティング活動の高度化を目指
すお客様にとって最適なサービスだと自負しています」と渡辺氏は言う。
膨大なデータの分析作業に欠かせない IT
こうした同社のサービスに欠かせないのが、知識・経験に基づく洞察で正し
い分析結果を導く「データアナリスト」と、膨大なデータを迅速・確実に処理
する「IT」の存在だ。「どちらが欠けてもデータベース・マーケティングは成
立しません。そこで当社は、そのための体制や仕組みも整えています」と渡辺
氏は話す。
まず、同社のデータアナリストは数十人。高度な専門知識を駆使しながら、
各提携先の要望に応えるサービスの開発を担っている。「要望が多様化する昨
今は、必要な知識の幅も量も増大。お客様との密なやり取りも必要なため、『数
字ばかりを追いかける人』では務まりません。論理的思考に強いことはもちろ
ん、ビジネスの現場感覚を持っていることも当社のデータアナリストの強みで
す」(小野氏)。
そしてもう 1 つの IT には、各ベンダーが提供する複数のビッグデータ分析ツ
ールを組み合わせて使用。中でも、分析作業の方向性を決める上で重要な「分
析モデル」の構築には、データ予測・分析ツール「SAP InfiniteInsight」を活
用している。
例えば、必要なデータを定義した後、人力で分析モデルを構築するケースで
は、データ加工、回帰分析といった難しい作業が多い。この工程は、従来デー
© 2015 SAP SE. All rights reserved.
T ポイントの巨大な顧客基盤から「予測」するビジネスチャンス
タアナリストにとって最も負荷の高いプロセスの 1 つだったため、長いときで
数日間の期間を要することもあったという。
その点、SAP InfiniteInsight は、膨大なデータを基にした予測・分析機能に
より、これらのプロセスを自動化。所要時間もわずか数時間程度に短縮できる
(図)。これにより、サービス提供までのスピードを劇的に速められるほか、
データアナリストがより応用的な分析作業やコンサルティングといった創造的
なサービスに時間を割くこともできるようになる。「使用するデータの定義と
入力を済ませれば、あとは SAP InfiniteInsight が分析モデルを構築してくれ
ます。案件ごとに条件は異なるため、単純比較は難しいですが、作業にかかる
データアナリストの負荷は以前の 1/2 程度に削減できているようです」(小野
氏)。
図 データ予測・分析ツール「SAP InfiniteInsight」による効果
ツールを活用することで、分析モデル構築にかかる時間とデータアナリストの作業負荷
を大幅に低減できる
© 2015 SAP SE. All rights reserved.
T ポイントの巨大な顧客基盤から「予測」するビジネスチャンス
「企画会社」の提案力を支える予測・分析ツール
データアナリストと IT の連携で提供される同社のデータベース・マーケティ
ングには、すでに多くの成功事例も存在する。
例えば、同社のもう 1 つの基幹事業である TSUTAYA 店舗では、POS クーポンの
発券にデータベース・マーケティングを活用。「お客様が本や雑誌などの商品
を購入したときに、レジでレンタル商品の割引クーポンを発行するといった『レ
コメンド』という施策を継続的に実施しています。その際のクーポンの内容を、
データ分析を基に最適化。最近 TSUTAYA をご利用のないお客様には、お客様の
好み合わせた CD レンタルの割引クーポンを発行する、といったことがその一例
です」と小野氏は言う。
今後同社は、このデータベース・マーケティングを、新たな業界・業種の顧
客に向けても展開していく計画だ。「小売、サービス、飲食などの業界向けを
中心とした既存のマーケティング支援サービスに加え、今後は、メーカー向け
の CRM 支援サービスも展開していきます」(渡辺氏)。従来は、メーカーが新
商品の効果を測る際、リリースの数カ月後にアンケートを行い、事前に立てた
仮説通りの結果が得られたかを検証していた。だが、この方法ではアンケート
の母数が不十分になりがちな上、時間もかかる。そこで、T カードのデータベー
スを活用することで、大規模かつ高精度な調査が迅速に実現できるというもの
だ。こうしたデータを活用した顧客ビジネスの支援策は、今後も一層拡充して
いく予定だという。
「以前は、『販促をよろしく』といったシンプルなご依頼が多かったのです
が、最近は『うちのお客様のライフスタイルはどんなものか』『この商品を買
ったお客様は他にどんな商品を買っているのか』といった、詳細なご依頼が増
えています。当社のビジョンは『世界一の企画会社』。お客様のニーズに対し、
常にベストな企画・提案でお応えするため、高速・確実なデータ分析を実現す
る SAP InfiniteInsight は、なくてはならないツールの 1 つになっています」
と渡辺氏は最後に語った。
この記事は、日経ビジネスオンラインへ
2014 年 7 月に掲載されたコンテンツを再構成したものです。
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201407/sap_ccc/
© 2015 SAP SE. All rights reserved.